金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第50回)議事録

1. 日時:平成21年3月3日(火曜日)10時00分~12時00分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山下WG座長

それでは、定刻でございますので、ただいまから第50回保険の基本問題に関するワーキング・グループの会合を始めたいと思います。

皆様方におかれましては、本日もご多用中のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議も公開ということになっておりますので、その点をまずご了解いただきたいと思います。

それから、本日の出席者でございますが、小島委員、川本委員、木下委員、丹野委員、深尾委員、山手委員が欠席とのことでございます。また、第二部会のほうから落合委員、黒沼委員、高橋委員、原委員、和仁委員にご出席いただくようになっております。

最初に、議事に先立ちまして、前回発表いただいた砂田委員より一言お話があるとのことですので、よろしくお願いいたします。

○砂田委員

貴重なお時間をちょうだいいたしまして申しわけございませんが、金融庁ホームページの資料の差しかえのお願いをさせていただきます。

平成20年12月19日に開催されました保険の基本問題に関するワーキング・グループ第49回におきまして、私、消費者の代表として発言の機会を頂いたときに使用しました資料1の「保険会社の『契約のしおり・約款』比較評価表」は、NPO法人消費者情報ネット生損保研究会ぐるーぷ31が調査研究されたものです。契約の入り口であります契約のしおり、約款を読み理解することがどれほど至難であるかを述べる資料として、当会に評価表の使用の承諾を得ました。しかし、当会は、評価表は保険ワーキング・グループのみの使用許可であり、公開の審議会であるとは想定されていませんでした。私は、公開の審議会での使用許可を頂いたと思い込み、資料として使用させていただきました。また、資料1の集計と対応についても、当会が作成したものではなく、いかに約款が読みがたいかを強く訴えたいと私が一覧にまとめたものです。当会の評価表の評価は、保険会社の関心を集めるための導入部で、そこから評価基準となった理由を読んでもらい、消費者視点の約款見直しにつなげたいという意図を持って調査研究されたものです。評価表に掲載された12社は、当会の調査研究のため、約款などの提出に協力された会社であると伺っております。それがホームページ上で公開されたことで、評価点数がひとり歩きし、興味本位にとらえられるおそれがあり、全く当会の意図に反する行為として、早急にホームページ上からの削除の申し入れがありました。私の思い違いで関係の皆様に多大なご迷惑をおかけしております。以下の3点について、資料の差しかえ、削除のお願いをいたします。

1、資料1の評価表の個別の会社名をA、B、C・・・に差しかえる。

1、当会の資料とは関係がない、私が作成した集計、対応の1ページを削除する。

1、資料2の「お客さま訪問活動」97名のアンケートは私が調査作成したものですが、訪問活動はスタートしたところであり、数値のひとり歩きを危惧し、個別の会社名を1、2、3・・・に差しかえ、作成者の私の名前を明記する。

以上、よろしくお願いいたします。

○山下WG座長

この件につきましては、前回いろいろとご議論いただいたところでありますが、ただいまの砂田委員のご説明のご趣旨を踏まえまして、そのように取り扱いたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

それでは、砂田委員のペーパーのような取り扱いとさせていただくことにいたします。

○砂田委員

ありがとうございます。

○山下WG座長

それでは、本日の議事に移らせていただきます。

本日は、日本損害保険代理業協会、日本保険仲立人協会の方から、保険の募集・支払い等について、現在行われている取り組みや今後の課題等に関するご説明をお願いしたいと思います。お二方に続けてご説明を頂いた後、皆様方に自由なご議論を頂きたいと考えております。

それでは、まず日本損害保険代理業協会の荻野会長からご説明をお願いいたします。

○荻野参考人

おはようございます。今日はこういった機会を頂きまして、本当にありがとうございます。日本代協の会長を務めております荻野と申します。よろしくお願いいたします。また、こちらにおりますのが専務理事の安岡でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

このワーキング・グループではいろいろ募集問題等をご議論頂いて、本当に感謝申し上げております。今日は、せっかくお時間を頂戴いたしましたので、簡潔に私どもの活動等のご説明をさせていただきたいと思います。

それでは、レジュメの1ページでございますが、目次に「本日お伝えしたいこと」として、日本代協の概要、そして日本代協の事業、特にメーン事業であります教育・研修事業を中心にご報告をさせていただきたいと思います。また、保険募集に関する私どもの意見・要望につきまして、3つの提言ということでまとめさせていただきましたので、その内容についてご報告をさせていただきます。

それでは、シートの3をご覧いただきたいと思います。シートの3では日本代協の概要を簡単にご説明しますが、設立は昭和23年2月、本年でもう61年ということになります。また、昭和39年12月に大蔵大臣より社団法人の認可を頂きまして、現在は金融庁所管の社団法人として活動をいたしているところでございます。

目的は、損害保険代理店を会員とする団体でございますので、以下の目的を掲げているところでございます。

まず一つは、損害保険の普及と保険契約者の利益保護。保険代理店・募集人の資質の向上。それから損害保険事業の健全な発展に寄与すること。特にこの募集人の資質の向上がすべてに通じるところと認識しておりまして、ここに一番力を入れてきているところでございます。

組織としては、本部と全国47都道府県の損害保険代理業協会、私どもは単位代協と申し上げていますが、それにより構成されております。

実は、平成20年、昨年の12月1日の公益法人制度改革関連法施行に合わせまして、この47単位代協すべてが一般社団法人を設立することができました。これは創設以来の私どもの長い悲願でありましたが、各県代協がこの法人化をなし遂げることができまして、本当にうれしく思っているところでございます。この各県代協が一層今後地域社会に貢献して信頼される組織となっていくよう、今期待しているところでございます。

それから、現在の会員数でございますが、2月18日現在で全国で1万1,693店の会員が現存しております。このうち、会員の多くは専業プロ代理店と言われる方々が中心となっているわけでございますけれども、保険業法によりまして登録された代理店であればだれでも加入できるわけでございまして、最近は整備工場さんとか、そういった代理店さんの加入もふえてきているということでございます。

簡単ですけれども、以上が日本代協の概要でございます。

続きまして、日本代協の事業についてご説明をさせていただきます。

代理店・募集人に対する教育・研修でありますが、これが私どものメーン事業でございます。その中でも特に日本代協保険大学の運営は、最大の事業となっております。この日本代協の保険大学というのは、自由化の中で、環境変化の大きい中で、消費者に信頼される保険代理店になるための高度な水準の募集人教育システムが必要と考えまして、自由化後直ちに構築したものでございます。開講は平成10年10月でありまして、現在、12期生を募集しているところでございます。昨年の11期生の募集でやっと1万140人ということで、1万人の受講生を確保するまでになりました。

研修期間は2年間、単位としては、全国16ブロックで実施する実習のセミナーと通信教育で計60単位、海外研修5単位。この海外研修は参加自由であります。また、逐次このカリキュラム等の改定は行ってきておりますけれども、最近のいろいろな状況によりまして、平成22年度の開講分から必修・準必修・専門の各コースで構成する新カリキュラムに改定する予定をいたしております。E-ラーニングも導入する予定であります。カリキュラムの内容は逐次見直しておりますが、このたびはかなり大幅な改定を考えております。

修了条件につきましては、60単位中50単位以上の修得をもって卒業ということになりますが、日本代協認定保険代理士となる卒業が一つの関門ということになっております。認定保険代理士につきましては後ほどまた説明させていただきます。この保険大学の卒業率でありますけれども、91%の卒業率ということで、他の通信教育等に比べると、かなり高い水準ではないかと思っております。

次のシート5は、現在までの受講者の推移でございます。開講時、第1期生は1,350名でスタートしましたが、その後残念ながら若干減少ぎみとなりましたけれども、見ていただきますと、8期生から11期生まで直近3期は再び増加傾向となっています。最近は特に若い方々で受講される方が増えてきておりまして、代理店の自己啓発の必要性を感じている意識が大変高まりつつあると思っております。

6ページでございますが、次にこの保険大学のカリキュラムの概要につきましてご報告いたします。これは、平成22年度開講の新カリキュラムでございます。現在のカリキュラムにつきましては、12期生の募集要項等を今日の資料として提出しておりますので、そちらをご参考にご覧いただければと思います。

新カリキュラムは、必修・準必修・専門の3コースとなっております。そのうちこの必修コースにつきましては、4分類、17科目になっています。1つは保険概論、これが3科目、代理店・募集人の使命と役割が6科目、契約実務知識と演習ということで6科目、それから代理店経営が2科目、このようになっておりまして、これがすべて必修となっております。

次のページの準必修コースですが、これは2分類、7項目でございます。関連法規と税務、それから関連知識、この7科目中5科目は履修する必要があります。

8ページでございますが、この新カリキュラムでは、より高度な専門コースといった要望もございまして、今回この専門コースを設けたわけであります。このうち実際の履修は1分類を専攻するということになります。A、B、C、Dとございまして、リスクマネジメントとFPが5科目、企業経営が5科目、リスクから見た商品の事例研究が5科目、そして海外研修ということでございます。この新カリキュラムを発表して以来、既に受講が終わって認定保険代理士となっているような人たちからも、こういった専門コースであれば、再度、もう一度受講したいといった声も多く寄せられておりまして、その要望にこたえられるように、今準備を進めているところでございます。

以上が、簡単ですが、保険大学のカリキュラムの説明であります。

次に、先ほど申し上げました認定保険代理士制度についてご説明をさせていただきます。シートの9でございます。この日本代協認定保険代理士の認定という前に、認定保険代理士とはどういった人物像を想定しているかということでありますが、顧客・消費者に信頼と安心を与える専門家であること、保険会社と円滑な取引を行い、信頼関係にある者、同業者からも高い評価を得られる者、みずから高度な専門家としてたゆまぬ努力をし続ける者、こういった人物像を想定しているところであります。

概要といたしましては、平成12年度からスタートしているわけですが、これは、保険大学が10年からスタートいたしまして、卒業するのに2年間かかりますことから、この大学の創設はその2年後ということで、12年度からスタートいたしました。

対象者は、損害保険代理店の募集従事者ということが原則でございますが、最近、保険会社の社員さんも代理店に出向したり、また転籍するといったことがふえてきておりまして、保険大学を受講される方々もふえております。したがいまして、保険会社の社員さんも認定保険代理士の対象とするといった改定を次年度からする予定をしているところであります。

