第5回証券会社の市場仲介機能等に関する懇談会議事要旨

1.日時:

平成18年5月17日(水曜日)14時00分~15時25分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館4階 共用第二特別会議室

3.議題:

投資家に対する証券会社のチェック機能の発揮について

市場プレイヤーとしての証券会社の自己規律の維持について

4.議事内容:

  • 「投資家に対する証券会社のチェック機能の発揮について(論点整理)」を事務局より報告、追加的な意見交換。
  • 「市場プレイヤーとしての証券会社の自己規律の維持について」を事務局より説明、意見交換。

主な意見は以下のとおり

【投資家に対する証券会社のチェック機能の発揮について】

相場操縦関係

証券業協会における取引停止顧客等の情報の集約について

  • 情報の流れの効率性という技術的な観点では、証券業協会を監督当局の下請けにして情報の流れにワンクッション置くよりは、証券会社が疑いのある取引を直接に監督当局へ報告する方が、効率的であり適切ではないか。

  • 情報の集約化を行っても、不公正な取引を行った顧客による証券会社の渡り歩きを防止するためには証券会社がその情報を得て売買審査等に活用できるようにしなければ意味がなく、当局に集約された情報に証券会社がアクセスするという仕組みができればよいが、そうでなければ実効性のないものになってしまうのではないか。

  • 当局が情報センターとなって、各証券会社に情報を提供するということが可能なのかは疑問。

  • 監督当局と自主規制機関の住み分けという観点では、会員の行為を会員の組織で自主的に規制するというのが自主規制機関であると定義すると、会員ではない投資家の行為を法的な権限を以って取り締まるのは、あくまで捜査権と強制権を持つ監督当局であるべきで、また情報もそこに集中されるべき。監督当局の専管分野に、自主規制機関が関わることに対しては、慎重であるべき。

  • 証券業協会・証券会社間で情報を共有するという仕組み自体が抑止力を持つと期待できるので、それはそれで進めれば良いと考える。但し、さらに踏込んで法的な権限を持った取組みとなると何らかの新たな法的な建てつけを考える必要もあり、また、当局が事前規制の強化に乗り出すとなるとコストもかかるので、法的な権限による規制については慎重に検討すべき。

  • 監督当局と自主規制機関の住み分けについては、免許制から登録制への移行等を伴った金融ビックバンにより証券会社の管理のあり方が大きく変わった中で、その後の監督当局、自主規制団体である証券業協会、取引所の役割分担が明確にされてきていないという問題もあるのではないか。捜査権等を持たない証券業協会ができる規制には限界があり、当局は、自ら規制する部分、証券業協会等に任せる部分を明確に線引きすべきでないか。

  • 情報の集約化により「自ら情報を収集しなくとも誰かが情報を集めてくれる」といった考えが業界に蔓延することを事前に防ぐ必要。

  • 監視当局、取引所などからの取引調査のために各証券会社が提供する取引データの電子化とその様式の標準化、加えてWANの構築を含むデータのデリバリーの効率化は、積極的に推進すべき。

不公正取引を行った顧客への対応について

  • 不公正取引の未然防止のため、一度不公正な取引を行った顧客等に対して証券業界としてどう対応するのかについての検討も必要になってくるのではないか。

  • 見せ玉等の不公正取引には証券会社の対応のみでは限界があり、課徴金等も視野に入れて検討すべき。

インサイダー取引関係

取引所における内部者情報のデータベース化と証券会社による利用について

  • 監督権限を持つ取引所が中心となって内部者登録のデータベースを整備することは、資本市場を活用する発行会社、上場企業を含めた関係者の、資本市場の透明性向上に資する前向きの試みとして評価される。

  • 現状でも有価証券報告書等で役員の氏名、生年月日等の公表データがあるが、そのような既にある情報を業界としてどのように利用しているのか、さらに、現在のデータの収集ではどういう点が不備なのか、あるいは内部者登録の範囲拡大について、経理担当、企画担当まで対象を拡大しなければ防げない問題事例を示す等その必要性をまず明確にした上で考えるべき。

  • 上場会社においては現在もそれぞれの社内で細かなルールを設けて総務部門等で管理し、インサイダー取引防止に真剣に取組んでいるところであるが、さらなるコストが見込まれるので、上場会社の代表を交えた別途の会合で今後十分検討していく必要。

