貸金業制度等に関する懇談会(第7回)議事要旨

1.日時

平成17年9月7日(水)10時00分~12時03分

2.場所

中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

3.議題

○ 参考人からのヒアリング

  • 鎌野邦樹 教授
  • 堂下浩 助教授

○質疑応答

4.議事要旨

茆原洋子弁護士から報告

  • 前回、平成12年法改正後に商工ローン被害がかえって深刻になったことを、実例をもって説明し、保証人、手形・小切手・公正証書について法改正が必要であると提言した。今回は、3つの論点「貸金業規制法第43条(以下、「43条」)、貸金業者二分論、公正証書」について補足説明する。

  • 第1に、43条について。金利を規制する法律として、有効・無効を区切るのは、あくまでも利息制限法。同法は経済的弱者を保護し、暴利を防ぐための強行法規であり、有効・無効は合意によって変更できない。一方、出資法は処罰するか否かを判断する刑罰法規なので、有効無効とは規制の次元が違う。

  • 43条は、厳格な要件の下に超過利息の任意の支払いを有効な弁済とみなすものであり、制限を超過する利息の契約を有効としたわけではない。契約は無効のまま、任意の支払いのみを有効な弁済とみなす条文。

  • 43条は決して貸金業者の利益のために設けられたものではない。立法目的は、あくまで「適正な業務の確保」によって、「資金需要者(借主)を保護する」ことにある。しかし、判決によって43条のみなし弁済が認められれば、給料差押えなどの形で暴利の支払いが強制される。

  • 43条の立法過程では、最高裁昭和39年及び43年判決を覆すためという動機まで語られている。学説も43条を違憲としている。

  • 43条があっても、制限超過利息が無効であることは変わらず、これを強制して取り立てることは許されない。何らかの不利益を避けるために支払う場合は、任意の支払いとは言えない。

  • 消費者の真の権利義務を伝えるものが契約書。消費者は利息制限法以上の利息を支払う義務はそもそもない。日弁連は、43条の廃止を求めているが、廃止までの間、本来は、契約書に「利息制限法の利率は(例えば)18%で、借主の法的義務はこの限りです」と書くべき。「これを超える利息を任意に支払った時には、43条により約定利息の支払いは有効とみなされる」と注意書きもすべき。

  • 実際には、約定利率29%と書かれた契約書を基に、貸金業者は、「約束した利息を全部払いなさい。そうしないと一括で返してもらいます」という期限の利益喪失条項による一括払いを請求し、遅延損害金を請求する。

  • 「期限の利益喪失条項の基での支払いは任意ではない」という判決が、大阪高裁、広島高裁をはじめ続々と出ている。

  • 43条の主張立証責任は、貸金業者にあることを確認したい。借主の権利保護に役立っているか、という観点で検証されるべき条文。

  • 今、「優良貸金業者に対しては金利規制を緩和せよ」との声もあるが、借りる側から見ると、優良な貸金業者はいない。大手貸金業者は軒並み不祥事を起こしている。過去の取引履歴の改ざんも大手業者が行っている。

  • 資料7-1の資料7は裁判所の決定文だが、「業者が過去の顧客データを削除することはありえない」との決定文を出した。その直後に、業者が「削除した」と言っていた取引履歴が開示された。現実に、このように取引履歴改ざんが行われている以上、書面の電子化は借主にとって危険である。

  • 現在、借主の平均借入額は145万円であるが(消費者金融白書)、例えば、150万円を29%で借りた場合に5年で完済するためには、月々4万8千円弱の返済が必要。仮に、年収500万円以上であれば、4万8千円の返済は可能だが、実際には500万円も年収のある人は、銀行からの低利借入れが可能。貸金業者から借りる人は、もっと低収入の層。本年7月の銀行約定平均貸出金利は1.4%であり、その10倍以上での貸出金利に正当性はない。

  • 現在の高金利では、貧しい者は利息だけを何十年も払い続けることになり、完済は不可能。日本の大富豪の2位、3位、5位は、貸金業者のトップ。

  • 利用者は利息制限法を知らず、高金利が生活に与える影響など理解できないまま借りているが、業者は全てを知りつつ貸している。利息制限法上の支払いが完了した後も、いつまでも債権がある振りをして、返済を受けながら請求し続ける。モラルハザードは貸金業者の側にある。

