金融審議会金融分科会第二部会「決済に関するワーキング・グループ」(第8回)議事録

日時:平成20年10月10日(金曜日)10時00分~11時55分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○岩原座長

それでは、時間でございますので、決済に関するワーキング・グループ第8回会合を開催させていただきます。

メンバーの皆様におかれましては、お忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。

本日は、金丸様、神田様、佐藤様、高橋様、野村修也様、別所様、和仁様がご欠席と伺っております。

今回、委員の交代がございまして、株式会社ウェブマネーの新井様に代わりまして、同社の古谷彰男様をメンバーにお迎えしております。どうかよろしくお願いします。

○古谷委員

古谷でございます。よろしくお願いいたします。

○岩原座長

さて、本日は、前回に引き続きまして、個別の論点についてご審議をお願いしたいと存じます。

前回、事務局から、前払式支払手段及びポイント・サービスについて説明をいただきましたが、今回は事務局より、資金移動サービス及び収納代行サービス等について論点を整理したペーパーを用意していただいております。併せまして、本日は宮沢委員、芝﨑委員からご意見をいただいておりますので、後ほどそれぞれご説明をいただきたいと思っております。

また、本日はご欠席でございますが、佐藤委員からもご意見をいただいておりますので配付させていただいております。

本日は論点ごとに議論を進めていきたいと思います。まず、事務局より資金移動サービスについての説明をお願いしたいと思います。

○高橋決済システム強化推進室長

お手元の資料の8-2、論点の整理(続)でございます。

四角の中は、事実認識などを書かせていただいております。

前払式支払手段の中には、単一の商品・サービスに利用できるだけでなく、多種多様な商品・サービスに利用可能なものや、情報ネットワークの活用などにより地理的にも利用範囲が広範化したものが普及している状況にある。

銀行は、インターネット・バンキングの導入などの取組みを進めているが、例えば、送金手数料が高い、手続が面倒であるとの批判があるほか、外国人にとっては英語表記の案内が不十分であるなどの理由から、外国送金において不正の意図はなくとも、不正規な送金手段の利用につながっている面があるとの指摘もある。

我が国では、為替取引は銀行以外の者は行うことができないとされている。銀行は決済機能に加え、預金を融資等に運用することによって、金融仲介や信用創造の役割を果たしている。また、その破綻はシステミックリスクの問題が生じることから、厳格な規制が必要とされている。

米国では州によって異なるものの送金業として、EUでは決済サービス業として、資金移動サービスを行うことが認められ、それぞれ免許・許可制とされている。受け入れた資金について貸付けを行うことは認められず、依頼人が事業者に渡し、受取人がいまだ受け取っていない滞留資金の全額に相当する額の保全が原則として求められるが、兼業が認められるなど銀行に対する規制よりも緩やかなものとなっている。

そこでマル1でございますが、銀行以外の者による為替取引、ここでは、資金移動サービスととりあえず名付けておりますが、情報通信技術の発展によって、銀行以外の者が、為替取引を行うことが容易になっていると考えられるが、どうか。

多様な担い手による為替取引に対するニーズについて、どう考えるか。

為替取引には安全性、信頼性が求められると考えられるが、インターネットの普及等により、主として個人が利用する少額な決済について、より安価で、便利な為替取引の提供を求めるニーズが高まっていると考えられるが、どうか。

新たに、銀行以外の者が為替取引を行うことができるとする法制度の整備(資金移動サービスに係る法整備)の利点について、どう考えるか。

銀行には兼業範囲に規制があり、為替取引に併せて多様なサービスを提供することには限界がある。利用者の利便性について、どう考えるか。

現在、事業者によっては、より利便性が高いサービスの提供が可能であるとしても、為替取引に該当しないようサービス内容を制約する等の対応が行われる場合もあると考えられる。これについて、どう考えるか。

資金移動サービスに係る法整備を図ることによる、イノベーションの促進、競争の促進について、どう考えるか。

資金移動サービスに係る法整備の問題点について、どう考えるか。これは利点の反対側の側面ということでございます。

事業者が提供する資金移動サービスについて、その確実性が欠ける場合の、利用者保護、社会的影響について、どう考えるか。

事業者が破綻した場合、滞留資金が保全されていない場合の利用者保護について、どう考えるか。

事業者が破綻した場合、決済システムの安定性、信用秩序その他の社会的な影響について、どう考えるか。

事業者による、利用者から受け入れた資金を用いて他の利用者へ貸付けを行うことについて、どう考えるか。

これらを踏まえまして、資金移動サービスに係る法整備の必要性について、どう考えるか。

仮に、法整備を行う場合、現在、銀行に対しては免許制とされる為替取引について、資金移動サービスを提供する事業者に対して、どの程度、柔軟な仕組みとすることが考えられるか。

仮に、法整備を行う場合、外国の資金移動サービス業者の我が国での資金移動サービスの提供、反対に我が国の資金移動サービス業者の国際的な資金移動サービスの提供を行う可能性について、どう考えるか。

これらが抽象的な考えで、さらに仮に整備を図るとした場合の具体的な資金移動サービスに係る法整備の枠組みというものがマル2でございます。

まず、滞留資金の保全について、どう考えるか。

事業者が破綻した場合の利用者保護を図り、社会的な影響を最小限に抑えるには、滞留資金に相当する金額(滞留資金額)が全額保全されることが望ましいと考えられるが、どうか。

事業者が破綻した場合に、保全した資金を利用者に分配するには費用が生じる。滞留資金額の全額を利用者に渡すには、滞留資金額の保全だけでなく、分配費用の確保も考慮する必要があると考えられる。これについて、どう考えるか。

滞留資金額を必ず全額保全する仕組みを設けようとする場合、例えばセーフティネットなどの仕組みが必要であり、事業者の負担が大きくなることが考えられる。利用者保護等とのバランスを図るとすれば、どのような仕組みが適当と考えるか。

また、保全すべき額となる滞留資金額の計算について、どう考えるか。

本来は、滞留資金額がリアルタイムに計算され、それに相当する金額が全額保全されることが望ましいと考えられる。しかし、リアルタイムに計算する場合、依頼人から資金を受け入れた直後には滞留資金の額が大きくなることや、リアルタイムに把握する仕組みの構築など、事業者にとって負担が大きいと考えられるが、どうか。

他方、滞留資金額の計算を日締め、月締めなど一定の頻度で行う場合には、場合によって、実際の事業者の破綻時の滞留資金の全額が保全されない可能性が高くなると考えられるが、どうか。

滞留資金額の計算の頻度が高ければ保全すべき額は同じ程度でよく、頻度が少ない場合には、保全すべき額を多くするなど、そのバランスについて、どう考えるか。

保全資産の安全性等について、どう考えるか。

安全性、流動性に欠ける資産で保全される場合、滞留資金額が保全されるとしても、実際の分配に際して換価を行った結果、予定していた保全額に達しないことや、長期間換価できないことも考えられる。また、現金以外の資産については、安全性が高くとも時価の変動が生じうる。保全資産として認められる資産として、国債など安全性、流動性が高いものに限定され、時価評価が適時に行われれば、滞留資金額が確実に保全されると考えられるが、保全資産が限定されることや時価評価を頻繁に行うことは、事業者の負担が増加するとも考えられる。保全資産の安全性等のあり方について、どう考えるか。

保全資産の倒産隔離について、どう考えるか。

滞留資金額の確実な計算、保全資産の安全性等の確保がなされても、倒産隔離が図られなければ、利用者保護等に問題が生じると考えられる。これについて、どう考えるか。

資金移動サービスの確実性について、どう考えるか。

資金移動サービスの確実性が欠ける場合、事業者は期日どおりに資金を得られないことも起こり得る。これについて、どう考えるか。

滞留資金額の全額及び分配費用が確実に保全される仕組みがとられない場合、事業者が破綻した場合には、利用者にプロラタ(比例配分)での返金を行うためサービスを停止する必要がある。このため、受取人が期日どおり資金を受け取ることができない場合も考えられるが、これについて、どう考えるか。

滞留資金額の規模、1件当たりの資金移動額の大小の区分などによって、制度の内容を異にする必要性について、どう考えるか。

銀行に課せられる業務範囲規制、財務規制などや資金移動サービス業者の要件等について、どう考えるか。

業務範囲規制を行わない、あるいは資金移動サービス業のみでの採算を求めないこととすれば、一般の事業と組み合わせた資金移動サービスの提供が可能となると考えられるか。この場合、滞留資金額が原則として保全されることが必要と考えられるが、どうか。

滞留資金額が原則として保全されるのであれば、財務規制の必要性は少ないと考えられるか。業務を適切に継続するためや、保全されない場合に備えるための運転資金、自己資本の確保の必要性について、どう考えるか。

滞留資金を用いた貸付けが禁止される場合に、財務規制、主要株主規制の必要性について、どう考えるか。

事業者が代理店を利用する場合、代理店に対する事業者の監督のあり方について、どう考えるか。

本人確認等の義務を課す必要性について、どう考えるか。

銀行以外の者は銀行と称することは禁じられるが、資金移動サービス業者が提供する資金移動サービスが、銀行による為替取引とは異なるものであることを利用者に周知させる必要性について、どう考えるか。

最後ですが、国際的な資金移動サービスについて、どう考えるか。

例えば、金融商品取引法では、株式の募集などを行う場合には、外国証券会社であっても、登録を受けて国内に営業所等を設置しない限り、国内にある者を相手方として勧誘してはならないこととされている。このような制度を整備することについて、どう考えるか。

外国の免許等を得て行う資金移動サービス業者について、支店等の形態による参入を認めることについて、どう考えるか。

国際的な資金移動サービスが行われる場合には、国内の利用者を保護するため、保全資産の保有を国内で行うよう求めることについて、どう考えるか。

以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの説明に続きまして、資金移動サービスに関連して宮沢委員よりご意見をいただいておりますので、宮沢委員からのご発言をお願いしたいと思います。

