金融審議会金融分科会第一部会(第58回)・第二部会(第49回)
合同会合 議事録

1. 日時:

平成20年12月3日(水曜日)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室


○岩原第二部会長

それでは、時間になりますので、ただいまから第58回金融審議会金融分科会第一部会及び第49回金融審議会金融分科会第二部会の合同会合を開催いたします。

皆様、本日はお忙しいところをお集まり頂きまして、誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開とさせて頂いておりますので、その点のご了承をお願い申し上げます。

今回の会合では、金融ADRに関するご議論をさらに深めるとともに、報告書の取りまとめに向けて議論を行って頂きたいと思っております。

本日は、事務局で前回に引き続き、論点整理メモを配付して頂いております。また、これまでの議論を踏まえまして、報告書のタタキ台を作成して頂いております。

そこで、本日はまず、この論点整理メモ及び報告書のタタキ台について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。その後、論点及び報告書のタタキ台についてご議論を頂きたいと思います。

それでは、中沢企画官から説明をお願いいたします。

○中沢企画官

ありがとうございます。

それでは、まず、資料1の金融ADRに関する論点整理メモ・改訂版をお取り頂けますでしょうか。

この改訂版論点整理メモは、前回議論頂きました論点整理メモに、頂きました意見を加えつつ、若干の論点を加えさせて頂いたというものとなってございます。目次を見て頂きますと、前回と同じく項目が並んでございます。このうち前回は、1の評価、それから2の具体像、このうちの(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)あたりまでご議論頂いたかと思います。それに相当する部分、4ページまでになりますが、ご意見とともに記載をさせて頂いております。

5ページのところからでございますが、「金融機関の義務」の箇所に若干論点を一つ加えさせて頂きました。5ページの黒丸で書いてあるところでございます。「結果尊重義務について、金融ADRの実効性確保のため重要である一方、憲法上の権利である裁判を受ける権利についても十分に配慮した上での義務とする必要があるとの考えについてどう考えるか」と、この論点を加えさせて頂きました。

1枚めくって頂きまして、6ページでございます。(チ)法的効果と、これは項目自体を新たに起こさせて頂いたわけでございますが、「ADR促進法等の他のADR手続と同様に、金融ADRにも時効中断、訴訟手続の中止といった効果を付与する必要があるか。また、それに伴い、金融ADRの体制・手続等について一定の要件が必要となることをどう考えるか」。これは他のADR、平成19年に施行されましたADR促進法に基づくADR手続と同等の効果を考える必要があるかどうかといった論点でございます。

それから、同じページでございますが、「制度化の要否」の箇所、黒丸で「(制度化を要すること前提に)金融ADRの制度化につき」という箇所でございますが、若干丁寧に論点を書き込ませて頂きました。「金融ADRの制度化につき、各業態に横断的に一律の枠組み整備を行うのではなく、各業界における金融ADRの整備状況、業態の実情等の諸事情に応じた配慮(金融ADR機関の設立を選択可能とする柔軟な枠組みや制度の導入時期の配慮等)が必要ではないか」。

7ページ目でございますが、論点を2点加えさせて頂きました。「制度化することを前提にした場合」といたしまして、「金融ADRの制度化の当面の目標は、現行の金融商品取引法の認定投資者保護団体制度を踏まえ、その金融ADRとしての機能を充実させるとともに、同様の制度について銀行・保険業等の他の業態にも手当てをする(ただし、業の実態を踏まえ、選択可能な柔軟な枠組みを導入する)とのイメージについてどう考えるか」という論点でございます。この部分は、平成12年から利用者保護のため、金融ADRの実現について議論をしてきたわけでございますが、かなり論点が出尽くしてきたと認識しております。諸所問題がありながらも、また、理想はいろいろあるわけでございますが、少しでも前進させていきたいという、そういう思いがあって、今回議論をして頂いているわけでございまして、それを踏まえてご理解頂ければというふうに考えているところでございます。

あわせまして、最後に「金融トラブル連絡調整協議会の位置付け」といたしまして、「金融ADR機関間の協力・連携等を図り、金融ADR全体の改善・発展につなげるため、金融トラブル連絡調整協議会を引き続き活用することについてどう考えるか」。これまで既に38回の議論を頂き、今回の一連の審議を頂く際の企画のありました座長メモをまとめて頂いた実績と蓄積のあるところでございまして、ここをどういうふうに今後とも活用させて頂けるのかと、これを一つの論点にしたいと考えております。

続きまして、資料2でございます。

これは「タタキ台」と書いてございますが、報告書素案でも、報告書案でも、叩き台でもいいんですけれども、とりあえず片仮名の「タタキ台」というタイトルにさせて頂きました。これを叩きながら報告書のイメージをつかんで頂ければということでまとめました。

まず、このタタキ台は、論点整理メモをもとに肉づけしまして、つくりました。おおむね論点整理メモの論点に従った構成になっているところでございます。

まず、「はじめに」というところでございますが、1ページ目でございます。ここは私ども金融庁として最初に議論、今回の一連の下記の議論を初めに頂いた問題意識を中心に記述をさせて頂いているところでございます。

2番目の「金融分野における裁判外の紛争解決に関するこれまでの取組み」と、まさにタイトルどおりでございまして、平成12年以来のさまざまな議論を総括・要約をいたしまして、これまでに導入した施策、これは2ページ目のところにも幾つか書いてございますが、平成19年4月のADR促進法、同じ平成19年9月に導入されました認定投資者保護団体の制度、こういったこれまでに導入した施策について紹介し、現状に対する評価を簡単にまとめました。

3ページ目以降でございますが、「金融分野における裁判外の紛争解決のあり方」、これがまさに現在議論を頂いているコアになる部分でございます。基本的に論点メモをベースに議論頂いた内容を踏まえて記述したものでございます。ただし、これはこれまでの議論を踏まえたところまではある程度書き込めているわけでございます。しかし、5ページ目のところ、ここは書き切れていないというより、まだ十分議論を頂いておりませんし、まだこれから議論を頂くような箇所、こういったところにつきましては、ブラケットの形で、項目だけを挙げさせて頂いております。すべて先ほどご説明いたしました改訂版の論点メモに相当するところでございますが、5ページ目の上の方にあります「結果尊重義務について…」という箇所は、裁判を受ける権利との関係をどう考えるのかという部分でございます。行政庁の関与、それから金融ADRの法的効果、これはいずれも実効性を確保するために行政庁が、どこまで、あるいはどのようにでしょうか、行政庁は関与すべきかという論点です。金融ADRの法的効果は時効中断効、訴訟中止効、こういった他のADRに含まれる効果をどういうふうに考えるのかと、こういった点でございます。

「まとめ」の部分でございますが、本日も関係団体から報告を頂きます点も踏まえまして、業態の特徴を踏まえた対応をどのように考えるのか。それから、金融トラブル連絡調整協議会、この位置づけをどういうふうに考えていくのか。こういった論点を含めまして報告書としてまとめてはどうかという、事務局の案でございます。あくまでも案でございますので、構成を含め、ご議論を頂ければありがたいと考えております。

資料につきましては以上でございますが、事務局から若干の補足説明をさせて頂きたいと思います。

2点ございまして、1点目が、前回の合同部会の際に、金融ADRのコストに関しまして問題提起がございました。これを受けまして現行の自主的な取組みにおける費用、どの程度の費用がかかっているのかと。関係団体に聞き取りをさせて頂きましたので、結果をご報告いたしたいと思います。

苦情・紛争解決支援全体につきましては、年間、各団体ごとに3億円から8億円程度かかっておりまして、その多くは全国に配置されている100人ないし200人弱の人員にかかる人件費だということでございます。

また、その紛争解決部分だけに着目いたしますと、処理にかかる費用は1件当たり80万円ないし120万円程度、おおむね100万円前後というデータを頂いております。この中にはあっせん委員等の人件費、あるいは事務費、こういったものが含まれているということでございます。

なお、あと参考までに、金融に関係するADRとして運営費を公開している機関がございまして、具体的には交通事故に係る財団法人交通紛争処理センター、ここは和解あっせんと審査和解を合わせて年間6,393件、約6,400件、これで約10億6,000万円の費用がかかっている。それから、財団法人自賠責保険共済紛争処理機構、こちらは669件、約700件で、同じく約5億円かかっていると。これはそれぞれ平成19年度の事業活動支出実績ベースの数字でございます。

それから、もう1点につきましては、お手元に参考配付させて頂きました「金融オンブズマン機構の提言要旨」と題する3枚紙でございますが、お手元にございますでしょうか。これは金融関連の紛争解決に造詣の深い弁護士さんの有志グループがごく最近、金融専門ADR機関のあるべきモデルに関する提言をまとめて発表されたというものでございます。詳細はウェブサイトを開設しておられるので、それを参照して頂くといたしまして、さわりだけをご紹介させていただきます。この内容としましては、あるべき金融専門ADR機関には8つの要素が必要であると。すなわち柔軟性、迅速性、簡易性、専門性及び質の確保、アクセスの容易性、横断性、公正性、秘密性、この8つであるとされておりまして、紛争解決策としては、解決案の提示、合議型のあっせん案の提示、さらに仲裁と、この3つのプロセスを必要に応じて順次提供すべきであるとされています。この理想型であるところの金融オンブズマン機構を実現する道筋として4つ段階を経ていくという考え方が示されております。

第1の段階というのが、既存の業界型金融ADR機関の自己変革に期待する段階。現在の段階と言ってよろしいかと思います。第2段階といたしましては、横断型のADRに向けて苦情等の受付窓口の構築・拡大とともに、モデル基準の採用を奨励しているという段階でございます。3番目の段階といたしまして、これらの既存ADR間のネットワーク構築あるいは統一的な基準、こういったものを通じて一種のフランチャイズ型の処理機関というのでしょうか、これが実現できるというのが第3段階。最後の段階として、これらの各ADR機関の組織、紛争等の解決手続、判断手法がある程度統一され、そろってきたところで、これらの機関を統合する。こういうプロセスを経て業界横断的な総合金融専門ADR機関を実現させるというふうにされているところでございます。ただ、一挙に統合を目指すのは困難ということでございまして、当面は第1、第2のステップ、すなわち統一窓口の設置とモデル基準採用の奨励というところまでを目指すべきだというのが骨子であります。

私は実はこの報告書本体を1部届けて頂きまして、手元にあるわけでございますが、これはイラスト入りでケースを紹介いたしましたり、民事紛争の解決手続に関する法律上の位置づけをわかりやすく整理したり、あるいは英国の金融オンブズマン制度の制度的な枠組み及び運用の実態を丁寧に紹介したりというふうに読みやすい内容となっていると思っております。

