金融審議会金融分科会第二部会「決済に関するワーキング・グループ」(第6回)議事録

日時:平成20年9月12日(金曜日)10時00分~11時55分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○岩原座長

それでは、そろそろ時間でございますので、決済に関するワーキング・グループ第6回会合を開催させていただきます。

メンバーの皆様方におかれましては、大変お忙しいところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。

本日は、神田様、佐藤様がご欠席と伺っております。

今回委員の交代がございまして、東京電力株式会社の廣瀬様に代わりまして、同社の野村宏様をメンバーにお迎えしております。

○野村委員

野村でございます。よろしくお願いいたします。

○岩原座長

さて、これまで新たな決済サービスについて、事業者からご説明をいただいてまいりました。本日は、これまでのご説明や議論を踏まえまして、個別の論点について審議を行っていきたいと考えております。

それでは、事務局に主な論点を整理した資料などを用意していただいておりますので、まず事務局から説明をお願いしたいと思います。

○高橋決済システム強化推進室長

お手元の資料でございますが、6-1は、本日、委員の交代がございましたので、新しい名簿でございます。

それから、6-2が主な論点(案)でございまして、これを説明させていただきます。6-3は、これまで第1回の資料で配付させていただきました資料1-2と1-3を組み合わせておりまして、そこに若干新しい資料の追加などを行ったものでございます。

それから、委員の方々につきましては、これまでの既配付資料につきましてご参考ということで、ファイルをしたものを配付させていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。

それでは、6-2と6-3でございますが、まず参考資料の1の総論のところでございます。こちらは新しい決済サービスが起こってきた背景などを説明しているものでございまして、基本的に従来と同じものでございます。

7ページまでは省略させていただきまして、8ページのところに、新たに代金引換の取扱金額、あるいはポイント発行額につきまして民間消費支出との比較などをグラフの中に加えております。

それから、9ページでございますが、新しい決済サービスでございますので、データがなかなかとりにくいのでございますが、最近の事業者数の伸びであるとか、規模についてできる限りわかるものを作成してみました。

資本金の小さなもの、あるいは事業者数が最近伸びてきているというものでございます。

10ページから14ページが新しい決済サービスに関する主な不祥事件の報道事例を新聞報道からまとめたものでございまして、いろいろなケースでトラブルがあるということでございます。

それから、15ページから21ページが、地下銀行の摘発事例でございます。年間何件かこのような摘発が行われていることと、それから最近では20ページでございますが、商取引を利用した地下銀行の例も出てきているというものでございます。

それから、22ページでございますが、これも各国におけるリテール決済サービスに関する規制ということで、米国、EU等では送金業というカテゴリーがございまして、銀行以外の者が送金を行っていて、その規制の内容でございます。

そのほかは、主な論点に即しながら、次の23ページ以下をご説明させていただきたいと思います。

主な論点の案のほうでございますが、ちょっと長くなりますが全体を俯瞰させていただきたいと思っておりますので、恐縮ですが、全体をご説明させていただいた上で、また必要に応じてそれぞれについてのご説明をさせていただきたいと思います。

まず、1番目が前払式支払手段、俗に、プリカと言われているものでございます。発行者が利用者からあらかじめ財・サービスの提供の対価として資金を受け取って発行されるものにつきまして、紙、あるいはICチップ等の有体物にその価値が記録されるものにつきましては現在前払式証票規制法がございます。その規制の対象は参考資料24ページでございますが、同法では、未使用発行残高の2分の1以上の金額につきまして、供託、あるいは金融機関等の保証が必要とされております。これによって資産保全が図られているということでございます。

また、前払式証票への一定事項の表示義務が発行者に課せられております。

しかしながら、利用者が保有するものには価値が記録されておらず、例えばサーバに価値が記録され、通信回線を介してサーバにアクセスして利用するような、ここではサーバ型の前払式支払手段と呼んでおりますが、それについては同法の適用がない。法律の内容が25ページにございますが、今、申し上げましたような仕組みが27ページのところで現行法の適用がサーバ型にはないというポンチ絵を示しております。

同じ前払式の支払手段でありながら、こういった価値の記載の仕方が異なるだけで規制が異なるということについてどのように考えたらいいのかというものでございます。

現在の発行状況等は28ページからでございます。32ページではプリカ法対象外のプリペイドサービスと書いてありますが、このような前払式支払手段の発行が見込まれているという状況でございます。

また、33ページでございますが、従前の紙、IC型プリカでも平成2年に法施行がされた直後は還付事例は発生しておりませんが、平成7年以後、直近に至るまで毎年数件の還付事例が発生しており、本年に入っても還付事例があるということです。その場合、50%の資産保全なのですが、いろいろな事情から100%返還していたり、あるいは50%に満たない場合もあるという状況でございます。これらを踏まえて、どのように考えるかという問題かと思います。

マル2が前払式支払手段の換金、返金でございます。これにつきましては、従来から前払式支払手段につきまして、その換金、返金が認められるのか、あるいは出資法との関係についてどう考えるのかということが議論でございました。

この換金、返金につきましては、現在の前払式証票規制法には規制がございませんので、換金した場合には出資法によって禁止される預り金、あるいは銀行預金との関係についてどう考えるかという問題が指摘されております。

それから、従来第三者型の前払式支払手段については、資金移動機能を有すると考えられたものですから、自家型に比べ、より強い規制になっておりますが、それと同じように従来の資金移転、例えば商品券の贈与みたいなものと換金、返金との組合せを行えば、資金移動の機能をより一層発揮できるのではないかということが議論されていたかと思います。

ここで、銀行法とプリカ法の規制の比較が35ページ、それから出資法の条文が36ページ、それから前払式証票を利用した資金移動で、仮に換金が行われた場合に支払手段だけではなく換金機能として使える、あるいは近似している例というのが37ページのポンチ絵の部分でございます。

そういったような状況を見たときに、前払式支払手段の換金、返金を自由に認めるのがよいのか、全く認めないのがいいのかという話でございます。

マル3が、利用可能額が大口である前払式支払手段と書いてありますが、現在の前払式証票規制法では、利用金額が大口のものと小口のものとに全く区別をせず取扱いをしております。この点につきまして、諸外国でも大口、小口の区別がない場合があり、電子マネーにつきましては小口について特別な取扱いとしていることもございます。仮にプリカにつきまして、換金が自由ということであれば、大口のものが支払手段としてより一層使い得る状況になるのではないか。あるいは、大口のものを発行している方が破綻した場合の影響がより大きくなるのではないか。そういったような観点が必要かなと考えております。

ちなみに現行の事業者の方が発行されている状況は38ページから40ページでございまして、概ね2万円であるとか5万円であるとか、比較的小口のケースで、中に例外的に大口の発行をされておられる方もございますが、こういった点についてどう考えるかというものでございます。

マル4がその他の利用者保護等の仕組みでございます。そのほか、前払式支払手段に関する利用者保護の在り方についてどう考えるかということで、例えばIC型のものにつきまして、現在、財務局のほうで還付手続をさせていただくわけでございますが、事業者が破綻した場合に、その資金の返還手続に関して、読取り機がないと返還手続がしにくいのではないかなど細かな問題が指摘されております。

全体として自家型が届出制、第三者型が登録制という枠組み、あるいは現行の供託水準などいろいろ現行の制度の機能に対して、どのように評価をして、現状のままでいいのか、あるいはもっと直すべき点があるのか。あるいはもっと規制を緩和すべき点があるのかといったことについてご議論をいただければありがたいと思います。

2つ目がポイント・サービスでございます。

ポイント・サービスに関する利用者保護でございますが、金融庁でございますので、金融の視点から、ポイント・サービスに対する利用者保護等についてどう考えるかというものでございます。

その関係で、過去に詳しく会計処理についてご説明をさせていただきました。会計処理につきましては、46ページから48ページで、若干簡単な図式化をしておりますが、これはこれまで企業開示課のほうからご説明をさせていただいたものを簡単なポンチ絵にしたものでございます。

このような会計処理が適正に進められた場合に、それに加えてさらなる利用者保護等が必要であるかどうかといったことについてどう考えるかという問題がございます。

それから、現行のポイントが交換手段としてどのような位置づけであるかという点につきましては、あまり資料はございませんが、前に戻っていただきまして8ページのところでございますが、民間消費支出との比較にいたしましても、このような状況にあるといった点を踏まえて、どう考えるかということではないかと思っております。

その中で、ポイント交換が幅広く行われていることで、43ページが、少し古くなっておりますが、各社のホームページを参考にしながら私どもで、大変小さくて恐縮ですが、どういったものがどういったものに交換されるかというものをまとめたものでございます。幅広くポイントが交換される現状をどう考えるかというものでございます。

概ねおまけとおまけの交換だと言われておりますが、例えば49ページのポイント交換のスキームでございます。こちらが具体的なポイント交換でございますが、ポイントAというものを持っているときに、新しくポイントBが発行される場合、ポイントAは恐らく通常無償でいただいているとしても、ポイントBも通常は無償で発行されても、交換によってポイントBを発行するときは、実際はX1から現金をもらうことになるかと思いますが、ポイントAをもらって、ポイントBを発行しているのではないか。そういった点を考えた場合に、このポイントBを従来の無償としてのポイントとして考えるのか、あるいは対価を得て発行されているものと考えるのか、そういった問題ではないかと思っております。

