貸金業制度等に関する懇談会(第9回)議事要旨

1.日時

平成18年1月27日(金)10時00分~12時03分

2.場所

中央合同庁舎第4号館11階 共用第一特別会議室

3.議題

○ 吉野座長による議論の整理

○ 事務局説明

○ 討論

○ 参考人等からのヒアリング

  • 山岸親雄 (財)日本クレジットカウンセリング協会 専務理事
  • 杉江雅彦 フィナンシャルカウンセリング研究会 座長
  • 小倉利夫 (社)全国貸金業協会連合会 会長
  • 西村隆男 横浜国立大学 教授

4.議事要旨

吉野座長による議論の整理

  • 資料9-2は個人的に作成したものだが、これまでの懇談会の開催を踏まえ、貸金業に関する全体像を示したもの。以下この資料について説明する。

  • 貸金業の利用者には、健全な借手、浪費者、生活苦の利用者の3種類がいる。健全な借手というのは、短期の繋ぎ資金を借りる者や、新規の企業で銀行から借りられない者。他方、浪費者と生活苦の利用者は、本来、貸金業者から借りるべきでない者である。

  • 生活苦の方については、社会保障制度をしっかり確立させて市区町村の窓口で対応することにより、また、浪費者と生活苦の方両者について、金銭教育や消費者教育により、貸金業者から借りないようにするべき。

  • 仮に、生活苦の方や浪費者が貸金業者から借りた場合、クレジットカウンセリングなどの相談窓口で救う手立てが必要である。

  • 貸金業への参入については登録制がとられているが、ペーパーテストを法制化するなど、参入のあり方を考えていく必要がある。

  • 貸金業者間の信用情報の交換、信用情報機関間のブラック情報・ホワイト情報を含めた情報交流が可能となる制度ができるかを議論する必要がある。

  • 貸金業者の自主規制機関が、他の金融業界のように、業界全体をしっかり見るようにすることが必要である。

  • 取立て、書面交付、過剰貸付け、広告にかかる規制を、行為規制としてしっかりとやっていくことが必要である。

  • 上限金利の設定については、資金の超過需要がどうしても出てくるので、資金需要者がブラックマーケットに向かわないように社会保障や相談窓口で救い、超過需要が解消されるようにマーケット全体をみる必要がある。

資料9-3に基づき、事務局から「みなし弁済規定をめぐる最高裁判決について」を説明

資料9-4に基づき、事務局から「今後の検討課題」を説明

事務局から貸金業制度等の実態に関する海外調査報告(前回の続き)

  • アメリカでの低所得者層への貸付けに関する諸問題について、FTC(米国連邦取引委員会)からのヒアリング内容を説明する。

  • アメリカでは、略奪的貸付けとして、低所得者に対し、いわゆるおまとめローンに類似した、債務を一本化するための住宅担保貸付けが行われている。

  • 消費者の理解不足に乗じ、月々の支払額が低額になると誤解させて借換え、一本化を勧誘する。消費者(特に高齢者)は、借換え後、月々の支払いにより利息と元本が減少していくと期待するが、実際は、返済額が徐々に膨らんで支払い困難に陥り、結果的に担保の実行により住宅を失うといったことが起こっている。

  • これに関する規制として、借り手の支払能力を考慮せず担保を徴求することの禁止、貸し手の違反行為の推定(貸し手が借り手の支払能力を文書で証明できなければ、法律違反が推定される)、返済額が後になる程増加する返済方式(バルーンペイメント)の禁止、消費者に注意を促すための金利の詳細な開示義務、貸付金を返済しなければ住宅を失う旨の開示義務が規定されている。また、借主の利益とならない短期間での借換えが禁止されている。

  • 続いて、イギリスについて説明する。現在、イギリスでは消費者信用法の改正法案が議会に掛けられている。それによると、貸金業者は登録要件を満たしていることを自ら立証しなければならないこととなっている。

  • 貸金業者の顧問弁護士によると、改正法案では、契約は書面で行わなければならず、利用者は契約の同意書に署名する必要があるとされている。また、(1)全ての契約条項、(2)金利以外の費用、(3)期限前弁済の効果、(4)トラブル時の連絡先、(5)クーリングオフ条項の記載が義務付けられている。

