コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議(第6回)議事録

1.日時:

平成26年11月12日(水)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○池尾座長

それでは、定刻になりましたので、出席予定のメンバーの中で冨山さんがちょっとまだ来られていませんが、すぐ到着されると思いますので、ただいまよりコーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議の第6回会合を開催いたしたいと思います。皆様には、ご多忙中のところご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、早速議事に移らせていただきます。本有識者会議におけるこれまでの議論を踏まえて、本有識者会議としてコードについての基本的な考え方を示さなければならないわけですが、本日はそのために事務局においてコード原案の形で、そのまだ一部ですけれども、その一部についてたたき台を用意していただきました。そのたたき台につき、事務局からまずご説明をいただいた上で、皆様にご議論をお願いしたいというのが本日の会合です。

それでは、早速ですが、まず、たたき台の内容につきまして事務局からご説明をお願いします。

○油布企業開示課長

それでは、お手元の資料、縦の文書につきましてご説明申し上げます。

読み上げではなくて、ポイントをしぼった形でご説明申し上げたいと思います。

まず、今日お配りしているこのたたき台ですけれども、マルP、つまりペンディングになっているところが数カ所ございます。まず、序文ですね。これは「序文というのは大体最後のほうに書くものだ」という説得力のあるご意見がございましたので、今回はマルPを入れております。

それから、前回10月31日に主に議論いただきました取締役会等の責務の後半の部分、それから、同じく前回の31日にご議論がありました株式の政策保有についてですけれども、これは前回ご議論いただいたばかりで私どものほうでもまだ精査、整理するお時間をちょうだいしたいということで、本日はマルP、ペンディングのまま、空白のままで記載させていただいておりますので、今日は基本的に残りの部分についてご議論いただくということを想定しております。

それから、1ページ、2ページをおめくりいただきたいと思います。全体的な構成についてまず申し上げますが、このページを例にとりますと、左側に「基本原則」という形で太い枠に囲みまして、基本的な原則、ゼネラルプリンシプルみたいなものを記載してございます。その下には「考え方」というのが記載されております。右側には「基本原則」を敷衍する、発展させるような形で細い枠組みで囲みまして、原則1-1、原則1-2、原則1-3ということで「原則」部分を記載しております。

これに関連しましては、この「原則」、つまり箱の中の記載からややはみ出すというか、これにつけ加えて記載すべき原則も存在するというふうに整理をいたしまして、それをそれぞれその箱の下に必要に応じて「補充原則」という形で、1-1マル1とか1-1マル3というような形で記載しております。また、それぞれにつきましてはこれだけではちょっと背景がわからないかもしれないというようなところにつきましては、明朝体の斜体で「背景説明」というのを加えるという構成にしております。

事務局で想定しておりますのは、今申し上げましたもののうち、基本原則と原則と補充原則、この3つについて、コンプライ・オア・エクスプレインの対象という前提でたたき台を記載しております。

それから、ここにはスチュワードシップ・コードの検討会に参加しておられたメンバーの方もいらっしゃいますので、その方には非常におなじみのことではあると思いますが、まず、このコードの文言の使い方について、今日は記者さんたちもいらっしゃいますので、重ねてちょっと確認させていただきますと、これはソフト・ローでございまして、プリンシプルベースの記載ということになっております。

ですから、この文書を法律や政令とか省令を見るような目線で見ていくと、細かな定義、例えば経営陣という言葉はどこまでが経営陣なのかとか、少数株主という表現はどこまでが少数株主なのかと、そういう疑問が湧いてきてやまないわけでございますが、これはハードローではございませんので、そういうものは基本的には定義を置かない。例えばスチュワードシップ・コードは機関投資家のための諸原則でございますが、そもそも機関投資家は何かという定義すらあえて置いておりません。

これはむしろソフト・ローということで、この記述の対象になる会社側に基本的にこの文言を踏まえて適切に判断いただくと、むしろそういうふうに判断いただくこと自体や、考えていただくというプロセス自体にも意味があるということです。もちろん、何かしら場合によっては定義を置く必要があるものがあるかもしれませんが、基本的には一つ一つの文言について法令のような細かい定義を置くということは想定していないと、こういうつくりになってございます。

それでは、中身についてかいつまんでご説明申し上げますが、この1ページ目から申し上げます。

まず、第1章は「株主の権利の尊重と平等性の確保」ということです。これはOECD原則では第2章と第3章に当たる部分ですが、現在改訂作業中のOECD原則でもこの2つは統合する方向で検討が事実上進んでいるようですので、一種先取りするような形で一つにまとめております。

1ページ目の基本原則をごらんいただきますと、上場会社は株主の権利を十分に尊重する。それから、ちょっと飛ばしまして、権利を適切に行使することができる環境の整備を行う。その下ですけれども、実質的な平等性を確保すべきである。そして、その下ですが、少数株主、外国人株主については懸念が生じやすい面があるので、十分に配慮を行うべきであるという記載になっています。

考え方のところでございますが、上場会社には多様なステークホルダーが存在しておりますけれども、その中で、資本提供者はコーポレートガバナンスの規律における主要な起点でもある重要な要であると。上場会社は資本提供者との円滑な協働を確保して、持続的な成長に向けた取り組みに邁進することが求められる。

その下にあります「また」というところですが、株主について、株式の内容や数に応じて平等に取り扱うという法令上の義務がございますが、この点を実質的にも確保しているということで信認を得られれば、資本提供者からの支持の基盤強化にもつながるという考え方を記載しております。

右側、原則1-1のところですが、こちらは総会における意思決定の権利をはじめとする権利の尊重であります。補充原則の1-1マル1は、総会で提案したものについて、相当数の反対票があったと認めるときには、その分析を行って対応の要否を検討すべきである。

1-1マル2は、株主の権利のうち、やや特別な権利、違法行為の差止め等というふうに括弧書きで書いてございますが、これも懸念が生じやすい面があるために十分に配慮を行うべきであると。

1-1マル3ですけれども、これは背景説明のところにも若干書いておりますが、我が国の場合、株主総会に決定していただいている事項がやや多いのではないかというご指摘も踏まえまして、取締役会でガバナンス体制が整っているような場合には、経営の機動性・専門性の観点から、総会から取締役会に委任していただく、会社法の定める範囲の中で委任する、ということも望ましいのではないかということを記載しております。

それから、3ページになります。株主総会における権利行使、そのための環境整備を含めた記載でございますが、ここにつきましては、例えば1-2マル2のところでは、早期発送に努めるべきである。それから、取締役会決議から招集通知の発送までの間に電子的に公表すべきである。1-2マル3は日程の適切な設定でございます。

その下に背景説明を書いておりますが、この問題についてはこの会議でもいろいろご議論がございまして、ポツを4つ打っております。

まず、株主の確定基準日から総会までの間はもちろん短いことが望ましい。次の2つでございますけれども、株主の検討の準備期間はできるだけ長くとることが望ましい。3つ目ですけれども、一方で、適切な会計監査という観点から、一定の期間は確保する必要があるということもございます。

4点目のポツですが、以上に対応するために、ここでも何度かご意見が出ましたが、総会開催日を7月にするということも考えられるけれども、その場合、決算期末から総会開催日までが長くなり過ぎてもいけない、こういういろんな立場からの多角的なご議論があったと思っております。その下に書いておりますように、以上の方向で考える場合に、監査済み情報の提供時期が遅くなったりすることも考えられますので、決算短信によるタイムリーな情報提供が一層重要となることなどにも留意が必要かと考えられます。

結論といたしましては、その下の3行ですが、本問題については、今後、パブコメの内容なども踏まえながら、「必要に応じ」ということで、必ずということではございませんが、必要に応じ、この有識者会議で引き続き議論を行い、策定に反映させる必要があるか否かを検討するということでちょっと引き取る形にさせていただいております。「引き続き」と書いておりますが、いずれにせよ、継続的にずっと議論ということではもちろんなくて、そういう追加の議論を行う必要があるかというのを必要に応じて判断する、ということかと考えておりまして、そのように背景説明は記載いたしました。

1-2④は、機関投資家や海外投資家の比率も踏まえてということですが、議決権の電子行使の環境づくりとか英訳を進めるべきであると書いております。

4ページに移りまして、1-2マル5は、実質的な株主であることが確認できた、そういう信託銀行名義などになっておられる実質的な株主については出席を認めるべきであると。原則1-3は、資本政策の動向というのは株主に非常に大きな影響を与える事項であるということを踏まえまして、中長期の資本政策の基本方針を策定、公表すべきである。

次が、飛びまして、その後は、買収、いわゆる買収防衛策ということで、買収防衛の効果をもたらすことを企図してとられる方策について記載しております。下のほうの2行ですが、その必要性・合理性をしっかりと検討し、適正な手続を確保、十分に株主に説明を行うべきである。

4ページから5ページにわたりましては、株主の利益を害する可能性のある資本政策ということで、大規模な希釈化をもたらす資本政策などについて、これも締めくくりのところだけご紹介しますが、適正手続を確保するとともに、十分株主に説明を行うべきである。それから、関連当事者間の取引ですね。これも締めくくりの下から3行をごらんいただきますと、あらかじめ取引の重要性とか性質に応じて手続を定めておいて、その手続の枠組みを開示する。それを踏まえて適切な監視、承認などを行うべきであると書いてあります。

6ページが第2章でございまして、株主以外のステークホルダーとの協働でございます。ここは基本原則2には、上場会社は、持続的な成長、中長期的な企業価値の創出というのが従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとするさまざまなステークホルダーの貢献の結果であるということを認識して、円滑な協働に努めるべきである。それから、こういったステークホルダーの権利・立場や健全なビジネス倫理を尊重する企業文化・風土の醸成ということを記載しております。

