金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録

1. 日時:平成20年10月10日(金曜日)15時59分~17時56分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○神田WG座長

それでは、予定の時間にまだ30秒ぐらい早いかもしれませんけれども、皆様方、お集まりですので始めさせていただきます。

協同組織金融機関のあり方に関するワーキンググループ、本日は第9回目の会合になります。皆様方には、いつもお忙しいところをお集まりいただきまして、本当にどうもありがとうございます。

本日、農林中央金庫の池上部長がちょっと遅れられるということですので、皆様方、おそろいでございます。

前回ですけれども、夏休み明け後の再開、第1回目ということでして、主に協同組織金融機関の基本的考え方というものについてご議論をいただきました。委員の皆様方からは、協同組織金融機関について、相互扶助性ですとか地域密着性というんでしょうか、こういうものを発揮して、地域の中小企業金融の主要な担い手としての役割を今後どのように果たしていくのか、また果たしていくべきかということについて、大変多岐にわたるご意見、貴重なご意見を多数いただきました。どうもありがとうございました。

それで、本日は再開後のご議論をお願いする第2回目ということになりまして、前回のワーキング、この会合でもご案内させていただきましたとおり、本日はガバナンスに関する主要な論点であります2.組織、3.決算等と、前回から配付しております資料の項目でいいますと、そういうことになります。この組織及び決算等について集中的にご議論をいただければと思います。

そういうことですけれども、ちょっとその議論に入ります前に、前回のワーキンググループで神吉委員からご発言がございました大口融資規制について、事務局からご説明をしていただきます。渡邊室長、よろしくお願いいたします。

○渡邊協同組織金融室長

すみません。それでは座長のほうからお話のあった件でございます。

お手元の資料の9-2でございます。

信用金庫・信用組合の大口信用供与規制につきましては、概要は法律で定められております。すなわち信用リスクの集中を避けるため、同一人に対する信用の供与等の額は、金融機関の自己資本の額に一定の比率を乗じた額を超えてはならないという規定が銀行法にございまして、これが協同組織金融機関にも準用されてございます。ただし、やむを得ない事情がある場合には、承認を受けて規制は受けないというような制度でございます。

それで、一定の比率でございますけれども、これは政令マターになっておりまして、単体の債務者であれば25%、グループがある場合には40%ということでございます。

それで、監督の対応でございますけれども、基本的には与信リスクの管理でございますので、まずは金融機関がみずから適切に行っていただくべきものということでございます。監督のやり方につきましては、個々の機関によって違いがありますので、一律にこうしているということは言えないことをご理解いただきたいと思います。ただ、監督運営に当たっての基本的な考え方といたしましては、資料にありますとおり監督指針に盛り込まれているところでございます。すなわち、金融機関の自己資本比率に大きな影響を与える可能性のある与信先が認められるような場合には、当局は金融機関に対しましてヒアリング、それから銀行法24条の報告徴求を行うことを通じまして、着実な管理、それから改善を促していくということでございます。大口信用供与超過先が認められた場合には、こうした報告をとるんですが、具体的な解消計画といったものを求めていくということになります。

それから、限度額超過承認の話ですけれども、このケースとしては、与信先が合併したとか、そういったケースが考えられます。この点につきましても、超過の解消に向けた計画を求めるとともに、定期的に計画の履行状況を報告していただくということで進めているということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今の事務局の説明につきまして、もし皆様方からご質問等がありましたらお聞きしますけれども。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

質問といいますか、一言申し上げたいことがございます。大口融資規制の目的は、第一に、もうご説明があったのですが、信用リスクの分散です。信用リスクの分散は、リスク管理の要諦でございます。それから、2つ目が信用の適正配分・分配ということでございます。

それから、3つ目が取引先との関係の規律、つまりは機関銀行化の防止ということになろうかと思います。

これらを踏まえますと、相互扶助を目的とします協同組織金融機関において大口融資規制違反がもしあるというようなことになれば、これは結局、特定の先に集中して貸しているということですので、制度理念に反するというような見方もできると思います。特定の会員、組合員のための金融機関ではないというところからも、そのように言えるのではないかと思われます。

それから、最後に、もし仮にこういう事実があったとしても、会員や組合員、あるいは預金者は、このような経営が行われているということを知ることができない、知る手段がないということを申し上げておきたいと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかに、今の点についてもしご発言があれば伺いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、本日の本題に入らせていただきたいと思います。本日は、事務局のほうで前回のご議論を踏まえまして、協同組織金融機関のプレゼンスに関する資料、それから協同組織金融機関の組織及び決算等について制度の現状を整理した資料を用意していただきました。また、論点メモにつきましても、前回のご意見等を踏まえまして若干の整理をしております。そこで、これらにつきまして、まず小野参事官から説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○小野信用制度参事官

それでは、まず、協金WG、右肩に9-3とついた資料のほうをごらんいただきたいと思います。この資料につきましては、実はご記憶のとおり、前回の議論で私どものほうで協同組織金融機関の推移ということを昭和63年ぐらいから、あるいは平成の初期からずっと見たわけでございますけれども、その中で、必ずしもこの数字が十分に協同組織金融機関のプレゼンスというものをあらわしているかどうか、どうだろうかというようなご疑念がございました。結局、私どもとしましてはアプローチは2つあるのかなと。1つは、前回同様少し、ほかの水準を拾ったマクロ的な、マクロの数字から見たアプローチというものと、あとは確かに何人かの先生からご指摘がございましたように、なかなか数字にはあらわれない部分というのはあるんだろうなと思っております。結局そういうのは、なかなかミクロ的なアプローチと申しますか、個別具体的にどういうことをおやりになっているかということを、やはりもう少しこの協金ワーキングとしても把握していかなくちゃいけないのかなということで、実際そういうご発言も何人かの先生からございましたが、実はそういうことで、協同組織金融機関の方々とご相談していまして、次回以降、具体的なミクロで現場でどういうようなアプローチをしているのかということについてのプレゼンテーションもお願いしているところでございますが、今日はとりあえずもう少しマクロ的な数値を拾って、協同組織金融機関のプレゼンスというものを見てみたいということでございます。

表紙をおめくりいただきまして、2ページをおめくりいただきますと、地域の金融機関の計数の比較ということで分析したものがございます。

1番目が金融機関の数でございます。これは前回お示しした数字でございますけれども、地銀、第2地銀、信金、信組と業態別に地域金融機関の数を示してございます。これを見ますと、前回もご説明しましたように、合併とか破綻等がございまして、第2地銀、信金、信組の数は減ってございます。ただ、一方で、店舗数を見てみますと、第2地銀と信用組合につきましては、もちろん機関数が減ったということでございますので店舗数は大幅に減少しておりますけれども、信用金庫の業態を見てみますと、この上の金融機関の数の減少の割にはほとんど店舗数は減っていないという姿が見えておりまして、そういう意味では、店舗数という観点から見れば、確かに信金のプレゼンスは決してこの平成元年においても落ちていないということが、この表から見てとれるのかなと思ってございます。

次に、3ページをめくっていただきまして、今度は預金という観点から見て、同じくこの4つの地域金融機関の平成元年から平成20年の動きを見たものでございます。これを見ますと明らかなように、預金につきましては地銀が大幅に預金の量をふやしてございます。また、信金も同じように預金の量をふやしてございます。第2地銀は微増、信用組合は微減という形になってございます。

次に、下の表の貸出金を見てみますと、同じくこれを見て明らかなことは、地銀が同じく貸し出しも伸ばしている。一方で、第2地銀は同じく微増。それから信金も伸ばしております。信用組合は、やはり数等が減った影響もあるんでしょうか、大幅に減少しております。

これから何が言えるかということは、この預金と貸出金の上と下の表を見比べると言えることは、地銀は預金の増加にふさわしくというか、バランスよく貸出金を伸ばしている。第2地銀もそういうことでございますが、信金のほうは預金の伸びほどは貸出金が伸びていないということで、1つ言えることは、今後こういう運用力というものが、当然集めた預金をどう運用していくのかということが課題になると、そういう姿が読み取れるのかなというふうに考えてございます。

以上が、もう少しマクロ的に見た数字でございますが、繰り返しになりますが、やはりこれだけではなかなかミクロで、どういうところでまたそういう協同組織金融機関、信金、信組が独自性を発揮しているのか、プレゼンスがどうなっているのかというのはわかりませんので、今後、もしミクロレベルでどんな動きをやっていらっしゃるのかということを、教えていただければというふうに考えてございます。

それから、次に、今度は本題に入りまして、今日のガバナンスに関する資料を幾つか用意してございます。後ほどの論点にも関係することでございますので、先にご説明いたします。

そもそも今回こういう表をつくりましたのは、前回のご議論のときに、前回の総論の議論の中で総会、総代会というものが、ちょっと実態がよくわからないというような先生方のお声もあったことを踏まえまして、実際、総代会でどんなことをやっているのか、どんなものを開示しているのかということにつきまして、私どものほうでいろいろ調べてみましたものでございます。

なお、前回も申しましたように、総会というものは会員数、組合員数の数が多いのでなかなかできないということで、総会を実際にやっていらっしゃるところは、ここにありますように信用金庫で2金庫、信用組合で5組合でございます。そのかわりとして総代会ということを開催しているわけでございます。

ただ、その総代会でどういうことを取り組まれているかということにつきましては、さまざまでございます。定年制をしいていらっしゃるところ、重任制限をしかれているところ、定年制は結構信金さんでは3分の2ぐらいしかれていますけれども、重任制限については余りないとか、同じく開示の状況を見ましても、何らかの形でいろいろな開示はやっていらっしゃるわけですが、その開示項目につきましては相当ばらつきがある。すなわち、総代会の仕組みにつきましては開示されているところが多いわけですけれども、下のほうへいきまして、総代会の模様ですとか総代の属性別構成比になると、あまり開示されているところはそんなに多くないということでございます。

また、会員・組合員の意見を反映する仕組みというのもいろいろやっていらっしゃるということでございますけれども、そのやり方も、アンケートというような形式からモニター、または懇談会の実施という形をとって、さまざまだということが、この表から見てとれるのかなというところでございます。

次に、そういう総代会の概要と申しますか、中身をディスクローズして、どういうふうに開示されているかというのを、あくまでも参考として、実際にどういう開示されているかをちょっとサンプルでとってみたのが次でございます。これにつきましても、これを見れば明らかなように、例えば総代の候補者の選考基準などを見ましても、その開示の仕方というのはさまざまである。また、総代の氏名を公表するか非公表にするかについても取り組みはさまざまというところが読み取れるかと思います。

