第3回金融モニタリング有識者会議議事要旨

  • 1.日時平成28年10月24日(月)15時00分~17時00分

  • 2.場所中央合同庁舎第7号館9階 共用会議室3

  • 3.議事内容

事務局による資料説明に続いて、以下のような議論が行われた。(資料及び議論のポイントは、資料等として別掲)

  • プルーデンス政策の基本的な考え方に関し、当庁がこれまで国際的な金融規制改革の議論の中で発信してきた、金融システムの安定と経済の持続的成長の両立の必要性や規制の複合的な影響の必要性等の考え方について、広く賛意が示された。

  • プルーデンス政策の課題とアプローチの変化について、メンバーから金融を巡る環境変化・課題の変化に伴い、金融機関共通の「最低基準の充足状況の確認」だけではなく、金融機関の状況に応じた個別の監督等を通じた、「持続的な健全性の確保」と「フォワードルッキングなリスクの把握と対応」を重視していく必要があるとの意見があった。

  • また、「持続的な健全性の確保」を確認していく上での基本要素として、ビジネスモデルの持続可能性を重視すること、収益・リスクテイク・資本の3者のバランスがとれているかどうかモニタリングしていく必要があること、更に健全性に影響を与え得るリスクをフォワードルッキングに特定しつつリスクが顕在化する前に金融機関が適切な対応をできる態勢となっているかを見ていく必要があるとの事務局説明について支持があった。

  • プルーデンス政策の手法のうち「持続的な健全性を確保するためのアプローチ」に関し、金融機関が将来的に最低基準に抵触する蓋然性を着眼点としてモニタリングをし、特に蓋然性の高い金融機関と改善に向けた監督・対話を行っていくべきということについて賛意が示された。その際、そうした蓋然性について当局と金融機関の間で見解が分かれる可能性が考えられるが、見解のギャップを埋めていくために当局と金融機関の間で合意した事項や、認識が一致しない事項、金融機関が検討することとなった事項等の対話の内容を、段階的に文章化し、金融機関と共有しておくことが有益ではないかとの意見が出された。

  • ビジネスモデルの持続可能性を巡る対話については、当局は問題点を指摘し、改善を要請するが、どのような解決策を選択するかは金融機関の判断を尊重していくことについて、概ね支持があった。また、これに関連して

    • ビジネスモデルは金融機関が株主と対話して改革していくべき。当局がみるのはビジネスモデルの持続可能性でありビジネスモデル自体に直接踏み込まないことへの理解を金融機関と金融庁内部に徹底することが大事。
    • どのようなビジネスモデルならば持続可能なのか当局自身が高い見識を持つ必要。
    • 監督のスコープを広げる分、規制強化の見直しや市場規律の強化を合わせて行い全体のバランスに配慮することや金融機関と丁寧にコミュニケーションをとって政策意図を理解してもらうこと等に留意する必要。
    • 当局としては従来よりかなり踏み込んだ検査・監督となるが、金融機関が収益・リスクテイク・資本のバランスを維持していくことが難しくなっている状況からすれば必要。

    といった意見が出された。

    金融庁からも、従来よりも難しい検査・監督になるので、当局の人材・能力・組織体制面に取り組むことが更に重要になるとの意見が示された。

  • 「フォワードルッキングなリスクの把握と対応のためのアプローチ」としてのマクロプルーデンス政策に関しては、「個別金融機関のミクロの動きと経済・市場全体のマクロの動きの相互作用を把握しつつ、金融セクター全体に内在するリスクをフォワードルッキングに把握し、個々の金融機関への働きかけ等を通じて金融システムの安定を確保していく」というアプローチについて、概ね支持があった。また、以下の意見が出された。

    • これまでも繰り返しバブルのような持続可能性の乏しいビジネスモデルが発生し、金融危機につながった。当局が金融機関の経営者よりも広い観点をもって、マクロ経済環境の変化にどう対応していく必要があるかを示唆していくことは重要。
    • 当局が過去の危機の分析を元に、リスクの種類やリスクの性格をよく把握してフォワードルッキングな分析力を高めていくことが大事。例えば、クレジットリスクは今非常に低いが、過去の危機の多くはクレジットリスクから来ている。
  • ストレステストに関しては、金融機関自らが実施するストレステストに対する検証を基本とすること、その上でストレステストを「フォワードルッキングなリスクの把握と対応」、「持続的な健全性の確保」、「金融システム全体への影響の把握」といった観点から活用するとの事務局説明に対し、異論はみられなかった。そのうえで、以下のような意見が出された。

    • 地域金融機関のストレステストは形骸化しており、金融機関の経営に適切に活用されていない。金融機関のリスク管理・経営管理に結びつくストレステストを行い、その結果を対話の材料にしていくことが重要。
    • ストレスシナリオは金融機関自身が適切に選択できればよいが、より広い視野を持つ当局が、金融機関が考慮に入れていなかったシナリオを示唆していくことは必要であり、金融機関にとっても有益。
    • 欧米のリスクガバナンスでは、組織や枠組み以上にリスクマネージャー個人の能力・経験が重視されている。これに対し、国内の金融機関のリスクマネージャーはローテーション人事のため能力や経験が欠落しがちであることには留意しておく必要。

(以 上)

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