金融審議会金融分科会第二部会「決済に関するワーキング・グループ」(第7回)議事録

日時:平成20年9月29日(月曜日)14時00分~16時00分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○岩原座長

それでは、そろそろ時間でございますので、決済に関するワーキング・グループ第7回会合を開催させていただきます。

メンバーの皆様におかれましては、大変お忙しいところご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は神田様がご欠席と伺っております。

さて、本日は、前回に引き続きまして、個別の論点についてご審議をお願いしたいと考えております。

前回、事務局から主な論点として全般的なご説明をいただきましたが、今回、事務局より前払式支払手段及びポイント・サービスについて、さらに論点を整理したペーパーを用意いただきました。

本日は論点ごとに議論を進めていきたいと思います。まず、事務局より前払式支払手段についての説明をお願いしたいと思います。

○高橋決済システム強化推進室長

今、ご説明いただきましたように、前回は主な論点ということですべての項目についてご説明をさせていただきましたが、今回はそれぞれの項目について若干ブレークダウンしたものを書かせていただいております。これまでのご議論等である程度方向性があるものも含まれているかもしれませんが、改めてご議論いただければと思っております。

最初に資料7-1、論点の整理でございます。

1の前払式支払手段についてご説明をさせていただきます。マル1がサーバ型の前払式支払手段に関する利用者保護等でございます。発行者があらかじめ利用者から資金を受け取り、財・サービスを受け取る際の支払手段として、前払式支払手段が発行される場合、紙・ICチップ等の有体物にその価値が記録されるもの(紙型・IC型前払式支払手段)については、前払式証票の規制等に関する法律による規制がございます。

同法では、未使用発行残高の2分の1以上の金額について、供託又は金融機関等の保証が必要とされておりまして、これによって資産保全が図られております。また、証票等への一定事項の表示義務等が発行者に課せられております。

利用者が保有するものには価値が記録されておらず、例えばサーバに価値が記録され、通信回線を介してサーバにアクセスし、利用するもの(サーバ型前払式支払手段)については同法の適用がないという状況でございます。

たびたびご説明させていただいておりますが、これを踏まえまして、同じ前払式支払手段であっても、金額の記録(価値の記録の保存)の仕方の違いにより規制が異なることについてどう考えるか。

前払式支払手段の形態によって規制が異なることは、利用者保護の観点から問題はないか。

規制が異なることにより、事業者間のイコールフッティングが図られず、経済活動にバイアスが生じるおそれはないか。

サーバ型前払式支払手段を、現行の紙型・IC型前払式支払手段と同様に取り扱う制度整備を図ることについて、どう考えるか、というものでございます。

マル2が、前払式支払手段の換金・返金についてでございます。前払式支払手段の換金・返金につきましては、前払式証票規制法には規定がなく、換金・返金した場合、出資法によって禁止される「預り金」に該当する疑義があると言われております。

前払式支払手段の換金・返金と「預り金」との関係について、どう考えるか。

出資法が想定している「預り金」とならない範囲において、換金・返金を認める余地はどの程度あるか。

前払式支払手段の換金・返金が自由に行われる場合、要求払預金と類似すると考えられるか。信用創造機能を有することはあるか、というものでございます。

この中で、信用創造機能というのは、一般的に要求払預金等で集めたお金が銀行の中で、いわば根雪であるコア預金として存在しますので、それを利用した形で信用創造が行われるというものでございます。これを踏まえ、前払式支払手段について銀行口座と同様の形で貸付けに利用されることがどの程度あると考えられるのか。利用されることがなければあまり信用創造は生じないのではないか、そういった趣旨でございます。

前払式支払手段を利用しなくなった場合に換金・返金が行われることは、利用者にとって利便性がある。EUにおいては電子的な第三者型の前払式支払手段については電子マネーとして整理され、換金・返金が義務づけられております。

この前払式支払手段の換金・返金の義務づけについて、どう考えるか。

一般的な換金・返金を義務づけることは、前払式支払手段の性格を変えることとならないか。

事業者が事業を廃止する場合等には、換金・返金を義務づけることが適当と考えられるか。

事業者の選択(任意)により換金・返金を可能とすることについて、どう考えるか。

現在、第三者型の前払式支払手段については、資金移動機能を有すると考えられ、自家型のものに比べより強い規制となっている。米国においては電子的な第三者型の前払式支払手段は一般的に送金業と整理されている。

この前払式支払手段の換金・返金と資金移動機能の関係について、どう考えるか。

特に、前払式支払手段の換金・返金が自由に行われる場合には、自家型、第三者型を問わず、前払式支払手段を用いて実質的に為替取引を行うことが可能とならないか。

これらを踏まえ、次のように考えることについて、どう思うか。

事業の廃止等の場合を除き、前払式支払手段の換金・返金を禁止する。

為替取引としての利用に結びつかない方法であれば、換金・返金を行うことが可能であることを明らかにする。その方法として、例えば一定期間中の発行総額に対する一定割合まで換金・返金が可能であることとするということなどが考えられるのではないかということでございます。

マル3が、額面金額が大口である前払式支払手段についてでございます。現在、前払式支払手段については、その利用可能額の大小にかかわらず同じ取扱いとなっております。例えば、資産の保全については、利用可能額の大小にかかわらず未使用発行残高の2分の1以上の供託等の義務がございます。

大口の前払式支払手段について、小口のものとは別の取扱いをすることについて、どう考えるか。

大口の前払式支払手段については、事業者が破綻した場合の利用者保護の必要性や資金移動機能が高いと考えることはできるのか。

大口の前払式支払手段については、通常、利用が少ないと考えられるので、逆に利用者の自己責任を求め、保護の程度は高くないと考えることはできるのか。

あるいは、小口のものを複数まとめて利用する場合を考慮すれば、大口、小口の区分の意味は少ないと考えることができるのか。

仮に、大口の前払式支払手段について、小口のものとは別の取扱いをする場合、具体的にどのような取扱いの差を設けることが考えられるか。

例えば、現在は未使用発行残高の2分の1以上とされている供託比率の引上げや、換金・返金の制限が考えられるが、どうか。

また、仮に区分する場合、大口、小口の区分額について、どう考えるか。

前回も若干ご議論があったかと思いますが、例えば、数万円程度とすべきとの考え方や、より大きな金額とすべきとの考え方があったかと思いますが、これについてどう考えるかというものでございます。

マル4がその他の利用者保護等の仕組みでございます。現行の前払式証票規制法においては、700万円超の未使用残高を有する自家型発行者は届出制、第三者型発行者は登録制とされております。業務改善命令等の監督規定については、第三者型のものに対してのみ行うことができるとされております。

現行の前払式証票規制法の枠組みについて、どう考えるか。自家型のものは届出制、第三者型のものは登録制とされておりますが、このような枠組みについて何か問題があるのか。

現在、前払式支払手段の発行を取り止めた場合の供託金額の取戻手続等が明確でない。あるいは、IC型・サーバ型のものについて事業者が破綻した場合に、保全された資金(発行保証金)を利用者に分配する還付手続が十分でない。例えば記録の読取りが財務局でできない等の指摘がございます。さらに、前回ご意見がございましたように、事業者が前払式支払手段に係る事業の一部を譲渡する場合の手続が明確でない等の指摘がございます。これらについて所要の規定の整備を図ることについて、どうか。

また、事業者が破綻し、発行保証金を利用者に分配する還付手続がとられる場合、還付の割合が低いケースは自家型の前払式支払手段に多いとの指摘がございます。自家型のものに対する監督規定の整備を行うことについて、どう考えるか。

そのほか、現行の枠組みで改善すべき点として、どのようなものがあるか。

現在、供託等の義務は、半期毎に計算された金額に基づき行うこととされております。

事業者が破綻直前に大量の前払式支払手段を発行するケースがございます。この場合、直近の期末には未使用発行残高の2分の1が保全されているとしても、実際の破綻の際には、未使用残高の2分の1が保全されないこととなります。供託等の義務に係る現行の計算期間について、どう考えるか。

計算期間を短縮すれば利用者保護に資するとは思いますが、他方、事業者の事務負担が増加し、前払式支払手段の発行の減少やサービス内容の低下につながるおそれも考えられるのではないかという問題意識でございます。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明を含めまして、前払式支払手段についてのご議論をいただきたいと存じます。ご意見あるいはご質問等がございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

特にご質問、ご意見ございませんでしょうか。

それでは、この論点整理に書かれている内容について、逐次、特に問題がないかどうか、あるいは、何かご指摘いただくことがあるかどうか、伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

1のマル1、サーバ型の前払式支払手段に関する利用者保護等であります。同じ前払式支払手段であっても、金額の記録(価値の保存)の仕方の違いにより規制が異なることについて、どう考えるかということで、第1が前払式支払手段の形態によって規制が異なることは、利用者保護の観点から問題はないか。まずこういう問題意識であります。これはよろしいでしょう。

米澤委員、どうぞ。

○米澤委員

賛成です。形態によって規制の方式が異なるのは合理的でない。後からできてきたものですから、今の規制ができたときにはサーバ型というのは想定していなかった。これは同様の規制をかけるのが適切だろうと思います。