次に、6ページにいきまして、6ページは、今度は監事制度と銀行の監査役制度を比較したものでございます。ちょっと複雑な表で恐縮でございますが、信用金庫は基本的に預金等総額50億かどうかで一つ一回切りまして、もう一つ、さらに預金等総額200億かどうかで切っておりますけれども、信用金庫につきましては、既に皆さん、預金等総額がすべての信用金庫で200億円以上でございますので、すべてこの点線の中の取り決めというか、規制が入ってきているという状況にございます。つまり、員外監事を置くこと、その理事が監事の選任に関する議案というものを総会に提出するには監事の過半数の同意が必要だとか、そういうものがかかわってくると思います。

一方、信用組合につきましては、今ちょっと仕組みが複雑なものになってございます。まずは、この一番上の員外預金比率が10%かどうかというところで、まず1回線が引かれます。もし員外預金比率が10%未満であれば、預金等総額の多寡にかかわらず、この規制としては基本的なもの、例えば、真ん中にあります総代会の選挙または総会による選任ですとか、下のほうにある組合員からの解任請求手続ですとか、総代会に出席し意見を陳述できるとか、この規制しかかからない。この下の注にもございますように、預金等総額が200億円以上かつ員外預金比率10%というときには常任監事の選定義務があるというふうになってございます。つまり、200億円以上ですと、この点線の、先ほどの信用金庫と同じような規制というか条件がかかってくると、そういうやや複雑な仕組みになっているところでございます。

最後にディスクロージャーの関係の状況でございます。信用金庫、信用組合、銀行と、一応参考のために銀行を横に並べてございます。ご承知のとおり、今、信用金庫と信用組合の決算は年1回、年度ということになっております。一方、右側の参考でございますけれども、銀行は金融商品取引法の規制がかかってきますので、この(注7)にございますように、上場銀行、優先出資証券を上場しています信金中金に対しましては、現在は四半期開示を求めるということになってございます。

開示につきましては、信用金庫、信用組合は年度は義務、それから半期は「△」ということで努力義務ということになってございます。銀行につきましては、先ほど申しました上場銀行、優先出資証券を上場している信金中金につきましては四半期の開示が義務づけられている状況にございます。

監査につきましては「△」となっておりますが、これは(注2)に書いてございますように、信用金庫につきましては特定金庫ということで、預金の総額200億以上、組合につきましては預金総額が200億以上かつ員外預金比率が10%以上というところは監査義務がかかるというところになっているということでございます。

以上、簡単でございますけれども、ディスクロージャー関係の資料をご説明しました。

本体に戻っていただきまして、論点メモ、WG9-1につきましてご説明させていただきます。

前回、非常に活発なご議論をいただきまして、またその後もいろいろメモの形でいただきました。追加的なご意見をいただきましたので、そういうものはすべてできる限り反映させていただいております。本日はガバナンスをご議論いただくわけでございますけれども、その前に総論につきまして、特にこれは全体に係ることでございますので、どういう追加があったかというのをごくごく簡単に説明させていただきまして、その後、ガバナンスの主な論点、これも前回ご説明しましたので、もう本当にごくごく簡単に、かつ追加分を中心にご説明させていただきます。なお、中小企業金融業務等、他の項目につきましては次回以降に集中的にご審議いただきますので、その際に追加分等もあわせてご説明させていただきたいと存じます。

それでは、この論点メモをお開きいただきまして、2ページ以降でございますが、その追加部分があったところにつきましては、まず3ページにつきまして、前回のご意見で、小規模な小粒な信用金庫・信用組合でも強力で有力なものとして育てることが必要じゃないかという追加的なご指摘があったところでございます。

また、4ページで相互扶助というもの。4ページの上のほうでございますが、一番上のところにございますが、村田委員、原委員から出されています、金融における相互扶助をどのように考えるのか。貸し出しが相互扶助なのかどうかということをよく考える必要があるというご指摘が追加的にあったところでございます。

それから、1ページ飛ばしまして6ページ目の上から3つ目でございますが、アンケート調査を見ても、メインバンクとしての金融機関に対する中小企業経営者の満足度というのは、むしろ銀行より信用金庫・信用組合のほうが高いんじゃないかというようなご指摘が追加的にあったところでございます。

次に、7ページでございますけれども、7ページの「また、以上のような論点の他」のところでございますけれども、幾つか新しいご指摘がございます。

まずは一番上でございますけれども、この協同組織金融機関が果たすべき役割は何かと、そういうものを打ち出してから制度設計というものを考えていくべきじゃないか。それから、貯蓄から投資へという流れの中で、この協同組織金融機関はどういう役割を果たしていくべきか。それから、地域の金融機関としての協同組織金融機関の強化、協同組織性の維持強化のために何ができるのかということを考えていくべきだ。また、1つ丸を飛ばしまして、協同組織金融機関全体でこうあるべきだというだけじゃなくて、地域の特性に合わせた自主的な判断をある程度認めるという方向も大事だ。それから、またもう1つ丸を飛ばしまして次の丸で、地域に対するつながりをどう評価すべきかとか、次の丸では、我が国の金融システムにおける協同組織金融機関のポジショニングをどう評価すべきか。それから、次の丸で、オーバーバンキングに今なっているのか。預金の増加に比べて貸し出しが伸びないというのであれば、その預金をどう使うか考えるべきではないか。それから、次のご指摘として、監督のあり方や破綻処理というものが銀行と協同組織で同じでよいのか。それから、再編、連携ということも必要という考え方もあるけれども、一方で大規模化の問題というのがあるので、それをどう考えていくのかということでございます。

また、次の8ページの真ん中あたりでございますけれども、信用金庫・信用組合の方々からは、やはりこの地域の人と人、企業と企業のつながりを紡ぐ相互援助の地域金融機関の重要性というものをちゃんと考えると、現行の信用金庫制度は堅持されるべき。また、信用組合につきましても、地域、業域、職域の人々のきずなを生かすという意味で、信用組合制度は維持されるべきというご意見があったところでございます。

以上が、前回のメモに新しく加えさせていただきました論点でございます。

それでは、恐縮でございますが、きょうの論点、集中的にご議論いただきますガバナンス、14ページ以降につきましてポイントだけご説明させていただきます。

組織論につきましては、まず、先ほどもちょっとご説明しました16ページの総代会でございます。総代会につきましてどう考えていくかということでございます。先ほどいろいろな取り組み、自主的な取り組みということでいろいろやっていらっしゃるということにつきましてはご説明したところでございます。

そういうものを踏まえまして、17ページでございますが、今回、新たな論点として、前回のご議論で、この上から4つ目の丸でございますけれども、日常的に取引のある者が総代や理事になっている現状にかんがみれば、そもそも選任基準がどのようなものになっているかについても議論すべきではないかという論点が前回新たに出されたところでございます。こういうものを踏まえまして、総代会制度の改善策をどうするか、定年制導入ですとか、ここに書いてございますような総代の職業や構成を開示すべきだとか、信用金庫の総代選出方法に選挙を加えるべきだというような改善策のご提案があったところでございます。

ただ、そのようなご提案に対しまして、やはり総代の選任制度等を工夫しても、なかなか経営監視機能を期待することは難しく、むしろ理事会機能の強化を図るべきではないかというようなご指摘、それから、次のページにいきまして、もう既に協同組織というものは、もともと会員・組合の組織なんだから自主的な取り組みをやっているというようなご指摘がございます。

こういうものを踏まえまして、会員数・組合員数が多いという理由から総会にかえて総代会制度を採用している現状、これをどう評価するか。総代または総代会制度の現状にかんがみて改善すべきじゃないかというのが、1つ大きな論点としてご審議をいただければと思います。

次に、理事会でございますが、理事会につきまして、一番下のほうでござい ますけれども、社外理事の役割をどう評価するか。ある研究によれば、社外理事というのは非常に保守的な経営を要求しておりまして、望ましい機能を果たしているという評価があるというご指摘がございます。

また、次の19ページにいきまして、ガバナンス改善策という観点から職員以外の会員理事をふやす必要があるんではないかとか、大規模な協同組織金融機関ほど委員会とか監事会を設置すべきではないか。また、役員の定年制を導入すべきではないか。それから、社外の理事が期待される役割というものがきちんとできるような権限、責任、それから報酬というものを定めるべきじゃないかというようなご指摘がある一方、19ページの下にございますような、そもそも今、非常にプロとしての経営者の能力というのが要求されているので、そうなるとどうしても常任理事というものは減らすことはできないですとか、そもそも職員以上にノウハウや知見を持った者がどれだけいるのか。十分な能力のない者が理事になると、かえってチェック機能が低下するですとか、職員以外の理事を多数登用すると、信用金庫の経営の独立性、安定性、専門性が阻害されるというようなご指摘がございます。さらに、20ページにいきまして、そもそも金融業務が高度化している現状からは、むしろ金融に精通している理事が必要じゃないか。このような両方の説がございますけれども、このようなご指摘を踏まえまして、理事または理事会制度について何か改善すべき点はないのかということでございます。

次に、監事でございますけれども、監事制度は先ほどご説明したとおりでございます。これにつきまして、特に監事会制度というものをどう評価するのか。今、現行では監事会制度というものは必ずしも法令上の制度になってございませんけれども、例えばそれにつきまして選択性のようなものを導入することも考えられるのかというようなご指摘がございます。このようなご指摘を踏まえまして、また、その一方で、単に監事会制度を設けましても、下のほうでございますけれども、実質的な監事の任命権限をだれが持つかによって機能の仕方が異なってくるのではないかというようなご指摘もございます。そういうものを踏まえまして、監事会制度につきましてどのように評価するのか。監事会制度を法令で明確に位置づけ、監事会制度の選択を行えるようにすべきではないかというようなことも、ぜひ1つ大きな論点としてご審議いただければと思います。

次に決算でございますが、決算につきましては、まず半期決算は、先ほどご説明しましたように法令上は義務づけられておりません。しかし、一方で、21ページでございますが、幾つか論点がございます。1つは、やはり半期開示を行う以上、ルールに基づいて算出した数字をベースにすべきではないか。それから、上から4つ目の丸でございますけれども、統一ルールに基づいた決算数値による信頼し得る情報をタイムリーに提供するということは、地域から信頼を受けることになるのではないかというようなご指摘がございます。このようなご指摘を踏まえまして、これからご説明します半期開示との関係を踏まえて、この信用金庫・信用組合の半期決算についてどう考えるかという論点がございます。