  • 上限金利規制の導入については、法改正に関連して議論されたが、見送られた。イギリスの場合、市場において主流となっている割賦販売について金利規制を適用するか否かという点が論点となる。

  • 英国貿易産業省(DTI:Department of Trade and Industry)から委託を受けた調査機関によると、イギリスではアメリカと同様に、人口の約20%が年収約9,000ポンド以下で銀行口座やクレジットカードを持てないため、高金利の消費者金融からの借入を余儀なくされている。これ以外の約8割の国民は、消費者金融をあまり利用せず、銀行による借入や、クレジットカードを利用している(日本では消費者信用のうち、割賦販売と消費者金融の残高が半々)。

  • 低所得者の住居地は特定地域に集中しており、その地域にだけ特有のHome Creditという無担保消費者金融が存在する。平均金利は177%で、借主の自宅を回って貸付金回収を行っている。

  • イギリスの消費者団体NCC(National Consumer Council)は、消費者信用法の改正法案に上限金利規制を盛り込まないことに同意したと伝えられているが、低所得者層への高金利での貸付けについては、救済が必要と表明している。

  • イギリスにおける過剰貸付けの問題は、住宅を取り上げることを目的とした低所得者層に対する住宅担保貸付けで生じている。特に、債務の一本化、いわゆるおまとめローン類似の貸付けについては、「不公正、不適当」と認定される場合には行政処分の対象となる。

  • アメリカにおいても貸付金利の年率は他の項目より目立たさなければならないとの規定があるが、イギリスではより詳細な規定がある(資料8-524ページ以降参照)。

  • 資料8-5の最後で、貸金業に関する国際比較を一覧表にしたが、ドイツ、フランスには金利の上限規制があり、割賦販売と貸金業の両方に適用されている。

討論

  • 吉野座長の図(資料9-2)についてだが、マーケットというレベルだけでなく、その裏側にあるプレーヤー、特に、情報上、交渉力上優位にある貸金業者の収益構造、ビジネスモデルを検討し、その中に消費者保護の観点から考えてどのような問題があるのかということを議論した上で、必要な規制を考えるべきではないか。そう考えると、過剰なアベイラビリティにより、供給が需要を作りだしている側面があるように思われるため、需要と供給を独立に考えていいのかは疑問である。

  • 近年の個人信用市場では、専業の消費者金融業者と銀行のシェアは低下しているが、銀行と貸金業者の共同出資会社などがシェアを伸ばしている。銀行はブランドもあり、個人ローンに非常に熱心で、消費者に浸透しているが、貸付け上限額が高い例が多く、問題になる可能性があるのでは。過剰貸付防止の規制のあり方を考える際に、貸金業者だけでなく銀行系カード会社を含めて、個人がどのくらい借りているのか把握することが非常に重要。

  • 近年、最高裁でみなし弁済規定や取引履歴の開示等について重要な判決が出されているので、真摯に受け止めて検討を早急にしていただきたい。また、検討を行っていくに当たっては、現在、貸金業者の利用者の中には、多重債務者予備軍や実際に自己破産に陥っている人が非常に多いので、これをどう解消していくかを念頭に置いて検討していただきたい。

  • 先程も話があったが、貸金業制度について検討する際には、貸金業者、銀行、クレジットカード会社の行うローン、キャッシング、クレジットなど対象範囲をどこまで含めるかということと、貸金業者が資金調達を行うに当たっては、どのくらい貸倒率の見込みを考慮しているかということも含めてビジネスモデルを示していただきたい。

  • 生活苦の方の中には社会保障の窓口を知らない場合があるが、全ての人を社会保障の対象にするのも不可能だと思うので、早急に貸金分野のルールを整備していただきたい。

  • 信用情報機関には、多重債務を防止するための全件照会とタイムリーな照会に対する対応が求められるが、現状は不十分なため論点に含めてほしい。経済産業省でも検討を重ねているので検討を重ね合わせてほしい。

  • 多重債務者はクレジットの利用が入口となっている場合が多いと推察される。また、家計調査によると年収が300~400万円ぐらいで借りている人が多く、そもそも高い金利では借りられない人が借りていると感じるので、家計分析をしていただきたい。国民生活センターが昨年調査報告書を出しており参考にしていただきたい。

