金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第13回)議事録

1. 日時:平成21年4月3日(金曜日)16時00分~17時59分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

○神田WG座長

それでは予定の時間になりましたので、遅れていらっしゃる方もおられるとは思いますけれども、始めさせて頂きます。

協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループの第13回目の会合を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、いつも大変お忙しい中をこちらへご参加頂きまして大変ありがとうございます。本日は、原委員がご欠席と伺っております。また、本日ですけれども、中央機関のあり方をテーマにさせて頂いておりますので、参考人として信金中央金庫から専務理事の服部さん、それから全国信用組合連合会から専務理事の八尾さんにそれぞれご参加頂いております。

昨年の7月だったと思いますが、中央機関から参考人として貴重なご意見を頂きましたけれども、それから時間もたっておりますし、状況も変化しておりますので、中央機関の状況について皆様方のご議論の中で改めて確認すべきようなことが出てきた場合には、恐縮ですけれども参考人のお二方から直接のご説明を頂ければと考えた次第でございます。服部理事と八尾理事におかれましては、大変お忙しいところをこのワーキング・グループのためにご参加頂きまして、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

それでは、まず議論に先立ちまして、前回の会合で吉野委員からご発言のございました協同組織金融機関と地方公共団体との連携事例につきまして、事務局から簡単にご説明を頂けるということですのでお願いしたいと思います。

渡邊室長、よろしくお願いします。

○渡邊協同組織金融室長

それでは、お手元資料の協金WG13-2というものがございますのでお願いします。座長からお話ありましたが、前回会合で吉野委員より信金・信組の地方公共団体との連携についてご質問がございましたので、こちらの方で連携の例をまとめさせて頂いております。

それぞれ、信用金庫につきましては全国信用金庫協会の地域活性化事例集をもとにつくりました。信用組合につきましては全国信用組合中央協会に調べて頂いて、それから若干過去のWG資料においてお出しになったものもありますので、そうしたものをとりまとめてございます。詳細のご説明は省略させて頂きますが、地域におけるビジネスマッチングであるとか、町おこしのための取り組み活動に参画するとか、そうした地道な取り組みをしておられますので、中身につきましてはご参照頂ければと思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。今の説明について、もしご質問等があればお聞きしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか、それでは先に進ませて頂きます。

本日の議事に入らせて頂きます。

本日は、3つのテーマについて集中的なご議論をお願いしたいと思います。第1のテーマは、前回に引き続いて不良債権問題です。第2と第3のテーマは今回新しいもので、第2が業態別のあり方、第3が中央機関のあり方ということになります。

まず、不良債権問題についてですけれども、これは前回のこの会合で、活発にご議論頂きました。ただ、ちょっと時間切れのような形で終わった感じがあり、まだ言いたかったというようなご意見があるかもしれませんので、本日、まずこのテーマについて引き続きご意見を伺いたいと思います。

このテーマにつきましては、前回既に事務局から資料の詳細な説明があったと思いますし、何人かの委員の皆様方からはご意見を頂いております。右肩に13-3と記載された資料がお手元にありますけれども、この資料は今松委員と宮村委員から事務局あてにメールでご意見を頂きましたので、それをご参考までに配布させて頂いております。したがいまして、今日はあまりこのテーマに多くの時間を割くことはできないのですけれども、前回の皆様方のご意見、あるいは今配布させて頂きました13-3におけるご意見等を踏まえ、もし皆様方から追加でのご発言がありましたら、ここでお出し頂きたいと思います。いかがでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか、急に言われてもまだちょっと気分が盛り上がらないというところがあるかもしれませんが……。

それでは特にご発言はなさそうですので先へ進ませて頂いて、また気がついたらおっしゃって頂いても結構ですし、会合の終わった後に追加のご意見等として事務局宛ご連絡を頂くということにさせて頂ければと思います。

それでは、次に、業態別のあり方というテーマを取り上げたいと思います。これにつきましては事務局で資料を準備して頂きましたので、まず事務局からその内容についてご説明をお願いします。

小野さん、よろしくお願いします。

○小野信用制度参事官

それでは、お手元にございます協金WG13-4と右肩にある資料と協金WG13-5とある資料がございますが、これを両方ご覧頂きながらご説明をさせて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

まず、業態別のあり方についてでございますけれども、資料13-1「論点メモ(要約版)」の1.(3)にお示しいたしましたものにつきまして、皆様のご議論のご参考にと思いまして、これまでの過去12回の色々なご意見の中からこの業態別のあり方に関する皆様のご意見を抽出しまして、こういう論点があるのではないかということを整理したものが、この資料13-4の表紙をめくって頂いたところの1ページ目、「業態別のあり方について」というところでございます。大きく分けまして業態別のあり方を見るときの示唆として、1つは「信用金庫と地域信用組合のあり方」という論点、それから「業域信用組合と職域信用組合のあり方」という、大きな2つの論点があるのではないかと思っております。

まず、今までも何回かご覧頂いた数字等もございますが、信用金庫と地域信用組合のあり方、業域信用組合と職域信用組合のあり方を考えていく上で、もう一度、幾つか計数をご紹介しながらご議論頂きたい論点をお示ししたいと思っております。

13-5の資料を開いて頂きまして2ページ目でございます。「信用金庫業界概要」ということで平成元年度末の数字と平成19年度末の数字がございます。これを見て頂きますと明らかなように、金庫数はいわゆるバブルの崩壊後の金融危機等の関係で破綻した金庫もございますので減っていますが、預金及び貸出金は増えています。しかしながら、預貸率というものは平成元年度末の71.2%から55.8%で約15%減っていますし、預証率は13.6%上がっているということでございます。

次に、3ページをおめくり頂きますと、今度は信用組合の業界がございますが、従来は今まで信用組合全体の数字をお示ししてきましたが、今回は先ほど申し上げましたように地域信用組合のあり方、それからさらには業域信組、職域信組のあり方についてもご議論頂く必要がございますので、それをさらにブレークダウンした数字で挙げています。すなわち平成元年度末と平成19年度末を比べまして地域信用組合、業域信組、職域信組がどういう姿になっているかということでございます。

3ページの下段の表を見て頂ければ明らかなように、地域信用組合の数というのは、信金と同じように金融危機の中で破綻等が相次ぎ組合数は減っております。また、これは信金と違う特徴でございますが、預金も減っている、貸出金も減っていることがこの元年度末と19年度末の数字を比べると明らかであります。一方、預貸率が18.6%減っている、これは減っているという意味ではベクトルは信金と同じでございます。

次に、業域信組を見ると少し姿が変わってきておりまして、預金はむしろ増え、貸出金は減っており、預貸率は大幅に落ち、逆に預証率は大幅に増えている。そして、職域につきましては、預金も貸出金も増えていまして、預貸率も上がっているという姿になっております。

以上のように、この「地域」、「業域」、「職域」で相当動きが違うということがこの図から明らかに見てとれると思います。

次に4ページを見て頂きますと、これはまたご議論頂きたい論点だと思うのですが、従来からお示ししている数字ですけれども、もう少し全体の広い意味で、都銀、地銀、第二地銀、信金、信組というカテゴリーで預金量のシェアを見ますと、元年度と19年度の姿を見ると明らかなように預金量のシェアを伸ばしているのは地銀と信金であり、むしろ、都銀、第二地銀、信組は預金量のシェアは減っているということが見てとれると思います。この傾向は次の5ページの貸出金シェアにつきましても同じことが言えまして、元年度と19年度を比べましてシェアを伸ばしているのは地銀と信金、逆にシェアを減らしているのは都銀と第二地銀と信組、そのような違いというのが出てきているところであります。それから、これも従来からお示ししているものですが、信金、信組のそれぞれ預金を集めてそれをどのように運用しているか、貸出金・預け金・有価証券ですが、傾向として明らかなように貸出金は減ってきている、従って、預貸率というものが落ちてきているというのは信金も信組も同じでございます。

さらに先ほどもご説明致しましたように、信組をもう少しブレークダウンしたものが7ページ、8ページでございます。7ページの左側が地域信用組合の姿でございますが、ここにつきましては、やはり貸出金のシェアが落ちてきている、その分有価証券のシェアが伸びているということで預貸率も落ちておりまして、19年度末で59.2%となっております。

一方、業域信用組合につきましては、ここはもっと大胆にシフトしておりまして、貸出金のシェアが落ちていると、その分有価証券のシェアは伸びているという中で、預貸率につきましては右側の下の図で明らかなように19年末で33.4%と大幅に落ち込んでいます。

一方、8ページでございますが、職域信用組合になりますと、また少し構造が違ってきておりまして、むしろ貸出金が伸びておりまして、最近、預貸率は上がってきております。この原因は幾つかあるのですが、主な要因はやはり住宅ローンでございます。基本的に職域信用組合は住宅ローンを中心にやっておりますので、その住宅ローンに注力し、住宅ローンが伸びてきているのでこのように預貸率が上がってきていると分析できるのではないかと考えているところでございます。

こういうような状況をご覧頂いた上で、もう一回13-4のメモの1ページ目に戻って頂きますと、今ご説明しましたように、「業態別のあり方」、信用金庫と地域信用組合のあり方でございますが、今、ご覧頂いた計数から見てとれる課題についてどう考えるか。特に地域銀行と信用金庫の関係というものをどう考えるのかとか、もう一つは地域信用組合の位置付けというものをどう見るのか、また地域信用組合の今日的意義というものをどう考えていくのか。もちろん、これに限定されるものではございません。

また、今後のあり方というものを考えていく上で、これは従来から何人かの先生方からご意見を頂戴しておりますけれども、やはり規模の違いと申しますか、地域銀行と信用金庫、信用組合の役割・分業、あり方、すみ分けをどう考えていくのかという論点でございます。資料13-4の一番最後のページを見て頂きたいのですが、これは非常にラフな絵ではございますけれども、今ご説明致しました計数をもとに、地域金融における各業態のシェアと申しますか、地域金融の中のメガバンク、地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合、もちろん信用組合は先ほど申しましたように「地域」、「職域」、「業域」と分かれるわけですけれども、こういう5つの大きなプレイヤーというものが今どういう位置付けにあるのかということをポンチ絵風に描いたものです。

