第3回 開示制度ワーキング・グループ 議事録

1.日時:

平成22年12月17日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 金融庁共用会議室-1

○黒沼座長

ただいまから開示制度ワーキング・グループの第3回目の会合を開催いたします。

皆様、本日はご多用のところをご参集頂きましてありがとうございます。

本日の当ワーキング・グループの議事につきましても公開とさせて頂きたいと存じます。また、会議での配布資料及び会議の議事録につきましても、原則公開とさせて頂きたいと存じます。

それでは、早速議事に入らせて頂きます。

前回は「英文開示の範囲拡大」についてご議論頂き、その後「ライツ・オファリングに係る制度整備」及び「発行登録制度の整備」についてご議論を頂きました。

本日は、2部形式としまして、まず「英文開示の範囲拡大」につきまして、本ワーキング・グループとしての報告の取りまとめに向けたご議論を頂き、取りまとめさせて頂いた上で、東金融担当副大臣に報告書として手交させて頂きたいと存じます。その後「ライツ・オファリングに係る制度整備」につきましてご議論頂きたいと存じます。

それでは、まず「英文開示の範囲拡大」につきまして、本ワーキング・グループとしての報告の取りまとめに向けたご議論を頂きたいと存じます。

これまでのご議論を踏まえ、事務局のほうで、当ワーキング・グループとしての考え方を「報告案」に取りまとめまして、事前に皆様にお送りさせて頂いていると思います。この「報告案」についてご意見等をちょうだいしたいと思います。

「報告案」のポイントにつきまして事務局からご説明いたします。

○古澤企業開示課長

「報告案」のポイントにつきまして、駆け足で説明させて頂きます。お手元の資料の、開示制度ワーキング・グループ3-1という資料でございます。

「はじめに」とございまして、6月18日の新成長戦略、それから12月7日に公表いたしましたアクションプランの中間案で英文開示問題が取り上げられているというところがスタートでございます。

現行の英文開示制度のところは省略させて頂きます。

2ページ目ですが、「見直しの必要性」というセクションでは、今回の見直しの考え方ということで、投資家保護に十分配意しつつ、英文開示の対象とする開示書類の範囲を拡大するとともに、英文開示を行うための要件の見直しを行うことが適当との整理をした後、その後の「英文開示制度見直しの背景」ということで、丸1といたしまして、継続開示と、それからその発行開示書類が一体的に作成されていること、丸2でございますが、補足書類の有用性の問題を指摘してございます。

3ページ目ですが、「発行者情報」と「証券情報」に分けて整理しております。

まず「発行者情報」ですが、(1)の最初のところ、「発行者情報」を提供する観点から、外国会社の英文による「発行者情報」が「外国の市場」において投資家の十分な評価の対象となっており、その発行する有価証券について適正な価格形成が行われている、すなわち市場に「晒されて」いる場合について、英文開示の対象とすることが適当と整理をしております。

3ページの後半からは「外国の市場の範囲」、それから4ページ、「「同時上場」の取扱い」、それから丸3ですが、英語以外の言語によって「発行者情報」が提供されている場合の取扱いという整理をしてございます。

最後の点につきましては、5ページの真ん中ですが、英語以外の場合につきましては、( i )、( ii )と整理した上で、最後に、「これらの指摘を踏まえると、英文開示の対象については、当面、英文による「発行者情報」が市場に晒されている場合に限ることが適当だ」と整理しております。

それから(2)の「証券情報」につきましては、金融商品の販売に当たり金融商品取引業者が説明責任を果たす上でも重要な素材だという位置付けで、日本語による作成を義務づけるということでございます。

それから、前回ご質問のございました外国投信の取扱いについては、(3)で整理をしてございます。

それから補足書類でございますけれども、特に「日本語による要約」のところが6ページの(2)でございます。(2)の最後のパラグラフですが、「日本語による要約」については、要約する情報の範囲、要約の程度などの基準となるガイドラインの作成を求める声が多かった。これに関してどのような対応が可能であるかについて、金融庁その他市場関係者により早急に検討の場が設けられ、具体化が進められることが期待されるとこの場での議論を整理させて頂きました。

最後7ページは、臨時報告書、それから様式の取扱いといったところを整理いたしました。

簡単でございますが、以上ご紹介させて頂きました。

○黒沼座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの「報告案」につきましてご意見をちょうだいしたいと存じます。石原委員。

○石原委員

報告案について、2点ほど、このようにしたらどうかということを申し上げたいと思います。

1点目は、2ページの「英文開示制度の見直しの必要性」の第2段落の2行目になります。ここで「金融商品取引所等における多面的な取組み」というのがありますけれども、多面的な取組みをするに当たっての目的を明示する観点から、例えば「国際競争力の強化に向けた」といったような、多面的な取組みの方向性がはっきりするワーディングを1つ加えたらどうでしょうか。これが1点であります。

それから、2点目は、4ページの第2段落のところで、これは前にも意見として申し上げたことですが、「「外国の市場」の範囲の判断」という段落がありまして、適正な開示が行われているかとか、同等性評価のプロセスになるのだろうと思います。

その「考えられる。」の後に、表現として適切かどうかは別にして、趣旨はご理解頂けると思うのですが、例えば「なお、その際には、当該外国の市場における日本企業の取扱いについても、同等の利便性が確保されることが考慮されるべきである。」といったような文章を入れられないでしょうか。結局、日本企業が海外で上場しようということを考えた場合も、そこで英文開示を行えば上場が認められるといったように、日本だけが認めるのではなくて、先方の市場でも当然認められる、そういうフェアな関係を前提にした議論を進めて頂きたいという趣旨であります。

以上です。

○黒沼座長

ありがとうございました。

前者については恐らく皆さんご異論ないと思いますけれども、後者についてもし何かご意見があれば承りたいと思いますが。

実際のところはどうなのでしょう。EUであればほとんど同じですね。アメリカであれば当然英語で求められる。少し私が危惧するのは、そういうことを入れることによって、かえって指定が進まないとことになって、日本における外国企業の英文開示が進まないことになっては困るという感じがするのですが。

○石原委員

もちろんその危惧は当然あろうかと思います。しかし、ただ単に日本に来てもらうことを目的と捉えるのか、あるいは他国の市場とお互いに競争力を高め合って、相互に魅力ある市場となっていく中で、海外の企業もおのずと集まってくる、一方で日本企業が海外上場について様々な選択肢を持つことで自らの競争力を高めていくことに資することまで考えるのか、どちらに重点を置くかということであろうと思っております。

○古澤企業開示課長

文案はまた検討したいと思いますが、基本は英文開示のときの一番最初の視点は、日本の、本邦の投資家の保護が金融商品取引法上の基本目的で、その上で、おっしゃるような視点にも配意するといったイメージで整理できればと思っておりますが。

○黒沼座長

それでは、ほかの点でいかがでしょうか。松崎委員。

○松崎委員

取りまとめて頂きましてありがとうございます。私どもとしても頭の整理が非常にできたような感じがいたしますし、英文開示の拡大に向けて、こういった方向でさらに、まだ今後詰めるところも残っているわけですけれども、検討を進めていきたいというふうに思っております。

