金融審議会金融分科会第一部会(第56回)議事録

1.日時:

平成20年11月25日(火曜日)14時31分~15時32分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○池尾部会長

それでは、定刻を過ぎましたので、まだ出席予定でお見えでない委員の方もおられますが、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第56回会合を開催いたします。

皆様には、本日はご多用中のところをご参集頂きまして、誠にありがとうございます。

それで、いつものことですが、本日の議事は公開の形で行わせて頂いておりますことをご報告申し上げておきます。

それでは、早速、本日の議事に入らせて頂きたいと思います。

本日は、前回に引き続きまして、格付会社に係る規制の枠組みについてご審議頂きたいというふうに考えております。前回は、格付機関に対する規制のあり方を考える上での背景とか問題意識、基本的な考え方についてご審議を頂きましたが、今回は前回の議論を踏まえまして、よりちょっと先に進ませて頂いて、具体的な規制の枠組みについての議論をお願いしたいというふうに思っております。

それで、まずはその点について事務局よりご説明頂きます。

それでは、よろしくお願いします。

○三井企業開示課長

それでは、お手元に資料1から3、資料1と資料2が横長で、資料3というのはA3の大きなもの1枚でございます。主に資料の1を用いながら、資料2と資料3は参照しながらということで説明したいと思いますので、適宜横に並べてご覧頂ければと思います。

それではまず、資料1、論点メモ(3)とあるものからご説明させて頂きます。

最初のページですけれども、これは先週の議論をベースとしておりまして、若干先週と重複になります。格付会社に対して規制をする場合のその考え方なり趣旨でございます。格付会社は、ここにありますように、資本市場における情報インフラとしての重要な役割を担っております。それは投資家が投資判断を行う際の信用リスクを評価するに当たって、その補完なり参考材料としてあるいは参考情報として使えるということになるということで、格付会社の提供する一連の情報が資本市場のもろもろの機能の発揮のためあるいは投資家保護のために、きちんとしたものである、あるいはきちんとしたプロセスを経たものである、こういうことの確保がこの規制の趣旨ということになろうかと思います。

それから、2番目の対象範囲でございますけれども、信用リスクに関する意見のうち、符号を用いているということがメルクマールの一つにはなるわけですが、それだけでは若干過度に広過ぎるということで、今申し上げましたような格付会社規制の趣旨に照らしますと、金融・資本市場の情報インフラと言える程度に重要な影響なり大きな役割を果たしているものについて規制対象とするという基本的な考え方をとってはどうかということでございます。

以上を前提としまして、2ページ目でございますけれども、規制の枠組みでございます。これも先週の延長線上でございますが、格付会社の独立性とそれから利益相反の回避、それから格付プロセスの品質と公正性の確保、それから市場参加者に対する格付のあるいは格付プロセスの透明性の確保が考えられると思います。既にこの問題意識は、IOSCO(証券監督者国際機構)という国際的な場において、基本行動規範というものの改定をしております─先週ご紹介させて頂いたものでございますが─その中である程度合意が得られているような枠組みがございまして、趣旨としてはこのようなものが書かれておりますし、これから申し上げる具体的な規制の枠組みについても、1つはこのIOSCOの基本行動規範というものがたたき台になろうかと思います。ここでは、3ページ目の頭にありますように、個々の具体的な格付の内容、結果については直接の規制の対象としておりません。我が国で規制導入をする場合にも同じような考え方に立ってはいかがかという提案でございます。

3ページからが具体的な内容でございます。下のほう、まず最初の部分、ここから3ページ程度のところは、IOSCOの基本行動規範をベースにしております。IOSCOの基本行動規範は資料3のA3の大きな1枚紙に、ここにありますような骨格とそれぞれの58のコード・オブ・コンダクトについての具体的な記述を一覧の形で整理してございます。これを左右にちょっと見比べながらというふうに思っておるわけでございます。

幾つかの柱に整理できるかと思いまして、IOSCOのコード・オブ・コンダクトあるいは各国の法律でもそうかと思いますが、まず大きな柱として、誠実義務、情報開示、体制整備、禁止行為という4つのカテゴリーに分けられるのではないか。

1つ目は、一種の基本原理でございまして、アンダーライン部分ですけれども、信用格付業者は独立した立場において公正かつ誠実に業務を遂行することを一般原則として示してはどうかということでございます。IOSCOのコード・オブ・コンダクトの冒頭、前文のところにこのようなことが書かれております。格付会社については格付プロセスの公正性というものが大事であるということが言われていまして、そのために、資料3でいいますと右のような各種の規制案、この一種のコード・オブ・コンダクトを定め、これによって格付の品質を一定程度に確保し、投資家にとっての格付情報の有用性の確保に資するようにするとの考え方です。ただし、重要なことは、格付プロセスなり格付を付与することの独立性、格付対象会社をはじめとする各方面からのプレッシャーからの独立性が大事であるということで、この独立性というものに非常に重きを置くというふうに言われております。ただし、その格付の品質や投資家にとっての有用性を確保するため、あるいはそれに資するための種々の具体的な行動規範について、独立性と矛盾するような、あるいは適時に格付意見を付与する能力を妨げるような解釈をしてはならないというくだりがこのIOSCOの行動規範の前文にございまして、全体の構造をこのように考えますと、1つはこういう形で独立ということを前面に立てつつ、公正かつ誠実に業務を遂行する格付プロセスの公正性、利益相反の回避、格付の開示といったIOSCOの行動規範で言われているようないくつかの柱があろうかと思います。また、このようなことがIOSCOの各個別の行動規範をくくる柱として出てまいります。