事務局からは以上でございます。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございました。

それでは、前回ご議論がございましたが、全銀協、生保協会、損保協会、日本証券業協会以外の団体として、本日は貸金業協会と金融先物協会からご出席頂いております。貸金業協会と金融先物協会から、それぞれの業界団体の状況についてご説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○渡邉参考人

日本貸金業協会の渡邉でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

本日は貸金業の現状等を報告させて頂きます。本日ご説明いたします内容につきましては、大きく3つでございます。お手元の資料3に従いまして説明してまいります。

1つ目は、貸金業の業法の改正の状況につきまして、2つ目は、貸金業界、特に業者についての特徴、3点目は、私どもが所属しております日本貸金業協会の活動につきまして、この3点について説明をさせて頂きます。

まず第1点目、貸金業法の改正につきましてでございます。お手元の資料2ページでございます。特徴としましては、2年前の平成18年12月に改正貸金業法が成立・公布されて以降、段階的に施行されていくということがこの大きな特徴であります。表のとおり、第1段階としましては、公布後1カ月後に、「罰則強化」と書いてありますが、特にヤミ金等高金利への罰則を強化という形で、これがもう施行されております。この1年後の第2条施行と記載しておりますところに「日本貸金業協会設立」と記載しております。私ども日本貸金業協会が、ちょうど1年前になりますが、この第2条施行とともに設立しておりまして、ここで協会としましては、当然、法令、監督指針等がございますが、これに加えてさらに独自の自主規制、基本規則を制定して、協会員の指導・監督ということを開始しております。この内容につきましては、後ほどまた説明させて頂きます。

3条、4条というのは、記載のとおり、まだ今後の施行でございます。平成21年6月を期限としまして、第3条施行が予定されております。ここに記載のとおり、貸金業務取扱主任者の資格試験ということでございますが、こちらは、現状は貸金業の取扱主任者というのは、一定の研修を終え、ある程度の確認試験を修了した者が主任者として指定されて、登録をしておるわけですが、これが国家試験化されるのがこの3条からでございます。

また、4条に記載しております平成22年6月を期限として施行される4条におきましては、これが必置化ということで、義務化されます。したがいまして、貸金業者が1店舗あれば、そこには必ず国家試験を取得した資格主任者がいるということになります。

次が、財産的基礎要件の引き上げということでございますが、こちらにつきましては、現状では法人では500万円、個人で300万円、日賦という業態につきましては150万円が下限として規定されております。貸金業者の純資産額でございます。この純資産額の下限を第3条の段階では2,000万円に引き上げる予定となっております。また、引き続き、第4条ではこれを5,000万円までに引き上げると、こういう形で段階的な施行を予定しております。

次に、指定信用情報機関制度の導入ということでございますが、これはご案内のとおり、4条施行では総量規制が導入されます。年収の3分の1という規制でございます。この債務額総額を把握するためには、現状、貸金業界では、銀行を除きますと大きく3つの情報センターがございますが、これらを指定信用情報機関とする制度がこの第3条から始まり、4条からはここに貸金業全社がここに加入するというような対応を予定しております。

そして、上限金利引き下げということでございますが、こちらは第4条施行とともに、現状43条ということで、一定の要件を条件に認められている利息制限法以上の条件がこれで撤廃されるということになりまして、利息制限法以下での契約ということが義務付けられます。

以上が、今後の法改正の動きでございまして、貸金業者及び私ども協会につきましても、これらを遵守して、より適正化を進めることが急務の課題となっているところでございます。

次に、貸金業者の特徴ということで、3ページに大きく3点、こちらも記載しております。複数の業態にまたがるという点、それから業者数が多い点、それから業者規模の格差が大きいこと、この点が特徴として挙げられるかと思います。

ページをめくって頂いて、4ページには、1点目の複数の業態にまたがるということでございまして、これは金融庁が記載しております12分類の業態が、この貸金業には大きく存在しております。

上段の方には、消費者向けであるとか、事業者向けという対象であるとか、無担保・有担保等々の区分けで記載がしております。やはり中心となりますのが、一番上に書いてあります消費者向け無担保貸金業者が、業者数では最も多い。1,672社が当協会に加入されている業者数であります。また、消費者向けの有担保ということになると、3番目に特徴的なのは消費者向けの住宅貸付、いわゆる住宅ローン会社というのも48社加入されております。中段あたりのクレジットカード、信販等、これは非常にイメージしやすいかと思います。クレジットカード、信販というところは、やはりクレジットカードを発行している会社がここに分類されております。加入者の中には、鉄道会社あるいは携帯電話会社などがカード部門というものを持っていらっしゃって、ここで加入されていらっしゃいます。また、流通系・メーカー系というのは、名前のとおり、大手の自動車製造販売会社あるいは百貨店、こういったところは子会社のカード会社を設立していらっしゃって、こういったカード会社さんが加入されております。下段の方には、大変少なくはなっておりますが、質屋もまたこの貸金業のひとつとして分類されております。あるいはリース会社、それから日賦貸金業者といいますのは、先ほども少し触れましたが、地場の零細企業に毎日集金に行くような形で融資を行っているというようなところで、そういう業者も貸金業として分類されてはいます。

このように幅広い業態にわたるのがこの貸金業の特徴であります。また、こういった意味で、貸金業というのは一言で語るのが大変難しくなっているという状況もございます。

続いて、その特徴として、2点目であります業者の数が大変多いということでございます。5ページの表をご覧頂きたいのですが、左側が金融庁が発表しています貸金業者、これは登録している事業者の推移です。昭和59年からの推移が記載しております。毎年年度末の数字です。20年度末は9,115業者ということになっております。そのうち、3,776というのが20年度末の協会員数でございます。右側が昨年12月の設立以来、日本貸金業協会に加入しております会員業者の数でございます。折れ線グラフ、赤く見えておりますが、こちらが左側の登録業者に対しての協会員の加入割合でございます。9月現在、登録業者は7,564業者でございまして、当協会員が3,561社、47.1%の加入率ということになっております。したがって、これだけ数が多いということも大きな特徴ではないかと考えております。

続いて、次のページです。

もう一つの特徴としましては、先ほど申し上げましたとおり、格差がやはり大きいということであります。左側は資本金別業者構成ということで、登録会員業者様を個人・法人という形で分けております。個人というのは、言うまでもなく、個人事業主です。個人で貸金業をされている方、これが1,306社、3分の1強おります。また、法人として貸金業を行っている2,255の会員を資本金で、2,000万円未満、5,000万円未満、5,000万円以上の3つに分けた会員数が記載のとおりでございまして、特に法人の5,000万円以上643社、会員としての構成比で申し上げますと18.1%が、残高としましては全体の95%を超える割合となっています。

また、資本金とは別に、融資残高でも同じような特徴が出ておりまして、右側の表でございますが、1,000万円未満、1億円未満のところですね。こちら合計で2,000社ございます。60%を超える会員の割合でございますが、こちらでの残高というのは0.2%程度でございまして、逆に500億円以上あるいは5,000億円以上、この2つのところで72社。2%程度の業者で全体の残高の90%近くを占めているというのが貸金業の特徴の3つ目と申し上げられるかと思っております。

引き続き3点目でございますが、日本貸金業協会の役割ということでございます。先ほども申し上げましたとおり、平成19年12月19日に貸金業が我が国の経済社会において果たす役割にかんがみ、貸金業の業務の適正な運営を確保し、もって貸金業の健全な発展と資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済への適切な運営に資することを目的として、内閣総理大臣の認可を受けて設立されておりますが、7ページの記載のとおりの役割を持った自主規制機関として設立をされております。

次ページ、8ページには協会の組織がございます。理事会を中心にした意思決定機関でございまして、下段に大きく2つの貸金戦略会議、自主規制会議という形で、それぞれの委員の中で議論をしながら進めております。先ほども申し上げました自主規制機関としまして制定しております自主規制基本規則の概要ということで、9ページに大きく11項目挙げております。法令をさらに細かくかみ砕いた形での自主規制規則という形で、ご案内のようなテレビ広告、例えば時間帯であるとか、あるいは本数の規制であるとか、あるいはその内容によっての規制あたりは、この7番にあります「広告及び勧誘に関する規則」というようなところで協会員に自主規制として定めて遵守させております。

こういった活動の幾つかをまた紹介してまいりますが、10ページには、協会の本部では相談センターという形で集中センター、それから全国47の都道府県には支部を置いております。こちらで消費者の皆様からの苦情・相談を受け付けております。受付または相談に対応しておりますが、これの月次での受付状況を10ページでご報告させて頂いております。やはり返済困難等の相談、あるいは貸付自粛依頼というのは、情報センター等に貸付して頂きたくないというような依頼が出ているというようなのが大きなところになっております。また、最近では、下段から3つ目、融資関連というのが、その他から分類されてふえてきておりますが、逆に借りるところはどこだとか、借入れができないとかといった相談も受けております。こういった内容が1点と、また主な業務内容を次ページに記載しております。

まず、先ほどの自主規制基本規制に基づきまして、協会としましては、まず初年度に書面、書類監査を実施いたしました。この結果に基づいて、先ごろ、10月には一部の業者に対して、会員権停止といった処分も実施しております。

また、協会としましては、広報・啓発活動というのを大変重要視しております。金融知識の普及啓発及び多重債務防止への取組みとして、消費者啓発の冊子などを作成して配布しております。特にこの冊子と申しますと、「ローン・キャッシングQ&Aブック」という冊子でございまして、この7月から8月にかけて全国の消費生活センターに4万2,000部ほど配布いたしました。また、来年の成人式には配布をすべく、今準備をしているところであります。高校生向けの教材の記載もございます。こちらも全国5,000校を超える各校に希望を聞きましたところ、865校から希望がありまして、資料として配布させて頂いております。

また、調査・研究活動としましては、協会員の状況や貸金マーケットの状況に関する統計資料を月次で公表しているほか、貸金業者の実態を調査したレポートを公表してきました。

こちらは、本日の資料の13ページから、先ほどちょっと簡単に触れました監査に基づく処分についての発表内容の資料を添付しております。27ページからは、毎月、協会で月次で公表しております各種統計資料、この中には先ほど申し上げましたお客様からの相談、苦情の受付状況なども月次でここで公表しております。

また、43ページからは先般行いました貸金業者の経営実態調査に関する報告を添付させて頂いております。

このような活動を継続しつつ、大きな課題であります、冒頭に申し上げました段階的に施行される貸金業法、これへの対応、これを協会員に今後適切に実施するように働きかけ、あるいはチェックし、または指導する、こういった活動が今後の業界の一層の健全化を図る上で大変重要と認識して、現在全力を傾けているところでございます。