文案との関係で少し、ほんの細かいところです。2ページ目、今と同じ「見直しの必要性」のところでございますけれども、議論が出ていましたとおり、外国会社の減少とかというものを開示制度のみに求める、それがすべての原因だということは全く違うというふうに私も思っておりますけれども、やはり非常に大きなファクターであることは間違いがないので、その辺は法の見直しがされると、相応の効果が期待できるのではないかなというふうに思っております。

少し具体例を申し上げると、東証の上場を廃止された、廃止申請をされた会社さん、直近のところで見ると、有価証券報告書等の作成、金商法上の日本での上場維持のために開示書類をつくるのに、翻訳費用を含めて数千万円単位がかかっていらっしゃるのです。そういった部分で、実はこの会社さん、本邦内の株主数が1万7,000人もいた会社さんだったのですけれども、やはりそれだと、1人当たりのコストでも2,000円近くかかってくるという計算になっちゃうわけなので、会社さんのほうでも、上場を維持できればいいのだけれども、日本の株主だけにこれだけかけていることが説明が難しいというようなお話をされておられました。

そういった意味で、このコストというのが株主とか投資家がひいては負担するようなことでもあるので、かかっているコストとその効果というものをうまくバランスさせていくという方向で、今後この英文開示ももう少し詰めの作業が残っているかと思いますけれども、コスト・パフォーマンスが合うような形での見直しを進めていくという必要があろうかなと。

それから、英文開示にかかわらず、ほかの、私どもの制度もそうなんですけれども、諸制度、それからインフラ、実務慣行、こういったものが、やはり費用対効果がきちっと合う形にしていかなければいけないということで、そこで2ページ目に書いておられますように、多面的な取組みというのは、そういった観点で、あらゆるものを少しずつでも進めていくことが必要だというふうに思っております。

そういった意味では、文案については、できましたら、「金融商品取引所等における多面的な取組み」ということなんですけれども、私ども一生懸命やらしていただくというつもりではございますが、私どもだけではやはり難しいということなので、後でも出てまいりますけれども、市場関係者の皆様と一緒に、ここはいろんな検討なり取組みを進めさせて頂きたいというふうに思っております。

ついては、細かいことで恐縮ですけれども、「金融商品取引所等の市場関係者における」というぐらいのものを少し追加して頂けると、非常にその辺がはっきりしてよろしいのではないかということで、お願いでございます。

以上です。

○黒沼座長

阿部委員。

○阿部委員

中身ではなく、書き方の確認ですが、6ページの下のほうに「日本語による要約」についてガイドライン作成というくだりがありますが、これはできなかったらその先が進まないということではないかと思います。これは当然やるべきかもしれないのですけれども、全体の動きをこのガイドラインができるまでとめるということではないということは確認しておきたいのですが。

○古澤企業開示課長

ご指摘のような理解で考えております。

○黒沼座長

吉井委員。

○吉井委員

ガイドラインにつきましてですが、ガイドラインでないにしても、そういう日本語の要約としてどういった情報を入れるべきかというようなことが判断できるようななにがしかの資料をつくることはご検討頂ければと思っております。

それから、文案の内容についてではないのですが最近、適切な市場というか、外国市場の範囲におそらく入るようなマーケットでも、IFRS上の利益は大きくぶれているのに、MD&Aの情報開示などにおいて、管理上の利益情報というか、プロファーマーに基づいた、一種ミスリーディングだと思われるような開示が行われる例が散見されるということですので、そういった企業が日本で開示をする際には、きちんと基準に基づいた利益を開示するように求めていくということを担保して頂ければと思っております。

最後に、これは確認ですが、外国投資信託の場合は、交付目論見書レベルのものであれば、それは全部日本語で交付されるというような理解でよろしいのでしょうか。

○黒沼座長

外国投信のところは、答えられる範囲でお願いします。

○古澤企業開示課長

外国投信のところは、5ページ目の(3)にありますように、「発行者情報」に該当するのが、特定有価証券の場合には、例えば「ファンド情報」とか、それから「管理資産情報」ということでございますので、それらの「発行者情報」に該当するものは英文で構わない。ただしそれに対して「日本語の要約」が必要ということで、この枠組みは、ほかのものと同じという整理で考えております。

○吉井委員

恐らく、交付目論見書に書かれているようなレベルのものであればそれほど量も多くはないので、実務上はほとんど日本語で、一部だけ英文が入っているというとかなり奇異な感じがいたしますので、そこら辺のバランスを考えて頂ければと思います。

○黒沼座長

ガイドラインの点については、これはそういう意見が多かったということで、検討の場を設けて具体化を進め、出てくるものは、必ずしもガイドラインの形式とは限られないのですが、取り入れていくということですので、ご指摘のとおりに進められると思います。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、皆様のご意見を踏まえて本報告書案を手直しした上で、当ワーキング・グループの報告とさせて頂きたいと思います。具体的な修正につきましては座長である私にご一任頂きたいと思いますが、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○黒沼座長

それでは、事務局による修正作業に少し時間がかかると思いますので、本報告書案を修正のうえで当ワーキング・グループの報告とし、本日のところは修正前のものでありますけれども、東副大臣にお渡ししたいと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、ただいまから、東副大臣に「英文開示の範囲拡大についての開示ワーキング・グループ報告」を手交させて頂きたいと思います。

(黒沼座長、東副大臣に報告書手交)

○東副大臣

どうもありがとうございます。

○黒沼座長

ここで副大臣からご挨拶を頂きます。どうぞよろしくお願いします。

○東副大臣

ただいまご報告を頂きましたので、一言ご挨拶をさせて頂きたいと思います。

委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙にもかかわらず、この開示制度ワーキング・グループで精力的にご審議頂いていることに、まずもって心から感謝申し上げる次第でございます。

もう皆さんご案内のとおり、経済の重心がアジアに傾きつつある、そういう状況の中で、我が政権内においても、その成長戦略の1つとして、アジアにおける日本市場がメイン・マーケットたらんと、こういう目標を掲げて、そのために一体どうしていったらいいのだろうと、先日も、アクションプランの中間報告取りまとめのために今全力を賭しているわけでございますが、そういう状況の中で、このワーキング・グループにおいて審議して頂いている「英文開示の範囲拡大」の問題も、大きな1つのポイントになっております。

そういう状況の中で、本日、皆様方の精力的な審議を経た上で、このようなご報告を頂いたことは、まさに時宜を得たものである、このように思っている次第でございます。

ただいま頂きましたこのご報告を踏まえた上で、金商法の改正案を次期通常国会に提出することも含めた上で、今後ともこの問題に、この制度整備に全力を尽くしてまいりたい、このように思っている次第でございます。

皆様方におかれましては、今後とも、いわゆる「ライツ・オファリング」、新株予約権無償割当による増資についての審議を精力的に進めて頂くことをお願いいたしまして、簡単ではございますが、ご挨拶にかえさせて頂きます。