それから、認定基準といたしましては、下記のすべてを充足していることということで、日本代協保険大学を修了し、所定の試験に合格した者、また損害保険代理店に所属している3年以上の募集実務経験者ということで、実務経験も重要視しているわけですが、やはり募集人になってすぐに受講していただくことも大事だということで、今後は実務期間は2年に短縮する予定をいたしております。それから、単位代協会長の推薦及び保険会社の確認ということです。これは、先ほどの人物像のところで申し上げましたように、同業者からも高い評価を得られる者、また保険会社と円滑な取引を行い、信頼関係にある者といったところから、単位代協の会長の推薦及び保険会社の確認。この保険会社の確認というのは、どちらかというと、法令遵守等の確認が主となっております。

それから、更新制でございますが、これは発足当時から3年ごとの更新制を導入いたしております。これもまた、さらに研修を受講した上で試験に合格するといったことになります。私も実は、認定する側ではありますけれども、受講生1期生でございまして、既に2回の更新をいたしまして、本年には3回目の更新を受けるということで、落ちないようにしたいと思っております。

シート10は、認定保険代理士数の推移でございます。ご覧いただきますように着実に増加しておりまして、毎年1月1日に認定しておりますが、本年1月1日、第9期生までで累計6,933名ということになっております。私どもとしては、早期に1万人の認定保険代理士を世に送り出したいといったことでずっと努力をしてきておりますが、あと2、3年でこの1万人達成は確実なものとなっております。数年前から全国各地で認定保険代理士なられた方々が自主的に認定保険代理士の会というものを立ち上げまして、いろいろなテーマでさらに自主的に勉強会が行われるようになってきておりまして、非常に頼もしく思っているところでございます。

以上が保険大学、認定保険代理士制度についてでありますけれども、そのほか教育・研修事業につきましては、各単位代協によるセミナー等も全国各地でかなり数多く開催されているところでございます。

次に、その他の主な事業について簡単にご報告いたしますが、シート11、損害保険普及に関する啓発・宣伝活動といたしまして、消費者団体との対話活動ということで、消費者生活センターなどとの懇談会を毎年全国各地で開催させていただいております。意見交換や情報交換、また勉強会といったこともあります。

それから、交通安全・防災等の啓発活動ということで、自動車盗難防止、無保険車追放、地震保険普及等、これも全国各地で毎年定期的に実施をしてきております。

それから、消費者向けの情報提供ということですが、早くからホームページも開設いたしまして、保険用語の解説とか代理店の役割といったことを消費者向けに作成いたして、いつでも見られるようになっているわけであります。それから、お客様向け情報紙の発行ということで、会員代理店向けの情報紙を日本代協の本部でつくりまして、任意ではありますが、その活用を促しているところであります。

それからもう一つ、12ページでありますが、消費者・保険契約者の利益を守るための調査・研究・提言活動、これも私どもの事業としては大変重要な事業と考えております。消費者と直接接する代理店が直面する募集実態の調査とか分析、また改善策の検討といったことを行いまして、行政当局または損保協会等の関係機関へのさまざまな意見具申の実施をしているところであります。また、各保険会社との意見交換・改善策の提言の実施といったことも日ごろから行っているところでございます。

実は昨年、「活力ある代理店制度等研究会」というものを私どもの中に設置いたしまして、各保険会社の部課長クラスの人たちにもメンバーに加わっていただきまして、対話活動の中で制度の改善策等の議論を進めているところでございます。本年度は「目指すべき代理店像の共有化」ということをテーマに対話を続けているところでございます。そういった活動を通して、公平・公正な募集環境の整備による消費者の信頼獲得につなげていくといったことも、日本代協の使命でございます。私どもの組織は、直接消費者と接する代理店で構成されておりますことから、募集現場の実態を調査・分析して、消費者の声も含め、関係機関にいろいろな意見や提言をなしていくということが大変重要なことと認識しているところでございます。

以上、簡単ではありますけれども、日本代協の主な事業についてでございます。

それでは、日本代協からの提言ということで、消費者・保険契約者の利益保護のためにという内容で、本日は3つのことをご提言させていただきたいと思います。

まず1つは、保険募集現場における消費者に理解しやすい仕組みづくりということについて申し上げたいと思います。

意向確認書類と契約関連書類が混在しております。これは、保険会社の例の未払いとか保険料取り過ぎといった問題もありまして、全件調査ということで契約内容の確認が行われているところでありますけれども、そのこととちょうど意向確認の書面の問題とが重なりまして、かなり複雑になってしまったということが言えると思います。そのほか、注意喚起情報とか重要事項説明資料など、消費者に説明を要する書類が本当に多くなっております。募集人は説明の際に実際には的が絞り切れず、消費者は理解を妨げられている面が現状あるということであります。それから、商品説明には相応の時間が要るわけでありますが、すべての消費者がそれを許容するわけでもなく、募集人は個々の消費者のニーズとの間で正直申し上げて困惑しているといった実態もあるということであります。それから、業界では新販売勧誘ルールと言っておりますが、新販売勧誘ルールの趣旨が必ずしも消費者の方々に正しく理解されておりませんことから、確認書にサインをすることが契約者にとって逆に不利になると思い込んでいる人たちも多いという実態があるわけであります。これでは本来の考え方としては本末転倒ということで、大変残念だなと思っているところであります。

したがいまして、募集現場の適正化のための各種ルールと、現実の消費者ニーズとのはざまに改めて目を向けて、形式に流れることなく、実効性のあるルールとする必要があると考えております。特に、私どもは損害保険代理店の業界でございますので、損保商品の即時加入の利点、また短期・低額という特性には十分配慮していただくことが必要かと思います。

具体的には、消費者向け各種書類の整理・統合を行い、契約者への説明は保険会社作成のパンフレットに集約して行うことができるようにすることが望ましいと考えております。今現在、各社のパンフレットにつきましては、かなり工夫がなされ、わかりやすく、イラスト等も多く、内容等の改善がされつつあります。このパンフレットの中に契約概要、また注意喚起情報、すべてではありませんが、重要な部分は盛り込まれていると思っております。

意向確認につきましては、確認項目のさらなる簡素化・平易化、また各社で確認項目の統一、確認書類と申込書の一体化を行い、より消費者に理解しやすい仕組みとする必要があります。こちらの書面を用いてこちらのことを説明するとか、かなりお客様にとってはわかりにくい、確認しにくいというところがあるのではないかと思っております。まずはお客様に理解していただけるよう、もっともっと努力することが大事だと思います。そして、何よりも募集人が商品説明を正しく行う、これが基本でありまして、これなくして実効性あるルールは完成しないと思います。

次に、2つ目の提言にまいりますが、乗合代理店制度の普及促進、これをぜひお願いしたいと思います。

我が国の保険販売チャネルは、専属代理店・乗合代理店・保険仲立人・保険会社直扱で構成されておりまして、代理店扱いが現在全体の93%を占めております。平成19年度末現在の専属・乗合別代理店構成比は、専属代理店が18万2,641店、店数割合は77.4%、保険料構成比は43.4%となっております。乗合代理店につきましては、店数は5万3,205店、店数割合は22.6%、扱い比は56.6%ということでございます。

商品・保険料が多様化する中で、消費者はよりニーズに適した商品の提供を望んでおり、複数の商品の中から選択して加入したいといった要望も強いのでありますけれども、実態は代理店に勧められるままに受動的に加入していることも多くあり、まだまだこの情報提供が十分に行われているとは言えない実態もございます。また、今後、比較情報提供の促進といった観点から、乗合代理店の育成がますます重要になると思うのでありますが、実際に乗合代理店として活動するためには既存保険会社の事前承認が必要となりまして、現実にはなかなかハードルが高いといった状況になっております。

そこで、消費者の利便性向上のために、保険会社と代理店の関係を見直し、乗合代理店の一層の普及を図るための方策を検討する必要があると考えます。具体的には、既存保険会社との信頼関係の維持を前提にした上で、合理的理由が認められる乗合については速やかに実現できるような仕組みに改善する必要があると思います。

どうか、この保険会社と代理店の関係がより消費者にとって有益な制度となりますように、行政監督の見地からもこの乗合問題をご検討していただきたく、ご要望申し上げる次第であります。

次に、最後の3つ目の提言でございますが、先ほどご説明いたしました認定保険代理士への公的資格付与についてでございます。15ページは、過去10年間の代理店数と募集従事者数の推移でございます。

16ページにいきますが、損害保険代理店は、平成19年度末で約24万店。統合による大型化等によりまして平成10年度末対比約4割にまで減少いたしております。一方、募集人は、金融機関や郵便局の保険販売が解禁されたなどもありまして、平成10年度末対比で約2倍の215万人にまで増加しております。この215万人という数字は、1募集人当たり世帯数は約30軒、30世帯に1人の割合だということでございます。数の面では、いわばだれでも保険募集人になれるような状況になっております。商品が共通の時代には、販売チャネルの利便性で選択を行ってきた消費者が、自由化に伴う商品・サービスの多様化の中で、信頼して相談できる窓口を求めていることは間違いありません。保険を選ぶ前に代理店を選ぶという考え方、これが本会の考え方であります。

多品種の商品を取り扱う損害保険の場合、商品がどれだけ簡素化されても、個々の消費者のニーズやリスクに応じた商品選択の的確なアドバイス並びに契約内容の変更とか事故対応等のアフターサービスが不可欠でありまして、消費者は質の高い代理店・募集人を必要としております。そのような代理店・募集人をふやす必要が今こそあるということは言うまでもないと思います。

損害保険代理店は規模も業態もさまざまで、個々の募集人の資質も消費者からは見えにくいため、215万人の中から識別できるメルクマールが必要と考える次第であります。本来なら、この募集人資格そのものを国家資格または公的資格とすべきだと思うのでありますけれども、既に200万人を超えるといった現実・状況の中で、どこから手をつけるかということは大変難しい問題ではないかと思っております。損保業界では、本年度より募集人資格の更新制の導入とか、専門試験の実施を行い、一歩前進と言えますけれども、保険募集を的確に行うに足る募集人の資質レベルは実際どの程度必要となっているか、もっと深く検討する必要があるのではないでしょうか。

最後になりますが、私どもが考える理想の代理店・募集人ということでございます。約款を熟知し、商品説明が正確に行える。消費者のニーズを的確にとらえ、ベストな商品選択のアドバイスができる。契約者へのアフターフォロー、契約内容の維持管理、また保険金請求手続のサポートが確実・迅速にできる。変化に応じた各種情報提供サービスが実行できる。万が一、募集上の誤りが自身にあった場合は、常に責任を負う覚悟で業務を行う。こういった人たちが理想の代理店と言えるのではないかと思います。

先ほどご説明いたしました保険大学のカリキュラムは、こういった募集人を育成するに足る内容であると確信しているところであります。どうか認定保険代理士に国家資格を含めた公的資格を付与していただき、質の高い募集人を消費者から見えやすくするとともに、その数をふやして質と量の好循環を図り、あわせて募集人の資質と社会的地位を向上させて、消費者・保険契約者への質の高いサービス提供を促す仕組みを構築することが今こそ必要だと思います。

