スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第6回)議事録

1.日時:

平成28年2月18日(木)9時00分~11時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

【池尾座長】

おはようございます。冨山メンバーはまだ見えられていませんが、定刻になりましたので、ただいまよりスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議、第6回会合を開催いたしたいと思います。

皆様には、ご多忙中のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それで、本日は、まずはこれまでの議論を取りまとめた「会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に向けた取締役会のあり方」と題した本会議の意見書ですね。「意見書(案)」について最終的なご確認をいただきたいと思っております。

場合によっては、もう1回ぐらい会合を開かなきゃいけないかと思っていたんですが、事務局のほうで個別にメンバーの皆様のご意見を伺ったら、そこまでしなくてもまとまりそうだということで、今日はご確認ということでよろしく、ここで激論になるとまた困るので、よろしくお願いしたいと思います。

それで、その後、スピードアップしてやっていきたいと思いますので、新たな議題として、スチュワードシップ・コードに関連して、「企業と機関投資家の間の建設的な対話」というテーマについてご議論をいただきたいと思っております。

それで、本日は、このテーマについて、アセットオーナーとしてのお話を伺うために、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFですね。GPIFの最高投資責任者、水野弘道様をお招きしております。後刻、水野様はおみえになる予定で、後半おみえになりましたらお話を伺いたいというふうに思います。

それでは、「意見書(案)」につきまして、金融庁よりご説明をお願いいたします。

【田原企業開示課長】

おはようございます。それでは、お手元の資料1に従いまして、意見書の内容につきましてご説明を差し上げたいと思います。これまで何度かにわたりましてご議論いただきました内容のうち、おおむね合意をいただいた部分につきまして、整理させていただいたものでございます。

全体の構成といたしましては、1ページ目の「はじめに」、2ページ目以降の「企業を取り巻く経営環境の変化と取締役会のあり方」、そして最終ページ、8ページ目の「おわりに」という構成になってございます。

まず「はじめに」でございますけれども、コーポレートガバナンス・コードの導入以降の動きについてまとめさせていただいておりまして、各上場会社の開示によりますと、8割の会社が原則の9割以上をコンプライするということで、各原則は高い比率でコンプライされている。また、取締役会を巡る動きを見ますと、2名以上の独立社外取締役の方々の選任を行う上場会社が東証第一部全体の約半数に達し、ほぼ去年から倍増しておると。また、監督機能の一層の発揮を目指してモニタリング型に移行する例も見られるなど、大きな変化が起きているのではないかということでございます。

一方で、多くの上場会社、あるいは投資家の方々におかれましては、これからそのコーポレートガバナンス・コードの中で評価をしていくとか、あるいは、開示の内容を含めて対話を進化させていくとかそういった形では、コーポレートガバナンスの充実に向けた動きというのはこれから本格化していくところであるというふうにまとめさせていただいております。

その際に「実効」的なコーポレートガバナンスを実現していく上で、現時点で重要と考えられる視点を示すものとして、本意見書をまとめさせていただいたということでございます。

1ページ目をおめくりいただきますと、取締役会のあり方ということでご議論いただいたわけでございますけれども、ご議論の中では、上場会社をめぐる課題といたしまして、経営環境の変化、経営課題の複雑化ということが挙げられまして、例えばグローバル化、技術革新の進展、少子高齢化、社会・環境問題など、いわゆるサステナビリティ問題への関心の高まりといった、そういった環境が大きく変化しているということの中で、上場会社が持続的に成長して、中長期的に企業価値を向上させていくためには、やはり最高経営責任者(CEO)の役割というのが非常に重要であるというご指摘をいただいたというふうに考えております。

CEOを中心とする経営陣が絶え間なく、先見性のある、適確な経営判断を行っていくことが何より重要でありまして、したがいまして、CEOの選解任が上場会社にとって最も重要な戦略的意思決定であり、選解任を適切に行うため、そのプロセスには、客観性・適時性・透明性が強く求められるということでございます。

また、取締役会につきましては、このCEOの選解任という非常に重要な役割のほかに経営理念の確立や経営にかかる戦略的な方向付けを行い、経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境を整備し、実効性の高い監督を行うという重要な役割・責務を担っているということでございまして、経営陣とともに会社におけるリーダーシップ、これは田中メンバーからご紹介いただいた、ご本でも指摘されているところでございますけれど、能動的な役割と申しましょうか、そういったものを発揮することが求められているということであったかというふうに考えております。こういったことを通じて、取締役会のあり方を強化していくことで、期待される効果といたしまして、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現していくというようなご議論であったかというふうに整理をさせていただいております。

こういった観点から4つの点について、その後まとめさせていただいておりまして、まずは最高経営責任者(CEO)の選解任のあり方ということでございまして、3ページをごらんいただきますと、まず日本企業に最も不足しているのはCEOとしての資質を備えた人材ではないかというご指摘をこの場で頂戴をいたしました。こうした問題に対処するためには、CEO候補者の人材育成及びCEOの選任に当たりまして、十分な時間と資源をかけて取り組むということが重要である、また、選任プロセスにあたりましては、客観性・適時性・透明性を確保することが求められるということでございました。

また、適切に会社の業績等の評価を行ったうえで、あるいはこれは不祥事ということも含むのかと思いますけれども、CEOに問題があると認められる場合には、CEOを解任できる仕組みを整えておくことが必要であるというご指摘がございました。その際にも、取締役会の経営陣からの独立性・客観性が十分に確保されていることが重要であるというご議論であったかというふうに思っております。

それから、重ね重ねになりますが、この意見書の中で、取組みの例として例示されておりますけれども、その例につきましては、これは形式的なルールを構成するものではないということにつきましては、3ページ下の(注)で確認をさせていただいているところでございます。

それから、2点目の取締役会の構成でございますけれども、1ページおめくりいただきまして、先ほど来ご説明させていただきましたような取締役会の役割・責務を果たす上で、取締役会は、必要とされる資質・多様性を備えるとともに、独立性・客観性を確保していくことが重要であるというご議論でございました。

また、その中で、例えば(2)でございますけれども、独立社外取締役の選任は着実に増加しておりまして、現在、取締役会の3分の1以上の独立社外取締役を選任している企業は、東証第一部企業の1割以上に上っているわけでございまして、この数という点では着実に進展しているわけでございますけれども、ステークホルダーの方々の関心は、そういった人数の増加だけでなく、その資質のバランスや多様性の充実に移ってきているというご指摘もあったというふうに整理をさせていただいております。

また、1ページおめくりいただきまして、(4)でございますけれども、監査委員会・監査等委員会が業務監査・会計監査等の重要な役割・責務を適切に果たしていく上で、監査委員会等の独立性・客観性の確保が重要だというご指摘がございました。委員長を独立社外取締役とすることは、監査委員会等の独立した客観的な立場を高めることに資する取組みと考えられるというふうに整理をさせていただいております。

また、以上のような取締役会や監査委員会等の独立性・客観性が実質的に確保されて、その機能が十分に発揮されるかどうかは、しばしばCEOにかかっているということでございますので、CEOが取締役会等の「独立した客観的な立場」という特性を、経営判断等を行う上で活かす意思があるかどうかにかかっている。こうした観点からも、CEOの選解任が、上場会社にとって重要な課題であるということにつきまして、もう1度確認をさせていただいているところでございます。

3つ目の取締役会の運営でございますけれども、上場会社、それから、この場でもご指摘をいただきました企業集団のガバナンスをしっかりやっていくという観点からも、先ほど申し述べましたような経営環境の変化や経営課題の複雑化に対応していくためには、取締役会における戦略的方向付けや、会社の業績の適切な評価等に関する議論を充実させていくということが重要であるというご議論があったというふうに考えております。したがいまして、取締役会において論点の明確化、議案の絞り込み、十分な審議時間の確保、そういった運営上の工夫が重要だということでございます。

1ページ、おめくりいただきまして、また、取締役会におきましては、社内の業務執行取締役の方も執行者としての役割にとどまらず、取締役として業務執行全体ですとか、他の取締役の職務の執行の監督等を担う役割も担っているということについて認識を深めるべきであるというようなご指摘もございました。

それから、7ページ目の(6)でございますけれども、不祥事防止の観点から、内部通報が最後の防波堤ということでございますので、内部通報の機能を十分に発揮させるためには、例えば、社外取締役・社外監査役を内部通報のレポートラインとするというような形で、経営陣から独立した窓口に情報が伝達される仕組みを整備することが適切であるというご指摘がございました。

最後の4でございます。実効性の評価でございますけれども、こういった取組みが有効に行われていくため、あるいはさらに改善していくためには、取締役会全体としての実効性の評価を行いまして、次の取組みに継続的につなげていく、いわゆるPDCAサイクルを実現していくことが重要であるというご指摘でございました。

本年5月末でコード適用開始からちょうど1年ということになりますので、各上場会社におかれまして、そういった実効性評価を適切に行っていただくということが期待されるところでございます。この際にはさまざまな取組みというものが考えられるわけですが、まずもって、取締役会メンバー一人一人による率直な評価というものが重要なのではないかというふうに整理をさせていただいております。

また、評価に当たりましては、(2)にございますように、取締役会が果たすべき役割・責務を明確化することがまずもって求められる。

また、1ページおめくりいただきまして、その評価の結果というものにつきましては、ステークホルダーの方々にわかりやすく情報開示、説明を行っていくことがPDCAサイクルを実現していく上で重要ではないかということでございました。

以上のような形で意見を取りまとめさせていただきたいというふうに考えておるところでございますが、「おわりに」におきましては、本年6月の株主総会に向けて、今、各上場会社におかれましては、取締役候補の検討ですとか、あるいは取締役会の実効性の評価の準備というものが始まっているというふうに承知しているところでございます。

各上場会社におかれましては、本意見書を参考として、資質とリーダーシップを有する取締役の方々を計画的に育成・選任して、独立性・客観性を備えた取締役会を構成していただくこと、また、取締役会の適確な評価を行うことによって、取締役会の実効性評価に向けたPDCAサイクルをつくり上げていくことが期待されるということでございます。

そして、こうした各上場会社によりますコーポレートガバナンスの充実に向けた真摯な取組みが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上、ひいては日本経済の好循環を実現していくことを期待して、本意見書の結びとさせていただいているところでございます。

以上、意見書の内容についてご説明を差し上げました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、ただいま説明をしていただいた「意見書(案)」につきまして、コメント等ございましたらよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

武井さんがご意見あると聞いたんですが。

【武井メンバー】

ありがとうございます。今回、大変すばらしいペーパーをまとめていただきまして、ありがとうございました。こちらのフォローアップ会議でもいろいろなご意見が出たわけですけれども、今回とりまとめられた内容は、取締役会評価その他今後企業さんが行う現場対応の助けになるものになったと思いますし、しかも、内容的にも分量的にも適量で大変読みやすいと思います。ぜひ早めにこのバージョンで出していただければと思います。

1点だけちょっと補足説明というか、字句を直してくださいという意味ではなく、補足説明的にということだけなんですけれども、先ほど田原課長のほうからサステナビリティというお話もございました。このペーパーでも何カ所か経営課題という文言が出て参りまして、経営環境の変化や経営課題の複雑化という表現がありますが、この点は大変重要な点だと思います。今回のフォローアップ会議の目的であるガバナンスの実質化という観点から考えたときに、日本の上場会社さんがこれから成長戦略をいろいろ描かれている中、サステナビリティの課題への対処が重要になると思います。ガバナンスコードの原則2-3及び2-3マル1という箇所にまさに、サステナビリティの課題について取締役会が能動的かつ積極的に取り組んでくださいと書かれています。今回のペーパーの中にある経営課題の経営環境の変化や経営課題の複雑化という箇所との関連で、この2-3及び2-3マル1が改めて重要だと思います。