○宮沢委員

ビットワレットの宮沢でございます。私の資料は後ろから4枚目の1枚の資料でございます。金融審議会第二部会決済に関するWGということで私の名前が入っているものでございます。

この資料についてでございますけれども、前回までのワーキング・グループの議論を踏まえまして、私どものほうで考えている全体の枠組みについて、このようにしてはどうかという1つの提案でございます。

できるだけ社会的な、経済的な影響、あるいは消費者の保護を考えまして、経済実体論から考えますと、あるいは現実のビジネスから考えますと、このような2つの枠組みに分けることが1つの考え方であり、現実的な解ではないかという提案でございます。ぜひ、委員の皆様の忌憚のないご意見をいただきたいと思います。

簡単にご説明いたしますと、まず1つ目の枠組みとしましては、現行の前払式支払手段、プリカ法の枠組みに従ったものでございます。こちらにつきましては、従来どおり原則換金・返金は不可です。前回も議論させていただきましたように、例外的な払戻しに関しましては、ユーザーのニーズもございますので、こちらについては従来どおり認めていただきたいということでございます。

現在、供託率50%以上という規制がかかっておりますが、特に重要と考えておりますのは、供託率を引き上げて、例えば供託率100%にしますと、これは前払式証票発行協会のほうで事業者に対してアンケート調査を行った結果、発行専門会社の77%の方々が事業の運営が困難若しくは運営が継続できなくなるという回答をいただいておりますので、供託率を引き上げることに関しましては非常に大きな問題があるのではないか。せっかく今まで普及し、イノベーションの芽が出てきたところで、そのような事業がなくなってしまうリスクがあると考えておりますので、ぜひ供託率のところに関しましては、現行どおりにしていただきたいということでございます。

このような範囲で考えますと、換金・返金が原則不可でございますので、利用者にとりましても、これは現金と同じということではなく、一度プリペイドカードを購入したと、別のものに変わっているということですので、また、それを預金とか資金として認識することはないと思います。私どもとしても、原則換金不可という啓蒙をしてまいりましたので、基本的にこれはプリカで現金とは別のものという認識はされているのではないかと思います。その代わり、電子マネーの利用によってポイントが付与されるとか、あるいはプレミアムがつくとか、プリペイドカードもさまざまな特典があるということでございます。こちらにつきましては、換金できない価値であると考えることが現実的ではないかと考えております。

もう1つの枠組みでございますけれども、ただいまご説明がありましたような資金移動サービスでございます。こちらに関しては、仮に銀行以外の事業者にもこのようなサービスが開放されると、緩和されるという場合につきましては、当然、資金移動でございますから換金は必要になります。利用者から見ましても、預金ないし現金と同等の見方をされるのではないかということからしますと、やはり100%の資金保全がどうしても必要になってくるのかなと考えております。

さらに、資金移動で、換金可能ということで、こちらも銀行のサービス等の整理が必要になってくるのかなと考えております。

以上のことを考えますと、この前払式支払手段と資金移動サービスは、利用者の保護の程度も違ってくると思います。現実に前払式支払手段ビジネスを行っておりまして、利用者からの支持もいただいております。現在のプリカ法の範囲で事業を行っておりまして、それほど大きな問題も起きていないのではないか。あるいは、社会的な問題にはなっていないのではないかと鑑みますと、今の法律の枠組みで問題はないのではないかと私どもは考えております。この点につきましては、ぜひ委員の皆様から、実はこのような問題があるということであれば、ご指摘をいただきたいのですが、現状問題がないとすると、これ以上の特段の規制は必要ないのではないかと考えております。

これらの2つの枠組みを事業者が自由に選択して事業を行う。前回、換金不可ということを随分強調しましたので、ビットワレットは世の中に換金のニーズがないのではないかと誤解をされたかもしれませんけれども、決してそのようなことを言っているわけではございません。当然、換金・送金のニーズはあるわけでございまして、それは現在のプリカ法のビジネスとは別物と考えております。この枠組みを2つ明確に分けた中で、それぞれの枠組みをどのようにしていくことがいいかという議論をさせていただくのがいいのではないか、というご提案でございます。

以上でございます。

○岩原座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明や宮沢委員からのご意見を含めまして、資金移動サービスについてご議論をいただきたいと思います。ご意見等いただければと思います。いかがでしょうか。

齊藤委員どうぞ。

○齊藤委員

それでは私の方から、まず、本件にかかわります基本的な考え方につきまして、3点ご説明をさせていただきます。

資金移動サービスにおいては、利用者の利便性の向上・維持、利用者保護の徹底、そして決済システムの安全性の確保、この3点が極めて重要だと考えております。特に1番目の利用者の利便性の向上・維持といった観点で申し上げますと、私どももイノベーションの促進の観点から、利便性向上は非常に重要だと思っております。ただし、規制を課さないことだけが利便性の向上・維持であるとは考えておりません。利用者が安心・快適にサービスが利用できるよう、規制のコスト・ベネフィットを十分考慮した上で、適正な規制のもとで運営することが重要だと考えております。以上が基本的な考え方でございます。

私の方から、送金サービスに関する規制について、何点か論点につきまして意見を述べさせていただきます。

大きくは、資金の保全と履行の確実性という観点が重要だと思っております。

まず、資金移動サービスとしてご提示いただいている内容は、信用創造を行わない範囲で為替業務を行う事業と位置づけたものと理解をしております。この際ポイントとなりますのは、送金目的に限定されているとはいえ、預り金を取り扱うことから、どのような規制を行なうかという点は極めて重要であると考えております。

私どもが考える資金移動サービスに求められる要件としては、先ほど申しました大きく2つ、お預かりした資金の保全、それから利用者の意思の確実な履行、この2点が重要だと思います。

この2点につきまして、1点ずつご説明申し上げます。

まず、資金の保全の必要性という観点ですが、これはあくまでも資金移動のために預かった資金でございますので、利用者保護の観点からは、預かった資金については分別管理を行うとともに、全額について資金の保全を行う必要があると考えております。

それから2点目、利用者の意思の確実な履行という観点でございますが、一部では資金の保全さえしっかりしていれば、履行の確実性は問題ではないという考え方もあろうかと思いますが、現実的には、やはり履行の確実性は極めて重要です。決済業務を行なっている銀行において、実際にどのような事象があるかということを例示してご説明申し上げます。資金移動が予定どおりに行われない場合は、社会的に非常に大きな影響を及ぼす可能性があります。具体的には法人のケースで言えば、先般、私どもがご指摘をさせていただきましたけれども、万が一、資金の受取が予定どおりに行われない場合には、資金繰りが行き詰まり、倒産してしまいます。また、連鎖破綻につながるというケースもございます。一方、個人におきましても、予定していた入金が遅れることで、ローンの延滞につながり、信用に傷がついてしまうような事象も想定されると考えております。

特に現在は、小口の件を中心に、議論がされていると思いますけれども、B to Bなど法人の大口の世界においては、連鎖倒産リスクを抱えた、社会的影響の非常に大きい、振込代行と称した実質的な為替業務を行っている事業者も実は存在しています。万が一、その事業者が破綻した場合には、履行の遅延により企業間決済を滞らせることになり、決済システムの安全性に計り知れない影響を及ぼすこともあり得るということです。

ポイントは、社会的影響の大きさであります。先般、小口、大口の議論が大分されていたと思っておりますが、実は、この小口、大口の議論の本質は、社会的影響の大きさという観点で論じるべきです。具体的には、1利用者当たりの利用可能金額という観点もさることながら、トータルの取扱残高といった観点も重要だと考えます。この2点が必要であって、社会的影響が大きい場合には、適切な規制をかけなければいけません。そうでない場合は、ある程度は甘受できる部分があるのではないかと考えております。私のほうからは以上でございます。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。芝﨑委員どうぞ。

○芝﨑委員

これは意見というよりも少し質問なのですが、イメージがわかないので教えていただきたいのですけれども、この資金移動サービスは、現状世の中にあるどのようなサービスを言っているのか、少し具体的に知りたいのです。

これはどなたが答えていただけるかわからないのですけれども、イメージがわくようにお願いします。

○岩原座長

高橋決済システム強化推進室長お願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

まさに銀行が行う為替取引と同じことを銀行以外の者が行うことですから、もし行っていれば、我が国では違法です。

外国について申し上げれば、ペイパルという事業者とかウェスタンユニオンという事業者もございます。それぞれどのような事業を行っているかと申し上げれば、ウェスタンユニオンですと、日本でいうところのコンビニエンスストアかもしれませんが、パパママストアと呼ばれるところにお金を持っていくと、そこで誰々さんに幾ら送ってくださいということを頼み、そうすると外国の出先のパパママストアみたいなところにお金をもらう人が行くと、お金をもらえるというようなサービスです。ペイパルの場合ですと、専らインターネットで利用されておりますけれど、口座を開いて、送金のためにお金を預けて、送金をしてもらうというようなものになります。

○岩原座長

はい、芝﨑委員。

○芝﨑委員

そうすると、確認ですけれども、例えばコンビニエンスストアに持っていく収納代行があり、あの紙を持ち込み、払う。あれはここに入らないという解釈でよろしいのですか。

○高橋決済システム強化推進室長

収納代行については、後でご議論いただこうと思っていますが、まず、為替取引というのは、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行することになっております。それに当たるものであれば、今のコンビニエンスストアがそれに当たるかどうかはさておきながら、それらはすべて為替取引に当たると思っています。

そのような仕組みを銀行以外の人が容易につくれるような状況になっているのではないでしょうかというのが、1ページ目のところに書いてあります。それを行う仕組みがすべてここでいうところの資金移動サービスです。

○岩原座長

よろしいですか。

ほかに何か。福本委員、どうぞ。

○福本委員

利用者の立場に立てば、事務局のほうでまとめていただいた中に、送金手数料が高いところもあるのですけれども、送金については安全・確実な履行が、一番重要だと考えております。

