金融審議会「協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループ」(第14回)議事録

1. 日時:平成21年4月24日(金曜日)16時00分~18時03分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

○神田WG座長

それでは、予定の時間になりましたので、まだこれからいらっしゃる委員の先生もいらっしゃるかもしれませんけれども、始めさせて頂きます。

本日は、協同組織金融機関のあり方に関するワーキング・グループの第14回目の会合になります。委員の皆様方におかれましては、いつも大変お忙しい中を大変熱心にこのワーキング・グループにご参加頂きまして、大変ありがとうございます。

本日の出欠の状況ですが、渡邉委員、中小企業庁の藤木金融課長、農林水産省の青山金融調整課長がご欠席と伺っております。

本日ですけれども、前回に引き続きまして、中央機関のあり方をテーマとさせて頂きますので、引き続き参考人といたしまして、信金中央金庫から服部専務理事、それから全国信用協同組合連合会から八尾専務理事にご出席頂いております。お二方にはお忙しいところ毎回のようにご出席頂きまして、どうもありがとうございます。

それでは議事に先立ちまして、前回の会合におきまして、神吉委員からご発言がございました信用組合の為替業務の取扱い状況について、事務局から簡単にご説明頂けるということですので、お願いしたいと思います。

渡邊室長、よろしくお願いします。

○渡邊協同組織金融室長

資料14-2の資料なのですけれども、神吉委員のほうから、業域信用組合及び職域信用組合における送金業務についてのお尋ねであったというふうに認識しております。

取引の概要でございますが、全ての信用組合におきまして、定款で内国為替取引を定めておりまして、各組合においてこれは業務であるというふうに位置づけております。

それから、取引量でございますけれども、表にあるとおりでございますが、内国為替における取引量として、信用組合が内国為替の取扱いに伴って受け入れている手数料の合計額を20年3月期で地域、職域、業域別にまとめてございます。受取為替手数料は送金時に受け取る手数料に加えまして、他行ATMの利用時に伴い、銀行間で受け入れる手数料も含まれているところでございますけれども、為替業務の取引の量の目安としてご覧頂きたいというふうに考えてございます。

これによりますと、信用組合全体で74.1億円ございます。地域信用組合が約96%となってございます。業域信用組合で3%、職域信用組合で約1%となってございます。1組合当たりで試算いたしますと、地域信用組合が6,000万円、それから業域信用組合が800万、職域信用組合が400万円というふうになってございます。

金額は、業域信用組合それから職域信用組合ともに、地域信用組合に比べスケールの違いというものがあるのですけれども、それぞれ顧客のニーズに応えているということが伺われるのではないかというふうに思ってございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今のご説明についてご質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、先へ進ませて頂きます。

本日の議事に入ります。

本日ですけれども、まず前回に引き続きまして、「中央機関のあり方」についてご議論を頂きます。それからその後で、まだご議論頂いていない論点ということになりますけれども、2つありまして、1つは「業務等」になります。それから、もう1つは「規制緩和要望」、これらについてご意見を頂きます。時間があれば、昨年10月に一度ご議論頂いたのですけれども、「組織・決算等」という項目についても改めて確認させて頂くというか再確認のためにそのときのご意見をご紹介して、もし追加のご意見があれば頂きたいと、こういうふうに考えております。盛りだくさんですので、できるだけうまく進めていきたいと思っております。

本日のテーマ用のメモといたしまして、番号で言いますと14-3になると思いますけれども、を用意して頂いていますので、これに沿って進めさせて頂きます。

そこでまず、「中央機関のあり方」についてであります。前回のワーキング・グループにおいてご意見を頂きまして、いわば時間切れのような形になりましたため、本日も引き続きご議論を頂くものであります。従ってといいますか、前回事務局から既に資料の説明はありまして、委員の皆様方からも既に何人かの方からご意見を頂いてはおります。ただ、新しい資料もあるようですので、まず事務局から必要な範囲で資料の説明をお願いしたいと思います。

小野さん、よろしくお願いします。

○小野信用制度参事官

それでは、お手元の資料、協金WG14-3と14-4をご覧頂きながら説明させて頂きたいと思います。

まず、14-3については、先週に引き続き議論して頂く、中央機関のあり方の論点を掲げておりますが、前回と内容は変わっておりません。

一方で、14-4については、前回の資料が若干分かりにくかったのではないかとの事務局の反省もございまして、2ページ以降に前回の資料をもう少し再整理したものがございます。ここに書いてございますのは、信用中央金庫と全国信用協同組合連合会、それから参考として農林中央金庫を中心とするJAバンクシステムとの間で、どういう違いがあるかということを前回よりも、分かりやすく整理したものでございます。

要するに、信金中金、全信組連の場合には、位置付けというのはあくまでも会員の信金・信組と並列の組織となっているのに対しまして、農林中金は、2段目の「位置付け」のところを見て頂ければ明らかなように、「信用事業を行う単位農協に対する指導等、業態内で独自の役割を担う組織」ということで明確に位置付けられているということになります。