  • 利息制限法上は残債が存在しない(あるいは少ない)時に、借主に知らせずに公正証書を作ることは許されない。裁判所が違法と認定した差押え、仮差押えの事例、認諾や和解によって慰謝料を支払った事例は多数ある。これらは全て平成12年以降の出来事。違法な給料差押えで解雇された人、違法な売掛金差押えで取引先を失って倒産した人は多い。

  • 弁護士等の受任後の取立て等のような違法な差押えに対しては、貸金業規制法第21条違反として処罰の対象とすべき。

上柳委員から報告

  • 裁判所は、43条適用の前提として、貸金業規制法第17条あるいは第18条の書面がきちんと交付されているかどうかに注目している。仮に、これらの書類の電子的交付が認められれば、借主は、どのような契約なのか、この弁済が元金・利息等のどこに充当されるのかについてきちんと認識しないまま、利息制限法で定める上限利息を超えて支払う恐れが高まる。「IT書面一括法」(2000年)が成立する際に、貸金業関係については、契約を巡るトラブルが多発しているという理由で、国会等でもそのような審議をされて、この改正の対象から除外されたという経緯がある。トラブルが多発しているという事実は全く変わっていない。

  • 保証料や媒介手数料は、出資法の利息とみなすべき。また、元本以外の金銭を利息とみなすということは利息制限法に規定されているが、保証料と媒介手数料についても明記すべきである。

  • 保証料については、特に日掛け金融業者を中心に問題が指摘されている。媒介手数料は、一定のものについては出資法第4条で認められているが、業者は、媒介手数料を年に何度も徴収し、事実上、高金利を得ている。

  • 「大手中小二分論」についてだが、貸し手の規模によって規制を分けるのは、消費者保護の観点だけではなく、金融サービスに関する競争の均等化、その他の面からも到底受け入れられない。

  • 「借り手の規模によって、例えば利率を区分すべきではないか」という意見もあるが、具体的な提案をみると、今の利息制限法の利率よりも高い利率を適用することになっており、採用しえない。

  • 暴利禁止は民事法の大原則であり、利息制限法の範囲内で競争すべき。

  • 貸金業に関するガイドライン改正の議論について。最高裁が今年7月に、「貸金業者の顧客との間の取引履歴は、開示すべき」という判決を出した。 「取引履歴を開示すべきである」ということをガイドラインに明示することには賛成だが、現状よりも重い負担を本人あるいは代理人に課すことは必要ない。私自身、多くの業者と交渉しているが、今まで弁護士から受任の通知をすれば、通常、業者は取引履歴を出してきている。

GEコンシューマー・ファイナンス株式会社土屋監査役から報告

  • 前々回の会合(6月29日)で、当社の山川からの説明に対していくつか質問があったので、それらにお答えしたい。

  • まず、「米国では上限金利規制から免除される各種制度があるにもかかわらず、なぜ上限金利規制が依然残っているのか」という質問。実は、米国では連邦で定める銀行規制の要求を満たす金融機関は、その本店を登記した州の金利に関する規制を他の州でも適用するというルールがある。例えば、デラウェア州などいくつかの州では金利規制がないので、多くの金融機関はそのような州に本店を置いている(いわゆる「金利の輸出」)。

  • 仮に、州に金利規制があるとしても、ほとんどの州においては、州の免許を受けた金融機関は小口の金融に関して上限金利規制を受けない。つまり免許を受けていない業者だけが、金利規制を受けることになる。従って、全ての貸金業登録業者が規制を受ける日本とは事情が大きく異なる。実質的には小口金融業者については、金利規制が無いと考えてもいい。

  • 日本と米国では金利の定義が随分違う。日本ではその内容を問わず、およそ全ての金融費用は金利とみなされるが、米国では、延滞に関わる費用など費用の一部は、金利とは別に取り扱われる。

  • 最近、英国貿易産業省(DTI)が他国、特にフランス、ドイツ(以下、「仏」「独」)等を調査した結果、英国は、引き続き上限金利を定めないことを決定。

  • 英国では、社会的弱者の保護として、クレジット契約の透明性を向上させる、不当なクレジット問題に対応する不公正な取引に関する規制を行う、免許業者の監督官庁であるOTF(公正取引庁)の権限を強化する、違法業者の取締りを継続する、社会的疎外に対する一層の取組みを行う、といった提言がされている。

  • 次に、「米国では金利の自由化が実施された後、適用される金利が上がらなかったか」という質問。実は、金利の自由化により、それ以前は借入れができなかったクレジットリスクの高い消費者も借入れができるようになった。その際、リスクの高い消費者にはより高い金利が適用されるが、クレジットにアクセスできたという点が重要。一方、リスクの低い消費者は、自由化以前より低い金利での借入れが可能となった。マーケットメカニズムが働くため無制限に高くなることはない。

