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会計監査の在り方に関する懇談会(第4回)議事要旨

1.日時:

平成28年3月8日(火)13時00分~14時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

3.議題:

今後の会計監査の在り方について

4.議事内容:

議論の要旨は以下のとおり。

  • 様々な意見もある中、非常に内容の濃いまとめをいただいた。日本公認会計士協会(以下「協会」)でも今回の不正会計事案を受けて品質管理レビューの在り方等について検討しているところであり、本日の提言を真摯に受け止め、しっかりと対応してまいりたい。

    この懇談会のテーマではないと思うが、我が国では、金融商品取引法、会社法及び取引所規則の3つの開示制度があり、特に確定情報の開示に関する規律が会社法と金融商品取引法の2つあることは、我が国固有であることから、海外の制度も見た上で、国際標準に合わせていくことが必要ではないか。

    また、開示のスケジュールについて、通常は、取引所規則に基づく適時開示があり、それから会社が数字を精査して、監査人による監査を経て確定情報になり、その確定情報をもとに株主が株主総会で議決権行使するということが自然な流れであり、他国ではそのようになっていると思う。ところが我が国においては、速報値である決算短信を出す前に会社法の監査報告書が出ているケースが4割あり、非常に短い期間の中で監査をしなければならない状況になっている。

    監査法人のガバナンスをしっかりさせて、高品質な監査を行えるような組織態勢を作らなければならないこと、また、監査チームがプロフェッショナリズムを発揮して深度ある監査を実施しなければならないことは当然であるが、一方で、監査を行うためには十分な期間が必要だという主張を監査人もしていかなければならないと考えている。

  • 監査がブラックボックスのように外部から内容が分かりにくいものにならないように、会計監査に関する情報を株主等へ提供して、ステークホルダーが協調し合ってそれぞれの立場で監査を見ていくことは非常に良いと思う。しかし、今は監査役会等が監査人の再任・不再任の議案を決めることとなっているが、企業に来て監査を行う監査チームの力量はある程度評価できる一方、監査法人全体としての品質管理、ガバナンス、監査の品質を評価することはなかなか難しいのが実情。

    監査チームからの報告の中で、公認会計士・監査審査会(以下「審査会」)の検査の状況や指摘の有無、内容を記載し、報告してもらうことになっているが、非常に抽象的な報告になっている。審査会が監査法人を検査するに当たって、その企業に対する監査がたまたま検査のサンプルとして選ばれれば、もっと違う情報が入ってくるのだろうが、そうでない場合はあまりにも一般的な情報で、はっきり言って評価に役立たない。審査会検査のサンプルに入らなかった企業に対して、他の企業の監査に基づいて監査法人が受けた指摘事項をどう報告するかというのは確かに難しい問題だと思うが、今回を契機に更に議論していただき、企業による監査法人の評価に資するもう少し具体的な情報を提供するようにしていくことが重要ではないか。

  • 提言はかなり多面的に、神経細やかにまとめられているものと思う。提言にはアクションを伴うものがかなり盛り込まれており、時間がかかるものや同時進行できないものもあると思うが、これらの提言全てに取り組んでこそ監査が全体として良くなるということだと思うので、決して諦めずに最後まで取り組むことが必要である。

    3点申し上げる。1点目は、提言の中で何箇所か「監査の価値」という言葉が出てくるが、企業が監査に報酬を支払うということは、監査に価値を見出すことが重要。そのためには、企業側にもそうした高品質な監査を望むことが良いのだという認識を抱かせることが必要だと思う。十分な監査時間や監査人から経営幹部へのアクセスを確保する等、より高品質な監査を実施するための協力態勢を企業がとらない限り、高品質な監査の実現は難しいと思うので、企業側も含めた監査品質の向上という視点が大事だと思う。

    2点目は、提言の5ページにおいて「当局と大手・準大手監査法人等との間で協議会等の継続的な場を設け」とあるところ、これが大変重要であると思っている。具体的には、なぜ重大な会計不正が起こったのかについて、金融庁、協会も含む関係者の中で状況の本質的理解を共有することが大事であり、それがないと監査法人のガバナンス・コードを作っても、上手くワークしないのではないかと思う。協議会には、大手監査法人の経営のトップないしナンバー2の方を含めた形でやっていただきたい。