そして、そのための目的規定というのも農中法第1条に書かれておりまして、「協同組織のために金融の円滑化を図ることにより、農林水産業の発展に寄与し、もって国民経済の発展に資すること」とあります。これに対しまして、信金中金と全信組連は、そのような目的規定はございません。

また、単位協金との関係で有する権限等も、信金中金と全信組連は特段の規定はございませんが、農林中金は、信用事業の再編・強化のために必要な指導を行う権限、信用事業を強化するための基本方針を策定する義務、単位農協に対し、報告・提出を求める権限がございます。あと1つ、特別なものとしまして、相互支援を行うための基金につきましては、農林中金から外に出して別法人をつくり、そこから単位農協に対する支援を行うという形になっているという違いがございます。

次の3ページをご覧頂きますと、農林中金は基本方針というものを策定するわけでございますが、その内容は、信連・単位農協は経営管理資料等を農林中金に提出することや、資料の左側のマル3に書いてございますように、農林中金が、不良債権比率に関する基準等の実施基準に該当した信連・単位農協に対して業務執行体制にかかるオンサイト、つまり実査を実施する、というものでございます。

また、破綻未然防止に向けた取組みとして、その信連・単位農協の資金運用の範囲を制限することや、信連・単位農協の経営改善に向けた取組みを義務付けること、こういった方針を規定し、かつ、行政庁へ届け出るという、この意味では、かちっとした枠組みになっているわけでございます。

それに対しまして、信金中金と全信組連は右側に参考として書いていますが、相互支援における役割は、あくまでも契約として実施しているものでございまして、その契約は任意で締結するということでございますので、実際に契約を締結していない信金・信組もございます。

また、その下に書いてございますように、経営強化制度等の具体的内容につきましても、例えば、経営相談の勧奨を受諾した単位信金に対して経営相談を実施したり、必要と認める信組に対して監査を行うというものでございます。また、資本支援を行った先に対しましてもモニタリングを実施するわけでございますが、それはあくまでも覚書・内部規程によって行われるということになってございます。あと、一番下にございますけれども、自己資本比率・体制整備状況等に応じた資金運用の範囲制限・経営改善に向けた取組みの義務付けはないということでございます。

従って、先程の2ページ・3ページを要約すれば、農林中金は法律に裏づけられ、法的に安定した仕組みができあがっているのに対して、現在の信金中金、全信組連はあくまでも任意の契約に基づくものということでございます。この法的な安定性という観点をどう考えるか、ということが1つの大きな論点ではないかと考えているところでございます。

それから、4ページ目でございますけれども、資金運用の安全性・効率性確保という観点から、信連と単位農協につきましては、余裕金の上部団体への預入義務がございます。単位農協から信連は3分の2以上、信連から農中へは2分の1以上、預入義務がございますが、現行では信金中金、全信組連はそのような余裕金の預入義務はないということでございます。

次に、5ページは前回もお示しした表でございますが、中央機関に係る計数が書かれております。この5ページの状況は、あくまでも20年3月末の、一昨年度の姿でございます。当然これから昨年度の決算が出来あがってきますので、21年3月末の姿がどうなるかということをこれから見ていかなくてはいけません。ご存じのとおり、去年のリーマン・ショック等の国際金融市場の混乱等ございましたので、当然この20年3月末から21年3月末のこの1年間で信金中金、全信組連、農林中金、それぞれの姿が相当変わってくるだろうと思われます。

ちなみに、どういうことがこの1年間に起きたかということを、6ページにつけております。左側が信金中金で、右側が全信組連でございますが、この20年3月では信金中金の自己資本額が8,681億円・自己資本比率が15.75%、全信組連の自己資本額が1,044億円・自己資本比率が13.25%でございます。ただ、ここに書いてございますように、9月以降さまざまな出来事がございまして、9月に信金中金が、信用金庫業界から永久劣後ローンによる総額2,200億円程度の調達を行う予定であると公表してございます。そして、今度は11月に、全信組連が、信用組合業界から永久劣後ローンによる総額300億円程度の調達を行う予定であると公表しております。

さらに、平成21年4月には信金中金が普通出資の増資によりまして信用金庫業界から総額2,000億円程度の調達を行う予定ということを公表しております。

また、ここには書いてございませんが、平成21年3月の新聞報道によりますと、「信金中金が5つの信金に対して資本支援する方向で最終調整、支援総額は300~400億円程度の見通し」という報道がございました。また、同じく3月に、全信組連についても「5つの信用組合に対して約100億円の資本支援を行う」という報道がありました。