6ページの「考え方」は割愛させていただきますが、7ページをおめくりいただきまして、原則2-1は、いわゆる企業の行動準則の策定、それから、策定したものが事業活動の第一線まで広く浸透し、遵守されるようにすべきであるという記載になっています。

原則2-2はいわゆるサステナビリティー課題でございます。こうした課題につきましては適切な対応を行うべきであると書きまして、補充原則のほうでは2つに分けて記載しています。

まず、サステナビリティーをめぐる課題の対応は、レピュテーションその他の観点から、企業にとって今や重要なリスク管理の一部であると。これはご異論のないところだと思っていますけれども、それを踏まえて的確に対処するというのが1つ目。

もう一つは、こうした課題に対しては非常に関心が高まりつつあるということも勘案して、リスク管理の一部であるというのをちょっと超える形での対応、積極的・能動的な取り組みについて、取り組むよう検討すべきであると。取り組むべきであるというのではなくて、取り組むよう検討すべきであるというちょっとワンクッション置いた形で記載をしています。

原則2-3は女性の活用を含むダイバーシティー確保を推進すべきである。

原則2-4につきましては内部通報に関する体制整備等でございます。

9ページになりますが、第3章は「適切な情報開示と透明性の確保」ということでございます。

まず、左側の基本原則3をごらんいただきますと、最初のパラグラフに書いてありますことは、法令等に基づく開示を適切に行うというのは当然のことであるとともに、そうした開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきであると。それから、「その際」というふうに文章が続いておりますが、情報というのは建設的な対話を行う上のベースであるということも踏まえて、情報として有用性の高いものとなるようにすべきであるという記載をしております。

「考え方」につきましては、ちょうど真ん中のところに「さらに」という表現を入れております。我が国の情報開示、これはいわゆる計表などにつきましては非常に比較可能性その他の面ですぐれているというふうな見方ができるかと思いますが、ただ、一方で、定性的な説明などにつきましてはひな形的な記述とかが散見されるということで、情報として付加価値に乏しい場合が少なくないという指摘があると。これについては有益な記載になるように、積極的に開示を行う必要があるという考え方を示しております。

右側の10ページでございますが、原則3-1は情報開示の充実ということで、ここに記載しておりますのはどちらかというとガバナンス体制、ガバナンスを実現するという観点からのものだけをちょっと抜き出して一つの箱にまとめているわけでございます。

以下の事項について開示し、主体的な情報発信を行うべきであるということで、(ⅰ)から(v)までございますが、経営理念、経営戦略、中長期的な経営計画、それから、このコードの原則を踏まえた考え方と基本方針、それから、報酬の決定の方針と手続、それから、選任・指名を行うに当たっての方針と手続、(v)は、具体的に特定の方を総会に提案する場合の選任・指名の理由を記載しております。

3-2は、外部会計監査人、いわゆる監査法人等でございますが、これは株主等に対して責務を負っているということを認識した上で、外部会計監査人と会社側は適切な対応を行うべきである。補充原則3-2マル1に6つほど記載しております。

まず、この監査法人等の選定評価の基準の策定、それから、監査法人等が独立性、専門性を有していることの確認、11ページに移りますが、高品質な監査を可能とする十分な監査時間、(iv)でございますけれども、CEOやCFO等に対するアクセス、(v)は、この監査法人等と監査役、それから、内部監査部門、社外取締役との連携、最後に(ⅵ)は、監査法人等が不正や不備を発見した場合の会社側の対応体制の確立ということであります。

12ページが「取締役会等の責務」でございまして、ここは後半部分はまだ空欄になっております。

「基本原則」に書いておりますのは、前回、前々回、座長からおまとめのご発言があったことを基本に記載しておりまして、上場会社の取締役会は株主に対する受託者責任等を踏まえ、持続的成長と中長期の企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、(1)、(2)、(3)、これをはじめとする役割・機能を適切に果たすべきであると書いてございます。

この後の各原則は、この(1)、(2)、(3)をそれぞれを発展させる形で3つのボックスを設けて記載をしております。

「基本原則」の続きのところでございますが、ただ、いずれにしましても、これらの役割・機能はその会社設計のいかんにかかわらず、どの機関設計をとる場合にも等しく適切に発揮されるべきであると記載しております。

13ページでございますが、今ちょっと申し上げましたところですが、取締役会の機能を3つに分けた上で、もう少し細かい具体的なものを記載しています。

原則4-1になりますが、取締役会は、会社の目指すところを確立し、戦略的な方向づけを行うことを主要な役割の一つと捉えた上で、経営戦略、中長期の経営計画について積極的に議論を行うべきであり、具体的な業務執行の決定を行うに当たってはこの戦略的な方向づけを踏まえるべきである。

4-1マル2になりますけれども、こちらにございますのは、中長期の経営計画について、これもその実現に向けて最善の努力を行うべきである。目標未達に終わった場合には、それをしっかり分析して説明を行うとともに、翌期以降の計画に反映させるべきである。

4-1マル3ですけれども、この会社の目指すところや経営戦略を踏まえて、後継者計画を承認、モニタリングすべきである。

4-2でございますが、これはリスクテイクをサポートするようなそういった役割でございます。これは箱の中の2行目からごらんいただきますと、経営陣からの健全な起業家精神に基づく提案を歓迎しつつ、そういう提案が出てきた場合には、独立した客観的な立場で多角的に十分検討して、さらにそれを承認した後には、その提案が実行される際に経営陣の迅速・果断な意思決定をサポートすべきである。その下、それから補充原則には、経営陣の報酬について記載がございます。中長期的な業績などと連動する部分の割合を適切に設定すべきである。

14ページが取締役会の機能の3つ目のくくりでございますが、いわゆるモニタリングや監視に分類されるものでございます。これは2行目からになりますが、適切に会社の業績等の評価を行い、当該評価を踏まえて、その必要がある場合には経営陣幹部の解任及び後任者の選任を行うべき、その下には、情報開示のモニタリング、内部統制についての言及がございます。

それから、原則4-4は、ボードの一部というふうなとらえ方もなされることのある監査役会の機能について記載しております。箱の中になりますけれども、監査役、監査役会は、取締役の職務の執行の監査等々の機能を発揮するに当たって、株主に対する受託者責任等を踏まえ、独立した客観的な立場で適切な判断を行うと。その監査役会に期待される重要な役割には、業務監査・会計監査などのいわば「守りの機能」が含まれますけれども、これを十分に発揮するためには、守備範囲を過度に狭くとらえるということではなく、能動的・積極的に権限を行使する、取締役会、経営陣に対して適切に意見を述べるべきである。

「補充原則」のところには、監査役会について、少し敷衍した上で分析をして記載しております。半数以上が社外監査役、それから、常勤監査役を置くということが法定されておりますので、これを踏まえて、その前者に由来する強固な独立性と、後者が保有する高度な情報収集力を有機的に組み合わせて実効性を高めるべきである。また、監査役会はこういう機能を持つものでございますので、社外取締役はこの監査役会との連携を確保するということで、情報収集力の強化に努めるべきであると記載をしています。

16ページになります。「株主との対話」でございます。基本原則5に記載しております内容は、2行目からごらんいただきますと、経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、この対話を通じて資本提供者の声に耳を傾け、懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主にわかりやすい形で明確に説明し、理解を得る努力を行う。その上で、株主を含むステークホルダーの立場に関してバランスのとれた理解と対応に努めるべきであると記載してございます。

考え方のところに書いてございますのは、上場会社側にとっても、4行目のところ、「考え方」の4行目のところでございますが、資本提供者である株主と平素から対話を行うということは、経営の正統性の基盤を強化して、成長に向けた取り組みに邁進する上で極めて有益であるという考え方を記載しています。

具体的にはということになろうかと思いますが、最後の17ページでございます。原則5-1でございますが、これは具体的に株主から面談の申し込みがあった場合には、合理的な範囲で前向きに対応すべきである。それから、この対話を促進するための体制整備・取り組みについて方針を決定・承認し、公表すべきであると記載しております。

5-1マル1は、これは実際に誰が面談に対応するかということについての記載であります。5-1マル2は、この建設的な対話を促進するためにあらかじめ公表しておく方針には、以下の点を記載すべきであると。1点目が、対話を統括し、目配りを行う者の指定、2番目が有機的な社内の連携、3番目は個別面談以外のIR活動等の充実、4点目が把握した意見のフィードバック。

5-1マル3のところは実質株主の把握に関する記述でございます。

最後になりましたが、5-2ですけれども、経営戦略や中長期の経営計画の策定・公表。これを策定・公表すべきであるというのは原則3-1に記載がございますが、その策定・公表に当たっては、中長期的な収益計画、資本政策の基本方針等を示す。収益力・資本効率などに関する目標を提示して、その実現のために具体的に何を実行するのかについて、わかりやすく説明を行うべきである、こういう記載になってございます。

私からのご説明は以上でございます。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

それでは、皆様からご意見をお伺いする討議に移らせていただきたいと思いますが、本日、海外出張等でやむを得ず欠席されているメンバーの方が何人かおられますが、そのうち、キャロンメンバーと森メンバーからメモの提出がございましたので、席上に配付、意見書等の提出でございましたので席上配付させていただいております。

ただし、メンバーの皆様方には、昨日、事前送付させていただきましたので、いつものことですが、この場での読み上げ等は省略させていただきますが、これらの意見書の内容も踏まえてご議論いただければというふうに考えます。