  • 3番目は、「消費者信用情報制度が発達している米国では、もはや多重債務問題はないのか」という質問。残念ながら、米国でも借入れ過多の消費者は存在する。どんな管理システムでも、消費者自身が破産することを承知で過剰な借入れに走ることを防ぐことはできない。

  • ある調査によれば、病気・失業・離婚といった不測の事態が所得の低下をもたらし、結果として支払不能に陥るケースが多い。高金利が原因ではない。

  • 過剰借入れ防止のため、各企業は、カウンセリング制度の充実にも傾注。消費者信用情報制度が発達すれば、貸し手は借り手の借入状況をより詳細に把握することが可能。米国では、この情報交換が密にされているので、多重債務が比較的起こりにくい。この点が日本と違う。

鎌野教授から報告

  • 本日の話は大きく二つ。一つは、諸外国の貸金業制度。もう一つは、それを踏まえて、上限利息を含めた法規制のあり方、生活のルールとか社会規範、さらに広く日本の社会・文化のあり方、といったところ。

  • 法律研究者は、ある制度等を検討する時、外国ではどうなっているかという「比較法」という手法を採ることが多い。私は、国内の貸金業者からお金を借りたことはあるが、外国では借りたことがないので、外国の実態について精通しているわけではない。制度の枠組みだけに限定した話になる。

  • 比較法を採用することのメリットは、例えば、我々日本人が自明の理と思っていることが、実は諸外国との比較でみると必ずしも当てはまらないことが分かる点にある。その上で、日本の社会・文化に合った独自の法がありうることを認識するためにも意味がある。

  • 上限金利、みなし弁済制度、交付書面の3点について、諸外国と比べながら考察してみたい。背景にある社会・文化等は割愛し、法制度の概要が中心。

  • 仏は、日本法と比較すると、3点ぐらい特徴がある。まず、法律で明確に金利規制をしている。金利は変動型。具体的には、3ヶ月毎に中央銀行が市場平均金利を公表し、それに「1と3分の1(3分の4)」を掛けたものが上限となる。これを1円でも超えると暴利になる。日本のような「みなし弁済、任意支払い」のような規定はない。このレベルを超えると無効になり、払う必要がない(払った場合は、返還可)。さらに、刑罰金利なので違反すると刑罰が科せられる。非常に明確であるが、問題・課題がないわけではない(舟橋論文参照)。

  • 独は、明文規定で金利規制をしているわけではない。BGB(独民法典)の中に、日本の民法第90条(公序良俗違反)と同じような規定がある。公序良俗違反の法律行為・契約などは無効となる。

  • 独では、高利あるいは暴利が問題とされ、すでに判例法が確立している。つまり、中央銀行が定めた平均的な市場金利の2倍(100%)を超える場合、あるいは市場金利に12%を足した金利を超える場合には無効。このような「100%、12%ルール」の背景としては、判例法理では、市場金利が12%より高い場合、例えば20%の場合には2倍(100%)の相対的基準を適用すると高金利(40%)となることから、12%という絶対基準を設けており、この場合は市場金利(20%)に12%を加えた32%が上限金利となる。逆に、市場金利が12%より低い場合、例えば8%の場合には、12%の絶対的基準を適用すると、上限金利が20%となり高金利であるため、この場合には100%の相対基準を適用して16%となる。現在、独の研究者などの報告によると、暴利性の上限利率の目安は18%程度(角田論文参照)。また、公序良俗違反で無効となることから、それを超えて払った場合は払い戻しが可能。公序良俗違反が直ちに刑事罰の対象になるわけではないが、暴利を取った場合にはやはり刑罰対象となり、この点は仏と異なる。客観的な高利あるいは暴利の基準としては、判例で採用している「100%ルール」あるいは「12%ルール」ということになるが、「18%」がおおよその目安。

  • 米国では、確かに、州の規制は免許を受けていない業者についての規制である。収入に応じた規制もある。ただ、ある規制が全くその社会にとって有効性を欠くようなものであれば、州としてもそのような規制は設けないはずなので、そういった州の規制を無視するわけにもいかない。州によって異なる社会文化、それに対応する様々な規制手法というのは、日本も学ぶべき。

  • 43条は、騙しあいを容認するような法制度ではないか。例えば、金利25%という約束が取り交されたとしても、借主はいざ払う時に、「それは利息制限法違反なので一切返さない」と言える。少なくとも、法的にはそういうことが可能。他方、貸金業者は、「利息制限法を超える部分は支払わなくてもいい」と借主に言うことが法的に義務付けられてはいない。