以上のように、この20年4月以降は、そういった資本増強の動きや、また一方でその傘下の信金、信組に対して資本支援を行うということで、相当の動きがあったということでございます。今後もこういう動きが続くのかどうか、その時にこの信金中金、全信組連の安定的な資本というものをどう考えていくのかということが1つ大きな論点になるのではないかということで、ここで紹介させて頂いたところでございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今のご説明は前回にさらに追加したご説明ということになりますので、これからこのテーマについて、前回に引き続き皆様方からご意見を頂きたいと思います。資料番号14-3で申しますと1ページ目と2ページ目、中央機関のあり方には(1)と(2)がありまして、中央機関の役割、(2)が相互支援という2つのテーマということになります。本日は前回の続きですので、この(1)、(2)のどちらでも結構ですので、引き続いてのご意見をお出し頂ければと思います。

どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

先にちょっと資料について質問したいのですけれども、農林中金のあり方というのが1つの参考になるということでご提示頂いているのですけれども、信用金庫の場合ですと、金融庁、それから日本銀行、預金保険制度などからの監視というか監督があると思うのですけれども、農協の場合ですと、どのような監督の仕組みになっているのか。要するに監督のダブリの問題を少し教えて頂けたらと思うんですけれども。わかりますか。

○渡邊協同組織金融室長

農業協同組合法上、JAの監督につきましては、基本的に都道府県に法定委任事務になっております。ただ、県が2つにまたがる場合には金融庁及び農水省ということになっております。現状においては、2つの県にまたがるのはございませんで、監督はその都道府県において監督をしているということであります。

その上の信連につきましては、金融庁と農水省の共管ということでございます。農林中金は金融庁と農水省ということになります。

○神田WG座長

よろしいですか。

○早崎日本銀行金融機構局参事役

すみません、1点つけ加えますと、農林中金につきましては日銀の取引先でありまして、考査等の対象になっていますが、信連あるいは個別の農協、漁協については取引をしておりませんので、考査等は行っておりません。

○神田WG座長

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

まず、中央機関の機能について、私の理解が正しいかどうかということでちょっとお尋ねしたいのですけれども。中央機関は複数の顔を持っていて、ここで非常に議論になっているように、相互支援をどのように求めるかとか、そのようなことは普通の顔の中でも1つの協調の位置に関係するのかなと。具体的に言うと、特に中央機関の金融機関としての優良な金融機関になるという側面と、セーフティネットを安定的に保とうという側面というのは対立すると思うのですね。

例えば具体的に言うと、金融機関としての側面を高めるということになると、不良債権を持つのをやめようかとか、あるいは当然、優良な証券を持とうと思うので、不良な信用金庫の優先出資証券を持つのはなるべくやめたいと思うと。あるいは、相互援助でもって経費を費用を払うのは嫌だと。それによって金融機関としてのステータスが高くなるという面があって、セーフティネットのほうを強調する場合には、金融機関としてのレベルが下がる可能性があるというようなことが1点ですね。

同じようなことに関してみますと、金融機関としての性能を上げるためには、ある程度リスクを取りながらの運営を行っていくということになると、今回のように、世の中全体で不況になったときに、メンバーの信用金庫や信用組合の不良債権を発生すると同時に、自分たちにも不良資産が発生するということになって、優良な、なるべく収益を上げたいと思って資産運用に一生懸命努めるという金融機関的な側面を強調すると、セーフティネットとしての役割というのが低下すると、そういうような面があるのではないかなと思います。

それで、色々お話を聞いていて、どちらかというと信金中金の方々は発想が金融機関的な面を強調するという、重視するという方向の考えになっているのかなと。私はどちらがいいかよくわかりませんけれども、私は、業界の相互援助機関みたいな1つのセーフティネット、相互扶助の仕組みとしてあるのが中心であるというふうに考えた場合には、セーフティネットのほうを重視するような、全体的な運営が必要なのかなと思ったんですけれども。そこら辺についてはちょっと意見、考え方が色々違う人があるのかなというふうに思いました。

それで、仮にセーフティネットのほうを強調するということになると、今のやり方でいうと、例えば資産の運用方法についても、極端な話、日銀のように安全な資産ばかりで運用するのだとか、そういうような話になってしまって、仕事として成り立つかどうかちょっと分かりません。

言い忘れましたけれども、セーフティネットと優良な金融機関であることは反する面ばかりではなくて、優良な金融機関であることによって収益を上げてセーフティネットに資金を提供しているとかそういう面も確かにあるのですね。それはお互いに支え合っている面ですけれども。反する面があるということです。

その反する面について、皆さんの考えは色々違うので、任意にしようであるとか強制にしようだとか、そういう面が発生しているのかなという感じがいたしました。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。ほかに…。

