貸金業制度等に関する懇談会(第13回)議事要旨

1.日時:

平成18年3月22日(水)14時30分~16時35分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題:

  • 事務局説明
  • 警察庁説明
  • 討論(契約・取立てにかかる行為規制等のあり方)

4.議事内容:

事務局から挨拶

最近の新聞報道等に関して。

経済産業省では、信用保証協会が手掛ける信用保証制度で連帯保証を原則廃止することを決断したとのこと。これについては、我々が議論している消費者金融におけるおまとめや事業者ローンにおける保証人制度に対しても、大変大きな意見を示してくれたと考える。

公認会計士協会が、消費者金融等における監査上の留意事項について公表した。

4審で債務者の連帯保証人を救済した最高裁判決が、社会的に大きな話題となった。こういったことは、10年間にわたって1回もなかったということだが、今回の判決は司法の立法府及び行政府に対する大きな警告ではないかと思う。

過剰貸付けの問題についてはこれまで意見をいただいているが、無人機に問題があるのではないかという議論もされている中で、この無人機で銀行ローンの返済・借入れが可能となるように金融庁が銀行法施行規則を改正するという話がある。規制緩和という流れがあっても、議論途上でこれまでの議論を踏みにじるようなことはしてはならないと思う。

資料13-1、13-2に基づき、事務局から説明

本日のテーマは、行為規制。貸付けの量や金利の問題とパッケージで検討する必要がある。次回以降は全体の枠組みをどうするのかという議論を予定しているが、今回もなるべく全体を意識しながら進める。

参入規制については、前回改正(平成16年1月施行)で貸金業務取扱主任者制度を設けたが、それすら置けない業者が廃業することになった。主任者制度は研修を受ければいいのであるから、あまり高いハードルではないと考えている。

試験制度を取り入れるという提案についてだが、いつの世にも存在する「弱い者を食い物にすることに何ら良心の呵責を感じない人達」は、それぐらいの障壁は乗り越えようとするかもしれない。ただ、例えば証券外務員試験などをみると一定のスクリーニング効果は期待できる。およそ「試験」と名のつくものが嫌いな人達が安易で乱暴な商売に走りがちであるのなら、「試験があるから止めよう」という抑止力が働くのではないか。また、仮に証券外務員試験や外務員登録制度と同様の仕組みにすれば、貸金業協会のプレステージも高まるのではないか。

狭い意味での「ヤミ金融」は、無登録業者ということだが、以前、東京都から報告があった1号業者(トイチ業者)の多くはカムフラージュのために登録しているだけである。法律を守ろうという意識が最初から無いので、そういう業者も広い意味の「ヤミ金融」と言える。

後ほど、警察庁から報告していただくが、現実の検挙状況は無登録単独というよりは、無登録かつ高金利あるいは登録しているが高金利といった事案の方が多い。

従業員の中には、偽名を用いて法令違反を行い、一定期間後に代表者として登録を行う者がいる。つまり、登録を取り消されるごとに代表者を次々に変えていくやり方。中には貸し先である多重債務者を代表者にしてしまうようなケースもある。

広告規制については国会でも議論があり、先週、大手7社がテレビCMの自主的な対応を公表した。法律による広告規制の強化が必要かどうかは、業界が自主的にどこまで対応できるかにも依存している。

勧誘に関しては、投資商品などの場合には販売前の規制が最も重要だが、消費者金融においては借りたい人は向こうからやって来るので、貸した後の残高維持や貸増し、リボの限度額引上げなどが借り手の要請に基づかないで行われることへの規制が必要ではないかとの意見があった。

国民生活センターが行った多重債務者の実態調査によれば、金利水準は理解していたが返済可能と思ったという人が半分、金利は分からなかった・関心がなかったという人達が半分。また、利息制限法を超える金利は支払義務がないことを9割が知らなかったという結果となっている。

金利水準は契約書面に記載して交付しなければならないが、例えば、27%といった数字の持つ意味は、いくらをどれだけの期間借りるかによって全く違ってくるので、最初の説明義務を強化すべきとの意見があった。

グレーゾーンを廃止すべきとの意見が当懇談会の大勢であったとの報道があったが、どう廃止すべきかで一致しないと制度論としては意味がない。具体的に出資法・利息制限法に一本化するといった話になってくると、現行制度の方がまだましだという意見も出てくる。

グレーゾーン金利は、理論的には、廃止するか維持するか、廃止するとすればいずれかの水準に一元化して固定するのか自由化するのか、さらには貸し手や借り手の属性に応じて異なる取扱いがありうるのかに帰着すると思う。

借主の支払義務は利息制限法の範囲内である、あるいは、任意に支払った場合には有効な弁済とみなされるというのは、グレーゾーンの存在を前提にした意見である。

みなし弁済規定は、業者にとって、「あなたは利息制限法を超える金利を支払う法的義務はないが、払ってくれないと私の経営が成り立たないからこういう契約になっている。ただし、取立てはしない」ということになる。「私には法的義務はないが、契約した以上は守ります」という人だけが払うのであれば、私的自治として強要しても良いということになるのかどうかという話である。

商工ローンについては、保証人の被害(最初から保証人をあてにしているようなケース)が多いので、経営者以外の第三者が保証人になる制度を無くすべきではないかとの意見があった。

取立て規制については、強制執行任諾付きの公正証書の委任状の意味を認識させないまま取得するとか、手形・小切手を決済すると脅して返済を受付けず残高を増加させるといった事例を監督行政上把握しているので、こうした行為は制限していくべきではないかという意見がある。

訪問取立てあるいは電話取立ての禁止というのは、発想としては不招請勧誘の禁止と似ているが、これまで累次に渡って取立て規制を強化して、夜間の取立てや勤務先訪問を制限してきているが、どうしても対面なり電話なりで話をすると威迫的な要素が完全には排除できないので通知に近いような形にしたほうがいいのではという意見。

商工ローン問題における大手商工ローン業者の「腎臓売れ」といった取り立ては、当時からもちろん違法だったわけだが、事件が表面化して以降、当社は巨額の貸倒引当金を計上した。「腎臓売れ」といったやり方ができなくなったから巨額の貸倒れに備えなければならなくなった、あるいは、「返していただけませんか」という姿勢では返済されないということなのかもしれない。

大手商工ローン業者の問題が起きた時、法人としては起訴猶予になったが、その背景には法人として有罪になると、必ず登録を取消さなければならない制度になっているためではないかとの指摘が当時あった。証券取引法などの執行においても個人の行為か会社の行為かということがよく問題になるが、当局の裁量の度合いをどう考えるかということになる。