日本代協といたしまして、この10年間、一生懸命努力してこの保険大学の受講生の募集等をしてまいりました。しかし、やっと10年で1万人であります。200万人もの募集人の方々すべてに受講していただくようにするには、このペースでは2,000年もかかってしまうわけでありまして、ここで認定保険代理士を消費者のメルクマールとなる資格として行政認定資格としていただければ、急速に優秀な募集人がふえることは間違いないと思います。どうかバックアップしていただきますよう心からお願いいたしまして、簡単ですが、私どものご報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○山下WG座長

ありがとうございました。

それでは引き続きまして、日本保険仲立人協会の葛石会長からご説明をお願いいたします。

○葛石参考人

今ご紹介頂きました日本保険仲立人協会の会長を務めております葛石と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。

まず、はじめに当たりまして、こういう席上で発表させていただく機会を得ましたこと、厚く皆様に感謝を申し上げたいと思います。

それでは、資料は3冊ございまして、WG50-2、3、4(委員等に配布)になります。少し、資料的に多くなったかもわかりませんので、また限られた時間でもありますので、読み上げながらすべてのお話を申し上げたいところですが、一部割愛させていただくところもあろうかと思いますので、あらかじめお許しいただきたいと思います。

それでは、まず資料のはじめといたしまして、50-4、A4縦のものから、「保険仲立人制度の現状と課題」という資料をご説明させていただきます。

第1番目に保険仲立人制度要旨といたしまして、仲立人とはどういうものかよくわからないとよく言われますので、漠としたところからお話し申し上げたいと思います。その後実務上の課題に触れさせていただきます。

まず概況でございますが、仲立人というのは、平成8年10月1日より登録受付が開始されております。したがいまして、日本の仲立人は平成8年10月1日以降の設立になります。

仲立人が取り扱う種目でございますけれども、損害保険、生命保険、の両方を扱っております。当然のことながら、個人も法人も対象として取り扱います。

それから、仲立人には長期契約認可というのがございまして、保険期間5年以上の保険契約の媒介につきましては、仲立人登録以外に別途金融庁の認可が必要でございます。

仲立人の、現在登録数でございますけれども、現在33社でございます。資料の、「2.主要国の保険ブローカー及び保険代理店の現状(1)」をご覧下さい。これは、主要国の保険ブローカー及び保険代理店の設置状況で、EU関係国の調査資料でございますが、世界の各国で代理店とブローカーがどれぐらいの比率で現存しているかを調査したことが載っています。例えばベルギーには代理店が8,160店、ブローカーが9,137店ある。こういうことを表示していまして、代理店と仲立人の数はどれくらいあってしかるべきものかを認知いただくために添付いたしました。日本における代理店数33社がいかに少ないかということをご説明申し上げたいのでございます。

仲立人協会の会員社数については、33社のうち27社です。仲立人全体の収入保険料については、2007年度損害保険で約250億位、損保全体におけるシェアについては0.3%であります。

また、資格所有者のことでございますが、資料の「保険仲立人試験 受検者・合格者数の推移」をご覧いただきますと、仲立人試験合格者数の推移が出ております。仲立人も最近は非常に脚光を浴びるようになりまして、一時期は生保であれ、損保であれ、受験者が非常に少ない状況で推移していましたが、昨年あたりから急に増加傾向に転じています。現時点でも相当問い合わせ等が入っておりまして、最近は仲立人の資格を取りたいというニーズは相当広がっていると感じている次第でございます。

続きまして、制度上の特色についてお話し申し上げます。

まず、仲立人というのは、書面交付による自己の明示・開示を行います。これを、資料の別紙1でご覧ください。これは協会の標準書式でございますけれども、書面でこういうものを必ずお客様に配付いたします。

それから、結約書の交付というものがございます。結約書というのは、契約内容を書面に明示して、契約者・保険会社の捺印を取りつけて、双方に交付いたしております。これも全件完遂しております。

次に、賠償資力の確保でございますが、現行制度の保証金は最低4,000万円で、最高8億円となっており、これを管轄の財務局に供託する形式になっております。

更に、誠実義務の履行というのがございます。これは業法299条に定められており、299条で「顧客のため」を明示していることが注目点になっています。顧客のために知り得る情報を駆使し、保険会社に偏向することなくベストな保険契約の媒介を行う。これは要約でございますけれども、そういう趣旨でご理解いただけたらと思います。

手数料の開示規定がございます。仲立人は、お客様から求められた場合に限ってのことですが、手数料を開示する義務があります。

それから、事業報告書の提出義務がありまして、決算日より3カ月以内に所管の財務局に決算書・事業報告書等を持参して、ヒアリングを1時間位受けております。

それから、ファイアーウォールがあります。ファイアーウォールは4項目ございまして、保険募集の委託の禁止、これは兼営の禁止と言われております。次のページに移らせていただきまして、共同営業の禁止、これは代理店あるいは保険会社との共同営業を禁止する項目でございます。次に店舗共用の禁止、これは代理店と一緒に店舗を共用することも禁止されております。情報提供の禁止、これは、例えばコンピューターの契約情報を代理店と仲立人が共用するといったことを禁止されている条項でございます。

細かいところでは、記録書面の保全というのがございまして、お客様と契約内容の話し合いをした、いわゆる顧客との媒介内容を記録する書面を作成保管する義務もあります。従って、お客様とのやりとりはすべて記録書面に残して後日のトラブルを防止することに役立ています。これが仲立人の制度上の特色でございます。

次に、経営の実務上の特色を申し上げます。経営体制といたしましては、保険販売をするのを営業系と申しますが、営業系・事務系、ここまでは代理店と同じでございまして、これ以外に仲立人の場合には技術系を持っております。いわゆるリスクサーベイとかアセスメントを担当する人間を保持しなければ、仲立人としては成り立たないということでございます。

顧客との関係を申し上げますと、顧客とは、指名状というものを介在させます。これは別紙5をご覧下さい。指名状のサンプルが載っております。この意味は顧客が仲立人を選任委託する関係になります。指名状はお客様が発行いたします。

続きまして、保険会社との関係でございますが、保険会社と仲立人は業務契約書を締結しまして、それぞれの権利義務を明示する関係でございます。先程の指名状というのは業法に定めはございません。しかしながら、業務契約書の中に保険会社より写しの提出を求められております。それが標準的な業務契約内容となっています。

それから、保険会社との取引状況でございますけれども、損害保険会社は、基本的には仲立人が希望さえすれば、業務契約がほぼ全社可能でございます。ところが、生命保険会社では、旧日本社以外の会社は業務契約が可能なのですが、いまだに旧来の生命保険会社のなかには仲立人と業務契約をすることを拒んでいる会社がございます。

仕事の内容についてお話しします。仲立人は基本的にリスクと保険を取り扱います。これは非常に大きいテーマでございます。リスクと保険なのです。当然、その中には再保険、クロスボーダー等を含みます。顧客間では、リスクを保険あるいは他の手段を選択して転嫁、軽減するサービスを行います。これが基本的に仲立人のお客様との仕事関係でございます。仲立人と保険会社との間では、保険の媒介を行うということで、代理店との関係と全く同じということになろうかと思います。代理店の場合は代理契約の権限の違いによる実務上の差異がありますが、そういうことでございます。

続いて、仕事上の特徴を申し上げます。仕事上の特徴は、指名状と保険仕様書を使うことです。先ほど言いました指名状というものを非常に重要視するものですから、仲立人は、指名状を獲得するために営業努力をいたします。顧客より指名いただくための活動に時間を掛けていると思っていただいてよろしいと思います。これを保険会社に提出することによって求率回答書の優先権を得ます。この求率という言葉の意味は、保険料を計算するのは、仲立人と保険会社の間においては保険会社に責任を持たせて、計算してもらう事を指します。そうでなければ、そこに瑕疵が起こった場合、保険金支払いに連動することがあるのですから、単ある計算誤りも含めて、保険料算出責任は保険会社にあると言うのが道理にかなっていると承知しています。保険会社が保険条件に適う保険料をきちんと算出する。それに基づいて、仲立人は指名状を持つことによって求率回答書を受け取る優先権を得るということになります。これは、仲立人同士あるいは代理店と仲立人が争ったときに、指名状の発行日の新しい日付のもの、あるいは指名状を保有する者を優先しますという意味合いでも運用しています。

その次に保険仕様書というものを使います。顧客の意向に沿った保険を調達するため、ワーディングという作業をおこないます。これは普通保険約款に特約を付加したり、外したりする作業を指しますが、このワーディングという作業を行いまして、保険仕様書を作成いたします。実務上、仲立人の保険仕様書というのは、保険会社へ求率をする前に作成して、お客様と打ち合わせ確認されたものです。仲立人が保険仕様書を利用して求率をする前に顧客の意向確認をするということは、保険募集システムでは安心安全のポイントとしては大きいものがございます。

以上のところで要約をいたしますと、仲立人には、保険募集上の細かいところまで法律上に定まった規則がございますので、その規則に沿った形でビジネスモデルが今日でき上がっております。しかしながら、この12年間で結局のところ33店しか仲立人が存在しない。このことは、この制度が保険募集面で基本的にうまくいっていないと、結論から申し上げると、そういうことだと思います。社会に貢献できる仲立人制度にもなっていない。我々としてはこれが本当に申し上げたい大きい趣旨でございます。

その次に進ませていただきますと、「保険仲立人の課題の背景をなす保険流通のあるべき姿への提言要旨」とありますが、第1番目は、「平成8年の保険業法改正施行から今日に至るまでの、保険流通現場での所見」というものを書いてございます。これは私の私見でございますので、この場で読み上げてご説明することを割愛させていただきたいと思います。ぜひお読みいただいて、こういう見方もあるということでご参考になればと願っています。

4ページ目は、「あるべき姿を求めて」という形で整理してございます。これは最後にさせていただきまして、WG50-2、「保険仲立人実務からの課題」を開いていただけたらと思います。これに基づきまして、仲立人実務からの課題、いわゆる要件についてテーマを申し上げながら、我々が今どう考え、また何を要望しているかということをお話し申し上げたいと思います。

最初に申し上げたいことは、仲立人の地位です。これは業務の課題となっております。保険募集の公正の確保において、仲立人と乗合代理店の整理を要望したいということでございます。シート中央の実務上の課題について、少し読み上げながらお話を進めます。保険流通市場においては、保険会社による直接販売、保険代理店、保険仲立人が従事しています。その中で専属代理店というのは、保険会社の専属であるということですから、立場上は明確で、募集の公正という意味の議論をすることから少し分別させていただき、主体として保険仲立人と乗合代理店の2社に絞った定義の議論をいただきたいというお願いでございます。