今の段階で、この資金移動サービスが実際どのようなサービスで行われるか明確にはわからないのですが、いずれにしましても、先ほど齊藤委員がおっしゃってましたように、どのような形であっても間違いなく送金が完了して、利用者が安心して利用できるような要件を具備している必要があると思います。

また、万が一の場合の利用者保護を考えれば、当然、送金資金の100%保全は必須要件であると考えています。

それともう1点、金融機関は特に社会的要請も踏まえまして、マネーロンダリングに今必死に取り組んでおりますが、利用者保護の観点と、この犯罪対策、マネーロンダリングも含めて決済システムの信頼性に影響が生じないような制度設計をしていただきたいと思います。

以上であります。

○岩原座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。守屋委員どうぞ。

○守屋委員

NTTドコモの守屋でございます。

今回の送金サービスにかかわる制度整備は、基本的には銀行以外の新たな担い手によるイノベーションが起こることを期待したものだと理解しております。その観点からいたしますと、事業者がビジネスモデル、事業採算性を検討する際、次のような点が重要なポイントになるのではないかと私どものほうで考えました。これ以外にもあるかもしれませんが、現時点で気づいていることだけで4点ほどございます。

1点目は、先ほど齊藤委員のほうからもお話がありましたが、資産保全の100%の問題でございます。原則論としては、資産保全100%が望ましいというご意見は理解できるのですけれども、事業者の立場では、実務上それがどのような影響を及ぼすのか。

例えば、前々回私も意見として申し上げましたように、簡便でコストのかからない方法がとり得るのかどうかという点です。それからもう1つは、事務局のご指摘にもございますが、リアルタイムで資金移動額を把握することは膨大なコストがかかりますので、この問題をどう解決するかという問題がございます。

それから、もともと送金というのは資金が移動するフローであります。例えば、プリペイドの電子マネーのようなストックに対して供託をかけるようなものと少し性質が違うお金の動きをすると考えられるのです。例えば、一番少ないときは10億円ぐらいしか動かないけれども、あるときは100億円動くといった場合に、一律100億円の資産保全をしなさいといえば、多分やろうとする事業者はいなくなると思います。送金フローをどのようにストックとして測定するかが問題になると思います。この辺の細則がはっきりしないと、資産保全100%という原則が本当に受け入れられるものなのかどうかというのが事業者側の気持ちだと思います。

2点目は、これも今両委員からご指摘がありました履行の確実性という問題でございます。

前回も畑山委員からオペレーションリスクについてのご意見があったと思いますけれども、今の銀行の送金システムがB to B、法人間の非常に巨額な送金の確実性を前提として、例えば、システムの二重化のような規制がかかることにより、送金手数料の高騰の一因になっているという考え方もあるわけです。例えば、C to BあるいはC to Cの少額に限った送金において、B to Bの巨額な送金ほどの履行の確実性が本当に必要なのかどうか。そこで、同様の確実性でシステムの二重化を求めますと、喜ぶのはシステムベンダー、泣くのは利用者という同様の構造になりかねないと考えております。

3点目は、キャッシュポイントの問題でございます。

銀行の送金の現金の受払いというのは、銀行窓口あるいは提携しているATMなどでしかできないわけですが、当然、自前でキャッシュポイントをお持ちの銀行以外の事業者があると思います。現実にアメリカではガソリンスタンドであるとか、スーパーマーケットであるとか、例えば駅の窓口なども想定できますし、理論的にはネットワーク回線で結ばれた自動販売機のようなものでもできると思います。もっというと人間でもいいわけで、例えば、料金を徴収されているような方が1軒1軒回って現金の受払いをすることもできると思います。送金事業の範囲として、キャッシュポイントを自前でできるのかどうか。自前でそのようなインフラなりスキームを持っている事業者が自前でできるのか。それとも、そこは銀行なり既存の受払いの場を使わなければいけないということになるのかによって、新しい事業のコストが全く違ってくると思います。

ちなみに、アメリカの送金業者法あるいはEU決済サービス指令を見ますと、送金のための資金の受入れあるいは口座への入出金が、送金サービス業の中に含まれるという定義になっています。このキャッシュポイントを自前で持てるかどうかというところが、コストを計測する上で1つの重要な課題と思っております。

4点目は、キャッシュポイントと全く逆の問題でございます。もしユーザーのニーズにより、送金されたお金を1週間か2週間あるいは1か月、2か月、場合によっては1年、2年、自分のアカウントにプールをしておきたいというニーズが、あくまでもこれは送金者側、ユーザーのニーズとして発生した場合に、現行の出資法の預り金規定との整理が図られるのかどうか。

以上申し上げました4点が、現時点で気づいている事業採算性を検討するに当たり重要なポイントではないか。これはすべてサービスコストに影響がある問題だと思っておりますので、単に事業の採算性という問題のみならず、エンドユーザーの利用料に跳ね返る重要な問題だと認識しております。

以上でございます。

○岩原座長

ほかに何かございますか。

小島委員どうぞ。

○小島委員

私も、利用者の側からすると、やはり現在の銀行の送金手数料は高いと実感しているところです。そのような意味では、利用者の利便性の問題と、先ほどからご指摘されていますように安全性、資金保全の問題、この辺のバランスをどう図るかということが、1つ大きなポイントであろうと思っております。そのような意味では、送金の限度額の問題、あるいはトータルの残高の問題といったようなところをどのような形で押さえるかというのも1つあると思います。その辺も含めて、もしこのような新しい送金業者を法律で認めていくという場合には、新しい制度でありますので、そこは初めからすべてをカバーできるというよりは、一定の範囲内でスタートすることも1つではないかと思っております。

もう1つ、これは現在、違法な形で外国に送金されている現実もありますので、その辺をどのようにしていくかということでは、やはり現在の銀行の送金手数料が高いことは1つの大きな要因と言われております。その辺のことも含めて少し新しい制度も検討していいのではないか、と私は思っているところです。

○岩原座長

池尾委員どうぞ。

○池尾委員

利用者保護の観点から、安全性と確実性を確保する必要があることはそのとおりだと思います。ただし、安全性を確保する手段として、ここでは分別管理で滞留資金を全額保全する手段しか念頭に置かれていないような気がするのですけれども、私は少額の送金サービスであれば、保険をかけておけばそれで十分ではないかという気がしています。

だから、第三者の損害保険会社か何かに事故が起こったときには賠償してもらう。そのような保険に加入していれば、利用者から見て別に事故が起きた場合にも問題はない。損害保険会社も厳格な金融庁の規制のもとにあって、破綻の可能性はゼロではありませんが、それに備えた制度基盤もあるわけですから、そういうオルタナティブな方法をもう少し柔軟に検討した方がいいのではないかと思うのです。

要するに、一番コストの安い方法で安全性を確保すればいいわけですから、分別管理で全額保全ということは確かに1つのやり方ですけれども、守屋委員もおっしゃったように非常に高くつく可能性もあります。だから、ボンドシステムを使うようなやり方も1つの選択肢として十分考えていいのではないかということが1点です。

それからもう1つ、安全性、確実性というときに、これは以前議論したときに出たと思うのですけれども、財務上の問題だけを議論していても少し不足ではないか、このようなサービスの場合は、事業者の財務基盤が大丈夫かということももちろん大切です。けれども、技術的な能力がきっちりあるか、そちらの方が事実上、利用者から見たときの確実性を担保する上では重要な要件になるのではないかと思うのです。そのような面の論点は一切出ていないような気がしたのですけれども、少し考慮する必要があるのではないかということです。

○岩原座長

ありがとうございます。

確かにご指摘のとおりであります。

第1点について言えば、現在の前払式証票規制法も、供託金を積むだけでなく、銀行保証を得るような別の方法も用意しておりまして、それをさらに工夫すると、おっしゃるような保険も考えられるかもしれません。そのような点では、確かにいろいろ制度的に現在の規制をより柔軟に、より多様なものに工夫していくことは十分考えられ得るところかなという感じは持っております。

第2点でご指摘になった点も非常に重要で、これは先ほどの齊藤委員等のご指摘にもかかわることで、本当に依頼したとおり適切に資金移動を行ってくれるか。依頼された相手方に依頼された時間に適切に資金が届くようなサービスを提供してくれるか。そのサービスの実行の点において、十分なものがあるかというのは非常に重要だと思います。

先ほど齊藤委員は、特に大口が重要だとおっしゃったのですけれども、私自身は、消費者もこれは重要なことで既に事件は起きているのです。期限までに適切に振り込まれなかったものですから、例えば、保険料の支払が期日までに支払われなかったので、保険契約が失効してしまったということが裁判で問題になったこともあります。あるいはそれこそ公共料金の支払ですと、適切に支払われないと電気、水道、その他のサービスが打ち切られるという問題も起こるわけです。

私自身も、昔、アメリカに留学していたときに、日本からアメリカの住宅の家賃を日本の銀行から振り込んだ際に、アメリカの管理会社から連絡が来まして、おまえの家賃の振込がされていないから出ていけと言われました。調べてみたところ、日本の銀行から送金したものがヨーロッパかどこかのほうに行ってしまい、アメリカの指定された銀行口座に入金されていないことがわかり、焦ったことがあります。そのようなことは、やはり消費者にも起きるわけですから、適切に履行がされるような体制をつくることも重要ではないかと個人的に思っております。そのような点では、この論点として適切に履行がされるような体制ができているかということも押さえるべきポイントかと、これは私個人の意見として考えております。

ほかに何かございますでしょうか。

吉野委員。

○吉野委員

論点メモの2ページ目の上から4番目の「・」で、事業者が破綻した場合のところですけれども、これは最近リーマン・ブラザーズが破綻した場合には、国債の取引が滞ったりするようなことが起こっています。フェイルルールとか、何らかの形でのルールを1つつくっていく必要があるのではないかということが1点です。