それで、議論の進め方ですが、どこからでもいいとするとちょっと議論が発散してしまいかねないので、ただし、各章ごとにやるというのも関連したご意見等が出しにくいかもしれませんので、大きく前半、後半ぐらいに分けて議論をさせていただきたいというふうに思います。

それで、まず、前半は第1章と第2章ですね。ですから、8ページまでですか。8ページまでを前半ということで、それから9ページ以降を後半というふうに分けさせていただいて、まずは前半に関して、前半と後半に両方にかかわる意見ももしかしたらあるかもしれませんが、一応、前半部分に関する意見をまず出していただいて、その後、後半について議論をするという進め方にさせていただきたいというふうに思います。そういうことでどうかご協力、よろしくお願いいたします。

それでは、まず、第1章と第2章、前半部分につきまして、ご自由にご意見、ご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。じゃあ、中村メンバー、お願いします。

○中村メンバー

中村でございます。私は企業実務の観点から、3ページの背景説明のところについて、若干意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、基準日から株主総会開催日までの期間ができるだけ短いことが望ましいということなんですけれども、英国と日本では法制の違いがございまして、日本の場合には、招集通知の発送等も、手続の瑕疵があってはいけないということで、基準日時点の株主として特定された方に対して招集通知を発送してお渡しをするという手順が必要かと思います。

そうなってまいりますと、基準日から数えまして、通常でありますと、例えば私どもの会社ですと20日ぐらいたってから、基準日時点の株主に関する情報を株主名簿管理人からいただくような形になっておりまして、その情報に基づいて、株主総会に関する書類を封入して発送しておりますと、おおむね1カ月かそれ以上の時間がかかるというふうに考えております。

この点については、今後のパブリックコメント等でのご意見を踏まえるということでありますが、とりまとめに当たってはそういうところを配慮いただきたいなというところが1点目でございます。

2点目、細かいことですが、株主総会開催日を7月と書いてございますけれども、これはあくまでも3月期末の会社についてはというところでございますので、必ずしも7月ということではないのではないかと思います。

そのことも含めまして、先般も申し上げたことなんですけれども、今までは決算日と基準日から3カ月以内に株主総会を開催するということで、決算日と基準日をあわせる運用を行っており、通常は、監査について適正意見をいただくことを前提に進んでいるわけですけれども、可能性としては不適正意見をいただくということもあるわけでございまして、その場合には決算書類を修正のうえ株主総会で承認をいただく必要があります。

そうなってまいりますと、そういう場合でもなお決算日と基準日が異なっていていいのかどうかという観点が企業法務としては気になるところでございまして、そういう状況のときに、例えば3カ月を超えて決算が確定しないというようなことになりますと、税務の観点とか、そういったところでも問題が出てこないのかなど、いろいろな法的な論点を今後整理いただいた上で、決めていただきたいと思います。

以上です。

○池尾座長

ありがとうございました。

それでは、ほかに。内田メンバー、お願いします。

○内田メンバー

油布課長が冒頭ご説明された点について、多分、序文に書かれるのではないかと思いますが、ソフト・ローの意味をよく書いていただきたいと思います。コンプライ・オア・エクスプレインについても、ルールベースに慣れてしまっていてその意義を解釈できない企業があるのではないかと思いますので、よく説明していただきたいと思います。「何々するべき」という表現が沢山ありますが、株主さんサイドでも、コンプライ・オア・エクスプレインの意味が分からず、企業がコンプライでなくエクスプレインを選択した場合に、説明で逃げているという印象を持たれる方もおられると考えられますので、ですから、その辺について、序文のところでわかりやすくしっかり書き込んでいただきたいと思います。

また、原則の中に取締役会の役割というのが多々書いてありますが、例えば原則の1-5や1-6など、監査役会設置会社においては、ボードとして、取締役会のみならず監査役会も役割を担う部分があるのではないかと思います。だから、取締役会がそういうふうにやるというところに加えて、私も会社法を全部読み込んでいるわけではないので、どこが該当するか事細かには見ておりませんが、そうした点を見ていただければと思います。以上が全体についてです。

各論では、4ページ目の実質的な株主であることが確認できた場合にはその出席を認めるというところですが、実務面でいろいろな企業から懸念が寄せられています。実質株主であることを確認する手続が明確でなく、総会に関して実務面で混乱が生じるおそれがあるのではないかという懸念が表明されています。例えば信託会社からの委任状で確認するという方法があろうかと思われますが、これも一つの便宜的な方法であって、これが厳格に認められる方法なのかどうか、判断に迷いがあるところです。企業サイドからすれば、中長期で保有していただける機関投資家であれば、やはり名義そのものも変えていただくというのが本来であり、そうしていただければ対応しやすいというのが率直な意見として出ています。なぜそういうことを懸念しているかというと、株主でない方が決議に参加すると、厳密には会社法で決議の取り消し事由に当たってしまうということがあります。そのため、各企業とも、総会のときに議決権を持つ株主であるかどうかを入り口でかなりきっちり確認しています。だから、そういう点も踏まえて確認する手続をある程度決めないと、企業としてはリスクをどうするのかという問題になりますので、配慮いただきたいということです。

以上です。

○池尾座長

ありがとうございました。

それでは、武井さん、お願いします。

○武井メンバー

ありがとうございます。最初にご質問なのですが、1-1マル2です。この少数株主のところで、この箇所はOECD原則にも書かれているから言及されているのだと思いますが、日本においてここで書かれてあります「権利行使の確保に課題や懸念が生じやすいので、十分に配慮」というのは、例えば具体的にどういう話が想定されているのか、教えていただけませんでしょうか。

○油布企業開示課長

これというふうにちょっと特定的に申し上げるのがいいのかどうかわかりませんが、時々お伺いする話としては、この手の特にプロキシ・ファイトにつながるような観点から、株主名簿の閲覧、提出を求める場合に、当然そういう権利はあるわけですけれども、会社側のほうでなかなか対応が速やかに行われない、名簿を開示しないというような対応がずっと続く状況の中で、もう株主総会の日が来てしまうというような場合があるというふうなお話は伺ったことがあります。

ただ、特定に、そのことのみを念頭に置いて書いたわけではございませんで、十分に配慮を行うと、一般規則として書いているということです。

○武井メンバー

ありがとうございます。会社法の中でやっている話を超えているわけではないということですね、分かりました。

あと、コメントなのですが、まず、先ほど内田メンバーからもございました1-2マル5です。実質的な株主であるかが確認できた場合だけで総会出席を認めていいかというところです。総会への出席という「出席」という言葉を使うと、法的には出席株主数にカウントされて議決権行使をするという話だと思います。そもそも議決権行使も質疑もしないで単に見学なり傍聴するという形で総会に出る実務はあるのですが、ここで出席と書いている以上は、そうした傍聴とかでは無く、議決権行使をする前提だという理解でお話をいたします。

先ほど内田メンバーからのお話もございましたとおり、議決権行使まで行うとなりますと、株主名簿のどの名義のどの議決権を消さないといけないのかを処理しないと、議決権のダブル行使が生じてしまってかなり混乱するということになります。そういったことを避けるための一つの案は、この「実質的な株主であることが確認できた場合」という箇所を、その当該総会で議決権行使できる株主であることが確認できた場合と直していただくのが一案です。

もしくは「認めるべきである」というふうに書ききるのがきついのだとすると、信託銀行名義で株式を保有する機関投資家等から出席の要請があった場合について、その出席を認める要件等について検討すべきである、とする案もあります。

出席の希望があったときにどういうふうにしますかという取り扱いを会社のほうで決めておかないと、法的な総会の性格からして、混乱して回らないと思います。少なくともその取り扱いは決めてくれというふうにするとか、もしくは議決権行使ができることが確認できた場合というふうにするとか、いろいろな修文があり得ると思いました。これが1-2マル5です。

次に第2章ですが、第2章は「株主以外のステークホルダーとの円滑な協働」という表題で、外に発信していくべきすごくいいこと、重要なことが書いてあると思うのです。ただ印象論となりますが、この「株主以外のステークホルダーとの円滑な協働」の中で、原則箇所が最初に企業行動準則で始まっていて、その後、サステナビリティーとかダイバーシティーとかあるんですけども、企業行動準則というと、若干、マイナスを防ぐガバナンスとして、守りのガバナンス的な色彩がぽんと最初に出ている印象を持ちました。なのでこの原則2-1の前にさらに、そもそもどうやって中長期的な企業価値の向上を図るのかというその礎となる経営理念をつくってくださいという、そういったプラスを伸ばす話を最初に2-1で書いて、それから、2-2の形で企業行動準則というのを書いていったほうが、攻めのガバナンスというか、中長期的な企業価値向上という話に資するのではないかという気がしました。

文例としてはたとえば、「上場会社は社会の公器としての役割を自覚し、ステークホルダー及び社会の価値の創出をいかに行うのかの経営理念を、中長期的な企業価値行動の礎として策定するべきである」といった感じです。経営理念をつくりましょうという形で最初に受けて、それから各論の企業行動準則とかを書いていったほうがスムーズであると思ったというコメントです。

あと2章の絡みで、2-4の内部通報なんですけども、これを書く、書かないは決めていただければいいんですけども、もし書くとなったとしても場所がこの2章なのかなという気がちょっとしました。多分これは従業員からの情報収集ということもあって2-4に書かれていると思うのですが、この第2章はいろんなステークホルダーとか、特に従業員とかの利害も考えましょうという大きな話なのだと思い、従業員の利害を考えるということで書いてある原則が内部通報の話なのですかという印象がある気がしました。内部通報はどちらかというと第4章とかの取締役会とかの実効性、今日のペーパーではマルPになっている箇所だと思いますが、そこに内部統制の一環として各論として入れ込んだほうが場所として良いのじゃないかと思いました。