ご静聴をありがとうございました。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございます。

それでは、金先協会の方をお願いします。

○後藤参考人

ご紹介を頂きました金融先物取引協会の後藤でございます。当協会の苦情・あっせん処理状況を中心にご説明をさせて頂きたいと存じます。

時間も限られてきておりますので、お手元の資料4に基づきまして簡単にご説明を申し上げます。

当協会の概要につきましては、既にご高承のことも多いと存じますけれども、平成元年、1989年に金融先物取引法制定に際しまして、民法上の社団法人として、一昨日からは公益法人改革で特例法人と今なっておりますが、発足して今日に至っております。

外国為替証拠金取引が平成17年に当協会の自主規制の担当業務分野になりましたが、時を同じくいたしまして、国から外務員登録関係の事務委任を受けまして、また、あっせんにつきましても、同じ時期に当協会の業務を開始させて頂いております。

その後、金融商品取引法の施行に際しまして、平成19年に同法上の金融商品取引業協会といたしまして、日証協以下5団体によります懇談会におきまして、金融商品取引業協会のあり方についての検討をいたしたわけでありますが、当協会は同年6月の中間論点整理におきまして、自主規制機能に特化した団体としての性格づけを頂いております。

また、金商法に基づきます公益法人金融商品取引業協会として本年、平成20年3月31日に業務規程の認可を頂いております。

また、自主規制活動につきましては、当協会定款上に、会員に対する調査、処分等の規定が設けられておりますことを付言させて頂きます。

当協会の会員は、現在206社、役員構成は、会長には発足以来全銀協会長が就任をされ、理事9人、監事1人の役員10人で構成されております。職員数は現在事務局長1人、部長2人を含む13人でございます。

苦情・あっせん業務の概要につきまして、ご説明を申し上げます。

苦情・あっせん業務につきましては、当協会の定款及び協会規則、苦情処理及び紛争の解決のあっせんに関する規則に基づいて実施しておりまして、会員の苦情解決促進努力、あっせん手続への参加義務、資料提出義務などが定款規則において定められております。

苦情関係の業務執行体制につきましては、苦情相談室が設置をされておりまして、業務部長が苦情相談室長を兼務いたしまして、このほか業務部員2人の合計3人が苦情相談・あっせん事務に従事をいたしております。

あっせん業務につきましては、専門家である弁護士2人からなるあっせん委員に委嘱をさせて頂いておりまして、これは定款上に根拠を持ってございますが、協会はあっせん業務の補佐及び事務処理に当たってございます。

なお、あっせん委員につきましては、金融トラブル連絡協議会に参加されている弁護士の方も含めまして、日弁連にご推薦をお願いいたしております。

続きまして、資料3ページでございますが、苦情相談・あっせん業務の状況につきまして概略をご説明申し上げます。

処理状況でございますが、このグラフでお示しをいたしておりますように、苦情の受理件数は平成18年以降約300件でございまして、年別にご覧頂きますと増加を示しております。これは市場環境等の要因ももちろんございますけれども、協会業務につきまして投資家の方に知って頂くことができるようになったことも背景にあるのではないかと思っております。個人的な見解でございますが。

ちょっとページが飛びますが、この資料の7ページをちょっとおはぐり頂きますと、これが当協会のホームページでございまして、そのトップページでございます。それの左側に「苦情・あっせん」という部分がございまして、その左側のところをクリックして頂きますと、その次のページが出てまいります。これ以上詳しい資料は皆様でご覧頂きたいと思うんでございますけれども、ここに苦情相談業務を示しまして、手続等についてもご説明をしてございます。さらにもう一度クリックをいたしますと、後ほどご説明いたしますが、金融商品取引苦情相談窓口のご案内ということで、5団体共通のフリーダイヤルを開設しておりますので、そのご案内が出てまいります。

資料を戻らせて頂きます。

このグラフでございますけれども、18年以降を示してございますけれども、17年以前、これは外国為替証拠金取引関係業務が始まる前でございますけれども、この苦情等の事例は一会員に対する事例だけでございました。

受理をいたしました苦情のうち、解決ないし取下げとなったもの、あるいは途中からご連絡がなくなるといったようなものにつきましては、平成18年よりこれまでの累積で申立て296件に対しまして270件で、約9割。その残りのうち23件があっせん申立を受け付けてございます。あっせんにつきましては、このグラフにも示しておるような経過をたどっておりますが、まだ3年で23件でございますが、これまでのあっせん申立てを頂きました件数が23件、20件が既に処理済みであります。和解成立が15件、取下げ3件、そして不調が2件でございますが、不調2件のうち1件が訴訟を提起されてございます。

4ページへ移りまして、これは簡単なグラフで恐縮でございますけれども、苦情の内容別の件数をお示ししてございます。システム関係の苦情が大きなものとなってございます。苦情等の処理に当たりましては、当協会の自主規制活動との連携に留意をいたして運営をさせて頂いておりまして、苦情内容につきましての分析を会員の皆様に対する会報に掲載し、注意を喚起しているほか、被害者の救済とともに、会員処分等につなげた例、あるいは苦情の内容から、広告等の記載方法等のご指導を申し上げた例などが見られるところでございます。

これは私見でございますけれども、苦情相談・あっせん業務を通じて私どもが得られます私見を自主規制業務に反映させていく作業でありますとか、そのための業務、情報のフローの体制は、自主規制の効果的運営の見地からも今後とも重要なものであると考えてございます。

あっせん事例につきましては、資料5ページ、6ページに記載をしてございますので、ご覧を頂きたいと存じます。ここで掲げましたものにつきましては、かなりあっせん日数がかかったものをあえてお示ししてございます。

ここで、先ほども紛争解決手続の諸基準等、実効性とか、中立性でありますとか、そういったマーカーをお示しになられたところでありますけれども、当協会の苦情相談・あっせん業務をこの見地から概観をいたしますと、まず実効性につきましては、先ほど申し上げましたように、苦情の解決割合は8割を超えるような水準で推移をしてございます。傾向観察にはまだ経年も件数も不足でございますけれども、今後とも実効的救済の進展に努力をいたしてまいりたいと存じております。

また、中立性、効率性ないしは専門性というマーカーでございますけれども、この観点から、先ほど申しましたように、あっせん委員には日弁連のご推薦によりまして、2名の弁護士の方にあっせん委員を委嘱させて頂いております。

また、自主規制に特化した団体という位置づけを得ておるところでございますけれども、相反性の防止等につきまして、資源制約の大変強い中でございますけれども、今後とも留意してまいりたいと存じております。

次に、迅速性あるいは柔軟性といった点でございますけれども、あっせん事案につきまして、苦情の申立てからあっせん結了までの日数をちょっと見てみたわけでございますけれども、19年度の申立て分の平均所要日数は170日前後、現年度では150日前後となっておりまして、件数は少ない段階での分析でございますけれども、あっせん申立てから結了までの期間の漸減傾向があるのではないかと、これは私が私見ながら感じておりまして、本日のご説明に当たりまして、担当の職員の方からもヒアリングをしてまいりましたけれども、そのお進めになっている実感からしましても、あっせん手続に先行する苦情処理の段階で争点整理といいますか、論点の整理といいますか、そういったものが進んできているようになったのではないかと、この協会の事務局としての努力をそこに傾けていると、そういう次第でございます。

次に、利便性でございますけれども、先ほどインターネットのページでお示ししましたような無料電話、フリーコールの共通相談窓口でございますけれども、この度数が9月以降わかるようになってまいりまして、それをちょっと見てみますと、100件程度で推移してございます。これは市場の環境とかがございますので、件数がそれに応じて増減をしているところがございます。市場動向もございますけれども、窓口サービスの周知ということで、それ以前に比べますと、受理する接続電話数はふえているのではないかというのが実感でございます。これは窓口サービスの周知が、知って頂くようになったのではないかと、そのような見方もございます。

また、あっせんの実施地でございますけれども、これは諸制約もございまして、東京で開催をいたしてございます。

適正性につきましては、相談の実施場所等についてのプライバシーの確保でありますとか、苦情相談につきましては、協会にお越し頂いても、私どもは神田小川町に協会があるんでございますけれども、にお越し頂いても、そして電話でも、Eメールでも、という形でございますけれども、お越しになった場合等のプライバシーの確保でありますとか、そういった面も制約の中で努力を重ねてまいりたいと存じております。

また、共通相談窓口の開設後は金融商品種別に対する適正な相談窓口への誘導を心がけております。

以上のような次第でございますけれども、私は実は着任いたしましてまだ4カ月ぐらいでございまして、大変不勉強なんでございますが、この間の経験に徴しましても、かなり厳しい資源制約のもとで会長会社、そして会員各社の理解とご協力を頂きまして、またこの種の業務というのは感情労働を含む業務でございますが、関係職員の努力を重ねまして、まだ行き届かないところも多いと思いますが、サービスの向上に努めさせてきて頂いていると、そのように感じているところでございます。

横断的な動きにつきましては、金融トラブル連絡協議会にも平成12年の協議会発足より苦情相談処理業務の責任者が参加をいたしまして、協会のこういった業務につきましてのご説明を行うほか、19年6月の先ほどの5団体の協議の場におきまして、共通相談窓口への参加を果たしてきているところでございます。

足元の公益法人改革等の環境の中で、協会といたしましては、今後におきまして、各般のサービス提供のあり方について自己点検を繰り返しているわけでございますけれども、こうした積み重ねによりますサービス水準の一層の発展といいますか、ベターサービスと申しますか、それを志向させて頂いてございます。

先ほどの5団体の中間論点整理の枠組みの考え方、またはこの当会合でのご審議を頂き、そして公益法人改革と、そして市場動向と、そういった各般の状況の中で幅広く情勢変化を踏まえつつ、会長会社を初め、会員各社との情報共有を進めまして、社団法人としてご意見を伺いながら、関係機関とも連携をして、適切な対応に努めてまいりたいと存じております。

最後になりますけれども、苦情と処理につきましては、いかなる形にせよ、運営の効率性でありますとか、自主規制へのフィードバック、そして公益性の維持といったものが今後の検討の基本的な柱になると、私見でございますけれども、そのように思料しております。

簡単でございますが、説明を終わらせて頂きます。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございました。

それでは、皆様に論点整理メモに沿ってご議論を頂きたいと存じます。

前回の討議におきましては、ほぼ4ページの(ニ)の自主規制機関化あたりまではかなりご議論を頂いたのではないかと理解しております。それが、もう一つの資料2の報告書のタタキ台の方に反映されているのではないかと理解しています。そこら辺のところは大体よろしゅうございましょうか。もしその点について特に今なければ、あるいは後で戻って頂いても結構ですけれども、今日のご議論は、それに引き続きまして、論点整理メモとしては(ホ)以下からまず議論をお願いできればと存じます。