  • 与信審査の実態だが、本当のことを申告せずに借りられる状況にあるのではないか。本当のことを言わない人に対し、貸さないようにするのは大原則。

  • 実際の利用者をみると、大手貸金業者のテレビコマーシャルを見て安心し、借りている人がいる。広告勧誘のあり方について検討していただきたい。

  • 金利規制については、大手、中小のほとんどが29.2%に近い貸付金利で営業していることが疑問。ビジネスモデルの分析をしていただきたい。

  • 投資サービス法の議論では、包括的横断化と言われていたが、消費者信用についても包括横断的に括られた法律を是非検討していただきたい。

  • 広告の影響は非常に大きく、借りるのは簡単になっているが、問題なのは、返す困難さに関してはあまり広告されていないことである。

  • 海外調査で把握した、過剰貸付や広告規制についての具体的なルールは、是非今後の検討過程に反映させていただきたい。

  • 最高裁が踏み込んだ判断をしている背景には、多くの事件があり根本的な解決が求められている。

  • 現在の議論の到達時点で早急に取りまとめ、具体的なアクションに向けての動きを早急に行うべきである。

  • 海外調査については、税金を使って調査しているので、その成果を是非きっちり公表していただきたい。

  • ある雑誌には、銀行はクレジットカードを従来の一回払いだけの利用から、リボ払い、カードローン、キャッシュを中心としたファイナンスカードとして利用してもらうよう取り組むべきであると書かれている。日本では、販売信用のみならず、キャッシングでも事実上リボルビング払いという形の借金漬け状況を起こしているので、リボルビング方式に関しては入念な検討が必要。

  • 最近の最高裁判決は、グレーゾーンの金利帯、法体制そのものがおかしいと言っているのと同じなので、重く受け止める必要がある。ダブルスタンダードの金利規制は廃止すべきで、全ての人に分かり易い法規制を考える時期だと思う。

  • イギリスやアメリカでは、銀行と取引できない人に対して100%を超す金利が課されるなど金利が自由化されているが、一応ファイナンシングが機能している。しかし韓国では金利を自由化した途端に陰惨な状況になった。日本は金利規制しているにも関わらず陰惨な世界があり、何故そうなるのか分からない。人間性、国民性の問題かもしれないが、競争というモデルが働いているとは考えられない状況のため、貸金業者のビジネスモデルについて是非知りたい。

  • 生活苦とか浪費者とかそういう人達は他の所で救えるのだろうが、貸金業者に頼ってしまう人達もいる。その人達に適用される金利について、どのような規制をかけるのかということを検討してほしい。

  • 貸金業者の規制について、企業間金融とそうでないものの区別をしていただきたい。資料9-4にも、「資金需要者等の類型に応じた規制の導入の是非」が検討課題に挙げられているが、投資サービス法で理解が得られるようになったので、こちらでも同じ考えを取り入れて考えていくべきではないか。

  • ビジネスモデルに加えて、市場構造の問題についても考えるべきである。通常では借りられない人に貸すためには余分に引当を積む必要があるが、貸金業者の中にはリスク管理をせずに借りられない人に貸し込むような行為が行われているため、健全な業者がその分引当を多く積まなければならない状況にあり、中小の貸金業者が体力的に耐えられなくなって、マーケットから淘汰されている。このように考えると、リスク管理が重要な問題になるが、借りられない人に貸し込むような業者が識別されて淘汰されていくという観点から規制を考えていくと、金利がいいのか、それとも金額的な問題として取り扱うべきなのかという整理になっていくのではないか。

  • 自己破産を容易に認めるという方法もあり、そうすれば貸す側もリスクを考えるようになるのではないか。

  • 金銭教育、消費者教育が必要だと思うが、どこが行うかという問題があり、多面的、多層的に行っていく必要がある。

  • 消費者金融業界では、一部で非常に過酷な労働環境、労働条件を強いられていると聞くので、働いている方が世間に対し堂々と胸を張れるような健全な労使関係が育つようなビジネスモデルであってほしいと思う。

  • 貸金業の問題が表面化してない地域の行政機関の方や一般消費者から聞く話では、貸金業者には、債務者本人が返せなくても、身内が返すため貸し込むというビジネスモデルが成り立っている。本人以外に弁済を求めている状況について是非検討していただきたい。

