金融審議会金融分科会第二部会「決済に関するワーキング・グループ」(第1回)議事録

日時:平成20年5月16日(金曜日)15時00分~16時58分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○岩原座長

それでは、時間でございますので、決済に関するワーキング・グループの第1回会合を開催させていただきます。

冒頭カメラ撮りがございますので、ご了承いただければと存じます。

メンバーの皆様方におかれましては、本日は大変ご多忙のところ、本ワーキング・グループにご参加くださいまして、誠にありがとうございます。私は座長を務めさせていただきます岩原でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

まず初めに、このワーキング・グループが設置されました背景をご説明させていただきます。

昨年12月に公表されました金融・資本市場競争力強化プランにおきまして、市場競争力強化のための方策の1つとして、安全かつ効率的で、利便性の高い決済システム等の構築が掲げられ、その中で、資金決済システム、証券決済システム、リテール決済について、それぞれ具体的な方策が掲げられております。とりわけリテール決済につきまして、いわゆる電子マネー等の決済に関する新しいサービスが普及・発達してきている状況に対応し、その制度的枠組みのあり方について、金融審議会での審議が求められております。

これを踏まえまして、金融審議会第二部会のもとに、決済に関するワーキング・グループを設置して検討を行うことといたしました。恐縮ながら、部会長であります私が、本ワーキングの座長を務めさせていただきたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

本日は山本副大臣にお越しいただいておりますので、一言ごあいさつをお願いしたいと存じます。どうかよろしくお願いします。

○山本金融担当副大臣

金融担当副大臣の山本でございます。今日は、決済に関するワーキング・グループの第1回目の会合を開催させていただきます。大変お忙しい中を、各委員の皆様方にはご出席いただきまして、大変ありがとうございます。

決済システムは、金融・資本市場を支える重要なインフラであることは申し上げるまでもありません。情報通信技術の高度化などに対応いたしまして、安全性、効率性、利便性を一層向上させることが大切なことであると思っております。これは、今もお話がございましたけれども、昨年末に金融庁が取りまとめました金融・資本市場競争力強化プランでも指摘しているところであります。

最近では、インターネットが普及したことなどを背景にいたしまして、電子マネーだとか、コンビニエンスストアでの公共料金の支払などに利用される収納代行など、さまざまなサービスが普及しているところであります。これらのサービスは、私たちの生活を便利にしてくれるものであります。ただし、その一方で、法的な位置づけがはっきりしておりません。また、利用者保護の必要性等について指摘がされておるところであります。このため、利便性の向上、利用者保護、イノベーションの促進といったさまざまな観点からこれらのサービスのあり方について検討を深める必要があると考えるものであります。メンバーの皆様におかれましては、精力的にご議論いただき、忌憚のない意見をいただければ幸いだと思っております。

今日はよろしくお願いいたします。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、メンバーの皆様と、また事務局の皆様をあわせまして、高橋決済システム強化推進室長からご紹介いただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

決済システム強化推進室長の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、私よりメンバーの方々を座席順にご紹介させていただきます。資料1-1に名簿がございますので、そちらをあわせてご覧いただければ幸いでございます。席順は五十音順になっておりますが、次回以降、席の変更があり得ますので、よろしくお願いいたします。また、本日、ご説明をいただく方には皆様の一番右側に座っていただいております。

まず、皆様の右側から、宮沢和正様です。

○宮沢委員

宮沢でございます。

○高橋決済システム強化推進室長

少し遅れてお見えになると思いますが、今松英悦様です。

次が、翁百合様です。

○翁委員

よろしくお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

小島茂様です。

○小島委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

金丸恭文様です。

○金丸委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

川本裕子様です。

○川本委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

神田秀樹様です。

○神田委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

齊藤哲彦様です。

○齊藤委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

佐藤政行様です。

○佐藤委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

芝﨑健一様です。

○芝﨑委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

鈴木克明様です。

○鈴木委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

高橋伸子様です。

○高橋委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

畑山卓美様です。

○畑山委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

次に、原早苗様ですが、遅れていらっしゃると伺っております。

次に、廣瀬直己様です。

○廣瀬委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

福本広幸様です。

○福本委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

藤林秀樹様です。

○藤林委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

別所直哉様です。

○別所委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

守屋学様です。

○守屋委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

次の吉野直行様ですが、遅れていらっしゃると伺っております。

次に、米澤潤一様です。

○米澤委員

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

次の和仁亮裕様ですが、遅れていらっしゃると伺っております。

そして、本日はご欠席をされておりますが、池尾和人様、野村修也様、溝口龍也様にワーキング・グループに加わっていただいております。

続きまして、オブザーバーの方及び事務局をご紹介申し上げます。

まず、オブザーバーとしてご参加いただきます、皆様方から向かいまして左側から日本銀行決済機構局の林健司企画役です。

次に、財務省理財局の小野哲国庫課長です。

金融庁でございますが、皆様方から向かいまして、中央右から、総務企画局長の三國谷です。

○三國谷総務企画局長

よろしくお願い申し上げます。

○高橋決済システム強化推進室長

審議官の細溝です。

○細溝審議官

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

参事官の知原です。

○知原参事官

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

企画課長の大森です。

○大森企画課長

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

続きまして、中央左から、決済システム強化推進室調整官の坂口です。

○坂口決済システム強化推進室調整官

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

信用制度参事官の遠藤です。

○遠藤信用制度参事官

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

市場課企画官の外崎です。

○外崎市場課企画官

よろしくお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。メンバー紹介も終わりましたので、カメラ撮りの方はご退室をお願い申し上げます。

(カメラ退室)

○岩原座長

当ワーキングの運営に関しまして、若干お諮りさせていただきたいと思います。

審議は公開とし、報道機関関係者等の傍聴をお認めしたいと考えております。また、議事につきましては議事録を作成し、終了後、金融庁のウェブサイトに掲載することを考えております。配付資料につきましても、原則として金融庁のウェブサイトに掲載することを考えておりますが、ご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原座長

どうもありがとうございます。

それでは、本日はまず事務局より決済に関するサービスの現状等についてご説明をいただいた後、ビットワレット株式会社の宮沢メンバーと、株式会社ウェブマネーの新井様からご説明をしていただき、その後、ご説明に対する質疑と自由討議とさせていただきたいと考えております。

それではまず、事務局より説明をお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

それでは、ご説明をさせていただきますが、ご説明に入らせていただく前に一言申し上げさせていただきたいと存じます。

4月1日付で金融庁総務企画局企画課に決済システム強化推進室を設置しております。冒頭、山本副大臣にごあいさつをいただき、また岩原座長からご説明をいただきましたように、金融庁といたしまして、我が国の金融・資本市場の競争力強化に取り組んでおり、決済システムにつきましても、その利便性の向上等を目指しております。本ワーキングでは、当面リテール決済についてご審議をいただくものですが、決済システム強化推進室がその事務を担当させていただきます。

強化推進といたしますと、規制のみを強化するかの印象をお持ちかもしれませんが、先ほど来のごあいさつにございましたように、イノベーションの促進、利便性の向上、利用者保護等の観点から、バランスのとれた制度的枠組みの整備が必要であると考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは、説明に入らせていただきます。まず、資料1-2「決済サービスの現状等について」をご覧ください。

まず1ページ目でございますが、資金決済システムの概観でございます。資金決済はピラミッド構造をなしておりまして、銀行間の資金決済につきまして、民間主体が運営する資金決済システムがございます。主なものといたしまして、一般の個人、法人等による国内振込・送金等の決済を担っております全国銀行内国為替制度がございます。こちらの方はご案内のように、個別の銀行内の決済を除いた他行間の決済が全国銀行内国為替制度で行われ、その精算が日銀ネット当預系と言われております日銀ネットによって処理されているものでございます。

全国銀行内国為替制度につきましては、いわゆる全銀システムと呼ばれております全国銀行データ通信システムの稼働により、オンライン化を実現しており、利用規模の拡大を続けております。こちらの方は、全国各地の銀行で受け付けました振込依頼を振込先の銀行まで送信する手続をリアルタイムで処理し、それに伴う銀行間の決済を当日中に完了する決済サービスを提供しているという、諸外国にも例が少ない制度となっております。この銀行制度を中心としまして、その銀行送金に至るまでのクレジットカード等といったリテール決済に関するサービスがあるということでございます。

全銀システムは1日当たり533万件、10兆円の金額を取り扱っておりまして、そのネット尻を日銀の方で1.9兆円、2006年度では取り扱っているという状況でございます。

続きまして2ページ目、証券決済システムでございます。こちらもそれぞれの証券に応じまして、その決済を日本銀行が取り扱っていたり、あるいは証券保管振替機構が行っております。証券決済には原則として資金の受渡しが伴い、その資金の受渡しが資金決済システムを利用して行われます。DVPと申しますDelivery Versus Paymentでございますが、証券と資金との間でその同時履行をする仕組み等をつくる必要があるということが指摘されています。また、一方、決済をやりやすくするために、ペーパーレス化の進展等を図っております。大口決済、あるいは証券決済につきましては、概観のご説明にとどめさせていただきまして、次のページに移りたいと思います。

3ページ目はこういった決済は、通常、現金通貨、あるいは預金通貨で行われますが、2006年度でございますが、現金が月中平残で71兆円、銀行預金が316兆円、合わせましてGDPの76%に達しているという状況でございます。こちらの数字と、そのほかの小さなリテール決済等を比較していくことになるかと思います。

4ページ目でございますが、先ほど申し上げました全銀システムの取扱高でございます。このような伸びを示しておりまして、自行内で処理が終わりますと全銀システムを通しませんので、合併等、そのほか経済影響によって取扱高が変わってまいりますが、先ほど申し上げましたように、2006年度では533万件、2007年度で552万件、10兆7,258億円に達しているという状況でございます。

