企業会計審議会第16回企画調整部会議事録

1.日時:平成21年6月11日(木曜日)17時00分~18時05分

2.場所:中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○安藤部会長

定刻になりましたので、これより第16回企画調整部会を開催いたします。

皆様には、ご多忙のところご参集頂き、誠にありがとうございます。

なお、本日の部会も、企業会計審議会の議事規則にのっとり、公開することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

ご了解頂きましたので、そのように取り扱わせて頂きます。

審議に入らせて頂く前に、幹事の異動がございましたのでご紹介します。萩本幹事が退任され、後任として法務省の河合民事局参事官が就任されております。河合幹事です。

また、事務局から、クールビズについての連絡があるとのことですので、よろしくお願いいたします。

○三井企業開示課長

例年でございますが、6月から9月まで、クールビズ、夏季の軽装の期間とさせて頂いております。地球温暖化対策のために軽い服装で、上着なし、ノーネクタイということで対応させて頂きます。また、それに伴いまして、この部屋も28度以下には下げないという冷房の節約をしておりまして蒸し暑くなっております。どうぞ皆様方も上着、ネクタイをおとりになって、軽装でご議論に参加頂ければありがたいと存じます。

○安藤部会長

それでは、議事に入ります。

当企画調整部会は、我が国における国際会計基準の取扱いを中心に、これまで3回にわたり、我が国企業会計のあり方について具体的な検討を行ってまいりました。前回の部会、これは1月28日開催でございますが、そこで、我が国における国際会計基準の取扱いについて、中間報告(案)として取りまとめて頂きました。2月4日から4月6日までパブリックコメントに付しまして、広く意見を求めてまいりました。

本日は、寄せられましたコメント等も踏まえてご審議を頂き、できますれば、当部会の中間報告として取りまとめさせて頂ければと考えておりますので、よろしくご審議頂きますようお願いいたします。

それでは、中間報告(案)に寄せられたコメントや中間報告(案)からの修正点などについて、事務局からポイントを説明してください。

○三井企業開示課長

それでは、お手元に資料1から5までの5つの資料をお配りしております。資料1が中間報告に対するコメントを事務局で手短に整理させて頂いたものでございます。資料3が中間報告の見え消し版でございまして、パブリックコメントの募集を行っておりましたものに見え消しの形で修正を加え、今回お諮りする案でございます。そして、その修正のポイントが資料2でございます。資料4と5は、後ほどこの説明の中で触れさせて頂きます。

それでは、資料2を主に使って、主な修正点を説明させて頂きます。資料2をお取り出し頂ければと存じます。

まず、任意適用の時期でございますが、「2010年3月期の年度から任意適用を認めることが適当である」と直しております。

それから、任意適用の対象となる企業の要件などにつきまして、若干の手直しをしております。大きなところとしては、対象企業でございますが、「国際的な財務活動を行っている企業」というカテゴリー、それからもう一つは、「市場において十分周知されている一定規模以上の企業」ということで、発行登録制度における周知性の要件、対象としては千数百社のポテンシャルがあるというカテゴリーの両方を並列してドラフトには書かせて頂いておりましたが、その後頂きましたコメントにおきましては、若干多過ぎるし、体制整備等が間に合わないのでもう少し考え直してはどうか、というご意見を多く頂きました。

その後、実際に2010年3月期に国際会計基準によって財務諸表を作られて提出するべく準備に取りかかっておられる企業の実態などをお聞きしますと、ここのところは、「国際的な財務活動又は事業活動を行っている企業」とさせて頂いたほうがより実態に合い、また、その体制整備等に照らしましてもリーズナブルなのではないかということで、そのように修文案を作っております。また同時に、監査人の要件についての記載も明確化しております。

強制適用の時期につきましては2012年に判断するということでございますが、文章の掛かりが多過ぎるということで、クリアにしました。また、準備期間が少なくとも3年ということですが、一体いつがターゲットになっているのか、時期を明確化すべきであるというコメントを多々頂きましたので、2012年に強制適用の判断をした場合には、2015年又は2016年と明記させて頂いております。

これは、この次の強制適用に当たっての段階適用の検討と関連していまして、2015年または2016年と2つの数字を出しており、必ずしも一斉適用にこだわってはいない書き方に少し書き直しております。以前の文章でも、2012年の時点で改めて検討するとしておりましたが、一斉適用にウエートが置かれた書き方になっておりました。この修文案では、段階的な適用を支持する意見があり、比較可能性の観点からは一斉適用も望ましいが、実際には難しいという意見がありました。ただし、段階適用の場合でも、その並走期間は長くとも3年以内にとどめたほうがいいのではないかということで、このような記述に直しております。もちろん前後することはあり得るわけですけが、強制適用の時期を2015年又は2016年と明記させて頂いております。

その他には、強制適用における別記事業についての記述をすべきである、個別財務諸表のあり方についての記述をすべきである等のご意見を頂いております。それぞれ、ここにありますような記載を追加させて頂いております。

また、昨今のIASBの基準改訂の提案の動きに対しまして、基準作成の早い段階での意見発信が必要であるということも書き込んでおります。

この修正点に関連しまして、資料4を取り出して頂きたいと存じます。「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」といった表題の条文案がございます。これは、仮にこの中間報告(案)が確定した場合に、その後、事務局で作業をすることになるであろう連結財務諸表規則の改正案をご参考までにお作りしたものでございます。当然のことながら、中間報告が確定しなければ作業に入れませんので、仮に今の中間報告が確定したと仮定した場合にどのようになるかというものを検討させて頂いたものでございます。