お金を貸したら返してもらうというのは当たり前のことであるが、利息制限法を超える金利かどうかで扱いを変えるというルールもありえるのかもしれない。

違法行為などに対するエンフォースメント手段が業務停止と登録取消だけで、業務改善命令がないという状況。業務停止や登録取消をどんどんやればいいではないかという考え方もあるが、一方で、そこまでするほどのことはないが何もしないのもいかがなものかといったケースもあることから、過不足ない手段を用意しておいたほうがいいのではないかという考え方もある。

監督上の論点として4つ掲げる。

監督上の論点の1番目は、貸金業務取扱主任者が違法行為を行った場合に役員や重要な使用人の違法行為と同様、業者を登録取消しするという提案。一つの考え方だと思うが、より根本的な論点は業務停止の場合には「できる規定」になっている一方で、登録取消しは要件に該当すれば「必ずしなければならない」ということになっている点。

監督の2番目の論点は、業務停止処分を逃れるために、処分の聴聞通知後に自主廃業し再登録する事例がある。登録取消しの場合には聴聞通知後に廃業の届出をしても5年間登録できないので、業務停止についても同じ規定を置くべきという意見が自治体からあった。このような当局と業者のせめぎ合いのようなケースでは、当局が業者の違法行為をどのように把握したのかということもポイントになる。検査で把握したのであれば業者の側もその後の処分が予見できるので、聴聞通知時点ではもはや手遅れということもあり得るので、検討が必要。

3番目としては、保証会社に対する報告徴収や立入検査権限が都道府県にしかないため、国についても規定すべきという意見。これに限らず、そもそも営業拠点が県を跨いでいるかどうかという国と都道府県の役割分担や保証という行為を正面から取り上げていない現行制度のあり方についても併せてご意見があればいただきたい。

違法行為の規制は、改正のたびに追加してきている。2ページの最後に掲げたのは、典型的なヤミ金融の手口として名簿屋から名簿を入手してそれに基づいて勧誘し、他人名義の携帯電話に連絡させて他人名義の口座に返済させるというもの。

都道府県での検査実態としては、依然としてプリミティブな違反事例が多い。

エンフォースメント体制の議論においては、もちろん自主規制という論点もある。貸金業協会は法律上借り手の保護や苦情処理、貸し手への指導・研修や信用情報機関による過剰貸付けの防止といった役割を法律上担っている。

例えば同じく法律に役割が明記されている証券業協会が強制加入でないにもかかわらず、事実上100%加入しているのに比べると、貸金業協会は加入率が極めて低い。これは多くの貸金業者が協会に加入することにメリットを見出せていない、あるいは加入しなくても支障を感じていないからだろう。加入率が高まればそれだけ自主規制の有効性も高まるはず。

信用情報機関、カウンセリング、消費者教育などは、その重要性が指摘されながら、これまで制度問題としては捉えられてこなかった。クレジットカウンセリングなどは、特定調停と同様の機能を果たすので、適正なタイミングで提供できれば有益ではないか。

11ページの資料は、借り手保護のための行為規制を時間軸に沿って整理したもの。12ページと13ページの資料は、規制とその違反に対する行政処分の有無及び罰則の内容。14ページは、前回改正の概要に関する資料。

資料13-2は、本日、国民生活センターから公表された多重債務問題の調査結果であるが、当懇談会における制度の検討にも関係するので、ごく簡潔に紹介する。

弁護士事務所などに来訪した多重債務者への聞き取り調査によれば、初めて借入れをした頃の年収は、200万円未満が約3割、300万円未満が男性の約5割、女性の約85%を占めている。

初めての借入れから返済が困難になるまでの期間として、1年未満が約2割、1~4年が4割強となっている。

慢性的に借り入れている多重債務者の借入れ動機を、初めて借り入れた頃と返済が困難になった頃に分けて調べたのが、資料4ページの3。初めて借り入れた頃の動機として、借金返済というのもあるが、収入の減少、元々収入が低い、事業資金の補填、物品購入などがそんなに大きな差がなく並んでいる。

一方、返済が困難になった頃の借入れ動機のトップは、「借金の返済」であるが、これまで議論してきた業者間での負担の転嫁・連鎖の構造を裏付けている。

実際に借入先を決めた理由のトップが「たまたま宣伝を見たから」、2番目が「有名な会社だから」、3番目が「簡単に貸してくれるから」というのは重なっている部分があると思われるが、借りたいという動機と実際に借りるという行動の間にあるのが広告の規制であり業者の説明義務ということになる。

借入件数と借入総額については、返済困難になった頃の借入動機としてトータルでは「借金返済」という動機と「収入の減少」という動機にそんなに大きな差はないが、借入件数あるいは金額が多い人たちの借入れ動機としては「借金の返済」が圧倒的に多いということが国民生活センターの調査で裏付けられる。

7ページは、約6割の方が貸付可能金額の増額を提案され、4割弱が必要以上の借入れを勧められたという資料であるが、金融庁のガイドラインが尊重されていないということを示している。

ノンバンクの無人機で銀行のローンの返済・借入れができるように、銀行法の内閣府令を改正するということについて。従来、銀行は、証券会社あるいはノンバンクのATMを使っての事務委託をしている。これは郵便局も同じように行っており、この4月から銀行代理店制度が始まるわけであるが、銀行代理店は代理店の判断で銀行の業務を代理・媒介するが、当事者の判断が介在しないような形で機械を使わせるということが行われている。当然、預金の受払いをしていると、当座赤になって貸越しになるような状況もあるが、現行制度の下では郵便局の場合はそれが可能であるが銀行においてはそれができないような内閣府令になっているので、そこを揃えてはどうかということで事務的に検討を進めていたところ。

ATMについて監督の立場から補足する。

現在、消費者金融会社大手は、リボルビング取引が主力商品である。カードを使い自社ATMを通じて追加の借入れや返済ができる仕組みとなっており、提携先の銀行ATMからも同じオペレーションができる。制度は、今説明があったとおり、銀行が消費者金融会社のATMも、一部預金については利用できる。そしてそれが今度ローンの方にも拡大されるということであるが、現実には、消費者金融会社のATMがまだ銀行には開放されていないと理解している。つまり、銀行のカードを消費者金融のATMに入れても、まだそれを使える状況にはなっていない。

したがって、消費者金融やクレジットカードのATMで預金を引き出すことは認められていると報道されているが、制度はそうかもしれないけれど、実態はまだそうなってはいないと承知している。

なお、郵便局のカードを使えるようにしている貸金業者は、むしろ信販系の会社の一部であり、いわゆる消費者金融専業の会社で郵便局のカードを受け入れているところはないと承知している。