メガバンクにつきましては、貸出規模は今、縮小してきている、一方で地銀の貸出規模は拡大し、第二地銀も貸出規模は拡大している。信金も貸出規模は拡大、一方で信組の貸出規模は縮小している、こういう地域金融の中における位置付けということで、現在の立場と申しますか、シェアを見た上で地域銀行と信用金庫、信用組合の役割・分業をどう考えていくのかということでございます。

なぜこんなことを申すかといいますと、もう一回、最初のページの「業態別のあり方」に戻って頂きまして、役割・分業を考えた中でそれぞれの特性を生かした業務というのがあるのではないだろうかと。例えば今後、新規業務をそれぞれの金融機関がやっていく場合にそれをどう考えていくのか、もっと簡単に言ってしまえば、よく世間で言うところの「集中と選択」というようなものを考えていく必要があるのではないかということでございます。何でも全て各プレイヤーである地域銀行、信金、信組みんな同じでいいのか、横並びでいいのかということも、確か夏ごろに何人かの先生からご議論があったところだと思いますけれども、そういうことを念頭に置いてこのような問題提起をさせて頂いておりますので、ご議論頂ければと思っております。

さらに、その地域信用組合の位置づけ、今日的意義ということと関係するのですが、今後のあり方を考えていく上で地域信用組合というのは、今後どういう方向を目指すのかということでございます。ある意味、ひとつの理念系として、例えば信金型とかJA型とか労金型とか欧州型とか書いてございますが、もちろんここに限定する話ではございませんが、いずれにしても将来の地域信用組合のあり方を考えていかなくてはいけないと。確かこれも夏頃、今のままの地域信用組合では非常に行き詰まるのではないかと、どうするのかというようなご議論があったというふうに記憶しているところでございますので、そういう問題意識を含めてここに「地域信用組合のあり方」と、論点の1つとして書かさせて頂いております。

さらに、このあり方を考えていく上で、ここに従来型の地域信用組合を超えて新たな形態の可能性ということは考えられないかと。これは本ワーキング・グループの議論を再開してから何回かご議論があったところでございますけれども、小規模の事業者、消費者の相互扶助というものを使命とした、この本来の協同組織性に鑑み、例えば最近、非常に問題になっている多重債務問題についての役割を果たすような生活支援等に特化した機関で協同組織性を発揮する、そういう新たな形態の可能性というものも考えられるのではないだろうかというような論点が出たと理解しておりますので、そういった論点もここに書き加えさせて頂いたところでございます。

以上がこの「信用金庫と地域信用組合のあり方」というところから考えた論点でございますが、一方で、もう一つの論点として、この信用組合の中にあるサブカテゴリーとしての「業域信用組合と職域信用組合」のあり方というものをどう考えていくかということでございます。

計数としては先ほどお示ししたとおりでございますけれども、例えば資料13-5の先ほどの3ページの数字でございますけれども、「地域」、「業域」、「職域」で組合数、預金量、貸出金について相当異なった動きをしております。これは7ページ、8ページの計数でも同様の傾向は見てとれるわけでございますけれども、そういう中でこの業域信組、職域信組の今日的な意義をどう考えるかということでございます。確か、これも従来ご意見もございましたし、一般的にある批判として、協同組織金融機関というのは融資を受けにくい組合員の相互扶助ということから始まったわけでございますが、そのもともとの原点である融資を受けにくいという立場に、この業域信組、職域信組の組合員の方は必ずしもあると言えないのではないかと、そういう批判がございます。そういう中でこの職域信組、業域信組の今日的意義、役割を考える必要があると。また、これも従来、委員からご指摘のある話でございますが、特に職域信組と労働金庫の役割・分業をどう考えるかと、やっていることは同じではないだろうかと、どういう分業・すみ分けがあるのかというご議論があったと記憶してございます。

このような点を踏まえまして、検討していきますと、そもそもこの業域信組、職域信組というのを地域信用組合と同様に扱う必要性、例えば、業務範囲とか金融検査、金融監督等の観点から見て同等に扱う必要性があるのだろうかということも今後のあり方を考えていく上では、ひとつ大きな論点ではないかと考えまして、ここにメモとして書かさせて頂いたところでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。お手元に今日は13-4ということでブレークダウンしたメモを配付して今ご説明を頂きましたので、これに沿ってご議論をお願いしたいと思います。13-4でいいますと、1に(1)と(2)があります。そこでまず(1)のすなわち「信用金庫と地域信用組合のあり方」についてご議論をお願いし、それが終わってから(2)の「業域信用組合と職域信用組合のあり方」についてのご意見を頂きたいと、こういう順番でお願いしたいと思います。なお、いつものようにお手元の資料は、13-1というのは例の「論点メモ」の要約版でありまして、業態別のあり方の論点がどこにあるかといいますと、2ページ目の下から3ページにかけて●印が3つあります。これは13-1です。それから今ご説明の中で言及のありました13-5というのは計数等の資料でありますので、これらもご参考にして頂きながらご意見をお出し頂きたいと思います。

ということでして、まず資料13-4の1.の(1)「信用金庫と地域信用組合のあり方」についてご意見を頂きたいと思います。どなたからでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。

久保田委員どうぞ。

○久保田委員

私は今年になってから出席できなかったのですが、今の1.の(1)の(イ)今後のあり方の「新たな形態の可能性」というところは、私も非常にいい意見だなと思っております。というのは、今、景気は進行してどちらかというと金融危機よりも実態経済の危機になってしまっていて、地域を挙げての不況対策におけるコンサルティングや、地域の取りまとめ、コーディネート能力みたいなものが信金・信組に問われていて、そういうところに対する評価の意見はこの「協金WG13-3」の資料のところにあるように、今松先生とか宮村先生からの意見でもコンサルティングとかそういったものに力を入れたらいいというのがありまして、私も全く同感であります。

今、金融危機で取り組まれているように、新たな金融の構造を考えていくことももちろん重要で、同じ金融機関としてどう位置づけていくかというのもあるのですが、やはり実態経済への影響ということが今の状況では、ここ数年は重要だということを考えると、生活支援等に特化してみたり、あるいは地域内で色々取り組みをやられているということが先ほど資料「協金WG13-2」でご報告を頂いたのですが、中央機関がそこに介在してコンサルティングの助力援助するのだったら地域間、地域内だけではなくて色んな別の地域ともマッチングしてやってみるとか、あるいは場合によっては海外とかも考えるとか、そういう新たな形態の可能性を探っていくことが景気対策にもつながっていいのではないかと、私はそう思いました。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか、神吉委員どうぞ。

○神吉委員

必ずしも(1)と(2)というとらえ方ではなくて、協同組織金融機関として信用金庫と信用組合があるということ自体をどう考えるかという点から申し上げたいと思います。もちろん現状維持で全員が幸せになれればそれでいいのですけれども、ゆうちょ銀行の問題がございます。それを展望いたしまして、協同組織金融機関として2つの業態があって、例えば30年後、50年後に2つの業態が存続し得るのかということを考えますと、私は非常に危機感を持って見た方がいいのではないかと思います。

この点は、実際に既にご説明がございました。協金WG13-6の23ページ当たりですけれども、昭和42年の金融制度調査会の答申で3つの案が出されております。大きくは2つですが、3種類説と2種類説です。相互銀行、信用金庫、信用組合という3つの業態をどう存続させるかという点で3種類説はそのまま、2種類説は2つに分けるという案ですけれども、議論の結果、3種類説、要するに現状維持が選択されたわけです。皆さんご存じのように相互銀行という業態は、第二地銀に移行しておりまして、もう我が国には存在いたしません。そういうことを考えますと、ゆうちょ銀行を迎え撃つ側で、同じ協同組織金融機関として2つの業態があって、そこがさらに競争をしていくということになりますと、果たしてどうなのかという見方ができるのではないかと、非常にドラスティックな見方ですけれども、そういうことも言えるのではないかと思います。

それから信用金庫と地域信用組合の違いということに関しましては、やはり金融だけではなくてすべての産業、企業について、世の中で存在意義がはっきりしておりませんと整理淘汰されるという時代でございます。私なりにとらえました存在意義とは何かというと、非代替的な機能を果たしているかということに尽きるのではないかと思います。あらゆる産業についてそうなのですが、金融についてもそのように考えます。そうしますと信用金庫と地域信用組合とはどこが違うのか、それぞれどういう存在意義があるかということをはっきりさせなければいけないと思います。今この場でその答えを申し上げることは、申しわけないのですができないのですけれども、両業態とも全体として見るならば、銀行との同質化が進行しているというふうに大きくは見ることができるのではないかと思います。

それから前回も申し上げましたけれども、この20年ほどは、預金吸収機関のような形が進行しております。そうではなくて、中小企業の金融機関なんだということで見てまいりますと、特に信用金庫については、会員資格が資本金9億円以下ということになっておりますので、かなり大きなところも対象にできます。実際に対象にしていらっしゃるかどうかはわかりませんけれども、会社法的にとらえれば、大会社の範疇に属する会社も対象になります。それと中小企業基本法にいうところの中小企業との概念の整理がどうなのか、ある意味、私は整理が必要なのではないかというふうにも考えます。これは新たな規制になりますから当然歓迎されない発言になろうかと思うのですけれども、国の中小企業政策は中小企業基本法に基づいて展開されますので、中小企業向けの金融を民間でやるという意味で信用金庫、信用組合があるとするならば、信用金庫の会員資格も中小企業基本法と整合的に考えるというようなことがあってもいいのではないか思います。

とりあえずは以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。今の例ですが、ご指摘は信用金庫と信用組合というものを2つ業態として見た場合という話なのか、地域銀行と信用金庫、信用組合という3つを見た場合の話なのか、どちらでしょうか……。

○神吉委員

あとの方になります。

○神田WG座長

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

それでは4人いらっしゃるので……順番にお願いします。

○家森委員

まず、地域銀行と信用金庫の関係ということから考えると、まず規制のあり方の基本として普通に金融論で考えられるのは同じ機能を果たすなら同じような規制をすべきであるということだと思います。そういうことからすると、2つの間で私自身の研究でもそうですし、ここで色々な議論が出てきましたように信用金庫と地方銀行の間で、実際に今果たしている機能が異なっているということが実態としてあるということからしますと、何で違っているかということは、主にはやはり銀行が株式会社で収益性をどうしても重視せざるを得ない会社形態であるのに対して、信用金庫あるいは信用組合というのは協同組織性という部分のところで、非営利性ということがあるのではないかというふうなことが大体議論されていると思います。

