スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第2回)議事録

1.日時:

平成27年10月20日(火)10時00分〜12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【池尾座長】

定刻より少し前ですが、ご出席予定の方々、全員おそろいになりましたので、ただいまよりスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議、第2回会合を開催いたしたいと思います。皆様には、ご多忙中のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。

【田原企業開示課長】

それでは、本日、お手元にお配りしております資料の確認をさせていただきます。

まず、資料1といたしまして、本日の議題であります、取締役会等をめぐる論点に関しまして、東京証券取引所からの説明資料であります「取締役会関連参考データ」をお配りしております。

次に、資料2といたしまして、「取締役会等をめぐる論点」と題した事務局の資料をお配りいたしております。

それから、佃メンバーよりご提出いただいた資料を配付させていただいておりまして、こちらにつきましては、後ほど、佃メンバーから取締役会の役割・現状を中心にご紹介いただけるということでございます。

それから、本日ご議論いただく資料ということではございませんが、前回の会議におきましてご議論いただいた内容につきまして、メンバーのご了解を得て取りまとめました「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況と今後の会議の運営方針」というものを配付させていただいております。これにつきましては英訳版も作成しておりますので、あわせて配付させていただいておりまして、意見書という形で、後刻、ホームページに掲載させていただきたいと考えているものでございます。

それから、ニューヨークで行われました安倍総理のスピーチにおきまして、コーポレート・ガバナンスへの言及がございましたので、これも参考に配付をさせていただいております。

最後に、上田メンバーから、第1回会合のご議論に関連してご意見をいただいておりますので、こちらも配付をさせていただいているところでございます。

資料、以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、早速、議事に移らせていただきたいと思います。

まず、東京証券取引所から資料1「取締役会関連参考データ」につきましてご説明をお願いします。

【渡邉東京証券取引所上場部課長】

それでは、お手元の資料1で、取締役会関連の参考データをご紹介させていただきます。

まず、ページをおめくりいただきまして、2ページ目は会社法上の機関設計の選択状況を示しております。会社法が変わりまして、監査等委員会設置会社が選択可能になっておりますが、2015年7月時点で158社、4.5%の会社が監査等委員会設置会社に移行しています。ほかの多くの会社は、監査役会設置会社を選択されています。

続きまして、3ページ目は、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社で、任意で指名や報酬の委員会を置かれている会社がどれぐらいあるかというのを示しています。左側が指名委員会に相当する機能を持つ委員会を持っていらっしゃる会社がどれぐらいあるかでございまして、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社合わせて3,410社の中で152社がそういった委員会を設置しています。

右側が、報酬委員会に相当する機能を持つ委員会を持たれている会社で、219社の会社がそういった報酬委員会に相当するものを置いています。

続きまして、4ページ目は取締役会の規模ということで、取締役会の全体の人数の傾向を経年で追っております。隔年で発刊しております『東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書』から数字を持ってきておりますが、2006年以降、取締役会の規模は減少傾向にありましたが、2015年は増加に転じています。独立社外取締役が2015年に増加をしておりまして、その影響で取締役会の規模も増加に転じているようでございます。

続きまして、5ページ目から7ページ目は、第1回のフォローアップ会議でもお示しをした資料ですが、社外取締役や独立社外取締役の選任状況を示しております。

まず、5ページは社外取締役の選任状況でございまして、2015年は市場一部の上場会社のうち94%が社外取締役を選任しています。

6ページ目は、社外取締役から主要な取引先などを除きました独立社外取締役の選任状況ですが、2015年では87%の会社が独立社外取締役を選任しています。

続きまして、7ページ目は、ガバナンス・コードでも言及がありますが、2名以上の独立社外取締役の選任をされている会社がどれぐらいあるかというところでございまして、2015年では市場一部の会社のうち48.4%が2名以上の独立社外取締役を選任しています。

続きまして8ページ目は、これまでご紹介したデータは市場第一部のデータが中心でしたが、その他の市場区分、市場第二部、マザーズ、JASDAQ、参考として、JPX日経インデックス400の構成銘柄につきまして、取締役会の平均人数や、独立社外取締役の平均人数、あるいは、独立社外取締役の選任状況を示している表を参考までに掲載しております。

一番下に独立社外取締役の兼務状況について注釈をつけております。独立社外取締役の方を見てみますと、1人あたりの兼務数は最大で5社となっております。

続きまして9ページ目は、独立社外取締役にどういった方がなられているのか示しております。コーポレートガバナンス報告書では、それぞれの独立社外取締役の属性につきまして、ほかの会社の出身者、弁護士、学者、会計士、税理士、その他の中から1つ選択して、ご提出をいただくことになっておりますが、一番多くを占めておりますのは、ほかの会社の出身者ということで、例えば、上場会社の役員の経験者の方とか社長とか会長とかの経験者の方とか、そういった方が過半数、6割を占めている状況になっております。以下、弁護士、学者、会計士の方という順番で多い順に並んでいます。

続きまして、10ページ目が取締役会の議長をどういった方が務められているかというものでございます。社長が取締役会議長を務めているという会社が8割ほどで、一番多くなっております。次に多いのは、会長が議長を務めているケースです。

続きまして、11ページ目から13ページ目は指名、報酬、監査のそれぞれの委員会につきまして、それぞれの委員会のメンバー構成と、委員長をどういった方が務められているかを示しているデータになっております。

まず、指名委員会については、上下で2つに分かれておりますけれども、上のほうは、指名委員会等設置会社の指名委員会についてのデータ、下のほうは監査役会・監査等委員会設置会社で任意で指名委員会を置かれている場合のデータになっています。

まず、指名委員会ですけれども、委員会の構成は、全体の人数は平均4名、うち社外取締役は2.8名、社内取締役は1.1名ということで、メンバー構成としては社外の方が多数となっております。

右側の委員長の属性をごらんいただきますと、社外取締役が委員長をされている会社が54%、社内取締役が委員長をされている会社が45%となっております。

下の任意の指名委員会をごらんいただきますと、全体の人数は4.6名、うち社外取締役が2名、社内取締役が1.9名となっております。その他の委員という区分がございますが、任意の諮問委員会ですので、例えば、社外の有識者ですとか、あるいは、社外監査役の方が入っているようなケースがございまして、平均で0.6名となっています。メンバー構成としては、社外と社内の方が拮抗しているような形になっております。

委員長の属性をごらんいただきますと、こちらは社外の方が46%、社内の方が48%ということで、こちらも社内、社外が拮抗している形になっています。

続きまして、12ページは報酬委員会について同じデータをご紹介しているものでございます。指名委員会等設置会社の報酬委員会を見てみますと、全体の人数は平均3.7名、うち社外取締役が2.7名、社内の方が1名となっておりまして、メンバー構成としては社外の方が中心となっております。

委員長の属性は、社外取締役の方が務めている会社が6割、社内取締役の方が務めている会社が39%となっております。

下のほうの任意の報酬委員会については、全体の人数としては平均4.4名、うち社外の方が1.8名、社内の方が1.9名、その他が0.7名となっております。指名委員会等設置会社の報酬委員会と比較しますと、社内の方の占める比率が高くなっております。

また、委員長の属性について、社外の方が4割と比較して、社内の方がやられているケースが48%でございますので、若干ではございますけれども、社内の方がやられているケースが多くなっております。

最後に、13ページ目は、監査委員会、監査等委員会、監査役会のメンバー構成と委員長の属性でございます。一番上の監査委員会ですと、全体の数は平均すると3.7名、うち常勤の方が0.6名ほどおられまして、社外の方が3名、社内の方が0.7名という構成になっております。メンバー構成としては社外の方が中心になっております。

右側の監査委員長の属性をごらんいただきますと、委員長も社外の方がやられるケースが多くなっておりまして、68%の会社で社外取締役が監査委員長を務められている状況になっております。

真ん中の監査等委員会のところをごらんいただきますと、委員会の構成の傾向は監査委員会と似ておりまして、全体の数は平均すると3.3名、うち常勤委員が0.9名おられまして、社外取締役の方が2.4名、社内の方が0.8名となっております。メンバー構成としては、社外の方が中心でございます。

右側の監査等委員長の属性をごらんいただきますと、こちらは上の監査委員会の委員長とは異なり、社外取締役の方が監査等委員長をやられているのが34%、社内の方がやられているケースが62%となっております。監査等委員会設置会社に移行している会社は、全て監査役会設置会社から移行している会社でございまして、もともと社内監査役であられた方が非業務執行の取締役として監査等委員になられ、監査等委員会の長につかれているケースが多いようでございます。

最後、一番下が監査役会のメンバー構成でございます。全体の数は平均すると3.5名、うち社外の方が2.4名、社内の方が1.1名となっておりまして、メンバー構成としては社外監査役の方が68%、多数を占めております。

参考のデータのご紹介は以上でございます。

【池尾座長】

ありがとうございました。

続きまして、金融庁から資料2、「取締役等をめぐる論点」につきましてご説明をお願いします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の資料2に沿いまして、本日の論点としてまとめさせていただいたものにつきましてご説明をさせていただきます。

こちらの内容でございますけれども、前回のご議論におきまして、メンバーよりご指摘をいただいた点を中心といたしまして、ご指摘を受けているものをまとめさせていただいたものということでございます。コーポレートガバナンス・コードで言いますと、基本原則の4をめぐる議論になろうかと思いますけれども、まず1点目といたしまして、各会社の機関設計、監査役会設置会社であるか、指名委員会等設置会社であるか、監査等委員会設置会社であるか、あるいは、任意委員会の活用の状況、先ほど、東証の資料にもございましたけれども、こういったものについて、まず、どう評価するかということがあろうかと思います。

2点目でございますけれども、独立社外取締役につきましては、先ほども東証からご説明ありましたように、選任数については着実に増えている状況にございますけれども、この人選というものについて、最近のいろいろな事件なども踏まえまして、どのように考えていくかということがあろうかと思います。

また、兼職数などにつきましては、あまり多くなると職務ができないのではないかといった指摘を受けておりまして、こういった点についてもご議論いただければと考えているところでございます。

3点目でございますけれども、原則4−3にございますように、取締役会の独立した客観的な立場からの役割というもの、こういうものを真に果たすためには、各企業におきまして、単に、先ほどの独立社外取締役の設置にとどまらず、ガバナンス全体のあり方について真剣な検討が必要であるというご指摘を前回いただいたように思います。この点につきまして、より具体的に、各企業において、どのような点についての考慮が必要になるか、どう考えるかということでございます。

例として3つほど挙げさせていただいておりますが、先日もご議論ありましたように、取締役会と経営会議の役割の分離、監督と執行の分離といったことが議論としてはあるということでございます。

また、取締役会議長、各委員会委員長の人選というものも、先ほど、委員長の人選につきましては東証からもご紹介ありましたけれども、こういったことも論点かと思います。

それから、監査委員会(監査役会)と内部監査部門・外部会計監査人との連携、内部監査、内部通報のレポートラインのあり方につきましては、昨今の件でも議論になっておりますし、この場でもご指摘があったと考えております。

4点目でございますけれども、前回のこの会議でも議論になりましたけれども、CEOの選解任ということでございまして、CEOの選解任、後継者計画の策定・実行の重要性というものが一層強調されていくべきというご指摘がございました。CEOの選解任に求められるべき要素は何か。例えば、客観性とか適時性とか透明性というようなご指摘を受けたように思います。そのための手続のあり方についてどう考えるかということが4点目でございます。

それから、5点目、これも前回ご指摘をいただきましたけれども、持株会社下の企業グループにおける実効的な連結ガバナンス体制のあり方というものについても議論すべきではないかということでございました。

なお、この点に関しましては、現在、金融審議会の「金融グループを巡る制度のあり方に関するワーキング・グループ」におきまして、金融グループにつきましては議論が進行中でございます。