どうも本当にありがとうございます。

○黒沼座長

どうもありがとうございました。

副大臣は公務多忙のためここで退席されます。

○東副大臣

これは頂いていきます。仮ですね、これ。(笑い)どうぞよろしく。

○黒沼座長

それでは審議を再開させて頂きたいと存じます。

前回ご議論頂きました「ライツ・オファリングの制度整備」につきまして、事務局が委員の皆さんのご意見を整理し、「「ライツ・オファリングの制度整備」についての基本認識と論点」を整理いたしましたので、この論点につきましてご議論頂きたいと存じます。

まず「基本認識と論点」につきまして、事務局からご説明いたします。

○古澤企業開示課長

お手元の開示制度ワーキング・グループ資料「3-2」が「基本認識と論点」でございます。なお、「3-3」が前回頂いた議論を整理したもの、それから「3-4」が前回の資料で、さらに最後に、石黒先生にご提出頂きました資料を配布しております。

ここでは、開示制度の3-2の「基本認識と論点」のポイントだけを紹介いたします。

まず「基本認識」ですが、パラグラフで申しますと、3つ目を紹介いたします。ライツ・オファリングは、欧州では大規模な増資を中心に一般的に利用されている増資手法であり、公募増資や第三者割当増資と異なり、株式を取得する権利が既存株主に優先的に与えられるため、既存株主の利益に配慮した増資手法となり得るとの指摘がある。また、既存株主の大幅な持分比率の低下を伴う第三者割当が投資者保護の観点から問題となっている中、ライツ・オファリングの積極的活用を求める声があるということを書いております。

以下「検討に当たっての論点」でございます。○と●が混ざっておりますが、○が考え方の整理、それから●が論点ということでございます。

2ページ目に参りますと、まず○が3つ並んでおります。2つ目の○と3つ目の○が、現行規制を説明したものでございます。

2つ目の○から参りますと、コミットメントを行う証券会社の件ですが、適切な発行条件の設定に係る審査を怠れば、証券会社が過大なリスクを負うこと、適切性を欠く資金調達が行われる可能性があるということで、現行規制上、引受けに該当する場合には業規制、元引受けを行う場合には最低資本金の上乗せ要件などがかかってくる点を紹介しております。

それから、3つ目の○のほうが、現行規制の場合における元引受契約を締結した場合の金融商品取引業者の責任です。

●で、以上を踏まえて、コミットメント型ライツ・オファリングにおける証券会社の新株予約権・株式の取得を引受け行為と捉え、開示規制・業規制の適用対象とすることとしてはどうかというのが一番最初の論点でございます。

次いで「目論見書に関する論点」に参ります。まず、現行規制上、会社法第277条の規定による新株予約権無償割当は有価証券の募集に当たると解されており、有価証券の募集に際しては原則投資者に対する目論見書の交付が必要とされるとございます。

注で若干補足しております。新株予約権の無償割当につきましては、金融庁からパブリックコメントの回答をしたことがございます。「新株予約権の行使時の払込み」ですので、無償割当だけではなく、「行使時の払込みを含めて考える必要があり、実質的には株主割当による株式の募集と同様であると考えられる」ことから、取得勧誘に該当すると整理しております。これは平成19年10月2日にパブリックコメントに対する考え方として公表しております。

2つ目の○で、事実上、株主数の多い会社からライツ・オファリングによる資金調達の選択肢を奪っているのではないかという指摘を紹介しております。

3ページ目の2つ目の○ですが、一方、ライツ・オファリングにおいては、目論見書は新株予約権を取得するか否かの投資判断のための情報としてではなく、割り当てられた新株予約権を行使するか否かの判断のために利用されることになり、本来の目論見書とは趣旨・性格が異なる面がある。加えて、上場される場合につきましては、既に流通市場に入るわけでございますので、市場価格で新株予約権を売却することが可能になっている。そういうことを踏まえると、全株主に対して一律に提供する必要性は低いのではないかと整理しております。

次の●ですが、以上を踏まえて、ライツ・オファリングのうち、新株予約権が金融商品取引所に上場される場合においては、書面による目論見書の交付にかえて、有価証券届出書の提出後、新株予約権の割当を行われるまでに、EDINETのウェブページのアドレス等の情報を日刊紙に掲載することで足りるとしてはどうかということでございます。

前回の論点といたしましては、「広告又は通知」といたしましたが、今回は、今の●にございますように、新株予約権の割当が行われるまでにEDINETのウェブページのアドレス等の情報を日刊紙に掲載することで足りるとしてはどうか、すなわち時点を区切る、それとともに広告に手法が限定されるという整理でご提案させて頂いております。

それから、2つ目の●ですが、上記の場合において、権利行使期間の末日までの間、当初に新株予約権の割当を受けた者からの請求があった場合には、目論見書の提供を発行者に義務付けることについてどう考えるかという点が、次の論点でございます。

この論点に関して、派生論点がございます。先ほどの引受けがあるケース、コミットメント型のケースです。コミットメント型ライツ・オファリングの場合、当初に新株予約権の割当を受けた者からの請求があった場合の目論見書の交付における引受証券会社の役割についてどう考えるかということです。

その背景が注にございます。コミットメント型ライツ・オファリングのもとでは、株主数の多い会社などの場合、新株予約権の割当を受けた者から請求があった場合の目論見書の交付事務を事業会社、発行会社と引受会社とで協働して行うニーズがあるのではないかという事情です。

派生論点の2は目論見書の交付時期でございますが、これは請求後遅滞なくと整理しております。

派生論点の3ですが、市場において新株予約権を買い受けた者につきましては、目論見書の交付義務を課す必要はないのではないかという提案です。

考え方ですが、当初に新株予約権の割当を受けた株主は、投資判断を行うことなく新株予約権を取得しており、その後の権利行使のための情報が必要であるのに対して、市場において新株予約権を取得した者は、買受けの時点でその後の権利行使のための情報も踏まえた上で投資判断を行っているということでございます。

最後に、「その他の論点」ということで、あらかじめ有価証券届出書等に継続開示書類の提出などの時期が記載されている場合には、当該有価証券届出書等の効力発生後に継続開示書類が提出されても、訂正届出書の提出・訂正目論見書の交付は不要ではないかという提案です。

簡単でございますが、以上でございます。

○黒沼座長

ありがとうございました。

それでは、論点につきまして委員の皆様方からご自由にご発言をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。平田委員。

○平田委員

まず最初に引受けの部分でございますが、当然ながらコミットを引受け業務として整理することに関しましては、引受審査、プライシングに証券会社が関与することで適切なファイナンスを履行したり確保したりするという目的、あるいはその新株予約権の買取りに伴うTOB規制の適用除外を確保するということで、そもそも本件のスキームを行いやすくして頂けるという意味では我々としても賛成というか、異論はないのですけれども、そもそもその引受けというのはどこからどこまでの範囲なのか。この整理のペーパーですと2ページの●のところでは、新株予約権、株式の取得を引受け行為として捉えるという形になっておりますけれども、この辺はもう少し明確にする必要があるのではないか。となれば、例えばまさに発行会社から新株予約権・株式の取得を行う行為としては、ご存じのとおり、例えば第三者割当によって行われるMSCBなどは、まさに全く同じような形態になるのだと思うので、この辺については、多分法文上の記載の仕方等々になるとは思いますが、きちんとした整理を行って頂ければというふうに考えるところでございます。