久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

私はこの14-3の資料の2ページ目のところで、前回、法的にこれを整備するかしないかというところで色々な意見が出たのですが、確かに、佐藤委員が言われたように、法的な理由に基づいて1つにまとめていくというと余りに強すぎる、確かに信金のよさを損なうのかもしれませんが、今のこの危機の中で財務状況が悪化していて、それでかなり、今、宮村委員が言われたように、セーフティネットのほうに力を強めていかなければならないというところで見ると、その問題先については少なくともある程度、中央機関が役割を発揮してもいいはずだし、また、中央機関においても、もし間違ったらあれですが、私の認識するところでは、信金、信組と同じように税制優遇を受けていると。そうすると、普通の銀行よりもさらにそういう公共的な使命を発揮しなければならない立場にあるということも考えれば、この農中とかあるいはフランスとかドイツとか海外の例並のモニタリングの機能を法的に整備するというほうが望ましいのではないかなと。そういう意味では神吉委員と近いような見解を持ちました。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

私も相互支援に関して質問したいと思います。契約ベースの話ですので、仮に契約していない先が経営危機に陥った場合にどうなるのかという点、助けてもらえないということでよろしいのかどうか。それとも、すぐに契約を締結して支援してもらえるのかという点でございます。

それから、契約を締結していないということが当該単位組織の会員・組合員に開示されているのかという点でございます。これは契約の締結は経営判断だと考えれば、別に開示する必要はないということになるのかもしれませんが、いざとなったときに中央機関から助けてもらえないということは、当該単位組織の会員・組合員にとっては、非常に重大な利害の絡む問題だと思いまして、質問させて頂きました。

○神田WG座長

ありがとうございます。

どなたにお答え頂いたらよろしいのでしょうか。参考人のお二方に、もしお答え頂けるようであれば…。では、服部さんから、まず。それから八尾さん、お願いします。

○服部参考人

信用金庫業界につきましては、確かにおっしゃるとおり契約ベースでございまして。ただ、大半がといいますか、大体99%は契約にのっとって経営力強化制度の契約を結んでいるということです。ただ、その残り1%の金庫についてどうかということですが、これは任意の契約でございますので、特に公表はしておりません。

それと、こういうところが経営悪化に陥った場合の対応としてどうかというのは、これは明確なルールはございません。もちろんそういうことになってもおりませんので、何とも申し上げられませんが、業界全体の信用秩序を維持するという観点からいけば、その都度必要な対応について検討をすることになるのだと思いますけれども。ここはどうするこうするというルールで決めておるわけでもございません。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

八尾さん、いかがでしょうか。

○八尾参考人

信組業界の中では、契約していないのは1組合だけでございまして、平素の運営上、まず問題はないと考えております。その1組合については業界の中では周知の事実という状況になってございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

どうぞ、佐藤委員。

○佐藤委員

直接、今、答えて頂いたので、そのとおりだと思うのですけれども。契約するというか、今度は面倒見ているほうの信用金庫として言いますと、調子が悪いなど何か問題があれば、当然ながらその契約に基づいてしっかりとした経営に戻していくというふうな意識を持っているというふうに私は日ごろ思っているんですけれども。実際にそういうところが必要ないというような形で自主的な経営をしっかりやっているのだという意識を持っていらっしゃるだろうなというふうに感じます。実際に、私どもは契約しておりますけれども、もし何かそういうふうなことになれば、ちゃんとしたセーフティネットという今ある現行のものに従って、きちっとした支援がなされていくということなので、それに関しては問題ないと思います。

それから、そのことはそういうことだというふうに思っているのですけれども、もう1つは、前回申し上げたのですけれども、やはり法律的なものに基づいて、1つにまとめてという、そういうことではないのでしょうけれども、基本的な信用金庫の信用、会員・地域に対しての信用というのは、それぞれの金庫がどれぐらいしっかりした経営をしているかということ、自己責任というか、そういったもので行われているというのが基本だと思いますし、そういうことはなくて、セーフティネットがあるからうまくいくというような形でのものというのは、過去にも非常に信用不安があった時期-今でも思い出しますけれども-そういったときに何が一番そうしたものに対して信金中金があってよかったのかというと、事前にあらかじめ色々なモニタリング等をしていってそれが情報公開されるというふうな形で…。ですから、何か問題があるとすれば、そういったことで金庫自身が色々なものに対応して情報公開をしていって、だから預金者に対してもしっかりした対応ができていくのだという、そういったことが一番安全で、セーフティネットがあって、何か問題が起きて処理してもらえるということは、決して信用の強化には、ある面ではつながっていかないので。専門的な観点からいえばそれが一番安定していけるということになのかもしれませんけれども、実際の経営上の課題からそうした信用という問題で考えると、やはり、個別の金庫がしっかりするということなので、それが今の業界としてこれまでずっと培ってきた信用力の強化みたいな、そうしたセーフティネットも含めて、中央機関の役割として機能を発揮して頂いているというふうに思っていますし。

そのことをこれからも、さらにこういう時代になりましたので、もっと業界として当然ながら色々なご意見頂いて検討していかなければいけないというふうに感じておりますし、現実にそういうことをやりつつあるというふうに思うのですけれども。

そういったことで、もし法的な何かが必要かどうかという観点でいえば、私はむしろ自主的に業界として取り組んでいって答えを出していくということで、ご理解頂けたらというふうに思っております。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。

