English version 新しいウィンドウで開きます 
平成30年5月29日

証券取引等監視委員会

株式会社オレンジプラン及び株式会社ゴールドマイン並びにその役員2名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

1.申立ての内容等

証券取引等監視委員会が、株式会社オレンジプラン(東京都港区、法人番号8011101058217、代表取締役A、資本金1000万円、以下「オレンジ社」という。)及び株式会社ゴールドマイン(福岡県福岡市博多区、法人番号9290001058380、代表取締役B、資本金500万円、以下「ゴールド社」という。)(上記2社はいずれも金融商品取引業の登録等はない。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項に基づき、東京地方裁判所に対し、オレンジ社及びゴールド社並びにそれぞれの代表取締役であるA及びB(以下「オレンジ社ら」という。)を被申立人として、金商法違反行為(無登録で、金商法第2条第2項第5号又は第6号に掲げる権利について、募集又は私募の取扱いを業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。

2.事実関係

オレンジ社は、平成28年11月下旬頃から、「ポートフォリオコイン」という名称の金融商品を販売している。
 なお、「ポートフォリオコイン」を購入するためには、オレンジ社へ登録料及び登録事務手数料(以下「登録料等」という。)を支払い、会員登録を行う必要がある。会員は、自分の紹介により、一般投資家が新規にオレンジ社の会員となったり、「ポートフォリオコイン」を購入したりした場合には、オレンジ社から「ボーナス」として金銭が支払われる仕組みとなっている。

 
① 「ポートフォリオコイン」について
 オレンジ社らは、「ポートフォリオコイン」は、その発行主体とする海外法人が、仮想通貨の売買によって「ポートフォリオコイン」の売上金を運用し、その運用益を「ポートフォリオコイン」の所有者に対して、所有口数に応じて分配するという金融商品であるとしている。 
 「ポートフォリオコイン」は2種類あり、その概要は、以下のとおり。
 
ア 「ポートフォリオコイン20」
 購入日の翌週から20週目までは、毎週、販売価格(5万円)の5%に相当する額(2,500円)の支払を受けることができるとしている(20週間支払を受け続けることができれば、販売価格に相当する額の支払を受けることができることになる。)。
 その後は、満期である104週目に、運用による最終的な利益(過去の実績は、301万2,112円とされる。)の支払を受けることができるとしている。
イ 「ポートフォリオコイン40」
 購入日の翌週から40週目までは、毎週、販売価格(5万円)の5%に相当する額(2,500円)の支払を受けることができるとしている(40週間支払を受け続けることができれば、販売価格の倍に相当する額の支払を受けることができることになる。)。
 その後は、満期である104週目に、運用による最終的な利益(過去の実績は、113万5,233円とされる。)の支払を受けることができるとしている。
 
② 「ポートフォリオコイン」の取得勧誘について
 
ア 個別の面談やセミナーによる取得勧誘
 オレンジ社は、一般投資家との個別の面談やセミナーにおいて「ポートフォリオコイン」の説明を行う業務を、ゴールド社に委託している。
 そして、ゴールド社の代表取締役であるB及び同社の外交員らは、同委託に基づき、平成28年11月下旬頃から、オレンジ社の公認アドバイザーとして、個別の面談やセミナーにおいて、一般投資家に対して「ポートフォリオコイン」の説明を行い、その取得勧誘を行っている。
 また、オレンジ社の代表取締役であるAは、ゴールド社の外交員からの要請により、セミナーに出席して一般投資家に対して挨拶を行うほか、個別の面談において、一般投資家からの質問に回答するなどしている。
 
イ キャンペーンの告知による取得勧誘
 オレンジ社は、平成29年10月頃から1か月に1、2回程度の頻度で、「ポートフォリオコイン」の追加購入を促すキャンペーンを行っており、そのようなキャンペーンを行う旨を会員向けのウェブサイトで告知するとともに、会員全員に対してメールを送信して告知し、「ポートフォリオコイン」の取得勧誘を行っている。
 

 オレンジ社らの上記行為は、金商法第28条第2項第2号に規定する「第二種金融商品取引業」に該当し、無登録でこれを行うことは、同法第29条に違反するものである。  

 

 オレンジ社らは、平成28年11月から平成30年2月20日までの間に、少なくとも延べ約8,100名の一般投資家に対して延べ約31億円分の「ポートフォリオコイン」を販売している。
 また、オレンジ社は、会員からの登録料等として、約10億円の入金を受けている。

 オレンジ社らは、「ポートフォリオコイン」の発行主体とされる海外法人が仮想通貨の売買によってその売上金を運用するとしているが、オレンジ社が「ポートフォリオコイン」の売上金を海外法人に送金している形跡や海外法人からその運用益を受け取っている形跡は認められていない。
 そして、一般投資家に対して支払う分配金等は、専ら「ポートフォリオコイン」の売上金及び会員の登録料等から支払われており、オレンジ社は、「ポートフォリオコイン」を販売しなければ分配金等を支払うことができない状態となっている。
 そのため、オレンジ社が今後も分配金等を支払うためには、一般投資家に対して「ポートフォリオコイン」の新規の取得勧誘を継続するほかない状況にある。

 このような事情等によれば、オレンジ社らは上記違法行為を今後も行う蓋然性が高く、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。

参考資料(PDF:178KB)


金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立て
(クリックすると拡大されます)

参考条文

○第二種金融商品取引業

金融商品取引法(抄)

(定義)
第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
一~二十一 (略)
(前略)、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であっても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。
一~四 (略)
五 民法(中略)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(中略)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(中略)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(中略)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であって、次のいずれにも該当しないもの(略)
イ~二 (略)
六 外国の法令に基づく権利であって、前号に掲げる権利に類するもの
七 (略)
3~7 (略)
8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。
一~八 (略)
九 有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い
十~十八 (略)
9~40 (略)
 
第二十八条 (略)
 この章において「第二種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。
一 (略)
二 第二条第二項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利についての同条第八項第一号から第三号まで、第五号、第八号又は第九号に掲げる行為
三・四 (略)
3~8 (略)
  
(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
 

○緊急差止命令に係る申立て

金融商品取引法(抄)

(審問等に関する調査のための処分)
第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。
一 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
四 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

(略)

(裁判所の禁止又は停止命令)
第百九十二条 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、当該各号に定める行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。
一 緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であるとき この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為
二 第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同項第七号に掲げる権利(同項第五号又は第六号に掲げる権利と同様の経済的性質を有するものとして政令で定める権利に限る。)に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行われる事業に係る業務執行が著しく適正を欠き、かつ、現に投資者の利益が著しく害されており、又は害されることが明白である場合において、投資者の損害の拡大を防止する緊急の必要があるとき これらの権利に係る同条第八項第七号から第九号までに掲げる行為
2~4 (略)
 
第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~七 (略)
八 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者
 
第二百七条 法人(中略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一・二 (略)
三 第百九十八条(略)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで三億円以下の罰金刑
四~六 (略)
2・3 (略)

サイトマップ

ページの先頭に戻る