問題視していることは、生損保を問わず、数多くの保険会社と代理店契約をする乗合代理店の中に、ただいまのところ代理店の立場であるのに、営業案内パンフレットとかホームページに堂々と自らをブローカーないしブローカー的だということを立派に広告をしている代理店会社があることです。仲立人と同一ないし類似しているという主張がございまして、これは極めて消費者に誤解を与えるので、制限する必要があるのではないかと、危惧しております。保険仲立人には募集の公正を確保するための法的規制がありますが、乗合代理店にはないということが利点とされて、仲立人でなくても類似の営業が可能であれば、乗合代理店のままでよいとするのが、当然の結果となっている現象です。したがって、仲立人の規制を乗合代理店と同一に下げていただくか、乗合代理店を仲立人規制と同一に引き上げていただくか、この整理をお願いしたい、要望したいということでございます。

類似について、類似したサービスを少しだけ明記してございます。類似とは何を指すのかということですが、商品の比較販売を指しております。仲立人は、仕様書に基づきまして保険入札、BIDというものを行います。この結果による比較表というものをつくりますが、この結果比較表と乗合代理店の合見積が類似しているということを指しております。実務上、保険入札結果比較表と合見積は、複数の保険会社の契約条件を顧客の前に並べるということでは同一でございますけれども、顧客が要望したリスクを表記した保険仕様書を前提に求率をした比較契約条件と、既存のいわゆる市販の保険商品の類似商品での保険料の合見積というもので出されたものは根本的に相違があります。また比較の信用性の確保においても大きく違うものであることを申し上げたいわけでございます。

続きまして、保険仲立人は中立である立場から顧客の代理人の立場になることを要望したいということです。これは業法第2条の定義に、「顧客のため」という字句を挿入していただきたいということでございます。現法律は、仲立人に中立を求め、公正・公平・中立と、これが業法として最初に定まったように聞いております。しかしながら、実務上では法律に定めがない、指名状を顧客から取りつけるのがビジネスの始まりとなっており、保険会社も指名状を要求して居る現状がございます。そういう観点から、仲立人は民法準委任行為を行う者として、顧客代理人を明快に確立させたい希望を持っております。

中立というのは、なるほどきれいな言葉でございますけれども、結局、お客様の目から見たときに極めてあいまいな立場とも映っているというところを我々はそのように感じているということでございます。具体的には、「保険仲立人とは、顧客のための保険契約の締結の媒介であって」というように、「顧客のため」のという言葉を入れていただきたいということでございます。業法299条の誠実義務には明確に「顧客のため」という文字が入っておりますので、、我々素人判断では、整合性に疑義があると感じるものでございます。

次の2ページ目をめくっていただきます。指名状を業法で明確化することを要望したいということでございます。実務上、指名状は顧客が発行します。受領後は仲立人が現物保有しております。現行の指名状の中身は、顧客が指定する保険プログラムを実行するために、指名仲立人を選任した証となっております。各仲立人によっては細目について顧客と取り決めているケースもございます。WG50-3(別紙5)がそのサンプルです。

指名状は、保険会社へ提出されることが発行目的です。指名状を見て保険会社は保険求率回答を誰にするかを決める証でございまして、保険会社としてはこれを重視していると判断しております。したがって、指名状の効力をルール化する必要があると考えており、法的に定めがないため、取り扱いに保険会社対応差が生じております。例えば、保険会社の営業所レベルぐらいになりますと、指名状が提出されているにもかかわらず、保険会社の社員が従来の取り扱い代理店にあいさつに行ったという、笑うにも笑えないようなエピソードまで発生するのが今の現場でございます。現行において、保険仲立人の媒介する契約において、指名状は100%取りつけております。そういう形で現行運用されているというご理解をいただきます。

次に結約書のことでございます。結約書は、業務の課題であって、参入要件でございます。個人保険、家計保険の分野において、結約書を保険証券の発行にて交付を省略することを可能とするように改善いただけないだろうかという提案でございます。

実務経験上、複雑多様なリスクに対応した保険契約では、これは企業分野のことを指しますが、結約書は現在重要な位置付けで運用されております。要するに、結約書交付を非常に重く感じていることなのです。ただ、実務上の手間がかかり、交付において、契約者並びに保険会社の双方から署名・捺印を取りつけて、双方に交付するというやり方をとりますので、保険申込書とは別に結約書の事務流れが発生しているのです。保険会社からは、仲立人業務は代理店と比較して社内対応に手間がかかるという苦情まであります。最近の保険会社の契約手続においては極めてIT化が進行しており、ペーパーレス化が図られております。なおさら結約書が書面ベースで行き交うことを問題視する保険会社があらわれております。

社会環境が、個人にてもリスクの認知度が広がり始め、特にファイナンシャルプランナーの方の増加によって、個人リスクのコンサルティング業務が消費者には違和感なく受け入れられておりますので、そういうところから仲立人のビジネスが受け入れられる環境が生まれていると判断しております。したがって、申込書記載内容と変わらないような個人保険・家計保険の分野に仲立人が活躍することになれば、このことについては極めて工夫が必要であると思っております。

さらに最近では、生保を主として取り扱う乗合代理店から私どもの協会に仲立人としてやりたいという問い合わせが結構多くなりまして、早急にこの交付環境の整備を求めたいと思っております。

それからもう一つ、保険種目でございます。種目として、例えば自賠責保険のようなものがあるのですが、この保険は証明書を発行するという保険でございますが、結約書まで交付する必要があるのかどうかと疑いたくなるような保険種目でもあります。ただ、実務上、現行の仲立人はこれらの種目を取り扱うことを避けているのです。要は、結約書を発行しないといけないということであるならば、こういう種目はできるだけ避けていかなければ、とにかく保険会社が事務手間を嫌うのです。そういう問題がございまして、家計の、例えば自動車保険を取り扱うような仲立人が登場するようになれば、これはどうしても解決しなければならない、お客様にとって不利益なことになるということを指摘したいのです。

蛇足ですが、この結約書の交付は代理店にはない業務なのでございます。

その次の3ページに入らせていただきます。仲立人では、手数料のことをブローカーレッジと申します。契約報酬のことでございます。業務の内容や、保険契約の締結の媒介にかかわる手数料・報酬も顧客に請求することができることの改善ということで提議を申し上げます。

この課題は、保険仲立人あるいは保険代理店もそうなのですが、手数料の構成が極めて不明であります。仲立人の場合は、リスクサーベイ・アセスメントといった役務報酬につきましては、保険契約締結の媒介以外と認定して、お客様の合意が得られれば請求可能と思っておりまが、実務上では、徴収しているところは少ないと思います。しかしながら、リスクを保険に転嫁するためのハンドリングの役務は、締結に当たると判断していますけれども、知的な役務でございまして、一般的契約の締結媒介とは異なりますので、代理店の役務手数料と比較して適正なものになっていないと言われております。

情報でございますけれども、北欧(ノルウェー)においては、保険会社がブローカーに手数料を支払うことを禁止するという規制が発効しております。これは2008年7月1日付ですが、これは注目すべき動きだと関心をもっています。国際市場では、ブローカーと代理店の手数料を比較した場合、ブローカーが大きく、代理店は小さいのです。これがスタンダードでございますけれども、日本では代理店のほうがむしろ高いので、我々にとっては極めて不満があります。役務対価の考え方が保険会社視点ではかられているために、仲立人と保険会社との関係で保険会社が決めていることが問題だと思っております。仲立人は、顧客との関係で手数料を決めるべきものであると認識しております。この辺について、進んでご審議をいただきたいと思います。

応諾義務についてです。応諾義務は業務の課題であって、参入要件でございます。仲立人と保険会社の関係において、仲立人取引を円滑に進めることへの整備を要望したいと思います。顧客の代理人としての立場をとる仲立人が、仲立人であるという理由だけで業務契約を事実上拒否している保険会社がございます。このことは、保険業の公共性にかんがみ、保険募集の公正を確保することの検証として、明らかに法の精神をゆがめているというのが私どもの主張でございます。個々の保険契約にあっての、引き受けの可否を決めることとは意味合いが違います。保険会社が、「非常に高いリスクがあるので引き受けません」ということとは理由が違うのです。このことが仲立人参入障壁として、また参入不安の要因とも現在なっております。現在の仲立人取引を拒否する保険会社の言い分によりますと、対応ができないということを第一の理由に挙げ、また保険会社の会社方針であると堂々と言われます。この事案が世間では誤解の風評となって、仲立人は保険情報が得られ難いから、仲立人にはなれない、または仲立人は不利であると言われた要因の一つになっております。仲立人ビジネスというのは、保険会社の選択について完全な自由を有する者として独立した公正な保険募集であって、顧客利益のため、保険会社との関係において仲立人が希望すれば業務契約を可能とさせる応諾義務のルールを新たに設けることをぜひご議論いただきたいと思います。

その次、4ページ目に入らせていただきます。保証金問題でございます。これは賠償資力のことです。私どもの要望としますのは、保証金を1,000万円程度と申し上げますが、これ位に減額し、これを保険仲立人協会による保証基金で対応できるように改善願いたいということでございます。

現行制度では、最低4,000万円、最高8億円を所管の財務局に供託することになっております。ただし、実務上、仲立人の多くは、4,000万円は保険会社の発行する保証保険にて対応し、これを超える部分は賠償保険にて対応しております。現状、新しく仲立人になろうとする者は、保険会社の発行する保証保険は買えなくなっております。今はもう保険会社に引き受けるところはございません。したがって、新しくなろうとする人たちは、現金で供託するしか道はなくなっていることが第1の問題です。

第2の問題は、やはり4,000万円は国際相場から見ても高過ぎる感がございます。新規参入希望者にアンケートをとっても、口をそろえて参入障壁ではないかという苦言がございます。委員の先生方に配布した資料の15ページ・16ページをご覧ください。15ページの下の方から16ページの中ほどにかけまして、EUの保険関係指令を現状参照に載せております。保証金は、例えば賠責は100万ユーロでございますから、今1ユーロ120円前後でございますので、1億2,000万円程度だと思います。それから、資力の保証金は取扱保険料の4%、かつ1万5,000ユーロでございますから、ざっと170~180万円位でございましょうか。この辺が、最初に仲立人をしたいという人はこの程度の保証金で私は十分でないかと思っております。こういう事例を参考にしていただきまして、もともと日本の4,000万円も、イギリスのIBRC規則にあった金額をポンドを円に換算して4,000万円ということに決まったと聞いておりますので、そういう意味でユーロ、EUは相当下がっているといった認識をいただいて議論いただければありがたいと思います。