それから3ページ目の2番目の○で、保全資産の安全性というところです。ここの真ん中ぐらいに、国債の安全性とか流動性が高いので大丈夫だと書いてあるのですが、今の国債市場を見ていますと、やはり価格が下がりまして、全然流動性がなくなります。そうすると、むしろこのようなもので保全しても仕方がないような気がします。本当に緊急のとき、そうしますと、流動性預金とか、そのようなところで保全するしかないような気がします。

それから、このような本当の危機のときには、流動性の危機です。先ほどのフローとストックでいった場合、ストックでは適切なバランスがとれていても、流動性が原因で決済ができなくなるところがあります。池尾委員もおっしゃったように、流動性リスクに対してどう対応するかということがあると思うのです。

その次は、このような決済の場合、二層というか、デュアルシステムみたいなものがあってもいいかもしれないと思うのです。それは銀行のように非常に安全であるシステムと、もう1つ、少し損をするかもしれないけれども、ただ簡便で手数料も低い、そのような取引を適切に利用している人たちが認識するのであれば、二層のようなものがあってもいいのではないかと思います。

最後に、4ページ目の国際的な資金移動サービスのところですが、これはいろいろな金融のときにリシプロシティー(相互利益)といいますか、日本と外国との間での資金移動があると思いますから、日本の決済事業者の方、あるいは金融機関の方が外国で資金移動を行う場合に不利にならないように考えておいていただいた方がいいと思います。

それからあと、やはりこの決済サービスが国際的になれば、先ほど出ている不法取引とか、不法の決済とか、そのようなものも出てくると思います。やはり、日本のこのような事業者が海外に出ていって、海外でやりやすいようなことを考えていただきたいと思います。

○岩原座長

ありがとうございます。

川本委員どうぞ。

○川本委員

そもそも論で恐縮ですけれども、このワーキング・グループは、日本の金融システムの競争力の強化を議論することも目的の1つだと思います。それにもかかわらず、ここでの議論が常に規制強化の権化のように捉えられ、報道されがちで大変に遺憾に思います。

この新しい資金移動サービス、これはまさしくイノベーションを促すことです。代替手段が銀行という形であるわけですから、今、吉野委員もおっしゃいましたけれども、どのような形で便利なものをつくるのかを議論していくのだと思います。ここでの議論が、1人を守るために何千万円ものコストが上がったり、利便性を欠いてもいい、といったようになってほしくないと思っています。

その意味から、資産保全については、原則100%であっても、利用者がわかっているのであれば、100%でない場合もあり得る、これは設計上の問題だと思います。原則100%にしておいても、絶対に100%にならなければいけないか、少し100%を欠くかというところでコストがすごく違えば、それはそのような形をとり便利さを図る可能性もあると思います。ただし守屋委員がおっしゃったポイントですけれども、やはり細則を見ないとわからないところもあると思います。

2つ目は、そのような意味で免許制ということが、宮沢委員がお出しになっていらっしゃるのですけれども、本当に免許制が必要なのか、私は登録制でも届出制でも、その可能性を探れないのかということが意見としてあります。

○岩原座長

ほかにご意見ありますでしょうか。

古谷委員どうぞ。

○古谷委員

我々、ウェブマネーという電子マネー事業を10年前に立ち上げた経緯から意見を述べさせていただきます。

まず、基本的な枠組みをある程度シンプルにしていただいて、新規事業に参入しやすいようにする。そのような意味では、宮沢委員の枠組みの意見には基本的に賛成しております。それから、要望としましては、やはり何らかの枠組みをつくっていく上で、どうしてもカバーできない部分は当然システムとしてあると思います。先ほど1つ意見としてありましたけれども、保険制度のようなもの、要は新規事業として参入しようというときに、技能的な、技術的な部分のリスク、あるいは財務的なリスクは新規参入する事業者にとっては、事業存続にかかわる部分としてリスクは払拭できないと思います。そのような意味で、消費者保護の観点と考えますと、やはり第三者がそのようなフェイルセーフというか、実際に起こってしまったリスクをカバーする仕組みを適切につくっていただくことが、全体としての問題解決になるのではないかと思います。

あと、このような資金移動サービスの議論は、極めて銀行の為替取引に近いようなところの境界線の部分で議論されてしまうと、実際には本当に消費者、個人が簡単に利用できるようなサービス、簡便性のところが規制で非常に難しくなってしまうところがあると思います。何らかの枠組みか上限金額、あるいは先ほど、例えば、確実に送金ができるというところにおいても、実際問題としては、システムの不具合により、送金ができなくなってしまうことが、数時間とか1日ということは十分あり得ると思います。やはり、そのような部分での、完全な銀行が行っているような確実な事業が、必ずしもそこまでの確実性はなくても、新しい事業とかサービスをつくっていくところでの配慮をいただければと思います。

以上です。

○岩原座長

翁委員どうぞ。

○翁委員

私も、この資金移動サービスにつきましては、いろいろな事業者がこれを担う方向でどんどん参入が進んでいくことが望ましいと思います。先ほど、資金保全の仕組みにつきましても、いろいろご意見がございましたように、資金保全のやり方についても保証とか、または100%保全とか、そのようなやり方については、それぞれのビジネスモデルに合った形で選択できるようにしていくことが望ましいと思います。それに伴い、どのような手数料になるのか。どのようなサービス内容になるのか。仮に万が一、事業者が破綻したときに、どのようなリスクがあり得るのか。そのようなことが、消費者、利用者に開示されていることが重要ではないかと思います。

それから、先ほど川本委員から、必ずしも資産保全が100%といっても、欠ける場合があってもいいのではないかというご指摘がありました。今の日本の銀行も決済預金は100%保護されてございますが、決済預金が提供できるのは、基本的には金融機関の選択にゆだねられていると理解しています。ですから、銀行の中には100%の決済預金、100%保護される預金を用意していない銀行もありますから、大口預金の場合はそのような場合があり得ます。もちろん1,000万円未満はないわけです。ほとんどの金融機関がそのようになっていますけれども、選択制にはなっていると理解しています。

そのようなことを考えますと、銀行でもそのような状況でございますので、送金サービス業については、そのようなことがあり得ることは十分想定できるのではないかと思います。

○岩原座長

ただいまの最後の点、齊藤委員の方からご指摘いただけますか。

○齊藤委員

少し誤解があるといけないので申し上げます。

まず、申し上げたいのは、私どもは、ICT(Information and Communication Technology)を活用し競争力を強化することについて、反対は全くしておりません。先ほどの翁委員のご発言には少し誤解があると思います。預金と為替の話は全く別の話でございます。為替での議論は、資金を一度預り送るという一連の作業の中で、送金代り金に見合う担保を積んでいるかどうかという話です。それに対し、預金として100%保護されるかどうかという話とは全く別の話です。

先ほど、申し上げましたとおり、本件は信用創造を必要としない送金目的を専業とする事業を行なうということで理解しておりますが、その観点で申し上げれば、銀行は為替取引を行なう際には、それに見合う担保を100%積んでおりまして、基本的にそれが欠けるとか取りっぱぐれることなどは全くございません。その辺は誤解があるといけませんので補足申し上げます。

○岩原座長

今、齊藤委員からお話がございましたように、確かに預金は原則は1,000万円までの保全であります。ただ、100%保全される決済預金は選択で預けることができることになっています。一方、為替取引に使う資金については、預金保険法によりまして、決済債務として完全に100%保全される法制に現行法上はなっています。これ自体、実は本当にそれでいいのかという議論はあり得るのですけれども、とにかく現状では、為替取引に関する資金については、完全に100%保護することが預金保険法の法制になっております。

○岩原座長

はい、川本委員どうぞ。

○川本委員

今のお話ですけれども、消費者にとっては預金か為替か六法全書かという世界ではありません。翁委員がおっしゃりたかったのは、銀行でも100%返ってこないことがあるということだと思います。

○岩原座長

わかりました。

それはそのとおりです。ただ、銀行のサービスの中でも、そのような資金移動にかかわるサービスに関する保護と、預金に関する保護とでは現行制度上はそのように区別していることを念のために申し上げさせていただいたということです。

はい、齊藤委員。

○齊藤委員

今のことについて、よく理解はしております。決して消費者の方を敵に回そうと全く思っておりませんので、ご理解いただきたいと思います。

実は、なぜ私がここにこだわっているのかというと、ご案内のとおり、銀行業務の中には預金業務、貸付業務、それから為替業務と3つございます。この為替業務について専業で行うことが、今回の立法の趣旨であることでよろしいですよねということを確認したかったので申し上げています。もし、これが預金業務を行うことになりますと、完全に銀行業務となり、また違った立法になるということで、ここは法律的には適切に区別をしておかないとまずいのではないかという指摘でございます。

○岩原座長

おっしゃるとおりだと思います。それはよく区別して議論していきたいと思います。

原委員。

○原委員

私も、新しいイノベーションが生まれてきて新たな業務が展開されることは歓迎しております。10年ぐらい前になりますけれども、私自身も銀行の手数料は、どのような構成で決められているのか、なぜこの送金手数料の金額になっているのか、何を根拠にして決めておられるのか、というようなことを40行ぐらいを対象に調査をさせていただいたことがあります。

ただ、40行ぐらいを対象に調査しましたけれども、ご回答があったのは6行だけで、ほかのいろいろなアンケート調査に比べても、非常に回答率が低く、大概消費者団体が調査をすると、8割から9割ぐらい事業者の方は返してくださるのですけれども、異様に低かったという印象です。それから、ほとんど何も書いておられなかったものがありまして、やはり高い手数料の根拠が相変わらず見えていないようなところで、新たなイノベーションというのは大変歓迎しています。

ただ1点だけお願いがあります。先ほど、岩原座長が、ご自分の体験で話されたところは私も共感するところがあります。どこまでをセーフティーネットというのか、保全を図るのかというところでは、金額の多寡だけではなく、その送金の性質みたいなところもあります。保険の場合は、保険料自体はそれほど大きな金額ではないですけれども、保険契約自体は非常に大きな契約である場合もありますので、そのあたりは単純に金額だけではない配慮も念頭においていただけたらと思います。