特にグローバルの成長を取り込むことを中核の経営戦略とされている企業さんも多いわけですが、グローバル化であったり、あと、最近のIoTなど第四次産業革命といった産業市場の変化の中で、サプライチェーン自体もかなり根幹的に変わってきています。こうした構造変革の中では新たなサステナビリティ課題がいろいろ出てきています。その中には日本国内ではなかなか想定ができない複雑な課題も多々あります。中長期の目線での企業の成長戦略といったときには、まさにこうしたサステナビリティ課題にどう取り組むのかが、企業の成長戦略としても大事であり、またその取組みを実現するガバナンス体制も重要になってくると思います。コードの2-3の部分も十分意識して、この経営課題の複雑化の問題に取り組んでいただきたいということを補足説明だけしておきたいと思います。

ペーパーの文言自体については私はこれでもういいと思いますので、進めていただければと思っています。よろしくお願いします。

【池尾座長】

ありがとうございました。

ほかにコメント、ご意見ありませんでしょうか。どうぞ。じゃ、田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】

ありがとうございます。非常によくできたペーパーだと思います。それで、一番最後のところに、現在6月の株主総会に向けた取締役候補の検討や、取締役会の実効性の評価への準備が始まっている。まさにそのとおりだと思うんですけれども、この観点からしますと、7ページですかね。取締役会の実効性の評価、原則4-11に関する記述がありまして、これは事務局の方にも申し上げたんですが、日本の企業でこの取締役会の評価をやるというのは非常に新しい作業なんだろうと思います。そういう意味では、諸外国の事例みたいなものがひとつ役に立つんじゃないかと思うんですが、この取締役会の実効性の評価というのは、通常3つの段階があるというふうに思われています。

1つは、取締役会そのものが集合体としてワークしているかどうかという評価。ですから、この文章で行きますと、2行目の「取締役会全体としての実効性の評価」というところになると思います。

2つ目は、これは特に指名委員会等設置会社の場合はそうなんですが、それぞれの委員会そのものがきちんとワークしているかどうかという評価ですね。任意の委員会をつくっておられるところもあると思うんですけれども、やはりその委員会がしっかり動いているかという、この2つ目のレイヤー。

それから、最後に取締役個々の人がきちんとワークしているかという、そういう評価ですね。この3つの観点から、取締役会の評価がされることが多いというふうに思います。

特に指名委員会等設置会社、もしくは他の形態でもいろんな委員会をつくるという、そういう動きがある中で、委員会レベルでの評価ということはやはり大事なんじゃないかと思われます。確かに指名委員会等設置会社の場合には、指名委員会、報酬委員会、監査委員会そのものに非常に権限が与えられておりまして、取締役会全体としては委員会に任せている部分もあるわけですから、その指名委員会などがしっかり動いているかどうかということについて、取締役会が全体として、特にそれらの委員会に所属しない取締役がそれらの委員会活動についてどう評価しているかということは非常に大事になってくるかというふうに思われます。

それから、最後に取締役個々の人の評価というのも、これは非常に大事なプロセスでございまして、例えば前年の株主総会における承認率ですね。こうしたものも参考にしながら、その人をもう1回取締役に選ぶのかどうか決める必要があります。通常は大体、株主総会における取締役の承認率というのは95%ぐらいないといけないんじゃないかというふうに言われているんですけれども、例えば仮に7割程度しかないとかいうような人がいるのであれば、当然そういうところにも焦点を当てて、取締役会の構成を見直すことが必要です。例えば株主が5万人の会社であれば、7割しか承認されていないということは、(1万5千人という)かなりの人数が反対しているということになりますものですから、そうしたことも踏まえて、その取締役の評価というものもやっぱりしっかりやっていくという、その3段階で評価がされるということが一般的じゃないかと思いまして、参考までにコメントさせていただきたいと思います。

以上です。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

ほか、ご意見いかがでしょうか。川村メンバー、お願いします。

【川村メンバー】

本会議で議論する取締役会の主たる役割ではないんですけれども、その不祥事防止という観点のことなんですけど、7ページ目にこの「内部通報は最後の防波堤」というところを書いてあるのは大変いいと思うんですけれども、その不祥事防止に関しても取締役会の役割であることには間違いないので、その内部通報に行く前のところですね。つまり、監査役会や監査委員会というものが取締役会を含めたガバナンスシステムの中の機構として機能すべきであるというようなことはちょっと書いておくほうがいいような気もします。ただ、この辺に関しては、今回の取締役会についての意見書にはこれぐらいにしておいて、後で詳しく書くというのもあると思いますが、そういうお考えであればこれでよろしいと思うんですけれども。

【池尾座長】

監査のあり方とかそういう点に関してはまた議論しなければいけないというふうに考えています。今回は、言うところの攻めのガバナンスの話を中心にまとめたということで、守りのガバナンス的な話は少ししていただいたんですが、まだまだ不十分だと思いますので、改めて突っ込んだ議論を今後したいというふうに思っております。

【岩間メンバー】

よくまとめていただいて、大変結構だと思っております。やっぱり取締役会が執行部を監督するというのはそうですけど、やはり信認をしっかりして、一緒にいい方向に持っていくということが大事なので、そういう意味で言うと、攻めのガバナンスというか、そういうことがにじみ出ているまとめになっているので、私は非常にいいと思っております。

こうなってくるとやはりスチュワードシップ・コードをちゃんと実効性のあるものにするのかということは、ずしっとこちらのほうに来ておるという実感でございまして、そういう方向で努力したいと思っております。

【池尾座長】

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

そうしますと、特にご異論等、あるいは修正等のご意見は出されなかったということで、本「意見書(案)」につきましては、原案どおり、ご賛同いただけたものというふうに考えさせていただきます。

それで、したがって、その(案)を取りまして、この形で公表することにしたいと思います。それで、公表後、メンバーの皆様におかれましても、本意見書の積極的な対外発信を機会を見つけてしていただければありがたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、水野さんが来られるのが。早く……。

【田原企業開示課長】

資料の説明があります。

【池尾座長】

はい。それでは、続きまして、「企業と機関投資家の間の建設的な対話」について、先ほどのスチュワードシップ・コード関係の話について議論を進めさせていただきたいと思います。

それで、まずは金融庁より、「スチュワードシップ・コード受入れ機関の取組み方針・活動内容の公表状況」につきましてご説明をお願いしたいと思います。

それでは、資料2の説明をよろしくお願いいたします。

【田原企業開示課長】

それでは、本日からご議論をいただきます企業と投資家の対話の参考とさせていただくために、現在の「スチュワードシップ・コード受入れ機関の取組み方針・活動内容の公表状況」につきましてご説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料2と、机の上にスチュワードシップ・コードにつきましても冊子で置かせていただいておりますので、そちらの原則をご参照いただきながら説明をお聞きいただければというふうに考えております。

この「スチュワードシップ・コード受入れ機関の取組み方針・活動内容の公表状況」でございますけれども、1ページおめくりいただきまして、現在、受入れ機関201ということになっておりますけれども、私どものほうで、受入れ機関のホームページなどを見させていただきまして、その内容の詳細な分析まではまだ至っていないわけでございますが、その概要について数字でまずは取りまとめさせていただいたものということでございます。

ページとしては2ページでございますけれども、受入れ機関数の推移でございますが、2014年にスチュワードシップ・コードを策定してから、3カ月ごとに受入れ機関数をとっておるわけでございますけれども、現在201ということで、伸び率自体は下がっているわけですが、順調に伸びているということでございますし、国内の主な投資顧問会社ですとか大きな機関投資家の方には採択をいただいているということで、順調に進んでいるというふうに考えているところでございます。

1ページおめくりいただきまして、属性別の受入れ機関構成でございますけれども、投資顧問会社が141で7割ということで、非常に大きな数になっております。続きまして、年金基金が24、生損保が22、信託銀行が7、その他が7ということになっておりまして、その他というのは議決権の行使助言会社ですとか、あるいは対話型の投資会社ということで、小口さんの会社などが入っているということでございます。

それから、国内・外資系別の受入れ機関構成でございますけれども、国内が114社、外資系が87社ということで、約6割が国内、約4割が外資系ということになってございます。

1ページをおめくりいただきますと、これもあくまで各会社さん、法人の方々の公表ベースでのコンプライ率、エクスプレイン率ということでございますので、その実情、実数につきましてはさらに精査が必要かというふうに考えるところでございますけれども、おおむね高いコンプライ率ということになっておりまして、大体9割近いということになっているところでございます。青がコンプライをしていただいているもの、黄色がエクスプレインになっているもの、赤の部分が開示なしというものでございます。

ただ、中の数字を見てまいりますと、やはり議決権の行使方針など、あるいは行使結果というものが数字的にはコンプライ率が低くなっておりまして、行使結果の開示につきましては、そのコンプライ率が6割というふうになっているところでございます。また、行使方針につきましてもコンプライ率は8割と、82%ということになっておりまして、数値としては低いという形になってございます。

その内訳について5ページで整理をさせていただいておりますけれども、業種別に分けてみましたところ、年金基金の公表比率というものが71%ということで、最も高くなっているということでございます。続きまして、信託銀行が67%、投資顧問会社になりますと大体半分ということで、52%となっておりまして、生損保さんが39%ということで、最も低いということになっているところでございます。

1ページおめくりいただきまして、今度は先ほど、一番低くなっていたというふうにご説明をさせていただきました議決権行使結果の公表でございますけれども、信託銀行さんが議決権行使結果の公表には最も積極的ということでございますが、数字的には7社中5社ということですので、大体7割ぐらいということでございます。続きまして、投資顧問会社が64%、コンプライということでございまして、投資顧問会社については、外資系と国内の比較的小規模な投資顧問会社において議決権結果を公表しない例というのが見られたということでございまして、事務負担の話などがあるのかというふうにも思いますけれども、そういう状況になっているところでございます。こちらも生損保が非常に低いということになっておりまして、大体半分ということで、議決権行使結果の賛否数の集計を示さずに議決権行使の事例を示すに止まる会社が相当数見られたということで、賛否数の集計は示さないで、エクスプレインされているということでございます。

1ページおめくりいただきますと、今度は利益相反管理方針の公表でございますけれども、具体的に利益相反管理方針、これは原則で申し上げますと、原則2ということになりまして、スチュワードシップ責任を果たす上で、管理すべき利益相反について明確な方針を策定して、これを公表すべきということでございますけれども、こちらについては、具体的に利益相反の管理方針を公表している率が、投資顧問会社におきましては28%、年金基金におきましては61%に止まっているということでございます。こちらにつきましては生損保さん、信託銀行さんの率は非常に高い形になっておりますが、利益相反についての説明というのは、どういうふうにやるかというのは難しいところがございまして、その中身を見ていかないと、実際方針が具体的に公表されているかどうかという確認は難しいところかというふうに考えているところでございます。

もう1ページ、最後のページになりますけれども、今度は原則6になります。スチュワードシップ活動状況の公表ということでございまして、原則では「機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである」ということになっているわけですが、こちらにつきましては、全体的に低いコンプライ率、パーセンテージになっておりまして、生損保さんで55%、信託銀行、年金基金さんで大体4割ぐらいと。投資顧問になりますと7%ということで、非常に低い数字になっているということでございます。これは投資顧問会社の活動状況報告の公表については、一部の大手運用会社に限定されるということでございまして、各会社によってスチュワードシップ活動についての組織体制とか人材力の差というものがどうしても出てしまうというふうに考えられるところでございます。

以上、簡単ではございますけれども、「スチュワードシップ・コード受入れ機関の取組み方針・活動内容の公表状況」についてご説明を差し上げました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、今ご説明いただいた「スチュワードシップ・コード受入れ機関の取組み方針・活動内容の公表状況」に関連いたしまして、ご意見とかご質問がございましたらお願いしたいと思います。

それでは、岩間メンバー、お願いします。

【岩間メンバー】

確認です。これはスチュワードシップ・コードにサインをした会社の反応ということですね。

【田原企業開示課長】

はい。おっしゃるとおりです。

【岩間メンバー】

実は、私ども投資顧問業協会もいろいろと調査をしておりまして、もう少し細かい調査をやっております。今ちょうど集計をし、どういう形で外にお出しするかということを検討しております。言葉で説明してもらっているものも結構ございますので、どういう形で出すか考えておりますが、投資顧問業協会の実態というものが出てくるような結果の公表に努めたいと思っております。

