金融審議会金融分科会第二部会会合(第41回)議事録

日時:平成19年11月19日(月曜日)10時00分~12時00分

場所:中央合同庁舎第4号館9階 金融庁特別会議室

○岩原部会長

それでは、時間でございますので、ただいまから第41回金融審議会金融分科会第二部会を開催いたします。皆様、本日もお忙しいところお集まり頂きまして、誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議は公開となっておりますので、その点のご了解をまずお願いしたいと存じます。

議事に入ります前に、第40回第二部会以降の委員の方のご異動がございますので、ご報告申し上げます。木村裕士委員がご退任になり、本日はご欠席でございますが、小島茂委員がご就任になられました。

また、本日は池尾委員、小島委員、金丸委員、関委員、野村委員、堀内委員、山下委員、神田委員、落合委員、柄澤委員、國部委員、渡辺委員がご欠席でございます。

それでは、本日の議事に移らせて頂きます。

本日の議題は、「銀行の業務範囲規制のあり方について」でございます。

本日、この議題を取り上げるに至った経緯を簡単にご紹介いたします。

お手元の資料1、第二部会41-1をご覧頂きたいと存じます。

本年6月13日に取りまとめられました「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディーグループ」の中間論点整理(第一次)におきまして、検討課題の一つとして、銀行・証券に係るファイアーウォール規制のあり方が挙げられているところであります。これを受けまして、既に第一部会において、ファイアーウォール規制のあり方について審議が開始されておりますが、論点整理の中では金融サービスの高度化、多様化に伴い、新たな金融関連業務へのニーズが高まっていることにかんがみ、金融グループに対する業務範囲規制のあり方についても規制の趣旨や業務の特性等を踏まえ、今後、検討する必要があるとされております。この点につきましては、銀行等に関する制度的な議論が必要な分野であり、当第二部会で審議を開始したいと思います。

本件につきましては、より充実した審議とするため、本日は、我が国金融資本市場の国際化に関するスタディーグループの議論に参加頂きました国際銀行協会(IBA)会長のポール・クオ様のほか、全国銀行協会会長行室の室長、北川様、横浜銀行代表取締役副頭取の早川様、第二地方銀行協会金融情報室室長澤井様、日本証券業協会政策本部調査部長、島村様にも参考人としてご参加頂く形で進めさせて頂きたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、お手元の議事次第に沿いまして議論を頂きたいと思います。

まず、事務局より論点を提示、説明して頂いた後、討議を頂きたいと思います。

では、まず事務局から説明をお願いします。

○遠藤信用制度参事官

それでは、事務局より説明させて頂きたいと思います。資料は第二部会41-2及び第二部会41-3と右肩の方に番号を付番されているものでございます。1つは論点メモ、もう一つは銀行の業務範囲規制のあり方について、関係資料と銘打った資料でございます。この両方に基づいてご説明させて頂きたいと思います。

まず、論点メモの1ページ目でございますけれども、基本的考え方ということでございます。この論点メモの書き方は、文章の冒頭、ハイフンがありますのは現在の客観的状況についての現状の記述でございます。それからそれを受けて黒丸の部分については論点といいますか、問題提起といったものでメモを整理しております。

まず、基本的考え方でございますけれども、1つ目のハイフン、銀行法は銀行の業務範囲について他業禁止規制を課し、固有業務、付随業務、他業証券業、その他法定他業に限定しているということ。この趣旨は、こうした業務範囲規制は銀行経営の健全性確保の観点から他業禁止が課されている趣旨。これをもう少しブレークダウンいたしますと、銀行業務専念による効率性の発揮、利益相反取引の防止、他業リスクの回避等を踏まえたものと考えることができます。また、銀行は公共的性格を持ち、セーフティネットが存在しているといったことでございます。

それから2つ目の事実といたしまして、銀行の子会社、銀行持株会社の子会社についても他業禁止の趣旨及び組織形態にゆがみを与えない観点から、その業務範囲は法令により同一内容を限定列挙しております。

3つ目の点でございますけれども、子会社業務範囲規制は、子会社が国内に設置されているか、あるいは国外に設置されているかを問わず、一律に適用になっております。

4点目でございますが、こうした業務範囲規制は、金融の高度化、多様化の進展等に伴い、銀行経営の健全性確保のほか、利用者利便の向上等の観点も加味しながら、累次にわたってその対象を拡大してきたという事実があります。

第二部会41-3、関係資料の方を見て頂きますと、めくって頂きまして3ページでございますけれども、ここでは銀行本体の業務範囲について説明しております。今、論点メモで申し上げましたように、銀行本体の業務範囲は上の方にございますように固有業務、付随業務、他業証券業、法定他業と、この4について規定がございます。特に、この付随業務の部分についていろいろ拡大してきているわけでございますけれども、この付随業務は法律の書き方が、マル1マル2とございますが、基本的な付随業務は例示しております。その例示をしている規定の柱書きの部分に次に掲げる業務、「その他の銀行業に付随する業務」を営むことができるという形がございまして、その他の銀行業に付随する業務というのは一体何なのかということが、付随業務としてどこまでが読み込めるのかというのが、その時代、その時代において議論になっているということでございます。

このその他の銀行業に付随業務というのはどういう基準に基づいて、その業務として認められるのかどうかというのが下の方にございます。マル1からマル4でございますけれども、これは主要行等向け総合的な監督指針にこの基準というものが併記されております。まず、1つ目の基準が、例示されている固有業務、あるいは付随業務に掲げる業務に準ずるか。2つ目の基準が、その業務が付随する固有業務の規模に比して過大なものになっていないか。3つ目の基準が、銀行業務との機能的な親近性、リスクの同質性が認められるか。4つ目の基準が、固有業務を遂行する中で、正当に生じた余剰能力の活用に資するかといった4つの基準に照らして、そのとき、そのときにおいて付随業務を拡大してきているといったことでございます。

1枚めくって頂きまして、次に銀行の子会社及び銀行持株会社の子会社。銀行持株会社の子会社というのは、銀行から見ますと銀行の兄弟会社でございますけれども、こういった銀行の子会社、あるいは銀行兄弟会社の業務範囲についての説明でございます。これについての規定は、一番上の方にありますように、銀行・銀行持株会社は、銀行、長期信用銀行、金融商品取引業者以下、いろいろな会社以外の会社を子会社としてはならないといった規定になっております。この中で、従属業務及び金融関連業務、特にこの金融関連業務でございますけれども、この金融関連業務を営む会社として何を読み込むかという形で、銀行の子会社あるいは銀行兄弟会社の業務範囲というものを拡大してきているといったことでございます。

この従属業務を営む会社あるいは金融関連業務を営む会社ということについては、これは内閣府令ですべて受けて、銀行法施行規則の中で、そのとき、そのときの要請に応じたものを追加しているといったことでございます。例えば、この金融関連業務を見て頂きますと、2行目から3行目でございますけれども、サービサー業でありますとか、プリペイドカード業でありますとか、リース業といったものが金融関連業務としてこれまで認定してまいりました。

5ページ以下は、こうした銀行グループの業務範囲に関するこれまでの金融審のご議論等をまとめたものでございます。3つ大きな答申がございまして、その答申の中で銀行グループの業務範囲について触れております。5ページは新しい金融制度について、これは平成3年の金融制度調査会の答申でございますけれども、これはいわゆる業態別子会社方式を認めた答申でございます。

1枚めくって頂きまして6ページでございますけれども、これは平成9年の「我が国金融システムの改革について」という答申でございまして、これについてはいわゆる金融持株会社、銀行持株会社制度を認め、銀行持株会社制度の下の子会社、すなわち銀行の兄弟会社についての業務範囲規制についていろいろとご議論頂いたものでございます。この中で、ちょっと注目すべき記述についてご紹介させて頂きますと、6ページの真ん中あたり、イ)でございますけれども、下線部を引いてあるところでございますが、「同一持ち株会社の傘下の子会社(以下「兄弟会社」という。)間は親子会社間に比して直接の出資関係が希薄であり」「基本的にはそれぞれの経営の状況が相互に直接的な影響を与えにくい仕組み」になっている。

次の段落でございますが、「兄弟会社の経営悪化によるリスクも親子会社の場合に比べ及びにくいと考えられ、リスク遮断等の面では相対的に優れていると考えられる。」といった形になっております。

次のページをめくって頂きまして、(2)マル1の下線部でございますけれども、「銀行を保有する持株会社の子会社の業務範囲については、金融関連の新規分野への参入等に配慮した自由度の高いものとする必要がある。兄弟会社間は親子会社間に比べ相互に経営に与える影響がより少ない仕組みであることを踏まえれば、金融関連分野の業務を行う会社については、新規設立に限らず幅広く柔軟に銀行を保有する持株会社の子会社を可能とすることが適当である。」といった記述がございます。

答申上は、こういった形で銀行の子会社に比べて銀行の兄弟会社というものは、銀行の経営に与える影響というものがより遮断された形になっているので、そこは銀行の子会社の業務範囲より、より弾力的に銀行兄弟会社の業務範囲を考えることができるのではないかという答申を頂いておりますけれども、先ほど論点メモで申しましたように、現時点においては銀行の子会社と銀行の兄弟会社についての規定は同一の規定になっているといった状況にございます。

それから関係資料の9ページでございますけれども、これは先ほど申しました銀行の本体業務についてどのような業務を追加的に拡大してきたかという歴史を最近数年分についてとってみたものでございます。

10ページを見て頂きますと、これは銀行の子会社及び銀行の兄弟会社についての業務範囲の主な拡大についてのこれまでの歴史を書いたものでございます。

論点メモに戻って頂きまして、1ページ目の一番下でございますけれども、黒丸で問題を提起しております。今後、業務範囲規制のあり方の議論を進めるに当たっては、規制の趣旨について改めて考え方を整理する必要があります。以下のような指摘についてどのように考えるかということで、議論をして頂くときの視点というものを、とりあえず事務方の方で整理させて頂きまして、7項目挙げました。

2ページ目でございますけれども、まず1点目は、金融の高度化、多様化により、金融関連分野と一般事業の境界が必ずしも明確に区分できなくなっているのではないか。

2点目、利用者アクセスに優れる銀行グループが、既存業務とのシナジーを発揮しながら多様なサービスを提供することは、利用者利便の向上、銀行経営の効率化にも資するのではないか。

3点目、諸外国の制度との比較において、我が国銀行グループの国際的競争力確保の観点から、一層の柔軟化を図るべきではないか。

4点目、兄弟会社間は親子会社間に比べ相互に経営に与える影響がより少ない仕組みであることを踏まえれば、銀行の兄弟会社の業務範囲規制は、銀行の子会社より緩和してもよいのではないか。

5点目は、銀行の財務の健全性の確保はもとより、昨今の銀行を取り巻く状況に鑑み、利益相反の防止や優越的地位の濫用の懸念等の視点はこれまで以上に重視すべきではないか。

6点目、諸外国の銀行に比して、日本の銀行グループの社会的な影響力、産業支配の懸念等が相対的に大きいと考えることについて、十分留意すべきではないか。

7点目、銀行は決済機能を担っており、その公共的性格から預金保険制度が存在するなど、保険、証券等他の業態とは異なる面を有することも重視して然るべきではないか。

3点目に申しました諸外国の制度でございますけれども、これについては関係資料41-3の11ページを見て頂きますと、特に注目されますのは、アメリカのGramm-Leach-Bliley Act(GLB法:金融制度改革法)に基づいて設置されましたFinancial Holding Company(FHC:金融持株会社)といった制度でございます。11ページの上の方にございますように、GLB法とFHCについてということでございまして、このGLB法に基づくFHCというのが認められ、従来銀行持株会社(BHC)といった金融グループが、ある一定要件を満たした場合にはFHCに転換できるという形になっております。そのFHCに転換された場合には、そこにマル1マル2とございますけれども、証券・保険、マーチャント・バンキング業務等を含む、BHCに比べて広い範囲の「本源的な金融業務又はこれらの金融業務に付随する業務が」ができると。マル2といたしまして「金融業務の補完的業務」これを行うことが認められるということでございます。

