貸金業制度等に関する懇談会(第14回)議事要旨

1.日時:

平成18年3月31日(金)13時00分~15時05分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

3.議題:

  • 事務局説明
  • 討論

4.議事内容:

日本弁護士連合会の宇都宮 健児 弁護士がオブザ-バ-として参加することについて説明が行われた。

資料14-1、14-2に基づき、事務局から説明

これまで過剰貸付けの問題、金利の問題、行為規制、監督体制などの議論を順次お願いしてきたが、貸付けの量、金利、期間、体制、これらをパッケ-ジとして制度論の議論をお願いしたいが、前提として資料14-2に基づき改めていくつかファクトを確認していただきたい。

1ペ-ジ。利息制限法1条2項では、超過部分を任意に支払ったときは返還請求ができないとあるが、昭和39年の最高裁判決において、この超過部分は仮に利息として指定して支払っても無効であり元本に充当されるとされた。

昭和43年の最高裁判決においては、計算上元本が完済となった後に支払われた超過部分は不当利得として返還請求できるとされ、利息制限法1条2項が死文化した。その後、貸金業者に限ってみなし弁済制度が設けられ、利息制限法1条2項が部分的に復活しているが、最高裁判決は、グレ-ゾ-ンを否定してはいないが厳格に解釈している。このため業者側は、利息制限法上限金利を上げて欲しいということになるが、利息制限法は銀行や個人が貸す場合にも適用される民事の基本金利という位置付けになっている。

3ペ-ジは民事の基本金利が制度的にどう推移してきたかを表したもので、明治10年には12%から20%、大正8年には10%から15%、昭和29年には現行の15%から20%となり、いずれも金額区分による三本立て。昭和29年当時の銀行平均貸出金利が9%強、公定歩合が6%弱で、その後これらの金利が現在に至るまで趨勢的に低下してきている一方で、CPI5.6倍に示されますように、この間現在に至るまでの貨幣価値はかなり低下してきている。

出資法と利息制限法の二重金利についての検討では、下に合わせると業者の経営が成り立たなのいでヤミ金融が蔓延るという議論が必ず出てくる。業者の収入・経費を貸出残高に対する比率で残高別に6段階で示したのが6ペ-ジ。

貸付残高に対する経費比率は、中小業者ほど人件費比率が高くなっている。

出資法上限金利の下で一番左側の営業収入を得ており、平成16年度直近の営業利益をみると、1.4%から6.8%までで、現在の経費を前提に仮に利息制限法範囲内で営業するとすれば、小さなところほどかなり厳しいという状況が分かる。一方、過去の推移として平成11年度から15年度まで利益率の下にカッコ書きで経費率を示しているが、この推移から小規模業者ほど経費削減に対応していることが分かる。

業者が営業できなくなるという話と、そういう業者からの借り手がいなくなるというは別の話で、借りる先がなくなるという話も、なくなって借りるのを我慢したほうがいいと考えるのか、法律の枠外にいる人たちの犠牲になる可能性を重視するかで議論が分かれてくると思う。ヤミ金融があまりにひどいことをしているのを知ると、限界的な借り手を法律の枠内で相手にしている業者をどうするのかはより難しい課題だと感じる。

7ペ-ジの貸付残高別業者数をみると、大手6社で残高の7割を占めている一方、業者数で言えば96%が10億円未満の零細の業者。

8ペ-ジのリボルビング貸付商品の例では制度論の前提として示したもの。表の下、中ほどの注にあるように、50万円を金利27.375%、35日ごとの返済で最低支払額が15千円、すなわち50万円の3%とすると、最長返済期間は7年9ヵ月となる。

これまでの貸金業制度の議論ではグレ-ゾ-ン金利が最も注目されているが、29.2%で100万円を10年借りていれば金利だけで292万円になる一方で、10万円を1ヶ月借りれば2,400円になる。貸付けの量と金利を併せて考えていく必要があると思う。

9ペ-ジの信用情報機関だが、業態ごとに分立しシステムも制度も異なる中で加盟や利用を促していく、さらには交流の問題をどう考えるのかということ。

次に資料14-1に基づいて、これまでの議論をつうじて浮上している主な論点について説明する。

最初の過剰貸付規制の議論の難しさは、金利は借り手にとって低ければ低いほど望ましいが、量については借り手にとって当面は少なければ少ないほど望ましいとは必ずしも感じないわけで、中長期的にはやはり少ないほど望ましいいう展開になるという点が、この規制がしばしば親心と称されるゆえんだと思う。

前回紹介した多重債務者の調査によると、6割の人が借入増額を提案され、4割弱の人が必要以上の借入れを勧められており、現行の規定では返済能力を超える貸付けをしてはならないとなっているが、ペナルティのないことが抑止力を制約していることは否定できないのではないかという意見があった。

現行の事務ガイドラインでは、簡易な審査だけで無担保無保証で貸し付ける場合は貸付限度額を50万円または年収の1割としている。また、他社原則3社までという大手業者の自主規制をどう考えるか、さらには、消費者向けの貸付けは大層がリボであることから、返済期間が長く毎月の返済額が少ないほうが当面の負担感は少ないにしても、同時に認識しないまま重い金利負担を負うことをどう考えるのかという議論がこれまであった。

大手7社は返済期間を最低でも5年以内にするという方針を打ち出したが、こうしたル-ルが仮に制度ということになると全ての業者が守らなければならないし、守らなければペナルティがあるというふうに仕組むことも可能になる。

以前、アメリカの取組みとして紹介した、毎月の返済率を例えば残高の4%以上にするといったこととも狙いは重なっている。こうした返済期間、最低返済率といったル-ルが検討される背景にはもちろん金利の高さもあるが、金利の水準によって妥当な期間、または妥当な毎月の返済率はかなり変わってくる。

最初に借りるときは、収入が減ったとか欲しいものがあるといった動機だが、いつしか借金返済が借金の自己目的化していくというプロセスにおいて、すべての業者が借り手の収入と生活費と既存の他社借入れを正確に把握できれば追加的に貸してもいいかどうかという規制も仕組み易いが、これまでのヒアリングや議論を聴いていると、現実的には複数の施策の組み合わせが必要と思われる。

信用情報機関については、加盟や利用を義務付けるかどうかについてこれまで両論あり、異なる信用情報機関相互の情報交流についても個人情報保護という観点からの懸念についての発言があった。

