平成29年10月13日
証券取引等監視委員会

豊証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

 東海財務局長が豊証券株式会社(愛知県名古屋市、法人番号6180001041714、代表取締役 伊藤 立一(いとう りゅういち)、資本金25.4億円、常勤役職員226名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

○ 損失補塡行為及び専ら投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買
(1)損失補塡行為
  当社X支店において平成25年9月から同28年3月までの間は次長、同28年4月から同29年4月までの間は支店長の職にあった者A(以下「A支店長」という。)は、顧客1名に対して、損失の補塡を事前に約束した上で株式の売買取引を行わせたほか、当該顧客を含む3名の顧客に対して、株式の売買取引において実際に発生した損失を補塡するため、自己資金合計約465万円を顧客の取引口座に入金した。
① 事例1
  A支店長は、平成26年11月頃、顧客Bに東京証券取引所マザーズ上場株式の買付けを推奨したところ難色を示されたため、自己の営業成績向上を図る目的で、「損が出たら私が持ちます。」などと発言し、顧客もこの発言により買付けに同意したことから、同年同月、当該株式を買い付けさせた。その後、平成27年5月、顧客Bが当該株式の売付けを行い、この結果損失が発生したことから、A支店長は、上記の約束に基づき、自己資金105,659円を顧客Bの取引口座に入金した。
② 事例2
  A支店長は、平成26年2月、顧客Cが、信用取引の追加保証金の差入れが必要となったため、取引を継続することに難色を示したことから、自己の営業成績向上を図る目的で、「私が資金を出すので取引を続けて欲しい。」などと発言した。顧客Cは、A支店長の発言により取引を継続することに同意したことから、A支店長は、追加保証金及び今後損失が発生した場合の決済損金に充当してもらう目的で、自己資金1,000,000円を顧客Cの取引口座に入金した。その後、顧客Cが順次、信用取引建玉の決済を行い、この結果生じた損失の一部に、先にA支店長が入金していた1,000,000円を充当した。
  A支店長は、その後も、顧客Cに取引を継続してもらう目的で同様の行為を繰り返し、上記を含め、平成26年4月2日から同28年7月8日までの間に、信用取引により生じた損失の一部に充当するため、自己資金合計3,119,676円を顧客Cの取引口座に入金した。
③ 事例3
  A支店長は、顧客Dに対して、事例2と同様に、平成28年1月21日から同年8月5日までの間に、信用取引により生じた損失の一部に充当するため、自己資金合計1,430,518円を顧客Dの取引口座に入金した。
 
(2)専ら投機的利益の追求を目的とした有価証券の売買

 A支店長は、専ら自己の有価証券売買益を獲得する目的で、顧客Eからの借入金(約1億5千万円)を原資として、親族を含む2顧客の取引口座を使用して、自己の計算により、平成25年12月から同29年1月までの間、国内上場株式の売買取引を頻繁に行った(延べ売買合計623回、延べ約定代金合計約5億3千万円)。

 上記(1)及び(2)の背景として、以下のとおり、当社の法令等違反行為に係る防止態勢が不十分な状況が認められた。
  •  当社は、支店長等の営業管理職が行う営業状況の適切性を確保するための管理態勢が不十分であった。
  •  平成28年3月及び同29年2月に、2店舗で無断売買、名義借り及び顧客との金銭貸借といった法令等違反行為が発生しているが、当社経営陣は、その発生原因は行為者の属人的な問題との意識が強く、発生原因を十分に分析した上で、実効性ある再発防止策を策定・実行してこなかった。

 

 上記(1)①の行為は、金融商品取引法第39条第1項第1号及び第3号に、同②及び③の行為は、同項第3号に該当するものと認められる。
 また、上記(2)の行為は、同法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第12号に該当するものと認められる。


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)
第三十八条  金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一 ~ 七  (略)
八 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為
 
(損失補てん等の禁止)
第三十九条 金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 有価証券の売買その他の取引(買戻価格があらかじめ定められている買戻条件付売買その他の政令で定める取引を除く。)又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券売買取引等」という。)につき、当該有価証券又はデリバティブ取引(以下この条において「有価証券等」という。)について顧客(信託会社等(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。以下同じ。)が、信託契約に基づいて信託をする者の計算において、有価証券の売買又はデリバティブ取引を行う場合にあつては、当該信託をする者を含む。以下この条において同じ。)に損失が生ずることとなり、又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなつた場合には自己又は第三者がその全部又は一部を補てんし、又は補足するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為
二 (略)
三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補てんし、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為
(以下、略)
 

○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

(禁止行為)
第百十七条 法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一 ~ 十一 (略)
十二 個人である金融商品取引業者又は金融商品取引業者等の役員(役員が法人であるときは、その職務を行うべき社員を含む。)若しくは使用人が、自己の職務上の地位を利用して、顧客の有価証券の売買その他の取引等に係る注文の動向その他職務上知り得た特別の情報に基づいて、又は専ら投機的利益の追求を目的として有価証券の売買その他の取引等をする行為
(以下、略)
 
 

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