それから、半期開示につきましては、先ほどご説明しましたように、信用金庫・信用組合、法令上努力義務ということでございます。一方、上場銀行は四半期開示が義務づけられてございます。ただ、自主的な取り組みとして半期情報開示というものに努めていらっしゃるということでございます。これにつきましては、どう評価するかということでございますけれども、やはり適切な情報開示規制というものはガバナンスの改善策として有効であるというご指摘、やはり開示項目の後退というものは、むしろ協同組織金融機関としてよいことではないというご指摘、次の22ページにいきまして、ただ一方で、一番上の丸でございますが、開示の簡略化については、その特性に配慮してもよいのではないかというご指摘がございます。

そして、信用金庫・信用組合の方からのご意見といたしまして、やはり信用金庫業界の申し合わせ事項のレベルアップを含めて前向きに検討していくことが望ましい。また、信用組合につきましても、半期決算を導入することの是非については十分な議論を行う必要があるが、やはりより充実した半期情報開示に努めるなど、真摯に検討することが望ましいというご指摘がございます。このようなことを踏まえまして、先ほどの半期決算とあわせまして、財務内容のタイムリーな開示というものを担保するために信用金庫・信用組合に半期決算及び開示を義務づけることについてどういうふうに考えていくかということについてご審議いただければと思います。

最後に外部監査でございますが、外部監査につきましては、これも先ほどご説明しましたように、一定の要件を満たす信用金庫・信用組合のみ義務づけられてございますが、実際にはすべての信用金庫、それから信用組合は164組合のうち128組合において外部監査が行われている現状にございます。先ほど申しましたように、この外部監査の要件というのがございますが、これをどう考えるか。もう10年経過しているので、そろそろ見直しをするべきではないかというご意見がある一方、協同組織性に配慮する観点から設けられた基準であるので、慎重な対応が必要だという、また別のご意見もございます。この外部監査につきましてどう考えるか、ご審議いただければと思います。

以上、簡単でございますが、きょうの論点をご説明させていただきました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、今いただきました事務局からのご説明を踏まえまして議論に入らせていただきたいと思います。総論のところについても何か言いたいことがあるという委員の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、きょうは主として2.と3.の各論を処理させていただきたいと思いますので、もしそれに関連して総論にわたる部分のご発言があればしていただいて結構ですので、まずは2.の組織のほうですね。論点メモ、今ご説明いただきました資料9-1の、ページ数でいいますと14ページから20ページまで、ここに2.組織としまして総論というのも含めて両括弧で4つの項目があります。これらについてご意見を伺いたいと思います。3.の決算等はその後でということにさせていただきます。

この組織について、順番に総論、総代会とやっていいんですけれども、相互に関連するかもしれませんので、どの項目についてでも結構でございますので、どなたからでもご質問、あるいはご意見をお出しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

最初に、このWG9-3の資料のことでちょっと質問をさせていただきたいんですけれども、この資料の4ページで、総会・総代会に関する取り組みという資料が出ていますが、この「地域密着型金融推進計画」進捗状況というものは、公開されている情報なのかという点を1つ目に聞きたいと思います。それから、これが19年3月になっているということは、20年3月ではなくてということですから、1回限りで調査が行われたということなのかという点もお尋ねしておきたいと思います。さらに、仕組み、属性、構成比等々について開示されていると書いているが、その開示はどこで行われているのか。例えば店頭のポスターで開示しているとか、いろいろあり得ると思うんですが、どういう開示をされているのか。それらの点について、まず事実を教えていただきたいんですけれども。

○小野信用制度参事官

まず、これにつきましては、この上の信用金庫の定年制と重任制限のところと総代会における報告は、これは進捗状況には含まれていない項目でございますが、これは独自に全国信用金庫協会のほうでお調べいただきまして、きょうの資料に載せてもよろしいということで、ここに載せていただいた数字でございます。それ以外の数字につきましては、項目は既にこの表から取ることができます。これは、あくまでも例のリレバンのフォローアップでやったものですから、19年まででございまして、20年はやっておりません。

○家森委員

開示はどういう形で開示されているということですか。

○小野信用制度参事官

ディスクロ誌でございます。各信金、信金のディスクロ誌で開示されているところでございます。

○家森委員

ということは、例えば20年に関しても信金の全部のディスクロを見れば、ここの情報が全部わかるという、そういうことですね。そうですか。わかりました。じゃ、本題のほうに入らせていただきます。

まず、信用金庫・信用組合は規模が非常にいろいろである。それから地域が多様であるということで、さらには今のように経営環境が非常に変わる中で、それぞれの経営者や経営チームが対応しようということですので、ガバナンスを余りがんじがらめに決めるというのは無理かなと思います。でも、同時に最低限の要件等は定めたほうがいいのではないのかなというふうに考えます。その中で、私自身は純然たる員外の理事は必要ないのではないかというふうに考えて、そういうものを義務化する必要はないのではないかと思うんですが、他方で、職員外の会員理事というのは、やはりこの協同組織の会員や組合員の代表という人が理事会にいるという観点で必要ではないかというふうに思います。さらには信金法で、信用金庫に関しては5人以上理事を置くというふうに決まっているわけなので、会員理事がいらっしゃっても、それで経営能力がなくなるということも生じないでしょうし、仮に問題があるとしても、執行役員制度等を採用すれば十分対応できるんではないかというふうに思います。

ただ、現実問題として理事の責任、特に社外者理事の方が役員になった場合に、社外取締役のように事前に責任を限定することは今の制度ではできないそうなんですけれども、そういうような、せめて株式会社と同じような環境を整えないと、いい方が社外理事になっていただけないというようにも心配しますので、社外者理事になっていただけるような環境の整備というのも必要ではないかと思います。

それから、実際名前を貸すだけという社外者理事では意味がないので、最近上場会社のほうで義務づけているように、やはり出欠状況についてきちんと開示をするぐらいの形も必要ではないかと感じました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

それでは、佐藤委員、原委員の順番でお願いします。

○佐藤委員

総論ということなんですけれども、組織についてガバナンスという点を考えたときに、筒井参考人のお話にもありますように、株式会社組織のほうがガバナンスがいいという優位性は立証されていないというお話もありましたけれども、そのガバナンスについて総代会のあり方であるとか、そういったことは、やはり理事の選任であるとかいうことが幾つか論点として出ているわけですけれども、総論として申し上げると、今さら申し上げることもないんですけれども、信用金庫・信用組合、協同組織金融機関が何をするのか。本当にそうした役割を果たしているのかということをしっかり担保するためのガバナンスということになると思うんですね。そういう意味で申し上げますと、ガバナンスのそれぞれのあり方というものも、そうしたことが全うされるかどうかということが、やはりガバナンスという点でもしっかりと考えられなければいけないんじゃないかという、当たり前のことだとは思いますけれども、そういう意味でそれぞれの協同組織金融機関のあり方、ガバナンスのあり方について、そういう観点からしっかりと検討していただけるということが必要だというふうに感じているんです。

例えば株式会社と違いまして、信用金庫の場合に、地域で非常に常日ごろ監視といいますか、そういったものが集中して狭い地域で、大勢の会員の方々の利用者といってもダブっているわけですけれども、そうした方々の監視があるという、そういう中で何をしているのかということを常に問われているというふうに非常に強く感じるんですけれども、そういうふうなことで考えますと、総代会もしっかりと機能するように、最近では金融庁のほうの監督指針の中にも総代会の機能をしっかり高めるようなことをやっているのかどうかという、そういうふうなことも入れられるようになってまいりましたし、そういう意味で非常に意識して努力しているという状況だと思いますので、そうした意味でガバナンスということを考える場合に、それぞれの特性に合わせたガバナンスがどうあるべきかということを自主的に努力していることを認めて、その上での議論をいただきたいなというふうに思っております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、原委員、それから渡邉委員、若松委員の順でお願いします。

○原委員

まず総論のところでガバナンスのあり方というのが書かれているのですが、14ページの一番最後のところに「ある研究によれば」ということで、破綻事例の分析で経営に欠陥がありというのは6割ぐらいで、これは、今日の参考資料9-4でつけられている部分の78ページに、そのデータが出ているのですが、これを見ると、やはり銀行に比べて有価証券投資等の失敗とか不正・不祥事件というのが多くあるということで、こういうのを見ると、ガバナンス総体としてやはり弱いのではないかという印象がありますので、ぜひここのあたりは強化をしていただきたいと思っています。ただ強化の方法も、それぞれの取り組みとか自主的な努力というのがあると思うので、そこの否定はないのですけれども、資料の9-3の、先ほどご説明があった4ページの部分で、どれだけ開示をされているか、総代会の仕組みのなかでの総代候補者の選考基準、これは、例えば信用組合だと163のうち41しかこういった選考基準を開示していらっしゃらないですし、それから、総代会の模様も開示していらっしゃる率がすごく低い。それから、一番最後の段落にあります総代会における報告という部分も非常にディスクロージャー、余り開示されていないという印象があって、私は、開示をするというところは、やはり基本的にきちんとそろえた形で開示をしていただきたい。そうすることによって外からチェックをすることができる。どれだけ自主的努力をおやりになっていらっしゃるかということを見ることができるというふうに思いますので、この開示のところはきちんとルールをつくっていただきたいと思っております。

それから、17ページの一番最後の行のところで、総代の選任制度とかを工夫しても限界があると書かれていて、理事会の機能強化ということを書かれておられるのですが、私は、やはり協同組織は、総代会は非常に重要だという印象というのでしょうか、非常に重要な機能を果たすように仕組んでいただきたいと思っておりますので、もちろん理事会の機能も、もっと機能強化を果たすべきというところも私は賛成なんですけれども、総代会の機能をもっと果たす、役割を担わせるというところに力点も置いていただきたいと思っております。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。

それでは渡邉委員、どうぞ。

○渡邉委員

私は、佐藤委員のちょっと補足をさせていただきたいと思います。私も地元の信金を利用させていただいている会員でありますので、ちょっと言わせていただきたいなと思いまして手を挙げさせていただきました。