続きまして、5ページ目、6ページ目が、インターネット利用の普及状況、あるいはインターネットによる商取引の規模でございます。細かな説明は省略させていただきますが、このようなインターネットの普及によりまして、ますます決済の利便性等の必要性が生じてきているという状況にあるかと思います。このようなインターネット取引の普及に対応いたしまして、7ページ目でございますが、銀行におきましては、例えばインターネットバンキングを普及させており、ここに示されておりますような普及状況という形でございます。

続いて8ページ目でございますが、インターネット取引等を主とする銀行の預金残高です。銀行におきましても、インターネット取引に対応した形で、主としてインターネット取引を行うような銀行が登場してきておりまして、平成19年3月末では1兆7,313億円の預金残高、口座数では456万件という状況でございます。

しかしながら、9ページでございますが、オンラインショッピングサイトで最もよく利用する決済手段といたしましては、半数がクレジットカード、そのほかコンビニ決済、あるいは代引等が利用されておりまして、銀行による利用はあまり大きな割合を占めておらず、銀行以外による決済手段が広く利用されている現状でございます。

また、決済手段としての銀行送金は、為替取引というものでございますが、銀行法で為替取引は銀行――信用金庫などほかの金融機関もあわせて銀行と申し上げさせていただきます――銀行に限られております。法律の方は後ほど参考に参照条文の抜粋を掲げておりますので、そちらをご覧いただきたいと思います。10ページが、この為替取引と言われるもののスキームをイメージしたものでございまして、順為替と言われます振込の場合、あるいは逆為替と言われるような代金取立の場合も含めて、為替取引という形で、銀行を介した資金移動が行われているというものでございます。

次に、銀行による決済に代わるという意味で「新しい」と申し上げさせていただきますが、新しい決済サービスについての現状でございます。

まず、収納代行サービスでございます。11ページが収納代行サービスのイメージでございます。具体的な仕組みは、また次回以降メンバーの方々からご説明をいただきたいと考えておりますが、このようなイメージで、収納代行サービスが資金移動サービスとしての性格を有しているということをご理解いただけるのではないかと思います。なお、このイメージは、利用者と収納機関を結ぶだけのイメージでございますが、このほか、収納機関と収納代行会社との間で収納代行を行う場合や、あるいは銀行口座の引落しを利用した収納代行など、収納代行サービスといってもさまざまな形態があると存じます。

次に、12ページでございます。新しいサービスにつきましては、あまりご紹介できる十分な資料がございませんが、まず、コンビニエンスストアの店舗数と銀行等の店舗数、あるいはCD、ATMの設置台数との比較でございます。こちらのコンビニのすべての店舗で収納代行を取り扱っているわけではございませんが、統計上店舗数そのものを掲げさせていただいております。このように相当程度広く便利に利用ができるような状況になっているのではないかと思います。

13ページでございますが、主なコンビニエンスストアによる収納代行の取扱状況の推移でございます。2007年でございますが、合計を見ていただきますと、取扱高は6兆3,218億円になっております。参考に掲げておりますが、銀行の内国為替取扱状況ですと2,628兆円ということで、金額の規模では銀行の方が大口送金等も担当しておりますので、まだまだ足元に及ばないような状況でございますが、件数の比較を見ていただきますと、内国為替の方が13億強に対して、コンビニの収納代行の方が6億7,370万ということで、50%近い割合に達しているというものでございます。

続きまして、14ページでございますが、こちらが代金引換サービスのスキームのイメージでございます。こちらも具体的な仕組みは次回以降にご説明をいただきたいと考えておりますが、収納代行と同様に資金移動サービスの性格があるかと思っております。これに関しましては、個別に件数が発表されている事業者もございますが、全体的な状況をご説明できるような件数は、残念ながらございませんので、イメージ図だけでございます。

15ページも同様にエスクロー・サービスと言われるもののスキームのイメージ図でございますが、この具体的な仕組みにつきましても、また次回以降メンバーの方からご説明をいただきたいと考えております。こちらにつきましても、件数等についてはご紹介できるようなものは、残念ながらございません。

以上が、資金移動サービスと考えるものの主なものでございますが、16ページからが資金前払サービスであるプリペイドカードであります。プリペイドカードにつきましては、ほかの資料で前払式証票の概要をご説明させていただきますので、こちらの方は簡単な資料しか載せてございませんが、16ページは、最近いわゆる電子マネーとしてマスコミ等で報道の機会が多い、主なIC型プリペイドカードについて発行枚数等をまとめたものでございます。

17ページが、これらの主なIC型プリペイドカードの発行額及び回収額の推移でございまして、半期ごとに統計が出ておりますので、平成19年3月末の平成18年度であれば、発行額は合わせて5,177億円になっております。回収額がございますので、この発行額と回収額の差分がいわば積み上がっていって未使用残高として供託等の義務のあるものになるかと思います。その計数は、同じく19年3月末で、本日資料として用意しておりませんが、約500億円弱という状況でございます。

18ページはあとで説明させていただきますので飛ばさせていただきまして、19ページから21ページがポイント・サービスに関する資料でございます。さまざまな事業者から種々のポイントが発行されておりますが、19ページがその事業分野でございます。ポイントにつきましても、正式な計数がございませんが、20ページがその発行額等について推計、あるいは予想をしたものの紹介でございまして、2006年度の6,654億円が2012年度には7,874億円に達するであろうというような推計がなされております。

21ページは、2006年度につきまして、この6,654億円という推計がなされている内訳といったものでございます。こちらの方は発行額でございますので、実際には利用されますと回収されますので、先ほど申し上げましたプリペイドカードの未使用残高に当たる金額というものは推計がされていないようでございます。

続きまして22ページでございます。以上、ごく簡単にご説明申し上げました決済に関する新しいサービスにつきまして、今申し上げましたようなカテゴリーでどのような具体的なサービスがあるかという具体例をお示ししたものでございます。今回ご参加いただいておりますメンバーの方々がそれぞれご提供されておられるサービスも多々あるかと思いますので、また具体的な内容等については、そちらの方でご議論いただければと思っております。

23ページでございますが、このような決済サービスが経済活動におきまして、どの程度の規模に達しているかの比較の1つでございます。民間最終消費支出と比べております。よくマスコミ等では少額決済ということで、それとの比較がございますが、少額決済の具体的な統計等がございませんので、民間最終消費支出と比べております。コンビニエンスストアの場合で2%程度、前払式証票の場合でグラフですが4%程度の利用、クレジットカードであれば10%近い利用という形でございます。ちなみに、3ページでございましたが、現金通貨の平残が71兆円でございますので、民間最終消費支出に比べれば、現金が約25%近く利用されているというものでございます。

先ほど飛ばしました18ページですが、こういった電子マネーあるいはいろいろな決済手段の利用に伴って貨幣流通量が落ちているのではないかというような報道が時にございますので、その参考でございます。貨幣流通枚数の対前年の伸び率が近年大幅に低下してきているという状況でございます。ただ、こちらの方は、家計最終消費支出の伸びの低下等にあわせて落ちてきているのではないかという分析もございますので、必ずしも電子マネー等の影響であるわけではないかというふうに思います。また、発行額も現金、あるいは預金の流通量に比べて、まだ必ずしも大きなものになっているわけではないかと思っております。

続きまして、24ページでございますが、諸外国の状況でございます。日本は、資金移動サービス、送金につきましては為替取引に当たりますので、銀行しかできないという仕組みでございます。こちらの方は免許制でございます。また、マネロン等の規制がございます。

一方、前払サービスにつきましては、前払式証票の規制等に関する法律というもので規制を受けております。具体的な中身はまた違う紙でご説明をさせていただきます。

それに対しまして、アメリカはそれぞれ州によって異なっておりますが、ニューヨーク州法の場合ですと、送金業者法というものがございます。こちらの方は銀行とは別に免許制ですが、送金業というものが認められております。こちらの方は運用規制があるということで、他業禁止がかかっていないとか、銀行と異なる規制になっております。ちなみに送金とは、ここに書いてございますように、送金のための資金の受入れ、その送金、checkの売買、あるいはBill payment servicesがあります。「収納代行」と訳すかどうかについてためらいがございましたので、「Bill payment services」と書いてございますが、収納代行に近いようなものも送金というふうに位置づけられております。

また、日本でいうところのプリペイドカード法に相当する法律はなくて、同じ送金業者法の枠組みの中でとらえられておりまして、そのうち、第三者型電子媒体のみが規制対象になっておりまして、日本のような紙型のプリカというのは、送金業には入っていないという状況でございます。

また上限等はございませんし、換金が自由に――送金でございますので、当然換金は自由にでき、マネロン法がかかっているという状況でございます。

EUにつきましては、EUの指令というものがございまして、そのEUの指令を受けまして、各国で法整備を図るとなってございますので、まずEUの仕組みをご説明させていただきます。EUにつきましては、日本の銀行に相当するものは信用機関といたしまして、EUで信用機関指令というものが出されております。それに対しまして送金業は、信用機関とは別にEU決済サービス指令というものが出されておりまして、これは新しい指令ですから、加盟国は2009年11月までに国内法で施行するということになっております。こちらの方も免許制になっておりまして、銀行よりは軽い規制で、例えば他業禁止規制がないとか、あるいは少額取引業者は加盟国の判断によって登録制とすることが可能という仕組みになっております。この決済サービスにつきましてもここに書いてあるとおりでございまして、Bill payment servicesなども、ここでいうところの決済サービスに含まれているというものでございます。

また、プリペイドカードにつきましては、EUの場合、EU電子マネー指令というのものが出ておりまして、電子マネー機関と位置づけられております。銀行に相当する信用機関とはまた別の免許でございまして、限りなく信用機関に近いような結構強い規制がかけられておりまして、他業禁止があるとか、運用規制とか、自己資本の維持とかが求められているという状況でございます。ただ、こちらも第三者型の電子媒体のみの規制という形になっていると承知しております。また、換金につきましても、極めて銀行に近いとらえ方をしておりますので、逆に換金義務があるという状況で、マネロン等の規制対象になるということでございます。

英国、あるいはほかの国等につきましては、EU指令を受けまして、基本的にEU指令がカバーする部分と同じものでございまして、各国細かな違いはございますが、本日はとりあえずEU指令についてのご説明にとどめさせていただきます。

