家計の安定的な資産形成に関する有識者会議(第2回)議事録

1.日時:

平成29年3月30日(木)15時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館12階 金融庁共用第二特別会議室

 

【神田座長】
 定刻より若干、1分半ぐらい早いですけれども、予定の皆様方おそろいでございますので、始めさせていただきたいと思います。「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」の第2回目の会合を開催させていただきます。
 
 いつも皆様方には大変お忙しいところをご参集いただきまして、誠にありがとうございます。なお、越智副大臣におかれましては、公務のため、遅れてご参加いただける予定でございます。
 
 それでは、始めに、今回の会合から新しく委員にご就任いただきました方を事務局からご紹介いただきます。よろしくお願いいたします。
 
【武田政策監理官】
 第1回有識者会議の議論を受けて設置されました「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」の米澤座長に、新たに有識者会議の委員にご就任いただきました。永沢委員の左側にお座りいただいております。米澤康博様です。
 
【米澤委員】
 よろしくお願いいたします。
 
【神田座長】
 どうぞよろしくお願いいたします。
 
 それでは、早速ですが、議事に移らせていただきます。本日でございますけれども、まず、今ご紹介がありましたが、「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」の審議の結果及び報告書について、座長でいらっしゃる米澤委員からご報告をいただきたいと思います。米澤先生、よろしくお願いいたします。
 
【米澤委員】
 改めまして、よろしくお願いいたします。お手元の資料2をご覧ください。
 
 第1回の有識者会議で設置が決定されました「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」の議論につきまして、ご報告させていただきたいと思います。
 
 本ワーキング・グループは限られた回数ではありましたが、委員の間でのメールでの意見のやりとりを含めまして、メンバーの方々に大変精力的にご議論いただいたと思っております。その結果、今日報告されます報告書を取りまとめることができました。今週、国会で関連法案が成立いたしましたが、平成29年度税制改正で積立NISAの創設が決定され、投資初心者を含む多くの家計による利用が期待されております。本ワーキング・グループでは、この積立NISAの対象として、どのような投資信託が適しているかという点を中心に議論を行ってまいりました。
 
 詳細は事務方からご説明をお願いいたしますが、報告書の中では、長期・積立・分散投資に適した投資信託として、とりわけ投資初心者の利用を念頭に置きまして、インデックス投信を対象商品の基本と位置付けるとともに、販売手数料や信託報酬に関して一定の要件を設けることを提案しております。
 
 それでは、詳細に関しまして、事務局から説明をお願いできればと思います。
 
【武田政策監理官】
 お手元の資料2、「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」報告書についてご説明いたします。
 
 ワーキング・グループの報告書は、3部構成になってございます。まず、1ページ目の1.「はじめに」でございますけれども、最初の大きなパラグラフでは、我が国の家計の金融資産は、1,700兆円を超えるものの、その52%が現預金であって、有効に運用・活用されてきたとは言いにくい、という現状が書かれています。
 
 次の大きな括りでございますけれども、投資信託などのリスク性商品につきましては、元本割れのリスクが存在するところではございますが、この投資のリスクを可能な限り軽減しつつ安定的な資産形成を行うためには、長期の積立・分散投資が有効と考えられること、特に積立による長期投資を強く後押ししていくとの観点から積立NISAの創設が決定されたこと、が書かれています。
 
 次の2つのパラグラフにおきましては、積立NISAが今後利用されるに当たりまして、制度の趣旨を踏まえた長期・積立・分散投資に適した投資信託が適切に組成・販売されることが望ましいということ、そして、こういった背景のもとに、ワーキング・グループにおきましては、積立NISAの対象商品といたしまして、どのような投資信託が適しているかについて検討を行ったこと、が書かれています。
 
 次に、2.「積立NISAの対象となる投資信託の基準について」でございます。こちらに積立NISAの対象となる投資信託の具体的な基準について書かれています。2ページ目の上の括りのところをご覧になっていただきますと、積立NISAの対象となる投資信託の基準を検討するに当たりましては、現在、販売の主流となっている投資信託の特徴を前提にするのではなく、少額からの長期・積立・分散投資の促進による家計の安定的資産形成という制度趣旨に相応しいものを第一に考える必要がある、という考え方が書かれています。
 
 その下でございますが、既にご案内のとおり、平成29年度税制改正大綱におきましては、積立NISAの対象商品につきまして、4つの要件が示されてございます。具体的には、信託契約期間が無期限又は20年以上であること、毎月分配型でないこと、一定の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行わないこと、その他一定の事項、こういった要件が書かれてございますが、ワーキング・グループにおきましては、そのうち、特に「その他一定の事項」の内容につきまして、主に、運用手法、分散の程度、手数料といった点に着目して検討を行い、以下のとおりの結論を得たところでございます。
 
 まず、(1)「運用手法(インデックス投信、アクティブ運用投信)について」でございます。ワーキング・グループの結論といたしましては、インデックス投信は経済成長に見合うリターンを実現することが期待できること、また、値動きのわかりやすさやコストの低さといったメリットもあることから、まずはインデックス投信を基本に位置づけることが適当と考えられる、とされてございます。その際のインデックス(指標)の選定でございますけれども、マーケット全体を広くカバーしており、かつ、既に市場関係者に浸透しているインデックスを基本とすることが望ましいと考えられる、とされてございます。
 
 一方、アクティブ運用投信についてでございますけれども、一般的にはリスクとコスト(手数料等)が高くなりがちであること、また、積立NISAが想定する20年間という長期にわたりまして、マーケット全体のリターンを上回るアクティブ運用投信を事前に見分けることは、少なくとも投資初心者には困難であると考えられること、さらには、我が国で販売の主流となっているテーマ型のアクティブ運用投信ですとか、毎月分配型投信などにつきましては、金融機関には手数料稼ぎのインセンティブが発生する一方で、長期のスパンで資産形成を考える家計には不向きである場合が多いことなどを踏まえると、アクティブ運用投信について、これを積立NISAの対象に含めるべきかどうかという点に関して言えば、基本的には慎重であるべきと考えられる、とされてございます。
 
 もっとも、アクティブ運用投信の多くが、組成されて数年で半分以下の資産規模まで資金流出してしまう中で、例外的にコンスタントに資金流入が続いているものも一部に存在することから、現にマーケット(投資家)から継続的に選択・支持されている点を尊重して、一定の要件を満たすアクティブ運用投信については、対象として認めることが考えられる、とされてございます。
 
 その要件といたしましては、信託の設定以来5年以上が経過していること、そのうち3分の2以上の期間(年数)において資金流入超となっている実績があること、さらに、50億円以上の純資産があること、こういった要件が示されてございます。
 