4ページ目の情報開示、これがまたIOSCOのコード・オブ・コンダクトでは非常に重要な柱となってございます。IOSCOのコード・オブ・コンダクトにおきましては、当然一種の行動規範であることによる一種の限界といいますか、事柄の性質上、国際的な規制当局を念頭に置かずに、まずは格付会社がみずから守るべき行動準則を定めたということになりますので、その意味ではコンプライ・オア・エクスプレイン、この原則どおりにやるか、ここから外れる場合にはその説明をすべきであるという考え方に立っております。

さはさりながら、それと並んで、そういうことを実際にマーケットプレイスに実態を開示することによって、市場のガバナンスあるいはそれを通じたみずからの自立的なガバナンスを確保するということが言われているようでございまして、その意味で情報開示というのが大きなウエートを占めております。実際、これを国の規制に引き移してきた場合におきましても、情報開示というものは、前回の議論にありますように、投資家にとっての投資判断の補完をする情報としての格付情報の意義やその限界というものを正しく理解して頂くという観点から大きな柱になろうかと思います。

ここでは、格付の付与、提供についての方針、方法、格付方針などを格付のたびごとにタイムリーに公表して頂くということが第1点。それから、2番目としまして、それ以外にも、例えば報酬の取り決めであるとか、格付の実績の比較可能な情報などについては、一定期間ごとにいわば格付レポートのような形で説明書類を作成して公衆縦覧に供する。こういった二本立ての情報開示の仕組みがあろうかと思います。

次の5ページでございます。

体制整備、これもIOSCOのコード・オブ・コンダクト、資料3、一つ一つの説明は割愛させて頂きますが、一つ一つお読み頂きますと、基本的には、例えば独立性であるとか格付のプロセスや品質を維持するための種々のいろんな取り決めを格付会社がみずから策定して、それを守るための具体的なプリンシプルがたくさん列挙されております。したがいまして、体制整備というのが重要な位置づけとしてIOSCOの基本行動規範では書かれておりまして、主な柱を申し上げますと、独立性の確保と利益相反の防止、それから格付プロセスの品質管理・公正性の確保、それからコンプライアンス、情報管理─これは格付対象者・発行者などから提供された情報の秘匿性でございます─それから格付方針などについて体制整備を求めております。いろいろな視点でプリンシプルが書かれておりまして、それをみずから具体的な体制に落とし込んで作成し、それを公表したり当局に届け出たりしまして、それをみずから守っていき、遵守状況をまたレポートする。こういったものを体制整備というふうに考えますと、そこがまた1つの柱になりますし、かなりの部分、これを情報開示と並んでルールの中心部分になろうかと思います。

(4)の下半分でございますが、その上で、なお個別具体的な行為についての禁止行為というものを定める余地があろうかと思います。SECの現行レギュレーション及びその改正案、ECの規則案におきましても、一定の禁止行為を定めております。禁止行為につきましては、実際の行為規制になりますので、構成要件をある程度明確に書く必要があるということと、その行為自体が違法性なり公益侵害性があるものであるということが必要でございまして、これはこれで非常に重いペナルティーもかかってくる可能性があるということから、それなりの行為類型を考える必要があるということでございます。ここでは一つの例として、格付対象会社と密接な経済的あるいはその他の利害関係を持っている場合の格付の付与、例えば格付対象先の発行する証券を持っていて、それに対して格付をかけるとか、あるいは逆にそういう状況でインサイダートレーディング、あるいはそうでないとしてもその対象者の発行する証券を売買するといったことなどは、禁止行為とすべきものであるカテゴリーに入れるということが考えられます。

次、6ページにまいりまして、ここまでに申し上げましたのは、IOSCOのコード・オブ・コンダクト、いわば国際的に合意がある部分のこれを国内法制化する場合の考え方なり具体的な姿ということになろうかと思います。これに加えまして、国際的に規制強化なり規制導入の動きがございまして、具体的には米国は規制強化、EUでは新たに規制が導入される提案がされております。この今提案されておる米国と欧州の規則案の中には、IOSCOのコード・オブ・コンダクトよりもより厳しいといいますか、そこには掲げられていない規制を提案しておられます。そういうことで、その点についてはやや現在コントラバーシャルな議論になっている部分がありますので、若干詳しくここでは紹介させていただき、ご議論頂きたいと存ずる次第です。

6ページ、まず米国でございまして、情報開示でございますけれども、発行体などから格付会社に対してさまざまなデータを提供いたしまして、それを利用して格付を付与するということが、とりわけ証券化商品あるいは依頼格付─伝統的な社債の格付につきましても依頼格付で行われているわけですが、その発行体などから提供された情報について、すべての情報が公表されないと格付を付与してはいけないというルールでございまして、またその格付のモデルであるとかデータ等についても詳細に公表を義務づけると、こういう提案がされております。この考え方は、格付の限界なり意義なりを投資家が理解して頂くということを強化する観点で、当方から推測しますと、格付会社なり発行体から提供された、これらの新たに開示が強化された情報を使えば、第三者や投資家がみずから格付プロセスなり方法、結果などの検証ができるような、そういった詳細なものが必要ではないかという考え方かと思われます。それから、利益相反の防止では、総収入の10%以上を占める者からの依頼による格付、これはIOSCOの行動規範では開示でしたが、ここでは禁止という案でございます。それ以外にも、不公正、威圧的、不正な行為の禁止がございます。