この資料の3ページでございますが、先ほど任意適用の対象会社ということで、「国際的な財務活動又は事業活動を行う会社」と説明させていただきました。2ページあたりから、体制整備ができていることや、国際会計基準に従って財務諸表を作成できる能力があり、あるいはそのための特別な準備なり、FASFの会員になっている等の開示をするといった定性的な要件が書いてあることに加えまして、このイロハニのニというところで定量的な要件が書いております。海外の取引所などで上場していたり、あるいは公募などによって財務諸表を開示しているということが(1)、(2)でございまして、(3)に、海外に連結子会社を有していることと書いてあります。この点は若干フライングでございまして、国際的な事業活動を行っているということをこの報告書では修文案として掲げさせて頂いておりますが、これを実際にどのように要件化するかということは、中間報告確定後に関係者の皆様方と幅広い意見交換をしながら改めて考えていく予定でありまして、国際的に事業活動を行っているということイコール、この海外に資本金○億円以上の連結子会社があるということを意味するということまで申し上げているわけではございません。(3)につきましてはオープンでございまして、これまでの審議の中で、発行登録制度の周知性要件のような形であらかじめ資料をお示ししてはおりませんでしたので、ご参考までに書いてみたものでございます。これ以外にも、例えば関連会社の状況とか、資産、負債あるいは取引、売上、さまざまな要件が考えられますので、その点につきましては、本日のみならず、この規則をつくるに当たってはパブリックコメントの手続もございますが、それに先立ちまして、いろいろご意見なり実態を教えて頂ければと思います。

駆け足になって恐縮でございますが、仮に任意適用を認めるという結論に至る場合に、どの国際会計基準を念頭に置くのかという点でございますいが、現在、既に施行されている国際会計基準がございます。資料4の9ページに別表二(第三条関係)とありまして、IFRS1号から8号、それからIAS19号から41号まで列挙されておりまして、これらは既に公布されて施行されているということでございます。

さらにかなりめくって頂きまして、18ページ、19ページをご覧頂きたいと存じます。この記述は、国際会計基準審議会又は国際会計基準委員会財団の方から公式版として公表されたものではなく、既に公表されているものを私どもでピックアップさせて頂いたものでございますので、オフィシャル版ではございませんが、既に基準として確定していますが、まだ現時点では施行されておらず、今年の7月ないし来年の1月時点で施行される予定になっている基準で主なものをここに列挙しております。恐らくこの点につきましては、例えば企業結合など、日本の会計基準の見直しの関係で、既に関係者の皆様方はよくご存じの内容のもの、あるいは「annual improvements project」年次改訂ということで、若干細かいところではございますが、既に目にとまっているものばかりではないかと思います。現時点で、仮に中間報告がまとまったとしまして、2010年3月期の財務諸表の作成・提出に向けて準備をしていくということになりますと、既に確定している国際会計基準を前提に作業を進めていくこととなると考えられますので、ここに参考までにお配りしているものでございます。

当然、もちろん国際会計基準審議会は、アメリカのFASB、それから日本のASBJとともに、さらに中期プロジェクトとして新しい収益認識等のさまざまな会計基準の開発を行っております。その中には、技術的なものもあれば、非常に大きなものもありまして、そういった将来の会計基準が出てきたときにそれをどう扱うかということは、またそのときに、関係者の皆様方と検討させて頂きたいと存じますが、任意適用を来年の3月から仮に認めるとした場合に、どの会計基準かということを連結財務諸表規則上明示して、既に、確定ないし既に施行されているもの、あるいは確定して施行予定のものについて、それを使ってファイリングをして頂くということが考えられるかと思います。とりあえず、3月決算の会社が多いですので、1月時点までに施行されているもの、現時点で既に確定しているものについては、それを使って頂くということは、現実的にはあり得るのではないかということで、この参考資料をお配りしております。

いずれにしましても、この連結財務諸表規則については、今日、あるいはこの企業会計審議会において決まるということではございません。仮に、中間報告についてコンセンサスが得られてまとまりましたら、その後、関係者の間での意見交換、フィードバックを通じて、また、デュー・プロセスであるパブリックコメントの手続を経て確定させて頂くものでございますので、あくまで現時点でのたたき台としてご覧頂ければと存じます。

時間の関係がございますので、資料5につきましては説明を省略させて頂きます。前回の企画調整部会から直近までの政府が関係しました国際的な会計基準を巡る動きについて、資料として編綴させて頂きました。もしご関心の向きはご覧頂ければと存じます。

私どもからの説明は以上でございます。

○安藤部会長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明を参考にして頂き、中間報告(案)につきまして、ご意見等を頂ければと思います。どなたからでも結構です。ご自由にご発言頂ければと思います。

永井委員、どうぞ。

○永井委員

1点質問させて頂きたいのですが、この中間報告(案)の位置づけについてお伺いします。強制適用などに関しましては、まだ最終決断を下されていないというように、態度を保留されている点が多いように感じますが、この中間報告は、一たん出された後、また審議を重ねて最終報告のようなものを出し、そこで最終的な判断が出されるということでしょうか。もし、そうであるとすれば、それはいつごろを目途に考えておられるのかをお伺いします。