  • 上場企業の負担の最小化には意を用いるべき。ガイドラインを作って、その中で、登録対象を限定的に例示することも考えられる。例えば、届出の対象となる個人を、役員に加えて、企画部門、経理部門に働く人間とするなどのように、企業にも判りやすい親切な形で提示すればメリットも出てくるのではないか。

  • 上場会社の負担が過重にならないよう、また届出する個人関係情報の範囲の限定、取り扱いの安全確保等関係者の理解を得られやすいよう配慮することが大前提なので、検討過程においては、証券業協会等の証券関係団体に加え、上場会社の代表者も参加した上で十分に検討を行う必要。

  • ファイナンスの内定後、内部者情報保持者の不注意な行為で、ファイナンスの最終意思決定がコンプライアンス上不可能になり、中止ないしは、仕切り直しに追い込まれるケースがあるが、上場会社において、内部情報の保持者の把握と管理を行うためのガイドラインが確立され、一般的な社内注意喚起がなされれば、そこに上場会社のメリットも生ずるのではないか。

  • 株取引を行わないから自分の情報を取引所に提供してくれるなという個人への対応などかなり掘り下げた法的問題も議論していく必要。

プレ・ヒアリングによるインサイダー取引誘発の防止について

  • プレ・ヒアリングの過程で発行情報を外部に伝達することに関して、事後検証が可能な証跡の保存を含む手続規程を、協会の自主規制・規則で基準を設け整備するということは基本的には賛成。何等かの形でプロセスの標準化がなされることは、必要。

  • プレ・ヒアリングは、日本国内ではなく、ユーロ市場等のオフショア市場で行われるケースが主で、クロス・ボーダー取引が主であり、日本の自主規制機関によるガイドラインだけで十分にその実効性を担保することは難しい場合がある。

  • しりぬけなしに、日系・外資証券の何れに対しても公平かつ厳正に規制が行き渡る必要があるので、自主規制レベルでのガイドライン策定に加え、法令レベルの枠組みでの対応と国際的な規制当局間の協力体制の確立が必要。

顧客の本人確認及び原始委託者の把握

求めに応じて顧客情報の提供をする体制のない外国の証券会社からの受託制限について

  • 国内証券会社が直接注文を受けた外国の相手方のみに顧客情報の提供を求めても原始委託者の把握可能性は低いと考えられ、規制当局間の連携強化が最も有効と考えられる。

その他

反社会的勢力の排除について

  • 反社会的勢力に関する情報集約・共有も重要であり、そのための方策として、証券業協会が信頼性ある調査会社と提携し、証券会社からの問い合わせに応じるといった仕組みの構築も検討すべき。

日本証券業協会コメント

  • ご指摘をうけた論点については、ワーキングの立ち上げ等どういう仕組みで検討していくかよく整理し、取引所等とも協議、調整を行ったうえで然るべき対応を行って行きたい。

  • 投資事業組合やSPCからの受託については、その受益者や構成員等に関する情報を当局等からの求めに応じて提供することを条件とすることについて検討を要請してはどうか、との論点(資料P4)は、自主規制の限界ということも考えると相当難しい問題であると考えられる。

【市場プレイヤーとしての証券会社の自己規律の維持について】

証券会社内部における利益相反防止

利益相反を防止する社内体制について

  • 各種業務間の利益相反の防止は重要。欧米の投資銀行では、コンフリクト・チェックとコンフリクト・マネジメントが業務プロセスとして確立しており、日本でもかかる業務プロセスが証券業界全体に広がることが期待される。

  • 欧米においてはコンフリクト・チェックは投資銀行の内部で行われている場合が多いと理解するので、必ずしも別組織によるチェックに限定する必要はない。大切なのは、適切な事前審査・検証というプロセスの確立であり、その意味で、証券業協会に、自主規制の是非及びそのあり方につき検討を依頼することには賛成。

  • 証券会社の自己規律としては、直接的、派生的に他の投資家に不利益をもたらす可能性がないということを厳しく検証し、管理する規律の維持が重要。

  • 利益相反の問題は証券界だけの問題だけではなく、証券会社以外の他の業態でも同様の問題が生じていると考えられ、証券業協会以外でも同様の検討が行われることが望まれる。

各証券会社において適切な審査・検証を行うべきと考えられる取引類型について

  • 以下のような取引類型が考えられるのではないか。

    • (1)貸し手の立場と株主の立場との利益相反

      同一の取引で貸し手側のアドバイザーとなりつつ、関連会社などの別働隊が株主側のアドバイザーになるような場合は、利益相反と見られる可能性が高く、説明責任が増すものと思われる。市場の健全性担保という観点から、金融コングロマリット規制でも注意を払うべき。