そのような違いがあって今機能が違うということですので、かつその機能についても今のところ中小企業の方からは要望されていることからすると、今後もこの機能を果たせるような仕組みをどうやって維持していったらいいかということを考えたいということです。具体的には小規模な企業であるとか低成長だけれども地域にとって必要な企業とか、こういうようなところに融資がきちんと、お金がきちんと流れていくような仕組みを今の体制で確保できるかということが大きな論点になるのではないかというふうに思います。

それから今後のあり方の方でいうと、ここでは議論の枠組みは銀行に認めるものを信用金庫に認めるかというレベルのところで議論がされていますが、今後やはり中小企業の相互扶助というところからいうと、逆に銀行には認められないものでも信用金庫とか信用組合に認められるというものがあり得るかもしれないという論点もあり得るというふうに思います。

もう一点の質問といいますか、その中で地域信用組合と信用金庫の関係ですけれども、これを考えるには前回のときも少しお話をしましたけれども、90年代に地域信用組合がかなりたくさん破綻をしている。これの理由として、私は一つはガバナンスの問題だったのだろうと思うのですけれども、もう一点信用金庫と信用組合での違いがあるとすると貸出しに関しての業務の制限というところが例えばあるので、そういうようなところが原因の一つになり得るのなら、やはり先ほど神吉委員がおっしゃいましたけれども、地域信用組合というものについて将来大丈夫なのかという問題が出てくるというのもうなずけるなというふうに思います。

ついでに、やがて可能ならば、ということなのですが、90年代に多くの信用組合が破綻をしたのですが、そのときに破綻したことで中小企業の方がお金が借りられなくなって困ったのかというような問題について、何かヒアリング等の状況があれば教えて頂ければと思っています。要するに破綻した信用組合が本来の協同組織性とかを離れて、やや投機的なものにいって潰れたという可能性もありまして、そういうようなあたりについてはまたご説明頂く機会があればとは思います。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。ちょっと私が発言して申しわけないのですが、違いがあることはそういうことだと思うのですけれども、その違いが機能としてもあらわれているというのはちょっと言い過ぎのような面があるような気がしたものですから。つまり営利法人と非営利法人というのは違いがあることは確かなのですけれども、例えばほかの業態の例で申し上げますと、非営利法人の相互会社形態をとる生命保険会社と営利法人形態をとる生命保険会社が機能が違うかといえば、それは全く同じではないのかもしれない。そこは微妙なところがあると思いますので、これまでも色んなご意見を頂きましたけれども、どうなんでしょうかね、そこはもう少し丁寧に言って頂いた方が多分皆さんの誤解がないと思うのですが……。

○家森委員

信用金庫と地方銀行の行動を分析すると差があるということが色んなところに出てきていますが、その原因がもしかしたら組織形態ではなくてもっと別の要因かもしれません、それは現実にはわかりません。

○神田WG座長

ありがとうございました。それではお隣の吉野先生、お願いします。

○吉野委員

全体の流れを見させて頂きました。信用金庫の場合には預金量も増えていますけれども、やはり、預貸率が減っているということは、せっかく日銀が色々緩和しても、それが貸出しに回っていなくて有価証券に回っているということは、おそらく、国債にずっと回っているのではないかと。これは前から色々ご議論ありますけれども、借り手がいないのか、それともやっぱり借り手をうまく見つけられていないのかどうか、これがないと日本経済の地域の活性化というのはまさにできていなくて、国債にいってしまっているという状況をあらわしているのではないかと思います。

2番目は、今の家森先生のご意見とも関係するのですが、多分、地域的なマクロの動きの情報をそれぞれの信用金庫とか信用組合の方々がきちんと把握し、それを個別の企業まで降ろした形で、個別の企業の審査をされて産業構造などを考えながらやられていらっしゃるのかどうかということが、もう一つあると思います。

それから、地銀とか信金・信組との違いは、より密着した情報を信用金庫・信用組合がもし持っているとすればマーケットが違う、市場が違うのかどうかということですね。そうであればその存在意義というのはあると思いますし、ただ、同じところでやられているのだとすれば、やっぱりそこは考える必要があると思います。

では、もし違うところでやっているとすれば、普通であればここが非常に魅力的な市場であればもっと参入があるはずです。信用金庫、信用組合に参入したいという人たちがいるかどうかというと、ないわけです。そうすると今度は逆に言いますと、数が多過ぎるのかどうか、もしそうであるとすれば、退出がもっとスムーズいくようにするという方策が必要なのかもしれませんし、あるいはマーケットがあるのにそこが見つけられてないのだとすれば、問題があるという気が致しました。

それから最後は、住宅ローンを職域の信用組合も伸ばされているのですが、簡単にいいますと、住宅ローンは担保があるという形で、もし伸ばしているのだとしますと、景気が少しずつ悪くなる中で住宅ローンの滞りが出てきますから、やっぱり企業の貸出しというのが本質ではないかと思いまして、そういう意味ではマクロ的な変化というのも見て頂かないといけないのではないかというふうに思いました。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。村本先生どうぞ。

○村本委員

最初の問いかけで地域銀行と信金の関係、あるいは信組の関係になると思いますけれども、地域銀行の預貸率があまり下がらないですんでいるというのは、これは地域に限定されないからでありまして、例えば地域銀行が自分のテリトリーである県……県なら県にしましょうか、県の中でどれくらい融資をしているか。全体に占める県内比率でいいますと全国平均で大体7割ぐらいだろうと思います。ですから預貸率を単純に計算すると、県内預貸率というのは多分5、6割です。そうすると信金と余り変わらないわけですね。つまり地元に落とすお金は、そんなに無限にあるわけではなくて、むしろ先生が言われるようにマーケットが非常に限定されている。その中でやらざるを得ないという制約は、地銀でも実は同様なのではないかなと思っています。ちょっと調べてみましたら地銀の中で県内比率が5割ぐらいしかないところ、あるいは5割を切っているところもあるということですので、かなりその辺は慎重に見ておかなければいけないのかなということが少しございます。その割には、信金が6割近い預貸率を持っているとすれば、それは健闘していると言えるのかもしれないなという感じがいたします。

非常に悩ましいなと思っているのは地域信用組合の位置づけですが、これは業界からのプレゼンもありましたように、信金とは違うマーケットでというお話がございました。なかなか難しいなと思っていますのは、先ほどの概括表で見ましたように地域信用組合の数というのはこの十数年で大変に減少をしてきているわけでして、調べてみますと地域信用組合がない県が既に何県もあるということでございます。つまり信用組合は全国レベルでいえば機能が均霑していない側面が実はあるわけでございます。

その後ろ側に何があるかよく考えてみますと、最近の言葉で言えば金融NPOバンクというのが追っかけてきています。数は多くなくてまだ10行ぐらいしかありませんけれども、追っかけてきています。そうするとマーケットはひょっとするとありそうだと、よりそちらの方がアメリカのクレジット・ユニオンに近い形での経営をしているということであるとすれば、ある種のサンドイッチ現象が地域信用組合には起きているのかなという感じもしないではないわけで、この辺をどう考えるかと。先ほどの業務の面で言えば家森先生が言われたように、貸出しのところに制約があるのか、あるいは先ほどのご説明の中で員外預金の問題がありましたが、員外預金の制限に問題があるのかということ、その辺をよく考えておかないと単に同質化が進んでいるよという議論だけではどうも済まないかなという感じがありますので、地域の信用組合をどういうふうに位置づけていくかという問題は、やはり、かなりあるなという感じがいたします。

その際にどうやって体力をつけてもらえるのかと、これは吉野先生によればオーバーバンクスになっているかもしれないから、そこを何とかすべきだということになるのかもしれませんし、あるいは今、もう、県ごとに信用組合が整理されてきているのであれば、そういう形での整理もあるのかなとか、何か少し方向性というのは考えていった方がいいのではないかなという感じは少ししておりますので、ぜひ業界の方にもそういう問題を受けとめて頂けるような方向性があればいいかなと思っております。

以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございます。今松委員どうぞ。

○今松委員

地域銀行については今まで発言があったところとそれほど変わりませんが、信金と地域信組の数字等々を伺っていますと、非常に似たような動きではあるわけですけれども、例えば全体で見た預金、特に貸金のシェアの中で信組が全体の2.1%、その中のかなりは地域信組になると思いますが、それでも全体として、ずっとこの間伸びていない、横ばい状況が続いている。先ほどのポンチ絵で誇張的に描いて頂いているのですけれども、やっぱり信金はある程度規模として貸金等々で、預金もそうですけれども拡大といいますか、数は減っているけれどもそれぞれ量として増えている。一方で、信組の方がなかなかそういっていないと、しかもシェアそのものもが小さくなっている場合、これまでのご指摘にもありましたけれども、やはり信組でなければできないというところがどれだけできているのかと。

最初の、吉野先生から前回出たご質問に対する回答の中での色んな事例を行っているところは非常に特徴的でいいと思うのですけれども、全体として業態として見た場合に、それが成り立ち得るというか、やはりこれから先々、本当に存続して地域の金融というか経済活動等々を支えていき得るかどうかというところの問題ですね、これをどうとらえるのかというのは非常に重要ではないかと思います。

その意味では、地域信組はこれからどうしても規模としては減少傾向にある、しかしそこで反転の可能性、つまり、色んな試み等々をやっておられると思いますけれども、そういうふうな地域の中で特色ある、やはりそこでなければできないというところを、どれだけでき得る可能性があるのか。かといって信組にばかり一定のできるところがあって、ほかにできないというわけにはいきませんから、やっぱりそれはそれだけの創意工夫であるとか色んなノウハウの積み重ねが必要になると思いますけれども、そのところを十分出し得るのかどうなのか、この点が焦点になるのではないかと思います。基本的に言えば、ここはもう重なってきているので、果たして業態としてどうこれから整理していくか、10年、20年を見たときに大変難しいなという気はしておりますので、今までのご発言とそうかわらないといいますか、大体そういう感想です。