25ページが関係条文でございますので、後でご覧ください。

26ページが昨今、重要性が増しておりますマネーロンダリングに関する動向について、簡単にまとめたものでございますので、説明は省略させていただきます。

続きまして、 II の「決済に関するこれまでの議論」でございます。資料の方は直近のものから時系列で並べておりますが、29ページ、30ページが決済に関する強化等の指摘でございます。説明は省略させていただきますが、これらの指摘も踏まえまして、金融庁金融研究研修センターにおきまして、決済に関する研究会を設け、決済に関する論点の整理を行っております。

28ページが、その概要でございます。また、資料1-6が、この決済に関する論点の中間的な整理についての本体そのものでございます。こちらの方は決済をめぐる環境の変化に対応しまして、新しいサービスの利用形態、機能に即した検討が必要であること、あるいは預かった資産の保全、新しいサービスの提供の促進、機能に応じた電子マネーに関する制度整備、ポイント・サービスの位置づけ等の論点の整理がなされておりますので、このような論点の整理を参考にして、今後ご議論いただければと思っております。

また、金融審議会金融分科会情報技術革新と金融制度に関するワーキング・グループも開かれておりまして、31ページがごく簡単な内容でございますが、電子的支払サービスの提供者が留意すべきと考えられる事項としまして、契約関係等の明確化、あるいは電子的価値の金額情報の滅失・毀損等の際の取扱い等についての座長メモが取りまとめられております。こちらは資料1-7が本体でございます。こちらについてもご参考にしていただき、ご議論いただければと思っております。

27ページが、このような論点の整理等を踏まえまして、金融庁の方で先ほどもお話がございました金融・資本市場競争力強化プランというものを取りまとめた中でのリテール決済に関する部分、あるいは決済に関する部分の抜粋でございますので、ご覧いただければと思います。説明は省略させていただきます。

続きまして、資料 III 、「新しい決済サービスに関するトラブル事例等」でございます。こちらは報道等を整理したものでございますので、説明は省略させていただきますが、特に32ページが警察の白書等でございますが、地下銀行につきましては、犯罪インフラとして位置づけがされておりまして、地下銀行等についての摘発に力が入れられているという状況でございます。時間の関係で大変はしょってご説明させていただいておりますが、以上が資料1-2でございます。

続きまして、資料1-3、「前払式証票規制法等について」でございます。こちらをご覧いただきますが、最初、1ページ目が前払式証票規制法の概要でございます。以下、通常プリカ法と言われておりますので、私もプリカ法としてお話をさせていただきますが、最初の○がプリカ法の目的でございますが、平成元年に制定された法律でございます。プリカの定義でございますが、次の2ページに正しい法律が書いてございますが、要約しますと、ここに書いてございますように、「対価を得て発行される、金額、物品・役務の数量などが記載(記録)された証票等であり、提示、交付その他の方法により、代価の弁済や物品の給付請求等に使用できるもの」というものでございます。ただし、入場券や乗車券、あるいは発行日から6か月以内に限り使用できるもの、国・地方公共団体が発行するものなどは、適用が除外されているということになっております。

主な規制でございますが、第三者型発行者につきましては、事前登録制で、財産的基礎あるいは人的構成を満たすことが必要とされております。自家型発行者につきましては、基準日、こちらは3月末、9月末でございますが、未使用残高が700万円を超えた場合に届出の義務が生ずるということでございます。前払金の保全措置といたしまして、基準日の未使用残高が1,000万円を超えた場合に、基準日の未使用残高の2分の1以上の発行保証金を供託することが義務づけられております。ただし、金融機関などとの保全契約によることも可能という仕組みでございます。発行者が倒産などによりましてプリカが使用不可となった場合には、プリカの所有者の発行保証金を還付していくという仕組みで財産保全を図るという仕組みになっております。

そのほか、発行者に対しまして、プリカの券面等に有効期限などを表示することが義務づけられております。また帳簿作成等の義務や、第三者型発行者に対しましては立入検査、業務改善命令などの規定が設けられております。また、プリカ法の中にはプリカの発行者がプリカの購入者等の利益保護等を目的としまして、自主団体であります前払式証票発行協会を設立することができるという旨が規定されております。

2ページ目は飛ばさせていただきまして、3ページが先ほど申し上げましたようなプリカであると、当然プリカ法の規制が及ぶのではなくて、種々の例外規定が設けられているということを整理した表でございます。

4ページ目がまた違う整理でございますが、現行法のプリカ法の適用を受けますAといいますのが紙の商品券で、そこに金額データが書いてあるようなもの。Bというものが、IC型のように、金額データがカードにあるんですが、端末等で読み取るもの。Cというものは、同時にセンターサーバ等でも金額管理をして、カード自体でもIDを利用して、金額データそのものを管理しているというタイプです。これらのものは券面、あるいはICチップ等に金額情報があるということで、プリカ法の適用があります。

一方、持っているカード、あるいはカードそのものもなくて、ID番号しかわからない場合もあるかと思いますが、これらを利用いたしまして、センターサーバに蓄積された情報で金額データを確認するようなタイプ、とりあえずサーバ型プリカと整理させていただいておりますが、サーバ型のプリカには、プリカ法の適用がないという状況でございます。

5ページでございますが、これらのプリカの発行状況ということで、現行のプリカ法の適用があるものの状況でございますが、左が発行者数の推移ということで、自家型、第三者型、それぞれの発行者数でございます。

右がプリカの発行額の推移でございますが、先ほど資料1-2で主なIC型につきましてデータが出ておりますが、大幅に計数が違っております。IC型の、昨今電子マネーと呼ばれるプリカ以外にいろいろな遊戯具等で利用されておりますプリカがございます。そちらの発行額が非常に多うございますので、先ほどのいわゆる電子マネーとよく言われているようなものとは大きな数字の齟齬があることに、ご留意いただければと思います。

6ページでございますが、こちらが現行のプリカの記録媒体の発行割合の変化ということで、昔は紙あるいは磁気タイプが中心であったものが、どんどんIC型に変わってきているという状況でございます。

7ページでございますが、こちらのサーバ型プリカについて統計等が、私どもございませんので、また民間の調査でございますが、IC型プリカの方が伸びを示しておりますが、プリカ法対象外のプリペイドサービスも今後伸びを見せるであろう、ということが言われております。ただ、先ほど申し上げました統計と、こちらで推計あるいは実績値を測定されておられる統計は、主として電子マネーと言われているものにターゲットが置かれております関係か、少し差がございます。

8ページでございます。先ほど発行保証金の制度があると申し上げておりますが、過去プリカ法が制定されてから、倒産等によりまして、その発行保証金を返している事例でございます。全部で27件ございますが、50%の供託ですが、申出等を受けて返しているケースで件数ベースですと、100%のケースが多うございます。中には18.1%であるとか、37.7%であるとか、50%の供託をしていたとしましても、半期ごとの供託でございますので、たまたま発行額のずれがあったり、あるいは検査のタイミングのずれかと思いますが、適切な供託がなされていないと、必ずしも50%返還がなされない場合があるというものでございます。一方で50%の供託でも100%返っているという例もあるということでございます。

9ページが、先ほどプリカ法のご説明をしておりますが、ごく簡単に銀行法との比較をしたものでございます。銀行法との関係では、飛んで恐縮ですが13ページに平成元年のときに現行のプリカ法を制定する際に研究会が設けられておりまして、そこの研究会報告では、このように「当座預金による資金決済に極めて類似した機能を持つとも考えられる。この点で第三者型発行型プリペイドカードの発行主体は金融機関に類似していると考えられる」という指摘もございまして、ある程度、銀行を参考にしながら法律がつくられているかと思います。第三者型発行タイプのプリカであっても、業務改善命令やあるいは報告徴求権はついておりますが、そのほかについては銀行に比べましてかなり緩やかな規制になっておりますし、また最低純資産規制等につきましても、公益法人等の発行であれば、その要件を緩和するなど、比較的緩やかな規制になっているかと思います。

次、10ページ以下は参照条文でございますので説明を省略させていただきますが、11ページのところで1つだけ申し上げますと、先ほど為替取引が銀行に独占されているというふうに申し上げておりますが、この為替取引につきましては、2.でございますが、最高裁の判例で「隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して、資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、またこれを引き受けて遂行することをいう」という判例が出ております。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

具体的なサービスについてご説明を伺ってから、まとめて討議の時間をとりたいと思いますので、続きまして、メンバーのビットワレット株式会社執行役員常務でいらっしゃいます宮沢様から、前払式証票規制法上のプリペイドカードでありますEdyについてのご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○宮沢委員

ただいまご紹介いただきましたビットワレットの宮沢でございます。本日は電子マネーEdyの現状及び今後の発展性に関しまして、ご説明させていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日トップバッターという大変に光栄なことだと思っておりますので、ぜひ忌憚のないご意見をいただきたいと思います。

それでは、お手元の資料に従ってご説明をしていきたいと思います。

2ページ目でございますけれども、まず電子マネーEdyのシステムの運用をしておりますビットワレットという会社の概要でございます。こちらにありますように、現在の株主構成61でございまして、銀行、証券会社、クレジットカード会社、あるいはメーカー、携帯電話事業者、あるいは航空事業者、広告代理店といったさまざまな業種、業態、異業種の集合体でございます。このような集合体によりまして、自由な発想やイノベーティブなサービスというものをいろいろ創意工夫を用いまして、さらに最新のテクノロジーというものを使って、事業を推進しております。

本日ご説明いたします内容でございますけれども、Edyの概要につきまして簡単にご説明させていただき、その後、今後電子マネー事業あるいはEdyがどのような発展をしていくことが想定されるかという話をしていきたいと思います。最後に、私どものビットワレットの今回の法整備に関するお願い、あるいは考えについて説明させていただきたいと思います。