欧州の提案では、ガバナンスについては具体的な提案がされています。これはSECとはまた違った道を考えているようでございまして、独立性とか格付の品質の向上・維持のために具体的なスキームなりガバナンス体制を法令上求めるというところでございまして、監視機関の設置義務、その中身について、3人以上の独立の外部委員であるとか専門的な知識を要件とする。そして、従業員については、格付付与後、格付付与先に再就職して経営幹部に就任することの禁止であるとか、具体的なローテーション─4年間、2年のインターバル─といったルールが提案されています。また、格付については非選択的な適時開示義務をかけているということでございます。

それから、8ページでございまして、米国、欧州の双方から、IOSCOの行動規範には規定されていないものが規制を導入すると提案されているものとして、証券化商品、ストラクチャード・ファイナンスのようなケースですけれども、格付対象者に対してこういうストラクチャーにするとこういう格付がつきますよといったリコメンデーションを行う、あるいはそれに関するコミュニケーションを行うことを禁止するという提案がありまして、IOSCOのそれに関する体制整備を行うと比して、より具体的な行為規制とする案になっているということになります。

以上の点、後半のところはまだコントラバーシャルな点であろうかと思いますし、前半ではある程度国際的に合意がある部分ではないかと思いますが、いずれにしましても、これを日本で法制化していく場合、参考でございますが、基本的にはこれらは法律事項になりまして、法律に規定する必要がございます。ただ、専門的な細目であるとか状況変化に応じて機動的な対応が求められる事項について、政府令への委任が認められる場合が現在でもございます。したがいまして、このような、あくまでかなり具体的であるとはいえ法律で規定しなければならない事項、一定程度の範囲内で政府令に委任されているという枠組みの中で現在の欧米において議論が行われている規制案などにおいても、今後、法制化のプロセスで、あるいは法制化後であってもこの政府令委任の範囲内で対応できる場合があり得るということの注意書きでございます。

9ページでございます。以上のようなのがサブスタンシャルな規制体系の案でございますが、9ページ以下はそれをバックアップするための公的な関与の仕組みでございます。ここでは登録の枠組みと申しておりまして、登録制度、前回申し上げましたように、アメリカ、EUでは登録できる制度でございますが、その方向性での提案をしております。

ここの登録の意味でございますけれども、登録をしなければ格付そのものができないという参入制限的な規制というのが1つ考えられるわけでございますけれども、現在の国際的な議論であります格付への過度な投資家の依存を見直すということから、例えば格付を公的に利用する場合には格付会社は登録しなければならないといった形で参入制限を公的利用と結びつけることは、必ずしも適当ではないのではないかという問題意識でございます。そうしますと、米国もそうですけれども、登録を受けることができるという制度が考えられます。その場合に、登録できるというだけですと、しなくてもいいわけでございますので、いかにこの登録制度と先ほどのサブスタンシャルな規制を結びつけて、実効性をあらしめるような仕組みにするかという工夫が必要になろうかと思います。

以上についての1つの提案が10ページ以下でございまして、この格付会社規制の本来の考え方にさかのぼりますと、投資判断のための信用リスクに関する補完情報を適切に投資家に伝え、投資家に理解頂くというところにあろうかと思います。そうしますと、具体的ないろんな格付プロセス、体制あるいはディスクロージャーについて規制をするということは、それをクリアした格付会社というのが登録業者ということになりまして、その規制から自由に活動している意見表明が非登録業者ということになります。いずれの業者においても投資家にこの格付の意義や手法、その限界が正しく伝わるようにする必要があるということでありまして、例えば登録業者についてはその法にコンプライしているプロセスを経た格付である。登録をしてない業者については、そういうものから離れて自由に格付している。ある意味ではいろんなものがあり得るということを投資家に正しく届けるということであります。このように補足することによって、格付の意義や限界を正しく理解頂けるという可能性が高まるのではないかということであります。

そういう発想から、ここにありますように、登録業者と非登録業者で格付を付与された金融商品を仲介する業者に、顧客に対する説明のプロセスで登録業者と非登録業者とで違うということを説明をするということが考えられるのではないかと思います。10ページから11ページにはそれを記載してございまして、10ページの真ん中ですと、登録していない業者の付与する格付を付された金融商品をお客さんに売り買いを勧める場合には、格付手法とかその前提、これらによる格付の限界について具体的に説明する、あるいは規制の定める格付プロセス、ディスクロージャー、体制整備の枠組みにのっとっていないということを説明しなければならないし、そうでなければ勧誘などができない、というふうな規制体系があり得るのではないかと考えます。

11ページの「なお」のところでございますが、その際、ちょっと切り口違いますけれども、参考情報として投資家に提供されているさまざまな信用リスクに関する情報がございまして、ここに括弧にありますようなものは、そもそも規制の対象の適用除外にするということも考えられます。