ただ、最後のポツで「同様に取り扱う制度整備を図ることについて、どう考えるか。」、それは図るべきだと思うのですが、技術的に同じようにうまくいくのかどうかという点は少し検討を要すると思うので、その点、事務局から補足したご説明をいただきたいです。

○岩原座長

それでは、高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

例えば、表示義務ですと、今は有体物を前提にしていますので、証票にいろいろな事項を書かせる仕組みになっています。そうしますと、ICチップの場合そういうことが書けるのか、あるいは、サーバ型だと証票はございませんので、ホームページなどで、何か同じようなものが書かれる必要があるとか、そういったものの違いによる合理的な差は当然だと考えておりますので、そういったものについては配慮すべきだと思っております。

逆にそういったようなことについて、何かご指摘等があればいただきたいと思います。

○米澤委員

伺いたいのはそもそも行政庁から見た把握です。紙で出ているものなら、こういうものがあるとすぐわかるのでしょうけれども、ネットの中で動き回っているものを同じように行政庁が把握して、例えば、届出義務化するとか、登録義務化するということをしたときに、ネットの中で動いているものを、ネットの性格上、行政のほうで十分把握できるのかどうか、その辺がよくわからないので伺いたいです。

○高橋決済システム強化推進室長

一般的に行政のIC対応への遅れが指摘されておりますので、そういった懸念はあるかと思いますが、紙ベースであったとしても、地域で限定的に流通されているようなものについては同様な事情にあるかと思いますので、そこはまずは法律として整備された上で、ルールに違反しているものについては我々が努力して発見していくということになるのではないかと思います。

○岩原座長

ほかによろしいですか。

次の論点としては、規制が異なることにより事業者間のイコールフッティングが図られず、経済活動にバイアスを生じるおそれはないか。

次も併せて読みますと、サーバ型前払式支払手段を、現行の紙型・IC型前払式支払手段と同様に取り扱う制度整備を図ることについて、どう考えるかという問題意識でありますが、これについて何かご指摘はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

技術的な問題については、今まさに米澤委員からのご指摘に基づいて高橋決済システム強化推進室長からお答えいただきましたように、紙型の場合と比較して技術的に違った対応をしなければならない問題が出てくることは当然予想されますけれども、基本的な考え方、扱う枠組みとしては同じように考えていきたいと思います。それによって事業者間のイコールフッティングも図れるし、利用者保護についても同じような保護が図られるようにしようと、そういう考え方であります。

よろしいでしょうか。

それでは、次のマル2の前払式支払手段の換金・返金の問題です。少し面倒な問題であります。

川本委員、どうぞ。

○川本委員

個々の論点整理についてご議論があまり出ないことと、私が先週わけのわからないことを申し上げたのは、考えてみますと議論が空中戦になっているような感じがしています。と言いますのは、これまでこういう議論はあまりなされたことがなくて、みな個々の経験に基づくイメージで議論をしています。規制をかけたときにどのような意味合いがあるのかがなかなかわからないと思います。新しい規制の導入ということで、利用者保護という言葉にはだれも反対ができないので、どのような影響があるのか、どのような意味があるのか、もう少し知りたいと思います。

もちろん、この場は枠組みを議論するところですけれども、規制にはコストがかかります。行政府の事務負担が増えるということもありますし、消費者側にも廉価で便利なサービスが受けられなくなるという危険性もあると思うのです。私にはわからないのですが、このようなことを例えば規制でかけたときにどのような事業に影響があるか、もう少し事務局なり事業者の方から反応をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○岩原座長

高橋決済システム強化推進室長、何かございますでしょうか。

○高橋決済システム強化推進室長

まず、前払式支払手段のサーバ型について申し上げれば、現在、私どもがインターネット等で把握している限りで、サーバ型の前払式支払手段に当たるのではないかと考えられる事業者の数につきましては、前回お示ししているかと思います。

その方々について今後どうするかの話ですが、ここに書いてございますように、紙型・IC型のものと同じ制度になるとすれば、当然、未使用発行残高の2分の1以上の保全が求められます。現在、保全をやっていない方があるとすれば、それについては2分の1について供託等のコストが生じてくる可能性があります。あるいは、自主的にやっておられるのであれば、そこのところは変わらないのかもしれません。あとは、表示義務等の義務につきましては、どの程度履行しているのかという問題になりますので、新しい規制コストという意味では、現行の前払式証票規制法に書いてあるものが、そのまま今の事業者に適用があって新しく参入されてくる方に適用されるというふうに理解しております。

そのときに、現行の届出あるいは登録の枠組みを踏まえて、現在、財務局で対応しておりますので、財務局でどれだけ人員として新たに必要なのか、あるいは、必要ないのかということについて想定して考えるという形になろうかと思います。あとは、事業者の方々がいらっしゃいますので、そういったことがどれほど不合理になるのか。それは現行の方も同じように規制を受けておられると理解しておりますけれども、ここに書いてありますように紙型・IC型の方はそういったコストを負担しておられるのに対して、サーバ型の方々がコストを負担されないことについてどう考えるかという問題でございますので、そういった点について事業者の方にご意見を伺いたいと思っております。

○岩原座長

事業者の方から何か。新井委員、どうぞ。

○新井委員

ウェブマネーの新井でございます。当社はサーバ型の前払式支払手段を提供させていただいております。私どももこのサービスを立ち上げるときにプリカ法の適用があるやなしやと、当時の大蔵省に確認に行ってまいりまして、基本的には適用を受けないという中で、自主的な消費者保護を図ってほしいということで、基本的な資金を適切に貯える形で事業を運用していこうということでやってまいりました。

したがいまして、消費者の方から見て紙とかICとか、サーバという形態によって規制が異なるのは非常にわかりづらいと思います。このビジネスを展開していく中で、加盟店である事業者様からもこういったお問い合わせ、ご指摘、ご質問もございましたし、消費者の方からもご質問があったこともございます。同じベースの上で競争させていただくという意味においては、著しく不合理であるとは考えておりません。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

以上のようなことでございます。

川本委員、どうぞ。

○川本委員

ありがとうございます。大きな論点が4つあると思うのですけれども、それぞれについて、ここで議論したことが、消費者に限りなく高いものを押しつけたりするということはとても恐ろしいと思います。

○岩原座長

それでは、2つ目、3つ目のポツのところについて、先ほど読み上げましたけれども、それについて何かご指摘いただくことはございますでしょうか。

ただいまの議論で基本的には尽きているということでよろしいでしょうか。

それでは、マル2の前払式支払手段の換金・返金についてご議論いただきたいと思います。

前払式支払手段の換金・返金と「預り金」との関係について、どう考えるか。出資法が想定している「預り金」とならない範囲において、換金・返金を認める余地はどの程度あるかということが、最初の問題提起であります。これについて何かご意見あるいはご質問等ございますでしょうか。

池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

先ほど川本委員がおっしゃったことと趣旨的には共通する面があると思うのですけれども、「預り金」になるかどうか、信用創造機能があるかどうかというのは、すごく大げさだという気が正直します。物事は定性的にあるかないかという議論も大切ですけれども、定量的にどれぐらいのマグニチュードの話かということも同時に踏まえておかないと、この種の議論は論理的極限を追い求めるような議論をしがちなところがあり、かえって現実的レリバンシー(関連性)を失ってしまうというところがあるような気がします。

出資法の「預り金」の議論はよくわかりませんけれども、出資法の趣旨からすると、詐欺的な行為の防止を意図している、そういう立法趣旨に該当する「預り金」とは思わないです。私は法律家ではないからここはわかりません。信用創造機能を有することはあるかとなると、前提条件になっている換金・返金が自由に行われるという条件をおけば、定性的にはあると私は経済学者として思います。そんなことを気にしても、実際上コスト・ベネフィット・バランスからいって大したことはないのではないかという気はします。

先ほど川本委員がおっしゃったことと同じですけれども、論理的に詰めておく必要はもちろんあると思います。論理的に詰めておくということはバックグラウンドでやっておく必要はあると思いますが、政策論を考えるときには定量的な効果のほうに力点を置いて、信用創造機能があるとしても、何兆円の信用創造が行われる場合と、何百万円ぐらいの信用創造が行われる場合では、全然意味が違うということで、政策論に当たっては定量的な観点から問題を考える必要があるだろうと思います。

○岩原座長

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

今の池尾委員の意見につきまして、私も全く同感ですけれども、今回の議論で大切なことは、出資法をどこまでいじる気があるのかということだと思います。出資法は非常に政策的な意図に基づき作られており、それに従って解釈すべきなのでしょうけれども、実際に新しいビジネスをやろうとすると、必ず障害になるのが出資法です。殊に法務省などは極めてコンサバティブ(保守的)な意見を持っておられるということから言っても、前払式支払手段を考えた場合どこで切るのか考えるべきでしょう。

例えば、定量的というお言葉がありましたけれども、いくらまでの金額なら出資法の適用除外とすると、そのような形で、金額上セーフハーバーを設けて、そこから下は問題にしないというアプローチも十分できると思います。本当は出資法自体を変えていただきたいのですけれども、それが難しいということであれば、そういう形でのカーブ・アウトというのも考えていただいてよろしいのではないかと思います。

