平成29年6月2日

証券取引等監視委員会

日本クラウド証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

 証券取引等監視委員会が日本クラウド証券株式会社(東京都港区、法人番号2010001077101、代表取締役 橋村 純(はしむら じゅん)(注)、資本金1億4240万円、常勤役職員14名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
(注)平成28年6月29日、前代表取締役 大前 和徳(おおまえ かずのり)氏が退任し、同日付けで現代表取締役に就任。

2.事実関係

 日本クラウド証券株式会社(以下「当社」という。)は、当社ウェブサイトを通じて、当社関係会社を営業者とするクラウドバンク匿名組合(以下「CB匿名組合」という。)の出資持分の募集取扱業務を行っている。CB匿名組合においては、当社関係会社等が設立したSPCや一般事業会社に対する融資を行っている。
 今回検査において、当社の募集取扱業務の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

○ 著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為
ア 不動産開発事業に対して融資を行う広告
 当社は、平成28年1月から同年7月までの間、募集の取扱いを行った一部において、当社関係会社が関与する不動産開発事業に対する融資に関して、ウェブサイトに広告を掲載している。
 上記不動産開発事業は、当社と業務委託契約を締結している者が既に保有している不動産に隣接する不動産を新たに取得し、2つの不動産を同時に売却することを企図する事業であり、新たに取得する不動産の購入等に充当する資金の融資をCB匿名組合から行うものである。
 当社は、ウェブサイトにおいて行った広告の中で「SPC(特別目的会社)のメザニンとして6億円の融資を実行します」と表示し、CB匿名組合の融資先は不動産を実際に取得するSPC(以下「不動産取得SPC」という。)であること、また、融資の形態は、劣後特約付金銭消費貸借契約(以下「メザニンローン」という。)であることを説明している。
 しかし、実際には、CB匿名組合の融資先は、不動産取得SPCではなく、不動産開発事業に投資を行う「甲事業会社」となっており、甲事業会社は、CB匿名組合から融資を受けた金銭の中から、不動産取得SPCにメザニンローンとして4億6000万円を融資するとともに、不動産取得SPCを営業者とする匿名組合に対して、1億7950万円を出資(以下「本匿名組合出資」という。)していた。
 加えて、当社は、上記不動産開発事業のリスク説明として、「プロジェクトの継続が困難になった場合」と題した図(別添参照)を掲載し、CB匿名組合の融資したメザニンローンは、あたかもCB匿名組合とは別の出資者(事業者)の「エクイティ」によって毀損しない旨の表示をしている。
 しかし、実際には、本匿名組合出資を除くと、不動産取得SPCの「エクイティ」に相当するものは55万円しかない状況であった。
 以上のように、当社の上記のウェブサイトの広告は、実際には、本匿名組合出資を除く「エクイティ」が55万円しかないにもかかわらず、「エクイティ」の余力があることにより投資者がメザニンローンとして出資した金銭が毀損するおそれが低いかのような表示となっていることから、投資者の利益の見込みについて著しく事実に相違し、著しく人を誤認させるような表示であると認められる。
 
イ 営業者報酬等の還元をうたった広告
 当社は、平成26年5月から同27年5月までの間、募集の取扱いを行った一部において、「手数料還元お客様キャンペーン」、「営業者報酬の一部を皆さまに還元することで、特別目標利回り6.5%でご提供いたします。」などとうたって、ウェブサイトに広告を掲載している。
 しかし、当時CB匿名組合の運用担当者であった前代表取締役は当初から営業者報酬を還元する意思はなく、顧客に対して、手数料等の還元を一切行っていない中、当社は上記の表示を行っていた。したがって、上記のウェブサイトの広告は、顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項について、著しく事実に相違する表示であると認められる。
 
 当社の上記アの行為は、「金融商品取引行為を行うことによる利益の見込み」について、著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為であり、上記イの行為は、「金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき手数料等の額に関する事項」について、著しく事実に相違する表示のある広告をする行為であることから、金融商品取引法第37条第2項に違反する。
 

(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(広告等の規制)
第三十七条(略)
2 金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
 

○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年8月6日内閣府令第52号)(抄)

(誇大広告をしてはならない事項)
第七十八条  法第三十七条第二項に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一~六 (略)
七  金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき手数料等の額又はその計算方法、支払の方法及び時期並びに支払先に関する事項
(以下、略)

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