資料13-3に基づき、警察庁から説明

昨年6月に一度報告しているが、昨年の数字もまとまったので資料13-3に基づきヤミ金融事犯の取締り状況を説明する。

警察庁でヤミ金融事犯としてとりまとめているのは、出資法の高金利違反及び貸金業規制法違反事件。それから貸金業に係る詐欺事件であるが、これは、融資には「保証金が必要」と言って保証金だけ取って、実際にはお金を貸さないようなケースや、クレジットカードのショッピング枠を融資するので、カードで電化製品などを買ってそれを送れば金を送ると言いながら、送らないような買い取り詐欺事件も含まれる。また、取立てにおける恐喝、脅迫、暴行なども入る。

無登録業者や登録していても高金利の貸付けを行っているいわゆる「トイチ業者」による事犯が多いがヤミ金融事犯という捉え方は、登録の有無ではなくて、犯罪の態様に着目したものであり、そうしたものとして統計を取っている。

検挙状況については、平成15年7月のヤミ金融対策法の成立を受けて、全国の警察で取締りを強化した。その結果、平成15年の検挙数は、統計を取り始めて以来最多となった。その後やや減少したが、平成16年はそれに次ぐ検挙であり、昨年も依然高い水準で推移している。

法改正と取締りにより、一時のピークに比べればやや落ち着いてきているが、まだまだ深刻な被害が出ている状況と認識。

ヤミ金融の典型的手口として、「090金融」というものがある。主に携帯電話を使って勧誘するので、業者の所在が分からないとしてヤミ金融対策法で広告規制が設けられたため合法業者と見せかけるために固定電話の番号を記載しているが、実際は携帯電話に転送する手法が目立つ。

店舗型としてはグループ内で借り手の情報を交換する「システム金融」というものがある。名前の違う複数の店舗を運営するいくつかのグループから成っており、一つの店舗で契約すると他からも次々に勧誘があり返済のための資金の融資を繰り返されて、債務が雪だるま式に増えていく。

業者の所在が分からない事件では、被害者が返済金を振り込んだ口座の開設者から譲渡先を辿るなど粘り強い捜査が必要となる。店舗型のシステム金融においても、末端の店舗を捜査しても組織実態がすぐに分かるとは限らない。

いろいろ困難はあるが、警察においては、こうした悪質なヤミ金融業者あるいは暴力団が関与している事件に重点を置いて捜査をしている。

匿名ツール対策の強化について述べる。他人名義の口座については、平成16年12月に本人確認法が改正され、不正目的での口座の譲渡し・譲受けが禁止され、取締りを実施しているところであるが、この手口は依然として使われている。

プリペイド式携帯電話に関しては、平成17年5月に携帯電話の不正利用防止法が一部施行され、規制が強化されたが、まだまだ利用されている。

「03」で始まる電話番号が表示される転送装置があり、利用者は、「03」の番号が表示されるので23区内に事務所を構えている普通の業者だと誤信する。相手がヤミ金融業者と知りながらこうしたサービスを提供した通信事業者を幇助犯で検挙した事例はあるが、立件は必ずしも容易ではない。

電話での融資勧誘を可能にしているのが、多重債務者名簿の売買である。ヤミ金融による違法行為に加担したことが立証できれば、出資法違反の幇助罪になり、共犯で検挙した例もある。警察としても、幇助犯の立件に向けて努力しているが、個人情報保護の観点からも何らかの抑止手段の充実が望まれる。

本日の議題である行為規制に関して簡単に触れたい。取立てにかかる行為規制違反についても積極的な適用に配意している。また、契約時の書面不交付については、登録業者だけが対象ということであるが、これに適用事例はある。

資料2枚目の表は、無登録及び高金利を中心にまとめたもの。これは罰則自体が重いものなので、これを中心に書いている。その他、注に出ている数字は、欄外に記載したような違反を単独で立件したものという整理であり、高金利違反に加えて、これらの「その他」の態様を立件した場合は、その数字は高金利のほうの数字の中に入っている。

ヤミ金融事犯については、依然として多くの相談が警察にも寄せられている。また、悪質な事案も後を絶たないということであり、引き続き厳正な取締りを進めてまいる所存。

討論

(意見)

国民生活センターの調査結果にもあったが、借りるきっかけは、テレビCMや新聞広告が非常に大きな割合を占めている。また、新規の顧客の半数は20代、30代の男性であり、こういった20代、30代の男性を狙ってCMや広告がなされている状況にある。

テレビCMや新聞広告により認知度を上げて、有名な会社だから、安心できそうな会社だからというイメージ戦略で顧客を開拓し、必要以上のお金を貸し出しているという状況がある。

第一に、広告の頻度が問題。次に、その内容については、金融広告全般に一つの大きな特徴として言えるが、大事なことが小さな字で書かれており、これは消費者金融の広告でも同じ。

また、大切なことが書かれてない。さらに、小さい字で書いてあるために見えにくい。これも金融広告の特徴であるが、消費者金融の広告も同じ。

銀行系の個人向けローンは、消費者金融と非常に似たイメージ広告を出している。つい最近も、ある大手の銀行系カード会社が消費者金融と同じくらい簡単に借りられますという広告を大きなメッセージで出していたが、消費者金融の広告に非常に似ている。

また、「即借りられる」といった表現で気軽さを強調している。これは消費者金融全体の問題点。「即」とか「簡単」といった表現は、現在の貸金業規制法でも違反になるのではないか。安易な借入れを助長するような広告は禁止されているので、それに抵触するのではないか。

おまとめローンについては、一昨年から新聞広告に登場しており、現在、非常に拡がってきている。インターネットでも一括おまとめローンの勧めというものを行っている。おまとめローンの問題点は、被害の再生産になっていると思われること。

消費者金融の広告は、とにかく回数が多いということが特徴。1ヶ月間に同じ会社の同じ広告が70回も出ているような状況(一昨年調査)。

最近は、五大紙だけでなく地方紙やスポーツ紙にも多くの広告がなされるようになってきており、何らかの歯止めが必要ではないか。

広告については、諸外国の例も参考にしつつ、何らかの規制を設けるべきではないか。

また、説明義務という部分が不足しているのではないかと思っている。金融商品取引法を検討していた時、重要事項として何を説明するのかということは大きなポイントだったが、貸金の世界においては非常に不十分。もちろん今の法律の中でも、契約前から契約に至るまで何を表示しなければならないということは書かれているが、内容的には不十分。

お金をいくら借りたらいいのか、いくらの金利でどのように返済すればよいか、いくらずつ返済していくのがいいのか、ということが利用者には非常に分かりづらい。特にリボルビング払いにおいては、その構図が見えない。

テレビCMや新聞で広告されているのは金利の部分だけ。インターネットでは、もう少し情報を盛り込むことが可能であるが、「1ヶ月間10万円借りても2千円ちょっとの利息を払うだけでいい」というような簡単な広告メールが昨日届いた。そこには、1日105円の利息と書かれてあったが、その他の部分は小さな字で後ろに書かれているような状況。