提言でございますけれども、基本的には、我々の議論の中では1,000万程度として固定してもらいたいという意見でございます。

また、保証金は各仲立人会社が個別に供託してもよいのですが、私どもの公益協会がつくる保証基金にて包括保証を可能とする道もご検討いただきたいのでございます。

参考までに申し上げますが、過去に賠償事件での保証金を発動した事案は1件もございません。この発動要件ですけれども、一般に保証金が必要とされるのは、保険料の流用とか使い込みがリスクとして考えられ、また、場合によっては保険会社が破綻した場合に保険金の減額が生じまして、これが仲立人の媒介の責任だと言われた経緯がございまして、果たしてこの破綻したという事実だけをもって仲立人の媒介の責任だと言われるのも、我々から言えば、少しおかしい、我々としては納得しがたいと考えるところでございます。これもぜひ議論をいただきたいと思います。

最後になりますが、仲立人と保険代理店の経営の兼営の解禁をご検討いただきたい。仲立人と乗合代理店との規制の検討課題の中で、基本的に同一にしてしまえば、上げようと下げようとでございますが、兼営を可能とすることが最も合理的な結論になるというのが私どもの議論でございます。兼営のイメージは、法人事業形式で、一法人内に仲立人と代理店のチャイニーズウォールを敷いて、二つの部門を持つことを頭の中に今描いております。

現状の日本の保険仲立人会社は、親会社に代理店形態がある場合が多くて、現時点で大きい代理店、小さい仲立人という形になっておりまして、持株会社形式をとれば現在実質兼営は可能でございますけれども、極めて経営効率が悪いと判断されています。

また、さらなる問題点には、人材の交流がございまして、代理店募集資格と仲立人資格は現在違います。同一の保険業務であっても登録によりそれぞれの資格を有することが必要で、また現実に社員異動などがありますと、うまく社員の資格交換ができないようになっております。また、顧客に対しても、仲立人業務の特色と代理店の特色をいかしたサービスを提供するのが本来、消費者にとってベストな利便であるはずでございますけれども、立場の違いだけでこれほどまでにファイアーウォールを高く厳しくする必要性があるかどうかということをご議論いただきたいと思います。

さらに、仲立人と代理店の立場の違いを明らかにするのは指名状利用の方法がありまして、よく仲立人と代理店の立場が違うのだから顧客がわからないと言われますけれども、指名状を発行するかどうかは、顧客が発行するわけですから、顧客が勘違いするということはあり得ないことなのです。そういう意味合いの中で、兼営があったとしても、何の問題もなく顧客は応対判別することは可能であろうと思っております。

少し時間が押しましたので、また縦の資料50-4の4ページを開いていただいて、申しわけございませんが、少し早口でしゃべらせていただきます。

まず、議論いただく「あるべき姿」でございますけれども、マル1は、法律の規則によって基本的な保険仲立人のビジネスモデルが確立されることが重要でございます。これはEUの12ページ・13ページの中をご覧ください。12ページ・13ページに、仲立人とは、代理店とはという定義がございます。12ページの最初でございます。保険ブローカーというものと保険代理店、保険副代理店、これはEUのものを訳したものでございますけれども、保険ブローカーとは「保険会社の選択について完全な自由を有する者として、危険の保険または再保険のために、保険または再保険を求める者と保険会社または再保険会社とを結びつけ、保険または再保険契約の締結に先立つ業務を遂行し、かつ、適当な場合にはかかる契約の管理および遂行、特にクレーム発生の際の援助を行う者の専門的職業活動」と、明快に役割、機能までちゃんと含めた定義がございます。我々からすれば、もう少しきちんと法律を読めば仲立人のビジネスモデルがわかるといった文章にぜひしていただきたい。これがお願いでございます。

次にマル2ですけれども、募集の公正の確保の討論をぜひやっていただきたい。公正の確保の観点から保険仲立人と乗合保険代理店のあり方の整理の必要性が出てくることを強く主張申し上げたいと思います。現在の乗合代理店が、消費者ニーズある保険比較購入に貢献しているとの意見がございます。この意見は、社会にリスク意識の浸透と保険料自由化によって価格差があることを顧客が知り始めたからこその動きによるもので、そもそもの乗合代理店の発生形態と保険仲立人の設立形態とは全く違うものでございます。したがいまして、募集の公正の確保の点で、内容、あり方等を検討整理した上で、施策の議論をぜひお願いしたいということでございます。

マル3は、手数料・報酬は保険流通事業者にとっては売上に当たるものでございまして、事業者として収益源を何に置くかということは事業形態を大きく変えるものでございます。この切り口で募集人のあり方を討議することは極めて重要で、役割と役務による手数料・報酬を法律による監督下に置く必要性があると、これは私なりの肌感覚でそのように思っております。

マル4は、保険仲立人登録によって、個人保険、家計保険を扱う者が多く参入するような社会現象が生まれ始めております。社会が変わり始めました。したがいまして、早急にこの制度改革を、仲立人が個人のいわゆる家計保険を含めて、そういうものに対応できるよう仲立人を日本の国の中にも多くつくっていく必要性があると信じておりますので、ぜひそういう方向で法律改正をするための審議をお願いできたらということでございます。

時間が少しオーバーいたしました。また質問等があると聞いておりますので、非常に僣越なことを申し上げたかもわかりませんが、お許しを頂きまして、仲立人協会の発表とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○山下WG座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまの荻野参考人と葛石参考人のご説明につきまして、どの点からでも結構ですので、ご自由にご意見を頂きたいと思います。森崎委員。

○森崎委員

今お二人からプレゼンテーションがございましたけれども、お二人に対しまして、質問と、それから私の意見を申し上げたいと思います。

現在、契約概要、意向確認、それから注意喚起情報等の販売のあり方につきまして、既にこれはガイドライン等にも書かれておりますけれども、その論議の前に、今日一部ありましたけれども、販売主体のあり方ということについて、本来ならば議論があったほうがよかったのではないか。これは前回も私はちょっと申し上げましたけれども、今もこの販売の主体の形が大きく変わってきている。例えば、代理店は40万店から23万店ぐらい、それから生命保険の募集人も相当数が減ってきている。あと来店型とか、ネットとか、非常に販売の主体が変わってきている。それに応じた一定の規制のあり方というのを考えるべきなのではないかと。その後に契約概要とか注意喚起情報というものがあってしかるべきではないかと思います。

その中で、今お二人からありました中の、ブローカーと乗合代理店はどう違うのかという問題なんですが、代協のほうは、乗合代理店をふやしたい、したがって保険会社の同意取りつけをもっと簡単にしてもらいたいというご意見ですが、私はそのとおりだと思います。では乗合代理店とブローカーで、ブローカーの場合には賠償資力につきまして最低4,000万円という保証金をとっているわけですけれども、代理店の問題につきまして保険会社が賠償責任を負うということになっています。しかし、これは保険会社としてしかるべくきちんと説明ができていれば、その必要はないという措置が法律の中には決まっているということで、では、やっていることはほぼ同じだけれども、なぜ一方が最低4,000万円の保証金を必要とするのかという問題はあると思います。今はあまりご指摘はなかったですけれども、そういう問題があります。その辺は制度改定の中で考えていく必要があるのではないかと。

それから、乗合代理店の問題ですが、現在保険会社は、利益誘導型手数料といいますか、手数料は原則自由化されておりますので、利益誘導型、要するに囲い込みというものを提供する。例えばポイント制などもそうですけれども、こういう販売主体のあり方について問題になるのか、ならないのか、この辺の議論はあってしかるべきではないかと思います。

あと、葛石さんのほうのご意見はかなりもっともでございまして、今、保険会社が統合・合併等でメガ保険会社ができつつある、できている部分もありまして、競争という側面がだんだん失われていくという中で、私どもといいますか、消費者も含めて、競争の促進という点、要するに消費者利便を考えた競争の促進ということを考えていくためには、この販売主体のあり方をよく議論する必要があると思います。

それからもう一つ、これはちょっと細かいと言えば細かいんですが、代協さんのほうでお話がございました中で認定保険代理士の話がございますけれども、今の23万店に対しまして現実にこの代協の会員になっているのが1万1,000店ということですと、組織率が非常に低い。なぜこうなのか。そうすると、その組織がこれだけ低いところ、そういう団体が認定保険代理士というものを認定していくということについては、それ以外の23万店の大方の代理店はどう考えているのかということを考える必要があるのではないかと思います。この辺は、認定制度を国家資格として認めれば、会員が増えるというご意見のように聞こえますけれども、それはちょっと逆ではないかと思います。

あと、それ以外のところの代協さんのほうで言っておられます募集文書等のあり方につきましては、もっともなところがありますので、この辺はあまりこういう審議会でも結論を急がないように、よく現場の意見を聴取して決めていく必要があるのではないかと、ちょっと拙速に過ぎる部分がある。これは前にも私は申し上げましたけれども、そのように考えております。

一応以上でございます。

○山下WG座長

荻野参考人、葛石参考人、今のご意見について何かコメントがございましたらお願いします。荻野さん。

○荻野参考人

23万店中1万1,000店ではないかということでご指摘いただきまして、大変厳しいのでございますけれども、私どもといたしましては、この23万店の中にはいろいろな代理店、専業ばかりではなくて、副業の方もたくさんおられます。私どもとしては、専業の時代だと思っておりまして、そういった専業の代理店を中心に加入を推進しているところであります。その専業の代理店の比率で言えば、今現在30%を超えているところでございます。大体専業が4万店ぐらいでしょうか。ですから、一部のためだけといった認識はありません。

それから、認定保険代理士の認定でございますが、今日たまたま新聞を読んでおりましたら、総務省さんがテレコム・アドバイザーという認定資格をつくるといったことが書かれておりました。確かに、通話料金とか、これも目に見えないといいますか、なかなかわかりにくい。確かに年がら年じゅう「こっちが安いですよ」といった電話が頻繁にあったりして、正直申し上げてなかなか難しいのでありますけれども、こういったところにそういったテレコム・アドバイザーという行政認定資格をこれからつくるというお話でございまして、保険の販売はもっと難しいのではないかと。そういった中においてはこういったメルクマールになるような資格があることが消費者のために必ずなると思っているわけです。決して私どもの会員をふやしたいからこういうものを制度化してくれということで申し上げているわけではございません。ご理解いただきたいと思います。