○三井企業開示課長

「中間報告」とさせて頂いている趣旨でございますが、この案によりますと、2012年を目途に強制適用を判断するということになっています。2015年又は2016年に強制適用という具体的な年次及び道筋も掲げているという意味では、日本版のロードマップに相当するかもしれませんが、その最終的な結論については留保しておりますので、その限りで「中間報告」ということになろうかと思います。

それから、若干マイナーな点になりますが、この任意適用の対象企業は、2010年時点では、「国際的な財務活動又は事業活動を行っている会社」という案にさせて頂いております。その際、発行登録制度の周知性要件を満たすような企業まで広げるかどうかという点につきましては、私の記憶では、12月の審議会の場では、幅広く企業に認めることが国際会計基準に移行しやすい環境をつくるためにいいのではないかというご議論が多数あり、それを含める形でパブリックコメントに出させて頂いたという経緯であったと記憶しております。

パブリックコメントの結果、現在、その部分は外しておりまして、その部分を任意適用の対象企業として取り込むかどうかという判断は、2010年3月時点では、この「国際的な財務活動又は事業活動を行っている会社」というもので始めさせていただき、その後、改めて検討をする必要があるかと思っておりまして、その意味でも中間的なところが残っているかと思います。

○安藤部会長

永井委員、よろしいでしょうか。

○永井委員

今の任意適用の話は分かりましたが、強制適用については、具体的にいつごろ判断を下されるかということはまだ決められていないということでしょうか。

○三井企業開示課長

この案では、前後することはもちろんあり得ますが、2012年に判断するということですので、そうしますと、これは大きな判断になりますので、その時点でこの会を開いてご審議頂くということが十分に想定されるのではないかと思っております。もちろん最終的には部会長に相談して決めていくことになりますが、そういった意図がございます。

○安藤部会長

それでは、黒川委員。

○黒川委員

3つございます。1つ目は、16ページの別記事業について、よく検討しなくてはいけないという文言を追加して頂きましたが、これについては大賛成でございます。ありがとうございます。

それから2番目ですが、連結財務諸表規則等において、仮に強制適用になったときには適切な規定を整備する必要があるという文章がございますが、この意味内容についての確認です。今まで、我が国にある連結財務諸表規則等については、科目の細かさ、それから科目名のようなものが非常によくできており、会社間の比較可能性という点では大変貢献してきたと思っております。

一方、国際会計基準については、今まで処理の面ばかり議論していましたが、いよいよ強制適用になると、表示様式や科目名等も気になるところです。しかし、どの程度詳細で具体的なガイドラインが存在しうるのかどうか、まだ定かではありません。

そこで、そのような状況になったときに、IFRSに基づく連結財務諸表規則のようなものを用意するということも、ここでは含んでいるのでしょうか。

それから3番目は、文章の「てにをは」についてです。この場で言うべきかどうか分かりませんが、また、これは趣味の問題でもありますが、一応ご検討くださいということで述べます。

6ページのマル2の上の4行、「必要に応じ、我が国会計実務界として適切なインプットをしていくことが不可欠である。」というこの文章についてですが、このままでも分かりますが、もし仮に丁寧に書くとすると、「注視精査するとともに、IFRSの開発及び改訂に際し、必要に応じ、我が国会計実務界として適切な意見を具申し、反映させていくことが不可欠である。」というように丁寧に書いた方が良いのかなと思います。「インプットをしていく」という文言を、もう少し丁寧に書いた方が良いかなと思います。

15ページの新しく加筆されたところの3行目、「時価総額その他の基準により段階的に」というところですが、これもこのままでよく分かるのですが、「時価総額その他の基準により上場企業を分類して段階的に」と、丁寧に書けばこのようになるかなと思いました。

それから、16ページのマル3の2行目、「個別財務諸表をベースに作成しており、」というところですが、主語が「連結財務諸表が」となっておりますので「個別財務諸表をベースに作成されており」とした方が日本語としては良いかと思います。

それから、その次の行ですが、「基礎となる利益計算に基準が異なることにより違いが・・・」という文章が長いと思いました。「企業の財政状態及び経営成績を表す基礎となる利益計算に」で、カンマを入れた方が良いのではないでしょうか。これは趣味です。

それから、マル4のところの加筆されたところの下から3行目、「子会社や連結財務諸表を作成する非上場企業については、」というところです。近い将来上場を計画しているとか予定している非上場会社は、非上場ですが、一、二年後に上場するということになると、いち早く準備のためにIFRS準拠で財務諸表を作っていくかもしれないので、「・・・非上場会社及び近い将来上場を計画している非上場企業については、」とすることも一案かなと思います。

そうすると、近い将来上場を計画している会社が連結子会社を持っているかどうかが問題となりますので、「IFRSに基づく連結財務諸表の」というところは、個別財務諸表しかない会社もあるかもしれませんので、その場合にはIFRS版の個別財務諸表を上場前の段階で作っていくかもしれないということで、「IFRSに基づく連結財務諸表等の」とするのが良いかなと、このような細かいことも考えたところでございます。