3番目が資金移動サービスでございます。

資料は50ページから60ページまで、こちらは全く新しい資料でございます。

まず、現行の銀行の国内送金手数料の例をまとめたものが51ページでございまして、こういったものが高い、あるいは営業時間が短いといった批判、あるいは利便性が悪いことに伴いまして、新しい決済サービスが起きている現状があるのではないかということです。

それだけではなく、52ページでございますが、外国送金手数料の場合につきまして、高い国内銀行の手数料になっております。また、53ページにございますが、それに対しまして、海外の送金事業者の場合は、比較的でございますが、安価な手数料でやっているのではないかという現状があろうかと思います。

また、これまでいろいろプリペイドカード、あるいは収納代行サービス等の事業者の方からのご説明を私ども伺っておりますと、銀行だけが為替取引を提供できるのではなくて、情報通信技術の発達に伴いまして、いろいろな方が為替取引を提供し得る土壌ができてきているのではないかと思われます。

また、収納代行あるいはプリペイドカードという枠組みしかないものですから、無理やりその枠組みの中でサービスを提供している現状が例えばあるのではないか。それに対しまして、54ページでございますが、例えばナローバンクとして決済専業銀行をつくったらどうかという指摘。あるいは、55ページでございますが、規制改革推進計画でございますが、競争政策の推進という観点から金融分野の法制の在り方を点検したらどうかという指摘もございます。

また、海外から来る労働者の数もだんだん増えている現状にあり、56ページ、57ページでございますが、我が国の海外送金の額も徐々に増えていく状況にあるということです。

また、地下銀行のご紹介をしております。必ずしも不正の意図ではなくて、手数料が高いとか、違う理由で不正規な送金が行われている状況があるという指摘がG8でもございます。送金が不正な目的に利用されるリスクを削減することができるということで、送金制度を整えたらどうかという指摘もございます。

私どもも59ページ、前々からリテール決済でございますが、単純な利用者保護だけではなくて、決済システムの利便性の向上やイノベーションの促進の観点から制度的な枠組みの在り方を検討するべきではないかと最初から申し上げておる次第でございます。このような環境を踏まえたときに、プリペイドカードとかあるいは収納代行とか、現行の枠組みを超えた全く新しい、銀行以外の方による為替取引のサービスの提供を新たに認めることについてどう考えるかというのが資料6-2の3のマル1でございます。

資金移動サービスに対する利用者のニーズについてどう考えるか。また、銀行以外の事業者による資金移動サービスを提供した場合のメリットを今申し上げたかもしれませんが、逆にデメリットにつきまして、どのように考えるかという問題でございます。

また、メリット、デメリットがございますし、その制度的な枠組みによってメリット、デメリットに影響を与えるかもしれません。その場合、銀行以外のものによる資金移動サービスと決済システムの安定性や信用秩序との関係についてどう考えるか。私どもは決済システムが毀損されることは適切ではないと思っておりますので、その仕組みをどう考えるか。

この点、例えば諸外国では決済サービスを認めるに当たって、原則、100%に近い資産保全を求めることにより銀行以外の方が送金サービスを行うことを認めているという状況にございます。

まず、利用者からの受入れた資金の保全についてどう考えるかというものでございます。

また、その他の規制のあり方についてどう考えるかということで、銀行の場合、兼業規制があるとか、あるいは主要株主規制といったものがございます。

銀行の規制は、35ページで、プリカ法と比べておりますが、ここで銀行でございますと、最低資本金制度があるとか、あるいは自己資本比率規制があるとか、あるいは兼業規制、それから預金保険制度、あるいは子会社の制限、そういったかなり厳しい制限がかかっております。そういったものを新しい資金移動サービス業者に対して要求すべきものなのかどうか。あるいは、一般の事業者の方がこういった新しい資金移動サービスを提供することと、これらの規制をどう考えるかといった問題でございます。

最後の4番目が、収納代行サービス等でございますが、ここは代金引換も含めて、収納代行という点を取り上げております。

こちらは、先ほどの資金移動サービスとはまた違うカテゴリーでお考えをいただきたいと思います。従来から収納代行サービス等と為替取引との関係につきましては、不明確な点がございます。66ページのところで銀行法の条文がございます。為替取引につきましては、これまでもご説明をさせていただきましたように最高裁で隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して、資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行することというふうに幅広く定義がなされております。為替取引にそれぞれ当たるのか当たらないのかというリーガルリスクを抱えながら事業をしていただくのはいかがなものかと。そういった事業者が法的安定性をもってサービスを提供するための制度整備について必要ではないかということで、これをどう考えるか。

そのほか、新しいサービスとして、これまでエスクロー・サービスであるとか、代金引換サービスだとかをご説明申し上げております。金融庁でございますので、金融の観点から申し上げておりますが、例えばエスクロー・サービスにおける同時履行など、為替取引以外の点について何か考えるべき点があるのかといった点でございます。

また、収納代行につきまして、利用者保護が図られているのかどうか。例えば、支払人の保護については、領収書さえ渡されていれば、当然支払人は保護されていると思いますが、新しいサービスについて、領収書さえも渡されない場合を、どう考えるのか。あるいは債権者の保護について、一番強いのは事前規制や資産保全規制を課すことなのでしょうが、例えば事業者が債権者であれば、そういったリスクは自分で判断していいのか。あるいはそのほか違う債権者、依頼者の保護が考えられるのか、必要なのかという問題でございます。

また、現行の収納代行等のサービスにつきましては、64ページでございますが、事業者の方々が取り扱っておられる上限が決められております。そういった上限の金額を踏まえた場合に、同じ理屈で大きな取扱いがされた場合でも同じように考えていいのか、あるいは違う考えをするのか。あるいは一定の条件を決めた場合に、悪質な事業者を排除する仕組みは不要なのか。あるいはその仕組みをどのように作ることが可能なのかといった問題でございます。

ちなみに最後の67ページから70ページでございますが、67ページが銀行を利用した資金移動の簡単な模式図で、68ページが先ほどご説明いたしました資金移動サービスを利用した資金移動です。こちらも全く銀行と同じような資金移動を行っているということです。

69ページが、場合によってはその収納代行、あるいは代金引換サービスが為替取引に当たり得る可能性があるという模式図でございます。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。大変わかりやすくご説明いただいたと思います。

それでは、ただいまの事務局からご説明いただきました論点を踏まえまして具体的な議論に入りたいと思います。

主な論点(案)の記載順に議論してまいりたいと思いますので、まずは前払式支払手段についてご意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

ビットワレットの宮沢でございます。

最初のサーバ型の前払式支払手段に関する利用者保護というところでございますけれども、利用者の観点から見まして、商品やサービスの支払に利用するということでございますので、媒体が紙、あるいはIC、サーバであろうと、消費者から見た効果は同じではないか考えております。

こういったサーバ型の支払手段と紙型、IC型という価値が相互に交換されるとか、あるいは同時に利用されていくことも技術的には可能性があると思いますので、その際に、価値間の移動がされたときに、ユーザーの保護の程度が異なることは大変にユーザーにとっては混乱を招きやすいと思いますので、同等の保護であるべきか、イコールフッティングという観点から見ましても妥当ではないかと考えております。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

ほかに何かございますでしょうか。

池尾委員。

○池尾委員

前払式支払手段ということの前に、全体的な考え方というか、スタンスみたいなことで少し意見を申し上げたいと思うのですけれども、先ほどご説明していただいた資料の59ページの金融・資本市場競争力強化プランにうたわれているように、検討の視点は、大きく言って2つあるわけです。

1つは、利用者保護ですけれども、利用者保護というのは1つの柱で、もう1つは、やはり新しい決済ビジネスを促進するといいますか、イノベーション等の活性化を図るという、そういう視点がもう1つの柱としてあって、大きくいって2つの柱で考えていくのが基本だと思っているのです。そのときにただ2つあるというのではなくて、やはりもう少しメリハリをつけて考えたほうがいいような気がしていて、ここでの論点で言うと、大口と小口の区分の話がされていますけれども、その大口の部分に関しては、おのずと利用者保護の観点が、それなりの重みを持たざるを得ないと思うのですが、逆に小口の部分に関しては、それほど目くじらを立てて、利用者保護を前面に押し出す必要があるかというと、私は少しそうでもないのではないかと考えております。簡単に言うと、100万円とか1,000万円を損する可能性があるときの話と最大でも損失が数千円で収まるときでは、やはり問題の重みが違うと思うので、そこを同じように議論するのは適切ではないと思います。