○岩原座長

ありがとうございます。

確かに信用創造機能と言うとやや大げさな感じで、マクロ経済学的にどれぐらいの影響力があるかと言われると、池尾委員ご指摘のとおりだと思います。むしろ預かったお金を貸付け等に回すことによって、どれだけ預かっているお金を危険にさらすかと、そっちのほうが実質的には問題なのだろうという気はいたします。

それと、銀行法についてもそうですけれども、今回考えている決済に関する法制の整備というのは、出資法のあまりにも固い規制を柔軟化することに意味があるのではないかと思っております。その意味で、和仁委員がご指摘のように、どういうものであれば、出資法がねらっているような詐欺的な利用がされるような資金の預りでないものを自由にやれるようにするか、それにはどういう制度的枠組みをつくっておけばそういう問題を起こさずに、法務省にも心配していただかなくて済むようにできるのか。多分その具体論を考えていくのがこの場ではないかという気がしております。

高橋決済システム強化推進室長、何か。

○高橋決済システム強化推進室長

換金・返金が自由にできますと、今でも例えばバスカードであれば5,850円の度数を5,000円で売っている。それを換金・返金すると事業が成り立たないので、換金・返金しないのだと思いますけれども、そういった適切なサービスではなく、あまり価値のないものをプリカだと称して、何年後かに換金をしますという手を使うようなことを考えると、完全に換金・返金が出資法の例外ですと書いてしまうと、この法律に基づいてやりさえすれば出資法の適用がないというのも行き過ぎなのではないか。

かといって、出資法の趣旨によるとすると、和仁委員がおっしゃるように、セーフハーバー的な機能が果たせません。法律のほうは、法律に基づかず預り金のようなことをやるのは禁止だと言っておりますので、今回の前払式支払手段について、そういったことをどこまで合理的に認める余地があるのであろうかというのが基本的な問題意識であります。その解決策の一つが、一定の期間内に一定の換金までなら認めるという方策、あるいは、差がわからないのであれば換金・返金は禁止してしまったほうがすっきりして、換金・返金をするのであれば資金移動サービスとしてやっていただくとか、そういったようなデマケを図ってしまうことがいいのか。少し先走っておりますが、そういったことが本質的には念頭にございます。

○岩原座長

いかがでしょうか、ここら辺はまさに知恵の絞りどころだろうと思うのですけれども。大体考えていることは皆様あまり変わらないと思うのですけれども、それをうまく具体的に制度化して、出資法との関係等においてあまり問題が生じない形で、セーフハーバーとして機能するような新しいルールをどうやってつくっていくかということかと思います。

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

ビットワレットの宮沢でございます。事業者の立場から、前回のワーキング・グループのときにもどなたかからご意見をいただいたかと思うのですが、今現在、プリカ法の下でやむを得ない場合のみ換金をします。換金と言いますか、払戻しをするというようなことはやられておりますけれども、そういった一部の例外的な払戻しがあるから、法律全体をこれは送金事業であるというふうにする必要はないのではないかと思います。

逆に、私どもは制度としての換金・返金はやらないほうがいいと主張させていただいておりますけれども、これは事業者あるいは利用者の用途から考えますと、利用者の方々は何か商品・サービスを購入する目的で前払式のプリカを購入されております。それをどこかに送金したりとか、換金目的ではないとか、そのような送金、換金という場合には別の手段を使えばいいわけです。もともとは、商取引の支払手段であることが前提だと思います。また、換金・返金等を義務づける、あるいは、許してしまうと、全体としては多くの利用者に便利に使っていただいているのですが、一部の利用者がもともと考えていた利用法ではない、不適切な利用で換金を行うことによって、例えばポイントだけを貯めようとか、過去にそういった事例もございます。

多くの善意的な利用者のサービスを一部の方々によって阻害されてしまうというのはよろしくないのではないかということがありますので、私どもとしては換金・返金は不必要であり、もともとの原因関係からしましても要らないのではないか。仮に、換金・返金を制度的に行いますと、本人確認とかトレースをしなければいけないとか、非常に大きなコストがかかってくるということで、本来の利便性が損なわれていくことになります。そういった意味でも現状の法律どおり原則換金不可で、やむを得ない場合のみ許すという形がいいかと思います。

以上です。

○岩原座長

はい、池尾委員。

○池尾委員

名寄せができるようなタイプというか、名寄せができると1人当たり1口1万円以下なら換金はいいという形で数量的に切れます。ただ、名寄せができないようなシステムだと、1口1万円で切っても、100口、1万口発行したらどうなるのかという話があります。名寄せができないというか、匿名的なものについては、今ご意見があったように、換金は原則認めない。事故的な場合のみ例外とするということに対して、名寄せができるような形のものであれば、少額について一定範囲で換金・返金を認めるという自由度を出してもいいと思います。

これは一律に「イエス」か「ノー」かではなくて、商品設計のほかの次元と対応して弾力性ぐらいは、考えてもいいかと思います。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

先ほど川本委員がおっしゃられたように、空中戦にならないか気になりながらの発言です。2ページに紹介があるように、EUにおいては電子的な第三者型の前払式支払手段については換金・返金が義務づけられていると、こういう制度設計をなさっておられるようで、その下にどういう選択項目があるかということで並べておられますけれども、少なくとも事業者が事業を廃止する場合には換金・返金を義務づける。それから、今、池尾委員がおっしゃられたように、名寄せができるタイプとできないタイプとか、このような場面をもう少し切り分けて、「すべてできないという意見です」と宮沢委員はおっしゃったのですけれども、それでは消費者側として納得ができない選択と思っておりますので、いくつか具体的な姿をもう少し提示して、選択ができるようにしていただけたらと思います。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

セブン&アイの佐藤でございます。弊社グループでも電子マネーnanacoというサービスを行っております。先ほど宮沢委員がおっしゃられた意見に全く同感です。私どもでも1年半ほど事業をやっておりまして、月間で3,000万件ぐらいの利用、会員数でいうと630万人ほどおりますが、換金・返金をしてほしいというケースがどれくらいあるかというと、ほとんどありません。宮沢委員の意見でよいのではないかと私は考えております。

以上でございます。

○岩原座長

今松委員、どうぞ。

○今松委員

今までの議論の中で、換金・返金のうちの、このレジュメというか、まとめにある事業の廃止という場合には、これは基本的にやると、今でも預り金等々の中からというか、50%ということで応じているけれども、実際に満たない場合もあるということです。そういうことがないように基本的な措置は必要だろうと思います。同時に、こういうものは換金というのはあまり、前回のときも出ましたけれども、例えば、ある地域でしか使えない場合にどうするのか。

こういう場合は返金という形での対応にするとか。この場合には、「廃止する場合等」の「等」の中に入るのかどうかですけれども、そういうところをどう工夫するのかということになるのではないかと思います。基本的にはこういうことを換金目的で持っていること自体、仮に少額であればそのようなことはあまり生じないわけで、次の利用額というところにも少しかかわってきます。例えば100万円ぐらいというのが前回あったと思うのですが、そういうものの場合にはどうなのかというところがかかわってくるので、マル3のところにも換金・返金というところがかかわってくるのかなと思っております。

○岩原座長

ありがとうございます。

ほかに何か。米澤委員。

○米澤委員

私も、換金・返金は原則認めないという前提で制度を仕組まないと、一般的に換金・返金ができるという前提で考えると非常にややこしく、複雑な規制をしなければいけなくなってくるのではないかと危惧を持っています。事業者の方がぜひやらせてくれとおっしゃっているのなら別ですけれども、等しく換金・返金は原則として認めないということでやっているし、これからもやってほしいというご意向のようですので、なおのこと換金・返金は原則認めない。ただ、例外をどこまで認めるかということはあろうかと思います。

事業廃止の場合はもとよりですけれども、前回、私は「換金・返金は一体どこまで必要なのかというのは必ずしも納得していない」と申し上げましたが、ある地域に限られているものについて、その地域から出て行く場合もあるかもしれません。それから、例えば、廃止ではないけれども、使える対象の評判が悪くなってみんな逃げてしまって、かすしか残っていないというときには事業の廃止に近いのではないかという気もします。ですから、例外をどこまで認めるかという問題はあるかと思いますけれども、それは定性的な問題で、原則としては換金・返金はできないという前提の下に法律の制度設計をするのが現実的ではないかというのが、私の意見です。

○岩原座長

ほかに何か。では、高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

原則できないとすると、ここに「廃止する場合等」とあるのはどういったのがあるのかよくわからないので、「等」にしてあるのですが、例えば引っ越したから使わなくなるという例は、引っ越す場合に限るとかいちいち要件を書かなければいけないのか。とにかく使いたくないのだから使わないから返せというだけではないかと思うのです。希望したら返金を求める権利を保証すると、先ほどから宮沢委員などがおっしゃっておられるように、事業者に強制をするという形になるのですが、一般的に衣服などを買ったときに、これはバーゲン品なので返金をしません、というような商売をやっておられることを踏まえると、最初からうちの会社は換金・返金には応じませんという自由もあれば、うちの会社は換金・返金しますという自由もあるという制度設計なのか。うちの会社はハンドリングコストも少ないので換金・返金に応じたいと言っている発行者がいたときでも、性格が変わってしまうのでやってはいけませんというのが正しいのかというところが問題意識でございます。