これは本当に私の声なんですが、信金さんの職員というのは、本当に地元の出身者さんなんですね。ですから、信金さんに入るということは、私たち会員と一生のお付き合いということになります。ほかの銀行なんかでは、転勤していかれれば、例えば私は浜松なんですけれども、静岡に転勤してしまったり名古屋に転勤してしまったりすれば、もうお会いすることもないという事実があるわけです。ところが、信金さんの場合には地元の職員なものですから、例えば私の支店で転勤なさったとしても、必ずどこかでまたお会いすることがあるわけです。そういう狭い地域の中でやっているものですから、私としてみると、総代会だけが意見を述べられるところではなく、銀行さんの総会のように、そのときしか皆さんに意見が言えないのではなく、私どもはそれこそ本当に理事長とも近くでお会いすることができて、率直に意見を言うことも、たまたまそういう機会がいっぱいあるわけです。そうなると、総代会というものがそんなに重要なのかという気持ちが私の中ではあります。そのぐらい信金さんというものが身近なところにあります。だから、ほかの銀行と違うというところは、地元の職員さんは一生地元で私たち会員と付き合っていくという、その看板を背負っているわけで、皆さんの頭の中には常に、悪いことはできないなという、そういう気持ちが常に頭の中にあるなというのは私たちから見てもわかりますし、それを背負っている経営陣ともなれば、大変なプレッシャーをお持ちだと思います。それ自体がもうガバナンスなのではというような感じを私は持っております。ですので、ちょっと銀行さんとは違う地域性というものがあるので、一言会員としての意見を述べさせていただきました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

お隣の若松委員。

○若松委員

今の委員の方のお話を聞くと、やはり信金・信組というのは、その地域によって全然違うんだなと。東京で暮らしている我々のイメージからすると、今のお話だと、やはり信金・信組というのは地域によって、その規模によって大きな差というか、格差が大きいんだなというふうに改めて実感しました。そういう意味においては、今まで前の委員の方たちもおっしゃったように、信金・信組の場合に特定の取り組みを一律に義務づけるというのは余り得策ではないのかなと思います。ただ、そのかわりに総代会というものをやはりしっかりと機能させるためには、できるだけ開示項目、総代会の模様とか、一体選考基準はどうなっているんだとか、ある程度のものは努力というよりも義務に近いぐらいの形で積極的に、これは開示しなさいと、利用者とか会員、組合員がしっかりと監視できる、チェックできるように、開示にかなり私はウエートを置いていくべきではないかなと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

さっきの原先生の破綻のお話であったんですが、経営者の能力がないというか、経営者がよくないときにきちんとかえられるかどうかという、それをだれがきちんとやっていけるかどうかということが1つあると思うんですね。それで、普通の株式会社であれば、14ページに出ていますように毎年株価が変動していますから、余りにも悪くなれば何かおかしいということがわかるわけですから、そうすると、何百とある信用金庫・信用組合の場合も、ある程度の経営指標を全国的に比較して、それで、やはりそういうところが非常に悪いのであれば、そこからガバナンスとしての力を発揮していただくということができるんじゃないか。そういう意味では、経営指標をある程度比較できるような形で開示するということが必要で、その開示の後、ある特定の信金・信組さんが余りにもほかと比べて経営状況がおかしくなっていれば、それをきちんと変えられるようなガバナンス、これが実際に働くかどうかということが1つだと思います。

それから、14ページの真ん中ぐらいのところで、この表現がこれでいいのかどうかということなんですが、「協同組織金融機関の市場は不完全競争であるため、規制緩和により競争を激しくすると、株式会社形態のほうが効率的という結果になるのではないか」というんですけれども、これはやはりどんな金融機関であろうが、経営効率がよければ預金金利は高くなりますし、借り入れる者にとっては貸出金の金利が低くなるわけですから、そういう意味では、規制緩和である程度競争が激しくなったほうがいいんではないかと思うんですけれども、この表現がこれでいいのかどうかというのが、ちょっと疑問だったものですから。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

私は、やはりガバナンスについては、基本的に協同組織性と金融機関性のバランスの問題が根本にあると思います。協同組織性を強調していけば自主性を尊重するという方向になるでしょうし、金融機関性を重視していけば専門性の強調ということ、そして規制や監督の必要性ということを強化するというような方向になってくると思います。仮に、例えば非常に規模が小さくて、員外預金比率もゼロだというような信用組合があるのであれば、そこへ非常に規制を強めていくというようなことも、ネットワークで他の金融機関とつながっていることをどう評価するかという問題はありますけれども、その点だけを捉えれば、過剰な規制になるのではないかと考えます。

それから、協同組織金融機関の現状が、規模も非常に差が大きいというような点を踏まえれば、一律の規制、一律に機関の具備を強制するということには、やはり無理があるのではないかと思います。小規模な協同組織金融機関に、例えば監事会を強制するというようなことでいいのか。非常に重い鎧を全員に着せるということでいいのかというような考えです。そうしますと、やはり規模などの一定のメルクマールに応じて、会社法ではございませんけれども、総会、総代会、社外者理事、監事会、あるいは会計監査人というものを組み合わせていって、重いものから軽いものへというようなことを示して、基準に応じて強制する、そういうことを考えてはどうかということです。

それから、理事会のことに関係しますが、理事、特に常勤理事について、これは金融機関性を強調していきますと、特に規模の大きい信用金庫などにつきましては、銀行法7条の2に規定されております取締役の適格性に関する規定をあるいは準用するというようなことが考えられるのではないかと思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。村本先生、どうぞ。

○村本委員

ガバナンスに関して、それを強化して適切な経営にする、経営破綻が起きないようにする、あるいは破綻があったときに適切な経営交代が行われるようなメカニズムをつくる、これは総論としては大変結構ですし、そういう方向に向かっていくというのは望ましいことだろうと思います。したがいまして、ガバナンスの強化というのは、各委員がおっしゃるようなことではないかなと思っておりますけれども、ここで申し上げるのは、例えば社外理事でしょうか、非常勤理事をどんどん入れたほうがいいですよということになると、これを義務化すれば、例えば会社法との関係でどう整理するかとかいった法律論がありますので、そういった整理の問題があるかなとか、あるいは、員外を3分の1以上というようなご質問についても、これもどういう形で運用するかという面が実は大事なんじゃないかなというような感じがしたりします。あるいは総代会の情報開示、これもやればやるほどいいに決まっているわけですけれども、実際にどれまでできるか。単にディスクロ誌を置いておくだけで本当に意味があるかどうか。ホームページに出さなければ意味がないんじゃないか、こんなような論点もあるんじゃないかなと思ったりもしています。

最近私が見た現況でも、かなり細かく支店の周りをメッシュで分析をしたような研究でも、全国信用金庫だけで見ても二百数十のうちの、やはり4つぐらいのカテゴリーにどうしても分けないと分析がなかなかできないという研究がありますように、やはり相当入り組んだといいましょうか、区々な問題があるかなというふうにも感じておりまして、したがって、結局我々の議論しなければいけないのは、どういうものを法律で書き、どういうものを自主ルールにするのかと、これがポイントになるんじゃないかなと私は整理したいと思っていまして、私はガバナンスに関しては、ある意味では大きな訓示規定といいますか、精神規定があって、それが実際にどうやって落とし込めるか。あるいは地域によって違うとか規模によって違うというご指摘がありましたが、ある意味ではこういうものは段階的でいいんじゃないかとか、あるいは、こういうものはガイドラインで監督指針でお書きになって、それでモニタリングの中でやっていくとか、あるいは、業界の申し合わせないし自主ルールでやっていくとかという整理をして実効性を上げることが、実は大事なことなのではないかなというような印象をちょっと持っておりますので、できればそんな整理も必要かなということで、ぜひお願いをしたいと思っております。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。中津川委員、どうぞ。

○中津川委員

総代会等の、まだいろいろな不備についてのご指摘は、ある部分そのとおりの面があると思います。したがいまして、やはりいろいろな手だてを今、実際としては懇談会等、あるいは傍聴制度という形で、そういったものを補うべく業界としての努力をしているところでございますが、やはり重任の制限とか定年制というもの、あるいは総代の氏名の公表という点を義務化するというところまでは、ちょっといかがなものかというふうには考えております。

それから、先ほど破綻とガバナンスの関係で、いわゆる経営に欠陥があるのが非常に信金・信組が多い。確かに先ほどの78ページの資料では数字としてはそのとおりでございますが、この資料の1つ重要な点は、3年度から14年度までのケースでございますね。ですから、ここはちょうど平成10年度あたりまでの三、四年の時期は、いわゆる破綻処理が吹き荒れたわけでございますね。あえて破綻処理と申しますけれども、ですから、この分は一つお酌み取りいただいて、今の状況下において経営に欠陥があるから、協同組織の金融機関はガバナンスが全くきいていないんじゃないのというようなお考えであれば、ひとつそこのところはお酌み取りをいただきたいなという感じがしております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

神吉委員。

○神吉委員

さっき一緒に言えばよかったのですが、1つお伺いしたいことがあります。信用組合の員外預金比率が10%で1つ基準ができているのですが、10%を超えるか超えないかで、どれぐらいの数がそれぞれ該当するのかということがもしおわかりでしたら、教えていただけないでしょうか。

○小野信用制度参事官

大体60ぐらいの数というふうに承知しております。ちょっと毎年ずれますので、正確な数は把握できていないんですけれども、60ぐらいということでございます。

○神吉委員

超えないものが約60ですね。

○小野信用制度参事官

そうです。10%未満ということになります。ただ、すみません、補足しますと、だからといって全部これをやっていないというわけじゃなくて、10%未満では、基本的にこういう規制がかからないというだけであって、自主的にやっていらっしゃる方などもいますので、10%未満イコールやっていないということにはなりませんので、その点はご留意いただければと思います。

○神吉委員

ありがとうございます。

○神田WG座長

ほかにいかがでしょうか。

この2.のところも、非常に貴重なご指摘を多数いただいているのですけれども、このワーキングとして方向が出ているか、この先、報告書の原案が書けるかというと、総代会はどうしたらいいのか、何かまだよくわからなくて、理事会はどうしたらいいのか、監事はどうしたらいいのか、その3つの問いについてワーキンググループの取りまとめの方向はどうですかと聞かれると、うっと詰まってしまうという感じがしますが……。もうちょっと突っ込んだご意見をいただければありがたいのですけれども……。久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

じゃ、突っ込んだ意見ということで、私はもちろんガバナンス強化に整備して、理事会とか総代会とか監査とかを充実させるというご意見もわかるし、今の説明でおっしゃったように、やれればやったほうがいいのかもしれないんですが、でも、やはりそこには濃淡があるべきだ。私はもうはっきり言ってしまえば、このガバナンスに手をつける必要はないだろう。いろいろ問題はありますけれども、やはり地域ごとに違うわけですし、理事になれる人だって、やはり法律どおりにはなかなかいかないわけです。それをやるぐらいだったら、監事がしっかり見られるように、次の論点である会計制度をしっかりしたほうがいい。もうガバナンスは放棄しても会計制度のほうで充実させればいい。多分反論はいっぱいあると思いますので、ご意見をいただければと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