  • どのようなビジネスモデルが成功するかという切り口ではなく、どうすれば借り手が悲惨な状況に陥らずに済むかという視点でのルール化を図っていただきたい。

山岸専務理事から報告

  • (財)日本クレジットカウンセリング協会の設立目的は3つ。(1)多重債務者に対し消費者保護の立場から公正・中立なカウンセリングを行い、生活再建を図る、(2)消費者信用の健全な利用について啓発を行う、(3)多重債務者の発生を未然防止する。

  • カウンセリング事業の実施には、日本弁護士連合会や地域の弁護士会の協力をいただいている。また、協会の運営費はクレジット関係、貸金及び銀行業界からの賛助会費と日本自転車振興会からの補助金で賄われている。

  • 当協会は、昭和59年に自己破産が初めて2万人を超え、多重債務者増加が社会問題を引き起こし、クレジットの健全な発展の支障になることを憂えたクレジット業界と、所管庁の通商産業省がアメリカのクレジットカウンセリングの仕組みを真似て昭和62年に発足した。

  • 当初はクレジット業界のみで運営されていたが、平成9年頃から「貸金業界も独自にクレジットカウンセリングの機関を持つべき」との検討が行われ、平成14年4月に協会を再編して、現在の仕組みとなった。

  • 協会の事業費は年間約3億円だが、その大部分を寄付金である賛助会費に依存している。賛助会費は、個別の事業者からではなく、(社)全国貸金業協会連合会、全国銀行協会、16のクレジット関係業界団体からの寄付である。

  • 業界関係者、学者、消費者団体、マスコミ、地方消費者行政の担当者、弁護士が協会の役員となり、その他にも、経営の中立性を確保するための配慮をしている。

  • 協会のカウンセリング事業として、電話相談、カウンセリング、法律・家計相談会を実施している。法律・家計相談会は、地元弁護士会、消費者センターなどの協力を得て、多重債務者向けの無料相談会を短期間のイベントとして開催している。

  • 現在常設の相談センターを東京の新宿、福岡市、名古屋市に設置し、常時、電話相談とカウンセリングを行っている。

  • 東京センターの活動を紹介すると、電話相談の問合せ件数は、平成14年をピークに年々減少。問合せは全国から寄せられるが、南関東の人が全体の4分の3を占める。協会を知ったきっかけは、消費者センターなど公的な相談機関が40%強を占め、その他様々なきっかけがあるようだが、消費者団体やNPOなどの紹介が極めて少ないので、今後この方面への働きかけをしていきたい。

  • カウンセリングは相談者の申込みを受けて行う。カウンセリング内容は、家計、生活、債務の返済・整理の方法、司法手続きに関するものなど。相談者の希望があり、可能な場合には、任意整理の手伝いをする。カウンセリングには弁護士会から推薦を受けた弁護士と、協会が消費生活アドバイザーなどの資格を持った応募者から選抜するアドバイザーが当たる。

  • カウンセリングの具体的手順だが、受け付ける相談は、電話相談の中から、債務の減額、弁済条件の緩和などで弁済できる可能性があることなどの要件を満たすものをピックアップする。収入に比べ極端に債務が大きいなど、明らかに自己破産を前提に考えるべき場合は除かれる。協会では相談者と債権者の間に立って仲介する立場にあるため、自己破産・個人再生、過払金返還請求などの司法手続は受任せず、弁護士会の相談センターを紹介する。

  • カウンセリング日時が決まれば、収入・支出の内容、家族構成、財産の内訳などの資料を整理してもらう。カウンセリングでは、弁護士とアドバイザーの2人で面談を行い、相談者にふさわしい解決方法を助言するが、(1)任意整理、(2)弁護士会の紹介、(3)相談・助言で終了の3つに分かれる。

  • 平成16年の1年間東京センターでカウンセリングを受けた人数は811人で、その内訳は、任意整理45%強、弁護士会の紹介45%弱、相談・助言のみが10%程度。

  • 任意整理を行う場合、取立中止と取引履歴の開示を求める。その後、利息制限法金利で引き直し計算をして、これを元に債権者と相談者を当事者とする弁済計画の提案・締結と進む。大体3年間の弁済計画を履行していくことになるが、途中で返済が行き詰まる場合には改めて相談に乗る。