 3ページ目の一番下のパラグラフでございますけれども、今回、積立NISAの対象にアクティブ運用投信も含まれることを踏まえまして、今後、我が国においても、投資家に継続的に選択・支持され、積立NISAの対象となるアクティブ運用投信が増えるなど、質の高い長期投資を実現する投資信託が増えることを期待したい、とされてございます。
 
 次に、4ページ目の上、(2)「ETF(上場株式投資信託)について」でございます。ETFは、本来、長期の投資に適した商品であると考えられる一方、積立投資に用いるという観点からは、最低売買金額が大き過ぎる、流動性が低いものは適切な価格が付きにくい場合がある、といった実務上の課題が指摘されてございます。こういった実務上の課題をクリアするものといたしまして、積立NISAの対象とすべきと考えられるETFについては、対象となるインデックスはインデックス投信について選定されたものと同じものであること、に加えまして、最低取引単位が1,000円以下であること、さらに、流動性の観点から、国内上場のETFについては、マーケットメイクにより円滑な流通のための措置が講じられているものとして金融商品取引所が指定したものであること、外国上場のETFについては資産残高1兆円以上であること、こういった要件が書かれてございます。
 
 次に、(3)「アセットクラス・地域の分散の程度について」でございます。分散投資の効果を発揮しつつ、安定的な運用を目指す観点から、基本的に、アセットクラスや地域が分散されている投資信託が望ましいと考えられる、とされています。もっとも、必ずしも積立NISAで保有する商品のみで分散効果の実現を考えるのではなく、個々の家計の金融資産のポートフォリオ(預金を含む)を全体として見た際に実質的に分散が図られていることが重要と考えられることから、ある程度柔軟に考える必要があるともされてございます。
 
 アセットクラスにつきましては、家計の金融資産全体として適切なポートフォリオを組むニーズがあること等を考慮し、株式のみを投資先とする投資信託についても対象に含めることには合理性が認められる、とされてございます。また、地域分散に関しましては、家計金融資産には強い円資産バイアスがかかっていること、逆に、外国資産投資には心理的な抵抗感を覚える家計も存在すること、さらには、自ら組み合わせて投資を行いたいというニーズもあることなどを踏まえれば、「国内資産のみ」、または「海外資産のみ」に投資する投資信託であっても、あえて対象から排除しないことが適当と考えられる、とされているところでございます。
 
 (4)「手数料等について」でございます。積立NISAは、少額からの長期・積立・分散投資によって家計の安定的な資産形成を支援する制度であることから、あえてハイリターンを狙った高コストの投資信託を対象に含める必要は乏しいとの考え方のもと、投資初心者も含めた幅広い家計が利用するという観点からは、販売手数料(購入時手数料)や信託報酬(運用管理費用)などにつきまして、一定の上限を設けて、低コストの投資信託に限定することが必要と考えられる、されているところでございます。
 
 具体的には、販売手数料に関しましては、家計が負担するコストを抑えるとともに、販売手数料の多寡が販売サイドのインセンティブを歪めることのないよう、ノーロードに限るべきであり、同様に、解約手数料(信託財産留保額を除く)に関しても0%のものに限るべきである、とされてございます。
 
 信託報酬につきましては、信託報酬の大小がリターンに与える影響が大きいことも踏まえまして、一定の上限を設けることが必要と考えられる、とされています。その際、インデックス運用かアクティブ運用か、海外資産を組み入れているか否か、によって運用コストが異なる場合が多いと考えられることから、上限の具体的な水準は、ある程度細かく区別を行うことが適当であり、既存の投資信託(税制改正大綱の要件等を満たすと考えられる投資信託)の平均的な信託報酬の水準等を勘案しつつ、より低コストのものとするとの観点から、6ページ目の上に書いてございますとおり、国内資産のみに投資するインデックス投信は0.5%、海外資産を組み入れているインデックス投信は0.75%、国内資産のみに投資するアクティブ運用投信は1%、海外資産を組み入れているアクティブ運用投信は1.5%といった水準とすることが考えられる、とされてございます。なお、これらはいずれも、税抜きで、ファンド・オブ・ファンズについては投資先ファンドの信託報酬を含む信託報酬でございます。
 
 また、信託報酬につきましては、信託報酬に関する投資家側の意識を高めつつ、金融機関側のコストダウンのインセンティブにつなげていく観点から、積立NISAの対象商品につきましては、定期的に信託報酬の金額を顧客に通知する仕組みを講じるべきと考えられる、とされてございます。なお、その際、事務的・経済的な負担にも配慮しつつ、簡便な計算方法によって概算値の使用などが検討されるべきである、とされてございます。
 
 (5)「その他」でございますけれども、積立NISAに関しましても、金融機関において顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)が徹底されることが重要であり、運用会社においては、積立NISA向けの商品を組成、提供する際に、なぜその商品が積立NISAに適していると考えられるのか、どのような顧客に適しているか等についての公表を行うことが望まれる、とされてございます。
 
 また、販売会社においても、積立NISA向けの商品ラインナップに関しまして、その商品を組み入れた理由や、どのような顧客に適しているか等についての説明・公表を行うことが望ましく、顧客の金融資産全体のポートフォリオを最適化する観点から、的確な説明を行うことが求められる、また、例えば、将来、一時的に相場の変動が生じたとしても定額積立投資を長期的に継続することの意義等に関して、顧客の認識が深まるよう説明を行うべきである、とされてございます。
 
 3.「おわりに」でございます。今後、この報告書を踏まえて、積立NISAの対象となる投資信託について、すみやかに具体的な基準が策定されることを期待するとともに、将来的においては、各般の状況変化に応じて、柔軟に見直しを行うことも必要であることには留意を要する、とされてございます。
 
 最後の括りでございますけれども、これまで我が国の投資信託は、組成・販売などを行う「生産者側」の論理で提供されてきた面が強いが、積立NISAの導入を一つの契機として、「消費者側」、すなわち、「顧客本位」の目線に立ったものに変わっていく必要がある、とされているところでございます。
 
 以上で私の説明を終わります。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。今ご説明がありましたように、積立NISAの対象となるべき投資信託商品について、非常に短期間で集中的にご審議をいただいて、取りまとめをいただいたものでございます。
 
 そこで、この有識者会議として、今ご説明のありました報告書を了承させていただきたいと思うのですけれども、よろしゅうございますでしょうか。
 
 (「異議なし」の声あり)
 
【神田座長】
 どうもありがとうございます。それでは、本有識者会議で、今のワーキング・グループの報告書を了承させていただいたということにさせていただきます。米澤先生をはじめとして、ワーキング・グループの先生方には、短期間に大変精力的な審議をしていただき、立派な報告書にたどりついていただきました。どうもありがとうございました。
 