まず、(ホ)についていかがでしょうか。(ホ)については比較的異論が少ないのではないかと思いますが、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、次の(ヘ)金融機関の義務、ここについては何かございますでしょうか。

田中委員、どうぞ。

○田中(浩)専門委員

すみません、ちょっと(ホ)の迅速性という部分に関して、ここで言う手続の迅速性とは直接は関連がないのかもしれないのですが、今回のADRについて、社内でいろいろと現状の問題点について議論したところ、今まで出ていなかった一つの問題点が出てきましたので、話をさせて頂きたいと思います。

これは証券会社というか、金商法の考え方によるところになるんですが、損失補てんとの関係についてです。我々が証券業務を営んでいる上で、日常いろいろな事務ミスですとか、勘違いによる誤認勧誘というようなものが日々発生しますと言うとちょっと大げさですが、時々発生します。そういったケースでは、明らかに証券会社サイドの方の過失でございますので、会社の方としてはお客様にそれを弁済したい、経済的な損失を補いたいと考えます。ただ、この点に関しまして、現在の損失補てんの禁止の規定との兼ね合いで、結構実務的に難しい問題が発生しております。

金商法の39条で、損失補てんが禁止されておりますが、内閣総理大臣の確認があれば、事故確認ということで補てんできるとされています。現実的には、財務局の判断になるわけなんですが、これによらない場合、内閣府令119条で事故確認をしなくても補てんできるケースというのが列挙されております。そういう枠組みになっているんですが、先ほど申し上げたように、証券会社サイドのミスで損失が発生している。それで、証券会社とお客様の間ではそれに対する認識が一致して、お金を払いたいという状況になっている。ただ、この法律上の制約、金商法の39条と内閣府令118条、119条との絡みで支払ができない。したがって、証券会社としては、お客様に「これはあっせん手続を経ればそこで支払ができますので、あっせんを申し立ててください」というご依頼をして、それであっせんをして、あっせん手続で金額を認めて頂いて、それでお支払するというのがございます。そういう面で、当社の場合ですと、あっせんの手続のうちの3分の1強が大体こういうふうな形になっているのですが、ただ、お客様の中には、金額が少ないので、そんなあっせんなんかをするのは面倒だという方がいらっしゃいます。でも、あっせんをして頂かないと我々はお支払できないんですと言うと、だったらいいや、やめちゃうというふうなケースが時々発生しています。それじゃ、どういうふうにしてもらいたいのかということに関しまして申し上げますと、損失補てんが必要となる場合、例えば日本証券業協会で認定すれば、このあっせん手続を経ずに支払ができるような枠組みをぜひ考えて頂きたいと思います。特に金額が小さい場合ですと、あっせんまでもっていくコストというのも、これはお客様にとっても大変です。コストというのは単に金額ということでなくて、時間ですとか、書類の作成ですとか、そういったこともございます。これが例えば何十万円とか、100万円とか、200万円とかということだったら当然あっせんをやりますけれども、これが1万円とか、2万円とか、そういう少額のものでありますとなかなか、それだったらやめてしまうということになります。この手続の迅速性、効率性というところを考えた場合、こういう手当てをぜひして頂きたいと思います。

以上です。

○岩原第二部会長

ご要望として承ります。それは金融庁の方に制度の改善についてお考え頂くということかと思います。

原さん、どうぞ。

○原臨時委員

前回欠席をいたしまして、大変失礼をいたしました。それで、今日、議論が個別の論点で後半からスタートということなんですが、全体を見てやはり一言発言をしたいというふうに思います。

論点整理の詳細というのは、「1.金融ADRの現状に対する評価」からスタートしているのですが、金融ADRをどうするかについては、これは10年前からの検討課題であって、私自身も金融ADRと広告についての規制の話を10年前からしておりまして、広告については金融商品取引法に条文として入りましたけれども、これだけ金融ADRの話は積み残しの課題として残されていたということです。なぜ金融全体として金融ADRの課題に取り組まなければいけないのかということの大前提が、私は論点整理の一番最初にほしいというふうに考えております。全体の方向性が見える形にして頂きたいと。

この論点整理の書き方、置き方から見ていくと、評価があって、改善策の具体策があって、自主規制機関化があって、最後、強硬派の議論に制度化の要否というのが6ページに書かれているのですけれども、何かこれ全体を貫く考え方ですね、そういうものをまず冒頭に置いて頂きたいというふうに思います。10年前から金融業界全体としての横断的・包括的な取組みで進めて頂きたいということをお話を申し上げていたのですけれども、金融トラブル連絡調整協議会の場でも、非常に村意識というような感じが強くて、自分のところの村は一生懸命やっているからというようなことで、その範囲の中では改善をしようというモチベーションというのでしょうか、を持っておられるようには思うんですけれども、ただやはり、私はこれは金融全体で取り組むべき課題だというふうに考えておりますので、ぜひ全体の構成のところでお願いしたいと思います。

○岩原第二部会長

全体の構成のところで、どういうポイントについて、より記載をしてほしいということですか。

○原臨時委員

金融ADRの充実については、金融業界全体で取り組むと。そして、それはやはり横断的・包括的な方向を目指してステップアップをしていくんだという、今そのための作業をここでしているという書き方にして頂きたいというふうに思います。それでないと、これだけを読んでしまうと、今現状、問題があるところだけを改善しますというふうに読み取れなくもないというところです。そこを気にしております。

○岩原第二部会長

ほかに何か、そういう全体的なご指摘を頂くことはございますでしょうか。

高橋委員。

○高橋臨時委員

すみません。論点整理はまだ途上だというふうに判断しておりますけれども、前回までのところの意見の取上方が、すべての意見を取り上げているわけではなく、また複数の意見をまとめているところで、これが全体のまとまった意見だというふうにもとれてしまうところがございまして、このまとめ方に関しての当局の見解というのをまずお聞きしたいというふうに思います。例えば、(ハ)のところのまとめ方の最初の1の1つ目のポツのところは、「現実的ではない」というふうに結んであるんですね。それから、その次のページのその他のところの最後のところも「現実的には難しいのではないか」という意見が書いてありますけれども、困難であってもやるべきであるという意見はあったと思いますので、これがこれだけでいかがなものかというふうに思います。

それから、同じく3ページ目のところで、1つ目のポツのところで、切り分けに関してなんですが、切り分けを行うのは難しいと。難しいという意見を私が申し上げたつもりはあるんですが、「いずれの業態の金融ADR機関で柔軟に取り扱いが行われればよい」という、これに関しては意味不明でございまして、「いずれかの」でもなく、いずれの業態のすべてのところで柔軟に取り扱うということを言っているのか、ちょっとこのあたりも補足的にご説明頂きたいと思います。

それから、質問をもう一つなんですが、それの上のところで、その他のところの(注)のところに、「全国銀行協会は、銀行における保険商品の窓口販売に関する苦情について、一定の場合に、生命保険協会又は日本損害保険協会への取次ぎを行っている」という注があるんですけれども、これも少し誤解がある表現ではないかというふうに思っております。保険の中でも、変額年金保険商品、先立って解禁されましたそれにつきましては、金融トラブル連絡調整協議会の方でも問題が多いということで、非常にサポートを行いまして、それぞれが会員に、準会員とか、特別会員だったでしょうか、なっていると同時に、トラブルの場合には、取次ぎだけではなくて、必ずテーブルに銀行と保険会社の両者が着くというふうな扱いにしたと思いますので、ここについてもご検討を頂きたいと思います。

○岩原第二部会長

事務局へのご質問がございましたので、中沢さん、お願いします。

○中沢企画官

ありがとうございます。まとめ方についてのご意見なんですが、幾つかの意見を一本にまとめた部分がありまして、その点で、場合によっては2つの意見を一本の文章にしたがゆえに、少し誤解を生ずる部分があったかもしれません。ただ、他意はなく、いろいろな意見を、マジョリティのところを中心にまとめさせて頂いたということでございます。

それで、具体的に今ご指摘のありました3ページ目の下の方の「いずれの業態の金融ADR機関で柔軟に取り扱いが行われればよい」というのは、これは「いずれかの業態」という趣旨のミスタイプでございます。申しわけございません。

それから、今頂いたご意見につきましては、これは論点整理としてお示ししたものでございますが、報告書の最初の素案をまとめる際に丁寧に書き分けていきたいというふうに考えております。以上でございます。

○岩原第二部会長

はい、どうぞ。

○高橋臨時委員

すみません、1点だけ追加させてください。4ページ目の(ニ)自主規制機関化のところの意見の中で、第1案に対する意見がないのですけれども、私は第1案支持でございますし、ほかの委員の方もそのようにおっしゃったふうに記憶をしております。マジョリティを中心に書くというのが正しいのかどうか、少数派の意見も尊重して頂きたいと思います。

○岩原第二部会長

今までのところで、全体についてはほかに何かございますか。最終的にはタタキ台の方の文章には、各委員のご発言の趣旨が盛り込まれるように文章を精査して頂ければと思います。

それでは、議論の効率化を図るために、前回の議論の引き続きということで申しますと、さっき申しましたように、(ホ)については特にあまりなかったと思いますので、次に(へ)の「金融機関の義務」、ここら辺から皆様のご議論を頂くことにしたいと思いますが、いかがでございましょうか。何かご意見はございますでしょうか。よろしいですか。

原委員、どうぞ。

○原臨時委員

たびたびで恐縮です。(ヘ)のところに「金融機関の義務」として、黒丸で結果尊重義務について書かれている文章ですけれども、これについては一般的によく言われる話、それから2000年のころにもよく言っていた話なんですが、司法制度改革推進本部の中で、ADRの検討委員会というのが設けられて、ADR法の検討をしたときの私は委員なんですけれども、2年半ぐらいかけて検討して、このあたりをどう考えるかということについても十分議論いたしました。ADRであればこそ、結果尊重義務が生きるのではないかということを念頭に置いて議論いたしまして、いろいろな案件を受け付ける、弁護士会などがおやりになっていらっしゃるADRと違って、特に業界団体とか、自主規制機関ですね、業界の自主規制機関がおやりになっているところは、この結果尊重義務があることで生きるのではないかというお話を、私は金融を念頭に置いて発言を重ねておりましたので、金融についてはぜひこの「結果尊重義務」というのを金融ADRならばできるというふうな考え方を持っておりますので、「結果尊重義務」を尊重してほしいというふうに思います。よろしくお願いします。