最後は、その他ということで、幅広くご意見を頂戴できればと考えているところでございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。できる限り議論の時間をとるということで、説明は短めにお願いしています。それでは、早速、これから討議の時間にさせていただきたいと思いますが、本日の議題は、ただいまありましたように、取締役会等をめぐる論点ということです。ただ、これ自体もすごい重い論点が幾つも並んでいる感じで、1回でこれを全部カバーするのは無理だとは思うんですが、取締役会等をめぐる論点につきまして、ご意見や、メンバーの皆様の問題意識等につきまして、ご発言をいただきたいと思っております。

ただ、先ほど事務局からもありましたが、本日は佃メンバーより、企業実態調査結果につきまして、取締役会の役割・現状を中心にご紹介いただけると伺っておりますので、まずは佃メンバーからご発言をお願いしたいと思います。じゃあ、よろしくお願いします。

【佃メンバー】

かしこまりました。ありがとうございます。

まずお手元の資料として、「取締役会の機能について」という横の資料と、そのベースとなっている、縦長の「企業統治実態調査結果2015」というものがございます。それから、別途、ガバナンスに関する論考ということで、「日経BizGate」に書かせていただいているものもおつけしておりますので、こちらは、お時間あるときにお読みいただければと思います。

今日は、「取締役会の機能について」という、最初の資料を、時間の関係もありますので一部割愛させていただきながら見ていきたいと思っております。お手元の資料で、右下にページ番号がありますので、そのページに沿ってご説明申し上げますと、まず2ページでございます。これは基本原則の4、取締役会の役割・責務を載せております。

めくっていただきまして、3ページでございます。こちらに、「取締役会の機能に関する8つの論点」ということで挙げさせていただいております。取締役会の議案でありますとか構成でありますとか、支える事務局の機能、法定・任意両方ありますが、傘下の委員会、さらには、社外取締役の支援体制であるとか、取締役会の議事運営そのもの、頻度、時間、最後に取締役会評価と、8つの論点をお示ししています。それから、右側に「機能強化のための方策」ということで、全体像をお示ししております。順番に、この8つの論点に沿って、今回の調査結果をご紹介させていただくという形でございます。

次の4ページでございますけれども、まず、議案でございます。これは今回、調査してなくて、去年の調査結果から引用させていただいていますけれども、貴社の取締役会の最大の課題は何ですかというふうに企業の方、去年は大企業に限ってですけれども、そこにお伺いしましたら、まずは、やっぱり議案選定が最大の課題である、2番目が取締役の構成である、3番目が議事進行であるという回答結果になっておりました。

企業のコメントとしては、下にございますけれども、特に監査役会設置会社においては、執行案件等が多くて付議案件が多過ぎる。ほんとうに重要なことを議論できていない。あるいは、経営会議でほとんど実質の議論を済ませちゃって、取締役会は儀式の場なので、形式的追認機関なんだけれども、これをガバナンス・コードの導入に合わせて、どう議論の場にしていくかが課題だと。そういうコメントが寄せられておりました。

続きまして、次のページでございます。取締役会の構成でございまして、まず最初に、今回、ガバナンス・コードが導入されて、皆さん、独立社外取締役の貢献度、どの程度認識されていますかということで問わせていただきました。東証一部上場企業1,883社、私どもが対象としたときはこの夏なんですけれども、314社から回答をいただきまして、左側を見ていただきますと、「非常に高い」と「高い」を合わせると、約52.3%が評価が高いという形になっています。

右側に、独立社外取締役人数別の調査結果をお示ししています。これを見ますと、非常に顕著に、独立社外取締役の人数が増えれば増えるほど、独立社外取締役の皆さんに対する貢献度の認識が高くなるという形でございます。社外取締役が3人以上の企業では80%が極めて高い、または高い貢献だと評価しているということでございます。

続きまして、次、6ページでございますが、これは先ほど、東京証券取引所様から、全体の独立社外取締役の属性という形でご説明ございましたので、こちらは割愛させていただきます。

次のページ、7ページでございます。取締役会の構成ということで、原則4−8への対応姿勢ということですが、今回の設問では、貴社では業種・規模・事業特性・機関設計・会社を取り巻く環境等を総合的に勘案して、少なくとも3分の1以上の独立社外役員を選任することを必要と考えているかというご質問をさせていただきました。左側の全体の結果でございますが、注目すべきは46.5%、真ん中のところでございますが、約半数弱の企業は、現時点で「総合的に勘案し、必要と考えていない」、こう回答されているということでございます。

右側を見ますと、これもおもしろい結果になっておりまして、独立社外取締役の数が3人以上の企業では、水色のところ、既に3分の1以上の独立社外取締役を選任済みであると。ここが63.6%でございます。それから、検討中であるというのも18.2%あるということでございますので、約80%強の企業に関して、3分の1以上の体制を既に実施済み、あるいは展望しているということでございます。これは、独立社外取締役が2人以下の企業との比較で言うと、非常に大きな差が出ている、顕著に出ているということが言えると思います。

次、8ページでございます。事務局の機能でございます。これ、前回の会議で、新規専門部署の必要性を武井メンバーがおっしゃっておられましたが私どもが今回調査したところ、2.9%の企業のみが新規専門部署で重要課題として取組んでいるとの結果でした。では、今後検討していますかという質問に対しては、これから対応を検討している企業は13.7%にとどまって、基本的には既存の組織で取組んでいるという結果になっております。

次、めくっていただきまして、9ページでございます。傘下委員会でございますけれども、これは、まず左側、全体の25.5%の企業が既に任意または法定の委員会を設置済みであると。それから、9.9%が設置してないが設置を予定しているということでございます。これは、売上高別に見ますと、やはり1兆円以上の企業においては、右側のグラフでございますが、62.2%が既に何らかの委員会を設置しています。プラス、今後設置を予定している企業は16.2%ございますので、約80%弱の企業は設置の方向であるという結果になっています。

次、10ページでございます。サクセッションプランニング、後継者計画、こちらを監督している企業がどうかということで、左側を見ていただきますと、全体の約3分の1のみが、指名委員会等を通じて、または、指名委員会の設置はないけれども監督しているとご回答いただいているということです。これも、独立社外取締役人数別で大きな差が出てきておりまして、独立社外取締役が3人以上の企業においては、約半数が既に後継者計画を監督しているとおっしゃっている状況でございます。

続きまして、11ページでございます。5番目の論点でございます社外取締役の支援でございますが、3つの設問がございますが真ん中のところにございますトレーニング、これを行っていないという答えが全体の39.8%ということで、特に社外取締役のトレーニングも含めて、支援を今後充実させていく必要があるという結果になっております。

続きまして、12ページでございます。取締役会の議事運営でございますが、これは、データとしては、今回、調査対象となっておりませんので割愛させていただきますが、右側に、ご参考ということで、ベストプラクティスの事例というものを載せさせていただいております。

続きまして、13ページでございます。7番の「開催頻度・時間等」でございますが、左の上のところにございます。取締役会の年間開催数は、今回の調査対象企業で言うと、平均が15.3回、1回当たりの平均開催時間が1.7時間でございます。回数がやや多くて、1回当たりの時間が短いのかなという第一印象ございますけれども、先ほどの冒頭の議案について、今後ほんとうに戦略的な議論をしていくという文脈の中で、この開催頻度や時間のあり方を今後見直す方向性はあるんじゃないかなと考えております。

14ページでございます。「取締役会評価」でございます。取締役会評価につきまして、補充原則の4−11マル3において、分析・評価の実施と結果の概要開示を要請しているとございますけれども、現状では全体の20%弱が取組んでおられると。その大多数は自社内部での評価になっているということで、これからという結果になっております。

注目すべきは、左側にございますけれども、65.9%、「現在は行っていないが、今後検討する予定」とございまして、先ほどの独立社外取締役を3分の1以上にするというのは、もう現時点で検討の余地なしというお答えが多かったですが、それとは対照的に、この取締役会評価に関しては、やはり結果の概要開示を要請していることもあって、皆さん、今後検討しますという結果になっているということでございます。

以上、8つの論点に沿ってご説明してまいりましたが、最後、15ページに、「コーポレートガバナンス・コードへの対応姿勢」ということで、その8つの論点以前の問題として、基本的なスタンスとして、独立社外取締役が3人以上の企業では改革に非常に積極的だという結果が出ています。右側のグラフでございますけれども、先ほど来ご説明しているグラフ、全てそうですが、独立社外取締役の数が増えるほど、いろいろな改革に関して進んでいる、あるいは積極的である傾向が出てきたという結果でございます。

最後に、「調査結果に関するコメント」として、3点だけコメントさせていただきます。

まず1点目、独立社外取締役の数が多い企業ほど独立社外取締役の貢献を高く評価し、企業統治改革に積極的であることが明らかになっております。今後については、一定規模の企業に対しては3分の1以上の独立社外取締役の確保を促す等、取締役会における多様性の促進を図ることが望まれると思います。

2点目でございます。最高経営責任者等の後継計画の監督、あるいは取締役会の実効性評価、あるいは筆頭独立社外取締役、あるいは、ここには載せておりませんけれども、エグゼクティブ・セッションのような、日本企業にとってなじみがない原則であるとか補充原則への対応についてはこれからという結果になりました。これらは実質の充実が難しいテーマでもございますので、具体的な監督方法に関する指針の発信等が今後期待されるのではないかと考えます。

最後、3点目でございます。コーポレートガバナンスは形式から実質の充実へ焦点が移りつつありますが、今回の調査では、一部企業では企業統治改革への積極姿勢が見られる一方、依然そうでない企業も多数存在することが浮き彫りになっております。今後は、実質の充実をチェックする仕組みの導入、これは安倍首相が言及されておりましたが、ルール化、規則化等、他律的なアプローチの検討も今後必要ではないかと考えております。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご紹介の内容も参考にしていただきながら、他のメンバーの方々からご意見を伺いたいと思いますので、どなたからでも結構ですので、ご自由にご発言を。

それでは、田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】

それでは、少し考えをまとめてきましたので、ご説明申し上げます。

今回配付されました資料、事務局の資料の中に、「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況と今後の会議の運営方針」というのが下のほうにありますけれども、この一番下に、「今後のフォローアップ会議の運営方針」というので、3つポイントが書いてございます。今回は、取締役会、取締役に関するものということですから、ここにあります運営方針の3つの観点を踏まえてコメントさせていただきたいと思います。

第1点ですけれども、取締役会による「業務執行の決定」というものと「業務の監督」についてでございます。ちょっと古い話なんですが、1950年の商法改正で、取締役が取締役会と代表取締役に機能の分化がされて、取締役会は取締役全員で構成されることになり、会社の業務執行を決定することになりました。それから、取締役会が代表取締役の業務執行を監督するということになった一方で、代表取締役は業務執行の役割を果たすという形になったわけですね。

ところが、その後、いろいろ変遷があったんですが、2003年に一橋大学の平田教授が『経営論集』に書いておられますが、「日本における取締役会改革」という論文なんですけれども、それによりますと、「現実には業務執行についての事実上の決定は代表取締役及びこれを補佐する業務執行取締役のもとで行われ、取締役会には単に形式的同意を求めているのにすぎないのが実情である」と書かれています。そして、「取締役会による監督も、経営者絡みのさまざまな不祥事が今なお後を絶たない。こういう現実を目の当たりにすると、どこまで真摯に監督がなされてきたかは疑問なしとしない」とされています。

この論文によりますと、さまざまな調査をされたようなんですが、「日本の取締役会というのは、社内取締役の比率が高く、同質的であり、経営方針決定の場に日常的な業務決定が持ち込まれ、真の政策決定ができていない。現実には、社長を頂点とするピラミッド型の業務執行体制が温存され、取締役会は意思決定面でも監督面でも機能し得なくなった」という評価をされています。

そして、最後に平田教授は「その根源は、取締役、監査役、さらには会計監査人の人事権が監督される側、もしくは監査される側である代表取締役、なかんずく社長によって事実上握られてきたことにある」とされています。「この点が欧米の株式会社における業務監督、監査制度と日本との決定的な違いである」と、こういう見方をされておられます。