ちょっと若干意見の差があるかなと思ったので、私から恐縮ですが、佐藤委員に確認させて頂きたいのですけれども。佐藤委員が、前回もおっしゃったことですけれども、セーフティネットという言葉がいいかどうか、便利な言葉ですので使わせて頂きます。セーフティネットの水準を現在よりも強化するということについて慎重なお考えをおっしゃったと私は理解したのですね。ただ、ここで議論していることは、若干、質が次元の違う問題だと私は思っていまして、そのような点ももちろん議論して頂いて構わないのですけれども。セーフティネットの水準は仮に今のままであるとしても、そのセーフティネットの運用における中央機関の役割をもう少し増すということが考えられないかというのがここでは議論だと思うのですね。

したがって、セーフティネットそのものをより強化するとか、あるいは弱めるという議論は昨今ではないとは思いますけれども、ということとは別に、仮にセーフティネットの水準を所与のものとしても、中央機関にもう少し運用において、あるいはその実施、実現において役割を発揮してもらったほうがいいのではないかというのがここでの主たる議論であると思います。

その点についても消極的というか、つまり中央機関の役割は今までどおりでよくて、これ以上発揮する必要はないのではないかというふうに理解してよろしいのか、それとも、セーフティネットの水準は現状のままであるとして、その運用について中央機関がもう少し今までより役割を発揮するということは考えられるという感じなのでしょうか…。

○佐藤委員

役割を強化していく、どうすればもっと発揮して頂けるかということをやるということは、私は、積極的にそういうことをしていくべきだというふうにも思います。ただ、それをどういうふうな形でやっていくかという問題で、自主的なものなのかどうかという、これまでの進めてきた、そうした機能強化については業界で色々やってまいりましたので、それをさらに、そういう形でもって進めていくべきではないかなと、そういうふうに思っているということでございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

どうぞ。宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

今のお話について思いますと、やはり複数の方の対立が幾つかあると思うんですね。というのは……。ちょっと後でもう一度。

○神田WG座長

では、しばらくお考え頂いて。ほかの委員の方々からもしご意見があればお出し頂きたいのですけれども、いかがでしょうか。

村本委員、どうぞ。

○村本委員

中央機関の問題を考えるときには、平成元年の報告以来どういうことが起きてきたのかというのが簡単に分からないといけないなというのが1つあるのですけれども、平成元年の報告では、基本的には地域的な、あるいは資金的な、季節的な資金の需給調整であるとか、あるいは個別金庫の余裕金の運用、これは以前からかもしれませんが、そういう問題であるとか、あるいは事務集中の軽減化とか、業務の効率化ですか、それ以外の業務補完とか、あるいは信用秩序維持とか。今これがセーフティネットの問題になっているわけですけれども、そういうことをやってきたということでいえば、これは一定の成果を挙げてきたから信金業界が破綻しなくて済んだということになるのだろうと思うのですね。

それを農協と同じように法律の世界で落とし込むかどうかというのは、これは政策の判断になるのだろうと思うのですけれども、農協では農協で実は問題があったということも実はあるわけですから、それと同じ議論はできないのですが。

私はクリティカルに重要なのは、先ほどの資料(協金WG14-4)でいえば4ページ目、14-4の4ページ目のところで、農林系統の場合には預入金の預入義務が必ずあると、ここが非常に大きなところで、結局、系統内に資金が必ず滞留するような仕組みをつくっているということだろうと思うのですね。

信用金庫、信用組合は、そこは義務付けていないということでございますから、元々、その受け入れる自主性というのは個々の単位に認めている、ここはちょっと違うというのがかなり前提として大きいのではないだろうかと。

特に現下のような情勢であれば、中央機関にどんどん資金が集まっているところというのは、ものすごいリスクを抱えてしまっているということであって-これは昨今の色々な報道があるとおりでありますけれども-そういう問題を抱えてこれをどう考えるかということだろうと思うのですね。ですから、ここのところと絡ませて制度をどう設計するかというのはやはり重要なのではないかというのが、私の印象でございます。

そういうことで言えば、今の資料(協金WG14-4)の2ページ目のところの目的のところで、特段の規定をしない、並列の組織でいくのだという考え方と、あるいは指導をする、独自の役割をつける、ちょっと違う役割になるのだろうと思うのですが。確かに信用金庫法を見ると、特段規定がない、そういう組織があっても特段規定がないと。ということであれば、目的として、精神規定のようなものできちっと置くというのは、これはあり得るのだろうと思うのですね。つまり、右側のほうの農中法第1条のようなところで。

そこから先は、先ほどのような話で言うと、義務がないのであれば、その範囲内でまた規定していく、考えていくということなのかなと思っています。なぜそんなことを考えているかといいますと、協同組織の場合には定款というのがあって、定款にさまざまなことを書く、目的規定等を書くわけですけれども、それは実は、当局に対しての認可事項になっているわけでありますから、当局がある意味では目を光らせているということになりまして、ある意味での法令的な体系の中に入ってくるわけですから、それをうまく生かすというのも1つのやり方ではないか。

