平成14年11月28日
金融庁

企業会計審議会第22回第一部会議事録について

企業会計審議会第22回第一部会(平成14年10月4日(金)開催)の議事録は、別紙のとおり。

(問い合わせ・連絡先)

金融庁(TEL03-3506-6000)
総務企画局企業開示参事官室
企業会計審議会事務局


企業会計審議会第22回第一部会議事録

日時:平成14年10月4日(金)午前10時00分~午前11時24分

場所:中央合同庁舎第4号館9階金融庁特別会議室

○斎藤部会長

それでは、定刻になりましたので、ただいまから第22回の第一部会を開催いたします。

委員の皆様には、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

本日の審議に入ります前に、前回以降の委員の異動についてご報告させていただきます。

まず大塚委員が退任されまして、後任として加古宜士氏が任命され、当部会に所属することになっております。なお、加古委員は本日ご欠席でございます。

次に事務局の異動をご紹介いたします。これまで三國谷審議官が担当されていましたが、今回から大久保審議官にご担当いただくことになりました。

○大久保審議官

大久保でございます。よろしくお願いします。

三國谷の後任で、7月の異動で証券関係の担当をすることになりました。言うまでもなく、企業会計あるいは監査制度は、国際的な流れもございまして、大変、国民的な関心を呼んでいるものでございまして、私どもも、いろいろ抱えている課題をスピード感をもって解決をし、資本市場、証券市場の信用を高めるという仕事を積極的にさらに進めていかなければならないと思っております。

大変お忙しい中、ご審議をお願いしておりますが、今後ともどうかよろしくお願い申し上げたいと思います。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

また、細田企業開示参事官が異動され、後任として羽藤企業参事官が就任されておられます。

なお、主任企業会計専門官の篠原さんが変わられまして、中江主任企業会計専門官が就任しておられます。

それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。本日は、最初に今後の審議の進め方に関する事務局からの説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○羽藤参事官

おはようございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

この企業結合会計の問題につきましては、委員の皆様方にこれまで大変難しい論点としてご審議をお願いしているということで、私は引き継いでおりますが、何とぞ今後とも引き続きよろしくお願いをいたしたいと思います。

まず事務局としましては、これから一体どのようなタイミングでご議論をいただくことでお願いをしたいかという点について申し上げることが必要だろうと思いますので、その点について皆様にご意見をお伺いしたいと思います。

国際的な動向、それから今、大久保からもごあいさつを申し上げましたが、企業会計への信頼性の向上といった観点、また国内にあっては、産業の再編といった観点、このような観点を考慮いたしますと、できる限り早く、この企業結合会計についての論点を整理をし、そして前進をしていただくということをぜひお願いしたいと思っております。

ひとつの目途としては、やはり年の区切りというようなこともございますので、年度の区切りという意味で、来年の春ぐらいにはめどをつけていただければというように思っております。したがいまして、具体的にはこの部会で来年の3月をめどとして、公開草案をお取りまとめいただくというスケジュール観で審議の方を精力的に進めていただければというように思っております。

つきましては、今後の進め方については会長、部会長とも相談をさせていただきまして、議論を精力的に深めていただくために、会長から他の部会に所属されている委員の一部の方に、今回からご審議に参加いただくようお願いすることになりまして、本日ご出席をいただいた次第でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局のご説明にありましたように、現在、他の部会に所属されておられまして、新たに当部会に参加されることになった方々を私の方からご紹介をいたします。 まず都正二氏でございます。また、遠藤博志氏、川村義則氏、逆瀬重郎氏も当部会にご参加いただくことになっておりますが、本日はご欠席でございます。新しく加わられた方々には今後の審議にご協力をお願いいたします。

なお、新しい当部会の名簿をお手元に配付しておりますので、ごらんいただきたいと存じます。

それでは今後の審議の進め方につきまして、ご質問、またはご意見のある方はご自由にご発言いただきたいと思います。

大体のスケジュール観についてはよろしゅうございましょうか。

それでは、おおむねスケジュールについてはご了解をいただいたということにいたします。それでは前回に引き続きまして、企業結合の会計処理方法についての意見交換をこれからお願いしたいと思います。前回はパーチェス法とプーリング法の使い分けに関する審議に入りまして、検討すべき選択肢として、プーリング法が適用される局面を取得企業が識別できない場合に限定した上で、プーリング法とパーチェス法を組み合わせる案、それと、米国基準などのようにパーチェス法に一本化する、一元化する案について、議論の材料として市川委員にご報告をいただきまして、その後に意見交換をお願いいたしました。

今回より加わっていただく方々と、前回ご欠席であった方々がおられますので、意見交換を始める前に前回の部会での主な意見について、事務局からご紹介をお願いしたいと思います。

○辻前企業会計専門官

それでは、お手元にお配りしております参考資料の1の方をご参照いただきたいと思います。

この資料は前回の議事録から事務局の方で作成いたしました。基本的には前回の皆様のご発言をなるべくまんべんなく取り上げるという趣旨で作成いたしましたが、時間の関係もございまして、事務局側の判断で適宜要約しておりまして、もとのご発言のご趣旨と変わっている可能性がございます点はあらかじめご容赦いただきたいと思います。そのような事情がございますので、発言者名もあえてここでは記載しておりません。また、この資料自体の見やすさという点から、これもまた事務局側の判断で項目ごとに適宜ご発言を分類させていただきました点についても、あらかじめお断りさせていただきたいと思います。

まず、1ページの最初から簡単にご紹介させていただきたいと思いますが、最初に会計処理方法の組み合わせということで、これが前回の主なテーマであったわけでございますが、まず、最初のご発言としてパーチェス法一本の場合と、それからプーリング法とパーチェス法の二本立ての場合で、実質的な差がかなり限られたものになってくるというように考えると、あえて日本が国際的な流れと違うような、国際的な流れというのはパーチェス法への一本化ということでございますが、違うような基準を設けることがよいのかどうか。パーチェス法に一本化するというのも有力な選択肢として今後、この部会での議論を続けていった方がよいのではないのかというご発言がございました。

次に、プーリング法の必要性、可能性についてはもう少し部会で検討した方がよいのではないのかというようなご発言がございました。

それから、経営者の側の感覚では対等合併という観念はまだあるので、会計の変化、ここでご審議いただいている会計基準の設定のことですが、それが企業の経営判断に大きな影響を及ぼしていってしまうことは避けるべきではないかというようなご発言がございました。