登録要件につきましては、ここから先が公的な関与、チェックの仕組みでありまして、登録の時点でさまざまな実質的な、先ほど申しましたサブスタンシャルなルールの達成度合いなりその遵守条項をチェックするということであります。

それから、次の12ページでございますが、その際2点論点がございまして、アメリカでは市場における認知度というのを登録の要件としていますが、これについては競争制限的な効果があり得るので、日本の場合は導入しないという考え方があり得るのではないかと思われますがいかがでしょうかという論点、それから2番目は、ECにおきましてはEU域内に子会社という法人格の設立義務を設けております。日本においても監督の実効性という観点からはこういう国内拠点の設置義務を義務づけるということがあり得ます。他方、外国との情報交換を図ることによって相互主義や国際協調の観点からこれを免除すると、こういう枠組みを設けておくということが考えられるのではないかと思われます。

それから、その下の半分ですが、現在告示で指定格付機関を定めておりますが、これは新たな信用格付業者の登録制度を導入しますと不要となりますので、廃止して、この指定格付機関を利用している諸制度はすべて新たな登録制度に吸収していくということが考えられると思います。

13ページの1つ目の●も同様です。

他方、13ページの2つ目の●、バーゼル II の銀行の自己資本比率規制におきましては、指定格付機関とは別に適格格付機関というのを銀行法等の預金取扱金融機関の規制法の中で用いております。これは若干違った趣旨の規制でございますので、直ちにこの新たな格付会社制度、マーケットプレイスにおける格付の規制の制度に吸収合併するというわけにはいかないんですが、適格格付機関制度そのものは維持した上で、登録を受けた信用格付業者であることをこの適格格付要件の選定要件とするなどによって、両制度の整合性を図ることが考えられるかと思います。

13ページ以下は、検査、監督等の仕組みでございます。

1点、15ページをご覧頂きたいと思いますが、例えば業務改善命令などが出た場合です。登録できる制度の下では、業務停止命令を出しても登録しなくても格付は付与できるわけですから、日本国内での格付付与行為そのものを禁止してしまうということには必ずしもならないわけでございます。しかしながら、マーケットプレイスで格付が投資判断の補完として重要な情報インフラを示しているとすると、その事実、行政処分の事実というのが投資家に適切に伝わっていって、投資判断をゆがませないようにするための措置が必要なのではないか。具体的には、公表であるとか、あるいは業者が格付を付与された金融商品の取り次ぎや売買などにおいて、そういった処分情報が投資家に適切に届けられるということが必要になるのではないかということが考えられます。

6番の外国当局との執行協力でございます。現在、IOSCOの多国間の情報交換の枠組みがございます。資料2の最後の11ページに現行の多国間情報交換の枠組み、マルチMOUの資料を添付してございます。このために、証券当局は金融庁も含めましてマルチMOUに加盟しておりまして、アメリカの格付会社の規制当局であるSECもこの参加者であります。したがいまして、この枠組みに乗せるということが格付規制の国際的な協調に資するあるいは実際に使える制度にするための一つの重要な方策かと思います。また、金融商品取引法には、資料1の15ページの右下にありますように、189条でこのマルチMOUに対応するための法的な権限なども付与されてございます。したがいまして、こういう外国当局の執行協力の枠組みに乗せるようなことが必要ではないかという提案でございます。

以上でございます。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

それでは、議論をしたいと思うんですが、私の理解としては、格付機関に対する規制は資本市場の機能の発揮や投資家保護を目的とするものだから、金融商品取引法に位置づけて実施し、登録制度を導入するということであろうかと思います。ただ、必ず登録しなければ格付をしてはいけないということではなくて、登録しなくてもいいんだけれども、登録しない場合は勧誘等において自由にその格付は使えなくするということですね。それで、登録した格付会社に関しては、資料3の左側ですけれども、一般原則として誠実義務を課し、情報開示とか体制整備をやってもらうようにすると。それで、一定の行為については禁止をするというふうな枠組みを課すというふうなことが提案されているわけですが。もちろん、だから体制整備の中身とか、どこまで細かく定めるのかとかいうのはまだちょっとオープンなところはありますが。というような話を提案させて頂いている形になっているかと思いますが、ご自由にご意見等がございましたらお出し頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

ご説明にあったように、前半のほうは、IOSCOの基本行動規範を国の規制に落とし込んだ場合ということで、これはほぼコンセンサスができているような話ではないかということです。ただ、6ページからややIOSCOの基本行動規範を超えたような提案が米国とか欧州で行われているんですけれども、我が国はどうしたらいいかなというのはちょっと論点としてあるということですね。

ということで、8ページ目ぐらいまでの、特に6ページから8ページあたりとかについてご意見がございませんでしょうか。

では、藤原委員。

○藤原委員

IOSCOの件ですが、金融市場とかマクロ経済が平常時のときはIOSCOの基本行動規範を尊重することでいいと思います。しかし、私もロンドンの金融街シティで仕事をしていたので分かりますが、IOSCOはどちらかというとアングロサクソンの考え方、つまりできるだけ政府の介入を避け、市場関係者による自主規制でルールを作ってきています。今は100年に1回の金融危機が起こっているのですから、IOSCOの基本行動規範を超えるルールの設定が必要だと思います。