以上です。

○岩原座長

それでは、今松委員お願いします。

○今松委員

基本的に競争というか、いろいろな格好で、今、銀行しかできない業務を開放することで銀行自体もさまざまな料金引下げ等々に働くという、現時点での規制をより緩和する。この方向はとっていくべきで、そのような枠組みとして、この資金移動サービスを提供していくか、これは消費者にとっても非常にいいことで、やっていかなければいけないことだろうと思います。

同時にそこでの問題として、安全性とかそのようなところは重要であり、そこについて今出ている100%の資金の保全云々だけではなく、池尾委員もおっしゃられたような具体的にもう少し手だてとして保険以外の手法とか、そのようなものがあり得るのかどうなのか、この論点ペーパーのところだと、海外の場合、アメリカなりヨーロッパ、EUの場合は、基本的には全額に相当する額の保全でやっている。ほかの手法は、これが現時点で保険以外のところ、あるいは財務内容等々についてのこともあると思うのです。そこまで入ってしまうと、現実に参入は難しくなってくるところから考えれば、よりシンプルな形で、なおかつ消費者にとってわかりやすいものとして提示しておく必要があるのではないかと思います。

それと、本人確認等々、つまりマネーロンダリングとか、これは当たり前のことながら論点のところにありましたけれども、これはやるべきだろうと思います。あと、やはり国際的な資金移動です。これは途上国の問題でもあって、非常に出稼ぎの人の実際の送金等々については特段というのがあるわけですから、このような点が、例えば今、銀行自体の中でもできるのかできないのか。恐らく、これは難しいとすれば、このような専業の形で全体としてコストをより削減した形で、なおかつ安全性を維持した形のものができれば、それはやはり国際的にも、今貧困の問題とかそのようなものに資するわけですので、日本としてはこのような点は先進的にやっていくべきではないかと思います。

○岩原座長

ありがとうございます。

畑山委員どうぞ。

○畑山委員

小口決済基盤をしっかりつくって、円の使い勝手をよくし、結果的に日本としての国際競争力が上がるようにすることが、消費者利便の向上にもつながると考えております。この手の議論をすると、どうしてもいろいろ気をつけなければいけないポイントが想起され、規制本位になり勝ちですが、そうならないようにしていただきたいと思います。こうした基本的スタンスを前提としつつも、以下、幾つかコメントさせていただきます。

まず、守屋委員がおっしゃった4つの点については、事業の性格が装置産業であるためシステムコストが大きな比重を占めると思いますので、懸念事項としてよくわかります。何とかこれらのシステム負荷を中心とする事業採算性に関する問題を解決する方向で議論が進むことを願っています。

齊藤委員が分別管理の必要性を述べられました。銀行業務のうち、預金業務・為替業務の部分は一番お金がかかります。例えば、動いていない勘定の分まで何らかの形で10年間データを持つことが非常に苦しいわけです。これにはそれなりの理由があるわけで、費用の観点だけで割り切れない問題もあろうかと思いますので、今回の送金業務を行う方にどうお願いするかは、ひとつの論点だと思います。

また、入り口のところの本人確認の問題等についてですが、他の規制等との関連も踏まえた上で、一定の枠組みを設ける必要性があると考えています。例えば、居住性の判定もしておかないと国際収支統計の推計負担が増え、非居住者送金の利用状況によっては統計ができないことにもなります。もちろんそれ以前に、犯罪なりその恐れのある取引の排除、マネーロンダリング防止の観点もありましょう。

それから、安全性を確保する手段として、分別管理で滞留資金を全額保全する方法よりも保険をかける方がサービス提供者にとって軽便ではないか、とのご指摘があったように思います。確かに保険は有力手段だとは思いますが、そうした損害保険料率が競争的に決まれば、結局、しっかりした管理を行うことと保険をかけることの差は同じ事になると思います。要は、安全性確保の手段の問題ではなく、安全性の基準を制度設計上どの辺に決めるか、と言うことが大事ではないかと考えます。

次に、「論点の整理(続)」に即してコメント申し上げたいと存じます。まず、2ページの下から7~8行目の滞留資金額の全額を、ということですが、滞留資金の管理をどんぶりでやるのか、個別カウンターパーティーごとにやるのか、個別取引ごとにやるのか、また、ネッティングを認めるか、さらに、デビットキャップを設けるかどうかなどについて、金融庁のほうではどのようなイメージなのか、いずれお示しいただけると幸いです。

2ページの最後のパラグラフですが、どっちみち送金事業者同士が連携をしていくことも考えられるわけですけれども、ファイナリティーをどうするかについては、どのようなイメージでいらっしゃるのでしょうか。

また、こうした小口決済基盤が進化する過程で、いずれセントラルカウンターパーティーが出てきて、クリアリングをしたい、ということになりかねないのですけれども、それについても同じ規制体系で行うのか、あるいは行わないのか。この辺になりますと、これは昔から検討を行っているBISのガイドライン等との関係が出てきますので、そことの関係をどう考えるかなどを、少し検討いただければいいと思います。

3ページの最後の行ですが、滞留資金額の規模、1件当たりの資金移動額の大小の区分があるのですが、岩原座長がおっしゃったように、確かに小口だからということでは余り簡単に切れないことはよくわかります。ただ概念的には、B to Bは、あるいは国際決済のところは影響も大きいので、いま議論しているのは、やはり、小口ではないかというのが私のイメージでございます。この小口の定義については、例えばある送金単位についての小口なのか、店舗を変えれば何回行っていいのか、あるいは1日当たり1人の人がどこの店舗で行っても合計額について規制がかかるのか、などという小口性の定義については、安全性や事業採算性などいろいろな観点からもう少しきめ細かい議論が必要なのではないかと思います。

最後ですが、国際的な絡みについて問題提起がありましたが、これはUNCITRAL(国際商取引法委員会)ほかいろいろなルールがありますので、それとの平仄を合わせていただいてご議論いただくべきではないかと思っています。

以上です。

○岩原座長

ご質問がございましたので、高橋決済システム強化推進室長のほうからお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

何点かありましたが、池尾委員のご指摘も踏まえて、まず基本的にお伺いしたかったのが、原則100%資産保全についてです。資産保全という書き方が悪かったのかもしれません。それは保険であっても、供託であっても、金融機関保証であっても、とにかく何らかの形をもって、倒産した場合に利用者の方に返さなければいけないお金が100%補償されるような仕組みがとられるのであれば、余り大きな信用創造だとか、そのようなレベルまで行かずに問題が解決されるのではないかということで申し上げております。必ずしも金融機関保証はだめだとか、そのような趣旨ではございません。

そのときに、兼業を前提でお話をさせていただければ、当然、経理上の区分はあるでしょう。そして資金移動サービス業で扱っているキャッシュを完全に分別管理しなくても、例えばそれに見合う額が計算されていて、その見合額あるいは保険でもいいのですけれど、補償されれば、極端なことを言えば、分別管理さえする必要がない可能性もあります。そこは分別管理と保険が矛盾するとか矛盾しないということではなく、制度設計の中で考えていく話だろうと思っています。

ですから、100%必ず保全されなければいけないのか、ある程度欠けることが許容されるのか。そのときに、先ほど吉野委員からもご指摘がございましたように、デュアルなシステムなので銀行とは少し違うレベルの落ちたものというような制度設計をしてもいいのか、それとも銀行に並び立つようなものとして厳格に作らなければいけないものなのでしょうかというところが1つのポイントです。それで大分違ってくるのではないか、また、100%の資産が基本的に保全されているとすれば、クリアリング云々のところについても、さして大きな問題が生じてこない可能性があると思われます。

ただ、もう少し検討しなければいけませんが、現実においては資金移動サービス業で想定されていますのは、必ずしもいろいろな資金移動サービス事業者の間での連接が期待されているわけではないのではないかと思っております。

したがいまして、ファイナリティーのところも、まず自分のところの中の資金移動を前提にすれば、そこでいうファイナリティーは、一体何をもって言うのかという話ですので、銀行における他の銀行を通したときのファイナリティーのレベルの話とはいささか違ってくるのではないかと思っております。

また、それから大口、小口のところにつきましても、破綻したときに原則100%の資産が利用者に返っていく前提のもと、大口、小口を分ける意味合いがどの程度あるのか。あるいは、最初から資金移動サービス業が少し銀行とは違う形態のものだという認識があるとすれば、それを理解しながらご利用していただくと、また大口、小口がおのずと分かれていくのか。それとも最初から小口は少し緩めの制度設計で、大口は何か厳格な制度をつくって、銀行に代替していただくようなものをつくった方がよろしいということなのかというところが、1つのお伺いしたいというか、議論の点ではないかと思っております。

あと最後に、最初に戻り守屋委員がキャッシュポイントのお話をされたのですけれども、それは事業者の方にとって、キャッシュポイントがいろいろ自由に使える方がいいというご趣旨なのか、その事業者にとってキャッシュポイントがたくさんあった方がいいというのか、そこに何か規制があったら困るという意味なのか、そこが必ずしもよくわからなかったのでお願いしたいと思います。

○守屋委員

現金の受払いの場所なり手段が、例えば事業者の持っているサーバの中で、例えばアカウントが管理されていて、そのアカウントの間でバリューの移替えが起こることで資金移動サービスと考えることができると思うのです。その現金を払い出す手段が、例えば、銀行の窓口なりATMでしかできませんということになりますと、端的に言うと、せっかく全銀システムを使わず資金を動かしていたのに、最後のところで全銀システムを通らなければいけないみたいなことになります。その場合のサービスコストに非常に大きなインパクトがあると考えているので、もし自前でその現金の受払いができる事業者がいれば、当然そこを使って現金の受払いをする方がコストがより安くなるという、事業コストへのインパクトの問題として申し上げました。