まずEdyについてでございますけれども、ページをめくっていただきまして、こちらの資料につきましては、野村総合研究所さんがまとめた資料でございます。先ほどの金融庁様の資料とほとんど齟齬はございませんが、2007年度の非接触IC決済市場、その中で電子マネー決済、いわゆる電子マネー決済につきましては、5,830億円という数字になっております。さらに非接触型のICを使ったポストペイ決済というのがございますが、こちらはクレジットに準ずるものかと思われますが、こちらを足しまして、8,444億円というのが2007年度の数字でございます。

今後、こちらの電子マネー、プリペイドの方につきましては、徐々に伸びが鈍化していくというような予測になっておりまして、2012年段階で約2兆2,000億円という予想になっております。将来は、硬貨等に対する一定の影響が出てくる可能性があるのではないかと思いますが、いずれにしましても、非常に小さい規模でございまして、現在の現金取引、あるいは預金取引316兆円というところに比べますと、そういった規模になるということは、全く私どもとしては想定していないという現状でございます。

また、電子マネーという言葉の使い方でございますけれども、本委員会では、プリペイド型というふうに私ども理解しておりますが、一部報道等ではポストペイも含めて電子マネーというような、利用者に対しまして誤解を与えるような表現もあるのかと思いますので、本日、有識者の方々がお集まりいただいておりますので、この辺の啓蒙、あるいは指導もしていただければと考えております。

次に、電子マネーのフローとストックというチャートがございますけれども、こちらにつきましては、事業の性格としまして、銀行と大きく異なるということでございますけれども、いわゆるフロー、発行金額あるいは利用金額に対しまして、年度末の残高の数字を見ますと非常に小さいと。ほとんど皆様、発行、チャージをされて利用されるということで、あまり残高として残さないという使い方をされているという状況でございます。したがいまして、私どもとしましても、現金をためて、それを貸付にしようとか、そういった目的ではなくて、フローの部分でのビジネス、使える部分をチャージして、チャージしていただいたものは使っていただくというようなビジネスでございます。ちなみに、このフローとストックの比率でございますけれども、Edyの場合は約6%という数字になっております。

改めまして、Edyに関する説明でございます。次のページでございますけれども、電子マネーサービスEdyでございますが、プリペイド型の電子マネーでございまして、カードの中に価値の情報ですね、残高情報を書き込んでおりますので、現在、前払式証票規制法(プリカ法)の規制を受けまして、その範囲で事業を行っております。上限金額につきましては、5万円という制限を、これは私どもが自主的に設定しております。また1回のチャージ金額の上限は2万5,000円と設定しております。また、一度チャージしますと、原則として現金化できないという換金不能という形にしております。

また、利用金額あるいはチャージ金額の単価でございますけれども、1回の平均のチャージ額が約4,800円、月間平均しますと、大体3.5回ぐらいの頻度でございます。また、利用につきましては、コンビニエンスストア等での1回の利用金額が約500円でございまして、大変少額の決済でございます。また利用回数につきましては、大体月6回ぐらい。

スーパーマーケットで使われるケースもございますが、その場合は、利用金額の単価が約2,000円でございまして、利用回数は月10回程度ということでございます。

次のページでございますが、こちらは電子マネーEdyのビジネススキームで、Edyというのは、私どもは価値情報ととらえておりますけれども、Edyの価値とお金の流れというもののフロー、スキームでございます。まず、利用者はカードを持ちまして、Edyの購入をいたします。その場合に見合い資金の支払をしまして、その資金に相当する金額の価値情報をEdyのカードの中に書き込むというのが、まず1番目でございます。この際に、Edyの売買契約が成立をしまして、利用者としましてはEdyというプリペイドを購入したというたてつけになっております。

次に、利用者はこのカードを持ってお店に行きまして、端末にタッチをします。その際に、指定した金額が引き落とされる。つまり、カードの中のEdyを移転をしまして、加盟店側に価値の移転が図られる。これによりまして、代金の支払が完了する。利用者としましては、その際に商品・サービスを受け取るということになっております。これがEdyによる支払でございます。

3番目に、加盟店の端末の中に入っておりますEdyの価値、これをビットワレットが買い取るというスキームになっております。Edyの価値をビットワレットが買い取る。それによりまして、ビットワレットは加盟店に対しまして、利用代金の支払を行っております。ちなみに加盟店の方からビットワレットに加盟店手数料の支払というのをいただきまして、いわゆるコミッションでございますけれども、それはちょうどクレジットカードのビジネス、加盟店手数料と同じような考え方でございます。この段階で、Edyの価値というのはビットワレットの中で消滅するというたてつけになっております。

最後に、ビットワレットとバリューイシュアの間で精算を行っておりまして、ビットワレットが加盟店からEdyの価値を買い取る、加盟店に対して支払をするということに対しまして、契約上、その対価を精算するという形になっております。

また、全体のシステム運用、バリューイシュアのチャージ(入金)に関するシステムの運用をバリューイシュアからビットワレットの方に委託されているという関係でございます。

次のページでございますけれども、今お話ししましたイシュアと加盟店、ビットワレットの関係といったものが、イシュア契約並びに加盟店契約の中に明記されておりまして、この中では、バリューイシュアはビットワレットに対しまして、Edyの発行にかかるシステム運用、それから加盟店からのEdyの買取りというものを委託しているというたてつけになっております。

次のページでございますが、同じくイシュアと利用者の関係でございますけれども、利用約款に明記されておりまして、まずEdyの購入でございますが、EdyがEdyカードに蓄積された時点で、Edyの売買契約が成立しているという形になっております。

次にEdyの使用でございますけれども、こちらにつきましては、店頭においてEdyカードをタッチしていただきまして、その同額のEdyを移転させたことによりまして、支払が完了したということをみなしております。これが約款で明記されている内容でございます。

次のページでございますけれども、今いろいろお話をいたしましたが、日本において電子マネーというのがかなり普及してきたという背景と、それから、それではなぜ海外においてはなかなか電子マネーが普及してこなかったのか。あるいは過去の電子マネーのトライアルがなかなかうまくいかなかった理由はどの辺にあるのかというのを、私どもなりに整理したチャートでございます。

まず、過去のトライアルでの課題というところで、私どもが分析しましたところ、まず1番目に重要なことは、やはりユーザー、あるいは加盟店にとって電子マネー利用の必然性が非常に不明確であった。仕組みをつくっても、なかなか必然性がないと使われないということでございます。

2番目が多大なシステム投資がかかります。加盟店の仕組み、センターの仕組み、あるいは入金の仕組みとか、さまざまな環境が必要でございますけれども、これらのシステム投資負担の主体者が不明確であったということが言えるかと思います。

3番目に、先ほど申し上げましたように、大変に少額の決済でございますので、手数料の額も小さく、非常に投資回収が困難であるということから、なかなか諸外国におきましても成功事例がないということではないかと考えております。それで、私どもがどう考えたかということなんですが、まず、私どもチャレンジとしましては、加盟店のメリットをきちっと創出すること。あるいは利用者のメリットを明示することということが非常に重要であると考えております。それを実行してまいりました。

単なる決済手段では普及しないということで、加盟店にとっても、CRMと書いてございますけれども、Customer Relationship Managementということで、ご自分の事業のマーケティングに活用できる、あるいは売上の拡大につながるような、そういった仕組みがやはりないと、なかなか電子マネーは加盟店では導入していただけないというところがございます。また利用者にとりましても、さまざまなインセンティブがありませんと、なかなか現金から電子マネーの方には変わらないということがわかってきております。したがいまして、全日空さんとマイレージの連携というようなサービスをいろいろ進めてまいりましたが、そのような民間企業での創意工夫によるイノベーティブな発想、あるいはサービスということで、新たなメリットをつくり上げてきた。それが非常に普及の鍵になっていると考えております。

また、2番目としましては、ビットワレットが主体的に利用システムの環境を整備してまいりました。このあたりも、加盟店さんの方で自主的に投資をするというのはなかなか難しい。あるいは入金環境のコストがかかりますので、この辺に関しまして、私どもが主体的に整備してきたというのも、2番目の要因ではないかと思います。

3番目の要因としまして、手数料が小さい、なかなかビジネスとして回らないということでございますけれども、まずはトランザクションのボリュームを上げていくと。少額ですけれども、ボリュームを上げることによりまして投資回収ができてくるだろうということですが、やはりそれだけではなかなか難しいということで、トランザクションデータを基にしました販売促進とか、マーケティング事業というところで、加盟店手数料収入以外の収益機会というところにチャレンジしておりまして、このような収入を合わせることによりまして、投資回収が可能になってきているということでございます。

ちなみに、4年ほど前でございますけれども、ある新聞紙上に、「日本発電子マネー浮上、世界へ」という新聞記事が出ました。当時首相でありました小泉元首相からお問い合わせをいただきまして、私、財務省大臣官房総合政策課の方に出頭しまして、いろいろご説明をしたという経緯がございます。そのときにご質問をいただきましたのは、なぜ海外では電子マネーがうまくいかないのか、あるいは旧大蔵省、銀行主導で推進した電子マネーはなぜうまくいかなかったのかというご質問をいただきまして、このようなご説明をいたしました。財務省の方からもやはり民間の創意工夫が電子マネー育成に不可欠であるということを言っていただいたという経緯がございます。

次に、ただいまご説明しました普及状況です。どのような投資、どのような環境をそろえてきたかということを簡単にご説明していきたいと思います。

まず市場に頒布したカード、3,880万枚、4月1日現在でございます。そのうち、携帯電話にこの電子マネーが使えるという環境になっているのが約760万台でございます。また、決済環境を整備した加盟店が7万4,000店。月間の取扱件数が2,400万件でございます。

先ほど申しましたように、単なる決済手段ではなく、マーケティング事業のための環境という形で考えておりますので、少額の決済手数料だけではなかなか難しいという状況でございます。