今松委員。

○今松委員

今のご意見、非常にそうだろうと思います。さはさりながら、この14ページ以降のところで出ているように、やはり理事長がそれなりに変なことをするようなことがないようにとか、そのためには当然のことながら理事会が機能していなければいけない。その構成なり、そこについても実際に員外等々の方でそれをチェックできる。少なくとも執行の段階、あるいはそういう融資等々の決定の段階でということになると、理事会自体がどこまで機能し得るのか。そのポイントのところは、やはり当然プロとしての中の人プラス実際にそれを監視していくような、少なくともそういう理事会の中での監視機能、これをどこまで発揮させるのかというところ、それをどういうふうに明記していくのかということがまず1点あるんだろうと思います。

それと、通常の会社の株主総会も、それがどこまで機能しているのかということになると、それは大きな問題があると思うわけですけれども、やはり時として何らか大きい問題が起きたときには、やはり株主総会というのは機能する。そうすると、やはり総代会も実際に機能し得る仕組みとして用意しておくというか、そうすると、当然どういう項目、どういう点についてどこまでというところ、これは最後の最高決定機関なわけですから、それが機能するように、運営というだけでは恐らく不十分になってくるんだろうと思います。そうすると、そこについてどういう点を言えるのかが、ちょっとこれだけの中ではあれですけれども、この点、この資料のところで、整理のところで必ずしもあれなので、そこをやはり詰めていくのかなと思いますが、ちょっと具体的なところになると、確かに座長の言われるように、なかなかこれというのはない。

○吉野委員

普通の業界ですと、経営者が悪ければそこは破綻するわけですね。ですから経営効率がよくなくちゃいけない。しかし、ここで見ていると、やはり地域的に、ある程度不完全競争ですから、それが見えないままでずっといって、あるところで本当に危なくなると破綻してしまうというのが多分こういう信金とか信組だと思うんですね。ですから、やはり何らかの形で、その途中の段階がトランスペアレントに外に見える形にしないとわからない。ですから、このガバナンスの議論も、本当にガバナンスがきいているのか、きいていないのか。ご意見をお聞きしていると、非常によくきいているんだという意見から、そうじゃないんだと。じゃ、それをどうやって証明するんですかというと、ある地域ではいいし、ある地域ではよくない。やはりわかりにくいですから、そうすると、私なんかは統計で見ていけば、経営指標というのをさまざまなところをディスクローズしていって、それで全国と比較で見ていかざるを得ないのかなという気がするんですけれども。

○神田WG座長

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

ガバナンスがきいていないということときいているという、その2つ、当然これまで私もご意見を聞いて勉強になったんですけれども、1つは、どういったガバナンスがきいているのかということから言えば、地域の方々の会員の考え方、意見、何を望んでいるかという、そういったものが経営に反映されるという意味でのガバナンスが、いわゆる株式会社で直接利用者の声を聞くことができないような、そういうガバナンスと比べればずっときいているとはっきり言えると思うんですね。それに加えて、日ごろ地域からの規律といいますか、そういったものが非常に絶えずそういうものを受けているという規律付けが、そういった観点でのガバナンスということなんです。

ただ、今はやっている強者、弱者といえば、強者の特定の人からのガバナンスがきく仕組みなのかというと、そうではないということだというふうに私は思っているんですけれども、ですから、それはそのほうが私どもの特性を生かしていく上ではいいんだと。ただし、総代の選任の方法をもっと公開するとか、本当にわかりやすくしていくとか、いろいろなやり方があると思います。そういうことを通じて、もっとディスクローズをしていって、本当にふさわしい方がふさわしいやり方でというふうな形でいければ、もっと向上するんだということなので、そういう努力を今しつつあると、そういうふうに業界としては言えると思いますし、そういったことは、先ほどちょっとお話ししましたけれども、やはり監督の行政としても、そういったことを取り入れてやってこられているわけで、そういう努力を向上ということで見守っていただきたいなと、そういうふうに思っております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。どういうふうにまとめたらいいのでしょうかね。最大公約数的にまとめられるような能力は私にはないのですけれども、久保田委員の言わんとすることはよくわかるのですが、言い方がややミスリーディングというか、多分株式会社だってガバナンスは要るかというような話にもなりかねないですよね。結局これ、制度として見たときは、株式会社という組織形態と協同組織という組織形態というのは一長一短があって、両者はいい意味で競争関係にあるはずですよね。ですから、株式会社についてガバナンスについての制度があるわけですけれども、それと競争できるだけの制度的なガバナンスの仕組みというのは、当然協同組織にも求められるはずなのですね。その水準が何かというのは議論しなければなりませんが、そういう水準に達しているかという問いは制度論としてはあるという気がしますし、皆様方のご発言も、今の点とは整合的だと思います。

もう一点は、より実態の話で、佐藤委員や渡邉委員からもお話がありましたけれども、実態として協同組織の場合には、株式会社と違って、その地域で顔が見える人と人というところで、会員の目というんですか、人の目というのがガバナンス機能を果たしているということが非常に大きな特徴だと思うのですけれども。だから、表現はともかく、悪いことはしにくいとかできないということなのかもしれません。ただ、これは道徳的に悪いことはできないという意味であって、経済的に悪いというか、失敗ということは当然起き得るわけですね。ですから、そういう経済的に失敗が起きれば、結果として過去にも例がありましたように、協同組織金融機関は最悪の場合には破綻することもあるし、それは結果として社会にも迷惑をかけるのみならず会員にとってもマイナスになるわけです。そういうことで言うと、経済的な─これは吉野委員がおっしゃったことだと思いますが、失敗というか、そういうものをやはり防ぐというガバナンス機能ということがやはり求められるということは、それぞれの時代によって具体的な姿は違うとは思いますけれども、これまでの数字も示しているといえるように思います。

では、具体的にどうしたらいいかということですけれども、皆様方のご意見は、どうも必ずしも一様ではありませんけれども、この総代会、理事、監事について、基本のところは、もう少しディスクロージャーというか、情報の透明性を高めるというところは行われてしかるべきではないかということ。それから、もう一つは、村本委員がおっしゃったこととも関係するかもしれませんけれども、何か一律に法律でこうせよというよりは、それぞれ協同組織金融機関にもいろいろなタイプがあるわけですから、ある種、類型に応じてガイドラインというか、うまく言えませんけれども、一律に決めるというよりも、ガバナンスの改善というのは、それぞれ総代会、理事及び監事の面に即しての改善というのは、もう少し─何というのでしょうか、私は最近大学のほうでソフトローなどと呼んでいるのですけれども、法律そのものではない形でガバナンスが改善していくような方向へ向けた努力をするということが考えられるというあたりかなと感じます。

必ずしも皆様方のご意見を最大公約数的に申し上げられてはいないと思いますが、いかがでしょうかね。もう少し何かありましたら、ぜひ追加でお聞きしたいのですけれども。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

理事のご意見として、職員ではない理事をもっとふやすべきだというご意見があったんですが、実際には相当の金庫で非常勤としてそういった方々を登用して理事にということになっているわけですけれども、今のような状況で非常に高度な、いわゆる経営的な能力、専門的な業務に精通したということがどうしても必要だと思いますので、少なくとも今ぐらいの程度ぐらいで、そちらのほうが多いというようなことになると、非常にちょっと問題ではないかというふうに思っているんですけれども、ただ、そういったことで外部の意見を取り入れていくということについては、やはり経営の面からも必要なことかなというふうに思っております。ただ、これを一律に課すというふうなことではなくて、今の先生のおっしゃったようなことだろうと思いますけれども、そういうふうに思っております。

それから、理事についての理事会ということで言いますと、そうしたものをチェックする機能としての監事の役割というのは、非常に現実に私どもでも大きなウエートを占めているということがありまして、そういう面で、これも監事の機能強化といいますか、監事会というか、そういったものについて、やはりトリティブな方向というのは、それぞれの金庫の選択の問題として必要なんじゃないかという気もいたします。

○神田WG座長

ありがとうございます。

理事と監事について、ぜひほかの委員の皆様方のご意見をいただきたく思います。家森委員、別の点でも結構です。

○家森委員

今の議論に追加なんですけれども、理事会が理事長を監視する機能を強化しようということは、どちらかというとコンセンサスになっているんではないのかなと思うんですけれども、その監視機能をどういうふうな形でやるかにはいろいろな取り組みがあるかもしれませんが、私はやはり会員理事というのは必要であろうというふうに思っています。確かに金融のプロが必要になってきているというのは事実ですが、必ずしも会員理事には業務執行のノウハウを求めるのではなくて、いわば株式会社における社外取締役と同じで、経営がおかしくなったときにストップをかけられる、あるいは経営者の首を切れるという機能が求められているんだろうと思います。海外の株式会社に関する研究ですけれども、これはたくさんあるわけですけれども、社外者理事が多いからパフォーマンスがいいかというと、それはいいという研究もあるけれども、悪いという研究もあって、余り確たることは言えない。ただし、社外者理事が多いようなところでは、経営が悪くなって首を切らなければならない必要が出てくるときには首を切る確率が上がるとか、訴訟が起こる確率が減るとか、そういうようなメリットがあるので、日常業務までしなくても、ちゃんと理事長を監視するという機能だけを責任として与えられるような法律上の環境があれば望ましいのではないかというふうに思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。理事、監事制度について、もしご意見があればぜひ伺いたいですけれども。

○早崎日本銀行金融機構局参事役

意見というか、1つ質問のようなことになってしまうんですが、監事に関してです。資料の9-3、先ほど事務局からもご説明があったんですけれども、監事の中で員外監事を1人以上設置するというふうに決まっていて、一方で銀行も社外監査役というのがあるんですけれども、協同組織の場合、就任前5年間、当該金庫の理事または職員等でなかった者ということで、多分逆から言うと、やめて5年以上たてばこの員外になるということで、これは右のほうの銀行を見ると、過去に全くそうじゃなかった者ということで、これは何で違いがあるのでしょうか。あるいは、これが違いがあることが何か監事の本当の外の目としての監視機能を弱めていることがあるのかないのか、ちょっとその辺が疑問に思いまして、監事の話ということで出させていただきました。