○神田WG座長

ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか、中津川委員お願いします。

○中津川委員

色々ご指摘の部分で業界の立場、現場の立場として首を縦に振らざるを得ないというようなところが多々ございます。ちょっとそもそも論で恐縮ですけれども、49年に中小企業等協同組合法が制定されまして信組の新たな法的根拠がそこでできまして、その2年後の51年に信金法ができたというのは、これは今更申し上げるまでもないのですが、その信金法の制定で一般の金融機関的な性格の強かった旧市街地信用組合の多くが信金に換わったと、あと中小企業等協同組合法のもとでの信用組合は、協同組織性をより一層強く志向して金融事業を行うというふうにそのときには位置づけられたわけでございまして、尤も信金法の制定当時の議論をふり返りますと、信金と信組を何で二分したかということがありまして、我々としてはある意味で言葉は悪いですけれども、信組はどうも色々設立は乱暴だし、業務も乱暴だからというようなことで二分されたやにも過去の話としては聞き及んでおりますけれども。

そもそも信用組合というのは協同組織金融機関のルーツといってよろしいかと思います。ですから取引の対象とか理念の相違から信金にいったところ、あるいは労金等々違う方向を目指したということになるわけでございまして、信組そのものはそもそもの形で踏みとどまって今業務をやっているということは間違いがないわけでございます。そういうことからもやはり今色々ご心配のマーケットの違いであるとかいう点がございますけれども、単純な数字だけでそれは断定はできませんが、例えば以前のこのワーキングの資料でも頂いていますけれども、信金さんは主として従業員が10名以下の事業者が8割、私どもはさらにそれよりも低いところの従業員が4名以下という企業体が8割という本当の意味の零細企業を対象とした取引が主体になっているという点がございます。

今、現実の問題として他業態との競合がどうかということになりますと、これは当組合だけの感触でございますので、全般ではないと思いますが、上位業態あるいは信用金庫さんと激しくバッティングしているという現状ではございません。金融の緩和時期等はかなり肩代わり攻勢等が現実としてございましたけれども、現状ではそういう状態ではないということはひとつ言えると思います。例えば、たまたま今日は佐藤理事長さんがいらっしゃって恐縮なのですが、私どもは七、八年前に事業の譲受けで多摩方面に出店をいたしました。多摩地域というのはもうご案内のように大変ポテンシャルの高い地域でございまして、そこで多摩信金さんは磐石の体制で営業をされていますが、5年前と現在、私どもの中の多摩地域における計数だけをとらえますと預金が33%ぐらい、それから貸し金は42%ぐらいは増加をしているわけです。ですから、そういう意味で信金さんがある強い地域だから信組とはもう勝負にならないということでは決してないし、まだまだそういう点で我々としてはやっていける道がたくさんあるはずでございます。

それから先ほど住宅ローンの問題も出ましたけれども、住宅ローンをやることで中小企業金融がおろそかになっているというふうな論調でございますが、これは決してそうではないということは申し上げておきたいと思います。もちろん各単位組合によって違うかもしれませんけれども、私どもの計数だけで申し上げれば住宅ローンは総貸出し残高の12%という点でございますので、そういうことが一般の事業者への貸し金の足かせになっているという現実はちょっと違うのかなというふうな印象でございます。

それから先ほどお話にもありました新たな形態という問題です。いわゆる同質化というのはここのところその善悪は別として制度的にはかなり進んだと言わざるを得ないと思います。検査・監督が2000年に国になったという現実がございまして、その結果として信用組合自体の信用というものは向上したと思いますし、経営の健全性でもある意味で担保されたということは言えるかと思うのですが、しかし一方で検査マニュアルに従って当然のことながら業態を問わず同様の検査・指導を受けておりますから、ある意味で相互扶助性という側面での組合としての独自性をある程度は制約をされてきているのかなという点もあろうかと思うんですね、一方、これは業態を問わずもともと我々金融機関というのは預金を受け入れて貸出しを行い、そして余資と言われる部分で有価証券等を運用、そして若干の手数料を頂いていると、これが収益構造の基本でございまして、そのウエイトの違いはあるとしても業態を問わずこれはほとんどかわらない。そんなことから考えますと、先ほどの新たな形態というのはどのような信組としてのビジネスモデルを今後構築できるかという点では、やはり業界としても真剣に考えるべき問題だろうというふうに思いますが、それは先ほど来、消費者へのシフトであるとか多重債務者の問題もございました。多重債務者問題は非常にやっかいな問題でございまして、与信のあり方としてはかなり難しいし、そうはいっても先般の生協さんの例もありましたが、そういうやり方も当然勉強にはなると思いますね。その点でこれから新たな形態という問題は避けて通れないし、積極的に検討すべきだろうかというふうに思っております。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。色々ご意見を頂きましてありがとうございます。それでは、八尾専務理事どうぞ。

○八尾参考人

私は参考人の立場でございますので、今色々な考え方はもう中津川理事長がお話ししましたので、事実については一点だけお話申し上げたいと思います。

これは前回のワーキングが平成元年ですので、どうしても計数的に元年から今までという数字でとられているのですが、実は信組業界は他の業と比べるとちょっと特殊な動きをしております。バブルのときに非常に膨れ上がってその後一旦また落ちたのですけれども、そこから着実に増加しているという事実がございます。例えば預金については平成元年の直前ですけれども、昭和60年、61年ですと13兆円ぐらいあったのが、一時24兆円位まで広がったのですけれども、バブルが破裂して14兆円位まで落ち込んでその後は今16兆円ということで着実に戻っている。それから貸出しについても、以前は7兆とか8兆というときもあったのですが、バブルで18兆、19兆になったものが破裂して、最近では9兆円から増えてきているという、そういう流れにあるということはご理解頂けると思います。

なぜ、そうなったかといいますと、これは信組業界として謙虚に反省すべきと思うのですが、本来は中小零細企業向け貸出しに徹するべきところを、バブルの時に例えばゴルフ場とかそういったところに貸出しをした。その結果そういったところの多くが、さらに言えばその当時は都道府県の監督の中である意味、本来やるべきでない貸出しをたくさんやって破綻したと、こういう歴史はあるかなと思います。そういうピークのころからの貸出しの減少額を見ても、7割ぐらいが大口の貸出しというような状況になっていたということを事実として申し上げたいと思います。

○神田WG座長

ありがとうございました。それでは、宮村委員、佐藤委員の順でお願いします。

○宮村委員

信用金庫と地域信用組合の違いについてなくせばいいんじゃないかというようなご議論がございましたけれども、もちろん信用金庫と地域信用組合は業態が違いますからその地域ごとにしばしば階層化して、今お話にありましたように小さな信用組合の場合はより小さな零細企業に対しての取引が中心になってという階層化はございます。けれども信用組合がない地域ではどうなっているかというと、今度は信用金庫の中でそういう階層化が実際には発生しているわけでして、そういうふうに考えてみますと信用組合という制度が絶対なければならないのかと、信用組合が信用金庫としてまとまるとだめなのかといったら神吉先生がおっしゃるようにそうじゃないと思います。

ただし、仕事として信用組合の方々はその信用組合自体にプライドを持ってやっているわけなので、今のような状況でそういう業態を変更するようなことをして、不況を促進するようなことになるのはどうかなと思います。もし、信用組合の方が信用金庫に業態転換したいというのであれば別に法律にのっとってされればいいわけで、そのようなことは個々の経営判断でされればいいだけのことであって、一律にその制度をなくせばいいということについてはちょっと贊成しかねるというのが、まず1つ目でございます。

2つ目は、私が心配なのは小さな信用金庫とか小さな信用組合が、今後存続できるかどうかということが非常に心配でございます。金融システムの安定という点から考えますと合併統合して、特に過疎地の信用金庫や信用組合を合併統合してまとめてしまうと、それは金融機関としての安定はあるかもしれませんけれども、当然トレードオフとして地域の発展が阻害されるかもしれないということがございます。これはどちらを取るかということになると二者択一みたいな感じがしてしまいますけれども、これの一つの解決策みたいなものとしては、欧州型の各協同組織金融機関、個別の経営の独立性を維持したまま子会社として中央方式、これは別な新しい中央方式をつくって、今の信金中金だとか連合会とは違うようなところで任意に各協同組織金融機関の経営判断でもってそういうところに入って、独立した経営のまま地域ごとに存続を図るというような仕組みがあってもいいのではないかなと。今のままほったらかしておくと、どんどん合併吸収して種類が減っていくということが進んでしまうのではないかと思います。それに比べればそういうシステムの方がまだいいんじゃないかなと思いまして、そういうことを考えて頂ければと思います。

それから前回言い忘れたことですけれども、今も預貸率で預金が集まってくればいいじゃないかというような、貸出金がいっぱいあるからいいんじゃないかという話ですけれども、前回の私の論点は、地域で集めたお金を地域に貸し出すというのは、外に出ちゃうから問題だよと言いましたけれども、もう一つ別の論点がございまして、これは優遇税制との関連です。

例えば1億円のお金があって、それがゆうちょ銀行に入るか、預貸率の低い協同組織金融機関に入るかということを考えますと、ゆうちょ銀行に1億円が入って、ゆうちょ銀行がそれを国債で運用して1%の利息を取ったとすれば、それは100万円の収入が発生してそれに対して法人税を40万払うと、こういう話になりますね。ところが預貸率の低い信用金庫や信用組合に入ってしまうと、やっぱり国債で1億円を運用して、それに対して税金は30万しか払わないということになってしまいます。では、残りの10万円の差は何になるかというと、これはゆうちょ銀行であれば国が取っているわけだし、協同組織金融機関の場合だったら会員か組合員が取っているのか何かわかりませんけれども、中へ入っちゃうわけですね。こういうのはやっぱりおかしいのであって、預貸率が低い、その比率自体が低いというのが問題だと、優遇税制を受けているという点では非常に問題であるというふうに私は思います。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。お隣の佐藤委員どうぞ。