信用情報機関は悪質な加盟希望者を審査し排除するのは当然としても、合理的な理由がないのに加盟や利用を希望する者を拒むのは問題ではないかという意見もあり、もしそうであれば、行政が信用情報機関に権限を持つ根拠が必要になるという考え方もあると思う。

リボルビング取引について、現在、法律上の規定はないが、最長返済期間や月々の最低返済額などを仮に強行規定としてル-ル化するのであれば、法律上定義する必要がある。

カウンセリングについては、「自己破産や特定調停に至る前段階の適切なタイミングで受けていればその後の展開も違ったはずだ」という指摘がよくある。先日発表した大手7社の取組みにおいては、自社での継続取引が不可となった借り手等をカウンセリング機関に案内するとともに、カウンセリング機関の強化のために毎年50億円程度拠出して団体を設立するとのこと。もっと早い段階で自社と取引をしているうちに、例えば契約更新時とか限度額の引上げ時にカウンセリングをしてもらうべきではないかという意見があった。

借りたいという動機と実際に借りるという行動の間に業者の広告や勧誘がある。現行の広告規制では、「借入れが容易であることを過度に強調して借入れ意欲をそそってはならない」とあるが、「即借りられます」と広告しても、「時間が短いという事実を述べているだけで借入れの容易さを過度に強調してそそってはいない」という抗弁になる。

このようにしてはならないことをどう規定するかとともに説明しなければならないこと、あるいはさらに注意喚起しなければならないことをどうするのかが広告の内容の問題。また、テレビ、出版物、インタ-ネット、といった媒介によって違いがあるのが広告手段の問題としてあり、さらにどこまでが行政、どこまでが自主規制で対応するのかという論点がある。

勧誘については、消費者金融においては入口の「借りませんか」という勧誘よりも、入口以降の「必要以上に借りませんか」という現行ガイドラインの禁止規定が重要である一方で、事業者金融においては、入口の部分がかなり重要な論点だと思う。

2.と3.については、現在の規制手法、説明義務、例えば書面交付についても、貸付額、金利、返済期間などを個別に記載することになっており、いくらの金額をこの期間借りたらト-タルの元利負担はどうなるのかということが判然としない。もとより、リボの場合は期間が確定しないということがあるが、最低返済額で返せばどうなるのかといった情報がないと年収との兼合いで負担に耐えられるか分かりづらいという意見があった。

夜間の電話と自宅以外への電話を禁止したところ、昼間、自宅に繰り返し電話してくるということになっており、それも問題だと思う。保証人とりわけ根保証については、かつて商工ロ-ンで大問題になり保証額が変動した場合の連絡義務などが設けられたが、もともとの仕組みとして保証人が認識しているのかという指摘が依然としてあった。

貸金業取扱主任者の資格試験を制度化することによって参入規制を強化してはどうか、貸金業協会の自主規制機能を強化してはどうか、現在、業務停止、登録取消ししかないツ-ルに業務改善命令といった監督ツ-ルを充実させてはどうかという論点については前回報告したところ。また、ヤミ金融取締りという視点も含めて罰則強化などが必要ではないかということが重要な論点だと思う。

4.のカウンセリングについては、事前予防型と事後の債務整理型の区分は困難かもしれないが共に強化していく。とりわけ回復不能な多重債務状態に至る前段階でのカウンセリングを制度として位置付けられないかという意見がある。

一定の金利でお金を借りることの意味を理解していないことにより悲劇が起きていることから、金銭教育の重要性については、国民の金融リテラシ-を高める試みの中で最も重く受けとめて取り組んでいくべき課題ではないかと考える。

自己破算手続き等を簡単にすることについての意見があるが、制度としては相当に改善している。モラルハザ-ドという問題はあるが、現在の日本の現状からすると、改正されて利便性が向上した制度を認知してもらい活用してもらうことが必要ではないか。

金利規制グレ-ゾ-ンの取扱いについては、まず考慮すべき問題として需要者側である借り手のニ-ズと実態がある。

借り手にとって金利は低ければ低いほど望ましいが、借り手の信用リスクが高い場合に低い金利で貸す貸し手がいないのであれば、より高い金利でも貸す業者がいたほうがいいのかどうか。そして、その場合の資金ニ-ズというのは具体的に何なのかというのが当懇談会でも繰り返し問われてきたが、現在に至るまでに判然と割り切れていない。

最初に借りる時は収入が減ったとか欲しいものがあるといった動機だが、いつしかそれが高金利を一つの理由として、借金返済のために借金するのであれば借りずに我慢したほうがいいのか、それとも、過剰貸付けの禁止規制、業者の行為規制、行政や自主規制団体による監督体制というものを強化していけば、プライスについては信用リスクに応じた金利を容認する余地があるのかどうか。

懇談会でのヒアリングでは、人間として生きていく上での必要なファイナンスである消費者としてのニ-ズと、時として短期で大口の資金を必要とすることもある事業者のニ-ズは異なるという指摘があった。

5.(1)マル2は、上限金利を引き下げると採算が合わなくなる業者が出てきて、それ自体は、現在の金融行政においては業者が生きていけるかではなく利用者にとってどういう意味を持つかが重要であるが、限界的な利用者、借り手をどう考えるかである。

マル3は、リボルビング契約取引を商品性に着目して規制するのであれば、月々返しながら追加的に借りている場合にグレ-ゾ-ンの要件を満たせるかということはこれまでも様々な議論があるが、かなりの検討を要する論点。

(2)は、金利というものはそもそも信用リスクに応じて個々に設定されることが資源配分の効率性に資するというのが経済理論だが、貸金業の世界では経済理論が機能しないということが当懇談会のこれまで議論の大きな流れではないかと思う。自由金利を認めても良いという意見は借り手がプロであればという前提で、この場合には投資サ-ビス法などと同様、プロとアマをどう線引きするのかという課題が残る。

そこで次に、上限金利規制を維持するという前提で、まず二重金利を存置する場合の理論的オプションとして3つ挙げた。

マル1に現状維持とあるが、当懇談会では制度としての問題点は解決に向け努力する必要があるというのがこれまでの意見の大勢であったと認識している。グレ-ゾ-ンが問題とされるのは大半の借り手が支払い義務のないことを認識しないまま高い金利を負担しなければならないということで、これを厳格化する場合には業者が事前に超過部分は支払い義務がない旨を説明しなければならないとか、超過部分については取立てをしてはいけないとか、さらには弁済時の書面も利息制限法内の金利と超過部分を別に記載しなければならないといったル-ルを仮にだが設けると、法的支払い義務がないことを認識しながら契約した以上は払うというそういう借り手だけが払う文字通り任意の支払いになると思う。