だから、小口の部分に関しては、むしろ2つの柱のうちイノベーションの促進、新しい決済ビジネスを発展させるという視点にウェートを置いた形の考え方をすべきではないかと思っていて、要するに、1万円で線を切るのがいいのか、3万円ぐらいで線を切るのがいいのか、ちょっとそこは議論する必要があると思いますけれども、一定額以下のところについては、ほとんど自由にやっていただいていいぐらいのスタンスで考えることが、むしろ健全な注意義務を消費者に払っていただくためにも望ましいのではないかと。あまりパターナリスティックに対応すべきではないのではないか。少し長くなってしまいましたけど、検討の視点として2つの柱があって、その2つの柱についてやはり問題の大きさによってメリハリをつけて考えるべきではないかというのが申し上げたかったことのポイントです。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

ほかに、宮沢委員。

○宮沢委員

池尾委員の意見に賛成でございます。少額の領域に関しましては、リスクが限定されますので、便利に使いたい、利便性を追及したいことがユーザーのニーズであると我々は感じております。

これは、少し事例として恐縮でございますけども、たばこの売上げがコンビニエンスストアで非常に多く上がったという事例を見ましても、なかなか少額の支払のときに、面倒な手段をとりたくないのがユーザーの心理であり行動であると考えておりますので、そういった意味でも、少額の、それほどリスクが高くない部分と高額の支払というところはメリハリをつけた議論が必要ではないかと考えております。以上でございます。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。

翁委員。

○翁委員

私も、検討の視点ということで、池尾委員の議論と重複する面もあるのですが、少し申し上げたいのですが、先ほどのご説明で、銀行以外の者による為替取引ということで、技術革新が非常に大きく変わってきて、当時銀行法が制定されたころとは全く世界が変わってきている状況の中で、またさまざまなプレーヤーがこの決済サービスに関与するようになってきている状況になってきておりますので、やはりそもそも論として、本来銀行による為替取引業務というのが、今まで専業として独占されていたことをどう考えるかということが議論の出発点で、そこを先ほどもご紹介がありましたけれども、非常に高い手数料とか、そういったところでさまざまな経済にも影響を与えている面もございますので、そこをまず見直していくと。そういうふうに考えますと、前払のところでも銀行法との比較で、いろいろな議論がありますけれども、やはり今の送金と資金創造、信用創造、両方を兼ねている銀行法と比較して議論するのが適当なのか。

むしろ新しいサービスとして送金業というものをイメージするのであれば、そことの比較で、どういうサービスのあり方がいいのかという議論をしていくのがよろしいのではないかと思っております。

○岩原座長

ほかに何かご意見。

川本委員。

○川本委員

今のことに重なってしまうのですけれども、そもそもの考え方としてやはり今、翁委員は信用創造とおっしゃいましたけれども、事業者が預金を集めるか集めないかというところがとても大きいと思います。

ですから、資金移動サービスをする者が送金をするだけであれば、それを銀行と比較して議論することが適切なのかが私は非常に気になっております。やはり新しい事業者の方たちに新しいイノベーションを促す形のほうが、今、必要なことではないかと思います。

○岩原座長

何かほかにございますか。よろしいでしょうか。前払式について何かご指摘はないでしょうか。よろしいですか。

特になければ先に進みますが。

それでは、先に進ませていただきたいと思います。

それでは、次にポイント・サービスについて何かご意見ございますでしょうか。

池尾委員。

○池尾委員

前から申し上げているのですが、ポイント・サービスに関して、本当にポイント・サービスとしてやっている業者の場合は、顧客を囲い込んだりすることが目的ですから、ポイントに汎用性を与えるとしても、おのずと限度があると思います。

だから、本当のポイント・サービスについては、あまり問題にする必要はないと思っているのですけれども、ただポイント・サービスと称して電子マネー的なビジネスをやるという可能性がないかと言われると、それはあり得るわけです。だから、実態に即して、機能に着目して、規制なりルールが設けられる。ポイントという名称でするのは非常にまずいという感じはあるのです。

だから、前払式証票のところもそうですけれども、サーバ型であろうが何であろうが、機能的に同じであれば、同じルールが適用されるべきだということなのです。だから、ポイントと名乗っていようが名乗っていまいが、本来のおまけ的にマーケティングの手段として使われているようなケースと何か実態的には電子マネーではないかというケースがやはり区別される必要があって、その辺難しいとは思うのですが、機能に即してルールが適用されるような配慮はやはり必要かと思います。

○岩原座長

原委員、どうぞ。

○原委員

少し先ほど出遅れましたので、前払式について発言します。

○岩原座長

どうぞご自由に。

○原委員

池尾委員とか翁委員から出ていた発言とも重なるのですけれども、やはり銀行法の枠組みで考えていくのか、それとも新しいまた決済というサービスの視点で新しい法体系というので考えるのかということで、資料の22ページに各国の決済サービスに対する規制という表が出ていて、日本は銀行法ですけれども、アメリカ、EU、英国ともそれぞれの法律というのでしょうか、法体系のもとで整理しておられるので、やはり今後を考えると、一体どこで整理をしていくのかなというのは、これはやはり最終の段階では考えていただきたいと思っております。

前払式の支払も紙型とかIC型、それと違ってサーバ型だけは違うということはないので、そういう場合であっても、同様な利用者保護というところは同じになると考えております。

それから、ポイント・サービスについてですが、マル2のポイント交換の取扱いのところが気になっておりまして、最初ポイント・サービスが登場したときはおまけとか囲い込みとか、そういう性質が強かったのですけれども、最近は、大変このポイント交換はいろいろなものとできるものが増えてきていて、そうすると確かに電子マネーとどう違うのかというあたりがあって、このポイントの発行と対価性との関係については、もう少しいろいろと資料を集めたり、考え方を深めて検討していく必要があると考えております。以上です。

○岩原座長

ありがとうございます。

確かに先ほど前払式のほうは、皆様からご意見いただいたことだけで進んでしまいましたので、主な論点(案)に、マル1からマル4まで書いてあること全部について必ずしもご議論いただいたわけではないのですけれども、議論をなお尽くすべき点につき今の原委員のようにご指摘があれば伺いたいと思います。

先ほどのご議論でマル1についてはほぼ異論のないところだろうと思います。

マル2のところですけれども、これは恐らく池尾委員がおっしゃいましたポイントと同じように、前払式証票といいながら実質的には預金と同じような使い方をしている場合があるかないかという問題ではないかと思っております。

換金、返金を完全に自由にして、そして前払式証票という形でずっといつまでも持っていることになると預金と似たようなことになるのかもしれない。多分そういう問題意識でここは書かれているのだと思います。

そういう場合でなければ、そういう使い方がされないのであれば、まずこういうことは問題にならないということかと思います。

マル3について、これはもう池尾委員ほかからご指摘があったところで、あとご議論いただかなかったのがマル4の、これはかなり技術的な問題かと思いますけれども、事業者が破綻した場合の記録の読取り、これは実際上、これからかなり困るのではないかと思っておりまして、先ほどの資料の中にもありましたように、最近かなり破綻の例が多くなりまして、かつてはほぼ100%、残高の払戻しができたのですけれども、最近は100%にいかない例も多くなって、中には10%台という極めて低い払戻しの例もある。50%の残高を預かっているはずなのに、中には10%台という非常に低いものもあらわれているわけです。なぜそういうことが起きるのかというのは少し気にはかかるところですが、いずれにせよ残高の読取りがきちんとできないと、実際上、利用者保護が図れません。現時点で言えば、財務局はIC型の読取りをすることができない状態ですので、ここら辺は何らかの手当が必要なのではないかと思う次第であります。

何かその他、まず前払式についてほかにご指摘いただくことはありませんでしょうか。

今松委員、まずお願いいたします。

○今松委員

この前払式のところで、資料でいいますと38ページ以降の上限額、大体見ますと、いくつか少し極端な例というかとても高いのがありますけれども、基本的に大体先ほどの説明でもありましたように、ある範囲内にあるとすれば、非常に高いようなものが、これからの前払式の中でやっていくのかどうなのか。少しそのあたりは適切かどうかというところがあるような気もしないでもないです。

「きもの人ギフト券」というのは500何万円になっていますが、こういうものは非常に特例でほとんど使われないとすれば、本来こういう形ではなくてやるほうが適切だろうし、やるのであればそれなりの対応が必要だと思いますけれども、なるべくこういうところはあまり規制がかかるような形だとせっかくのこれからの新しいこういうふうなサービス、しかも両方とも一括した法律のもとで、いろいろなコントロールをしていくとすれば、そこのところの扱いをどうするのか、例外的なところの扱い、それをどうするのか考えていくことが必要ではないかとちょっと気がしましたので、その点だけです。

○岩原座長

ありがとうございます。

ご指摘のとおり大部分は少額のものですけれども、ごく一部かなり高額なものも入っておりまして、それこそ通常考えている前払式証票とはちょっと多分違った使い方が考えられているのだろうと思います。EUのプリペイドカード、電子マネーに関する規制も金額によって分けて、まさに池尾委員がご指摘のように、高額のものについては規制がかかる形で、事実上、規制を分けることによって、金額の少ないものについては、規制の負担がかからないようにしているようです。そういうことによって実際上の使い方を分けてもらっていこうとしているのかと思います。