次に、利用システムでございますけれども、こちらにつきましてもビットワレットが主体的に利用のシステム環境を整備してまいりまして、現在、約7万4,000店、コンビニエンスストアあるいは飲食店、スーパー、さまざまな業種・業態に広がっておりますが、こちらにつきましても、やはり端末の投資額が大きいということで、加盟店と費用を分担しながら投資しているわけですが、それにつきましても、CRM等、マーケティング等の加盟店側のメリットがないとなかなか投資していただけないということで、やはりマーケティングというのが不可欠であるということが言えると思います。

次のページでございますけれども、入金システムの環境の整備につきましても、ビットワレットが入金システム環境を整備してまいりました。現在は、リアルでのチャージ拠点として、コンビニエンスストアやスーパー等、全国3万6,000か所でチャージができるようになってございますが、やはりチャージ機の設置、メンテナンス、あるいは現金の回収、POSチャージにおけるチャージの業務の委託といった場面で、コストが大変かかるという状況でございます。この辺のコストを、先ほどの利用した際の加盟店手数料の中で吸収していく、していかなければならないというのが状況でございます。

また、パソコン、携帯電話でのチャージということも現在可能になっておりますが、クレジットカード事業者との連携、あるいは銀行との連携によりまして、オンラインでチャージが可能になっておりますが、この際もやはりチャージの手数料という形で私どもクレジットカード会社、あるいは銀行等に手数料を支払っているという状況でございます。

次のページでございます。Edyカード及び携帯の普及状況ですが、さまざまな企業が発行しております。こちらのカードにつきましても、やはりコストがかかるということもございまして、発行企業のメリットがありませんと発行していただけないという状況でございます。この中で最も多いのが、会員証一体型のカードでございまして、こちらが最もよく使われているという状況でございます。最近では社員証や入館証あるいは学生証と一体になったカードも大変に増えてきていると。普段持ち歩くカードですので、Edyの利用も大変多いという状況でございます。最近、利用が増えてきておりますのが、携帯電話の中に内蔵されておりますICチップにより決済するEdyも大変増えております。

次のページでございます。いろいろな民間企業同士の創意工夫によってどういったことをやってきたかというご紹介でございますけれども、CRM――顧客満足度向上のためにさまざまなCustomer Relationship Managementという形で、電子マネーのインフラを活用しております。全日空さんとの取組では、Edyを加盟店で利用しますと、200円の支払ごとに1マイルたまる。また1万マイルたまりますと1万円分のEdyに交換ができると、このようなスキームが大変ユーザーのメリットがあるということで、普及が大変進んでまいりました。また全日空さんにとっても、あるいは加盟店にとっても大変メリットがあるということで、すべての事業者、プレーヤーが満足するようなスキームができてきているということでございます。

次のページでございます。次のページは、同じくCRMツールとして、Edyギフトというサービスがございます。こちらは紙のいわゆる商品券、ギフトカードを電子化したものとお考えいただければよろしいかと思いますが、利用者のEdyカードとか携帯にEdyの価値を届けるというサービスでございます。これによって、企業の方からインセンティブを提供したいというような場合に活用できる、安価で簡易な販売促進のツールでございます。企業とか加盟店が電子マネーを活用する理由の1つになっております。

次のページでございますけれども、今いろいろお話をしました、さまざまなツールを活用しまして、各企業はEdyの利用情報、あるいは顧客管理、購買分析によって、効果的な販売促進活動が実現ができていると。このような背景がありませんと、電子マネーの導入はされないというのが現状でございます。

次に、今お話しいたしましたようなことで、今後電子マネーがどう発展していくのか。これは私どもEdyだけではなく、流通系の電子マネーを発行されている方、あるいは交通系の電子マネーを発行されている方も同じような方向で事業を発展させているというふうに理解しております。現在は、上から3番目の決済、CRMプラットホームとして拡大しておりますが、今後につきましては、決済データに基づく、さらに新しいマーケティング手法の提供をしていくという方向でございます。

さらにその先としましては、新しいライフスタイルの提供をしていきたいということでございます。一番下に書いてございますように、決済金額は非常に小さいということで、手数料収入は小さいんですが、その手数料収入そのものよりも、そのトランザクションの情報自体に我々は価値があると。そこからマーケティングであるとか、広告事業というところに発展ができるという意味で、この情報に価値があるというふうに考えております。

次に、今後のサービス・事業の発展性でございますが、今お話ししましたように、まずは、一番下の土台になります電子マネーサービスの拡充というところが重要である。さらにユーザーの利便性の向上、あるいは使える環境の拡充ということによりまして、多くの方が使えるような環境を整備して、トランザクションの増加を図っていきたい。

また、その上のマーケティングツール、ここは表裏一体でございまして、マーケティングツールがないと電子マネーも普及しない。あるいは電子マネーが普及しますと、マーケティングツールとして有用になるという関係になっておりますが、ポイントやギフト、クーポンといったものと、今後も密接に関連していくのではないかと考えております。

その先につきましては、購入履歴データ――こちらにつきましては当然、個人情報が絡みますのでパーミッションをいただきながらの展開になりますけれども、購入履歴データを活用した広告事業というところも業界として、皆さんそういう方向性で進んでいるというふうに理解しております。

まず、電子マネーサービスの拡充というところの一番下の土台のところでございます。こちらにつきまして、今後どうなるかということですが、やはりリアルの環境での利用のみならず、ネット環境への利用に広がっていくと。パソコンでの利用ですね。今現在、リーダーライターが装備されたパソコンが市場に500万台出荷されている。あるいはおサイフケータイというICチップが内蔵されたものが4,700万台出荷されております。さらにゲーム機器でも電子マネーでの支払等ができるようになっておりますが、今後につきましては、いわゆるデジタル家電のテレビ等のコンシューマーエレクトロニクス機器への展開というのが予定されておりまして、日本の競争力でありますデジタル家電とこの電子マネーの融合によって、さらに日本の競争力アップに貢献できるのではないかと考えております。

そのような中で、ネットとの融合が図られていくということから考えてまいりますと、さらなるサービスの発展の可能性として、このようなことが考えられるのではないか。現状はストアードバリュー型のカードを、リアルの加盟店、ネットの加盟店で支払うという形になっておりますが、サーバ管理型、サーバの方に価値を持つような電子マネーとストアードバリュー型の電子マネーの併用、つまりストアードバリューの中に入っている価値をサーバ側に移す、あるいはその逆といったことがユーザーのニーズによって発生してくるということが考えられると思います。こういった場合に、法律的にどうなっていくのかというのが、私どもの1つの関心事でございます。

また、その下にありますように、現在ストアードバリュー型でのバリューの個人間のやりとりというサービスを行っております。これはEdy to Edyというサービス名で、2005年から関東財務局の確認をいただいた上で、こういったサービスをやっておりますけれども、こちらにつきましても、将来サーバ管理型でバリューを個人間にやりとりしたいというニーズが発生してくるのではないかと感じております。

次に今後の発展可能性ということで、マーケティングツール、あるいは広告事業という部分に関してでございますけれども、こちらは今現在、私どもが展開しているサービスでございますが、マーケティングツールのEdyで行っている事例として、クーポンのサービスがございます。このクーポンのサービスにつきましては、携帯電話、パソコンからお店の割引のクーポンを入手すると。そのクーポンを持って、お店でEdyで支払をしますと、その分のメリットが後で還元できる、受け取ることができるというようなサービスでございますが、このサービスは何を狙っているかと申しますと、次のページでございますけれども、このサービスは実は広告事業でございまして、加盟店にとりましては、インターネット上の広告ですね。それによってお客様を増やしたい、送客をするというサービスでございます。

スキームとしましては、まずユーザー、利用者の方から携帯、パソコンを使って、電子クーポンを取得し、そのユーザーがカード、携帯を持って加盟店で支払いますと、自動的に電子クーポンの利用がされます。そのデータが加盟店の端末を通じて弊社の方に利用実績データが上がってまいりまして、お店の方に送客実績を報告すると。実際にお客さんが加盟店の方に行って買い物をされた、飲食をされたという成果に対しまして、広告費をいただく、このようなビジネスモデルでございまして、今後このような購入履歴データを活用した広告事業というのがどんどん広がっていくのではないかと考えております。

最後になります。最後につきましては、ビットワレットとしての考え、あるいはこの委員会に関しましての要望を述べさせていただきたいと思います。

まず、先ほど申しましたように、ユーザーのニーズ等によりまして、サーバ管理型とストアードバリュー型の併用というようなサービスが行われる可能性があるのではないか。このようなケースを想定しますと、現行プリカ法によりますと、利用者がまずストアードバリューの方に価値を蓄積しまして、その価値をサーバ管理型の方に移動したと考えますと、その価値について、利用者の十分な認識がないうちに供託義務の対象から外れることになるのではないだろうか。この辺が私どもよくわからない部分でございますので、こういったケースに関しまして、消費者の保護の観点からの議論が必要ではないかと感じております。これがまず第1番目でございます。

次に、バリュー個人間移動サービスということで、今、いろいろ贈答用、友人から友人への贈答ということ、あるいは親から子供のお小遣いという形で使われておりますが、これにつきましては、チャージしたバリューが換金されないという仕組みであれば、法律に抵触しないというような見解を確認をいただいております。これは2005年6月に関東財務局の方に問い合わせをいたしまして、サービスを行うに当たって、為替ないしは銀行法等に抵触はしないかということで問い合わせをした結果、プリカ法、その他の法律に関して、特に問題はないという回答をいただいております。つまり、商品券等を封筒に入れて送るのと同じであるという見解をいただいておりまして、その見解をもとに、2005年からサービスを運用しております。これにつきましても、再度確認をさせていただきたいということと、もし換金を行うという電子マネーの仕組みである場合には、これは為替に該当するのではないかと私どもは考えておりますが、この辺につきましても、ぜひ議論をさせていただければと考えております。