それから、3ページの派生論点の1のところでありますが、いろんな考え方がここはあるのかなというふうに思っておりまして、確かにコミットメントを引受業務とするという形で整理する以上、公募増資に係るさまざまな証券会社の行為と同じように、ライツ・オファリングに係る業務についても証券会社がある部分を担わなければいけないのだという考え方は理解ができるのでありますけれども、株主から目論見書の交付請求があった場合に、当該請求に基づきコミットメントした証券会社が直接請求者に目論見書を交付するということになりますと、実務的な観点からいいますと、そもそもその請求があった人が真の株主であるのかどうかという確認をしなければいけないですとか、証券会社の立場とすれば、そういう方が反社勢力でないのかどうかというような確認もあわせてするとか、あるいは本来発行会社や株式の管理を行っている信託代行機関が交付することに比べて、相当時間的な制約といいますか、時間が多くかかってしまうという実務上の問題もありますので、かなり実務的には工夫が必要になるのではないかというふうに考えます。

また、このときに使用者責任の問題というのをどういうふうに考えるのか、基本的には請求があったものについて交付をするということであるならば、もともと目論見書を交付する主体というのは発行会社であって、それにかわって代行業務を行っているというふうにも整理ができるし、証券会社としては代行業務を行うという形でこれを取扱うということは考えられるかもしれないけれども、使用者となるのかどうかというところに関しては非常に疑義があるなというふうに思いますので、今後具体的なスキームを建て付けていくときには、その辺もご配慮を頂ければというふうに考えるところでございます。

また、当然ながら、目論見書を交付ということになりますと、通常、公募増資の場合は証券会社としては売りさばきを行うという観点でその目論見書を使用するということになりますから、当然投資者に対して説明義務も負うということになるわけでありますが、こういう場合、その請求を受けた場合に、事務的に渡すところに関してそういう説明責任まで負うことになるのかどうかというところもあわせて整理が必要なのではないかというふうに考えております。

○黒沼座長

ありがとうございました。

今のご発言の中で、ちょっと確認をさせて頂きたいのですけれども、まず、引受証券会社に交付義務を負わせるかどうか、交付義務の主体として引受証券会社を捉えるかという問題と、それを実際だれかほかの者に代行させることができるかとかいう問題は別というふうに思うのですけれども、平田さんのご意見では、引受証券会社に交付義務を負わせるのは適当でない、発行者に交付義務を負わせた上で引受証券会社が窓口になってもいいけれどもと、そういうご趣旨ですか。

○平田委員

はい、私としてはそういう意見を述べたつもりです。

○黒沼座長

それと、真の株主を確認する義務が生じるのではないかということを言われて、それで事務負担がふえるというふうに言われたのですが、仮に交付義務を負わせるとしても、別に真の株主でない者に交付したからといって義務違反になるわけではないですね。

○平田委員

あくまでもそこは実務上の手続きの問題なのですが、当然ながら請求した人が真の請求者であるということを確認をして交付をしないと、真の株主じゃない人から請求が来た場合まで目論見書を配らなければならないこととなり、事前の目論見書の用意など、各種の事務を建て付けなければならず、非常に煩雑な手続きになるわけです。

○黒沼座長

わかりました。

いかがでしょうか。三浦委員。

○三浦委員

平田委員のほうからお話があったところ、基本的にまず同意で、引受けの業務の、もしくは引受証券会社の責任の範囲ということについては、新株予約権が取得条項でご発行体のほうに戻った後、それを販売する段階での責任ということを考えるのであれば十分理解ができる。通常の引受け業務の中でも見ているリスクの範囲内なのかなというふうに思ってはいるのですけれども、既存の株主様に予約権を割り当てたものに対する行使もしくは譲渡に関連する行為について、もしくはその判断のもとになる目論見書もしくは届出書の虚偽表示に関する責任を負担するというのは、本来的にはご発行体様の責任でやられるものについて証券会社のほうの責任になるというのは、ちょっと過度なのかなというふうに思っております。

それで、目論見書交付義務のところに関しては、そもそもできるのかできないのかというよりも、本来的にどなたが責任を負うべきものだったのかなというところが出発点で、できたから責任を負えばいいじゃないですかという話ではないのかな、というふうに思っておりまして、一義的に、1次情報として株主を特定できるご発行体のほうで交付義務の責任を負われた上で、どういった者と協働して交付をしていくのが最も適切なのかといったところも含めて、ご発行体様がお考え頂くというところがよいのかなというふうに思っております。

交付義務があるということになると、交付漏れに対する責任を負担しなければいけないということになるのじゃないかと思いまして、そこは一義的に情報に接しられない証券会社のほうで負担をするというのは、これまた過度な義務負担なのかなというふうに感じております。

○黒沼座長

ありがとうございました。

コミットメント型のライツ・オファリングの場合の引受証券会社の役割なのですが、いろんな見方はあると思いますけれども、これは行使されなかった分だけ引き受けているというけれども、しかしそれは通常の公募増資で残額を引受するのと果たしてどれだけ違うのか。行使分が多ければコミットメントで引受けなければならない部分は減るわけですね。そうすると、もし仮に目論見書の交付義務がなくて、証券会社が自発的に勧誘するということになると、その勧誘について販売圧力がかかって、投資者保護に反するようなことが行われるかもしれない。実際には既存の株主は権利行使をしないかもしれませんけれども、売れ残りリスクを負担するという関係にある以上、そういう可能性は考えられるのではないかと思うのです。そういうふうに考えていくと、コミットメントを与えている限りは一定の義務が生じるということはあり得る、そういう整理で私は考えているのですけれども、そうではなくてということなのでしょうか。

○三浦委員

まず、届出書もしくは目論見書の開示の虚偽表示に対する責任の問題と、もしくは新株予約権の行使・譲渡に関連するその他のコミュニケーションに関する責任というのは、2つ明確に分けて議論をすべきなのかなというふうに思っております。

それで、まず最初に申し上げた点については、まず第1番目の点として、届出書・目論見書の表示に関する虚偽記載に関する問題点というのは、これは別にノンコミットメント型だろうがコミットメント型だろうが、基本的には同じようにご発行体様が一義的に正しい内容でやって頂くということなのかなというふうに思っていまして、2番目の論点については、どういったレベルでどういった行為が適切なのか、もしくは不適切な行為をどうやって防いでいくのかといったところは、いろんな議論があり得るのじゃないかなというふうに思っております。

○古澤企業開示課長

先ほどの私の説明が言葉足らずで恐縮ですが、今の論点の2ページ目から3ページ目のところにつきましては、2つあろうかと思います。今、三浦委員からご指摘頂いたような、考え方の筋として、その発行会社が責任を負うものというふうに整理するのか、もしくはもともとこの新株予約権の無償割当の段階を取得勧誘として整理し、行使時の払込みも一体として考えていることを踏まえ、コミットメントをした場合の証券会社の責任についても、その後ろの部分だけではなくて、前段も含めた一連の流れについて責任を負って頂くかという、その考え方の整理をどうするかという点がご指摘頂いている論点かという気がいたします。

