金融仲介の改善に向けた検討会議(第6回)議事要旨及び配付資料

議事要旨

1.日時:

平成28年11月18日(金)9時30分~11時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

3.議題:

「金融仲介機能の質の向上に向けた施策」に関する今後の進め方について

4.議事内容:

事務局から、「平成28事務年度 金融行政方針」に掲げられた金融仲介機能の質の向上に向けた施策の内容及び今後の進め方について説明した後、以下のような議論が行われた。(○:メンバーの発言、●:当庁の発言)

  • 金融仲介の改善に向けた地域金融機関へのモニタリングにおいて、深度ある対話を行うことは賛成である。ただし、そのような対話を進めていくためには、まず、金融庁に金融機関から聞いたことを消化する能力が必要である。対話を深くしていくためには、金融機関から聞いた話の行間を推測するなど庁内でもしっかり議論するプロセスが必要であり、その力を蓄積するためには、経営を経験したことがある人や金融機関OBの採用も効果的と考える。

  • 加えて、他の業態でも良いので、ガバナンスの理想形を仮説として共有してから、対話に臨んだ方が良い。さらに、金融機関と多様な接点を持つとよい。例えば、金融機関職員との合宿を行って業務とは直接関係ないことを議論するなどして、お互いを理解する知見を蓄積していってはどうか。

  • 対話により金融機関に対し金融仲介の改善を促すためには、時間軸を縮める必要があり、金融庁が金融機関を上回る知見を有することが望ましく、金融庁の体制、方法論も含めて考え直さないといけないと思う。

  • 金融行政方針に掲げられている「金融仲介の質の向上に向けた深度ある対話」は、社外取締役にも求められている。コーポレートガバナンス・コードで社外取締役を最低二人入れるようになり、上場銀行の取締役会の運営は少し良くなってきているのではないかと思っている。社外取締役は長時間の取締役会に付き合えないため、細かい執行の話に時間を取られるのであれば、社外取締役でも分かるような経営の大きな話について議論するよう求めてきているし、少しずつそうなってきていると思う。

  • 次のステップとして、銀行が、5年後、10年後、どのように生き残っていくかについて踏み込んで議論していく必要があるが、社外取締役が経営の本質に切り込んだり、執行サイドからの回答に対して反論して議論を深めたりしているケースはまだまだ少ないと思う。執行サイドの説明に対し、「はい。分かりました」で終わらないよう、社外取締役の能力を向上させる必要がある。また、取締役会や経営会議では、強制的に時間を作って経営の話をする必要があると考えている。例えば、10年後、20年後の経営の姿や人材育成について、合宿するなどして徹底的に議論すべきだと思う。金融庁の対話においても、社外取締役と同様、聞く側の意識やレベルを相当程度上げていかないと、通り一遍の議論で終わってしまうリスクがある。

  • 金融機関の内部から取締役になる際に、取締役の責務について教育を受けていない人が多い。金融庁には、各金融機関に対して、取締役になる人をきちんと教育をしているのか、ヒアリングをして欲しい。

  • 金融機関の変革について、時間軸が遅いと感じている。金融機関の経営者の時間に対する意識を劇的に改善する必要がある。

  • ベンチマークの活用には事務負担がかかるという話を聞くが、金融機関の生産性が低いことも背景にある。仕事の仕方や労働効率の改善を考えないと、ストレスばかり抱え、一人ひとりの仕事の質が下がってしまう。ベンチマークの活用についてもうまく回るよう、対話においてアドバイスをする必要がある。

  • 先週、マイナス金利導入後初めての中間決算が公表されたため、銀行の開示資料をチェックしたところ、保有株式や債券の売却益を計上している銀行がかなりあった。純利益の7~8割が株の売却益の銀行もあった他、9割以上が債券の売却益になっている銀行もあった。また、有価証券の運用利回りは、通常1%前後だが、2%を超える銀行が7~8行あった。また、純利益の3割程度が、貸倒引当金の戻入れ益の銀行もあり、事業再生によるランクアップによるものであれば良いが、本業のリスクテイクをやめているのであれば完全な金融排除であり、地域金融機関の本来の役割を放棄している。まだ少ないが、「共通価値の創造」を目指し、事業性評価に基づいた顧客本位の持続可能なビジネスモデルを構築している銀行もあり、こうした銀行は、低金利下においても、貸出金利は概ね横ばいで下がっていない。

  • 金融機関との対話により、経営理念と現場のギャップを確認・検証していただき、仮説を構築し、金融仲介の改善に向けたモニタリングを進めて頂きたい。金融機関は対話を情緒的に進めることが多いため、数字をベースにした対話には慣れていない。その点において、ベンチマークを活用した対話は非常に重要と考える。ベンチマークには、当初、マスコミ報道に誤解があった。しかし、関係者の努力で、繰り返し説明され、今では、信用金庫などもベンチマークの趣旨を良く理解したと言っている。

  • 地銀では、経営理念と現場のギャップによって、やる気のある人材が失われつつある。早期退職者や内定辞退者が増えており、営業店の現場は厳しい状況にある。経営者はCS(顧客満足)ES(従業員満足)双方にきちんと取り組む必要があるが、ESに大きな問題があると、CSに結びつかない。金融機関との深度ある対話の中で、企業風土についても実態把握に組み込んで欲しい。