それから、プーリング法の要件、プーリング法が認められる場合の要件を厳しくしていくというようなことはやむを得ないとしても、全く廃止してしまうまでには一定の準備期間が要るのではないかというようなご発言がございました。

それから、先ほどお話がありました取得企業が識別できないときにプーリング法を排除する、そのような状況でプーリング法は認められないとする理屈が、これは海外、米国などを想定してのご発言だと思いますが、それが明確ではないのではないのかというご発言がございました。

それから、プーリングに該当する、プーリングが認められるようなケースというのはほとんどないであろうと思われるので、取得企業が識別できない場合のルールとしてプーリング法を残す必要があるかどうかについては、この部会での判断の問題ではないかというようなご発言がございました。

それから、例えば保険会社の合併ではということで、ここでは損保というよりも、生保のような会社のことを指していると思いますが、相互の保険契約者の権利は全く同じような形で引き継がれて、このような合併というのは持分の共有そのものではないかというように考えられるので、このような非常に特殊なケースではプーリング法が適切ではないかというようなご発言がございました。

それから、時価総額の大きい会社同士の合併はまれであっても、起こった場合のインパクトが相当大きいことも考える必要があるのではないか。これは時価総額の大きい会社同士の合併についてパーチェス法とプーリング法の組み合わせ、あるいはパーチェス法一辺倒にするのかというあたりは慎重に考える必要があるのではないのかというようなご発言だったかと思います。

それから、一番問題となるのは、取得企業を識別できるかどうかなので、仮にパーチェス法とプーリング法を組み合わせるとして、どのような基準をつくったらできるのか具体的な内容を考えてみるのもひとつの考え方ではないのか。操作性があり、乱用されることはまずあり得ない基準をつくることができれば、それはそれなりの見識であるし、できないのであれば、それはまた考えざるを得ないのではないのかというようなご発言がございました。

それから、このままプーリング法を残したのでは、日本が遅れているかのような印象を与えてしまうので、フレッシュ・スタート法も入れて、日本も一歩進んでいるようなところを世界にみせつつ、プーリング法を残すというのもひとつの考え方ではないのかというようなご発言がございました。それと、パーチェス法一辺倒、パーチェス法だけの会計基準というのは非常に短命だと思われるので、三つの方式を併用するのがよいのではないのかというようなご発言がございました。

次に、これはパーチェス法とプーリング法の識別規準ということで、やや細かい論点に関係するご発言をここに分類したわけでございますが、ひとつにはプーリング法を認めるとしても、取得企業を識別できないような非常に限られた範囲のものとなって来ざるを得ないのではないのかというようなご発言。

それから、パーチェス法とプーリング法の組み合わせということになると、IASは現在の国際的なスタンダードなので、それをクリアすることは最低限ではないか。これは現在、適用されているIAS22号ではパーチェス法とプーリング法の組み合わせということになっておりますので、そのようなことを背景にしたご発言であろうかと思います。

それから、時価総額が同水準でなければプーリング法が認められないかどうかについてはもう少し可能性をみてみる必要があるのではないのかというご発言がございました。これは今のIAS22号では時価総額が同水準かどうかというのをひとつの基準として採用しておりますので、それを踏まえた上でのご発言ということになろうかと思います。

それから、次に「のれん」に関係する部分をここに集めさせていただいておりますが、ひとつにはのれんの会計処理については償却と減損の二方式の選択を受け皿として用意せざるを得ないのではないのかというご発言がございました。ここで言う償却というのは規則的に償却する方法と、それから減損というのは減損だけにしてしまう、米国基準のようにしてしまう方法というようなご趣旨のご発言であったかと思います。

それから、パーチェス法に一本化することについては、プーリング法の乱用を防止するという大義はあるとしても、そのような理由はあるとしても、のれんを減損だけにすることには理屈がないのではないか。これは今申し上げましたような米国基準のようなやり方に対してということになるかと思います。

それから、次にパーチェス法かプーリング法かの議論と、のれんの償却の問題を常にセットで考える必要はないのではないかというようなご発言がございました。これは1ページ目で取り上げました論点と、それから、のれんの償却をどのように考えるかという問題はセットであるというような考え方もあるかと思われますが、このご発言された方は必ずしもセットで考える必要はないのではないのかというようなご趣旨のご発言であったかと思います。

それから、仮にのれんを減損処理だけにするのであれば、例えば各セグメントについてのれんを開示するなどの手当てが必要ではないのか。これはどちらかと言うと、ディスクロージャーの方の話になってこようかと思います。

それから、下の方に行きまして、「その他」ということで、特に項目としてはまとめておりませんが、まずひとつ目にはパーチェス法における時価の評価に関しては土地の評価の問題を整理しておく必要があるのではないのか。これは日本に特有の事情があるのではないかというような事情を踏まえた上でのご発言であったかと思います。

それから、企業再編が進まなくなるようなことがないような配慮が必要ではないかというご発言がございました。

それから、また少し種類が変わりますが、親子会社間の合併や持分の組替などの場合のために、プーリング法的な規定を残しておく必要が別途あるのではないのか。これは仮にプーリング法を廃止したとしても、プーリング法的な規定が必要になってくる局面があるのではないのかというようなご発言だったかと思います。

それから、この部会でということになるかと思いますが、当面考慮すべきなのは国際会計基準との調和、それから日本の経済界の今の実情、それから会計理論としての整合性のような点、そのような点が当面考慮すべきではないかというようなご発言がございました。

非常に簡単ではございますが、以上でございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

前回の部会での主なご意見について事務局におまとめいただいて、ご紹介願ったわけでありますが、ただいまのご紹介に関連してでも結構ですし、また新たな視点を提示していただくということでも結構でございますので、前回に引き続いて意見交換をお願いいたしたいと思います。私の方で特に順番は設けませんので、ご意見のある方はご自由にご発言をいただきたいと思います。

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

少し皮切りに申し上げます。

今の日本の経済の実態と、それから今後の政府の構造改革の推進という形で、新しい大臣になり、これから本格的な金融の再生も進められますし、それは企業の再編にも相当するわけで、恐らく私はこの3年間というのは極めて重要ではないかと思います。そのようなときには企業のやはり選択肢といったものをある程度自由にさせるということも重要ではないか。