○佐藤委員

先ほど中津川委員からお話があって、私も同じように思っていたことがあるのですが、その1つに同質化という話がありましたけれども、このことについては業務が同じようにできるように規制が変わってきたということと、銀行と信用金庫が同質化してきたということと、時期的な問題というと、ちょっと違うのではないかと。最近の言い方ということで言えば、以前は確かに同質化してきたのですが、ここのところの10年なり何年かは、どうやって違う機能を発揮していくかということに非常に注力されてきたという時代なので、そういう意味で同質化が進行しているということを、機能的に見て何でもできるようになっているという状況を同質化と言われているのかどうかというのは、ちょっと私にはよくわからないのですけれども、実感としては、いかに違いを出すかということでやってきた、そういう時代だったと。

特に平成元年と比べますと、まだそのときには同質化してきた経過がずっとあったということは、私は確かだと思います。その結果として、色んな問題が起きてきて、それを我々がいかに違いを出していくか、本当の意味で求められる機能を発揮するかということで地域の中で仕事をしてきたという、これが何年か続いているということで、そのことは先ほど中津川委員からも話があったように、このグラフを見ても私は納得できるのかなというふうに思います。元年から中を飛ばして必ずしも比較してはいけないと、そういう気がしているということです。

ただ確かに、これから本当にやっていけるかどうかという問題は、もっともっと本当に何が必要か、貢献していくための機能をどうやって発揮していくかという色んなことを、このワーキング・グループで勉強しているわけですけれども、そういったお話を聞くことによって方向というのは出ますけれども、ただそれは法律で規制をして決めていく問題ではなくて、これまでやってきたこともそうですけれども、同じことをみんなができるけれども、やはり経営体として選択をしてどういう機能を発揮していくべきなのかということは、それぞれのその地域・状況によって違ってきますし、そういった特性を発揮するための仕組みというのは、今ある協同組織と株式会社とでは、ある程度発揮の仕方が違ってくるので、存在価値もそれぞれ自分で決めていく問題ではないかというふうに私は思っておりまして、その方がむしろ地域によっての特性ということをそれぞれ選択していくという、また競合があってもいいし、それぞれの違いがあってもいいし、先ほど私どもは多摩地域で非常にパフォーマンスを発揮されているという話がありましたけれども、確かにそうじゃないかと、そういうふうに思っております。

競合して同じようなことを行っては困るという話ではありませんし、むしろ私の考えでは、メガバンクであれ、地銀であれ、地域のためにプラスになるような金融の機能を果たしてもらえるとすると、非常に歓迎すべきことだというぐらいに思って、今仕事をしているわけで、それは法的な規制の問題とは違う、これからのあり方としては、コーディネート能力であるとか本当にこういった状況の中で何をすべきか、ということについて真剣に取り組むといったことで決まってくるのかなというふうに思いまして、その点では非常にありがたいことなのですけれども、一律にこういう法律を決めたからうまくいく、というよりはむしろ、それがそうではない選択の幅を広げて何をしていくかということを決められるようにしていくというようなことが、実際に信用金庫を経営している立場としては、それだから同じことをやっていくというふうにはこれからはならないのではないかというふうに思っております。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

それでは、(2)の方もご意見を頂きたいと思います。(2)は信用組合の中での業域信組と職域信組、これは現在では先ほどの資料ですと数はそれぞれ27と18ということかとは思いますけれども、(1)に及ぶようなご意見でも結構ですので、主として(2)についてのご意見ありましたらお出し頂きたいのですけれどもいかがでしょうか。

○栂委員

オブザーバーの労働金庫協会の栂でございます。職域信用組合と労働金庫の役割分業、これはご議論頂く上で少し参考になればと思って実情をご紹介いたします。

職域信用組合の中のさらにまた幾つかのパターンに分類できると思うのですが、その典型的なタイプ別に少しお話をしたいと思います。1つは、大手新聞社関係の信用組合のように全国的にその業務を展開しておられる信用組合があります。当然ですが、そこの新聞社の従業員の方は、その信用組合の組合員としてその事業を利用できます。また、労働組合に加入されている従業員の方は、その労働組合が労働金庫に加入することによって、労働金庫の事業も利用できると、そういう意味では職域信用組合と労働金庫は、この面で分業といいますか、競合・共存という関係に現状なっていると、そういうふうにご理解頂ければと思います。

また、もう1つの例ですが、地方自治体の職員をメンバーとする信用組合もあるわけです。同様に、そこの職員の方は信用組合の事業も利用できるし、あるいは職員団体に加入されている方が労働金庫の事業利用もできると、こういう同じような関係になっております。現に私どもの労働金庫の有力な取引先になっております。

もう1つ、ご紹介させて頂きますが、鉄道関係に実例がございます。労働組合員をメンバーとする信用組合がございます。そのうちの一部は労働組合というコモンボンドの共通性もありまして私ども労働金庫に事業譲渡をしたと、こんな例もございます。分業というよりは信用組合さんと労働金庫が一体になったという実例でございます。今後の議論の中で少し労働金庫との分業ということがありましたので、実情をご紹介させて頂きました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。ほかに委員の皆様方、ご意見はございませんでしょうか。家森先生、お願いします。

○家森委員

質問なのですけれども、今日の資料で、地域、業域、職域について分けて頂いたのを見ると、例えば業域や職域の組合数は20から30で、従業員の方が600人から500人ということは一信用組合当たり20人から25人程度の規模で営業をされているということがわかったのですけれども、今、金融機関に対しての色んな規制というのは非常にヘビーだというふうに聞いているのですが、規制上はほとんど同じような扱いがされているのでしょうか。規制上、こういう20人で対応できるようにされているのか、何か軽くされているようなところがあったりするのでしょうかという点をちょっと教えて頂ければと思います

○渡邊協同組織金融室長

ここで書いてある地域とか業域とか職域というのは、これは監督上の区分けでありまして、整理的に職域信組とか業域信組などとしているということで、制度的にそういう名称とか区分けというのはないのです。あくまで制度としては信用組合であるということで、ここは実態に即した金融監督上の分類だというふうにご認識頂きまして、制度的に何か違いがあるというわけではございません。

○神田WG座長

よろしいでしょうか。吉野先生どうぞ。

○吉野委員

先ほど少し申し上げたことと関係するのですが、ここで何が必要か必要じゃないかというのを議論するよりは、市場を通じて必要なければその信用組合なりが退出せざるを得なくなるという状況が今きちんとできているかどうか、ということだと思うのですけれども。もし、きちんとそこで残っていれば、その職域でも十分に事業をやっているわけですから、そうすると、そのモニタリングがしっかりできる状況になっているのかどうかというのが重要ではないかと思うのですね。

それから信用組合の場合、バブルの後に随分破綻したわけですけれども、少し教えて頂きたいのは地域・業域・職域でどこが一番多く破綻したか、分かれば教えて頂きたいと思いますし、ですからそれと同じような状況で今も経営状況が悪くなればそれは早期是正措置を打つなり、そういう形ですぐ分かるようになっていれば、こういうのが必要だろうか必要じゃないだろうかというよりは、むしろ市場に任せながらそれが自動的にできるやり方のほうがいいような気がします。

○神田WG座長

ついでに私も補足でいまの質問に乗って、3つに分けてやっておられるというのは監督の見地からみるとどういう意味があるというか実益というのでしょうか……後日でもちろん結構ですけれども。

○渡邊協同組織金融室長

神田座長のご見解に対して必ずしも明確に言えるものは特にはないのですが、あくまで財務状況の健全性という観点から見たら、全部同じものとして扱って見させて頂いております。それから、監督上の話になりますのでちょっと言いづらい面はございますけれども、やはり地域・業域・職域でそれぞれ同じ信用組合とはいえ、やはり構成する方々が違うのでそれぞれの組織でやや特徴があるのかなというようなことを認識しているということであります。すみません、余り明確な答えになっていないかもしれません。

○大森企画課長

すみません、分かりにくい答弁なので補足させて頂きます。私はたまたま10年ぐらい前に財務局で実際の監督に携わっておりました。イメージ的に申しますと、職域というのは、今ご説明があったように新聞社の方とかあるいはお医者さんとかいうことで、住宅ローンとか病院の開業のための資金を貸すということですから、比較的安定しているというのが多いと思いますね。業域の場合はまさにどういう業かということが問題で、その業が成長産業なのか衰退産業なのか、例えば、ある市場の八百屋さんなど、その業の状況によって違ってくる。それ以外の場合は、一般的な信用金庫の小型のものというような、そんな感じで実際の監督上、私は見ておりました。

余り参考にならないかもしれませんけれども、補足して申し上げます。

○神田WG座長

ありがとうございました。小野さんどうぞ。

○小野信用制度参事官

破綻についてのご質問がございましたが、まずは資料13-6、一番分厚い資料の107ページを見て頂きますと、信用組合の組数とそれがどういう要因で減っているかというものの内訳に「破綻等」と「合併」がございますけれども、この表と先ほどの資料13-5の3ページの表を見比べて頂きますと、全体の数が減っている中で、地域信組が減っている数が圧倒的に多いわけでございますので、やはり信用組合の中では地域信組の破綻が割合としては一番多いということでございます。

それから先ほどの家森先生のご質問に関連しますが、信用組合の破綻の原因は何かということでございますけれども、資料13-6の108ページに書いてございますように、破綻した134の信用組合のうち圧倒的に多い原因は、やはり貸出債権の不良化であり、次が有価証券投資の失敗ということでございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

○八尾参考人

すみません、ちょっと一点だけ。先ほど大森課長から業域・職域のところで職域でお医者さんという話がありましたけれども、お医者さんは業域に入っておりまして、その業域のほとんどはかなり部分お医者さんですが、あとは八百屋さんとかお風呂屋さんとかそういうものもあるというのが業域ということでございます。

○大森企画課長

失礼しました。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。中津川委員どうぞ。

○中津川委員

私は業域・職域信組の事業運営に携わっているわけではありませんので、昨日、今日とちょっと業域・職域の理事長さんに短時間ですけれどもお話を聞いてまいりました。

まず、職域の方ではやはり協同組合という特徴を最も強く残している業態だということを主張されておりまして、その分他業態よりも相互扶助性が強いという点を強調されております。特に先ほど労金の方からもお話がありましたが、地方自治体が関係している部分もかなりございまして、その地方自治体の不足するいわゆる福利厚生事業的な面での手助けをしているのも職域の大きな役割だと、こんなことでお話がございました。