以上です。

○安藤部会長

ありがとうございました。今の点について、事務局からお願いします。

○三井企業開示課長

まず、3点のうちの3点目の「てにをは」については、ご指摘のとおりだと思いますので、部会長と相談の上、修正する方向で文章を詰めさせて頂きたいと思います。

別記事業の点は除きまして、規定の整備についてのご質問だと思いますので、まだドラフトということではございますが、資料4をご覧頂きたいと思います。

この資料4の4ページをご覧下さい。現在、連結財務諸表規則の93条には米国基準会社の規定がございます。今考えておりますのは、強制適用も視野に入れたロードマップ案でございますので、米国基準も日本基準も連結財務諸表については、国際会計基準にするということでありますと、この93条の米国基準の規定は要らなくなります。したがいまして、ここのところに国際会計基準の規定を置くということになります。

ただし、今の米国基準につきましては、米国のSECが監督しているということで、全てSECに委ねるような形になっていますが、日本企業に日本の主体性を持って国際会計基準によるファイリングを認める、ないし将来義務づけるということになりますと、もう少し主体的な、ポジティブな意味での規定が必要になろうかと思います。そのため、この案では、国際会計基準の定義は別のところに置いてありまして、この場合、何らかの形で告示をする必要があると思いますが、今ある国際会計基準をベースに、日本で公正妥当と認められると見込まれるものを金融庁長官が告示し、「指定国際会計基準」とここでは仮に言葉を置いていますが、そのような形で指定をするという法的な構成をしております。

現時点で、先生がおっしゃったような細かい勘定項目のようなことを書くことも論理的にはあり得るわけではございますが、この中間報告(案)をお認め頂けるということになりますと、作成者、監査人、そして当局も入りまして、あるいはアナリストの方等にも入って頂いて、実際にどのような財務諸表を日本で作っていくのかといった実務的な話をする必要があろうかと思います。同様の作業は、ヨーロッパでも、2005年の前に行われたようでございまして、当局や作成者などの関係者間でいろいろな議論が行われ、準備活動をしていかれたようです。したがいまして、細かいフォーマットまでまだ十分に検討が尽くされていない段階で書くのはどうかと思いまして、ここでは、この93条の形を借りて書いておりますけれども、米国基準とはまた違った意味で、この93条のところには細かい勘定項目や記載の仕方までは書いておりません。そして、この任意適用の期間内に関係者の方々と十分に議論をして、どの程度まで規則に勘定項目等を書くのが良いのかという点については、また検討させて頂きたいと思います。

基準自体がプリンシプルベースであるということ、各国バージョンの国際会計基準ができることが必ずしも適切ではないということ、それから3点目として、これが実際に強制適用の時期になってきますと、XBRLが主流になるということがあります。そうすると、この規則に日本語で、しかも法文の形態で書いた上で、今度はXBRLのために、コンピューター言語で全く別の内閣府令を作って、XBRL言語のファイリングの様式をまた書くということが、どこまでやるのが一番良いのかということがあろうかと思います。どこまで連結財務諸表規則で書き、どこからどこまでをXBRLの言語様式として書くのかということを、より分けする必要があるかと思います。

加えて、もう一つは、会計基準について、この財務諸表等規則という内閣府令でどこまで詳細に書くのが良いのかということについても、私どもの内部でも問題提起がありまして、その点についても、中でまた議論させて頂きたいと思います。

十分な答えになっていないかもしれませんが、現状では、この93条のようなものをとりあえずこの一、二年は考えているということでございます。

○安藤部会長

よろしいでしょうか。

弥永委員、どうぞ。

○弥永委員

それでは、質問をさせて頂きます。

この資料4は、確定版ではないというご説明でしたので、これを基礎にして聞くのはいかがかとは思いますが、質問させていただければと思います。まず、今ご説明頂いた資料4の4ページのところです。米国基準についての現行規定に倣って条文案が作られているようですが、米国基準については、現在の連結財務諸表規則95条に、日本語をもって記載しなければならないという規定が設けられていますが、この対照表を見ますと、これに相当する規定は置かない、国際会計基準との関係では抜くという予定があるとこの案は読んだ方が良いのかということが第1点でございます。

これとは直接関係ございませんが、米国会計基準を使うことを今後認めていくのかということと、国際会計基準の任意適用を認めていくということとの関係は、今のところどのように想定されているのか、ということが2つ目の質問です。

最後の3つ目の質問ですが、先ほど告示で指定されるとご紹介があり、ここで表として与えられているものの中では、9ページから10ページに書いてあるように、国際財務報告基準と国際会計基準とを挙げていらっしゃいますが、この他に、IFRICといったものはここでは指定はしないという方針なのかということを教えて頂ければと思います。

○三井企業開示課長

まず、日本語の点でございますが、93条はSECが定めた様式ということでございまして、SECが定めた様式は英語でしか存在しないということになります。したがいまして、このままほっておくと英語で出せると読めてしまいますので、95条をあえて置いております。

片や、新しい93条の方は、日本の法令に基づくというと、一般的に日本語ということですので、特に置いていないということでございます。

もちろんそれとは別に、外国に上場している場合に英文開示ができるかどうかについては、そちらの規定が適用されるということになります。

それから、米国基準と国際会計基準の関係でございますが、ここでは米国基準、このドラフトにはまだ載せておりませんが、現在、米国基準でファイリングをしている企業が、この新しい連結財務諸表規則が施行されると同時に提出できなくなるということでは困りますので、グランドファーザーとして当分の間米国基準でもファイリングを続けられるということを、附則などで手当てする必要はあろうかと思います。