だからと言って、会計そのものが大変不明瞭な形ではまずいのではないか。われわれが今まで数年間かけてこのパーチェスとプーリングの問題を行ってきたということは世界の会計の専門家はみんな知っているわけであって、それによって日本の会計基準が極めて遅れておって、世界との調和を乱しているということには必ずしもならないのではないか。つまりそれなりの努力を絶えず、われわれはプロセスとして行っているのであって、そのような点では事を急いで結論を出すということが必要なのか。いや、先ほどの羽藤参事官の来年の春に意見を取りまとめるという、この方向は大変私は大賛成でございますが、何が何でも一本化にそろえなければならないということがよいのか。あるいは企業の実態をもっとこれからのそのような再編を助長させるという意味においては、会計面で少し選択肢を与えておく。しかしながら、方向としてはわれわれとしては世界のコンバージェンスの方向にしても、一挙に固めてしまうという必要があるのかどうかという点において、若干ご意見を申し上げました。

以上。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ほかにご意見はないでしょうか。山田委員どうぞ。

○山田委員

今、伊藤委員の方から言われました企業の選択肢を広げるという、残しておくという考え方ですが、これは若干危険な考え方ではないかなというように感じます。

今少なくとも、私が所属しているIASBを含めて、世界の中で考えられているのは、企業結合において、少なくとも、日本でも議論されていますように、どちらがどちらを取得したかわからないというようなケースが非常にまれではあるけれども、存在することは否定していないわけですが、それ以外の多くの場合においては、基本的にはどちらがどちらを買ったかが大体明確になるということが経済実態としてあると認識されていまして、その上で、過去のプーリングを残してあることによってアビューズされてきたことをも勘案した上で、世界の流れとしてそのようなひとつの方向に行っているわけで、その点をやはりきちっと考える必要があるかなというように思います。

ただ、もうひとつは取得者がどちらかが非常に特定できない場合というのを理論的には考えられる。これはご指摘のとおりだと私も思いますが、そのようなケースが具体的にワーカブルな基準としてどのようなケースにそれが当たるのかということが明確にきちっと限定されませんと、それを通じて、非常にそれが拡大解釈されることによって、その可能性が広がっていくことがやはり懸念されるのではないか。少なくとも、国際的にこの数年の間に起こったことというのはプーリングを残すことによって、そのような懸念がある、そこを何とか防ぎたいということが関係者の意図だったと思いますので、そのあたりをやはり勘案する必要もあるのではないかなと感じます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ほかにご発言ないでしょうか。都委員、どうぞ。

○都委員

本日から初めてこの部会の方に参加させていただきますので、これからさらによく考えさせていただくということを前置きにいたしまして、私の考え方を申し上げたいと思います。

私もやはり限られたケースであると思いますが、取得企業が識別できないというケースはあるし、そのときに、やはりプーリングを排除するべきではないのではないかと思っております。ただ、ここのところをきちっと限定しておけば、前回のご意見にもございました、日本があたかも遅れているような印象というようなことではなくて、そこがきちっとしておれば、むしろ筋を通した国というような印象も受けるのではないかと考えております。

それからあと、個別の問題として、私も今所属しています委員会に来ます前に鉄鋼業におりまして、そこで非常に大規模な土地を抱えておりまして、ここの時価評価のところというのはやはり個別と言いながら、非常に大きな問題がございます。恐らく製造業ではこのような大規模な土地を抱えているところは結構あるかと思いますので、このあたりはテクニカルにどのように見積もるかというようなことの解決ではなくて、やはりむしろ審議会ベースでどのようにみていくかということを考えておくことが重要かと思っております。

以上でございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

十分時間は用意してございますので。どうぞ、八木委員。

○八木委員

既に整理されているこの意見の中で、私も大分前になりますが、申し上げたことの蒸し返しになるかと思いますが、やはりこれから後でご説明があるワーキンググループのような、そのような問題の検討の方向として、ぜひこれだけはという発行体側からのお願いをしておきますと、ひとつはやはり先ほどもお話のあった経営者の考え方の中に、やはりこれはもう日本の文化かもしれませんが、対等な立場で合併する、共同するという考え方、これはまだ依然としてあるわけなので、このあたりをよく認識した上で、進めていただきたいということがひとつと、それから取得者の特定方法というのは、どうもFAS 141は多少乱暴のように感じられるわけですね。無理にでも取得側を決めるという、そのようなところについてはやはりFAS 141というのはパーチェス法しか認めない世界のルールだから多分そうなっているのだと思いますが、そうせざるを得ないからですね。そこのところはやはりよく検討していただきたいなと、いずれが買収者か、にわかに特定できない場合にどうするか、このあたりはやはり慎重にやっていただきたいということを実務的に感じます。

それから、前回も申し上げ、先ほどもお話がありましたが、この不動産、土地の評価の議論。これは固定資産会計では、できるだけ高い方がよいなと思う反面、こちらは安い方がよいなとかいろいろなものがあるので、これは例えば使用者の価値とか、処分の価値・価格だけではなくて、減損はそちらの方ですが、今度は別の方で行けば、やはり鑑定だとか、路線価だとか何だとか、実務的にも簡便性のあるやり方で安く計算できるんですね。そのようなことも必要なので、そのあたりをどのようにするのか。この議論がまだこちらにおいては尽くされていないと思うので、論点整理でもまだ不動産に関するコメントはなかったと認識しておりますので、このあたりが必要だなと思いますね。

それから、最後はのれんでございまして、全く正直に申し上げて、この償却禁止、減損処理だけというSECの基準には納得できないし、ここへ来て非常に米国でもバブルの崩壊以降、いろいろな現象が出ておりますが、果たして、この荒波の中を乗り切れるのかなという感じ、これは日本企業にもいろいろ及んでいますが、そのような感じもするので、ぜひのれんの対応については一方だけというのではない方が実務としてはよいのではないかなと、これをぜひ検討の対象にしていただきたいと思います。

いずれにしても、山田委員もおられますが、IASBの流れというのは、もうどうしようもないところまでフェーズ I で行ってしまっていると思うので、米国基準とコンバージェンスで、ポリシーで動いているとなると、プーリング排除は暫定合意済みぐらいに私も認識はしていますが、ここにおいて、やはり日本なりの考え方というものをはっきりさせておく必要があるのではないか。海外に行く会社だけではございませんので、そのように認識しているわけでございます。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ほかにご発言ないでしょうか。八木委員、どうぞ。