○山下WG座長

葛石参考人、何かございますか。

○葛石参考人

主体のあり方の議論をするべきではないか、これは私も強く要望するところで、世界各国をずっと見渡したところ、どこの国においても、ブローカーあるいはエージェントの機能とか役割とか役務とかを明快に打ち出した定義が必ずあるものなのです。これに対して、日本の場合は、それを明確に書いたところがないと私は思っています。業をするための登録手続は明確にあるのですけれども、主体の定義というものが明確ではない。これをきちんと整備をしてほしい。そして今の実態に合わせた形で、仲立人でも、代理店でも、多様なビジネスモデルで活躍すればいいと思っていますので、EUのような定義付けを明快にしたほうがいいと思います。

以上でございます。

○山下WG座長

ほかのご質問、ご意見はいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋二部会委員

質問をさせていただきます。

まず1つ目は、日本代協さんに。募集文書のあり方等についてのご意見がありました。これは消費者の立場から申し上げると、保険会社に個々に伝えるべきではないかと思うんです。伝えていてもなかなか変わらないので、変えなければいけないと思ってここでご意見をおっしゃっておられるのか、あるいは力関係でできないからここでおっしゃっておられるのか、ちょっとその辺を伺いたいということが1点。

もう一つは、消費者との関係で、単に募集文書を簡単にというよりは、募集人、代理店そのもののスキル不足の問題を感じざるを得ないようなご説明が一部あったんですけれども、募集文書だけではなくて商品性の問題があると感じておられるのか、ご質問させていただきたいと思います。

2つ目は、仲立人協会さんにお願いいたします。私は平成8年の業法改正にかかわった委員ですけれども、仲立人協会の現状認識とか課題及び提言等はほとんど思いを一にするところがございます。当時目指したものと法律の姿並びに流通の現場での実態というのは、本当にそのとおりだと思います。金融ビッグバンのとき、消費者保護の立場から申し上げれば、保険の自由化の中で競争は働いてほしいという思いはありましたけれども、一番恐れていたのは、ブローカー制度等の導入によって企業保険がどんどん安くなる一方で、家計保険、すなわち個人にツケが回るという状況が生まれるということだったんです。実際にそれはもう生まれているのではないかと感じております。先ほどのご説明の中に、消費者ニーズであるとか、家計の自動車保険を取り扱う仲立人が登場するのであればとか、そういう環境が整っているといったご意見がありましたけれども、現在家計保険・個人保険の分野でブローカーの方々のご活躍が見えないのは、その結約書とか応諾義務とか保証金とか、挙げられた課題の問題だけなのかということをお伺いしたい。と申しますのは、消費者ニーズを酌み取っていろいろやっていただくのは大変ありがたいと思うんですが、薄利多売の商売の中に本当にお入りになる気があるのかどうか。入らないのであれば、その乗合代理店の制度とのすみ分けとか、そういうことを考える必要があると思いますので、その点をお伺いしたいと思います。

以上です。

○山下WG座長

では順次、まず荻野参考人からお願いします。

○荻野参考人

まず、募集のツール関係の問題について、過去、保険会社に言うべきこともあるんじゃないかというご指摘だと思いますけれども、もちろん全然そういうことをしていないわけではありませんが、各保険会社ごとにすべて違うわけでございまして、そこをすべて個々に私どもが対応していくというのはなかなか難しいところがあります。したがって、総体的な意味において、先ほど申し上げたパンフレットというのは、見えない商品を形にした唯一のものでございまして、これは絶対に必要なものです。この絶対に必要なものに工夫を加えることが一番よろしいと思いますし、募集人の立場で、あくまでも実務的な立場で申し上げれば、やはりこのパンフレットに沿って説明をしていくことが、代理店も説明しやすい。代理店が説明しやすいということは、消費者にとって理解がしやすいということになるのではないかということであります。総体的なご意見として申し上げているということであります。

それから、消費者ニーズについてでありますけれども、損保の商品の特性というものは、どうしても生保さんの話と一緒に話をするとややこしくなってしまうんですけれども、例えば生命保険に加入したいというお客様の言い方はあると思います。しかし、損害保険に加入したいという言い方はあまり聞いたことがありません。どういうことかと言えば、損保の場合には、自動車保険に入りたい、火災保険に入りたい、旅行に行くので旅行保険に入りたい、こういうことではないでしょうか。ということは、いわゆるニーズはほとんどが顕在化されているということです。大枠ではどの商品を望んでいるかということがわかるということです。一般的な契約概要よりもむしろ自分が加入しようとしている商品の内容を本当に知りたいというのが消費者の本当のニーズではないかと思います。したがって、いろいろなツールがあって、それぞれが中途半端な説明になるよりも、的を絞り込んで、お客さんが一番望んでいることに対してしっかり説明をするということが大事なのではないでしょうか。したがって、きちんと商品説明ができる、これが何よりも基礎だと申し上げているわけであります。

よろしいでしょうか。

○山下WG座長

よろしいですか、今のは。

○高橋二部会委員

では1点だけ。損保のということに限ってご説明があったんですけれども、日代協の会員さんも実態は生損保乗合代理店だと私は見ているんです。ですので、第3分野の医療保険とか第1分野の生命保険も同時に発売していて、消費者から見たら、日代協さんの会員であっても生保も売っている方々がたくさんいらっしゃると認識しているのですが、そういう問題というのはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

○山下WG座長

いかがでしょうか。

○荻野参考人

会員が生保のそういった代理店も兼営していること自体はもちろんよく認識しているところでございますが、私どもは社団法人日本損害保険代理業協会という立場でございますので、そこを中心にお話をさせていただいているということでご理解いただきたいと思います。

○山下WG座長

では続いて葛石参考人。

○葛石参考人

それでは、お答えをさせていただきます。話の角度というのは非常に含みの大きいところはございますけれども、まずリスクという認識が、例えば平成8年当時にいわゆる一般社会においてリスクという言葉の認知がどの程度あったのだろうかということだと思っているんです。当然ながらあの当時は、リスクなどという言葉をしゃべっても、法人企業さんにおかれても、リスクということに対する云々といったことはまずご理解を得られなかったと思っております。しかしながら、企業、事業をされる方は、時代の流れとともに、平成12~13年ぐらいだろうと思いますけれども、それから以後、企業関係におかれましては、リスクという認識は結構広まってきたと思います。一般の消費者、いわゆる個人の消費者さんにリスクというのが広がってきたのは、私は本当にここ5年ぐらいかなという気持ちを持っておりまして、先ほど割愛させていただきました私見のところには少し書いたんですけれども、お客様がリスクというものを意識しないと、仲立人のビジネスというものは基本的にうまくいかないと思っているんです。そういう意味で、先ほどのいろいろな結約書云々の課題だけが解決すれば仲立人というものがうまくいくのかといったお話だったと思うんですけれども、実は仲立人の中に先ほどちょっとお話ししましたハンドリング業務というのがございます。ハンドリングというのは、選択と申しますか、これは手配のことをいうんですけれども、要は自分が持っている知識の中で、例えば個人の保険であっても、お客様のニーズにフィットしたものはどこの会社のあの商品を使うといいんだろうなということを結構研究して持っているんです。これは、仲立人であるがゆえにどこの会社の情報もとれますので、そういう意味でこのハンドリングがやれるという意味合いというのは実は結構重いものがございまして、このハンドリングの力が多分個人の方にも満足のいくようなものになるだろうと思います。したがいまして、家計・個人分野の個人保険をやろうという人は、極めてその仲立人というところのそういう専門に扱う人が今後出てくるはずでございますので、そういう人たちを非常に利用されるということは今後においていいだろうと思っております。

少し話が脱線したら恐縮なんですが、例え話だけ1点申し上げますと、我々の認識の中では、保険というものを薬に置きかえまして、いわゆる薬局で薬を買うか、あるいは医者で薬を出していただくかといったことが、いわゆる代理店を使うか、仲立人を使うかという漠としたものの考え方でございます。要するに、薬局で薬を買おうという人は、自分でちゃんと診断しているんです。例えば、私は風邪だ、私は花粉症だと。だから、それに応じた薬を買いたいということで薬局へ行って、自分で選択をする。そのときに薬剤師さんが、恐らく商品の中で、この商品、あの商品はどうでしょうかと聞けば、答えてくれる。しかし、基本的にはお客さんの責任において薬を買うわけでございますから、そういう意味合いでは薬局が今の代理店に近いとされております。では仲立人はどういうことかといいますと、医者の立場と言われます。医者の立場というのは、当然検査をしたり、問診をしたりしながら、これは少し肺炎ぎみの風邪ですねといった診断をするわけで、そこに一つの処方せんを書いて、薬を出すわけでございます。これが仲立人の立場かなと思っております。現在の仲立人は、そういう意味では大病院のようなことをやっているということでございます。企業分野を扱うというのは、そういう認識をしていただければと思います。私どもの提案はそうではなくて、言い方は悪いんですけれども、いわゆる開業医さんのような町医者さんをぜひ広げていったらいいのではないかという認識でございます。これは先ほどお示ししましたけれども、ヨーロッパにおいてもアメリカにおいてもブローカーの数は断トツで日本の数どころではございませんので、また代理店との対比の中で日本はあまりにも仲立人が少な過ぎる。この理由は何にあるかというと、1つは社会にある、2つ目は制度にあると私は思っているわけでございます。ですから、我々の提案は、町医者をたくさんおつくりになったらいかがでしょうか、そういう議論をしてみてくださいということが今日のお話でございます。よろしいでしょうか。

○高橋二部会委員

ご説明ありがとうございます。ハンドリング業務については非常によくわかりましたし、町医者をふやしたらどうかということに関してもアグリーなんですけれども、疑問は、そもそもこのブローカー制度を入れるときには、おっしゃるように、合っているものを複数の保険会社の複数の商品の中から選んでくださる、それはもちろんのことなんですけれども、それだけではなくて、先ほど企業保険に比べて家計保険が割を食っていると申し上げましたように、価格交渉をしてくれるかどうなのかと。価格を安くすることにブローカーさんが力を出してくださるかどうかというところが私は一番大きいと思っているんですけれども、町医者さんでホームドクターで非常に懇切丁寧にいい薬を出してくださるので、もう価格のことは考えないでとおっしゃっているのか、そこにも入り込みますよと、医薬分業ぐらいのことを考えていますよとおっしゃっているのか、そこを教えてください。

○葛石参考人

基本的には、価格に関して言うならば、仲立人というのは、先ほど言ったベストアドバイス義務というのを持っていますので、可能な限りの割引制度というのは熟知しています。そこは信じていただいて結構かと思います。だから、先ほど言いましたように、仲立は偏向しないんです。したらこれは違反になるわけですから、手数料の型によって保険会社の商品は選択しないんです。だから、手数料の型ではなくて、お客さんのニーズフィットを前提に商品選択をするわけでございますから、そういう意味では、割引がどうだ、何がどうだということはもう当たり前の話でございますので、その中で選択をしていくということは信じていただいて結構かと思います。

