金融審議会金融分科会第一部会(第56回)議事要旨

1. 日時:

平成20年11月25日(火)14時30分~15時30分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題

格付会社に係る規制の枠組みについて

○ 事務局説明

○ 討議

4. 議事内容

  • 上記について事務局からの説明の後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

  • IOSCOの基本行動規範をベースとするという考え方は、金融市場が平常である時には良いかもしれないが、現状のように百年に一度の金融危機が起きているときには、IOSCOの考え方は必要であるが十分ではなく、強い政府が必要。

  • 体制整備の具体的内容になるのかもしれないが、品質についての記述が希薄である。資本市場において、格付会社のような情報仲介業者の品質を高めるという視点は重要であり、この点をもっと強く出しても良いのではないか。

  • 国際的整合性を確保する観点から、一定の規制を導入することについては賛成。投資家が格付に過度に依存して投資判断を行っていたというのは紛れもない事実である。資本市場のインフラ整備が必要。高格付の債券がデフォルトしたのは、果たして百年に一度の歴史的な要因によるものなのか、格付会社の行為そのものに問題があったのではないかをよく検討しなければならない。また、利益相反の問題については、格付会社が格付対象から受け取る報酬内容を具体的に開示すべきではないか。

  • 監査法人で問題になったように、格付会社によるコンサルティング業務の兼業についても禁止されるべきではないか。

  • 体制整備や禁止行為は、追加的に規定を置くこともあり得るので、現時点では幅を持たせておくということは考えられる。他方で、登録を受けることによる効果は、欧州案に比べて少し緩和されているのではないか。金融商品取引業者の側からすると、金融商品を推奨するにはそれなりの根拠が必要であるので、金融商品取引業者が勧誘に利用する格付は登録した格付会社のものに限る、とするのも一つの手ではないか。

  • 米系の大手格付会社が登録しない場合でも、個人投資家はその格付を使わざるを得なくなることを考えると、日本の企業やその子会社が格付を取得する場合は、登録した格付会社から取得しなければならない、という義務が必要である。

  • 格付会社を巡る問題点は、(1)主に発行体から報酬を受領するという利益相反の問題、(2)格付の公的利用がお墨付きとなり、格付への過度の依存を招いたという点、(3)ストラクチャード・ファイナンスの格付を別扱いすること、の3点に整理することができ、これに応じた規制のメリハリが必要。(3)のストラクチャード・ファイナンスの格付を別扱いすることについては、IOSCOの基本行動規範を日本に取り入れていく中で対応していくことと理解。(2)については、米国のように格付への依存を減らす観点から公的利用の見直しを行い、規制の依存がなくなると、登録の意味が無くなってしまう。他方で、(登録された格付会社の格付の利用義務を課すという)欧州案のような規制だと、格付に新たなお墨付きを与えてしまう。以上の点を考えると、登録を受けることによる効果として提示された案は一つの工夫だと思う。(1)の利益相反の問題は、全ての格付会社が発行体から報酬を得ているわけではなく、また公開情報のみに基づいて格付を行っているところもあるので、利益相反の枠組みやガバナンスの体制に応じた規制の枠組みを検討することが必要。

  • 一定のステータスを登録要件にしてしまうと、ステータスがないと活動できないことになり、イノベーションが阻害されかねないので、未登録であることが不利にならないような工夫が必要。

  • 欧米はより厳しい規制となっているが、禁止行為を厳しくしすぎると登録しない格付会社が出てきてしまう可能性があるので、バランスをよく考えることが必要。

(以 上)

問い合わせ先

金融庁 Tel:03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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