○八木委員

少し、今日のこの議論から行くと亜流の方へ入ってしまうかもしれないのですが、実際、われわれが今やっているこのようなものに類した実務のことを少しご紹介しながら、あるいはそちらにも検討の時間を少し割いていただきたいと思うひとつは、ジョイント・ベンチャーの考え方です。ジョイント・ベンチャーというと、小さく寄り集まって何かつくるような印象があるかと思いますが、実はそうではなくて、結構大きなものが出てきているわけですね。今日も新聞に少し出たのですが、私どもと同業と、あるビジネスを切り分けて、相当大きなビジネスでございます。バランスシートで言えば、7、8千億ぐらいになるかもしれないし、そのぐらいのビジネスを切り分けて、ジョイント・ベンチャーという形で今事業を立ち上げようとしているわけです。これはこれ1件ではなくて、別にもあるのですが、そこにおいて、プーリング、パーチェスのような見方というのはなくて、これは今われわれは現物出資でやるわけなので、簿価引き継ぎでやろうと思っているのですが、ジョイント・ベンチャーですから、当然支配形態は例えば一方から会長が出て、一方から社長が出るというような形をとるのですが、当面は共同支配という考え方になると思います。大きさで言えばこっちだけど、収益性で言えば向こうだとか、このあたりはもうお定まりの実務の非常に判定しにくい部分がございます。いずれにしても、これは相互に相思相愛で出てくるわけですから、そのような形でその事業が将来伸びればいいやということで、形はジョイント・ベンチャーという形をとります。

そのようなときにアメリカ基準、FAS 141などではこのような感覚が盛り込まれておりませんので、われわれとしてはこの簿価引き継ぎでやってよいのではないかと思っておりますが、日本において、このようなケースをどう扱うか。なぜそのようなことを申し上げるかというと、大きな会社が会社ぐるみでドーンと一緒になるというケースもございますが、現実の場では事業をカーブアウトしながら、このようなものをつくっていくというケースが比較的ケースとしては多いのではないかと思います。したがってわれわれは現物出資でこうだ、こうだということでやっていくわけですが、これについても、一応考え方の一端は示しておく必要があるのではないかなというように少し感じまして、現実の場でこれが結構大きくなると思うので、別の議論としていかがなものかと。これはこれまでの議論になかったことで、問題提起のようで恐縮ですが、それを感じます。

これがひとつと、それから、そのほかに私どもがここ二、三年で十数件やはりこのようなことをやってきているのですが、会社分割が10件、株式交換が2件というようなことで、これも結構なボリュームになるわけでございますが、結構今の日本では幅のある実務が行われていて、やはり基準の整備が必要だなというように少し感じ始めております。そのときそのときでわれわれがよって立つ会計基準とか税務とかいろいろ考えながら、われわれが判断してやっているわけなのですが、例えば企業結合という形をとるような場合に、関係会社への投資金額というのはどのように決定するかという実務もまだ定まったものがないというように認識しているわけなので、そのあたり、パーチェス法の被取得企業の取得価格の決定方法などにつながってくるわけですが、これがひとつあるなと思っております。

少し具体例を申しますと、これも10月1日に私どもが株式交換で取得する会社ですが、われわれは2割、上場関連株を持っている。今度それを 100%会社にするというわけで8割を私どもの株で、外の株主さんと交換をするというケースが今実務として粛々と進んでいるわけです。ところが、多少傷ついている会社でございまして、事業価値が必ずしもよくありません。簿価純資産、時価純資産、あるいは株式相場による時価と、三つぐらいすぐに計算できるものがあるわけなのですが、簿価純資産よりも時価純資産の方が低くなるというような現象が起きつつあるわけですね。その場合に、子会社株式の評価をどのように評価していったらよいかというようなことを今悩んでいるわけです。結果としては、簿価純資産よりも時価純資産の方が小さいということになるので、この場合は保守的な考え方で時価でやっていくしかないのではないかと考えていますが、このようなところも、その中にはいろいろ負債の認識の問題とか、いろいろなものが入っているわけですが、考え方をある程度はっきりさせておかないと、やはり会計に影響するところでもあるので、このあたりがまだ少し整理されていない部分だなと思っております。

税法も連結納税を機会に、時価に関して統一的な取り扱いになっていないので、それを見直すような動きもあるように少し聞いておりますので、このあたりもこれから実務的な論点がいろいろ出てくるのではないかと思っていまして、プーリング・パーチェス以外に、発行体が当面しているこのような問題というのは現実に結構あって、その都度会計士さんなんかと相談しながらやっているのが現状でございまして、このあたりも頭にお入れいただいての今後のまとめというか、議論をぜひやっていただければなと、このように感じております。以上。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

どうぞ、ほかにご意見があれば承りたいと思いますが。どうぞ、安藤委員。

○安藤委員

これは来年の春には結論を出すという、私もこれだけ長く審議してきたわけですから、もうこのあたりがタイムリミットだなと感じていまして、それで少し気になったのは、具体的なお話ではなくて、どのようにこれを収斂していくかということなのですが、場合によってはこのようなことまで考える、今までこの審議会でやったことはないと思いますが、もうここまで来たら、何かその後の想定される主要論点を眺めていまして、それと関係あるのですが、場合によったらふたつの案を同時的に詰めていって、最後は票決するぐらいのことを覚悟しないと、私はまとまらないのではないかという気がいたします。それぞれ理屈があって、いい勝負をしているわけですよね。ですから、こうなったら最後は票決にかけるぐらいの気迫を持ってやらないと、まとまらないのではないかという気がします。ずるずると皆さんご意見をとやっていたってだめなので、そうかと言って、執行部の方でそちら側で一本にするというのは非常にしんどい作業だと思いますから、場合によったら、今のようなやり方も考えてもよいのではないか。ずっと先ほどから悩んでいまして、そこまで覚悟する時期に来ているのかなという気がいたします。

以上です。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

長坂委員、どうぞ。

○長坂委員

私は今の段階では、プーリングを排除すると決めるのはやはり早いと思っているのですが、ただ、かといってプーリングを容認できるような基準というのは出てきていないわけで、当面はプーリングの基準をまずつくるのが必要ではないかなと思うのですが、それが誰にでも納得できて、選択の余地がないというか、要は恣意的にパーチェスとプーリングを選ぶようなことのないような基準をまずつくって、それが誰でも納得できるようなものでしたら、プーリングを残すということはできると思いますが、それをやってみて、結局それがうまくつくれないようでしたら、パーチェス一本しかないのかなという気はします。そこをまずつくってみるのが必要ではないかなと思いますが。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