【池尾座長】

その間、よろしくお願いいたします。

【岩間メンバー】

いやいや。

【池尾座長】

じゃ、上田メンバー、お願いします。

【上田メンバー】

ありがとうございます。まず受入れ機関数ですけれども、これは英国のコードを出しているFRCの方から、去年、すばらしく多いですねと言われました。イギリスは最初、ほんとうに大手の投資家でリソースがあるところだけが署名したということで、署名機関数を増やすのに相当苦労したのだそうです。しかも、英国の場合には、アセットマネージャーに対しては、コードを採用するか、代替的な方策を公表するかという規則が入っているようなのですね。日本ではこのようなルールがなく、ほんとうにコンプライ・オア・エクスプレインのアプローチでここまでというのはもうすばらしいですねというお話を伺いました。私は金融庁さんにかわって、そこで誇らしげな顔をしてまいりましたので、コメントの前にご報告を申し上げます。

では、本題に入ります。2点申し上げたいことがありますが、まず第1点目、受入れ機関数についてです。特に本日は水野様がお越しになるということですが、今後は公的年金よりも今後、私的年金による受入れが期待されるのかなと思います。とはいっても、なかなかリソースの問題、あるいは母体企業との関係等もあって、そう簡単ではないとは思いますけれども、英国でもここは数もなかなか伸びない中で、当局や関連団体がいろいろ苦労しつつ増やそうという努力をしているというふうに聞いておりますので、今後そういう年金が受入れしやすくなるような環境づくりとか、あるいは啓蒙活動が必要になるのかなと思います。また、スチュワードシップ・コードの有識者会議のときにはあまり企業年金を想定した議論というのは少なかったような記憶がございますので、例えば企業年金にはあまり関係ない内容などがあればそういったところのご示唆や、そのあたりのサポート体制というものがあれば、今後、受入れる年金基金も増えていくのかなと思います。その結果、アセットオーナーが入ることで、インベストチェーン全体がうまく回るのかなというふうに思いました。こちらが第1点目でございます。

第2点目ですが、本日、事務局のほうでおまとめいただきました資料の5ページ目と6ページ目に関するところでございます。属性別公表比率ということで、1つ目は、投資顧問の数字が低いなと思って、今、岩間様に伺ったら、これはデータの取り方や定義の違いがあるんじゃないかということで納得したんですが。2つ目は、生損保について、まず行使基準について議案ごとの詳細公表している場合が39%、そして、行使結果を公表している場合が50%というのは、少し数字として低いのかなと思いました。この数字の低さについてはいろいろ理由があると思います。おそらく、日本では受託者責任というものが、特に生保の一般勘定の場合には、あまり明確ではない中で、スチュワードシップ責務が求められることとなっております。そのため各保険会社のほうでさまざまな取組みがなされていて、こういう差が出ると言うと変なんですが、取組みの仕方に幅があるのかなと思っております。

実は、資料の数字で出ている以上に、各社のスチュワードシップの活動報告や開示情報を見ていますと、会社により相当ばらつきがあるというふうに思います。好例として、日系の大手2社において、1社では立派な冊子にできるんじゃないかと思われる、四十数ページもの詳細な取組みの事例の報告をされておられます。もう1社では、方針、取組み状況についてすばらしい報告書を出されておられ、大変内容が充実しています。具体的な数字も、例えば、1社は「賛成何%、反対何%」とまで明確に書いてあり、もう1社は「精査したのが何社」という少し曖昧な書き方ではあるものの、全体としては具体的な取組みが伝わってくるなと思いました。

他方で、例えば外資系保険会社に幾つかあったのですが、金融庁ホームページに掲載されているURLがリンク切れでアクセスできない場合もありました。また、ホームページにおいて、数行だけコードの文言をそのまま書いてあるだけというような場合もありました。全体としては、取組みによりばらつきが多いという特徴があるかなと思いました。

このあたりは、今後の、これは各社の取組みについて差別化が図られ、明確になるという良い面もあるのかもしれません。

資料を拝見して、気づいたことを申し述べさせていただきました。

ありがとうございました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

それでは、西山メンバー、お願いします。

【西山メンバー】

1点目は、先ほど上田さんの話にあった、企業年金の加入に関して、やや啓蒙活動はいろんなところでされているようなんですけれども、依然として伸びが低いというところなのでありますけど、このあたりは事務局のサイドでどのような考えをされているのかということをぜひ1点お伺いしたいというところと、それから、これからスチュワードシップ活動というものが本格化していく中で、コーポレートガバナンス・コードの開示状況との絡みというのもあるかと思うんですが、1点ちょっと気になっているのは、これも以前申し上げたかと思うんですけれども、やはりガバナンス・コードの対象企業数がかなり広いということで、これからそのスチュワードシップ活動を機関投資家がやっていく中で、かなり労力がかかる。しかも、その労力がかかるわりには、例えば二千何百社の開示状況をアップしていくためには、実際に機関投資家自体がエンゲージメントしていく企業の数は、おそらく100とか百数十がせいぜいなのかなと思っているんですが、それに対してこの二千数百の企業の開示状況がどれだけアップしていくかというところはなかなか難しいかと思っておりまして、そうすると、結局、機関投資家があんまりエンゲージメント活動していないじゃないかというふうにとられてしまう部分が出てくるのではないかというのはちょっと危惧しております。

投資家サイドもかなり活動に関してはいろいろ取組んでいるわけでありますけれども、いかんせん、そういう対象数が広いということと、企業のほうの考え方にもかなりばらつきがあるというところでありますので、そういったところに対しての見方というものも今後考えていく必要性があるのかなというふうに考えております。

【池尾座長】

ありがとうございました。

水野様、到着されましたので、お話を伺った後で議論を引続きさせていただきたいと思いますので、ちょっとお待ちください。

それでは、到着されて早速ですが、お願いしたいと思います。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

池尾座長、ありがとうございました。

皆様、おはようございます。GPIFのCIOの水野でございます。本日はこのような会にお招きいただきまして、私どもの活動内容等をお話しさせていただく機会をいただきまして、大変感謝しております。本日は、10分か15分ぐらいですかね。

【池尾座長】

はい。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

お話しさせていただくつもりでございますが、手元には、GPIFを取り巻くインベストメントチェーンというものと、先日私どもが発表いたしました「日本版スチュワードシップ・コードの対応状況について」の報告書が渡っているかと思います。

まず最初に、昨今、GPIFのガバナンスと運用の改革についての議論が行われていることは、皆さんご承知おきのことと思いますけれども、今回の議論を、私も当事者として拝見していまして、いろいろ思うところがあったわけでございますが、報道のとおり、今回、自家投資、自家運営に関しては認めない方向ということに報道もされておりますけれども、このような議論の中で、いわゆる投資家のフィデューシャリー・デューティーというものについての理解というか、そういうコンセンサスがこの国には現在果たしてあるのかということについて、私は強い疑問を感じました。

また、企業側の我々の自己運用に関する反論を聞いておりましても、要するに、企業側は労使含めてですけれども、こちらから株主に対する不信感の強さということを改めて認識したわけであります。なぜそういうことが起こるかといいますと、このような会議でいろいろ議論していただいているわけですけれども、実務の世界では、なかなかWin-Winの関係ということについて、双方のコンセンサスができていないということなんだろうなというふうに私は感じております。

そうした中で、改めて我々のアセットオーナーのこのコーポレートガバナンス、スチュワードシップ・コードのバリューチェーンでどういう位置付けを果たすべきかということを1度整理してみようと思いまして、本日このようなポンチ絵をつくらせていただいたわけですけれども、今までの、金融庁さんもそうなんですが、こうやってつくっていただいた図ですと、我々は必ず機関投資家の後ろにくっついている形になっていたのではないかと思います。私はその図に当初から少なからぬ違和感を持っておりました。といいますのは、当然我々は機関投資家に対する、ある意味、顧客でもあり、機関投資家は我々に機関として、この場合、アセットマネージャー、投資顧問会社、信託銀行がありますけれども、彼らは我々に対してスチュワードシップ責任を果たすわけですが、同じように我々は受託者責任あるいはスチュワードシップ責任というものを一般の日本の国民に負っていると。つまり、企業の経営者にも、従業員に対しても同じようにスチュワードシップ責任を我々は負っている立場にあるわけでありまして、そういう意味では、このスチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードのバリューチェーンは、アセットオーナーがここの真ん中に入ることによって、初めて一つの輪として完成するというふうに私は考えております。

そういう観点から、今回の議論におきましても、一方的にGPIFが株主としてどうかという話ではなくて、我々がフィデューシャリー・デューティー、スチュワードシップ・コード責任の観点から、従業員の方や、あるいは会社に対してどういう役割を果たしていくのかという議論まで進んでいくべきだったと思いますけれども、なかなか議論がそこまでは煮詰まってこなかったように感じております。

その点に関しましては、残念ながら、この委員会の方々もせっかくいろいろ議論はしていただいているんですが、今回の議論においては、なかなかそちらのほうに支援的なコメント等が出ていたような気もしておりませんので、なかなかそこは残念なところでございます。

そこで、ちょっとこういう形で話をさせていただいたんですが、こういう考え方をもとに、今回のスチュワードシップ報告のつくり方は、昨年までと、ある意味、ガラッとつくり方を変えております。と申しますのは、昨年までは我々の直接的な関係者としては、この図におきましては、今までは機関投資家、岩間会長いらっしゃいますが、投資顧問会社等だという認識でございましたので、彼らからのヒアリングのサマリーを出すというやり方で、昨年まで報告をさせていただいておりましたが、私はそのやり方には幾つか問題点があると当初から思っておりました。

まず1つは、機関投資家からのコメントについて精査をする方法が全くないということ。聞いておりますと、ほとんどの運用機関が、私がこう言ったので、会社Aはこういうことをしましたというわけですけれども、ほんとうにそうかと。もともと経営陣がとっくに考えていたことじゃないのか。あるいはほかの株主のアドバイスによってそうなったんですけれども、その機関投資家あるいは運用会社が自分たちがやったということで報告しているのではないかということについて、全く我々としては事実を確認する手段がなかったわけであります。

そのような事実確認もできないものを、サマリーとして発表することにそもそも我々として責任がとれるのかと、あるいはレスポンシブルであるかということについて、今回改めて考え直すことにいたしまして、かつ、先ほど申し上げました、我々と企業とのかかわり方ということにつきましては、多分この会議のメンバーの方からは、もっとかかわれと言われているんでしょうが、外へ出るともっとかかわるなと言われているわけでありまして、そのあたりでははっきり言ってコンセンサスがない。コンセンサスがない中で、我々が一方的に進めていくことはできませんので、今回は我々のスチュワードシップ活動の報告あるいは課題を提示する先としては、我々が明確にスチュワードシップ責任を果たせと言える相手、つまり、運用機関にだけに対して物を申し上げるという報告に今回は変えております。

そういう中で、幾つかの問題点を指摘してきたわけですけれども、これももう1つの問題点でありまして、これ以外にも経産省なんかの会合でもいろいろ聞いておりましても、一番最初に申し上げましたように、どうもまだお互いにこのWin-Winの関係というか、建設的な対話についての、双方、何となく不信感があると。これを直すためには何をしていけばいいかということなんですけれども、1つの不信感の原因としましては、これは明確でありまして、そもそも企業側にガバナンスをしっかりしろと言っている運用会社のガバナンスができているのかと。当たり前ですけれども、自分のガバナンスもできていないところにガバナンスをしっかりしろと言われましても、聞く耳を持つわけないのでありまして、そういう意味では、運用機関、機関投資家も自分たちの襟を正していただかないと困るということで、別にどこの会社ということは明確にはしておりませんけれども、一般論で申し上げまして、機関投資家側の、自分たちのガバナンスがきちんとできているのかどうかと再確認してほしいということをまずひとつ申し上げております。