以上です。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

じゃあ、小口さん。

○小口メンバー

ありがとうございます。先ほどから、1-2マル5の実質株主の株主総会出席の話が出ていましたので、実質株主の立場から、情報提供ということになるかもしれませんが、申し上げたいと思います。

普通、信託名義で保有している機関投資家というのは議決権代理行使という形で、信託銀行経由で情報を受け、それで、1-2④に書いてあるような、例えば電子行使プラットフォームなどを使って行使していますので、自分が議決権行使をしているという意識は十分あり、行使する数もわかっています。

先ほど出ていた話で、企業さんから見えないというのは信託銀行から先が見えないということだと思うのですけども、ここで信託銀行の先を少し限定できるように書くとすると、信託銀行名義で株式を保有する機関投資家で、通常、議決権代理行使を行っている者が、代理行使ではなくて、実際に総会で議決権行使をしたいという場合については認めるという、そういうことではないかと思っています。

具体的にどうやって実質株主を特定するかについては、多分キーは信託銀行にあると思っています。というのは信託銀行は代理行使先をわかっていますので。ただ、実際は匿名性から開示していないということだとは思うので、名義株主から情報を受け取った実質株主が、自分たちはこういう形で議決権代理行使してますよという、画面のプリントアウトのようなもので代替できるのであれば、それは実務的には可能だと思います。グローバルなブロードリッジのような電子プラットフォームを見ていますと、代理行使しない場合は、連絡したら、その分を代理行使から落として、システムとしては当日総会出席できるようになっていまして、以前、具体的にどうしたらいいのか聞いたことがあるのですが、さあ?と言われたことがあり、箱はあるのですが、実際にはワークしていないのが現状だと理解しています。

細々申し上げましたが、申し上げたかったのは、実際に議決権を代理行使している側からすると、その事実をちゃんとお伝えすることで、実務的な負荷はかかるとは思うのですが、代理行使ではなくて、総会当日に実際に議決権行使させて頂くことが可能になるかなというのが1点目です。

それから、先ほどご指摘のありました、名義を機関投資家名に変えるという点ですが、なぜ信託銀行名で持っているかといえば、分散投資をしている機関投資家は、いろんな銘柄を数多く持っているので、効率性から信託名義でまとめて持っているということが前提としてあります。個別名義で持つということは、かなり大量に持っていて、言い方は難しいんですけど、例えばヘッジファンドとか、そういったところはプライムブローカーなどを使って保有しているケースもあるので、その場合は個別になるのです。ここでのポイントは、分散投資で長期投資しているような機関投資家が、通常は代理行使をするのだけれども、その中で興味があり実際に総会で議決権を行使したいといったときには出席できるような仕組みをつくっていただけたらということだと思いますので、それを踏まえて、この1-2マル5は書いていただけたらなと思います。

以上です。

○池尾座長

それでは、冨山メンバー、お願いします。

○冨山メンバー

今の関連なんですけど、私はいわゆる盛り上がる株主総会って何度も経験していまして、要は再生状態になっちゃって、どうなるだろうみたいな。盛り上がる総会のとき、多分これ、そういうときが一番大事なんだと思うんですけど、そういう状況って、それこそ実際、毎回大変だったのは、そもそも定足数を満たすことだけでも大変で、要はすごく株主の移動が激しくなるんですよね。

そういった意味合いで言うと、多分こういう状況って、大事なことはいろいろ皆さん、メンバーからご議論がありました、やっぱりワーカブルな仕組みを考えることが大事だと思っていて、これ、結局、例えば定足数が足りなくて不成立とかになっちゃうと、真面目に議決権行使したい株主にも迷惑がかかるということになるので、いずれにせよ、とにかく立場AとかBとかというよりは、株主の立場とかそういうのじゃなくて、要はワーカブルなメカニズムを考えてもらうことがすごく大事なんだろうなとは思っております。

それから、あと、先ほどちょっと基本原則絡みのところで、コンプライ・オア・エクスプレインの議論が内田メンバーからありましたが、私もこのエクスプレインに関しては要はエクスプレイン、ちゃんとできるようなメカニズムがあったほうが私もいいと思っています。これはもうソフト・ローですから、とにかく。

その一方で、そのエクスプレインについてひな形的な対応がされちゃうと、エクスプレインの意味がなくなっちゃうので、要はこれ、やっぱり個別具体的な実情において自分たちはこうやっているんだということが大事な話でありますから、どっかの誰かさんがひな形をつくって、それに名前を入れれば何とかなるということになっちゃうと、これは全くソフト・ローとしては機能しなくなります。その要はエクスプレインの自由度は十分にあるような書き方にすると同時に、あくまでも個別企業の個別具体的な事情に応じて、なぜ自分たちは違う方法をとっているのかと、あるいは、むしろこういう方法をとるほうが自分たちの企業の実情に照らしたときに、長期、長期的、持続的な企業価値の向上には望ましいと思うから、こうしているんだというところをちゃんと個別具体的に説明してもらうということはやっぱりそれは要求したほうがいいわけで。

前回申し上げたとおり、上場企業の経営者たる者がそれを説明できないとしたら、それはもう私に言わせれば上場をやめたほうがいいです、これ、はっきり言って。私はそう思っているので、そのぐらいのことはできる人間が当然トップをやっているはずですから、私はそういう、少なくともそこはすごく大事なポイントだと思っております。

以上です。

○池尾座長

どうもありがとうございます。

神田先生、お願いします。

○神田メンバー

ありがとうございます。ソフト・ローだという最初の事務局のご説明で、あまり細かいことは言わないほうがいいのかもしれないのですけれども、そして、私自身もよくわからないところがあるのですけども、気がついたことを、せっかくですから、発言させていただきます。

第1章です。大事なところかと思いますが、株主の権利の「尊重」という日本語はちょっと弱いのではないかと思います。

次に、原則1-1、最初に出てくる原則なので、まず目につくのですけれども、補充原則の3つの並び具合が原則1-1との関係で、ちょっとおさまりがよくないように思います。今の内容で間違っているということでは全然ないのですけれども。

まず、原則1-1について言いますと、上場会社は、株主の権利を十分に、「尊重」は私は弱いと思うのですけれども、それはともかくとして、そこに「株主総会における意思決定の権利をはじめとする」とあります。株主総会における意思決定の権利って何なのでしょうか。もしこれが議決権を意味するなら、議決権と書いたほうがいいと思います。あるいは、その周りにある、例えば株主提案権というのがあるのですけれども、そういうものも含むのでしたら、わかるように書いたほうがいいと思います。

その辺の話との関係で、補充原則が、まず並び順はマル1マル3マル2の順かなと思います。先ほどちょっとご議論がありました1-1マル2が何を意味しているかにもよるのかなと思います。

特にマル1マル3は、場合によっては次の原則1-2の話にもなりかねないので、ちょっと私も今すぐこうしたほうがいいと言う自信が全くないのですけれども、ちょっとご検討いただければと思います。

それから、原則1-2の補充原則1-2マル1で、「株主総会に係る情報」というのはちょっとわかりにくい。株主総会に関する情報なのか、株主総会において議決権行使が適切にやれるようにいろいろな情報をという意味なのか、その後を読むと後者の意味だと思うのですけれども。

それから、ここで言うのがいいかどうかわからないのですけれども、1-2マル3に、「正確な情報提供等」、この「等」という言葉がたびたび登場して、特に今日の後半部分は、原則の本文にも出てくるのですね。

これ、英語に直すとき、大変困ります。法令なんかではetcとか訳しているのですけども、such asで書ける場合は「等」を使ってもいいと思うのですけれども、後ろのほうの原則でまた言うつもりですけれども、訳せないことがありますので、etcを使うのは避けることを個人的には希望します。「等」を使わずに済む場合は、日本語として使わないようにしたほうがいいと思います。

それから、ちょっと信託銀行の点は最後に申し上げますが、細かいことを先に、恐縮ですが、こちらは英語にするときには困らないのですけれども、「当該」という日本語がたくさん出てきます。後のほうでもあります。例えば5ページの1-7。

これは法律をやっている人間としてはしょっちゅう使いますので違和感はないのですけど、日常用語としてはどうかなと思って、スチュワードシップ・コードを見たら使われていますので、使うこと自体は私は個人的にはいいと思うのですけど、もう少し減らしてもいいというか、使わずに済む部分はソフト・ローですから使わずに済むように思います。

それから、長くなって恐縮ですけれども、第2章は、これも題名のところで、武井先生がおっしゃったこととちょっと関連して、「円滑な協働」というのは苦心の作かもしれませんけれども、もうちょっといい日本語がないかなと思います。

それから、基本原則2の末尾とか、次のページあたり、7ページあたりで、これは表記の問題ですけど、「するべき」か、「すべき」か、表記の統一をしたほうがいいと思います。

それで、以上は細かいことなのですけれども、信託銀行の点について、何人かの方からご発言がありましたので、私も感想を述べさせていただきたいと思います。

私のコメントは、1-2マル5については、ちょっとご検討いただいて、実務的にどういうイメージなのかをご検討いただいて、その上で書いたほうがいいかなと思います。

なぜそう思うかということなのですけれども、1つは、ここで言っていることは、例えば信託銀行Aとしますと、Aが株主名簿に株主として記録されているというときに、その実質株主であるBとかCとかDとか、機関投資家ですけれども、いう人が、株主として議決権行使しようとするという話なのかどうかということなのですね。