宮沢委員、お願いします。

○宮沢委員

ただいまのご指摘の上限額に関しての意見でございますけれども、先ほど池尾委員のほうから言われておりましたように、小口と大口というのは、分けていくべきではないかと私ども考えておりまして、現在のいわゆるプリカは匿名のサービスのところが非常に多い。記名のところもございますけれども、厳格な本人確認ではなくて、非常に軽い形でやっていると。それによって利便性、ユーザーの使い勝手を向上させているということではないかと思います。

そういう意味では、上限を設定して、リスクを限定して、その範囲で利便性の高いサービスを追及していくことが理にかなっているのではないかと考えております。

現状、多くの事業者が自主的に上限を設けておりますけれども、仮に今後、統一の基準をつくるとしたときに、どのくらいが適当ですかと、仮に聞かれるとしますと、大体30万円程度が適当ではないかと考えております。

これはEdyの場合、弊社のサービスの場合は、通常の利用単価は大体数百円、数千円でございますけれども、中には旅行商品であるとか、家庭電化製品を買うこともできますので、そういった場合には、複数枚のEdyを使うことができるようになっております。

お店によっては5枚までの連続使用が可能でございまして、パソコンを買ったりすることができるようになっておりますので、大体5×5で25万円ぐらいというような決済をする場合もあるということでございますので、30万円ぐらいが、そのほかの皆様方のプリカ、前払式証票、あるいはサーバ管理型の上限を見ましても適切ではないかなと思います。

ちなみに収納代行のコンビニエンスストアの上限金額も30万円と決めていらっしゃるようですので、その辺が適切ではないか考えております。以上でございます。

○岩原座長

吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

先ほどのヨーロッパとアメリカの22ページのいろいろな決済を見てみますと、免許制というか、決済としての免許を取るというのがアメリカでもEUでも多いようですけれども、日本の場合、そういう感じにするのか、それとももっと楽に届出制とか登録制とか、そういう自由に参入ができるようにするほうがいいような気がいたします。

それから、この表を見ていますと、当初資本とか営業保証金とか、ある程度最初にお金があったほうがいいという考え方があります。もう少し自由なほうがいいという気が私はします。

それから、3点目は、自主規制団体のようなところがそれぞれの業界にあるのかどうか。そうするとそういうところである程度、何か利用者保護とか、破綻した場合のルールとかをまずお互いにつくるというやり方もあるような気がします。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

海外で自主規制団体をつくっているところはあまり聞いた例はないと思います。

22ページの資料にございますように、ご指摘のとおりアメリカやEUは、入口規制に現在ではなっているということですが、日本でどうするかというのは今後検討していくべき課題かと思います。インセンティブと両立させるにはどうしたらいいかということは頭の使いどころかなと思います。

ほかに、宮沢委員。

○宮沢委員

前払式支払手段のマル2のところでございますけれども、前払式支払手段の換金、返金についての考え方でございますが、現状、プリカ法の枠組みの中では、原則、換金不可と規定されております。

ただし、ICチップが故障したというようなやむを得ない場合のみ払戻しをしているというのが認められているわけでございますけれども、現状、このような枠組みでよろしいのではないかなと。特に、ユーザーからの換金のニーズについては、ほとんどないと認識しておりますし、また、前払式証票の場合には、商品やサービスの購入を目的としてチャージをするということでございますので、送金用途であるとか換金の用途ということでチャージをするというわけではございませんので、そういった意味では、換金の必要性はないかなと。

例えば、交通系のICプリペイドカードの場合には、乗車券の通例と同様に所定の手数料を支払うことを前提に払戻しを可能にしてございますけれども、これはいわゆる解約払戻しということでございまして、ICカードの中の金額の一部の払戻し、換金ではなく、全額の解約という形でございますので、これは先ほどのプリカ法の規定どおり、やむを得ない場合、あるいは解約条件に当たるものでございまして、換金、いわゆる預金の一部払戻しとは全く違う性格のものであると考えております。

従いまして、換金を自由にするようなものにつきましては、主な論点(案)の3番目の資金移動サービスという中で、考えていくべきと考えておりまして、全くプリカとは違うサービスであると考えております。

決済に関する中間的な整理のリポートも拝見させていただきましたところ、換金性がある場合については、利用者による変動リスクの移転が生じないと考えられまして、利用者保護の必要性が高いという記載もございますので、これはやはり現状のプリカと換金ができるサービスとは全くレベルが違うと考えております。

そういう意味で、大口の支払、小口の支払ということに加えまして、換金できるとかできないということで、メリハリをつけた議論が必要ではないかと考えております。以上でございます。

○岩原座長

この論点は、結構少し面倒な論点かなと考えておりまして、今まで換金ができないとされてきた主な理由は、換金を認めると出資法に抵触する恐れがあるということでありまして、元本以上のお金をいったん預かって、必ず元本以上のお金を返還することになりますと、出資法上の預り金に該当する恐れがあるということで、従来、この前払式証票等についても換金をしないことを前提にしてきたわけです。

前払式証票規制法を制定したとき、私も検討メンバーの1人でしたけれども、出資法の問題を前提に考えました。しかし一方で、問題になり得るのは、プリカにしても例えば一定の期間のイベントのために発行されるプリカのようなものがございまして、これはイベント期間が終了すると全く使いようがなくなってしまう。

それから、一部の地域にだけ流通しているようなプリカ等もありまして、これは利用者の方が転居したりしますと、転居先では全く使いようがないという不便が出てくる問題があります。

EUにおきましては、そういうことを考えて、むしろ消費者保護の観点から換金することを法律で強制しております。これは消費者保護の考え方からです。

ただ、そうなると先ほどの預金や預り金とどう違うかという問題等が出てくるものですから、恐らくプリカの最高金額をいくらにするかとか、金融上の視点からの問題が生じないような手当が必要になる。EUの場合は、電子マネーの発行主体を第二銀行的に扱って、銀行に準じた規制をしていることもあって、換金を強制することが可能になっていると思われます。

先ほど申しました消費者保護的な視点を入れるとすると、換金も一定範囲では認める必要があるという考え方も出てきますので、そうしますとそういう場合にはどういう手当をすればそういった金融監督法的な懸念がないように手当ができるのか。そこは多分工夫する余地があるのではないかと思っております。

細かい話になりますけれども、そこら辺の制度的な手当をどうするかは頭の使いどころかと考えております。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

今、岩原座長のご意見はまことに同感です。まず宮沢委員のコメントですけれども、今、換金がそんなに行われていないというのは、恐らく金額が少ないからではないでしょうか。これが、30万円になったらやはり換金の必要性が出てくると思います。ですから、そこのところをどうやってバランスをとるかということだと思います。

それから、もう1つ、今、EUの考え方を座長のほうからご紹介がありましたけれども、本当にそういうところまで強制しなければいけないのでしょうか。要するに、利用者保護のところですけれども、お金というシステムがあるにもかかわらずプリカを使うのは、やはりそれだけの利便性があるけれど、逆にそれに応じた、ある程度のリスクも利用者は引き受けなければいけない、そういう発想でつくられている商品だろうと思います。

これは、先ほど議論されていたポイントのところとも一緒なのですけれども、要するに、そもそもはどういうリスクを持ったサービスなのかということを利用者にある程度わかってもらう必要がある。1つの方法としては、それでも自由にやるのだったら、利用者があまりリスクを被らない形で金額の制限を引こうというのも1つの政策的判断だし、今のお話を伺っていると、要するに前払式支払手段に関しては、サーバ型に関してもどんどんお金に近づけていったほうがいいという議論もあって、それがイノベーションの見地からは望ましいということをおっしゃっているようになりますけど、基本的にこのサービスはどんなものなのですかということから考えるべきではないでしょうか。例えば飛びますけど、ポイント・サービスなんかはそもそもお話を伺った限りだとみんなおまけだという考え方が圧倒的に強いわけで、そこに何で法的保護を与えなければいけないのかという割り切り方ができると思います。

Gポイントというのは、確かに電子マネーに近い動きをするということでしたが、基本的にポイントを得た源泉はおまけです。おまけだったら、何でそのようにあなたを保護しなければいけないのですかという考え方も十分成り立つわけです。やはりそこのところのバランスのとり方の問題だと思います。だから、きれいに理論的に割り切れるものではないと思います。

そこを考えた上で、どこまでの上限というか下限というか金額で線を引き、規制をかけるか、かけないのかということを考えていただいたほうがいいと思います。

論理的一貫性を求めるばかりに、同じ機能を持っているのだから同じように規制しろとか、同じルールに従えという議論とは少し違った考え方で、もう少し柔軟な実務的な発想をしていったほうがいいのではないかと思います。もちろん、私だって、あと1,000円ぐらい残っていたら、発行体が倒れてしまったら、これはもう頭に来ると思います。でも、それはしようがない。そういうサービスを買ったんだ。

地方に転勤したら、それが使えなくなっても、それはそれまでに使い切ってしまうのが本人の才覚でしょうという話だと思います。そこまで法律で厳しく保護すべきものなのか。要するに、そこの政策判断の問題ではないかと私は思います。

○岩原座長

それも先ほどの金額の高さにも関係してくるでしょう。30万円残っているのをあきらめろというのはちょっとというのはあると思いますが。そこら辺もいろいろな要素を考えて、実際に制度をつくるときはかなりきめの細かい制度をつくる必要があるかなという気はいたします。