私自身、これまで多くの企業経営者の方々とお話をする機会もありましたし、いわば問題になった企業の再建もやってきましたが、この平田教授の論文に書かれた状況は、おそらく現在でもあまり変わってないんじゃないかという気がします。従いまして、ガバナンス体制の強化が、形式だけでなく実質を伴ったものとなっているかを検討するには、こうした現状認識から入る必要があると思います。前回のフォローアップ会議で触れましたように、このような現状で、コーポレートガバナンス・コードの原則4−3にあります「取締役会の独立した客観的な立場」、これを形式的ではなく実質的に確保することは可能なのかという課題は極めて重要なテーマだと思います。この点、立派な経営をされている企業のトップほど、このテーマに敏感で、かつ前向きに対応されているという経済学者の方のインタビューもありますし、今回の佃さんの報告にも、ある一定の方向感があるかという気はいたします。

東証さんから出された参考データの8ページなんですが、8ページの市場第一部の企業というのは、大まかに言いますと、9人から成る取締役会のうち2名が社外、逆に言えば、7名は社内で、この7名の方というのは、平田教授がおっしゃる「社長が人事権を有する取締役」になります。

一方、この下から2つ目にありますJPX日経インデックス400構成銘柄によりますと、社外の取締役が3分の1以上というカテゴリーが21.8%、右から2つ目ですね。これは大幅に高いわけで、これは先ほど申し上げました、こういう会社のトップの方々のこの問題に対する感性の高さを示しているんではないかという気がいたします。

ただ、そもそも社外取締役は誰がどういう人を選んでいるんだという、こういう実質的な論点もあると思います。現実問題としまして、現在の日本では、実質的には会長とか社長とか、場合によってはOBとか、そういう方々が選任するのが一般的と聞いていますが、そうであれば、結局、取締役会は全て社長が選んだ人の集まりということになりまして、そういう組織が社長を頂点とする執行の監督をするのは不可能だと思います。ましてや、必要なときに社長を解任するなんていうことはあり得ません。

アメリカのガバナンスの歴史でも、かつては同様に、取締役もCEOの友達、知人からなるケースがほとんどだったということですけれども、80年代に機関投資家が台頭して、投資家が説明責任や受託者責任を果たす独立した取締役会を求めるようになったということであります。私自身、ユニオンバンクとかモルガンスタンレーというアメリカの2つの金融機関の取締役を通算10年ぐらいやっていますが、そこの経験とか同僚の話を聞きますと、アメリカでは社外取締役の候補者探し、選任、これは主として社外取締役が行うとのことです。つまり、社外取締役が主導することが一般的で、そこには、CEOの友達だとか知り合いだから取締役にするという、こういう発想が入り込む余地はありません。従って、社外取締役の数の推移を見る、もしくは、その分類を見るだけでは、取締役会の責務に関する高度な原則が実質的にコンプライされているか判断するのは極めて難しいと思います。原則4−11にある、「取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件」の項目に加えて、「取締役の資格要件や選任過程」などがどのように考慮されているかということが大事だと思います。この「取締役の資格要件や選任過程」が1つの重要なポイントだろうと私は思っています。こうした項目も、原則4−9にある独立性に加えて、自主的に開示されることが期待されます。

「業務の監督などの受託者責任」を発揮する取締役会かどうかを検証するためには、取締役会構成の実態というものに踏み込む必要があると思います。特に指名委員会等設置会社の場合には「業務執行の決定」を行わず、「業務の監督」に特化することになりますから、監督機能が実質的に担保されていることを示すためにも、指名委員会における取締役の選任基準とか選任過程については、なお一層透明性が求められると思います。

ほかにもコメントありますが、時間が限られていますので、この辺で一旦切らせていただきます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

じゃあ、西山メンバー、お願いします。

【西山メンバー】

投資家の方とか企業の方々とお話ししている中で、私自身、ポイントとなるかなと思っているところを2つお話をさせていただきたいと思っております。

1つは、兼任の社数の件でございますけれども、私、個人的に、社外監査役も含めて兼任状況を調べたことがありまして、中を見ていくと、あるグループのトップの方が周辺の会社の社外取締役をやっているケースがあったりとか、あるいは、弁護士の方とか、そういった方々が多くの社外取締役、あるいは社外監査役を務めているケースもあり、それ以外にももちろん、企業経営者の方、多数、多彩という形になっているので、何社が適当かというのはなかなか難しいところではあると思いますし、また、ある程度、その業務に専心することができる方がやっていらっしゃるということと、それから、ほかにも、業務を多く持っていらっしゃる方が兼任される場合では、おのずから違ってくるところもあるかなと思っています。

ただ、企業の方々とか、あるいは、実際に社外取締役をされている方々とお話をしますと、やはり4社ないし5社ぐらいというのが、ある程度、目線としてあらわれてくるところなのかなと思っております。

ある方が社外取締役を受ける際に、どういったことを考えますかということ、その1つとして、やっぱり取締役会が重ならないようにということをおっしゃっていらっしゃいました。何社も兼任していくと、どうしても取締役会が重なってしまうとか、あるいは、先ほど、取締役会の回数のお話がありましたけれども、今、大体月に1回ぐらいかと思いますが、中には月に2回とか3回とかやっていらっしゃる会社も実際にはまだ残っているようでありますし、そういったところに兼職の多い方が入ってしまうと、どうしても期待される機能が果たせなくなってしまうところがあると思っています。ですから、数で区切ることはなかなか難しいところではありますけれども、社外取締役をやっている方、あるいは投資家サイドの目線としては、4社ないし5社ぐらいというのは、ある程度の基準としてあるところなのかなという印象を持っております。

2点目としては、CEOの選解任というところで、これもよく出てくるんですけれども、顧問の方でありますとか相談役の方でありますとか、こういった方々がどういう役割を果たしていらっしゃるのかというところが、よく話として出てきます。実際に、顧問の方とか相談役の方って、さまざまな役割があるということではないかとは思っているんですけれども、その実態がよくわからないと。ですから、ともすれば、やはりそういった、先ほどもちょっとお話がありましたように、OBの方を含めた方が次のCEOを決めているんではないかと。そういった不透明さにつながっている部分があるのではないかなと感じております。

このあたりは、本来は企業が自主的に開示することが望ましいのではないかと思うんですけれども、まだ実際としてどういう働きをしているのか、実際にどの企業にどれぐらいの方がいらっしゃるのか、そういったところも全くつかめないような状況でありますので、こういった機会を捉えて、お願いなんでありますけれども、できれば、そういった顧問の方でありますとか相談役の方が企業にどれぐらいいらっしゃって、どういう役割を果たしているのか、そういったところのアンケート調査なり、そういったことをしていただいて、まず、実態を把握することも非常に大事なのではないかなと考えております。

私から以上でございます。

【池尾座長】

ありがとうございました。

それでは、上田メンバー、お願いします。

【上田メンバー】

ありがとうございます。先ほどから、実態の認識や把握が大事であるというご意見が多数ございまして、実は私、ガバナンスをずっと研究しているのですけれども、ほんとうに実態を捉えるのが困難でございました。そうはいっても、どうにか把握した実態に基づいて、また、海外の状況と比較しながらコメントさせていただきたいと存じます。

まず、本日使われました論点整理に従って申し上げたいのですけれども、まず、機関設計のところなのですが、一応、今のところは、3つの機関設計は全て公平なものであるというような位置づけかと存じます。ただ、この点について、海外投資家はかなりはっきりと指摘しておりまして、3つの委員会について、監査役会設置会社は伝統的な形であって、各国特有のものだということで、受け入れているようです。指名委員会等設置会社、これはスリーコミッティーシステムだということでグローバルな仕組みとしてわかりやすいようです。問題は、新しくできました監査等委員会設置会社です。これは、実質的なところはさておき、形式的に見ると、ワンコミッティーシステムだとの指摘を受けました。やはり形式面では1つしか委員会がないじゃないかと見られているようです。これは、もう厳然たる事実としてそうであるというところでございます。先ほど、東証様からのご報告にもありましたように、監査等委員会の委員長は社内取締役の方が、元常勤監査役であった方が務められているケースが多いということになりますと、どうしても運用面でも、まだまだ満足できるものではないのではないかという懸念を持たれざるを得ません。もし、この制度を今後活用される会社が増えるのであれば、そういった運用面での工夫をぜひ進めていただく必要があるのではないでしょうか。そうしませんと、監査等委員会は、ほかの制度と比べて、やや劣ると言うと表現がよくないのですけれども、足りないものが多い制度だとみられるのではないかということになるのではないでしょうか。

あわせて、そこに関連してくるものが、任意委員会です。任意委員会は、おそらく東証様のほうで、何社が採用しているかおわかりになるかと思います。私が、去年、コーポレート・ガバナンス報告書の記述を1つ1つ読んでいった結果を金融庁の金融研究センターの論文で公表したものがあるのですが、監査役会設置会社のうち40.7%、約700社強の会社で任意の委員会を設けていました。そのうち、報酬委員会が120社程度、指名委員会が70社程度、人事委員会が40社程度。いずれも110〜120社ぐらいの会社が指名、あるいは報酬にかかわる委員会を設けていたという結果がございます。これは、よい取組みなのですね。ですので、こういったところは、よい取組みとして何かアピールできないかと思います。こういう取組みを後押しするようなコードであれば、よく海外から指摘される、制度が足りないとか、そういった意見に対する反論として、よい取組みが実態としてあるのだという主張ができるのではないかなと思います。

続いて、長くなって恐縮なのですが、社外取締役についてです。社外取締役についても、前回欠席した際に海外をいろいろ調べていたところ、社外取締役の独立性基準がないんじゃないかとの指摘を多く受けました。せめて、東証の原則にあるような、示唆でもいいから、こういったポイントで考慮すべきというのが必要なんじゃないかと、こういう意見が多くございました。ただ、社外取締役の独立性というのは、これは大変危険なものがございまして、独立性を追求し過ぎると、今度は資質が足りなくなってしまう。このあたりのバランスですね。本日お出しした意見書にもちょっと書いたのですが、コードに対する取組みは誰を納得させるかというと、市場参加者、株主とか投資家を納得させるものであると考えます。とすれば、彼らが求めるような答えというか、説明をしてあげるのがコードの本来的な趣旨じゃないかなと思います。そうすると、独立性について、例えば、取引関係、株主出身であったとしても、ほんとうに資質を認めているのであれば、そのような説明をして納得させていくと、多分、こういう努力が会社さんには必要なのであろうと思います。他方、投資家の側も、外形基準で判断できる独立性とは違って、資質の評価は難しいのですが、そういったところを酌んでいこうと、こういうことが対話の種にもなるのかなと思います。

独立性については、現状のコーポレート・ガバナンス報告書を読んでいると、残念ながらボイラープレートと見ざるを得ない。どこかで読んだような文章をまた読んでしまったというようなご説明があるのも事実でございます。そのあたりを、会社さんは大変ご苦労だとは思うのですが、自分の言葉で相手、相手というのは投資家や株主などマーケットですね、これを満足させられるような言葉になれば、必ずしも独立性だけということではなくて、資質の面で幾らでも理解を得られるのではないかなと思うところです。すみません、長くなりました。