2つ目は、運用会社の多くが金融機関の子会社であるという、この現状におきまして、明らかに親会社である金融機関との間の利益相反が見られるケースがあると。利益相反があっていけないとは全く言っておりませんけど、利益相反がある場合にどういう対処をしているのかということについて、明確な説明がないケースがあると。これも何らかの対応をしてもらうべきではないかというようなことを今回申し上げました。

あと、三谷理事長のコメントとして申し上げているんですけれども、もう1つ、ずっと私が懸念しておりますのは、GPIFがエンゲージメントを求めていると。運用会社に事業会社との対話を求めているということを言った途端に、とにかくミーティングを入れてくれと。社長に何回会いましたというのをアピールされても困るわけでありまして、私どもからしましたら、逆に言うと、ためにならない会話をするぐらいであれば言ってほしくないわけでございます。

経営者にできるだけ経営に時間をとってほしいということでありますから、そういう意味では、その対話が意味のあるものであったかということを我々としては評価する必要があると。そのニーズと、先ほど一番最初に申し上げましたように、事実かどうかの確認ができないという、この2つの問題に我々は直面しておりまして、その1つの対応策として、今回、試験的ですけれども、やってみましたのが、JPX400に入っております企業に対する私どもからのアンケート調査でございます。

このアンケートの中身は、これはつけていましたっけね。ああ、つけていないか。要するに、アンケートにおきましては、JPX400の対象企業に対しまして、私どもがお願いしている運用会社の中で、ためになるようなコメントをしてくれたのはどこですかということを聞いていたり、あるいはエンゲージメントと言われるミーティングの中で、事業会社側からしてみて、どういう不満がありますか。あるいは今後、コーポレートガバナンス報告書等がありますけど、これについてどう活用してほしいかと、こういうことを事業会社のほうからヒアリングをかけております。

これによりまして、運用会社の方々にとっては、ある意味、360度評価的な効果をもたらすということと、一番、これも先ほど申し上げましたけれども、私はこのバリューチェーンがワークするためには参加者の間の不信感を取り除くということが絶対的に必要だと思っております。なので、このようなアンケートをとらせていただいたわけでありますけれども、現時点で400社中260社程度の回答をいただいております。これが多いか、少ないかで、私は逆に10社ぐらいしか来なかったらどうしようと心配しておりましたので、ホッとしているわけでありますが、昨日、某上場企業の方で大変このような活動に力を入れたりしている会社の経営陣の方がお越しになりまして、その方に言わせると、残りの150社は何を考えているんだと。せっかくアセットオーナーがこのような対話や意見を吸い上げる機会を与えているにもかかわらず、参加しないということは全く理解できないというふうにおっしゃっていましたので、そういう観点からは少ないのかもしれません。

現在まだ報告書をまとめておりませんので、内容を報告することはできませんが、例えば、今どういう回答が来ているかと申し上げますと、単なるバリュエーションにとどまらず、長期的な企業価値評価につながる対話も増えたと。あるいは事業施設見学会の参加や見学会開催の要望が増えたとかですね。事業の中身だけではなく、経営、資本政策に関する質問が増えたという、極めてポジティブな意見がある一方で、政策保有株式の買い取りや株主配当、自社株買いなどについて、紋切り型の意見が増えている。あるいはスチュワードシップ活動の社内手続として面談が必要だと、これが最初に私が申し上げた、一番あってはいけないことなんですけれども、というような対応がある。あと、質問項目はさまざまにたくさんあるが、質問に答えた段階で終わっているので、質問そのものが目的だったのではないか。

短期的なリターンや利益拡大以外の手段でのROE改善について求める声が結果として大きくなっており、設備投資や社是、経営理念への理解について説明しても聞く耳を持たない。今後は、そういう中で改善要望についても取り上げようと思っているわけですけれども、今後は情報収集に来るだけではなくて、アドバイスや市場環境、業界以外の動向について対話をしてほしい。企業をより理解をいただいた上で、中長期な成長に向けての対話をお願いしたいと。あるいはESGの観点、こちらはどちらかというと、Gを議論するフォーラムだと理解しておりますけれども、海外ではGだけが単独で議論されるということはあんまりなくて、私どもはESGの一環として議論しておりますので、このようなことについても議論をしたいと、企業側もおっしゃっております。

ESG情報開示も二極化しておりますし、今申し上げましたように、残りの150社に関しては、このアンケートの意味合いを多分ご理解されていないのか、お忙しいのかもわかりませんけれども、そういう事業会社側の対応も多様化、二極化していますので、機関投資家にはぜひ投資家、投資先企業に対する働きかけを強化してほしいというような意見も出ております。

そういう形で、先ほど申し上げましたように、このアンケートをきっかけにアセットオーナーにも直接私たちの意見を聞いてほしいんだというアポ入れをしてこられたところもございます。我々はそれに対して、事業をどうするべきかというコメントをするというつもりもございませんけれども、先ほど申し上げましたように、このバリューチェーンを回すという大きな役割が私はアセットオーナーには課されていると思っておりますので、そのような意見は全くウェルカムでございますので、事業会社の方々もアセットオーナーに直接申し上げたいことがあれば、いつでもそのような意見は私どもはお伺いしたいというように考えております。

最後になりますが、先ほどGとESGの関係ということを申し上げたんですけれども、海外では、GはESGの一環として議論されておりまして、今、私のような公的年金のCIOの1つの大きなアジェンダとしては、ESGをどうするかということがございます。GPIFは、昨年の9月に国連責任投資原則、UNPRIに署名をいたしました。これによって、ESGのコンセプトに我々としては、原理原則に合意をしたという表明をしたわけであります。

一方で、ESGを使った投資を行うかについては、今のところ全く白紙であるということを申し上げているわけですけれども、少なくともESGの投資について海外で何が起きているかということについては、GPIFとしても非常に重大な関心を持っております。昨今、実はまた、もともとESGのコンセプトがソーシャル・レスポンシビリティ・インベストメントとか、そちらの、どちらかといえば、フィランソロフィーや社会貢献のほうに重きが置かれてしまって、投資家としてのフィデューシャリー・デューティーに反しているのではないかという議論で、今回、ESGというコンセプトが出てきたにもかかわらず、実際はどうやら国連責任投資原則のチームの中の議論も徐々にエンバイロメンタリスト的なほうに引っ張られているという嫌いがありまして、それを自己修正しようという意味があったんだと思いますけれども、今回、UNPRIがアセットオーナーズ・アドバイザリー・コミッティーというものをつくっております。これにやはりきちんとESGというものは、投資のフィデューシャリー・デューティーと社会的なレスポンシビリティを両立できるものであるというコンセプトをもう1度明確にしようということで、そのアドバイザリー・コミッティーができたわけですけれども、今回そちらにカルスターズやカリフォルニア大学、カナダのオンタリオティーチャー、オーストラリアスーパーとか、こちらのCEO、CIOとともに私もアドバイザリー・コミッティーのメンバーとして参加しておりますので、Gだけではなく、ESGという大きなくくりの中で、日本のGをどういうふうにしていくかということについては、グローバルなコンテクストの中で議論に参加していきたいというように考えております。

すみません。少々長くなりましたが、これで私のプレゼンを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【池尾座長】

大変どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの水野様からのお話も踏まえて議論を続けさせていただきたいと思いますので、まず小口メンバーから。

【小口メンバー】

ありがとうございます。タイミングがよかったのか、悪かったのか、水野さんの大変力強いお話と、耳の痛いお話を聞いた後で発言するのもちょっとつらいものがあるのですが、1つは、最初おっしゃっていた、いわゆるインベストメントチェーンの話です。受託者責任とスチュワードシップ責任が両側に書かれた絵ですが、実は2月頭に、海外アセットオーナーも含めて開かれたPRIのパネルで議論したときに、会場から質問がありまして、さっきおっしゃっていたGPIFが企業経営に介入するんじゃないかという懸念についてどう思うかという質問でしたが、正直言って、外人はみんな、きょとんとしていたんですよね。

後で聞いたら、アセットオーナーというのは当然のごとく受託者責任を負っていて、例えばGPIFであれば、一番見なきゃいけないのは、受益者、つまり、我々国民なので、我々の資産を増やしてほしいという我々の期待に応える活動に、どのような問題があるのかということでした。アセットオーナーさんは、アセットマネージャーのご主人かもしれませんが、実はGPIFさんの主人は我々だという構図の中で、そういう話が出てくること自体が多分びっくりするような話ということです。コーポレートガバナンス・コードもそうですが、いろんな議論においてグローバルという視点を入れていこうという動きの中で、インベストメントチェーンとか受託者責任のあり方とかアセットオーナーの考え方ということについても、今後グローバルなものの見方で議論してコンセンサスを得ていく必要があるんじゃないかなと思ったのが、今のお話を聞いての第1点です。

それから、水野さんが来られる前の議論として申し上げたかったことですけれども、先ほどの資料2ですね。スチュワードシップ・コードに関する公表状況の分析の中で、議決権行使の公表ですか。5ページを見ていて、以前の議論を思い出したのですけど、このフォローアップ会議の極めていい点だと思いますが、コーポレートガバナンス・コードと両方議論するということで、これまでコーポレートガバナンス・コードを議論してきた延長線上で、今度はスチュワードシップ・コードが議論できるということです。第3回で政策保有株の議論をしたと思いますが、原則1-4の政策保有株のところについては、経済合理性の問題と、それから、議決権行使の適切な対応という、前半、後半と分かれていて、これは皆さんに合意いただけたかどうかわからないのですが、私自身は経済合理性というのは必要だけれども、経済合理性が利益供与の疑いなしに確保されるという意味で、議決権行使の適切な対応というのは、利益相反とか利益供与の疑いを払拭する一番有効な方法じゃないかなということで、政策保有株でも議決権行使の対応とか、あるいは結果開示まで踏み込んで議論できないかというのを申し上げたつもりです。

まさに今日の水野様のお話じゃないのですが、このインベストメントチェーンのお話でいくと、アセットオーナーなり、機関投資家というのは受託者責任を負っているわけです。あわせて、法的責任ではないにせよ、スチュワードシップ責任については、コード受入れに署名した機関は、みずから手を挙げて、これを受入れますと言っているわけですよね。そのときのこのスチュワードシップ責任という概念は一体何なのかということについて、神作先生にもいろいろお話をお聞きする機会があったのですけど、法的責任ではないんですけど、フィデューシャリー・デューティーと親近性のある概念だと教えていただきました。受益者への忠実義務というのが、このスチュワードシップ責任の根底にあるということになると、利益供与とか利益相反の問題を払拭するというのは、スチュワードシップ・コード責任を果たす重要な生命線になるんじゃないかということで、そこで、スチュワードシップ・コードには利益相反について定めた原則2があって、受益者への忠実義務から利益相反を開示するという、そういった流れなのかなと考えています。そういう前提で考えるときに、じゃ、どうやって説明責任を果たすかという方法については、資料2の6ページになりますけれども、議決権行使結果の公表というのがやはり利益相反とか利益供与の疑いを晴らす重要な役割を担っているということになってきます。

コード原則5の中の書き方を改めて見直しますと、「機関投資家は、議決権の行使結果を、議案の主な種類ごとに整理・集計して、公表すべきである。こうした公表は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすための方針に沿って、適切に議決権を行使しているか否かについての可視性を高める上で重要である。」という書きぶりになっているわけですよね。それが基本形だということです。

ただ、もちろんコンプライ・オア・エクスプレインなので、集計公表にかわる方法もあるんだよということを書いてあるのですけれども、先ほどの政策保有株の話も含めて、利益供与とか利益相反、先ほど水野様のお話もありましたが、そういう疑念をもし持たれるとするのであれば、それを払拭する一番の基本的で有効なやり方というのは、やはり議決権行使結果の開示なんじゃないか、そうではない方法をとるのであれば、それは一体どういうことなのか、単に説明を書けばいいということではなくて、それが議決権行使結果開示と同等以上のものであることが示せないと、なかなか納得が得られないのではないかと思います。