 それでは、続きまして、今の報告書にも関連しますけれども、我が国の投資信託の現状について事務局からご説明をいただき、委員の皆様方からご意見をいただきたいと思います。
 
 事務局からの説明をよろしくお願いいたします。
 
【武田政策監理官】
 お手元の資料3、A4横の資料をご覧になっていただけますでしょうか。
 
 まず1ページ目、我が国の投資信託の内訳でございますが、2016年11月末で全投資信託は1万993本ございますが、このうち、約款上、株式等へ投資することとしている投信、公募株式投資信託は約5,400本存在いたします。そのうち約4割の約2,300本は、実際には主として海外のREITですとかハイ・イールド債などに投資しているものでございます。
 
 2ページ目には、公募株式投信の信託設定期間と経過年数を掲げてございます。左側のパイチャートでございますけれども、公募株式投資信託約5,400本のうち半数以上は過去5年以内に新設されたものでございます。また、右側でございますが、約款上の信託期間を見ましても、10年以内のものが半数を占めております。
 
 3ページ目には、公募株式投信の1本当たりの純資産残高を載せてございます。公募株式投信のうち1本当たりの純資産残高が50億円未満のものは7割超、20億円未満のものが5割超、1本当たりの純資産残高の平均は約110億円となってございます。
 
 4ページ目には、そのような中で公募株式投信の新規設定の状況を載せてございます。左側のグラフ、公募株式投信の新規設定本数は、減少傾向にございますが、足元でも年500本程度と、公募株式投信全体の約1割が毎年新規設定されているところでございます。右側のグラフになりますが、1本当たりの当初設定額は減少傾向にありまして、足元では20億円程度と小口化が進展しているところでございます。
 
 5ページ目は、公募株式投信の新規設定後の純資産残高の推移を載せたものでございます。2012年に新規設定された公募株式投信は、403本ございますが、そのうち約7割はピーク時の残高が100億円未満でございます。また、ピーク時の残高が100億円以上の136本につきましても、そのうち約8割はピーク時から2016年の3月末までに残高が半減してございます。なお、半減したもののうちインデックス投信は0本でございます。
 
 6ページ目は、2005年から2010年にかけまして年間の資金純増額が大きかった公募株式投信、各年の上位5商品について、純資産額のピーク時からの推移などを見たものでございます。バツ印は純資産額がピーク時から2年で半減したもの、三角印は3年で半減したもの、丸印は現時点で半減しているものでございます。大半について、純資産額がピーク時から半減しているということが見てとれるかと思います。半減していないものにつきましても、ピーク時の60%から80%の残高で推移しているところでございます。
 
 7ページ目は、日米の規模の大きい公募投信を比較したものでございます。左側でございますが、純資産額上位10商品を見たところ、日本では投資対象を特定の種類の資産に限定したテーマ型のものが多く、また、入れ替えが激しくなってございます。2016年3月末時点で純資産額上位10商品は、全てアクティブ運用投信でございます。
 
 また、右側をご覧になっていただきますと、純資産額上位20商品で見ましても、日本の投信は全てアクティブ運用投信であるのに対しまして、米国は純資産残高ベースでインデックス投信が51%、アクティブ運用投信が49%となっているところでございます。
 
 8ページ目は、日米の公募投信のコスト比較や、日本の国内株式アクティブ運用投信の信託報酬とリターンの関係を載せてございます。左側でございますが、日米の公募投信の純資産額上位5商品を見てみますと、日本の投信は米国のものに比べまして、1本当たりの販売手数料、信託報酬ともに高くなってございます。
 
 右側は、10年以上存続している日本の国内株式に投資するアクティブ運用投信281本について見たものでございます。グラフの横軸に信託報酬、税抜きでファンド・オブ・ファンズの場合は投資先ファンドの信託報酬を含むものをとりまして、縦軸には過去10年間の信託報酬控除後の年率リターンを示してございます。こちらを見ますと、日本の国内株式アクティブ運用投信について、信託報酬の高いものはリターンのばらつきが大きく、リターンが高かったものもあるが、信託報酬が高くなるとリターンがマイナスであったものの割合も高くなるという傾向が見てとれます。
 
 下の表でございますけれども、平均リターンをご覧になっていただきますと、信託報酬が0.5%超1%以下のものにつきましては2.03%であるのに対しまして、信託報酬1%超1.5%以下のものは1.26%、1.5%超2%以下のものは1.27%と、信託報酬が1%を超えている方が、平均リターンが低いという傾向が見てとれます。
 
 その下の、リターンがマイナスであった本数の割合でございますが、信託報酬が0.5%超1%以下のものについては、うち11.1%、36本中4本がリターンがマイナスであったのに対して、信託報酬1%超のものは、うち4割近くがリターンがマイナスであったところでございます。
 
 ちなみに、日経225に連動するETF、これは図の中で赤いバツ印で示してございますが、信託報酬は0.22%、年率リターン(過去10年間、信託報酬控除後)は2.76%となっているところでございます。
 
 9ページ目は、主要行等8行及び地域銀行10行に対してヒアリングを行い、販売の実態を見たものでございます。左側でございますけれども、預金残高は引き続き拡大している一方で、投信の残高は伸びていないという状況が見てとれます。
 
 右側でございますが、投信の販売額・収益額は減少傾向にある中、青色の棒グラフになりますが、販売額とほぼ同額が解約、償還されており、回転売買が行われていることが推測されるところでございます。
 
 10ページ目は、販売されている投信の内訳でございます。左側のグラフは、いわゆる売れ筋投信として各行の販売額ベースの上位5銘柄の推移を示したものですが、REITですとかハイ・イールドといった、投資対象を特定の種類の資産に限定したテーマ型の商品が依然販売額上位銘柄の多くを占めていることが見てとれます。また、右側のグラフになりますが、売れ筋投信における毎月分配型の比率が足元では約9割を占めているところでございます。
 
 11ページ目は、積立投信の販売状況でございます。3メガグループと地域銀行を比較いたしますと、地域銀行における積立投信の売れ筋は、左側のグラフのとおり、特定の種類の資産に限定したテーマ型の商品が多いほか、右側のグラフになりますが、毎月分配型の比率が高くなっているところでございます。
 
 12ページ目は、販売手数料の状況でございます。左側は、売れ筋投信の平均販売手数料の推移でございますが、販売した投資信託全体の平均販売手数料は足元で低下傾向にあり、16年度下期で2.04%ですが、売れ筋の上位5商品の平均販売手数料は緩やかに上昇し、足元16年度下期で2.52%となってございます。右側でございます。売れ筋投信における販売手数料の階層推移ですが、販売手数料率別で見ると、グラフの紫色の部分の販売手数料1%未満の投信の比率が増える一方、青色の部分の販売手数料3%以上のものの比率も足元で小幅上昇し、3割程度ございます。
 