○岩原座長

ほかに何かございますでしょうか。

それでは、一応資金移動サービスについてのご議論は取りあえずこれぐらいにさせていただきまして、また後で戻っていただいても結構です。

次に、収納代行サービス等に移りたいと思います。

なお、資金移動サービスについては、次回以降、皆様のご意見を踏まえまして、事務局にさらに論点を整理していただこうと思います。

それでは、事務局より収納代行サービス等についての説明をお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

また資料8-2でございますが、5ページでございます。

4.収納代行サービス等。

マル1収納代行サービス等と為替取引との関係。

電気・ガスなどの財・サービスの利用料金の支払に銀行振込を用いず、財・サービスの提供者(債権者)から依頼を受けたコンビニエンスストアなどの事業者に対し、利用者(債務者)が支払を行う、収納代行サービスがあります。

例えば、コンビニエンスストアを利用した収納代行サービスについては、安価であり、営業時間が長く、待たされない等の特徴がある。

収納代行サービスの開始当初は依頼人は公共機関に限定されておりましたが、現在、その利用は公共機関にとどまらなくなっております。さらに、サービスの提供者も大手の事業者から中小の事業者に広がりをみせております。

現在、大手のコンビニエンスストアを利用した収納代行につきましては、その利用は件数ベースでは銀行送金の約半数に達しております。

最高裁判例では、為替取引は「顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行すること」と定義されております。

これを受けまして、最初ですが、収納代行業者の予見可能性、法的安定性について、どう考えるか。

収納代行サービスは、財・サービスの提供者(債権者)への支払人(債務者)が行う支払の受取であり、その後、収納代行業者が受け取った資金を債権者へ送付することは、別の行為であり、為替取引に該当しないとする考え方がある。

遠隔地にある債権者への債務の支払に際し、債務者は、銀行振込と収納代行サービスを、ともに債権者への支払のための手段として選択的に利用していると考えられ、為替取引に該当する考え方がある。

収納代行サービスは為替取引に該当する疑義があり、為替取引としての取扱いが求められる可能性があることについて、どう考えるか。

事業者が安心してサービスを提供できるよう法整備を図ることについて、どう考えるか。

マル2代金引換サービス等。

商品を購入した者の自宅等へ商品を搬送する際に、商品を搬送する運送業者が、商品の販売者から依頼を受け、商品の引渡しに際して購入者から代金を受け取り、販売者に対し受け取った資金を渡す代金引換サービスがある。

ある事業者が提供した財・サービスの代金回収を、他の事業者が代行する回収代行サービスが存在する。例えば、携帯電話会社が、携帯電話に搭載されたコンテンツの提供者から依頼を受け、電話料金等の支払を受ける際に、併せてコンテンツの使用料金の支払を受けるサービスがある。

為替取引との関係で、代金引換サービスなどと収納代行サービスの区別について、どう考えるか。

財・サービスの提供者から資金の受取を依頼された事業者と、債務者との間の資金の授受が、支払人の自宅等で行われるか、事業者の店舗等で行われるかの違いがある。しかし、債権者から依頼を受け、債務者から資金を受領して債権者に送金するという点で、収納代行サービスと同様の仕組みであり、同様の取扱いをできると考えられるか。

代金引換サービスについては、物流業者が附帯業務として行うサービスであり、言わば、商品販売支援業とも言うべきサービスである。飲食店や商店などが日常的に商品代金を扱う商売と基本的には同じであって、為替取引には当たらないとの指摘について、どう考えるか。

これは後ほどご説明いただくかと思いますが、そこの部分を先取りして書かせていただいております。

マル3利用者保護等。

収納代行業者に受領権限があることが多いと考えられるが、受領権限が明示されていない場合もある。

多くの収納代行業者は、1件当たりの取扱金額に上限を設けていると考えられる。

収納代行業者が取り扱う金額規模は大きくなっており、主要なコンビニエンスストア4社の収納代行取扱高は、平均的な信用金庫、信用組合での内国為替取扱高を超え、第二地方銀行協会加盟行の約4分の3となっております。これは両方とも平均で比べた場合でございます。

収納代行業者が、支払人から資金を受け取り、受取人に資金を渡すまでの期間は、比較的、短期間である場合が多いが、滞留する資金について保全が図られている場合は多くはないと考えられる。

収納代行業者が、受取人や、債権の内容が反社会的なものでないことの確認を行っている場合が多いと考えられる。

米国、EUでは、請求書の支払代行サービスは、それぞれ送金業、決済サービス業として整理されている。イギリスでは、受領権がある請求書の支払代行サービスについては支払人の保護が図られているとして、EUに対し別の取扱いを求めている。

EUでは、決済サービスは許可制とされているが、小規模なものについては、加盟国の判断により、資産保全等の義務を免除することが認められる。

これを踏まえまして、まず、収納代行サービス等に係る法整備の必要性について、どう考えるか。

銀行が行う為替取引や資金移動サービスと、収納代行サービスとの相違について、どう考えるか。

収納代行サービスを、銀行が行う為替取引や資金移動サービスと区別して取り扱う場合、資金の支払人の保護のほか、資金の受取人の保護、事業者が破綻した場合の社会的影響など、どのような観点からの検討が必要と考えられるか。

仮に、法整備を行う場合、現在、銀行に対しては免許制とされる為替取引について、収納代行業者に対して、どの程度、柔軟な仕組みとすることが考えられるか。

具体的には、支払人の保護について、どう考えるか。

収納代行業者が、依頼人から受領権限が与えられ、支払によって債務が解消することが明示されることや、支払人に受領証が渡されることなどが担保されれば、二重払いの防止が図られるため、支払人の保護は十分と考えられるか。

受取人の保護について、どう考えるか。

収納代行業者が破綻した場合には、依頼人に資金が渡されず、その保護が図られない場合があると考えられるか。

一般の消費者が依頼人として収納代行サービスを利用できる場合、依頼人の保護を図る必要性について、どう考えるか。

依頼人が事業者であるなど自己責任を求めることが可能な場合には、その保護を図る必要性が少ないと考えられるか。

滞留資金の保全を求めることについて、どう考えるか。事業者のみが依頼人として収納代行サービスを利用することが担保されれば、事業者を保護するための滞留資金の保全は必要はないと考えられるか。

収納代行業者の破綻によって受取人が被る損失のほか、その社会的な影響について、どう考えるか。

1件当たりの取扱金額が一定金額以下の少額である場合、社会的影響は大きくないと考えられるか。少額であることを担保する必要性や仕組みについて、どう考えるか。

収納代行業者が取り扱う規模が一定額以下である場合には、社会的影響は大きくないと考えられるか。規模が大きな場合について、どう考えるか。

収納代行サービスを利用した不適切な資金移動の防止について、どう考えるか。

依頼人や、債権の内容が反社会的なものでないことの確認によって、不適切な利用者を排除できることが担保されれば、不適切な資金移動の防止として、十分と考えられるか。

仮に、収納代行サービスとして何らかの要件を定め、銀行が行う為替取引や資金移動サービスと区別して取り扱うとした場合、その要件が守られずに、サービスの提供が行われることについて、どう考えるか。

事業者に自主ルールとして要件の作成を求めることで実効性を担保することについて、どう考えるか。

法律上の要件とすることで実効性を担保することについて、どう考えるか。

そのほか、要件を遵守してサービスが行われることの実効性の担保について、どう考えるか。

為替取引との関係以外の点について、どう考えるか。

例えば、エスクロー・サービスにおける同時履行の確保など為替取引との関係以外の点に関しては、金融の観点から制度整備を行う必要性は少ないと考えられるか。

以上です。

○岩原座長

どうもありがとうございました。

続きまして、収納代行サービス等に関連して芝﨑委員と佐藤委員よりご意見をいただいておりますので、芝﨑委員からご発言をお願いします。

なお、佐藤委員はご欠席ですので、お手元の資料をご覧いただきたいと存じます。

○芝﨑委員

芝﨑でございます。機会を与えていただきましてありがとうございます。

私の資料は後ろから3枚目にありますのでご参照いただければと思います。

まず、前提としまして収納代行の中でという一括りではなく、代引きは別物ではないかということについてご説明したいと思います。それから余り学術的な説明ができないかもしれませんが、そこはご容赦いただければと思います。

まず、代引きサービスとは、標準貨物自動車運送約款、これは国土交通省が平成15年に告示した第170号でありますが、そこの第60条にこう規定されてあります。「当店は、品代金の取立て、荷掛金の立替え、貨物の荷造り、仕分、保管その他貨物自動車運送事業に附帯する業務(以下「附帯業務」という。)を引き受けた場合には、実際に要した費用を収受します。」ということで、ここで定義されて附帯業務として認識されているということが1つ言えると思います。

また、ここには記載がありませんが、8条の運送状というところがありまして、そこには荷物を送る人は品代金の取立てを委託するときは、その旨を記載しなさいと書いてあります。ここで1つその定義がありますので、運送事業の附帯業務であろうと。いわば、商品の販売支援業と考えております。

続きまして2段目になりますが、物流業者が提供するさまざまな物流サービスの中で、お金を扱う一面だけで金融業というのは少し困ります。代金引換とは、飲食店や商店などが日常的に行っているものと基本的には同じで販売支援業だということです。ここで実際の取扱業者がどのぐらいあるかといいますと、区域は除きまして、全国ネットで行っている業者は43社ございます。

今、私の手元に資料を持っておりますけれども、43社はすべて貨物自動車運送事業法に基づき国土交通省に認可を受けた、正式名称でいきますと一般貨物運送事業者に当たります。また、取扱件数に対する代金引換の比率についてご説明いたします。具体名を挙げさせていただきますと、私どもと佐川さんと日通さん、この3社は精算事務処理会社を持っています。精算事務処理会社を持っている3社は、総取扱件数の6.8%の件数が代金引換に当たります。その他の40社は、実は総取扱件数の0.2%が代金引換の件数になります。それはすなわち3社を除くと、極めて微少な取扱件数にすぎないということが言えると思います。