  • 43条がこれまでの貸金業法制にとって無意味なものとは考えていない。臨時的カンフル剤と考えれば、それなりの意義は認められるが、モラルの問題、法制度の問題として、今後もこうした規定を残してもいいのか疑問。

  • 近年、最高裁で旧森林法の違憲判決が出た。そこでは、共有物分割というのは、いつでもその共有者が自分の財産を分けることができるという近代市民社会の基本的な権利であり財産権であるとし、それができないことについて合理的な理由があればともかく、そうでない場合は許されないと判示。利息制限法上は無効である利息の支払いについて、43条はこれを有効なものとすることもできるわけであるが、共有物分割の考え方から類推すれば、不当な利得についてはやはり返還請求を認めるのが法規範として正常な姿ではないか。

  • 消費者基本法は、消費者政策推進基本理念として、消費者への実質的かつ合理的な選択の機会の確保と消費者に対する必要な情報提供を掲げている。事業者の責務としては、消費者との取引における公正の確保、消費者が必要とする情報を明確かつ平易に提供、消費者との取引に際しての消費者の知識・経験及び財産の状況等の配慮がある。

  • 将来の経済変動を考えると、上限金利は固定金利よりも変動金利をベースにした方が、諸外国(独、仏など)の例に照らしても妥当ではないか。

  • 上限金利については、「自由化すべき」、「規制はやはり必要」など意見は様々。規制を設ける場合のレベル感についても意見が分かれる。

  • 現実に2,000万人近くの利用者がいることを考慮すると、貸金業の利便性は無視できない。今後の経済情勢は、必ずしも右肩上がりとは限らない状況の中、格差社会とかフリーターが400万人いる社会実態も無視できない。政策金利を考える場合には、実際にお金を借りる人の多くが、このような人達だということに配慮すべし。

  • クロスボーダーの資金フローの実態を踏まえると、諸外国の消費者金融に係る制度等を無視することはできない。金利の問題は、国際社会の中での今後の日本経済、社会・文化のあり方とも関連する問題。

堂下助教授から報告

  • 米国におけるサブプライム層向け融資市場について。サブプライム層という言葉に明確な定義はないが、一般的に平均世帯収入の下位50%に含まれる階層と理解されている。この定義に従えば、米国総世帯数(約1億世帯)の半分がサブプライム層。

  • 1990年代初頭、サブプライム層に対するローン市場が、大変な貸し渋りを受けた。最大の理由は、当時、米国で金融収縮が起き、伝統的な金融機関がこの市場から撤退したこと。その後、新しい独立系のサブプライムレンダーと言われる新興金融機関が、その市場を埋めて貸し渋りを解消した。当時、約3,000~5,000社の会社がサブプライム市場に参入し、そのうち、利益成長を遂げた30社が株式上場を果たした。

  • 上場した30社の業態のうち、一番多いのが自動車担保ローン専業で19社(新車ではなく中古車)。次が不動産担保ローン専業。その次がそれらの兼業。残りがクレジットカードの発行など。過当競争の結果、これら30社のうち2000年の時点でまともな株価がついているのは僅か5社のみ。

  • 1990年代の初頭、米国でクレジットカードを保有できる者は、サブプライム層よりも上にいるプライム層。その後、プライム層よりさらに信用力の高い「スーパープライム層」という定義が生まれ、これらの金利が次第に低下。また、サブプライム層には、先述のサブプライムレンダーが新規参入し、金利はプライム層に比べ高くなるものの、90年代の中頃からクレジットカードが普及。現在は、各層において信用力に応じた金利設定がなされている(「金利の多層化」)。これは、新規参入と与信業者間の競争の結果、リスクを定量化するノウハウが蓄積されたことが背景。ただ、いわゆる「クレジットの民主化」によりクレジットの機会が大衆に広まった半面、多重債務問題が急増したのも90年代の米国。このような中、米国では、金銭クレジット・カウンセリングの機能も高度化・発展していった。

  • 米国で有力なカウンセリング機関として、「コンシューマー・クレジット・カウンセリング・サービス(Consumer Credit Counseling Service. 以下、「CCCS」)がある。1960年代に米国各地に次々と設立、次第に組織化され、今日では中小都市にも普及している。CCCSのカウンセラーには、その上部団体であるナショナル・ファンデーション・フォア・コンシューマー・クレジット(National Foundation for Consumer Credit. 以下、NFCC)により「資格認定・更新プログラム」が用意されている。

