貸金業制度等に関する懇談会(第18回)議事要旨

1.日時:

平成18年7月27日(木)10時00分~12時15分

2.場所:

中央合同庁舎第4号館 11階 共用第一特別会議室

3.議題:

  • 事務局説明
  • 討論(今後の検討課題について)

4.議事内容:

日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部の宇都宮 健児 本部長代行、独立行政法人国民生活センターの川本 敏 理事、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の本多 良男 事務局長がオブザ-バ-として参加することについて説明が行われた。

金融担当大臣から挨拶

懇談会でまとめられた「中間整理」に基づいて与党においても議論が行われたが、ほぼ同じ内容で結論が出された。ただし、この結論には、いくつかの選択肢、実際に案を作成する際のフィージビリティースタディーを行った上で考えてほしいということが記載されている。

懇談会と与党では、グレーゾーンをなくすということ、それから多重債務者の発生をなんとしても抑制しなければならないということについて、一致していると思う。

ただし、与党の「貸金業制度等の改革に関する基本的考え方」を見ると、いくつかの選択肢を投げかけている部分もあるので、そういう点については、金融庁としては、きちんと検討した上で8月中には考え方を取りまとめたいと思っている。

私個人としては、借りられない人が出てくるという議論については少し疑問が残るし、例外を設けようというのは例外を設けた途端にそれが例外でなくなるという可能性もあるので、その辺は相当慎重に考えていかなければならないことであると思っている。

ただし、激変緩和的な措置というものは、やはり考えたほうがよいのではないかと思うこともあって、皆さんの色々な気持ちを体して、金融庁内部で8月中に取りまとめたいと考えている。

懇談会の「中間整理」の成果が着々と表れているのは、この「中間整理」が社会的なニーズに応えていることと確信しており、今後も金融庁の行政、物事の判断に是非力を貸していただきたいと思う。

資料18-1に基づき、事務局から説明

討論

(意見)

与党と懇談会が概ね同様の取りまとめを行ったことは良かったと思う。

7月8日の東洋経済の記事で池尾委員は、上限金利規制にはしっかりした経済理論的根拠があり、決して経済原理を曲げて社会政策的な配慮を優先したという筋合いのものではないと述べている。社会政策は大事と思うので、場合によっては社会政策の前に経済原理がある程度配慮されるべきだと思っているが、この記事では、社会政策的かもしれないけれども同時に経済原理を曲げているわけではないということを、均衡信用割当理論も引用して述べており、市場原理あるいは経済学の原理からも我々の考え方が正しかったと意を強くしたところ。

大きな争点になりそうなのは、少額短期の特例を認めるかどうかであるが、与党の「基本的考え方」を見ると、確かにそれを認めるべきだという議論あるいは意見はあるけれども、審議を尽くした結果やはり出資法の上限金利を利息制限法に一致させるのが大勢である、あるいは潜脱を招きやすいという危険があるということを指摘しており、正当だと思う。少額短期について一定の例外を許すと、例えば借換えをする、あるいは業者間でたらい回しを行い容易に潜脱されるということは到底許されるべきではないと思う。

少なくとも、法制度上どの範囲で例外を設けるかというのは大変難しく、おそらく法務省も同じ意見だと推測するが、仮に例外を設けると、また訴訟においてどこまでが潜脱でどこまでが潜脱でないかを争うことになり、弁護士・裁判官に大変なコスト・手間が掛かることになるが、これは結果的に国民にとってコストが掛かることになるので絶対に避けるべき。

その他、例えば公正証書の問題についても、現在告発がされているので処分が必要であると思う。また、生命保険の問題、未成年者への広告の問題、保証人の問題については、与党の「基本的考え方」には記載されていないが、これらに対する対策を含めた総合的な法案が作成されるべきだと思う。

(意見)

資料18-6で日本弁護士連合会上限金利引き下げ実現本部としての意見をまとめた。

当実現本部としては、今回の与党の取りまとめを高く評価している。特に、各種の業務規制の強化、参入規制、過剰貸付規制、取立規制、広告規制等々、それから金利規制に関しても基本的には出資法の上限金利を利息制限法の水準まで下げるという方向を打ち出したこと、それから日賦貸金業者について廃止すべきである、ということをまとめていること。

それから、与党の「基本的考え方」の最後で、低所得世帯に対して緊急小口資金や中小零細事業者に対するセーフティーネットの拡充・強化を打ち出しているのは極めて重要なことではないかと思う。少額短期のニーズに対する特例貸付けに代わり、こういう強化策、セーフティーネットの拡充で対応すべきではないかと思う。

先程発言があったように、少額短期の例外を認めていくと、それがどんどん拡充され少額短期ではなくて大口長期になっていく危険性は常に考えられる。金利の引下げの骨抜きは許さないような改革を是非お願いしたいと思う。

今回の改革の発端になったみなし弁済規定は、1983年に現行の貸金業規制法が制定されたときに、日弁連は強く反対した。それから多くの弁護士が解釈を巡って最近まで裁判闘争を続け、その結果、最高裁がこのグレーゾーンを否定するような判決を立て続けに出しているのは皆さんが知っているとおり。もし少額短期の例外を認めると、これを巡ってまた強烈な裁判闘争が延々と続くことになるのではないかと思う。グレーゾーンという曖昧な規定を作ったために不安定な状況が続いており、これを解消するために今回改革を行うわけなので、またグレーゾーン問題と同じような議論、裁判が続いていくのではないかということを危惧している。