ただ、新規に米国基準でのファイリングを認めることが良いかどうかということは、私どもはやや懸念をしておりまして、既にニューヨークに上場している米国外企業につきましては国際会計基準を使うことが認められているという状況でございますので、できるだけ国際会計基準を使うことをお願いするのが望ましいのかなと思っております。

仮に強制適用ということになりますと、新たに米国基準によりアメリカで開示しようとする場合も、米国で国際会計基準へのスイッチが義務づけられる可能性もありますし、日本でも同じように義務づけられる可能性がありますので、コスト面でも二度手間ということになります。また日本基準を国際会計基準の方に近づけていくということからみても、併存する会計基準を増やすということはいかがかなと思っております。そういう趣旨でここの規定を考えさせて頂いております。

次に、この別表の会計基準の掲げ方については、さらに深める必要があるのかもしれませんが、一応基準として規範力を持っているのは、このIFRS1号から8号まで、それとIASということであり、IFRICはその解釈指針だと言われておりますので、とりあえずは規範力のある基準、IASBが作るものを掲げるのが自然かなと考えた次第でございます。

○安藤部会長

弥永委員、よろしいでしょうか。

○弥永委員

ありがとうございました。

○安藤部会長

ほかにいかがでしょうか。

引頭委員、どうぞ。

○引頭委員

今の弥永委員の質問について補足的にお伺いしたいのですが、SEC基準については、しばらくすると認めないということが分かったのですが、ただ、アメリカに関しても、全面的にIFRSにするかどうかについての最終的な結論は持ち越しになっていたと記憶しております。

仮にアメリカが、確実にIFRSに移行するというのであれば、三井課長がおっしゃったとおり、二度手間、三度手間になりますのでこの規定で良いと思いますが、まだそれが確定していないなかで、事業会社によるSEC基準での海外での調達というものを阻害してしまう、あるいは、仮にアメリカがIFRSに移行しない場合のリスクもありますので、この点はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○三井企業開示課長

もちろんコストだけを考えればおっしゃるとおりかもしれませんが、日本では米国基準のような特例をその他の国の基準では認めてこなかったという経緯がございます。そこは、米国基準の場合は、ドイツでもそうですし、ヨーロッパの国でもそういうことはございましたが、ニューヨークに上場する場合には、それ以外の先進国とは異なりまして、アメリカ基準以外による外国企業の国内上場を認めないというポリシーをずっと貫いてきたこととの関係で、どうしても米国外企業が米国市場にアクセスする際には、米国基準によって作り直さなければならないという特殊な事情があったと思います。そういうポリシーは、ヨーロッパの国の政府はとってこなかったと理解しております。

ところが、一昨年のSECのファイナライズされましたレギュレーションにより、米国外企業は、SECに対して、国際会計基準であればファイリングできることになりましたので、新規に米国基準を使わなければアメリカのマーケットにアクセスできないという状況は既に解消しております。そういうことからしますと、国際会計基準と日本基準が当面並走するという状況のもとで、さらにその3つ目の基準を日本国内で増やしていくということは、比較可能性から考えれば避けた方が望ましいのではないかという判断が働いてございます。

したがいまして、ここで、国際会計基準のロードマップを承認していこうというコンセンサスが得られるのであれば、日本基準以外にもし新たに別の、あまり日本で知られていない、必ずしもポピュラーとは言えない基準を使って新たにファイリングをされるよりは、むしろ国際会計基準を選んで頂くということの方がよろしいのではないかと提案しているわけでございます。

○安藤部会長

引頭委員、どうぞ。

○引頭委員

この資料4の改正案は仮ということではあると思いますが、仮にこのようになった場合、SEC基準を使っての新規の調達ということができなくなり、IFRSを使ってということになると思いますが、これはいつ時点の新規の調達からということになるのでしょうか。今のざっくりとしたスケジュール感を教えてください。

○三井企業開示課長

施行時期というのはある程度フレキシブルに考えることはできると思います。公布されたその日から適用とする必要はないわけでございまして、もちろん当然のことながら周知期間は必要でありまして、どの時期から施行ということについては、ご意見を頂戴できればと思います。例えば現時点で既にブックビルディングを始めているとか、そういう企業があるかもしれませんので、実務を混乱させないような対応は当然すべきであろうかと思います。その限りでは、合理的な期間をとって移行すべきではないかと考えています。

○安藤部会長

よろしいですか。

島崎委員、どうぞ。

○島崎委員

先ほど三井課長からご説明頂きましたが、私ども経団連からもかなりの意見を出させて頂き、そのほとんどを配慮頂いた案になっていると思います。非常に結構な形にまとまっていると思いますが、中でも強制適用の時期について具体的な明記があるとか、あるいは強制適用への段階的な適用も検討するということになっており、個別財務諸表の開示についても開示のあり方を検討するということで、これについては非常に結構ではないかと思います。

その中で、2点ほど確認ですが、先ほどご説明頂いた資料2の丸ポチ2つ目の「任意適用の対象となる企業及び監査人の要件の明確化」のところで、この修正案では、「『国際的財務・事業活動を行っている企業』の連結財務諸表(及びその上場子会社の連結財務諸表)」と書いてありますが、実は上場子会社プラス上場関連会社があるわけで、その辺のところについて、あえて子会社で切ってしまっているのはどういう背景があるのでしょうか。数が増えるからとかいうことがあるのかもしれませんが、具体的にそういう会社があるものですから、「上場子会社等」とか、そういう形で表記して頂けないかなと思います。