 13ページ目は、投資信託の信託報酬に関する認知の状況でございます。現に投資信託を保有している個人投資家4,000名の方に投資信託の信託報酬についてアンケート調査を行ったものでございます。投資信託を100万円購入した際に負担する信託報酬の額は一般的には何円程度かを尋ねたところ、投資信託の信託報酬の平均は年に1万4,000円程度であるのに対しまして、5,000円以下との回答が6割弱、1,000円以下との回答も4割弱あったところでございます。
 
 14ページ目は、既存の日本の公募株式投信5,406本に、先ほどのワーキング・グループの報告書に記載されました積立NISAの基準を試みに当てはめた場合でございます。株式型・資産複合型の公募株式投信は3,088本ありますが、このうち、インデックス投信は381本、アクティブ運用投信は2,707本です。インデックス投信381本につきまして、税制改正大綱に記載されました信託設定期間が20年以上といった諸要件を適用しますと約130本に絞られます。
 
 また、アクティブ運用投信2,707本につきまして、こちらに、先ほどワーキング・グループの報告書にございました、5年以上存続しており、存続年数の3分の2以上で資金流入が超過しており、純資産額が50億円以上という要件を適用しますと約130本に絞られます。さらに、税制改正大綱に記載されました信託設定期間が20年以上といった諸要件を適用しますと約20本に絞られます。これらインデックス投信約130本、アクティブ運用投信約20本に、さらに信託報酬や販売手数料の要件、いずれもワーキング・グループ報告書のものを適用しますと、最終的に要件を満たすのは、既存の公募株式投信5,406本のうち約50本という検証結果になります。
 
 15ページ目は、日米の規模が大きい株式投信に、同様に積立NISAの基準を当てはめた場合でございます。日米における株式を投資対象とする公募投資信託(公社債投資信託を除く)の純資産額上位10本につきまして、ワーキング・グループ報告書の積立NISAの基準を当てはめた場合、日本の場合は左側でございますが、積立NISAの対象となるものはない、という検証結果になります。一方で、右側でございますが、仮に米国の投信上位10本に同じ基準を適用いたしますと、10本中8本が積立NISAの対象となるという検証結果でございます。対象とならない2本につきましても、信託報酬のところが要件を満たさず赤色となってございますが、資金流出入基準等の要件はクリアしているところでございます。
 
 以上で私の説明を終わります。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。色々考えさせられる日本の投資信託の実情であると思いますけれども、委員の皆様方から、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。どなたからでも、どの点についてでも結構でございます。いかがでしょうか。
 
 斉藤委員、どうぞ。
 
【斉藤委員】
 すばらしい資料でありがとうございます。また、色々検討会のほう、深くご検討いただいて、大変すばらしい結論だと思いますけれども、この資料を見まして、もう皆さん、ご存じのとおり、テーマ型で1年間に500本もということは、1日1本以上新しいものができてくる。つくったものは、数年、3年ぐらいですぐ半減すると。こういうことを繰り返していると、おそらく運用の現場では、現金を常にホールドしないと解約が来ますので、どのくらいホールドしているか知りませんけれども、3割とか2割とかホールドする結果になると、当然、運用成績が悪くなるわけですね。これは、ご案内のように、アメリカはエリサ法で禁じられていて、株式運用として契約している以上、100%投資しなければいけないようになっています。なおかつ、アクティブでテーマということでありますと、銘柄の入れかわりが相当行われているのではないかと思いますので、そのこと自体がまた株式手数料が過剰にかかり、結果的には運用全体のコストが非常に高い運用をしていると思うのですね。
 
 それを結局、売買手数料と信託報酬を高めにしてカバーしてきたという。これはもう悪循環だと思うのですよ。運用というのは、相当倫理観の高いものであるべきであって、極論すれば、儲けるために運用するという、結果としては儲からないといけないのでしょうけれども、まずそういう発想を変えなければいけないと思うのですね。本当に国民の資産をどうやって増やしていくかというようなことが大テーマであると思いますし、銀行に販売参入を昔認めるときに、神田先生もいらっしゃったと思うのですけど、論議して、私なんか相当反対したのですけれども、ただ、反対しながらも、銀行さんが窓販をやられたら、質のいい販売があるかもしれないなということは本当に思ったのですね。当時、証券会社というのは、どちらかというと回転営業を繰り返していまして、それをどうやって修正するかというのが我々もテーマであったわけで、銀行が入ってこられることによって質が良くなると期待していたら、これ、拝見すると、非常にひどいと思いますね。
 
 つまり、銀行というのは現金のあり場所を知っている機関ですね。だから、証券会社というのは、あくまでも銀行とか郵便局にあるお金を持ってきていただくというのが中心なのですけど、銀行は自分のところにデータを持っている。それでいて、こういう回転営業をやっているというのは、信義則に反すると思うのですね。ここまで来ると、幾つかやっぱり規制をかけるべきだと私は思いますね。1つは、販売員の資格制度か何かを作ると。試験か何かやって、FPみたいな資格がある人でないと投資信託は売れないと。その資格試験の中に、かなり厳しい信義則といいますか、倫理観をうたって、そういう人でないと投信は売れないとか、また1つは、新しい投信が出たら、一つは前の投信を消すことにしたらどうかと思います。要するに、累積していくために、すごい数になっていると思うのです。乗換販売などで資産が減った後の投信は、コンピューターで、ただホールドしていると思うのですけど、実際は運用はしてないのですね。しかし、これも、運用手数料を取っているわけですよ。トリックですよね、これ、はっきり言うと。機械に入れて、機械が運用しているだけの状態にほぼなっているのに、一応運用、信託報酬などは取っている。
 
 だから、そういう債券で言う端債みたいなものがいっぱい溜まっているにもかかわらず、これを整理したいという気持ちにならない1つの理由は、そこからやっぱりフィーが入ってきているという問題だと思う。このフィーが入らないように、端債整理というのをやらせるべきだと思うのです。法律があることは存じ上げていますけれども、今後、一定の資産規模以下になった場合は、これは強制的に解散すると。そういうルールを入れて、要するに、誠意を持ってお客さんのために運用すること以外から収入が入るというようなことにブレーキをかけるべきじゃないかと、こういうふうに感じます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。他にいかがでしょうか。
 
 どうぞ、米澤先生。
 
【米澤委員】
 ワーキング・グループでまとめ役をさせていただいた者として、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 
 こちらの資料3、特に14ページを見ていただきますと、全体が5,406本ある中から、今回対象になったのは約50本ということで、1%以下という数字になっております。この数字を見ますと、あなた方が選んだのは厳し過ぎるんじゃないだろうかという意見があるかと思います。数字の上ではそうなんですが、ただ、今回は、このプロセスにおいては、今、斉藤委員が説明しましたように、非常に問題のある投資信託が多いということで、乱暴な言葉で言うと、真っ当な投資信託を選ぶとこんなものになるのかなというぐらい、そういうような作業だったわけです。
 