ここに書いておりませんけれども、金融業務の補完的業務ということに関しては、本源的業務と異なりまして、補完的業務に関しては必ずFRBの個別の事前承認が必要であるといった形。すなわち、FRBがその申請した業務が本当に金融業務の補完的業務であるかどうかということをきちっと認定している、審査しているといった制度としているようでございます。BHCからFHCへ移行する場合というのは、一定要件を満たしたものと申しましたけれども、その一定要件が下の方に書かれております。

3つ大きな柱がございまして、まずマル1でございますけれども、傘下のすべての預金取扱金融機関の自己資本が優良ということでございまして、Tier1比率6%以上、総自己資本比率10%以上を求めておられます。

マル2といたしまして、すべての預金取扱金融機関の経営状態が良好ということでございまして、その使う指標はアメリカの金融当局が銀行の格付制度として使っているCAMELS(米国における評定制度)を使って、ここの5段階中、上位2ランクの評価が必要になっております。

マル3といたしまして、直近の地域再投資法(CRA)に基づく審査結果がsatisfactory以上であるといったことを要件といたしまして、FHCの取得というものを認容していくといった制度をとっているようでございます。

論点メモに戻って頂きまして、3ページ以下でございますけれども、それではそういう業務範囲について、そのあり方を検討する際に、新たに銀行にこういった業務について、より認めるべきではないかといった巷間いろいろと言われている議論がございます。これは、そういう議論について、指摘のある部分について整理したものでございます。特にここの論点メモでは、このそれぞれのものについて具体的な見直しの方向性というものをお示ししたものではございません。これらについては、こういった分野について議論がありますということをご紹介し、その方向性については委員の皆様方に忌憚のない十分なご審議を頂きたいというふうに考えております。

まず1点目でございますけれども、コモディティ業務でございます。これは3ページの論点メモの一番上でございまして、関係資料の13ページが関係する資料でございます。

まず、コモディティでございますけれども、論点メモのハイフンのところでございますが、商品取引は、他業禁止の典型として、その現物取引は銀行グループに認められておらず、商品デリバティブも差金決済取引に限定されているといった状況がございます。2つ目のハイフンといたしまして、米国においては、金融持株会社の認可を受けた銀行グループの銀行兄弟会社が、商品デリバティブの補完的業務との位置づけで、リスク管理上の一定の制約下、商品の現物取引を許容といった形でございます。

関係資料の13ページを見て頂きますと、今、論点メモを読ませて頂きましたものについて表にしております。見て頂きますとわかりますように、このマトリクスの表で商品取引というのを横にたぐって頂きますと、銀行、銀行子会社、銀行兄弟会社はすべて×になっています。証券会社、第1種金商業者は○になっているということでございます。商品デリバティブのところを同じように見て頂きますと、銀行、銀行子会社、銀行兄弟会社は△という形になります。これは商品デリバティブ取引について行うことは認めているわけでございますけれども、その場合には差金決済のみの商品であると。現物決済の商品は認めていないという形になっております。

1枚めくって頂きまして14ページでございますけれども、これはアメリカのFHCにおけるコモディティの現物取引の承認事例ということでございます。関連資料11ページのところ、今さっき説明して頂きましたように、アメリカのFHC制度においては、補完的業務に関しては、FRBの個別の承認を受けて行えると。その承認が通った場合にのみ行われるという形になっております。実際に、このコモディティの現物取引に関しても、FHCの傘下の子会社においてデリバティブ取引の補完的業務としての位置づけで個別の承認を受けて行っているというのが実態でございます。承認先としては、ここに書いてあるシティグループを初めとする金融6グループにのみ2006年時点では認めていたということでございます。

このシティグループに承認した事例でございますけれども、条件を付しております。実際、個別の承認は、個別の承認の結果というものをすべてディスクローズしておりますので、そこに書かれていることでございますけれども、シティグループの場合には3つの条件が付されておりまして、まず1つ目の条件といたしましてはマル1の一番最後のところ、商品の現物の市場価格がTier1比率の5%を超えないこと。2番目の柱といたしまして、承認された商品デリバティブ取引に係る現物取引に限定されるということ。マル3といたしまして、銀行が商品の現物を持つわけにいきませんので、当該商品の抽出、運搬、保管、流通のための施設保有は禁止されておりますし、当該商品の処理、精製、その他の変更を行うことも禁止されるといった条件を付して子会社で限定的に認めたというのがアメリカの実例でございます。

論点メモに返って頂きまして、2つ目の個々の業務でございますけれども、イスラム金融でございます。

イスラム金融は利子を取ることが禁じられている中で、商品売買やリースの形式を用いることにより実質的には貸付けと同視し得る取引を実現するものでございます。商品売買等を伴うものであり、現行の銀行法令では、基本的にこれらの業務はできないという形になっております。

関係資料の16ページでございます。イスラム金融についての概要を図示しておりますけれども、上の左の四角でございますけれども、「・」が不動産購入、株式、融資でありまして、融資のところにバツが打ってありまして、リバー(利子)の禁止という形になっております。下の※融資の代替としてムラーバハ、これは売買形態の取引、イジャーラ、リース形態の取引などが発達ということでございまして、この商品売買でありますとか、リースといった、その外形だけ見ますと、これは日本の業務範囲規制に抵触することでございますけれども、その実態は融資であるといったのがイスラム金融でございます。

今の業務範囲規制をそのまま形式的に適用すると、このイスラム金融については、外形的なものについて抵触するという形になって、日本の金融機関が子会社等でこれらを行うことができないという形になっております。

論点メモ3ページに戻りまして(3)排出権取引でございます。

排出権は、追加的に温室効果ガスを排出する権利として観念されるが、その法的な位置づけは、現状不明確。また、発展途上の分野でもあり、管理等に伴うリスクも必ずしも明らかでなく、現状、銀行本体による現物取引は認められていない。最近では、排出権の取引インフラである国際取引ログが間もなく本格稼働する見込みであるなど、新たな動きも見られるといったことでございます。

排出権取引に関しては、何枚か資料をつけておりますけれども、22ページを先に見て頂きたいと思います。これは排出権の取引に関して、この9月の金商法の施行に伴いまして、銀行法の業務範囲についても少し拡大しております。その際にもう一度整理し直したもので、その結果がこのようなマトリクスになっております。排出権の取引と金融機関ということでございまして、排出権のデリバティブ取引については銀行も差金決済のみという形で認めていますし、銀行子会社に関してはフルに認めているという形になっております。現状認めていないのは、排出権取引の現物取引でございまして、これを銀行本体で認めていないという形になっております。

この排出権を取り巻く現状でございますけれども、19ページに戻って頂きまして、これは排出権のそもそも論でございますが、気候変動枠組条約に基づく京都議定書に基づきまして、下の方に書いてあります※2、2008年から2012年までの間の温室効果ガスの総排出量を1990年時点の排出量に5を乗じた値から割り当てられた目標分を削減しようというものでございまして、我が国に課せられた目標分削減額は△6%といったことでございます。この△6%を達成するために、目標達成の手段として京都メカニズムを用いることを認めたということでございます。

京都メカニズムというのが右上の方の大きな四角でございまして、JI(共同実施)によって排出権を生み出す。クリーン開発メカニズム(CDM)によって排出権を生み出す。第17条によって、そういった排出権取引を先進国間で取引することを認めるというのが京都メカニズムでございます。

1枚めくって頂きまして20ページでございますけれども、排出権の種類でございまして、今、私が説明いたしましたのは、あくまでも京都議定書に基づく京都メカニズムによって生み出される排出権でございます。それはこの20ページの左側に書いてあるわけでございますけれども、排出権というのは実は京都メカニズムに基づくものだけではございませんで、EUにおいて、EUの排出権取引スキームという形で生み出されている排出権というものもございます。こういった形で、京都メカニズム及びEUの排出権取引スキームと、この2大柱でございますけれども、排出権についてはさまざまな種類があるということでございます。

この排出権を取り巻く状況でございますけれども、21ページでございますが、排出権の取引の効果というのは、国別の登録簿に登記されて初めてそれが排出権が取引されたという形になります。国をまたいで排出権が取引される場合には、その介在役としてのシステムが稼働しなければなりません。これが絵にかいてあります国連の国際取引ログ(ITL)でございます。これはまだ稼働しておりませんでした。これは年内中、もう間もなく稼働すると言われております。この国際取引ログが稼働することによって初めて排出権の国際的な取引というものが効力を発揮するということでございまして、急速に排出権の取引に伴う環境というものは整備されつつあるということと、それからこれは経済産業省、環境省、それから我々もそれに協力してオブザーバーとして参加しておりますけれども、霞が関の中でこの排出権についての法的性格等、まだ詰まっていない法的問題がございますので、それを明らかにしようという試みが今急速に行われているところでございます。

それから論点メモの4ページをめくって頂きますと、リースについて書かれています。

物品・物件の賃貸は他業と考えられるが、いわゆるファイナンス・リースは、経済的には設備投資資金の貸付けと同等であると解され、現状、銀行または銀行持株会社の子会社には、ファイナンス・リースを主として営むリース業を行うことを許容しております。一方、オペレーティング・リースは、リース物件の残存価格リスクを負うこととなるため、これは全面的には認めておりません。

中古物件の売買・メンテナンスについては、リース満了時の売却等、リース取引と一体と認められるものに限って認めている。一方、銀行系列外のリース会社にはこれらの制限はないということでございます。

以上、述べました規制について、それを絵を使ってまとめたのが関係資料の24ページでございます。繰り返しになりますけれども、リース業については、これを本体では認めておりません。銀行・銀行持株会社の子会社については、24ページの下の左の四角にありますような総リース収入に占めるファイナンス・リースの割合が半分を超えるようなものについて認めている。どうしてかというと、ファイナンス・リースというのは、右の点線の四角でありますように、リースの中で中途解約禁止、フルペイアウトという条件がつくのでございますけれども、これは極めて金融に類似する、貸し出しに類似する業務であるというふうに認定して、ファイナンス・リースを主にしている子会社については、銀行の子会社として認めるという形にしております。それからリースを行いますと、どうしてもリース期間が終了して、物品がリース会社に返ってまいります。ということで、中古物件売買業務というのが、どうしてもリース業務について不可避的な業務になるわけでございますけれども、これについてはリース取引と一体とみなされる。すなわちリース契約満了物件の売却等に限定されているというのが現在の規制でございます。

論点メモに返って頂きまして、4ページ下の方、マーチャント・バンキング業務。

マーチャント・バンキング業務というのは、やや聞きなれないといいますか、いろいろなマーチャント・バンキング業務という言葉がありますので、ここで定義をはっきりさせますと、この下に括弧がありますように、投資家への販売または自己の資産運用のために一般事業会社の株式等を保有する、そういった業務でございます。これについては、銀行グループは有価証券投資やデリバティブ取引を投資目的で行うことができる。他方、他業禁止の趣旨徹底と子会社業務範囲規制の潜脱回避の観点から、一般事業会社の議決権のある株式等への投資については、上限規制、基本的には銀行本体とその子会社の合算で5%以下という上限規制が課されております。さらに、銀行保有株式制限法によって、銀行が保有する株式の総額は連結Tier1を超えてはならないという形になっております。

独占禁止法においても、銀行が国内の会社の議決権を5%超えて取得・保有することは禁止されております。また、銀行のベンチャーキャピタル子会社によるベンチャービジネス会社の出資については、上限規制の例外というのが銀行法の中で定められております。

1枚めくって頂きまして、米国の金融持株会社(FHC)の認可を受けた銀行グループでは、グループの証券子会社等を通じたマーチャント・バンキングを許容しているということでございます。

このマーチャント・バンキング業務に関しては、26ページ以下に資料をつけております。26ページは、先ほどの議決権保有制限、銀行法の規定を図示したものでございます。先ほど申しましたように、左側上の方の絵でございますけれども、銀行とその子会社を合算して5%超の議決権保有を禁止しております。ただ、その中に適用除外といいますか例外がございまして、注にありますようなベンチャービジネス会社に対する議決権の保有については、ベンチャーキャピタル会社を子会社にした場合には、この5%の規定がかからないといったことでありますとか、下のマル1マル2マル3といった議決権保有制限の適用除外の規定はございます。