○岩原座長

いかがでしょうか。

川本委員。

○川本委員

今、高橋決済システム強化推進室長がおっしゃったように、事業者が選べるというのが基本なのではないかと思います。それが商品性だと思います。消費者のほうは途中で返金してほしいようなものは最初から買わなければいいということです。もちろん、事業が急に廃止されたというようなことがあると思いますけれども、最初に申し上げたように何か利用者保護という形であまりにも偏っていくご議論には少し疑問を感じます。

○岩原座長

ほかに何かありますか。

和仁委員。

○和仁委員

議論が若干ずれているところもありますが、換金を認めないというのも1つの政策的な選択ではあると思いますけれども、今我々が議論している、サーバ型というのは上限が5万円ぐらいのものではないでしょうか。将来、金額的に非常に大きな金額がこのサーバ型で使われていくという形になったときに、消費者保護なのかどうなのかよくわかりませんが、全く換金できないのは少しまずいということはないでしょうか。例えば500万円入れてしまって、実際には安くついたので300万円で済みました、あと200万円、ここのカードを使っていてもあまり意味がないというような場合に一体どうするのだろうか。

私も先ほどから少額でカーブ・アウトしようとかいろいろ言いましたけれども、少額の世界だと大したことはないという話になるのでしょうが、大きな金額をこのシステムで使えるようになったときに「全然認めなくていいです」と割り切っていいのでしょうか。今、事業者の方たちは今のビジネスモデルでは要らないとおっしゃっているけれども、将来のビジネスモデルを考えたときにどうなるのだろうと、その辺を、もしお考えがあれば聞かせていただけないでしょうか。

○岩原座長

事業者の方から何か。佐藤委員。

○佐藤委員

そういうことで申しますと、我々の場合は要らないということを申しているだけで、換金・返金をしたいということであれば、その中で、例えば本人確認を明確にするとか、一定の額を超えたものについては換金・返金を義務づけるとか、そういったことを議論するほうがいいのではないかと思っています。

○岩原座長

池尾委員。

○池尾委員

数百万円で換金・返金、自由なものをやりたいというのだったら、銀行免許を取得しなさいということですよ。

○岩原座長

というご意見もあるようです。そうなると、額によって規制を分けていくということなのでしょうね。

○池尾委員

繰り返しですけれども、私の意見は、少額の匿名性があるものについては換金は認めない、少額だけれども名寄せができるようなものについては換金を認めるぐらいの商品設計の自由度を許容するのはいいのではないかという意見です。

○岩原座長

はい、和仁委員。

○和仁委員

少額なら別に名寄せできなくてもいいのではないですか。池尾委員がそこで名寄せにこだわられる理由が、お金が大きいなら名寄せというのはわかるのですけれども、少額でしたらいいのではないですか。どうでしょうか。

○池尾委員

出資法の趣旨というか、預り金の潜脱の可能性でいっているので、少額ですけれども、1枚は例えば1万円分しか払わないけれども、先ほども言いましたように、1万口発行するという潜脱行為が考えられないことはないです。名寄せができて、1人1万円まであれば、それで1億円詐欺しようと思えば1万人にほとんど同時に売りつけなければいけないわけです。それは現実問題として無理だろうし、事実上1人に何口も売りつけられる形であれば考えられるということで、こだわったということです。

○岩原座長

よろしいでしょうか。

金丸委員、どうぞ。

○金丸委員

私は、事業者の方も、利用者の方も、双方が換金とか返金付きのサービスを選ぶかどうかについても自由にできればいいと思います。あと、金額の話があるのですけれども、基本的にサーバ型等の技術革新のプラットホーム上で、そのようなサービスが著しく生産性高くやりやすい時代を迎えたことも問題の背景の1つだと思います。先ほど池尾委員がおっしゃられたネット上だと、少額であれ一気にたくさんの人を集めることは可能なので、池尾委員がおっしゃるように匿名というある制約条件は有効ではないかと思います。

○岩原座長

宮沢委員。

○宮沢委員

少し先走りした議論かもしれませんけれども、前回の主な論点案がその後についておりまして、その中の3番目に資金移動サービスがあると思います。資金移動サービスのほうは換金を前提ではないかと理解しております。例えば、今議論しております前払式支払手段で換金ができると、さらに、その前払式支払手段を封筒に入れて送る、あるいは、私どもがやっておりますEdy to Edyのように携帯を使って送る、さらに換金できてしまうと、3番の資金移動サービスと実質的には何ら変わらなくなってしまうのではないかと考えております。

ですから、私ども、最初のときにお話をしましたように、前払式支払手段は商品を購入するためのサービス、支払手段であることから、送金目的ではないので、換金は不要ではないかと思います。そうは言っても利用者の立場から換金が必要だと、例えばオークションの決済のような場合には、資金移動サービスを使うことで整理をすれば、資金の移動サービスについては本人確認とか100%資金保全とか、かなり銀行に近い消費者保護が必要ではないかと思います。そのような保全された中で資金移動サービスを展開していくことであれば、こちら側で十分できるのではないかと思います。

そのようなことから、前払式支払手段と資金移動サービスは明確に分けて、目的から分けていくべきではないかと思います。前払式支払手段につきましては、もちろん名寄せしてもいいですけれども、匿名を前提としたサービスで換金は要らないと、資金移動サービスにつきましては換金・返金が自由であると思います。しかしながら、保全とか消費者保護をやっていくことで解決できるのではないかと考えております。

○岩原座長

資金移動サービスに関する問題は次回ご議論いただきたいと思っているのですが、資金移動サービスと現在の前払式支払手段の問題を明確に分離できるかというと、そうでもないように思っていまして、まさにEdy to Edyみたいに、電子マネーを移動することによって資金移動をするようなサービスも既に利用されているわけであります。視点としては両方分けて考えていくということはあり得ると思いますけれども、前払式支払手段を資金移動にも使うことができるというのは現実に既に起きていることですので、そのようなこともあると前提に考えていく必要があると思います。

ほかに。金丸委員。

○金丸委員

先ほど私の意見について、補足説明をさせていただきます。私が、先ほど事業者と利用者双方から選べればいいと申し上げたところの補足ですけれども、最初の議論で換金とか返金が一切できなくていいということについては反対で、事業者の方々が換金・返金可能なメニューを用意することは許すべきであるという意見でございます。

利用者のほうはあらかじめ、例えばnanacoのように返金とか換金できないことを前提に商品を利用者にお示しすることも自由ですし、消費者は換金とか返金ができないのだったら「ノーだ」という自由があればいいということでございますので、補足説明をさせていただきます。

○岩原座長

わかりました。先ほど原委員がご指摘になったのは、一方で消費者保護の観点からやむを得ない場合には、消費者が権利として、換金というのか返金というのかわかりませんけれども、求める必要がある場合があり得るのではないかというご指摘だったと思います。消費者を最低限保護するため換金・返金を認めるべき場合があるとしたら、ある意味で強制的になってしまうのかもしれませんけれども、それはどのような場合か検討する必要があると思います。

ほかに、2ページの最初のポツについてはかなりご議論いただいたと思いますので、よければ次に進ませていただきたいと思います。

2つ目のポツのところで、前払式支払手段の換金・返金と資金移動機能の関係についてどう考えるか。これは既に先ほど宮沢委員との間でも議論したところですけれども、前払式支払手段の換金・返金が自由に行われる場合には、自家型、第三者型を問わず、前払式支払手段を用いて実質的に為替取引を行うことが可能とならないかという問題です。

論点整理は次の二つの考え方を提示しています。第一は、事業の廃止等の場合を除き、前払式支払手段の換金・返金を禁止する。第二は、為替取引としての利用に結びつかない方法であれば、換金・返金を行うことが可能であることを明らかにする。その方法として、例えば一定期間中の発行総額に対する一定割合まで換金・返金が可能であることとする。これは先ほどからの議論の続きでありまして、出資法的な預り金との関係での問題について今まで主に考えてきたわけですけれども、先ほど宮沢委員からご指摘がありました、資金移動機能との関係で換金・返金についてどう考えるかというのが、ここでの問題提起だと思います。ここについて何かご意見等ございますでしょうか。

池尾委員。

○池尾委員

先ほど岩原座長は「前払式支払手段を使って送金をすることが現に行われていることを踏まえて」というご発言をされましたけれども、定性的にそういうことはあるかないかと言われたらあるとしても、定量的にどれくらいのものかということで区別して考えるほうが、政策論としてはいいのではないかと思うのです。

こういうことに対する規制のあり方は、プリンシプルベースでしかやりようがないわけで、ルールベースで適切に区分けしようなどと考え出すと、グレーゾーンがたくさんあり、ルールの狭間に落ちたりします。プリンシプルベースで送金を、逆にいうと解釈の余地とか裁量の余地が出てくることはあるわけですけれども、支払手段としての利用を主たるビジネスとしている場合と、送金サービスの提供を主たるビジネスとしている場合を、原則主義で分けて対応することで、細則主義的に考えるのはやめにしませんか。

○岩原座長

極めて大きい問題提起をしていただいたのですが。最近またプリンシプルベースについていろいろ議論が巻き起こっているところであります。一方で、先ほど和仁委員ご指摘のように、セーフハーバーと申しますか、事業者側からすると、プリンシプルベースというのはありがたい面もあれば、予測可能性が危ういということで、安心して事業をしにくいという面があることも確かです。確かにプリンシプルベースの意義は非常に大きいと思いますが、一方で、ある程度安心して事業が行えるような目途があってほしいというのが事業者の思いではないかという感じが私はしているのですけれども、いかがでしょうか。まさにセーフハーバーと言いますか、こういうことであれば安心して事業ができると、やっても法律上の問題は起きない線を考えることも必要ではないかと思います。