○神田WG座長

私から答えるのも変ですけれども、制度としては前の商法というのでしょうかね、会社法になる前の商法の時代に、株式会社制度について、平成13年12月改正前までは社外取締役については過去5年間基準というのがあったのです。それが平成13年改正で強化されまして、一度でも勤めたことがある人はだめというふうに改正されたのですね。ですから、多分昔の商法を参考に制度がつくられていて、それが残されているということだとは思います。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、佐藤委員。

○佐藤委員

今、ちょうど員外監事というあれが出ましたので話をしたいんですけれども、選任するときに、こうした5年間というのは相当もうたっていて、それが過去に関係があった職員だったから弊害があるとは思わないんですけれども、ただ、信用金庫の場合に、員外という、会員でないという、そうした制約を受けているので、適任者を選ぶということは非常に大変だということはあるんですね。すごくそういう面で、社外という、株式会社なんかでそういうことだと思うんですけれども、そういうものと員外というのは、大体地域の方々、ふさわしい人を選ぼうとしても、わざわざ会員じゃないということになると選任がすごく難しい。そうしたことから、監事会ということになれば3人以上ということになってきまして、そうなると今度は、そういう規定になってくると、1人でもやめられると直ちにまた選任し直さなければいけないような状況が生まれるということもあって、4人以上ということになると思うんですね。そういうことから言うと、そういう員外監事について言えば、せめて1人でいいというふうなことじゃないと、ちょっと実際の問題としては大変かなと思います。ですから、規模によっても違うと思いますが、そういう具体的なことを申し上げて申しわけないんですけれども、そういうやはりそれぞれの規模等に応じた配慮も現実的には必要だというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

大体ご意見をいただきましたので、うまくまとめられるかどうか、ちょっとよくわかりませんけれども、また次の段階で必要に応じてご意見をいただくということにしたいと思います。

それでは、もう一つの項目に移らせていただきます。論点メモでいいますとその次ですね。ページ数でいいますと20ページの下から23ページまでということになるかと思います。3.の決算等。3つ項目がありまして、(1)が半期決算、(2)が半期の開示、そして(3)が外部監査と、この3つの項目について、そのあり方についてのご意見、あるいは先ほどの事務局からのご説明についてのご質問でも結構ですけれども、お出しいただければと思います。どなたからでも。

久保田委員、お願いします。

○久保田委員

私は、それこそ前の論点とも絡むと、結局外部チェックを働かせる一番有力な手段がこの会計だと思っていまして、まずは出資者、あるいは預金者に正しい情報を伝えるという必要と、あと、この銀行との平仄ですね。この9-3という資料の7ページのところで信金と信組と銀行を比較してありますけれども、全く平仄がとれていなくて、一番問題なのは、半期開示、これが銀行のほうは大体義務づけられているのに、信金・信組のほうは義務づけられていない。ですので、既に自主的にやっていらっしゃるということもあったので、単体連結ベースで半期開示をまず義務づける。努力義務じゃなくて義務づける。あと、決算についてはやはり当然半期ごとに義務づける。監査ももちろん義務づければいいんですけれども、恐らく監査をやるのにシステムの構築の時間的な猶予もありますので、最初は努力義務というような形で入れたらどうか。

先ほど、ガバナンスでちょっとはっきり、ガバナンスはそれでいいけれども、会計に集中しろと言ったのは、逆に言うと、会計こそ非常に重要で、一番客観的なモニタリングになるからだと思うわけです。これだけ言うと、すごく何か劇薬のように聞こえるかもしれないんですが、そのかわり、例えば員外取引がないところが結構ありましたけれども、そこは外していいんでしょうと。それとあと、ガバナンスの問題は、私の考えでは任意に任せてもいいと思うんですが、それはどうなるかわかりませんが、あとは会計の適切な基準づくりですよね。前の寺山委員のお話だと、信金・信組に応じて多少の簡略化とかはあっていい。もちろん会計は一つの数字じゃなければいけないんでしょうけれども、そこを適切にやっていけば、うまくスムーズランディングして会計による規律が働くんじゃないかと、僕はこのように思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。ちょっと1点だけ確認させてください。員外取引がないところはいいというのはなぜなのでしょうか。ちょっと念のため。

○久保田委員

つまり、員外取引を行っているので、それこそ神吉先生がおっしゃったように、金融機関性がどんどん高まっていくわけですね。その協同組織性というか、例えば医師の信用組合みたいなものであれば、医師の中で完結しているものであれば、何も外部チェックを働かせる必要はない。むしろ、先ほど地域による監視システムというのがありましたけれども、会員同士の監視もききやすいんだろう。そうではなくて、全く関係ない員外貸し付けを行っているとか員外から受けているというと金融機関と同じだから、銀行と同じようなチェックをきかせたらいいんではないかと私は思っています。批判があっても結構です。

○神田WG座長

後者はよくわかるのですが、前者は本当に大丈夫なのかな、会員がわかるのかなとちょっと気になりますが……。どうも失礼しました。

村田委員、どうぞ。

○村田委員

信用金庫・信用組合の評価をどのように考えるかといった場合に、いわゆる創業とか、あるいは再生支援、地域経済の発展にどういうように寄与しているかということで評価する問題と同時に、やはり財務内容の数字で、いわゆるコールドファクトで評価していくということは、よりきめ細かく、またタイムリーに行う必要があるというふうに考えます。そういったことで、先ほどのご意見と同じ立場に立つわけで、財務内容の開示というのは半期開示であるということを義務づけるべきだと私は考えています。

ただ、実現可能かどうかということが問題になるわけで、現実には、今自主的にはやっていらっしゃると思いますけれども、それを義務づけた場合に、より現実的にするということを考えますと、いわゆる開示項目を簡素化するということで考えております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

若松委員、どうぞ。

○若松委員

半期決算、半期開示というのは、これだけ金融情勢、経済情勢が激しく動いているわけですから、先ほどのガバナンスの議論でもあったように、信金・信組というのは、世間というか利用者から見てちょっと不透明というか、なかなか見えづらい部分があるので、半期決算、半期開示というのは義務づけたほうがいいと私は思うんですよね。ただ、今の委員のご指摘があったように、義務づけた場合に実現可能かというか、その際、義務づけという方向で考えた場合、どれだけ負担になるとか、現実的にできるのかとか、その辺の部分の問題点も考える必要があるのではないか。

○神田WG座長

ありがとうございました。

それじゃ、原委員。

○原委員

資料9-3の、この7ページの表を見ていて幾つか疑問があったという感じがするのですが、私も、やはり金融機関であれば半期の決算、半期の開示というのを原則義務づけしていただきたいと思っていて、それでこの表を見ていてちょっとよくわからないなというふうに思ったのが、開示は半期で努力義務になっているのですね。ただ、決算は何もないので、何をもとにして開示をしておられるのかなというのと、どれぐらい、この努力義務で半期開示をしておられるのだろうか。今、実現できるのでしょうかというご質問がありましたけれども、やはりちょっとそのあたりがわかりにくかったのと、それから、監査なんですが、監査も私は年度では義務になるように思うんですけれども、これは一応特定金庫と特定組合で200億以上ということの努力義務規定というか、200億以上は義務規定ですけれども、これが、じゃ、200億を下げたときに、やはり監査は私は年度は義務づけにしたいと思うんだけれども、どうしてここが「△」、努力義務なのだろうかというのが、今、どんな仕組みのもとでおやりになっているのかというのが、ちょっとよくわからなかったので教えていただきたい。意見としては、私は半期決算、半期開示ということを思っております。

○神田WG座長

制度の問いと実態の問いと、両方ありますよね。制度の問いのほうでしょうか……。

○原委員

もっと単純にすると、開示で半期開示をやっておられるのが全体のどれぐらいあるのかということと、それから、決算は半期のところは特に何の義務規定も書かれていないのですけれども、何をもとにしてこの開示をなさっているのかということです。

○神田WG座長

それでは、佐藤委員からお答えいただけませんでしょうか。

○佐藤委員

現実の問題として疑問がおありでしょうから。中間決算ということではなくて、仮決算という制度がずっと続いておりまして、仮決算ということをやっているんですね。ただし、仮決算は通常ですと、本当の本決算とは違いまして、例えば査定を変化したところだけをやるとか、そうした簡易な形で査定をしたり自己査定をしたり、場合によっては査定も特にしないで、できるところだけやって仮決算とするようなこともあるんですけれども、通常は、もうそうしたことで仮決算をして、それを開示するということで、今の状況はこうですというのを非常に細かくやっていらっしゃるところもあるし、大ざっぱにやっていらっしゃるところもありますけれども、そういう状況なんですね。ですから、決算としてのあれはないんですけれども、とりあえず中間で締めて状況を把握して、そうしたものを公開するという、そういうことですから、ディスクロージャーとしてのことは相当なところで、私はある程度ほとんどそういうふうにやっているんじゃないかと思うんですね、ほとんどそういう状況を半期ごとに。

ただ、続けて言いますと、株式会社が株主のために半期決算をして、流動的な株主のために状況を報告するのと、我々がやっているのは1年間通して会員のために、もし剰余金があればそれを配当するというような形になっているわけで、それの違いは大きいと思うんですね。そういうことで、特に半期決算というのは、法定でそういうことになっていないということだと思うんですけれども、大ざっぱに確かにその方向としては、半期ということで決算をして、それをディスクロージャーするということが望ましいんだろうというふうに思うんですけれども、ただ、それは、今までもお話がありましたように非常に負担の大きいことで、特に自己査定を常にそういうことをやったり、決算のあれを出していくということについては、スタッフのたくさんいるところはいいんですけれども、そうじゃないところについては非常に大変な作業になって負担があるので、そういうことから言えば、それぞれできることをしっかりやるような方向を、または猶予期間を設けてやっていくようなことが必要なんじゃないかと、現実に考えますと私はそういうふうに思っております。

それから開示も、株式会社がそうした株主のために開示するという、非常に細かい点まで今、相当バーゼル2というふうなことでいろいろな開示の義務が生じている面もあるんですけれども、そうしたところまでやる必要があるのかどうか。だれのために、どういう開示をすべきかというのは、私どもの信用金庫の場合のあり方ということから見て、本当に必要な開示をやっていく、だれのために何を理解してもらえるのかということを考えた上での開示ということが必要なんじゃないかというふうに思っていますので、全く同じように細部にわたって余り必要ないような項目についてまで全部やらなければいけないということについては、ちょっとどうかなというふうに思いますし、そういう点を業界としてしっかり検討した上で開示の方向を決めていくというのが、現状としては望ましいというふうに感じているんですけれども。