そのほかにご発言はないでしょうか。

それでは、特に積極的にご発言がないようですので、現時点ではおおむねご発言いただけたと理解いたしまして、次の議題に移らせていただきます。

次回の部会の問題でございますが、これに関しまして、まず事務局から説明がありますのでよろしくお願いいたします。

○大久保審議官

それでは、次回の部会でございますが、前回の部会で取得企業が識別できるかどうかというような事実認定に関しまして、適切な基準が作成できるかどうかを検討してはどうかというご提案もございました。また本日、大変貴重なご意見をいろいろいただいておりまして、仮に先に進むといたしましても、例えば取得企業を決定する規準を定めるというようなこととか、そのような問題ひとつをとりましても、具体的な内容につきまして、より詳細に、専門的に検討する必要があるかと思います。また、仮にパーチェス法とプーリング法を使い分けるというような場合にも、その識別の規準の具体的な内容につきましても、具体的な、より詳細な検討が必要になってこようかと思われます。これらにつきましては当部会の中にワーキンググループを設立をいたしまして、何人かの委員の方にお願いいたしまして、あるいは少し柔軟にワーキンググループの方の運営をお願いいたしまして、集中的・専門的にご検討いただいて、次回の部会の準備作業をしていただくということで進めていただいてはどうかと思っております。

また前回の意見交換で、のれんの償却などの関連する論点も提起されておりますので、これらについてもあわせて整理をお願いしてはどうかと思っております。この場での大まかな感触でございますが、期間として慎重に検討するべき点もあろうと思いますので、2カ月程度を要するというようなことを一応念頭に置いていただいて、その間非常に集中的・専門的にご検討いただいて、それで部会に報告して、フィードバックをしていただくというようなことを考えていただいたらどうかと思っております。

また事務局といたしましては、お手元にお配りをしております参考資料2にございますような論点がワーキンググループの検討対象となってこようかと考えておりますが、本日の部会で、さらにご提案のありました論点についても、この中で取り込めるものは取り込めますし、また新しい論点として考慮にも入れながら、作業をお願いしてはどうかと思います。この参考資料2につきましては辻前の方から説明させていただきたいと思います。

○辻前企業会計専門官

それでは、お手元にお配りしております参考資料2をご参照いただきたいと思います。この資料でございますが、これは当部会で今後詰めていく必要があろうと思われる論点を前回のご議論などを参考にいたしまして、事務局側の判断で一覧にしたものでございますので、当然、この場での、あるいは今後での部会のご審議の結果を受けまして、変わっていくようなものであるというような位置づけで考えております。そのような意味でタイトルの方も想定されるというようにつけております。

ここで、リストアップしております項目についてはさらに検討を要する点とか、それからまだ部会での審議にかけていない論点も含まれておりますので、このような形でワーキンググループを設定するということでありますと、その作業の中であわせて集中的にご審議・ご検討いただいてはどうかというように考えております。

それで、次にこのリストの内容について順次ご説明させていただきます。上からまいりますと、まず最初に定義ということで、ほかの意見書でもそうですので、主要な用語いくつかについては定義を与える必要があろうかと思います。ここに挙げているのは「例えば」ということですが、企業結合ですとか、取得、それから持分の結合ですとか、共通支配下の取引等というものが考えられるかと思います。ここで挙げている「共通支配下の取引」というのは親子会社間の合併ですとか、子会社同士の合併とかというようなものを一応イメージはしておりますが、それらについても定義ということで考えてはいかがかと考えております。

それから、2番目が今のところ最も重要な論点でございますが、取得と持分の結合の判定方法、パーチェス法とプーリング法の区別の方法、または取得企業の判定方法などということで、これらについては少し似通った点がございますので、一行でまとめております。ここで「または」と書いておりますのは、仮にパーチェス法だけにした場合であっても、取得企業をどのように決めるかという規準の部分は必要になりますので、「または」というようにしておりますが、仮にパーチェス法とプーリング法を組み合わせると考えた場合であっても、パーチェス法を適用する場合、どちらの会社が取得企業になるのか決定する必要がございますので、この部分は、その場合にはここは「または」ではなくて、「及び」というような形になろうかと思います。この点はそのようにお考えいただきたいと思います。

次に取得の会計処理ということで、パーチェス法の具体的な中身ということになりますが、下にリストアップしておりますのが、小項目ということになります。まず上から行きますと、被取得企業の取得原価、取得の対価の決定方法ということで、これは現金の場合はそのままだと思いますが、ここでの論点というのは株式を発行して買収する場合の取得の対価をいくらに決定するかが主たる論点であろうと考えております。

次に識別可能資産及び負債の引継ぎ方法、資産と負債の引継ぎ方法ですが、パーチェス法ですので、原則として時価ということになり、その時価というものがどのようなものであるのかということが具体的な論点になってこようかと思います。

次に挙げておりますのが、今日の意見交換でもご指摘のありました事業用土地の評価など、個別のトピック的なもの、特に取り上げる必要があるようなものが論点として挙がってこようと考えております。

次に、のれんの会計処理方法ということで、これはパーチェス法とプーリング法の組み合わせとのれんの会計処理方法の関係ということもございますし、のれんの単独、のれんだけというように見た場合でものれんの償却の方法とか、減損の規定との関係とか、検討すべき項目がいくつかあろうかと思います。

それから、「その他」ということで、括弧内は特殊なものを取り上げておりますが、共同持株会社を設立した場合の共同持株会社の個別財務諸表上の取り扱いがどうなるか。少しこれは特殊でございますが、そのような例外的な項目がいくつあるのかわかりませんが、そのようなものが「その他」として入ってこようかとみております。

それから、次が持分の結合の会計処理の方でございますが、これはプーリング法ということで、資産、負債及び資本の引継ぎ方法は基本的に簿価で引き継ぐということになろうかと思いますが、以前の部会ではほかの論点、会計処理方法の統一の論点とか、いくつか論点が挙がっておりましたので、そのような項目について整理をするというような形になろうかと思います。

それから次は、まだ部会ではきちんとした審議はしておりませんが、フレッシュ・スタート法についてですが、これは前回の意見交換の際もご発言がございましたところですし、これについてはどのような場合に適用するか、適用局面から検討するとすれば、それが必要になってこようかというようには思います。それから、中身についてもまだ何も議論しておりませんので、それもあわせてというようなことになるのかどうか、そのあたりもこれから検討していただきたいと考えております。