また、20%の一本化、利息制限法の金額刻みの変更などの検討を加えた結果、実質的な利息制限法の引上げに繋がるような改正は、今回の多重債務問題の解決という趣旨を逸脱した改革になるのではないかと思う。

それから保証料と媒介手数料についてもきちっと対応していかないと、実質的には少額短期と同じように、金利規制を脱法するような動きが出てくる危険性がある。すでにこういう動きはあるが、規制をきちっと課けるべきだと思う。

日弁連としては、例外なき金利の引下げをお願いしたいと思う。

(意見)

短期、小口の貸付けは、国民生活金融公庫がセーフティーネット貸付けを行っているので、そういったところにも議論は反映されるべきだと思う。手数料とかコストの問題は、金利に含めるか含めないかについて、御意見をいただければと思う。

(意見)

当懇談会では、最高裁の判決を受けて方向性を明確にして議論ができたことが、社会のニーズに合致した「座長としての中間整理」の取りまとめに繋がったと思う。

3ヶ月振りの再開になるが、その間に報道された記事での中で一番ショッキングだったのは、「借金5社以上が230万人」という報道であり、状況が大変深刻であるということを改めて感じた。各地方公共団体においてもそのような実感を持っており、金融庁に対する各地方議会からの貸金業制度等に関する意見書採択数も、以前の3倍位になっているのではないかと思う。

自民党の「基本的考え方」について3点意見がある。

1つめの意見は、少額短期特例について。少額短期特例については、確かに当懇談会でも意見が出されていたが、非常に限定的なイメージでの議論だったはず。しかし、一般論として議論が展開されており、若干食い違いを感じる。最終的には、両論併記した形になっているが、懸念しているのは、例えば50万円を1年間で借りるというような少額短期借入れを3社から20%を超える金利で行うと、現在とほとんど変わらないような状況になるのではないか。さらに、ある業者からの借入れが特例の限度額一杯となってもその他の業者に移行するとか、業者が子会社をたくさん作りその子会社を紹介して借り回しのような状況が出てくると、今の状況と変わらず、多重債務者を生み出すという構図になる。

また、リボ払いという難題があり現在9割を占めている。基本的にはリボ払いをやめないと、少額短期をきちんと管理できるという状況にはならないと考えている。そもそも、消費者に少額短期のニーズがあるのかどうかについても大変疑問に感じている。少額短期が隙間になって、逆に大口長期になる可能性があるので、少額短期特例の導入には反対。

2つめの意見は信用情報機関について。「基本的考え方」2ページの信用情報機関の充実・強化についてだが、信用情報機関への事実上の加入義務付けについて記載されている。懇談会の「中間整理」ではもう少し慎重な表現になっていたと思う。確かに、全ての情報を集めて精査を行い債務の総額が把握できていれば、多重債務になっていて危険であるということが分かり機能するが、そのようにうまくいくかどうかについて3つの点で懸念を持っている。

1つは、全国信用情報センター連合会についてだが、33の事業体が加盟しているがそれぞれに非常に違いがある印象を受ける。それから、ガバナンスもあまり働いていないと思う。平成16年度の罰則適用は130件で、目的外照会、情報漏洩、同意取得義務違反、誤情報の登録が起こっている。他の信用情報機関に比べて登録情報の件数が多いこともあり、不正に情報が流出する懸念が今の状況では拭いきれない。

2つめは、過剰与信防止のためのインセンティブとして本当に機能するかということ。現在は過剰貸付けに対する罰則がなく、利用限度額を引き上げるために情報を使っていると感じる。

3つめは、貸金専業者と信販会社では情報の質がかなり異なるため、これらの情報を全情連で一本化できるかどうかという問題がある。この問題については、早急に結論を出すのではなく、大変大きな課題なので慎重に検討を尽くしていただきたい。

3つめの意見は広告について。広告については、安易な借入れの助長になっているのではないかということと、重要事項をきちんと説明しているかどうかという、2つの論点があると思っている。

安易な借入れの助長については、コマーシャル、新聞広告、雑誌広告により何度も広告を行う結果、貸金業者が消費者にとって身近なものとなり、簡単に借りられるというイメージを高めているので、中止も含めて自粛するよう考えていただきたい。特に未成年に対する広告、インターネット広告を検討対象に含めてもらいたい。仮に広告を行う場合は、カウンセリング先や相談窓口の明示、例えば消費者金融会社が共同してコマーシャルを流すような形で、“返済に困った時にはこの相談機関を”といった情報提供をしていただきたい。金融に関する広告は、媒体の責任も非常に大きいと思うので、媒体の責務の明確化もお願いしたい。

以前、無人契約機で借入れを申し込んだが、そのときに感じたのは非常に簡単に借りられるということ。無人契約機では、虚偽の自己申告でも借りられる場合があるので、無人契約機による契約を行う場合については何らかの規制が必要だと思う。

広告やATMでの借入れが多く行われているが、借り手にとっての重要事項の事前説明義務が果たされていないと感じる。全ての重要事項について説明を義務づけることを明確に打ち出していただきたい。

(意見)

全情連に関する新聞記事についてだが、実は、消費者が完済に近い場合、つまり残高が非常に少なくなった場合は、これを完済とみなしているにもかかわらずシステム上は消えない。従って、このような状況の人が多重債務者に含まれることとなり、多重債務者数は非常に多めに算出されてしまうことがあるので、その点について是非調べていただきたいと思うし、我々も調べたいと考えている。