今、お話が出ました換金でございますけれども、換金に対するビットワレットの考えでございます。私ども、一旦チャージしたバリューを換金不能という形で現在のプリカ法の範囲で運用しておりますが、こうした理由というところでございます。先ほどご説明しましたように、チャージをする、入金をするためには、インフラの運用コスト等、私ども大変コストがかかっております。なおかつ、私ども、このチャージしたバリューは利用を前提としている。これはプリカ法の精神であると理解しておりますので、利用を促進してトランザクションを増やしていきませんと、ビジネスのモデルが瓦解すると。これがビジネスのモデルの基礎になっておりますので、つまり加盟店手数料であるとか、あるいは利用したトランザクションのデータを基に販促マーケティング等に使っていくということでございますので、一旦チャージしてすぐに換金されてしまっては困る、あるいは趣旨に合わないということでございます。

また2番目の理由としまして、換金を義務づけられたという場合に関しましては、そのコストですね。換金のためのインフラ、あるいは換金に耐えられるだけのセキュリティー、さまざまな規制等を含めてコストが高まってくるということで、事業の継続性に悪影響を及ぼす可能性があるのではないかという2点から、このビジネス上の理由から、私どもは換金不能にしているということでございます。

また、別の理由としまして、社会的な要請というところで、換金を認めますと、不適切な利用を促進しかねないと。マネーロンダリングの問題、あるいは昨今、若干事故が起きておりますけれども、クレジット情報を不正に入手して、その不正なクレジット情報、他人の情報を利用してクレジットチャージをして、それをさらに換金ができるとしますと、こういった犯罪を助長するということにもなりかねないと考えております。

それから3番目でございますけれども、換金によるポイント獲得のみを目的とした利用と。これはどういうことを言っているかと申しますと、クレジットチャージでEdyをチャージしたときに、クレジットカード会社の方でポイントを付与するというケースもございますが、この際に、すぐに換金をしてしまうということによって、ポイント獲得だけを無限にしてしまうというような、非常に不適切な利用ということが考えられますので、以上の理由から換金は不能、あるいは私どもにとっては必要ないと考えております。

最後にでございますけれども、以上、いろいろお話をしたことを総合しまして、現在の電子マネーの枠組みの議論に対する私どもの見解でございますが、今の電子マネーの仕組みは特にシステミックリスクの大きい資金決済とは全く異なると考えておりまして、小口の決済のみを行う非換金の決済手段であると考えております。

先ほどの還付の事例もございましたけれども、現行プリカ法のもと、ある程度十分な消費者保護の枠組みを提供しているのではないかという認識もしております。

最後に非常に重要なことでございますけれども、事業者の絶えざるイノベーティブなサービス展開が必要でございまして、この民間企業の創意によって、電子マネーの決済だけではなくてさまざまなマーケティング、あるいは広告との結びつけということをやっていきませんと、なかなか電子マネーとして普及はしていかないと。せっかく少し産業の芽が出てきたところでございますので、ぜひこれらの点をご考慮いただきまして、ぜひバランスに配慮した議論をお願いしたいと考えます。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

続きまして、前払式証票規制法の規制を受けないサーバ型プリペイドカードでありますウェブマネーについて、メンバーの溝口様がご欠席ですので、代わって、株式会社ウェブマネー取締役兼執行役員管理部長の新井庸介様からご説明をいただきたいと思います。それではお願いします。

○新井参考人

新井でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、本日用意させていただいた資料はかなりコンパクトにしてございますので、口頭で若干補足させていただきながら、ご説明申し上げたいと思います。

まず1ページ目でございますが、私ども独自の決済インフラを構築しまして、安全で利便性の高い電子決済サービスを提供することによりまして、インターネット上――基本的にはリアルのお店ではなくて、インターネット上の商取引にターゲットを当てておりまして、これはオンライン、それからリアルタイム決済というのを1つキーワードにしております――での価値交換の媒体としまして、主たる地位を占めたいということで創業しております。

1999年4月に創業しておりまして、この3月に丸9年経過しております。昨年の12月には、新興市場であるジャスダック証券取引所NEOに上場させていただいておりまして、先ほど、ビットワレット様はご説明をされておりましたが、やはりこういったシステムの投資等がございまして、2006年3月期でようやく黒字化してございます。ということで、それを受けまして、昨年12月に株式上場という形になっております。この資料では株主構成を書いてございませんが、私どもには親会社がございまして、株式会社フェイスという東証一部に上場している企業でございまして、携帯コンテンツを中心としたコンテンツ配信事業というのを主に行っております。

次でございます。私どもの事業の内容につきましてご説明いたします。いわゆるプリペイド型の電子マネーの中で、いわゆるサーバ管理型というジャンルに属しておりまして、そのサーバ管理型の電子マネーとして「WebMoney(ウェブマネー)」というブランドで事業を行ってございます。主な流れといたしましては、下に図が書いてございますけれども、ユーザー様が販売店を通じて購入していただき、購入したユーザー様は、当社加盟サイトにて代金支払で使っていただくものであります。今日は枚数が足らないかと思いますが、このようなカードをクリップで留めさせていただいていると思いますが、裏側に銀色の膜が張ってございまして、スクラッチと呼んでおりますが、これを削り取りますと16桁の英数字が出てまいります。これは、アルファベットの大文字、小文字、それから算用数字を組み合わせて16桁で16乗しておりますので、かなりのセキュリティー強度になっているんですが、そちらが印字してございまして、そちらをユーザー様に、基本的には現在お持ちのパソコン、あるいは携帯電話の既存の端末から手入力していただくものであります。したがって、特定のリーダーライターは必要がないという仕組みでございます。ユーザー様にとってみると、販売店でこういったものを購入していただいて、ご自宅で16桁の暗号――金額的な価値を持った暗号――をご入力いただいて、インターネット上の支払で使われるというものでございます。

こちらの16桁の番号は、具体的には私ども加盟店という、インターネット上のコンテンツ配信サービスであるとか物品販売サービスで行っている会社様と契約を結んでおりまして、そちらの販売サーバ上に私どもが開発したプログラムをインストールしていただいております。したがいまして、一般のユーザー様が私どもの「WebMoney」という支払手段を画面上で選択されますと、私どものサーバの方に画面が遷移いたしまして、そちらで16桁の暗号情報を入力いたします。そこで、残高が購入金額よりも多ければ決済が完了いたしますので、認証情報が私どものサービスから加盟店様のサーバに投げられる。したがって、加盟店様のサーバには、私どものこの16桁の情報はたまらない、保存されないという形で決済の完了通知がなされまして、その瞬間にユーザー様の方では、例えばコンテンツのダウンロードであるとか、あるいはゲームのような入場課金で中に入れることになっています。まさにリアルタイムということが可能になってございます。したがいまして、ユーザー様はご自身のこの16桁の番号を私どものウェブ上でいつでも残高の確認ができるという仕組みになってございます。という形で、ビジネスモデルを構築しております。

手数料関係で申し上げますと、やはりこういったカードを販売店で売らせていただくという形になりますので、私どもの大体8割方がコンビニエンスストアさんでこういったカードを売っております。現在ではこのようなカードではなくて、コンビニエンスストアさんの情報端末、ローソン様ですとLoppi(ロッピー)であるとか、ファミリーマートさんですとFamiポート(ファミポート)、それからセブンイレブンさんもそういった情報端末がございまして、それぞれの端末を通じてシートという紙の形で販売させていただいております。したがいまして、私どものこの「WebMoney」という仕組みをご利用いただくときには個人の情報は一切使わないというのが基本的な事業スキームでございます。加盟店様からは、この仕組みをご利用いただくに当たって、トランザクション当たり何%という形で決済手数料をちょうだいしているという形になってございます。

次のページでございまして、先ほどのご説明と若干ダブりますけれども、これは具体的な手続のところを書いてございます。加盟店様のウェブサイトで1,200円のシャツを購入したいという場合、私どもの「WebMoney」をお支払手段として選択とします。ここでは16桁、1、2、3、4、5、6、7、8……、abcdefgh……を入力して、送信と。そうしますと、先ほど申し上げました加盟店様ウェブサイトの画面から私どものサーバ上の画面に遷移いたしまして、ここでは1,200円のお買い物をされたときにもともと残高が2,000円ありましたと。したがって購入後残高が800円になりましたということで支払をしますか、止めますかというような確認の画面が出まして、支払うことを選択されますと、支払が完了すると形になってございます。すべては私どものサーバ上の中で処理が行われまして、先ほど申し上げました処理の結果の通知を販売店さんのサーバに投げ返すという仕組みになってございます。

私どものこの販売でございますが、先ほど申し上げましたコンビニエンスストア様を通じまして、そのほかの家電量販店様もございまして、約4万2,000店舗で取扱いをしております。販売の形態としましては、先ほどサンプルでお配りしましたカードの形態、それからコンビニエンスストア様で設置されているマルチメディア端末、あるいは情報端末上での販売、それからオンライン販売というのも行っております。これは私どものウェブサイト上で直接販売する仕組みになります。したがいまして、先ほどの店頭販売ですと、お客様が直接現金をご持参いただいて、そこでこちらの「WebMoney」のカード、シートと引換えになるのですが、オンライン販売ですとそれができませんので、現状では私どもクレジットカード、それからオンラインバンキングの各社様とご提携させていただいておりまして、オンライン販売ですと、クレジットカード情報をご入力、それからオンラインバンキングですと、口座情報のご入力によって、指定した金額の「WebMoney」を販売させていただくという形になっております。

先ほど、匿名性でということで言いましたけれども、私どもの16桁の「WebMoney」という暗号自体が匿名性でございますが、オンライン販売をご利用いただいた場合には、当然でございますけれどもクレジットカード情報、それからオンラインバンキング口座情報のご入力が必須となってございますので、先ほどビットワレット様もご指摘がありましたけれども、クレジットカードの成りすましであるとか、そういった事故が発生しますと、当然私どもの方では確認ができない形で、「WebMoney」が不正に発行されてしまうということも若干ございます。これはやはり販売上、クレジットカード様、それからオンラインバンキング様とすべてシステムでつなげてございますので、そういった不正な購入情報が発生した場合は、速やかに事業者間で連携をとりまして、その真偽の確認と、場合によっては、購入されたIDについて基本的には停止してございません。というのは、発行後の譲渡、個人間の譲渡というのを認めてございますので、従って、発行された16桁のIDが例えばクレジットカードが成りすましで発行されたとしても、その後、個人間で譲渡されてしまいますと、善意の第三者が被害を受けてしまうという可能性もございまして、所有している方が悪意であるというようなかなり近い推定がある場合は例外的に止めたりしますけれども、そういったような問題というのが発生するケースがあります。