それから1枚めくって頂きまして27ページでございますけれども、金融機関の株式保有制限についての日米欧比較で、アメリカの部分を見て頂きますと、銀行とBHCとFHCというのがございます。

FHCについてでございますが、証券子会社、保険子会社等を通じて。これはコモディティのように補完的業務ではございませんで、マーチャント・バンキング業務は本源的金融業務というふうに認められているようでございます。本源的金融業務として、マーチャント・バンキングに従事可能という形になっております。ただし、ここにはさまざまな条件がございまして、この条件といたしましては、下に「・」が3つございますように、日常的な経営関与は行ってはいけないと。投資期間は原則10年であるということ。それから、そういったマーチャント・バンキング投資の総額は、FHC連結自己資本(Tier1)の30%以内という形で限定されているということのようでございます。

28ページは、先ほど申しました株式等保有制限法、あるいは独禁法による規制でございます。

それから論点メモに戻って頂きまして、投資助言・代理業でございます。

投資助言と代理業は、金融商品取引法においては、銀行等の登録金融機関は、金融商品に関する投資助言・代理業を営むことが認められたが、銀行法において、これらの業務は銀行本体の業務として位置づけられていないといった状況にございます。

投資助言・代理業というのは、もう少し正確な表現をいたしますと、下の※にありますような、有価証券等の金融商品等の価値等に関する助言業務、投資顧問契約または投資一任契約の締結の代理・媒介ということでございまして、これらについては一部、この9月の銀行法の業務範囲規制の見直しの中で認めているわけでございますけれども、これは完全には認められていないということでございまして、金融商品取引法で規定した投資助言・代理業についての受けの規定が銀行法において完備されていないといった状況にございます。

論点メモ、もう1枚めくって頂きまして、利益相反取引と優越的地位の濫用の禁止でございます。

銀行法には、いわゆるアームズ・レングス・ルール、あるいは優越的地位の濫用、抱き合わせ販売の禁止等の規定がございます。

これについての黒丸でございますけれども、利益相反取引、優越的地位の濫用といった弊害の防止をどのように行っていくべきなのかが問題になるかと思います。

このアームズ・レングス・ルールでありますとか、優越的地位の濫用の防止といった個々の規定は既にあるわけでございますけれども、それらにつけ加えて、個々の局面におけるきめ細かいルール設定を目指すべきなのか、あるいは銀行グループみずからの適切な問題把握、管理、対応体制の構築を前提にそれを事後的に行政がモニタリングする方向で、こういった利益相反取引の禁止でありますとか、優越的地位の濫用の禁止といったことを担保していくべきなのかということについて、いろいろとご議論を頂きたいというふうに考えています。

最後、7ページでございますけれども、今までの業務範囲とちょっと毛色が違った話でございますけれども、クロスボーダー規制についてご説明させて頂きたいと思います。論点メモが7ページ、関係資料の33ページでございます。

論点メモを読ませて頂きますと、銀行法では、外国銀行が日本国内で銀行業を営むためには、免許を受けて現地法人を設立するか、支店を設置するかのいずれかの方法をとることが必要になっております。

在日支店については、銀行法は「外国銀行の在日支店を一の銀行と見なして、銀行法を適用する」旨規定しております。これは取引の主体である外国銀行に対する監督・検査権の実効性を確保するための措置でございます。

現行法上、「外国銀行の業務の媒介」を行うことは、銀行の業務として認めておりません。外国銀行の在日支店や外資系邦銀の国内支店は、日本国内の顧客に対し、母体である外国銀行の海外ブック取引の勧誘を行うことは認められておりません。この点は、邦銀が海外に現地法人を設立した場合も同様でありまして、邦銀の国内支店は、海外現地法人の海外拠点ブックの取引の勧誘を行うことは認められておりません。一方、邦銀の国内支店は、銀行法の適用が及ぶ当該邦銀の海外支店ブックの取引の勧誘が認められているといった状況にございます。

これについて、文字で述べますとわかりにくいと思いますので、33ページを見て頂きますと、4つの取引を並べております。右から2つ目が、外国銀行が日本に進出する場合の形態でございますけれども、通常、外国銀行は日本に支店を設置して銀行業の免許を取って、日本において銀行業務を営んでいるという形になっております。先ほど申しましたように、現在の銀行法では、付随業務として外国銀行の業務の媒介を認めておりませんので、外銀の在日支店というのは、母体の外国銀行に日本の顧客に対しての取引というのをつなげるといいますか、勧誘して母体の外国銀行に取引をブックすることができないという形になっております。

一番右でございますけれども、これまでは在日支店という支店を設置して外国銀行というのは進出していたわけでございますけれども、今年の春に初めてシティバンクが現法という形で日本の業務を行うという形になりました。この現法におきましても、母体の外国銀行を代理して日本国内で業務を行うことはできません。外国銀行の業務の媒介というのは、今の付随業務の中に入っておりませんので、外国の銀行の業務の媒介を外資系の邦銀が行えないといった状態になっております。

これに対しては、日本の銀行が海外に支店を設置した場合はどうかということでございまして、これが一番左の図でございまして、邦銀が日本国内の顧客に対していろいろな業務を行いまして、その日本の顧客のために邦銀の海外支店に取引をブックすることは可能だということでございまして、一番左の取引の図と右から2番目の取引の図、これは邦銀と外銀をそれぞれ支店形態で進出した場合をあらわしているわけでございますけれども、ここでやや非対称的な取り扱いになっているということでございます。

左から2番目の図でございますけれども、これは邦銀についての話でございまして、邦銀が海外現法を設置する場合がございます。特に、その当地の金融当局の要請において海外現法を支店ではなくて設置せざるを得ないといった場合がございます。この場合には、邦銀の海外現法は、日本の銀行から見て外国銀行になりますので、この外国銀行の業務の媒介を日本の親であります邦銀が行えないといったようなことでございまして、広く海外展開をする日本の顧客にとって、非常に顧客利便性にすぐれていない状況になっているといったことでございます。

こういった状況を受けまして、論点メモの一番最後でございますけれども、黒丸2つでございますが、こうした状況は、国際的に事業展開する本邦企業への金融サービスや、我が国金融市場への外国銀行の参入、国内顧客の利便性を阻害しており、一定の対応が必要ではないか。

クロスボーダー取引を考える場合には、我が国当局の直接の監督権が及ばない外国銀行の位置づけと顧客保護、マネーロンダリング、脱税の防止といった観点に留意すべきではないかといった点についてご議論頂ければなというふうに考えております。

私からの説明は以上でございます。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

この後、ご議論に移りたいと思いますが、その前に、渡辺大臣にお越し頂きましたので、もしよければ一言よろしいですか。

○渡辺金融担当大臣

結構です。どうぞ、進めてください。

○岩原部会長

それでは、討議に移りたいと思いますが、討議に移る前に、まず弁護士として銀行とその利用者の事情や国内のみならず、海外の金融機関も含めて実務についての豊富なご経験のある和仁委員より、本日の議題に関する概括的なご意見を頂きたいと思います。

それでは、和仁委員、よろしくお願いいたします。

○和仁委員

お手元の第二部会第41-4と書いた縦書きの資料がございます。フォントが小さくて読みづらいかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

今の遠藤さんのご指摘にしたがって、これは非常によくできた資料だと思いますけれども、そこに基づいて私のコメントを述べさせて頂きます。一応、マーケット参加者の側からということでお話をさせて頂きます。

まず、問題になっているのは遠藤さんのメモでも書かれておりましたけれども、なぜ銀行の業務は制約を受けるのかということに関して、いろいろ議論がありました。銀行には銀行法第10条1項で固有業務ということで、1号業務、2号業務、3号業務がございますが、基本的に現在、銀行しか提供ができない、銀行にお願いするしか、ほかのところでは引き受け手がない業務というのは、実は、3号業務の為替業務なんですね。

ところが、為替業務というのは、一体何なんでしょうかというと、実はこれは定義がはっきりしない。よくよく考えていくと、どうも決済業務がその中心だと。要するに売買取引及び金融取引において、最終的に債務を消滅させる。そういう行為を担っている。それはやはり銀行にやってもらわなくちゃいけない。これが国内、国外の信用制度を支えている。それから考えると、これに、がたが来てしまうとまずいよねということで、銀行は破綻させることはできません。したがって、税金を払って預金保険制度をつくって、銀行を健全な状況へ持っていかなくちゃいけない。また、監督官庁はきちんと銀行の行動を律してくださいということになるわけです。

ただ、そういうことで君は非常に大切な仕事をしているんだから、ふだんの行動に気をつけてくれたまえというように言って自縄自縛にしてしまうと何が起こるかというと、銀行自身、本来業務では全然お金がもうからない。やはり銀行というのは、決済制度そのものを抱えて走っていくためには、いろんなところでお金をもうけなくちゃいけないが、それができないというのが現状だろうと思います。

そういう意味で、銀行は決済制度を担っているから、普通の会社と違うという議論が、常に銀行側の方から投げられているということでございましょう。付随業務に関しては、10条2項でご指摘のあったとおりですけれども、10条2項というのはオープンエンドの書き方になっていますから、時代のニーズに即したやり方で事業が認められてきたというのも事実でございます。

ただ、付随業務に入らない、あと他業証券に入らないということになりますと、これは他業禁止に触れてしまいますので、銀行にとっては非常に怖いものなんですね。でも、付随業務ということでデリバティブ取引などは認められていったわけでありまして、この付随業務の規定の書き方というのは非常にすぐれたものだと思います。

ただ、それをどういうふうに考えるかということで、先ほどもご説明がありましたけれども、(2)のマル3で、ガイドラインが4つの点を考えて総合的に判断しましょうとなっています。ご注意頂きたいのは( i )で、「10条1、2項に掲げる業務に準ずるか?」という書き方になっていますね。付随業務というのは、本来は銀行業に付随する業務であって、銀行業に付随する業務に付随する業務は入っていないんです。

ところが、実際には金融庁のお考えでは、それよりももう少し広い範囲を考えているというようにも読めるような書き方になっております。逆に、この基準でいきますと、よくわからないのは、固有業務の規模に比して過大になっていないかということが要求されていますけれども、規模で業務が認められるかどうかを考える必要があるんですかね。

それから固有業務によって生じた余剰能力の活用に資するかというのが( iv )で掲げられていますけれども、本来こんなことを考える必要があるんですかね。業務範囲を考えるときに、こういうものを持ち込むというのは、論理的に整合性があるんですかねということが言われております。

ということで、一体何を申し上げたいかというと、銀行というものに対してどういう業務を認めるのかという場合に、決済制度の担い手としての銀行を守る。それであるならば、そのためにどういう業務をやらせると、銀行がリスクを抱え込んでしまって決済制度が滞るおそれがあるかということに注意すべきことになる。そういう意味で、銀行の担っている決済制度に影響を及ぼさないような業務であれば、どんどん認めていってもいいんじゃないかというのが、私の考え方でございます。というか、そういうふうな見方で付随業務というのをダイナミックに解釈していくのもよろしいのではないかと思います。

基本的にはリスク管理ができるのか、できないのかということをベースに考えれば、先ほど遠藤さんの方からお話がありましたように、要するに兄弟会社と親子会社間で、銀行グループ会社の中でも親子会社と兄弟会社では、規制の程度を変えてしまってもいいんじゃないかということにもなってきますし、それから同じ種類の銀行であっても、銀行の規模、内部管理体制によってできることに差を設けるのは当然の話だと思います。今まではみんなどの銀行でも、銀行というライセンスを持っていれば付随業務は一律にできるというふうな考え方がマーケットに広がってきましたけれども、やはりこのリスクは拾えないよねという銀行もあれば、これぐらいだったら、どっちにしろ体力があるから大丈夫だよねという議論もあると思います。