上限金利の引下げとヤミ金融被害との因果関係については、「基本的考え方」においても認識の一致をみていないという言葉があったため、ヤミ金融の実情を調査することにした。2000年に出資法上限金利が40.004%から29.2%に引き下げられた後、大量のヤミ金融被害が発生していることが分かった。警察庁のデータでも、過去5年間で約100万人を超える人がヤミ金融の被害者となっており、その他多くの社会的悪影響があったことも明らかになっている。また、ヤミ金融に関する多くの広告・チラシを集めた。神田・新宿等で堂々と営業している実態も把握した。小泉総理も、5月の国会答弁において、「グレーゾーン金利の撤廃について法律で決めるとヤミ金融が蔓延る。貸す方も悪いが借りる方も悪い。どういう影響が出るか、十分考えなければならない。」と答弁されている。

上限金利を引き下げることによってヤミ金融が増えることは、アメリカやヨーロッパの多くの国で既に実証されている。上限金利引下げによって借りられなくなる人は、経済的な弱者である。上限金利を20%に引き下げることによって、約1千万人が借りられなくなると推定している。上限金利引下げによってヤミ金融が減ったというデータは、海外も含めて見つけることができなかった。

雑誌に掲載されていたヤミ金融業者の発言は大変衝撃的なもので、「法定金利の引下げは大歓迎だ。我々は既に色々な営業窓口を用意している。」と述べている。

貸金業の改革については、「基本的考え方」に記載されている金利以外のほとんどについては賛成。参入規制の強化、監督の強化、信用情報制度の整備、カウンセリングサービスの充実等を実施して、これらの規制・監督の効果を一定期間評価した上で、上限金利規制を客観的に見直すべきだと考えている。

(意見)

少額短期特例の貸付けについて潜脱行為を認めるべきではないという話はもっともだと思うが、一方、収入と支出が完全に一致していない隙間、需要を埋めることは、消費者にとっても事業者にとってもありうることと思う。多重債務者や個人破産の増加の原因は色々あると思うが、一つには、貸付金額の大口化ということもあるのではないか。業界のビジネスモデルが、最近10年で変わってきて、大口化しているというところが一つの問題だと思う。

小口融資であれば、これまでの資料にもあったようにある程度高い金利でも負担が少ないというのは当然なので、本来の原点に帰るという意味で、そのような貸付けに関してある程度配慮するということは可能ではないか。

例外を認めることによる様々な弊害が指摘されていると思うが、一方で、様々な過剰貸付け規制の強化や「中間整理」にあるリボルビングの支払限度額の見直しなどで解決できる問題ではないかと思う。

与党の「基本的考え方」では、情報機関の一体化に関し、「業態を超えた一体化は中長期的に望ましい」という表現になっており、具体性がないのが残念。全情連への加入を義務づけることは最初のステップとしては必要だと思う。全情連を利用することによって、貸金業者に対してのみ総量規制を行うとしても、必ずしも効果がないのではないかと思う。無担保貸付けの市場は20兆円位になると思うが、貸付けはカード会社や銀行なども行っているので、それらを含めたガイドラインなどによる規制を考える必要があり、貸金業者だけを規制してもあまり意味がないと思う。

与党の「基本的考え方」には記載されていないため、議論が行われたかどうか分からないが、市場金利が大きく変動した場合何らかの措置も必要ではないかと思う。現在のゼロ金利に近い状況から仮に金利が急上昇すると、規制環境の変化と金利上昇の両方が重なることになり、かなり影響が大きいのではないか。懇談会の資料にもあったが、フランスやドイツなどでは上限金利が市場金利を勘案して決定されるということだった。必ずしも市場金利に連動する必要はないかもしれないが、市場金利が非常に大きく変化した場合は何らかの考慮をしてもよいと思う。

(意見)

与党の「基本的考え方」は、よくまとめられているというのが基本的な実感。特に、金利以外の部分では、業界とも基本的に合意できているので、参入規制や総量規制の具体的・量的な基準についても早い段階で合意を形成したほうがいいと思う。

一方金利については、少額短期の特例を設けた場合には、色んな意味で潜脱が起きると思わざるを得ない。懇談会の議論では、仮に少額短期の特例を設ける場合は、非常に限定的でその条件については厳しくするということだったと思うので、一般的に設ける場合には少額短期にならなくなるという点について配慮が必要。

基本的に多重債務に陥っていくパターンは、2社、3社、4社と借入先を増やして、最終的にヤミ金融の餌食になっている。したがって、ヤミ金融に借りる前に何社からも借りるような状況を作らないようにするのが基本である。

上限金利の引下げによって信用リスクの高い人が借りられなくなるという主張が、業界中心あるいは一部研究者の中で行われているが、実際には、金利について一定の上限水準を決めることは経済学的にも合致している。一定の需要と供給の合致するところで社会救済を目的とした水準を設けることは、消費者金融の世界で行ってもよいことだと思う。

先程、ヤミ金融業者が大手を振って営業しているという話があったが、これについては取締りの問題だと思うので、きちんと対応し、その上でヤミ金融に向かわないような仕組みを作り、同時に、日本の金融業全体の中での話になるが、銀行が消費者金融を消費者に対する信用供与としてきちんと位置づける必要があると思う。自分達のビジネスモデルとしてより消費者に目を向けた金融のあり方を、銀行全体としても考えてもらう必要がある。