ただ、もう1つございますのは、これは今後事務局のほうで関係者の方に伺いながら詰めていくべき点ですが、実際に事務フローが構築できるのかということがございます。平田委員からもございましたが、引受証券会社が入る場合において請求があった場合の交付の手順をどうするのか。そうでないとすると、発行体、それから恐らく信託銀行も含めたところでの事務フローはどうなるか。その場合に、ほふりにはどういう役割を果たしていただくのかといったところは、恐縮でございますが、事務局のほうでまだ詰め切れておりませんので、これは宿題ということにさせて頂ければと存じます。

○黒沼座長

司会者があまり発言するのはよくないのですけれども、三浦委員が最初に言われたことというのは、開示についての責任は発行体が負うべきであるというのが筋だと。それはそのとおりだと思いますけれども、そうすると、コミットメント型でも元引受けはないという整理になりますが、そういうご意見でしょうか。元引受けに当たらないということでしょうか。

○三浦委員

元引受けだと整理したとして、責任の範囲をどこまでと考えるのか、どの行為までと考えるのかというところが論点なのかなというふうに申し上げたつもりなんですけれども。

○黒沼座長

元引受けとなれば、元引受証券会社は開示について責任を負うというのが現行法の体制ですね。それを免除するというのは非常に大きな改正になると思うのですけれども、そこをいじらない限りは、引受審査と責任というのは裏腹の関係にありますので、元引受けをして引受審査をしっかりやってもらうという以上は、開示についての責任も伴うのはやむを得ないことだと思うのですけれども。

ご意見は承っておきます。どうぞご発言を。

○三浦委員

いえ、結構です。論点をご認識頂ければ。

○黒沼座長

はい、小川委員。

○小川委員

今ほど両委員からご指摘のございましたように、引受けと整理頂くということにつきまして、私どもとしましても基本的に賛成でございますけれども、従来より行っております引受けとはやはり異なった性質のものであるのかなというふうに思っておりまして、その点につきましてちょっと申し上げたいなと思っております。

三浦委員からもご指摘ございましたように、コミットメントをする行為という部分と、その後の行使促進、勧誘の行為、これにつきましてはやはり2つ異なる行為として、一連の引受けとご整理いただくとなかなか整理しにくい部分があるのではないかというふうに考えております。

したがいまして、基準日までの株主に割当を行う行為と、それ以後の行使を促進するための勧誘の行為という部分につきましては、分けた上での議論が必要であるということではないかと思っております。

その上で、まず基準日時点の株主に対しまして割当を行う行為、これがここで言います募集と整理されるということでございますと、その点について、元引受けという部分でいわゆる開示の責任を含めて責任を持つということについてはご指摘のとおりであろうかなというふうには思っております。

したがって、株主に対して割当をする行為を募集とするということであれば、目論見書の交付義務はあわせて一緒ではないかというご指摘もあろうかと思いますし、私どもとしても、引受けとして整理される以上、この点については何らかの形で考えていきたいという部分ではございますけれども、一方で平田委員からご指摘ございましたように、非常に実務的な部分を含めて難しいという部分があろうかと思います。

例えば、何十万人もいらっしゃる株主様からの請求に応じて、発行会社と協働してお渡しすることとになりますが、どういうふうに工夫していくのか、非常に難易度の高い工夫になるのではないかなと思っております。

その背景になりますのが、やはり交付義務に関しまして、どの程度の義務が課されるのかということであります。そもそも渡すという行為が、目論見書の使用者責任を言っております17条との観点でどういうふうに整理されるのか。株主としての請求があった方に対して、その方が株主かどうかというものを確認して、いわゆる反社等、そういったものを含めてどのように確認していくのか。交付漏れがあった場合の責任についてどのように考えていくのかということなど、交付義務という形でここの部分が整理されますと非常に難しい問題があるかなと思います。

一方で、この部分を事務代行的な形で発行会社と一緒にお渡しするというような形で整理した場合に、事務局のご説明がございましたけれども、今度は本当にどこまでの負担となるのか、そこまではまだ我々としても十分に検証し切れていないという部分であろうかというふうに思っております。

まずは基準日までのところでのお話として私の意見を述べさせて頂きます。

○黒沼座長

ありがとうございました。

加藤委員。

○加藤委員

今のお話とも関係あると思いますが、有価証券届出書の内容に責任を持つということと、いわば勧誘行為の際に目論見書の使用者としての責任を負うということは、現行法でも区別がされているわけです。つまり、元引受けをすれば、それだけでまず当然有価証券届出書の内容について責任を負う。それプラスアルファ、例えば元引受証券会社が積極的にその勧誘行為を行えば17条という枠組みになっていると思うのですね。ですからそれは多分ライツ・オファリングでも同じなのではないか。つまり元引受証券会社が元引受けをして、有価証券届出書の内容について責任を持つ、それは引受けということをしている以上責任を持ってもらう必要がある。

あとは元引受証券会社がみずから積極的にどれだけ行使の勧誘をするかどうかということだと思うのですけれども、まず、それは現行法の引受けの場合と全く枠組みとしては変わらないような気がしました。

もう1つは、次のステップで、じゃ現行法の引受けとどれぐらい同じかどうかということなんですけれども、目論見書の交付義務というものがなぜ必要だったかというと、募集の場合には勧誘者の数が多くて、さらに募集の場合にはいわば、先ほど黒沼先生おっしゃったとおり販売圧力が生じる。さらに販売圧力が生じて、かつ募集の場合には買うことができる証券に限りがあるわけです。そうすると、要は販売圧力が生じた場合には早く買わなければなくなってしまうのじゃないかとか、買い急ぎの可能性があるのだと思います。ですから目論見書の交付義務などを課すことによって、もう少し慎重に考えてもらおう、そういうことなんだと思うのです。

ただ、私はまだ完全に整理ができてないのですけれども、ライツ・オファリングの場合には、確かに引受けの場合に、引受証券会社としてはできるだけ行使をしてもらわないと、自分が引き受けなければいけない新株予約権の量がふえるというのもあるのですけれども、投資家のサイドから見た場合に、実は買い急ぐとか投資判断がゆがめられるとかということがあるのかというと、別に意思決定を急がなくても、つまり新株予約権の行使期間末日まで待っても確実に買えるのですね。その株式が欲しいと思ったら確実に買えるという状況を、ほかの募集の場合の投資家の状況とどれぐらいパラレルなものと考えるかどうかというのが、ここの目論見書の交付義務というものをどういう形で新しくライツ・オファリングのところで認めていくかということの、大きな理解の仕方の差異かなと私は感じています。