各論の方に行かせて頂きまして、これはほとんど遠藤さんのものに従った書き方になっておりますけれども、コモディティ。これは商品という考え方だと金融審の中でも反発の強い分野かと思いますけれども、今ここでお話ししているのはホールセール、大口市場取引の話でありまして、リーテール市場、要するに一般投資家を相手にするという話とはちょっと切り離して頂いていいと思います。ホールセールに関しては、もちろん余り規制をかけるべきではないでしょう。逆にリーテールは一般投資家、金商法等の規制を課していくというのは、極めて根拠のあることだと思います。

その代表がコモディティなわけなんですが、コモディティの場合に、現行規制では現物決済を排除しますけれども、現物決済を排除するという理由が、今のところ乏しいんですね。要するに、銀行が石油を抱えてしまったらどうするんだというふうなことをいつもおっしゃるんですけれども、別に銀行がその石油を抱えて、それで石油屋さんをやるわけではありませんから、そういうことで言えば、別にその石油をだれかに引き取らせる段取りをすればいいだけの話であって、そんなに問題ではない。少なくとも子会社でやらせれば別に問題はない話だし、実際には顧客の方から、コモディティのリスクというのは金利、為替と連動してしまっているので、それをまとめてヘッジしたいという要望は強いですので、やはりそこのところでコモディティのリスクを銀行がマネージするだけの能力があるのであれば、それは認めてもいい。一般に認めるということではなくて、やはり銀行の持っているリスク管理能力、あるいは体力を考えて認めるということはよろしいのではないかと思います。

また、現在の日本の金商法行政あるいは銀行法制を考えた場合に、新しい種類のデリバティブ取引、電力デリバティブ、運賃のデリバティブ、不動産デリバティブ、こういうものはもう出てきているのは現実なんですけれども、銀行の方のどこかに読み込む必要がありますが、信用デリバティブに読み込むのが一番簡単なのかもしれないです。金商法と銀行法の間でのデリバティブ取引の考え方がずれているところから、銀行ができるんじゃないかという議論も可能なんですけれども、金商法は、非常に限定列挙で認めていく、必要に応じたらお役所が認めていくというシステムになっております。それをやって頂くには時間がかかり、認められる時点では商品が蔓延してしまう。また認めて頂くというシステムですと、それまでは違法なことをやっているのかというような話になりまして、これもまた非常にコンプライアンス上問題でありますねという問題もあります。

イスラム金融に関しては、申し上げることは、要するに商品売買を伴うからという理由だけでだめですよというのはおかしいと思います。実際に昔、銀行はかご抜けリースという形で、商品のかわりに金の売買を使ってこういう取引をやっておりました。今の銀行法で、それは読めないという解釈になるのかどうなのか、議論はあると思いますけれども、金というのは、一応銀行が扱える商品でありますから、そこから考えると、イスラム金融だからだめだということもないと思います。

それから排出権取引。これもこの前の金商法の改正のときに問題にはなりましたけれども、基本的には、付随業務として読めるということなんですね。でも、金商法のパブコメで付随業務として読めるというふうに言って頂けるまでは、みんな付随業務なのかどうなのかよくわからないということで、非常に議論が分かれていたところであります。これは排出権取引に関しましては、やはり銀行が主要な取引参加者になることによってマーケットの厚み、流動性が増すということによって、マーケットがどんどん発展していくということだと思います。欧米では、金融機関が排出権取引の主要な取引参加者です。

これは繰り返しになりますけれども、私は、ホールセールマーケットの話をしております。リーテールマーケットの話をしているわけではありません。ホールセールでは、そういう取引が行われているということを考えれば、ヨーロッパがどうなのか、アメリカがどうなのかを見てからやりましょうかということで考えるということでは、ちょっとまた二歩、三歩おくれてしまうねという話が出てくると思います。別に先走る必要はございませんが、その前にどういう体制を準備しておけばいいかということをお考え頂きたいと思います

それからリース取引。対象となる取引に関して、内包されているリスクを考えた場合に、業務範囲規制で、普通のリース会社とほかの銀行系のリース会社がやることで、差を設ける必要があるんですかねということでございます。

以下は、ちょっとつけ加えでございますけれども、有価証券貸借取引。銀行が、自分が保有している有価証券ばかりではなくて、人さまから有価証券を借りてきて、それを人に貸し付ける業務が問題なんじゃないかということを金融庁はいつも指摘されておりますけれども、これもどんなリスクが銀行に発生しているかということを考えると、そんなに大したリスクは発生しませんし、殊に有価証券貸借の媒介をやること自身は、単なるフィーを頂くだけですから、そんなに銀行業務本体に影響を及ぼすような業務でもないということで、これはステート・ストリートを初めとしていろいろなところで問題になっていて困っているのですが、ここのところは金融庁の方で何か誤解があるのかなと思いますが、論点の一つになると考えます。

それから余り取り上げられておりませんけれども、銀行の常任代理人業務。これは保護預り業務に付随するものだというように言われておりますけれども、実際にはTOBのときに、株を銀行に預けている株主が株をテンダーするのに銀行がどこまでやるんだという議論がありまして、これは金商法の適用があるのかということで、ついこの間まで問題になったところでございますけれども、この業務の性格というのがもう一つよくわからない。銀行の業務として、そこのところをきちんと押さえておく必要があると思います。

それからファイナンシャル・アドバイザリー業務。これも実は、銀行法の中でどこで読むんだといったら、10条2項の柱書きの、その他銀行業に付随する業務としか読めないわけですね。ビジネスマッチングに含まれるんだろうと言われておりますけれども、やはりちょっとよくわからないということがございます。

繰り返しになりますけれども、行為規制の部分でも、ホールセールとリーテールマーケットは違ったルールが適用されることをはっきりさせた方が良いでしょう。殊に行為規制に対して、お客さんに対してどういう対応をとるかということについては、違ったルールが適用されてしかるべきなんでしょう。

片や、一方では金商法が施行されました。精神は非常に正しいと私は思っていますけれども、どうも半分以上グレーになってしまっている。本来は、金商法というのは投資家の自己責任を貫徹させようとしてつくったはずなのが、文章が多過ぎて自己責任を認識されないまま取引が行われるような状況になりつつあるような気がして心配であります。これはちょっと考える必要があります。

それから利益相反のお話ですけれども、これは例えば銀行が2つの会社に融資していました。そうすると、片方の会社が相手の会社に対してTOBをかけましたというときに、金融機関はどういう立場をとるべきなのか。金融庁のお考えはどちらかきちんと立場をはっきりさせなさいということだと理解しております。両方にファイナンスをつけるのは余りよくありませんよというふうなお考えのように、漏れ伺っておりますけれども、そうなんでしょうか、どうなんでしょうか。議論の余地があると思います。要するに、利益相反としてもいろんな新しいものが出てきているということをご認識ください。

それからファイアーウォール規制、これは第一部会の方で議論してくださっているということでございますけれども、殊にアームズ・レングス・ルールというのは、規制される側のみならず、規制する側も基準を非常に見出しがたい取引なんですね。グループ全体で押し込み販売のようなリスクが発生しないかどうかを管理する手だてがあるのであれば、アームズ・レングス・ルールというのは、もっと緩めてもいいのではないかなという気はしています。

それから、一部に某銀行がデリバティブと預金を組み合わせて押し込み販売をやったということで、優越的地位の濫用ということが問題になりましたけれども、これは不当に優越的な地位を濫用したらまずいということでありまして、普通の交渉というのは、どちらかがどちらかに対して優越的な地位を濫用しようと、押しつけようとするのが一般です。何か言葉が踊っているなという感じもしないではありません。むしろマーケットにおける市場占有率の見地からどうなんですかと議論すべきことだろうと思います。銀行は別に聖人君子ではありません。普通の会社で、商社と変わらないわけですから。そこのところの行為について、何か特別に違うルールを持ち込むというのも難しいんじゃないかなと思います。

それからクロスボーダー規制。これは遠藤さんの方からきれいなご説明を頂きましたが、現実に起こった問題としましては、金商法が施行されたときに、金商法の行為規制のルールを銀行法で引用したのですけれども、そうすると、じゃ、海外において海外で金商法のクライアント・フェイシング・ルール、いわゆる対顧客の行為規制を適用するようなことになってしまって、非常におかしな状況が出てきた。

例えば、バンコック支店においてタイ人のおばちゃんにタイバーツの預金を売るときに、金商法に基づく告知をしなくちゃいけないのかとか、そういう変なことが起こってしまいました。やはりそこのところで、国内取引、クロスボーダー取引、それから純粋な海外における取引というものを、もう少し分けて考えた方がいいんじゃないかなということも思われます。

それらもう一つ、遠藤さんのご指摘にもありましたけれども、外国の銀行の国内支店の行動について、支店しか認めない。海外にあるその本店は何でもない会社であるというふうな考え方をとるとすると、銀行法の考え方では、日本の邦銀については海外支店も一体だということですと、じゃ、海外の銀行の日本支店は本体とは一体をなしていないのかという疑問が出てきます。殊に銀行支店開設の免許の申請の段階では、海外にある親銀行に関する資料も出して検討しているわけですね。

なおかつ、もう一つ気にとめておいて頂きたいのは、外国銀行といったって、別に日本の銀行が持っている外国の銀行もあるわけです。これ等は設立時にみんな金融庁の方で審査しておられるわけです。そこから考えると、こういう簡単な割り切り方で問題をつくり出してしまうのは、ちょっといかがなものかな、説明ができないという形になっています。

それからもう一つの問題としては、日本の国内でも、最近、M&A絡みで、大がかりなシンジケートローンが組まれるようになってきましたけれども、そのときに海外の銀行がシンジケートローンに参加してくることについて、それは日本国内における貸付け行為であるから貸金業の登録をしてくださいということを要求するというのが、一応、解釈ではないかと思います。でも、こんなのは現実問題として無理でありまして、一体どういうように対応すれば良いのでしょうか。ホールセールとリーテールで分けてしまうということなのでしょうか。あるいは国内で勧誘行為がないという形で分けてしまうのか。さっきの金融庁のお考えはブックすることは認めないという考え方ですけれども、これはちょっと見直した方がいいんじゃないかなと思います。

実際には、この問題については金融庁と私とでは意見が違うかもしれませんけれども、1980年代は余り認識されていなかったんですね。証券の方は問題があるということで、外証法で規制していたわけですけれども、銀行の方に関しては規定がないんだから、それは外からの勧誘を認めていると判断しているのではないかという考え方があったのも事実です。ですから、ホールセールとリーテールを区切ってしまえば割と問題が簡単でありまして、その場合には、今は金商法に吸収されてしまいましたけれども、外証法の考え方、要するにプロ相手にするときには別に規制はなし。それから、国内における販売勧誘がないときにも、規制なしという考え方は参考にされてはいいのではないかと考えます。

それから次は、子会社規制のお話ですけれども、要するに日本の銀行系の子会社が海外に出ていった場合に、向こうでできる、向こうの同質の会社ができることが、日本の会社ができない。だからこれは日本の銀行にとって嘆かわしいことであるというふうな議論がよくなされますけれども、やっている行為が日本の本体にどのようなリスクをもたらすのか。それを考えた上で、個別に認可を与えていくというアプローチを考えてもよろしいのではないかなと思います。やはり、ここでもリスク管理と言うことができます。どこまでリスク管理ができるのか。これは銀行の側に立証責任があるのではないかと思います。

最後に、これは本日のお話とは直接関係ないんですけれども、金融庁の方としては、海外における邦銀の利益擁護者という面ももう少し正面から打ち出して頂きたいなと思います。英国のFSAなどは、結構強気のことを言いますので、恐れ入りますけれども、防戦ばっかりじゃなくて、日本の銀行がここまで行為をするのを認めてほしいということで、もう少し擁護者になって頂きたいなというのがお願いです。

それからもう一つ、検査等で、初めて我々は日本の銀行が何をやっていいのか、いけないかの実例を学んでいるわけなんですが、金融庁の報道発表は余りにも簡単過ぎまして、どこが悪いのかがよくわからないということが時々起こります。もう少し外国の人をも含め、我々国民にとっても何が問題なのかということがよくわかるような形でのプレスリリースの出し方をして頂きたいということを、これはもう本件とはちょっと関係ないんですけれども、あわせてお願いさせて頂きます。