 さすがに私も、投資信託のマーケットがなかなか上手くいっていないって、もう十二分に知っているわけなんですが、さすがにここまで絞り込んで若干心配な点もあったんですが、最後の15ページのところの表を見ていただきますと、我々がやったことというのは、アメリカを基準とすれば決して厳しすぎることはやってなかったんだと。むしろ問題があるのは日本の投信のマーケットではないかということを、今、そういうふうに思っております。
 
 もともと我々、教えているほうも、運用で一番いいのは、個別銘柄を選ぶんじゃなくて、インデックスをベースとした投資信託であるということ、これはもう教科書にもきちっと書かれているわけです。そういう意味では、投資信託って非常に魅力的な資産であるので、特に若い人、これから資産形成していく人においては絶対欠かせない金融資産であることは間違いないわけですね。
 
 ただ、1点は、そこでもってアクティブがどのぐらい魅力的かどうかというと、これは残念ながら、我々、運用の専門家と言ったら極めて残念ながら、やはりプラスアルファがとれてないのが実績なわけです。アメリカですらというか、アメリカならばと言ったほうがいいのかな、とれてないんですね。それをひたすら追っかけていく。しかも、手数料はむしろ高い手数料をかけていくということは一つの問題点かなということですね。
 
 もう1点は、今、改めて説明がありましたように、極めて本数が多いということ。皆さんも日経新聞を見ますと、株式、普通の銘柄の欄でしたらば2ページぐらいに納まるということで、投信の欄に行きますと、それ以上ですよね。あれでもって、どこを選んだらいいかというのが全く分からなくて、すべてが問題なければ、それはそれでいいのかもしれませんけれども、見ていくと、今言ったような問題が多々あるということで、作業をやっていく途中から、これはやっぱり、このままマーケットを放置していくことは、資産形成からして極めて問題があるなということを改めて認識させられました。
 
 それで、今、斉藤委員からは、かなり規制の話も出ておりましたが、今回、我々のワーキング・グループのミッションはそういうことではないわけなんですが、1つは、今回、積立NISAに適するような投信を選ぶことになったわけですが、これがかなりリファレンスとして参考にしていただければ、自ずと相対的にどういうものがいいのか、どういうものが問題あるのかがかなり分かるんじゃないだろうかなということで、そういうふうにうまく使っていただきますと、緩い形でもって、少し投信のマーケットというものを良くしていくことができるんじゃないだろうかと、そういうような気概を持ってやっておりました。
 
 以上です。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。
 
 永沢委員、どうぞ。
 
【永沢委員】
 ありがとうございます。斉藤委員がおっしゃったことは、私も日本の投資信託の問題について常日頃思っておりましたことでしたので、どのご意見ももっともと思いまして、隣でうなずきながら聞いておりました。私からは、こちらの報告書に賛成ではありますが、幾つか私も思うところがございましたので、この機会に意見を述べさせていただきたいと思っております。資料に従いながらという形になりますので、よろしくお願いします。
 
 第1回目のときにもお話が出たところでございますが、「はじめに」のところなんですけれども、若い現役世代が1カ月3万円程度ずつ毎月積立投資を20年間行うということは、30歳から始めて50歳ぐらいになるわけですが、気負わず、こつこつと積立投資を続けていって、そうしたら一財産できていたというような形が望ましいわけです。その間には暴落もおそらく経験するでしょうし、色んな相場の経験をするだろうと思います。そう言ったことを考えますと、やはりここはテーマ性のものは入ってはいけないわけで、経済に投資をするというような大きな括りでの投資というものに若い人たちを導いていかなくてはいけないのではないかと思っております。、そういった意味では、2番の投資信託の基準のところにつきましては異論はございません。インデックス投信だけでいいのかという点については、現実のところ、日本の投資信託の実情を考えると、それは海外においてもそうだと言われているようですが、やはりアクティブ運用投信はコストのこともあり、なかなか市場に勝てないのが現状ではあると思います。
 
 ただ、その一方でインデックス投信のファンドの中には、果たしてこの銘柄にお金を導いていいのかと思う銘柄もどうしても入ってしまうわけで、例えば、インデックスファンドの中から、そのような銘柄を外したポートフォリオを作るという投資なども実際に行われているわけです。そういったものもアクティブ運用投信になってしまうわけでして、インデックスファンドが中心になることは、それは当然だと思ってはいるのですけれども、全くアクティブを否定してしまうのは難しいと思います。また、投資への資金の流れを作るという成長戦略も考えますと、理念的なことではありますが、アクティブ運用投信は残すべきであろうと私としては思っております。
 
 アメリカで言えば、アクティブ運用投信の運用会社でキャピタルのような会社がありますけれども、わが国でもあのような運用の雄というような会社が育っていくことが必要なわけで、この積立NISAがそういう動きを後ろから支援するような形になっていただきたいと思っております。
 
 それから、先ほど、米澤先生からお話がありました15ページの表ですけれども、投信会社においては、この基準をご覧いただき、既存の販売されている投信のスペックを変更いただければ、基準に合致するものも出てくると思っております。例えば、手数料をノーロードにする、それから、運用報酬のうち代行報酬が高過ぎるものは引き下げる、また、資金純増が続いてないならば資金純増になるよう続けて頂ければ、この基準の俎上に乗ってくるわけです。ここは運用会社と販売会社が力を合わせて、対象になるファンドを増やしていただく努力をしていただきたいと思っております。対象ファンドというのは、今は50本かもしれませんけれども、今後増えてくることを考えますと、スタート時50本で少なくはないと思っておりまして、これからじわりじわりと増えていくことを私としては期待しております。
 
 それから、2番目のETFについてなんですけれども、色んなご議論もあったようでございますが、市場ワーキング・グループのときに、やはりマーケットメイクが十分に機能していないという現状をご説明いただきました。ETFというのは、通常のインデックスファンドより優れたものだと勝手に思い込んでおりましたけれども、必ずしもそうでもないようだということがよく分かりました。ETFを提供された運用会社と東証がともに製造者責任を果たしていただく必要があると思います。流動性の点も含め、それから、インデックスファンドとしてはトラッキングエラーの管理も大事なわけで、この点も含め、マーケット価格とのずれ等も含め、品質管理をお願いしたいと思います。ETFだから優れているわけではないということで、金額を下げればいいだけではなく、その他の問題について誠実に取り組んでいただきたいと思っております。
 