【池尾座長】

ありがとうございました。

それでは、ご発言、いかがでしょうか。岩間さん、お願いします。

【岩間メンバー】

先ほど、田中メンバーからご指摘あったところは非常に重いお話だろうと私は思っております。機関投資家がアメリカのガバナンスを変えていったと。取締役会のあり方そのものについても、極めて踏み込んで積極的に関与していったということで、私は、言ってみれば、機関投資家の代理業者の投資顧問の協会の会長をしておるわけでございますが、この点において、やはりスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードが折り合うというか、両輪として、どれだけ機能するかということになってくるんだと思っておりまして、会社側、経営側が執行と監督をきっちりと分けて、監督というのは、単に行儀作法を見るというだけではなくて、会社の長期的な企業価値の増大に向かっての戦略とか、そういうことについても踏み込んだ議論をしていただくことが非常に大事であることだと思います。機関投資家として、やはりガバナンスが実際にその会社にとって最適な形になっているのかと。あるいは、説明で済ませるところ、全部コンプライしなくても、会社の個別の事情によってエクスプレインするということで、ちゃんと機関投資家なり社会に納得性のある説明ができるかと、そういうことも含めて役割を果たしていかなきゃいけないということなんだと思っておりまして、そういう観点で言いますと、逆に、経営側から機関投資家に対してどういうことを期待するかということについても、大いにご注文いただきたいというのが私の痛感しているところであります。

会員メンバーの中にも、かなり一生懸命、スチュワードシップ・コードの本意に対して、そういうアプローチを試みることをやっているところは出てきておりまして、それについてのいろんな知見も出てきておると思いますが、そういうことをうまくかみ合わせて会社側とうまく対話ができると、対話が深まり、取締役会の活性化、あるいはガバナンス・ストラクチャーそのものの質的な向上に繋がっていくのだろうと。あまり細かいことを言うつもりはありませんが、そこが我々としては鍵なんじゃないかと思って取組んでいるということでございます。

【池尾座長】

ありがとうございました。

小口メンバー、どうぞ。

【小口メンバー】

ありがとうございます。事務局でご用意いただいた資料2の順番で話そうと思ったのですが、今、お話を聞きながら、自分の話しやすい順番で話させていただこうと思い直しました。まず、独立社外取締役のところ、2つ目の点ですが、人数の話がコーポレートガバナンス・コードをつくるときに脚光を浴びて、2名という話がかなりクローズアップされたのですけれども、独立社外取締役というものがほんとうの意味で実質的な役割を果たそうとした場合、例えば、法定の委員会もそうですし任意の委員会でもそうなのですけれども、そういうところで実質的に意味のある役割を果たそうとした場合に、2名でほんとうに負担過多にならずに機能発揮ができるのかという点は、これはグローバルの機関投資家からよく質問されることでございます。その意味で、今日、佃メンバーがつくっていただいた資料というのは、全くここに書かれているとおりだと思うのですが、1つだけ、最後のページ、16ページのところで、「今回の調査では、独立社外取締役の数が多い企業ほど独立社外取締役の貢献を高く評価」していると書いていただいていますけれども、これは逆じゃないかなと思いまして、独立社外取締役の貢献を高く評価するから数が多くなるということなのかなと考えました。ですから、独立社外取締役をほんとうに使っていこう、特に任意の委員会などで活用していこうとした場合は、原則4−8で一応3分の1という数字が出ているのですけれども、3分の1というのは形式的な意味じゃなくて、実質的にほんとうに意味のある水準として、もう一度考え直す必要があるのではないかと考えているのが1点目でございます。

それと、今のところに関係して任意委員会ですけれども、任意委員会については、コーポレートガバナンス・コード策定の有識者会議でもいろいろ議論があって、最終的には、補充原則4−10マル1で、独立社外取締役が取締役会の過半に達してない場合は、独立社外取締役を主要な構成員とする任意の諮問委員会の設置が例示されることで落ち着きました。これについては、グローバルな機関投資家からは、今回のコーポレートガバナンス・コードはすごくいいのだけれども、不満があるとすると、ここの部分であって、監査とか指名とか報酬といった重要な諮問委員会の目的や実効性について記載が十分ではないし、独立社外取締役が議長を務めるといった話とか、あるいは、過半が独立社外取締役といった実効性担保については、次回の改定のときに検討要請したいという意見を私は聞いています。

それで今回、残念な事件もあったということもあるのですけれども、やはりもう一度、今日の話にも出ていましたが、取締役会の機能の独立性とか客観性、説明責任といったものの強化について、改めて考える必要があるんじゃないかなと思っています。

蒸し返して恐縮ですけれども、コーポレートガバナンス・コード策定の有識者会議でも申し上げさせていただいたのですが、OECD原則の中でも、監督とか指名、報酬、それから、いわゆる関係者取引といった利益相反の可能性がある事項については委員会の役割、法定委員会がなければ任意委員会になると思いますけれども、そういった委員会の設置について触れていますが、日本でもその方向を奨励するといった考え方があるのではないかなと思います。そしてその構成については、これも有識者会議では提案させていただいたのですけれども、独立社外取締役が過半であるとか、あるいは、今回のコーポレートガバナンス・コードには、筆頭独立社外取締役という機能に言及していますけれども、そういう方を議長にするといった形で、取締役会の機能の独立性とか客観性について、委員会を使って強化し担保していくことを、もう一度考えるべきじゃないかなと思っています。

そこに関連してなのですが、少し飛びまして、CEOの話ですけれども、これがやはり一番難しいというか、大変な話だと思います。先ほど、田中メンバーがおっしゃったように、現実問題として、部下の社内取締役の方がトップのCEOの首に鈴をつけられるかといえば、これが現実的な対応とは考えにくく、非現実的と考えるしかない。そうすると、やはり独立社外取締役がその任を担うしかないのではないかということになります。あるいは、選任についても、具体的にどなたが選任されるかという結果は別として、選任過程の透明性とか客観性を担保する意味でも、やはり独立社外取締役の存在は不可欠じゃないかなと思います。そう考えてくると、CEOの選解任については、先ほどの指名委員会のお話が資料として出ていましたけれども、そういった委員会をつくっているところはそれが通常のルートになるかもしれませんし、なければ取締役会に対してということになるかもしれませんが、客観性と透明性を兼ね備えた独立取締役だけの判断が必要になってくるのではないでしょうか。

そうすると、補充原則4−8マル2の筆頭独立取締役といった役割とか、独立社外取締役のみのエグゼクティブ・セッション、先ほど、佃メンバーからは、まだそこに関するアンケートはなかったというご説明がありましたけれども、今回、補充原則4−8マル1でエグゼクティブ・セッションがガバナンス・コードの中には入っていますので、独立者だけで構成されたそういった会合を筆頭取締役が中心として開催する機能を、一番難題のCEOの選解任ところでどのように活用していくかというのは、1つ考えるべき重要論点じゃないかなと思っています。

それから、行ったり来たりして恐縮ですけれども、ガバナンス全体のあり方についての真剣な検討という点です。先ほど東証の資料でもございましたけれども、今の取締役議長というのは、社長か、もしくは、多分前社長だと思いますけれども会長がつとめるのがほとんどです。コーポレートガバナンス・コード策定時の有識者会議の繰り返しになりますが、取締役会のチェック・アンド・バランスを考えたときに、ワンボードの中で客観性を保つという意味でいくと、取締役会議長と社内者であるCEOの実質を伴った分離はすごく有効な手段じゃないかなと思っていますし、これは1つ、これからも考えていく必要があるのではないかなと考えています。

いろいろ言って恐縮ですが、今回の東芝の事件や、2011年のオリンパスの事件を振り返ってみると、結局、何が機能したかというと、最後は内部通報が働いたというのが現実で、順番としては正しくないのかもしれませんが、結果的には内部通報があったから初めて表に出てきたということは認識しなければなりません。そうすると、内部通報というものを最後のとりでとしてどう考えていくのかは、避けて通れない問題になってきます。コーポレートガバナンス・コードの中では、補充原則2−5マル1で、経営陣から独立した窓口設置というのは書いてあるのですけれども、現実問題として、社内につくった窓口がほんとうに機能するのかなという疑問もあります。今回のケースは、いきなり証券取引等監視委員会にいったという報道がなされていますけれども、そういう社外とのダイレクトラインみたいなことについて、外国人と話をすると、そっちのほうがほんとうは効くのではないかという声もあって、いずれにしても、内部通報というものがやはり過去の事件で働いたということなので、その部分をもう一度重視して考えなきゃいけないのかなという点があります。

不祥事に関してもう1つあるのは、これもコーポレートガバナンス・コードには原則3−2として書いてあるのですけれども、株主や投資家に対して責務を負う外部会計監査人が、どうして機能しなかったのかなという点です。内部事情はよくわからないのですが、我々投資家からすると、内部通報というのはあくまで最後の手段で、その前に、もちろん社内の方による対応にまず期待するのですが、やはり外部会計監査人に期待するところも大だと思うのです。外部会計監査人がどうして期待される機能をしなかったのかなというところも、改めて懸念として出てまいります。

長くなって恐縮ですが、最後まで話させていただきます。機関設計については、先ほど上田メンバーからもご指摘があったのですけれども、どの機関設計も等しいというのが今回のコーポレートガバナンス・コードの合意事項であるのですが、実際に上場会社がどういう意図でその機関を選択して、どのように機能しているかということについては、株主をはじめとするアウトサイダーには見えないわけですよね。もっと言えば、日々、何が起こっているかなんていうことを投資家が知ってしまうと、それはインサイダーになってしまうので、あり得ない話だということになると、先ほどの佃メンバーの資料でも、取締役会評価の説明に出ていましたが、PDCA(Plan・Do・Check・Action)を廻して結果を開示するという意味で、取締役評価というのはすごく意味があるのではないかと思っています。第三者による外部評価というアプローチもあるのですけれども、まずはインサイダーである取締役会が当事者として、自分たちが選択した機関設計が形式じゃなく実質的にどういうふうに機能したかということを1年に一度振り返って、それを外部に発信するというのは、各社の経営が異なる以上、その振り返りは会社によって絶対異なるはずですし、年によっても違うはずなので、株主との対話にも大変寄与するものになるのではないかと考えています。

機関投資家の側に立ってみますと、最近、機関投資家もガバナンス評価をいろいろしていますが、これはある程度いたし方ないことなのかもしれませんけれども、事件発覚前から東芝のケースについて厳しく評価していたという話は、正直聞いてなくて、やはり外形での評価となってしまう。あまり個別企業名を連呼してはいけないかも知れませんが、東芝について言えば、投資家からは、外形基準でガバナンスについて高評価を受けていたというのは、事実だと思うのですね。そうすると、機関投資家における、そういった実質を伴わない外形による形式評価を排除するという意味とか、あるいは、機関投資家が、企業を理解し取締役会の機能をもう一度考える。もう一度というか、これから新たに考えていくということになると思いますけれども、そのための情報としても、取締役会評価を意味のあるものとして考える必要があるのではないかと思っています。

【池尾座長】

高山さん、江良さん、冨山さんで、川村さんという順でお願いします。

高山メンバーから。

【高山メンバー】

私からは、これまでも多くの委員から言及された機関設計に関連して、この内容について、どういうふうに対外的に、特にグローバルな投資家に対してメッセージを出したらいいか、そのフレームワーク、話の組み立て方について少し意見を述べさせていただきます。

東証さんからのデータにありましたように、現在、9割以上の企業が監査役会設置会社を採用しています。これらの企業は、これがベストなガバナンスの形だということで採用されているんだと思います。監査役会に関しては今までいろいろ議論がありました。例えば、日本の監査役会は日本固有なものなので、海外の投資家には理解しづらい。よって、指名委員会等設置会社であるとか、あるいは監査等委員会設置会社のほうがより優れているとか、そちらに移行したほうがいいというような議論もあったかのように記憶しております。

私は、これまで、海外の投資家と話したり、あるいは企業と投資家の対話にいろいろ立ち会うケースがありました。従来までの議論における一番大きな問題は、日本の監査役会の意義、すばらしさを説明する際に、日本には監査役会という独自なシステムがある、よって、独立した社外取締役は必ずしも必要ではないというように、独立社外取締役の存在と監査役会の存在を、ある意味、二者択一のような形で設定して議論しているケースが多かったように思います。こういうような議論になった場合、投資家としては、取締役会がガバナンスの上で一番重要だと考えており、その中で、独立性が高い社外取締役が一定数いることは非常に重要だと思っていますので、そのように二者択一を迫られれば、独立社外取締役のほうにフォーカスする。一方、監査役会に対する評価は必ずしも高くないという状況に、かつてはあったと思います。