仮に、ここまで厳格化するのであれば、利息制限法の範囲内で営業するほうがかえって負担が少ないと感じる業者もいると思う。

一方で、現行の書面交付要件がリボルビング契約という形態、提携ATMの増大、テクノロジ-の進展に整合的ではなくなっており、要件の簡素化や電子化を認めるべきという要望が業者からあった。これについては制度として二重金利が解消すればおのずと効率性・利便性を追及すればいいのではないかというのが流れだったと理解しているが、仮に制度として解消しない場合には利息制限法の範囲内で営業する業者に対して効率性利便性の追及を認めるという選択肢もあると思う。

(4)ではグレ-ゾ-ンを廃止する場合の理論的なオプションを3つ挙げたが、具体的な方法はいろいろあり得る。出資法の上限金利を利息制限法金利に合わせる場合には、例外なく一律に合わせるという方法もあれば、小額短期であれば高金利の弊害も少ないということに着目して、例えば小額短期を除いて引き下げるという方法もあれば、逆に、消費者金融の大層はリボルビング契約であることに着目して、リボルビング契約について下げるという方法もある。特定の貸付けだけを引下げの適用除外とするとか、特定の貸付けだけを引き下げるとすれば、勿論それはそうするのが望ましいという現実のニ-ズが背景になっているためだが、潜脱をどう防ぐのかということも制度設計上の課題になる。

なお、いずれの場合にも、一気にというよりは段階的に実施するのが現実的なオプションではないかと思う。逆に、マル2のように利息制限法を出資法に合わせるとすれば、銀行や個人も含め全ての取引について上げるのか、貸金業者に限って上げるのかというオプションがあり、これは中間的な金利に一本化する場合も同様。

また、現行利息制限法の10万円と100万円という金額区分については、昭和29年以降貨幣価値も大きく変化しているので、刻みを変えるという考え方もあると思う。

資料14-3に基づき、事務局から説明

前回メンバ-から「無人機による契約だけではなく、インタ-ネットやコンビニエンス・ストアでも契約が簡単にできるのは問題」という指摘があり調査したのが資料14-3。

1ペ-ジの計数は消費者金融連絡会TAPALS白書の2005年版にあるものだが、契約の申込みチャネルとして、インタ-ネットやコンビニエンス・ストアが入っている。インタ-ネットあるいはコンビニエンス・ストアでの申込機を使うと、どのように契約が進むかについては各社微妙に方法が異なる。

2~3ペ-ジは大手4社の内容で、大まかにまとめると1ペ-ジ注2のとおり、インタ-ネットで申し込むと、次に業者が電話で在職確認や審査を行い、その後改めて店舗契約機で契約し利用を開始する。店舗・契約機で契約する代わりに契約書類等を郵送する場合もある。即日振込みを希望する客に対しては、電話又はweb上で契約した後口座に融資額を振込み、その後契約書類等を郵送するという流れになっている。

コンビニエンス・ストアに申込機を設置する業者も増えており、ファミリ-マ-ト、am/pm、スリ-エフに設置されているものを調べたが、契約の流れはインタ-ネットでの申込みとほぼ同様。

即日融資の場合は電話で契約しており、契約前に電話で契約の内容について若干説明を行っているが、約款を画面に表示することができるインタ-ネットと違い、コンビニ等の申込機では画面に表示できる情報量は限られている中で、事前の契約の説明をいかに確保するかについては業者によく考えていただきたいと思う。注意を要する点だと考える。

今回大手7社は計画的な利用を促すという思想を延長して自主的な取組みを発表しており、その中では利用者自身に自分の金銭あるいは家計管理の自己チェックを促しているので、それと整合的な形で契約直前の説明をどのように確保するかが課題と考える。

討論

(意見)

資料14-7で日弁連の金利規制及び貸金業制度に関する意見を提出した。これはこの懇談会で整理している論点について、これまで日弁連が過去に出した意見書の主なものをまとめたもの。

この中でも非常に重要な論点になると思う金利規制について発言したい。

グレ-ゾ-ン金利、みなし弁済を撤廃するかどうかはこの前の最高裁の判例が大きく影響するのではないかと思うが、グレ-ゾ-ンを撤廃した後の金利をどうするかについて日弁連の考え方は、昭和39年の最高裁判決以来基本的な一貫した流れとして、利息制限法を高金利から経済的弱者を守る金利規制の大原則として捉えており、その例外であるみなし弁済やグレ-ゾ-ンは厳格に解釈している。

最高裁も実質的にグレ-ゾ-ン金利を廃止するというメッセ-ジを発しているが、利息制限法の上限金利を上げると、最高裁が強調してきた高利から経済的弱者を守るのが大原則であるという趣旨に逸脱することになる。そのため日弁連としては、今回の最高裁判決も出資法を利息制限法まで引き下げる一つの重要な判断材料としている。

資料14-2の1ペ-ジにも、昭和39年11月18日最高裁判決、利息制限法の超過部分を元本に充当するという判断があるが、その中では「このように解釈することが経済的弱者の地位にある債務者の保護を主たる目的とする利息制限法の立法趣旨に合致する」とあり、この判断が延々最近までの最高裁の判断の流れに繋がっていると思う。

日弁連が出資法の上限金利を利息制限法まで下げるべきと言う理由は、最高裁の判断がグレ-ゾ-ン金利を実質否定すると、当然債務者の中には弁護士や司法書士に相談し、利息制限法で引直し計算をすれば大幅に債務が圧縮されたり過払い金が発生する場合があり、これは多重債務に陥っている者にとっては大変な救いになる。

しかし現在、消費者金融の利用者は2,000万人を超えると言われているが、その中で利息制限法の保護を受けている人はごく一部だろうと思う。多くの人は利息制限法が何かを知らないままに利息制限法を超える高金利を払い続けているのが現状ではないか。

国民生活センタ-が出している多重債務問題の現状と対応に関する調査研究でも、借りる段階で利息制限法の金利制限を知らなかったという人は9割を超えている。結局、多くの利用者の中で、利息制限法の保護を受けられるのは、現実的には多重債務相談のため弁護士会等を訪れた人に限られており、これは大変不公平だと思う。そうすると、保護を他の利用者にも徹底させる方法としては、出資法の上限金利を利息制限法に合わせるしかないというのが日弁連の基本的な考え方。