 それから、投資信託に関しましては、日本の投資信託はガバナンスの点で問題があると、かねてより思っております。投資家が素人の集まりでございますから、私どものような細かく見るような者も中にはいるかもしれませんが、やはり投資のパフォーマンスについてとか、ファンドで何がなされているかということについて誰もチェックできる状態にないことも事実でございまして、かといって、取締役会のようなものを入れるべきかというと、それはそれでまた大変な問題でございますので、ここの場であえてご提言させていただきたいと思いますが、日本には年金のプロの運用で、ご経験の豊かな方がたくさんいらっしゃるわけです。もう65ぐらいになってリタイアされた方々に、できたら積立NISAのファンドに選ばれたものでアクティブのファンドに関しては、四半期ごとぐらいにレビューをしていただいて、年金では四半期レビューというのは当たり前にあるんですけれども、代表としてレビューをしていただきまして、しかも、それも大変申し上げにくいんですけれども、名誉職としてやっていただくようなことはできないものかと思うわけです。そういう役割を引き受けてくれる方を募集いたしまして、ファンドが雇うというよりも国民が雇うというような形で対応できないものかと思うのです。積立NISAだけでも、ファンドを四半期ごとにレビューいただいて、簡単なコメントを出していただくような制度はできないものだろうかと思っております。仮に問題があるファンドについては、運用の方に問題点の指摘などをしていただければ、いいファンドが育つのではないかと思っております。すみません、余計なことを申しましたが。
 
 3番目のアセットクラスのところですけれども、私もこの判断でよいと思っております。アセットアロケーションファンドが望ましいと言う方もあるとは思うのですけれども、この口座だけではなくて、iDeCoもあれば他にもあるわけで、色んな口座を使って投資をしているわけで、結果、分散投資をしたポートフォリオを持っている人もいるわけですから、ここはあまり生真面目に考えなくてもいいのではないかと私は思っております。
 
 また、フィンテックによってオープンAPIというものも動き始めておりまして、一般の消費者も、セキュリティーも確保しつつ、簡単にスマホで口座を統合できるということもできるようになるわけですから、自分のポートフォリオがどうなっているかというのをスマホ上で見れるような時代はそう遠くないわけで、若い人たちはそのようなことをされるでしょうから、自分のアセットアロケーションがどうなっているのかというのは、そのような形で管理できると思いますので、ここのところは、この結論、つまり、日本だけのものとか、単一の国のものもあっても良いのではないかと思っております。
 
 それから、4番目の手数料については、家計の立場からはノーロードに越したことはありませんし、代行報酬の水準についても、積立NISAが見直しが入るきっかけになったらと思っております。積立NISAの場合は、最初に1回説明を受けたら、ずっと継続して購入を続けるわけですから、販売手数料はなしということも理由としては成り立ちます。代行報酬につきましては、もう一つ工夫ができるんではないかと思っております。先ほど申しましたように、若い人はスマホで、3万円ぐらいしか買わないわけです。運用報告書を印刷して高い郵送代をかけて郵送する必要があるんでしょうか。若い人はスマホで見ることができるわけですし、この辺、規制緩和をしていただけましたならば、もっと代行報酬の率を、販売会社が大きく利益を減らさない形でもう少し下げることができてくるのではないかと思いますし、代行報酬率を引き下げれば、今回の基準で漏れたアクティブファンドの中には、もしかしたら適格リストに載ってくるかもしれないと思っておりますので、この辺、業界と行政とでご検討をいただきたいと思います。
 
 それから、信託報酬の算出について概算値の利用も私は大賛成でございます。また、日本は1円単位まで数字を出していますけれども、投資家から見ると、長い数字が並ぶと、それだけで難しく見えますので、100万円単位でいいんじゃないでしょうか。アメリカでは、ミリオンで表示していますよね。1円単位まで示す必要もなく概算でいいと思います。積立投資ですから月に1回ずつあるわけですから、この機会に、過誤ルールについても、日本は非常に厳しい過誤ルールになっていますが、基準価額の訂正ルールのことですけど、これが非常に厳しくて負担になっているとも聞いていますので、この辺の見直しも、積立NISAのような商品から見直しがあってもいいのではと思っております。
 
 長くなりますが、最後の5番のところですけれども、ここに書いてありますように、どのような投資家に買ってほしいのかというのは、私は運用会社が示すべきだと思っております。2012年に開催された投信法制の見直しワーキング・グループの時に、運用会社は部品を作る会社だから、このようなことを考えることは不要という説明をされた運用会社がありましたが、私はそれは正しくないと思っております。自分の会社が単に部品を作って供給する会社でいいということならば、販売会社の下に入っていればよろしいですけど、自立して運用会社としてやっていかれたいならば、「自分たちはこんな投資家に買ってもらいたいと思ってこのファンドを作っている」というようなことをきちっと宣言していただきたいと思います。
 
 それから、最後になりますけれども、説明会のようなものも、You Tubeというものが今は普及しています。お金をかけないで、広く投資家に自分たちの運用を説明する方法もあるわけですから、まずは、こういう積立NISAに採用されたファンドからそのような取り組みをされることが、日本の投資信託を変えていく一歩になるのではないかと思っております。
 
 最後と言いながら恐縮ですが、私は今回のこの資料の8ページで、日本とアメリカの投資家の手元に得るリターンが出ておりますが、過去10年、日本はマイナス、アメリカは5%、信託報酬は日本が1.53%で米国は0.28%となっております。この1.53%を少し下げていただければマイナスにはならなかったのにと思いますので、この辺、業界の皆様には投資家に少しでも多くのリターンを提供できるようコスト引き下げの努力をお願いしたいと思います。
 
 また、やっぱりと思ったのが、13ページのところでございます。やっぱり多くの方が、1.5%だと言われても、結局わかってないんです。やはり金額表示、見える形でお知らせする努力をぜひお願いしたいと思います。
 
 以上、長くなりましたが、私からは以上でございます。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。
 
 北澤委員と神戸委員はワーキングにもご参加いただいたと思いますが、ワーキングの報告というよりは、資料3の日本の投信の現状ということで、ご意見などございましたら、お願いしたいのですが、いかがでしょうか。
 
【北澤委員】
 資料3は、現状の投信市場、問題点を非常によくまとめていると思います。投信がこの国で資産形成の手段としてきちんと機能してきたかを考えると極めて不十分であると、そういう資料だと思います。
 
 この中にも、毎月分配型のお話がたくさん出てきますけれども、私どもの調べでは、昨年、毎月分配型投信の分配金は5兆円近くあって、その9割が元本の取り崩しでした。そういう状況を考えますと、投信は、資産形成の手段というよりも、退職世代の安定的な資産取り崩しの手段として売られてきた側面もあると思っております。
 