  • 入金が遅れると、債権者から協会に連絡があり、アドバイザーが仲立ちをする。アドバイザーが相談者に対し、家計簿の記帳をさせたり、月々の返済金をプールする口座に資金が確保されているか報告を求めるなど、生活状況の問合せを行ったり、励ましたりして、弁済計画が確実に履行されるように完済までフォローする。弁済期間を通じて家計管理を実践させることになる。

  • 弁済契約締結者のうち、5~8%が途中で返済不能、あるいは連絡不能になるが、これは市中の弁護士が行う任意整理の場合よりも遙かに少ない。任意整理を目指したものの、後で返済不能であることが分かり、弁護士会に紹介する場合もあり、最終的には、任意整理が35%強、自己破産等が50%弱、その他が10数%となる。

  • カウンセリングを受けた相談者のプロフィールについて紹介する。相談者の年齢層でみると、20歳代と30歳代が多い。10数年前のバブルの頃は、20歳代が非常に多い割合を占め、平成14、15年頃は30歳代が多いが、これは同一世代、いわゆる団塊ジュニア達である。

  • 平成14、15年は、特に20歳代の相談者が増加しているが、この頃はヤミ金融が社会問題化した時期。協会のカウンセリングではヤミ金融に関する相談には応じていないにもかかわらず増えているのは、ヤミ金融騒ぎに触発されて自らの行く末が心配になり相談に来る若者が多かったのではと思う。

  • カウンセリングを受けた人達が、借金をすることになった理由をみると、贅沢品、不相応な買い物が原因となっている人は減っている。生活費、失業、減収が理由の人は増加している。

  • 平成15年に東京センターに来た966人の借入先をみると、貸金業者からが全体の90%で、52.6%の人は貸金業者とクレジット会社の両方から借入をしている。また、18.8%の人は銀行からも借入をしており、その内約11%は住宅ローンを抱えている。

  • ある相談者の借入軌跡から、どういう借入実体にあったかをみたところ、借り込んでいく、あるいは借りては返すということを頻繁に繰り返している。こういうケースが一般的なパターンではないかと思う。

  • カウンセリング活動における課題を2つあげたい。1つ目は、協会のカウンセリングの役割は、多重債務に陥った人達を健全な家計を営むように社会復帰させることにあると思うが、自己破産、個人再生相当の相談者とは、多くの場合初めの一回限りしか接触機会がない。多重債務に陥るおそれのある人もカウンセリングの対象にされているが、現実は相談に来る人はいない。

  • 二つ目はカウンセリングのサービスエリアについて。カウンセリングを受けるにはセンターに来ていただく必要がある。現在の東京、福岡、名古屋のセンターだけでは全国をカバーできないため、全国展開をしたいがいくつか問題がある。

  • 一つは、カウンセリングを継続するには、恒常的なセンターが必要だが、需要に比べてコストがかかり過ぎる。2つ目は弁護士の比較的少ない地方において、一定の資質を備えた弁護士を必要な人数、継続的に協会カウンセリングのために拘束することが難しいということ。ただし、大阪の場合は、弁護士も多重債務者も多いが、大阪弁護士会の協力が得られないためにセンターを設置できない。

  • 協会のカウンセリング事業について、多くの方々の客観的な評価が後押しとなってくれることを期待している。

杉江座長から報告

  • フィナンシャルカウンセリング研究会の趣旨及び目的を紹介する。1997年の大蔵省銀行局長の研究会「ノンバンクに関する懇談会」の提言を受け、97~98年にかけてカウンセリング研究会が催され、フィナンシャルカウンセリングについての研究、調査が進んだ。その中で、関係機関あるいは消費者団体から日本消費者金融協会JCFAに対して、「消費者救済、あるいは消費者に対する金銭教育のあり方などを研究する場を設けてはどうか」という要望があり、これを受けてJCFAが中心になって、2004年10月に当研究会が2年間の研究活動をするために設立された。

  • この研究会は、数多いカウンセリング機関・相談機関を横断的にネットワーク化する、日本の風土にあったフィナンシャルカウンセリングの手法を確立する、あるいは、消費者に対する金銭管理教育を計画的に推進していくといったテーマで立ち上がった。

  • 数多くの既存の相談機関のネットワーク化、またそのためのインフラ整備及びカウンセラー認定を研究する第1分科会、フィナンシャルカウンセリングの手法を主に研究する第2分科会、また消費者に対する金銭教育のあり方を研究する第3分科会とテーマ毎に3つの分科会を設けている。