事の本質から言うと、多分これは小口さんがおっしゃったことだと思いますが、本来Bは、機関投資家からすれば自分が株主なので、それをいわば信託銀行に代理行使してもらっているというイメージだと思うのですけれども、法律的には逆なのです。

ある株式について株主名簿にAが株主と書いてあるときに、そうでないBという人に会社が議決権行使を認めるということは不可能ではありません。会社法は株主名簿に記載のない人に議決権を行使させていけないとは言っていません。ですけれども、それをするためには、Bが株主であって、Aは名簿上の株主だけど、株式を持ってないということがわからない限り、それをやるわけにはいかないです、会社として。これは会社法に細かいルールがあるのですけれども。

それで、これはアメリカとか外国もそうだと思うのですけれども、現在の振替制度というのですか、振替株式を前提に考えますと、3月31日を基準日とする場合でいうと、3月31日現在の振替口座簿に載っている人が総株主通知といって会社に一斉に通知されます。それによって株主名簿が書き換えられるわけですけれども、ある株式についてAという人が株主名簿に載った、それは信託銀行です、とします。

そこで、ここ(1-2マル5)で言っていることはどう読むかということなのですけど、私の理解を先に申し上げますと、そのときに会社側が、Bという人が実質株主なのだから出席しますと言ってきたときに、Bを株主として取り扱うというのは相当ハードルが高いと思います、現在の法制度のもとでは。これはアメリカでも同じです。

それで、ちょっといわば主客逆となるのですけれども、法的には、Aの代理人として、株主総会において、Bが代理出席しかつ代理行使する、つまり議決権の代理行使をするというのが、実践的に考えられる一つの解決だと思います。

ただ、ここであまり細かい話をしてもどうかと思いますので、ちょっと実務に詳しい方にご検討いただいて、言おうとしていることは非常に結構なことですので、それが正確にわかるように書いていただけるといいと思います。

長くなってすみません。以上です。

○池尾座長

ありがとうございました。

前半部分に関しまして、ほかにご意見ございませんでしょうか。

そういうことでしたら、また前半に戻っていただいて結構だということで、後半についてもご意見をいただきたいと思います。

3章以下の部分に関しまして、現在時点でのたたき台に関して、ご意見等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

じゃあ、太田メンバー。

○太田メンバー

5点申し上げたいと思います。

まず、原則3-1、10ページです。情報開示の充実に関してなんですが、内田メンバーからもご指摘があったところとも関係すると思いますが、もう少し正確に記述をすべきではないかというのが主張のポイントです。

理由は、例えば(iii)、(iv)、(v)あたりが特に気になるところなんですが、取締役及び監査役の選任だとか、あるいは、報酬の決定、これはすべからく株主総会の決議事項であることはもう間違いがないと思いますが、特に監査役の報酬決定につきましては、ご存知のとおり、監査役の独立性が担保されておりますね、387条で。あるいは、監査役の指名については343条で同じく同意権が前提となっています。

こういうたてつけがありますので、その株主総会の決議の範囲での決定としても、全て取締役会が決定するかのような表現になっているように見えてしまいますので、この表現は見直していただいたほうが的確になるんじゃないかという点が1点目の指摘です。

2点目、目を下のほうに転じていただきますと、原則3-2外部会計監査人の項目です。森メンバーからも出ていた意見と一部重複いたしますが、今年の6月に会社法の改正が成立しているわけですけれども、外部会計監査人のその候補者の決定権、議案の提案権と言ったほうが正確ですが、これは監査役会に移ると規定されております。したがって、その決定の責任を負わない取締役会が外部会計の監査人の候補者を適切に選定し、評価するための基準をつくるという、この表現には違和感があります。

むしろ、大事なこと、求められていることは、監査役会が決定、適切に決定権を行使するために、取締役会を含めた執行側が監査役会の決定権行使のための情報提供等、適切な協力をすべきだということを記載するほうが法の趣旨にも適いますし、これから施行規則が定まっていくと思いますが、そのこととも符合すると思います。

3点目なんですが、基本原則4、13ページです。12ページはペンディングというか、総論ですので、ここで先ほど内田メンバーからも、ご指摘あったところとも連動するかと思ったところなんですが、取締役会と監査役会の機能の連携というか分担のありよう、あるいは、協働性のあり方ということに関してなんですが、先般、小口メンバーも言われておりましたとおり、会社法上は3連携の機関設計は全て等価値であるということは論をまたないと思います。しかしながら、繰り返しになりますが、東証の上場企業の98%の企業が採用しているのは、現時点においては監査役会設置会社方式であるという我が国の企業統治の実態、これをやはり正確に記述をすることによって、相当ここの記述が変わるんじゃないかと思います。

日本型の取締役会の責任、責務を述べる場合ですけれども、むしろ、今後提示される考え方ですね、12ページにある、現在、ペンディングとされている部分において、我が国の企業統治、これは実際、スーパーバイザリーボードというのは取締役会と監査役会であること、この両者が協働で責務を果たしているということを明記すれば、相当ここはクリアになるんじゃないかというふうに思います。

この2点に対して、この12ページ以降のところに書くのか、あるいは、ほかのところというと、やはり序文において、実態的に今、ガバナンスというのはそういう形で日本においてはされているということを記載することを検討していただけないかというのがお願いであります。

4点目、補充原則の4-4マル1、14ページです。ここについて囲みが書いてあります。これまで述べてきた、あるいは、意見を申し上げてきたことを相当きちっととらえていただいたなということで、まずお礼を申し上げたいと思いますが、その4-4マル1のこの書きぶりが少し気に入らないのです。上の4行はよろしいんですね。「監査役会は」から「後者が保有する高度な情報」云々とを「有機的に組み合わせて実効性を高めるべきである」まではいいんですが、この「また」以降の4行ですね。

むしろ、「社外取締役は」というふうに、社外取締役が主語になっている記述になっていますが、この項目は監査役会に関する項目を記載するところというふうに理解をすると、「監査役会が社外取締役と連携をし、非業務執行役員としての責任を果たすべき」というふうに主語を変えていただいたほうが、ここのページにはフィットするのではないかということであります。

5点目、これが最後ですが、4-4マル2のところですが……。今、このペンディングになっているところですね、4-4マル2があるかなと、今、形、私にはもう、そう映っているものですから、そう申し上げたんですが、このペンディングになっているその追加項目記載として、森委員も言われていますけれども、その監査環境の整備、この項目をぜひ1項目立てていただきたいと思います。

特に監査補助使用人の充実の問題というのは日常的な監査活動の実効性を上げるためには非常に重要な項目であると思っておりますし、あわせて、会計監査人、あるいは、内部監査部門、いわゆる三様監査と言われているこの連携や情報の共有の必要性、これをぜひ、このペンディングの15ページに、入れていただけないかということです。

以上、5点であります。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

じゃあ、堀江メンバー、お願いします。

○堀江メンバー

今の太田さんの意見に関連し、社外取締役に関する記載についてコメントさせて頂きます。マネージングボード型が主である監査役設置会社と、モニタリング型を基本とした委員会等設置会社などで社外取締役の役割が違うことは認識していますが、社外取締役の役割をまずきちっと外部に説明することを求めるべきではないかなと思います。

社外取締役の役割を外部に説明した上で、社外取締役の方が与えられた役割を理解し、その職務執行に当たることは当然であり、社外取締役の役割を明記して頂くことが重要と考えます。また大場さんもおっしゃっていたと思いますが、株主から見て、株主の意見を取締役会もしくは監査役会に反映して意見を言ってもらうためには、株主に対して誰が窓口になっていくのかがクリアになっている必要があると思います。

社外取締役の役割は、いろんな形があるとは思いますが、一つの重要な役割は、株主を含む社外のステークホルダーの代表として、ステークホルダーと対話をするという役割が一つあると思います。さらに株主からの要請に応じ、株主等の意見を取締役会にフィードバックする役割は、この会議の中でもかなり明確にいろんな方がおっしゃっていたと思います。以上の点を何らかの形で書いていただきたいというのが意見でございます。

以上でございます。

○池尾座長

神田先生。

○神田メンバー

ありがとうございます。9ページ以下についてちょっと気がついたことを申させていただきます。

9ページの基本原則3ですけども、先ほどちょっと申し上げた、細かいことで申しわけありません、2行目に「法令等」、4行目に「株主等」とあるのですけれども、こういうのは英語にすると困るので、この2つの「等」は私は要らないと思います。ご検討いただければと思います。

同じようなことで言いますと、10ページの、全部は時間の関係で省略しますけれども、3-2の外部会計監査人のところに「株主等」とあるのですけれども、こっちは要るのですよね。しかし、such asで書けないので、おそらく英語で書くとしたら、shareholders and other investorsだと思うので、株主及び他の投資家とか、あるいは投資家と書くか、ちょっとご検討いただきたいと思います。とにかく「等」という表現はできるだけ残さないほうがいいと思います。

それで、12ページですが、困ったことにタイトルに「取締役会等」と。これもまさかresponsibility of the board of directors, etc.とは書けません。そう書けないとすると、これは2とおりあると思います。「取締役会及び監査役会の責務」と書くか、「取締役会の責務」とだけ書いておいて、中でもちろん監査役会にも触れるということかと思います。

基本原則4ですけれども、これはソフト・ローだということでいいかとは思うのですけれども、やや現在の制度との関係で気になりますのは、(3)に「経営陣・取締役」とあるのですけれども、執行役という人がいる会社が若干ありますので、ちょっと執行役ということを一言入れておくかどうかですね。