そういう観点からすれば、利息制限法の現状の上限金利を上げて出資法との中間でまとめる、あるいは出資法上限金利である29.2%で一元するという議論は全く本末転倒な議論であると考えており、日弁連としては出資法の上限金利を利息制限法の制限金利まで引き下げる。43条みなし弁済規定は廃止するという主張をしている。

(意見)

まずグレ-ゾ-ン金利については、資金需要者及び事業者の双方において43条のみなし弁済規定の運用に関し混乱が生じている現状を考えると、本規定を見直していわゆるグレ-ゾ-ン金利は撤廃すべきだと考える。

平成12年の出資法改正により、上限金利が40.004%から現在の29.2%に引き下げられ後、平成14年の7月に信販協会の会員45社を対象にしてアンケ-ト調査を実施したが、56%の会員会社から「経営に影響があった」という回答があった。しかし、今後の金融政策の展開に伴い借入れニ-ズの上昇が予想される一方で、現状の貸付金利が突然一方的に引き下げられることになれば、信用リスクが取れなくなりリスクの高い人への資金供給が難しくなると思わる。

法律で定める上限金利は比較的リスクの高い人でも融資が受けられる許容範囲に設定し、その中で多様な商品を提供することが必要と考える。リスクの高い人に対しては金利も高くなるが、リスクの低い人には金利の低い商品を提供するというリスク・ベ-スト・プライシングを基本として、需要者のニ-ズも勘案して金融商品の選択肢を広げるなど市場原理に委ねることが貸金業界の健全な育成を促すものと考える。

一方で過剰貸付け防止対策や事後の救済策としてのカウンセリング機能の強化や充実、事業者参加型のセ-フティ-ネット論を含めた貸金制度のあり方についても、事業者側としても自主的に取り組むべき重要な課題と認識しており、この問題は上限金利の問題と表裏一帯の関係にあると考える。

以上のような観点から、銀行と異なり預金という調達手段を持たないノンバンクにおける小口無担保無保証の貸付け業務の上限金利については、金利の上昇が予想される現段階においては現行の出資法の水準程度が妥当と考える。

ノンバンクにとって、調達コストが上昇すると経営に非常に大きな影響を及ぼす。したがって、調達金利の上昇によって収益が圧迫されると貸倒れリスクを抑えることになり、リスクの高い顧客に対する融資が難しくなる。

(意見)

現在金利については二つの法律が設定されているが、臨時的なものだと思う。現在まで続いていることをどうみるかだが、そのままでいいとはとても言えない。

以前、この懇談会でも資料が提出されていたが、事業者でも20%を越えた金利を払って営業を継続するのは難しいと思う。また、調達金利が大手の場合は3%、2%という状況で、それに費用や儲けを足して考えた場合、やはり今の金利体系はどう考えても無理があるということになると思う。

また、多重債務に陥り易く生活があまり楽でない人が収入減により、小口の借入れを行う場合の対応をどうするかについては、一つの方法として社会保障的なものか社会扶助的なものがあると思う。数万円借りることが原因で多重債務になることは止めなければならないので、社会的な仕組みを設ける必要があると思う。

中小企業については、政策金融をどのように使うかということが現在の政策金融改革の中で考えられると思う。政策金融機関がそれなりに機能して、運転資金が非常に短い期間ではあるがうまく廻っていくには問題があると思う。

もう一つは、カウンセリングが重要だと思う。現在はカウンセリングが機能していないので、第三者的なところがカウンセリング機関としてきちんと位置付けられる必要があると思う。

(意見)

カウンセリングには、事後的なカウンセリングと事前予防的なカウンセリングもある。それから途上の段階でのカウンセリングもある。ある程度中立的なところがそういう任務を担うというのは貴重な意見。

(意見)

多重債務に関しては、借り手のリテラシ-についての問題も今後大いに力を入れていく必要がある。その一つにカウンセリングや教育などいろいろあるが、情報については圧倒的に業者のほうが持っているので公正を欠いていると言えると思う。

何件か間接的に貸金業に関する事件に立ち会う経験をしたが、そのような被害者の中には大学卒のベンチャ-企業経営者などもいる。ベンチャ-企業を経営している友人の話では、まず取立てが暴力犯罪すれすれで行われており、契約自体も日本人の大半の人達が読んでも理解できないような専門用語だけで書かれおり、非常に公平性を欠いている。また、借り手の方も急を要するためあまり慎重に読まないし、そういった暇もない。また、web上で手軽に契約が済ませることができ、お金が振り込まれてから改めて契約書を交すようになってくると、かなり危険なのではないか。

保証人となり大きな被害を受けた人もいるが、毎日自宅で暴力紛いの行為を受けて幼い子供達は毎夜泣き叫び、一家が自殺寸前まで追い込まれて、お金のない私が立て替えたということがある。今その2人の子供は立派な若者に成長しており、当時の取立てで殺されなくてよかったとしみじみと思う。

彼らは利息制限法や上限金利が存在することすら知らないと思う。また、その保証人はそういう説明を受ける場面は無かったと思う。借り手は説明を聞いたかもしれないが、借り手を通じて依頼された保証人はそういうことを全く知らされないままに、友情などで引き受けてしまう。

現実に100万円、200万円のことで自殺に追い込まれていく人が後を絶たないので、そういう人達を取り巻く金融環境が今のところ全く救いを見いだせない仕組みになっていることは問題ではないかと思う。

中小企業や地方のベンチャ-の人達の立場から今回の問題をみると、確かに金利が下がることは非常にありがたい。しかし、今回この懇談会に参加するにあたって10人ぐらいの地方を含めた中小企業の方々から話を聴いたところ、「国が上限金利をいくらに設定するかは自分達にはあまり関係がないことで関心は無い」「どこに設定されようと、結局自分達が借りることができるまでいくつも段階を経て、そして現在の実情とあわせて金利が決められるのであまり関心を持っていない」という意見だった。それよりも、「ゼロ金利のような低い金利は望んでおらず、正当な金利を払うことについて全く異議はない。正当な金利は払うので大企業だけではなくて中小企業、地方のベンチャ-にも貸していただけるようなそういう仕組みを作っていただけるほうがずっとありがたい」と言っている。