○小野信用制度参事官

すみません。資料のこの論点メモの21ページをごらんいただきたいのでございますけれども、今、原先生からご質問がありました、半期開示をどのぐらいやっているのというご質問でございますけれども、21ページの半期開示の2つ目のダッシュに書いていますように、現在自主的な取り組みということで、今、佐藤委員のほうからもご報告がありましたように、今、自主的な取り組みでやっていただいておりまして、すべての信用金庫・信用組合で、この半期情報開示ということはやっていただいているところであります。

その半期開示、じゃ、決算との違いは何かということで、今まさに佐藤委員からご説明がございましたところでございます。そこで1つ悩ましい論点としては、21ページの一番上に書いていますけれども、前回、前半戦で意見がございましたように、半期開示をやる以上、一番上の丸ですけれども、ルールに基づいた算出で数字をベースに公表すべきじゃないかという要請がある一方、実務的じゃないからそういうのは難しいという、そこら辺がなかなか悩ましい点だというところでございます。

○神田WG座長

今の点が、若松委員のおっしゃった、義務づけて何が困るかという形での議論ということになりますね。恐らくそこをもう少し詰められるのかなというふうに思います。

それから、原委員のご質問に戻って、制度的にどうなっているかということで言いますと、半期開示は努力せよとなっていて、決算のところは半期については何も求めていない。実際には半期開示をしようと思うと仮決算をしないわけにいきませんので、佐藤委員がおっしゃったような状況だと、こういうことだと思いますね。株式会社も、一般的に金融商品取引法の適用がない株式会社の場合には、半期の決算も半期の開示も要求されていないのですね。ただ、伝統的に中間配当と呼ばれているような実務をしてきたところは、中間配当するためには仮決算をしないわけにいきませんので、事実上、半期に仮決算が行われる。ちょっと似たような状況だと思います。

それから、もう一つ、なぜ200億のところに監査の義務づけの線引きがあるのかというのは、制度的には多分、余り推測で物を言うのはどうかと思いますけれども、やはり商法のほうが、現在は会社法ですが、200億という金額、負債ですけれども、で線を引いていますので、そういったものを参考にして線を引いたということかと思います。商法・会社法はと申し上げたのは、金商法の適用がない場合の基準として、負債の総額が200億円以上かどうかによって外部監査、会計監査人と呼んでいますけれども、その設置を義務づけるというのが商法・会社法の考え方だということです。そういうものを参考に、こういう線がこれまで制度としては引かれてきたということかと思います。

それで、大分こちらのほうは焦点が絞られたご意見を多数出していただいていますので、報告書の原案には書きやすいような感じもするのですが、いかがでしょうか。ただ、まだご発言いただいた方の数がちょっと少ないように思うのですけれども。神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

開示のことを考えます場合には、今の議論の方向でよろしいかと思うのですけれども、開示がされましても、預金者、組合員、会員の側から見て、専門家の評価を経ないと、示された数字や情報がいいことなのか悪いことなのかがわからないという問題があるかと思うのです。さっきご発言がありましたが、例えば特定の財務指標を標準と比べてどうかというようなことを示していいかどうかという問題がありますけれども、そういう作業をしないと評価ができない。なおかつ、預金者は自己責任が求められておりますので、そういうことをだれかがどこかでやらないと自己責任を厳しく問うこともできないだろうと思うのです。では、具体的にどういうことをすればいいかという具体的な提案がないのですが、専門家ではない一般の預金者、組合員、会員の側からすると、示されたものが、ただ数字や文字の山であってはならなくて、それがいいことなのか悪いことなのかが端的にわかるような仕組みがあればと思います。

1つは自己資本比率が参考になると思うのですが、それも、例えば、りそな銀行の場合ですと、1年で6ポイントも低下して公的資金の注入に至ったというようなこともございます。では、何をどのように端的に示すかという問題はあるのですが、預金者、組合員、会員の側から見て、わかりやすい形の仕組みが何かできたらよいのではないかと思います。

○神田WG座長

どうぞ、中津川委員。

○中津川委員

半期開示その他は、経営の透明性ということからすると、皆さんがおっしゃるように、より積極的対応は必要だと思いますが、特に信用組合ということにしますと、大変格差の大きい業界でございまして、言うなれば、この半期決算というのは、先ほど佐藤委員からもお話がありましたように、大変マンパワーが必要になります。そういう点では、かなりその辺にご配慮いただく必要が出てくるだろうという点が1つございます。

それから、今、ガイドラインといいますか、財務指標のある種の指標というものについて示して、それをもって判断をできるようにしたほうがいいというようなご意見もございますが、これは大変難しいと私は思います。というのは、例えば今お話が出たように、自己資本比率が高ければいいのかという点で、片方で、それじゃ不良債権がどのぐらいの比率ですかという、双方をにらんだ上で判断をしなければ、恐らくその金融機関の経営内容は正確には判断ができません。これは2つだけの指標の例でございますけれども、そういう点だけでガイドラインをつくれるのかどうかという点ですね。

それを端的に過去の事例でお話ししますと、決算が出ますと、今もそうですけれども、雑誌に点数がつきまして順位がつくわけですね。これは過去にもあったんです。そのときの資料は、当時をめくっていただくとわかるんですが、我が業界でしますと、そういう点数をつけて高得点で上位にいた組合さんが、その後多く破綻しているんです。ですから、そこは相当慎重なご配慮をいただかないと、ちょっと逆に利用者のほうに混乱を招くという懸念があるかなという心配がございます。

以上です。

○神田WG座長

どうぞ、佐藤委員。

○佐藤委員

神吉委員のおっしゃったことについて、外部の監査ということだったように思うんですけれども、これにつきましては、どうもやはり今の段階では、銀行についても外部監査を義務づけられていないというようなこともあるわけですけれども、非常に難しい問題だと思いますが、今の状況の中では大分監査を義務づけるということについては反対せざるを得ないというふうな気持ちなんですけれども、今、私ども信用金庫が内部統制ということをしっかりやり出しまして、ディスクロのあれでも全部数字、計数についての根拠、そういったものを確認しながら各部門でやってきて、それを理事長がきちんと確認してサインして出しているということになっているわけで、そうしたものが地域から信用されないというふうなことになっては非常に問題なので、外部監査がないから信用されないということであれば、私はそういうことはないと思いますし、監査を受けるということ、いろいろな面で新しく中間の監査を受けていくということについては、非常に今のところ反対というふうに思います。それ以上にしっかりした内部統制をもって対応するということにしたいというふうに考えております。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、家森委員、それから宮村委員の順でお願いします。

○家森委員

ちょっと法律のことはよくわからないので、例えば自主的な取り組みでやっている場合と義務になっている場合の違いを教えて下さい。義務になっているときに、出さないというのは義務を違反するとわかるんですけれども、自主的な取り決めで出している決算の数字がインチキであっても、それは全く問題がないということになってしまうんでしょうか。それとも、やはりそれは問題になるのか。義務のほうなら問題になるなと素人的に思うんですけれども、自主的な取り組みなら、インチキをしてもいいのかというのをちょっと教えていただきたいというのが1つです。

それから、2つ目は、これは信用金庫の経営の方への質問なんですけれども、実際に信用金庫の経営って、毎日リスクが変わるので、日々リスク量の変化みたいなものを見ながら経営されているのか、1カ月に1回だけリスク量を見ながらされているのか、半年に1回だけ見られるのか、今、どういうふうな経営の実態─大きな銀行は毎日とか時間刻みで見ているように聞いていますが、それでも失敗しているみたいですけれども─どういうふうになっているのかという点について、質問させていただきます。

もう少し申し上げたいんですけれども、ここのタイトルは決算等となっていますけれども、もう少し広くディスクロージャーという意味で僕はここをとらえたいと思っていまして、決算の数字をタイムリーに出すということよりちょっと広くなってしまいますけれども、例えば信用金庫の総代会制度の開示状況についてディスクロに載っているというふうにおっしゃって、僕はちょっと見ていないからわかりませんが、仮に載っているとしても、ある金庫では、例えばこの総代会の模様が書いていないとすると、それは恐らく説明が書いていないんですよね。「6、総代会の模様、当金庫は開示しません」とは書いていないと思うんですけれども、ぜひ、これは法律的に義務づけるものではないと思うんですけれども、開示しないことを認めるとしても、開示していないということが一般の人にわかるようにしてもらいたいというふうに思います。経営者が、うちはこういう理由から、こんなことは開示する必要がないんだというようなことを書いていただいたら結構ですが、開示していないということ自体がわからないということがよくあるので、ぜひそうしていただくように考えていただきたい。これは法律ではなくてもよいですので、お願いします。

それから、もう一つついでに申し上げますと、アニュアルレポートというか、ディスクロージャー資料というのは非常に重要なものなんですけれども、私が、ちょっと数年前の信用金庫のものを見たいと思ったんですけれども、実際にこれを見られる場所がないんですよね。3年前から、5年前から、あるいは10年間どういう変化を遂げたかというのを当然調べたいときがあるんですけれども、大まかな決算の数字だけならいろいろな媒体にあるんですが、ディスクロの資料に載っているもっと豊富な情報を得られるように、ぜひどこかでディスクロ資料を管理して、一般の人が見られるようにぜひご指導いただきたい。でないと、何も分析できないのです。経済学者なら、みんなこの種のデータがないというのは困るとすぐ思うので、多分吉野先生はすぐ思われるはずですので、吉野先生にはサポートしていただけると思うんですけれども、そういうところについてお願いをしておきたいと思います。

最後に、かつて破綻が起こっていたような時期に、早期是正措置が金融機関に対して発動されたというとき、上場銀行については情報開示上、開示されていました。ところが、信用金庫については、新聞に何かうわさのような形で載ることはあっても金庫からも当局からも開示されないというような状況になっていました。こういう経営に重要な状況についての開示について─どういうものを重要というのかはちょっと置きまして─の適時開示についても検討する必要があるのではないかというふうに思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

最初のご質問の点のうち、渡邊室長に……。

○渡邊協同組合金融室長

お尋ねのあった自主的な取り組みについては、インチキな内容のという話でございます。自主的な取り組みは、建前上から言えばルールではございませんので、当局との関係では、そういうルール違反というものは生じないんだと思います。ただ、そういった取り組みは当局との間でよければいいのかどうかといったら、そういうわけでもなくて、先ほど佐藤委員からもお話がありましたように、内部統制の話とかというのは、やはり地域から信頼されるようなということで、自主的な、まさに会員のために自分にとって自分たちがどう思われているかというような観点でやるものだと思うんですね。それで、我々当局では、各機関の方々と常日ごろコンタクトをとっているので、我々としては、やはり会員の方々のためにどういうふうにしたらいいのかということも考えますし、仮にそういうような端緒があるとしたら、できればそういう方向がないように、あるいは日ごろから会員の方を向いてきちんと経営されるように、そういう感じで意識を持ちながら、日ごろ接してきているという、そういうことでございます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、先に宮村委員、それから村本委員の順でお願いします。