  • CCCSは、カウンセリング活動を行うほか、最も症状の重い債務者に対して「デット・マネージメント・プラン(Debt Management Plan. 以下、DMP)」等を提供。DMPの2つの柱は、(1)債務者の立場で心理ケアと家計見直しの継続的モニタリング、(2)債権者との交渉を代行し金利減免や支払い期間延長、回収活動の中止の要請等。

  • CCCSを訪れた債務者の中で症状の最も軽い者(13.8%)は、「事前の助言」を受ける。これは家計管理や債務整理の方法を教え、後は自分でさせる手法。次に症状の軽い者(33.7%)は、「予算の作成」を受ける。家計簿管理や収支計画表をカウンセラーが作り、そこから先の債務整理は債務者自身にさせる手法。症状の重い者(36.6%)は、「DMPの作成」に進む。ここでは、継続的なカウンセリングとモニタリング・サービスを進めることを前提として、カウンセラーが債務者に代わり債務額の減免を債権者と交渉する。

  • DMPを受けた者は、約半数が、「返済完了(20.6%)」や「自己管理へ移行(20.8%)」というハッピーな形で終わる。しかし、残りの約半分(46.7%)は、DMPでの「支払い中断」となっている。後者のケースでは、カウンセラーは再び債務者と相談してDMPを作成する。カウンセラーは新しい状況で債務者が返済可能な額を算出し、債権者にDMPの一時中断と変更を要請する。

  • 一方、1990年代に入って「多重債務問題」が大きく取り上げられると、詐欺まがいのカウンセリング機関が蔓延し、社会問題となった。その結果、破産法が改正され、破産を申請する個人に関しては、法で定められたカウンセリング認定機関(NFCCを含めて3機関)による研修を義務付け、その受講証明が必要となった。

  • カウンセリングの効果は実証研究で証明されている。代表的な効果としては、(1)カウンセリングが債務者の信用度にプラスの影響を与える、(2)カウンセリング時に相対的信用度の劣る債務者にとってはその効果が特に大きかった、(3)カウンセリング3年で顧客の延滞実績が実質的に改善した、等が報告されている(米国ジョージタウン大学研究)。

  • 英国では1990年代、カード市場に新規参入が起きた結果、プライム層(英国では同義語としてスタンダード層という表現が使用される)向けの金利だけでなく、サブプライム層(ほぼ同義語としてノンプライム層という表現が使用される)向けの金利も下がった。最近参入した業者のサブプライム層向けの金利は、年利で29.2%、49.9%などとなっているが、英国の伝統的な低所得者向けのローンである住宅訪問クレジット業者の金利(年利100%程度)と比べると決して高くはない。

  • 英国では1974年に消費者信用法が改正された。現在、「(2005年)消費者信用法」が英国の上院で検討されており、現在、第三読会に入った。早ければ今秋に法案が成立予定。今回の改正のポイントは3点。1点目は、不公正なクレジット規定の厳格化。2点目は、免許制度の充実(資格要件の厳格化)。3点目は、ADR(裁判外紛争解決)の充実。

  • 今回の法改正においても、英国貿易産業省(DTI)の調査等の結果、金利規制は置かないことになった。DTIの報告書でも指摘されているように、「上限金利の導入によって、より多くの社会的に弱い人々が保護されるということは考えられない」というのがその理由。

  • 金利規制は、マネーレンダース法改正(1974年)の際に撤廃されたが、一部の消費者団体から、「これは間違いだったのではないか」との意見が出され、DTIが本件に関して調査を行った。この調査の結論は次の4点。(1)クレジットに対する需要はどこの国も同様に存在する、(2)上限金利がある市場では、高リスク者がクレジットから排除される、(3)サブプライム市場は多様かつ競争的になってきて低金利化へ向かっている、(4)上限金利がある国では契約内容が複雑になることから、契約条件が消費者に理解されていない傾向がある。

  • DTIの報告書は、金利規制が与信枠を歪める可能性があると指摘している。英国において、信用力の高いプライム層向けの与信枠は比較的大きいが、ノンプライム層向けの与信枠は小さくなる傾向がある。一方、仏のように実質的な上限金利が低く設定されていると、金融業者も利益を稼ぐために大きなロットで貸付けなければならない。その結果、仏の金融業者が利用者に設定する与信枠は英国よりも大きくなる傾向があり、過剰融資の可能性が示唆される。また、契約内容の理解度については、明らかに独、仏の利用者の方がクレジットの契約内容を理解していない。これは、独、仏とも実質的な上限金利が変動するため、約款が複雑になることが原因と思われる。