つまり、農協法の農林系統のような法律で全部縛るというやり方もあるけれども、定款ということを通じて事実上の認可事項にしていくことで自由度を保ちながらある種の有効性を保つということも実はあるのではないか。そんな整理ができるのかなと、少し思っております。

それからもう1つ、相互支援という相援システムの問題が論点として掲げられているわけですが、これは業界がそれぞれにやってきたことであり、ある種のヨーロッパ型の相互扶助的な考え方なのだろうと思うので、それを大きく発展させて欲しいと思いますけれども、それぞれに金庫と中央機関の間に負担は発生するわけですから、そういう整理をどうしていくのか。

私は、その際に、これはここでも何度もお話がありましたが、改正金融機能強化法のような精神をもうちょっと取り入れて頂くことも必要なのではないかと考えておりまして、実際にはまだ使われてないわけですから、何とも評価のしようがないですけれども、そういったものを機動的に使うような形で考えていく、なおかつそれを踏まえて、各業界のところでそこを整理して活用して欲しい、そういうシステムを整備して欲しい、そういうような形でございます。

いずれにしても、中央機関の色々な意味での機能の強化というのは、これはもう避けて通れない話なんじゃないだろうかと。途中で、私、申しましたけれども、例えば信用金庫、信用組合というのは同じ事業再生ということであっても、銀行とはやはり相当やり方が違うわけでありまして、現実に再生支援協議会に持ち込まれる案件というのも、両業界から経由するものは全体の2割とか3割ぐらいでございます。つまり、やり方がやはり違うのだということであれば、それに対応したシステムをむしろ持って欲しいというようなところが重要なポイントになるのかなという整理をしております。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

すみませんでした。

私が思う、先ほどの話と関連して、法で規定することの意義を考えますと、1つまず違う側面があって、親子関係が難しいということですね、まず、中央組織のですね、どういうことかというと、各メンバーの子会社になっていると、中央組織がですね。ところが、サポート、セーフティネットというものを運営するということは親になること、指導することと全く同じになるのですね。メンバーの方々にお話を聞くと、子会社がそんなこと言うなんてふざけた話だとか、あるいは、俺たちの金でもって利益を得ているのに何だと、そういうことになりますので、やはりちょっと腰が引けてしまう話なのかなと。今のままであるとですね。

今の子会社のパターンのまま、そのような指導力をつけるという点では、ルールを規定してあげれば少しはやりやすくなるのじゃないかというのは、1つ目のポイントかなと思います。

もう1つは、次に、これは先ほど言った話と同じで、中央機関が金融機関性を追求した場合に、今回のように支援が非常に欲しいときに資金がないというような状態がしばしば発生するだろうと。そういうときにはやはり、支援についても及び腰になる可能性があると思うんですね。そのような、そうすると結局、やはりセーフティネットとしたら不足ぎみかなという感じがいたしますので、そういうときでも、ある程度セーフティネットが働かなくちゃいかんというそういうルールをつくっておけば、資金を集めざるを得ませんし、嫌だとは言わないでしょうけれども、安定的なセーフティネットの運営ができるという点で、現在のような金融機関性を追求したような状態においてはそういう役割をきちんと法で明確にするのも悪くないのではないかなと思います。

以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

早崎さん、どうぞ。

○早崎日本銀行金融機構局参事役

ちょっと論点がそれるかもしれないのですけれども、1つだけ技術的な質問をさせて頂ければと思うのですが。金融機能強化法、まさに先ほど村本委員ございました金融機能強化法との関係で、今回の法改正で入った中央機関へ資本参加をするというスキームにおいて、そういったことが中央機関から申請された場合の支援対象となる協同組織金融機関に対する経営指導の方針を含めた計画-強化方針を国に提出して、国がそれを見ていくと、そういうような仕組みが入るのだと思うのですが、支援対象というのは法律ができる前から業態内で支援が行われてきたわけですが、そういうところも含む支援対象、つまりオセロがひっくり返るようにそこも対象になるのか、初めて国から中央機関が支援を受けた後、支援を受けた先を限ってということなのか。

なぜこれを聞くかというと、今まで支援を受けていたような信用金庫の方から、実際こういうふうなことで、もしこういった強化、経営指導の方針の対象に新たに遡及的になってしまうということは非常に心地よくないと。したがって、中央機関がこういった公的支援を申請して欲しくないのだというようなことをおっしゃる方がいて、仮にそうだとすると、せっかく法律でこういう制度がつくられた趣旨がうまくいかないのかなという印象を持ったもので、その辺をちょっと事務局に確認をさせて頂ければ。