以上です。

○岩原部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明、それから和仁委員からのご意見を受けまして、皆様に自由にご議論頂きたいと存じます。

とりあえず、この論点メモの項目の1、基本的考え方、それから2の個々の業務について、議論を頂きたいと思います。

ご質問でも結構ですし、いかがですか。

○今松委員

基本的に遠藤さんからずっと説明頂いた論点のところです。現時点で、やはり日本のメガバンクを含めた国際競争力が上がっていないというか、この間、80年代、90年代、特に90年代の日本版ビッグバンとかいろいろやったにもかかわらず、あるいはその後、一定経済が回復したにもかかわらず、全体としての総体的な地位の低下が続いている。それと東京市場自体も地位が低下している。やっぱりそれに対してどう取り組んでいくのかということの視点があるのだろうと思います。

そこで、やはりいろんな意味で金融サービスの高度化、多様化、こういうものについてどのように取り組んでいくのか。和仁委員の説明にもありましたけれども、やはり金商法の中でプロとアマというか、やはりプロについては一定の相当程度規制を緩めると。そうすると、その中で日本における金融業の地位というか競争力を高め、国際的な存在感を高めていくには、やはり現時点で銀行法等々でいろんな意味での規制の部分を緩和していくというか、より広くとっていく、これはまさにそのとおりだろうと思います。

したがって、それをどのようにやっていくのかというところで、ここで挙げられている点、これは基本的に私もほとんど同感するところであります。したがいまして、この取り組みについては、これからいろいろ議論が進んでいくと思いますけれども、その点は一定の弊害等々あるところについては、チェックしながらということもあると思いますけれども、もう一点やはり必要なのは、この約10年余りの間に、日本の銀行にしろ、第一部会の議論になりますけれども、証券にしろ、果たして銀行証券がどこまで競争力の強化あるいは金融技術等々を高めて、それによってプレゼンスというか、世界の金融市場における地位を高めようとしていくのか。ここについても、ひとつ銀行業界及び証券業界の方にも頑張ってもらわないといけないと思います。

その点では、まず総論としてこの考え方で議論をし、それで具体的にいろんな業務の見直し等々する、それで業務の拡大を行う。それと加えて、実態としてやはりプレーヤー自体がそこはもっと頑張っていくというところを見せてほしいと思います。

それと第一部会のときにも、これは池尾さんがたしか最後のところで発言されていたのですけれども、いろんな意味で規定とかあるけれども、やはりそれぞれのプレーヤー自身がもっと一番自主規制的な、そこははっきり定めてやっていくと。したがって、こういうふうな法律であるとか、いろんな形での規制、これは特にプロ向けの市場及びそういうふうなプレーヤーについては最小限にしていく。この方向で私は正しい方向であろうと思います。

○岩原部会長

ほかに。

根本委員、お願いします。

○根本委員

基本的な考え方のところですが、方向性としては賛成いたします。国際競争力というのに直接関係はしないのかもしれませんが、格付けをしている立場から言うと、日本の銀行の収益性が非常に低い、ひいては損失の吸収力とか健全性の意味でも、これは問題ではないかと思うのです。そしてその一つの理由に、収益の多様化がおくれているということもありまして、近年、その辺は改善しているのですけれども、若干、最近手数料の収益のところで伸び悩んでいるのかなと。

そういうことも考えると、銀行の業務規制に関して本当に今の状況に合っているのか、必要があるものなのか、そういう点を見直していくということはよろしいのではないかと思います。また、銀行のリスク管理の対応状況などによって、ある程度差を設けるということも考え得るのではないかと思います。

そういったことを前提とするわけですけれども、2ページ目の考え方のところで、兄弟会社であれば、親子会社に比べて影響が少ないというところなのですが、一般的にはそうだと思うんですけれども、必ずしもそうでないケースもあるかと思います。

例えば、銀行ではないのですけれども、日興證券の場合、マーチャント・バンキングという部門で問題が起きたものが、リテールとか、ホールセールとか、主要な会社に非常に影響を及ぼして投資家にもダメージを与えたということもございますし、そういうレピュテーションが波及するということもあります。日興證券の場合、やはりグループとしてのリスク管理というのが十分でなかったということを会社さんも述べていることから、兄弟会社であっても、グループとしてそこをちゃんと見ているのかということが非常に重要ではないかと思います。

それから7点目に公共的な性格というのがありまして、そこについても特に日本の場合、投資家の見方としてはセーフティネットが手厚いというふうに考えていまして、これが過去に公的資金を投入してきたということもありますし、アメリカでは銀行の持株会社というのが、実際、債権がデフォルトしたというケースもまれにはありますが、日本で預金とか債権が今まで損失を受けたことはありませんので、投資家としてもそこは政府が支援するというふうに見ていると思うのですね。そうなると、経営者として過度にリスクをとるというようなモラルハザードというのが理論的には生じやすくなると思いますので、そこは必ずしもアメリカとは同じではないのではないかと。その辺の配慮が必要ではないかと思います。

それから個別のところですが、4ページ目のリースですけれども、ファイナンス・リースの場合、ご承知のようにリース会計の制度の変更もありまして、市場として余り伸びなくなっているとか、非常に利率の競争が激しくて収益が上がらないということもあって、リースの専業会社というのもオペレーティング・リースの方にシフトをしていると思います。ここの線を引いているところが残存価格リスクを負うかどうかというところですけれども、リースの物件によっても、この残存価格リスクがどのくらい判定が難しいのか、リスクが高いのか、そうでないのかということもありますし、その残存価格リスクがあるから一概にいけないというような、そういうことは見直してもよろしいのではないかなというふうに思います。

あと、マーチャント・バンキングですが、証券会社など、既にかなりこの業務をやっていると思うのですけれども、やはり非常に投資が大きいと利益の変動が高まって、ある年はずっと利益がマイナスになって、イグジットした年にすごく上がるというふうな、相当変動率が高いということは、一方、先ほどちょっと規模をどの程度そういった業務の規模が許されるのかというふうな議論もあったと思うのですけれども、銀行としてある程度安定した収益を得るという面から少し考えてもいいかというふうに思います。

あと、ディスクローズという意味で、特に投資額が大きくて、その会社が上場されていないような会社である場合に、その投資価値が本当に適正に評価されているのかということが、相当銀行の財務内容に影響を与えると思いますので、そういった企業の情報開示も含め、情報開示というのが工夫されるべきではないかと思います。

あとは、銀行の株式の保有のところなのですけれども、これがどう適用されるかちょっとわからないのですが、持ち合いの再開にならないかということが懸念されるところです。日銀が金融危機のときに株式を買い取って、その保有が9月に処分開始となるということもありますので、その株が、また回り回って銀行に戻ってこないのかというところがちょっと気になるところでして、そういった過去のような問題が起きないことを確保される必要があるかと思います。

とりあえず以上でございます。

○岩原部会長

ありがとうございます。

根本委員が最初の方でご指摘になりました兄弟会社と子会社とで、銀行に与える影響が違うかどうかという論点でありますけれども、会社法の理屈から言うと非常に違うわけなのですね。子会社であれば、子会社の出資分を失うことになるのに対して、兄弟会社ですと、理屈としては兄弟会社がどんなに悪くなっても銀行自体には影響が及ばないはずなのですね。

ところが、先ほど遠藤さんのご説明にございましたように、現在の銀行法の規制は、銀行自体の子会社の範囲と銀行持株会社の子会社の範囲を全く同一にしております。これはなぜかと申しますと、私自身、この銀行持株会社の制度を導入した平成10年の銀行法改正のときも、金融制度調査会の議論に参加したのですけれども、さらに、そのときは金融システム改革法のほかに、同時に金融制度調査会の中に、銀行グループのリスクの管理等に関する懇談会というのを設けまして、そこで銀行グループのリスク管理をするのにはどうしたらいいかということを検討して、それをもとに、そういった子会社の範囲についても提言をし、それに基づいて平成10年の銀行法改正が行われたわけであります。

そのときに、この銀行グループのリスクの管理等に関する懇談会自体の中に、基本的に銀行持株会社であれ、銀行自体の子会社であれ、子会社の範囲は大体同じにすべきだという考えが示されております。それはなぜかというと、この平成10年改正というのは、その少し前にありました住専問題の非常に強い影響を受けています。住専というのは、銀行にとっては実は関連会社でもないような会社だったわけでありますけれども、それが破綻したときに、母体行主義ということで、銀行がその債務を全額負担させられたと。つまり、たとえ法律上は義務がなくても、銀行グループ内の会社が破綻するというときは、先ほどレピュテーション・リスクというお話もございましたけれども、銀行が実際上はそのリスクを負担させられることが多いということから、たとえ持株会社の子会社で、つまり銀行にとっては兄弟会社の場合であっても、その銀行自体に及ぶリスクを限定するためには、基本的に銀行自体の子会社と同じような範囲にとどめるべきだという考えが当時とられたというふうに記憶しております。

そういう状況が、現在、変わったかどうかということが一つのポイントなのかと思います。

それからマーチャント・バンクについては、これはなかなか日本ではイメージしにくいと思うのですけれども、要するにこれはキャピタルゲインでもうけるという業務だと理解して頂いたらいいと思います。したがいまして、投資をして投資先の会社の株が上昇することによるキャピタルゲインを得ることを主な目的にした業務がマーチャント・バンキング業務であると。アメリカのGLB法は、このマーチャント・バンキング業務について、先ほどご説明もありましたけれども、非常に厳格な要件を定めております。これはなぜかというと、アメリカでは基本的にバンキングとコマースの分離という考え方が非常に強くて、銀行自体が自ら商業取引に手を出すことは、なるべく避けるべきだという考えがとられています。

銀行業務のまさに多様化の一つとして、証券業務と同じようにキャピタルゲインを得ることも認めるべきだというのがGLB法ですが、ただ、その結果、みずからが商取引に手を伸ばして、投資先の会社の経営に影響を与える、あるいは逆に、さっきの住専のように、経営から影響を受けることがないようにということで、日常の業務に関与させない。例えば、銀行出身者を執行役に送り込んではいけないとか、あるいは保有期間も10年に限定したというのもそういうことだというふうに理解されます。

一応、ちょっと説明として申し上げました。

ほかにいかがでしょうか。

○早川参考人

今、根本委員の方からのリースについてのご指摘がございましたが、我々も現場を見ておりまして、今度、会計基準の変更に伴って、具体的にはファイナンス・リースからほかのリースへ移行していく流れは多分避けられないであろうということからしますと、現在の50%規制、これについては何らかのご検討を頂きたいということが、地方銀行の多くから声が上がっているということを申し添えておきたいというふうに思います。

それから個々の業務でありましたので、1つだけせっかくの機会でございますので、ご検討頂けないかというテーマとしてお話をしておきたいと思います。

今回は、国際的な競争力向上の観点という前提があるのは承知をしておりますが、広くは銀行の業務範囲の見直しという観点から、地域の活性化あるいは地域利用者の利便性の向上という切り口から、地銀協としての意見を述べさせて頂きたいというふうに思います。

具体的には、私ども地銀にも専業信託銀行と同様に、不動産関連業務の取り扱いをお認め頂けないかと。このテーマは、ここ数年規制改革会議に継続して解禁をお願いしているテーマであります。昨今の現場を見てみますと、遺言の整理業務あるいは事業承継、こういうことから不動産を銀行で一緒に扱ってくれないのかというお客様の声が大変多くなってきている。これはこういう環境の中でこの2つというのは、これからさらに事業承継、遺言の業務というのはニーズが高まってくると思いますが、今の仕組みですと、どうしても銀行で最後まで、言ってみれば一気通貫でサービスを提供申し上げられないということであります。

それは有効な不動産会社を使えばいいじゃないかというご意見もあろうかと思いますが、お客様から見ると、どうしても情報がよそに出るとか、あるいは我々もこの不動産業務をやるときは、情報の管理あるいは業務の遂行のプロセスに非常に神経を使うところでありまして、いわゆる先ほど和仁委員からありました怖い業務になるわけであります。したがいまして、一般的な業としてこれをすべて解禁すべきだということでは決してございません。少なくとも遺言整理業務、あるいは事業承継業務、銀行の業務としての出口としての不動産の関連業務をご検討頂けないかということでございます。