(意見)

銀行が消費者金融に参入するためには個人情報の問題があると思うが、これからはこの市場に入ってくることになるのではないか。

(意見)

本日も、全情連の情報について延滞人数に関する報道があったが、非常に誤解を招きやすいので説明させていただきたい。全金連提出の資料18-18には、既登録情報が14兆2千億とあるが、現実的には市場規模は10兆2千億。差額が生じている理由は、全情連の場合は貸倒れした部分は5年間そのままの状況で登録しているためで、そのような情報を残しておくことによって適正与信を行うという趣旨である。報道されている延滞人数には、5年間で既に貸倒れを起こした者が含まれている。

当社の場合も、この5年間で無担保ローンの貸倒れ件数が100万件あった。全体的な延滞債権、3ケ月以上延滞している割合は5%以内だと思う。

(意見)

データを利用する場合、利用するデータによって結果が異なるので、中立的なデータを提出していただき、それを全員で共有することが重要だと思う。

(意見)

この問題には、基本的に金利の問題と量の問題がある。量的な問題については、我々の調査でも、貸付け可能額の増枠を提案されたとか、必要な金額以上の借入れを薦められたという人が非常に多く、過剰貸付けの問題がある。基本的には現時点では、消費者金融業者が、多少の貸倒れがあっても貸せば貸すほど収益が増加する構造になっており、それが様々な問題を起こしていると言えると思う。

それから、活発な宣伝広告等によって、返済能力を十分意識させず安直な借入れが慫慂されているとか、個人情報のシステム整備が不十分なため、与信チェックが不可能・不徹底等の問題もあると思う。収益上の観点からリボルビング方式を慫慂して、少額しか返済額に回されないため、消費者には目に見えない形で可処分所得が減少することになり、返済を困難にさせている。

ヤミ金融の問題については、返済が難しくなってくると、先のことは考えずに止むを得ず、借金返済のため当座を凌ぐために借りる。そのような経緯で、ヤミ金融の様々な勧誘に止むを得ず乗ってしまうことがあると思う。基本的には、お金を借りることがいかに大変なことであるかの消費者教育等をしっかりする必要がある。

少額の場合で臨時的な収入がはっきり予期されている場合はいいが、そうでなければ、すぐに返済が困難になるという状況がある。29.2%の金利で借り入れる場合、元利合計で、3年経過すれば2.2倍に、5年経過すれば3.5倍となり、そう簡単には返せなくなるということが目に見えてくると思う。

利息制限法の金利についても、現在の金利水準15~20%が定められた時の平均約定金利は大体年8~10%だった。現在は、超低金利のため約2%であることからも、現時点の利息制限法の金利がどういうものなのか、低いという認識になるかどうか疑問。

グレーゾーンのような制度は、国際的にも、このような変則的な制度はほとんどないと思う。グローバルスタンダードに近づくという意味でも大変重要なことだと思う。また、現在のように高い金利で貸し、さらに過剰に貸して収益を上げるという手法は、国際的にビジネスモデルとしては成り立たないと考える。

それから経済的な議論では、自由金利の方が経済的な厚生を最適にするというようなことが色んな雑誌で紹介されているが、社会的な費用や需要供給が本来のあるべき適正な状態になっているのかという問題もある。それから、個人個人が中長期的に見据えて極めて冷静に判断できるかというとそうではなく、行動経済学等にみられるように消費者は非常に弱いため、短期の欲求がある状況で借りるように言われると、「じゃあ借りようか」という人が圧倒的に多いと思う。上限金利を設定すると社会的な厚生が最大にならないというような議論は、韓国において自由金利にした結果、IMFの勧告等があって多大な問題がおこった例をみても、実態を全然踏まえていない議論であり、そのようなことは避けなければならないと考える。

(意見)

与党の「基本的考え方」には、参入適正化による我々貸金業者のレベルアップ、自主規制機関である貸金業協会のガバナンス強化、信用情報センターのガバナンス強化、貸金業協会への加入義務づけ、信用情報機関の加入義務づけ、人的要件として貸金業務取扱主任者制度の試験化と登録の事前要件が記載されている。これらは我々が当懇談会で意見したことであり賛同する。

先程も業者の潜脱行為や違法行為について懸念が示されたが、自主規制機関である貸金業協会のガバナンスを高めることについては現在努力しており、33の信用情報センターも集約されて立派なインフラになると思う。貸金業者に対する参入規制の強化によって、現在の業者数約15,000は約2,000になると思う。そのようにして、業者のコンプライアンス体制を免許制に近い水準まで高めることによって、2,000万人の利用者が安心して利用できるようなマーケットができると確信している。

しかし、「基本的考え方」で示された上限金利規制については、慎重に検討していただき、業界の実態をよく認識した上で導入していただきたいと思う。我々が非常に懸念しているのはヤミ金融で、自民党の小委員会でもその存在を指摘してきたところ。メンバーの中には取り締まればいい、根絶すればいいと言うが、現在存在するヤミ金融を本当に根絶できているのかということを指摘したいと思う。

現在の案である価格規制、金利の引下げが実現したときに起こる悲惨な状況は資料18-8で示している。上限金利を利息制限法レベルに引き下げた場合は、おそらく700~800万人が資金回収を受ける。特に貸付残高が500億円未満の約4,400業者のビジネスモデルは成り立たなくなる。したがって、その利用者である320万人の債権は全て回収される、または債権回収業者に渡ることになると思うが、その場合の回収行為についてコンプライアンスを保証することはできない。