 何でこういうことになるのかを考えと、売れるものとか売りやすい投信とか手数料を確保できる売りたいファンドを、販売会社優先で売られてきたのがこれまでの投信業界だったからだと考えております。金融資産を買ってくれるのは、お金を持っている退職世代中心で、そういうお金を持っている人たちに売った結果がこうなってきた。その結果として、資産形成層の掘り起こしとか、本当に低コストで長期の資産運用に向いた投信の商品開発は、これまで後回しになってきたのだと思います。
 
 次に何で売り手優先になってきたのかを考えますと、これは日本の投信市場の生い立ちですけれども、多くの運用会社が大手金融機関の子会社であり、販売者と製造者の力関係が非常にアンバランスであるということだと思います。これは資本関係だけではなくて、商品面、役員構成等、を見ても、親会社である大手金融機関が優位にあるということだと思います。販売会社が売れる商品を作ってほしいと言ったら、いかに機動的に、売れる商品を提供するかが運用会社の腕の見せどころだったという、そういう時代が長く続いて、そういう関係が今も残っていると思います。
 
 本来、運用会社というのは、顧客にリターンを提供するのが存在意義です。ただただ顧客のことだけを考えて経営するのが本来のあり方。株主でも親会社でもなくて、顧客だけのほうを向いて経営しなければならない。そう考えると、この売り手優位の業界をどのように変えていくかは、運用会社の独立をどう担保していくのかというが問題になると思います。
 
 今も、大手の金融機関が運用会社の再編とか、あるいは運用子会社を作るという動きがありますけれども、本来のあり方からすると真逆の動きだという気がしないわけではありません。運用会社の独立性が担保できれば、例えば、優秀なファンドマネジャーが親会社の役員よりも給料を高くもらってはいけないとか、そんなナンセンスなこともなくなっていくのかなと思います。
 
 あと、販売優位という点から言いますと、問題はこの他にもありまして、例えば、テーマ型投信の乱立も、売りやすいものを作ってしまうからでしょう。売れなくなっても放置されたままのファンドが多いのも、フィーが入るからという面もあるかもしれませんが、販売会社が面倒くさがって、潰さないでくれ、そのままでいいよと、そういうケースも多々あると思います。
 
 それから、手数料が高どまりしてしまう1つの理由も、販売会社と運用会社の力関係が影響していると思います。手数料が高いことが全て悪いことだとは全然思いません。きちんとしたリターンを返せるなら全然問題ないと思いますが、日本の投信市場で1つ問題なのは、手数料が一体どんなサービスの対価なのかというところがいま一つわかりにくい。納得性が低いというのでしょうか。一応説明しているのかもしれないですけれども、透明性をさらに求めていくことも必要になってくるのかなと思います。
 
 ネガティブなことばっかり言ってきましたが、投資信託が、家計が資産形成をする上で非常に使いやすくて非常に重要な金融商品であることは間違いないと思います。資産形成が広く家計に浸透していくために、投信市場が健全に発展していくというのは絶対欠かせないことだと思います。現実に、もう毎月分配型ばかりを売っていては、この業界は縮小均衡していくという認識も業界の中で広まっていると思いますし、先ほどから、アクティブファンドについては、あまり良くない話が多いんですけれども、市場並みのリターンを求めるのではなく、市場並みのリスクを負わないようなファンドとか、そういういいものがリーマン危機以降、色々出ています。新しい前向きな動きも、この業界には出ていますので、そういう前向きな面はきちんと評価して、投信市場を発展させるようなことを応援していただきたいなと思います。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。
 
 神戸委員、いかがでしょうか、もし感想などがあれば。
 
【神戸委員】
 私もワーキング・グループでたくさん発言させていただき、報告書の内容に意見を反映していただいているので、こちらについては感想を一つだけ申し上げると、対象となる投信の本数が数十本、追加型投信の1%というのはかなり限定された本数になったなと思いました。ただ、先ほど永沢さんもおっしゃいましたけれども、これを契機として、逆に運用会社さん側で既存ファンドの中から条件をクリアしてきちんと育てていくべきファンドを見つけていただくなり、あるいは新しいファンドを開発していただくといった方向で議論していただき、商品ラインアップについても考え直すきっかけにしていただけるといいのではないかと思っています。
 
 そうしていくと、投資信託の本数がさらに増えてしまう可能性もないとは言えないのですが、いたずらに増えていかないようにするためにも、ある程度ファンドの合併が行われやすいような制度を考えておくべきかなと思います。運用会社同士の合併などが起こりますと、同種のファンドを多数抱えることになり、先ほどお話があったように、管理するだけといったようなファンドが生まれがちになるということも考えられますので、それを避けるためにも、システム上の問題等もあるのでしょうが、ファンドの合併を行いやすくするための後押しがあれば、整理が進みやすいのではないかと思いますので、金融庁さんのほうで検討していただきたいと思います。
 
 一方、ご説明資料では、売られているものの大半が毎月分配型ファンドであるという状況が再確認できたことになると思うのですが、私自身は、毎月分配型というのが必ずしも悪いものだとは思っていません。もちろん資産形成には向きませんが、個人年金代わりに利用するニーズが間違いなくあると思っています。増やすためではなく、受け取るための商品であるということを、きちんと販売する側が明示した上で提供するのであれば、リタイア層がお金を持っており、その層が今後も増えていくことを考えれば、日本において毎月分配型ファンドが売れ筋商品の一つであり続けるのは別におかしくはないと思います。ただ、資産形成に不向きなはずなのに、実際にはこの資料の11ページを見ますと、地方銀行では積立投信における毎月分配型ファンドの比率が50%を超えるというのはいかがなものかと感じざるをえません。この辺りは、再度きちんと販売側に考えていただく必要が非常に大きいと思っております。
 
 今回、対象となるものをノーロードの投信だけに限定したことで、販売手数料がかかる投信にはあまりいいイメージがないということにもなってしまいかねないのですが、実際の販売の現場では、投資信託というのは、販売努力が必要な商品であり続けると考えられます。株式は、ぶら下げておくだけでも、マーケットがよくなると勝手に売れていく商品といえますが、投資信託というのは、マーケットが良好でも、販売する側がまずアクションを起こして、顧客に対してアプローチしない限り売れにくい、あるいは売れない商品という性格の商品だと思います。そういう性格の商品だからこそ、販売会社が手数料を受取り、運用会社側は販売会社にさまざまなサポートを行うという仕組みになっているわけです。今回、ちょうど昨年来議論しておりましたフィデューシャリー・デューティーの定着に向けた取組み方法が明らかになりまして、今後、金融機関等が、きちんとこれを受け入れていくことで販売のしかたも変わっていくものと期待したいのですが、販売サイドの姿勢が変わるのと同時に生活者側の金融リテラシーもかなり向上しないと、ノーロードのものは販売努力が行われずに売れないということになってしまっても困りますので、販売手数料の位置づけや何の対価なのかということについてもう一度、販売を行う側も問い直していただきたいと思いました。
 