今、何が変わったかといいますと、ガバナンス・コードの設定によって、複数の独立社外取締役が求められるようになって、実際に、その人数が非常に増えていることです。間もなく、ほとんどの企業が複数の独立社外取締役を置くことになるでしょうし、その先は、3分の1に向かっていくだろうというような状況だと思います。この状況であらためて現状を確認する必要があります。社外取締役は非常に重要ですけれども、これは必要最低条件で十分条件ではありません。社外取締役がいるだけでは、ガバナンスの実効性は上がらない。実効性をあげるために、いろいろな工夫をしていかなければいけない。ガバナンス・コードは、そのような工夫や方法がいっぱい記載されているものです。コードに書かれている内容を活用することが非常に重要になっていくでしょう。ところで、各国においてガバナンスを向上させるための工夫の中には、世界共通なものに加えて、各国独自なものもあります。例えば、グローバルで必要性が求められている指名委員会のようなものは非常に重要ですが、それに加えて、その国の歴史、経緯を踏まえた独自なシステムが各国にあります。それぞれ、そのようなしくみを使いながらガバナンスの実効性を上げているのが現状だと思います。

そういう観点から考えると、監査役会というのは日本独自のシステムです。独立社外取締役の存在はとても重要ですが、それだけでは到達できないところに行くうえで、監査役会の存在が大いに貢献するということを、さまざまな事例などで説明することができるのではないか、と思います。今、ガバナンス・コードという投資家との対話の土台ができ上がりました。今までの説明の方法を見直し、コードをベースにして、改めて監査役会について、そして、それぞれの機関設計の説明を対外的にしたらいいのではないかと思います。

ちなみに、海外の投資家が日本の監査役会に関していろいろコメントしていますけれども、理解できないから監査役会はよくない、というような乱暴な議論はあまりありません。例えば、ACGAという、グローバルな機関投資家から構成される組織があります。アジア各国や日本株に投資している投資家の団体ですけれども、ACGAが監査役会と監査委員会に関する比較のレポートを、日本語でも2年ほど前に出しています。彼らは、監査委員会のほうにより高い評価を与えています。その理由は主に次の2つです。

1つは、監査委員会のメンバーは取締役会において議決権を有しているということです。この観点から日本の監査役会について考えてみますと、監査役会のメンバーは取締役会に参加して議論に貢献していますが、議決権は有していません。ただ、ガバナンス・コードでは、社外取締役と監査役及び監査役会とのコラボレーションが要請されています。双方でさまざまな情報を共有することによって、実際の議決権を有している社外取締役が、議決権は有していないもののたくさんの情報を持っている監査役会の経験、情報をもとにして、取締役会で意思決定をすることも可能になると思います。そうなりますと、指摘された問題点は、ガバナンス・コードの活用によって解決できるという説明もできると思います。

あと、監査委員会の強みとしてもう1つ挙げられているのが、内部監査責任者と監査委員会との間でダイレクトなレポーティングラインが存在することです。それは英米では一般的なことです。海外の投資家が監査委員会を想定するときに、無意識のうちに、アメリカやイギリスなどの国の実態をベースにして考えていると思います。

監査委員会においては、このレポーティングラインに加えて、メンバーの多くが社外取締役であり、委員長も社外取締役であることが当然だと、海外投資家は考えているでしょう。そのような実態を考えると、例えば、監査役会設置会社よりも監査等委員会のほうが、よりガバナンスに関して実効性があるという理由で移行するのであれば、同時に、海外の投資家、これは日本の投資家もそうだと思うんですが、投資家が、監査委員会に期待するような構成であるとか仕組みであるとかというのも監査委員会が備えていないと、彼らに対して説得力を持つことができないということになると思います。

以上、少し長くなりましたけれども、現在の日本企業が選んでいる取締役会の形態に関して、せっかくできたガバナンス・コードというすばらしい枠組みを使って、もう一度、説明の仕方を見直して、効果的に対外的に発信できればいいのではないかと思います。

以上です。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

じゃあ、江良さん。

【江良メンバー】

ありがとうございます。挙げているうちに、発言されてしまったものも大分あるので、要点をまとめて手短にお話しできればと思いますが、やっぱり原点に戻ることも重要かなと思っておりまして、この会議の1つのポイントとして実質をどう担保していくという点がありますが、形式も大事ですけれども、実質面の充実をどう図っていくかということからすると、今までの事件の反省の1つとしては、いくら形式が伴っていたとしても、やはり魂が入ってなければ何の役にも立たないということが1つあったのではないかと。社外取締役の人数がたくさんいても、残念ながら、それは機能しなかったというケースも何回も見てきているわけで、日本だけの話ではないと思いますけれども、その点については改めて認識して、どのように社外役員の方、あるいは、ほかのガバナンスの設計についても実質を高めていくのか。ぜひ、中味の話を充実する方向で検討していければいいのではないかと思っております。

その1つの取っかかりとして、機関設計の話で、今、日本においては3つあるわけで、いろんなご意見もあったかとは思いますが、これについては、基本的に3つとも平等、すなわち、ある制度がいい、ある制度が悪いというような考えは全く持っていません。実際の投資判断においても、監査役設置会社をディスカウントしているとか、そういった制度設計のあり方が投資判断に影響しているという実態があるかというと、それもないわけです。ですので、この点については、基本的に発行体企業が各自の現状、事業の状況、組織のあり方、経営の今後の方向性を踏まえて、最も適した形を会社さんが決める。きちんと検証した上で決める。そして、それについて、なぜその制度設計を選択したのかということについて株主に対してきちんと説明できれば、十分な説明になるのではないかということを思っております。

そういった観点から、1つだけ、あえてご紹介するのですが、先ほど、監査役設置会社が96%ぐらい、非常に多いということですけれども、監査役設置会社を採用するということは、本来であれば、それを意図的に採用しているということだと思いますので、改めて、なぜ、監査役設置会社が、会社の現状に最も適しているのかということも含めて検証いただいて、結果として監査役設置会社を採用されるということであればそれはそれでいいと思うのですが、改めてその検証プロセスなんかも投資家に開示いただけると大変いいのではないかなと思っております。

また、取締役会の独立した客観的な立場からのあり方など、いろんな考え方についてご紹介いただいたかとは思いますが、この点については、さまざまな場所で議論もされているということもあえてご紹介すべきかと思いました。本日、座長であった先生がいらっしゃらないようですけれども、経済産業省様のほうで、コーポレート・ガバナンス・システムの在り方研究会というところで、まさに、どういった取締役会の実務が今、日本において存在していて、海外でもどういう事例があって、どういった取組みを図っていくことで実務を充実していくのか。指針とまではいえないかもしれませんが、一定の考え方について、企業に対して、参考書というのは言い方が変かもしれないですけれども、参考になるような成果物も出ているわけですので、そのあたりの考え方やレポート自体についても改めて再評価すべきなんじゃないかなと思うところは1つございます。ですので、各論については、すでにそういったところでも議論が行われているので、過去の議論も踏まえて、今後考えていけばいいのではないかと思っております。

最後に、CEOの選解任という点ですけれども、選解任は重要だと思いますが、個人的には選と解とでは若干重みが違うかなと思っておりまして、やはりCEOの解任というのは非常に重たいのではないかと。海外を見ても、頻繁に解任が起こっていても困るわけですが、やはり解任にあたっては非常に難しい判断があると理解しております。そのため、どちらかというと、CEOの選任プロセスにおいて、当たり前の話のようになってしまうかもしれないですけれども、普通の一般常識から考えて、この人はどう考えてもおかしいと思われるような方がCEOにならないような仕組み、あるいは、おかしいと思われる人は選任しないという判断がきちんと選任プロセスにおいて機能することにフォーカスを当てて考えていくというのが極めて現実的な対応なのではないかなと思っております。

簡単ですが、以上でございます。

【池尾座長】

ありがとうございました。

では、冨山メンバー。

【冨山メンバー】

たまには、後ろのほうでしゃべるということで。東証さんのいろんな数字を拝見していて、あと、エゴンゼンダーさんの数字も拝見していて、要は、形式から実質へという議論を考えるときに、全体の印象をちょっと申し上げたいと思います。やっぱり、この数字には結構いろんな本音が出ていて、ありていに言っちゃうと、少なからずの会社が、今、たまたま安倍政権でガバナンスブームになっているので、もう嵐が吹いていると。とりあえず恭順した振りをして、その嵐が終わって、ガバナンスが嫌いな政権になっちゃうと、また戻っちゃうかもしれないので、それまで首をすくめていようかなという感じの会社が、まだ少なからずあるというのが私は本音として感じます。

こういうときに、そういう人たちの思いを砕くために何が大事かということなんですが、要するに、諦めてもらうということですね。大体改革ってこういう不安定な時期が続くわけで、明治維新も、ほんとうに士農工商の世の中が戻ってくるのを、みんなが諦めたのは、きっと西南戦争あたりですよ。だから、10年かかっているんですね。ですから、これも10年ぐらいしつこくやったほうがいいということが大事で、そういうふうに考えると、この運営方針のもう1つのほうの資料ですかね、今後のフォローアップ会議の運営方針として、当面、月1回でいいんですけど、これ、もう10年ぐらいやることにしたらどうですか(笑)。要するに、途中から年に数回でいいので、10年間しつこく、ぐじぐじ、ぐじぐじやり続けるぞと。それも、できるだけこういう、うるさ型のメンバーでやり続けるぞと。そういうふうにしておくと、仮にこういうフォローアップ会議を廃止するような政権とか長官が出てきたときには、そいつは明らかに守旧派ですから、それが明確にわかるので、そこで一旦決めちゃっておけば、抵抗勢力としては、どうも10年続くと、自分のサラリーマン人生が、少なくとも偉い人はあと10年以内でやめる人が大半なので、自分の目の黒いうちはこれが続いちゃうと思うと、無駄な抵抗はもうやめるんじゃないかなという感じがしているので、非常にそれが大事なんではないかと、これは結構真面目に思っています。やっぱり日本的改革って、しぶといやつが勝つので、持久力の勝負かなと思うことが1つ。

それから、その脈絡で幾つか申し上げますと、余計なことを言うようですけれども、特に、今日、メディアの方もいらっしゃる場でこういうのをやることはすごく大事なことですね。これをしつこくやり続けることが大事で、ついでに言っちゃうと、メディアも、ガバナンス、怪しいんですよ。メディアのコーポレートガバナンスというのも、ぜひとも皆さん、考えていただければ。これ、書いてもらっていいですよ。私、メディアの社外監査役をやっていたことがあるので申し上げますが、意外とメディアって、会社の形態、古くさい会社が多いですよね。がちがちのサラリーマン共同体系の会社が少なくないので、ぜひとも考えてもらったら、連動してすばらしいのかなと思っております。

あと、ちょっと細かい話を何点かします。1つは、監査委員会と内部監査部門・外部会計監査人との連携云々、レポートラインのあり方なんですが、ありていに言っちゃうと、やっぱり今回の東芝の問題が、最終的にはここが防波堤になったのが効かなかったという問題だと思いますけれども、これについて、やっぱり監査法人の問題はどなたかも指摘されていましたけれども、やっぱり、これ、ちゃんと、落とし前とは言いませんけど、カネボウのときは、とにかく中央青山は解散になっていますから、これ以上減っちゃうと、実際、監査が困るという、大手がなくなっちゃうので困りますけれども、そういうリアルな問題はちょっとこっちに置いておいて、何でそれが機能しなかったかという責任追及というか原因追求、そこはやっぱりきっちり、これは金融庁さんにお願いなんですが、ぜひともやっていただきたいなと思っています。