それから次に、これもまた、まだ部会ではきちんと議論していないところなのですが、共通支配下の取引の会計処理についてですが、この資産、負債の引継ぎ方法などということで、プーリング法的な方法、あるいはプーリング法に準ずる方法とかと言われておりますが、必ずしもプーリング法と全部一緒というわけでもないようですので、それについての特有の部分というのは検討する必要があるのかと考えております。

それから次に、これもまた、まだ部会では議論していないところですが、開示項目、それから注記項目についてですが、海外の基準等を見ておりますと、結合取引の概要ということで、相手の会社の名前ですとか、いつ結合したとか、それから採用した会計処理方法、何法を適用したとか、それから、のれんについても何年で償却しているとか、項目数としてはかなりの開示を求めておりますので、これらについても、公開草案の段階では検討する必要があろうかと考えております。

それから次に、実施時期及び経過措置でございますが、これらについては以上の点、ここから上の部分がある程度まとまってこないと考えにくい点でございますが、これらについても今後検討していく必要があるのではないかと考えております。

それからその他ということで、これは具体的には中身としては考えておりませんでしたが、今日もいくつか指摘を受けておりますので、それらについても検討が可能かどうかということを考えていきたいと、そのように考えております。

非常に簡単ではございますが、以上でございます。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局の提案につきまして、ご質問ないしご意見等ございましたら、承りたいと存じます。大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

これまでの議論・審議の過程ですと、プーリング・パーチェスの使い分けの規準の問題と、仮にパーチェス法を使うとしたときの取得企業の判定問題というのは特段のリンクをするということを想定せずに議論してきたと思われますが、これは私の聞き方の誤りかもしれませんが、パーチェス法が原則で、そこでまず真っ先に取得企業の判定方法をいうのを考えて、それが明確に決まらない場合にプーリングの余地があるというように聞こえているので、若干ミスリーディングな感じがするわけです。つまり、仮に取得企業の判定規準に従って、明確な場合であっても、プーリングを適用しても論理的にはおかしくはないケースは、次元が違いますから、別問題であろうと思いますが、そのあたりは議論の整理に仕方に多少、プーリングを残すか残さないか、あるいは残す場合の論拠も依存してくるので、そのあたりどうなのでしょうか。

○辻前企業会計専門官

そのあたり、非常に難しい点と申しますか、私どもの方で海外の基準等を見ておりましても、かなりすっきりしないような点も少し感じられるところでありまして、それらについて、この一行の中身についてはワーキングで進めさせていただくということにして、そこに参加をお願いする先生方の方で十分にご審議をいただきたいなと考えております。ここでは中身にあまり深く立ち入らずにひとつの項目にこの資料の上ではまとめているというようにご理解いただきたいと思います。大日方先生がご理解されたような、仮に右から左へというやり方も考えられるでしょうし、逆に左から右へという考え方もあろうかと思いますが、そのあたりはこだわらずにご審議をいただきたいと考えております。

○斎藤部会長

よろしゅうございましょうか。

ほかにご発言ございますか。小宮山委員どうぞ。

○小宮山委員

ひとつ質問ですが、このパーチェス法のその他というところに共同持株会社の個別財務諸表上の取り扱いについては、今の説明でも具体的にイメージする問題点がわからなかったのですが、どのようなことをイメージされているのですか。

○辻前企業会計専門官

これは非常に細かい点なのですが、「その他」だけだと不親切であろうということで、少し書いたのですが、要するに共同持株会社の個別財務諸表上では子会社の株式という形で出てきますので、共同持株会社の中に子会社がいくつもぶら下がっている中で、実質的な買収者の株式もある子会社の株式ですし、被買収側の株式も並列的に並んでいる他の子会社の株式ということになりますので、持株会社の個別財務諸表上の株式の評価とか、そのようなことで考えております。これは例示ですので、ほかにあるかもしれませんし、これが適切でないかもしれませんし、そのあたりもご審議をいただきたいと考えております。

○小宮山委員

具体的に言うと、例えば持分を評価するとか、そのようなことを考えられているのですか。確かに持株会社の子会社の株式を原価法というようになってしまいますと、それとはまた別に連結が出ていますが、非常に数字が乖離しているという感じがするんですね。結局、持株会社の収益というのは配当金しかないので、どうも今の取得原価で評価するというやり方がよいのかどうかよくわからないところがありますが、そのような論点も入るということですか。

○辻前企業会計専門官

細かい点についてはワーキングなり、その後の部会なりでご審議いただければと思いますが、ここに書いたのは要するに設立した瞬間で、子会社の株式でも買収側の株式とそれから被買収側の株式が混ざってしまうので、そのあたりから考えていく必要があろうかなということで挙げさせていただきました。

○斎藤部会長

これは、パーチェスかプーリングかと分けて考えること自体が難しいですよね。

西川委員、どうぞ。

○西川委員

ひとつはあまり大きなことではないのですが、識別可能資産及び負債の引継ぎ方法ということで出ていますが、要は被取得会社のB/Sに載っているものが識別可能資産及び負債とも言えないと思いますので、まず識別可能資産及び負債というのは何かという範囲というのも論点に入れていただいた方がよいのかなということが1点です。のれんとの関係で、無形資産を計上するとか、そのようなことも出てくると思います。

それから、もうひとつはやはり個別財務諸表の問題なのですが、この基準ができた後というのはまた適用指針なりが、ASBの方にまわってくるということも考えられるわけですが、そうしたときにいろいろな個別ケースというのは少しみていかなければならないことになると思いますが、そのときに個別財務諸表をどう考えるかというのはパーチェス法の場合、そもそもやれないようなケースもかなり出てくると思いますので、そのときにどのような考え方で企業結合についてパーチェスを貫けるのか、もうそのようなことは関係なくていいんだよというようなことなのか、そのあたりを基準自体に書く必要はないと思いますが、議論はしていただきたいというように考えています。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

ほかにご発言ないでしょうか。大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

これは企業結合に限ったことではありませんが、アメリカの場合は州法で会社法が決まり、EUの場合には条約レベルで国内法よりも上位のところで一応会計が決まってしまうということと比較した場合に、わが国の場合には会社法に基盤を置いた上での、そのうちの一部の企業にディスクロージャー規制がかかっているという意味で、ディスクロージャー規制よりも上位に会社法があるわけですよね。そのあたりが国際的調和化の上では常に問題になってきて、かつての商法との関係云々というのを復古調に持ち出すつもりはありませんが、これが安易に国際的調和化というだけで、わが国の会計が決まらない重要な点でもありますので、具体的に企業結合の場合には、前に出てきた逆取得というか、逆さ合併のようなケースの問題になるかもしれませんが、商法との調整ということをやはりプーリング・パーチェス、あるいは何か特定の論点にかかわらず、ひとつ論点として立てておく方がよいのかなという気がしております。

