偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ(第13回)
議論の概要

1.日時

平成17年5月10日(火)18時00分~20時20分

2.場所

中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

3.議論の概要

○ これまでの議論を踏まえ、第二次中間取りまとめに向けた議論が行われた。その概要は以下のとおり。

  • 盗難キャッシュカード被害に関する補償を考える場合に、紛失をどのように扱うか、また、盗難以外の不正な取得による無権限取引をどこまで含めるかについては整理が必要。現実問題として、すりにあった場合などは当事者においても盗難にあったのか、紛失したのかが分からないケースも考えられ、両者を明確に区別することは難しいと思われる。したがって、両者を別々に考えるのではなく、紛失の場合は紛失者の落ち度を帰責性の部分でカウントする方式をとれば良いのではないか。

  • 盗難キャッシュカード被害を防止するための金融機関の責務としては、認証システムとしての暗証番号の改善や異常取引の検知と排除のためのシステム開発以外にも、被害の拡大を抑止するための引出限度額の設定に関する工夫も挙げられるのではないか。

  • これまでの判例に鑑みると、業界内では、銀行が無過失の場合に盗難キャッシュカードによる被害の補償に応じることは極めて困難との意見が多数。預金者及び銀行の双方が無過失の場合に金融機関が損害を全額負担することについては、少なくとも明確な根拠が必要。

  • また、被害の偽装については、銀行には捜査権限がなく、顧客の申し出をそのまま受け入れざるを得ないため、銀行として防御する術がないというのが現状。特に懸念されるのが組織的犯罪による被害の偽装であり、今回定める損失負担ルールが犯罪者集団に収益源を与えるような新たな社会問題を生み出すことは避けなければならない。

  • さらに、カードと暗証番号の管理は預金者が行うものであり、カードの盗難や暗証番号の盗用に遭われた事情は、一般的には預金者にしか分からない。したがって、預金者の無過失については預金者において立証すべき。なお、マスコミ報道も含め、暗証番号に関する注意喚起は広く社会に周知徹底されていることに鑑み、預金者に暗証番号の設定に関して注意してもらうためにも、暗証番号を生年月日としていることについては重過失と位置づけるべき。少なくとも、暗証番号を容易に推認し得る資料と同時に盗難に遭われた場合には、全額預金者の負担とすることには合理性がある。

  • 仮に一定のルールにより金融機関が補償を行うとした場合には、被害の偽装の回避という観点からも、ATMにおける引出限度額の引き下げが必要。その場合、預金者の利便性は低下するが、その点は預金者にも理解していただきたい。なお、顧客の選択により引出限度額を引き上げることが可能となる商品について銀行業界として検討していきたいと考えてはいるが、顧客により引き上げられた部分については、モラルハザード防止の観点からも顧客の自己リスクとすべき。

  • 被害の偽装について銀行では見抜けないとのことであるが、そもそも偽装を見抜けない手段で高額な取引を行っていること自体問題ではないか。

  • 過去の判例をみると、少なくとも、暗証番号に生年月日を使用したことのみをもって預金者が補償を受けられないとしたものはない。

  • 預金者及び金融機関の双方における過失・無過失の立証については、何をもって過失と考えるのかがポイント。紛失の場合、紛失であるということが明らかであれば、預金者の過失の度合いを強め、負担割合を考えていくのが適切ではないか。

  • 地震の場合について、戦争の場合と同様にこの補償ルールの対象外とする案となっているが、これは果たして妥当か。

  • 警察署への被害届を補償の前提条件とすることについては、被害の偽装防止の観点から有効とのことであるが、そもそも被害届は捜査の端緒の一つであり被害が確定するわけではない。また、警察には行きたがらない人もいる中で、強制的に行かせることとするのはいかがか。被害の偽装を行おうとする者は、届出等の形式的な部分は苦にしないのではないか。

  • 損害保険におけるモラルハザード対策として、実際に警察への届出が義務付けられており、現在、金融機関が加入しているキャッシュカード盗難保険においても同様の対策が採られている。

  • 警察への被害届について、盗難にあった預金者が届出を行ったことを金融機関が確認できる仕組みを作る必要がある。

  • 警察に被害届を出した場合に、受理証明書のようなものを交付してもらえるのか。

  • 現行では、所得税の控除(雑損控除)に用いるといった場合に限って証明を出しているのが実態。

  • 補償制度を作った場合の被害の偽装を盛んに懸念する意見があるが、新たな制度を作った場合、これが犯罪として利用されるおそれがあるか否かは、制度を利用する国民に対する見方を反映したものであり、実際に起きるか否かは予測できない。

