金融審議会金融分科会第一部会(第55回)議事要旨

1. 日時:

平成20年11月19日(水)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題

  • I .取引所の相互乗入れについて

    • 事務局説明

    • 討議

  • II .格付会社に係る規制の枠組みについて

    • ヒアリング

      • モルガン・スタンレー証券株式会社 赤井厚雄マネージング・ディレクター

      • 住友生命保険相互会社       荒巻晋運用企画部長

    • 質疑

    • 事務局説明

    • 討議

4. 議事内容

  • 上記 I .について、事務局から説明の後、討議が行われた。

  • 上記 II .について、格付利用者2社よりヒアリング及び質疑が行われた後、事務局から説明があり、その後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

  • I .取引所の相互乗入れについて

  • 商品取引業者については、被害や苦情が多い状況にある。商品取引について、委託者保護のための整備がきちんとされた上で相互乗入れを行う必要がある。

  • 流動性を確保するため、金融商品取引所本体が開設する商品市場の取引参加者の範囲を、商品取引所法上の取引参加者と同範囲とすべき。また、同一の清算機関において金融商品の取引とコモデティ・デリバティブ取引とのネッティングやリスク相殺を行うことができるように配慮すべき。

  • 方向性については賛成であるが、金融審議会と産業構造審議会における議論の間に齟齬が生じないようにしてもらいたい。

  • 自主規制法人の活用に関し、商品取引所法にも金融商品取引法と同様の自主規制法人の規定を入れるということか。それとも、金融商品取引法上の自主規制法人が、商品取引所の自主規制の役割も担当できるようにするのか。

  • II .格付会社に係る規制の枠組みについて

  • 格付は、個々の投資分析において補完的な役割を担う参考資料にすぎない、というのはその通りだと思う。しかし、一般の投資家にとって、格付は絶対的なものであり、格付が独り歩きしてしまう懸念はあると思う。

  • 格付会社がトリプルAをつけた商品を外資系金融機関が買って大きな損失を被り、公的資金が入れられているという実態を見れば、格付会社に対する規制は考えてよいと思う。百年に一度の金融不安が起こらないためにはどうすればよいか考えるべき。一般投資家としては、トリプルAが信用できないとなると政府保証しか信用できなくなってしまう。

  • 格付会社は、政治的・経済的に独立した立場という点を主張していたが、例えば日本は金融危機の時にはアフリカと同水準まで格付を引き下げられたのに対して、米国はいまだに、政府が不良債権の総額すら発表していないにもかかわらず、高格付のままである。

  • 格付は信用分析の補完的な存在であるべきというのは同感だが、中小金融機関や個人にとって、格付は大きな意味をもっているというのが現実。格付会社の役割としては、情報の非対称性を排除していくことにある。実際に、お金を払って評価してもらう以上、低い評価だと依頼したくない、あるいは、評価が低い格付会社に対しては、一応お金は払うが、評価が低いとその格付会社の格付は公表しないということもあった。

  • 情報データーベースの整備と併せて検討を行っていくことが不可欠である。格付会社の格付は、公開情報だけで格付を行っているのか、プライベートな情報も利用して格付を行っているのか、個人のレベルでは比較ができない。格付会社は公開情報だけで格付を行うという整理が必要ではないか。

  • 格付会社は寡占状態にあるが、格付会社の数が少ないから無理やり増やすというのも非現実的。サービスの絶対量が限定されるので、数を増やすと過剰競争になり、かえって不公正なものになる。格付会社は少数であることを認識した上で、透明性・独立性を高めていくことが重要。

  • 格付会社の役割は縮小していくべきという考えには反対。個人投資家にとって、格付会社が一定の役割を果たしていくことは変わらない。ただ、今後、格付の限界についての周知は必要。

  • 利益相反の問題に関する具体的な提案として、監査法人については、事業会社からの報酬の開示が義務付けられたことを参考に、格付会社についても、報酬を確認できるような状況に置くというのは、利益相反問題への有効な手段だと思う。

  • 登録制に関する基本的な方向性については賛成するが、これにより何が改善されるのかが問題。登録制を取り入れたことで、逆に当局がお墨付きを与えたと誤信し、投資家が過度に格付を信頼して誤解を招く可能性があるのではないか。

  • 格付符号は分かりやすいが、格付会社に対する規制によって、格付に色々な警告文句をつけることになり、格付の意義が小さくなる懸念があるので工夫が必要。

  • 原資産に関する情報やモデルに関する情報について開示を進めるというところであるが、規制の枠組みで促進されるべきなのか。金融業の中で、情報をどう生産して、民間会社にペイさせていくか。格付会社も民間企業なので、全てが開示されるとなると会社が成り立たなくなり、モデル自体が開発されなくなってしまうのではないか。中小企業は格付に依存せざるを得ず、難しいモデルを開示されても、大手の投資家は意味が分かるが、中小・個人投資家はその意味が分からないため、情報開示を進めると、かえって格差が広がってしまう。どのように情報開示をさせていくかについては、慎重に検討する必要がある。

  • 格付会社の規制についての基本的な考え方は賛成。ただし、プロ以外でも格付の意味が分かるやさしい言葉で説明するようにして欲しい。また、格付は大手の機関投資家だけが使うのではなく、ニュース等によって報道され、企業イメージにもつながっていくことに留意する必要がある。

  • 格付会社に対する行動規範も重要だが、職員に対する教育に関するものとして、規制の項目の一つに研修の義務化を入れるなどして、格付会社の中で行動規範の価値を高めていくことが必要。

  • 大手の投資家は独自に情報の分析ができるが、一般の個人は、独自に情報収集する時間もなく、格付は大きな意味を持っている。地方銀行も社内格付は行っているが、格付会社の方が自分より良い分析をしていると言っていた。そういう信頼による投資のプロセスが損なわれてしまった。格付会社に対する規制はあった方がよいと思う。少なくとも、どういうプロセスを経て、トリプルAのものがデフォルトしたのかといった点は明らかにすべき。

  • 監査法人のように、格付会社も現状コンサルティングの仕事をしているのであれば、今後はやらないような規制をすべきではないか。

  • 格付会社は二社が独占的な役割を担っている。製造業などの世界では独禁法上の規制が働いている。

  • 登録制を含め、規制の方向性については異論はないが、例えば、第二種金融商品取引業者についての登録制にはやや懸念を持っているので、格付会社の登録制について、中身をきちんと詰めて具体化していただきたい。登録制の下で、検査・監督がきちんと行われているのか、良い評価をする格付会社でないと使わない、といったことが、起こらないような仕組みを考えて頂きたい。

(以上)

問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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