それから、同じようなことで、下のほうに括弧書きで監査役会設置会社の中に、「その役割・機能の一部は監査役会が担うこととなる」と。これは後でもちょっと関係するのですけれども、監査役会なのか監査役なのかという問題があって、監査役という制度は独任制と称して、個々の監査役が行動することを予定しているものもありますし、もちろん監査役会としてすべきこともあるので、どう書くのかということがあるように思います。監査役及び監査役会と書く手もあるのですが、これは4-4でも出てきますので、また申し上げます。

それから、13ページの原則4-1以降ですが、まず、タイトルで「取締役会の機能」というのは私は弱過ぎると思います。これ、英語にするとfunctionになるとちょっとよくない。タイトルのほうは「責務」でresponsibilityではないかと思うのですけれども、推測でものを言っているのですけれども、いずれにしても、取締役会のせめて「役割」とか「責務」とかするほうがよさそうです。すぐ名案がないのに思いつきで発言していて大変申しわけないのですけれども、ちょっと「機能」では弱いと思います。

それから、1行目の「経営理念等」、これはsuch asで書けるので、「等」があってもいいかと思います。

それで、原則4-1の中身ですけれども、「重要な業務執行の決定を行うに当たっては」とあるのですけれども、今までの議論からしますと、「重要な業務執行の決定を行う場合には」という感じのような気がします。

と申しますのは、日本の多くの会社では重要な業務の意思決定をしていますので、実態としてはこれでいいのですけれども、これ、いわゆるマネジメントボードの場合の話になってしまうので、もし重要な業務執行の決定を委任しているような場合にはこれはないことになります。4-2と4-3は、モニタリングの話をしているのでいいのですが。ですから、実態としては「当たっては」で間違っているわけでは全然ないのですけれども、ロジカルなつながりとしては「場合には」ではないかと思います。

そして、4-4で、先ほど申し上げました「監査役(会)」というのが、日本語としてはいいのですけれども、ちょっともう少し、そのまま英語と日本語が対応するような日本語にしていただけるとありがたいと思います。

最後に16ページについてですけれども、まず、基本原則の5の3行目の「対話等」のこの「等」は要らないと思います。

それから、「資本提供者」という言葉と「株主」という言葉と、「株主を含むステークホルダー」という3つが出てくるのですけれども、「資本提供者」というのはわかりにくいですね。下の考え方を見ると、「エクイティ・ホルダー(資本提供者)」と書いてあって、ここではエクイティ・ホルダーを意味するのだとすれば、基本原則5の中の「資本提供者」は「株主」でいいと思います。あるいは、もっと広くキャピタル・サプライヤー、例えば社債権者とかも含むのであれば、またそれはそういうふうに書かなければいけませんけれども、ここは「株主」でいいように思います。

それから、最後の17ページについては、補充原則の5-1マル3のところ、ここはさっきの議決権行使の話とは違って、実質株主と対話しましょうという話なので、それはそれで、それをわかるように書いていただければと思います。先ほどの話はちょっとややこしいのですけども、こっちはそんなにややこしくない話だとは思いますので、わかるように書いていただければと思います。

以上です。

○池尾座長

ありがとうございました。

内田メンバー、お願いします。

○内田メンバー

幾つかの会社から意見が寄せられてきましたので、それも含めて、細かい点もありますが何点か述べさせていただきます。

まず、10ページ目の原則3-1の情報開示の充実で、(iv)で方針と手続を示した上で、さらに(v)で個々の理由まで示す必要はないのではないかという意見がありますので、申し上げます。

次に13ページ目の補充原則の4-1マル2に、中長期の経営計画も株主に対するコミットメントとあります。中計というのは多くの会社が発表していて、ある程度コミットメントという位置付けになっていると思われますが、長期となりますと例えば10年後の計画ということになり、コミットメントなのか疑問です。戦略ですとか、方針ですとか、ビジョン、目標というのはあろうかと思いますが、10年後の環境変化まで読み込んで数字をコミットするというのは、表現が強過ぎるという印象を受けます。

同じく13ページの4-1マル3の後継者計画の承認という点について、これは透明性を確保しようということが目的だと思いますが、そういうことであれば、考え方を示すということでもいいのではないかという意見が出ております。

また、同じ13ページ目の原則4-2に取締役会は「リスクテイクをサポートするような環境整備(説明責任の確保)を行うことを主要な役割の一つと捉え」とありますが、説明がわかりにくいという指摘があり、補足していただければと思います。

それから、14ページ目の原則4-4の監査役会の機能で、下から3行目に「『守りの機能』が含まれるが、当該機能を十二分に発揮するためには」と書いてありますが、守りの機能に限定された形が強くなっていると思います。この「当該機能を十二分に発揮するためには」は削除してもいいのではないか、あるいは「監査役として機能を十分に発揮する」といった文言として、守りの機能をことさら強調しなくてもいいのではないかと思います。

また、17ページ目の株主からの対話の申し込みについて、この会議の場でも議論があったと思いますが、いろいろな株主の方から対話の申し込みが殺到してどこまで対応するかが問題になりかねず、企業の負担もかなり増える可能性がありますので、歯止め的なものが必要と考えます。ちょうど、キャロンさんから出ている文言がいいと思いましたので、賛成意見として述べさせていただきます。

最後になりますが、17ページ目の一番下の5-1マル3の実質株主の把握に努めるべきという点について、各企業はコンサルタント会社に頼んで一生懸命把握に努めていますが、コンサルタント会社もおそらく信託銀行や個々のファンドにヒアリングで調査している状況で、その数字がどこまで正確かというのは実はよくわからないのが現状です。実際、我々もIR活動に行って、株主でないと思っていた方が実は株主だったということもあり、努力はしていても、正確にどこまでつかめているかわからないというのが実態です。ですから、そういうことで企業が「把握に努めるべき」であれば、やはり機関投資家の方にもそれに応じていただくということを、「出来る限り協力することが期待される」というよりも強目に表現していただいたほうがいいという印象を持ちました。

以上です。

○池尾座長

ありがとうございました。

それでは、冨山メンバー、お願いします。

○冨山メンバー

おおむね、各メンバーがおっしゃっていることと大きな相違はないんですが、先ほどの太田メンバーの関連で申し上げますと、これ、確かに日本の場合、3つの機関設計があるわけで、大半が監査役会設置会社ということも事実で、私も自分で役員、取締役をやっているのも監査役をやっているのもほとんど、過去全部、監査役会設置会社です。

それで、ただ、ここで大事なことは、1つは、要するに監査役会設置会社の中で、一般的によく機能していると言われている、ガバナンス的に、企業って、やっぱりそれなりの努力をしているわけです。要はまんまでやっているというよりは、むしろ極めて日本的改善的努力でよりよいプラクティスをつくってきた事実があるわけで、多分、それはすごく大事、そこはむしろ大事なポイントだと思うんですね。要するにこの制度だからいいというんではなくて。

一方で、3つの制度設計を日本は要は国権の最高機関である国会で承認をしているわけですから、要は国家としての選択の価値観としてはこの3つはイーブンなんですよね。優劣をつけてないわけであります。

したがって、もしその序文に何かを書き込むんであれば、私はそれは並列で扱うべきであって、要するに3つの機関設計があって、その3つの機関設計それぞれにちゃんとしたことをやっていきましょうというのが本来の筋であって、ことさら一つの制度だけをそこで取り上げるのは、それはやっぱり、くどいようですが、これは国権の最高機関たる国会で承認された法律に3つとも書いてあるわけですから、私はそうあるべきだというふうにまず思います。それが1点。それから、あと、ですから、書かないか、書くんだったら3つとも書くかという、そういうことになります。

それから、もう一つが、最後の5のところかな。5-1の絡みですが、実際、私ども、時々目撃するというか、時々はっと思うことがありまして、この株主との対話なんですが、現状、そういう意味でいうと、これ、多分この議論というのは幅広く3,000社を超える上場企業の議論ということで考えますと、必ずしも株主との対話、個別的な対話をあまりやってこなかった、あるいは、なれてない経営者の方であるとかIR担当者がいないではないです。

そのときに、時々はっとすることがあるのは、ややちょっとこれ、インサイダー的なことをしゃべっちゃってはいないかとか、要はわりとサービス精神が旺盛な人が、意外と日本人ってやっぱり親切なんで、ついつい、おいおい、これ言っちゃまずいだろうみたいなことをぽろっと言っちゃったり、要するにある種のオーバーディクロージャーリスクというのがやっぱりあるんですね。

もちろん対話は大事なんですが、これ、個別の株主と話しているときというのは株主一般とコミュニケーションをとっているわけではないので、当然、株主の株主平等原則の問題であるとか、要はインサイダーの問題というのは当然、これ、留意をすべきであって、これはもちろん、これ、5-1には大賛成なんですが、そこのちょっと留意というのをやっぱり促すということも同時にやっておいたほうが、この趣旨としては私はバランスがとれているのかなと思っております。

それから、あと、これも内田メンバーからありました5-1マル3の関連でちょっと申し上げますが、先ほどの話の繰り返しになっちゃいますが、某会社の株主総会のときに、要は定足数を確保するときに、あのとき、何やったかというと、今、東証の社長をやっておられる斉藤さんと私とで、多分ここが株を持っているだろうというところに片っ端から電話をかけまくって、御社が株を持っているかどうかはあえて聞きませんと、だけど、持っているんだったら、反対でも賛成でもいいから、議決権を行使してくださいってお願いをしまくったことが、世界中に電話をして、電話をしまくったことがあります。