以上です。

○山下WG座長

久保田委員から。

○久保田委員

今日はお二方から非常に貴重なお話を頂きまして、ありがとうございます。今の質問にもちょっと関連するのですけれども、今日荻野さんが出された資料の13ページのところで「消費者に理解しやすい仕組みつくりについて」ということで、確かに私もこのワーキングでいろいろ書類等を見せていただいて、消費者にできるだけ多くの情報を開示するという意味では理解できます。しかし、私自身があまり賢い消費者ではないということもあるのかもしれませんが、それを全部読んで理解する時間等が本当にあるのだろうかということもあります。今日のこの13ページのところにも「募集人は個々の消費者のニーズとの間で困惑している実態もある」といった話もありますが、ちょっと具体的にはどんなことがあるのでしょうか。それから今お話になった中で、パンフレットが非常にわかりやすいので、それを中心に説明していくというお話があったんですけれども、現場でそういうパンフレットを中心に説明していくということについて、規制か何かがあって、そういうのではいけないとか、何かそういうことはあるのでしょうか。

○山下WG座長

荻野参考人、よろしいでしょうか。最初の点からまず。

○荻野参考人

まず「消費者のニーズとの間で」ということは、くどいようですが、いわゆる説明資料がたくさんございまして、それがすべて重要ということにもなっておりますので、時間の許す限りの中でいかにそれを効果的に説明するかというのは、お客様自体の知識も非常にそれぞれ差がございますし、なかなか一律にマニュアルどおりに事が進められないということで、最終的にはお客様が了知したかを確認することになっておりますけれども、本当に、では最後まで理解をしていただくということになると、実務的には時間的にもお客様の協力という問題についてもなかなか難しいというのが現実だということを申し上げたわけです。

○山下WG座長

法律上の規制については、事務局のほうから少し。

○石田保険企画室長

事務局のほうからちょっとご説明させていただきます。

9月のワーキング・グループのときに、この募集関係の法令全体の見取り図というか、体系を簡単にご説明させていただいたと思いますが、保険業法に基づき、保険会社は適切な運営を図らなければいけないという一般的な法の規制がございます。それを受けたその下のレベルの施行規則において、顧客に対する適切な説明を行うための社内規則、社内体制を整備しなければいけないということが決まっており、さらにそれの具体的な運営ということで、例えば保険会社向けの監督指針という形で監督当局のガイドラインを公表・整備してございます。そういった中でかつてご議論いただいて、具体的に、少なくともこういうものは説明しなければいけないというものの一つとして、契約概要ということで、契約のポイントをこういう字の大きさ、あるいはこういう点は少なくともおさえた格好で各社説明しなければいけないという形で示したと。それから、注意喚起情報ということで、保険加入に当たって契約者の方に特に留意しておいてもらわなければいけない点についてポイントを絞った形で整理し、それを説明しなければいけないということも示したと。あと、いわゆる意向確認書面という格好で、契約者の方が契約内容がどういうものなのかということが確認できる手続をとらなければならないというのが、募集に当たりのやらなければいけないことということで整理し、実際に運営をしてもらっている格好になっています。

○山下WG座長

よろしいでしょうか。

では、洲崎委員、どうぞ。

○洲崎委員

本日はお二方から大変有意義なプレゼンテーションを頂きまして、非常に参考になりました。とりわけ仲立人協会の方からはかなり踏み込んだご要望、ご提言がありましたので、それだけ現状の規制に満足しておられないということだと思います。頂いたご提言、ご要望の中には、なるほどなと思えるところもございますし、これはちょっと難しいかなと思われるところもあったんですが、なるほどなと思えるようなところについて二、三コメントを申し上げたいと思います。

まず、仲立人の定義といいますか、位置付けが現行保険業法上はっきりしないんじゃないかという点については、確かにそのとおりであると思います。まず定義からして、保険仲立人というのは、「保険契約の締結の媒介であって、生命保険募集人、損害保険募集人及び少額短期保険募集人がその所属保険会社等のために行う保険契約の締結の媒介以外のものを行う者をいう」という非常にわかりにくい定義で、おっしゃるとおり、現在の実務では、保険仲立人というのは、顧客から委託を受けて顧客のために媒介をしているのだから、顧客のために媒介を行う者と定義すればいいんじゃないかというのは、まさにそのとおり、ご指摘のとおりだと思うんです。なぜこういうわかりにくい定義になったかというと、それはよくわからないんですが、ただそれは確かに平成7年の保険業法改正当時の保険仲立人の位置付けというのは、それまで我が国になかったものですから、あまりはっきりしなかった。保険仲立人というのは、中立の立場から保険を募集するというのは、確かに当時そういう説明はなされていたと思いますし、我々学者もそういう当時の説明をそのまま受けてしまって、保険仲立人というのは中立の立場から募集を行う者だという説明もしてしまった記憶がございます。しかし、その一方で保険仲立人というのは実質的には顧客のために募集を行うんだという説明も確かにしていたので、保険業法上は「中立の」という言葉はございませんけれども、その当時の中立なのか、顧客のためなのかというのはよくわからないということから、先ほど読み上げたようなわかりにくい定義になってしまったのかなというのが一つ。

それからもう一つは、これは私の想像なんですが、「顧客のために媒介を行う」と書いてしまいますと、顧客と仲立人の間に媒介の委託契約がある場合しかそこでとらえることができなくなってしまう。平成7年当時というのはどういうものが将来仲立人の活動になるかよくわからなかったので、顧客との間で明確な委託契約はなくても、仲立人が主導して保険募集をする。しかし、保険会社から委託はないし、顧客からも明確な委託はないんだけれどもと、ひょっとするとそういうものも仲立人の業務になり得るということも考えられたのかもしれない。しかしながら、先ほどのお話を聞きますと、現在の実務では、常に顧客との間では委託契約、つまり指名状をとってからビジネスが始まるのが現状であると。だから、顧客との間で常に委託契約があるということを前提にすると、もう「顧客のために媒介を行う」と定義してもいいだろうと思いますし、そしてそういうものが保険仲立人のビジネスだとすると、299条の保険仲立人の誠実義務と、この「誠実に」という言葉の意味もよくわからないんですけれども、委託契約があるのであれば、誠実義務ではなくて善管注意義務と、善良な管理者の注意をもって業務を行う義務と書けばいいと思うんですけれども、そう書かずに「誠実に」というややぼんやりした書き方をしたのも、ひょっとすると、顧客との法律関係が必ずしもまだ当時ははっきりしなかったということからこのようになったとも考えられますので、委託関係を前提にして保険仲立人というものを考えるのであれば、この299条のところはもう「善管注意義務」に書きかえるということは考えられるところだと思います。

それからもう一つは結約書の問題ですけれども、なぜ結約書の交付が義務付けられているかというと、保険仲立人というのは、商法543条以下でいう商事仲立人の一類型であると考えられていて、仲立人というのは、先ほどの「中立の」というのは、要するにいろいろな人のために媒介を行うのが仲立人であると。そして、いろいろな人のための利益を考えて媒介を行う。将来その契約内容がどんなものであるかといったことについて紛争が生じた場合に、証拠としてこういう契約だったのだということをはっきりさせるために仲立人が結約書をつくっておく。そこで契約内容がはっきりすれば、将来紛争が生じたときにというか、将来紛争が生じにくくなるということから、結約書を作成して交付しなさいという規定が商法にありまして、それを受けて保険業法施行規則等でそういうルールが定められていると思うんです。ですが、確かにオーダーメードの保険契約に関しては、一体当事者の保険会社と顧客が締結した保険契約の内容はどういうものなのかというのははっきりさせる必要がありますから、そのものについては結約書を作成するということには十分意義があると思いますけれども、オーダーメードではない商品、既存の商品、約款のある商品を売るときに、その約款と別に結約書を作成するということは必要かと言われると、確かにこれはあまり必要ではないように思えますので、そのあたりについてはルールを整備するということは考えられるんじゃないかと考えます。

以上でございます。

○山下WG座長

コメントがございましたら。

○葛石参考人

ありがとうございます。私は非常に力を得ましたので、ぜひよろしくご検討いただきたいと思います。結約書の中ではもうおっしゃるとおりで、諸外国もそうなんですけれども、商品をいじくるといいますか、いわゆるワーディングを行ったものは結約書というものを重視すべきであると、これはもう当然だと思っておりますし、我々もそのつもりなんですが、本当に市販の何の変更もないそのものの商品をそのまま右から左へ、いわゆるハンドリングだけでお客様へご提供申し上げるあるいはご推薦申し上げるというときは、私は結約書までは不要ではないかという認識は持っております。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○山下WG座長

野村委員、どうぞ。

○野村委員

ありがとうございます。今日は代理店さんと仲立人さんから非常に本質を突いたプレゼンテーションを頂きまして、問題点が大変クリアになったかと思います。そういう中で幾つもの論点が今日は出ているんですけれども、一つ、募集文書に関しましては、ルールが先行してしまったというご指摘、ご批判もあろうかとは思いますけれども、それなりに消費者のニーズにかなった募集文書のあり方を検討した結果、一つの到達点に達しておりますので、それをうまく創意工夫の中で契約概要と注意喚起情報をミックスさせたような形のものをパンフレットにかわる明確な募集文書として発展させていただくことが実務の課題ではないかと思います。したがって、その形がだんだん整っていきますと、むしろそのルールに則した新しい募集文書が1本だけ出てきて、それを使って明確に募集をしていくという姿が間もなく出てくるんじゃないかと、私は期待しているところでございます。

それはそれとしまして、やはり主体の問題については、もっと明確に議論すべきだったということは確かにありまして、今それが行われているんだろうと思います。そういう中で、乗合代理店というのと、ブローカーというのが類似のものになっていながら、どこが違うのかというのはかなり大きな問題点として指摘されているところだろうと思います。

この中で、今日のお二方の問題提起はそれぞれいずれも妥当なものを含んでおられると思うんですけれども、どうしても伺いたいのが保険会社の考え方でありまして、保険会社がこの媒介をしている方々をどう見ているのかということ、どのように媒介をしていってもらうことを望んでいるのかということが最終的にはっきりしていかないと、この問題の解決は見い出し得ないのではないかと思います。特に先ほど代理業協会の方から、乗合が今後進んでいくべきだと考えるけれども、乗合についての事前承認というハードルがあって、なかなかそれに一歩踏み出せないというご指摘がありました。さらには、仲立人のほうの方は、例えば指名状をちゃんと持っていっているにもかかわらず、指名を受けた者としての扱いを受けないということも暗にご指摘されておられるということなんでありますけれども、これに対して保険会社さんのほうはどう考えておられるのかということです。これまでこの媒介の問題で一番大きな影響力を持つのは実は保険会社さんでありまして、日本の仲介業の方向性を大きく規定しているのは保険会社の考え方でありますので、保険会社さんのほうに、今後どういう方針で媒介をしていってもらうのかということをきちんと意見表明していただきたいなと強く思うところであります。