○斎藤部会長

ありがとうございました。

山田委員、どうぞ。

○山田委員

少し細かい点になりますが、先ほど西川委員の方からもあった識別可能資産、負債の引継ぎ等々のところで、例えば偶発債務の会計処理ですとか、それからリストラ引当金といったようなものが今IASBで議論しているときに、問題になってきておりまして、このあたりのところも当然お考えになっておられるかもしれませんが、そのあたりのところの考え方を少し詰めていただけたらというように思います。

それから、今、大日方委員の方からもご指摘がありました逆取得のような場合が果たして日本で規定する必要があるのか、そのあたりも国際的な動きと絡めて、ご検討いただければと思います。

それから最後に1点。先ほどの取得企業の判定のときの大日方委員からの説明に対する回答の中ですが、やはり、私は、もしもプーリングを残すとしたときには、取得企業が特定できない場合というのをやはり限定的に考えないと、パーチェス自体を決めて、その残りは全部プーリングでよいというような決め方をすると、非常に範囲が広がっていく可能性があるので、そのような方向性での検討の仕方というのは少し危惧されるなという感じを持ちます。

以上です。

○斎藤部会長

山田委員の一番最後のご発言を少し確認させていただきますが、取得企業の識別の話をまずきちんと決めて、そこでどうしても決まらないときに限っての議論として、例えばプーリングの話をしろということのご趣旨なのですが、先ほど大日方委員のご発言ですと、取得企業を決める規準というのはある程度任意に決められるわけですね。例えば一株でも多い方が取得企業だとか、あるいは株数が全く同数でも一人でも経営者を多く出している方が取得企業だとか、あるいはその他いろいろかなり自由に決められますよね。それはすべて山田委員の場合、要件であって、あらゆるルールを使ってもなおかつ決まらない場合のことを考えろということをおっしゃっているのか、大日方委員のご発言はそのような趣旨ではなくて、そのような取得企業を決定する規準自体の意味を問うときに、例えばプーリングのような状況を同時に考えて、そのコスト・ベネフィットをきちんと考えざるを得ないでしょうというご発言だったのですが、そのあたりの山田委員の今のリジョインダーの趣旨が少し私よくまだ理解できないのです。

○山田委員

深く考えているわけではないのですが、取得企業をどのように特定していくかというと、結局、経済実態が違うという考え方をとらざるを得ない。もちろんプーリングが適用される場合と、パーチェスが適用される場合は経済のある実態が違うということだろうと思いますが、その違いをどう判定するかというときに、取得企業が特定できないケースというものをやはり何らかの形で明確に輪郭を描き出すべきではないかという趣旨で申し上げたわけです。それ以上でもないのですが。

○斎藤部会長

そうすると、必ずしも大日方委員のおっしゃったことと特に違ったことをおっしゃっているような感じはしませんが。

○山田委員

そうかもしれません。私の理解が少し間違っていたかもしれません。

○斎藤部会長

ほかにご発言ございますでしょうか。八木委員、どうぞ。

○八木委員

ワーキンググループの進め方で、先ほど2カ月ぐらいやって、その上でという話でございましたが、結構長い期間で、これは非常に基本的な問題を随分たくさん含んでいるんですが、その間例えば基本的事項の進め方とか判断で、この部会にその都度諮っていくということをお考えになる必要がないのかどうか。いきなり2カ月後にポンと出るのか、そのあたり進め方だと思いますが、確認でございます。

○斎藤部会長

事務局から、どのようなご趣旨か。

○辻前企業会計専門官

今、この案を考えた段階ではその間は少し部会はお休みしてというような形で考えておりますが、ここで書いている論点で例えばパーチェス法の中身とか、プーリング法の中身とかは部会でも今年に入ってから何回か使って審議してきておりますので、基本的にはそれを何か過去の蓄積を整理して、その上で論点が残った場合に何かご検討いただいて、それを部会で挙げるというような形で考えてはいかがかというように考えておりました。

一番重要な点はふたつ目の点でございまして、これが先ほども長坂委員からお話がありましたように、試しにつくってみるとしても、すぐできるものなのかどうなのかということが今少しわかりませんし、試しにつくって検討した上で、部会でご報告いただいて、その上で審議していただくということが効率的かなという、その程度の考えでございます。

○斎藤部会長

八木委員のご懸念は2カ月もかけて、ある程度まとめて出てきても一番基本的なところでこの部会でひっかかってしまえば、来春の公開草案というスケジュール自体がほとんどもう不可能になるということだと思いますが。ですから、それは部会の委員の方々のご意見に依存するわけでして、恐らくこの部会での体制がワーキンググループでの議論の途中で極めて重要な、これまで審議会で議論してこなかった、十分やってこなかった論点について中間的な経過の報告をして、一たん審議すべきだというご意見であれば、それは当然そのようなことも考えなければならないと思います。今の辻前専門官からのそのご報告、事務局のお考えでは差し当たりこれで詰めてみてということなのですが、それでよろしゅうございますか。

○辻前企業会計専門官

少し補足ですが、仮にワーキングで進めた場合に部会で少しご審議のために資料を上げてもらうとしても、それは要するに公開草案の体裁をとったというよりも、検討用の資料ということで、ある程度煮詰めたというか、ゼロから始めるよりももう少し途中の段階から始められるような段階のものというようなことで考えております。

○斎藤部会長

どうぞ、参事官。

○羽藤参事官

今、斎藤部会長からもございましたように、事務局としてはこのワーキンググループの場で整理をしていただかなければならないことがいくつかあるという、その識別をするに当たって、決定する規準自体の意味を問うときに、プーリングの状況をどう考えるのかとか、仮にパーチェスに一本化する場合に決定する規準をどうつくるのかとか、繰り返しになるのですが、使い分けをするときにどのようなケースでどこの論点をということで、恐らく裏返しに見て、同じケースになるとしても、論理として整理をして、お示しを申し上げるということが恐らくこの部会での議論を今後進めていただく上で不可欠であろうと思いますし、効率的であろうと思います。ワーキンググループの場で議論をしていく過程においては、先ほども部会長からございましたように、これは部会にやはりお諮りをすべきであるというようにご指示もあろうとも思いますし、またわれわれもそのような形でワーキンググループの運営、取り進めについては気をつけながら進めさせていただこうと思っております。

