金融審議会金融分科会第一部会(第50回)議事要旨

1. 日時:

平成19年11月29日(木)13時00分~14時30分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館9階 金融庁特別会議室

3. 議題

○ 事務局説明

○ 討議

○ その他

4. 議事内容

  • 事務局から、「銀行・証券間のファイアーウォール規制の見直し」に関する論点について説明があった。

  • 討議等における主な意見は以下の通り。

  • 持株会社の下で銀行業と証券業を行う子会社が別個の法人として独立性を保つという現在の方式は、一方で銀行の決済機能を守りつつ、他方で証券の引き受け機能を守るという、よく考えられた方式であり、大きく変更しないほうがいいのではないか。

  • 利益相反の防止は、金融機関がきっちりと自律的に態勢整備をすることが大切だが、それをバックアップする当局の体制もきっちりとすることが重要。

  • 情報共有に関して、個人についてオプトインは妥当。現行制度において、実務上は、事業会社の多くは包括同意でなく個別同意を、包括同意であっても無条件ではなく条件付で同意書を入れるのが主流だ。こういう運用実態を踏まえると、法人について、オプトアウトとするならば、オプトアウトの権利を通知し、法人からその権利を放棄するか否かの回答をもらうという一連の手続きについて、書面で行う等のきちんとした方法で行われる必要があるのではないか。

  • 利益相反管理態勢の整備に関する当局が策定するルールの規定については、一般的な事項にとどめ、可能な限り各社の個別事情の反映や創意工夫が可能なものとなるようプリンシプル・ベースとするのが適当ではないか。

  • 今般、役職員の兼職が認められることとなるのは、カントリーマネージャーの設置に対する障害がなくなり、国内の統合的な経営管理の実現に向けた大きな前進といえるのではないか。

  • クロスマーケティングに関し、金融機関経営の自由度を確保するという観点からは、銀行本体による証券業務を禁止し、証券会社による預金受入れを禁止するという銀行と証券の分離を厳格に維持する一方で、情報共有やクロスマーケティング等による銀証一体での顧客サービスの提供を可能としている米国の制度と同様の制度整備が望ましく、今後は、その方向で検討をするべきではないか。

  • 法人情報の共有に関して、オプトアウト方式をあまりにも厳格に行うと、結局オプトインと同じ形になってしまい規制見直しの意味が減殺されかねないことに留意が必要ではないか。

  • クロスマーケティング規制については、ローン債権など新たな商品の発展をみると、銀行と証券の法制すみわけというよりも、商品の特性に応じた形での緩和を考えるべきではないか。

  • クロスマーケティングについては、銀行が引受業務を行うとすれば、融資業務との利益相反や顧客に対する銀行の優越的地位の濫用の可能性等に留意が必要であり、投資家の利益が損なわれることのないよう、慎重に検討する必要があるのではないか。

  • 個人情報の共有については、昨今の個人情報保護の意識の高まりも十分に考慮すべき。銀行は顧客に関する多くの情報を保有しているからこそ、オプトインであれオプトアウトであれ、きちんと個人情報が守られるよう対応すべきである。

  • 今般ファイアーウォール規制を見直すというのは、ルーズにするということではなく、一般に公的規制だと機械的、一律的となって弊害が大きいため、より有効に実施可能な自己規律で代替しようということであり、結果は、むしろ厳しくなって然るべきと思う。

  • 今回、国際競争力強化の観点から、自己規律に基づく新しい規制の枠組みへと移行するという考え方には賛成であるが、そもそも自己規律を基にするのであれば、内部管理態勢整備の公表を義務付けることはなじまないのではないか。ただし、概要の公表ということならば反対はしない。

  • 今回の規制の見直しだけでは、世界の最先端から、まだまだ遠いところにあると考えられることから、そのような状態からより早く脱却するためにも、クロスマーケティングや更なる情報共有化といった方向に向けて、検討する必要があるのではないか。

  • 内部管理態勢の状況については、金融機関が消費者の信頼を得るために、本来自主的に公表するものと考えているが、規制緩和の過程においては、一定程度は法律や公的なルールに基づき公表を義務付け、当面はしっかり監督すべきではないか。

  • チャイニーズウォールの構築とその厳格な運用がファイアーウォール規制緩和の前提である。

  • 銀証のファイアーウォール規制の緩和は、銀行と証券という業務の区分けが困難になってきたことを意味しており、金商法と銀行法あるいは保険等も横断化した金融サービス法の制定に向けての第一歩として、この動きを捉えるべきではないか。

  • 金融庁として、何が利益相反なのかということについて、監督指針等の中で、何らかのステートメントを出すことが必要ではないか。

  • プリンシプルだけであとは自己規律に基づいて全部やれといわれると、金融機関にとって非常に大変な話となるので、当局のガイドライン等はある程度必要ではないか。

  • 何が利益相反にあたるのかについて、欧米の金融機関も模索しながら管理しているとのことなので、金融庁が最初からパーフェクトな定義を提示することは難しいのだと思う。やはり模索しながら最適な解釈や定義を探していくのがよいと思う。

  • 金融機関に対しては、必要最小限の情報開示を義務付け、あとは金融機関が自主性に基づき、利益相反管理態勢そのものも市場に評価されるような形で競争していくような環境を作っていくことが大事であり、金融庁は、監督だけでなく、検査やエンフォースメントについて、金融機関の自律的な態勢整備を促すとの観点から、どういうやり方がいいのかということを今後考えていく必要があるのではないか。

  • 金融機関の国際競争力を高めるためには、銀行業的な部分と証券業的な部分がグループの中で、内部管理を含め一体的にリスクマネジメントが行われることが極めて重要であり、この観点からは、今回の規制緩和は、初めの第一歩に過ぎず、最低限実現すべきものと考える。

  • 現在のファイアーウォール規制は、グループ一体となって経営している現在の金融グループにおけるリスク管理に対しては有効に機能しておらず、見直しが必要ではないか。

  • 利益相反の防止に関して、金融機関が自己規律に基づき防止するというのは簡単そうに聞こえるが、実はコストが高い。金融機関がどのような態勢を構築すれば利益相反をチェックでき、さらに監督当局がそういった態勢をどうやってチェックするのか、悩ましい問題である。

(以上)

問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局 市場課(内線3619)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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