だから、内田メンバーがおっしゃるとおりで、結構大変な部分があるので、そこはぜひぜひ、やっぱり投資家の、機関投資家も信託銀行もそうなんでしょうけど、やっぱりそちら側の協力というのもとても私はこれも大事なことだと思います。

これは、くどいようですけど、繰り返しますが、経営者対株主という話ではなくて、要は既に判明してちゃんと議決権を行使しようとしている株主のある意味では権利を守るという意味合いでもこれはすごく重要な話なので、これはやっぱり株主の権利って共益権ですから、共益権というのは単に権利だけではなくて、当然、共益上の義務を伴っているわけなので、そういった責任は、同時に、これはある意味でスチュワードシップ・コードの脈絡にも通じますけれども、そういったレスポンシビリティーはその株主、機関投資家、あるいは、関連する信託銀行等々に私はあると思っておりますので、その辺はやっぱり明記したほうがいいような気がしております。

以上です。

○池尾座長

いかが。武井さん、お願いします。

○武井メンバー

すいません、何点かあります。

まず、第3章のところは特に修文と言ったコメントではありませんが、一点、3-1の(ii)の「コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針」の箇所、ここはかなり実際に重要になってくるのかなと思っています。企業側がきちんと取り組んで、どういうふうに定めていくのかが注目されると思います。まずこれは感想です。

次に4章ですが、何点かコメントがございます。まず、4-1ですが、かなり苦心して書かれていると思いますし別に書いてあることは何も間違っていないですが、「重要な業務執行の決定を行うに当たっては」という箇所が、4-1の中でスーパーバイザリーボード的な機能とマネージングボード機能的なことを一緒に書いている面があって、スーパーバイザリーボードだけをやっている取締役会もあるとどうするのかなと。このままの表現でも良いとは思いつつも、例えば「重要な業務執行の決定を行うに当たって」というのを補助原則に落として、文章を二つに分けるのも一つの手かなとは思いました。ただこれはこの箇所はいろんな苦心があるかと思いますので判断はもちろんお任せいたします。修文の是非の話なので実質的な話ではありません。

次に4-2の箇所で二、三点ございます。まず、4-2マル1で、「中長期的な業績等と連動する部分の割合」とありますが、そこに「現金報酬と自社株報酬との割合」という点もできれば追加していただけませんでしょうかという点です。中長期的な業績等と連動する部分の割合と、あと、現金報酬と自社株報酬の割合という形で追加ができませんかという点です。

この点は前回の産業競争力会議での御指摘のペーパーでも2つ目のポイントとして出てきておりましたけれども、自社株報酬の話は確かに今重要な点です。役員報酬については、その役員報酬の報酬の多寡というよりも、その前に報酬ミックスのあり方というところにむしろ、機関投資家を含めて重要な論点・関心があります。そして報酬ミックスといったときに、短期か中長期なのかというミックスだけでなく、現金報酬なのか自社株報酬なのかというミックスも重要なわけです。特に欧米で中長期の業績連動報酬といったときに、かなりの比率で自社株のほうを厚目にしているという現実もある中で、日本ではほとんど自社株報酬に関して議論をしないで来ている、ストックオプションが導入された約20年前からあまり進化しないでとまっている歴史があって、かなり欧米よりも遅れています。ですので、少なくとも自社株報酬と現金のあり方についてせめて社内で議論をしてほしいと思います。自社株報酬を入れる、入れないは会社ごとに個別に考えれば良いと思うんですけども、せめて社内で議論して検討していただきたいということで、そういう現金報酬と自社株報酬のミックスについても言及していただけませんでしょうかということです。

特に最近のある調査結果なのですが、日本の上場会社の経営者は、同じだけの企業価値を向上させても、アメリカの経営者の5%、20分の1しか報酬増として反映されていないという調査結果もあります。報酬の多寡というのはいろんな議論があってよいと思いますが、少なくともグローバルな競争をするに当たって、日本企業が今のような役員報酬の体系のままで競争できていくのだろうかという大きな問題だと思います。まさに今回のコードが中長期的な企業価値を支援すると、支えるという観点から、そういった今の報酬体系のままでいいかどうか、企業側にもう一回見直してくださいということを後押しするためにも、この「中長期的な業績等と連動」だけでは弱いと思いますので、現金報酬と自社株報酬との割合ということも追記していただけましたらというのが2点目のコメントです。

あと、それにも絡みつつも少し違う話になるんですが、ほかの国のコードで、経営陣幹部と取締役会の構成員は、株主利益とのアラインメントなり株主に対する受託者責任を果たすという観点から、どのくらいの自社株を持つべきなのかという自社株の保有レベルについて定めている国が結構あります。そこで例えば4-2マル2みたいな形で別の文章で、「株主に対する受託者責任を踏まえたその企業の成長と中長期的な企業価値の向上を促すため、その経営陣幹部及び取締役会構成が保有すべき適切な自社株レベルについて検討すべきである」といった文章を入れられませんかと言うことです。自社株を持つかどうかはもちろん会社ごとで決めていけばいいと思うんですけれども、保有レベルに関しても社内で検討するという文章を書くという案です。

この自社株保有レベルに関しては、先ほどの一つ前の自社株報酬との報酬ミックスの話と絡むといえば絡むので、今の2つ目の自社株保有のほうはないならないでもしようがないかもしれませんが、せめて社内で検討して頂きたいという点です。ほかの国のコードでは普通に入っていることなので、株主利益のアラインメントという観点からも検討していただけないかということです。

あと、4-2でもう一点ございます。「適切なリスクテイクをサポートするような環境整備」という箇所でして、これに関連して、前回私から申し上げた、また他の先生からもお話があったかと思いますけれども、要は「過度にリスク回避的な経営判断等が行われることを防止するため、経営陣及び取締役会構成員への補償のあり方について検討すべきである」といった感じの補償、インデミニフィケーションのことですね、について言及していただけないでしょうかということです。

会社利益に適うと適切に信じて行っている経営判断に対して、第三者から提訴を受けて、何でもかんでも重い責任が発生してしまうといいましょうか、別に裁判で負けなくても、応訴負担とかが出てきてしまうわけで、どうしても過度にリスク回避的な経営判断がなされるおそれがあります。欧米でこの点の補償のことは普通に環境整備されていますが、この補償の議論は日本でなかなか進んでいない状態のままです。あと、今回、独立社外取締役もかなり増員されるわけですから、かなり有能な、しかも、きちんと責任感を持って経営のリスクがとれる方を招くためにも、この補償というのはかなり大きな点です。ただ日本はかなり遅れている点ですので、そういった点をある意味後押しするような形で、過度に回避的な経営判断をするため、経営陣幹部及び取締役会の構成員への補償のあり方について検討すべきであるという感じの軽い文章を1つ入れていただけませんかというのが4-2に関するコメントです。

そういう意味で、自社株報酬の話と補償に関する点が4-2のマル2マル3で、リスクテイクをサポートする環境の話となります。

あと、4-4の監査役会の箇所ですが、この箇所はとてもうまく書けているな、よく練られた文章だなと思いました。

次に、第5章です。先ほどのいろんな方からのご発言とも絡むのですが、この株主との対話といったときに、どの株主と対話するのかの絞りというのは確かにキャロンさんのおっしゃるとおりだと思います。私もキャロンさんの議論に賛成です。

次に表題の「株主との対話」ですが、これは単純明快でわかりやすいのですが、できれば、第5章の表題とか5-1の表題に、「中長期的な企業価値向上に向けた株主との対話」という、何のために対話するのかを書いたほうがよりわかりやすいのかなという気がしました。「中長期的な企業価値向上に向けた株主との対話」というふうにしていただくと、別に大した直しじゃないかもしれませんけれども、何でもかんでも対話すれば良いわけでもないし、別に総会屋的な株主と対話することを推奨しているわけでも決してないので、そこら辺の株主との対話をきちんと意味のあるものにするという観点からも、そういう限定があったほうがいいかと思いました。

あと、最後に1点、5-1マル2で、先ほどのお話にもありましたが、また神田先生からも対話での話し過ぎに注意という話が以前にあったかと思いますが、この5-1マル2のところで、社内方針が(ⅰ)から(iv)までありますが、さらに(v)を追加して、インサイダー情報とか企業秘密・秘密情報に関しては話さないための社内方針といったことも書いておいたほうが良いと思います。さっき冨山メンバーがおっしゃったように、インサイダーとかオーバーディスクロージャーに対する対策になると思いますので、(v)とかで追記したほうが良いと思った次第です。

すいません、長くなりまして。以上です。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続き、小口メンバー、お願いします。

○小口メンバー

ありがとうございます。2点ほど申し上げたいと思います。

1点目は、先ほど内田メンバーがおっしゃった幾つかのご指摘の中で、原則3-1の情報開示の充実、10ページのところなのですが、この(iv)と(v)が両方要るのかというご指摘ですが、私がこれを拝見したときには基本的に両方とも要るなと思っていたので、ご指摘を受けて、もう一度考えてみました。

おそらく(iv)と(v)の意味合いが違っていると考えていまして、(iv)は選任と指名の方針と手続なので、こういった考え方に基づいて選任と指名をしているという手続の透明性といった問題について説明していただくという意味で必要だなと思い、(v)のところについては、株主が総会で取締役や監査役候補に関し議決権行使をするときに、その方がどういう方で、選任賛否を投じるに当たってどうなのか判断するという意味で、指名理由の開示が要ると考えたわけです。