それからもう一つ、(チ)のところに法的効果が書かれているんですが、これはADR促進法との関係になるのですが、実際に今の金融ADRの運営をなさっておられて、時効中断とか、それから訴訟手続の中止ということがやはりあった方がいいというふうにお考えになっているのか、そうでないのかというところとも絡むというふうに思いますし、もしも時効中断効がほしいということであれば、ADR促進法の認証を受けるということで、一応要件は整えた形にしてありますので、その結果で検討するということでいいのではないかと思います。

○岩原第二部会長

ほかにご意見ございますでしょうか。

黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

「金融機関の義務」のところの意見として、「契約締結義務を課すためには、金融ADR機関が制度的に整っていることが前提と考えるべき」とあるのですが、これがもし私が発言したことの内容をおまとめになったものであれば、少し趣旨が違います。これは、このままですと、制度的に整っていなければ、そのものについては契約締結義務は課さないというふうに思われそうなんですけれども、むしろ私の発言の趣旨は、契約締結義務というのはADRの実効性を確保するために重要であるから、制度的に整っていない部分については受け皿を設けるべきだという趣旨でありました。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございます。それでは、そのような趣旨を前提にまとめていきたいと思います。

ほかにありますか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋臨時委員

(ト)に対する意見なんですけれども、1つ目のところの「金融ADR機関との契約締結を金融業への参入要件とするという考えについてどう考えるか」、これに関しては、このような考え方に基づかなければ、(ヘ)までの措置というのが実効性を持たないというふうに思いますので、今回、契約締結を参入要件とするということを支持したいというふうに思います。

実は、金融審の10年前からの議論の中でも、金融トラブル連絡調整協議会をつくるときに、当然ながら、そういう機関にすべてのところが所属するでしょうと、谷間に落ちる商品が出てくることに対しては、そういうところに所属していないものについては信用がないということで、消費者が利用しないはずだと、そういう前提に基づいてやっていったわけなんですけれども、結果的にそういう形になりませんでしたので、ここのところではすべての金融業がここに参入して頂かなければ、自主的な業界ADRを促進していくということの趣旨が貫徹されないのではないかというふうに思います。

○岩原第二部会長

ほかに。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

今の高橋先生と同じ話なんですが、金融ADR機関との契約締結を金融業への参入要件とするという考え方についてどう考えるかということですけれども、今ここでお話ししているのは、消費者を相手にしている場合なのですが、ホールセールマーケットの金融業に関してまでこういうことを要求する必要はあるのでしょうか、それは要らないのではないかなという感じはいたします。

以上です。

○岩原第二部会長

当然それぞれの業態の実態を見て、本当に消費者保護に必要な範囲はどこまでかということを見ながら、実態に沿った制度整備を図っていくことになると思います。

高橋さん、どうぞ。

○高橋臨時委員

たびたびで恐縮です。今のところに関連してなんですが、B to Bはいいという考え方、それは一つの考え方としてあるかもしれませんけれども、製販分離の中で、B to B to Cという形になっているので、その真ん中にあるBがCに対してちゃんとやってくれればいいんですけれども、それが製造者の方の責任だとか、ホールセールの間で、うちの責任じゃないということで、消費者が谷間に落ちるようなことがあるといけませんので、事業者同士での紛争解決なり、何かがきちんとされるということが担保される必要があるというふうに思います。

○岩原第二部会長

そちらの方はまたそちらの方の問題として、整備をちゃんと図るということかと思いますが。

根本委員、どうぞ。

○根本委員

金融機関の義務に関しては、実効性の確保というところから締結義務というのを課すべきというのには賛成いたしております。それから、ただ、やはりADR機関、締結義務のさらに実効性を確保するためには、ADR機関が当然整ってということも必要ですし、消費者にとってADR機関がそこに訴えても、適切な対応がないというようなことが非常に困ることだと思うので、やはりそれを確保されるのは、さらにその上の組織というか、レベルの均一性というか、質を見る組織も必要ではないかと思って、現状でやはり行政というのがその役割があるのではないかというふうに思います。

ただ、「金融業への参入要件とする」というところなんですが、この後段の制度化のところにも関係するんだと思うんですけれども、やはりちょっと業界によってかなり進展度合いとか、必要度というのが違っていたり、今の話題にあった相手が事業者であると。もちろんその事業者の中にも零細事業者とか、必ずしもホールセールとくくれないところもあるとは思うんですけれども、その後、金融業という、その認可という意味でも、非常に強い規制とそうでない規制というのが強弱あると思うので、ある程度現状に応じた対応というのがあれば望ましいのではないかと思います。

以上です。

○岩原第二部会長

田中委員、どうぞ。

○田中(浩)専門委員

(ト)の「金融業への参入の要件とする」というところに絡んでの質問なんですが、ちょっと皆さん方の認識がどういうふうになっているのかの確認になりますが、金融ADRというのと既存の自主規制機関との兼ね合い、特に日本証券業協会というのと、金融ADRというのは、これはどういうふうに、これは全く別のものと考えるのか、これが兼ねるということを前提とするのか。そのあたり、既存の機関との関係ということについて考え方を教えて頂きたいと思います。

○岩原第二部会長

それでは、中沢さん。

○中沢企画官

現在考えておりますADRは、基本的に既存の、使えるものは使いたいということは前提にしておりますが、足らないものは補完をしていく。あるいは実効性の確保、あるいは中立性を確保するために必要なことは手当てをしていくべきだと、そういうことを考えておりますので、現在のもので使える分はどんどん活用していきたいと考えております。

○岩原第二部会長

田中さん。

○田中(浩)専門委員

それが前提であるとした場合、先ほどの「金融業への参入の要件とする」といった場合、金商法に基づく、いわゆる証券業を行いますと言ったときに、現在発生している問題として、重大な違法行為を行う証券会社があると、自主規制機関としてはこれはもう会員としては到底認められないので、これは除名したいと言った場合、加入義務があるということになりますと、除名することがそもそもできるのか、できないのかというようなことにもなってしまうと思います。

それと、きちんと参入させてやるというのが、消費者から見て間違いなくそれは必要なことだというふうには理解いたします。ただ、その一方で、自主規制機関としても不適切な業者を排除したいという、そうしないと自主規制機関としてももたないという側面もあると思います。

以上です。

○岩原第二部会長

中沢さん。

○中沢企画官

厳密にどういう制度が適当なのかということは、これはまさに議論をしていって頂きたいということでございますが、金融庁の金融業界に対する監督というのは、個社に及ぶものでもありまして、個別の指導ということもあわせ行いたいと考えております。これを新たな制度的枠組みが必要であるのか、既存の枠組みでできるのかというのはさらに検討が必要であると思いますが、加入義務を課した場合、団体から除名をしなければいけない事態が生じたとき、これの兼ね合いについてはさらに検討が必要であると考えております。

○岩原第二部会長

田中さん。

○田中(浩)専門委員

前回、私の方であっせんに関するコストということで、それでお行儀の悪い業者のためにコスト負担するという問題を指摘いたしました。そのとき、一部の委員の方から原因者負担という話が出たんですが、それとも関連するんですが、全員加入義務といったときに、原因者負担ということをやった場合、最初からお行儀が悪い業者からすれば、そんなのに加入すれば、それだけコストがかさむ話ですし、手足を縛られてしまうということで、加入すること自体に対して非常に消極的になるだろうなと。したがって、原因者負担というのをやると、それを押しつけるというのは加入を阻害するような形になる。このあたりが非常に密接に結びついていると思います。そういう意味で、原因者負担というものとここの兼ね合いというのを整備して考えないといけないというふうに考えます。

○岩原第二部会長

中沢さん。

○中沢企画官

加入義務ということと、それから団体のメンバーであるということの間にはずれがあるとは考えておりまして、団体のメンバーであっても、団体のメンバーでなくても、加入を義務付けるというパターンがあると思うんですね。この場合には、団体のメンバーである場合は比較的わかりやすいケースだと思いますが、除名をされた場合、引き続き加入義務ということを法的に課すという可能性はあり得ると思っておりまして、その場合に利用に当たってどういうチャージをしていくのかというのは、個々の団体で考え得る話だろうというふうに考えております。

○岩原第二部会長

増井さん、どうぞ。

○増井専門委員

すみません。自主規制機関として何とかということではないんですけれども、基本的に加入義務をかけることに、私ども日証協として別に反対でも何でもないわけですけれども、ちょっとほかの業界の関係で心配なのは、先ほど貸金業協会のお話がございましたけれども、相当零細の方々もいらっしゃるという状況で、果たして加入義務をかけたときに一体どういうふうになるのか。先ほど柔軟にというお話がございましたので、そういうのも入っているのかもしれませんが、ちょうど今日参考人でいらっしゃるので、どういうふうに考えたらいいのかということを、感じをお聞かせ願えればと思うんです。

○岩原第二部会長

中沢さん。

○中沢企画官

これはやはり業界において事情が違うということは十分考えるべきでありまして、先ほど申し上げたとおり、個社に対する監督義務、監督あるいは検査という業務を我々金融庁としては行うわけでございますが、その中において可能なところをお願いしていくというやり方があると思います。とりあえず今議論して頂いている主な姿というのは、ある意味完成形を議論しているところでございまして、それに至るプロセスというのはさまざまな段階があるものだと考えております。

○岩原第二部会長

そういう意味では、業界の実態に則した柔軟なアプローチをとっていきたいというお考えと承知しております。

ほかにございますか。

黒沼さん、どうぞ。

○黒沼委員

今の点なんですけれども、自主規制機関が金融ADR機関を兼ねる場合でも、本来の自主規制の機能と金融ADRに関する規則の制定権限とか、監督権限というのは別個のものというふうに考えるべきだと思います。

したがって、金融ADRについて、これを参入要件として一種の加入強制をするとしても、それによって、自主規制機関としての除名の権限とか、そういったものが害されることのないようにすべきではないかと思っています。その場合の参入要件というのは、いずれかの金融ADRとの間で契約を締結しているということが要件になるわけで、仮に業界ごとに金融ADR機関がつくられていても、そこに加入しなければならないということにはならないですね。現実的かどうかわかりませんけれども、一つ受け皿となるような、例えば消費者保護団体がどの業態も受け入れるというようなADR機関を設立して頂いて、そこが会費を高く取ってもいいんですけれども、そうすれば、ほかに行きようがないところはそこと契約を締結すると。もしそれが嫌であれば、業界ごとにつくってくださいという形にすればうまくいくのではないかと思います。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございます。

高橋さん。

○高橋臨時委員

私も黒沼委員と全く同じ意見を持っておりました。ですので、今回は事業者のADR、複数のものができて、それが競争するということが大前提にあるのではないかと思います。ですから、原因者負担でやると入らない事業者が出てくると。それは結構なんじゃないでしょうか。その事業者にとっても、そういういい加減な事業者をADRに抱え込みたくないということになると思います。ですから、甘甘のADRもどきも出てくるかもしれないんですけれども、それは消費者なり、いろいろなところからちゃんと評価が働いて、ここに入っている団体の事業者でトラブルが起きたときにはきちんと処理をしていると、あそこは一応加盟はしているんだけれども、その団体は最近きちんとADRをやっているというふうに思われないという評価がついたのであれば、そもそも事業者団体がADR機関を選ぶし、規律が働くようになるのではないかというふうに思います。