  • 独や仏においては、債務不履行が起きた場合、当該債務不履行者は、英国に比べて社会生活面でより深刻な被害を受けることが報告されている。

  • 独、仏では、信用履歴に傷のある人は、英国よりも違法業者(ヤミ金融)に頼る傾向があるとの報告がある。これも厳しい金利規制があることが原因とされる。

  • なお、英国の低所得者が利用する伝統的な「住宅訪問クレジット」では、金利が年利100%程度であるにもかかわらず、英国の取引基準局などは、金利規制の導入には消極的。理由は、現在、住宅訪問クレジットの市場が、低金利競争を展開したカードローン業界に急速に吸収されているから。

質疑応答の概要は以下のとおり。

(質問)

資料7-1の資料7右下にオリエントコーポレーションの10年以上前の取引履歴を廃棄した旨の主張が虚偽との記載があるが事実と違うので訂正を求める。この売上入金履歴リストの記録は弁護士から「入金の履歴を基にいついくら貸付けをしたのか推測でよいから出してほしい。それを出さないと貸付けが無かったものと扱われた例がある」と言われたため、過去の入金額の記録を基に推定計算して担当者が作成したものである。

(回答)

担当弁護士からの報告では、高裁の決定では「与信管理をしている抗告人にとって顧客データは貴重な情報であり理由もなく削除するとは考えられない」として文書提出命令に対する抗告を棄却した。その直後にこのリストが開示された。基となるものがなければ推計もできないと思う。もう一度確認して報告する。

(質問)

米国でのカウンセリングにおいては、主に業者が拠出しているというが、全体のコストは全米でどれくらいか。ボランティアの負担が大きいのではないか。

(回答)

資料7-4-2の9Pのフェア・シェアがカウンセラーの方々の活動資金である。DMPで確定した残高の8%、すなわちDMPの利用者が毎月払った額の8%を債権者がカウンセラーに寄付するため、活動における費用負担はかなり軽減されている。助言や予算作成は無料。一般的なカウンセラーの年間活動経費、CCCSの年間の収支の状況は後日報告する。

(質問)

CCCSの活動拠点、カウンセリングの活動拠点は全国にどれぐらいか。

(回答)

全米で1,300ヶ所。専任のカウンセラーが2,000名。小都市にはカウンセラーが大都市から出張し、研修や講義を行う。

(質問)

上限金利規制がない国では40%など非常に高金利の貸付けが行われているとのことだが、日本では「中小企業は10%を越す金利だと大変」、「消費者も29%だと大変」という報告が前回あった。規制がない国では多重債務が多発しないのか。

(回答)

  • 独や仏には金利規制があるし、貸金業者でなく銀行がその範囲内で貸付けを行っているので、多重債務の問題は起こっていない。しかし、失業とか家計の管理に起因する多重債務者あるいは自己破産者はいる。

  • 米国のペイデーローンは「10日で10%」という高金利だが、短期の資金需要者だけが使い、ペイデーローン業者も年間通して貸すつもりはない。業者は、11日目以降に償却処理に入る。ペイデーローン業者に金利のことを聞くと、「誤解を招くので年率で金利を考えるのは止めてほしい」と答えたが、理由はここにある。ペイデーローンにも情報センターのような機能が地域毎にあって、一度でも借金を踏み倒した人の情報は業者間で共有され、モラルハザードを防いでいる。

(質問)

各国の消費者金融の状況を知りたい。実際に存在する業者の種類。米国は自動車ローンが多いようだが、無担保での消費者向け貸付けを行っているのか。それは社会の中でどれぐらいを占めているか。公の融資ではなく、商業ベースでの融資がどれぐらいか。日本では多重債務問題がかなり深刻だが各国の多重債務の規模は。日本はテレビCMや新聞、雑誌を使って簡単に借りられるように強調しているが、そういう販売手法をとっているのか。

(回答)