特にここでの問題は、出資法もそうですけれども、刑事罰が絡んできます。検察庁は非常に固いですから、そういうことも考えてルールをつくっておく必要があるかと思います。

今松委員、どうぞ。

○今松委員

質問ですが、この整理のところで、「アメリカにおいては電子的な第三者型の前払式支払手段は送金業と整理されている」とお書きいただいているのですけれども、実際に資金移動にかなり第三者型は使われているのでしょうか。単に仕分けとしてこういうやり方をしているのでしょうか。

○高橋決済システム強化推進室長

ご存じのように、アメリカは小切手が多く使われているものですから、その小切手の機能を踏まえた上で、プリカも同じようなものであろうという認識で、アメリカでは送金業という位置付けになっているかと思います。具体的にどれほど出ているかについて統計はございませんので、よくわからない面がございます。

○岩原座長

あまり統計はないのですけれども、第三者型がかなり広く使われていることは確かで、いわゆるマネーオーダーのような形です。銀行ではない発行者が、普通の商店を代理店としてマネーオーダーの形で送金業務を行なうことが、アメリカでは昔から広く行われているところであります。

ほかにいかがでしょうか。特に2つ目の○では事務局はかなり具体的な提案をされていますけれども、このような考え方について何かご意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

よろしいですか。特に違和感がないと考えてもよろしいでしょうか。

それでは、その次に……。

高橋決済システム強化推進室長。

○高橋決済システム強化推進室長

具体的な提案と言われましたが、こうすると申し上げているのではなくて、頭の体操です。最初のものは、前からご主張がありますように、性格をはっきり分けて、前払式支払手段だから原則として禁止すればいいのではないかという程度の話で、換金・返金が自由なものであれば、資金移動サービスとしてやっていただければ結構ではないでしょうかというような発想であります。

2つ目は、先ほど来、「事業者が自由にできればいいのではないですか」というご発言もありましたように、別に禁止するほどのことでもないのではないか。ただ、その場合、不適切な利用に結びつく、あるいは、換金が認められることを利用して実質的に為替取引と同じようなことをするのに、どのように防止する必要があるのかというのを考えた場合に、なかなかいい知恵も浮かばないものですから、例えば使いにくくしておけば、為替取引的な使い方ができないのではないかという発想です。ですから、一定の換金ニーズに応えられるような仕組みでありさえすれば、そのように経済的に機能するのではないか、そういった発想でありますので、同じように何か一定の考え方、あるいは、仕組みがあればぜひご議論いただきたいという趣旨でございます。

○岩原座長

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

どこまで例外を認めるかという話かと思うのですが、どこまで法律に書き込むかというのは少しイメージが湧かないのですけれども、この場でどのような場合を例外とするか、全部列挙しろと言われてもなかなか難しいかと思います。いろいろな事業者がおりまして、例えば、交通事業者さんですと、乗車券と同じように、「この列車に乗らなくなったので全額払い戻してほしい」というような場合に、一種の解約的な形で手数料をとって払戻しをしている場合もございます。

私どもの場合も、例えば社員証に一緒に前払式支払手段がくっついていて、会社を退社するので使わなくなる社員証を返却しなければいけないというような場合も、例外的なことと思うのですが、そういったことをここで列挙するのはなかなか難しいということもあります。例えば、自主規制的な形で業界団体を含めて細則については決めていくという方法はいかがなものでしょうか。今、法律的には原則換金不可、やむを得ない場合は換金に応じるというような書きぶりはいかがなものかというところは、いかがでしょうか。

○岩原座長

現在の為替取引規制あるいは出資法というのは、先ほど申しましたように刑事罰を伴った強行法として規制されているものです。その例外を自主規制で認めるというのは、法制的には少し難しいかと思います。自主規制でどこまで実質的に有効な規制ができるのかということにもかかわってくるのでしょうけれども、そういう点の問題はあり得るという感じはいたします。

池尾委員。

○池尾委員

要するに、送金サービス業に関する資格をとればやれるけれども、送金サービス業の免許をとるつもりはない。それをはっきりさせるために、原則換金をするつもりもない。しかしながら、やむを得ない事情で換金に応ぜざるを得ないことは顧客サービスの観点から考えると排除できない。そこで、先ほどから言っていますように、定性的に少しでも換金すると送金サービス業とみなされてはたまったものではないというのが、ビジネスをやられている人の思いではないかと想像しているわけです。そこで形式的に機械的に判断して、少しでも換金を、廃業以外のときにしたら、送金サービス業の網の中に入れるみたいな行政対応をするつもりはないんですよね。

○岩原座長

おっしゃるとおりだと思います。

○池尾委員

だから、杞憂かもしれないけれども、実際にビジネスをやられている方は心配していられないというところで、送金サービスを業としてやる気のある人には、適切な法的安定性を与えてやってもらえばいいわけです。やる気がない人がたまたま送金サービス業と外形的にみなされてしまうことになると、そこをしっかり分けてほしいという話だと思うのです。

○岩原座長

おっしゃるとおりだと思っております。私は、例外的に利用者サービスのためにやむを得ず換金せざるを得ない場合というのを類型的に書いて、それについてはあまり厳格な解釈ではなく、柔軟に解釈していくということでいいのではないかと思っています。

よろしいでしょうか。少し先へ進ませていただきまして、マル3の利用可能額が大口である前払式支払手段についてであります。

3ページに3つの○がございまして、最初の○が、大口の前払式支払手段について、小口のものとは別な取扱いをすることについて、どう考えるか。これは今まで既に議論をしてきているわけでありますが、1つ目のポツは、大口の前払式支払手段については、事業者が破綻した場合の利用者保護の必要性や資金移動機能が高いと考えることはできるか。これは先ほど和仁委員からご指摘のあった問題かと思います。

2つ目が、大口の前払式支払手段については、通常、利用が少ないと考えられることから、利用者の自己責任を求め、保護の程度は高くないと考えることはできるか。ある意味で逆の視点であります。

3つ目が、小口のものを複数まとめて利用する場合を考慮すれば、大口、小口の区分の意味は少ないと考えることはできるか。これはまさに池尾委員のご指摘になった点で、ここで書かれていることは既にかなり議論されていると思います。特にここで何かつけ加えていただくことがあれば、ご指摘いただきたいと思います。

よろしいですか。

次の○ですが、仮に、大口の前払式支払手段について小口のものとは別の取扱いをする場合、具体的にどのような取扱いの差を設けることが考えられるか。例えば、現在は未使用発行残高の2分の1以上とされている供託比率の引上げや、換金・返金の制限が考えられるが、どうか。

次の○も併せて読みますと、仮に区分する場合、大口、小口の区分額について、どう考えるか。例えば、数万円程度とすべきとの考え方や、より高い金額とすべきとの考え方があるが、どうか。

2つ目の具体的な取扱いの差について、何かご意見はございますでしょうか。現在の前払式証票規制法の未使用発行残高の2分の1という、供託義務の定め方そのものが特に強い根拠のあるものではないと思うわけですけれども、それを大口のものについて分けて考えるのかどうか、あるいは、今まで既に議論してきた換金・返金の制限をどう考えるかということであります。

先ほど和仁委員がおっしゃったように両方の見方ができるのです。小口だから規制が軽くていいが、大口のほうは規制が重くなければいけない、大事だという見方と、大口だから自己責任を求めてもいいのではないかという見方。まさに両方の考えが十分成り立ち得る。よく考えると難しい問題ですが、どうでしょうか。

畑山委員、どうぞ。

○畑山委員

現実的な結論を得るには、先ほどの換金・返金の問題とこの大口、小口の問題とを別々に議論するのではなく、両者のマトリックスをつくって議論いただくのがいいのではないでしょうか。

それから、消費者利便ということがよく言われますが、個社ないし社会全体のインフラとして見たときの波及度という面もありますので、事務ミス等のリスクを割り引いた後で何もなかった、許容範囲であった、ということが、消費者にとっての結果的利便性になると思います。大口、小口というと、よく倒産リスクに目が行きがちですが、オペレーションリスクの個社ないし社会全体の費用も考えていただいた上で、大口、小口を定義していただくべきではないか、と考えています。

○岩原座長

今ご指摘になったのはオペレーションリスクですか。

○畑山委員

オペレーションリスク、それに伴う波及度合いを勘案した上で大口、小口の定義を検討すべきではないか、と言う趣旨です。為替にかかわることを、個々の表面的な取扱金額が小さいので「小口」である、ということで認めてしまうかどうかは、非常に大きな論点だと思います。

○岩原座長

その場合のオペレーションリスクのコストとして、具体的に想定されているのはどういうことでいらっしゃいますか。

○畑山委員

例えば、先ほど宮沢委員がおっしゃったように、社員証と一緒になるなどの形でICを基盤にマルチアプリケーションになっている、あるいは、1つのサービスについてある事業者のサービスと他の事業者のサービスが連鎖し、事務・システムが相互依存関係にある、などの事情から、事業者が倒産しない場合にでも、リスクがいろいろなところに波及することがあります。また、換金・返金の制限緩和、資金移動ということになれば、10万円というマネーロンダリングの話も出てくる可能性があるのではないでしょうか。このような業務遂行上いろいろな観点からのリスクを想定すべきではないか、と思っています。