  • 地域金融機関には地域の特殊性や多様性があるので、対話にあたっては、同一地域の金融機関をまとめて行う方がよいと思う。

  • 公的資金を受け入れた金融機関の中には顧客との「共通価値の創造」に向けて成果が出ているケースがある一方で、公的資金を活用しても経営規律がうまく働いていないと思われる銀行もあり、その差は、経営トップのリーダーシップの差である。金融庁は、経営トップと深度ある対話を、しっかりと行っていただきたい。

  • 地域によって環境が異なるため、同一地域に所在する金融機関の役割分担に着眼すればよいと思う。金融機関は、経営の全体像について徹底的に議論すれば次のステップが見えてくる。しかしながら、取締役会が執行サイドの方針を追認するばかりで殆ど機能していない。地方銀行では銀行業務が分からない人が社外取締役となっていることが多いため、経営に関しての実効的な議論ができない。金融機関のヒアリングでは、取締役会でどのような議論が行われているのか、社外取締役から聞くと良く分かると思う。

  • 経営トップが長期的な観点からものを考えていても、営業店の現場では今期どうなるかという、短期的な収益を考えている。金融機関へのモニタリングにおいては、営業店の現場がどうなっているかを見て頂きたい。ただし、各営業店を同じようにみるのではなく、旗艦店のような大きな店がどのように行動しているのかを見ることが重要である。

  • 今の営業店では、預金集めもしないし、融資についても決算書をコンピュータがはじいて判断しており、特別なスキルを必要としないため、つまらない。銀行員はただの販売員になってしまっている。また、手数料収入を得るため、投信や生保を販売し、本来の銀行業とは異なることをやっている。それを元に戻そうという動きがあるが、経営トップが現場から理解を得られるか難しい面がある。

  • 金融仲介の質の向上に向けた深度ある対話では、担当者がバラバラに聞くのではなく、持ち帰ったことを皆で検討し、同じ目線で見ていくことが必要である。

  • また、銀行は、まだまだ事務コスト、人件費・店舗等のコストが高すぎる。コストを下げれば、色々なことに資金を回せる。店舗も人も含めて縮小均衡になるかもしれないが、思い切った転換が必要である。

  • 事業性評価を重視する以外のビジネスモデルについて、積極的な代替案を提起している銀行はあるのか。事業性評価ができない理由は、銀行に対する規制が多いことによるものなのか、それとも能力的にできないのか、銀行が不満を抱えて変革に踏み出せない理由について、聞いていることがあれば、教えて欲しい。

  • 人事評価について、金融機関の職員向けにWebアンケートを実施したところ、今でも「減点主義」と感じている人が多かった。おそらく、経営トップは、減点主義で厳しくペナルティを課している認識はないと思うし、実際の仕組みも、加点主義を奨励するようなルールが既にあると思う。しかし、営業現場が減点主義だと思っていれば、行動もそうした認識を反映したままになってしまう。

  • 金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築は、本来は、金融庁ではなく、取締役会や理事会等が行うべきであり、最終的には、取締役会・理事会と社外役員が機能する仕組みに移行していくべきである。社外役員については、その数と企業パフォーマンスは関係がないという研究も沢山あり、リーマンショックの前のアメリカの銀行では、アクセルを踏む社外役員が多く、その後の銀行のパフォーマンスが悪かったという実証研究もある。社外役員にどういう役割を期待しているのかを聞くことは、取締役会の性格付けとして良いと思う。

  • 都道府県や市町村の経済産業政策を担当する職員にアンケート調査を実施し、地域金融機関が顧客本位でない理由を聞いたところ、金融庁の姿勢にも問題があるとの回答があったが、以前の金融行政のイメージが残っているようなので、金融庁の方針が変わっていることについて、もっと広報する必要がある。

  • 金融機関の職員へのアンケートで「やりがい」について聞いたところ、都道府県の商工労政担当の職員や弁護士・公認会計士等と比べて、相対的にやりがいが低いことがわかった。しかしながら、銀行の中でも、人事評価で事業性評価を勘案している銀行では、やりがいが高い結果になっており、単なる販売員と異なり、顧客に寄り添って支援する仕事は、面白くやりがいがある仕事と思ってもらえるので、顧客本位のビジネスを進めていくことは持続可能なビジネスモデルだと考えている。

  • 金融庁の金融仲介の質の向上に向けた深度ある対話により金融機関に対し経営改善を促していくという取組みには、時間軸に懸念がある。地銀は、今、「預金、店舗、人員」と3つの過剰を抱えている。15年前には事業会社にも同じような過剰があり、それを産業再生機構で一気に解決していった。地銀業界、あるいは、金融業界全体は、15年前の産業界と同じような問題を抱えており、想像以上の早いスピードで顕在化してきているのではないか。金融庁全体として、これをどういう位置づけで取り組んでいくのかということをしっかり整理した上で取り組む必要がある。