それでは、どういうところで変えていかなければいけないのかと申しますと、格付に関しては、例えば、1年ぐらい前まではムーディーズ等によりトリプルAが付けられた企業の倒産確率は0.03%ぐらいでした。つまり倒産しない比率がトリプルAには99.7%ぐらいあったのです。でもこういうトリプルAも格下げ警告なしに倒産してしまったのです。その結果、債券市場が麻痺し、多くの企業が市場で資金調達ができなくなっています。こうなった原因と今度こういうことが再び起こらないようにするには、格付会社の登録制が必要だと思います。それだけでなく、政府も小さい政府から、格付会社に今よりいい仕事をしてもらうために、強い政府へシフトしていく必要があると思います。今まで多くの投資家は格付に頼って投資判断をしたのですが、そのモデルが崩れてしまったのです。格付が信用できなくなったばかりか、証券化市場でトリプルA格のぺーパーが大量生産された結果、債券のトリプルAが強いトリプルA、証券化商品のトリプルAペーパーは弱いトリプルAといった具合に、トリプルA格が2面性を持つことになり、これも債券市場の機能停止原因の1つとなっています。こういう場合、誰かに信用補強をしてもらわなければ市場は回復していきません。その信用を補強する役割が誰かというとそれは政府のような気がします。私は政府による規制が少ないほうがいという意見の持ち主ですが、事ここに至っては、もう資本主義の危機といっていいぐらい市場の危機は深刻なので、私は格付会社に対する規制の導入を提案します。

次に規制の内容について話しますと、海外の格付機関には日本で現地法人をつくってもらい登録をしてもらう。例えば、トリプルAが倒産した場合は当局に「政治的、経済的なプレッシャーからの独立性を重んじている格付会社がなぜそんなに大きく判断を間違ってしまったか」について調べてもらう。世界的にトップ2社といわれる格付会社はベールに包まれていて、どういうプロセスに基づいて発行体や企業の債券に対して格付を付けていっているのかがよく分かりません。また企業からの不満としてよく聞く話ですが、格付を付けてもらう場合の値段が個々の企業によって違うので、彼らはこの点に関しても透明性を格付会社に求めています。それゆえ、政府は発行会社に対しもっと情報開示を求めていいといます。また、ECなどでも提案されているように、格付会社に社外取締役を置くことを義務付けてもいいと思います。

以上です。

○池尾部会長

最後にご指摘になった点は、4ページのところの定期的な情報開示というところで、例えば格付対象会社との報酬の取り決めに関する一般的な性質や格付実績に関する比較可能な情報などについても定期的な開示が必要だということで、趣旨としては含まれているんじゃないかというふうに思います。

ほかご意見いかがでしょうか。もう大体こんなところでいいと。

はい、どうぞ、斎藤委員。

○斎藤委員

さっき部会長が体制整備の具体的な中身はこれからいろいろとおっしゃっていて、それはそれでいいわけですし、基本は品質と公正性なのでしょうが、書かれている文章を見る限り、公正性ということについてはそれなりに書かれているのですけれども、品質についての言及が、僕の読み方のせいかもしれませんけれども、ちょっと希薄な気がしないでもないんですね。資本市場が健全に機能するためにはやはり情報仲介業者の品質というのは決定的に重要で、そこに対する信頼が弱いと、おそらく投資対象である会社に対して、おまえのところの本当の価値は幾らかとか、本当のリスクはどのくらいかということをおまえたちが自分で開示しろみたいな、そういう会計制度を設計せよといった、ちょっと困った議論になってしまいます。その意味では、こういう格付会社を含めた情報仲介業者のクオリティーを高めるという観点がもっと強く出てもいいんじゃないかという気がするんですね。A3の資料にあるIOSCOの基本行動規範ですと、右上に格付プロセスの品質というカテゴリーがあって、特に後半の1の7あたりに高品質な信用格付を行うための十分な資源の確保というのが書かれています。こういう観点は多分組み込まれているんでしょうけれども、もう少しはっきりするといいのかなという印象は残ります。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。ご指摘のとおりだと思います。ただ、間接的に品質を高めるように促すようなことはいろいろ考えられると思うんですが、直接的なものは非常に難しいですよね。格付会社のアナリストの何か検定試験をやるわけにもいかないでしょうから。そのあたりは十分なリソースを割けとか、それから成果を、さっきもありましたけれども、定期的に情報開示して、事後的にクオリティーがどうであったかということを市場の評価にさらすとか、だからそういう形で品質の向上を促すという、そういうことにならざるを得ないんでしょうけれども、その促すというふうなところをもうちょっと強くといいますか、明確になるような形でというご指摘だと思います。