○岩原座長

池尾委員。

○池尾委員

大口のプリペイドカードというのは、着物か何かの例が挙がっていましたけれども、本当に社会的に必要性のあるものなのかという気がしています。そのようなものが必要だとしたら、大口の場合は、先ほども言いましたけれども、銀行免許を取得すればいいのではないですか。銀行はシステミックリスクの問題とかいろいろなことがあるから、それなりの厳格な規制に服しているわけです。大口のものをやりたいならば、銀行としてやってくださいということです。銀行でない形で現在のプリカ法的な枠組みで事業をやるのは小口の人だけということで、プリカ法的な枠組みの中で大口のものを認めるという考え方は、そもそも変だという感じがしています。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

ほかに何かご指摘ありますでしょうか。

よろしいですか。

それでは、次の大口、小口の区分額について、何かご意見ありますか。皆様どれぐらいのイメージでいらっしゃるのですか。

川本委員。

○川本委員

大口、小口とまさに価値観、生活観、人生観がかかわる問題です。大学の先生と役所の人で議論して、著しく低くなっても困るし、これこそ事業者の方たちに何が小口で何が大口だというイメージを教えていただくほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○岩原座長

大学教師と公務員とでは額が低くなるわけですか。事業者のご意見はというご発言がございましたが、何かございますか。

はい、宮沢委員。

○宮沢委員

私自身も5万円のEdyの上限で十分満足しているほうです。実際に利用している方の傾向を見ますと、現在、Edyの場合は1回の取引で5枚まで決済ができるようになっております。特に家電量販店とか旅行商品とか、そういった場合には5万円を超える取引があります。それを制限してしまいますと、お店のほうの営業上も問題があるということで、5×5で25万円という上限で今運用しています。実際に5万円以上、あるいは10万円以上の取引もかなりあるということでございますので、利用者の実態からすると、前回少し申し上げた30万円ぐらいが1つの目安ではないでしょうか。現在、収納代行の自主規制も30万円と聞いておりますし、代金引換の自主規制も一部の事業者さんは30万円という形で置いていることもありますので、1つの目安としてはそのくらいかと思います。

ただ、もう1回本質的なところに立ち戻って考えますと、何のリスクを回避しようとして上限を決めるかというところに関しては、よく考えるべきかと思っております。利用者にとってのカードを紛失する紛失リスクの場合のことを言っていらっしゃるのか、あるいは、不正取引なのか、マネーロンダリングなのか、いろいろな観点があると思うのですけれども、その辺を適切に考えていかなければいけないということと、現金の場合と、現金も匿名で、1万円札があって、1万円札を100枚用意すれば100万円の決済もできるわけですから、その現金というところと、電子マネー、あるいは、商品券を仮に100枚用意して、決済をするというところで、制限をかけるのは本当にいいのだろうかという議論もあるかと思います。その辺を含めて本質的に何がリスクで、何を制限すべきかというのはぜひ皆様のご意見を聞きたいと思います。

○岩原座長

新井委員、どうぞ。

○新井委員

私も基本的に宮沢委員のご意見と一緒でございます。こちらの○の2つ上にもう1つポツがありますが、小口のものであっても複数まとめて利用すれば、それの区分はあまり意味がないという考え方も成り立つ場合もございます。私どもはインターネット上での支払手段を提供させていただいておりますが、小銭という感覚よりは、インターネットショッピングという観点でいきますと、ものによってパソコンとか書籍も含めて支払手段、通常ですと、バスケットにいくつか商品を入れてご購入ということになると金額が張る場合もございます。これからの消費者の購買行動等を考えた場合、数万円でいいのだろうかというところもございます。金額的なイメージで申し上げますと、先ほどおっしゃられたような30万円というのは、我々事業者としますと感覚的にはあり得るのかというふうに考えております。

○岩原座長

先ほど宮沢委員からご指摘があったように、どういう視点で大口、小口の分け方をするのか。今、宮沢委員や新井委員からご指摘があったのは、どちらかというと事業者の視点かと思います。事業者が取引をすることによってどれだけ自分がリスクを冒すことになるか。30万円という額は宅配業者の責任制限、引受範囲になっています。そこら辺からきているのかという気がしていますが、それはまさに宅配業者が宅配物を紛失したりしたときに、どれだけの責任範囲に限定できるかという視点で30万円という額が入ったのだと思います。

一方で、消費者にとって途中で何か問題が起きたときに、30万円未満かそれ以下であれば小口で、供託が2分の1で、返ってくるのが2分の1以下になってもいいというふうに考えるのかどうか。そこら辺は視点によって違ってくるのかと思います。

原委員、何かありますか。

○原委員

金額の件ですけれども、消費者の視点で、今出されている金額の上限の事例が、前回配られた資料で、今日も7-3で配られているものの中に入っているのですが、高いものは着物で500万円、その次は家具で100万円、あとはずっと金額は小さくなり、10万円、5万円、3万円というあたりに金額が固まっているような感じがします。ですから、30万円という金額は、今の取引からすると、将来膨らんでいくであろう金額をおっしゃられているのかなという感じがしています。

30万円の感覚というのは家電を2つぐらい買い、それから、家具を買う。これぐらいの金額のイメージですけれども、換金とか返金、それから、2分の1の供託とか、このあたりも含めて考えると30万円というのは意外に高い。もう少し全体の枠組みの中の換金・返金の枠組みの中から議論を尽くしていただきたいと思います。

○岩原座長

まだご議論はあるかと思いますけれども、次の問題に進ませていただきたいと思います。

3ページの下のほうですけれども、現行の前払式証票規制法の枠組みについて、どう考えるか。

自家型のものは届出制、第三者型のものは登録制とされているが、このような枠組みについて問題はあるか。

現在、前払式支払手段の発行を取り止めた場合の供託金額の払戻手続等が明確でない、IC型・サーバ型のものについて事業者が破綻した場合に、保全された資金を利用者に分配する還付手続が十分でない、事業者が前払式支払手段に係る事業の一部を譲渡する場合の手続が明確でない等の指摘がある。これらについてどう考えるか。

事業者が破綻し、発行保証金を利用者に分配する還付手続がとられる場合、還付の割合が低いケースは自家型の前払式支払手段に多いとの指摘がある。自家型のものに対する監督規定の整備を行うことについて、どう考えるか。

その他、現在の枠組みの改善点としてどういうものがあるかという問題提起ですが、これは現在の前払式証票の規制の方法そのものについての問いかけでありますが、何かご意見ありますでしょうか。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

ご説明いただいたのかもしれないのですけれども、自家型のものと第三者型のもので差を設けた理由は何でしたか。

○岩原座長

私自身、前払式証票規制法を立案したときの当時の大蔵省の研究会のメンバーだったのですが、自家型の場合については、そもそも規制すべきかという議論がございまして、事業者から普通の前払でものを買うのとどう違うのかという議論がございました。第三者型では、一種の支払手段の提供という金融規制的な側面が非常に強くなってくるけれども、自家型のものだと通常の商取引に関する利用者保護との規制の区別をどう考えるのかという問題があり、事業者からご意見もございました。

しかし、前払式支払手段という形で、自家型であれ問題が起きてくる状況は同じような面がありますので、利用者保護の面で同じように考えるべきではないかということで、供託義務等については同じ規制にしたのです。しかし登録制ではなく届出制にするなど、なるべく規制色は薄めたい。そのような一種の妥協の産物が現在の法制度とご理解いただけたらと思います。

翁委員、どうぞ。

○翁委員

今、整理されたように第三者型と自家型はかなり位置づけが違っていて、欧州でもたしか自家型のプリペイドカードは規制の対象になっていないと思うのですが、自家型は代金の前払でありますし、利用者の損失は、発行者が倒産していて、それが非常に高額なものでない限り限定されます。その意味でそれほど大きな消費者保護の規制をかける必要性は乏しいのではないかと思います。

○岩原座長

翁委員ご指摘の点は、理念的に考えるとそうなのですけれども、自家型と称して実質的に第三者型と同じようなものを出すこともあります。法律というのは常に抜け穴の問題が出てきますので、そういった面も考える必要があります。

例えば、多くの事業者が共同で自家型のものを発行する場合もあります。商店街が共同でやったりする、現に当時もうそのようなものが出ていたわけです。我々が前払式証票規制法の立案をしているときに念頭にありましたのは、当時、実際にある大きな地方都市の商店街が共同で出しているものでありまして、当該都市においては、その自家型プリペイドカードで実際どこでも何でも購入することができました。そのようなものについてどうしようかと考えて法案を作成しました。

かなり多数のものが共同で出しているものになりますと、一種の擬似通貨的な利用もされているというところまでいって、紙幣類似証券取締法を発動すべきかということが問題になっているぐらいでしたので、そのようなものについて利用者保護がなくていいのか。そのように現実的に出ていた問題を考えてこの法律はつくられました。