改正会社法で、社外取締役不設置の場合は、「社外取締役を採用することが相当でない理由」を開示せよということがあって、これは法律なのでより厳しいのですが、議決権行使において利益相反や利益供与を排除するということの中で、個別開示とまでは言わないまでも、集計公表を採用しないのであれば、採用しないことが相当な理由というのがあるのかどうかわかりませんけど、その相当性の説明に納得性がなければなりません。利益相反とか利益供与の問題を回避するために、とりわけ、機関投資家においては議決権行使の集計公表が最善の方法じゃないかなと考えますと、開示しない理由の説明にはかなり高いハードルがあるのではないかと、6ページの表を見て思いました。

すみません。長くなりました。以上です。

【池尾座長】

はい。どうも。

川北先生、お願いします。

【川北メンバー】

水野さんとは独法の評価委員会でもいろいろ議論をお伺いしているところで、その続きでもありますが、幾つか質問したいと思っています。その前に、利益相反の問題があります。アセットマネジメント会社の利益相反の問題、特に親会社との問題、それから、企業との対話の質、こういうところが非常に重要で、不足している。これに関しましては、私はそのとおりだと思いますし、この場でもどこかで議論されるんだと思います。

それはともかくとしまして、水野さんにお伺いしたいのは、1点は、アクティブとパッシブの運用ということで、資料3の2ページ目の最初のタイトルにありますが、アクティブとパッシブでは、エンゲージメントというか、対話というか、この質もしくは量が違うと思います。この点について、GPIFとしてはどういうふうに位置づけられているのか、お教え願いたい。

それから、これは独法の評価委員会でも何回か申し上げていることですけれども、パッシブ運用に関しましては、これはコストとの問題で、対話をする原資があるのかどうかという問題と、パッシブ運用で対話をしていくと、これはアクティブ運用とどう違うのかという問題が生じてくると思います。このあたり、どういうふうにGPIFとしては位置づけられているのかという問題です。これは資料2ページの議決権行使に関するところの矢印の3つ目に、単純にアクティブ運用担当者側の意見に合わせてパッシブで受託をしている部分の議決権行使を行うという、こういう機関が多かったと書いてありますが、ある意味ではこれは当然じゃないのかなと思います。これに関してどういうふうな評価をされているのか、この点をお伺いしたいと思います。

それと、これは水野さんに対する質問ではないものの、先ほどの議決権行使の方針の公表とその結果の公表のところにかかわる話ですが、議決権行使をしました。ノーと言いました。もしくは、対話をして、いろいろ提案をしました。でも、経営者はそれにきちんと応えなくて、かつ、合理的とは思えないような対応をしている。そういうときにアセットマネジメント会社としてそういう株式をいつまでも持っているのかどうか。私自身は、そんな株を持つ必要性はないと思っています。ノーと言ったのに企業側が合理的な行動をやっていないのであれば、むしろ売るべきだと思いますが、この意味で、議決権行使に関しましては、そういう観点でのアンケートと言うんですか、先ほど投資顧問業協会さんのほうでアンケートをされているという話でしたが、そういう観点でのアセットマネジメント会社側、もしくは年金側に対する意見聴取があってもいいんじゃないのかなと思いました。

以上です。

【池尾座長】

それでは、ちょっと質問がありましたので、お答えいただけますか。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

川北先生、ありがとうございます。ちょっと幾つか論点があると思いますけれども、まずアクティブ、パッシブに関しましては、そもそもアクティブ運用の有効性がどうなのかということはひとつ大きな論点としていろんなところで、今回の私どもの年金運用改革の話でも出ているわけですけれども、これに関しましては、特に日本株については、私は、GPIFはアクティブ運用というのはやっていく義務があるというふうに思っております。

というのは、パッシブ運用というのはもともと、なぜパッシブ運用が効率的かというと、いろんなアクティブ運用の意見を吸い上げている結果として、パッシブが効率的になっているわけでありますので、極端な話、全員がパッシブ運用になった途端に、パッシブ運用は全く非効率になるということでございますから、GPIFみたいに規模があり、ある程度、影響力のある投資家が、我々は日本ではパッシブしかやらないということに対するネガティブな効果ということに関しては、私は十分GPIFの運用責任の一環として考えていかなければいけないということだと思っております。

続いて、パッシブとアクティブの先ほどの我々のレポートに関しての先生のご質問ですけれども、まず私は全く先生の意見に賛成でして、アクティブの運用者というのは、結局、企業側が思ったとおりにやってくれば、売ればいいんだと思います。ということは、要するに、じゃ、エンゲージメントで長期的に価値を上げてもらうニーズがアクティブ運用者とパッシブの運用者はどちらにあるかというと、これは明確で、パッシブの運用者ほど、このような長期的な企業価値の向上をしてもらわないと、売るという選択肢がないわけでございますから、そういう意味でも、アクティブとパッシブ、これは大概の会社にとって、残念ながら同じ会社でやっているわけですが、これは例えば全く別会社だとしたら、パッシブの運用者こそ、このようなエンゲージメントと長期的なサステナブルな企業の成長ということについて真剣に考えなきゃいけないのであろうというふうにまずは思っております。

そうした環境の中でGPIFは、以前この委員会で川北先生から、GPIFがフィーを下げ過ぎてきたことがこういうことになった原因ではないかと批判されたというのは読んでおりますけれども、そこに対して、ひとつ反論を申し上げると、正直、2年前までパッシブの運用者に対して委託者が何を頼んでいたかというと、安くトラッキングエラーを下げてやってくれと、それしか頼んでなかったわけでございます。現在これがこの1、2年でエンゲージメント等の要求をしてきているようになってきているわけでして、それに対して、運用者側もアセットオーナー側もなかなかついていけなかったというのが実態だろうと思っております。

今回のこのレポートの中でははっきりと、パッシブの運用者に対しては、エンゲージメントとスチュワードシップ活動の内容によって、我々は総合評価を変えますとはっきり申し上げております。かつ、今まではトラッキングエラーが重大な評価項目だったんですが、日本株のトラッキングエラーなんて、ほとんどもともと出ないわけでございますので、これからはこのようなスチュワードシップ責任に関する活動が我々のパッシブ運用の運用者を評価する大きな、重大な項目になるということはまず我々は明確にしているわけであります。

そうして、ちゃんとやっているところにどう報いるかということで、簡単な方法は残高を増やすということですけれども、プラスアルファ、先ほど先生のご指摘のように、それだけのコストをかけられるような状態にあるのかということについては、これもよく誤解されているんですけれども、GPIFは今、運用者の選択において、いわゆるコストの一番安いところを採用するというやり方ではやっておりません。いわゆるこういう公的機関の公募プロセスにおける企画競争でございますので、ぜひ運用者の方には、我々はこんなふうにパッシブのチームでちゃんとやっているんだと。これだけ人を雇ってやっているんだから、フィーはこれだけもらわないと困りますと言ってもらえればいいわけでございまして、正直私はそのような提案のなさに残念に現在思っておるところでございますので、我々から見て、それだけのコストをかけて、意味があるようなチームでパッシブをやっていらっしゃる方がいらっしゃれば、当然我々は評価するということではないかと思います。

あとはもう1つ、何でしたかね。最後の質問。先生、あともう1つありましたっけ。

【川北メンバー】

2ページ目の議決権行使の矢印の3つ目のところで、アクティブに対してパッシブの議決権行使をあわせているという、それに関する評価です。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

はい。これはヒアリングした結果、パッシブでちゃんとエンゲージメントをやっています、議決権も積極的に行使しますとアピールされている運用機関でも、突き詰めて聞いてみると、彼らのアクティブのチームが投資している先に対して、同じように議決権を行使しているわけですので、ある意味、アクティブの運用チームに議決権というか、株数を貸しているだけというのが実態なのであろうというふうに思います。

これは多くのと言っておりますので、そうではないと見られるところも正直あったわけですけれども、これも先ほど申し上げたように、アクティブに関しては売るという選択肢があるということ。例えばアクティブ運用のチームが今年1年で売るのであれば、今ある全部キャッシュを全て配当で出させたほうがいいわけでありまして、それは長期的に見ると、設備投資やR&Dがなくなるということで、長期的には企業のサステナビリティに反するということがあるわけですから、そういう意味において、今のようなアクティブのチームが決めたことにパッシブが従うというような状況がいいとは思っておりません。

これもそういう意味では、我々としては、あくまで課題として提示をして、今後、運用会社の方がどういう取組みをなさるかということを興味を持って見ているというふうに申し上げたいと思います。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

じゃ、冨山メンバー、お願いします。

【冨山メンバー】

どうもありがとうございました。私も新聞報道ベースなんですけど、今回の直接株の保有と議決権の話を読んでいて、反対している側のロジックも一応、あれがほんとうかどうか知りませんけど、読んでいて、これ、大丈夫かと。この国は大丈夫かと正直、あのとおりとしたら思いました。というのは、水野さんが言われたとおりで、GPIFの究極のベネフィシャルオーナーは国民、全ての国民なんですよね。これは当然、全ての国民に対して責任を負う。ある意味では、受託者責任を、フィデューシャリー・デューティーを負っているわけで、その国民の資産を長期的に最大化するために議決権行使するのは当たり前の話であって、もしその議決権行使に国家権力が介入するということを問題にするのであれば、そもそもGPIFのガバナンスがおかしいんじゃないかというのが本来の議論であって、これを正すのが本筋の議論です。

もっと言っちゃえば、仮にガバナンスを独立化しても、それでも国家権力が介入するというのであれば、それはそもそもGPIFというのが成り立っていないということなんですよね。やめちゃったらいいんです、これ。もしその議論で反対するんだったら、そもそもGPIFを解散しろというのが本筋の議論であって、その国家権力が介入するから、報道によると、労使が反対しているんですが、これは悪いけど、この単純な、極めて単純な理屈がわからないとしたら、これは悪いけど、ちょっと高等教育を受けたにしては、相当おばかか、これはほかの理由があるかなんです。ほんとうの理由は違うところにあるとしか思えない。もし彼らがおばかでなければ。

じゃ、おばかでないという前提で、ほかに理由があるとすれば、多分さっき水野さんが言われた不信感の問題だと思いますと。だったら、正直にそう言うべきなんですよね。私たちは株主の議決権行使を信用しておりませんと、私は正直に言うべきだと。それは確かに若干理由があって、これはやっぱり歴史的背景として、これはこの議論は、私は最後はやっぱりこのスチュワードシップ・コードの議論に行くと思って、実はこの議論をやっているんですけど、結局、今まで日本の、前は、企業統治において、何て言うんですかね。株主の位置づけというのは、多分17世紀以前の国家統治と同じで、要は、一般市民に対して、別に政治権力に参加するような制度化された権力は必要ないという状態でやっていたわけです。そのほうがおそらく企業も伸びていくし、多分、それは結構当たりだったと思うんですね。

そうすると、形上、資本民主主義を導入されていても、それまでの長い間、株主の役割というのは、言うなれば野党ですよ。これは万年野党みたいなもので、ギャーギャー、ワーワー言っているけど、だから、ほんとうの意味で責任与党として、責任与党株主としてかかわるということはなくて、要は、与党株主というのは黙って経営者の味方をするという役割であって、だから、あとは無責任与党と無責任野党しかいなかったわけです。これが長い歴史で、この状況で日本は来たわけで、ここへ来て初めて株主もちゃんと責任、与党株主として責任ある役割を果たしてくださいと言われると、やっぱりこれは困るわけですよ、いきなり。だって、とりあえずワーワー、だからあれでしょう。何を言うかといったら、ばかの2つ覚えと私はよく言っているんですけどね。何を言ってくるかといったら、配当増やせと買取消却増やせ、ほとんどこれしか言わないです。現実に企業にワーワー言ってくる株主のコメントは大体ほとんどこの2つです。私もいっぱい、結構見てきましたけど、オムロンの取締役とか見ていて、やっていて。もうほとんどこの2つ。