それからやはり職域の方ではややもすると融資の面だけにスポットが当てられるけれども、いわゆる少額の預金者、これの対応というのが非常に職域として重要な仕事だということでございまして、数千万の単位での取り引きというのは、これは信託さんとかそういったところの銀行の仕事だけれども、我々はやはりそこに働く職員、社員の方々の小口の預金を積み上げていく、その手助け、資産形成の手助けとしては非常に我々としての役目としては十分果たし得るはずだと、こういう主張をされております。

それから業域の方では、業域の熟成度をやはり見なければいけないのではないかと、こういうご意見がございまして、仮に企業群が体力を十分つけた段階になっているということであればそこで業域の役割も終わるかもしれない、しかし、実態としては、まだまだこれから成長していく企業も少なからずあるわけでして、業域としての役割というのはなくならないと、そんなご意見がございましたので一応ご紹介をさせて頂きます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。さて、どういう方向になるのかということですけれども、業態別のあり方というのは抽象的にいうと、神吉委員のお話にあった当たりから始めて論理的に整理しますと、それぞれの区分になるものですから、仮に地域金融機関という(1)の方の整理で言えば、株式会社金融機関と協同組織金融機関というこの2つを制度として今後どうしていくのかと、廃止しないまでも存続するとしても今のままの制度でいいのかという話であり、さらに、協同組織金融機関の中に信用金庫と地域信用組合という2つの類型、これがある。これを維持するとしても、現在と同じでいいのかという問いですね。 それから地域金融機関を離れて見ますと、信用組合という形態ではありますけれども、業域信用組合と職域信用組合がある、これはほかにも労働金庫という制度もある。そのほかにももっと農業協同組合とか本当は色々な機関がありますので、あわせて本来ならば考えなければいけないのかもしれません。実態として今後どうなっていくのであろうか、これまでどうで、どう変化してきただろうかということについては同質化というご指摘もあれば、そうでないという方向もあるしということだと思うのですけれども。

やはりここでご議論を頂くのは、先ほどの監督というのも制度的インフラの一つですから、その当たりまでは含めてということだと思うのですけれども、制度としてその中身を簡単に言えば同じようにしていった方がいいのか、あるいは差異をつけていった方がいいのかということだと思うのですね。ですから、制度として形態をなくしましょうという、そういう議論はもちろん論理的にはあり得るのですが、あまり現実的な議論ではないでしょう。異なる形態は残すとしてその制度の中身というのを同じようにしていくのか、差異を維持していくのか、あるいは差異をもっとつけていくのか。これは結局どういう見通しを持つことが地域金融であれば将来の地域経済の活性化に寄与できるのか、もっと大きく言えば日本経済の活性化につなげていけるのかということだと思うわけです。

そこで例えばオーバーバンキングというご指摘で言えば、ここで例えばですけれども、体力増強というために色々な制度的手当をしたとします。それで体力がついた、それは果たして中小事業者への貸出しに回るのでしょうかという、こういう話になるわけです。その辺について今日はまだもう一つ次のテーマもご議論頂かなければいけないのですけれども、この業態別の将来のあり方ということについてもう少しご示唆を頂けると報告書へ向けたというか、とりまとめに向けた文案というのでしょうか、そうしたものができるのですけれども、いかがでしょうか。

家森先生、お願いします。

○家森委員

この信用組合というのがすごく相互扶助性が強くて、ある意味閉じた人たちで経営されているときに、例えばそもそもかなり前ですけれども情報開示について一般の金融機関ほど厳しくする必要もないねという議論も当然当時あったわけですけれども、そのときにいわれたのは預金保険制度の中にカバーされているので、全体としては国民の負担になり得るし、それから支払い決済システムの一員になっているので、その輪が壊れるとシステム全体が壊れるからという形で、ほぼ同等の規制を入れようという方向できたと思うんですね。

それがこの小さなところの信用組合の設立の目的や運用の目的としたらかなり重すぎるのなら、逆に預金保険制度についてのカバーを外す代わりにとか、そういう代わりに非常に軽い自治組織的なものに替えるということも理論的にはある得ると。韓国で信用組合が預金保険制度から外れたのですけれども、そういうようなことがあり得るのではないかのなというふうにも思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。そういった感覚というか……について、他の皆さん方はいかがでしょうか。これは難しいのでなかなかこれがいいということは、将来のことですし、難しいのでしょうが。今のままでいいかというふうに言われると、もうちょっと改善できる点があれば改善したいという思いは皆さんお持ちだとは思うのですけれども。

神吉委員どうぞ。

○神吉委員

先ほどの家森委員のご発言で、やはりそれを考えます場合に為替業務の取扱いをどう考えるかということが、どうしても決済システムの問題と関連して出てくるのではないかと思います。それから、為替をやらないということであれば、すべて監督も軽くして、預金保険からも場合によっては外れて頂くというようなことでもいいのかもしれません。そのように思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。村本委員、どうぞ。

○村本委員

一点だけ。これはなかなか難しいので発言もしにくいのですが、例えばアメリカのクレジット・ユニオンというのは独自に預金保険を持っていてFDICには入っていないと確か思いました。CRAの適用除外になっているというようなこともあって、やはりその辺に知恵は少しあるのではないだろうかなと。

つまり、非常に閉鎖的な、あるいは、組織を維持していくのであれば、そういうような方向も考えてもいいかもしれないと、同じ重さの規制をかける必要はないのではないかという感じもするのですけれども、今、神吉さん言われたような決済機能の問題をどうするのですかというようなところですね、その辺を少しきちっと整理しないと理論的には整理できないかなと……もう少しこれは考えさせてください。

○神田WG座長

ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。恐縮ですけれどもさらにお考え頂いて、後日で結構でございますので事務局でも私にでも……。

神吉委員どうぞ。

○神吉委員

関連しまして、例えば職域や業域の信用組合で為替をどの程度やっていらっしゃるかというようなことが、もしわかれば議論の参考になるかもしれないと思いました。

○神田WG座長

これはいかがですか、協会ですぐわかりますか……どうぞ。

○八尾参考人

為替で振替えたり、振り込みをやったりとかそういうことですね。それは基本的にもちろんできるわけなのですが、量的には少ないかもしれませんけれども、やっぱりそれは金融機関ですのでほとんどの信用組合でやっているということですね

○神吉委員

例えば医師の信用組合で、諸材料の支払い資金のようなものも含めて信用組合で振込みの手続をしておられるのかどうなのかと思います。それは例えば銀行とかでやっておられるということであれば、取扱いは少ないかもしれません。それから職域信用組合の方でも、個人がATMを操作して振込みをするというようなことは当然あるでしょうけれども……どうでしょうか。企業間の決済というようなことは当然職域の場合はないというふうに考えられますね。そうしますと為替のウエイト自体が比較的小さいのかなと、銀行などに比べると小さいのかなというふうに感じるところでございます。

○八尾参考人

それは小さいかもしれませんが、ほとんどがやっています。

○神田WG座長

その点も場合によってはちょっと事務局でも聞いて頂いて……。ご存じですか。

○渡邊協同組織金融室長

私どもそこまで把握しているわけではありませんが、ちょっと個別機関の話なのでどこまで掘り下げられるかわからないですけれども、そこもちょっと調べてみたいと思います。

○神田WG座長

ややマニアックな論点ですかね。全くやらないから預金保険はいらないとロジカルにはそういえるとしても、そういうのは余り現実的ではないものですから。いずれにしましても、私の進行がうまくなくて申しわけないのですが、難問ですのでよくお考え頂いて、お知恵を事務局または私にまでお寄せ頂ければ大変ありがたく存じます。

すみませんけれども、次の中央機関についてのご審議に移らせて頂きたいと思います。この点につきましても、まず事務局からの説明をお願いいたします。

○小野信用制度参事官

それでは先ほどと同様に恐縮でございますが、資料13-4と13-5、13-4は1枚おめくり頂きまして「2.中央機関あり方」というところから、また13-5につきましては11ページからご説明させて頂きたいと思っております。

まず、「中央機関のあり方」ということでございますが、11ページの資料は信用金庫、信用組合における中央機関の概要が書いてございます。信用中央金庫と全国信用協同組合連合会の会員の指導等につきましては、根拠法令等は特になく、自主的取組みとして行っているということでございます。資本増強につきましては、また後ほどご説明しますけれども、信用金庫については、信用金庫経営力強化制度、信用金庫相互援助資金制度というもの、また信用組合につきましても、信用組合経営安定支援制度などがございます。

一方、農業協同組合につきましては農林中央金庫という組織がございまして、会員の指導等につきましては、一番右の欄に書いてございますように、根拠法令がございます。この法令に基づいて経営改善に向けた取組み等を行っております。また、指定支援法人を通じた資本増強を行うといった枠組みになっているということでございます。

12ページは協同組織中央機関の単体のデータでございます。こちらをご覧頂きまして資料13-4を見て頂きたいのでございますが、信金中金・全信組連という中央機関がこれまで果たした役割をどう評価するかということで、幾つかのアングルからご議論頂きたいと思います。

単位組織間の地域的・季節的資金の需給調整とか、余裕資金の効率的な運用、特に余裕資金の集中による効率運用という二番目の役割につきましては、資料13-6の115ページ、116ページに中央機関の概要と余資運用の状況が書いてございます。信用中央金庫の場合には今、有価証券運用利回りは1.4%で、全信組連につきましては1.13%で運用しております。

それから3番目の役割評価のアングルにつきましては、単位組織の業務の効率化をやっているかということ。4番目は単位組織の業務の補完。5番目は単位組織の信用力の維持、いわゆる支援融資またはその資本増強制度等々による信用力の維持をしているかということでございます。こういう中央機関に期待される役割というものを、もちろんこの5つには限りませんけれども、またこれ以外のものについてどう評価するかということも踏まえまして、では、今後検討すべき点は何かということでございます。

このような評価、それから、これまで色々とヒアリングしてきました、例えば、JAバンクシステムの事例、海外の協同組織金融機関制度の事例、これにつきましては資料13-5の32ページ以下に海外の協同組織金融機関の概要を挙げさせて頂き、33ページ以下は、海外の協同組織金融機関についての資料を添付してございます。