それから大手業者が発表しているところによれば、約400万人に対する与信を制限せざるを得ないということ。また、こういったことは貸金業界だけでなくクレジット・信販を含めて影響があるので、大規模な信用供与の停止・制限が起こることが間違いないということを言いたいと思う。

日賦貸金業者の特例は廃止すると決定しているが、制度そのものが問題ではなくて、制度が悪用されているという実態が問題であり、参入規制により業者のレベルアップを行えば悪用を防げる。特例を廃止すると、現在日賦の利用者である大衆食堂などの飲食店10万件の利用者は資金繰りを失うということを認識していただきたいと思う。

中小企業約30万社は、貸金業者が行う事業者金融を利用しているが、返済を迫られることになると、その多くは倒産すると可能性がある。我々貸金業者も金利引下げによって、中小業者は間違いなく即死状態になり、大手業者も徐々に出血するような状態になり大変な状況となる。そして、中小・零細貸金事業者(消費者金融)約4,400の従業員約16,000名が失業し、大手においてもリストラによって10,000~13,000名が失業することになり併せて約3万名が失業し、その家族を含めると実に7万人が影響を受けることになると思う。

また、我々の推計によると、貸金業者には、金融機関から約3兆6千億円の融資が行われており、この不良債権化が懸念されるところ。したがって、価格規制については、参入規制等の効果をよく検証した上で、今後慎重に導入していただきたいと思う。

(意見)

先程の意見に関して言うと、ヤミ金融が増えないように、貸金業者の方で制度融資を紹介する、あるいはカウンセリング先を紹介するということを是非行っていただきたい。

(意見)

カウンセリング制度の充実については、全国貸金業協会連合会でもすでに提案している。多重債務に陥る人達のパターンはパーソナリティーによる心理的な面が原因になることがある。そのため、解決するためにはカウンセリングに導き心理的なケアを行う、生活指導を行うことで解決できると思う。単に債務整理を行って借金を免除するだけでは、再び多重債務に陥りかねないので、そういう制度の成立を努力したいと思う。

(意見)

製造業の場合は、一生懸命頑張りコストを下げることによって国際的に強くなった。貸金業においても、様々なコストを下げることによって貸倒れリスクの高い人に貸すということを是非同時に考えていただきたいと思う。

(意見)

資料18-9で日本クレジット産業協会としての意見を提出した。

クレジット業界としての考え方について言うと、上限金利規制については、特に地方の信販会社や地域の商店街で構成している日商連、日専連などの中小の小売商団体への影響も大変大きいので是非慎重に検討していただきたい。日商連や日専連などの事業が成り立たなくなると、経済特に地方の消費に与える状況はかなり大きくなることが懸念される。

我々クレジット会社の貸金業務は少額短期であり、例えば当社の1件あたりのキャッシングは5万円前後。給料日前の小口借入れは、その利便性の良さから消費者が緊急にお金を必要とするときに利用されており、また実質的な金利負担も少ないことから現在幅広く利用されているので是非特別の措置を検討していただきたいと思う。

また、その利便性を確保するために24時間いつでも消費者のニーズに応えられる体制を設けており、ネットワーク構築のための金融機関に対する利用コストなどが固定的なコストとして、小口の貸付けに占める割合が大変大きくなっている。

さらに現行の出資法と利息制限法では利息の概念が異なっている。契約の締結に関する費用やATMの利用手数料なども少額短期の貸付けにかかるコストが非常に割高になっているので、上限金利の水準を決定するにあたってはこれらの実情を勘案して是非適正な金利水準を検討していただきたいと思う。

それから、現在検討されている内容は貸金業制度の全般的な見直しとなっており、システムあるいは帳票類の見直しといった問題だけではなくて、ビジネスモデルの再構築を余儀なくされることにつながるので、我々事業者側だけではなく、消費者側においても混乱等を生じさせないように新しい制度に移行させていくことが社会的にも必要であると考えているので、十分な期間の経過措置を設けていただくよう検討をお願いしたいと思う。

(意見)

上限金利を引き下げることが与党の「基本的考え方」に記載されたが、金利が下がれば多重債務者の救済になるという考え方がある一方で、先程の発言にもあったようにその逆もあるという考え方もある。金利が下がれば世の中の様々な立場の人達にどういう形で波及していくのかについて、具体的イメージをもう少しきめ細く考えて議論する必要があると思う。一番大切なことは、貸金業者と借り手の関係にどのような影響そして変化が起こりうるかということ。企業努力により金利を下げることができても、これまで借りることができていた人達が、経済原理によってリスクが吸収できないという理由で切り捨てられることがないか考える必要がある。切り捨てられた人達がヤミ金融に流れれば多重債務者の救済ということにはならないので、そういった関係について、本音で業者とも話し合い確認しなければならないと思う。

また、中小・ベンチャー企業の息の根を止めるようなことがあってはならないと考えている。アーリーステージの中小・ベンチャー企業は信用リスクが高いとみなされ、銀行などは融資の対象にしていない。金利だけを対象として議論するのではなく、その影響が波及していく様々な現場に対する配慮をもっときめ細やかにするべきだと思う。ベンチャーだけでなく金融弱者の人達は、行き詰まれば犯罪に走る可能性があるし、また、罪を犯さないまでも、万策尽きれば追い詰められて自殺の手段を選ばざるを得ない現実は、さまざまなデータで証明されている。そのため、「基本的考え方」にもあるように、低所得世帯に対する緊急小口資金や中小零細業者に対するいわゆるセーフティーネットの拡充強化についての議論を先行して行い、皆が納得し安心できる環境を整えながら最適金利を決定していくべきではないかと思う。

