平成30年1月16日

証券取引等監視委員会

アセットデザイン株式会社による株式会社エボラブルアジア株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、アセットデザイン株式会社(法人番号5010001078625、以下「アセットデザイン」という。)による相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    アセットデザインは、投資運用業及び第二種金融商品取引業を行うことにつき、関東財務局長の登録を受けている株式会社であり、英国領ケイマン諸島籍ユニットトラスト型ファンドであるアセットデザイン・コプロス・ファンド(以下「コプロスファンド」という。)の受託会社であるエリアン・トラスティ(ケイマン)・リミテッドとの間で締結したインベストメント・マネジメント契約に基づき、上記ファンドに出資された資産の運用権限を有していたものであるが、アセットデザインの運用担当者において、同社の業務に関し、当時、東京証券取引所マザーズ市場に上場されていた株式会社エボラブルアジアの株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、別表記載のとおり、平成29年2月16日午後2時53分頃から同日午後3時までの間、最良売り気配と同値又はその上値に売り注文を大量に発注する方法により、同株式合計1万2500株を売り付けるとともに、同株式合計5万9500株の売付けの委託を行い、もって、アセットデザイン及びアセットデザインと特殊の関係にある者におけるコプロスファンドへの出資割合である約4.24パーセント相当については自己の計算において、それ以外については自己以外の者であるコプロスファンドへの出資者の計算において、同株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、同市場における同株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたものである。

    違反行為事実の概要等については、別紙1及び別紙2のとおり。

    アセットデザインが行った上記の行為は、金融商品取引法第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」及び「委託等」に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、1億341万円である。

    計算方法の詳細については、別紙3のとおり。


(別紙1)

○違反行為事実の概要について(1)


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(別紙2)

○違反行為事実の概要について(2)


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(別紙3)

○課徴金の額の計算方法について

1.金融商品取引法第174条の2第1項に基づき、課徴金の額は、

(1) 当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量(注1)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額

(注1)売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付け等数量と買付け等数量のうち、いずれか少ない数量をいう。

(2) 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が、当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券等に係る有価証券の買付け等についての金融商品取引法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額

及び

(3) 違反者が、自己以外の者の計算において、当該違反行為の開始時から当該違反行為の終了後1月を経過するまでの間に違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等をした場合、算定対象取引(注2)が行われた日の属する月(算定対象取引が2以上の月にわたって行われたものである場合には、これらの月のうち最後の月)について違反者に財産の運用の対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産(以下「運用報酬」という。)の価額(注3)に3を乗じて得た額

(注2)算定対象取引とは、金融商品取引法第174条の2第1項第2号二の違反行為又は有価証券の売付け等若しくは有価証券の買付け等のうち違反行為に係る有価証券等に係るもののことを指す(同法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の16第1項第1号)。

(注3)運用報酬の算定の基礎となる期間(以下「運用報酬算定期間」という。)が1月を超える場合にあっては、当該運用報酬を当該運用報酬算定期間の月数で除す方法、運用報酬算定期間に係る運用実績に基づいて運用報酬が算定されるときには当該算定対象取引が行われた日の属する月の運用実績に基づいて算出する方法その他の合理的な方法により算出することとなる(同条第2項かっこ書き)。

を合計し、

(4) 金融商品取引法第176条第2項の規定により、前記(1)から(3)の合計額に1万円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる

ことで算出される。

2.本件では、

(1) 売買対当数量(注4)に係る課徴金の額 0円

(注4)当該違反行為に係る売買対当数量は、
 ① 自己の計算による有価証券の売付け等の数量が、5,210.173株(注5)(注6)であり、
 ② 自己の計算による有価証券の買付け等の数量が0株である
ことから、0株となる。

(注5)小数点以下の端数が生じた場合は、少数第四位を四捨五入して表記しているが、実際の計算過程においては、端数処理は行わず計算している(以下同じ)。

(注6)実際の売付け等の数量12,500株に違反者の役員等のコプロスファンドに対する出資割合4.243%を乗じて得られる530.351株に、上記の同法174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号の規定により、違反行為開始時にその時における価格(3,395円)で当該違反行為に係る有価証券の売付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に売付け等をしている当該有価証券の数量110,300株に同4.243%を乗じて得られる4,679.821株を加えた数量。

(2) 当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合の、当該超える数量に係る課徴金額 4,184,829.455円(注7)

(注7)当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の買付け等についての同法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格(2,592円)に当該超える数量5,210.173株を乗じて得た額を控除した額。

{違反行為期間中における有価証券の売付け等の価額のうち上記ファンドに対する違反者の役員等の出資割合相当額(42,462,500円(注8)×4.243%)+違反行為の開始時にその時における価格で当該違反行為に係る有価証券の売付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の価額(3,395円×110,300株×4.243%)}
 -(2,592円×5,210.173株)

(注8)算定式は次のとおり。
(3,395円×7,500株+3,400円×5,000株)

及び

(3) 違反者に対し、運用報酬として、支払われるべき金銭に基づく課徴金額 99,225,349.209円(注9)

(注9)違反者が、受領すべき運用報酬33,075,116.403円に3を乗じることで算出される。

(4) 1万円未満の端数(178.665円)を切り捨てた金額である
 103,410,000円が課徴金の額となる。

 

【参考】課徴金の額の計算に係る考え方の例

別表(PDF)

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