  • 被害の偽装を議論する前提として、偽装が補償金詐欺というまぎれもない犯罪であること、しかも、本人確認が徹底された預貯金口座を通じて行われるという意味で犯人の捕捉が比較的容易であること、さらに、被害の偽装を行うには、一時的にせよ、一定の預貯金が存在したことが必要であり、かつ、その同額を補償金として騙し取るという性質上、預貯金相当額が利得の上限であるといった点が挙げられる。これらを踏まえて被害の偽装が起こるかどうか考えるべき。

  • 補償対象期間について、預金者のモラルハザード防止の観点から、金融機関への届出時の48時間前以降の損害を対象としてはどうかとの考え方については、長期出張の場合等被害の発生に気付くのが遅れたケースなどは、実情を勘案する必要もあるのではないか。また、これの前提として、預金者において速やかに通知ができるよう、金融機関において連絡先を預金者に周知徹底する必要がある。

  • 補償対象期間の48時間というのはいささか短いとの印象。国民1人あたり4枚~5枚のキャッシュカードを保有していると聞いたことがあるが、普段使用しないカードが空き巣により盗まれても、なかなか気付かないこともあり得る。

  • 48時間の根拠としては、一部金融機関によるサンプリング調査結果(不正払出しから預金者の金融機関への届出までの時間は48時間以内が8割強)のほか、米国の50ドルルールにおける取扱い(盗難・紛失に気付いた後2営業日以内に通知した場合、預金者の負担は50ドル)等であると思われるが、現在検討している損失負担ルールにおける預金者の負担は原則50%と、米国の50ドルルールより預金者の負担が大きくなるケースが大半。その点を考えると、48時間というのは預金者に酷ではないか。

  • 盗難の場合は偽造の場合と異なり、一般的には、喪失に気が付いた正当な権利者の早期対応により被害額を極小化することが可能であり、現在検討している損失負担ルールにおいても、金融機関への速やかな届出を前提条件としているところ。48時間を補償対象期間の案として挙げているのは、一部金融機関による限られたサンプリング調査ではあるが、不正払出しが行われてから48時間以内にほとんどの預金者が自らきちんと対応しているという結果を踏まえ、自らきちんと対応している預金者を補償の対象にするという発想。やむを得ない特別な事情がある場合には、個別の事情に配慮する必要はある。

  • また、銀行実務の観点から考えても、あまりにも日数の経過した事案については窓口での対応が混乱することから、時間を区切る必要はある。

  • 現在検討している損失負担ルールにおける補償対象期間は、仏型に近く、預金者に盗難の事実に気付く義務を課しているものと考えられ、米国型とは異なる。

  • 仏型より預金者に厳しいとの印象。諸外国をみると、ステートメント方式を採用していることもあって、「気付いてから何日以内」としている例が多い。一方、我が国の場合、通帳方式を採っていることから、不正払出しに気付くのが遅くなりがち。

  • サンプリング調査の結果を踏まえれば、顧客にカード管理の徹底を促す意味においても48時間には妥当性がある。

  • 実際にはATMの引出限度額とも連動して考える必要があるのではないか。引出限度額が低いのであれば48時間というのも妥当性がある。

  • 預金者の無過失の立証は極めて難しいと考えられる。本来救われるべき預金者が救済される仕組みとすべきであり、預金者が自己の盗難の状況等について可能な限り合理的な説明を行い、金融機関がそれを合理的と判断すれば預金者の無過失を認定すべき。これは、いわゆる裁判上の疎明に類似。

  • そうした対応を可能とするためには、金融機関において窓口を一本化し、預金者対応を専門的に行う窓口を作る必要がある。

  • 今後、金融機関により、損失を極小化するためATMにおける引出限度額を一律に引き下げる一方で、預金者の選択により当該限度額を引き上げることも可能とするサービスが提供され、当該引き上げた部分についての損害を預金者に負わせることとする契約を締結する場合には、その旨を預金者に対して事前に周知徹底することが必須。

  • 銀行の顧客サービスとして安全性を担保しようとすれば、どうしても利便性は損なわれる。銀行側としても、きちんと説明をした上で顧客にある程度リスクを負ってもらうことにより利便性を高める選択肢を残しておく必要があると考えている。

  • 現在検討している損失負担ルールは、様々な情報が浸透し顧客の意識が高いという前提での仕組みという印象。実態としては顧客の意識はまだ低いのではないか。方法論として、まずは現状に合った仕組みを作り、その後、状況に応じて見直しを行っていくこととすべきではないか。

  • 過去の判例に鑑みると、預金者の過失を問う場合には、預金者の注意義務を約款上明示しておく必要があるのではないか。

以上

本件に関する問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
監督局銀行第一課(内線3322、3388)
本議論の概要は暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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