実際にどういう返済方法によって、いくらのお金をどういう形で返していっているのかということを、図解などにより債務者に説明する必要があるのではないか。

(意見)

貸金業の規制においては、やはり行為規制を中心に議論すべきであり、その上で、金利規制や過剰貸付け規制をどうするか考えていく必要がある。

例えば過度な勧誘や取立てを規制する、あるいは負担すべき債務の内容について説明責任を課すといった行為規制や監督の強化は非常に重要。

無防備な利用者に対するカウンセリングを義務付けるといったことも効果があるのではないか。

貸金業の市場構造の特性としては、普通の業者と悪徳な業者の2種類に大別できるという点。悪徳業者を行為規制などによって極力排除していくことで、業界全体の健全化が進むような方向を考えていくべき。

貸金業者と顧客の間には、情報の非対称性が存在することから、個人の債務情報の共有化も意味があるのではないか。

一方、借り手も3種類ほどあって、第1番目は、グレーゾーン金利や過剰貸付けなどの知識が無くて非合理的な行動をしてしまう人達。2番目に、普通に知識があって合理的な行動をする人達。3番目に、知識があって、あわよくば借金を踏み倒してしまおうという人達。これらの存在が問題を複雑にしている。

行為規制としてのカウンセリングの義務付けなどは、まったく知識のない者をできるだけ少なくしていくという意味で非常に意味があるのではないか。

金利を下げれば借入人は借り易くなって返済に困らなくなるという点では効果を発揮すると思うが、一方でこれまでも議論があったように、金利を引き下げれば高リスクの人達は逆に借りられなくなることになり、かえって非合法市場が生まれ、借り手保護ができなくなってしまうという面もあると思う。

金利規制を考える場合には、できるだけそのような非合法的な市場を小さくし、金利規制によって普通の人達が借入れできなくなるようなことが起きないような仕組みにする必要がある。

借金を踏み倒してしまおうという人も場合によってはいるかもしれないという話をしたが、これは恐らく情報の非対称性ゆえに、高い金利自体が利用者の逆選択を招いてしまう可能性があるということではないか。そういった利用者に対してはリーズナブルな金利設定をすることによって逆選択がはたらく余地を小さくすると、業者サイドにそういった人達が借りに来なくなるというメリットをもたらす可能性もある。

できるだけ顧客情報の非対称性を無くしていけば、逆選択の問題も少なくなるので、その意味では金利規制の必要性自体も次第に小さくなっていくと思われる。

金利規制の問題や過剰貸付けの問題を考える際には、やはり非合法的な活動をいかに小さくしていくか、あるいは行為規制をどうするかによって、全体的に整合的な規制体系を考えていく必要がある。

金利を下げた場合に超過需要が出てきて借りたい人がたくさんいる中で、恐らく生活苦などによりどうしても3万円、5万円が必要だという人達は存在するわけで、このような方々は悪徳業者には行かないだろうが、やはり、こうした人達をどう手当てするかということを考えない限り、この問題は解決しないのではないか。

(意見)

金利の問題とグレーゾーンの問題を、どううまく噛み合わせていくのかという観点からは、事務局がまとめた行為規制等については、概ね同意できる内容である。

国民生活センターの数字で特徴的なのは、実際に金利について知識を持っていても返済可能と思っていた人がかなりいるという点。やはり、現時点では教育面を含めて、十分な説明がなされていないということだろう。

仮に、現行の29.2%を引き下げるといった場合でも、実際にどの程度返済することができるのかを分からないまま借りるケースは出てくると思われる。

利用者がグレーゾーン金利について十分に認知してなかったという指摘があるが、これは重大な問題である。業者側は、説明していると主張するのだろうが、実態はよく分からない。借金を踏み倒してやろうという借り手もいると思うが多くはない。

広い意味での行為規制が、十分に機能していることが第一であるが、同時に、実際の多重債務の問題や勧誘等々の問題を考えた場合には、やはり金利の問題を次回以降もさらに詰める必要があろう。

グレーゾーンを無くすことにする場合、実際にどういう金利がありえるのか。やはり29.2%は高いという場合に、それを今の利息制限法に合わすのか。利息制限法金利も今の低金利を考えた場合には必ずしも適切ではないという議論もあり、一本化する際には総体的な視点が必要ではないか。

(意見)

参入規制についてもあまり自由にするのは良くないのではないか。銀行は免許制だが、貸金業は登録制。良い業者だけに参入してもらうためには、参入規制について検討する必要がある。

(意見)

アメリカの参入規制について、ニューヨーク州、デラウェア州、イリノイ州のケースを調べたが、3州ともそれほど大きく変わらないので、ニューヨーク州を例として概説する。

ニューヨーク州の場合、貸金業者になるためには、ニューヨーク州銀行局の免許が必要。まず書面によって免許申請を提出(審査料は1,000ドル)。申請者は自社に関する財務諸表、会社組織基本文書、その他会社データの提出義務がある。また、申請と同時に会社仕様調査書という文書の提出が義務付けられる。この調査書は第三者の独立調査会社が作成するが、その費用は申請者の負担。さらに、取締役会メンバー全員及び貸金業者の株式を10%超所有する者は申請と同時に指紋の提出が義務付けられている(指紋の提出は、現在は住宅抵当ローン事業者に限られている)。なお、申請者の金銭上の責任感、経験、性格及び一般的適性が融資業務を誠実、公正かつ効率的に行うに足り、申請者が申請時で5万ドル超の流動資産を営業のために所持していることを銀行局が認める必要がある。銀行局はその申請書提出後90日以内に承認の可否を決定。

このように米国の貸金業者は非常に厳しいルールの下に置かれており、日本の貸金業登録制度と大きく異なる点と言える。

(意見)

昔、ノンバンク研究会という会合において、免許制と登録制の話があった。当時の議論は、現在と異なるが、銀行は預金を集めているのでやはりきちんと規制しなくてはいけないが、消費者金融やファイナンスカンパニーはもう少し自由でニッチの市場をカバーしなくてはいけないということであった。つまり、免許制でガチガチに規制してはいけないのではないかという議論だった。コンプライアンスを遵守する業者を参入させるという意味では、銀行と同じように免許制にする考え方もあるし、試験制度を採り入れるといった方法も考えられる。

(意見)

グレーゾーン金利は、やはり無くす方向で考えて、きちんと説明ができるような制度にすべきではないか。法律家、実務家のいずれも言葉を濁しているが、やはり政府や立法府としてもきちんと説明責任を果たすことができるようにしなくてはいけない。