○三井企業開示課長

すみません。資料のつくりがちょっとそういう意味では不十分だったのかもしれません。

実は、IOSCOの行動規範にあることは基本的に、新たな法規制の枠組みが承認されれば、その中に法律レベルまたは政府令レベルで盛り込んでいきたいと思っております。格付プロセスの品質と公正性そのものでいいますと資料3の右上のブロックになりまして、例えばまず格付のメソドロジー、手法を格付会社としてつくらなければいけません。個々のアナリストが独自に格付をするのではだめで、格付会社として定められたプロセスにのっとって格付をしてくださいということであります。プロセスはできるだけ厳格かつ体系的であり、それから歴史的な、客観的な検証の対象となる必要があります。そして、アナリストはそのプロセスに首尾一貫してのっとって格付をする必要があります。そして、それを裏づける種々のデータや手法、モデルについては保存して、必要な範囲で開示するということが書かれております。それから、実際に十分な資源なり人的なあるいはその他の資源を投入するべきであるということであります。そして、新たな商品とか複雑な商品あるいは過去の手法が通用しない場合には、それを格付を付与するという依頼を受けるかどうかについてはレビューする組織を設けてレビューするべきであるとか、そのレビューする人には上級管理職からなるべきである。みずから使用する格付のモデルであるとか手法、方法についてはレビューする、そういう組織、機能を設けるべきであるということが書かれています。その意味では、やるべきプリンシプルについては詳細に掲げられていますので、それらを我が国の公的規制においても掲げたいというのが一つの提案でございまして、その意味ではこのレジュメに本来この一つ一つを掲げればよりわかりやすかったのかもしれません。大変恐縮でございます。

実は、アメリカの規則強化案もそれからECの新たな規制案でも、格付の品質の確保の部分のように、IOSCOのコード・オブ・コンダクトと大きく離れていないところがあります。片や、独立性のように、独立のボードをつくるとか、あるいは格付にあたり発行体等から提供されたデータ等の徹底的な開示をさせるといったものがSECの案にあるなど、IOSCOの行動規範とは乖離している部分もあるんですが、品質の確保に関しては、多分これ以上に新たな規制というのはさほどないのかもしれません。そういう意味では、もし資料3をご覧頂きまして、IOSCOではこういうルールになっているけれども、これはいかがかとか、更に付け加えるべきものがあるというお話があれば、それも検討したいと思います。

○池尾部会長

島崎委員。

○島崎委員

国際的な流れとの整合性をとるという意味においても、格付会社に対して一定の規制を導入するということには賛成です。先ほどもお話がありましたが、投資家の投資判断や取引上の信用供与に際して、格付に過度に、あるいは、相当依存しているということは、紛れもない事実だと思います。その観点から、現在の資本市場のインフラである格付については、きちっと整備して頂く必要があると思います。最近起こっている高格付の会社が倒産したり債券が支払い不能になるという事態は、100年に1回の激変だけが原因ではないのではないかということを非常に心配しています。すなわち、格付機関そのものに問題があったのではないかと言わざるを得ないと思うわけです。こういった観点から、格付機関には一定の規制が必要になるのではと思います。

先ほど、格付機関の公正性や独立性のお話がありましたが、私も格付機関と格付付与会社の利益相反の防止はひとつの論点だと思います。ただ、4ページの情報開示のところで触れられているような、格付機関と付与会社の契約内容や具体的な報酬の取り決めにまで踏み込んだ開示を求めるのかどうか。先ほど、IOSCOのお話がありましたけれども、IOSCOがどういうようなガイドラインを出しているのかわかりませんが、そこまで踏み込んだ開示を求めるべきではないという気はいたしますけれども、その辺についての見解を伺いたいと思います。

○池尾部会長

ちょっと関連してですけれども、きょうご欠席の可能性があるということで、前もって田中浩委員から意見書を提出して頂いておりまして、それも席上配付されていると思いますが、その中でも3番目に今ご指摘のあったような報酬の開示ということが提案されているんですね。それで、4ページのところにありますように、報酬の取り決めに関する一般的な性質の開示をIOSCOのガイドラインでは求めているわけですけれども、それ以上どこまで踏み込むかというのは確かにイシューとしてあると思いますので、三井さん、何かありますか。

○三井企業開示課長

すみません。IOSCOの行動規範の前文は、前回お配りしたんですけれども、今回お配りしてなくて申しわけないんですが、そこでは報酬のところに関して、報酬計画の一般的な性質を開示すべきであると、こういうくだりがあります。その中で、コンサルティング業務と格付業務の報酬を分けて、コンサルティング業務の割合を開示すべきである、あるいは特定のお客さんから10%以上の収入がある場合にはそれを開示すべきであるというというルールがございます。しかし、個々の例えば現状、田中委員の紙にありますように、監査報酬を有価証券報告書において個別具体的に開示しているといった次元のルールはIOSCOのルールには入ってはいないということでございます。また、現状、そういうことが、具体的な個別の商品についての報酬が開示されているという実務にもなっていないというふうに承知しております。

○藤原委員

8ページにある禁止行為について、私の意見を述べたいと思います。格付会社は本来の格付だけをするという組織に戻ったほうがいいと思います。現在、コンサルティング業務の比率が全体の利益の何割なのか、ちょっとそれはわかりませんが、コンサルティング業務を格付対象企業のためにすることは利益相反になり、禁止すべきです。日本も欧州や米国案の推奨も入れて、この際、格付会社によるコンサルティング業務を全面的に禁止することを提案したいと思います。

それから、例えばよくコーポレート・ガバナンスの点から、株主は企業のCEOなどに関して報酬の開示を提案しますが、格付会社の幹部に関しても前向きに検討してもいいのではないでしょうか。

以上です。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

8ページまででなくて、後半の登録、検査、監督の枠組みとかの部分も含めてさらにご意見頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