よろしいでしょうか。

では、事務局から。

○高橋決済システム強化推進室長

先ほど座長のほうから、すごく低い還付率の例を言われてたのですが、現在半期に一度の供託義務なものですから、例えば倒産間際の人が、もうここで一気にディスカウントして販売して、それで発行残高が増えます。すると、理屈上は、半分なのですけれど、実際の発行額が倒産間際に大幅に増えているので、50%にならないというのが事例の1つの側面であります。

それから、紙の商品券なのですけれど、全く同じデザインのもの、色を違えて、1つはただで配っていて、1つは販売していました。利用者のほうはデザインが一緒なものですから、別に、どの機会でもらったかはわからないので、全部商品券だと思っていたのですが、経営者のほうは、色を違えたのでこちらはポイントで、こちらは商品券、ポイントのほうは積み立てなくてもいい、という解釈をして、検査もできないものですから、少し供託額が不足していたことがございます。

ですから、きめ細かにやろうとすると、例えば大口の人に、四半期ごとに計測できる人は、四半期ごとに供託してもらったほうがいいのではないか。それから、ポイントとプリカの違いをもう少しはっきりさせて届出、あるいは登録をしていただかないといけないのではないか。そういったような反省点が若干ございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

宮沢委員。

○宮沢委員

ただいまの高橋決済システム強化推進室長のお話についてでございますけれども、33ページの還付事例が低い例というケースで、私どもでいろいろ調査をしましたところ、自家型の発行の場合がほとんどであるということでございまして、やはりこれは今、自家型のプリカ法の規制と第三者型の規制の程度が違うというところがございまして、自家型の場合には、金融庁の立入検査もないとか、あるいはいろいろ保護の程度が違うということで、それによって申請した供託額が違っていても、なかなかそれが発見できないという課題があったかと認識しておりますので、ここは、イコールフッティングという観点、あるいは利用者の視点から見ましても、自家型、第三者型、なかなか区別がつきづらくなってきている実態も含めて同じような規制が望ましいのではないか。それが、今回の還付の率が低いという1つの要因であるとすれば、そちらが本質的な課題ではないかと考えております。

○岩原座長

ありがとうございます。

池尾委員。

○池尾委員

どれぐらいの金額が小口かということは社会通念とかの話になると思うので言えないのですが、私はストックが、私の感覚だとやはり5万円でも多いぐらいの感じで、1万円から3万円ではないかという。

あとのほうになりますけれども、送金というフローは30万円というのはあると思いますけれども、フローとストックは区別すべきで、ストックとしての少額はやはり5万円以下ではないかなというのは私の観念なのですね。

それで、ちょっとここで、別の話になりますけれども、要するに、30万円ぐらいのものを買うのであれば、本来はデビットカードを使えばいいと思うけれども、日本の場合、デビットカードがそれほど普及していない。だから、逆に電子マネーがこれだけ普及したみたいな、デビットカードと電子マネーの間の、競合関係、あるいはすみ分けみたいなところで、日本はどうもこれは誰に責任があるのか知りませんが、デビットカードの普及が非常に遅れていることで、電子マネービジネスをやっていらっしゃる方が、本来的にはデビットカードの領域まで行こうということで、ビジネスを広げようということで、30万円ぐらいの利用額ということも想定されているのでしょうけれども、ちょっと私の社会通念とはそこは違うなという感想だけ申し上げておきたいと思います。

○岩原座長

間違っているかもしれませんけれども、私の記憶ではEUも厳格な規制の対象外にする基準は確か150ユーロでしたかね。大体そんな感じだろうと思います。

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

ただいまのご指摘でございますけれども、現状、旅行とか家電とか、そんなにしょっちゅう行かれる、買われるわけではございませんので、毎日30万円使っているわけではございませんが、実態は、Edyの場合もそういったニーズがあり、ユーザーが実際に使われているというのが実態でございます。

それでは、いつも30万円がストックとして残っているかというと、そうではございませんで、やはり通常の利用は数百円、数千円でございますので、その程度の残高で、1万円程度の残高でございまして、やはり家電を買うというときには、直前にチャージをして買うということでございますので、ストックとしては非常に少ない。そういったことから考えても、ユーザーのリスクは非常に限定的であるということです。

しかしながら、5万円しか買えないのでは非常に不便であると。商品、サービスを買うものが限定されてしまいますので、これは今の実態から考えるとそぐわないと考えております。以上でございます。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

前払式支払手段とポイントについては大体ご議論いただいたということで、次に進んでもよろしゅうございますか。

ポイントの場合は、要するに、実質的な前払式支払手段といいますか、電子マネーに近いようなものになっている場合は、何らかのルールを考えなければいけないけれどもと、多分そういう感じのご意見が多かったかと思います。

宮沢委員。

○宮沢委員

ちょっと私ばかり発言して申し訳ないのですけれども、もう1点だけお願いがございまして、これは、1のマル4のその他に含まれるかと思いますが、現在のプリカ法によりますと、いわゆる事業譲渡ができないという状況になっておりまして、破綻、万が一発行事業者が破綻をした場合、その継承が可能でございますけれども、複数のプリカ事業をやっておりますと、そのすべてを継承会社が全部引き受けなければいけないという規定になっております。

これは、破綻時を想定したことでございますけれども、それ以外にもM&Aや営業譲渡に対応した柔軟なプリカ事業の譲渡というのは、実際にニーズもございますし、そのようなケースもございますので、こういった仕組みが必要であると考えております。以上でございます。

○岩原座長

川本委員。

○川本委員

ポイント・サービスのところですけれども、やはり原則としておまけとおまけの交換で、岩原座長がおっしゃっているように、会計処理さえしてあればよいと思います。消費者はそんなに期待しているのかというのがあって、逆に申し上げると、電子マネー類似化とか、あるいは預金のような効果が出てくるからというような難しく難しく考えていけばいくほど、消費者が使っている実態とは乖離していくのではないかという感じがします。

42ページを拝見しても、スーパーとかドラッグストア、そういうところでみんなほとんどためているわけです。ですから、本当に悪質な人がどういうことをするのかという場合を考えて、対応することが大切で、難しく考えれば考えるほど、普通の健全な注意義務を払っている消費者の実態と離れていくので、そうならないようにしていただきたいというのが私の意見です。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

高橋委員。

○高橋委員

私は、このポイントに関しては、少し蛇足的だとは思いますけれども、ポイントがどのような役割を果たしていくかということに関して、きちんと検討したいと思っています。

利用者がポイントを獲得することをどのように考えているのか。事業者がどのように考えてポイントを発行しているのか。その利用者も本当に小口の場合にはおまけですけれども、小口でない場合、それからこれから提供されるかもしれないサービスの中で、そのポイントの獲得を考慮して、そのためには通常の価格よりも少し高くても、結果的にお得になるから引き受けるということをやっているわけでございまして、ポイントだから、おまけだから、利用者がリスクを全部引き受けなければならないという考え方には、やはり賛成しかねるところがあります。

ポイントの場合に、消費者への周知ですけれども、利用規約があるわけですが、小口のものについては、利用規約はほぼ皆さん読んでないと思うのですが、大口についてはきちんと読まなければいけないし、消費者教育でもやらないといけないと思いますので、その辺に対しての配慮のある議論をお願いしたいと思います。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

新井委員。

○新井委員

先ほどの論点の前払式支払手段のマル2のところの換金、返金のご議論、私ども今サーバ型をさせていただいておりますけれども、サーバ型の場合ですと、他人への譲渡はかなり簡単にできるというところで申し上げますと、換金、返金を仮にEUのように強制されることになりますと、商品、サービスの購入のために支払手段として購入されるというよりも、実質的な送金ということを行うためにこういった支払手段を購入して、それでインターネットを通じて第三者に譲渡して、譲り受けた方が当社に対して換金、返金を要求してくるという形が十分想定されると思います。

したがって、先ほど、送金業については免許制とかいろいろご議論ございましたけれども、プリペイドに関しては、ある一定範囲については自由ということになりますと、そこの辺のところでかなり違った使われ方が、私どもの事業者として想定している使われ方と違う形が発生してしまうのではないかという危惧を持っております。

○岩原座長

ありがとうございます。

まさにそれが1つの懸念と申しますか、考慮していくべき要素かと思います。

宮沢委員。

○宮沢委員

ただいまのご意見について私ども全く賛成でございまして、私ども、Edyの場合もEdy to Edyという名前で、プリカの価値を他人に譲渡できますというサービスを行っておりますが、これも換金が自由となりますと同様に送金用途で使われてしまう、脱法行為的なことになってしまいますので、やはり先ほどもお話しいたしましたように、原則、換金不可にすべきではないかということです。

通常、紙の商品券は他人にギフトとして譲渡するのは一般的でございますので、これを取り締まることはできないことから考えますと、換金不可という形で考えていくべきではないかと考えております。

○岩原座長

まさに、ご指摘のようなEdy to Edyのようなものが、あとに出てくる資金移動サービスになってしまうのかという問題につながっていくわけです。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