  • 米国のサブプライムレンダーには、自動車担保ローンや不動産担保ローンの他にクレジット・カード会社がある。例えば、上場したサブプライムレンダーの1社である、サブプライム層向けのカード発行会社メトリスはもともと通販会社の金融部門がスピンオフした会社。通販のビジネスモデルにおいて、顧客からの資金回収は消費者金融の与信管理機能と近い。メトリスは、通販部門のデータベースに基づいて、銀行が相手にしないような顧客(サブプライム)層のうち、通販を利用してキチッと支払った実績のある一部の優良な顧客に対して、クレジットカードを発行し成功を収めた。英国では、大体2004年の段階で無担保パーソナルローン、クレジットカードの残高が891億ポンド(約18兆円)。自己破産件数は、2004年は非常に多かったが、ほぼ横ばい状態(推移の詳細は、資料7-4-3の7P参照)。英国ではサブプライム層向けローンの業態として、住宅訪問クレジットの利用が伝統的に多い。住宅訪問クレジット業者は顧客の家へ訪問して小口の短期ローンを提供するが、貸付額は1,000ポンド、金利は100%。そして、残高が24億ポンド。英国のリテール貸付市場というのは1兆620億ポンドなのでそれに比べると住宅訪問クレジットのシェアは小さい。大手4社が寡占化。新規参入する業者が現れない一方で、撤退する中小業者が多く、マーケットは衰退気味。広告については、英国DTIが家計部門を調査し、多重債務の動向を報告したレポート(資料7-4-3の49P参照)によると、広告よりむしろ、当初だけ低い金利(最初の9ヶ月間は金利0%)を提示して、その後、高い金利になるという、残高移行を促すマーケティング手法が問題視されている。

  • 独では、貸金業者が存在せず専ら銀行が10%前後で貸付けている(角田論文)。一方、融資を受けられない人もいる。銀行取引・預金残高がある場合は銀行が貸付けをしてくれるし、信用情報がほぼ完璧に全国規模で登録されている。ただ、貸倒れ、多重債務者も発生しているし、高金利も問題とされている。一般的な破産件数だが、独でも日本の自己破産に相当する人が6万人ぐらいいると言われている。仏では、銀行が貸付けをしていて、それに関する金利規制がある。広告については、日本のような貸金業者の広告を独仏のテレビCM、雑誌などで目にしたことがない。舟橋論文にあるように、日本人から考えると厳しい広告規制が、消費者信用取引の規制として行われている。諸外国の制度を日本と比較する場合、キリスト教の影響かもしれないが、利息についての考え方が違い、一定基準を超えた金利については人々の抵抗感がある。それで、銀行による比較的低金利の貸付けで市場がまかなわれているのではないか。そこで借りられない者には、ローンシャークという業者が跋扈している。

(質問)

上限金利規制は無くてもいいという意見だが、韓国は規制を撤廃したことで非常に深刻な状況。これをどのように把握しているのか。

(回答)

後日、調べて回答する。

(質問)

消費者団体も種々あり、ある団体の意見が正義とは限らない。資料7-4-3にある発言は、具体的にはどの団体が行ったものか。

(回答)

住宅訪問クレジットの活動に対して批判的な意見を出しているのは、全英消費者協議会(ナショナル・コンシューマー・カウンセル)。

(質問)

借手側の知識・返済能力に応じた認識が重要。米国のクレジットカウンセリング機関は、借入れ段階や支払停止まで役割を果たしているのか。米国では住宅ローンを借りる場合、業者がカウンセラーへのアクセスを持たせると聞いた。営業はどうしても過剰融資に走るので、ブレーキをかけて公正な慣行を守らせるそうだが。

(回答)

金銭カウンセラーがフィナンシャルプランナーとして住宅ローンの利用を検討する人達の相談に応じる。この場合、カウンセラーは相談者から利用料を貰うこともある。また、金銭カウンセラーに期待される機能として、予防的教育プログラムである消費者金銭教育がある。カウンセラーが地元の小中学校に行き課外活動の中で教育活動をする。こうした地道な活動を通して、金銭カウンセラーは地域住民にとって身近な存在として今日、定着している。

(質問)

英国の個人信用情報機関は米国系も入っていて広範囲。利用者もオープン。補足説明をしてほしい。日本の現状と比べて考えがあれば伺いたい。

(回答)

英国の信用情報は機能が高度化。日本の全情連と同じように互恵ベース。つまり、与信業者がクレジットカードのホワイト情報とネガティブ情報を提供するのであれば、同じくクレジットカードのホワイト情報とネガティブ情報が提供される。その会社が住宅ローンを扱っていないのであれば、住宅ローンの情報を要請しても、この情報は提供されない。つまり、米国のクレジットビューローのように情報を切り売りするようなことはない。

(質問)