すみません、ちょっと技術的な質問で申しわけございませんが、よろしくお願いします。

○小野信用制度参事官

質問の趣旨をよく理解しているかどうか、分からないのですけれども。この仕組みは、あくまでも時限的なものでございますが、具体的には資料(協金WG14-4)の8ページをご覧頂きたいと思います。仮に、24年3月までに中央機関から申請があった場合には、中央機関に対して国が資本参加をし、あとは、この中央機関の判断となりますが、その傘下の協同組織金融機関がもし資本を入れて欲しいということであれば、当該機関に資本を有効に活用する為の体制整備を求めた上で資本を入れるということになりますので、中央機関が現在行っている資本支援制度とは別の仕組みであります。

○早崎日本銀行金融機構局参事役

これまで入っているのは関係ないという理解でよろしいですか。

○小野信用制度参事官

そうです。

○早崎日本銀行金融機構局参事役

はい、ありがとうございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

どうぞ、八尾さん。

○八尾参考人

先ほど相互支援制度に対して子会社とかいうお話がありましたが、中央機関が子会社という意味がちょっとよくわからないのですけれども。我々のところでは子会社・親会社が、ということではなくて、まさに中央機関と個別信用組合が、それぞれがそれぞれの役割を果たしながらやっているということです。上下の関係ではなくて、中央機関と個別信用組合は互いに役割分担をしていると、こういうふうに思っております。

それから、支援をするときに、中央機関として全信組連が自分で決めるというよりも各信組がメンバーとなっている審査委員会や理事会を通して、要するに業界として支援するのがいいかどうかということを判断しているわけですので、上下関係で何かやっていると、そういうことではないというふうにご理解頂きたいと思います。

それから、もう1点、セーフティネットと金融機関の収益の関係ですけれども、つまり、それはセーフティネットでもそうですし、それからプラスの、前向きな業界に対する利益の還元の分野でもそうなのですけれども、要するに中央機関というのはまさに利益第一でやっているわけではなくて、「出てきた利益で業界にどう貢献するか」という相互扶助の観点からやっているわけですので、そこは矛盾することではなくて、まさにそういうことをやるために利益を出しているということではないかと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

久保田委員、それから神吉委員の順でどうぞ。

○久保田委員

では、八尾さんにお伺いできればと思うのですけれども、その業界団体として、例えば中央機関が、例えば全銀協とか、あるいは普通の色々な業界は必ず業界ルールとか持っていて業界としての指導とかありますよね。そうすると、恐らく預入義務の話が入ってくると、お金の話で負担がどうして、そして上下関係がどうして親子関係がどうしてという話になって、そこは置いておいて。いわゆる業界団体として指導するというか、業界ガイドラインをつくってそれを執行する係として上から指導するというような役割を、普通、業界の中心である金庫には、私なんか素人ですから持つのですけれども。

もしそうだとすると、何かこの協金WG14-4の2ページの単位協金との関係で有する権限等に、農中で書いてあるようなことをこの中央金庫に与えても、そんなに負担でもないし違和感でもないか、あるいは業界で決めたことなら別に守らせるのは当然じゃないかと思うので。そんなに、それこそ佐藤委員が言われるような自主的な取組みをそのまま反映した形であれば、明文化したほうが法律家としては安定感があっていいんじゃないかと思うんですが。何かそこに問題あるのでしょうか。

○八尾参考人

明文化しなくてはいけないのかよくわかりませんが、この前、農中の方がおっしゃったように、信組業界は契約ベースですが、法律でやっている農中と実質的には同じようなことをやっているのではないかと、こういうふうに思います。

その上で、やはり金融機関としてお金を貸していますので、支援するために貸したお金がちゃんと戻ってくるかどうか、そういう経済原則に基づいた観点も当然我々としては持っているということでございます。

○神田WG座長

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

宮村委員の発言に関連しまして、現在の相互支援の制度自体は、業界の相互扶助の精神を美しく実現したような仕組みで成り立っていると思うのですけれども、果たしてそれでうまく機能するのかということが心配されます。

具体的には、例えば、中央機関の会員は各単位組織でございますので、それは親子の関係じゃないというご指摘がございましたけれども、会員に対して資本を入れて監視・監督していかなければならないという点、つまり子が親を監視・監督するということが果たして成り立つのかということでございます。それから、子が親を監視・監督することに限界があるとするなら、資本だけを入れて監視・監督しないということにつながりますので、逆にそれでいいのかということがございます。

ですから、法的権限を伴った指導・監督の側面とセットにしないと、うまく資本増強の制度が機能しないのではないかということが1つでございます。

それから、資本増強の対象となります単位組織の経営が悪くなっていなければ、本来は会員たる各単位組織に帰属すべきものを原資として相互支援を実行するわけですので、そうしますと、それぞれの単位組織の会員・組合員の利害が相互に対立し得る問題かと思います。