(意見)

1点目はヤミ金融についてだが、懇談会で「座長としての中間整理」が取りまとめられた後、事業者の方が「金利を引き下げればヤミ金融から借りることになる」といった発言をしていると認識しているが、ヤミ金融根絶の努力をいかに行うかが大切だと思う。当懇談会で私は「貸し手には責任がある」という考え方を話したが、ヤミ金融に関しても同様のことが言えて、当局の取締りも非常に大事だが、ヤミ金融に行く人を無くすために、貸金業者がどういう努力をするかということが非常に大事だと思う。貸付けを断るときには、債務整理方法やヤミ金融の被害情報をきちんと伝えること、パンフレットや文字情報など様々なものを示してきちんと口頭で伝えることが非常に重要。業者は貸付審査を行っており様々なことが分かっているので、追加の借入れを断る際には、ヤミ金融に行かさず本来行くべき相談窓口等のアドバイスをする最大のチャンスだと思う。

最近、自治体の中には、弁護士会に相談を行う際の相談料を負担しているようなところが出てきている。現在、日弁連の相談センターで相談を行う人に対して、様々な金融団体いわゆる紛争解決処理策を持たない事業者団体が、初回の相談料5,250円や初回に併せて1万円を負担するという制度を設けているが、そもそも過剰貸付けによって債務者が返済できなくなった場合は貸し手に責任があると思うので、貸金業者がなんらかの援助をしていくということが大事だと思う。

2点目は金利概念について。手数料、保証料などを金利概念に含めるかどうかについてだが、手数料は利用者の負担するコスト、利用者がそのリスクを分担するため、金利の中に入れるべきだと思う。金利に含めない場合は潜脱がものすごく増える。金利に関する潜脱については懇談会でも報告されているので、特に保証料やATM手数料については金融庁に調査していただきたいと思う。実際に被害が出ているので、被害の実態を調べた上で慎重に議論していただきたいと思う。

3点目は過剰貸付けについてだが、「基本的考え方」には支払額・返済期間の適正化について記載されているが、さらにもう1歩進めていただきたいと思う。重要事項の説明を行う場合は理解・納得が不可欠だが、無人・インターネット契約の場合に理解・納得が得られているかどうかについては、説明がつかないと思う。そのため、無人・インターネット契約で重要事項をしっかり説明するためには、単なる説明ではなくて助言に近い義務を課す必要があると思う。

また、団体信用生命保険に関しても十分に検討をしていただきたい。説明義務、助言義務を果たさずに、おまとめローンというような形で保証人や不動産担保を取る。生命保険に加入しているため、過酷な取立てをしても病気になっても、支払いを受けることができることから被害が生まれている。自殺や精神的な病気を誘発するような団信の加入が本当にいいかどうかについては、十分に議論する必要があると思う。債務者の自殺によって保険金で回収している例に関し、金融庁で是非調べていただきたいと思う。私が取材して知る限りでは、告知、自殺免責、支払い基準の全てが緩いと思う。こういうことを許している生命保険会社自体の問題とも言えるので、生命保険の監督部署と一緒に対応を検討していくのも一つの方法ではないか。

4点目は少額短期等の特例についてだが、もちろん認めるべきではないと思う。少額という場合その額をいくらにするかについては、先程業者からは5万円位が小口であるという話があったが、小口の概念は人によって大きく異なると考える。少額短期の例外を認めると50万の契約を3つ締結して150万円借りるということも考えられ、いくらでも抜け道ができることになるので慎重に対処すべきだと思う。

5点目はリボ払いについて。リボに関する弊害は当懇談会でも度々報告されているので、最低返済金額を設ける、警告文言を具体的に、リボ中毒に陥る怖さが分かるような形で警告するように、広告なり販売勧誘を行っていただきたいと思う。諸外国でもリボに関する規制が強化されているので、この機会に是非行っていただきたい。

(意見)

貸金業というビジネス自体は必要なものだと思う。ただ、そのビジネスの中身はリスクが高く非常に科学的であり、数字だけでなく、個人の生活についてまで考えながらお金を貸さなければならないため、そういう意味では哲学的・倫理的なビジネスでなければならない。今回、懇談会で議論されてきたが、最終的には大手中小を問わず健全な貸し手が残って、そういう健全な貸し手に社会の信頼を委ねる形でビジネスを行っていただき、その結果、健全な市場が形成されるべきだと感じている。

一方で、借り手側に責任がないわけではなく、借り手の意識改革であるとか、国が弱者支援を行い何らかの形で生活レベルが向上されるような施策を一緒に行う必要がある。

今回の施策の中で特に重要なのは参入規制と考える。科学的・哲学的・倫理的なビジネスを行うためには、純財産基準が10倍ぐらいに上がるのは業者にとっては大変かもしれないが、1,000~5,000万円という要件でも不十分ではないか。

それから、貸金業務取扱主任者を資格試験化するとのことだが、これにより解決するとは思わないので、ガバナンスの中身を問うような要件をもっと設けるべきだと思う。この点についてはもう少し議論を行って考えを深める必要があると思っている。