ポイントについてですけれど、マル1のところに書いてありますように、恐らくこれから広範に支払手段として利用されていったり、交換自体が進んでいくという可能性は高いと思います。

ただ、現状で考えますと、やはりポイントの経済的価値は比較的少額でありますし、やはり規制のコストベネフィットを考えることは非常に重要ではないかと思います。

あと、ポイントが広範に今後交換されたり、流通性がついていくことに対して、大きな規制がかかることになっていくと、それ自体があまり進んでいかないことになりまして、私はポイントがいろいろな形で交換されていくこと自体は、経済の活性化という観点からは大きな問題ではなくて、むしろそれ自体はいろいろなビジネスモデルができてくることは促進すべきことだと思いますので、それをよく見ながら、ただ現状のコストベネフィットを考えれば、現状では規制は必要ないのではないかと感じております。

○岩原座長

よろしゅうございますか。次に進んでも。

それでは、次に論点の3つ目の資金移動サービスについて、ご意見承りたいと思います。いかがでしょうか。

畑山委員、どうぞ。

○畑山委員

まず現状認識ですけれども、外部から見た推定で正確ではないかも知れませんが、皆さんが広く使っているものについて為替取引そのものであると考えられるものがあります。具体名は挙げませんが、こういったものの利用が広範化する傾向にあり、時々、ご相談を受けるケースもありますけれど、内容が次第にグレーの度合いが高めつつあるように感じております。

したがって、そろそろ論点を整理して、法的安定性を回復するのが必要ではないか考えております。以下、今後検討を行う場合に留意すべきではないかと考える点を、4つ程申し述べさせていただきたく存じます。

第1にですけれども、『円』自身が国際競争力にさらされている、という点であります。

資金移動サービスは、需要者側から見た利便性、供給者側から見た事業の採算性が折り合って初めて成立しますが、ボーダレスな事業環境の中で、国際競争に勝てる水準でこうした需給が折り合う効率的な状況を確保し、『円』が、居住者、非居住者を含め、「誰でも、いつでも、どこでも使われる」という一般的受容性を確保しないと、『円』自体が使われなくなるという可能性があると考えられます。

そのためには、円の小口決済基盤を、誰がどのように提供するかを検討する必要があると思います。誰が、という点に関しては、銀行以外にも一定の条件つきで認めていくのがいいのではないか、というのが私の方向感であります。

第2に、資金移動サービスに関するリスクは、大雑把に言えば、事業者の倒産リスクとサービス提供に当たってのオペレーションリスクになると思いますが、こうしたリスクの量と分布が全体でどうなるのか、どのようにするのか、ということを議論しておく必要があると考えます。

すなわち、参入規制、行為規制をどうするか、ということですが、私見では、まず、参入規制に関しては、今までのご議論でもありましたけれども、比較的緩いものにする代わりに、例えば100%準備を課すことで形式的には事業主の倒産リスクに対応することができる訳です。ご説明にもありましたが、ナローバンク方式といわれる考え方が参考になります。

他方、行為規制に関しては、オペレーションリスクに直結するような事務、これにはマネーロンダリングリスクも含むわけですが、それとシステムに関するリスクを中心に監督を随時行う、というのがいいのではないかと考えています。

為替は、決済システム、信用秩序の中核的要素ですので、とくに大口決済システム、国際決済システムに対して、いささかなりとも悪影響がでるような資金移動サービスであってはいけないと思いますが、ただ今、申し上げたような措置を講じることで、円ベースの小口決済に関しては、ある程度セグメント化した上で、基盤整備を早急に進めるべきではないかと考えております。

その際、社会全体としてどの程度のリスク量とリスクの分布にするかは、すなわち大口、小口の区分を制度設計上どうするか等は、安全性のほか利用者保護、消費者保護の観点も入れて、閾値を決めればいいと考えます。

なお、この関連で、社会的に広範なニーズが存在することを充分認識するべきである、あるいは、利便性を重視し過大な規制とならないような制度設計を行うべきである、などということがいわれますが、考えて見ると、利便性といっても、事前的な利便性ではなく、実際に発生した倒産、誤送金、顧客名簿の漏出、ハッキングなどのオペレーションリスクを控除した後の事後的、結果的な利便性を尺度にして議論をしないと、意味が無いと思います。表面的な利便性だけでは、かえって消費者保護に逆行する結果になりかねないと考えています。

第3に、決済以外のサービスを重畳的に提供して、そのための情報を一体的に管理、運営したくなるのが、決済サービスをおやりになる方の通例ではないかと思います。これには、経済合理性があると思います。

例えば、決済情報と販促情報を一元管理してCRM(Customer Relationship Management)をやる、決済以外のさまざまなサービスも資金移動と同じ基盤の上で提供する、というようにだんだん多次元的なサービスの展開をしたくなるものです。

こうした、いわゆる、金融付加価値通信網(金融VAN)をどの程度、誰に認めるかも、そろそろ明確にしていく必要があるのではないか、と考えております。

この話は、銀行にとっては他業禁止の問題を緩めるべきである、ということになります。ただし、一方で、預金という安全資産を元手に銀行の業務範囲をどの程度拡散させていいのかという、昔からの話がありますので、そのことも絡めながらよろしくご審議が深まることを期待しております。

最後ですけれども、国際競争力のある小口決済基盤の構築、銀行以外の者による新しい資金サービスのあり方を議論する中で、この分野に関する銀行の取扱いをレベルプレイングフィールド(Level Playing Field、競争条件の均一化)原則で見直していただく必要があるのではないかと思っております。

これは、ATMはじめ、銀行が服すべき小口決済に関する安全基準が、いろいろな歴史的経緯もあったとは思いますが、相当程度日銀ネットと同じ極めて厳格な基準になっています。この結果、銀行には、膨大な管理コスト、当局監督への対応負担がかかっております。したがって、もし小口決済基盤を異業種にも認めるということであれば、その絡みで、銀行に関するこの分野に関する規制をどう止揚して行くか、ということについても、忘れずに議論するべきだと存じます。

いずれにしても、信用秩序のひとつの中核要素である為替こそが重要と考えております。そろそろ勉強モードから実践モード、銀行法改正を念頭に置いた議論をすべき状況になっているのではないかと思います。以上です。

○岩原座長

ありがとうございます。

ほかにご意見ございますでしょうか。いかがでしょうか。

今の畑山委員のご指摘にございましたように、マル1の銀行以外の者による為替取引についても現行法とは異なって認めて、より競争が働き、より利便性の高いサービスが提供されるような利便性向上を考えていこうということは割と広いご了解があると考えてよろしいでしょうか。

次に、マル2の資金移動サービスの制度の枠組みでございますけれども、銀行以外の者による資金移動サービスと決済システムの安定性や信用秩序の関係。これについては、ただいま畑山委員のご指摘にございましたように、提供されるサービスの内容、小口化、大口化、あるいは100%準備を行っているか否か等を考えて、各サービスの提供主体の実態に合わせた柔軟な規制に変えていくことについて、これも割と広いご了解があると考えてよろしいのでしょうか。

何かご意見等ございますでしょうか。

守屋委員。

○守屋委員

少し細かい技術的な話になってしまうかもしれないのですが、今、お話のありました100%資産保全のところですけれども、実際のサービスを考えますと、ものすごく資金の移動が頻繁に、例えば1つの例ですけれども、夜間であるとか土日であるとか、24時間お金が動くサービスも想定されるわけですが、その場合に、保全すべき資産の額がどの時点でいくらなのかをとらえるのが非常に技術的に難しい場合に、その資産保全を100%というのはどこまでやれば、100%なのかは1つ議論が必要かと思います。

それから、もう1つは、仮にこれをやりたいと思う事業者のお気持ちになって考えますと、資産の保全の方法が非常に煩雑であったり、あるいは手間のかかることであったり、あるいはコストがかかることを考えますと、なかなか入りにくいという障害にもなると思われますので、できるだけ簡便な方法で資産保全が図られるよう考慮すべきではないかと思います。以上でございます。

○岩原座長

そこら辺は、当然制度を具体化していく上で、考慮すべき点ではないかと思います。

ほかに何かご指摘ございますか。

米澤委員、どうぞ。

○米澤委員

私も基本的に先ほど岩原座長が整理された方向で賛成ですけれども、1と3を通じた話として申し上げたいのですが、先ほど来は、換金、返金の話がありましたけれども、ごくごく例外的に確かに換金、返金を認めなければいけないケースがあるのだということは先ほど来のお話で、100%は納得してないですけれども、何となくそうかなという気もしますが、極めて例外的にそういうケースがあるからといって、それだから資金移動サービスだといって、新たな規制をかけるというのは少し逆立ちしているのではないかという気がします。

この前払式支払手段の換金、返金がごく例外的にとどまっている限りは、それは資金移動サービスと認識しなくていいのではないかと気になる点であります。

○岩原座長

他に何かございますでしょうか。

金融界のほうから信用秩序の関係、金融界としてのこういうサービスにかかわるときの問題、何かご発言があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