もう一つは、事業者団体以外にも、国民生活センターや各地の消費生活センターがあるわけですので、事業者団体のADRそのものが機能しなければ、当然ながら公的な方にたくさんなだれ込むということになるのではないかと思います。

それからもう一つは、金融庁の方でも利用者サービス相談室を設けていまして、これは言ってみましたらば、今までの議論の中の共通の窓口、振り分けをやる窓口のような機能を現在やっていらっしゃるわけなんですけれども、やはり振り分けた先がきちんとしていなければ、金融庁としてもそこにADRに行きなさいということは言えないはずですので、そういう形でADRの機関そのものが競争しながら、いいものが成り立ち、悪いものが淘汰され、事業者の方も同様になるということを期待したいと思います。

○岩原第二部会長

ほかにございますでしょうか。もう後半の問題全部についてご議論して頂いておりますので、特にどこをと申しません。どうかどの問題についてでもご意見を賜ればと思います。いかがでしょうか。

それでは、川端委員、お願いいたします。

○川端専門委員

先ほどから議論になっております加入要件とその会員との問題については、確かに全銀協の場合も非常に難しいケースがございます。したがって、黒沼委員あるいは高橋委員がおっしゃるように、多様なADR機関があって、どこかに必ず加入しているという方向は良い方向だと思います。それぞれのADR機関が競争といいますか、自分たちのレベルを上げていくような環境をつくることは大変重要であり、事業者それぞれもこれを意識して顧客サービス、利用者の保護に向上心を持って取り組んでいくような形が理想的であると思います。今出ている意見は、全銀協としても望ましい方向ではないかと考えます。

○岩原第二部会長

ほかに何かございますか。

根本委員。

○根本委員

もしそこまでいってよろしいのだったら、金融トラブル連絡協議会の位置づけなんですけれども、かなり前回の議論でもADR各業態の連携が非常に重要であるとか、共通窓口が、実際に証券業協会とかつくられて、それが非常に役に立っているとか、そういうお話が多かったと思うんですけれども、それもタタキ台にはある程度書かれているんですけれども、ただ、もう少し踏み込んで、そこがはっきり動き出すことが目に見えるようなものがあると望ましいのかなと思いまして、ここには「連携を図ることは重要である」と書いてあるんですけれども、こういうふうに書かれていると、なかなか各機関が本当に連携をとるのか、何となくよそがやってくれないかと待っていたりとか、そういうことが起きないのか。もし実務上違っていたら申しわけないんですけれども、ちょっと不安になるところがありまして、協議会でもっとそのあたりの進展をモニターされるとか、具体的なプランにまで持っていかれるとか、そういった役割をして頂ければと思います。

以上です。

○岩原第二部会長

わかりました。

ほかに何かご意見はございますか。よろしいですか。

そうしますと、今日、今までご議論頂いた範囲内で申しますと、全体の枠組みについて最初に幾つかのご指摘を頂きましたが、その後、論点整理の4ページの(ホ)以下の議論に入ってからですと、(ホ)については、迅速性については日証協の個別的な問題のご指摘はございましたけれども、それはそれで考えて頂くことにしまして、あまり異論はなかったかと思います。

そこで、次の(ヘ)の金融機関の義務につきましては、実際上ご議論がございましたのは、やはり結果尊重義務のところでありますが、これについてはぜひ結果尊重義務について書いてほしいというご要望があったところであります。これについても一般論としてはよろしゅうございましょうか。特に何かあれば承りますが。ADRを設ける以上は、結果はある程度尊重して頂かないと、その存在意義が疑われることになりますので、一般的に言えば大体そういうお考えが多いのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。

その次の(ト)の行政庁の関与、これについてはいろいろご指摘を頂きました。確かにそれぞれの業態の特色、たとえば完全なホールセールであって、消費者が直接にはかかわらないような業態の実態ですとか、あるいはそれ以外についても、非常に業界が零細であったりする場合の対応の違いなどもあり得るということかと思いますが、そういった点は十分考慮した上で、先ほどの加入義務と業界団体へのメンバーシップの問題は、一応切り離して考えていくということで、それぞれの業態に対する金融庁の業法等による監督権限を恐らくベースに、監督権限の行使として当該事業を営む上での参入要件として何らかの金融ADR機関との契約が締結されているということをその業法上の参入要件として考えていくということについて、これは大体ご理解頂けましたでしょうか。よろしいでしょうか。

そこで、その次の(チ)の法的効果、これはちょっと技術的な問題にもかかわるわけですが、ADR促進法と同様に、金融ADRに時効中断や訴訟手続の中止といった効果を付与する必要があるかという問題でございます。これは先ほどの金融ADRとして、いわば認定を受けるというか、現在の金商法上の認定団体みたいになるためには、こういうADR促進法上の効果を持った金融ADRであるということを認定の要件にすると、そういうことを考えたものかなと理解しているんですけれども、この点についてはよろしいでしょうかね。金融ADRでやる以上はそういうような体制をつくってください、そういう効果を持てるものにして頂きたいということかと思います。実際上はADR促進法上の認定を受けて頂くと、そういうことなんでしょうね、中沢さん。

○中沢企画官

制度の立て方次第だと思っておりますですけれども、ADR促進法上の認証を受けるというやり方もあれば、新しい制度の中で、同等の枠組みを認めていくというやり方もあると思います。これは実際に微細にわたり、法制的な検討をする中で決まってくるものであると考えております。

○岩原第二部会長

当然、法務省との調整も必要かと思います。いずれにせよ実質的にそういう効果があるADR機関になって頂きたいと、そういうことかと思います。よろしいでしょうか。

そこで、最後の制度化の要否のところでございますが、以上の議論を前提とした意味での金融ADRの制度化は必要か否か、これはもうほとんど今までの議論の中に含まれていると思います。制度化という言葉の使い方の問題だと思うんですけれども、さっきから議論しておりますような、例えば金融機関に調査への協力等、一定の義務を認めて頂くとか、あるいは実効性確保のための行政庁の一定の関与等を伴った金融ADR機関を利用して頂くという意味での制度化を図ってはどうかということではないかと理解しておりますが、そういう意味であればよろしゅうございましょうか。

そうしますと、特にご異論がなければ、最初の原委員のご指摘のような全体的な方向について、タタキ台からこれを報告書にするための文章の上でどういう書き方にするかという点は、宿題として頂いているように思いますが。

原さん、どうぞ。

○原臨時委員

6ページの「制度化の要否」なんですが、制度化という言葉、今、座長もおっしゃってくださったんですけれども、この制度化という言葉の意味がどこまでを指しているのかというのがよくわからなくて、それで、今日追加された黒丸で、「制度化を要することを前提に」と書かれているんですけれども、その場合の制度化はどこまでを指すのかということで、文章を見ていくと、「金融ADRの制度化につき、各業態に横断的に一律の枠組み整備を行うのではなく、配慮が必要」というふうに書かれているんですけれども、各業態に横断的に一律の枠組み整備を行うことが必要な場面もあるので、全部をちょっと入れ込んだ文章になっているので、なおさら制度化というのが何を指されるのかというのがちょっとよくわからないという感じなんですね。

それで、制度化も2つ考え方があって、1つは、10年前から言っているように、イギリスにならった形で、横断的・包括的に、金融それぞれの村を出て金融全体でやって頂きたいという、一つの大きな組織体をつくるという、これは一つの制度化の考え方がありますね。それから、それはちょっと今は時期が早すぎるし、今の現場の状況を見るとそういうところにはないというところで、そういう意見も幾つか出ているわけなんですけれども、そうすると、先ほど高橋委員がおっしゃられたように、競争させるということがあると思うんですね。競争させるためには、比較ができることというようなこともあると、ある程度やはり制度化が必要な部分、共通して制度化する必要がある部分というのもあるというふうに思うので、ちょっと言葉が大き過ぎて、やはりもう少し細かく論点で書いて頂いた方がいいのではないかというふうに思います。

それから、金融トラブル連絡調整協議会の位置づけについては7ページに書いてくださっているのですが、この間、金融庁の中に、金融サービス利用者相談室ですね、こちらができていて、ここは一番情報収集ということをメーンにはしておられますけれども、集まった情報は消費者に情報提供する部分については加工して、情報提供もして頂いているということで、もう一歩進めて、多分相談室の方々というのは、本当に隔靴掻痒で、実際に苦情を片づけてあげたい、解決してあげたいというのは大変大きいと思うんですが、行政の中にある限り、あっせんをするということは難しいんだと思うんですね。ただ、そこで、上がってきた相談とか苦情とかを各業界団体のADRですね、そこに投げて、どういう解決策を得られたかということを戻して頂く。だから、タグをつけて出して、戻して頂くというような機能は、私は今の法体系の中でも可能だというふうに思っておりますので、そうすることで、やはりここも競争を働かせる一つの役割を果たせるのではないかというふうに思います。

それから、公的なところとか、消費者団体の話なんですが、国民生活センターにADR機能が付与されて、来年から動き出します。それから、消費者団体でも、ADR促進法に基づく認証ADRの資格を得ているところもあるのですが、金融についてはやはり専門性とコストの部分でやはり大変苦しいという状況にあるので、やはりここだけの活用で競争を働かせるというのはやや無理があるかなというふうに考えております。それで、金融サービス利用者相談室に集まってきた情報を活かして競争をするということも私は入れ込んでおいて頂きたいというふうに思います。

以上です。

○岩原第二部会長

それでは、大森さん。

○大森企画課長

前回、原さんがおられなかったときに、この合同部会で、審議会の専門委員として出ておられるような業態とそうじゃない業態とは実施能力が違うのではないかという優等生談義というのがありました。一律の義務付けあるいは横断的なものを初めからというのは、理想ではありますが、そうした実態に配慮しなければならないのではないかということで、今日、優等生ではないと言うと恐縮なんですけれども、2つの業態に来て頂いて、もう少し赤裸々に業界としての力量をお話しして頂いてもよかったのではないかと思います。