以上でございます。

○岩原部会長

ほかに何か。

吉野委員どうぞ。

○吉野委員

少し大きな視点から。

日本の金融機関が海外でなかなか強くなれないときに、いつも製造業と比較しながら思うのですけれども、製造業の場合にはリスクにさらされながら、国内で収益が上がらなくて、それでアジアの生産ネットワークをつくっていったわけですけれども、金融機関の場合は決済を、特に銀行の場合には預金保険制度があって、それにある程度は守られてきたということがあったのではないかと思うのです。やっぱりこれから少し銀行の方々に考えて頂きたいのは、グローバルな情報を集めて、いかに外で稼げる金融機関になるか、大きいところはですね。それからもう一つは、今おっしゃったように、地域の活性化をどうしていくかと。この2つは、今後の日本にとって非常に重要なことではないかと思います。

そういう意味では、この2ページ目の2行目の、既存業務とのシナジー効果を発揮しながら、これは国内を問わずに海外でも、そのシナジー効果が発揮できるということが、3番目の国際的な活躍につながると思います。

ただ、下の方に書いてありますけれども、5番目と6番目で、日本の場合には銀行のシェアがすごく高いですから、その際の利益相反とか、これは非常に日本の場合にはほかの国と違って、見ていかなくてはいけないと思います。そういう意味では、和仁委員がおっしゃったように、海外でやる場合にリスク許容度がどれくらいとれるのか。それからさらに、業態によってはリスク許容度が違うと思いますから、さまざまにできる業務の範囲を業態によって変えていくとか、そういうことは必要だと思います。

それからさらに、今度新しい業務ができた場合に、それを検査でしっかり見ていくことができるかという金融庁としての検査体制も確立して頂きたいと思いますし、そのためにはどういう情報を金融機関から流してもらわなくてはいけないか。そのときも、また複雑な、あれも出せ、これも出せというのではなくて、やっぱり本当にポイントとなるべきところだけを見ていかれると。そうすることによって、いろいろな業務を認めたときにどういう弊害が起こるかということもわかってくるような気がいたします。

以上です。

○翁委員

私も、やはり競争力強化という観点から、業務範囲規制はこれから柔軟に考えていくべきだと思っております。銀行業自体の性質も大きく環境が変わって変化しておりますので、そういった環境の変化にあわせて見直していくことが必要だと思っております。

3点ぐらいあるのですけれども、1つは、やはり広げていく場合の視点として重要な点だと思うのですが、これは和仁委員もご指摘になっておられたのですけれども、やっぱりリスクの質や量、それからリスク管理ができているか。これが非常に大きな基準になっていくのではないかと思います。いろいろ今後広げていくにしろ、大きな明確な基準のようなものをきちんと考えて、範囲を判断していく必要があるというふうに思います。

それから2つ目ですが、実際にそういうニーズがあった場合に、アメリカのような個別認可方式というのが参考になるのではないかということでございます。アメリカの場合でも、自己資本比率の優良なところとか、経営状態が良好なところについて画一的にやるのではなく、FHCへの移行の要件として認めておりますけれども、そういうやり方で、例えば自己資本比率がしっかりしているか、リスク管理体制が整っているか、また利益相反などに関してのきちんとした内部管理体制が整っているか。こういったようなことを基準にして、まずは個別に認可していくというような方向でやっていってはどうかと。その後、先ほど14ページでご紹介ありましたけれども、どういう基準で監督当局がそういう判断をしたかということを事後的にディスクローズしているというのがありましたけれども、こういうような考え方で広げていくということが一つの考え方ではないかというように思います。

それからもう一つは、やはり金融コングロマリッドという形で、どんどん業務範囲が拡大していくということでございますと、やはりそれに合ったような形での監督体制というのが非常に重要になってくると思います。もちろん、今、議論になっているどういったところをプリンシプルにして、どういったところをルールにしていくのかということも重要だと思いますが、同時にやっぱりコングロマリッド全体としてのリスク管理というのが、今後非常に重要になっていくように思いますので、そういったところをきちんとチェックできるようなトータルの監督体制ということが重要ではないかと思っております。

○岩原部会長

川本委員、どうぞ。

○川本委員

私も、時代の変化とか環境の変化に伴って、業務範囲を柔軟に考えていくということに賛成であります。特に国際競争力の面から非常に大事な論点だと思っておりまして、事務局が出されたコモディティ、デリバティブやイスラム金融とか、リース取引、排出権取引など、いずれも本源的な業務に近いと思っております。そういう意味では、兄弟会社でできることをどれだけ広げていけるのかということが方向性だと思います。あと、マーチャント・バンクもですね。マーチャント・バンクが可能になれば国際的な展開もありますし、あと地方の活性化という観点からも展開があると思っております。

いろんな委員の方がおっしゃいましたけれども、大事なのはいずれにしてもリスク管理がどれだけできるのかどうかということで、内部管理体制をどれだけ整えていけるのかということなのではないかなと思います。

これまで、どちらかというと規制が緩和されると、あらゆる金融機関の方たちがその業務にお入りになるというのが普通だったと思うんですけれども、規制が緩和されたから、別にすべての方がその分野にお入りになる必要はないわけで、そこのところの見きわめがすごく大事になっていくんだろうなと思います。

そうすると、やはり利益相反行為をどういう形で考えていくかということになります。銀行と証券にかかわるファイアーウォールのようなものは、どちらかというと私はファイアーウォールよりも、チャイニーズ・ウォールで規律を維持していくべきだという考え方の方が、欧米の考え方といいますか、先進的な金融業務を行える体制ではないかと思います。ファイアーウォールというのは規制でつくられたもの。チャイニーズウォールというのは自主的につくって、それを運営していくというもので、どちらかというと、利益相反行為に対する解決策は経営上の問題として考えることで、レピュテーションなリスクを考えるとか、あるいは持続可能かどうかということを金融機関自身が考えていくべきだと思っています。

そうしますと、第一部会でも申し上げましたけれども、クリアリングハウスのようなコントロールルームをどれだけつくれるのか。それから機能横断的な委員会をつくるとか、いずれにしても明確なポリシーとプロセスを金融機関がおつくりになって、それを監督当局がチェックをするというような形になっていくべきだと思います。

やはりどなたかもおっしゃいましたけれども、利益相反とか優越的地位の濫用という言葉が踊り過ぎていて、もう少し厳格に、顧客と顧客の利益相反なのか、金融機関と顧客の利益相反なのか、どこなのかということをはっきりさせるべきで、ホールセールなのかリテールなのか、その辺をもうちょっと詰めて、利益相反については議論をした方がいいのではないかなと思っています。

以上です。

○岩原部会長

ほかに。

では、原委員どうぞ。

○原委員

重ねての意見になるかもしれませんけれども、まず、全体的に銀行の業務内容というのが変わってきているので、こういった方向性で整理をしていこうというところについては賛成をいたします。

お話の中に出ておりましたけれども、ホールセールとリーテールとは分けて記述をした方がいいという、これは和仁委員のご発言の中にもありましたけれども、それはぜひお願いしたいと思いますし、翁委員から、やっぱり個別認可方式でやるべきではないかというところにも賛成です。

懸念としては2つ思っておりまして、皆さんのご発言の中ではリスク管理という言葉で出ておりますが、今日の資料を見させて頂いたときに、ちょっとびっくり箱を開けたような感じで、コモディティからイスラム金融、それから排出権取引まで並んでいて、こういったものはもちろん銀行の本来業務に親和性があるということではありますけれども、これほどの業務をやれる人材がいるのかどうかというところです。私が見ている限りの銀行の業務のやり方というのは、監督指針に照らし合わせて間違いが起きていないかという、非常に慎重な感じの業務展開を今までなさっているという印象があるものですから、幾ら国際化の中で外へ出ていって頑張ってこいというふうに言われても、それからこういった業務範囲を拡大するからやってみろというふうに言われても、これだけをやれるほどの人材を、やはり育成をしていくということがすごく重要ではないかというふうに感じております。

それからもう1点は、根本委員が冒頭のご発言の中にありました兄弟会社と子会社について、岩原部会長からもご説明がありましたけれども、やはり持ち合いの再開にならないかというあたりですね。やっぱりここも慎重な見きわめが必要かというふうに感じております。

それから最後ですけれども、排出権取引については、今の政府内の現状、よくわかりましたけれども、実際に私もこのあたりはずっと関心を持って見てきている分野で、排出権という、この「権」という言葉を使うということ自体、まだ今からの定義というようなところがありますので、これは別に銀行に限らず証券もそうですし、政府全体の中で検討を進めた上で、銀行ではどうするかというところで論議は進めて頂きたいと思っております。

以上です。

○岩原部会長

ほかにございませんでしょうか。

○神作委員

2点コメントさせて頂いて、1点ご質問させて頂きたいと思うのですけれども、事務局の方からのプレゼンテーション、それから特に和仁委員のお話等から伺う限り、預金を受け入れてその資金を貸し付けることによって収益を上げ、それによって安定的な為替業務を行うという伝統的、古典的な銀行業務のあり方というのが、特にグローバルな視点から見ると、銀行の収益構造というのが大きく変わりつつある中でなされている議論だというふうに思われました。

まずそうだとすると、そもそも固有業務のとらえ方がこれでいいのかどうか。逆に言うと、今の議論というのは、どちらかというと付随業務の拡大という形で議論されているように思いますけれども、もし固有業務そのものがグローバルな視点から見て、やや時代おくれになっているということであるとすると、本来であれば、固有業務とは何かというところから議論するとともに、他業禁止というのが今まで議論されている規律の大もとにあると思いますので、他業禁止の趣旨というところにさかのぼって考える必要があるのではないというような気がいたしました。これは非常に抽象論、一般論でございます。

具体的なご意見というのは2点ございまして、そのようなご議論を伺っておりますと、銀行の業務範囲の拡大というのは、当然の方向ではないかというふうに思いますけれども、そのときに気になりますのは、第1は利益相反の問題でございまして、伝統的な銀行業務を想定している場合には、特に預金者の保護というのは、これは相当万全にとられていると。また、資金を借り入れたものについても、さまざまなルール、凡例、法令等も含めて、相当の一定程度のルールができているというふうに思うわけですけれども、それ以外の銀行からのサービスを受ける者の保護というのがどうなっているのか。特に、そういった顧客同士の間の利益相反、さらにはそれが従来の預金者ですとか、そういったものとの間の利益相反も引き起こす可能性があるのではないか。もっと端的に申しますと、やはりそのように銀行がサービスを拡大してくると、銀行自体が少なくとも顧客の利益を基本的に第一に考えなければいけないという大原則があるということを明らかにする必要があるのではないかと。

確かに、和仁委員はホールセールの問題としてはというふうに言っておられましたけれども、ホールセールとリーテールの規律を分ける大前提として、やっぱり今申し上げたようなルールと申しますか、プリンシパルというのがしっかり確認されるべきなのではないかというふうに思ったのが第1点でございます。

それから第2点目のコメントは、これは監督の実効性にかかわる点でございますけれども、さまざまな規制の趣旨、他業禁止も、このペーパーには挙げられていないようにも思うのですけれども、監督が実効的にできるのかという点から、業務範囲の規制等がなされているという面もあろうかと思いますので、業務範囲が拡大された場合には監督の実効性が確保されると。そのためには、一定の場合には届け出ですとか、ディスクロージャー、開示等々、さまざまな手当てが考えられるかと思いますけれども、個々の銀行によるリスク管理が中心となるとしても、やはり監督の重要性というのはますます重要になるということだと思いますので、その実効性について配慮が必要でないかというふうに思った次第でございます。