    3点目は、10ページの「監査法人の独立性の確保」に監査法人のローテーション制度について今後調査するとあるが、その際、併せて、監査法人のローテーションによって監査時間がどのように変化したのかという視点で、監査時間についても調査していただきたい。これまで、我が国では諸外国と比べて監査時間が不足しているから品質の高い監査を行うことが難しいという話があったが、なぜ諸外国と監査時間が異なるのか、どこに問題があるのかも併せて調査・分析していただきたい。

  • この提言は、監査の品質を高め、株主への情報提供もしっかり行って、好循環を作っていくということに言及しており、非常に中身の濃い提案ではないかと思う。イギリスの監査法人のガバナンス・コードでは、独立非業務執行役員について言及があるが、この点について、我が国で策定する監査法人のガバナンス・コードではどのように考えていくのか。

  • イギリスで独立非業務執行役員がどのように機能しているか等を踏まえ、日本でそのようなものに相当するものを導入するか否かも含めて、今後検討いただくことになるのではないか。

  • 監査チームから監査役等に開示される審査会検査の指摘事項が分かりにくいとの指摘があったが、審査会としても同様の問題意識を持っている。監査チームから監査役会等に対して分かりやすい情報提供が行われるよう、審査会から監査法人に渡す検査結果の通知文章についても、より分かりやすい文章とするべく検討したい。

  • 会計監査の信頼性確保のためには、監査を受ける企業が作成した情報がどうあるか、企業関係者は開示情報に対してどのような姿勢で臨んでいるのかという議論があるべきではないか。昨年起きた企業不祥事の大半が、データの改ざんを含めたディスクロージャー不正だと言われている。日本の企業関係者の多くは、委託された業務をどのように履行したのかを報告するという、いわゆるアカウンタビリティ概念が欠如しており、正しい情報を開示するというインセンティブが働かないのではないか。

    会計監査において無限定適正意見が表明された場合、株主総会の手続上は決議事項ではなく報告事項で足りることとなっており、監査人が経営者の会計に対する報告責任、アカウンタビリティを実質的に解除することとなっている。先ほどお話にあった監査の価値とは何かという点については色々な見方があるが、経営者にとっては自分に課された責任を全幅の信頼をもって解除してもらえるということが監査の価値であって、監査人は徹底的な検証を行い、後から無限定適正ではなかったと言われるような結果を出さないということで評価され、報酬が支払われていると思う。

    今回の懇談会の対象ではないのかもしれないが、日本の状況を踏まえれば、企業サイドの対応にメスを入れて強いメッセージを出さないと、いつまでたってもアンカーである会計監査にばかりしわ寄せがくることとなるのではないかと思う。企業側、つまり財務情報を作成し、開示する立場にある人たちの社会的責任として、結果を正しくディスクローズする責任の重さを自覚することが求められることを提言の初めかどこかで明記すべきではないか。

  • 適正なディスクロージャーの確保は、一義的には企業経営者の問題であることは論を俟たないところであり、提言においても、「5.高品質な会計監査を実施するための環境の整備」で取り上げている。ただ、この提言はそれを当然の前提としながらも、会計監査という視点でその信頼を確保するためにどうするのかということなので、企業の問題が最初に来るのはこの懇談会の主題とずれが生じるのではないか。

    それから、監査人が経営者のアカウンタビリティを解除するという話があったが、近時の会計不祥事を見ると、監査人による有効なチェックがほとんど行われていない場合もあるのではないかという感想を持っており、そうだとすると、経営者のアカウンタビリティは最初から解除されているようなものである。アカウンタビリティを解除してもらうことの有り難みという以前に、そこにすら達していない監査ではなかったかというのが正直な感想である。

    こうしたことを踏まえると、企業側の責任を本提言の最初に持ってくるのはどうかなと感じている。

  • この提言は非常にバランスよく論点を網羅していると思うが、世間からは、作文は立派だけど何をするのかという感想を持たれる可能性があるので、この提言を受けて具体的に何をしていくかの回答は準備しておいていただきたい。株主に対して必要な知識や情報をきちんと提供すべきという提言を踏まえ、株主にも監査の品質に対する関心をもっと高めるよう促すメッセージを何らかの形で出していくのもいいのではないか。