世の中が変化する度にその都度、金利をどうするか金融の仕組みをどうするか右往左往して考えるのではなくて、やはり日本の中小企業政策とかベンチャ-育成を国としてどのように考えて、どういった国作りをしていくのか、そういうこう大きな政策に則ってその中で金利も考えてほしい。一概に金利は低ければ低いほど皆が喜ぶとは言えないのかもしれないと思う。

(意見)

カウンセリングについてだが、我々が考えているカウンセリングはあくまでも、消費者が非常に返済に困った時にそれを助けて、返済計画を立てるということ。今回、業界で資金を拠出してカウンセリングを行うことを決めたが、アメリカでは個人破産を申し立てる6ヶ月前には必ずカウンセリングサ-ビスを受けなければならない。その場合には、カウンセラ-と一緒に返済計画を立て、それでかなりの人が立ち直っていると聞いている。

おまとめのロ-ンでカウンセリングまがいのようなことを行うことに対しては、是非きっちり取り締まる必要がある。アメリカでは、国が認可したカウンセリング機関がカウンセラ-として登録して消費者と共に返済計画を立てているので、そういうことを目指していただきたいと思う。

参入規制については、前回ニュ-ヨ-ク州のケ-スを話したが、イリノイ州など他の州でも参入についてはきっちり規制をしている。先程も貸金業に関する被害の話があったが、貸金業者になってはならない者が登録を受けていると思うので、そういう業者は参入規制で防ぐ必要がある。また回収のル-ルは、日本の貸金業規制法も改正されて大変立派になったわけだが、コンプライアンスの遵守状況を監視する制度が必要と思う。

金利についてだが、在日米国商工会議所では金利を上げろとは言っていない。ただ諸外国と比べて決して高くない。アメリカとイギリスは実質的に金利規制がないことは以前も話したが、カナダは60%、オ-ストラリアでも40%代。

ドイツとフランスは金利規制があるが、ほとんどの先進国が日本より高い水準。またイギリスの貿易産業省の調査によると、ドイツには金利規制があるが、代わりにフルタイムの仕事を持って特に生活において苦労していないような人は小口の融資が受けられないという調査結果が出ている。さらに、信用履歴に傷がある者は融資が受けられない。規制がある代わりにそれに対する代償がある。また、フランスとドイツでは、ブラックマ-ケットに行くケ-スがイギリスより多かったという調査結果も政府から発表されているので、こういったことについて理解いただければと思う。

(意見)

事後的なカウンセリングについての話だったが、事前的とか途上のカウンセリングについても考えていただきたい。クレジットカウンセリング協会とタイアップするなど、既存の制度とうまく整合するような形で考えていただければと思う。

参入規制については、以前大阪府からも、悪質な業者はペ-パ-テストがあると入らないようになるという話があった。色々な参入規制の方法があると思うが、試験、ペ-パ-テストの制度などで規制する方法があると思う。

(事務局)

大変貴重な意見をいただいているが、それぞれの意見についてファクトをしっかり提示していただいた上で議論したほうがよい。調達金利が高くなることが予想されるため、現在の出資法上の金利を維持する必要があるという話があったが、先般事務局から出した資料でも、調達金利は大手が1%台で中小は3%代という状況で、金利上昇リスクがあると言われても国民は納得いかないような議論だと思うので、その点についてももう少し詳しくファクトを含めて、経営にどういう影響を与えるかを教えていただいた上で改めて意見を聴きたい。

金利を下げるとリスクの高い人が借りられなくなるというのは分かるが、しかし高金利が簡易な与信判断や安易な貸付けを助長することについても理解いただきたいし、この懇談会でも否定するものではないと思う。

ベンチャ-向け融資についての話があったが、事業者ロ-ンについては、金融庁で定期的に中小企業金融について、銀行協会、政策金融機関などに対してしっかりした貸し出しを行うようにお願いしていることを報告したいと思う。

海外の例について話があったが、アメリカのある州では、カウンセリングを受けていることを証明しなければ貸付けを行わないという例があるので、業界からはこういった例も出していただきたい。事後のカウンセリングを受けていない場合に貸付けた場合は返済を求めないこととするというぐらいの方向性を、業界としても出していただければと思う。

金利に関する諸外国との比較についての意見が毎回出るが、金利だけでなくその他の行為規制も含めて議論しないと議論の方向が拡散してしまう。

イギリスでは統一消費者信用法制が現在検討されている段階だが、この中には過剰融資が見つかった場合に免許取消しといった厳しい内容を検討しているとのこと。海外では金利規制が緩いというが、このように実は規制が厳しくなっている面もある。金利だけではなく、過剰貸付けや事後の厳しいチェック、カウンセリングなども含めた議論を行うことにより、懇談会のメンバ-や世論も納得すると思うので、そういう議論をお願いしたい。

(意見)

以前、金融庁から報告していただいた資料では大手から小規模までの平均調達金利は1~4%。TAPALS白書2005年版によると消費者金融連絡会5社の期中表面調達金利は2005年3月期で1.61~2.22%。しかも固定金利の調達比率が74.8~97.3%という高水準になっており、長期固定かつ低金利で借りているのが大手5社の実態。資料14-2の6ペ-ジに収益・費用構造についての表があるが、営業利益は、貸付残高10億円未満は1.4%だが、5,000億円以上は6.8と大きく違っており、大手の収益比率が非常にいいことが分かる。このような状況を前提とすると、なぜ大手も中小も消費者への貸付金利が20%台に張り付いているのか大変疑問に思う。

20%台の高金利で借りている人達が低所得者ということを考えると、返済不能に陥ってしまうのではないかと考える。同じくTAPALS白書2005年版に多重債務者の平均像が示されているが、この中では現在年収が240万円で、デ-タ対象者の6割がカウンセリングを受ける3年前から返済が困窮化しており、その理由は返済のための借入れが最大の原因ということが事業者側の分析でも出されている。

実際に可処分所得24万円程度の場合、生活費以外に回せるゆとりのお金は4万円弱になるので、3社から合計で140万円借りていれば利息分だけしか払えず、そこからさらに借りると生活が破綻するような状況にあるので、非常にこの金利が高いということが言えると思う。

そういったことから、まずみなし弁済規定を廃止し、そして出資法を利息制限法の制限金利の水準まで引き下げるべきだと思う。また、現在の利息制限法の水準は昭和29年に定められたものなので、妥当かどうかの検証が必要ではないかと思う。

リボルビングでの返済が増えているという話が最近続いているが、このリボルビングでの借り手がどのように返済しているかの仕組みについて、事務局の方で資料などを準備していただけると、リボルビング払いについてもう少し突っ込んだ話ができるのではないかと思うのでお願いしたい。