上限金利については、固定金利と変動金利のどちらがいいのか、この点も議論を要する事項。

顧客に対する貸金業者の行為規制については、借りる人がどういう人なのかを確認してから貸すようにさせたほうがいい。ただ、零細な業者が多いことにも配慮する必要がある。

ヤミ金融はどのようにしても出てくると思うが、理想論で言えば、適合性の原則(スータビリティ)をこの業界において、もう少し厳しく制度化してもいいのではないか。

ニューヨーク州では免許が必要で厳しいという話があったが、それでもやはり事故は起きている。ヤミ金融の話は別の問題であり、これは別途厳しく取り締まる以外に方策はない。

3~5万円ぐらいを借りたいが、何処から借りればいいのか迷うというケースは多い。これまで銀行は、今すぐ借りられる、というサービスを怠っていた面はある。我々が銀行からお金を借りる場合、ものすごく時間がかかるしなぜ時間がかかるのかもよく分からない。

銀行もコンシューマーローンにおいて、もっと迅速に資金需要に応じられるシステムを構築する必要がある。その意味では、貸金業者と銀行が系列化・グループ化していって、それぞれの良い面がサービス面で反映され、同時に銀行の厳しいコンプライアンスを貸金業者にもきちんと適用していけば随分変わるのではないか。

(意見)

借り手の属性をきちんと見ることが金融業本来の根本であり、それは是非行っていただきたい。

(意見)

行為規制として、おまとめローンの勧誘を規制することを提案したいと思う。

先程の広告調査に関する話にもあったように、おまとめローンの勧誘が現在盛んに行われている。「多重債務から脱出できます」というのが謳い文句で、様々な形で行われている。

インターネット上等でも盛んに勧誘が行われているが、例を挙げると、「どんどん膨らむ借金と金利負担に時々怖くなることはありませんか」、「おまとめローンで多重債務から脱出できる」、「金利負担を今すぐ減らして、大切なお金を元金の返済に充てられるようにして下さい」等々書かれてある。

おまとめをする段階で利息の引直し計算をしないまま残債務が全て元本とされると、過去に負っていた利息部分が元本に組み入れられるという仕組みになっており、おまとめで借りた人は決して救われないと私は思っている。

おまとめローンに類似したものが海外で規制されているということは、11回の会議資料にもあるが、アメリカでは、連邦でも州でも規制しているし、イギリスでもガイドラインの中で考えられているということなので、我が国も当然やるべきだと思っている。

おまとめローンの貸付けを行うケースのほとんどは、任意整理をしていれば残債務はかなり減り、その後救済されることになると思う。しかし、おまとめローンで借り入れたために、ブラックリストにも載らず借金依存状態が続いてしまう。

実際のケースをみても、消費者金融会社は、1回おまとめにより返済してもらった人に対しては、再度勧誘をかけるというケースが非常に多い。返済してもらった業者にとっては非常に優良な顧客なので、例えば消費者金融6社から300万円借りていた人がおまとめによる借入れを行ったが、その借入れの返済のために再度6社から借入枠を作るような状況になっており、結局、借入額が倍の600万円に膨らむというケースが実際にはかなり起こっている。

不動産担保や保証人を付けた借入れはどちらも非常に好ましくなく、本来は特定調停や任意整理が行われるべきものだが、おまとめによる借入れの積極的な勧誘によって被害を拡大させていると思う。

信用情報機関に延滞情報が登録される段階では債務をまとめられる可能性がほぼなくなることから、「その前におまとめにより貸し付けます」という勧誘をたくさん受けるので、やはりこれについては規制していただきたいと思う。

(意見)

今まで議論された関連で2つ述べる。

1つは参入規制については、現在の要件だけではなく、もう少しきちんとした要件を加えた登録制か免許制にしていただきたいと思う。

東京都登録のトイチ業者などは他県で営業を行っているが、利用者には東京都登録なので優良であるというような感じで受け取られる。しかし実際に利用してみると、悪質業者で大変な目に遭ったという話を地方に行くとよく聞くので、是非、参入要件については要件を厳しくしていただきたい。

銀行が随分消費者金融に参入してきているということもあり、以前から消費者相談の現場では、消費者金融の問題について金融庁に問合せをしようとしても窓口が分からないというような話を聞く。今回、金利規制も含めてこういった参入に関する規制や様々な行為規制がかけられるようになる際には、金融庁の内部の体制についても併せて考えていただきたいと思う。

もう一つはATMについてだが、実は昨日色々とATMを廻り、コンビ二のATMはどのようになっているのかなと思い実際に自分で試したが、とても簡単に利用できる。銀行関係のATMは別の場所にあり、それでは住宅ローンなどのローン関係は利用できないと書かれてある。しかし、もう一つの消費者金融のATMではなんでも可能で、実際に画面に触れると3社程出てきて、どこを利用するかという画面になり、個人情報の登録までとても簡単にできる。それで、後ほどすぐ電話をかけるのでその段階でまたこのお店に来ていただければカードを発行すると言われるが、手続が非常に簡単になっている点は非常に気になった。

これはインターネットでも同様で、そういった特徴を考えると安易に銀行がATMでこういったローンの取扱いを解禁していいのか疑問に思うので、是非、再度慎重に金融庁の中で検討していただきたいと思う。

(質問)

金融会社室はどのような体制になっているのか。また、財務局との関係や人数がどのくらいいるのか。例えば行為規制についての監督を行うのに十分な人数がいるのか教えていただきたい。

(回答)

監督体制についてだが、都道府県に登録している貸金業者については、都道府県が自治事務として監督をしている。これは機関委任事務ではないので、国としては地方自治法に基づいて助言・勧告を行うという関与に止まる。

財務局登録の貸金業者は財務(支)局長に監督が委任されているが、現場の監督については、金融庁では監督局総務課金融会社室において、具体的な指導や処分についての相談に乗っている。それからまた事務ガイドラインの制定・改廃にも金融会社室が当たっている。総務企画局企画課信用制度参事官室は、法律・府令等の規定について担当しており、制度と監督が別れているが、監督において法解釈を要するような話については、信用制度参事官室と密接に協議を行っている。

外部からの照会、問合わせについては、昨年から金融庁においても相談窓口を設けており、こちらの方を利用していただいている。相談窓口に寄せられる相談内容によっては、その場で答えられないような場合もあり、貸金業関係については金融会社室に転送される仕組みになっている。

各財務局でも相談に乗るし、金融庁に寄せられる苦情や相談でも財務局に登録している貸金業者の場合には、財務局の方を案内する場合がある。

(質問)

登録貸金業者数はかなり多いため、困難な面もあると思うが、財務局の人員などはどのようになっているのか。貸金業に対する監督と検査はどの程度まで行っているのか。

(回答)

財務局登録の貸金業者数は合計で762。監督人員は、兼務の職員も含めて200人。なお都道府県では、登録業者数が約1万7千で監督人員は全都道府県合わせて1,000人にはならないという状況。