○黒沼座長

加藤委員は具体的に、請求があった場合の目論見書の交付義務の是非についてはどうお考えですか。

○加藤委員

まず1つは、新株予約権の割当の段階で目論見書を交付する必要性はまずないというのは、そこは賛成であります。

もう1つは、目論見書の交付義務というもの自体の問題にこれはならざるを得ないと。言い方は不適切かもしれませんけれども、私個人としては、この平成19年の10月2日のパブリックコメントで、これを取得勧誘ということにしてしまったために、いわば目論見書というものの交付義務が発生してしまった。目論見書というとやはり皆さんが典型的に想像する目論見書なんですけれども、ライツ・オファリングの場合の目論見書というのはそれと違うような気がするのです。3ページの上から2つ目の○にもあるように。この違うというものはどれぐらい違うのか。つまり目論見書をEDINETなどに掲載すればいいということについては何となく皆さんの合意も取れそうなんですけれども、それを一歩超えて、交付義務というところまで立ち入れるほどの違いなのかどうかというのは、それぞれの皆さんのお考えによるのかなと思っています。

○黒沼座長

ありがとうございます。

はい、阿部委員。

○阿部委員

議論を混乱させるつもりはないので、単なる意見として聞き捨てて頂いて結構なんですけれども、もともとのライツ・オファリングというのは、既存の株主に新株予約権を無償で割り当てる行為でありまして、そこに関しては発行会社と株主の間に市場を介しておりません。その後、売れ残った新株予約権は発行会社が新株予約権として買い取り、それをまた証券会社に移してさばいてもらうというプロセスをたどります。このように1つひとつがばらばらの行為と考えていくと、なぜここで目論見書が必要とされるのかよくわかりませんし、はっきり言って19年のパブコメの回答は、無理があったのではないかと思います。

それで、中身としては反対はしませんし、これで実務が回るようになればいいと思うのですけれども、もともと市場を介さない行為から出発しているものについて、何で目論見書が要るという結論になるのか、そこは私は違和感をちょっと持っています。

新株予約権の取引というのは、1つひとつの行為を分解して考えていくと、仮にコミットメント型だとすると、最後に市場に出るときと証券会社との関係だけが重要なのであって、その間は、発行会社と株主、あるいは発行会社と証券会社の取引であると言えます。つまり、それぞれ市場を介さずに完結しているので、あまりここで目論見書等を、あるいはその行為が元引受けだから交付が必要であるとかいうことを無理に考える必要はないのだと思うのですけれども。

これは乱暴な議論だとわかっていますけれども、もともとこういう複雑な話にしてしまったところに無理があったのではないかと思います。

○黒沼座長

どうもありがとうございます。

ちょっと私のほうから、私の理解を言わせて頂きますと、株主割当で新株を発行するときも、株主が50名以上いれば原則として募集になるのですね。その場合には株主は対価を払込むのに対して、新株予約権無償割当の場合は、最初は無償で割り当てられて、行使時に払込金額を払い込む。

それで、整理の仕方としては、新株予約権の無償割当のときには取得勧誘はなくて、株式に転換するときに取得勧誘があるという整理の仕方もできたと思うのですが、ただほかの新株予約権の無償割当や新株予約権の発行との整合性をとるために、どうもこういうパブリックコメントになったと聞いています。

ですから、市場を介さないから目論見書は要らないということではなくて、新株予約権の段階で要らなければ株式の段階で要るはずで、株式の段階を省略するために新株予約権の段階で目論見書を交付しているというのがこのパブリックコメントの整理の仕方だと思います。

どうぞ。

○阿部委員

乱暴な議論だということをわかっていて申し上げるのですけれども、既存の株主に新株予約権を無償で割り当てることと、単なる株主優待券を配っているのと何が違うのですか。もちろんそういう議論が通らないことはわかっていますけれども、それを他の仕組みと整合性を持たせるために、無理に理屈をつけてきた結果、ねじれてしまっているという気がするのです。

ここは中身として何の反対もしませんし、これで実務がきちんと回ればいいのですけれども、過剰な規制を無理に考えたような気がしてならないのです。

○黒沼座長

承りました。

吉井委員。

○吉井委員

ライツ・オファリングにつきまして、コミットメント型をだれでもできるということにすると、いわゆる大規模第三者割当の代用に使われるおそれがあるということからすれば、引受けとして整理する建て付けでいいと思われますが、ただ、同じ引受けでも通常の引受けとは多分かなり性格が違うものではないかと考えます。

1つは、その予約権自体が無償で割り当てられるということ、それから次は、最初は予約権ですけれども、権利行使あるいはコミットメントの対象の場合は株式にかわるということがあります。さらに、通常の引受けですと、証券会社がもう引受けをやりませんということで元引受けをおりれば、おそらくファイナンスとして成立しないのだろうと思われますが、ライツ・オファリングの場合は、証券会社がコミットメントをやめますと言っても、ライツ・オファリング自体ができなくなるということではございませんので、例えば元引受けというような形で証券会社が通常できるようなアドバイスをしても、発行会社がそれを聞くとも限らないというようなところもあるかと思います。

それらを踏まえた上で、お配り頂いた資料を見ますと、まず2ページ目の虚偽記載に関して、元引受業者として有価証券届出書の虚偽記載に関して責任を負うという部分があるのですが、これは、その予約権自体が無償であるということを考えると、実際にその損害賠償責任を負ったときに、一体どこの部分に対して責任を負えばいいのか、無償でもらったことに対してどういう形で賠償すればいいのかがよくわからない。

例えば、権利行使するときに払い込んだ金額に対しての損害賠償だということであったとしても、新株予約権は既に株券に変わってしまっている。その株券になった段階についても損害賠償責任を負うということであれば、その場合どこの部分を損害として考えればいいのかというところがわからない。払い込んだ金額を返せということであれば、それを返したとして、既に持っている株券はどうすればいいのか、株券を返還してもらって、その権利行使した価格を払い戻すとか、どのように考えればいいのかなというのが1つあるかと思います。同じような新株予約権として、CBの場合も、権利行使した後で、その後の株価の変動まで責任を負わないといけないのかとか、元引受けとして虚偽記載に関して責任を負うということだとこういうことになるのかもしれませんが、では実際どういった責任を負うのかは、やはりよくわからないところがあるのかなと思います。

次に、目論見書ですが、ここでは、請求があれば交付するという建て付けをされていますけれども、例えば目論見書についてEDINETなどに載っていますというような説明をした場合に、その説明をしたこと自体が目論見書を使用したというふうになるのか、それによって使用者責任が発生するということになるのかという問題があります。発行会社とコミットメントを契約していない証券会社の場合は、顧客である既存株主から請求があればというか、その権利行使について質問があれば、「EDINETに載っていますのでそちらを見てください」と説明することが考えられますが、その説明自体が目論見書使用だということになってしまうと、このライツ・オファリングという制度自体が普及しなくなるのではないか。もともと既存株主に割り当てるものであって、既存株主であればある程度権利行使によって取得する株式の内容は当然知っているはずであるということからすると、そもそも目論見書自体の必要性が、通常のファイナンスと比べてそれほど高くないのではないかと考えられる。さらに顧客が権利行使をする際に、手数料がかかるがこれを証券会社が負担している。この負担を発行会社とコミットメントを締結していない証券会社はどこに請求すればいいのか、発行会社に請求すればいいのかというとそれも難しい。