この資料の出典は、東京路線トラック協議会から入手しております。

続きまして3点目、決済に関するワーキング・グループの使命というのは、銀行業に認められている決済サービスの参入拡大を検討すると、規制緩和を目的にしているのだろうと理解をしています。ただ、代金引換に関しまして、供託金や資金保全ですとか、それからマネーロンダリングになりますと、現状として問題が起こっていないところに対して規制強化になるのではないか、方向性が逆ではないかと私は考えております。

先ほど申し上げましたが、国土交通省の認可と告示に従い事業をしていますわけですから、これは届出が二重になってしまうのではないかと危惧を抱いております。

次に例を挙げます。3つの例でございますが、1つ目としまして、代金引換業とは、蕎麦屋の出前部分だけを委託されているのです。代金引換の基本形は、蕎麦屋さんから頼まれて、蕎麦を家庭へ届けるときに代金をもらう。これはピザ屋さんでもそうです。

次のページに行きまして、蕎麦屋さんだけではなくて、酒屋さんや米屋さんからも出前を委託されていますので、お金の管理が必要だから収納代行業は、少しきついと、いかにも無理があります。出前業者が倒産すると消費者が蕎麦屋さんから二重に代金を取られるかというと、少し違うのではないかと考えております。

そこで、これも少し解説させていただきますと、我々事業者が出前をするときは代金と引換に商品を渡します。これが基本です。その際、代金を受け取らずに商品を渡しても、責任は渡した側にあると言えると思います。これについて、解釈しますと留置権というのがございまして、これも先ほどの標準貨物自動車運送約款にございますが、留置権の行使の中に、品代金等の支払を受けなければ、当該貨物を渡さないと書いてあります。したがいまして、仮に品代金をもらわないで荷物を渡してしまった場合、これは出前側の責任になると考えています。したがいまして、お受取になられる方は注文したものを持っていることが、実は最大の証明であるということも言えるのではないかと考えています。

また、出前屋さんと蕎麦屋さんの間の関係は、受取側には影響がないと考えられます。次の話ですが、受取側は蕎麦屋さんに注文していますので、出前屋さんに頼んだわけではありません。物流事業者とは、あくまで蕎麦屋さんから頼まれて行っているわけですから、これはあくまで蕎麦屋さんと物流事業者の関係だと考えています。

また、さらに実際は最低でも4社、佐川さん、日通さん、私ども、それからジャパンポストさんからどう選ぶかという選択肢もお客様が持っております。例えば、実際、現実に私の妻は通信販売で物を買うときはヤマトを指定します。取引がないところでも、大体8割ぐらいは、しようがない、何とかしますと言ってヤマトで届くわけですけれども、原則扱っていない場合でも、このようにお客様の方に選択肢もあるということです。

また、さらに代理受領でございます。代理受領は販売者の延長にありますから、保護されると考えられますし、実はこの代理受領のあいまいさを明確にするために、物流事業者として足並みをそろえることで、東京路線トラック協議会が部会をつくりまして、約款上に代理受領を明記して契約をしていこうという作業を開始しております。これは逆に、この決済に関するワーキング・グループでヒントをいただきまして、それを消費者の方のためには行うべきだという議論になっております。

続きまして、次の段落に行きます。

江戸時代の呉服店のころには、番頭さんが品物を持参して、お買上げになった品物をお渡しして、そこで代金をもらい、残りは持って帰ってくるということでございます。私たちは、行って来いというところの品物の動きを中心にやっているので、販売の支援をしているというわけです。番頭さんの仕事がアウトソーシングされているわけですから、それによって販売支援をして、売る方も買う方も便利になっていると考えております。

このように、品物を運ぶことが仕事でございますので、消費者の方も販売者の方も、先ほど言いました運ぶ人の選択もできます。よりよい販売支援業者を選択することで、要は競争相手がいることによってイノベーションが推進されて、安心ではない販売支援業者は使ってもらえないということで、消費者の方は便利と安心が提供されて、さらに販売者の方も売上が上がると考えています。

また、地方の百貨店について若干ご心配があるかと思いますので、言及させていただきます。地方の百貨店は、圧倒的に地場の運送事業者を使っております。この百貨店の場合、配達までが商品という考え方が基本でございますので、配達の際に百貨店の名前を使わせます。例えば、「丸広百貨店ですよ」とか、そのような名前で対応している場合があります。

実は、ヤマトも25年前、私が百貨店を担当しているときは「三越です」と配達しましたから、クレームは全部三越さんに行ってました。したがいまして、消費者との関係でも、地方の百貨店ではほとんど1対1の関係ですから、ご心配ないのではないかと考えています。

次の段落になりますが、消費者保護を目的として、この悪徳業者の参入を防止するために、代金引換業者の登録制度を取り入れなければならないというのは、少し観念的過ぎないかと考えています。代金引換業者は商品販売者から依頼されて、輸送と集金だけを担っておりますので、代金引換業者が代金の面で消費者に迷惑をかけるケースはなかなか難しいと思います。また、その証拠に、金融庁の事務局のほうで出していただきました不祥事件の報道をしているケースには、代金引換事業者自体に起因している不祥事件は、ないというふうに言えると思います。

ここも少し説明申し上げますと、運送事業者が運送事業者として悪徳業者になるためには、国土交通省からの運送事業としての免許が必要で、事業計画を出して認可を取得させていただきます。その上で、不特定多数に出前を行うためには、建物だとか荷役機器だとか、車両だとか要員をそろえなくてはいけません。多額の投資をして、どのぐらいのお金を悪徳するのかわかりませんけれども、これは極めて現実的ではないです。前々回高橋決済システム強化推進室長より、領収書も発行しないような悪意の運送業者の話がありましたけれども、このご指摘の例を見ますと、実際は通販事業者や運送事業者を装った、騙った悪意のある者が起こした事例であって、運送事業者自体がここで代金を取って逃げたわけではないのです。これは表現としては騙ったのだと、装っただけにすぎないと解釈できると思います。だから、普通に認可を取得している者が、これを行うのはかなり厳しいというふうに言えると思います。

最後に、ヤマトフィナンシャルという名前がよくないのかなと反省もしております。要は、金融に聞こえてしまうのです。これは計算間違いを起こさないために、運送屋がお金を混同すると危険なところがあり、昔の小倉昌男という者がつくった計算センターです。誤解を受けるなら名前を変えようかという冗談も言っておりますが、あくまで宅配があって成立していることが大前提だということでご理解いただけると思います。

それから、前回の決済に関するワーキング・グループで訂正がありまして、30万円の件でB to Cはしないと言いましたけれども、これは一部の百貨店様と上得意様から、もう既にうちに要望が来ていることがわかりました。要するに、契約が発生したときに行ってくれということもあるそうです。

ただし、ここでもう一度言明をし直しますと、特定ユーザーの個別案件を行ったとしても、標準の約款上、一般の方にばらばら売ることはないということで、もう1点申し上げておくものでございます。また、そこには必ず審査等が絡むことでございます。これにつきましては、訂正と言い直しをさせていただきました。

以上が私の意見でございます。少し舌足らずで申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

○岩原座長

どうもありがとうございます。

それでは、ただいまの事務局からのご説明、それから芝﨑委員からのご意見、それからお手元にございます佐藤委員からのご意見を参考にしていただいてご議論をいただきたいと思います。

収納代行サービス等についてのご議論をよろしくお願いします。

野村委員どうぞ。

○野村(宏)委員

佐藤委員のほうからペーパーが出ておりますので、依頼するほうの立場から少しご説明をさせていただきます。

コンビニエンスストアにつきましては、この収納代行は昭和62年からお願いしておりまして、これはお客様から振込票で支払える場所を増やしてほしいとか、夜間でも支払えるようにしてもらいたいと、そのようなご要望におこたえするために実施したものでございます。

その後、今日に至るまで振込票の枚数のうち、コンビニエンスストアのほうで支払われている枚数は徐々にではありますが、着実に増加しております。振込票の4分の3はコンビニエンスストアで支払われているという実態でございます。佐藤委員のペーパーでもございますように、これまでの間、特段のトラブルはございません。円滑に料金収納を実施していただいております。

また、ライフスタイルが多様化する中で、利便性の高い支払手段として、お客様に大変好評でございます。依頼する側としても、比較的安いコストで料金収納が可能ということで大変期待しているところでございます。

収納業者の選定に当たりましては、債権者としての当社なりにお願いするために経営状況を十分見極めさせていただいて選定させていただいております。また、必要に応じて収納金の保全を当事者間の契約条件に反映するなどしてリスクの回避をしている状況でございます。

お客様の立場で申しますと、コンビニエンスストアでお支払になった時点とは、佐藤委員のペーパーにもレジスターでバーコードスキャンを使うと書いてありますが、ここでピッとやった段階でお支払になったということです。債務はもう免責されることになっております。また、収納代行業者が仮に倒産した場合、このような場合は今までございませんけれども、お客様に二重に請求するようなことはしておりません。

一番大切なことは、お客様の利便性を最大限配慮して検討していくことだと思います。

以上でございます。

○岩原座長

ほかに。

藤林委員どうぞ。

○藤林委員

ニッセンの藤林と申します。

私どもの企業は通信販売の専業会社になり、ここにいらっしゃいますヤマトフィナンシャルの芝﨑委員のところの代金引換サービス、あと佐藤委員のコンビニエンスストアの収納代行サービス、といったところを利用して代金回収を行っている会社になります。

規制に対応するために、余分なコストがかかってくると思うのですけれども、そのコストの部分が、我々通信販売の企業としては、一番気がかりなところになります。

1つは、今日佐藤委員はいらっしゃらないので芝﨑委員にお聞きしたいのですが、今、資産保全、許認可制とか利用者保護、このようなものが規制の中で考えられています。その辺に対応するため規制の内容によって変わってくるとは思うのですけれども、その辺は手数料とかに跳ね返ってくるものなのか、あるいは自社内で吸収できるコストなのか、その辺のところはいかがなものでしょうか。