32ページの一番左側のドイツであれば、二層(三層)構造になっていて、グループの機能としては、全国レベルで金融機関保護基金を運営し、信用協同組合の監査・経営指導を行っている。フランスであれば、クレディ・アグリコルS.A.という組織が中央にあり、傘下金融機関の検査・監督を行っている。グループ内の相互保証、いわゆる十字型保証というふうに言っておりますが、横の保証、地方間の金融機関の横の保証と中央機関からの保証という縦の保証制度がございます。次の、オランダのラボバンクも同じように、これもグループ内の横と縦の十字型保証制度があり、ラボバンク・ネダーランドという中央組織が傘下金融機関の監督を行っているとか、こういうような海外の仕組みがあるわけでございます。

そういうもの等々を念頭において、これからぜひご議論頂きたい点として、4つぐらい例として挙げてございますが、中央機関の位置付けをどう考えていくか。 

先ほど申しましたように信金・信組の中央機関による会員の指導権限等についての法的根拠はございません。そういう中で中央機関の法令上の目的、役割、権限に関する規定をどうするのかといった論点、また、そもそも中央機関の組織の形態をどうするのかということも一つあるのではないかと思っております。今の中央機関は、協同組織の形態をとってございますが、それでよいか、それとも、今後さらに期待される役割、機能を果たす上でどういう組織形態が望ましいのか、例えば、資金調達の機動性を考えた場合、フランスのクレディ・アグリコルS.A.のように株式会社形態はどうか等々の論点もあるかと思います。

3番目は、単位組織に対する権限のあり方、これも先ほど申しましたようにJAバンクシステムではそういった権限がございますが、現在の信金・信組の中央機関には、監督・検査、経営指導等の権限はございません。一方で、既にご説明しましたように、昨年12月に成立しました改正金融機能強化法ではそのような経営指導の権限というものが与えられているというところでございます。

次に、相互支援の仕組みというものでございます。もちろん今、信金・信組において相互支援の自主的な取組みとしての仕組みはございますが、先ほどご説明致しましたJAバンクのような形、それからただ今言及いたしましたドイツの金融機関保護基金というような、中央機関の中にあるのではなく金融機関から外に出した形の基金、要するに中央機関とは厳格な区分経理を行ったような基金や、フランスやオランダのような十字型保証については、今後の相互支援の仕組みを考えていく上で一つの参考になるのではないかと考えております。

それから中央機関として今後期待される役割・機能、それからそういうものを果たしていく上での課題ということについてもご議論を頂ければと思っております。

1つは、単位組織に対する関与ということで、先ほどの繰り返しになりますが、中央機関の位置づけの明確化というのをどう考えるか。それから単位組織に対する様々な経営指導権限というものをどう考えるかということでございます。

さらに、既にご議論もございましたが、中央組織金融機関として、今後期待される役割を果たしていく上で、なかなか単位組織だけではできない、やはりそのときに中央機関からのサポートが必要だというご意見が委員の皆様からございましたが、その幾つかの例としてご指摘がございましたのは、例えば中小企業融資というものを、今後更に進めるにあたって、単位組織だけでやるのは難しいため中央機関がサポートできないかとか、前回も同様に議論になりましたが、不良債権、他の業態に比べると高い不良債権というものを今後うまく処理していく上で、なかなか単位組織だけでは大変だという状況で中央機関が役割を果たせないか。

不良債権処理とコインの表裏の関係にございますが、地方のそのような中小企業の再生支援というものを行っていく上で、この単位組織と中央機関がうまく協同してできないか、ということでございます。

それから地域において投資ファンド等の組成、これも中央機関がうまく単位組織と協同してできないか、さらにはいわゆるコンサルティング機能というものも中央機関が単位組織をサポートできないかということであります。ただ、これも夏以来ご議論がございましたが、こういう中央機関の役割を強化していく上で、一方でその影と申しますか、考えなければいけない問題といたしましては、そういったことを中央機関があまりに行うと単位組織の自己責任・モラルハザードという問題が出てくるのではないか、この問題をどう考えていくかという論点がございます。

以上が中央機関の役割でございまして、次に、若干重複いたしますが、論点の一つとしてご議論頂きたいのは相互支援です。最終的には地域でこの協同組織金融機関が引き続き役割を果たしていく上で、最後はやはり資本というものがきちっとしなければいけませんので、そういう意味での相互支援というものを、今後どう制度として考えていくかということでございます。まずは現在の相互支援に対する評価ということでございますが、それにつきましては恐縮でございますが、先ほどの資料13-5の12ページをお開き頂ければと思います。

13-5の12ページのところに「協同組織中央機関(単体)に係る諸計数」ということで、先ほどは説明を省略いたしましたが、一番下の「資本増強制度の活用実績」に、これまでに信用金庫、全信組連の各業界で行ってきた相互支援の実績が示されております。ここに書いてございますように活用実績として信用金庫業界では累計で57金庫・3,587億円の資本増強制度を行っております。全信組連では累計で41組合・541億円を行っております。このように今までも自主的に取り組んで頂いておりますけれども、問題は、自主的な取組みの持続可能性をどう考えていくのかということが、一つ論点としてあるのではないかと思っております。

また、繰り返しになりますが、14ページにございますように昨年末に成立いたしました金融機能強化法改正の中で、新たに、協同組織金融機関の中央機関に対して国が資本参加を行うスキームができました。これは目的に書いてございますように、従来から存在している業界の相互支援制度を活用するという意味で、中央機関に対して国が資本参加をし、あとは中央機関が裁量でその資金を相互支援制度の中で活用していくという制度でございます。これは3年間の時限措置で申請期限は平成24年3月末まででございますので、24年3月末までに申請をして頂いた場合には、国がその中央機関に資本参加をさせて頂き、相互支援制度のスキームにのっとって傘下のメンバーの協同組織金融機関に対して必要に応じて資本支援を行って頂くこととなりますが、これとの関係をどう考えるか。

この点についても既にご議論がございましたが、そうはいってもこの制度というのはあくまでも時限的な措置でございますので、金融機能強化法における申請期限が終了したあと、その後も引き続き安定的に協同組織金融機関の相互支援が有効に機能していくためにはどのように考えていけばよいのだろうかということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。この中央機関のあり方につきましても(1)、(2)がありますので、今日は全部やれないとは思いますけれども、(1)からのご議論をお願いしたいと思います。なお、13-1の「論点メモ(要約版)」で言いますと4ページ目の「5.中央機関」というところに論点が記載されております。それから今ご説明のありました参考資料というのでしょうか13-5の資料につきましても今ご説明頂いたほかにも参考となる資料が入っておりますので、これらもあわせて参考にして頂ければと思います。

それでは、まず(1)の中央機関の役割ということで、(2)の相互支援については後にさせて頂きますので、(1)につきましてご質問、ご意見をお出し頂きたいと思います。どなたからでもいかがでしょうか。

○池上委員

JAバンクシステムというのがいわば参考事例の一つとされておりますので、その関係で実際にJAバンクシステムを運営している者として、こういった観点で運営をしていくときに我々自身の悩みでもあり、一方で運営上のポイントになるかなということについて2点だけ申し上げたいと思います。

1つは、当然ながらその単位組織をサポートしていくことでありますとか、それから相互支援なりその業態なりの資本注入の仕組みをつくり上げて、全体としてその経営の健全性を業態として守っていくこと、こういったことについてはこれまでも当然取り組んできて頂いているわけで、我々自身も取り組んできているわけでありまして、こういった観点を見ますと信金業態、それから信組業態、労金業態ともにいわばこの健全性対策で何かしら法律の根拠があったからできているということよりは、全体としてこういった取り組みは同様にできている。つまりJAバンクシステムと何か大きな違いがあってやっているということではないだろうなというふうに見えるわけであります。

その中で一点申し上げたいのは、この法律の根拠があることで我々JAバンクシステムの運営にあたる者として大きく進んだなというのは、このモニタリングシステムという、先ほど吉野先生からもご議論があったところでありますけれども、ここのところでありまして、例えば今の時期ですと全金融機関が自己査定という作業をやっていまして、これに基づいて引当等の計算をやっていくわけでありますけれども、こういった自己査定の結果が即座にといいますか、短時間のうちに全国的に集計をされることで、いわば問題のありやなしやというところが一定の基準に照らしてわかってくるという仕組みをつくるでありますとか、それに一定のストレストテストをすることによって検証して、一定のストレスをかけたときにも全国的にJAバンクを守れるだけの積立金になっているかどうかを検証するでありますとか、こういった一連のセーフガードの仕組みというのがつくれていく、ここのところはやはり法律の根拠を頂いたことで非常に進めやすくなったということはあるというふうに、私は一点認識をしております。

一方で二点目の話でありますけれども、これはもう先生方には釈迦に説法でありますし、当局にはもちろんでありますけれども、一方で協同組織形態というのはいわば単位組合が本家といいますか……でありまして、我々は連合組織といえば分家の関係にあるわけで、一般の企業の本・支店と全く逆の関係にあるということでありまして、つまり法律の根拠が与えられて分家である連合組織に一定の権限なり統制の仕組みが与えられたとしましても、これを全体として担っていくためには単純にその統制が効くという話ではないと、つまり本家筋である単位組織の皆さんから全体的に指示を頂いた上で、先ほどクロスギャランティーという話もありましたけれども、一定の契約を頂いた上で全体として進めていかないと、なかなか運営としては難しいという側面も持っている。そういう意味では法律があればできるという話ではなくて、極めてその制度設計としてそういった性格をビルトインしないとうまくいかないなという、こんなことを常々感じているということを申し上げたいと思いまして、二点だけ申し上げさせて頂きました。