それから最後のご質問でございますけれども、兄弟会社の業務範囲にかかわる点でございますが、確かに子会社方式の場合と比べて、兄弟会社のリスクが遮断されているという点はそのとおりだと思うのですけれども、例えば、他の兄弟会社が傷ついたことによって親会社自身が影響を受ける。そのことが、翻ってその銀行の子会社の経営に対して何らかの影響を及ぼす可能性がないのか。そういう点については、特に銀行グループのリスクの懇談会等でどのような議論がなされたのかということについてご教示頂ければと思います。

以上、まとまりのない発言でしたけれども、3点申し上げさせて頂きました。

○岩原部会長

最後の点でございますけれども、ご質問頂いた点から申し上げたいと思いますけれども、銀行の子会社、それから銀行持株会社の子会社の業務範囲を議論したときに、銀行持株会社の子会社の問題が、親会社である銀行持株会社に与える影響についてそれほど細かい分析をしたわけではないのですけれども、ただ、むしろその後の銀行の主要株主規制を入れるときに、そこについて非常に議論がされまして、これはアメリカですと、ソース・オブ・ストレングス・ドクトリンというふうに呼ばれていますけれども、銀行の持株会社など、銀行グループのトップにある会社は、グループ全体の健全性を維持するために相当な自分自身が健全であり、グループの中に問題が起きたときには、それをレスキューできるような力を持つべきだという考えがあって、それに基づいてアメリカの銀行持株会社法等は規制がされております。

そういう考えは日本でも、主要株主規制を入れたときに、それが反映されているわけで、神作委員ご指摘のように、たとえ兄弟会社が破綻したときも、それが結局銀行の親会社に影響を与えて、それが銀行グループ全体に影響を与えるということも当然考慮されて、子会社の業務範囲の規制がされたというように理解しております。

ついでに、私が発言するのは本当は余り適切でないんですけれども、神作委員からのご指摘にちょっと便乗する形で、少し申し上げさせて頂きたいと思います。

神作委員が最初におっしゃいましたように、やはりこの問題を考えていく上では、何のために銀行の業務規制が行われているのか。他業禁止原則というのはなぜとられているのかというところにさかのぼって考えていく必要があると思います。

この部会資料でおまとめ頂きましたように、ここに書かれているのは銀行の業務の効率性、それから利益相反、それから他業リスクの回避等でありますが、これ以外にもあるというふうに私は理解しております。まず、確かにここに書いてありますように、むしろ一番大きい問題は、銀行以外の業務が失敗したときに、それが銀行業務に与える負の影響を防止する。これが私は一番大きいと思います。

それから第2には、ここに書いてありますように、やはり利益相反の問題がある。これは、第1の問題と非常に深くかかわっているわけで、他業をあわせてやっているために、他業の方を救うために銀行の方に不利な行為を行うというようなことも含まれているわけでありまして、日本で、特に戦前はいわゆる機関銀行と言われるように、実質的にむしろ他の業務をやっているところが自分の金融部門として銀行業務も行っていて、他の部門を救うために銀行の資金をつぎ込んでしまって、銀行全体として破綻したという渡辺銀行その他、戦前では非常に多数の銀行がそういうことで破綻した苦い経験が、日本の他業禁止原則の背景にあるし、アメリカでもさっきのバンキングとコマースの分離という考えがとられているには、やっぱりそういうことがあるのだと思います。

これが第1、第2の理由です。

第3の理由が、先ほどから何人かの委員がご指摘になりましたように、銀行を監督する側の能力の問題があるというふうに、まず銀行自身がどれだけの自らのリスクを管理する能力があるか。金融以外の業務をやるときに、銀行がいわば金融のエキスパティーズは持っているかもしれないけれども、それと全く関係ない他の商業行為をやるときのエキスパティーズというのを、やはり銀行はどれだけ持てるのかという問題。その裏側として、それを監督する監督当局がどれだけ検査・監督の能力を持っているかという問題が第3の問題としてあって、それが業務範囲規制の一つの理由になっているというふうに理解しております。

例えば、検査・監督の能力のほかに、例えば自動車会社がメインで、あわせて銀行業務を行うというようなことになったときに、仮にその一つの法人でやっているとしたら、あるいは一つの法人でなくてグループでもいいですね。自己資本比率規制を単純にそのまま全体に当てはめていいのかという問題が出てくるわけでありまして、いろんな金融監督、金融規制の手法が、グループ全体に単純に当てはめにくくなっていくという問題もまたあるというふうに理解しております。

第4の問題が、これは実は日本でもアメリカでも表立っては余り言われませんが、背後にある大きい問題として、いわば規制産業であって、預金保険制度その他によって保護されている銀行という産業が、いわば保護を受けている存在である銀行。しかも、それが非常に強い、少なくとも日本では最近まで極めて強い力を持っていたわけで、それが金融以外の他の部門に進出した場合に、それが全体の産業政策といいますか、独禁政策といいますか、そういう面で公正競争の面で問題を起こさないのか。場合によっては、巨大な産業支配力を持った銀行による産業支配のおそれがないのかということが、かつては少なくともあった。現在、独禁法の11条の規定なんかは、まさにそういった考慮を反映した規定かなと思っております。

こういった種々の配慮があって、それを受けた形で現在の規制があるというふうに思っています。したがいまして、この規制緩和するときも、それぞれの根拠に照らして妥当性を考えるべきではないかと思っておりまして、先ほどからプロ・アマ論が非常に盛んにご議論されておりますけれども、プロかアマかで分ける意味が大きいのは、例えば利益相反の問題なんかについてはある程度それは考えられる。しかし、例えば銀行以外の業務の失敗によるリスクの波及といった問題について言えば、これはむしろリスク管理の、別の方の問題であって、プロかアマかということで分ける議論かなという感じはします。

そういうふうに、それぞれの規制の根拠ごとに規制を緩和するときの緩和の仕方も分けて考える必要があるのではないかと、私自身は思っております。

ちょっと、やや便乗して長くしゃべってしまいましたけれども、とりあえずそれだけです。

田中委員どうぞ。

○田中委員

業務範囲を金融機関にどんどん認めていこうというのが流れだというのが皆さんのご意見で、私も世界の流れはそうだというふうに思うのですが、今回の一連の経緯を考えますと、民間からそういう要望が出て、そして金融庁が、言うならば押し込まれて、土俵を割って業務範囲を大幅に拡大していくという決定プロセスではないわけですね。いわば、産業政策として、どうも鈍い業態が一つあるから、しかもそれはどうも今後相当重要なことになりそうだから、もっと枠を与えてあげた方がいいのではないかという議論なんですが、この問題は利益相反というたぐいの話は民間企業の中で起きる話ではなくて、金融の監督を行うところが風を送って、もうちょっと成長戦略考えたらどうかと言っているわけですから、そのことが長い目で見てどういう問題を引き起こす可能性があるかというのは触れる必要が私はあると思っています。

アメリカで、エドワード・グランリッヒという人が連銀の職員なのですが、つい最近死んだんですけれども、彼の書いた論文によると、西暦2000年と2004年の2回にわたってアラン・グリーンスパンに対して警告を発しているんですね、サブ・プライム問題で。

2000年のときには、信用履歴に著しく問題のある人に対するローンが、こんなスピードで出ることについて警告を発するべきだということを言っているわけですね。ところが2000年はITバブルが崩壊しましたので、何でもいいということはないのですが、住宅産業分野において、経済の拡大を図らないとぐあい悪いというのが多分あったと思われます。

2004年にアラン・グリーンスパンにグランリッヒが言ったのは、既にサブ・プライムローンの分野で延滞率が上がっているよと。それから担保流れが起きている。だから従来住んでいた住宅から追い出されている人が出ている。このときに、我が連銀のサーベイランスは十分なのかどうかチェックしてみる必要があると書いている。ところが、2回ともアラン・グリーンスパンはこれに目をつぶったのですね。

「The Age of Turbulence」というのは厚いものだから、まだ全部読んでないのだけど、読んだ人によると、これはグリーンスパンは無視していると言っていますね。ということは、アメリカでサブ・プライム問題は大事になりましたから、製造業でろくに実績が上げられず─イノベーティングがつくっているのは金融商品だけですからねと言われていた。そこに問題が起きたわけですから、今後、コングレストできっと公聴会をやると思うのですが、金融監督当局は一体何をやっていたのだと。それで、この話が出てくるのだと思うのです。そうすると、本来信用秩序というか、長い目で見た経済のあり方を考える部局と、それから他方で成長産業とか、アメリカの場合は景気回復の話だったのですが、一度これに目をつぶっちゃうと、監督当局の前の履歴が悪いものだから、2番目に取り上げるというのも不連続だなという気がして、ついつい後手に回る。

だから、オリジネート・アンド・ディストリビュートで、コーラテライズド・デッド・オブリゲーションズの問題点を知らなかったわけでないのですね。知っていた。職員で指摘している人が何人もいた。でも、実際にはそれが監督対象になっていなかったということがはっきりしてきた。金融庁が、成長産業あるいは今後の日本の金融業については、引っ張らなきゃいけないというのでコミットするというのは、本当にこういう手順でいいのかというそもそも論が私はあると。

だから、土俵を割って、そういう要求の強いところからバランスが要りますねというので、法制化される、あるいは法の改正が行われるというのが本来の形であって、ちょっと腰が引け過ぎているから、もうちょっとやったらどうだというのは、これはこの後ぐあい悪いと。

だから、やっぱり今さらという気もするけれども、押し切られて土俵を割った形にしないと、やっぱり履歴が悪い。この話の問題の仕組みが悪いのではないかと思うが、それはどうなのでしょうかね。佐藤さんから。

○岩原部会長

では、佐藤さんお願いします。

○佐藤金融庁長官

大変重要な点をご指摘頂いたと思っております。

産業政策的な発想と、それから信用秩序の維持、市場の透明性、公正性の確保あるいは利用者保護、こういった金融行政の本来の目的との間のバランスをどうとるかということでございますけれども、端的に申し上げますと、日本の金融業が世界の中で十分な競争力を持てないということの理由として、しばしば規制が実態に合っていないとか、規制がおくれている、過剰な規制がなされていると、こういったご批判が一部にあって、言ってみれば今の取り組みというのは、そういう口実を言えないような、そういう環境、インフラをつくるということで、いわば本当の金融機関の実力が表に出てこざるを得ないという環境をつくるということで、我々も本音ベースでは考えているところがございます。

そういう意味では、押し切られて緩めるということでは、およそないだろうと思いますけれども、他方で、力もないような金融機関が無理に背伸びして、バブル期のようなことを再現するというようなことをやってほしいというメッセージでもおよそないということでございまして、言ってみれば、そういう意識でのバランスは持っているということでございます。

ですから、こういう議論がなされていく中で、それぞれの金融機関が自己責任に基づいてリスク管理を行い、それぞれの持っている能力に応じたビジネス戦略の設定をして、自らの力なり、あるいは自らが市場サーベイをして、これは顧客ニーズに合っているというサービスを提供できるという確認をした上で、それぞれ自己責任で進んでいって頂く。いわば、こういう議論全体が進められていく中で、意識としても規制当局、それから業界の間で共有されていくと、こういうプロセスにも少しは期待をしたいというふうに思っているところであります。

お答えになっているかどうかはわかりませんが。

○岩原部会長

ありがとうございます。

私も一言申したいと思うのですが、和仁委員どうぞ。

○和仁委員

だんだん空中戦で、非常に高い理念の話になってしまいましたけれども、でも、個々の業務として掲げられている業務というのは、実はそんな大した話じゃないんですよ。もちろんマーチャント・バンキングのところは、私はどうかなという感じはしますけれども。

それから田中先生のご指摘ありましたけれども、土俵を割ってないじゃないかということなんですが、実際には今の金融行政で法制度をつくっていくという場合、土俵を割るというのはなかなか難しいと思います。金融業界の方からストレートに物を言って、金融庁はけしからんと言って、その後は何が来るかわからないというのではたまらないのです。これはある意味では恐怖感があるということで、その恐怖感があるということ自体は私はいけないこととは思いませんが、それだけの規律は必要だと思います。

だけど、そういう意味では、今の田中先生のモデルは、私はここではちょっと当てはまらないと思います。ここで議論すべきことは、もう少しどうやったら効率的に金融機関が動くかと、そういうふうなレベルの議論で進めた方がいいのではないかと思います。