そうしたら、この2つだったら、言うんだったら、それはサルでもできますよ。それなりに済んできたんです。なぜならば、今までこのコーポレートガバナンス・コードもスチュワードシップ・コードもなかったから、実質的には市民が、要するに、一般株主、株主というのがそもそもその企業統治に積極的かつシリアスに参加するという前提がなかったので、要するに、やっとここでそれが問われてきたわけで、ですから、これはちょっと同情すると、それで長年やってきたので、それでいきなりあれですよね。よくあった、市民革命をやった後に国がグチャグチャになったというケースがありますけど、急に選挙権をもらっても、それを、要は、責任持って行使すると言われても、今までなかったわけですから、それで困っちゃっているという状況も正直あると思います。

そうすると、ここから先の大事なことはやっぱり建設的な議論が大事であって、要は、それぞれよちよち歩きで始まったわけですね。いろんな企業はやっと近代市民国家になったわけです。だとすると、やっぱり近代市民国家としてちゃんと発展していくためには、お互いにちゃんと学ぶことが大事だし、やっぱりここから先は、私は今まで株主の言い分が通らなかったことについて、もう企業経営者の責任にできないわけですよ。だって、こういうコードがあるんだから。ということは、それはろくなことが言えない自分の責任ということにもなるので、私はその問題にこれからストレートに視点を向けるべきだし、その点について、やっぱり機関投資家が率直に反省すべきというのは、これは真剣に反省しないと。要するに、選挙権をもらったんだけど、ろくに行使できないのであれば、何じゃらほいということになります。

その観点で、今回のGPIFの議論について言うと、私は全く水野さんの意見と同じで、要は、パッシブ運用の人が実効的に実際にエンゲージメントができないんだとすれば、むしろGPIF自身がある種ミラーという形で、パッシブ運用に近いようなポートフォリオを持って、みずからそのエンゲージメントをやるのは当然だし、逆に言うと、これは規模がやっぱり重要なんですね。やっぱり大きくならないと、十分なエンゲージメントのスタッフを抱えられません。そういった意味で、一番それを抱えるのはGPIF自身なので、私はGPIF自身が直接株を持って、議決権行使をしてやっていくのは当然だと。

今回ガバナンス改革はされたわけですから、そこでもう国家権力の介入というリスクがないわけで、だから、そういった意味合いで言うと、今回ちょっとどうもああいうふうに、いろんな政治的事情でああなるんでしょうけれども、この議論はやっぱりこの委員会としてはちゃんと蒸し返して、巻き返しをすべきだと僕は思いますよ。そうじゃないと、とにかくこれは正直言って、繰り返しになりますけどね。あの議論の構造、少なくとも報道されている議論の構造を見ちゃうと、とにかくあれは日本のインテリが集まってやっているわけでしょう。もう日本のインテリのIQレベルというか、要するに、受託者責任とかフィデューシャリー・デューティーとかベネフィシャルオーナーとかそういう、要するに、投資とか信託とかいうものを構成する基本概念が全然わかっていない人がああいう議論をしているんじゃないかというふうにやっぱり聞こえちゃうんですよ。

くどいようですけどね。あの議論がそもそもGPIFという存在自体がけしからんという議論というふうに反対するのなら、ほんとうに僕は理解できます。だけども、GPIFという存在は是認しておいて、今度、GPIFが、くどいようですが、株を持って、直接議決権行使をするのは国家の権力介入でけしからんと言うんだったら、それはもう暗黙のうちにGPIFという組織は、最終的なベネフィシャルオーナーに対するフィデューシャリー・デューティーの原理で動いてなくて、基本的に国家、時の政治権力、時の権力を持っている政治に対してフィデューシャリー・デューティーを持って行動しているということが前提になっている議論ですから、だから、あの議論をするんだったら、正々堂々と労使はGPIFを解散すべきと言うべきなんですよ。だから、そこは私はほんとうにちょっともう心配になっちゃって、さすがにあれはあんまり英語で報道されていないんですかね。あのばかげた議論は。よかったなと思っているんですけど、ここはもう1度ちゃんとした真っ当な議論をしてもらいたいと思います。

以上です。

【池尾座長】

じゃ、岩間さん。

【岩間メンバー】

ありがとうございました。ひとつ、このポンチ絵をいただいているんですけれども、基本的にこの構図がうまく回るのが大事だということはそうだと思うんですが、ちょっと申し上げたいのは、その機関投資家というのは、アセットオーナーとアセットマネージャー、両方を指すと、両方含むということであって、これは私の理解ですけども、アセットオーナーのエージェントがアセットマネージャーだと、こういうことだと一般的に理解されていると思うんですね。

それで、例えば議決権行使結果の開示という問題について言いますと、アセットオーナーがどういう具合に開示をするということがあって、それをエージェントとして受けとめて、どういう具合にするかと、こういう構造になっておるんですね。一般的に言いますと、開示はもちろんしたほうがいいというのが一般のコンセプトだと思いますが、アセットオーナーが個別のところまで開示をしてもらっては困るというケースがあるんですね。そうすると、エージェントであるアセットマネージャーは守秘義務を負っていますので、そこまで開示できないと、こういう構造であるということはちょっと一般的にご理解いただきたいと思います。

投資顧問業協会としては、議決権行使のガイドラインをつくりまして、実際に会員会社にこういうガイドラインをもとに自分自身のポリシーを出してくれということを言っていますので、それに基づいて我々見ているということなんですね。

それで、今の我々の立場としては、スチュワードシップ責任をどう果たすかということで、パッシブか、アクティブかというお話がございましたけれども、世界的な潮流として、やはりパッシブでエンゲージメントをちゃんとしっかりしろというのが、実際に意味もあるし、効果も出るということになってきつつあると思いますので、先ほど申し上げましたアセットオーナーが出発点だということになりますと、GPIFがこういう方針を出されて、全体がうまく回るようなきっかけをつくるということは、我々としては大変いいことだろうと思っております。それに我々がどれだけ応えられるかということだと思います。

もう1度、そのアクティブとパッシブに戻りますと、パッシブであってもエンゲージメントをすると。アクティブは投資価値がないのなら、売ればいいじゃないかと、こういうご議論が当然あると思いますが、これは投資マンデートのタイムホライズンといいますかね。どのくらいの期間の運用であって、その期間によってはある程度伸びしろがあると。要するに、エンゲージメントを効果的にやれば、非常にバリューアップが期待できると。というのは、ある期間、保有をして、実際に対話をしていくということになってくるわけで、必ずしもアクティブだからやらなきゃいけない。あるいはパッシブであればやらなくてもいいとか、あるいは逆もあると思いますけど、そういう議論では私はないと思います。

一般的にはやはりスチュワードシップ・コードができて、そういうことがちゃんとしっかりとクオリティの高いものになっていけば、このインベストメントチェーンがいいスパイラルで上がっていくということになると。それを我々としては期待したいと思っております。

私もちょっと出さされておりましたのですけれども、GPIFのガバナンスをどうしたらいいかという議論には参加させていただいたんですが、運用をどうするかというところは、私どもの範囲じゃなかったのでわかりませんけれども、やはり一歩踏み出されたわけで、そのいい方向に動いてはいるんだと思うんですね。

冨山さんのおっしゃるとおり、どう考えてもよくわからんというところはあるんですが、そこはもう正直言って、私もあるんですけれども、少なくとも前に向いて動いてらっしゃるということで、それを受けとめて、力の弱い運用業界でございますけど、精いっぱいの努力をしなきゃいけないと、そういう具合に思っております。どうもありがとうございました。

【池尾座長】

そのアセットオーナーが開示を望まない場合があるというのをもう少し具体的にお願いします。

【岩間メンバー】

要するに、個社の個別の議案について、もちろん出してもいいというところもあると思いますけど、全体がそういうことになりませんと、我々のほうのその公表といいますか、個社の立場で見れば、限定された公表になるということですね。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

岩間会長、ありがとうございます。まずこの表ですが、私ども、こちらにいらっしゃっている金融庁の方々のように、こういうポンチ絵づくりになれておりませんで、もともとそちらがおつくりになった絵をそのまま機関投資家でコピペしてしまったというだけなのでございますが、おっしゃるとおりで、我々も機関投資家でございますので、本来この図であれば、ここは私どもの絵でいえば、運用委託先や運用会社とするべきであったんだろうなというように思います。

エージェントということですけれども、これは先ほど冨山メンバーの議論でもありましたように、今回の議論を見て思ったのは、その辺のエージェントやガバナンスに関するコンセプトの理解が極めて皆さん曖昧だということであります。ガバナンス法案を通したということは、ガバナンスでそのような影響が排除されたということになるはずなんですけど、でも、懸念があるというまま、そのガバナンスが進もうとしているということは、やっぱりこの辺のコンセプトについて明確な理解がされていないということだと思います。

その中で、アセットマネージャー、運用会社が我々のエージェントであるので、我々に指示が必要であるという会長の意見は、前の議事録でも読ませていただきましたけども、それはそういう環境下において、GPIFとしてはいろんな制限があるということはぜひご理解いただきたいと思っているわけですが、それの中で、ちょっとせっかくなので、申し上げますと、アクティブ、パッシブ議論の中において、ひとつ今できることだと思っておりますのは、我々運用機関の選択は、今までもう毎年、3年、4年の周期を決めて、ずっとやっておりました。これに対して、今回からはマネージャーエントリー制ということで、常にマネージャーを選べる体制に変えますので、それができた暁には、それぞれの運用機関の運用方針に応じて、そちらの運用機関の成績は何年で見ますよ、あるいは1年で見ますよということを個別に決めていこうと思っています。そういうことでは、今の岩間会長の指摘された懸念については、ある程度払拭できるのではないかと思っています。

【池尾座長】

では、神作先生。

【神作メンバー】

どうもありがとうございます。これまでメンバーの先生方からご発言がございましたように、インベストメントチェーンをうまく機能させていくためには、アセットオーナーとアセットマネージャーが非常に重要な役割を占め、とりわけそのアセットオーナーが、日本版スチュワードシップ・コードの言葉では「顧客、受益者」という言葉を使っておりますけれども、要するに、最終投資家のためにこのスチュワードシップ責任を全うする必要があるという考えに立っていると思います。

この議論をするに当たって、私、少し気をつけたほうがいいかなと思っておりますのは、法的な責任の問題と、それから、法的ではないけれども、まさにスチュワードシップ責任と言われているような社会的な規範としての規範とを分けて議論するということが必要であると思います。

インベストメントチェーンの考え方のもとでは、法的な議論には非常に大きな限界がございまして、典型的には例えば議決権行使助言会社のように、最終投資家との間で契約関係等に立っていないような場合があり、そのような場合に一体どのような法律関係・法的責任が生じるのかという問題が出てまいります。ところが、先ほど申し上げたようにインベストメントチェーン全体が機能することが必要なので、最終投資家と投資先企業との間にさまざまなプレーヤーが介在しているときには、それぞれがきちんとスチュワードシップ責任を果たしていくということをしないと、全体としてみるとやっぱり鎖がうまく機能しないということになります。そこで、スチュワードシップ・コードがインベストメントチェーン全体を取り込む形でソフトローの規範として構想されているのであると理解しております。

その中で、例えば投資先企業にあまり期待が持てなくなったら、機関投資家としては売ればいいじゃないかという議論がございますけれども、そのような議論がコーポレートガバナンスの議論との関係で完結するのは、株式を売ることにより、支配権の奪取を目的とするものが買い集め、コーポレートガバナンスがきっちりしていない場合には、支配権の変動が生じること、すなわち友好的でない買収がきちんと機能することによってはじめて、株式の売却という文脈でガバナンスの議論が完結するのではないかと思います。けれども、私の理解では、なかなか日本では、また世界各国においても、非友好的な買収を通じてコーポレートガバナンスを完結させるというのはなかなか難しいという状況があるように思います。そこで翻って、株主は株式を保有していることを前提にエンゲージメントによって企業価値を上げて、ガバナンスを向上させていこうではないかという話につながっているのではないかと理解しています。