黒沼委員。

○黒沼委員

体制整備や禁止行為について米国の規制案やEUの規制案に照らして追加的に上積みの規制を置くこともあり得るという点は、現時点では、そういう幅を持たせるしかないと感じています。

それに対して、10ページの登録を受けることの効果の点なのですが、金融商品取引業者等が助言をするときに未登録者の格付を利用する場合には具体的な説明が必要だということであろうと思います。これは欧州委員会の規則案よりも緩和されているように思うのです。この点は、一方で、自主的に未登録者の格付は利用できないように運用を行うことも可能かと思いますが、他方で、勧誘に利用するには登録業者の格付でなければならないという規制も考えられるところだと思います。この点、提案者としてはどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

○三井企業開示課長

ここでは、格付情報、格付会社の提供する情報が投資判断の補完として適切に機能するかどうかというところでミニマムの案を提示しています。その意味で、ここで申し上げましたように、10ページの右にあるように、EC案ではそもそも取引の注文の実行はできないというふうになっているところが、EC案と私どものこの提案では違うところです。格付の意義とか限界を投資家に正しく知ってもらって、格付というもののウエートといいますか重さというのを下げていくという、前回の議論の中にあったような考え方でいうと、下げていくために、この格付というものはこういう限界があるんですよというのを、もし格付を付与された金融商品をお客さんに勧めたりあるいは取引を行うという場合には、そのお客さんにそれを知ってもらうということであります。ある意味、格付が絶対なのではなくて、格付にはこういう統計的な手法に由来する限界があるとか、そういったことを知ってもらうということであります。こういう下げる方向での規制というのが一つの案でございます。

逆に、このEC案をとった場合には、より強力なエンフォースメント効果があるというメリットがあろうかと思います。その一方で、格付というものの重みが増すという可能性があることをどう考えるかというところが悩んでいるところでございまして、そこら辺も含めましてご議論を頂ければありがたいと思います。

○黒沼委員

格付会社の規制のあり方としては、三井課長が言われたのも妥当なあり方かと思います。ただ、金融商品取引業者の側から見ますと、一般に金融商品取引業者が推奨するには、専門家なのでそれなりの根拠が必要でありまして、根拠のない、あるいは根拠の乏しい資料をもとに勧誘をすれば、規制の対象になってしかるべきだとも思われるのです。私自身、明確な答えを持っているわけではありませんけれども、金融商品取引業者の規制のあり方としては登録格付機関の格付の利用しか許さないというのも一つの方策ではないかと思います。

○池尾部会長

おっしゃるとおりだと思いますけれども、未登録業者のイメージですよね。登録しないで格付業務をやろうというふうな会社というのは、どういう会社なのかということですか。

○黒沼委員

そこはなかなかイメージがわかないところなんですが、例えば体制整備をかなり厳しくして、独立の委員会を設けろとか、そういう要求をすれば、いやいや、うちはそんなことをしなくてもしっかりやっていけるし、それなりの評判を得ているんだと考えるところは登録しないでしょうし、そういう格付会社の格付を一般投資家が欲しているという面もあろうかと思うのです。今ある格付会社のうちどのぐらいが登録するかという予測がつかない状況で制度をつくるのは、非常に難しいことじゃないでしょうか。

○池尾部会長

いや、私は何かヒアリングに来た5社は全部登録するのかなと思っちゃうんだけれども、そういう予断を持ってはいけないわけですね。

はい、どうぞ。

○藤原委員

多分、登録するに当たって条件をつけなければいけないと思います。例えば、日本の企業並びに日本企業の子会社が格付を得る場合は、登録された格付会社だけを使うことを義務付けるのはどうでしょうか。その場合でも、仮に米系のトップ2の格付会社が登録しないと開き直った場合はどうなるのでしょうかね。格付業界においては、米国のトップ2のほうが、ブランド価値とか信頼度の点で、日本の格付会社より明らかに上です。それゆえ、彼らが登録しないと決めても、日本の個人投資家のような発行体の信用情報を集めるのにお金と時間の点で限界のある人たちは、こういう格付会社が出している格付を使わざるをえません。だから、日本で発行される債券などの場合は、発行体は日本政府に登録している格付会社を使わなければならないといった条件をつける必要性がでてくると思います。

○池尾部会長

金融商品取引業者等を経由しないでも、とにかく直接格付を見る場合があるからということですね。

ほかはご意見いかがでしょう。淵田委員。

○淵田委員

ちょっと今の点も含めて感想を申し上げますと、もともと格付の問題は、1つは利益相反、利益相反の一番コアにあるのは発行体、格付対象からお金をもらうというところですね。そこからまず問題が発生したということであります。2番目は、規制や制度において格付が使われることによって、格付がある種の公的お墨つきのようになって、それを背景に多くの人が格付に依存するようになったということであります。3番目が、近年出てきたのがストラクチャード・ファイナンスにおける格付の問題ということであります。この3つの問題が全て重なったところが今回の一番問題となったわけで、問題の重なり度合いといいますか、問題となる要素があるかどうかで規制のめり張りというのをつけていく必要があると思います。