(質問)

営業利益は大手の方が非常に多いという話だが、普通経済学で考えると、儲かっているのなら自分もその業をやってみよう考えて参入する業者が出てきて、供給曲線が右に動いて金利が下がるはず。しかし、それがなぜ起こらないのかについて業界の方に教えていただきたい。

(回答)

最近は、特に銀行等が参入している。IT関連企業も参入しており、今後は競争原理によって金利が決まってくるようになるので、全体として貸出金利は下がる傾向になると思う。

それと、資料14-2の6ペ-ジの5,000億円以上の貸付残高がある業者の営業利益が6.8%ということについてだが、これは昨年度のことで今期については過払い返還請求が非常に増加しており、16.6%の経費計が今期は恐らく18%近くになると思う。資金調達費は確かに固定化されているが、これから景気が良くなっていくとその分金利が上昇してくるので、そういったことも考えると全体的な経費は今後増加するのではないか。一方で自由競争、競争原理が働いてくるので、大手の営業収益は低下する傾向にあると思う。

また、業界側から何度も言っているが、金利が引き下げられると与信が引き締められて厳格化が起こるという事実も考慮していただきたいと思う。

もう一点は金利と多重債務問題については切り離して考えていただきたい。これまでも懇談会で話があったと思うが、2000年に40.004%から29.2%に引き下げられその後自己破産の増加が見受けられるが、これについては景気など様々な要素が関係していると思う。

多重債務問題については、参入規制をどうするかということも考えられるが、我々としては先日発表したように、借り過ぎ防止キャンペ-ンをテレビなどにおいて自主的に行ったり、契約する際には様々なパンフレット、消費行動診断サ-ビスを利用することによって借り過ぎの防止に努めていく、また、途上与信においても借入件数が増えてきた時などは家計管理診断サ-ビスとか、そういったものを実施していきたい。

返済困難になった方に対しては、我々がカウンセリングとして支払い計画に対して協力を行い、利息の免除や元金の一部放棄で、返済しやすくなるような手法も現実にとっている。そして、不幸にして本当に返済困難になった方に対しては第三者機関におけるカウンセリングが必要なので、そういった所に対しても我々は資金を拠出して、そういった部分で多重債務問題を解決していくことが非常に重要。また、多重債務は再発防止を含めた金銭管理教育や心理ケアも必要ではないかというふうに思っている。今回の7社の申し合わせではこのようなことをやっていこうという考え方を取っているので、こうした点も理解いただきたいと思う。

(意見)

主な論点に沿って意見を述べる。

まず、過剰貸付・多重債務の防止マル2の信用情報機関の活用と問題点についてだが、これに関しては、議論を行うには情報が余りにも少ないと感じている。そういう意味で、信用情報機関が持つ情報を、何らかの形で例えば監督官庁などが見ることができるように制度化するのが一つの方法として考えられる。

カウンセリングは大事だが、自己破産のような免責制度をどうするかということも重要。行為規制や参入規制の制度設計をきちんとしていただきたいが、多重債務に陥った場合にどこに相談に行けばよいのか分かりにくい。困った時に普通に相談できる所を制度化していただきたい。

金利規制については、原則としては自由な市場・経済理論を信じているが、日本の消費者金融市場における上限金利というのは、社会的に必要な規制と位置づけられると思う。

出資法の金利を利息制限法まで下げてグレーゾーン金利を廃止した場合を考えようとしても、結局これまでの議論では、限界的な利用者が借りられなくなるという話になり止まってしまう。

しかし、健全で限界的な利用者の借入れは公的制度である程度補えるのではないか。資料の14-2、6ページの収益と費用構造、7ページの貸付残高別業者数をみると、経費に占める貸倒償却費の割合は大手も小規模業者もあまり変わりがないが、貸付残高をみると500億円を超える貸付残高の業者で貸付全体の90%を占めている。ここで限界的な借り手が300万人存在するとして、平均借入額をかけると合計6,500億円の借入れ。この中から貸倒れが出るわけだが、国がフリーター対策などをうったり、中小企業への信用保証制度で5千億円、6千億円が毎年貸し倒れて税金で補填している数字と比べると、大きくはない。消費者金融での限界的借り手の問題はこういったセーフティーネットなども総合的に組み入れて、解決していけるのではないかと思う。

(意見)

信用情報機関についてだが、アメリカでは情報機関を統合しており、ホワイト情報も交流している。しかし、アメリカでも年間200万人が破産しており、日本の場合だと100万人が破産していることになり、現在の日本の破産件数20万件の約5倍になる。

先程アメリカではカウンセリングを一生懸命行っているという話があったが、それでもこれだけの破産者が出ていることについては様々な要因があると思う。アメリカは基本的には規制緩和で金利規制を撤廃して、低所得層に対してはペイデイロ-ンで大体年間700~800%で貸しているのが大きな要因になっていると思う。

同じような問題が一時金利規制を撤廃した韓国にもある。昨年韓国の調査を行ってきたが、韓国では金利規制の撤廃によりかなりの高金利貸付けを行う業者が激増した。これとクレジットカ-ドの利用促進策が相まって、4,800万人の人口中約370万人もの信用不良者が出た。韓国では深刻な社会問題になっているので、こういったことを検討していただきたい。

カウンセリングの問題だが、現在日本クレジットカウンセリング協会では、弁護士会から派遣された弁護士が債務整理を行っている。基本的に任意整理により、業者と交渉して利息制限法に基づいての債務整理を実施しているが、一般的に誤解されていると思う点は、ここはカウンセリングというよりも債務整理の機関。もちろん破産状態にある人に対しては弁護士会を紹介しており、破産状態にある人の債務整理は各都道府県にある弁護士会、あるいは最近は司法書士会で行っている。

ところが、こういった誰でも相談できる窓口があることを高校や大学で教えていない。業者は、広告、勧誘、CMなどで非常にたくさんの情報を提供しているが、受け手である消費者は多重債務で行き詰まった場合にどこに相談すべきかについて、学校教育とか地域などで教える機会が余りにも不足しており、アクセスしている人は行き詰まっている人の一割ぐらいにすぎない。ほとんどが利息制限法の引き直しや場合によっては破産で救済できるのに、自殺や夜逃げなどに陥っているので、この点も是非検討していただきたいと思う。