ご指摘のとおり、通常の商取引法の利用者保護から比べるとやや一歩出た立法であることは確かですけれども、実際に起きていた問題を考えて、保護を強化した立法にしたということだったのであります。

新井委員、どうぞ。

○新井委員

私どもはサーバ型をやらせていただいているのですが、今回プリカ法の土俵に乗らせていただいたというところでいきますと、自家型と第三者型を分ける意味がよく理解できない。自家型であっても、例えば自社でモールを構築して、そこの中に事業者さんを募ってプリカを発行することもあり得ます。したがって、消費者保護について同じような取扱いをしていただきたいというのが基本的なものでございます。

○岩原座長

ほかに何かご意見ございますでしょうか。

和仁委員、どうぞ。

○和仁委員

プリカの場合ですが、届出制と登録制での負担の差が気になります。プリカ法のときには自家発行している人たちにとっては、登録をして、なおかつ立入検査が来て、いろいろ報告をしなければいけないのは耐えられないものだろうという考え方があったのではないかと私は推測しますが、現在、具体的に届出制と登録制でオンゴーイングの規制というか負担というのは、業者にとってどの程度の差があるのでしょうか。

○高橋決済システム強化推進室長

登録制の場合は、そもそも発行する前に登録する必要があります。未使用発行残高が1,000万円を超してからの供託義務については自家型と変わりがありません。自家型の場合は、現在のところは700万円を超えることになって初めて届出義務が生じますので、700万円までいかなければ届出をする必要さえない。700万円を超して、さらに1,000万円まで超すと初めて供託等の義務が発生するという仕組みになっております。700万円を超しても1,000万円までの間は資産保全されないという仕組みになっています。

そして、届出をした業者に対しては、立入検査等の規定がございませんので、供託等の義務を守ってくださいといっているだけで、それに対する立入検査はやっておりません。したがって、倒産したときに初めて本当に正しく守っていたかどうかがわかるという状況になっているかと思います。

○和仁委員

今伺った限りだと、すべて登録制にしてもそんなに負担が増えるという感じでもないですね。金融商品取引業者になるかならないかというのは、負担の差が大きいですので、皆様負担を考えてストラクチャーをつくろうとかいうことをおっしゃいますけれども、そうではないということであれば、私自身としてはここで差を設ける意味はないと考えます。理念的には違ったとしても、使っている人の立場からいった場合、あるいは、倒産リスクを考えた場合には、そんなに差はないのではないか。むしろここは両方とも登録制に統一してしまったほうがいいのではないかという気がしております。

○岩原座長

池尾委員。

○池尾委員

私は高橋決済システム強化推進室長の説明を聞いたときに逆の印象を受けたのです。先ほど翁委員がおっしゃっていたような本来の自家型についてはある意味で自由に出せるわけです。小さな商店がプリペイドカードを700万円にいくまでだったら勝手に出せるわけですから、それを登録制にしろと言われたら少し負担です。おっしゃっていたような潜脱事例の自家型であれば、和仁委員がおっしゃったとおりだと思いますけれども、本来的な規制の必要性があるのかという議論の対象になっていた自家型を考えれば、現行のルールから登録制にするとかなり負担になるのではないですか。

○岩原座長

和仁委員。

○和仁委員

少し舌足らずのところがありました。前提のところであります。私は届出制と登録制でそんなに差があるのかというところを議論していたのです。ただ、もう1つ考えるのは、そもそもそのようなことを要求しなくてもいいところがあるのではないか。300万円なり500万円なりの発行残高ならば規制をかけなくていい。そこから上は届出制と登録制とで差を設ける必要はないのではないですかというのが私の立場です。

○岩原座長

宮沢委員、どうぞ。

○宮沢委員

自家型か第三者型かということですけれども、私は、自家型は届出制なので、財務局に届出がなければ、実質法の規制を受けないと理解しております。それに対して第三者型は、登録制で、立入検査権、それから、業務改善命令を金融庁が出せる。2つありますけれども、この辺は自家型に関しては立入検査も業務改善命令権もないので、例えば帳簿等が未整理で発行保証金の供託等が過少であったということでも、ここでチェックが働かないことが起こっているのではないか。

今回、破綻して還付率が極端に低かったという例も、実際の供託額と申請した供託額が過少であったとも聞いておりますので、この辺のフォローを適切に是正していかなければ、プリカ全体の信用度にもかかわってくるのではないかと思います。

○岩原座長

少し急ぎたいと思います。次の4ページに進みます。

今ご指摘の問題にもかかわるのですけれども、供託等の義務は、半期毎に計算された金額に基づき行うこととされているが、これでいいのだろうかという問題提起です。先ほど申し上げた2分の1でいいのかという問題のほかに、算定基準として半期毎に計算された金額での残高についての2分の1ということで本当にいいのだろうかという問題も、ここで出てくると思いますが、これについて何かご意見はございますでしょうか。

大きい業者で適切に残高管理をしているところであれば、半期でないと事務負担が重いということはないのではないでしょうか。ただ、前払式証票規制法の適用対象は広いですから、中には個人商店が発行している自家型の前払式証票もあるわけで、そのようなところを考えた場合にどこまでのことを求めることができるか、ということだろうと思いますが、いかがでしょうか。

先ほど和仁委員がおっしゃったように現在でもそうです。発行残高は一定額以下は対象外です。

○高橋決済システム強化推進室長

対象外は、700万円以下の自家型です。

○岩原座長

自家型の場合です。発行残高の総額が少ないものについては、現在でも既に適用除外というか対象外にしているわけです。一定額以上のものについてどこまでの残高管理を求め、それに基づく担保提供をやっていただくか。

事業者の立場として、現在のような半期毎の2分の1でないと困る、これを変えられては困るという感覚はあるのでしょうか。どうですか。宮沢委員ご指摘のように、最近では半分どころか20%台にも満たない還付率しか出ないような破綻事例も出てきているわけです。そのようなことを考えると、現在のような状況、規制をそのまま存置しているということでいいのか、ということが問われることにもなり得るかと思います。

何らかの改善が必要であるという感じでしょうか。よろしいですか。これは事業者の方にどういう制度であればうまく対応できるかを伺ってみないと、具体的な制度設計はできないと思いますけれども、現在よりは何らかの改善を図っていくということでよろしいでしょうか。

それでは、少し急がせていただきたいと思います。

5ページのポイント・サービスのところです。マル1のポイント・サービスに関する利用者保護のところですけれども、総論的なところです。マル1のところについて何かご指摘いただくことはございますでしょうか。

芝﨑委員、どうぞ。

○芝﨑委員

事務局の説明なしでいきなり議論するのですか。

○岩原座長

おわび申し上げます。

事務局から読んでいただきます。

○高橋決済システム強化推進室長

5ページの2のポイント・サービスでございます。こちらも、前回、資料の説明に合わせて口頭である程度申し上げていると思いますが、それを文章化しているものでございます。

マル1はポイント・サービスに関する利用者保護等ということで、ポイントには財・サービスの販売金額の一定割合に応じて発行されるものや、来場や利用ごとに一定額が発行されるなど多種多様なものがある。

また、ポイントを利用して、景品への交換、商品の割引購入、前払式支払手段や現金・預金債権の取得など、ポイントの利用によって受けられる財・サービスも多種多様である。さらに、他のポイントへの交換を行うサービスも提供されている。

ポイントが電子的に発行・管理されることで、景品への交換に止まらず、支払手段として利用される機会が増えている。

ポイント・サービスに関する会計処理は区々である。例えば、国際会計基準では、顧客が購入した財・サービスに付随して将来的に費用が生じ得るものとして将来の使用に備えた引当金を積む処理ではなく、顧客が購入した財・サービスとは別に、財・サービスの販売であるが将来に提供するものとして前受金の処理が行われることとされている。

こういった状況を踏まえまして、ポイントの支払手段としての機能について、どう考えるか。

ポイントは、現時点で、支払手段としてどの程度の役割を果たしていると考えられるか。

ポイントは顧客囲い込み等の目的のために発行されるとの指摘がある。ポイントに流通性・汎用性が与えられ、支払手段として広く利用される可能性について、どう考えるか。

将来、ポイントがより広範に支払手段として利用される状況に備えた対応の必要性について、どう考えるか。

金融庁でございますので、金融の観点から、ポイント・サービスの利用者保護、制度整備の必要性について、どう考えるか。

現状では、ポイントは、基本的に、景品・おまけとして無償で発行されていると考えられるか。

顧客は、基本的に、景品・おまけとして無償で得たものであるため、その保護の必要性は低いと考えられるか。

ポイントを得る顧客の側では、ポイントの利用を考慮して商品等の購入について判断しているとも考えられる。予期に反しポイントの利用に制限等がある場合、利用者保護に欠けると考えられるか。

会計基準に則った会計処理が適切に行われる必要性について、どう考えるか。

ポイントの支払手段としての機能を保護する必要性について、どう考えるか。

というものでございます。

この関係で、マル2ポイント交換の取扱いでございます。通常、無償で交付されているポイントA、Bにつきまして、Aを保有する者が、Aの発行者に対して、Bの発行(Bへの交換)を求めることができるサービスがございます。これを通常ポイント交換と言っているかと思います。