制度化という言葉の使い方につきましては、6ページと7ページにちょっと分けて書いたので、わかりにくくなっているかもしれないのですが、以前、同じこの合同部会で金商法をつくりましたときに、まさに合同部会で金商法という横断的な投資者保護法制をつくる以上は、認定投資者保護団体という制度をつくろうということで、制度化したわけなのですが、それは金商法ですから投資商品に限られております。現在、3つの団体が認定投資者保護団体の認定を受けておりますけれども、合同部会の3回で議論してきた中立性とか質とかの点について、十分かというと、必ずしも十分じゃないという意見が多いわけなので、今回の制度化の肝というのは、投資商品に限らず、金融商品一般をカバーして、質の向上を目指していく。その質というのは、根本さんがおっしゃったように、行政の方で認定するしかないですし、全員がその質に到達できないというのであれば、高橋さんがおっしゃったように、玉石混淆みたいな形で切磋琢磨していかなきゃいけない。引き続きそういう場で全体として高みに上って頂けるように促していくのが、最後の金融トラブル連絡調整協議会の今後の位置づけということだろうと、ストーリーを単純化して言うとそういうことだと認識しております。

○岩原第二部会長

藤原さん、どうぞ。

○藤原委員

今までの話から察するに、英国のように横断的・包括的に金融全体で1つのADRを作りこれを制度化するのは時期が早すぎるので複数の金融ADRを作ることを事務局や委員の方たちが考えているのではないかと感じていますが、中沢さんは幾つつくろうとしているのでしょうか。金融ADRを5つつくるとか、20あるいは、30つくるとかというお考えをすでにお持ちなのでしょうか。1つではなく複数作るとなると、縦割りのADRになるのではないかと思いますが、その場合、今まで議論してきた、横断的・包括的にADRを作るという提案との整合性はどうなるのでしょうか。紛争解決をするために中立性、公平性を重んじる組織を複数作るのでしょうが、各々の組織は10人ぐらいの規模になるのでしょうか、それとも100人ぐらいの組織をお考えなのでしょうか。この辺に関してももう少し具体的に教えて頂けますでしょうか。

○岩原第二部会長

中沢さん。

○中沢企画官

ご指名でございますので。私個人としては別に意見を持っているわけではございませんですけれども、これまでの8年間の議論をずっと読ませて頂きますと、特に平成12年のときにかなり大きなステップアップがあって、その後、金トラの議論を続けて頂いたところでございますが、やはり統一的・包括的なADR機関が望ましいというのは、これは多分皆さんの共通認識なんだろうと思っております。今日たまたまご紹介させて頂きました弁護士グループの方々のお話の中でも、やはり統一的な機関ができることは望ましいという、そこは結論が同じなんだなというふうに感じたところでございます。一方で現実を見た場合、どういう形でそちらにたどっていくのか、このロードマップが実はまだ正確には書き切れていないというところでございます。もちろん理想的なものがすぐにできるというのが一つのあり方だと思いますが、これまでの実質的な取組みというのも実効性を上げてきているわけでございますし、これをベースに組み立てていくのも一つのやり方と。かつ、金融業界全体を見渡して見たところ、必ずしも全部同じフェーズで、あるいはスケジュール感でできるということもどうもなさそうだとも思えます。という中では、現実的にまず第1打をどこに打って、最終的なホールでどこに上がるのかというロードマップをつくることも大事なんだろうと思っております。

実は今2つのことを議論しているんだろうと思っておりまして、1つは理想型としてどういったものが望ましいのか。一方で、その中で、どういう形で理想型をたどっていくといいのか。この2つの議論が一緒になっているということで、1本のADRというものと当面複数併存するのもやむを得ないというものが錯綜していのでわかりにくいのではないのかなという感想を持っております。

要約いたしますと、理想的には、中長期的にはやはり統一的なものが望ましいとは考えておりますが、それに至るプロセスとしては複数、これが5つか、20個かというのはよくわからないのですけれども、現実的な姿をたどってゴールにたどり着く、その一里塚を考えたいと考えているわけでございます。

○岩原第二部会長

藤原さん。

○藤原委員

となりますと、もしADRが10個できたら、金融トラブルをかかえた消費者は、自分が抱えている問題を、10個のうちのどの組織へ持って行ったらいいのか迷ってしまうのではないかと思います。こういう問題についてははどうお考えでしょうか。

○岩原第二部会長

中沢さん。

○中沢企画官

そこがまさに大事な論点として挙げさせて頂いている連携という部分があると考えております。場合によっては共通窓口ということも考えるべきでしょうし、あるいは間違ったところに訴えを申し立ててしまったというところには、しかるべきところに転送をして頂くということも必要だと思っております。また、そのケースがさまざまなADRの間で生じてくるケースといいますのは、いろいろな裁決例でございますけれども、これを積み重ねることによって、こういう金融取引のトラブル面での議論の相場観というものができていくということも期待しております。消費者の利便性というのは第一に考えたいと思っておりますが、場合によっては、購入した各個社に持っていかれることもあるでしょうし、あるいは個社では頼りにならないので、団体に持っていかれるということもあるでしょう。どこに持っていっていいかわからないという場合の窓口をつくっておくことも当然必要であろうと思っておりますし、そこは連携と少なくとも統一的な窓口ということは考えるに値すると思っております。

○藤原委員

すみません、もう一つだけ質問させてください。

例えば10個つくった場合、費用負担というのはどういう感じになっていくのでしょうか。

○岩原第二部会長

中沢さん。

○中沢企画官

費用負担は、これは基本的な発想としては、業界の自主的な取組みを前提に考えておりまして、各団体ごとにその出し方といいましょうか、取り方というのは変わってくるものだと考えております。

○岩原第二部会長

原さん。

○原臨時委員

今の金融トラブル連絡調整協議会は、たしか18ぐらいですね、業界団体の方が参加していて、それぞれのそこの中で、日証協はちょっと別ですけれども、ADRというのでしょうか、苦情相談から紛争解決までの機能を持ってということでおやりになっていて、ちょっと感想的意見で恐縮なんですが、もう少しグルーピングできると思います。今、投資性の商品のところは窓口が一応5団体ぐらいで一本化されておりますけれども、ああいうようなことで、グルーピング化は幾つかは図れるというふうに思っている部分と、それから、私が非常にいつもよくわからないのは、先ほど大森さんが優等生の議論が前回ありましたというふうにおっしゃられて、これは金融トラブル連絡調整協議会でも毎回現象としては起こっていて、必ず優等生の方々が三、四人手を挙げられて、私どもは頑張っておりますというふうにおっしゃって、ほかのところと一緒にしないでくださいみたいなふうにおっしゃられるのですが、ほかの諸外国ではどうなんですか。日本独特なんですかね。すごく村意識が強くて、自分たちは頑張りますので、本当に消費者志向でやりますというふうにおっしゃられて、なかなか金融業界全体でやっていきましょうという雰囲気にならずに、それからコストについても、イギリスのお話なんかを聞くと、ちょっと日本と彼我の差をコスト負担についても感じるようなところがありますので、日本の金融業界の体質みたいな、体質改善からまず図って頂かないと、なかなか最終型が難しいのかなという感じはしております。ぜひそういうことも念頭に入れておいて頂けたらと思います。

○岩原第二部会長

川本委員、どうぞ。

○川本臨時委員

先ほどの制度化のところなんですけれども、ちょっと細かいことで恐縮でありますけれども、真ん中のところに「金融ADR機関の設立を選択可能とする柔軟な枠組みや」とあるんですね。これ「柔軟な枠組み」というと、すごくわかりにくくて、ADR機関の設立によらないで裁判所で紛争解決をするのか、あるいはADRを選ぶのか。それに対して、貸金業界なんかは制度の導入の時期の配慮をするというのはわかるんですけれども、何か「柔軟化」という言葉を入れるとすごくイメージがわきにくくなるんじゃないかなと。

それともう一つ、すみません、タタキ台の方でちょっと申し上げたいんですけれども、よろしゅうございましょうか。2ページ目のところに最初の経緯が書いてありまして、拝見すると、12年にいろいろやりましたと。19年にということで、3パラグラフ目に19年の話が出てきて、その後に、ただそれだけでは中立性とか、公正性に疑義があるとか、実効性の確保が十分でないということがあって、その12年から19年の間の経緯が何となく唐突感があるわけですね。疑義があるとかというのは、こういうのは12年から19年までずっとそうだったと思うんですね。ですから、その辺をちゃんと書き込んで頂いた方が読み手には親切なのではないかと。

それから、すみません、もう一点なんですけれども、ADR機関の存在というのはすごく望ましいと個人的には思っていますけれども、必ずこういう機関をつくるということはコストがかかるのだと。コストを調べて頂いてありがたかったんですけれども、いずれの人もコストを意識するような文言を中に入れて頂きたいというふうに思っております。これはだれが負担するのか、申立人が負担するのか、あるいは問題の多い会社に負担してもらうのか、あるいは問題の少ない会社の顧客が負担するのか。いずれにせよ、だれかが負担しているんだということを書かないと、まるでただでできたりとか、あるいは業界が負担していますみたいなご発言があるんですけれども、別に業界は負担していない。お客が負担しているので、だからその辺を一々書いて頂いた方が、より顧客の面から見るというような形になっていくんじゃないかなと思います。

以上です。

○岩原第二部会長

最初にご指摘の「柔軟な枠組み」、確かにこれはいろいろな読み方もされかねませんし、今後具体化していく上で問題になってくると思いますので、ちょっと事務局からもう少し説明を頂けないですか。

○中沢企画官

ありがとうございます。言葉足らずであったと思いますが、ここで申し上げているのはやはりスケジュールの問題でございます。また、ADRという枠組みの中でバリエーションがあっていいとは思っておりまして、そのバリエーションというのも一定の枠をはめる必要があると思いますが、業界ごとにやはり需要に応じたスタイルというのがあるのだろうと思っています。そういうことも含めた柔軟性という意味です。スケジュールとそれから取組みのスタイル、やはり商品ごとに、あるいは販売形態ごとに少し変わってくることがあるんだろうなということで、一律に枠をはめないと、そういう趣旨でございます。

○岩原第二部会長

あとご指摘頂きました平成12年から19年の間、何をやっていたのかというのは、私は協議会の座長としては一方で忸怩たるものがありますが、しかし、それに参加されていた原さんや高橋さんを初め、協議会の皆さんからは我々は一生懸命やっていたんだというふうに多分おっしゃってくださると思いますので、それをできればちゃんと書いて頂いた方がありがたいと思います。

川本さん。

○川本臨時委員

すみません、忸怩たる思いをもう少し書いて頂いた方がわかりやすいんじゃないかなと思いますし、段落を単に変えれば多分いいんじゃないかなと思います。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございました。内藤局長からも同じことを言われました。そもそも平成12年の制度発足を実質的に企画されましたのは内藤局長でした。当時は企画課長でいらっしゃったのですが、平成12年以来何をやっていたのかと、前回内藤さんに言われました。しかし協議会としてはちゃんと最大限のベストエフォートは尽くしていたのでありまして、その経緯をできれば書いて頂ければありがたいと思います。