(質問)

若干関連するかと思うが警察庁に伺いたい。体制についてだが、ヤミ金融やそれに関連する事案についての検挙体制はどのようになっているのか。ヤミ金融が社会問題になった時に各都道府県の警察においても体制を整えるか、あるいは人員を増やさなくても強化を行っていて、色々摘発のノウハウなども蓄積されていると思うが、その体制がその後も維持されているのか。金利を引き下げた場合に、いわゆるヤミ金融の方に流れるとしたら、それについてはどういった対応ができるのかというのが1つ。

もう1つはいわゆる違法収益の吐出しについて。法務省の話かもしれないが、警察庁の資料13-3に被害額等が載っており、ほとんど飲み食いなどに使われて残っていないのかもしれないが、利益が残っているならば、それをこれからどのようにして吐き出させるのか。私の理解では、貸金業登録をしていないとかあるいは出資法の上限金利を超えた部分については法務省で対応できるけれども、それ以外については対応できないと思う。そうであれば、今後、金融庁の行政的な違法収益の吐出しの制度、課徴金的なものになるかもしれないが、それが必要だということを意見としたい。その上で、違法収益の吐出しについて今後どのように対応されるか、もしプランがあえば教えていただきたい。

(回答)

警察としては、大きなところについてはヤミ金融に専従する体制にしている場合もあるが、基本的に生活安全部門が対応しており、ヤミ金融だけに専従するということにはなってなく、幅広く経済事犯に対応するという形の体制になっている。

警察本部については、県の規模によっても違ってくるが他の業務も含め20人、30人という規模になっている。警察署においては生活安全課という部署があり、こちらはさらに幅広い業務を行っているが、警察本部と合同して捜査に当たるなどして対応している。

捜査の手法というのは専門的なこともあり、ベテラン捜査員のノウハウがしっかり伝わるように、1つの例であるが、捜査の伝承官というようなノウハウを後に続く者に伝えていくシステムなど工夫している。平成15年には多くの事件捜査を行っているが、それが今後も警察の捜査手法としてしっかり蓄積して生きていくような形を維持していきたいと思う。

ヤミ金融に対する対応について今後のことを予測することは難しいが、今後もしヤミ金融が増えていく要素がある、そういった状況になっていくということであれば、しっかり我々の方も対策を取って、体制的なものも含めて検討していかなければならないと思う。

犯罪収益に関しては、組織的犯罪処罰法の犯罪収益などの隠匿を捉えて検挙している例もあるし、そういう不法な利得が検挙しても残ってしまうのであれば、刑罰だけでは犯罪集団に対する抑止にならないので、そういった収益をしっかり剥奪していくという点にも目を向けた捜査を行っているところ。

(回答)

法務省として犯罪収益の関係について補足すると、いわゆる出資法違反にかかる犯罪収益について、それ自体が仮装名義の口座に入金させるような場合は犯罪収益の隠匿仮装という別犯罪が成立する。無登録での貸金業の犯罪、出資法違反の上限金利違反、犯罪収益等の隠匿が3点セットとして成立するような事例は多くあるが、このような犯罪収益については、没収ないし追徴という形で犯罪収益を犯人に残さない法制度になっている。

(質問)

犯罪収益の額がいくらぐらいか警察庁で把握しているか。

(回答)

隠匿・収受等で立件した金額に関する数字はとりまとめていない。本日の資料には被害額等を記載しているが、これは検挙された者が貸したお金として把握したものを集約した数字なので、先程の質問の主旨とは少し異なる。

(質問)

中小企業融資の連帯保証の廃止について、経済産業省のほうから少し説明していただければ。

(回答)

質問に関しては、中小企業庁の金融課で取り組んでいることだが、中小企業に対する金融については信用保証協会を通じた信用保証制度がある。それに関連して、保証協会が保証する場合は連帯保証を廃止するということが報道されており、詳細については承知していないが、先程確認したところ、基本的には概ね報道されているとおりで現在対応を進めているところ。ただ、全ての連帯保証を廃止するということではなく、一部の例外も設けて対応する方向で現在作業が進みつつあると承知している。

(意見)

不当利得や違法な利益の吐出し、没収、収奪をするという話があったが、没収収奪をして国庫に入れるのではなく、それを消費者に還元していただきたい。話を進めて検討していただきたいと思う。

保証人について2つ。1つは資料13-1の6ページ上から2つ目に、事業者ローンの保証人には消費者がなることが多く、実際に保証人から回収することとなるケースが25~30%とある。これは懇談会で報告された数字だが、実際にどのくらい保証人から回収する事態になっているのかについて、事務局には明確な資料を提出できるよう努力していただきたいと思う。

確かに事業者向け貸付けでは保証人を取っているし、保証人に事業者がなっていることも勿論あるが、消費者がなっている場合が非常に多いという印象を持っている。事業者向け貸付けの場合は、消費者が十分理解せずに保証人になっている場合や、懇意からということもあるだろうが、お願いをされてやむなく保証人になる場合もあると思う。

保証人になったことで、取立に遭う、自宅を奪われる、自殺に追い込まれるなど大変悲惨なケースに陥ることも多いので、保証人を付けることを是とした形での仕組みを構築するのではなくて、保証人を付けなくても貸せる制度、それから仮に保証人を付けるにしても保証人に十分な説明義務が尽くされているかどうかについて、再度検討をしていただきたいと思う。

それから2つめは、国民生活センターの資料13-2の7ページに、取立についての分析があるが、自宅への電話が70.8%、勤務先への電話が39.1%、それから実際に自宅への訪問を受けたという人もいるし、保証人でない家族・親戚・友人等への支払いの請求が7.7%とある。こういった迷惑かつ執拗な取立行為については貸金業規制法でも規制されているが、実際にはあまり機能していないので、これについてもどのように取組めば実効性が上がるのかという観点から検討していただきたい。

知人で取立行為をしていた人がいるが、会社では方針のようなものを作っているが何の罰もないため実際は誰も守らない。法令等で規定はされているが、行政処分や刑事罰がかからないため実効性が上がらず、守るというインセンティブが働かないということをその人から聞いたので、是非インセンティブが働くように行為規制のあり方を検討していただきたい。

(意見)

取立行為規制に関しては貸金業規制法21条で、時間帯とか連絡先、方法、行動に至るまで細かく規定されている。業務停止や懲役、罰金などの罰則規定もある。

現在、当社においては、期日を過ぎていることをお知らせする連絡業務程度の連絡や返済計画の見直しなど今後の相談に乗り対応を一緒に考えていくカウンセリング業務が中心になっている。