○神田WG座長

大変貴重なお話を頂きまして、ありがとうございました。

いかがでしょうか、佐藤委員どうぞ。

○佐藤委員

今のお話は、非常に納得できるのですけれども、やはり考えるべきことはそれぞれの地域で信用金庫を-私ども信用金庫ですからそう言うのですけれども-信用金庫が本当に地域企業に帰属して果たしていけるのかという、そうした役割を果たしていくために必要な制度として考えなければいけないと。そのときに一番大事なのは、今もお話あったように、それぞれの金庫が本当にその地域で果たしていく役割を自ら決めてそういうことをやっていくと、時代も変わるわけですけれども、そういうことが本当にできていくかという経営そのもののガバナンスがしっかり効いて、それが特性として発揮されるような状況でなければいけないので、そのためにサポートをする体制というのが中央機関の役割だということになりますと、むしろ法的な権限によってどうかしていくということになって、何か一つにまとめてしまうというそういう方向であれば、私はかえって、目的としてみた存在価値を損なっていくのではないかというふうに思うのです。

従って、今のお話のように何が本当に中央機関として必要かというのは、やはり、それぞれ独自に設定した、それ自体を選択の問題として考えなければいけないのではないかと、今現在でも非常に多くの面で私どもの信用金庫にとっての中央機関、信金中金というものが役割を果たしてもらって、それを活用して非常に色んなことが地域でできているという状況があります。

それからモニタリングをしてもらっていることで、他金庫との比較したものであるとか、今我々がどういう問題があるかといった、そうしたリスク管理上の問題も出されているわけで、これは経営にとって非常にプラスになるのですけれども、何かまとめて一律に規制をできるようにするような権限を持って行うということは、どちらかというとモラルハザードということではなく、少し中長期的に見たら、経営そのものの個性というか、そういうものをなくしていく方向にいくのではないかということになるので、実際に地域で考えてみると、大変申し訳ないのですが、こういうことを言っていいかどうかわかりませんが、個別の農業協同組合のそうしたあり方というのは、それぞれの地域で本当にふさわしいパフォーマンスをやれるようになってきているかという点を考えますと、私は逆方向にいっているような気もします。言い方が大変難しいのですけれども、むしろ個性が本当にそこで果たしていける複雑な地域に対応できる体制というのは、信用組合と信用金庫のあり方もそうですけれども、必要だなというふうに思っております。そういう意味で結論から言いまして、何か権限を法的に決めて行っていくということには反対をするということでございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。吉野委員どうぞ。

○吉野委員

少し違った立場で、ずれているように思われるかもしれませんが、1つは、各単位組合をモニタリングするときのコスト、例えば官が行った場合にどれくらいかかるのか、それからこういう中央組織を通じて行った方がうまく安上がりにできるのかどうか。

もう1つは、それによって各単位組合の独自性みたいなものが保たれるのかどうか、今おっしゃったように一律にやられては困るのであれば、そのバランスというのが一つあるのではないかと思いました。

2番目は、中央組織が独占的であるとすると、本当にそこがうまく効率的かどうか比較できないわけですね。例えば、中央組織が2つとか3つありますとそこで競争が働きまして、そうするとこちらの方が有価証券、余資運用としてはすぐれていると、しかし、こういう情報の収集なんかではこっちがすぐれているという風になります。ですから、中央組織が本当に効率的かどうかというのをどうやって判断をするのか。例えば、中央組織は規模の経済性とかノウハウの蓄積とかすごくあると思うのですが、例えば、余資運用に関してはどこにしてもいいですよといった場合に、ある外資系が出てきて、私のところがそれを引き受けますというような自由度まで認めてあげられるのか、それとも、そういうパッケージとして中央があった場合にはそれがないわけですから、本当にそれが効率的かどうかというのがなかなか見えないと思うのです。そういう意味では競争がある程度外から見えるようなバランスと、それから組織としての規模の経済性とか情報の優位性とかそういうもののバランスになるのではないかと思います。ちょっと大きな話になりましたけれども。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。どうぞ。

○早崎日本銀行金融機構局参事役

オブザーバーの日本銀行でございますが、中央機関の役割につきましては、例えば今日いらっしゃっている服部専務理事とか八尾専務理事ともお話することがあるので、その上で、ここで話すのはちょっとためらう部分もありますが、あえてちょっと感じていることをお話させて頂ければと思います。

このワーキングの中で、何度も何度も話題になるのが預貸率が下がっているということ、その裏返しとして預証率が上がっているということだと思います。その背景自体は色んな論点があると思うのですが、その上で預証率が上がっているということに関連して、やはり有価証券の運用というのが信用金庫あるいは信用組合の経営にとって非常に重要な問題になっていて、かつ、そのリスク管理をうまくやるということが非常に重要なポイントになっているのだろうと思います。

私ども日銀は信用金庫さんとだけおつきあいがあるので、ちょっと信用金庫に限ってお話をさせて頂きたいのですが、多くの信用金庫の方はそういう中でリスク管理をしっかりやられて、余り大きな損失が出ないようにということでしっかりやられているというふうに思っていますが、その中でやはり幾つかは残念ながらうまくいっていない例があるというのが実態なのだというふうに思います。

そのうまくいっていない例というのは大きく分けると多分2つぐらいあって、1つは、残念ながら全ての理事長さんが佐藤理事長のようにすばらしい方ではないということでありまして、理事長が独走をすると、それに対して全く牽制が効かないという例があるというのは残念ながら事実でありますし、その辺このワーキングで今日までずっと参加していて、何かガバナンスの枠組みそのものに問題があるのかどうかと思いながら聞いていたのですが、なかなかそこは見いだせないのですが、いずれにしてもそういう例があるというのが1つなのですが、もう1つの悩みとして、やはり信用金庫のような場合に大きな規模の信用金庫でなければ、やはり人材というのをなかなか集めることができない、あるいはリスク管理のために必要な体制を十分組むことができないという、そういう悩みを持たれている金庫が少なからずあるのだろうというふうに思っています。

そういう中で中央機関に求められる役割として、1つは、既に十分行われていると認識していますが、信用金庫の方から何か研修制度のような形で信金中金さんに送って教育をして帰すみたいな話は、個別の信用金庫からもよく話を聞きまして、そういうことでの機能というのは既に果たされていると思いますし、その辺をさらにしっかり行って頂ければなというふうに期待をしています。もう1つは、非常に大事な論点というのはある程度お金を集約するということを義務づけていくのかというところなのだと思います。

先ほど佐藤理事長の話にもありましたように、そういうことは自主性を奪うということは全くそのとおりだと思っていますし、集中することがまた逆に中央機関のリスク運用能力があるかないかということで、また大きなリスクを生んでしまうという論点もあるかもしれないので、そのこと自体については積極的に義務化ということを申し上げるつもりは全くないのですが、例えば中央機関が個別の信用金庫と色々対応され、その中でどうもリスク管理能力について不十分だなと思う場合には、中央機関になるべく運用してくださいよというような、そういう対応の軟らかい仕組みを取り上げつつも、ある程度は、個別の運用ではなく中央機関に吸い上げていくといった、そういったような形が少なくとも今以上にとれないかなと、ちょっとそんな感想を持っているということだけ申し上げさせて頂きたいと思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは神吉委員が先ですか、あと服部専務理事お願いします。

○神吉委員

先ほど佐藤委員から中央機関の権限を強化するということによって、逆に個々の組織の自主性が損なわれるという問題が指摘されたのですけれども、中央機関の機能だけを考えますと、やはり権限を法的に明確にしておくということが、機能を十分発揮する上で必要なのではないかと思います。契約ベースで処理するという考え方もあるのですけれども、それではやはり、契約にすべてを書けないという問題と、法的な権限をもとにした方が、しっかりした統一的な対応ができるのではないかというふうに私は思います。

○神田WG座長

服部専務理事お願いします。

○服部参考人

信用金庫と信金中金の関係ということでございますけれども、今、信用金庫というのは、金融環境の変化や業務の多様化を背景とした非常に色んな問題、色んな課題を抱えています。現在、そのような課題や問題について相談に乗るところというのは唯一信金中金だというふうに考えております。従って信金中金が何か権限をもって指導する云々というよりは、むしろ信用金庫と信金中金が一緒になって抱えている課題を解決していく処方箋を考えていって、その処方箋に基づいて個々の信用金庫が自己責任で実行し、信金中金はそれをフォローするという、そういう関係がこれから非常に重要ではないかというふうに思っています。

信用金庫と信金中金はそういうリレーションをもっと強くして、全国の信用金庫の底上げをしたいというふうな思いでありますので、余り何か上下関係をつくるなり法律で色んなものを縛るというのは、これは去年の7月にも少し申し上げたのですが、今の状況でいくと適さないのではないかというふうに思っております。

以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。時間がちょうどきてしまいまして、どうしてもというかご意見があればここでお出し頂きますけれども、そうでなければ引き続いて次回までまたお考え頂いてご意見を頂ければと思いますけれども、よろしゅうございまでしょうか。

では、今日も大変に活発にご意見を多数お出し頂きまして、大変ありがとうございました。お花見の時節ですのでご予定もおありかと思いますので、時間どおり終わりたいと思います。

最後に事務局からのご連絡をお願いいたします。

○小野信用制度参事官

本日も活発なご意見を頂きましてありがとうございました。次回でございますが、今日は中央機関について必ずしも十分に議論できなかったのではないかと思われますので、次回も引き続きこの中央機関の役割、それから相互支援についてご議論を頂ければと思っています。

なお、一つだけ私の説明に誤解があったのかもしれませんので、これは次回またゆっくりご議論頂きたいと思うのですけれども、権限というと、何か上から下への非常にきついようなものというふうにお思いかもしれませんが、必ずしもそういうイメージばかりではございません。 

中央機関はどういう役割を果たすのか、また、役割・機能を果たす上でどのようにすれば一番ベストなのかというところから、おのずと権限といったものが出てくるのであり、初めから権限という言葉のみにとらわれますと、権限は上から下へのものであるから嫌だという単純な議論に流れてしまう惧れがありますので、ぜひ次回は、役割という観点からよくご議論頂ければと思っております。

次回におきましては、まずは中央機関の役割と相互支援についてご議論を頂きましたあと、10月に一回ご議論頂いておりますが、もう一度、議論の確認という意味で業務、それから組織、決算等についてご議論を頂くことを予定しております。次回は4月24日、金曜日、午後4時から予定しています。正式には追ってご連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。

○神田WG座長

4月は2回開催ということで大変恐縮ですけれども、どうかよろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれで散会いたします。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室
(内線3568、3577)

サイトマップ

ページの先頭に戻る