それから、やっぱりレポートラインとして、監査法人なり内部統制とか内部通報ラインと社外役員、これはケースによっては取締役のケースもあれば監査役もあると思いますが、このレポートラインというものを明示的に確立することは私はすごく大事だと思っていて、やっぱりチクる側からすると、自分がチクった行為が結局、社長、必ず経営執行部のラインを通っていくということを前提にすると、やっぱりビビるのが当たり前で、要は、本質的なやつほど自分が粛清されるリスクがあるわけですから、そこは安全な場所に。いきなり証券等監視委員会というのは、一般のサラリーマンの感覚では、それはめちゃめちゃ恐れ多いことでありますから、やっぱり時々顔が見える社外の監査役なり社外の取締役のところに通報できるという仕組みは、これはある程度モデルとしてというか、コードレベルでは明示したほうがいいような気が私はしています。

そのときに、逆、裏返しで、今度、内部通報、密告される側のトレーニングも大事で、私、こういう感じで仕事をしていますから、再生機構の時代を含めて、とにかくやたらめったら密告されています。その手の文書は結構見なれているんですけど。現実問題として、十中八九、ただの私怨です。要するに、はっきり言って、くだらない話です。ただ、10に1つ、場合によっては20、30に1つは非常に重大な真理がそこに端緒として書かれている場合もあります。

そうすると、要は、密告される側がナイーブだと、毎回毎回、ばかみたいに大騒ぎをされちゃうと、これまた、経営としてかなわない部分があるし、変な権力闘争をむしろそこであおることになるので、そうすると、やっぱり今度は、密告される側の熟度といいましょうか、どうそれを消化するかという、これは最終的には能力の問題だと思いますけれども、そこもあわせて、ここのラインをどう充実していくかという議論はすごく大事なんだろうなと思っています。

その脈絡で、さっき出た監査等委員設置会社の議論、実質論として申し上げますが、これも本音で言っちゃうと、今回、はっきり言って、緊急避難でここに行った会社、少なからずあると私は認識しています。2人、とにかく確保しなきゃいけないので。少なくとも、この状況における監査等委員会設置会社というのは、3つの機関設計の中では最弱です。間違いなく最弱です。これは断言しちゃいます。要は、担い手というのは、元監査役だった人ですね。社外監査役の人が取締役になっているということは、おそらく社外取締役の中には、経営経験者がいないということになってきます。守りに関しては、確かに彼らがそれなりに機能すると思いますが、守りについても、今まで4年の任期が過去担保されていたのが、今度、1年になっちゃいますね。4年から1年になるって、やっぱりこれはそれなりに大きいです。

かつ、さっき田中さんが言われたように、毎年の名簿を仮に経営陣がつくっているとすると、むしろ4年間は経営陣のことを、ある意味ではシカトしてがんがんできたのが、毎年毎年、首実検にかけられちゃうわけですから、これははっきり言って、ACGAの見解は形式論としては正しいけど、実質論としては間違いです。絶対弱くなります。

そうすると、やっぱりこのままでいてもらっちゃ困るわけで、要するに、監査等委員会に行っちゃったら最後は指名委員会に行かざるを得ない流れ、そこに踏み出しちゃったら、そっちに行かざるを得ないので、やっぱりそっちにどんどん、どんどん押し出していくような仕組みを考えていかないと。これ、意外と居心地いいぞと、多分、気がつくんですよ。このままずっといたほうが、さっき言った、首すくめて待っているのには、ガバナンス何とか等、もうそういうふうに言ってくれているから、監査役会設置会社よりも褒められちゃうし。そこで、じーっと首をすくめるのにはすごくいい場所なので、こういうのを許すべきではないので、それを追い込んでいくような仕組みを、やっぱりワーニングを出していくべきだと思います。

あと、選解任の問題なんですけれども、私はやっぱり、これに関してはラディカルで、先ほど、わりとモデレートなコメントがありましたが、やっぱりこれはラディカルで、とんでもない人でないんじゃだめです。やっぱりCEOは、考えるベストの人間を選ぶ仕組みを絶対考えるべきです。ここについて、私は社外は絶対コミットすべきだと思います。要は、会社の命運というものは、今どきの時代において、極めてCEOにかかっています。要は、環境が右肩上がりで連続的な変化のときというのは、極端なことを言えば、CEOというのは充て職みたいなもので、みこしは軽くて何とかでいいというのに近い時代があったことは事実なんですが、今のように右肩上がりじゃない、ボラティリティ高い、環境変化が不連続に急激に起きる時代、かつグローバル競争です。こんな時代において、CEOの指導力、経営力はほんとうに会社の命運を左右しますから、当然のことながら社外取締役は、これはもちろん社内も社外も一致協力して、必死になってベストの人間を選抜し、鍛え、指名していくことをやっていくのは極めて極めて取締役会の重大な使命です。これは、法定上、明確に与えられている権限ですから。要するに、会社法の仕組みというのは議院内閣制みたいなものですからね。

皆さん、結構、勘違いがある。メディアの人も勘違いがあるんですけど、株主総会は国会ではありません。これは1年に1回の選挙なんです。総選挙を1年に1回やって、そこで選ばれた、要するに、全ステークホルダーの代表たる取締役が国会を形成して、その過半数が内閣総理大臣、社長を選んでいるわけですから、これはやっぱり真面目にやってもらわないと困るわけで、したがって、ここは私は選任も解任も、常にこの人がベストであるかどうかということを基準にやっていくべきだと、ここは結構こだわります、私は。

あと、もう1点、最後です。取締役会の評価と、先ほど、エゴンゼンダーの佃さんからあった議案の問題です。これ、真面目にモニタリングとして機能する、あるいは業務執行でもほんとうに重大な問題を議論するのであれば、1議案、最低20分間は絶対に必要です。これ、5分ということはあり得ないです。だけど、私の経験した、どこの会社とは言いませんが、ある取締役会ですと、議案が20も30も上がっていて、大体、説明は30秒で、ほとんど、その終わった瞬間に、「異議なし」というのを20回、30回繰り返しているような取締役会があったのを経験しております。どことは言いません。なんですが、これじゃ話にならないわけ。やっぱり最低20分はやってくれないと、こんなもの議論にならないわけで、だとすると、やっぱり取締役会評価の、私、この評価の問題というのは、何かモデルを、今のところ、ベストプラクティスがないんですね。みんな、苦労しているので、何らかのモデル提示はしていったほうがいいような気がして、少なくとも項目については、ある種のモデルを提示したほうがいいと思っていて、少なくとも議案数と1議案当たりの平均議論の時間、やっぱり最低20分にすべきだと思います。そうすると、さすがに20も30も上げちゃったら、徹夜してやらなきゃいけなくなっちゃうので、多分、そういうくだらない取締役会はなくなるはずなので、私はそういうモデルをつくっていってもらえたらなと思います。

以上です。

【池尾座長】

ありがとうございました。

それでは、川村メンバー、お願いします。

【川村メンバー】

今、こうやってガバナンスのいろいろな討論をやっている理由は、やはり日本の会社がもう少し稼ぐようにならないといかんと、政治を中心に思っているから、あるいは、ほかの人たちも含めて思っているからだと思うんですね。ですから、ガバナンスの話は、やっぱり攻めのガバナンスが中心になるべきだと思うんです。守りのガバナンスの話も確かにいっぱいあって、私もいろんな守りのほうの話で、つまり、会社にこういう問題があるということで、社外取締役をやっているときに、いろいろ愚痴、意見を言ってくる手紙がいっぱい来ます。でも、それは大体のところ、冨山さんの話と同じで、職場の愚痴です。大体は職場の愚痴ですけど、中には、ちょっと危ないのもある。そういうのは非常に大事です。でも、それは守りのガバナンスでして、やっぱり今一番大事なのは、日本の会社があまり稼がなくても、持続的に成長しなくても、それでよしと今までされてきたところを直したいわけでしょ。それを直したいから、このようなフォローアップ会議をやっているわけなので、ですから、そこのところが一番効き目があるような方向の制度に、今決めたやつを少しずつ、今後修正もしていくべきだし、実効面でそういうふうに持っていくことが一番大事だと思うんですね。

そうなったら、やっぱりプロの世界だと思うんです。要するに、プロ野球と比べるとよくわかります。我々の会社の資本家に見合うのが、プロ野球でいえばオーナーです。それから、我々の会社の取締役会に見合うのがフロントですよね。監督、コーチに見合うのは経営者だと、こう思うんです。プロ野球の世界というのは、フロントが監督、コーチを任命し、また、結果によって解任するわけです。これは成績がはっきり出てきて、これはもうよろしくないと、会社で言えば稼ぎが悪いと。そうなったときは、ちゃんと首を切るのがフロントの役割ですよね。プロの世界はそういうもので、会社だって同じだと思うんですよ。なぜなら、スポーツははっきりそうなっている。芸術もそうなってきた。それから、日本人のコックさんや何かが外に出ていっても、みんな実力で評価される、そういうふうになってきました。だから、全体がグローバルな基準に合ってないものは、だんだん日本の中を直すという方向に今来ているわけですね。プロ野球が、もう完全にそうだと思うんですよ。昔のように、まあまあ、なあなあでやっていた監督は、みんな淘汰されちゃって、フロントがばっさばっさやっているわけです。

ですから、我々も、やっぱり株主・投資家を納得させるというアメリカ流の方向にある程度行かないといけない。要するに、日本全体が、会社が稼いでGDPを増やして、もう少し頑張ろうと、こういうときですから、そこが一番大事なところで、我々としてはやっぱり、アメリカスタイルが好きとかいうのではなくそういう方向に行かないと、会社が持続的に稼ぐというところの原点をどうも忘れそうになるときがしょっちゅうあるものだから、しようがないんだろうと思うんです。

冨山さんの言うとおりで、経営のトップは、ほんとうの経営のプロでなくちゃいけないので、人格高潔な経営のプロでなくちゃいけないんですけど、やっぱり社長を何年もやっていると、少し人間的な弱みが出るときがあります。要するに、権力、権威のところに座っていたくなる。それから、業績が出なくても居座りたくなる。そういうときには、持続的成長の原理というところに反しているわけだから、ばさっとやる仕組みが絶対必要なんです。最初はいい人であっても、途中でそうなることもありますから。

それから、選ぶときももちろんそういうことなので、したがって、特に今、デフレを脱却して、今から成長すると、こういうときですね。デフレのときみたいに、じっとしているのが一番いい政策であるということはないわけです。これからは、ある程度リスクを見ながら頑張って事業を大きくしていくと、そういうときなんですから、そういうときのCEOの選び方はものすごく大事で、間違って選ぶこともあるので、そのときはばさっと切れるようになってなくちゃいかん。その辺の考えで、我々はまだそういうことをやっている途中なんだけど、やっぱり指名委員会等設置会社方式がシステムとしては一番クリアカットだなと思って、やっております。ちょっと感想を申し上げました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、武井メンバー、お願いします。

【武井メンバー】

今日のアジェンダとなっている論点は全て相互にリンクしていると思います。先ほど川村メンバーもおっしゃったとおり、今回のガバナンス改革は企業の持続的な成長のためになされていることであり、そのためにやはり一番実質として重要なのは、企業さん側の持続的成長を支えるガバナンスへの意思なのだと思います。独立社外者にしても独立社外者を生かす意思がどこにあるのか、独立社外者を含んだ取締役会をどう機能させる意思があるのかなどの意思です。その部分がなかなか見えきれていないのが問題の本質なのだと感じています。

今回のガバナンス・コードでも、ガバナンスの定義について「自社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための自律的な仕組み」と、「自律」という言葉が用いられています。重要なのはこの自律と言う部分でして、この自律ということの意味を改めて企業さんにはきちんと考えていただく必要があります。自律的な仕組みとなる企業さんの意思、自社を中長期的に成長させる意思を考え抜いていただいて、それをベースにガバナンス・コードの各項目への対応も進めていただくことが必要なのだと思います。