○宮村委員

今回の議論の結論としては、組織の問題も半期決算の問題も、基本的にはそれでいいかな、組織の問題だったらメニュー方式でいいかな、開示の問題は義務化するのがいいかなと思いますけれども、どうも私の感想では、議論のスタンスにちょっと問題があるんじゃないかなという気がするんですね。何を言っているかというと、協同組織金融機関は優遇税制を受けている。要するに補助金をもらっているわけですね。そうしますと、一般の株式会社に比べたら、より公共性が高いとか、より開示すべきだとか、より積極的に何かやっていくべきだと、こういう発想からスタートしてもいいんじゃないかと思うんですね。実際、小さいところがあったりして、事務手続が大変だから年度決算しかできないなとか、あるいは半期決算は難しいなというのはわかりますけれども、例えば大きいところであれば四半期決算をぜひやるとか、あるいは小さいところでも四半期決算をやるんだとか、こういうふうに、我々は株式会社よりも開示をするんだとか、株式会社方式の銀行よりもよりきちんとした総代会を開くんだとか。あるいは相互会社の生命保険会社が総代会でインチキをやっているんだから、われわれもインチキでいいんだとか、そういうことではなくて、われわれは優遇税制という補助金をもらっているわけだから、よりきちんとすると、そういうスタンスから物事を議論されたほうがいいんじゃないかなと思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

村本先生、どうぞ。

○村本委員

宮村さんもちょっと触れたような感じのところなんですけれども、結局、半期開示、半期決算の問題もガバナンスもそうなんですが、協同組織の金融機関に何を求めてどういう役割を期待するかという視点からきちんと押さえておかなければいけないのだろうと思うんですね。今後最終的にまとめの段階になれば、恐らく地域にきちんと今後も存続して、それなりの金融機能を果たしてほしいということが一番ポイントになるはずなので、そのための半期決算、半期開示ということであるべきだろうと思うんですね。そのために、今もう既に多くの委員が言われましたが、例えば預金者保護をきちんとどうするんだと。普通の銀行の預金金融機関と同じですねというスタンスになれば、そこをきちんとすべきだろうし、私はもう少し、地域の信頼性をきちんと獲得すると佐藤委員が言われましたが、そういうところをやるためには、やはり半期開示、半期決算というのをきちんとやるのが、現在でも半期開示はやっておるわけですから、それをもう少しレベルアップするというのがやはり必要なことなんだろうなと思っております。そういう意味では、資産算定は大変でしょう。恐らく自己評価も大変だと思いますけれども、そのための手だては何か考えたらいいんじゃないか。そのための中央機関かもしれないと思っておりますが、その辺、少し今後の中では議論していただきたいなと思っておるところです。

半期決算についての外部監査、これは無理かなという感じもしておりますが、もしそういうことにかわるものは何かないのかねと。私は余り詳しくないのでアイデアでしかないんですけれども、例えば農協であれば農協監査士制度というのがあるじゃないか。ああいうものは導入できないのかとか、何か少し頭の体操をしてみる必要があるかなとはちょっと思っておりますが、これはほとんど印象の議論でございますから、余りここではいたしませんが、いずれにしても、少し地域に信頼できるような存在であるということを何か担保するような、そういう方向性を考えたほうがいいんじゃないかなと思っております。

○神田WG座長

吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

大体皆さんのご意見と同じなんですが、やはりガバナンスを見ようとすれば半期決算がなければわかりませんし、一番いいのは四半期に出てくれば一番ありがたいと思うんですけれども。

それから、先ほどいろいろ決算を出すときに集計が大変だというお話があったんですけれども、164信用組合があって、信金が281ですから、中央組織がそういうふうなソフトをぱっとつくればいいんですよね。そうすると、こういう形でデータを毎日入れていけばそれが集計できると。今の時代ですとできると思うんですね。それから、先ほどのディスクロージャーもPDFファイルにすればすぐ出るんですよ。ですから、それも中央組織の方が、こういうやり方でやれば、過去5年でも10年でもディスクロ誌をコピーして、それでやればすぐできることですから。それから、やはりそういう中でもいろいろなデータを見ないといけない。先ほどおっしゃったように、あるときに、バブルのときにはそこに一生懸命やっていたところが、非常にその時代はよく見えて、その後悪くなって破綻するというのはおっしゃるとおりだと思いますから、そういう意味では、さまざまなデータを出していただかないと本当のバランスのとれたことにならないと思いますから、やはりディスクロージャーというのはぜひ必要だというふうに思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

今松委員、どうぞ。

○今松委員

大体今ずっと出ました意見、ほぼ同じなんですけれども、やはりこれは、宮村委員がおっしゃった、やはり基本的に信金にしろ信組にしろ税制面での優遇措置を受けている。なおかつ組合員及び会員、これを基盤にしている。そうすると、やはりそれはある意味で、ほかの金融機関であるわけですけれども、そこでの優遇面ということを考えると、確かにディスクロというか、少なくとも組合員なり会員に対しては、より内容が正しいものが随時伝わるという、そういうことじゃないと、まず第一にいけないと思います。その点でのやはりディスクロというものは、これは適宜適切にやるということがまず第一になると思います。

それと、実際にディスクロの内容及び決算の内容、それについてもやはり外部の監査、これはやはりどうしても必要だろうというのは、それなしでやはりチェックというものは本当に、内部監査というもの、これは十分にやっていただくことは重要であるし、また、この論点のところにもありましたように、ある程度規模が大きい場合にこれはできるのかあれですけれども、委員会制度的な形での対応とか、こういうものをやって、それで十分にそこでの内容を確かにしていけばいいわけですが、やはり実際に、その内容が正確であったのかどうなのか。今、吉野先生の話もありましたように、非常にバブル期のような時期に本当に正しい数字だったのかどうなのかというのは、後になって見てみるとわからないというのがたくさんあるだろうと思います。そうなると、より外からの目というものを入れた格好での監査を経た決算、それで、それが開示されるということじゃないと、やはりこれはどこまで本当に正しい数字なのかということについての確証がとれないし、やはりそれなりの、そこのところについては実際に監査は128組合が外部監査をやっておられるということですから、それはでき得るものというか、基本的にはこれはやるということがまず前提というか、原則ということでやっていくほうが、これから先の組合組織、協同組織の金融機関自体が健全であるということを確証するというか、外に明らかにする意味でも有益ではないかというふうに思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

先ほど何か質問があったようなので、リスク管理上のあれをやっているのかという、どれぐらいの頻度でということなんですが、原則で言えば常時やっていると、一言で言えば。ただ、動きのないとき、それを毎日どうだということではないので、株式会社のような形でやっているということではないと思いますけれども、常にリスク量の計量ということに関して言えば把握しながらやっている。今、そういう状況でないと、昨今は特にそうで、毎日のようにあれしていますので、信用リスクも含めて対応しているという状況で、大方そうだろうというふうに思っております。

それで、今の外部監査の話なんですが、信用金庫・信用組合もそうですけれども、1年の業務をしっかりやって、そして決算をして会員に剰余金があれば配当するというような、そういったことなので、株式会社が半期でやっていく、それに関しても、今現在は半期での外部監査を、そういう意味では義務づけがないところに信用金庫の半期決算についての監査が必要かどうかという問題というのは、どうしても、よく正確な数字をきちんと出していく仕組み、それを取り入れて、例えば監事会の制度であるとか、理事のそういう問題についての制度を高めていくようなシステム、内部統制、そうしたものを含めてやれれば私はそれでいいと思いますし、確かにあったほうがいいということから言えばいいかもしれませんけれども、いろいろな面で小規模銀行についての負担というのは非常に大きいし、費用も─費用のことを言うと怒られそうですけれども、かかるということもあって、しかも、そういうことは全部にやらなければいけないという理由等について納得した、何か信用金庫、協同組織金融機関としての半期でのそういうものが本当に必要なのかということを疑問に感ずるというところもあるんです。ただ、先ほどお聞きして、確かにもっと地元に対して株式会社以上にディスクローズしていかなければいけないんだと、それぐらいの責任があるんだという、そういったことについては非常に納得性があるので、そのことと兼ね合いはどうかということを言われますとちょっとあれなんですけれども、ただ、それに対しては日ごろ、もっと密接なコミュニケーションをとって状況については説明していると思いますし、我々が今やっていることのディスクロについて、じゃ、地域の中でほかの株式会社組織の金融機関がそういうディスクロをやっているかというと、私どものほうがやっているというふうに思うんですけれども、そういう日ごろのそうした努力も含めて、また監事会の制度であるかと、そういったこともあって、私は、今の負担から見て、外部監査を義務づけるという、そういうことについては反対せざるを得ないなというふうに思っておるということなんです。

○神田WG座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。こちらのほうはかなり具体的に意見をいただきましたので、若干意見が集約できていない部分はあるものの、その点はまた引き続きご議論いただくことにして、それ以外についてはかなり具体的な方向性に集約できるように思います。

何か追加でご発言ございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、どうもありがとうございました。本日も大変活発に、また前向きなご意見を多数いただきましてありがとうございました。そろそろ時間ですので、本日の会合はこのあたりまでにさせていただきたいと思います。

事務局から最後に連絡をお願いいたします。

○小野信用制度参事官

本日も活発なご意見をいただきましてありがとうございました。

また、きょうのご意見、またきょう後で追加的なご意見があるという場合には、事務局のほうにメール等の形でいただければ、またこの論点メモに反映させていただきたいと思います。

次回の協同組織のあり方に関するワーキンググループにつきましては、この論点メモでいうところの基本的考え方の1の(2)の中小企業金融のあり方、まさにこれが一つ大きな論点だと思いますので、この中小企業金融のあり方を中心に、この協同組織金融機関としての金融機関のあり方についてご論議いただきたいと思っております。ですから1の(2)、それから、若干関連するものとして4の業務等につきましてもあわせてご議論いただければと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

次回は10月24日金曜日、4時からを予定しております。正式には追ってご連絡いたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田WG座長

それでは、これで散会いたします。

どうもありがとうございました。

以上

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