指名理由のご説明がないと、よくあるパターンでは、名前と経歴だけあって、この方が、なぜ指名されたのかわからないケースがあるのですが、具体的には招集通知ということになると思うんですけど、そこに指名の理由を書いていただいている企業もあって、書いていただくと、株主としても建設的な議決権行使ができるという意味で指名理由の開示は要ると思います。確かに(iv)と(v)を並列に記載するとわかりづらい点もあり、どう書いたらいいのかはあるのですが、そういった意味で両方とも要るということをわかるように書いていただくのがいいのかなと思いました。

それから、第5章の原則5-2のところなんですが、これはほんとに大変いいことを書いていただいていると思っています。会社から収益力とか資本効率に対する目標を示していただいて、経営資源のアロケーションについてどうするのかということについてわかりやすく説明していただくと、それをベースに株主との対話が建設的に進むということで大変いいことだと考えます。

本日の資料ではペンディングになっている、原則1-4の政策保有株式を書かれるときに、私が期待しているのは原則5-2に書いているような、会社全体の収益力とか資本効率に対する目標を実現するために、一見すると一番遠くにありそうな政策保有株式が、こういう目標にどういうふうに貢献するのかというところも定性的ではなく、定量的に説明していただくことで、株主としてもわかりやすくて、対話につながるものと考えています。例えば設備投資については、収益力や資本効率を高めていただくために行われることは、当然そういう前提で理解しているんですが、アウトサイダーである株主にとっては一番わかりづらいのが政策保有株式のところなので、原則5-2の流れの中で説明していただきたいと思います。

政策保有株式については、もう一方、議決権をどうするかという問題は別途ありますけども、資本効率とか投資家から見たときの考え方というのはまさにこの原則5-2に書いてあるような視点で見ているということをご説明といいますか、考え方をお話しさせていただきました。

ありがとうございます。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

ほかにご意見等、いかがでしょうか。中村メンバー、お願いします。

○中村メンバー

今、小口メンバーのほうからご指摘のあった、10ページの原則3-1、(v)のところで、「取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行う際の個々の選任・指名の理由」というところについて申し上げます。ご趣旨として、そもそも株主が議決権行使をするためにこうした情報が必要だということ自体は否定するものではないのですが、招集通知等を作成している立場からいたしますと、現行の運用においても、その方の履歴ですとか、一定の情報を記載し、そういう状況の中でこの方が適切と考えて指名しているということ以上に、どのような情報が必要なのかというところがいま一つわかりにくいなというところがございます。

なお経営陣幹部の選任ということにつきましては、どういう媒体でのリリースを想定されているのか、例えば経営トップの選任を行う場合は、プレスリリースでの開示をイメージをされているのかどうか、教えていただきたいと思います。

○油布企業開示課長

これはこの3-1に限らず、このコードの中にはいろいろと情報開示についての記載が出てまいりまして、最終的にはコード原案がまとまった後に、東証さんのところで、例えば今現状ある姿で申し上げますとコーポレートガバナンス報告書を活用するのか、あるいは、タイムリーディスクロージャーのタイプでいくのか、また、ものによってはおそらく、その会社のホームページに載せれば足りる、あるいは、IR資料で示せば足りるようなものもあるかもしれません。その辺の仕分けは最終的には取引所のほうでこのコード原案ができ上がった後に詰めていただきたいというふうに考えておりますけれども。

今おっしゃった経営陣幹部の選任ということについては、両方あるのかなと、つまり、タイムリーディスクロージャーと。実際に選任されてある期間たった後に何らかの報告書みたいなところで記載すると、そういう組み合わせを念頭に置いてはおりますが、他方、それでなければいけないというふうに決めているという趣旨でもありません。

○池尾座長

どうぞ。

○武井メンバー

すいません、一点先ほどコメントをし忘れたのですが、4-3の箇所です。こちらの文章で、「適切に会社の業績等の評価を行い」の後なんですけれども、「当該評価を踏まえてその必要がある場合には経営陣幹部の解任及び後任者の選任を行うべきである」とあるのは、それはそれで別に間違っていないのですが、何か業績がだめなときしか書いてない感があって、業績が良かったら良かったで今度はむしろプラスに働くものが必要だと思います。なので本来ここは「当該評価を経営陣幹部の人事、報酬に反映させるべきである」というふうにしたほうが良いと思いました。

そしてこの解任、選任についてどうしても書く必要があるとしたら、補助原則のほうで具体的に書くのかなと思いました。なので原則のほうは「経営陣幹部の人事、報酬に反映させるべきである」ぐらいで受けたほうが良いかなと思いました。以上です。

○池尾座長

どうぞ、神田先生、お願いします。

○神田メンバー

すみません、先ほど時間が長いと思って省略したことを1点だけ申させていただきます。

今の武井先生がおっしゃった追加というか、原則4-4ですけれども、その後にマルPとあるので、今日言わなくてもいいかとは思ったのですけれども、先ほど冨山メンバーがおっしゃった3つの形態があってというような話に関係するのですけれども、ここで言っているのは監査の機能ですよね。そして監査役、監査役会の役割を言おうとしているので、だとすると、監査役、監査役会がいない形態の会社では誰がこれをやるのかということになるので、その場合は、監査委員会及び監査委員と監査等委員会及び監査等委員なのだと思うのですけれども。

ちょっと原則4-4に書くことはないとも思うのですけれども、補充原則かどこかで書いておかないと、ちょっと読む人に誤解を招くかなというふうに感じます。マルPのところでそこを含めて検討されるとは思いますけれども、一言だけ述べさせていただきます。

以上です。

○池尾座長

いかがでしょうか。次回、長くなりそうなので、ここで15分ぐらい時間をお借りしておくという、次回返させていただくということでよろしいでしょうか。

それでは、少々早目ですが、大変有益な……。

○太田メンバー

ちょっとすいません。

○池尾座長

どうぞ。

○太田メンバー

長くとりませんが、全体を通して、今のご議論を踏まえて、何点かコメントをさせていただければと思います。

まず、1点、冒頭からありましたこの「べきである」、「すべきである」というこの決めつけ方というかこの表現ぶりなんですけれども、いわゆる法律と規律との関係、自主規律との関係だと思いますが、例えば表現ぶりとして「望ましい」というような言いぶりというのはないのかどうかということを次回以降少しご検討いただけないかというふうにまず思います。

それと、2つ目は、このコードが既に終盤の議論に入っているわけですが、適応範囲と対象等に関する議論に関して、これまでも何度かあったかと思います。私は全ての上場企業を対象とするということが大原則だというふうに思いますけれども、大多数の企業がコンプライできるコードの策定が望ましいというご意見は以前もあったとおりなんですが、やはり実質的に企業規模だとか業様等によってその適用対象の例外的な取り扱い、それを望ましいというような表現ぶりでかわすのかそうでないのかという議論は別途ありますが、やはりさまざまな事情によってコンプライすることができない、例えば中小、中堅の上場企業、あるいは、必ずしもグローバルな事業展開をしていない企業等々の区分適用という議論がぜひ次回以降していただければなというふうに思います。

それと、3つ目なんですが、またこれも序文のところに書かれる項目だろうと思いますが、このコードは一旦つくって終わりというようなものではなくて、終わりのない改善というか、継続的な見直しが基本であるというようなことをぜひ基本精神の中に入れていただければというふうに思います。

それと、4点目なんですが、この文章、全て英語が多過ぎますよね。このメンバーは皆さんわかっておられる。例えば、リスクテイクをサポートするとか、こんなことは普通日本語では言わないので、もうちょっとこなれた日本語があっていいのではないか。つまり、片仮名英語が多過ぎるということです。

サステナビリティーというのも、例えば原則2-3での使い方と原則2-2での使い方は少し定義が違っていますので、もう少しこの辺も表現ぶりを考えたらどうかと思います。特にダイバーシティーなんていうのも最近はなじんできていますが、これは多様性と言えばいいだけのことであって、少しちょっと最後は文句になりますが、少しご配慮いただけないかと。

以上です。

○油布企業開示課長

大変ごもっともなご指摘をいただきまして、ありがとうございます。ただ、実は1点目の「べきである」という表現はそういう受けとめ方をされてしまう副作用があるというのは重々承知しつつも、やはり「べきである」以外の表現はなかなかとりにくいかなと思っております。

と申しますのは、まず、外国のコードは全て英語に翻訳したときにshould、国によってはshouldに加えてshouldよりさらにmustに近いshallを使って書いています。これはソフト・ローではありますけれども、やはり規範ないし規律なので、「望ましい」というふうなものよりも少し高い水準のものが求められるので、日本語にするとどうしても「すべきである」かなと。

実はスチュワードシップ・コードを策定したときもまさに同じご議論がありまして、この、株主つまり機関投資家に対するコードのほうも「すべきである」に統一するということになりましたので、それとの車の両輪であるということを踏まえても、「すべきである」以外の表現はなかなかどうも日本語には存在しないような気はいたしております。

○池尾座長

よろしいですか、ほかに。

それでは、非常に有益な議論をいただいて、それで、それらを踏まえて改訂するとともに、次回はペンディングになっています第4章「取締役会等の責務」のうち、構成ですね。機関設計、手続等の部分など、残された部分についても事務局にたたき台を用意していただいて、ご議論いただきたいというふうに思っております。

それで、今も申しましたように、非常に活発に議論していただいて有益なご意見をいただきましたが、さらに追加で何かご意見、ご要望等ありましたら、毎回申し上げていますが、事務局宛てにメール等で常に受け入れておりますので、追加の意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。

それで、それでは、最後に事務局のほうからご連絡などございましたら、お願いします。

○油布企業開示課長

次回の日程でございます。後日改めてご連絡を差し上げますが、今月25日火曜日の16時半で調整させていただいております。

ご連絡は以上でございます。

○池尾座長

どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課(内線3836、3671)

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