齊藤委員、どうぞ。

○齊藤委員

資金移動サービスの絡みで1点、意見を述べさせていただきますと、先ほど畑山委員からもご指摘がありましたが、私も大口と小口はやはりある程度分けて考えるべきだと思います。

と申しますのも、ここではB to Cの議論が中心になっていますが、私はB to Bの大口決済の方が決済システムに及ぼすインパクトは大きいと考えております。

具体的には、既に「振込代行」と称し、自ら資金を抱いて振込をする事業会社が存在しておりますが、万が一このような会社が破綻した場合、その後の支払・決済が滞る等、決済システムの安定性、信用秩序維持の観点からは、B to CよりもB to Bの方が間違いなく影響が大きいと考えており、是非この観点での議論もお願いしたいと思います。

それからもう1点、これも畑山委員からご指摘がございましたが、マネーロンダリング、事務リスクといった観点も重要だと思います。

例えば、同じ収納業務でも、お客様から、「コンビニでは本人確認がないのに、何故銀行ではそのように厳格な本人確認が必要なのか?」といったご指摘を受けるケースもあり、この辺もどのように整合性をつけていくのかなど、ご議論いただければと思っております。以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

確かに、ここで主に念頭に置いて議論されてきましたのは、B to Cの場合ですが、B to Bで、CMS(Cash Management Service)のサービス等について、銀行法その他の法規制との関係でどう整理していくのか。押さえるべきところがあるとしたら何なのかは大きい問題で、必ずしも十分ここでも時間をかけて議論されているわけではないように思います。何かご指摘があれば、承りたいと思います。

そのほか、今、ご指摘いただきましたマネーロンダリングの問題、事務リスク等の問題も非常に重要でありますので、資金移動サービス全体を考えますと、少なくともマネーロンダリング等について脱法的な利用がされないような押さえは必要であると思います。

何かご意見ございますでしょうか。

それでは、いろいろなご意見が出るかと思いますが、次の4の収納代行サービス等を含めてご意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。

芝﨑委員。

○芝﨑委員

ヤマトの芝﨑でございます。

収納代行サービス等に代金引換サービスが含まれていて、これは最終ページに資料に載せていただきましたが、これが66ページにあります最高裁の判例における為替取引ということで為替取引だという定義だということが出発点になっていると思うのですが、これはどうしてもよくわからないです。

この最終ページに書いていただきました絵にあるとおり、商品があって、商品の代金を受け取っているわけですから、お金だけを単純に何もないところから動かしているわけではないということで、これは何でこれが為替取引なのかがうまく理解できないのがまず根本的なところでございます。

それから、もし今の3のところの議論が、それも含めて資金移動サービスだというのであれば、これまた先ほどありました保護という問題、ここでいいますと4のマル2のところにもありますけれども、支払人の保護、債権者の保護でございますが、まず債権者側、依頼者側の保護に関しては、先般申し上げましたとおり5日で動いているお金でございますので、止めればかえっていろいろなことが起こると思っております。

それから、支払人保護につきましては、領収書を発行してということが前提かと考えております。

最後に、これはちょっと文章で1つ、逆に質問ですが、悪質な事業者の事業者とは、これは宅配業者を言っているのかそれとも通販事業者さんを言っているのか、これは定義はどちらなのですか。

○高橋決済システム強化推進室長

物流とか小売について論じているわけではありません。資金を仲介するときに、収納代行サービスを提供するときに、例えば当然領収書は払われるとおっしゃっていただいたのですけれども、悪質とはそういうこともやらない人を指しております。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。ここの文章は、別に収納代行サービスをしていれば、自動的に為替取引に当たると言っているわけではなく、最高裁の定義から考えると、場合によると該当する場合があり得る可能性があるので、そういう場合についてはある意味、現在のような銀行の為替取引規制をそのまま適用することは本当にいいのでしょうかということで考えていきましょうということだろうと思います。

○芝﨑委員

今のところですけれども、そうなりますとどのケースがこの為替取引に該当するのかという議論は、今後また別途あると理解でよろしゅうございますか。

○岩原座長

まず、現行法がどうかというのをここでどこまで詰める必要があるかと思うのですけれども、仮にそういうことが問題になり得る場合があるとしたら、それが銀行法の規制をかけるのが大げさのような場合にまでそういうことが問題になるとしたら、そういうことがないような制度、最低限必要な、まさに悪質業者をチェックできる体制を考えていくにはどうしたらいいかをここで議論していただく、ここは、まさに立法論をやっている場でありますので、現行法がどうかをぎりぎり詰めるのがこの審議会の役目であるとは考えておりません。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

ヤマトさんの、収納代行サービスの首を締めようという議論をしているようにとらえられているように思っておられるかもしれませんが、我々は全然そんなことは考えてなくて、収納代行サービスは素晴らしい。しかし、私も何回もここで質問を繰り返しましたけど、「分別管理やっているのですか」という問に対して、「してません」という返事が来て、倒産したらどうなるのでしょうかということが心配だということです。

誰もヤマトさんが倒れるとは思っていないけれども、ヤマトさんに代表される団体の下の小さな業者さんで倒れたらどうなるのですかという問題なのです。

もう1つは、確かに受領代理権を持っているのだから、このサービスは為替に当たるはずはないだろうという議論は、それはそれで理由がありますけれども、問題は収納代行サービスが非常に頻繁に利用されることになってくると、やはり集金を依頼している人自身も、B to Cと言いながら、実はその人がCに近い脆弱な事業者が入っているので、そこで宅配業者が倒産したときに、一体どうすればいいのかということになります。

2日で動かしていらっしゃるのなら問題ないですけれども、やはり業者によっては何日か溜めていることもあるだろうし、1カ月ぐらい滞留している例もあると推測されますので、そこのところをどうするのかという問題だと思います。

そこのところで透明性が確保できるようにするにはどうしたらいいのかという方向で議論を進めていったほうがいいのではないかと私は思います。

○岩原座長

ありがとうございます。

非常に問題点をわかりやすく説明していただいたと思います。

いかがでしょうか。

芝﨑委員、どうぞ。

○芝﨑委員

収納代行という定義ですが、少ししつこくて申し訳ないのですが、いわゆる紙を出して、コンビニさんか郵便局さんの窓口に持っていき、お金を払うサービスの質と、荷物をそこに持っていき、そのかわりにその荷物の商品の代金を払ってもらうサービスは、これは全く同じものだという理解になるのでしょうか。

○高橋決済システム強化推進室長

商品をヤマトさんが販売しているのであれば、違うものだと思いますけれど、荷物を運ぶ行為とお金を回収する行為は別途でやっておられるわけですから、そうするとコンビニで、店に行ってお金を支払ってくることと、コンビニの店員さんが自宅まで来て、お金を払うことと本質的に差はないと思います。収納代行サービスと一括りにして、受領権を持ってお金の送金を頼む行為については為替取引に当たる疑義がある場合がある、と申し上げているだけです。そこは、ずっと最初から繰り返し申し上げていると思います。

○岩原座長

いかがでしょうか。

畑山委員、どうぞ。

○畑山委員

為替的なもの、ないしはよく見ると為替そのものと考えられるけれどそこまで目くじらを立てなくてもいいではないか、ということについてですが、この問題を考える場合に、もちろん金額の問題もあるのですが、社会的広がりという面もあって、少額でも非常に顧客基盤の大きい方がおやりになっている場合に、それを放置していいのか、という論点もあると思います。したがって、金額、取扱件数、両方の側面からご議論いただくべきではないかと思います。

○岩原座長

ほかに何か。

原委員。

○原委員

収納代行サービスについては、消費者は非常に便利な仕組みの1つとして利用させていただいているのですけれども、やはりある意味若干不安も感じながら利用させていただいているサービスという印象があります、ここの項目だけに悪質事業者という項目が入っておりますけれども、先ほどの資料の中にも10ページから14ページにかけて、いろいろなトラブルの事例が紹介されておりまして、これも少し中身を見ると、もう少し丁寧に分析が必要かなという感じがしているのですけれど、この中にもいくつか収納代行サービスが入っています。破綻をすることはないかとか、分別管理まで行かなくても、実際に支払った金額が本当に先方に届いているのか。本当にお金のやり取りの契約の基本がまだしっかりしていないという印象があります。

ですから、本当に収納代行サービスをきちんとしたサービスとして消費者に利用していただきたいということであれば、私はやはりきちんとしたルール化、それを明確化していくことが将来的にはいいのではないかと考えておりますので、それほどガチガチのことを考えているわけではないのですが、最低限の金額の取引のルールについては定めたほうがいいと思っております。