それから先程からカウンセリングについては中立的な機関ということが指摘されているが、2000年にドイツとフランスを調査したところ、フランスでは各都道府県に一つ過剰債務委員会というものがある。この過剰債務委員会の事務局を担っているのはフランス銀行、日本の日銀に当たるが、このフランス銀行の職員が1,000人くらい配置されている。負債を抱えた人は誰でもそこを利用できるようなシステムになっている。

ドイツには債務者相談所というものがある。全ドイツで700ヶ所くらいあって、さらに消費者センタ-でも債務整理を行っている。そして消費者センタ-と債務者相談所に連邦と州が財政的支援を行っており、こういったことも是非検討していただきたい。

金利の問題になっていくと、必ず業者が営業可能かどうかということと利用者側の問題が出てくるが、私達が利用者側である行き詰まった人の相談に乗っていることを是非踏まえていただきたいと思う。

規制緩和に関し消費者ロ-ンのアベイラビリティ-についてよく言われるが、消費者金融は利用できることがいいのではなく、通常の生活をしながら生活を破綻させないで返済できるかどうかが重要。一度借りただけでも大変な高金利の場合、その後は地獄の生活が待っている。返済できる金利の水準がどの程度かは経済学的にすぐに分かると思う。

(質問)

消費者金融会社の貸付けは基本的に無担保無保証なので、フロ-ビジネスだと思う。例えば大手では、年収に対する貸付限度額あるいは考え方、融資基準のようなものがあるか教えていただきたい。

(回答)

当然年収も加味して審査し、支払い余力を出している。月収、生活費、他社借入れの返済金額などを加味しながら、慎重に審査をして与信額を決定している。50万円以下の融資を店頭の簡単な審査で行う場合にもリスクを負うので、返済余力や属性など様々なものを見て審査している。

(質問)

クレジットカウンセリング協会が出した資料では、カウンセリングを受けた相談者の債務件数は平均8.4件になっているが、なぜこんなに多いのか。大手では原則3社以内、例外で4社の借入先があっても貸すこととしており中小業者の問題かもしれないが、なぜ借入先が8件にもなっているのか。これが過剰貸付け、多重債務の問題に繋がっている訳だが、この理由について教えていただきたい。

(回答)

大手の場合は3件とか4件で止めている。また、支払い余力をみながら、貸し付けた後に返済が困難になるとか他社借入れが増えてくると、与信額を下げたりゼロにしたりして返済してもらう。そして本当に困難になったら、返済計画に協力をしていく。

借入件数が増加するのは、NIC会からも「登録業者は全て情報センタ-に加入すべき」という話があったが、登録業者の中に信用情報センタ-に加盟していない業者がいることに原因があるのではないかと思う。

(質問)

例えば、登録要件として必ず信用情報センタ-に加盟させる。また、業者が貸すときには必ず、多重債務に陥った場合にはカウンセリング協会に行くことを知らせる、ということをしっかり行った方がいいと思うが、どうか。

(回答)

情報センタ-にきっちり加入させた方がいいと思う。ただ、情報センタ-に入るときには、貸金業登録の参入規制をしっかり行う必要がある。情報センタ-でも完全には管理ができないところがあるので、情報管理ができない業者や個人情報保護法上問題がある業者については、参入規制をどのようにするかが大事だと思う。

(回答)

情報センタ-加入を義務づけ、参入の要件とすることには賛成。

我々としては一歩進んで、情報センタ-の信用情報の交流を是非進めていただきたい。それによって適正な与信判断ができるし、情報センタ-の充実は今後必要だと思う。

字が小さく分かりにくいという話があったと思うが、ディスクロ-ジャ-も非常に大事なので、情報の開示要件について、是非今後はしっかり規則を作っていくことが大事だと思う。

業者はたくさんの情報を持っているが、消費者は持っておらず情報の非対称があるが、それを直すには根本的には金融教育の充実が必要。今回、業界の拠出によって、これについても力を入れていくことになったが、今後一つの大きな重要テ-マだと思う。

(回答)

情報センタ-に加入するためには貸金業協会の会員でなければならない。協会の加入率が45.8%で、協会員が情報センタ-に入っている割合は約33%。協会に加入しない業者は情報センタ-の情報は得られない。また協会員でもセンタ-加入せず情報を持たない業者がいる。さらにヤミ金融業者で情報を持たない業者がいる。

金利の件だが、商工ロ-ン問題は金利の問題ではなく取立ての問題だったが、2000年に金利が40.004%から29.2%に下がった後途端にヤミ金融が流行り平成14年にヤミ金融問題がピ-クとなった。金利が下がれば全部が解決ということにはならないと思う。だから金利についてはある程度29.2%の範囲で利用者に対する選択肢が必要。現在も、銀行、信金、大手貸金業と銀行の合弁会社など信用リスクの低い利用者には金利を低くしており、リスクに応じた金利による貸付けが増えていくと思う。

多重債務者の問題については、登録の参入規制を強化しないとなかなか解決しないと思う。業界としても参入規制と多重債務者と取立ての問題については、これから取り組んでいく必要がある。大手7社でも多重債務者問題を解決するための方向性を公表したが、社会協約のようなものが重視されれば金利についても理解していただけると感じる。また、説明責任がもう少し充実すれば、多重債務問題も無くなってくると思う。

(質問)

資料14-6の大手消費者金融7社の自主的な取組みについての3ペ-ジ(3)リボルビング取引における計画的な返済の促進についてだが、「最長でも5年以内で返済できる計画を利用者に提示、説明する。」とあるが、具体的に説明していただきたい。5年の起点をどこで考えているのか、最初に貸し出した時から5年ということなのか、借入れが1件1件増えるとオ-プンエンドで伸びるのか教えていただきたい。

2つめは、5ペ-ジ2の(1)の借り過ぎ防止キャンペ-ンの実施についてだが、確かに現在テレビでは、計画的な借入れ、収支のバランス、と数秒だけ言っているが、あれで効果が上がっていると考えているのか。免責のためにやっているように感じるのでその効果について教えていただきたい。

6ペ-ジの(3)にTVCMに関する新たな施策の実施とあるが、TVコマ-シャルを自粛するのではなくて、もっといい他の媒体に移行しているのではないか。インタ-ネットで若者に対するセグメント広告を行っており、販売勧誘につながるようなバナ-もある。こういった媒体に関して今何か検討しているのであれば、ぜひ教えていただきたい。