  • 2年間研究する予定だが、分科会では、これまで1年間、それぞれ9回ずつ研究会を行ってきた。そこで、今回中間報告書をまとめた。

  • これから研究していかなければならない課題としては、第1分科会では、相談機関のネットワーク化、相談員あるいはカウンセラーの資質の標準化、相談員・カウンセラーの資質を担保する制度として、カウンセラーの知識や能力を判定する仕組み、資格制度の確立など。

  • 第2分科会では、フィナンシャルカウンセリングの定義確立、フィナンシャルカウンセラーに求められる資質あるいは技法の研究、カウンセラー養成のための具体的な方法の確立。

  • 第3分科会では個人の金銭活動とカウンセリングの連動性の問題、教育とカウンセリングのタイアップ方法、各地の相談機関が担っている教育機能の精査がこれからの研究課題になる。

  • また、昨年9月25日~10月1日まで、アメリカの消費者救済、あるいは金銭教育の実態調査のためにワシントンDCを中心に10か所でヒアリングをした。その正式な実態調査の視察報告書は今年の2月末に発行する予定。

小倉会長から報告

  • 貸金業規制法28条に基づいて、全国47都道府県の貸金業協会において苦情処理と相談受付の業務を行っている。

  • 苦情処理の件数は、平成14年度はヤミ金融問題で11,290件と多かったが、16年度は7,598件と減少傾向。全体の67.7%(5,143件)が無登録業者に係る案件。会員業者についての苦情は15%(1,146件)。

  • 苦情内容をみると、高金利に関するものが19%(1,444件)、詐欺が18.8%(1,427件)、取立に関するものが18.1%(1,376件)となっている。

  • 苦情の処理結果としては、協会が指導したケースが45.7%(3,473件)。警察あるいは都道府県などの他機関を紹介したのが50.7%(3,853件)。

  • 平成14年度の相談受付件数は104,390件。この年はヤミ金融が社会問題になっていた時期であり、また全金連が47都道府県で、11月5日から12月4日までの1か月間、ヤミ金キャンペーンを実施したこともあって件数が膨らんだ。ちなみに、平成16年度は70,586件。

  • 相談の内容については、貸出禁止依頼が33.4%(23,594件)、返済困難が22.3%(15,709件)、身分証明書の紛失などが15.9%(11,254件)。

  • 相談の処理結果としては、処理、助言、是正等が85%(59,964件)、他機関への紹介が14.6%(10,303件)。他機関への紹介の内訳は、情報センターに紹介をしたのが37.3%(3,845件)。裁判所が18.2%(1,875件)。

  • 「裁判所」を紹介するのは、「自己破産や調停はどうすればいいのか」といった依頼があった場合に、「裁判所に行って相談して下さい」というようなケース。弁護士会への紹介が16.6%(1,715件)。

  • ほとんどの協会が苦情処理と相談を行っている。そのうち債務相談を実施している協会は32あるが、これは債務整理等にあたって、弁護士等の他の機関を紹介している協会を含んだもの。実施していない協会が15県(協会)あるが、主に小規模協会が多い。その理由は、32協会の場合には、多くの顧問弁護士に加えて一般の弁護士の協力を得ながら債務相談の体制ができているのに対し、未実施の15協会は、弁護士報酬が払えないような小規模協会であり、弁護士の協力なしで相談に応じているからである。

  • 以前から弁護士会が、「相談でも弁護士法の非弁活動に当たる」と主張していることから、弁護士報酬を払えない協会では、次第に相談ができなくなってきているのが実態。是非、弁護士会の協力をいただいて47都道府県で実施していきたいと考えている。

西村教授から報告

  • クレジットカウンセリングの諸外国の状況について話す。アメリカでは昨年破産法改正があり、カウンセリングと債務者教育が法定された。

  • 事前カウンセリングでは、司法省のEOUST(連邦管財部局)が認証したカウンセリング機関でカウンセリングを受ける。破産が妥当かどうかという判断が中心であるため所得資産調査(Means Test)を行う。