その上にさらに既存株主である顧客に、「EDINETに載っているので見てください」と言っただけで、目論見書の使用者責任が発生するということであれば、恐らく、コミットメントを締結していない証券会社のほとんどは、そういうことをやらないでくれというようなことを言ってきて、この制度自体が普及しなくなってしまう可能性があるのかなというところが懸念されます。他方でコミットメントを締結している証券会社にしてみても、自分の顧客じゃない、自分とは別の証券会社の顧客からその目論見書の交付の請求があった場合に、果たして対応できるのか。そもそもそのような顧客が元引受証券会社にわざわざ目論見書を配ってくれということを請求するのかというと、おそらくそのようなケースでは、顧客は発行会社に目論見書の交付を請求することになるのではないかと思われます。そうするとやはり、先ほど平田常務がおっしゃったように、証券会社の目論見書の交付については、発行会社の事務代行といった性質が高いのかなと考えられます。

それから、この制度で1つは目論見書の使用者責任とか、そういった開示に係る証券会社の責任という問題もあるかと思うのですけれども、もう1つは、コミットメントを締結した証券会社の売れ残りのリスクという問題もあるわけです。やはり、発行会社の、例えば大株主に対して権利行使をする気があるのかどうかを事前にヒアリングしないと、大規模なものになればなるほど、証券会社はリスクが高くて引き受けられなくなってしまうと思われますので、そこはご検討して頂いた方がいいのかと思います。

長くなりましたが、以上でございます。

○黒沼座長

ありがとうございます。

1つだけ発言させて頂きますと、虚偽記載があった場合の責任の範囲というのは、もし何も手当てをしなければ21条の解釈問題ということになりますね。それから交付義務について、17条そのものは適用されないとして、もし仮に17条に似たようなものを書くとすれば、やはりそれの条文の工夫のしようが少しあると思います。

それで21条について言うと、どういう解釈になるのか、それは私が言っても仕方がないことですけれども、募集売出しに応じて取得したというものがどの範囲かということが実は重要になるのですが、しかし、他方で全く責任を負わないということにはならない。無償だから責任を負わないということにはならないので、責任を負わないのであればそもそもこういう制度にのせるということは意味がないわけですから、その点も含めてご議論して頂ければと思っております。

石黒委員お願いします。

○石黒委員

この無償割当の点につきましては、先ほど座長がおっしゃった理解を私も同じようにしておりまして、基本的にライツ・オファリングという募集方法自体が今までなかったものであって、かつ、なかっただけではなくて、今までのものと大分性格が違うというところで、投資判断自体は、与えられたライツ、新株予約権を行使するか売却するか何もしないかというところに判断が来る。しかしその判断のベースとして目論見書をその段階で渡すというのは技術的には無理なので、それは無償割当の段階でやりましょうと、しかし無償割当の段階では何の判断もされていないという、そこに根本的な歪みがあって、そこをどういうふうに折り合いをつけるかということでございます。実態としての投資判断は後のほうである、しかし形式的な募集は技術的にいっても無償割当のところで区切らざるを得ないという、この形式と実態が分かれているという中で、形式を重視して、無償割当の段階で募集が行われていますというほうに純化していくと、その段階では特に投資判断はないわけですので、今言っているEDINETのウェブページを引用するということで、特に目論見書の交付までは必要ないという方向に傾いてくる。

これを徹底しちゃいますと、もうそこで終わっているのだから、その後の目論見書の請求交付は必要ないのじゃないかというのがこの3ページの一番下の●で、「目論見書の提供を発行者に義務付けることについてどう考えるか」という点です。そもそも義務付けるべきだという投げかけを必ずしもされているわけじゃないのではないかなというふうに思っておりまして、それも1つの行き方です。

ただその場合に、じゃインターネットのリテラシーがない方について、そういう人は知らないよということにするのか、目論見書の交付義務はないけれども、プラクティスないしそのほかのソフトロー的な形で、例えば実際にウェブページに載っている届出書をプリントアウトしたものを何らかの形で渡してあげる、しかしそれは目論見書の使用ではありません、使用責任もついてこないというような整理の仕方、例えばそういうことが考えられないのかなという気がいたします。そうではなくて、やはり請求があった以上は交付義務があるというふうに整理する場合においても、その請求に対して交付義務があると言ったとたんに、コミットした証券会社あるいは口座管理会社が直接使用責任を負うということに必ずしもダイレクトにつながってくることではないと思いますので、17条の使用ということの解釈の問題にもなってくるのかなということを思っております。そこで先ほど来ご発言のあった事務代行的な位置付けということが十分に考えられるということかと思いますし、あるいは証券会社が事務代行するのではなくて、発行会社のほうで適切なアウトソース先を使って目論見書の交付は一手に引き受けるというようなことも考えられないのかどうなのか。この辺は先ほど古澤課長からお話がありました全体のフローを、やはり事務フローがどういうふうに流れるのが現実的なのかというところを次回までにさらに整理した上で、どうやればワークするか、この部分をきちっとワークするような形にしないと、せっかくこの全体の改正をやっても使われない制度になってしまうということが恐れられるわけでありますので、そこは非常に重要かなということで、フロー、ほふり、信託等を含めたもの、あるいはもうちょっと大きく言っちゃいますと、ライツ・オファリング全体としてはタックスの問題なんかも実は残っていますし、会社法の問題も残っているということで、そこまで言うとこのワーキング・グループの範囲からは外れるのかもしれませんが、実際にマーケットでこれが使いやすいものになっていく、使われるようにするということのためには、そこまでも必要な部分なのかなというふうに思っております。

それから、前段の引受けと捉えるということについては、その責任の範囲がどうなのか、21条の範囲がどうなのかということも本当に重要な問題だと思いますし、それからほかの委員の方からご指摘がありましたように、2条の引受けの定義規定にもう1号加えるというような形だとすると、どういう要素があると引受けになるのかという整理がやはり必要で、コミットメントということをどういう形でやるか、コミットメント契約のひな型もないわけですので、どういうことをやるとここで言う引受け行為とみなされるコミットメントになるのかというのも、残額引受け類似という、多分大きなくくりとしては実態がそういうことだろうということでありますが、こういう要素がそろっていると残額引受けと実態的に一緒であって、引受けになる、しかしこういう場合にはならないみたいな、そういう議論が実務の中では当然出てくるのかなというふうに思っております。法律に手をつけるというと大改正なので、やはりその辺もよく検討の上、規定ぶりを考えなければいけないのではないかなというふうに、感想めいたことですけれども思っております。

以上です。

○黒沼座長

ありがとうございました。

いかがでしょうか。石原委員。

○石原委員

皆さんの意見をお聞きしていて、事前に想像していたことと随分違ったと感じております。いずれにしても海外で一般的に行われていることが日本においてできないということは、企業にとっては大いなる機会損失です。その点については、証券会社の皆さんは熟知されているわけですから、確かに問題はいろいろあると思うのですけれども、だからこうしたらいいというような前向きな話がもっとあると想像しておりました。

今回の対応によりライツオファリングの利用が活発になれば、証券会社の皆さんのビジネスチャンスが広がっていくということでもあるわけですから、発行体が自身の開示に対して責任を持つことは当然としても、引受け審査という形で、そこの問題が一番大きいのだろうと思いますので、証券会社もある部分の責任を負うのはビジネスである以上は当然なのではと感じます。いろいろ問題があるのはよくわかってまいりましたけれども、しかし、だからできないという結論のために議論しているわけではなく、できるようにしようということを前提に議論しているはずなので、海外の事例もたくさんあるのでしょうから、ぜひ、こうやったら問題をクリアできるという方向で議論していきたいと思います。