したがって、めどとして2カ月ぐらいのワーキンググループでの検討の期間をいただきながらということではあるのですが、これからその場を通じて、場合によってはその前に部会の皆様にお集まりいただくことをお願いすることになるかもしれませんし、そこはよく部会長のご指示のもとで、運営の方は遺漏なきを期したいと思っております。

○斎藤部会長

ほかに、ご発言はございますか。

大日方委員、どうぞ。

○大日方委員

非常に初期の段階で今回の企業結合の主要課題からすると、派生的と申しますか、非常に飛び火すると議論が混乱するという点で、多少躊躇していた論点があったかと思いますが、何かというと連結との関係なのですが、例えば具体的な項目は、一番単純なのは負ののれんと、貸方連結調整勘定との整合性の問題がありましたが、あるいはもうひとつは連結の範囲の決め方の問題と、取得企業の判定規準の問題等も連結の境界では当然整合性が問われるのですが、その点、かなり前のことですが、いたずらに議論を広げないということだったわけですが、今回は公開草案というか、具体的につくることをにらんでいるときに、触れないというわけにもいかないと思いますが、そのあたり、やはり切り離して考えないということなのか、あるいはやはり考えるということなのか、いかがでしょう。

○斎藤部会長

どうぞ。

○羽藤参事官

私も着任以前のことを勉強しながらやっておりますが、今おっしゃられた点を初めとして、いくつかの課題があると思います。どのような部分をどこまで関連づけて、議論としておまとめいただくように準備をするのかといった点はまず今日お示しを申し上げております点を最初にと申しましょうか、こちらを詰めていただいて、そしてその過程において留意すべきところを少しチェックもしながら、事務局としてはそのように準備を進めさせていただきたいと思っております。

○辻前企業会計専門官

連結との関係の基本的なお話ですが、私の記憶では以前の部会で連結と個別の関係で個別の方についても、なるべく連結と乖離しないような方向で整備を進めてほしいというような、委員のどなたかからのご発言がございましたので、基本的にそれを尊重して作業を進めているということでございますので、また別の違うご意見とかございましたら、それはそのときにまた考えるというように考えております。

○斎藤部会長

実は非常にお答えしにくい問題なんですね。大変クリティカルな論点をお出しになっているわけなので、恐らく連結といわゆる合併との関係の中で、今おっしゃった問題の中にも現在の連結基準とひとつ間違うとすぐバッティングしてしまうような論点も入っていますし、そうでない論点も入っていたわけで、当然現在ある連結基準と、ここで検討していく企業結合・合併の基準が検討段階で明らかに矛盾するという問題が出てくれば、それは当然検討段階で考慮せざるを得ないと思いますね。差し当たり、そのくらいでいかがでしょうかね。

ほかにご発言ございませんか。西川委員、どうぞ。

○西川委員

確認ですが、この主要論点というのは公開草案のイメージでつくられているものではないということでよいわけですね。例えばフレッシュ・スタート法というのは多分、公開草案にしたときにはあまり出てこないと思われるので。というのは、先ほど八木委員がおっしゃられたような共同新設分割のようなのでものをつくる、ふたつでくっつけるということがフレッシュ・スタートに似ているけれども、あれは本当のフレッシュ・スタートと申しますか、会計的に継続しているものをフレッシュ・スタートというようにみるという見方とは、局面的に少し違うのかなと思ったのですが、これは別に公開草案のイメージではないのですね。

○辻前企業会計専門官

これは検討する論点の一覧でございまして、公開草案にフレッシュ・スタート法が入るかどうかというのもこれからの委員の皆様方のご判断ということになろうかと思います。ただ、参考資料1の方にも一応検討した方がよいのではないかというご発言を載せていたかと思いますので、こちらの資料2の方にも載せさせていただいたということでございます。

○斎藤部会長

当然、ワーキンググループで検討するわけですが、西川委員のご発言は審議会の場での委員のご発言として十分承りました。

ほかにご発言ないでしょうか。

では、この件についておおむねご発言いただいたと考えてよろしゅうございますか。

それでは、ワーキンググループの設置につきましては皆様方のご了承をいただいたということでよろしゅうございますか。具体的にどなたにお願いするかにつきましては事務局とも相談の上でこれから個別にお願いしようと思いますが、最終的には私の方にご一任いただければと存じます。

ありがとうございました。

それでは、この件につきまして、事務局を通じて各委員にご依頼申し上げました場合には、どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。

参考資料2につきましてもほぼご発言いただいたということでよろしゅうございますね。

ありがとうございました。

それでは、本日の意見交換は終了させていただきます。次回の部会の日時につきましてはワーキンググループの検討結果を踏まえまして、改めて事務局からご連絡することにいたしたいと存じます。

それでは閉会に先立ちまして、会長から一言ごあいさつをお願いいたします。

○若杉会長

この問題、非常に長い時間をかけて審議を続けておりまして大変ご苦労さまでございます。

私、この夏休みしばらく留守をしておりましたものですから、欠席などいたしまして、また総会に出られませんで、大変申しわけなく存じ上げております。

来年の春を目指して、これから鋭意結論に導いていくわけですが、そのひとつの方法としまして、ワーキンググループをつくって作業を円滑に進めていくという方法をとることになったわけです。途中で問題が起こったときにどうするのかというご質問が当然出てまいりますのは、もう自然のことかと思いますが、運用は弾力的にして、もしどうしても大きな問題が起これば、途中でまた部会も開くということもあり得るかもしれません。

そのようなことで、とにかく世間では大分期待しております。期待というのはいろいろな意味が含まれた期待でありまして、まだ出ないのかというような意見すら聞こえるんです。非常に難しい問題でもございますので、ひとつ慎重に、しかも強力に結論を求めていきたいと思いますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。どうも今日はありがとうございました。

○斎藤部会長

それでは、予定した時刻よりも大分まだ早いわけですが、この間たびたび時間を延長させていただきましたので、まとめて借りを返したということにさせていただきたいと思います。

本日の部会はこれで終了をさせていただきます。本日はお忙しいところ大変ありがとうございました。散会いたします。

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