  • 深度ある対話についても、金融機関側に対話のインセンティブを持ってもらう必要がある。例えば、金融機関の3つの過剰を解決するために、行政として何かできないかを併せてヒアリングすること等が考えられる。金融機関の不採算店舗の統廃合は、地元から反対が起きるので難しい。例えば、ゆうちょとの協力関係において、利便性を損なわない形で店舗を統合していく方法はないのか。金融機関が金融業を離れてサービス業に転換する際の法律・規制上の問題について解決するための対話をしてはどうか。

  • 銀行の顧客が求めるものはお金ではなく、人や知恵である。こうしたものを提供できる業態に転換できるかが問われている。こうした転換には時間とコストがかかるとの前提で、金融庁としてこの取組みに臨む必要がある。

  • 今後の金融行政は、金融機関の不十分なところを指摘するのではなく、金融機関と金融庁がお互いに価値を高め合っていくことが重要である。金融庁において、モニタリングを担当する陣容を固定化し、じっくり時間をかけてモニタリングをしないと、地域を活性化することはできない。

  • 右肩上がりの成長を追い求めている地域銀行からいくら話を聞いても噛み合わない。金融庁の役割は、不都合な将来をいかに金融機関と共有できるかにかかっている。一回の対話で共有できるとは思えないので、何年も同じことを言い続けることが必要である。

  • 事業性評価を重視する以外のビジネスモデルについて、金融機関からは、不動産向けオペレーティングリース業務等の新しい業務を扱いたいとの要望があると認識している。また、リレバン、事業性評価については、コストがかかるため、なかなか出来ないとの声が多い。

  • ビジネスモデルの変革に踏み出せない理由について、金融機関からの声を大別すると、主に3つに分類できる。一つ目は、事務負担が非常に大きいということ。下位業態で特にそうした声を聞く。二つ目は、目指すべき方向性は分かるが、経営上の余裕がないということ。三つ目は、事業環境に対する不満の声であり、マイナス金利や金利競争を何とかして欲しいという声が多い。また、経営支援サービスを有料化して収益源にしたいとの声もよく聞く。

  • 担保・保証に依存した融資姿勢が変わらないのは、担保や保証の水準が高いことにより、金融機関がモニタリングを十分にやらなくなるという「怠け者銀行(Lazy Bank)仮説」に陥っている可能性がある。したがって、この状態を解きほぐす必要がある。金融行政方針には、この点を記載しており、非常に評価している。

  • 同一地域で対話を行う場合は、単に行政単位で見るのではなく、県境を越えた経済圏単位で見ることも必要である。また、時間・コストの観点からも、持続可能な形で展開して頂きたい。金融機関は未だに顧客でなく、金融庁の方を向いていて、それをより顧客に向き合うよう変える必要がある。

  • 金利低下や人口減少により、利鞘縮小を融資拡大でカバーするという従来型の経営が難しくなると考えられるが、金融機関の中には、楽観的に経営を考えているところがある。

  • 金融行政の時間軸については、問題意識を共有しており、当庁としては、サステナブルなビジネスモデルになっておらず、将来、健全性に問題が出てくるおそれのある一部の地銀・第二地銀の変革が課題と考えている。REVICのようなところに、そうした金融機関の経営改善指導などの支援ができる機能があると良いと考えている。

最後に、本日の議論を踏まえた越智内閣府副大臣の挨拶

  • 金融庁は、金融処分庁から金融育成庁へ転換しており、金融機関の経営陣には理解が大分浸透したが、現場はこれからと聞いている。金融庁が変わって、金融機関の現場までその考えをしっかり伝えていくことが私の使命と思っている。政務官を拝命していた時と比べると、金融庁は相当変わったと思うので、PRしていかなければいけないと感じた。

  • 金融が成長戦略の中に明確に位置づけられており、企業や地域の活性化に向けて、金融機関の役割や金融庁の責務は大きいものと感じている。

  • アベノミクスで20年ぶりにデフレを脱却しようとしている一方で、人口減少という構造的な問題が起こっており、客観的指標である金融仲介機能のベンチマークも活用しながら、この新しいモニタリング・対話を適切にやっていく必要があると考えている。

  • 顧客との共通価値の創造の構築が唯一のビジネスモデルかという質問があったが、オルタナティブを主張する金融機関があれば、よく見てしっかりと受け止めて、それも伸ばしていくことを考えなければいけないと感じた。

  • 他の会議でも、稼ぐ力というところで、なぜ日本は商品やサービスの価値を価格に反映できないのかという議論をしているが、過当競争で金利が取れないという金融機関の現状も共通する課題と認識した。

最後に、本日の議論を踏まえた武村内閣府大臣政務官の挨拶

  • 本日は極めて有益なご議論をいただき、今後モニタリング・対話を行っていく上で、実務的に反映すべき点が多かったと思う。

  • 時間軸という話があったが、金融庁が変わっていく時にも時間軸を意識していかなければいけないと感じた。地元の商工会等の方とお話しすると、金融庁に対する期待の大きさを感じており、引き続き、こうした有益な意見を頂戴したいと思う。

以上

配付資料

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金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局 地域金融企画室

(内線2246、2247)

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