それから、2/2の最後のところに、「コンバージェンスの継続の必要性の強調」ということで、資料3の3ページのところに書かれていますが、強制適用のところまである程度踏まえた任意適用を今回認めるということになったときに、あえてこの段階でコンバージェンスの継続ということを強調するということについて、いろいろなお考えがあると思いますので、その辺のところを説明して頂きたい。

それと先ほどの資料4のところを見てみますと、これは資料4の1ページ目から2ページ目のところにかけてある3の五のところになりますが、「国際的収れんの観点から検討を加えるものである」という書き方になっております。この意味がよく分からないのですが、コンバージェンスを引き続き積極的にやっていかなければいけないということをここで言っているのかどうか、その辺のところが少し読めなかったものですから、説明をお願いします。

○三井企業開示課長

まず、子会社の点については、ここは子会社に限定するという趣旨ではございません。大ざっぱに言うと子会社ということかなというぐらいのことでございます。

発行登録制度の周知性要件を外したのは、今年度末や来年度末という短い期間で考えたときに、国際会計基準での財務報告に手を挙げてくるというイメージからかけ離れた企業がたくさん含まれているのではないかという、実務的あるいは実態面を考慮されたコメントがあったからでございます。したがって、グループ企業内に国際会計基準で準備をしているようなグループ子会社、関連会社群がたくさんあるという事業実態があるのであれば、リライアブルな国際会計基準による報告の準備ができだろうということでございます。極端なケースで言いますと、全く海外での事業実態も財務活動実態もないけれども、ペーパーカンパニーをその国際会計基準が施行されている法域で、非常にマイナーなプロ向け市場で作って、そのような形だけ作って、国際会計基準による日本企業の第1号として手を挙げるといった実態からかけ離れたようなファイリングは念頭に置いていないということをはっきりさせようという趣旨でございます。ここでの議論は、体制、能力、やる気がある企業であればある程度門戸は広くとしておりましたが、パブコメの中で、その弊害についてのご懸念があったため、そこは取り除こうという程度の趣旨でございます。

したがいまして、実際、事業実態がインターナショナルであるとか、財務活動実態がインターナショナルであるということであれば、形式的に子会社でなければならないということにこだわっているものではございません。その意味で、この資料4の連結財務諸表規則案は試みの案でございまして、実際に事業実態がありリーズナブルなものとしてこういうのがあるというのがあれば、それを読めるようにするということは十分検討すべきだと考えております。

2点目のコンバージェンスに関する報告書の記載と連結財務諸表規則案の記載の仕方についてですが、まずコンバージェンスそのものにつきましては、2つの側面でまず分けて考える必要があると思います。1つ目の側面については、このEUの同等性評価というものは終わったわけではございません。EUの規則の中に書いてございますが、ホーリスティックアプローチといいまして、2011年までに既存の差異を解消する、そしてその後については、日本も検討の中に入って、共通化した基準をみんなで作っていくという合意があり、そしてそれが確実に果たされていくというコミットがあって、現実にそう動いているということを評価して、現時点では差異があるが、同等と評価すると、こういう文言でございます。

したがいまして、同等性の評価を維持するという観点からはコンバージェンスは必須の前提条件になるということでございまして、報告書にもはっきり書かせて頂いていますし、財務諸表等規則でもそこははっきり書いておく必要があろうかと思います。

もう一つ別の観点で考慮すべきと思われることは、EUの同等性評価であるとか東京合意という枠組みを超えて、今後IASB、IASCFとどう向かい合っていくかということです。国際的には、やはり国内で国際会計基準と並び立つような基準開発能力のある国が相対的には発言権、発言力があるように見受けられるのではないかと思います。これは問題意識でございまして、皆様方によくご議論なりご意見を頂戴したいところでございます。コンバージェンスという言葉がいいかどうかは別として、思想哲学的に国際会計基準と十分に同じ平面で議論し渡り合える、全く同じである必要はありませんが、共通の言語で渡り合えるような思想哲学を持った、クオリティーとしても国際会計基準をいわば凌駕するような日本基準をもって、国際会計基準設定プロセスに意見発信をして、日本の声を反映させていくといったことは必要なのではないかという問題意識を持っております。

コンバージェンスという言葉が良いのか、あるいはコンペティションなのかもしれませんが、そのようなステージが要るのではないかという問題意識を持っております。

○安藤部会長

どうぞ、島崎委員。

○島崎委員

今の三井課長のお話で、「コンバージェンス」というこの表現に含まれる2つの意味というものは分かりました。特に最初のほうの話についてはよく理解しましたが、2つ目の理由がこの「コンバージェンス」に含まれているとすれば分かりづらいのではないか。コンバージェンスを文字通りに理解すれば、「収れんする」ということで、「合わせていく」というような意味合いが非常に強いと思いますので、「コンペティション」という意味合いもあるというのであれば表現について何か工夫が必要かなと思いました。