最初は事務局の案を見たときに、欧米に比べてといいますか、IOSCOあるいは金融サミットで繰り返し強調されてきたストラクチャード・ファイナンスを別扱いするというところが明確ではなかったので、これはどうするのかなと思っておりましたが、IOSCOの行動規範を実際には取り入れていくというところで、そこは当然日本としても対応していくと理解します。

それから、金融業者に対して非登録のところを使う場合はいろいろ説明させるというところですが、格付の依存が公的お墨つきによって拡大したということを考えると、アメリカがやっているように、規制をかけるのは公的な規制で使っているところとしつつ、かつ規制や制度における格付依存を減らしていくという、この組み合わせが一番わかりやすいのですが、しかし、そうすると規制や制度における依存がなくなったときにこの登録制度とは何なのかということになってしまいますので、その意味ではここで提示されたアイデアというのは一つの工夫だと思います。かつ、欧州案のようなやり方では、ご指摘のとおり新たなお墨つきを与えることにもなりかねませんので、ある種バランスをとったということで一つの興味深いアイデアだと思います。

私が思いますのは、やはり格付一つとっても今後もさまざまなイノベーションとか出てくるでしょうし、いろいろな業者が出てきてしかるべきだと思いますし、そういうところが最初からがっちりした登録会社というステータスを得ないとなかなか活動できないというふうになりますと、そういうイノベーティブな業者が出てこなくなるので、できるだけ非登録というのがディスアドバンテージにならないようにというふうになればいいと思います。その意味では、そもそも金融商品取引業者というのは説明義務が課されているなど、さまざまな情報を投資家に提供して推奨する場合にはいろいろな義務が既にもう課されているわけですから、あまりどういう情報を非登録業者に関して投資家に提供しなくちゃいけないかを細かく決める必要はないのかなと思います。ある程度、それこそプリンシプルベースで、当然のことながら投資家に勧誘する場合は必要な情報を提供する枠組みになっておりますから、そこを余り細かく具体的に書きこむと、それが一つのハードルになりかねないという感じがしますし、あと投資家という場合は、プロの投資家を相手に推奨するような場合というのは、ここも金融商品取引業者に対して情報を開示しろというふうにあれこれ細かくやる必要もないのかなと思います。

それから、3番目に、冒頭申した3つの格付の問題の一つである発行体が手数料を払うというところですが、格付会社すべてがそうではありませんので、例えばそうではない格付会社については、そもそも例えば利益相反の枠組みとか各種の開示義務等あるいはガバナンスの体制とか、その辺はかなり軽くて済むようにするという考え方もあるのではないかなと思います。発行体の非開示情報の扱いに関する規定なども、そもそも公開情報をベースに格付をやっているようなところもありますから、そういうところには不要です。ワンサイズ・フィットオールではなく、格付の問題はそもそも何だったのかということを踏まえて、問題の程度に応じた規制の枠組みになるようにというふうに思っております。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

そろそろ時間なんですが、特にご発言はございますか。

はい、どうぞ。

○小島委員

今の議論のところで、登録の枠組みとして、登録する格付会社と登録しない格付会社の違いをどうつけるかということが重要だと思います。それから6ページから7、8ページにありますが、欧米ではより厳しい規制として禁止行為という項目が入っていますので、この辺りとのバランスも考えていく必要があると思います。あまり厳しい禁止行為を定めたり、規制をすると、登録をしない格付会社が出てくる可能性もあります。ここは最終的には判断だろうと思いますが、バランスをどう取るかが重要な点だと思います。

○池尾部会長

どうもありがとうございました。

大枠として、この論点メモ3の内容に関して大きな異論というのはなかったように思いますので、いろいろ追加的なあるいは補完的なご意見は出して頂いたと思いますので、それを踏まえて修正なり拡充をするということはあると思いますが、この内容自体は基本的には了承してい頂けたというふうな了解で構わないでしょうかね。

そうしますと、その次は、報告書案を議論する中でこの問題についてさらに議論をするという形にもっていかせて頂きたいというか、格付会社という個別テーマだけでまたやるというのは、やらなくても済みそうで、1回節約できて、次はじゃあ報告書案の中でこの点について追加的な議論を、きょうの議論を踏まえた上で報告書案を検討して、その中で議論をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、事務局からご連絡をお願いいたします。

○池田市場課長

ただいまのお話を踏まえまして、次回、この第一部会の開催につきましては、12月11日の木曜日、午後2時から4時までということで開催をさせて頂きたいと思います。事前に委員の皆様方の日程を調整させて頂きました段階では、予備日として12月5日という日程につきましても頂いていたかと思いますが、今のようなことでありますので、12月5日は開催せずに12月11日に報告書の取りまとめに向けたご審議をいただくということでお願いをさせて頂きたいと思います。

それから、本日この後、午後3時45分から第一部会と第二部会の合同部会をこの場で開催させて頂くことになっております。事務局のほうで若干場所の準備をさせて頂く必要がございますので、引き続きまして合同部会に参加頂く委員の方々については、こちら向かいまして右側のほうに控え室を準備させて頂いておりますので、申しわけございませんが、そちらのほうでお待ち頂ければというふうに考えております。

以上でございます。

○池尾部会長

それでは、皆様のご協力のおかげで予備日は使わないで、次回は12月11日ということでよろしくお願いします。

それでは、終わります。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課
(内線3615)

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