お金を個人に貸すときには、個人の資産や負債、フローで返済可能な金額などの網羅的な個人情報がないと仕事としては成り立たないと思う。今回、参入規制のハードルを上げず、一方で全情連への加入を義務づけると、逆に悪質な業者が加入して網羅的な情報を見ることが可能になるので、そういう意味では信頼に足る業者をどのように選んでいくかが重要だと感じている。

金利については私自身も迷っている。業者が健全な仕事をすることが可能になれば、金利については許容範囲を多くして業者に委ねるという方法がありえるとも思っている。それから、健全な業者のみが貸付けを行うのならば、上限金利を市場金利等に連動させるということも論理的にはありえると思う。逆に全く異なる意見だが、健全化されるのかという疑問はずっと拭えないため、健全化をより促進させるためには厳しい上限を設定したほうが健全化を促進させるのではないかとも思う。

(意見)

2点発言する。

1点目は、多重債務の解決のためには参入・総量規制の強化が非常に大事な項目だと思うが、罰則規定を強化していただきたい。個人的には、少額短期の特例については非常に慎重であるべきだと思っているが、特例を認めるのであれば総量規制の強化、総借入額の管理が必要だと思う。

2点目は、「基本的考え方」の最後の「おわりに」の部分で、「実務上のフィージビリティ等につき更に検討を深められたい」とあるが、フィージビリティという言葉の代わりに具体化とか実現と記載されていれば安心できるが、有効性という意味にとられ、「実務上有効でない」と解釈されるなどこの部分が潜脱の根拠にならないようにしていただきたいと思う。

(意見)

サラ金地獄と言われた昭和53年頃からサラ金被害をなくすために運動を行っており、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会を25年前に結成した。その時から、金利引下げは課題、念願だったが、多重債務対策を進めていただいて、当懇談会での「中間整理」、与党の「基本的考え方」で、上限金利を利息制限法まで引き下げるという方向が出されて大変うれしく思っている。

しかし、同時に心配もある。少額短期の特例についてだが、我々のところに毎日相談に来る人達は、当初は短期で少額の10万とか20万の借入れがきっかけになっており、それが払えなくなって多重債務に陥っているのが実態。そのため少額短期の特例を認めれば今と変わらない状況になると思う。

それから、20%で金利を一本化するという意見が出ているようだが、これについても反対。現在の利息制限法で決められている15%、18%の部分については改悪になってしまうので大反対。

毎日相談を受けているが、貸金業者側の悪質な取立ては相変わらず。資料の18-7で最近の被害事例をまとめているので、参考にしていただきたいと思う。

貸金業者の行うカウンセリング、相談活動について言うと、貸金業協会では、本来なら過払いになっているはずなのに払わせている例がある。それから、本来なら破産状態にもかかわらず払わせる。貸金業協会では、相談窓口を設けてそこで相談を受けるようになっているが、実際は貸金業者の窓口で相談している例がある。このように貸金業者の相談、カウンセリングは債権取立ての機関に過ぎず本当に期待できないと思う。もし、しっかりした相談を行うのであれば第三者、行政その他がきちんとするべきだと思う。

金利を引き下げたらヤミ金融が増えるということについてだが、警察庁にお願いがある。私はヤミ金融に関し相談を受けたものは全件警察に被害届出を出すように指導しているが、警察官はヤミ金融撲滅のための指導を徹底し、被害を受けて追い詰められて相談に来るような人達に対しては、「借りたものは払え」というような指導をしないよう徹底してほしいと思う。

無登録営業の罰則は、5年以下の懲役、1千万円以下の罰金となっているが、脱税に対する処分よりも重くしてきちっと取締りを行うべき。

実際に2,000万人の人が苦しんでいるので、一切の例外のない金利引下げ、利息制限法の水準までの引下げを早期に実現してほしいと思う。

(意見)

与党がまとめた「基本的に考え方」については、大変評価をしたいと思う。その中でも、出資法の上限金利を利息制限法まで引き下げることが重要である。

特例金利については様々な形で潜脱の恐れがあるので、是非慎重に検討していただきたいと思う。

公的なセーフティーネットについては、政策金融機関も統合や民営化されることになるので、十分な機能を発揮することができるかどうか心配な点もある。その他の方法として、例えば新たな基金を創設して、そこが貸付けを行うなど様々な施策について検討していただきたいと思う。

「基本的考え方」では取り上げられていないが、教育についても十分注意を払っていただきたい。大企業の従業員でさえ多重債務に陥っている人がいるが、4月以降、労働組合でも現場で相談窓口を設けて、また、新入組合員教育でこの問題については結構取り組んでいるが、それだけでは不十分なので、国としても是非取組みをお願いしたいと思う。

(意見)

今日の議論を聞いた感想になるが、業者の方も金利以外の点については概ね一致していると思った。そういう意味では、確かに罰則を強化する際の手法についてはより詰めていかなければならないが、これらの施策についてはもう後戻りしないことを確認できたので、本日の会合は大変有意義だったと思う。

問題は金利だけになると思うが、適正・妥当な金利水準が仮にあることを想定して考えると、不適当な金利で貸し付けることについて業者の方が議論しているが、ヤミ金融が蔓延るから自分達業者がヤミ金融の代わりをするというロジックは全く意味がないと思う。そういう意味では、適正な金利水準が想定されるとすれば、それを超える部分についてはセーフティーネットで対処するという施策を行わざるを得ないと思う。