マスコミ等で取り上げられている悪質な取立行為を行っているのは違法なヤミ金融業者で、誤解のないようにお願いしたい。

業界の健全性を維持、向上させていくには、無担保無保証で貸し付けているためのリスクを覚悟できずに、強硬な取立を行っている業者を市場から退場させてもらいたいと考えている。

(意見)

先程の話だと消費者金融業者の全てが規制をきちんと守っているということのようだが、現状はかなり違うのではないかと思う。保証人の問題は非常に重要だが、それと並んで、取立行為と関連した重要なことがある。

貸金業者の中には団体信用生命保険に借り手を入れることで、保証に代わるものとして命を担保にし、過酷な取立行為をしているケースがある。死んでから保険で払うということを前提に、自殺に追いつめていくような取立が現実に行われているので、団体信用生命保険に関しても何らかの規制なり、きちんと契約者に知らせるような措置をとる必要があると思う。

団体信用生命保険に入る場合にはきちんと告知をしていると思うが、貸金業の場合には契約書面の後ろのほうに「入ります」ということを承諾する程度しか記載がなく、債務者が告知書を提出しているようなケースが本当にあるのか疑問を持っている。

健康状態の告知を取ってから保険に入らないとおかしい。命を担保に入れるというのは非常に危険な借入れなので、それを本人が知らないとか、契約するときに認識していないというのは勿論あってはならないし、それを念頭において厳しい取立が行われるのはとんでもないことなので、これに関しては是非金融庁で調べいただきたい。

(意見)

包括的な感想を述べたいと思う。

我が国のみならず世界の金融業は、いわゆる供給過剰になっており、儲けることが非常に難しくなった。その理由としては、事業会社が金融機関から借入れを行わなくてもお金を調達する手法が十分整うようになったということが背景としてあるが理由が2つある。

1つは家計の負債サイドに対する金融事業者の攻撃が非常に強くなっているということ。それから、金融事業者の資産サイドについて言うと、リスク評価を少し甘くしても、とりあえずリターンが大きい所に金融事業者が資産を回しているという面がある。

懇談会で議論しているのは家計の負債部分だと思うが、これも世界的に見ても、家計の負債サイドに対しての貸出行為は非常に膨れあがっている面があり、大丈夫なのかという関心が非常に強くなっている。

我が国においても、最近金融の自由化を通じて、家計をメインの取引先にしようとメガバンクから中小金融機関に至るまでほとんど全部が、家計の負債サイドに対して一斉に取組んでいる。

我々は、経済というのは需要と供給のバランスがとれるものだと言っているが、供給が需要を生むという面もまたありそれを自覚させられているが、金融においても、供給が需要を無理に生み出しているという面があり、我々が今議論をしているのはその点である。

非常にレギュレーションが強かった日本の金融が、時代状況の大きな変化の中で、家計の負債サイドに乗り込もうとしているが、消費者信用市場の適正規模がどのようなものかを考える必要があるのではないかと思う。

(意見)

人にお金を貸すという行為、しかも無担保無保証で貸す場合はリスクをとりつつ相手の懐具合もしっかりみてビジネスをする必要があるから、それを営む人のレベルは、人格とか経営哲学を含めて、高いものが要求されると思う。

現在はむしろそうではなくて逆行しており、この懇談会では、基本的には略奪ビジネスとか脅迫ビジネスから脱却して、産業化しなさいという強いメッセージが必要ではないか。

そのためある程度のレベルというものは、企業体にも要求されるし、それに携わる取引、お金を貸すという行為に携わる人の個人の免許というか、そういうことも必要なのではないかと思うので、参入規制や登録についてはきっちりトレースが可能な形で行う必要があると思う。

業界を超えた情報共有については、自助努力の分野に入るかもしれないが、いずれは誰かが決断をして情報共有していかなければならない。

20世紀は、銀行が個人に対して貸出しする際は、非常に複雑な手続があったこともあり努力不足だったと思う。そういう意味では、ノンバンクの創意工夫の方がむしろ先んじた形だったと思うが、優良顧客の取り合いがもう既に始まっている訳なので、業界を超えて情報を共有するシステムの統合については、垣根は高いと思うが何かやらなければならない。

政治の話になるかもしれないが、グレーゾーンをなくしていく、ヤミ金融の徹底的な排除をやっていこうとする時には、今国全体が財政難であるけれども、セーフティーネットの制度がペアとして必要ではないかと思う。

(意見)

規律の確保を考える時には3つのレベルがあって、1つは公的規制という形で規律を確保するということだが、金融業の場合は公的規制以外に自主規制組織の役割がある。

一番基盤になるのは業者自身のコンプライアンス体制、内部コントロールの体制というのが基本で、業者自身の内部統制の体制ができていない状況下で、公的規制だけで全部の規律を確保しようとしても人員問題等がある。違反行為を全部取り締まろうと考えても、膨大な人員を動員しても難しい。

現代的な規制のあり方というのは、金融サービス業者全般に関して言うと、金融サービス業者自身がきっちりとしたコンプライアンス体制を確立しているかどうか、リスク管理の体制を確立しているかどうか、内部統制の体制を確立しているかどうかを監督するということであって、行為そのものの違反を取り締まるという規制ではない。違法行為を行わないような体制作りを義務づけて、そういう体制を実際に作っているかどうかをチェックするというのが現代的な規制の考え方だと思う。複雑で数が多い業者の行為そのものを取り締まる方法ではコントロールできない。

そういう意味で、金融ビジネスに携わる場合は、それなりのというかそれなり以上の重いコンプライアンスコスト負担を、事業の性質から当然確保してもらう必要があり、内部統制、コンプライアンス体制をきちっとした者のみ参入を認めるという形の参入規制が必要だと思う。

免許制か登録制かというのはあまり本質的な議論ではなく、日本の免許の場合、免許というよりは特許状で、特権が付いてくるような形でなかなか免許を出さないが、アメリカの免許というのはライセンスで、自動車免許みたいな意味の免許で資格要件を確保していれば得られるもの。それは登録要件をしっかり厳密に確立して、その要件を満たした者だけに登録を認めるというのと本質的に違いは無いので、免許制か登録制かというのではなくて、もっと中身の問題として、当然コンプライアンスの意識があると思われる人達がしっかりとした仕組みを作った場合に登録を認めて、そういう仕組みができているかどうかを監督検査して、コンプライアンス体制に欠ける者については登録を取り消すという方法で対応するのが方向として考えられるべきことではないか。

(質問)

関連の質問だが、既存業者の中にはコンプライアンスを満たさない業者が随分多いわけだが、新しく登録を受ける業者については要件を満たしているか審査することができると思うが、既存の業者に関しても、再度審査して洗い直しをするということか。

(回答)

基本的な実行モデルは行政が示す必要があると思うが、そういうモデルを示して、そのレベルまで一定期間内に内部統制の仕組みを引き上げるように指導すべきだと思う。

(意見)