今日、団体信用生命保険に関する資料が出されているが、実際に借り手はどこの保険会社と契約しているのかさえも知らない状況で保険契約を行っている。普通、銀行のロ-ンなど他の金融機関との契約の場合には、必ず借入契約書と別な書面で契約し更に告知書を出すという形式になっているが、消費者金融はなぜそうなっていないのかについて教えていただきたい。

インタ-ネットで大手消費者金融の保険について見てみたが、「告知が必要」と書いているが、保険金が支払われない理由の中には、「入院又は通院中に債務額の増額が行われたとき、増額の部分は支払われません」とあり非常に複雑な保険だと思うが、それに関しては契約者にどのように認知させているのか。通常の告知書は理解するのが難しいが、それを契約書と一緒の形で本当に借り手が認知して契約していると言えるのかについて見解を聞かせほしい。

(回答)

あくまでもリボルビングの特徴は、その限度額の中で自由に借入れと返済を行うということ。そこで、5年以内で完済可能なミニマムペイントを提示していくこととした。

借り過ぎ防止キャンペ-ンについては、今までの一般広告と異なる広告を、一般の消費者の方々にも理解してもらえると考えて6月から9月にかけて集中的に行うこととした。

インタ-ネットでの広告については、これについても今後懇談会での意見を聴きながらどのようにしていくかを、現在の状況を踏まえた上で判断していきたいと思う。

団体生命保険についてはこれまで付けていたが、亡くなった債務者の親族には非常に喜ばれている。本来ならば、我々の貸倒れに関する規定では債務者が死亡した場合は債権放棄を行うことになるが、急に亡くなった場合に保険でカバ-できる形式をとっている。契約等に関しては、契約書にはそういった内容を明示しているし、どこの保険会社と契約するかということも明示している。

「入院又は通院中に債務額の増額が行われたとき、増額の部分は支払われません」ということについては、恐らく生命保険の約款の問題だと思われる。我々は入院中の客に貸増しをするようなことはしないし、そのようなことをすれば我々がリスクを負うことになる。客が入院しているような状況の場合は当然回収行為も行わない。

リボルビングの返済期間を5年にすることについては、具体的にどのようにして実施するか今後決めていきたいと思う。

(意見)

国民生活センタ-の調査では、61.3%の人が貸付可能限度額の増額の提案を受けて、38.6%の人は必要な金額以上の借入れを勧められたとのことで、こうしたことが過剰貸付けや多重債務の防止機能が働いていない理由と考えている。今後検討を進めるにあたっては、多重債務や過剰貸付けに陥る過程を分析して全ての要因をピックアップしていただきたいと思うが、私自身が考えている要因は5つある。

1つは広告。広告については、懇談会でも何度も意見が出ているが、どういった内容を盛り込むかとか活字の大きさに加えて、広告頻度の規制についても考えていただきたい。また、セグメント広告に限らず、インタ-ネットを利用している人は毎日「お金を借りませんか」という案内を受けていると思う。いろんなホ-ムペ-ジの上とか横の方で借入れ勧誘がされており、不招請勧誘の一類型だと考えられるので、ここまで視野を広げて広告規制を考えていただきたい。

2つめは勧誘ル-ルについてだが、お金を借りることに関する勧誘ル-ルは非常に手薄になっていると思う。ATMなどで契約ができるというのはおかしいと考えているので、勧誘ル-ルの明確化が必要。

3つめは説明義務を課すことについて。国民生活センタ-の調査でも、9割の人が利息制限法の存在を知らされていなかったということなので説明義務を課す必要があると思う。

4つめは信用力の調査。信用力の調査には方法が2通りあると思う。1つが総額についての規定で、数値化して示すのは困難という話があったが、是非事業者の責任で明確化を図っていただきたい。また、信用情報機関については加入していないことの問題が出されたが、全件照会していないことも問題。それから情報の交流に関する話も出ているが、事業者の貸付手法を見ると、信用力がある人に貸すという貸増しのために信用情報機関が利用されている可能性が非常に高いと思われるので、それについての明確な規定が必要だと思う。

5つめは、資料11-5に過剰貸付けに関するアメリカの主な規制例、バル-ンペイメントやリボルビング契約におけるミニマムペイントなど参考になる事例があるが、返済方法によって過剰貸付けとか多重債務に陥っていくことがあると思うので、返済方法についても検討する必要があると思う。

これらについては既に現行法で規定を設けているものもあるので、なぜ機能していないのかという分析と、イギリスの消費者信用法制なども参考にして検討を深めていただきたい。

(意見)

資料14-1の2.3.4.行為規制、参入規制、カウンセリングについては、基本的に抜本的に充実させることが重要だと思う。特に行為規制に関しては説明義務、参入規制についてはコンプライアンスやリスク管理の体制、情報センタ-の加入を要件にすることが重要ではないかと思った。カウンセリングに関しては、色んな組織があり民間でもフィナンシャルプランナ-などがいるが、行政が基準を設けてその基準をクリアした人からカウンセリングを受けることを義務づけるなど、身近な所ですぐにカウンセリングが受けられるような体制を全国的に作ることが重要だと思う。

金利規制については悩ましい問題があると思うが、グレ-ゾ-ンについては当然廃止すべき。やはり法的な確実性とか予測可能性を高めるという意味で、利用者だけでなくて業者にもメリットがあるはずなので、そうして市場自体を正常化していくことが重要だと思う。

金利水準については、やはり引き下げていく方向だと思うが、行為規制との関係がある。しっかりした審査をできるようになる情報が共有できるようになっていけば、当然、危ない資金需要者に対する貸付けが減るはずなので、資金需要者の情報をより多く入手して審査することにより金利を引き下げられるような環境を作っていくことが重要だと思った。

また、利息制限法は昭和29年に作られた金利水準でありかつ区分なので、この水準については現段階でどういうレベルが適正なのかを改めて考える必要があると思う。

(意見)

現在、金融庁が行う検査がどのくらい行われているかについて事務局から説明いただきたい。

(事務局)

財務局での検査実施数は平成16検査事務年度、すなわち一昨年の7月から昨年の6月までで177。

(事務局)

リボルビングについては、信販と消費者金融のそれぞれの行為規制も含めて比較すれば、消費者金融の現状も色々浮き彫りになってくるのではないかと思うので、教えていただきたい。

また、貸金業規制法13条1項に過剰貸付けの禁止規定があるのに現状では行政処分ができないので、これについて是非意見を集約していただきたいと思う。

以上

お問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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