第2回金融モニタリング有識者会議議事要旨

  • 1.日時平成28年9月30日(金)10時00分~12時00分

  • 2.場所中央合同庁舎第7号館9階 共用会議室3

  • 3.議事内容

事務局による資料説明に続いて、以下のような議論が行われた。(資料及び議論のポイントは、資料等として別掲)

  • 市場経済の中で金融行政の果たすべき役割について、「市場の失敗」等の総計をできるだけ小さくし、市場の機能を最大限発揮させるとの事務局の説明を踏まえ、メンバーからは、ビジネスモデルの変革やイノベーションなどは本来金融機関が市場で生き残るために当然なすべきことであり、当局は、顧客や株式市場のチェックが機能していないときに適切に機能するよう修正するに止めれば、「当局の失敗」も防げるのではないかといった意見が出された。

  • 金融機関に対し、ビジネスモデルの持続可能性について問題提起し、対話していくことは時宜に適っているとの意見があった。また、当局がビジネスモデルの議論に踏み込むことは現下の環境からみて止むを得ないとしても、金融機関にビジネスモデルを押し付けるようなことは避けるべきであり、対話に当たっては十分そのリスクに注意しながら取り組む必要がある、といった意見が出された。

  • 検査・監督における「最低基準の充足の遵守状況のチェック」、「個別の状況に応じた動的な監督」、「ベストプラクティスに向けた対話」それぞれのアプローチの特性やリスク、課題等については、事務局の説明にメンバーから概ね支持があった。

  • 「ベストプラクティスに向けた対話」のあり方に関しては、メンバーから以下のような意見が出された。

    • 金融機関が、顧客や市場からどういう金融機関として認識されたいのか自ら考えて顧客や株主へ説明していくことが重要であり、当局は金融機関がその説明どおりに行動しているかを見ていくのがよいのではないか。
    • 地域金融機関は、経営理念では顧客・地域のためと言いながら、実態では顧客の利益を重視せず自身の健全性やサステナビリティーを維持しているケースが多い。顧客本位という経営理念を掲げている地域金融機関のビジネスモデルを経営理念どおりに戻すことが必要である。
    • 金融機関が前向きのリスクテイクを行っていくには、当局が金融機関の多様性を認めるとともに、プロセスをしっかり評価し、当局は、プロセスに問題がなければある程度の失敗は許容することが大事。当局が結果しか評価しなければ、金融機関はリスク回避的になってしまう。
    • ベストプラクティスに向けた経営努力が行われない背景には、規制や金融検査マニュアルによるビジネスモデルの自由度の制約や、金融庁の方針に沿っていれば問題が起きても助けて貰えるというモラルハザードもあるのではないか。前者には、規制の簡素化、金融検査マニュアルのプリンシプル化、引き当て等のルールを経済合理的なものにすること等が有効であるし、後者には、セーフティネットの見直し、リカバリープラン等の作成義務付け、市場規律によるガバナンス強化などの対応が有効ではないか。
  • 「ベストプラクティスに向けた対話」の要素の一つである、様々なステークホルダーとの対話に関しては、多くのメンバーから、企業・家計に加えて株主、社外取締役、機関投資家等も重要なステークホルダーであり、金融機関はそうした者とも適切に対話も行っていくべきではないかとの意見が示された。

  • 「ベストプラクティスに向けた対話」の取り組みを進める上での留意点として、以下のような意見が示された。

    • 米国の検査官は、金融機関のあらゆる部署を広く自由に回ってインフォーマルな情報交換により情報を収集し、本部とも相談しながら、収集した情報をもとに主任検査官がCEOと1対1で話し合いを行う。CEOが気付いていない問題が明らかになることがある。こうしたやり方は、金融庁の対話の手法の参考となるのではないか。こうしたモニタリングを行っていくためには、従来以上に検査官に「質問力」の向上が求められると思う。また、金融機関との対話では、業績考課・目標設定・PDCAの回し方・人事考課等をしっかり把握して、金融機関のカルチャー自体を理解することがポイントとなる。
    • 欧米では、当局が顧客の情報や金融機関の意見を収集する際、第三者のベンダーを使って非公式に収集する手法もとられており、参考にできるのではないか。
    • ベストプラクティスに向けた対話では、金融機関の具体的な悩みを一つ一つ解きほぐしていくことが重要。例えば、地域金融機関が十分にリレーションシップバンキングに取り組めなかった背景には、マル1現実には収益基盤を確保した、余力のある金融機関でないと取り組みにくかった。マル2規制が業態別に行われているため、顧客目線のサービスを十分に提供できない。マル3中小企業に対して、本来金融機関の職員が経営者の片腕となってビジネスプランを検討することが期待されるが、職員の質がかつてより劣化している。マル4業務の中核となるべき支店の営業課長クラスでも非管理職として、労働規制による時間管理の対象とされていて、働きにくいといった悩みもある。
  • 金融仲介機能のベンチマークに関して、その趣旨が金融機関に対して必ずしも十分に伝わっておらず、理解の浅い金融機関を中心にベンチマークにある項目さえやればそれで良いという傾向があるのではないか、金融機関が顧客への情報提供としてベンチマークを位置づけることが大切であって、当局向けの数字作りにエネルギーを使うことがないようにしっかり伝える必要がある、といった意見が出された。

  • また、ベンチマーク以外でも、「ベストプラクティスに向けた対話」の手法に関して、金融機関の注意を当局の問題意識の所在ではなく利用者のほうに向けさせることが重要であり、そのための方策として、競争環境の整備が重要との意見が複数のメンバーから示された。

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