コンプライアンスを守るということは適合性の原則に行き当たらざるを得ないので、需要を喚起してマーケットを作るということも少なくなると思う。そうすると非合法的な市場と合法的な市場というのは明確に分けられないので、非合法的な市場を小さくするためにも合法的な市場の入り口を小さくする必要がある。

コンプライアンスに関することでもあるが、情報開示がされていないのではないかと思う。特に上限金利に関する議論で、リスクの高い人達に対して貸せなくなり、生活のために借りている人で困る者が出てくるとの意見があるが、非常にリスクが高くて返済意思のある人はどの程度いて、その市場規模はどの程度なのか。また、そのような人に対しては、例えば制度融資などでカバーできないのか。

都道府県からは制度融資を利用する人がいないということも聞くが、景気が良くなっている状況で、セーフティーネットでカバーできるのかどうか、これについては事務局にも情報を出していただきたい。

(意見)

クレジットカウンセリングについてだが、非常に借金が増えてかなり困った状況になってからのカウンセリングも勿論重要だと思うが、借入れを行う段階でカウンセリングを受けることも非常に重要だと思う。若い人が非常に安易に借金をしてしまうのでクレジットカウンセリングは重要だと思う。アメリカでは、カウンセリング受講書を出してそれで始めて借入れができるという制度もあるとのことで、これはちょっと重すぎるのかもしれないが、情報の非対称性ということを考えると、借り手側が最低の知識を持った上で借りるようにすることも1つの方法かと思う。

例えば無人機などで借りる場合も、基本的な質問をする機械を用意してそれを利用する、またはカウンセリングを受けるなどして、情報を持った上で借り入れるようにしてもいいのでは。

借入金額や件数が多い方が更に借りる場合の動機で一番多いのは、借金返済ということだが、これに対しては現状、監督上有効な手段が無いように思えるので、やはり返済能力を考慮するように義務づけるなど何らかの方法があったほうがいいと思う。

信用情報の利用も当然重要なので、情報の共有も重要だが、業界内の情報も利用していない業者が多いということなので、情報利用を義務づけるとか、借り手の返済能力をより考慮するようななんらかのガイドラインのようなものがあってもいいのでは。

(意見)

広告に関連して意見を述べる。

1つは誇大広告の禁止が16条に規定されているのにもかかわらず、守られていないと思われるような広告がたくさんあるので、実効性を確保するためにより有効な手段が必要だと思う。

金利が表示されておらず、とにかく早く借りることができるというイメージを広告しているだけなので、表示の問題があると思う。

貸金ではリボ中毒、借金依存症が非常に社会問題になっている中で、借金依存症になるように広告で誘っているので、これはタバコ並みの何らかの手立てが必要だと思う。

TVコマーシャル、新聞等での広告に隠れて、現在、インターネットによる広告がどんどん増えている。消費者金融会社は、TVコマーシャルを自粛していると言っているが、それが本当に利用者のためを思って自粛しているのであればインターネット広告も自粛するべきだと思う。

TVコマーシャルの自粛は、若者がテレビを見なくなり、あまり効果がなくなったためにインターネットに移行していると言わざるを得ないところがある。

インターネットの広告市場は現在非常に伸びているが、金融保険に関するものも増えている。インターネット上では、昨年の4月からいわゆる無料の動画サービスが始まっているが、その広告の有力なものに消費者金融が名を連ねている。実際に、インターネット上で映画を見ていたら消費者金融の広告ばかり流れる。

消費者金融の広告をインターネット上で見ると若い男性が好きなアイドルなどが出てくるが、その右側などにバナー広告があって、そこをクリックする契約手続に入れるようになっている。

無人契約機を問題にした時代から現在では無人契約の時代に入っており、これは事業者にとってメリットがあるからそのようになっている。

広告もTVコマーシャルの時代から、インターネット広告の時代に入って、広告の時間制限ができないような状況になっていることを考慮して、貸金業者に規制をかける必要がある。今までの新聞広告、TVコマーシャルだけをターゲットにしていると、若者の被害が多数発生する非常に怪しい国になっていくのではないかと思うので、インターネットでの広告に関する調査もやっていただきたいと思う。

インターネット広告推進協議会においても近々自主ガイドラインを出すようだが、金融に関しては借金依存症を引き起こすことにもなるので、規制を設けるように、協議会に申入れを行うぐらいの対処が必要と思う。

(意見)

資料13-1の2ページの一番上に公正証書に関する記載があるが、公正証書によって利息制限法の上限を超える利息を取られることがあるので、法務省に関することかもしれないが、公証人がしっかり確認できるように工夫するべきである。

団体生命保険については保証として付けないほうがいいと思うが、仮に付けるとしても利息制限法の上限を超える利息を保証させられている実態を聞くので、指導のレベルでコントロールが可能だと思うが、注意喚起の実施が必要ではないか。

信用情報機関においても利息制限法に引き直した場合、事故にならないようなものについてまでも事故情報として載せているので、何らかの形で止めさせる必要があると思う。

(意見)

保険の監督指針などをみると、事業者のコンプライアンス態勢が充実しているかどうかについての項目が幾つも書かれており、それをチェックするような仕組みは大切だと思うが、コンプライアンスの遵守状況をみることができる態勢に完全になっていないと思うので、もう一つの仕組みが必要ではないか。

(意見)

埼玉県貸金業協会の例だが、ヤミ金融対策法により貸金業務取扱主任者を1店舗に1名置かなければならないことになり、それまでは40%前後だった協会加入率が現在は約65%まで上がった。貸金業務取扱主任者の置けない業者が廃業に追い込まれたことによるもの。

貸金業務取扱主任者を置いていないと登録できないようになっており、コンプライアンスを向上させるためには、貸金業務取扱主任者のレベルを上げる必要があると思う。

消費者金融の審査は簡単すぎるという話があったが、銀行に行ってもすぐ借りられないという問題があるので、早いということが消費者金融の一つのメリットであると思っている。

保証人についてだが、銀行・信金でも、例えば八百屋など、中小零細の業者に融資する際に資産が個人所有になっている場合には、個人保証を付けている。

(意見)

自主規制と同時に、業界の中でも良い業者が成長し悪い業者が排除されるようなシステムを考えていただきたい。

(事務局)

法令遵守は勿論大事であるけれども、その法令自身に問題があって、守らない者がいるということを理解していただきたい。過剰貸付け規制に違反しても行政処分が行えないし、広告規制についても規定自体はあるが効果がないような状況なので、これらについては是非議論していただきたい。

業界においても、是非、法令遵守を自主規制として業界の方から法律に問題がある部分は改正したほうがいいと提言していただいて、業界の健全な育成に繋げていただきたいと思う。

以上

お問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る