先ほど薬屋さんの話がありましたけれども、例えばドイツなどに行きますとアポテーケというのがありますが、これは、ほとんどの人がむしろ病院に行かずに薬局ですべてが事足りるという形で発達している。これはまさに製販分離というんでしょうか、まさに販売のほうが大きなメーンのプレーヤーになっていく。そういった絵も出てくるわけでありまして、そういったことをブローカーの方々に期待していくというのは消費者の中にあるかもしれませんが、果たしてそれが保険会社さんの望むところなのかどうかというところがやや見えないというところがあるかと思います。これをいつまでやっても、このお二方のほうの不満はいつもいつも出てくるんですけれども、最後はやはり保険会社が立場をきちんと決めるべきだと思いますし、それを消費者利便性という観点からスクリーニングをかけて方針を決めていくのがこの会議の場所ではないかなと思います。

○山下WG座長

先ほど森崎委員から少しコメントがありましたが、順次ご説明いただこうと思いますが、原委員、何か関連でありましたら、あらかじめ。

○原二部会委員

すみません、一言、意見と質問なんですが、今日のヒアリングは大変興味深く聞かせていただきました。それで、やはりその販売勧誘に当たられるところの主体の議論というのをきちんとしていただきたいと思っております。それで、保険会社の意見を聞きたいとおっしゃられたのですが、消費者というポジションから見たときも、この販売勧誘のところが非常に不透明なのは、その手数料の部分と、それから比較情報という、この2つがきちんと入手できていて私どもに提示されているのかというところにバイアスがかかっているのではないかというのが、この手数料部分と比較情報の部分です。

私が1つ質問でお願いしたいと思っておりますのが、仲立人協会の方が出された資料の50-2の3ページで契約報酬について書かれておりまして、最初に「手数料の構成が不明である」となっていて、最終の行では「顧客との関係で手数料を決めるべきものであると考えている」と書かれておりますので、消費者というポジションに立って、消費者との契約の中で情報を得て商品の選択・販売をすると書かれているのですが、もう一方で、資料の50-4の5ページのところで、マル3で手数料・報酬についてのご意見が書かれているのです。ここも原則は顧客との関係になっているのですが、「役割と役務による手数料・報酬を法律による監督下におく必要性が生まれている」とも書かれていて、手数料について、具体的にどういうルールのもとにあるべきかというところでもう少し説明を頂けたらと思っております。それから、比較情報については、それがそのポジションであれば十分に得られているということでいいのかどうかということの2点をお願いしたいと思います。

○山下WG座長

先に葛石参考人から。

○葛石参考人

それでは、お答えをさせていただきます。まず手数料の問題なんですけれども、実は仲立人がお客様と手数料を決めたいというのは、今、手数料というのは、例えば商品によっていろいろですけれども、保険料の何%といったことが決まっているわけなんです。自賠責の保険を除けば、ほとんどの保険がそうだと思いますが、一つの家計とか個人保険の世界のお話で言えば、手続的な保険料、例えば、もう一律に1,000円の手数料を頂ければ、保険料の多寡は関係なく取り扱いさせていただきますみたいなもののビジネスというのも、私はあってしかりのように思っておりまして、保険料が小さければ小さい手数料、大きければ今は非常に大きい手数料が入るという、これはどう考えても、我々は業でありますから、大きい手数料は何の不満もないんですけれども、公平性というところから考えると、契約でたまたまゼロが大きい保険料の場合は大きい手数料、小さい保険料は小さい手数料、これはおかしいなというのは衆知考えるところだろうと我々は常に思っているのです。ですから、先ほど言いましたように、我々の仕事を適正に評価してもらいたい、これはお客様に向いての話なんです。仲立人というのは、決して保険会社へ向いて我々の仕事を評価してもらいたいなどと思っていないんです。お客様との関係で成り立つものだという前提で、具体的に申し上げると、そういうことを明記したということでございます。

ですから、ちょっと繰り返して蛇足でございますけれども、いろいろな手数料のあり方があっていいという発想でございます。決して高く取ろうということではございません。だからこそ、そこには行政の監督下において役務というものが、要するに手数料のパーセントを決めることを期待しているわけでございませんで、昔はパーセントを規制していたんですけれども、そういうことを私は望んでいるわけではございませんで、むしろどういう役務をするのかということについて、これはある種の監督行政の世界で考えていかなかったら、非常に暴走する可能性もあるかなというのは一面思っているところでございます。

それから、比較でございますけれども、それこそ本当に主体と比較というのは、私は非常に、これはまた別の議論になるのかもわかりませんが、お客様が本当は商品の中身で比較されたら結構なんですけれども、基本的にはそういうことではなくて、保険料で比較されるということが非常に多いわけです。家計などは特にそうだと思っておりますが。ですから、そういう一つの商品の宿命的なものがございますので、この比較の問題は、ちょっと議論するのにも時間の問題もあろうかと思いますけれども、いろいろな問題を含んでおりますが、私として申し上げると、比較をするというのには基本的には瑕疵が存在するわけですから、賠償資力のないものが比較をするというのは基本的におかしいことを含んでいると思っております。

以上でございます。

○山下WG座長

それでは、おおむね時間が来ておりますので、先ほどの保険会社さんのほうからの今日のいろいろなご意見と、またそれに関連するやりとりに関しまして、それぞれコメントを頂ければと思います。

では、北村委員から、よろしいですか。

○北村委員

先ほど野村委員から、保険会社がどう考えているのかという非常に重い課題を頂きまして、私も今どのように考えるのかなと考えていたところですけれども、保険会社も多様な販売チャネルを抱えている、新しい保険会社も登場していろいろ独自の販売チャネルを立ち上げたりといったことで創意工夫をしている、ということで、基本的には各社が経営判断というところで考えていくのかなと。そういう中では当然、消費者に選ばれる、消費者といっても企業も含めてですけれども、お客様に選ばれるという観点から、どのような販売チャネルが望ましいかというのは常に考えているというところかと思います。そういった中で、先ほど仲立人協会さんのほうからお話があって、私はちょっと意外に感じたんですけれども、確かに仲立人さんの今の全体の取扱量というのは損保の中ではそう大きいものではございませんけれども、かといって企業保険の分野でそれほど珍しいというものではないと私は認識しておりまして、そこで現場レベルで取引を拒否するとか、そういったことで締め出しをしているといったことは、私としては承知していないところでございます。

以上でございます。

○山下WG座長

隈部委員。

○隈部委員

代理店、それからブローカー、最近は生保のほうも代理店チャネルというのはかなり大きなウエートを占めているところであります。ここについての活用というのは、それぞれ個社の判断はあるとは思うんですが、北村委員もおっしゃっていましたが、いろいろな戦略の中でそういう代理店チャネルを活用していこうということは考えてもいますし、例えば弊社ですと、金融代理店関係で一つの部署がありますし、その他の代理店専管の部署も設けていたりという状況です。そういうように代理店のほうをやっていこうという意思を持ってやっている会社はあると思っています。また、乗合がだめかとか、特にそういう方向感を持って何かをやっているということもないので、今後また乗合代理店とかというのも進んでくるのかなと思っているところです。

それから、ブローカーさんについていいますと、正直、弊社では多分今まで取り扱いをさせていただいたことがないのではないかなと思っております。そこはなぜなのかというと、どちらかというと損保さんの企業物件というものが中心だったんだろうと思っています。今後そういう意味でブローカーさんとのおつき合いというのがまた出てくるのかもしれません。そこはちょっと、今までのところが蓄積がないものですから、ここで今、今後どうしようということを私のところで申し上げることはなかなか難しいところではあるんですけれども、チャネルの一つとして、それはまた各個社ごとの判断だと思っています。ただ、確かにここで準備ができていないという意味では準備ができていないんだろうなというのは自分個人の感想としても思っているところですが、ハードルが越えられればブローカーさんとのおつき合いというのは、問題はないのかなという気はしております。

以上です。

○山下WG座長

森崎委員、ございますか。

○森崎委員

私は日本の保険会社と外資系の保険会社と両方体験してきておりますけれども、いわゆるブローカーの問題でいいますと、日本の保険会社は生理的にもブローカーは嫌いですね、はっきり申し上げまして。これはなぜかといいますと、まだ日本におけるブローカーの活動はそこまでいっておりませんけれども、欧米では、顧客の側に立って、保険会社からいいカバレッジを出させる、しかも安い保険料を出させるというのがブローカーの責務でございますので、それは保険会社としては一番嫌うところです。したがいまして、なかなか日本では保険会社の数がもともと少ない。しかもメガ保険会社が多くて、さっき申し上げましたように寡占化が進んできているという中では、保険会社としては定型商品を売るということを専一にしているところです。したがって、ブローカーを活性化する、山下先生もブローカーの活性化といったことは言っておられますけれども、これはどういう形をとればいいのかと。皆さん、口を開くと、いろいろな審議会でも、顧客目線に立てと皆さんおっしゃるわけです。顧客目線に立てということはどういうことかというと、顧客のために働く募集主体を重視しろということだろうと思うんです。だから、行政のほうでも規制の中でそういう方向を考えていくということが必要なんじゃないだろうかと思います。ここでは、平成7~8年ぐらいにつくられましたこのブローカーの問題につきましては、やはり抜本的に見直しをして、制度の改定を行っていくということが必要なのではないかなと思います。

それと、特にコマーシャルラインにつきましては、企業サイドにブローカーの有用性について促していく。これは、そういう企業も出てきておりますけれども、今までは、企業と保険会社の関係は、ある意味でなあなあの関係がずっと長年続いてきていたと私は思いますけれども、これからはそうはいかないという中で、いわば募集主体の独立性という中で新しい制度を構築していくということが必要なんじゃないかと思います。

○山下WG座長

今後じっくりまだ議論しなければいけないいろいろな問題が今日明らかになったと思います。本日は時間も過ぎてしまいましたので、これぐらいで終了したいと思います。

荻野参考人、ご一緒に来られた安岡参考人、それから葛石参考人、どうもありがとうございました。

それでは、事務局のほうから。

○石田保険企画室長

本日はどうもありがとうございました。次回の日程につきましては、また調整をさせていただきたいと思います。決定し次第お知らせいたしますので、よろしくお願いいたします。

本日はどうもありがとうございました。

○山下WG座長

では、どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室
(内線3571)

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