先ほど議論となりました独立社外者の話にしても、取締役会のあり方にしても、機関設計の話にしても、今の持続的成長に活かす意思が出発点でして、例えば、今回、ガバナンス報告書でコンプライしていることの説明を求めたものの中に、4−1のマル1と4−11のマル1があります。取締役会において何を審議し、何を議論するのかということの会社としての考え方を示してほしいというのが4−1のマル1で、4−11のマル1は取締役会において必要な知識、経験、能力のバランス、必要な多様性について考え方を示してほしいものです。これらはコンプライであっても説明してほしいと求められていますが、そこには企業さんとしての重要な意思があるべきです。日本では今まで、監査役会設置会社が90何%を占めているわけですが、監査役会設置会社の重要な法制的特徴は、監査役という機関が置かれているという点以上に、取締役会がスーパーバイザリーボードとマネジメントボードを法律で兼ねさせられている点に最大の特徴があると思っています。取締役会がマネジメント事項の意思決定にどんどん時間を使わざるを得ないわけで、同時に監査役会設置会社ではこういった4−1のマル1なり4−11のマル1について会社の意思として考えることが少なかったわけです。監査役会設置会社をとっている限り、会社法でマネジメントボード事項を上げてくださいと書いてありますので、4−1のマル1とか4−11のマル1とかについて戦略的に考える契機が少なかったわけですね。今般の会社法改正では新たに監査等委員会設置会社という類型を解禁するなど他の機関設計の選択肢も採用可能になったわけですけれども、監査役会設置会社というのは、会社法がもう決めているので、4−1のマル1とか4−11のマル1とかについて、会社さんとしてあまり考えなくてよい、ある意味、楽な選択肢だったともいえます。経済が右肩上がりの時にはこうしたことについて企業が考えなくてもよい楽な思考回路でも効率的だったかと思いますが、今の監査役会設置会社の規律が置かれた約40年前と違って、今は、日本経済の状況も低成長時代となり、右肩上がりがなくなり、日本企業もグローバルにどんどん展開していかないといけない時代になりました。低成長の中でいかに成長の機会をつくるかという課題に直面している中で、独立社外者を含んだ取締役会でどういった事項を議論し、何を決めてもらうのが一番いいのかということ自体が、ある意味、企業の持続的成長のための戦略性を帯びてきたということなのだと思います。

その観点から、コードで求めている4−1のマル1なり4−11のマル1の開示項目というのはまさに攻めのガバナンスを達成するための1つの重要ポイントとなっていまして、低成長の中でも、企業さんはいろんなビジネスチャンスを見つけて攻めていかないといけない。ただ攻めのガバナンスをしていく中で、やはり肝はリスクマネジメントのあり方にあると思います。いろいろな攻めの経営判断をするにしても、その攻めの経営判断がこういう構成の取締役会におけるこういう多様性の中で議論をしているから、成功の確度が上がると。こういう重要なリスクを伴う事項については、マネジメントボードだけで備わっている多様性だけでは足りない部分を、こういう知識・経験・多様性等が備わっている取締役会にも上げて議論して、取締役会の多様性からのインプットがあるから、より確度の高い意思決定となり、より成功の確度が高まりますと。投資家目線で言うと、こうした意思決定過程を経ることでリスクのボラティリティが下がるから企業価値も上がると評価されると。そういう流れになることで攻めのガバナンスが実現できるのだと思います。

以上のこともあって、今回のガバナンス・コードでは、ガバナンス・コードの趣旨を踏まえた取締役会なり監督を経た意思決定は、経営判断の原則の観点から法的にも支えられ、法的にも攻める環境が整うのだと述べられているのだと思います。

どういう多様性が取締役会において必要なのかという部分と、どういった事項を取締役会に上げるべきなのかというのは、以上述べた通りリンクしている表裏一体の話でして、そこにまさに企業さんごとに、自社の持続的成長のためにどういったリスクマネジメントなりチャレンジが必要なのか、どういった攻めの判断が必要なのかというところとリンクして、どういう多様性が必要なのかという意思とどういったことを取締役会に上げるべきかという意思が示されるわけです。会社さんの自社の持続的成長に向けた意思、ガバナンスの意思としてかなり重要な項目となりますので、今回、コードの73個の中でも4−1のマル1と4−11のマル1はわざわざ、コンプライでも説明してくださいとされているのだと思います。

適用初年度はまだそこまでの戦略的な説明に至っていなくても致し方ないと思いますが、こういったまさに会社の戦略的意思に根ざしたストーリー性を持った説明が重要だと思います。こうした攻めのガバナンスを実現させる意思が示されている良い事例を今後対外的にも紹介していくことが良いかと思います。今まで監査役会設置会社の時代が長かったことによって、取締役会について戦略的に考える契機が少なかった日本の会社さんを、よりストーリー性を持って、攻めに活かす形でガバナンスを整備する流れにつながっていくことが重要だと思います。以上が1点目です。

次に2点目が、機関設計の話は今お話ししたところなのですが、独立社外者の方を活かす意思という観点から付言しますと、取締役会への事項の説明の仕方・上げ方についても、現行のマネジメントボードを兼ねた機関のときの上げ方から変えていかないといけない部分もあるのだと思います。特に独立社外者の方にどういった角度から意見なりインプットをしていただくことを期待しているのかということを踏まえて、インプットが導かれる報告の仕方を今後一層工夫しないといけないと思います。既に変わっていらっしゃる良い事例の企業さんも結構ありますが、独立社外者の方が取締役会にいらしても、淡々とマネジメントボードの方の話を聞いていて、「今の説明で一体、私から何の意見を聞きたいのですか」などという指摘を社外者から受けるようでは意味がないわけです。独立社外者をどういう役割を果たしてもらうために会社として来ているのか、そこの会社の意思がより明確であれば取締役会での説明の仕方も変わってくるはずなのです。取締役会議長のファシリテーターとしての役割も重要になると思います。独立社外者の方がその果たすべき役割を果たせるような報告者側の工夫も行っていく必要があると思います。これが2点目です。

3点目が、2点目に絡みますが、取締役会の中には独立社外者の方だけがいるわけではなく、業務執行取締役もいらっしゃるわけで、そうした業務執行を兼ねている取締役の方の意識改革も同時並行で必要だと思います。1つの業務執行の分野でかなりの実績を上げられた方が取締役になられることが多いわけですが、取締役になられたことによって、今までのオフィサーというか業務執行者としての役割から職責が変わっていることも認識を深める必要があると思います。取締役、英語で言うとディレクターになっているのだというところの意識改革ですね。会社法では監督の職務など職責が変わると書いてあって、頭の中では何となくわかるけど、実態としてはまだオフィサーの感覚が抜けてないという事例が散見されます。新任取締役研修などいろんなトレーニングとかで埋めていくことは当然として、オフィサーとディレクターとの立場の違いを、社内の役員さんも取締役になったことで強く認識していく必要があると思います。これが3点目です。

最後の4点目ですが、指名に絡む話ですが、冨山さんがおっしゃったように、指名において社外者の方からの何らかの関与は重要なのだと思いますが、一番出てくる課題は、社外者がどうやって社内の人を知るのかです。うまく進めていらっしゃる会社さんも幾つかありますが、執行役員の方を含めた社内者と接する機会を増やすことが必要です。ここは取締役会の何を議論するのかという点にも絡むのですが、執行役員の方なり業務執行者の方の報告とかを取締役会で20分なら20分聞くことで、その人の能力を知る貴重な機会となるわけです。指名について社外者が関与するとしても、社外者の方にどういった情報がインプットされる仕組みがあるのかについても、会社さん側の積極的な意思と協力がないと、指名機能もワークしていかないと思います。機関設計の如何を問わず、指名の実質化のためにうまく進めていらっしゃる企業さんもいくつかあるので、そういった良い事例なども紹介しながら、指名のところの実質化を図っていくことが重要かと思います。

以上です。

【池尾座長】

どうも。

じゃあ、キャロンさん。

【キャロンメンバー】

3点ございますが、1つはガバナンス改革の全体像の話です。私は日本が長いので、そのおかげで反省が大好きになったのですが、日本では、いかに改善できるかという話に議論が集中する場合があります。日本はエクセレンスを尽くしている国ですし、当然これからも改革の余地はあると考えています。しかし、強調させていただきたいのは、事実として、ガバナンス改革は非常によい形で行われているということです。我が国のコーポレート・ガバナンスは、昨年度に比べて飛躍的に浸透しており、価値創造の現場である上場企業の意識と行動は明らかに改革に向かって進んでいます。まずは、それを皆さんと共有させていただきたいと思います。

例えば、弊社でも、会社のポリシーとして、コードで求められている2人以上の社外取締役の導入を投資先企業の皆様にお願いすることにいたしました。反応はどうなのかなと思って企業訪問させていただくと、もうほぼ全社一致で、それは当然だろうとおっしゃいます。2年前までは、多くの企業が2人以上の社外取締役の導入については否定的でした。佃メンバーにデータでお示しいただいておりますが、2人以上の社外取締役を導入している企業は、やはりその社外役の機能性を認めておられます。意識と実態を伴った改革は着実に進んでいます。

2点目は社外役の人数についてですが、少しばかり正直にお話させていただきますが、今回のコードは、コンセンサスを重視し、妥協案として2人以上にとどめたと思います。3名以上や3分の1という数字もあり得たかもしれませんが、当時は社外取締役を導入してない企業の反対や、時期尚早という声もありましたし、上場企業の皆様がご納得する形で策定しないと意味がないと私も思いました。一方、欧米諸国では企業の価値創造のドライバーの1つとして「社外取締役システム」を導入して、30年ほど経ちます。結果を見てみますと、価値の創造という観点では、日本は欧米諸国より劣ってしまったと言わざるを得ません。したがって、今後のさらなるガバナンス改革では、徐々に社外取締役の人数が増やされることを期待しています。2人以上が3名以上になったり、3分の1以上や過半数になったりと。私が上場会社の社長とお会いする機会に、社外取締役の導入の効果についてお伺いすると、2つの効果があったと必ず言っていただけます。1つは、社外の目が入ったことによる規律の高まり。もう1つは、価値創造に対する視点の向上。少子高齢化社会の中、我が国のために、私どもの先輩方がつくってくださったストックをどう有効活用するかは、今真剣に対応が求められている責務の1つです。

3点目ですが、冨山メンバーもおっしゃっておられますが、取締役会の審議の内容です。冨山メンバーの20分以上の審議時間をというご意見に私も賛成です。しかし、現実問題、現在の取締役会の議事を見てみますと、細かい話も議案として挙がっています。要は、業務執行会議も兼ねた取締役会となっているのです。取締役会で話されるべきは経営戦略や監督についてであるべきで、取締役会での議論の内容を充実させ、経営のスピード化を図るためにも、業務執行は権限委譲することが必要です。私の経験に基づく話で恐縮ですが、今までの日本の取締役会の議事というのは報告事項か決議事項のみです。決議事項はよほどでなければ当日の決議がなされ、報告事項は聞くにとどまるのが通常の取締役会だと思います。ここで私どもが投資させていただいているある上場企業様の工夫をご紹介させていただきたいのですが、取締役会に決議事項と報告事項に加え、「審議事項」を導入されました。今日は決議しないけれど、報告ではない、中長期視点で経営を方向付ける審議の場です。例えば、来年導入予定の中計の方向性などが事前に審議事項として提出され、社外取締役の意見も含めて議論が重ねられるのです。決議は来年ですが、取締役会メンバーで話すべき重要事項なので事前に審議される。お聞きして、素晴らしいと思いました。このようなベストプラクティスは、まさに日本企業のイノベーションとして、実際に行われています。3点目としては、取締役会の議論を濃く深いものにしていただきたいと考えております。

【池尾座長】

ありがとうございました。

じゃあ、佃メンバー、お願いします。

【佃メンバー】

もう時間もだんだん迫っておりますので、幾つかお伝えしたかったんですけれども、1点だけ絞ってコメントさせていただきますけれども、CEOの選解任でございまして、先ほど、冨山メンバー、川村メンバー、あるいは、その前の小口メンバーからもございましたけれども、こちらの事務局でご用意いただいている資料2のところにもありますとおり、CEOの選解任に求められるべき要素は何かという点でございます。客観性であるとか適時性、透明性等、そのための手続のあり方についてどう考えるのかは、まさにこのとおりだと思います。この点に関しては、どういう手続のあり方がよいのかといったところも、ぜひとも情報発信していくと、ベストプラクティスをシェアしていくといったことがあってしかるべきかなと思います。