○岩原座長

ほかにいかがでしょうか。

金丸委員。

○金丸委員

別に、収納代行に限らないのですが、こういうサービスが出てきたのは、もともとは既存のサービスに対して、新しいニーズ、技術革新等もあって出てきたわけで、この収納代行についても、例えばインターネットで取引をしたときに、クレジットカードの番号を入れるのに、よりリスクを感じた人たちがフェイス・トゥ・フェイス、コンビニエンスストア、あるいは先ほど来おっしゃっているヤマトさんみたいな方々の新しいサービスを好み、だから利用者が選択をしてこういうサービスが出てきたわけです。我々が代金引換を選ぶときには、小さい通販業者さんがあって、お金が入らないリスクもその業者さんにもちろんあるということですが、まず利用者から見たら、例えばこれはネット上でも、商品をこの会社が本当に届けてくれるのかということのほうが、むしろ心配なので、目の前で見たいと。だけど、それは多分事故例のところにあると思いますが、受渡しは終わったけれども、開けてみたら違うものだというぐらいのリスクぐらいではないかと厳密に言うと問題が多少あるかもしれませんが、思っております。お金が入らないことについては、先ほど高橋決済システム強化推進室長がおっしゃられた悪質な業者とは何かとは、途中の履歴ですか、証票ですか、そういうものがきちんと残されておられる業者さんが、仲介していらっしゃるのであれば、私はその代金引換で、商品を提供してお金を受け取ろうとなさっている通販業者もその仲介業者を選び、それから利用者の側からもその業者を選ぶことができますので、私はその双方が選び合って、それよりもクレジットカードの入力するリスクのほうが大きいことから発展してきたことを考えれば、この中に大きな項目としてあるのは、少しどうなのかなと思います。そして先ほどルールの明確化が必要であることに対しては、その途中の取引や移動の履歴であるとか、お金を受け取ったという領収書をきちんと保存する義務があるとかで、私は十分ではないかと思っております。

それから、3番目の資金移動サービスのところで、畑山委員がおっしゃった真意は少しどうかわからないのですけれども、私は本来、資金移動サービスを本当は社会的に信頼にたるべき新規プレーヤーが出てきて、その人たちが既存の金融機関と競争して、我々に選択肢を与えてほしいと思っています。しかしそれを発展させて考えていくと、いわゆる第二銀行法みたいなところを深く議論していくべきではないかと畑山委員がおっしゃったのではないかと思ったのですが、私も基本的にはそういうふうに思っております。

ただ、今回、本格的な議論をしていったときに、少額とか消費者とか社会に対して利便性を提供しているイノベーターの方々が、今なさっておられるサービス等に大きく影響を受けるようなことがあれば、切り離して、今の銀行法とは全く切り離した新サービスとしてある限定つきでも認めるような法手当をしたほうがいいのではないかと思っております。以上でございます。

○岩原座長

収納代行サービスが非常に便利なサービスを社会的に提供していて、それを今後とも活用していただこうということ、これはもう恐らく動かないところで、特にイレギュラーなことが起きないように、そして実際トラブルの例が、先ほどの10ページから14ページの例でも、収納代行サービスについても既にいくつか起きておりますし、前のここでのヒアリングでも、かなり事務的なミス等に基づくトラブルもあるようでありますから、そういうことはなるべく起きないような体制はつくっていかなければいけない。

現行法ですと、厳密に言うと、先ほど言いましたように、為替取引に当たり、銀行以外の者が為替取引をやっているのではないかと疑問が起き得る場合もあり得るので、そういう疑念を晴らしつつ、一方で、そういうイレギュラーな場合は、最低限押さえられるような制度をどう考えたらいいかをここでご議論いただくのかなと思っております。

畑山委員、どうぞ。

○畑山委員

金丸委員のおっしゃるようなことを私も申し上げたかったということでございます。

資金移動のサービスは、いずれ“たまり”が出てくると思うのです。

この分野の議論を振り返りますと、電子マネーの初期のころは、法貨(日本銀行券+政府補助貨幣)、預金通貨、その他民間債務を対価とする通貨(もどき)の3種類のうち、民間企業の債務を対価とする通貨については、預金ホールド方式か別段預金方式で預金通貨に括りつける、という厳格な議論からスタートしていたわけです。そこには、「資金」と「現金」の差は預金通貨までという考え方が基本にあり、最初の頃は支払手段に関してかなり律儀な議論をやっていたはずです。

小口の資金移動サービスに関しては、銀行法の下での第2種免許ではなく、新しい法律を別途つくる、という流れなのかもしれませんが、いま申し上げた紙幣類似等の話もありますので、そこはやはり律儀に法貨と預金通貨というものを基本に考える、そこに最終的に着地する方法で、小口とはいえ、その資金移動について考えていく、というのがオーソドックスではないかと考えています。

○岩原座長

そういう、収納代行をされる方が、資金を滞留して、それを運用に回す、そんなことをされますと、これは確かに一種の第二金融機関的になってしまいますので、そういうことが多分ないことを前提に制度は考えていると思います。

芝﨑委員、どうぞ。

○芝﨑委員

多分そういう理屈だと思います。

それで、今のところを申し上げますと、規制という言葉がいいかどうかわかりませんが、消費者保護という観点で見たときに、高コストになることをしてしまうと、かえってご不便をおかけすることがあるのを少しご配慮いただきたい。

なぜかといいますと、例えば、前の発表のときにご質問いただきましたことで、例えば供託金を考えた場合に、11桁になりますというお話をしてました、これは高コストになるわけです、10日で回っているお金が止まるわけですから、何らかの形でお金を準備すればこれは高コストになってきますし、それから、先ほど金額、どの金額までをというお話がございましたけども、例えば、マネーロンダリングの危険だとか何かにしましても、ある程度を超えてしまうと、これは非常に高コストな仕組みにつくと。

また消費者から見ますと、物が届いたときに、本人であることを証明しなければいけなくなったり、もしくは委任状を書かなければいけないと。

ゴルフクラブを買うことができなくなってしまう。とても面倒くさくなってしまうと。そういうことが懸念される。

そこは、便利だから伸びてきた。そして問題がないから是認されてきたというところにあまりブレーキがかかるようなことはしてほしくないというのが大きな議論の観点として考慮していただきたいことです。

もう1つ、先ほどの悪い事例の中で、販売者側の詐欺的行為の問題が出ていたと思うのですけれど、あまり全部一緒にしないで、きちんと分けながら見ていったほうがいいのではないかと思うのですが、ということでございます。

○岩原座長

おっしゃるとおり、当然全ての制度はコストとセキュリティのバランスの上に成り立っていますから、当然コストのことを考えながら、それとの見合いで、まさに最低限必要なルールを考えてやっていくことになるかと思います。

ほかに何か。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

実は、芝﨑委員に伺いたいのですが、資料65ページのところで、収納代行の上限金額のところがヤマトさんは30万円で上限を設けられていて、佐川さんは上限なしという形になっているのですけれど、これはヤマトさんにとって、30万円のままでも全然問題ないというご見解なのか、あるいは必要に応じてどんどん増やしていくことも考えられるというご見解なのか、ビジネスの発展に応じて、その辺、どう見ておられるのかを、お教えいただけますでしょうか。

○芝﨑委員

B to Cの取引におきまして、30万円は堅持していく考え方でございます。

これを大きく増やそうという考え方はございません。以上でございます。

○岩原座長

いかがでしょうか。

確かに、そもそも収納代行サービスを提供している事業者自身のリスクとしても、あまり高額なものを引き受けるのはリスクが大きすぎるのではないかと私は思います。

上限なしという会社も実際上の運用として、1,000万円以上のものを引き受けるのか、やるのかなという気がしますけれども。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

この65ページの表などを見ていますと、やはり収納代行サービスといっても本当にいろいろなビジネスの形態がありまして、ビジネスモデルも本当に多様ですし、恐らくこの中にもそういったリスクに関する意識の高いところと低いところとそれぞれ相当差があると思います。

その意味でも、できるだけそういった意識を自主的に取り組んでもらうということが本来必要で、分別管理とか、契約関係の明確化とか、そういったことも含めて、そういったことで最大限できるところがどこまでなのかという議論が本当は必要なのではないか。

一方で、利用者もそういった、どういったところにリスクがあるのか、そういったことをより開示していく、そういったことも必要です。その上で、ビジネスモデルの多様化、そういったいろいろな努力のインセンティブをそがないような形で、何か必要かどうかという議論をしていく必要があるのではないかと思います。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

芝﨑委員。

○芝﨑委員

こういう会議に少し慣れないもので、教えていただきたいのですが、この議論をした後、次回以降は、この議論を踏まえて、次はどんな展開になるのでしょうか。

○高橋決済システム強化推進室長

収納代行ということだけでなく、ご意見が大体まとまったようなものについては順次まとまったという形で文章を出させていただきたいと思います。

ご議論が続くかと思いますので、今日、終わるということではなく、また次回以降、収納代行や、資金移動サービスについても、収納代行に代表されるような利用者保護がある程度図られているようなものについてどう考えるかをもう少しご議論いただければと思います。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

特に、ここでご発言のご希望がなければ、そろそろ時間でございますので、本日の議論はこのあたりで終了させていただきたいと考えております。

次回は、引き続き個別の論点について審議を行っていただくことを考えております。

最後に、事務局から連絡などございましたらお願いいたします。

○高橋決済システム強化推進室長

次回の日程につきましては、既にお伺いをさせていただいておりますが、正式には追ってご連絡をさせていただきます。

よろしくお願いいたします。

○岩原座長

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。

ご熱心なご議論、本当にありがとうございました。

以上

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