次のページでございます。使える加盟店様でございますが、こちらに具体的な会社様のロゴ等を掲載させていただいております。具体的にはこのグラフの下に書いてございますが、私どもの電子マネーというのは、ほとんどがオンラインゲーム様です。金額で書いてございますけれども、この平成20年3月期で決済金額等が約300億円等を超えたぐらいのまだ小さな規模でございまして、その大体8割強がオンラインゲームのご利用となっています。そのほか、携帯コンテンツ、携帯のゲームポータルでのご利用、そのほか映像配信、音楽配信という形になってございまして、まだまだご利用の規模とすると、かなり小さい。これはリアルなマーケットの実際のお店での商取引で使われるという局面ではなくて、インターネット上のこういったコンテンツのご利用にある程度今限定されておりますので、私どもの取引金額としてはかなり小さいというようなことでございます。

これらの先ほどの特徴を簡単にまとめましたけれども、私どもの「WebMoney」という電子マネーについては、インターネット上の個人情報の入力が必要ないということで、16桁のプリペイド番号だけの決済で可能であると。利便性が高いということで、いわゆるインターネットに接続ができる情報端末であれば、特別の機器というのが不要であると。この辺が逆に私ども事業者からすると、投資の負担というのが比較的少ないのかなという形になります。

ユーザーの制限なしということでございますけれども、これはコンビニエンスストアで買えるということになりますので、いわゆるクレジットカードであるとか銀行口座のように、ある程度年齢制限が必要なというようなものではございません。現状私どもを使っていただく加盟店様におきましては、ユーザーのご年齢等の制限がなくても大丈夫なような加盟店様に一応限定はさせていただいているんですけれども、基本的にはユーザー様に対しての制限がないという特徴でございます。

それからプリペイドでございますので、私ども自体が事業的に行き詰まってしまうということがあれば別ですけれども、それ以外であれば、加盟店様にとって、未回収のリスクがないというような特徴も持っております。

あと、私どものシェアのイメージということなのですけれども、具体的にお客様の全決済金額に占める私どもの「WebMoney」決済の割合というのは、なかなか教えていただけないのでわからないんですけれども、いわゆるオンラインゲームの場合ですと、半分がクレジットカード、残り半分が私どものようなサーバ管理型の電子マネーの決済と聞いております。したがって、その中では私どもかなりのシェアをとっているのですが、逆に返してみますと、通常のインターネット上の物品販売ですと、先ほどの金融庁様のご説明があったような代引きであるとか、クレジットカードというところとはかなり様相が違いまして、こういったサーバ管理型の電子マネーの決済の割合が比較的多いという特徴でございます。

それからデータ的なところを今日の資料では載せていないんですが、1つは私どもの平均1回当たりの利用金額というのは大体2,300円前後です、1トランザクション当たり。これは単価としては比較高いと思います。これは基本的には、オンラインゲームの配信サイト様が8割ぐらい占めていると申し上げましたけれども、オンラインゲームの配信サイト様の価格政策上、ゲーム内でまたチケットを発行されているんですね。したがいまして、ゲーム内のチケットをまとめて買う、つまり5,000円チケットとか3,000円チケットとかを買うといった形になっております。したがって、実はオンラインゲーム様の中には当然自家発行型の電子マネー的なゲームチケットというのを発行されておりまして、それを私どものような「WebMoney」でさらに買うということになります。その「WebMoney」はもともとはクレジットカードで買うというようなユーザー様がいらっしゃいまして、やはりインターネット上でクレジットカード情報を使うというのはなるべく避けたいというような形が多くて、特にオンラインゲームのサイトでございますと、これは口頭で、私どものシェアというのはなかなか教えていただけないのですけれども、オンラインゲームサイトを中心とした私どもの加盟店様ウェブサイトでは、私どものようなサーバ管理型の電子マネーの利用が高い、すなわちクレジットカードの利用が低いという特徴があるようです。そういった、やはり消費者の心理としてクレジットカード情報というのをなるべくインターネットで使いたくないということの表れなのかなと理解しております。

それから次のページでこの「ウェブマネー ウォレット」とはとございますけれども、先ほど申し上げましたように私どもサーバで管理して、決済を提供しております。いわゆる電子マネーを発行して電子決済サービスをするということに注力しておりますけれども、やはりユーザー様の方からすると、毎回16桁を入力するのは面倒だということで、残高の管理のサービスもやってくれないかというご要望が強かったので、「ウェブマネー ウォレット」という名称で、残高の管理のサービスを行っております。したがって、こういったサービスを開発していく上でも、やはりいろいろな諸法令との関係ですね。ある一定の残高を私どものサーバ上にユーザー様が預けて、いつでも自分の気に入ったインターネット上のお店で使えるというような残高管理サービスというのを始めておりますので、先ほどこういった決済というのは為替というような関係もございます。

この残高を管理しているものについては、利息等は当然つけてございませんし、手数料等は特に頂戴しておりませんが、こういった決済サービスというのを広げていく上においては、やはりユーザー様のニーズというのを常に汲み取ってサービスを開発していくということが必要になりますので、現在こういったようなサービスを行っております。

また、これにつきましては、先ほど申し上げましたクレジットカードで購入する、オンラインバンクで購入するということもやっておりますので、こういった私どもの「ウォレット」という特定のお財布機能に直接チャージと書いてありますが、クレジットカードで買った残高が、直接「WebMoney」上で登録してある「ウォレット」というお財布番号にチャージされるというサービスも行っております。

したがいまして、私どもが消費者の方々のニーズをいろいろサーチしながらこういったサービスを開発していきますと、段々金融サービスに近づいていくというような特徴もございまして、とはいっても先ほど申し上げた私どもの売上規模としてもまだ300億円というサイズでございますので、一国の年間の最終消費支出からすれば、非常に微々たるものというところでいきますと、なるべく自由な活動というのを整理していただいて、法的な枠組みをぜひ整理していただければと思っております。

本日は具体的な法的な要望につきましては準備しておりませんので申しわけございませんが、私どもの事業内容につきまして、簡単ではございますがご説明させていただきました。ありがとうございました。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

それでは、ただいまの事務局及び宮沢メンバーと新井様からのご説明を踏まえまして、討議に移りたいと思います。ご質問、ご意見等がある方は、ご自由にご発言いただきたいと思います。どなたからでもお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員

宮沢委員の説明の中に、換金を認めると不適切な利用を促進しかねないというお話がありました。もともと換金を認めるということになると、いろいろなリスクが想定されますが、換金を認めるべきだという要請がおありなんでしょうか。

○宮沢委員

今のについてお答えしたいと思います。

私ども、ユーザーアンケート調査等の結果も踏まえまして、あるいはビジネス上の理由も踏まえまして、換金を必要とするという意見は非常に少ないと考えております。したがいまして、弊社としては、換金不能のままでよろしいのではないかと考えております。よろしいでしょうか。

○岩原座長

いかがでしょうか。

今の換金について言えば、EUでは電子マネー指令でむしろ換金を義務づけているわけですけれども、ということは、宮沢さんのお考えとしてはEU電子マネー指令は適切な立法ではないと、そういうことですね。

○宮沢委員

換金が必要なサービスはもちろん別にあると思いますので、もし仮に、私ども換金が必要という事業をやりたいと思いましたら、銀行免許ないしはそれに準ずる免許を取得してやりたいと思います。

今、私どもがやっておりますサービスは、プリカ法をベースとして利用のトランザクションを上げることによって成り立つビジネスですので、全く別のビジネスであると考えております。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

金丸委員。

○金丸委員

宮沢さんに質問したいんですけれども、今は、現行のプリカ法にのっとってやっていらっしゃるということですけれども、この上限金額の5万円については、利用者のニーズから言うと、何かご意見はありますでしょうか。

○宮沢委員

利用者のニーズからして、上限金額5万円でほぼほとんどの人のニーズを満たしていると考えております。これに関しましては、事業を始める前に実証実験、トライアルをいくつかやりまして、さまざまな業種・業態、高額の決済を必要とする業種も含めていろいろトライアルした結果、ほとんどの決済が数千円以下ですので、5万円以上の上限金額設定は不要であると判断しております。

○岩原座長

川本委員、どうぞ。

○川本委員

ありがとうございます。宮沢委員にお聞きしたいのですけれども、基礎的なことですが、フローとストックのところで、対利用金額比6%の残高しかないとあります。次のページを拝見すると、月に3.5回、4,800円チャージをして、使うときには6回、500円ということなので、チャージをした途端に使ってしまわない限りは、それほどストックとフローとの関係は小さくはならないと思うのですがいかがなのでしょう。出していらっしゃる数字が末残ですが、平残ベースでどのくらいかおわかりになりますでしょうか。

○宮沢委員

毎月末の平残ベースで見ましても、ほぼこの数字で変わっておりません。こちらの平均チャージ額とか、コンビニでの利用額というところの数字との整合ですけれども、平均チャージ額の方は全部まとめて書かれておりまして、コンビニでよく使う方は多分チャージ額も少ない、あるいはスーパーで使う方は2,000円で10回ですから2万円使うわけですから、そういった方はチャージ額も大きいということが想定されております。それを単純に平均するとこういう数字になりますけれども。ということで、ほとんどの方がやはり利用するためにチャージをするという傾向でございます。

○岩原座長

それでは金丸委員。

○金丸委員

今度は新井さんにお聞きしたいんですけれども、実際の利用の1トランザクション当たりの金額が2,300円というお話なので、現実的にはそれはないのかもしれませんが、理論的には1人の人が複数の番号を、例えばどこかで取得して、そしてそれを束ねて「ウォレット」でチャージができると、そこについては、1人の人が、個人がわからないから番号の制限はないわけですね。