以上です。

○安藤部会長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、西村委員。

○西村委員

今の件ですが、コンバージェンスをやっていく中で、そのタイミングについてはまず、例えば6ページに記載のとおり、先ほど黒川委員からもご指摘のあった文言のところですが、東京合意で言っている2011年の6月があると思います。そして、その先も当然想定されていると思いますが、いわゆる強制適用の2015年とか16年を考えたときに、そのころまでも視野に入れて、三井課長がおっしゃったようなコンバージェンスをやっていくのでしょうか。

それからもう一つ、15ページに、強制適用でやるときに、5段落目に「強制適用については・・・」というところで、「著しく適切でない部分があるため、我が国において・・・」という考え方がございまして、これはまさにそのとおりだと思いますが、具体的に想定されているものがありましたら教えて頂きたいなと思います。

○三井企業開示課長

資料3の6ページにもありますようにコンバージェンスへの努力、東京合意は2011年で終わってしまうということではなく、その後のものはムービングターゲットとしてASBJがIASBとFASBの議論に積極的に参加して、三者で基準を作っていくということになります。したがいまして、そこでは、コンバージェンスという名前はついていますが、そこでの日本の意図としては、単に差異をなくすというよりは、日本のインプットをしながら、一緒にその新しい基準を3極、3極と言うのは良くないのかもしれませんが、IASBとFASBとASBJで作っていくという意味で、「コンバージェンス」という言葉を使っていますが、多少意味が違うにしろ、コンバージェンスをやっていくということで理解されていると思いますし、またその意図でここは書いております。

それから16ページの、このカーブアウトを示唆するような文章でございますが、カーブアウトをしたいとかするべきとは全く思っておりません。むしろ、こういう事態というのは、できるだけというか、99.99%まで避けるべく努力しなければならないし、またこういう事態になってしまった場合、日本にとって国益上良いかと言われれば、やはりマイナスになる部分もたくさんあろうかと思います。現状、国際的には何々版IFRSとか、何々地域版IFRSというブランド問題がございます。

また、そのカーブアウトが非常に大きければ、実際には共通化と反することになるわけでもございますし、その意味では、そうならないように日本のこの市場参加者が十分にIASBのデュー・プロセスに参加して、日本の声を取り入れて基準化していく。それが本当の意味でのグローバルなスタンダードであろうかと思います。

法的には、国際会計基準というものは、日本の立法府である国会の決議を経たものではありません。先進国において、最近ではそういう方向に流れてきていると思いますが、会計基準はむしろこういう市場関係者のコンセンサスによって、参加者が一般に公正妥当だと思っているというものを民間で作ったものを国がエンドースしていくと、こういうものでございます。そういうきちんとしたデュー・プロセスが経られていること、そのデュー・プロセスの前提として、基準設定主体が独立して、そして専門性を発揮して、最もすぐれた基準を作っていること、こういうものをみんなでエンドースしていくということでございます。ロジックとしては、そういう能力、専門性を備えたところが、日本も含めた参加者によるデュー・プロセスを経て作ったということが必要だというところまででございまして、これらを日本としてもきちんとウオッチしていきましょうという意味でございます。

その意味では、いわば法制上というような記述でございまして、少なくともカーブアウトする方向での議論ではなく、カーブアウトをしなくてもいい方向にみんなが努力して、必ずそのようにしていこうという趣旨のものでございます。

○安藤部会長

よろしいですか。

小宮山委員、どうぞ。

○小宮山委員

2つございます。中間報告(案)の16ページですが、先ほど黒川委員から質問があった別記事業の取扱いで、「別途の検討」と書いてありますが、この文章の位置から考えて、カーブアウトを想定されているのか、適用時期の話を想定されているのか、少し分かりづらいので確認したいと思います。

それから、「マル3個別財務諸表の取扱い」のところで、強制適用では「IFRSによる個別財務諸表を作成することを求めることが考えられる」と書いてありますが、13ページの任意適用のところを見ますと、「監査を受けたIFRSによる個別財務諸表」と書いてあり、言葉が違っております。これは字句どおりに解釈してよろしいのでしょうか。

○三井企業開示課長

まず2つ目ですが、法定開示ですので、監査証明は必要です。そこは金商法で要求されているとおりでありまして、この文章の字句にやや差がありますが、いずれも監査証明を要求されているという意味でございます。

別記事業につきましては、悩ましい問題がありまして、主には個別の財務諸表の部分が多いかと思いますが、銀行のように連結についても規制会計が存在するところはございます。したがいまして、現時点では軽々な結論は出さないと言っているわけではございます。ものによりけりではありますが、できるだけ強制適用のときに上場企業は全体として連結財務諸表については国際会計基準が適用できることが目標であると思っています。その意味で、できるだけ早い段階でそれぞれの規制当局といろいろな話し合いをしていく必要があろうかと思います。そのためにも任意適用企業のサンプルをできるだけ増やして頂いて、そういう実例をベースに具体的な検討を各当局としていく。例えば銀行であれば、もちろんバーゼル合意との関係もありますが、銀行監督当局と十分意見交換をしていただきたいと思っております。