無償で発行されたポイントAが、ポイントBに交換される場合、無償で得たAを用いてBを入手したのだから、Bも無償で発行されているとする考え方がある。他方、無償で発行されたものであっても、Aには一定の価値があると考えられ、Aの保有者は、その価値を手放してBを得ているとする考え方がある。また、Bは利用者から現金を受けておらず対価を受けていないとする考え方もある。ポイント交換について、どう考えるか。なお、現在、前払式証票規制法では、利用者・事業者からを問わず、対価を得て発行されるものは前払式証票と規定されております。

これを踏まえますと、ポイントBは対価を得て発行されており、また、利用者との関係でも一定の価値があるAの代わりに発行されている。ポイントと称されても、前払式支払手段に当たると整理されると考えられないか。

ポイントBが通常無償で発行されている場合に、さらにポイント交換に応じて発行されることを前払式支払手段に当たると整理することを、どう考えるか。

対価を得て発行されているかどうかは、発行の場面ごとに判断されるのではなく、同じ種類の前払式支払手段について、一定期間における発行総額に対し対価を得て発行された額の割合を考慮して判断されると考えられるか。

通常無償で発行されているポイントが、利用者から対価を得て発行される場合があっても、一定期間における発行総額に対する対価の割合が低ければポイントとしての性格は変わらないと考えられるか。

以上でございます。

○岩原座長

それでは、ただいま高橋決済システム強化推進室長からお読みいただいた5ページ、6ページのところをまとめて、皆様からご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

別所委員、どうぞ。

○別所委員

ポイントのところですけれども、整理をしていただくに当たって、書かれているところは書かれているのですが、基本的に私どもも含めていろいろな事業者の意見を申し述べさせていただいた中で共通しているのは、ポイントは今マーケティングの手段だと理解しています。ポイントというマーケティングの手段が有効に活用されているからこそ、このようなところで問題になるのだという理解でありますけれども、そこの基本的な性格が変わるという議論は1度もなされていないと思いますし、そこを外れてしまうと、ポイントに関する取扱いをどう考えていこうかというところからずれていってしまう可能性があります。ぜひそこは何らかの形で基本的に触れていただきたいと思っています。「ポイントは顧客囲い込み等の目的のために発行されるとの指摘がある。」という文章が入っていますけれども、それ以外の指摘は多分ないので、基本的にはそのようなものだという理解の上で議論していただければありがたいと思っております。

それから、ポイントの交換可能性とか支払手段の広範性のところですけれども、マーケティングの手段である以上、自分たちの出しているマーケティング費用が他社のマーケティングのために使われていくことを良しとする会社はどこにもないと理解しています。ということは、ポイントの交換について広がっていく可能性を積極的に示唆するようなものは、この場では一切出てこなかったのではないかと思っています。ポイントの交換は確かに行われていますし、ポイントというもののマーケティングの手段としての魅力を高めるために、一定程度の交換はなされてきていて、交換の対象そのものは広まっていますけれども、交換率が高まっているとか、その交換を進めたいという事業者の意図があるというところは出てきておりません。そこのところも、論点として上げていただくのは結構ですけれども、そのような前提で考えていただければと思っております。

それから、ポイント交換の取扱いのところについてもついでに述べさせていただきます。交換をどう評価するかというところで、対価性の問題が出ているのですけれども、これはポイントと前払式証票に基づく前払との関係をどこかで整理していただきたいというのがありますので、何らかの形での整理はしていただきたいと思っています。事業者として危険だと思っているのは、ポイントという名前の下に前払式証票、類似の行為が行われるのが一番問題だと考えています。ここは適切に整理していただいて、そのようなものが混在した結果、利用者の方々、消費者の方々に混乱が起きることがないようにしていただきたいと思っております。

以上でございます。

○岩原座長

池尾委員、どうぞ。

○池尾委員

私は今のご意見にほとんど賛成です。私自身、前回申し上げましたように、ポイントと称して電子マネー事業を行うような潜脱行為だけ防げばいいのであって、ポイントとは何かという議論はする必要はないのです。電子マネーとは何かという議論をすべきであって、電子マネーの定義、ないし前払式証票とは何かという定義を明確にしておいて、ポイントとは称しているけれども、その定義に該当するものだけは電子マネーの規制に服してもらうというふうにすればいいのです。ポイントとは何かという議論はこの場ではする必要性は一切ないと私は思っていて、ポイントについて特に規制する必要性も全くないと思っています。

○岩原座長

川本委員。

○川本委員

前回も申し上げたのですけれども、ポイントはおまけなので、会計基準に沿った会計処理がなされていれば、これに金融的な規制を置く必要はないと私は思っています。誇大宣伝ではないか、消費者との契約上間違いがないか、商取引の保護という約束の範疇で考えるべきなのではないか、と思っています。と言いますのも、自分の生活を考えてみても、10個以上のスーパーや百貨店でポイントを貯めているわけです。そのような意味では、企業側もマーケティングの手段と言いながら、ポイントを発行しすぎなところもあると思いますし、逆にポイントになってくると消費者のほうが図々しくなってくるような感じがいたします。

私が住んでいる地域の商店街はとても古く、カッコいい電子的なポイントになっていなくて、シールをくれます。シールを50枚集めると200円と交換してくれます。それを5枚集めると信金で定期預金にしてくれます。そこをポイントとどう区別するのか。限りなく広がっていくと思うのです。そういう意味では、今、池尾委員がおっしゃいましたけれども、ポイント側から考えるのではなくて、電子マネー側から考えるほうがいいのではないかと思います。

○岩原座長

ここで考えようとしているのは、ポイントという名前で行われているものの中で、電子マネーと同じようにルールをつくらなければいけないようなものはどのようなものなのだろうか、それを考えましょうということだと理解しております。そのためにポイントについても適切に理解しましょうということではないかと思いますが、いかがでしょうか。

では、和仁委員。

○和仁委員

確かにポイントの性格は何かということを理解することも必要なのですけれども、皆様にご説明いただいたところの結論が、川本委員がおっしゃったように、ポイントはおまけ以外の何物でもないということがよくわかりました。会計処理が適切にされていればあとはよろしいのではないか。そして、池尾委員がおっしゃるように、ポイントが電子マネー的な形で使われているところで、これは電子マネーの類似ではないかということから、電子マネーは何か、というところから規制がかかることを考えなければいけないのかという気持ちがいたします。

先ほど「ポイントは囲い込みだ」ということをおっしゃっていたのですけれども、ポイントの交換を前に出してくると議論がどんどん大きくなってしまい、これはマネーと一緒ではないかという方向にいくのですが、お話を伺った限りでは、囲い込みが本来の趣旨なのだから、そこへ落ちつけましょうということを皆様考えておられているのだろうと思います。ということから言うと、電子マネーが何かと定義して、そこで引っかかるポイント性のものはどう扱うのかということで、今後の議論を組み立てていったほうが手早いのではないかという感じがいたします。

○岩原座長

原委員。

○原委員

結論ではなく、現実はどのような状況にあるかというところですけれども、確かにポイントは顧客囲い込み等の目的で使われている。これが最大ということですけれども、皆様がどのようなポイントを集めているかということが資料の中に出ていまして、スーパーとかドラッグストア、家電量販店の3つが大きいところですが、家電量販店のポイントはかなりの金額です。だから、小さな家電品を買おうと思うと貯まったポイントでほとんど払えてしまうぐらい、結構すごい金額のポイントをつけておられるので、金銭的な感覚になっているという部分。

それから、もう1つがポイント交換についてです。別所委員から積極的には広がらない、一定程度のところだというお話があったのですが、今、現実に起きているのは、広がってきていて、それを自社だけでなくて、グループ化して、その中で顧客情報を利用しようというような感じになってきているので、無限定には広がってはいないですけれども、グルーピングはかなり広がってきているという印象があります。ここのところは将来の姿も見ての制度設計をお願いしたいと思います。

○岩原座長

翁委員。

○翁委員

今、原委員から、家電量販店とかではかなりポイントも高額になるというお話があって、私もビックカメラなどでは随分高額になっているのです。高額のポイントを貯めることができるような人は自己責任でリスク管理を求めるということがあるわけで、そのようなところまで規制を入れる必要はない。規制のコスト・ベネフィットをしっかり考えていくべきではないかと思います。

○岩原座長

どこから自己責任にするかは非常に難しいところであります。

先ほどの電子マネーと申しますか、現行で言えば前払式証票に当たるかという観点から見ていくということは、対価性があるかどうかという観点から見ていくという問題に絞られてくるのかと思います。それをどの辺で線を引くのか、実際上は大きい問題だろうと思います。

何かご指摘いただくことはありますでしょうか。よろしいでしょうか。

私の不手際のために時間が押してしまいまして、後半の説明も忘れてご議論いただきそうになりましたけれども、特に今ご発言されたいことがなければ、本日の会議は終了させていただきたいと思います。

○高橋決済システム強化推進室長

次回は、前半でご説明いたしました3の資金移動サービスと4の収納代行サービスに移って、本日の分は整理の時間をいただいて、別途、整理したものをご提示させていただきたいと思っております。

○岩原座長

今、高橋決済システム強化推進室長からお話がございましたように、次回は資金移動サービス、収納代行サービスについても、同様にさらに論点を整理してご意見を伺いたいと考えております。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。長時間、熱心なご討議、どうもありがとうございました。

以上

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