既にたくさんの多重債務者がいる現状の下での国民の心配は、今回の施策を施行したときに自分達の生活がどうなるのかという1点に絞られると考えられるので、「基本的考え方」の最後に記載されていることの具体化を是非お願いしたい。どういうセーフティーネットを設けるかについては、例えば自己破産のための費用を提供するもの、これまでの借入れがある程度維持できるというもの。そういったことについて明確化を図っていただければ問題は解決すると考えるので、是非その点を明確化していただきたいと思う。

(意見)

上限金利の水準についてだが、固定金利にするのか変動金利にするのか、どういうタイミングで金利を変更するのかについては、過去のデータなどから実証的な分析を行った上、ある程度の根拠を前提にして議論することが必要だと思う。銀行貸出金利の水準が9%強の頃に20%の水準が決められたので、現在の金利水準を考えると同じ金利にはならないだろうという議論になると思う。

一方で、金利が非常に低いデフレの時は倒産確率が上がるので、実際にどの程度倒産確率が上がっているのかも踏まえた上で、議論していく必要があると思う。また、所得水準との関係で利払費がどの程度のレベルにあるのかという議論も踏まえた上で、どういったレベルの金利にするのか議論を深める必要がある。

(意見)

ACCJから提出されている資料18-16の9ページのデータについてだが、根拠が分からない。フランスやドイツの実際のクレジットコストが大変高くなっているのはどうしてか。バックデータを提出していただくか、あるいは金融庁でも調べていただければと思う。

私が偶然イギリスにいた時にPolicisに聞いたところ、例えばドイツの金利は日本の利息制限法の水準以下で、このような数値にはならないと言っていたので、是非調べていただきたいと思う。

(意見)

先程の発言と重なるが、ACCJの資料18-16では、アメリカやイギリス等のヨーロッパの状況を比較し、金利規制を強化したらヤミ金融が増えるというデータを示しながら説明を行っているが、それに対する意見を日弁連の資料18-6に付けた。海外の金利規制については日弁連も全力をあげて調査したいと思うが、金融庁でも調査していただきたい。

警察庁の資料18-21の資料をみると、金利が29.2%に引き下げられる前からヤミ金融が存在していたことがわかる。また、金利を引き下げた直後、それ程ヤミ金融は増えてないが、急激に検挙件数が増えたのは平成15年。これはヤミ金融対策法が施行されたことと山口組系五菱会が摘発されて、マスコミがかなりこの問題を取り上げたためだと思う。そういう面からも、金利を引き下げたためヤミ金融が増えたという発言が懇談会ではされているが、それは妥当でない議論だと思う。

それから、金利を下げると700万くらいの人が融資を拒否されるという話があったが、弁護士会等に相談に行かせる、ヤミ金融に向かわせないという対応が必要だと思う。今回の法改正を機に、日弁連は全力をあげて相談体制の強化・拡充を図っていくつもり。

(意見)

ヤミ金融について。消費者問題を長くみていて思うのだが、業者の方は、金利が下がるとヤミ金融の被害が増えるということをかなり発言しているが、事業者のこういう発言がヤミ金融を増やしていると感じる。例えば、外国為替証拠金取引が儲かるという話になると、その事業を始めるという流れになるので、あまり声高にそういうことを発言するのは抑えたほうがいいと考える。

ヤミ金融を防止する手段を持っているのは事業者自身だと思うので、ヤミ金融に流れるという議論ばかり行うのではなく、現実的な議論をしていただきたいと思う。

上限が20%となっても、リボによる貸付けが上限に張り付いて多重債務が減らないという状況が生じることを大変懸念しているので、こうした懸念を払拭するような検討も尽くしていただきたい。

法改正についてどのような検討を行っているのか現時点では不明なので、再度このような場を設けて、検討状況を教えていただきたい。

(事務局)

懇談会の中間整理を受けて与党での議論が始まったが、本日は与党での検討結果を報告して、メンバーの意見を伺ったという段階。本日いただいた意見を踏まえて、今後、与党への回答の検討を始めるが、現時点では、具体的に有力な特例案というものは持っていない。

海外の実態に関する資料についえは、我々も再三バックデータを提供してほしいという要請をしてきたが、調査依頼先との契約上答えられないとのこと。

(事務局)

意見が出たように、金融庁としてもファクトを議論しなければいけないので、事務局でしっかりと検証を行った上でこの場に資料を提出するということを行いたいと思う。

本日出された様々な意見の中には、警察庁や法務省に対するものもあったと思う。金利引下げによる影響に関して、双方の意見があったと思うが、警察庁にはそれに関し答えていただきたいし、法務省には、少額短期等の特例について法務省の見解をお願いしたいと思う。

(法務省刑事局)

検討状況についてだが、金融庁共々検討を始めていくという段階なので、現段階で一定の考え方を持っているということを示すことは差し控えさせていただきたいと思う。

(警察庁)

ヤミ金融の取締りについて色々指摘があったところだが、私共としては、違法行為については厳正に対処しており、高金利事犯、取立てにおける違法事犯など被害者のいる犯罪はもちろんだが、無登録の事案についても取締りを行っており、今後とも厳正に対処していきたいと思う。

また、相談に対する対応についても、本日いろいろと御指摘をいただいたところである。常々、被害者からの相談に対しては誠実に対応することを旨としているが、不十分なところがあるならば改善していかなければならないと思っている。そのような形で、色々なところから情報を入手して、今後とも厳正に取締りに努めたいと思う。

以上

お問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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