米国では、サブプライム市場に自動車ローン業者や不動産ローン業者が新規参入して金利が下がったということだが、無担保で貸付けているのか。日本の場合には、自動車ローンや不動産ローンは0%台から2桁にならない金利で借りられるので、事情がかなり異なると思う。2点目は、米国は車社会なので、車の購入に関してサブプライム層に低金利で貸付けを行う事業者が出てくるのは分かるが、日本では、プライム層が、景気悪化によるリストラや病気での貧困化によって、サブプライム層になっている。彼らに対して低金利で貸付ける業者が現れるのか。

(回答)

中古車の場合、日本でも取扱いディーラーにより高い金利になる。米国の自動車を担保としたサブプライムローンの金利は、一時年利20%を超えていた。なお、上場した、自動車を担保としたサブプライムレンダーは、競争に敗れ全て市場から消滅した。サブプライム層向け自動車担保ローンは、年利20%の金利を取っていても、しっかりとした与信ノウハウを保持していなければ利益を出すことの難しいビジネスである。また、日本でも米国でも合法下の金融業者は、リストラで失業したり病気で貧しくなった消費者に与信しない。

(質問)

日本の消費者の場合、住宅ローンや車のローンは一定期間で返済が終わる。消費者金融、クレジットカードに関しては、貸しっ放しになる危険性が1番の問題。事業形態は、早く資金を回収しようというよりも借り続けてほしいという仕組みになっている。消費者金融会社のATMの利用明細書を見ても、残高合計と並んで利用可能額が記載され、いかにも借りてくださいという形式。債務者の方も、借りるという認識よりお金を下ろすような錯覚をして、リボ中毒に似た状況が起きている。つまり、借りっ放しになるように仕向ける業者が存在していると思う。こういう例は海外でもあるのか。

(回答)

遅延損害金は、独も日本と同様に債務不履行の場合に発生するが、独法では、遅延損害金は利息とは別に規制されている。日本では、利息制限法により、賠償額の予定は利息よりも高い利率すなわち利息の1.46倍まで許されている。独では、利息は一定期間の貸付けに対する法定果実で、コストを勘案して利益を生み出すだけの利息を請求するという発想があり、遅延損害金はお金の貸し借り固有の問題ではなく、その後の損害賠償一般の問題とされている。独民法典では、遅延損害金は「法定利率プラスα」数%の請求しか許されておらず、返済が遅れれば遅れるほど収益が出るということにはならない。

(質問)

上限金利規制が無ければ金利は下がるというが、サブプライム層でも下がるのか。

(回答)

英国のように、サブプライム層が伝統的に利用してきた住宅訪問クレジットの市場が、サブプライム層向けのクレジットカードに吸収され、金利低下が起きている。例えば、プロビデント・ファイナンシャルという住宅訪問クレジット業者は年利100%で営業しているが、バンクイス・バンクというサブプライム層向けのカード会社を設立して、同一顧客層に年利49.9%で与信している。結果として、サブプライム層向けの金利を下げたことになる。また、DTI報告書では、本当に行き詰まった人に対して、何らかの公的な機能のある機関(例えば、信用組合のような組織)が低いレートで提供するべきだと提言している。この場合、金利は低くなるが、簡便性、つまりファイナンスまでに時間が掛かるのがネックになるだろう。

(質問)

資料7-4-4では、日本では90年代に金利が下がりプライム層を消費者ローン市場に取り込んだと読める。金利規制によって金利が下がったと思うが、データがあるのか。大手業者は収益が上がった分を金利低下に廻したのだろうか。

(回答)

消費者金融の金利が従前のクレジットカード会社の金利帯に近づいた結果、巨大なプライム層の顧客を吸収できた。大手消費者金融会社が顧客に提示する上限金利と出資法で定める上限金利を時系列でトラッキングしていくと、出資法の上限金利が下がるよりも先に、大手消費者金融会社の金利が下がっている。強化された規制が大手の金利を引き下げたとは言えない。

(質問)

違法な公正証書による取立てに関し行政庁に申立てを行った結果、何か処分があったか。

(回答)

資料7-1の資料5に違法な差押え等の賠償判決・和解事例を示したが、これらに至る前に「利息制限法上はもう完済しており、かつ、その旨異議を申し立てているのに差押えをしてくる。これは重要な違法なので処分してほしい」と弁護団が財務局(金融庁)に行政処分の申立てを繰り返してきた。金融庁の理解が進めば、一歩前進した処分がなされると大変期待。日頃、業者との接点が非常に多いので、行政処分を申し立てても効果として現れない。今まで、違法な公正証書による差押えや公正証書の違法作成を理由として、処分はされていない。

以上

問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は、暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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