以上です。

○岩原部会長

先ほどの田中委員との関連で申し上げますと、私もそもそも金融の国際化に関するスタディーグループの検討が始まりましたときに、これは一体金融界の方から出てきた声ですか、それとも金融庁の方の発案なのですかというふうにご質問申し上げたわけでありまして、日本の金融機関の国際競争力の弱い点は、基本的には民間の問題であって、制度あるいは行政が問題があって、国際競争力が弱いという部分は極めて少ないと。基本的には民間自体の能力とやる気の問題だというふうに私は考えております。

ここで議論している問題は、和仁委員もご指摘のように、いずれもそんなに大きい問題ではないわけでありまして、これを解禁したからといって、日本の金融機関の競争力が回復するなんていう話とは余り関係ないということで。ただ、少しでも他の国と比べて障害になっていることはなるべくなくして、佐藤長官のおっしゃいましたように、銀行に口実を与えないで、銀行自身が自らのことを顧みて、自らの競争力を強くするように頑張ってほしいという、いわばエールを送る作業をやっているのではないかと、私はそういうふうに理解しております。ちょっと余計なことを言いました。

黒沼さんどうぞ。

○黒沼委員

個々の業務のうち、マーチャント・バンキング業務以外のものは、どこに問題点があって、何をやりたいのかはよくわかるのですけれども、マーチャント・バンキング業務については、この資料自体がよくわからないので、質問をしたいと思います。

現在でもベンチャーキャピタル会社は銀行の子会社に該当しないということですし、証券子会社が業務として所有する株式については適用除外になっており、しかもアメリカではかなり厳しい制限がかかっているというと、マーチャント・バンキング業務としてどこをどういうふうに拡大したいのかというのがよくわかりません。現在でもできるように思えるのですけれども、どういう問題意識なのかをお教えください。

○岩原部会長

では、遠藤さんお願いします。

○遠藤信用制度参事官

資料の26ページのところでございますけれども、一つはマーチャント・バンキング業務の議決権保有制限の例外としては、先ほども申しましたように、26ページの真ん中にありますように、ベンチャーキャピタル会社という子会社をぶら下げた場合には、ベンチャービジネス会社と、これは実は経産省の法律に基づいて提起しているのですけれども、そういったベンチャービジネスを行う新たな非上場の会社というものを、この議決権の保有制限の5%を超えて持って構わないといった形でございますので、そのベンチャーの育成というような政策目標があったからでしょうか。そういった形で、この5%制限の穴をあけているといったことがございます。

それからマル1マル2マル3というふうに、下の方に例外がございますけれども、マル1は銀行の証券子会社が、その証券業務の中で株式を持つ場合に、1社についての5%超を持つ場合もあり得るので、そこの部分については保有制限の適用除外にしているということでございます。

マル2は、投資事業有限責任組合というのは、言ってみればいわゆるファンドの中の一つの法的な形式でございますけれども、この場合についても、括弧書きがありますように、議決権の行使について指図ができる場合というのは除くという形でございまして、あくまでお金を出すだけの、議決権の行使とは関係のないような株式の保有に関しては5%の規制の対象外にするということ。

それからマル3については、担保権の実行でありますとか、デッドエクイティスワップ等のやむを得ない事由により取得した株式ということで、これは期間制限がございますけれども、デッドエクイティスワップを実施したことによって、1社について5%超のエクイティを持つような場合になったとしても、期間制限の中でそれを保有することは暫定的には認めますよといったことでございまして、まず、アメリカが本源的業務として認めたマーチャント・バンキング業務というのは、一定の企業の恐らく非上場みたいなものだと思いますけれども株式というものを、本当に100%持つ場合もあるわけでございますけれども、持って、その企業の付加価値というものをつけて、それを最終的に売り払ってキャピタルゲインを得るといった業務でございますので、ここで今、日本の規定の中で規制しているものとは、やはり世界が違うのではないかということだというふうに考えております。

それから、地域再生云々という話が先ほどから何人かの先生方からご指摘になっていますけれども、今の地域再生というような、そういう政策の目的に合致したような議決権、保有制限の例外という規定はございません。あくまで、ベンチャーキャピタル会社を通じたベンチャービジネス会社への出資といった形の規制になっているということでございます。

○岩原部会長

よろしいですか、黒沼さん。

○黒沼委員

資料の理解が足りないのかもしれないのですけれども、アメリカでも証券子会社等を通じて従事可能とあるので、日本でも同じことができるのだというふうに思っておりました。

○遠藤信用制度参事官

まず、日本の証券会社の場合は同じことができます。銀行グループの中の証券会社というのは、この銀行法の規定がかかっていますので、まさにこの銀行法の規定に従うということで、アメリカでビジネスをやられている証券系の証券会社と証券子会社と銀行系の証券子会社では、この法律の規定ゆえに業務範囲が違うという時代になっております。

○岩原部会長

ですから、持株の割合が銀行の持株会社のグループ内の証券会社が持っている場合でも、最大限15%までしか事業会社等の株式を持てないわけですね、現行法上は。それを現行法上、15%を超えて持てる唯一の例外がベンチャー企業の株であって、ベンチャー企業以外の会社の株についても15%を超えて持って、そのキャピタルゲイン等をねらえるようにしましょうというのが、多分このマーチャント・バンキング業務を認めようという趣旨だろうと思います。

○黒沼委員

はい、わかりました。

○岩原部会長

ほかに何かございますか。

北川さん、どうぞ。

○北川参考人

銀行業界に身を置く者としまして、今、非常に厳しいご叱責というか、励ましをちょうだいしました。私どもは、やはりこの10年、15年という非常に厳しい時期を経まして、非常に多くのものを学んだと思いますし、それを生かしてこれから国際的にも打って出られればということを今考えているところであります。そういった意味で、今回のお話については非常に私どもとしても歓迎すべき点が多くありますし、これらのことが解禁されることになれば、それを生かして少しでも国際的な環境の中で戦っていけるんじゃないかなと思っております。

総論で申し上げますと、例えば世銀の調査をベースにした学問的研究の中で、諸外国を見ますと、業務範囲規制が少なく収益機会が多様化した金融システムの方がより安定的であるという研究もございまして、より大きく兄弟会社を含めた持株会社的なものの中で業務の多様化というものを進めて頂くということは、こうした非常に大きな考えの中でも理にかなったものではないかなと考えております。

また、いわゆる貯蓄から投資へという大きな流れの中で考えても、先ほど岩原先生からご指摘ありましたように、金融機関という一つのファンクションを経た形であったとしても、そのキャピタルゲインを得るということで、貯蓄から投資へという流れをサポート、加速させる一つの大きな要素になるんじゃないかなと私どもも考えております。

幾つか頂いたご指摘の中で、私どもが非常に重く受けとめなければならないのは、やはり利益相反あるいは優越的地位の濫用の問題と思います。このあたりについては、先ほど来いろいろご指摘もありましたけれども、私ども金融機関のセルフディシプリンに基づいた管理というものがより求められてしかるべきだと思っておりますし、そうした努力というものを続けているという点はぜひご理解頂きたいと思っております。

一方で、リスク遮断、リスク管理といった問題についても、まさしくそのとおりだと認識しておりまして、そういった点では、アメリカのFHCにおける考え方で、銀行を除いた兄弟会社においてさまざまな業務を進めていくと、こういった考え方は非常に望ましい方向ではないかなと思っております。その点で、先ほど翁委員からもご指摘ございました個別認可方式についてはぜひご検討頂ければありがたいと思っております。

また、川本委員からご指摘ございましたとおり、現在では、さまざまな規制緩和が起こったとしましても、かつてのように一斉に全銀行が飛び込んでいくというような環境では全くございません。それぞれの戦略に応じた極めて選択的な行動というのが現実になっておりますので、そういった点のご懸念、いわゆる実力が伴わない形での参入というものについては、相当程度のブレーキがかかるのが現状ではないかと考えております。

また、特に、利益相反については第一部会でもご議論頂いておりますけれども、非常に複雑な態様がございまして、この中で排除すべきものは、有害な、お客様にとってマイナス、銀行に対してそれがプラスになるような、有害な形での利益相反というものにある程度収れんされるのではないかと考えております。そういったものについての自主的な取り組みについても、先ほどご紹介あったような内部組織的なものも含めて金融機関では整備を始めており、そういった状況を踏まえてご検討頂けると大変ありがたいと思っております。

一方で、1点ご留意頂きたい点は、先ほど原委員からお話がございました、これだけ広範なものをやれる人材がいるのかというご指摘でございました。この点については、例えば私どもの経験でも、海外での先端的な業務については、それを勉強させる若手を投入して、こういったことならできるのかなというトライアルをいろいろ行うといった準備をしているというのが実態でございます。

また、外部からエキスパティーズを持った人材を採用するということも当然進めておりますけれども、この点で一つ申し上げたいのが、やはり可能であれば、そういうときには本体でできるようにさせて頂ければ非常にありがたいということです。これはなぜかと申しますと、いわゆるインキュベーション機能としての懐の厚さという点でありまして、先進的なものをやるに当たっては、本体でまずトライアルをやって子会社に分離していくというのが、これはビジネスの考え方としても一つあるのではないかなと思っております。

もちろん、大きな枠組みとして、兄弟会社方式というものの方がよりすぐれているという点では全く同感でございますけれども、個別の業務の開始に当たっては、そういった本体でのトライアル方式といったものも、まさにプロ・アマの議論と同様でございますけれども、先端技術をやるという点に限った形でもひとつご検討頂ければありがたいと思っております。

先ほど早川委員からもございました不動産関連も含めまして、金融業務というものが非常に変質してきているのも事実でございます。固有業務とは何だというご議論もございましたけれども、それぞれの業務行為だけではなくて、それを金融仲介という言葉で置きかえてみたときに、求められるものというのは非常に広くなってきていると思います。そういった観点でアメリカの業務範囲規制の緩和の流れを見てまいりますと、まずコアとなるものがあって、それからデリバティブ的なもの、またそのデリバティブ的なものを管理するポートフォリオとしての現物取引といったような形で広がっているのが実態でありますので、これにならい金融機関の業務範囲というものを段階的に認めて頂くといった点についてもご検討頂ければありがたいと思います。

最後に1点、この中に入っておりませんでしたが、いわゆる金融機関の再編であるとか、あるいは持株会社内での再編あるいは統合といった問題の中で、従来の銀行の業務範囲規制の枠に入っていない子会社等を持っていた場合に、それを銀行持株会社の傘下に入れた際には、これをスピンオフさせなければならないといった問題がございます。この辺について、米国ではいわゆるグランドファーザー条項といったような形で包括的な許容というものがなされておりますので、こういった点についても、いわゆる金融機関の競争力向上という観点で、金融機関の統合再編を見て頂くのであれば、ぜひご議論頂ければありがたいと思っております。

以上でございます。

○岩原部会長

まだまだご意見もあると思いますが、私の不手際で時間がオーバーしてしまいましたので、もし特に、きょうここで発言しなければということがなければ、これで終えさせて頂きたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

それでは、本日の審議を終了したいと思います。

この後、事務局の方と私で記者会見を行いまして、本日の会議の模様等につきまして簡単にご紹介させて頂くこととしたいと思います。

最後に事務局からご連絡等をお願いします。

○遠藤信用制度参事官

日程でございますが、次回の第二部会の開催につきましては、別途事務局から正式にご連絡を差し上げたいと考えております。11月29日午後から開催させて頂きたいと考えておりますけれども、その際は、実は前にキックオフさせて頂きました福祉型信託、信託関係の課題がございますので、この11月29日は信託関係の課題についてご審議頂きたいと考えております。

その後の日程は、追ってまた正式なご連絡差し上げますけれども、12月初旬にも本日に引き続き銀行の業務範囲規制のあり方についてご審議頂きたいと思います。その際には、ちょっと保険関係の残された課題もございますので、それにつきましてもご審議頂く機会を設けたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○岩原部会長

それでは、以上をもちまして本日の審議会を終えたいと思います。

どうも長時間ありがとうございました。

以上

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