平成29年3月22日

証券取引等監視委員会

Prospect Asset Management, Inc.によるトライステージ株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、Prospect Asset Management, Inc.(以下「PAMI」という。)による株式会社トライステージ(以下「トライステージ」という。)株式に係る内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    PAMIは、米国ハワイ州に本店を置くハワイの会社であり、英国領ケイマン諸島籍のリミテッド・パートナーシップ形態のファンドであるShareholders’ Consensus Fund L.P.(以下「SCF」という。)に出資された資産の運用権限を実質的に有していたものである。
     PAMIは、その運用担当者において、トライステージとの契約の締結交渉に関し、同社の業務執行を決定する機関が、自己の株式の取得を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、SCFに出資された資産の運用として、同重要事実の公表がされた平成27年10月20日より前の平成27年9月25日から同年10月19日までの間、トライステージ株式合計3万6500株を買付価額合計7476万7600円で買い付け、もって、PAMIの親会社等の同年10月度におけるSCFへの出資割合である66.6746パーセント相当については自己の計算において、それ以外については自己以外の者であるSCFへの出資者の計算において、同株式を買い付けたものである。

     違反行為事実の概要については、別図のとおり。

     PAMIが行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、329万円である。

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。

  • 4.その他

    本件については、米国証券取引委員会(U.S.Securities and Exchange Commission)より支援がなされている。


(別図)

○ 違反行為事実の概要について


(クリックすると拡大されます)

(別紙)

○ 課徴金の額の計算方法について

(1)自己の計算に係る課徴金の額

  金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額のうち、本件では、自己の計算に係る割合。

{(2,177円×36,500株)-
(1,851円×300株+1,854円×100株+1,855円×100株+1,856円×100株+1,860円×100株
+1,864円×100株+1,865円×100株+1,866円×300株+1,870円×200株+1,877円×100株
+1,878円×100株+1,880円×600株+1,884円×100株+1,890円×300株+1,893円×200株
+1,894円×400株+1,895円×600株+1,896円×100株+1,898円×100株+1,902円×300株
+1,932円×100株+1,933円×100株+1,935円×100株+1,937円×100株+1,938円×100株
+1,957円×100株+1,961円×100株+1,969円×100株+1,978円×100株+1,980円×100株
+1,982円×100株+1,984円×100株+1,985円×300株+2,005円×1,500株
+2,020円×1,300株+2,028円×100株+2,029円×100株+2,030円×100株+2,035円×100株
+2,036円×600株+2,037円×100株+2,038円×200株+2,039円×400株+2,040円×400株
+2,047円×100株+2,048円×1,100株+2,049円×1,500株+2,050円×2,000株
+2,051円×400株+2,052円×300株+2,053円×1,200株+2,055円×100株+2,058円×600株
+2,059円×300株+2,060円×900株+2,065円×100株+2,068円×400株+2,069円×300株
+2,070円×600株+2,071円×200株+2,072円×200株+2,073円×100株+2,074円×2,200株
+2,075円×1,900株+2,077円×200株+2,078円×100株+2,079円×400株
+2,080円×1,900株+2,082円×100株+2,084円×100株+2,086円×200株+2,087円×200株
+2,088円×200株+2,089円×100株+2,090円×100株+2,097円×1,400株
+2,100円×1,000株+2,120円×400株+2,137円×200株+2,138円×200株+2,139円×100株
+2,140円×800株+2,143円×500株+2,150円×500株+2,160円×500株+2,162円×200株
+2,165円×700株+2,169円×400株+2,170円×100株+2,179円×100株+2,180円×200株
+2,185円×100株+2,187円×100株+2,191円×200株)}×66.6746%
= 3,128,972.30円

 
(2)自己以外の者の計算に係る課徴金の額

  金融商品取引法第175条第1項第3号イの規定により、金融商品取引法第166条第1項に規定する買付けをした者が、自己以外の者の計算において、運用対象財産の運用として当該買付けを行った者であるとき、運用の対価の額として金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の21第2項で定める、算定対象取引が行われた日の属する月(算定対象取引が2以上の月にわたって行われたものである場合には、これらの月のうち最後の月)における運用報酬の価額の総額に3を乗じて得た額のうち、本件では、自己以外の者の計算による割合。

 165,678.942円×3×33.3254%
= 165,639.51円

 
(3)上記(1)ないし(2)により算定した額の合計

  3,128,972.30円+165,639.51円=3,294,611.81円

 
(4)金融商品取引法第176条第2項の規定により、課徴金の額は、上記(3)で算定した額の1万円未満の端数を切り捨てた329万円となる。

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