ほかに何かございますでしょうか。

吉野委員。

○吉野委員

先ほどから原委員から一律とか、柔軟というのにご不満が出ているんですけれども、前回の議論のときに、やはり貸金業協会というのは去年の12月にできて、加入率も半分ぐらいなものですから、この貸金業協会というのはなるべく業者の方々に入って頂いて、その中できれいにしていこうという段階で、それをここにおられるような優等生という意味で前回申し上げたものですから、やはり業界によって違うということだけはご理解頂いて、少し書き方をフレキシブルにして頂ければというように思います。

○岩原第二部会長

落合委員。

○落合専門委員

先ほどの藤原委員による発言に関連しますが、ADR機関は、最終的には統一したものにというのは私も皆様方の意見と同じように考えております。ただ、現実を見ると、当面は業界ごとに組成することが望ましいと思います。その業界の枠組みは単純に詳細に分けた業界ではなくて、業務の共通性を重視しなるべくまとめていくようにしていただきたいと思います。そのことによって、各機関のコストの負担が削減されたり、あるいは各々のADR機関のレベルの差が小さくなったりして行くのでは、ないかなと思えるので、枠組みをつくる時に、業務の関連性や共通性を重視した、少し大き目の枠組みをぜひ検討して頂ければと思います。

○岩原第二部会長

今松委員、どうぞ。

○今松臨時委員

これは制度化の要否のところにかかわるところなんですけれども、最初に中沢さんから説明頂いたADRオンブズマン研究会ですか、そこのところでの最後の実現への現実的なステップという格好で、4段階ですか、挙げておられる。それで、実際にこの制度化のところでは、いろいろな諸事情ですね、そうすると、その諸事情をどうしても監視せざるを得ないと。ただ、同時に、制度化としてこれを提起する以上は、それをやはり促進するというか、その視点がやはり必要になってくるだろうと思います。そうすると、より貸金業協会等々を含めて、やはりそこを問題点等々はっきりさせて、それは費用が返ってくれば一番簡単なんですけれども、このステップを踏むにしても、それがより消費者にとっても、最終は一つなり、極めて包括的なものになるステップにできる限り早い段階でつながるような、先ほど中沢さんもおっしゃったロードマップ的なもの、これがやはりわかるようなものを提示される方がやはり消費者の側から見て非常にわかりやすいんじゃないかというふうに思います。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございます。

藤原委員、それから淵田委員。

○藤原委員

私、先ほどいろいろ質問させて頂いたのは、やはり平成12年以来、かなりの時間をかけて金融ADR制度を導入しようとして金融審議会で議論を重ねてきているわけですよね。もしそうでしたら、いいものを一つ、横断的・包括的にかつ消費者が使いやすい組織として作ることが大事だと思っております。今からこういう意見を言ってももう遅いかもしれないと思いつつ、あえて言うのですが、大事なことは難しいからつくらないというのではなく、せっかくこれだけ時間をかけて制度化しようとしているのですから苦情をもった消費者のために、紛争を解決するにはコストは年間これぐらいかかりそうなのでこういうふうに業界に負担してもらうとか、またADRの組織はこういう感じになる等もっと具体的に決めて「だれがみてもいい制度」していくというのはもう遅いのでしょうかね。

○岩原第二部会長

ご質問を頂いたのですが、大森さん。

○大森企画課長

制度の議論を8年してきたわけではなく、いいADRにしようということで8年やってまいりました。今年の半ばに座長メモが出ましたが、協議会そのものは制度論をやる場ではないので、この金融審議会の場で3回議論をしたというのが、初めてのADRの制度の議論だったと言ってよろしいと思います。

藤原さんのおっしゃることはとてもよくわかるのですが、難しいからやらないというよりは、どういう制度をつくれば使ってもらえるものになるのだろうかということで議論をして頂いたのだと思っております。この手の話というのは、あまり業界の実態、身の丈に合わないような高い義務が天から降ってきたりしますと、その義務を遵守できないがゆえに、そもそも紛争ではないのだと認識されて水面下に潜ってしまうことにもなりかねません。逆に言えば、そういう性質の問題だから、協議会という場で8年間、実質的な枠組みとして取り組んできたということだと思うんのですが、そうばかり言っていても、あまりに進まないので、現状の二、三歩先のところまで制度で引っ張って、現状についてきてもらおうというのが現在のフェーズなのだろうと思っております。したがって、難しいからやらないというわけではなくて、どういう制度としてつくったら一番日本国民利用者に感謝されるのだろうかという議論が行われてきたのだと私は認識しております。

○岩原第二部会長

淵田さん。

○淵田委員

すみません。この分野の専門的にずっと考えてこられた方とは違う人間ですので、そういう人間からしますと、素朴な疑問をいろいろ感じるタタキ台かなというふうに感じております。一般的に言われることは、個別にやるとコストがかかるから、まとめてやる方がいいというのが常だと思うのですけれども、どうもタタキ台とか、論点整理を見ますと、あるいは今までの議論を振り返りますと、まとめてやるとコストがかかるから統一は難しいという、それが何か大前提になっているように感じました。そうしますと、ADRというサービスは、規模の経済とか、範囲の経済とかが全然働かないタイプのサービスなのかというふうに思うわけですね。ただ、先ほどコストの事例をご紹介頂きましたけれども、ちょっと聞き間違いでなければ、交通紛争処理関連のADRの経費というのは6,400件で10億円。一方、自賠責の関係のADRは669件で5億円ということですので、単純に比較はできないのでしょうけれども、何かまとまった方が、あるいは規模を大きくした方がコストが低くなるのではないかと思われます。ただ、どうもタタキ台を読んでいましても、コストという言葉がいろいろな意味を持って使われているような気がいたしまして、そこはちょっと気になるのですけれども。現実的な問題として、時間がかかるとか、そういうことはあるのですが、将来の展望を考える上で、ちょっと一つ例としてもし教えて頂ければと思うのですが、多くの金融機関においては、貸金業を傘下にどんどん置くという動きがあります。これは何らかの統合のメリットを追求されて、そういう動きが出ているかと思うのですね。優等生が劣等生を取り込んでいくみたいな、そういう世界があるわけですが、ビジネスの方ではそういうメリットがあるけれども、紛争処理の方ではどうなのでしょうかということですね。紛争処理の面で、このADRの分野でそういう金融機関の方々が、他の自分たちが実際にやっている、取り込んできた業務も含めた、より広範なADRを今後追求されていくといったことは展望してよろしいのかどうか、もし何かありましたら教えて頂ければと思います。

○岩原第二部会長

では、内藤さん、お願いします。

○内藤総務企画局長

この部会でいろいろご発言をお伺いしておりまして、平成12年当時からこの問題についてご議論頂いた方々も何人かおられまして、当時のことについてご記憶だろうと思うのですが、この問題については、やはり理念型といいますか、原則論という問題と、それから現実論という問題が常に議論、交錯をされて、これが平成12年当時から現在にまで至ったことの一つの原因になっているのかなとも思っております。当時、消費者のサイドのご意見とそれから業者の側のご意見とが相当先鋭化していたなという感じがあります。業者の方々の言い分というのは、決して不真面目とかいうことではなくて、現実に立って対応していると、きちんと自分たちはやっているということを正直におっしゃっていたのだろうと思うのですが、他方、消費者団体のサイドの方々は、現実に問題が起きているわけで、それにどう取り組むかというところから議論が始まって、その議論があっという間に8年たってしまったのだろうと思います。決してそれぞれの方々が時間の長さであきらめたということもなく、現実的にどう取り組んでいくかという議論がむしろ習熟してきた感じを私は個人的には持っております。今から8年前と比べると随分議論が深まり、目指すべき方向がかなり見えてきた感じがしております。今から考えると、8年かかってここまでしかできなかったのかということも言えますけれども、わずか8年でここまできたということも言えるのではないかとも思っております。

常に原則論というのがあり、それはそれで一つのゴールとして目指していかなければいけないと思いますけれども、先ほど高橋委員からもお話がありましたように、ADRが幾つかいろいろできて、各業界別のADRが競争的に活動して、その中でよりいいものが残っていき、また評価を受けて、よくないものが淘汰されていくと、あるいはダメージを受けていくというような形での将来さらなる習熟が図っていかれるというのは、業界にとっても非常に大きなインセンティブがありますし、そういう形で目指していくのがさらなるステップではないかと思ってお伺いをしておりました。平成12年当時も一挙に一つのADRをつくるべきだという議論もかなり強くありまして、金融当局が旗を振ってやっていく形で、一挙に進むべきだという議論もあったのですが、この種の問題は、それぞれの業界が自分自身の問題として真剣に受けとめて頂いて、むしろ業界のレピュテーションを上げていく、あるいはビジネスを拡大するためにはその方がいいんだというインセンティブ型の取組方をしないと、実際にはなかなか動かない。それがこの8年間の一つの大きな変化だったのではないかなという思いで、いろいろご意見をお伺いをしてきたことを申し上げたいと思います。

○岩原第二部会長

どうもありがとうございます。我々の8年間の努力も評価して頂きまして、ありがとうございます。

今日は皆様から大変有益なご意見や貴重なご指摘を頂いたと思います。ただ、全体として見ますと、おおむね方向性については、一部ご異論はあるかと思いますけれども、大方の方にはご了解頂いたのではないかと考えております。よろしゅうございましょうか。もしお許し頂けるのであれば、報告書(案)につきましては、本日のご議論を踏まえまして、事務局で作成して頂いた後、各委員の皆様に送付させて頂き、ご意見を頂きたいと考えております。その上で、頂いたご意見の取扱い及び報告書の最終的な文案等につきましては、私にご一任を頂くことをお願い申し上げたいと思います。お許し頂けますでしょうか。どうもありがとうございます。

○原臨時委員

確認ですが、今日の回で終わりということですか。

○岩原第二部会長

合同部会としては今回で終わりということでございます。その上で、各委員の皆様のご意見を承って、文案を練らせて頂くということにさせて頂きたいと思います。

よろしゅうございましょうか。

それでは、最後に、事務局にお願いいたします。

○大森企画課長

委員の皆様、一部会、二部会、各部会の予定もまだ今月残っており、お忙しいところ恐縮でございますけれども、今、岩原部会長のご指示にありましたように、文案をつくりまして、可及的速やかにお送りさせて頂きまして、可能な限りの意見交換をさせて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○岩原第二部会長

それでは、以上をもちまして、金融ADRに関する金融審議会金融分科会第一部会・第二部会の合同会合の審議を終了させて頂きます。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課
(内線3682、3516)

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