その点に関連して、1つご質問をさせていただければと思うのですけれども、スチュワードシップ・コードの3ページの7のところでございますけれども、4段目に次のような記載がございます。「『資産運用者としての機関投資家』は、『資産保有者としての機関投資家』の期待するサービスを提供できるよう、その意向の適切な把握などに努めるべきであり、また、『資産保有者としての機関投資家』は、『資産運用者としての機関投資家』の評価に当たり、短期的な視点のみに偏ることなく、本コードの趣旨を踏まえた評価に努めるべきである」。

GPIFさんがアセットオーナーであるという前提でご質問を進めさせていただきますと、スチュワードシップ・コードが期待しているのは、資産保有者として資産運用者を短期的な視点に偏ることなく、スチュワードシップ・コードの趣旨にのっとって、資産運用者を評価するということです。具体的な評価のあり方について、今日、既にご報告の中で、例えば運用先のガバナンスを見るとか、利益相反についての開示状況を見るということをご教示いただきました。また、今先ほどの岩間メンバーからのご質問に対する回答としては、マネージャーエントリー制を採用している、その成績評価のあり方についても検討を加えていると、既に私がお尋ねしようとしたことについて大部分お答えいただきました。そこで、資産保有者として、短期的な視点に偏ることなく、アセットマネージャーを評価するという点について何かさらにされている工夫や考え方などがございましたら教えていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【池尾座長】

それでは。はい。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

よろしいですか。大変いいご質問をいただきまして、ありがとうございます。ちょっと私、言い方が何でも極端なものですから、誤解を呼ぶわけでありますが、アクティブの人たちは売ればいいと申し上げましたのは、であるから、エンゲージメント等は要らないということを申し上げたのではなくて、アクティブの方々には売るという選択肢があり、彼らの我々に対してのフィデューシャリー・デューティーとしては、自分たちが我々との間で合意している投資ホライズンにおいて、売るということが最も合理的に我々の委託した資産を守る方法であれば、売らなければいけないという義務が彼らにはあるというふうに思っております。

これをショート・ターミズムと呼ぶかどうかということに関しては、私はそれまでもショート・ターミズムと呼んでしまうと、もうそもそも株式市場の効率性そのものが破壊されていくことになると思いますので、私はそれは認めて、だから、彼らの義務の1つだと思っているんですが、それがパッシブとの関係の中でどういうことが起きるかと申しますと、パッシブは売れませんので、多少2年かかっても、3年かかっても、根気強く企業側とエンゲージメントをしていかなければいけないと。ところが、アクティブ側は同じようにエンゲージメントをしたとしても、半年後、1年後で変わらなければ、今度売るということになれば、企業に対して株価が下がるというメッセージになるわけであります。全員がパッシブで長期だと、我々も長期でしか評価しておりませんと言った途端に、これは、じゃ、いつまで待つんだという話になるんだろうと思っておりまして、そういう意味では、アクティブのマネージャーがある意味、パッシブよりは1つ1つの企業に対して、ある意味、インペイシャントであるということは、全体の効率性に対しては、私はポジティブな貢献をするのではないかというふうに思っております。

じゃ、そこでどういうふうに評価をされているかということですけれども、今までは川北先生の問題点でもありましたけど、パッシブの運用者に関しては、要するに、トラッキングエラーが低くて、安ければいいんだというところから、今言ったようなことをできていくのかということを、我々は当然問題にしていくわけでありますし、そこに関しての彼らに与えるというか、パッシブの人たちに我々が許容する投資のホライズンというものは、それなりの長期のものを見ていくということになるかと思いますので、我々も全てできているというふうに申し上げませんが、今、現実的に、毎年毎年新たな方法というか、新たなウェイティングでパッシブとアクティブの総合評価をやっていこうと思っておりますので、その活動の中におきまして、今ご指摘された、このスチュワードシップ・コードで要求されているようなことは、現実、もう既に起きているということですので、ぜひ。これはほんとうに全ての参加者がまだ発展途上なんだろうと思います。それは私も含めてそうでございますので、それを今、徐々に直していこうというふうに考えております。

それと先ほどちょっと冨山先生の意見で回答するのを忘れたので、ついでに言わせてもらいますが、昨日の『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事でも、今回のGPIFの議論において、日本のコーポレートガバナンスの議論は後退したという海外の投資家の発言がクォートされておりましたので、残念ながら海外ではそう見られているということは、我々は認識して、今後活動したほうがいいのではないかというふうに思います。

【池尾座長】

じゃ、上田メンバー。

【上田メンバー】

ありがとうございます。水野様、大変すばらしいお話をありがとうございました。少し戻りますが、先ほど冨山メンバーがおっしゃったことにも大いに賛同いたしました。私はそこまで、すみません、度胸がありませんので、そこまで申し上げる勇気はないのですけれども、すばらしいと思いました。

そもそもコーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードが目指すのは、市場全体を底上げして、日本の経済を国富として高めましょうということであるとすれば、おそらくGPIFのパッシブ運用の規模が大きいというところを動かすのは、持続的成長につなげる1つの努力だと思うんですね。ですから、そこはすごく重要なものだと思っております。ただ、そこが、ちょっとうまく言えないのですが、本来、我々国民の年金のはずなのですね。ということは、GPIFが向くのは、先ほど小口さんからもありましたが、国民という受益者だと思うんですが、なぜかこれが政治が使えるお金というか、政府がそこからお金が出てくるような捉え方がどうも過去あったのかなと。まだそういう思いが完全になくならない中で、現在、その巨額の資金の運用をどうするかということが議論されているようなところがありそうです。年金基金の運用という独立した議論ではなく、国のお金であるソブリン・ウェルス・ファンドの1つのような議論すら、どうも聞く場合がございます。それは全く違っていて、これは国民の年金であるということのそもそもの定着が必要なんじゃないのかなというふうに、議論の前提として思いました。

そう考えるならば、これぐらいの規模が大きい、そして、国民年金という動きであるとすれば、世界的な動きとしては、活動を消極化させるのではなくて、積極的に活動はして、ただ、その透明性は高めましょうというものだと思います。意思決定のプロセス及び、それが例えば議決権行使という行為でなれば、どういう行使をしたかという結果の透明性を高めましょうというのがグローバルな動きでしょうか。そうすることで、しっかりとしたガバナンスが効いた投資行動あるいはスチュワードシップ活動をしていると、そういう証左を示すことになるのではないかと思います。このように透明性を高めたうえで、それを国民なのか、政治なのか、わかりませんが、そこにその評価を問う。特に公的な規模の大きいアセットオーナーというのは、このようなことが世界的な動きなのかなと思うのですが、日本はどうもちょっと議論が違うような気がしています。もしかしてGPIFというのは、これは国民の年金じゃなくて、何か公的な、ソブリン・ウェルス・ファンド的なものだったのかなとすら錯覚してしまうような議論があるように思いました。

そういった上で、そのスチュワードシップという観点からすると、先ほど神作先生もおっしゃっていましたけど、そのインベストメントチェーン全体を網羅してスチュワードシップというものを高めていく場合に、取締役、株主、株主の中でも機関投資家、アセットマネージャー、アセットオーナー、そして、最終の受益者としての国民という流れを網羅するスチュワードシップという概念。これは今では、国際的にも定着している概念のようでございます。

たしかスチュワードシップ・コードの有識者会議のときも私、参考人で呼ばれてご報告したときには、まだ受託者責任の概念とスチュワードシップの概念の関係性が曖昧で、英国でも相当ここは議論あったんですけれども、スチュワードシップという、曖昧だからこそ、全体を底上げしたいというときには、全体に網をかけられる概念として利用されたということだったと思います。

そこで一番やっぱり重要なのはどこかというと、先ほど少し保険会社についても触れたのですけれども、最終受益者は個々人ですので、それを基金としてひとつに取りまとめるのはアセットオーナーですから、やはりアセットオーナーというのが肝だと思っております。こちらの水野様の資料にもございますけれども、では、アセットオーナーが会社とどういう関係にあるかというと、これは受託者責任が連鎖するチェーンになるのです。あるいはスチュワードシップ責務という範囲ということであれば、直接投資先企業からアセットオーナーまで網羅できることなのかもしれません。いずれにしても、アセットオーナーが動かれるというのは大変価値があることだと思っております。

ほかの日本の基金、あるいは共済の動きを拝見していますと、皆さん、問題意識はお持ちなのですね。ただ、日本の秩序立った社会の中で、規模が大きいところが1つある場合には、それ以外が自ら先駆的に活発に動くということをちゅうちょされておられる節もあるんじゃないかと思います。私はGPIFが、今回の1月末公表の報告書で問題提起をされたこと、そしてPRIにも署名されたということが、これはきっと他の公的な年金基金に対しても、背中を押すと言うと変なのですけど、扉をあけたことになるのかなというふうに思っております。そうして全体が動くことで、アセットマネージャーとの関係というものも従来とは違う、先ほどマンデートのご判断のところも少し変えつつあるというお話でしたが、これも変わってくるのじゃないかと思います。

1つちょっとご紹介させていただくと、ICGNという国際的な投資家団体が、数年前にモデル・マンデート・イニシアティブというものを公表しました。これは、投資に際してESG要素の配慮やエンゲージメントをアセットオーナーが求めていく中で、アセットマネージャーの側でどうしてもコストが増え、そのコスト負担はどういう形で分担するのでしょうかという議論です。このような議論の場合には、必ずコストの話が出てくるものです。仮にコストをアセットオーナーが負担しないとなると、優秀なアセットマネージャーは資産運用業から逃げてしまう。そういう環境ではビジネスが成り立たないので、やめてしまうところも出てしまい、アセットマネジメント業界の質が下がるということで、コストの意識をしっかり持ちましょうということが背景にあります。最近では、海外の新しいマンデート契約では、このイニシアティブの内容が考慮されつつあるという話を聞いております。したがって、本日GPIFからご報告されたようなお話というのは、日本よりも5年早くスチュワードシップ・コードが入った英国を契機に、世界のほうが先に議論が始まったものですが、日本でも、それを十分同じ方向でキャッチアップされていて、特にGPIFが動かれたことによって、思った以上に早く動きつつあるのかなと思いながらお話を伺いました。

すみません。長くなりまして。大変ありがとうございました。

【池尾座長】

いいですか。どうぞ。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

はい。ありがとうございます。今、幾つか問題点あったと思いますが、まず透明性に関しては、先ほどの岩間会長からのご指摘でもありますけれども、我々、例えば議決権行使に関しましては、先ほどお配りしたレポートの後にこういう表を出したり、今までも公表してきているわけですが、まだいろいろ足りないとおっしゃいます意見がありますので、じゃ、どこまで公表しようかなと今迷っているところでございます。

ただ、最低限、我々の投資先の委託しているわけですが、全てを含めて、どういう会社の株をどれだけ持っているかということは公表しようかと今考えております。といいますのは、我々、今回の議論の中で7%、日本株を持っているということがずっと言われ続けていたわけですけれども、あれは浮動株に対するパーセンテージですので、実際の議決権ベースではそんなに全然大きくない等もありまして、大変理解がされていないということを認識いたしましたので、名寄せベースで我々の保有率は公表しようかなというふうに思っております。

アセットオーナーの役割なんですが、GPIFさんがやってくれればということは、これだけではなく、デリバティブの活用等々でいろんな方々が言われているわけですけれども、それをやるために、毎回とてつもなく、いろんなところから鉄砲が飛んでくるわけでございまして、ぜひ皆さんもGPIFがやってくれればとおっしゃるだけではなく、GPIFはやるべきであるし、やる義務があるということをぜひいろんなところで発言していただいて、環境を醸成していただきたいというように思っております。