    • (2)売り手へのアドバイザーとしての立場と自己投資部門との利益相反

      この場合、よりコンフリクト・チェックとコンフリクト・マネジメントのプロセスの重要性が高くなる。コンフリクト・マネジメントの方法としては、当事者に適切に開示した上で、同意を得るという方法等が考えられる。

    • (3)銀行貸付と引受との利益相反

      タイイングと言われる銀行貸付と引受などのパッケージングは、自らが所有する信用リスクを投資家に転嫁するという意味で、利益相反がありうるが、利益相反という問題だけでなく優越的な地位を利用する独占禁止法上の問題もありうる。

    • (4)証券会社の自己投資部門による上場前の未公開株式取得と引受・公開時審査

      主幹事証券会社の自己投資部門による上場前の未公開株式取得は、一般的に行われており、それ自体に問題があるとは思えない。しかし、主幹事が自分の持ち玉を売り出しに回すことには、利益相反がありえるので、独立した第三者たる証券会社(Independent Underwriter)を引受のプロセスに参加させることにより、プライシング・手続きの公正性の担保を図る必要。

    • (5)投資銀行部門職員による自己投資先企業の取締役兼務

      自己投資部門職員による兼務は問題ないが、投資銀行部門職員による自己投資先企業の取締役兼務はハードルが高くなる。インサイダー情報や競争上の機密に触れたりするなどのことがあれば、利益相反の問題が生じる。コンフリクト・マネジメント上、かなり高度なハードルがあることを理解して行動する必要。

  • 自己投資業務と投資銀行業務間の利益相反については、特に企業再生を行う場合等、リスクの取り手が限定されることから、企業が投資銀行部門のアドバイスとあわせて自己投資部門に出資等を求めるケースがある。情報ウォールの厳密な管理等適切な審査は必要だが、自己投資部門と投資銀行部門の共同作業により顧客企業とその投資家の利益につながることもあり、一概に利益相反になるものとはいえない。

利益相反を防止するためのルール整備について

  • 一つの証券会社がディーリング、ブローカレッジ等複数の証券業務を行うことを認める場合は、利益相反の観点からおかしな点を規制する必要があるが、現行の法令では利益相反を念頭に置いた規定としては証券取引法第42条第1項第8号がある程度で、十分とはいえないので、今後自主規制を含めた利益相反防止についてのルール整備を検討すべき。

自己売買と委託売買(投資家)間の利益相反

証券会社と個人投資家間の情報の非対称性について

  • 現在、東証の板情報は個人投資家が上下5本値しか見られないのに対し、証券会社は全部見られるという情報の非対称性がある。個人投資家の中にはより多くの板情報を得るために見せ玉を出す例もみられ、これが注文件数のボリュームアップにつながり、市場停止のリスクの要因のひとつになっている。このように自己売買と委託売買間の情報の非対称性が市場停止のリスクを招いている現状にあって、市場停止を回避するための緊急対応としてどちらの売買を優先的に扱うか、「委託売買優先」という考え方があるが、その場合自己売買をどう扱うかといったことを検討すべき。

証券会社ディーラーによる自己規律の維持について

  • 証券会社のディーラーによる法令違反等の問題が生じている中で、ディーラーの知識不足によるものが散見される。一方、ディーラーに対する教育機会が少ないと考えられるので、各社自ら取組む他に証券業協会がオーソライズされた定期的な研修を設け受講を義務付けることや、ライセンスの付与といったことを検討すべき。

  • 顧客について議論されているのと同様、不公正取引を行ったディーラーについても市場からの退場を求めることが必要。歩合あるいは契約ディーラーによる証券会社の渡り歩きのようなことも防ぐよう各社考慮すべき。

行き過ぎた自己売買への対応について

  • 証券会社の自己売買比率が委託売買より遥かに高い証券会社があるが、顧客からすれば、こうした証券会社もブローカレッジに主を置く証券会社も同じ証券会社として自らの利益のためのアドバイスをしてくれる存在として接することを考えると、自己売買中心で顧客の利益より自己の利益を追い求めることを経営の主眼とするような証券会社がこれからの投資を担う立場として顧客と接していいのか疑問であり、何らかの歯止めがあってもよいのではないか。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
監督局証券課市場機能支援室
(内線3379,3312,3314)本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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