感想めいていて申しわけないですけれども。

○黒沼座長

ありがとうございました。

EUはどうも制度が違うので、日本よりもやりやすい方式になっているのですが、しかし日本の制度からすると問題がないわけではない。もし必要であれば外国の制度についても整理してご紹介させて頂きます。はい、阿部委員。

○阿部委員

中途半端な理解なので、また改めてご紹介したいのですけれども、ヨーロッパで行われているライツ・オファリングというのは、特定の会社が頻繁に繰り返していることがあるのです。あれは増資ではなくて配当のかわりとして使われているのです。株主から見ますと、自社株買いをする、配当する、それと同じように無償増資をする、無償の新株予約権の配付があるという流れの中で行っている選択肢の1つなので、それをあまり日本のこの複雑な仕組みの中に比較しても仕方がないと思うのです。

ただ、何度も申し上げますけれども、取得株主すべてに対して無償で新株予約権を交付するときに、目論見書の交付が必要となる、という建て付け方自体が、やはりどこか間違いなのだと思います。

○黒沼座長

私が発言しちゃいけないかもしれませんけれども、無償割当、要するに配当として行う場合には目論見書は要らないのですけれども、資金調達をしているのと配当するのとは全く反対の行為ですので、そこに違いがあるのではないでしょうかね。

○阿部委員

ただ、現実にヨーロッパで行っているのは、選択肢としての1つなんですよ。

○黒沼座長

ヨーロッパも、今、委員がご指摘のやり方と、あとは通常の金融機関が関与するような大規模増資等、おっしゃるようにライツ・オファリングの使われ方というのも、幾つかヨーロッパにおける使われ方もございますので、ちょっと手元に資料がなくて恐縮でございますが、必要ならばその点も整理してご紹介できればと思います。

小川委員お願いします。

○小川委員

そういう意味で、目論見書の交付義務という考え方ですが、そこに関して、やはり正直かなり厳しい部分があるのではないのかなと。前段の部分でEDINET等に登録ということで、やはりそこでとどまるというわけにはいかない部分でしょうか。

○黒沼座長

目論見書のこの場合の機能としては、例えば権利行使期間はいつまでであって、払込み金額は幾らで、払い込むと何株取得できるか、そういう証券情報が中心になると思うのですが、それらは権利行使のための情報という面もあるのですね。

ですから、それは目論見書と呼ばないとしても、何らかの形で請求があった場合には窓口になる証券会社がそれを説明するとか、そういうことが必要になってくると思うのですが、それを法的にどう整理するかという問題も含まれていると思います。

○小川委員

すみません、その点、熟知しておるつもりでございまして、あえてちょっと極論を申させて頂きましたけれども、実際の実務中で当然必要な証券情報をいかに投資家の皆様にお伝えするかということにはなるかと思うのですけれども、この行為がどのように整理されるかがポイントになります。本件に関して言えばその交付の義務という考え方、これをどう考えるのか。さらに17条の使用者の責任という観点でこの点を整理しに行くと、我々の観点からしますと、そこについて使用者責任というのを外して頂きたいということになりますし、いわゆるその目論見書を渡すという行為自体が代行的な考え方で整理頂きたいということになるということでございます。

○黒沼座長

加藤委員。

○加藤委員

仮に目論見書の交付義務を外したとしても、恐らく証券会社の方が株主に対して何らかの権利を行使してくださいという行為はやられるわけですね。恐らくかなりやらないと成功しないという面はありますね。恐らくそういった場合に何らかの書類なんかは使われるのだと思いますが、もしかしたらそれを目論見書と呼ぶかどうかという問題なのかもしれないのですね。

それで、じゃそういった書類なんかに例えば虚偽記載などがあった場合にどうなるかというと、例えば書類を導管として発行会社からもらったものをただ単にスルーしたということ、これを元引受証券会社は多分そういうのもチェックしてほしいというのが金商法の建前だと思うのですけれども、恐らくその下にある元受証券会社から、こういう書類を発行会社からもらいましたので、これを使って勧誘してくださいということを言っただけで勧誘行為を行ったのであれば、それは現行法でももしかしたら目論見書の使用者の責任から外れるかもしれないですね。ですから、恐らく、目論見書の使用者、目論見書の使用者とおっしゃいますけれども、17条の責任は目論見書に限らず、勧誘行為の際にすべて使われる書類を対象にしていますので、ですから、仮に目論見書の交付義務が外れたとしても、やはりうそは言ってはいけないし、誤解を与えるような表示をしてはいけないというルールは恐らく残るし、残らざるを得ないだろうと思っています。

ですから、先ほど黒沼座長がおっしゃった、権利行使のために最低限必要な情報というものをどうやって新株予約権を受けた人に伝えるかどうかというところで、目論見書と呼んでいいかわからないのですけれども、そういう交付が必要かどうかというところなのかなと思いました。

○黒沼座長

いかがでしょうか。

一言だけ。技術的に言いますと、加藤委員が言われたのはそのとおりだと思いますし、目論見書の交付義務を課さなかったとしても、その他の表示についての責任を負わせるのがいいと思うのですけれども、もし何も手当てをしなければ、今の17条は平成16年改正で「募集又は売出しについて」という言葉が入りましたので、株式を取得させることが募集に当たらないとすると、17条はストレートに適用されないおそれがあるのですね。そうすると17条以外にもう1つ条文をつくるかということになりまして、もしそこで目論見書の交付義務を外すということになると、目論見書という言葉だけ外してその表示のことだけを書くとちょっと不自然な感じがするのです。

そういう技術的な問題もあります。

阿部委員。

○阿部委員

経団連としてこの方向性に反対であるとか、疑問を持っているわけでは全くありません。粛々と実務が回れるようになればよいと考えております。ただ、何か議論の中身を見ていると、何か規制が過剰に走りそうな懸念があって、そこだけ注意して頂きたいということです。きちんと動ければどんな理屈でも構わないのです。

○黒沼座長

もちろん実務がうまく回るということが一番だと思っていますので、それは十分注意してやりたいと思います。

それでは、かなり時間は早いのですけれども、もう多様な意見が出まして、事務局でもこれを整理して皆様に提示するのに時間もかかると思いますので、今日の審議はこれくらいで終了させて頂きたいと思います。

次回は、皆様から頂きましたご意見を事務局のほうで整理させて頂いた上で、これまでの議論を踏まえて、本ワーキング・グループとしての報告の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。

次回の日程につきましては事務局からご連絡いたします。

○古澤企業開示課長

まず、次回のワーキング・グループの日程ですが、年明けの1月19日の10時からを予定してございます。よろしくお願いいたします。

本日ご議論頂きました英文開示の報告書につきましては、手直しをし、座長とご相談させて頂いた上で公表したいと思います。

○黒沼座長

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させて頂きます。

ありがとうございました。

(以上)

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課
(内線3665、3669)

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