ただし、それだけだと必要十分条件にならないと思っております。お手元にお配りした「日経BizGate」に書かせていただいていますが、そちら、ページで言うと4ページでございます。やっぱり一番大事なのは、CEOの選解任のプロセスもさることながら、どんな人がCEOになるのかという、あるべき論をきっちりと議論していくといったところが一番大事かなと思います。私も、いろいろCEOサクセッションを、お手伝いしていますけれども、ついつい独立社外取締役の方々も、Aさん、Bさん、Cさんの誰がいいんだみたいな話になりがちだと思うんですね。そうじゃなくて、やはりAさん、Bさん、Cさん、誰がなるにせよ、5年後の我が社のCEOにはどういう資質、能力が必要かというあるべき像を徹底的に議論した上で、時代環境に合ったトップを選んでいくことが必要かなと思います。そこの議論がなく、どれだけそのプロセスを精緻に構築しても、結局、今回生じたある企業の問題みたいな話になってしまうと思います。

そういった意味で、やはり日本企業として考えなきゃいけないのは、4ページの表にマネージャーとリーダーの対比を載せておりますけれども、日本では外部のプロ経営者という発想がほとんどございませんので、左側のマネジャーの管理職として優秀な人の中から、右側の経営職、リーダーを如何に輩出するかということをかなり意識して取組んでいかないと、日本企業の日本的な経営の中の、なかなか本質的な課題を変えることはできないと考えています。

以上でございます。

【池尾座長】

ありがとうございました。

じゃあ、田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】

冒頭お話をさせていただいたんですが、お話を伺っていまして、私も結局、特にトップの選解任に関するところは非常に大きな課題があると思います。冨山さんとか川村さん、その他の方がおっしゃったように、そうしたことを考えると、実質的には、委員会設置会社じゃないともう無理だろうという感じがします。しかも、社外取締役の数を増やし、その人たちが社外取締役を選ぶという形で自主的な意味での取締役会の独立性が高まった形態でないと、取締役会による監督機能の強化という問題は解決の糸口がないんだろうという気がします。

私自身は、先ほど申しましたけれども、アメリカの金融機関のボードメンバーを10年ぐらいやっていまして、2007年から2010年はユニオンバンクという、全米には8,000以上の銀行がありますけれども、その中で25番目ぐらいに大きな銀行の頭取をやっておりました。ちょうどリーマン・クライシスにぶつかった時期でございます。このときに、ユニオンバンクというのは、当時、上場会社でございまして、社外取締役が12名、社内は4名という状況の中で、まさに社外取締役の方々とのやりとり、クライシスの中でそういうことをやってきたという経験を個人的には持っております。

その際、社外取締役のおかげで非常に助かったケース、それから、社外取締役の見方が間違っていたのではないかというケースといろいろありましたけれども、それらをこの場でお話し申し上げても時間がかかりますのでやめますが、やはり社外取締役の方々には、さまざまな方がおられまして、それらの方からアドバイスをもらえるということだけじゃなくて、彼らと経営陣との間で1つのきちんとしたパートナーシップを作るということは非常に重要な論点だろうと思います。この点に関連して、今日、ここに『取締役会の仕事』、ラム・チャランさんという方が書いた本を持ってきています。去年、出たばっかりなんですけれども、これは、『BOARDS THAT LEAD』という本が訳されまして、ボードが先頭に立つとき、協力するとき、沈黙すべきときという、いろんなケースを書いています。私が個人的な経験をご説明するよりも、アメリカの取締役会の活動に関するケースが非常にたくさん書かれていまして、すぐれた本だと思われますので、もし宜しければ、お読み頂ければと思います。

例えば、アップルにおいて、スティーブ・ジョブズがクビになって、もう一回CEOに採用されて、それでアップルが立ち直ったという例が出ています。このときにボードがどういうふうに動いたかというようなことまで、ここには書いているわけですね。現時点では、残念なことに、日本では取締役会が監督機能を本当に果たせているのかという、まだそのレベルにあるのかもしれませんが、本来はそれを超えて、ボードには社外の方々、ディバーシファイした多くの方々がいて、その人たちが経営陣のパートナーとなり、望むらくは、経営者に対して、ちょっとビビっている場合には、事業家精神をしっかり発揮しなさいと、こういうビジネスをやったらどうですかということを言い、一方、リスク管理に関しては、監督機能は自分たちがしっかり見ますということで安心感を与え、その結果、政府に言われるまでもなく、自らの判断で自主的に新たな収益源を見つけて、そこに投資を行って収益を上げて、雇用の拡大とか賃金の上昇につなげると、こういう回転ができることが最も望ましいんじゃないかと思います。これが1点。

それから、最後に、前回ご指摘しました企業集団のガバナンスの点なんですが、旭化成建材のケースですね。今月14日に工事データの一部改ざんが明らかになりました。その結果、15日には親会社の旭化成の株価が終値で14%落ちたんですね。つまり、子会社の不祥事で、上場会社である親会社の株価が14%落ちている状況になっています。これはまさに子会社の不祥事に関して、上場会社である親会社の取締役会、監査役会がいかなる責務を認識して権能を行使していたかというテーマそのもののケースです。また、会社法上も十分な権能が与えられていたかと、こういう課題を突きつけるものではないかと私は思います。

あまり細かいことは言いませんが、改正会社法の362条の4項とかいろいろありますけれども、基本的には、この論点はやはりコーポレートガバナンス上の大きな論点ではないかという気がします。旭化成の場合は3月までは純粋持株会社で、そこから事業持株会社に変わっていますけど、いずれにしても持株会社です。株主の代表である取締役会が子会社の問題でこれだけのことが起きているということに対して、どのような行為をすべきであったのかというのは非常に大きなテーマではないかと思いますので、もう一度、その点についてはご指摘させていただきたいと思います。

以上です。

【池尾座長】

ありがとうございました。

じゃあ、岩間メンバー。

【岩間メンバー】

私の役割というのは、まさに資産運用業界の立場なんでございますが、日本のこういったガバナンスの動きについて、我々としてもいろいろ、外に対して発信することのお役に立てるように動いておるんでございますけれども、やはり日本は日本だということを説明するのはなかなか難しいと。欧米に比べて、確かに経営と監督の分離が進んでない状況であっても、過去においては、むしろ非常にいい経営をしていたということをいくら言っても、やはりなかなかうまくいかなかったということがあって、最近のガバナンスの動きについては彼らも非常に評価しているというのは、皆様がおっしゃったとおりだと思っております。

その中で、形式か実質なのかということについては、外においても実質が大事だということは当たり前の話になっておるんでございますが、日本の場合には、やはり形式が複雑なので、一々説明しなきゃいけない。これはもう大変苦労するところでありまして、改善の兆しはあって、いい方向に動いていることは彼らも理解するんだけれども、実際、どこに行き着くのかということについては、やはり非常に注意深く見守っているところがあって、先ほど川村メンバーからお話がありましたし、田中メンバーからもお話がありましたが、結局、委員会等設置会社方式に行き着くんだろうと。その間の過程にあるんじゃないかというぐあいに私自身も思っておるんでございますが、ここにいろいろ、東証さん、あるいはエゴンゼンダーさんがお出しいただいた資料で見ますと、明らかに中間期における分布になっていると。

例えば、東証さんの資料の11ページで見ますと、指名委員会の委員長の属性というのが社外取締役の占める割合はどうなのかと出ているんですけれども、私が意外に思ったのは、例えば、監査役会設置会社においても、現状では半分ぐらいが社外取締役になっていると。これはどういう時系列的な変化をしてきているのか。これは多分、徐々に広がっているんだと思いますし、最近のガバナンス・コードだとかスチュワードシップ・コードが入れられたことによって、これはかなり変わってきているんじゃないかと思っているんですが、そういう動態的な変化について、いろいろデータを出していただけると、私どもの立場でいろいろ対応するのに非常に役に立つんじゃないかと思っておりまして、これは意見というよりもご要望でございますが、そういったようなデータをいただけるとありがたいと思います。

【池尾座長】

予定の時間が既に来ているんですが、上田さんも発言のご希望ですか。じゃあ、すみませんが、手短に小口さんからお願いします。

【小口メンバー】

手短にですけれども、先ほど来、ACGAのレポートの話が出ていまして、正確には2013年10月の「監査役会及び監査委員会に関するACGAレポート」ですけれども、少し誤解があったようなので、今、手元にあるので、そのまま、該当部分だけ読ませていただきます。「全体としてみた場合、我々は、取締役会の不可分の一部であり、構成員が取締役会の決定の完全な参加者である『監査委員会』と比較すると、監査役会の権限はその構造及び実際の実務の両面において弱いと考えている。現代の資本市場において、仮にゼロから、取締役会のガバナンスと経営監督システムを設計しようとするならば、現行の監査役制度が設計されるとは考えられない」。

以上です。

【上田メンバー】

ありがとうございます。手短に頑張ります。

先ほどから、指名委員会等設置会社に行き着くのではないかというご意見あったのですが、実は、最後にひっくり返す議論で恐縮なのですが、私、決してそうは思っておりません。いろいろな国を見ていると、やはりその国に根付いた企業文化に基づいてガバナンスを改革すべきだということが経験として見えてきます。しかし、形式よりも実質面は重要で、指名と報酬の委員会の設置、これは必要になるのだろうと思います。その上で、微妙な問題をはらむCEOの選解任について1点だけ。いろいろな会社のお話を伺っていると、指名委員会に現社長が次期社長を提案しているところもあり、指名委員会が追認機関に陥っているという実態もあるようです。実際、そのような会社のなかには、その後、ガバナンス上の問題を起こしたところもあります。こういう実態があるということで、実際に精神が入っているかというところが大切だと思います。ただ、CEOの選解任は、世界中どこで聞いても大変微妙な問題だそうです。例えば、フランスのトタールという会社でCEOが航空機事故で亡くなった事件がありました。この場合には指名委員会が直ちに集まって、1週間程度で次の人を決めて、プロセスがすごくよく機能したと聞きました。しかしながらという話になるのですが、仮にこれが現役のCEOであった場合には、「あなたの次の人」を議論するというのは、どこの国でも難しいんですよということを相当強く指摘されました。ここにおいて、CEOの選解任プロセスの見直しは意識改革がないとできないと考えさせられました。意識改革とは何かというと、CEOというのは取締役会から選び、解任され得るということをCEO自身も認識して、取締役も認識して、株主も認識して、そして社会も認識するということです。ここまで変えないと、おそらく、この問題は解決しないと思います。それには、企業文化という中で、日本には残念ながら、これはなかった。ただし、コードが入って変わらなきゃいけないという意識もあって、これを時間をかけて、先ほど10年というご指摘がありましたが、実は海外でも10年かかりますよといくつかの国で言われたので、10年ぐらいかけて意識改革をして進める必要があると思います。多分、CEOの選解任というのは攻めのガバナンスというところでは一番肝になるテーマかなと思いますので、ここは取締役会の議論の中でも重大なテーマかなと思いました。

すみません、最後にありがとうございました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。当会議は、コーポレートガバナンス・コードが普及・定着するまで行うということになっております。それでは、定刻になりましたので、まだまだ議論は尽きないところですが、本日の討議は以上とさせていただきます。本日の討議の内容につきましては、事務局で整理をしていただくことをお願いします。

最後に、事務局から事務連絡をお願いします。

【田原企業開示課長】

次回日程でございますけれども、また、皆様のご都合を踏まえた上で最終的に決定させていただきたいと思いますので、ご案内をお待ちいただければと思います。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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