 以上です。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。
 
 植田先生、本日の締めの言葉を言っていただけませんでしょうか。
 
【植田委員】
 思いますのは、1つは投資信託のパフォーマンスにそんなに期待してはいけないということだと思うんですね。という点について、投資家あるいは消費者に対する教育、基本的なことですけれども、をもっとしないといけないということではないかと思います。広い意味の効率的市場仮説といいますか、あるいは、ちょっと言いかえれば、パッシブを持続的に凌駕するようなアクティブというのは、例外は別にして、基本的にはそんなあり得ない話というようなことを、もう少しきちんと教えていただいて、データ的にも、これも複数の方がおっしゃいましたが、米国でもアクティブなファンドがパッシブあるいはインデックスを、手数料控除後ではなかなか勝てないというのはずっと昔から分かっていることですので、この辺、まず基本的な認識を押さえておくのが必要なような気がします。皆さんに知ってもらうということですね。
 
 その上で、今日、資料をいただきましたような日米比較を見ますと、苦労しているアメリカと比べても、日本の投資信託のパフォーマンスは、色々な意味で残念ながら劣っているということだと思います。これも今、どなたかおっしゃいましたように、必ずしも投資信託の生産者側の問題だけではなくて、ここ20年くらい続いています、ほぼゼロ金利に近いフィクストインカムのリターン、それから、株の平均利回りも非常に低い。そして、さらに高齢化が進んでいるという中で、投資信託に対する需要側からも、日本の投信の特徴、海外REIT型とかハイ・イールド債、あるいは毎月分配型というものが特利を得ている面が出てきているような気がいたします。
 
 ただ、それにしても、日本のアセットマネジメント業界のパフォーマンスが悪いということは疑いようのない事実であるように思いますので、これも複数の方がおっしゃいましたが、その業界の構造にもう少しメスを入れる。この会議の直接の目的ではないんだと思いますが、例えば、最後の15ページの投資信託でも、米国でものすごく売れているようなものとほぼ同じものが日本で売れていて、もっと買われていても不思議はないわけですが、その障害は何なのか。1つは消費者側の意識だとは思いますが、ということ。あるいは、投資信託のガバナンスの問題等を含めまして、検討の余地が色々あるように思いました。
 
 積立NISAには、以上のような観点からしますと、パッシブなインデックス型のものを多く入れるという方針でよろしいように思います。ただ、アクティブ型のものを多少入れる方向でいくのかどうか、非常に悩ましいところだとは思いますが、もちろん全員がパッシブだったらマーケットは効率的にならないわけで、ただ、その上で、この積立NISAでアクティブをやってもらう必要も必ずしもないわけですが、今申し上げたような日本のこの業界の問題を考えますと、政策的なてこ入れという面も含めて、若干入れていただくのはおもしろい試みのように思います。
 
 ただ、その場合も、やはり効率的市場の話に戻りますと、過去によかったファンドが将来いいとは全然限らないわけですし、少額のファンドでまあまあのパフォーマンスを上げていたのが、脚光を浴びてたくさんお金が集まってくると、当然パフォーマンスは落ちるという方向に行きそうなわけですから、その辺、注意深く進めていただき、あるいは、事後のモニタリングをきちんとしていただくようなことが必要かなと思いました。
 
 以上です。
 
【神田座長】
 どうもありがとうございました。あっと言う間に予定の時間が過ぎてしまいまして、色々置かれた状況とかもあるとは思うのですけれども、事務局の説明や皆様方のご意見を伺っていますと、この分野はちょっと心を入れかえる必要がある時期にあるような気がいたします。今回の積立NISA制度がそのきっかけになって、大きく変化することが期待されるような気がいたします。
 
 あっと言う間に時間が過ぎてしまいましたが、本日はこのあたりとさせていただきたいと思います。皆様方からは大変貴重で、また鋭いご意見を多数いただきまして、ありがとうございました。
 
 越智副大臣からご挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【越智内閣府副大臣】
 金融担当の副大臣をさせていただいています越智でございます。今日は国会対応がございまして遅参をしてしまいました。大変恐縮でございます。
 
 まず本日は、長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループの報告書を米澤委員からご報告をいただくとともに、我が国の投資信託の現状について、委員の皆様にご議論いただいたということだと思います。
 
 ワーキング・グループの座長をお務めいただきました米澤委員、また、メンバーを務めていただきました神戸委員、北澤委員をはじめ、各委員の皆様におかれましては、短い限られた時間の中で大変精力的に密度の濃いご議論をいただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
 
 金融庁としましては、報告書を踏まえまして、積立NISAの対象商品に関する告示を速やかに策定して公布をしたいと考えております。また、我が国の投資信託の現状については、報告書においても、「これまで、我が国の投資信託は、組成・販売などを行う『生産者側』の論理で提供されてきた面が強いが、積立NISAの導入を一つの契機として、『消費者側』、すなわち、『顧客本位』の目線に立ったものに変わっていく必要がある」とあります。先ほど、途中から参加させていただきましたが、先生方のご議論を聞きながら、さまざまなご指摘もございましたし、また、神田座長から心を入れかえる時期だというご発言もございましたけれども、この積立NISA導入が、貯蓄から資産形成に向けた一つの大きなモメンタムを作ることになることを期待していきたいと思っております。
 
 金融庁としましては、積立NISAの創設や家計に対する実践的な投資教育・情報提供などに加えまして、顧客本位の業務運営に関する原則の策定など、金融機関における顧客本位の業務運営の確立・定着に取り組んでいるところでございます。こうした取り組みを通じまして、家計の安定的な資産形成の実現とともに、我が国資本市場の発展を図っていきたいと考えております。皆様におかれましては、引き続きご支援をいただきますように心からお願いを申し上げます。本日は、本当にお忙しい中、貴重なお時間を使っていただきまして、ご参加いただいたことに心から感謝を申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
 
【神田座長】
 副大臣、どうもありがとうございました。
 
 それでは、以上で議事は全て終了でございます。
 
 最後に事務局からご連絡がありましたら、お願いします。
 
【武田政策監理官】
 今後の日程は、皆様のご都合を踏まえた上で、またご案内させていただきたいと思います。
 
 私からは以上でございます。
 
【神田座長】
 ありがとうございました。それでは、これにて散会いたします。どうもありがとうございました。
 

 以上

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局政策課(内線3710、2796)

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