  • 一方、破産免責決定前に法定の債務者教育が必要になった。その実施機関としては主としてクレジット・カウンセリング・サービス(CCCS)、それ以外に民間教育会社あるいは州立大学のエクステンションなども参入している。1960年代にスタートしたCCCSのシステムが、アメリカでは40年以上の歴史を持つが、そのカウンセリングも多様であり、お金を取って行うサービスでかなり質に差があるが、それらを整理したのが今回の破産法改正による法制化であった。

  • CCCSの新しい分野として、高齢者がリバースモーゲージに関する相談をしている。予定される相続財産の価値がリバースモーゲージの結果下がる可能性があるので、相続人との争いの調整をすることも業務になっている。

  • イギリスの債務アドバイスも有名だが、過重債務に至る者を最小化する教育施策として、特にFSAが中心になって、金融能力の向上戦略というものを行っている。

  • 英国の無料債務アドバイス機関Money Advice TrustとNational Debt Lineは、電話による債務アドバイスサービスを提供している。イギリスで有名なCAB(Citizen Advice Bureau)は、よろず相談として定着している。債務アドバイスに関しては、National Debt Lineの利用が勧められている。CCCSもアメリカほどではないが存在。

  • DTIの昨年の年次報告によると、電話アドバイスが年々増加しており、National Debt Lineは30人の訓練されたアドバイザーを補強している。National Debt Lineは1987年に設立されたもので、政府と協力関係を持つ金融アドバイスに関する代表的民間団体。

  • 債務相談には、決め手となる簡単な解決が常にあるわけではない。相談は問題解決の出発点で、収入をいかに増やして支出を切り詰めていくかである。税の軽減措置にも配慮して、消費者信用の法制度にも通じて、支払い可能な返済プランや削減プランを作り上げていくのがアドバイザーの仕事である。

  • フランスではニエルツ法が1980年代に制定された。フランスには債務調停委員会、債務過重委員会があり、中央銀行にあたる国立銀行が事務局を担っており、いわゆる債務整理の分野を調停委員会が行っていて、和解プランを作成している。当初は住宅ローン債務の増大が過重債務原因であったが、失業が拡大したため、99年のニエルツ法改正によって、過重債務者に3年の猶予期間を経て免責を認める新制度を盛り込んだ。返済計画案(更生プラン)は債務過重委員会が決定する。

  • 日本の民間クレジットカウンセリングの状況、とりわけNPO等の活動としては、熊本にある「お金の学校くまもと」がある。カウンセリングの役割は法的解決に加えて、過重債務で二度と困らないように生活再建を支えることである。ここでは、積極的に、カウンセラーが相談者の自宅を訪問してカウンセリングするというようなきめ細かいことを行っている。また、弁護士の方が2名理事で加わっており、法的な問題に関する指導を実施している。

  • 岩手県の消費者信用生協は30年の歴史を持つ。非常に特徴的なのは、カウンセラーを約20名育て、岩手県の弁護士会とタイアップして活動を展開していること。年9%少々で最大500万円の貸付けも行う。また、DVの問題、ギャンブル依存といった家庭内の問題を受け付けるNPOを内部に一つ設けている。

  • 債務者相談におけるカウンセリングの必要性をもっと認識する必要があり、法制化についても検討していただきたい。全国的な統一的機関やカウンセラーの養成、認定が必要。クレジットカウンセリングを受けるということに対するインセンティブを考える必要がある。カウンセリングを受けやすくする、受けた場合何らかの恩典を受けるようなシステム、例えば、信用情報機関へのプラスの登録であるとか、今後の生活行動に役立つような仕組みが必要である。

  • 消費者教育は学校教育、成人教育としてこれまでにも行われているが、まだこういった問題に対して無関心である。

  • 消費者教育の学校での必修化が課題としてあり、法定化していく必要がある。職域における消費者教育、新入社員研修を含めた、若い人へのクレジット教育が必要。

  • 政府内の連絡会議の常置化が必要。アメリカでは、金融リテラシーのエデュケーション・コミッションという関係省庁、団体の連携会議が法制化された。日本でも関係省庁の尽力によりできればと思う。

  • 債務者教育、金融消費者教育についての定番教科書等を作成していくことが必要。また、情報が届きにくい層、例えば高齢者、認知症の方、知的障害者の方々への配慮も欠かせない課題。

以上

問い合わせ先

金融庁 TEL 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3567、3553)
本議事要旨は、暫定版であるため、今後修正があり得ます。

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