先ほどのICGNでしたかね。こちらは私どもメンバーではないんですが、いろんなところで今ゲストで呼ばれておりますので、参加しようと思っておりますけれども、先ほどもご紹介しましたUNPRIのアセットオーナーコミッティーの中の幾つかの作業部会というのが今回でき上がっておりまして、私はその中のパッシブマネージャーに対して、アセットオーナーがESGの観点からどのような指示を出すべきかということを考えるワークグループに参加することが決まっておりますので、ちょっとフォーラムは、別のフォーラムですけど、そちらでも同じような議論がなされるのではないかというように思っています。

【池尾座長】

ありがとうございました。

あと残り時間10分ちょっとですので、手短にお願いします。岩間さん。

【岩間メンバー】

先ほど運用会社のガバナンスはどうなっているんだと、こういう鋭いご指摘がございまして、これはちょっと私としてもお答えしておいたほうがいいんじゃないかと思います。運用会社は当然ながら顧客、投資家と利益を完全にそろえなきゃいけないということで、それが一番大事な価値だということなので、その間で利益相反が出るような事態が起こったときに、どういう具合にそれを解決するのかと。利益相反というのはどんな場面でも起こり得るわけなので、要するに、株主が100%持っているから起こるんだとか、あるいは社長が上から振ってくるから起こるんだとかそういう話じゃなくて、実際に個々の事情の中でそういう利益相反があるのかないのかと。そういうものをどういう具合に解消するのかということが一番大事なことだという具合に思いますね。

そういう意識は、やはりこのコーポレートガバナンス・コードができ、スチュワードシップ・コードができ、こういうことが議論される中で、運用会社のトップにも非常に大きな関心事になっていて、真剣に考えるところが増えてきたということで、それはいい方向に動くんじゃないかと思います。

一般的に、欧米ではこういう構造はないのかといえば、欧米にもありまして、当然ながら生命保険会社が100%持っているような運用会社があって、第三者のお金を運用するというケースはありますね。株式にも当然投資していると。親会社も若干持っていて、親会社の考えと子会社の運用会社の考えは違うというのが当然ありうるわけで、親会社が自分の考えを押しつけるかというと、それは完全に遮断するというのが一般的な解決法で、そういうことをちゃんとしっかりとできるだけディクレアして、投資家の信頼を勝ち得るという方向に運用会社も動いていかなきゃいけないと、そういうことになりつつあると思います。まだ完全にそうだとは言えませんが、そういう問題意識を持つ経営者が増えてきていると。株主もそういうことで考えなきゃいけないという方向に動いてきていると思います。我々も引き続き努力したいと思っております。

【池尾座長】

はい。小口メンバー。

【小口メンバー】

手短に。スチュワードシップ・コードの特徴といいますか、コーポレートガバナンス・コードと比べて違う部分というのはみずから手を挙げるという部分があると思うんですね。スチュワードシップ・コード責任に賛同する人、この指とまれということでやったら200機関ということなので、そもそもスチュワードシップ・コードの受入れにはまず選択があって、なおかつ、アクティブ、パッシブの話がありましたが、賛同した後でも、スチュワードシップ・コード序文9に書いてありますが、いろんな適用の仕方がありますねということで、何か型を当てはめるわけではないはずです。ただ、受託者責任という視点で、他事考慮の禁止、受益者の利益のみを考えなければいけないというのは、これは共通だと思うんですね。

そうすると、受益者の利益という共通目的のためにいろんな運用があり、いろんな哲学がありますねという中でのスチュワードシップ責任ということなので、むしろスチュワードシップ・コードにおける開示はもっともっと多様化することが望ましいのであって、何か一方向、これだけが正しいということじゃなくて、いろんなやり方があって、それを開示を通じて主張し合うみたいな形というのがいいのかなという気もしています。

ただ、そうなると、心配なのは、GPIFさんがスチュワードシップ・コードの受入れを評価しますということになると、コーポレートガバナンス・コードのコンプライと同様、みんな金太郎あめみたいな表記になってくるリスクもあるのかなと思っています。各運用会社の多様な運用手法があって、その中でいろんな形の受託者責任を果たすということと、スチュワードシップ・コードへのかかわり方という意味で、GPIFさんで何かお考えがあれば、少し聞かせていただければと思います。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

よろしいですか。

【池尾座長】

はい。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

ありがとうございます。これは運用委託会社だけではなくて、私は事業会社についても同じ思いを持っているわけですけれども、今回のコーポレートガバナンス・コードあるいはスチュワードシップ・コードが何が違うかと、先ほど先生からも法的な観点からの違いというのをおっしゃいましたけれども、要するに、これはコンプライ・オア・エクスプレインであるわけでありますので、何もみんな同じ、金太郎あめ型のことをしてくれとはそもそもコードが要求していないと。私どもも要求するつもりもございません。なので、それぞれの運用会社に、自分たちはこういう形でバリューをつくっているんだから、ここを見てくれという形でアピールしてもらいたいと思っています。

事業会社さんについても、正直、コンプライ・オア・エクスプレインにしたわりには、皆さん、随分素直にコンプライされるものだなと正直思っております。社外取締役もない、ないという話だったんですが、コードができた途端に皆さん見つけられるということですから、本来であればですね。実は私どものところにもいろんな事業会社からは、こういうことをいろいろとアセットオーナーとみんなで言われると、我々はそのコンプライするしか方法がなくなりますと言われるので、いや、そんなことないですね、コンプライ・オア・エクスプレインですから。コードなんかは、まあ、くそくらえだというぐらいのことで、自分たちの経営の正当性を主張される方がたくさんいらして、全然問題ないと私は思っておりますし、それこそがまさにこれがコードたるゆえんだというふうに思っておりますので、その考え方は運用会社に対しても全く同じでございます。

【池尾座長】

はい。川北先生。

【川北メンバー】

1点だけ。資料3にもありますように、パッシブ運用に関して、上場会社数は非常に多いわけですよね。そういう中でパッシブをやっていく。かつ、エンゲージメントもやらないといけない。そうすると、これは大変な労力がかかってしまって、とんでもないことになる。だから、インデックスを工夫するということが1つ方法としてあると思いますし、JPX400にかなりシフトされているという話も聞きますが、GPIFとしてのパッシブ運用の方向感に関して少しご意見をお伺いしたいと思います。

【池尾座長】

はい。お願いします。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

ありがとうございます。現在、そもそもパッシブ運用とは何かということも含めて考え直しておりまして、これは株とは直接関係ないんですが、国債がマイナス金利になっておりますので、パッシブ運用したら当然マイナスになるという状況が出てきておりまして、そもそもパッシブとはどういうものかということも含めて考え直さなければいけないときにちょうど来ているというように思っております。

そのパッシブの中で、今後もJPX400だけではなくて、スマートベータ等も含めて広げていきたいわけですけれども、これも今まではスマートベータはアクティブであるということを我々、監督官庁側から言われておりましたので、そうすると、そもそもパッシブではなくなってしまうと、こういう全体の枠組みについて考えなきゃいけないことが1つありますと。

先生のご指摘の1,700社、上場企業の中で全部にエンゲージメントしろと言われたら、できるのかということに関しては、長期的には1つの可能性としては、パッシブはある意味、装置産業的になって、それだけの陣容をそろえるところしか、パッシブの運用者にはなれないという時代が来る可能性があると私は思っておりますが、当面はその1,700社の中でどういうスクリーニングプロセスでどういうところを選んで、選んだところにどういうことをやっているのだということを多分差別化として運用会社は、ある意味、我々が顧客ですので、我々にアピールしてくるんじゃないかというふうに考えておりますので、今すぐ1,700社全部にエンゲージメントしてないからやっていないんじゃないかということは、当然ですけれども、申し上げるつもりはありませんし、その取組み方について評価していきたいと思っております。

【池尾座長】

時間がもうなくなってきていますので、最後、田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】

1点だけ。私どものグループ内にも実は機関投資家がありまして、こういう機会もあるかと思って、随分いろいろ話を現場でどういうことをやっているか聞いてきたんですよね。話を聞きますと、やっぱりパッシブの話が随分出てきまして、パッシブであるからこそエンゲージメントが大事なんだということは、彼らは盛んに言っていますね。ところが、実際にそのエンゲージメントをやろうとするときに、そもそも投資家と対話するつもりのない会社が結構あると。例えばIR室みたいな組織すらない。どこが窓口なのかわからないみたいなところが結構あると。

それから、強い企業ですね。大きな企業ほど機関投資家との対話を無視する傾向があるとかですね。それから、業界によって非常に差があると。非常に一生懸命やってくれる業界とそうじゃない業界があるとかですね。そういうことで、実際には現場では非常にそういう悩みを抱えながらやっているようですが、エンゲージメントの回数は明らかに増えているというようなことを言っております。そういう現場での模索がなされている中で、ここで1点だけご質問なんですが、先ほど水野さんがおっしゃった不信感という言葉は非常に重たいと思うんですが、これを一歩進めて、解消に持っていくためにはどういうことが考えられるのかと。どういうことが必要だと思っておられるのか、それだけを教えていただければと思います。

【池尾座長】

じゃ、最後にお願いします。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

田中さん、どうもありがとうございます。我々が今回アンケートをとったJPX400、この会社でもやはり今回のアンケートに全員お答えいただけないという現状というのは、多分我々として現状認識として重く受けとめなければいけないんだろうというように思いますので、ましてや上場企業全部ということであれば、かなり、二極化どころか、三極化、四極化した対応があるのだろうというふうに思いますし、現場のパッシブのマネージャーの方々はその苦悩はあるんだろうと思いますけれども、そういう意味においても、事業会社側とアセットマネージャー、運用会社側、どちら側のそういう、ある意味、懸念というか、聞ける立場にあるというのがアセットオーナーであろうという、今回認識で、このアンケートを行っているわけでございますので、その運用会社側からのそういう懸念もぜひ投げていただきたいと思いますし、一方で、事業会社側に関しても、彼らの意見も吸い上げたいという思いで今やっております。

不信感については、やはりこれは少々時間がかかるのかなと思うんですが、1つは、我々自体のこの議論の、先ほどの冨山先生の話にもつながるんですけれども、やっぱり最低限ガバナンスが外から見てしっかりしているということは、いわゆる何か政府が入ってくるんじゃないか。あるいは何か株主の影響があるんじゃないかという、お化けが出る的な議論を払拭するために、やっぱり最低限、外形的にきちんとしているというのが重要で、あとはやはりミーティングをして、10人の機関投資家に会ってみたら、1人はほんとうにどうしようもなかったけど、9人はちゃんと役に立つ、ちゃんとわかった対応をしてくれたということになれば、不信感は払拭されていくわけで、今は多分それが10人中1人か、2人なんじゃないかなという感じを受けていて、これが3人、4人、5人になっていくことによって、最終的には不信感というのは払拭されると思いますので、外形的にそれを、不信感を払拭する努力を皆さんしていただくということと、そのような、ほんとうに現場のレベルでクオリティを上げてもらうと。この2つを同時進行でやってもらうしか、方法はないんじゃないかなというように私は考えています。

そんなので回答になりますでしょうか。

【田中メンバー】

ありがとうございました。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。

意見は尽きないんですが、いつも申し上げていますが、本日で議論は終わりということではないので、引き続き、次回も議論を続けていきたいと思いますので、とりあえず本日の分に関してはこれで終了とさせていただきます。

それで、水野様におかれましては、本日、ご多忙の中、お越しいただき、まことにありがとうございました。

【年金積立金管理運用独立行政法人 水野最高投資責任者】

どうもありがとうございました。

【池尾座長】

本日の議論の内容につきましては、また事務局において整理をしていただいて、それを踏まえてさらに議論を進めていくということでやっていきたいと思います。

それでは、最後に事務局からご連絡等がございましたらお願いします。

【田原企業開示課長】

本日ちょっと進行の関係で一部質問にお答えできなかったんですが、それは次回以降、ご質問にお答えさせていただきたいと思います。

次回のフォローアップ日程につきましては、またご都合を踏まえさせていただいた上で、最終的に決定させていただきたいと思いますので、ご案内をお待ちいただければと思います。

以上でございます。

【池尾座長】

どうもありがとうございました。それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課

(内線3836、3671)

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