○岩原座長

よろしいでしょうか。芝﨑委員、どうぞ。

○芝﨑委員

試算によりますと、どのような試算をするかにもよるとは言えますけれども、仮に50%供託としますと、11けたの真ん中ぐらいが年度末の数字ですから、その50%ですから、12けたの4分の1ぐらいの数字になります。これが供託されますと、今は金利が安いからいいのですけれども、その分お金が足りなくなります。10日で回っているお金をお支払がとまるわけですから借り入れなくてはいけないということになります。250億円、数字を言ってしまいましたけれども、最低でも資金調達しなければいけませんから、このコストは結構大きいです。今後、金利が上がりましたときには、ご相談させていただかざるを得ないだろうと考えております。

○岩原座長

先ほどから議論に出ている保全の仕方によって、コストはそれぞれ違ってくるだろうと思います。

ほかに何か。守屋委員。

○守屋委員

ドコモの守屋でございます。

実は、私ども2つの立場がございます。

まず、iモード情報料の回収代行をやっている立場から申し上げます。第5回の決済ワーキング・グループでもプレゼンで申し上げたのですが、今、ほとんどの収納代行サービスが十分な利用者保護の仕組みをお持ちであると思っております。また、決済に関する大きなトラブルはないと思っておりますので、基本的には新しい規制は必要ないと考えております。もし新しい規制が必要であったとしても、悪質事業者の排除であるとか、事業者の破綻リスク回避といった観点で、極めて限定的な規制であるべきです。すべての取引、すべての事業者に一律に規制を課す必要はないのではないかと考えております。

それから、実は私ども一方で収納代行サービスを利用する側でもございまして、全国で私ども携帯電話料金を相当数の会社に依頼をしている立場でございます。その立場から申し上げますと、現状の今の日本の収納代行サービスの状況に大変満足をしております。

特に、私ども全国津々浦々で事業を展開しておりますので、ユーザーの方にとっての利便性、最近は勤労形態であるとかライフスタイルの変化がございますので、24時間携帯電話料金を納めに行ける場所があるということは、私どもの収納コストあるいは収納体制に非常に大きな便益をもたらしていただいていると思っております。大変ありがたいサービスだと考えております。

また、私ども委託する側は、当然、契約の自由があるわけですから、その収納代行事業者が健全な事業者であるかどうかという信用調査を、私どものほうで行った上で選択をしております。そのことについては、何ら不便、不利益を感じていないといいますか、そこは自己責任、自己防衛の範囲で健全な注意義務に基づいて行うべきだと考えております。むしろ規制が加わることによって、私どもが委託している事業者が、もし登録制になり立入検査が入るようなことになるのだったら止めようとか、あるいは規制コストがかかるのであれば、不採算地域から撤退して、もうかる東京でしかサービスを提供しないようにしようというようなことが起きるほうが、私どもにとってははるかに大きな問題であると考えております。

これは私どもが、何もiモードをやっているからこのようなことを申し上げているのではなく、純粋に収納委託をする側の切実な経営上の問題であるとご理解いただければと思います。

以上でございます。

○岩原座長

ほかにございますでしょうか。

原委員。

○原委員

消費者の立場からの意見でお願いしたいと思います。収納代行サービスは大変な広がりを持ってきていて、これだけ広がってきたのは、私たち消費者にとっても利便性が高いです。それから、現状では信頼が持てることで利用しているわけですけれども、ただ、今のこの姿は、支払っている、代行していらっしゃる事業者も、それからその先にある支払相手もある程度しっかりしている事業者というとおかしいですけれども、企業としても姿がよく見えるところなので、余り心配もせずに支払をお願いしているところがあるのです。この収納代行をしているサービスの将来の姿がどのようになるのか。いろいろな事業者がこのような形での収納をするとか、収納代行業をするという事業者も、またどのようなタイプのところのものがあらわれてくるかわからないという、その将来の姿を見たときに、今は余り問題がないから大丈夫だというところにはならないのです。この産業がどのような形になっていくかも見据えた上で、私もそんな厳格なルールとは思っていないのですけれども、やはり安心してお願いできるような仕組みにはしていただきたいと思っております。

それから、先ほど少し芝﨑委員からご説明のあったいろいろな事例ですけれども、例えば蕎麦屋さんの出前は、蕎麦屋さん本体が来て、自宅で支払っているのと、それで事業で収納代行業をやっておられるのとでは、やはりそれは収納代行業の方には、私たち消費者は契約として支払をお願いしていることになります。そこは、少し姿が違うのではないかということは感じながら聞きました。

それから確かに、金融庁が前々回に出された資料を私も丁寧に読みましたけれども、収納代行を騙っての詐欺が大半であったことは指摘されているとおりではあるのですけど、ただ、細かなトラブルは、あのような大きな詐欺とか犯罪のところでの検索では入ってきていないことがあります。トラブルが全くないとは言い切れなくて、あっても軽微な場合は補償していらっしゃるということは、私はあるのではないかと思っております。

以上です。

○岩原座長

それでは、芝﨑委員。

○芝﨑委員

今のご意見ありがとうございます。

トラブルがないというところで、我々を使った悪いことが1件もないということではなくて、そのようなこともあるというのは、この文書の中でも認めております。ただ、我々自身がやっているわけではないことが1つです。

それからもう1つが、私たちは収納代行業者、フィナンシャルという名前が恐らくよくなかったと思いますけれども、そうではなくて、私たちは宅配業者なのです。運送業者だというところが基本であり、それを整理する会社を別にしているだけですので、そこは誤解をしないでいただければ幸いだと考えております。

以上でございます。

○齊藤委員

収納代行につきましては、私自身、実は結構定着した立派なシステムで、安定したシステムだと思っております。ですから、規制強化についてはどうかと思っておりますが、1点だけぜひお願いしたいことは、先般もご説明申し上げましたが、例えば、コンビニエンスストアと銀行とではマネーロンダリングの対応が違うところだけは、ぜひ是正をしていただきたいということでございます。

同じ収納用紙でも、銀行の場合は10万円以上だと本人確認を行うのに対し、コンビニエンスストアでは本人確認を行わないため、「なぜ銀行では本人確認を行うのか」というような指摘がお客さまから非常に多い状況です。これはマネーロンダリング対応として、どちらに合わせるのかは別にして、金額をどう合わせていくのかということになるかと思います。同じ収納という観点で言えば、利用者の混乱回避とイコールフッティングの観点からも、ぜひ納得性の高い制度設計をお願いしたいと思います。以上でございます。

○岩原座長

ほかにありますか。

この問題に関する議論は、1つは原委員からご指摘のありましたように、まず、現状をどう認識するかということで、問題がないというご指摘が多くあったのですけれども、一方で、例えばコンビニエンスストア等について言えば、コンビニエンスストアの店舗段階でのトラブルはいろいろあるように思っています。ただ、それがフランチャイズとしての全体のシステムでお客様に迷惑をかけないように努力されていると思います。店舗における店員の間違いとか、そこでの資金の不適切な処理がある場合とかがあることは耳にしておりますけれども、それはお客様に迷惑をかけないように、いわばフランチャイザーの方で処理をされるように努力をされていると聞いております。

そのような問題のほかに、お客様に迷惑をかけないという意味では、店舗で支払った時点で、お客様には弁済をした効力が発生して、お客様にとっては、仮にその先でトラブルが起きたとしても二重請求をされるようなことはないのだという議論があるわけです。この点について言いますと、約款等を見るとそれは明記されていない場合も結構あります。これは私法上の問題も絡んでくるわけですけれども、そのような点での利用者保護、支払人の保護について、万全な体制をどのようにつくっていき、担保していくか。それが恐らく課題としてあると思います。

そのほかに、先ほど原委員がおっしゃいましたように、今後、このサービスがさらに拡大していくとすれば、今申し上げましたように、支払人のほうの保護のほかに、受取人のほうの保護をどこまで考えるか。事業者にもいろいろな人が出てくるという問題もありますけれども、収納を依頼するほうも、従来のような公共料金のような場合だけでなく、いろいろなタイプの事業者の方が、このサービスを利用されることもあり得ると思います。

ヨーロッパですと、ドイツではラストシュリフトといいまして、個人が取立てのために、収納代行とは少し違うのですけれども、そのような支払システムを使うこともあります。将来的には、このような新しい支払資金移動システムを事業者だけでなく、個人も利用することも考えられます。

このような新しい資金移動サービスは、まさに発展が期待されるわけで、これから先いろいろな使い方をされていくときに、現時点で特に目立った問題にはなっていないことで、特に利用者保護について手だてをしないままの形にしておくのか。それとも今回、銀行に独占されてきた資金移動サービスを広く参入可能にする際、将来の多様なサービスの提供を考えて、起こり得る問題について最低限の備えをしておかなくていいのかということが、多分、ここでの問題ではないかと理解しております。

現時点では、問題が起きていないことで手当てをしないことになりますと、将来問題が起きたときに、問題が起きてから世間の騒ぎになって、そのときになって規制をかけることになると、まさに外国為替証拠金のように後追い行政だという批判を受けるわけであります。将来を見据えた上で過剰な規制にならない範囲で最低限の備えをどのようにしておくのか。多分このワーキング・グループの役目かと思っております。

何か皆様のほうからございますでしょうか。

それでは、ほぼ時間も参ったようでありますので、本日はこのあたりで議論を終了させていただきます。

本日の資金移動サービス、収納代行サービス等のほか、前払式支払手段、ポイント・サービスも含め、これまでご議論いただいたことを踏まえ、さらに論点を整理してご意見を伺いたいと考えております。

最後に事務局から連絡などがございましたらお願いします。

○高橋決済システム強化推進室長

次回につきましては、今、岩原座長よりお話がございましたように、1から4のすべての論点につきまして、いただいたご意見をなるべく踏まえた形で論点を整理した紙を用意させていただきたいと思っております。

また、日程につきましては、既にお伺いをさせていただいておりますが、正式にはまた追ってご連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○岩原座長

それでは、以上をもちまして本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

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