○新井参考人

はい。

○金丸委員

そして、そこにチャージするのも、上限金額とかは特にないんですか。

○新井参考人

「ウォレット」のチャージにつきましては、20万円という残高です。ただ、それは出入りの総額じゃありませんので、残高でございますし、先ほどご指摘がございましたけれども、いわゆるICカードのように1人1枚ということではございませんので、1人でいくつもIDを購入したり、あるいはウォレットも基本的にはオンライン販売でのクレジットカードによる購入とか、オンラインバンクを利用しない限りは、個人情報の入力は基本的には必要ございませんので、したがって、個人で複数のウォレットを持つと。したがって、5個持てば、5掛ける20で100ということになります。ですから、そういった状況もございます。

○金丸委員

そんなユーザーもいらっしゃるんですか。

○新井参考人

中にはたくさんためていらっしゃる方というのも。ですから、通常のインターネット上での使い方というよりも、オンラインゲームの場合ですと、たしか野村総研さんが出された本にも書いてありますが、RMT(Real Money Trading)というような状況もございまして、そういったことに絡んでなのか、ちょっと残高を多く持っていらっしゃるような方もいるのではないか。ここは匿名性がありまして、すべては推測の域を出ません。

○金丸委員

仮にサーバの方で、マックス100万円ぐらいの残高を持つことになるシステムというんですか、バックアップというか、セキュリティーというか、安全性であるとか、かなり要求されると思うんですが、そのあたりはいかがですか。

○新井参考人

そうですね。おっしゃったとおり、残高情報をしっかりと保全して、システムが落ちないようにしなくちゃいけないということについては、可能な限り二重化したり、可能な限り監視の仕組みをつくったりとか、そういった意味の投資ということについては惜しみなくやっていくという形で考えております。

○岩原座長

事務局の方からも質問されたいそうです。

○高橋決済システム強化推進室長

お二人だけではなくて、委員の方々にもお伺いしたいのですが、換金というのは、もちろんお金に換えることですけれども、いろいろな多様な商品に使えるとか、あるいは加盟店数がすごく膨大になるなど汎用性が著しく高まったときには、キャッシュに換えられなくても換金と同じような状況ではないか。現金はいろいろなものに交換するための手段にしかすぎないので現金と同じではないか、というような意見をお伺いするんですが、そこは汎用性がどれだけ高まろうが、やはりキャッシュという絶対的なものと振り替わることとは決定的に違うというように考えてもよいかという点が1つ。

それから、2つ目が、それぞれの会社で換金するかしないかは自分たちの考え方でしたりしなかったりという状態がいいのか、それとも法律なら法律で当然換金してもいい、あるいは換金してはいけないということを書いたりされると何か影響があるかということについて、お伺いしたいんですけれども。

○岩原座長

報告者と委員全員に対するご質問だそうですので、とりあえず報告者の方からお答えいただければと思います。その後で、委員の皆様からご意見があれば伺いたいと思います。では、宮沢さん。

○宮沢委員

最初の高橋さんのご質問で、非常に汎用性が高まってさまざまな場所で使われたときに換金されなくても現金並みの影響が出るのではないかということについてですけれども、説明の中でもお話ししましたように、確かに一定の決済という中で、一定の割合、一定の影響は占めていくかなと思っておりますけれども、しかしながら、300兆円というような大きな現金取引、預金取引の中からすれば非常に少ない比率であると。

それから、先ほど申しましたように、少額の決済のみに使われていく。お客様も高額の決済にわざわざプリペイドで10万円入れて10万円使うという人はいませんので、やはり少額の、小銭の一部の代替というところにとどまるのではないかと考えております。したがいまして、それほどの大きな影響になるというふうには考えておりません。

2番目の換金するか否かというのは、事業者の判断というか、選択にするのか、そうでないのかということに関しましては、先ほどお話ししたこととダブりますけれども、事業の性格によって違うのかなと考えておりまして、今、日本で普及が始まっているいわゆる電子マネーの部分に関しましては、やはり利用を前提としていると。それによって手数料収入とか、あるいはマーケティング等、本来事業、本業の方のエンハンスという形で使っているということでございますので、このような用途のプリペイドに関しては換金は不要ではないかなと考える一方、やはりユーザーにとって、換金が必要というようなニーズがあると、あるいはそういった事業を行いたいという場合は、やはりしかるべき銀行ないし、銀行に準じた法律というところの中で運用していくということが必要なのではないかなと考えておりますので、その2つは大きく分かれるのではないかなと考えております。

○岩原座長

委員の皆様、いかがでしょうか。何かご意見等あれば、伺いたいと思いますが。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

セブン&アイグループにつきましても、nanacoという電子マネーをやっております。意見につきましては、今、宮沢さんがおっしゃった意見と全く同意見です。

以上です。

○岩原座長

新井さん。

○新井参考人

先ほどの最初のご質問ですが、実際に換金を認める、認めないという形になっても、現金と近いという形が想定されると。1つは私どものようなインターネットの上の決済に使える電子マネーというのは、実は例えばネットオークションで売買されたりとかいうことがありまして、既にいろいろな消費者のニーズの中にいろいろな仕組みを使った出口というのが網の目のように広がってきてしまうということがありまして、おそらく立ちどまって議論しているよりも、どんどんそういったものが事業者間のメリットを供与するという中でいろいろな形で進展していくということが実際ございます。したがって私ども自体が換金を認めなくても、当然ネットオークションで売買されてというところで、実際は最終的に現金に換えるというのはあります。

ただ、通常の利用ということでいきますと、あらかじめ、プリペイドですので、お金をそういった発行事業者に預けて使うということでいくと、換金を想定するというのは消費者のニーズではないだろうと思いますが、それが一旦利用価値が高いものになれば、決済で使うというよりも交換価値として持って、それをどこかで現金化したいという方々がやはり出てくるのかなと思います。

あと、法的な規制と事業者との意思決定の関係でいきますと、これはちょっと悩ましいところがございまして、法的な規制がなければ、おそらく換金についても、やはり換金を自由に認めるということになりますと、資金計画上なかなか読みづらくなるというところも出てきます。そこについては何か新たなビジネススキームをつくったりとか、手数料の体系を整えたりとか、まさに銀行業のような仕組みを考えていかなくちゃいけないだろうと思いますので、やはりかなりインパクトのある形になってしまいますので、「ちょっと換金はどうでしょうか」というご質問については、今のところ意見は簡単に述べられないのですが、事業構造に与える影響はかなり大きいなと思っております。

○岩原座長

ほかの委員の方、いかがでしょうか。

芝﨑委員。

○芝﨑委員

これは意見というよりも逆質問に近いんですけれども、今、街にありますチケット屋さんがありますね。商品券ですとか、このプリペイド式の電子マネーの換金ということと、商品券の換金ということに対して、何か定義的な違いがあって今議論しているのか、それとも、あのチケットの売買は違法なのか、そこになりますと基本知識もないんですけれども、この辺の関係というのはどう見ていくのかなというのが素朴な疑問なんですが。

○岩原座長

制度的に言えば、換金性があるというのは、プリペイド式電子マネーの発行者自身が、利用者から換金の請求を受けたときに残高があれば払い戻すということです。街の業者が扱っているのは、あくまでプリペイド式電子マネーの売買ですので、発行者に換金義務があるわけではなく、制度上は違いがあるということです。

○芝﨑委員

ということであれば、退会による返金等は認めてもいいと思いますが、換金そのものがプリペイド上必要とは思えないというのが意見でございます。

○岩原座長

一方で、そういう業者がいなくても、電子マネーに本当に汎用性が高まってきますと、換金しなくても、支払方法等として電子マネーそのものを誰でも受け取ってくれるということになってきますので、まさに次元が違ってくるということになると思います。そこら辺をどう考えていくかというのは、多分このワーキングでの1つの課題かと思います。

よろしいでしょうか。今日は、とりあえず第1回ということで、問題状況についてご報告いただいたわけですが、今日の皆様のご議論で早速これから議論していかなければならない論点が少し浮かび上がってきたように思いますので、本日は以上ぐらいにさせていただきますが。

金丸さん、どうぞ。

○金丸委員

岩原先生にご質問で恐縮なんですけれども、海外の事例で、換金を義務づけられているということなんですけれども、そのときの残高に対しての換金率みたいなものはあるんですか。残高丸ごとということですか。

○岩原座長

ええ、丸ごとです。

○金丸委員

丸ごとですか。

○岩原座長

EUの場合は電子マネーの残高全額の換金が義務づけられています。これは利用者保護の観点からです。

日本でも問題になるのですけれども、例えばプリペイドカード式電子マネーなんかですと、利用期限のあるものなどもありますので、換金できないと、一定の利用期限が終わったところで残高が残っているのに、そのまま使えなくなってしまって無価値になってしまいます。あるいは発行者の信用の問題等もあって、換金したいというニーズが生じることもあります。また利便性の問題もあって、実際上ある地域でしか使えないというような電子マネーですと、転居する人は、換金してもらわないと困るというようなこともあります。そういうことで、いわば消費者保護的な観点からEUは法律で電子マネー残高全額の換金を強制しているということです。

よろしゅうございましょうか。本当に今日は熱心なご議論をありがとうございました。

それでは、本日の審議は終了させていただきたいと思います。最後に事務局の方からご連絡をお願いしたいと思います。

○高橋決済システム強化推進室長

次回でございますが、本日の議論を引き続きしていただくことと、それからネット型、サーバ型プリカと非常に類似しておりますポイント・サービスにつきまして、そちらを現在ご提供されておられますヤフー、それからNTTドコモのそれぞれのメンバーの方々に、ポイントあるいはその他関連の決済サービスをご提供していただいているかと思いますので、その御紹介をしていただくことを予定しております。

次回の日程につきましては、既にお伺いをさせていただいておりますが、正式には追ってご連絡をいたしますので、よろしくお願いいたします。

○岩原座長

それでは以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

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