    会社法と金融商品取引法の2つの開示制度があることに関しては、監査の時間や期間という観点であれば論ずる余地はあると思うが、アメリカでは証券取引法ベースの規制をしているのに対して、ヨーロッパでは企業の開示規制は伝統的に会社法の問題だった。日本では戦前まで会社法・商法の問題であったところに、戦後アメリカから証券取引法を導入してそれに接ぎ木したため、2つの制度が並存する仕組みになっているが、世界的に見て企業開示が金融商品取引法や証券取引法のみに基づく制度となっているわけではない。ヨーロッパではむしろ、依然として会社法のウエートが重い。制度に経路依存性がある以上、世界中が揃って両者のうちの一方を選ぶというのはなかなか難しく、日本では両者を接ぎ木した仕組みを、少なくとも当面は所与のものとせざるを得ないと感じている。

  • 提言案については原案のとおりご賛同いただけたのではないかと思うが、この形で本日公表することで良いか(メンバー了承)。

  • 提言を実行に移し、それが世の中の人からも見えていることが大事だということはまさにそのとおりだと思っており、金融庁として進められるものは出来るだけ早く進めたいと考えている。例えば監査法人のガバナンス・コードについては、金融庁のリーダーシップのもと検討を進めるべきとの提言をいただいており、早急に有識者会議のようなものを組織して検討に移り、コードを策定したいと考えている。

    監査法人のローテーション制度については、まずはしっかりと調査・分析をすべきだという提言をいただいており、金融庁として世界に問えるようなしっかりとした調査・分析を行いたいと考えている。必要に応じて、専門家の皆様に色々とご助言いただくこともあろうかと思うので、その際はよろしくご協力いただきたい。

  • 今回の提言はかなり色々なアクションが入っており、一般の投資家・利用者がこれを読み込むのは難しいと思う。そこで、金融庁の取組状況が分かるスケジュール表のようなものを適切な時期に示してもらいたい。

  • 提言は重要な項目を網羅していて非常に良いと思うが、中には過去にも出てきた議論もあることから、提言を読んだ人が、会計不祥事があるたびにこのような議論が出てくるがほとんど進展していないという印象をもつのではないかと危惧している。

    例えば監査報告書の透明化についてプロジェクトチームを作って、何年かかってもいいので着地点に向けて継続的に検討していくことが必要ではないか。監査報告書の透明化・長文化に向けた地ならしの意味で、例えば、監査結果やリスクの評価、会計方針の適用状況等について取締役会で報告するといったことが考えられるのではないか。

    このようなことを提言に織り込むのは難しいと思うが、業界、金融庁、各法人、協会等の各関係者がアクションを取るような方向に繋げていかないと、「またか」で終わってしまう危惧がある。

  • 提言をいただいているものの中で、当局や協会がアクションするべきものは早急に実施できるよう検討を進めていくということと思う。しかし、必ずしも当局や協会が動けば済むものではなく、監査法人や企業に関連するもの、あるいは、会社法など他の法律に絡む課題などは、どのようなスケジュールで進むか読みきれない部分があることから、取組みの全てについて工程表が成り立つかは分からない部分がある。ただ少なくとも当局や協会で検討するものについては、しっかりとした工程表を作ってそれを明らかにしながら、全力を挙げて取り組んでいきたい。

  • 当懇談会での議論は本日で一区切りとなる。色々と御議論いただき、感謝。

    提言のうち、関係者において直ちに実行可能なものについては速やかに実施に向けた作業が進められることを期待するとともに、懇談会としてその進捗状況をフォローしていきたい。また、提言のうち、監査法人のローテーション等、更に調査・分析を必要とするものについては、懇談会としてそれぞれの調査がどのように進んでいるのかについても検討を行ってまいりたい。提言の最後にもあるとおり、今後とも皆さんには懇談会の提言が実行されていく過程を注視いただきたい。

(以上)

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