○安藤部会長

よろしいですか。

ほかにいかがでしょうか。西川委員、どうぞ。

○西川委員

先ほどのコンバージェンスに関する三井課長の分析で、特に2つ目の発言力、コンペティションといったあたりは大変そのとおりだなと共感いたしました。

もう一つの欧州の同等性評価の維持でございますが、これは是非努力目標ということにさせて頂きたいと思います。要するに、結果に執着し過ぎると、実際に私どもASBJがEUとの同等性評価の交渉をしたわけではないので分かりませんが、EC、あるいはEU議会が評価権限を握っているような話に、その結果を維持するために頑張るとなると、やはり基準作りに無理が出てくるところがあるのではないかという気がいたします。一回同等性評価をもらえば大体大丈夫じゃないかという考えがあるのかどうか分かりませんが、昨年の私どもの基準作りがどうだったかという話になると、かなり頑張って無理をして努力したという面もないわけではありませんので、これにあまりにも縛られるということは少しつらいと思っております。

そのコンバージェンスのあり方については、去年のやり方というものを、少なくともASBJの活動を遠くから見ている人からは、とにかく合わせに行っているように見えたかもしれません。今後は、そういうことではなく、特に今後でき上がっていくMOU中長期プロジェクトに関しては、日本からの意見発信を強く行っていくということが含まれております。金融商品会計の特に測定区分の見直しの最も直近の議論では、OCIのリサイクルを禁止する話がまた出てきており、せっかく財務諸表の表示のところでOCIのリサイクルと当期純利益を維持したにもかかわらず、実質的に話がまた元に戻るようなことになりかねない状況にあります。もしそういう話が本当に進むことになりますと、当期純利益が変質する、あるいは、日本の制度的な利益に相当するものがなくなってしまう、ということになります。そうなると、どうしても合わせられない部分というものは出てきてしまう可能性があります。そのような中で、連結先行を使って、連結だけ合わせればいいではないかということではなく、やはり日本から相当主張していかないといけない部分というものはあると思っております。結果だけにとらわれ、連結先行、あるいは同等性評価の維持といったようなものがあまりにも前面に出て、とにかく合わせるということになってしまうと、発言力ということにもならないという気がいたします。そこはASBJが独断で行っていくと良くありませんので、皆様と協議する場を持ちたいと思っておりますが、是非こういう考え方を頭にとどめて頂きたいと思っております。

○安藤部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。宮城委員。

○宮城委員

16ページの「マル4非上場企業への任意適用の取扱い」のところでございます。ここでは中小企業の実態を踏まえた上での趣旨の明確化がなされたということで非常に評価をいたしておりますが、改めて検討されるということもございますので、これに関連して2点ほど申し上げたいと思っております。

ここにも記載されておりますが、中小・中堅企業を中心とする非上場企業の多くはやはり内需型でございます。上場企業に比して、グローバルな投資の対象になっていないという記載もあるわけでございまして、したがいまして、非上場企業には、もちろん金商法の対象になっているものは当然除外されるものと理解をしておりますが、国際会計基準の適用は行わないようなご配慮をお願いしたいと思っております。別に修文を求めるわけではございませんので、今後の検討についての発言でございます。

さらにもう一点ございますが、中小・中堅企業が心配をしておりますのは、やはり税と会計の関係でございます。確定決算主義と、あるいは税会調整方式というものの維持が必要だと思っておりますし、単体については、我が国のこれまでの商慣習との実態を踏まえて、連結とは区分した形での対応というものが必要だと考えております。修正を求める意見ではございませんが、この16ページの非上場企業への任意適用の取扱いについて2点申し上げさせて頂きました。

○安藤部会長

ありがとうございました。

増田委員、どうぞ。

○増田委員

資料3の8ページのところに、「公認会計士試験合格者に対する実務補習の内容の見直しが必要になるものと考えられる」と書かれており、これは「強制適用が決定された場合には」と続いておりまして、9ページの試験制度につながっていっているわけですが、もう既に来年から任意適用が始まるという段階で、タイミング的にもうやらなくてはいけないのではないかと考えておりますが、この辺はどのようにお考でしょうか。

○三井企業開示課長

もちろん任意適用の時点から会計士のみならず作成者、投資家、すべての教育は必要になるわけでございます。したがって、もちろん今の段階というか、これが決まれば直ちにということはございます。

ただ、強制適用の前の段階で全面的にやろうと思っても、なかなか講師の手配とか、いろいろなところでボトルネックもあろうかと思いますので、ここではとりあえずこのように書かせて頂いて、徐々にスピードアップなり幅を広げるというつもりで書いております。

○安藤部会長

ほかにいかがでしょうか。ほかにございませんか。特にご意見は、これ以上ないようでございます。

本日は中間報告(案)に多くのご意見をちょうだいいたしましたが、基本的にはこの案の内容で皆様のおおむねの合意があったのではないかと存じます。

私といたしましては、当部会の中間報告として取りまとめさせて頂き、企業会計審議会の総会に報告し、お諮りしてはどうかと考えております。それまでには、本日出されましたご意見を参考に、修文等も含めまして若干の手直しをいたします。その際には、部会長である私に修文の文言につきましてはお任せ頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○安藤部会長

ありがとうございました。

なお、本日の意見等を踏まえた修正後の中間報告につきましては、委員の皆様にお送りさせて頂きますので、よろしくお願いいたします。

それから、本日ご承認頂きました中間報告の内容につきましては、この後に記者会見を行いまして公表することを予定しております。

また、我が国における国際会計基準の取扱いにつきましては、今後とも当部会においてご審議をお願いすることが考えられますので、引き続きよろしくお願いいたします。

委員の皆様には、審議にご協力頂きありがとうございました。これにて閉会いたします。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企業開示課
(内線3672、3656)

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