そうしますと、中央機関として、今、仕組みをご説明頂いたのですけれども、会員たる各単位組織のさらにその会員・組合員の顔を見ていきますと、法的権限がなければ、非常に決めづらい、決断がしづらいということにもなってくるのではないかと思います。

そういうことから、やはり権限を明確にしたほうがスムーズにこの制度が維持できるのではないかと私は思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

中央機関が補完すべき役割は非常に大きいということがこれまで色々なところで議論されてきました。例えば、経営の指導をするであるとか、余資運用などについて、中央機関が果たす役割は大きいだろうという議論がありましたけれども。やはり基本的には中央機関がいいサービスをしてくれているのなら、自由に利用するというふうに考えていいと思うので、現状のように契約ベースというか、強制する必要は特にないのではないかというふうに私は思います。

他方、相互支援の仕組みという部分については、場合によれば、何らかの強制力を持たす必要があるのではないかというふうに思います。

だから仮に、法律上権限を持たすとしても非常に限定した、この部分について限定をするということではないかと思います。

そうなると、相互支援の仕組みそのものを、もうなくしてしまえということも考えられるかと思うのですけれども、私自身は相互支援の仕組みというのは原理的に非常にすぐれていると思うし、これまで一定の成果を挙げてきたと思います。 

原理的にすぐれているというのは、やはり信用金庫、信用組合というのは、株式会社と比べると資金調達が難しい。それは議決権の制約もあるし、それから小さな信用金庫においては、マーケットで知名度というような問題、情報の問題もあるし、業務の性質上、高い金利を約束して資金を調達するということが難しいというようなことがある。さらには、協同組織金融機関のビジネスについて知っているのは、同じような協同組織金融機関であろうと考えられるという点からも、この相互支援というのは一定の合理性があるのだろうと思います。そうなると、このリスクを制御したいというふうに思うのは保険者として普通です。

このときも2つ方法があって、1つは、金融庁がちゃんとやっていてくれるんだから、自分はそのリスクだけを負いますというふうな受身になるという方法もあろうかと思いますし、金融庁の監督だけでは充分ではないので、自らリスクをとる以上、その保険者として管理をするということがあろうかと思います。

このときに、例えば、任意にしてしまうといいところが相互支援から出て行ってしまう。逆に、中央機関が、悪くなったというのがわかった段階でもう引き受けをやめますというようなことが起こってしまうので、ある程度、強制的なメンバーシップにしないとスキームとして維持できないのではないかというふうに思います。

さらに、それをもし相互支援を維持するとすれば、現在の中央機関が持っている能力、審査能力や監視能力や対応能力、最後の対応能力には、実際ロスが生じたときに資本が充分にあるのかということになりますので、今回、金融機能強化法がつくられたように、例えば、資本をあらかじめ充分に持っておいて頂くというようなことが必要になるかもしれない。

以上であります。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。うまくまとめて頂いたので、すっきりしたのですけれども。大体そんな線でいかがでしょうか。

今松委員、どうぞ。

○今松委員

今、神田先生仰られたように、大体まとまってきたかと思うんですけれども。やはり基本のところというのは、相互支援というのは、それなりにうまく動いてきたわけですが、今の金融機能強化法の後とか、あるいは実際のところとして、金融機関というのは基本的には社会的な共通資本という意味合いを持っている以上、簡単に破綻であるとかそういうことに至らないことが望ましいわけで、場合によっては、最終的にはこれは預金保険であるとか、あるいは資金面では中央銀行が最後の貸し手とは言いながらも、その前の段階でどれだけ、特に協同組織金融機関の場合は、お互いの中でチェックできるのか。しかも、そこに至る前にどううまく色々な経営チェック等々をしていくかということになると思います。

それから、ヨーロッパ等々の前から紹介されている例を見ましても、やはりそれはそれの中でどれだけうまくそこを問題解決というか至らないものにしていくのか。その場合には最終的には法律が一番いいにしろ、あるいは、それに準ずる形等々で一定のものでやっていくことがより望ましいのではないかというふうに私も思います。

余資の運用とかそういうところになってくると、なかなか難しいというか、それをうまく運用すればいいわけですけれども、実態的に今のような経営環境のもとでは、うまく運用していたと思ったのがそうじゃなくなるとかありますので、こういうところをどう考えるかはちょっと余資運用等々については、より一定の安定的な余資を維持しつつ、じゃあ実態的にあり余るほど預金を集めることがこういう協同組織金融機関等々の場合必要なのかという問題がほかの段階では出てくるのではないかというふうに考えます。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、色々ご意見頂きましたので、先へ進ませて頂きたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

どうぞ、服部さん。

○服部参考人

信用金庫業界の資本増強制度について、やや技術的な話になるかもしれませんが、ご説明の補足をさせて頂きたい。先ほど委員のほうからもお話がありましたが、この制度において資本を注入した信用金庫に対しては、「覚書」を交わしまして、その中で指示・助言等を行っております。資本供与してそのまま放ったらかしというようなことではございません。資本増強制度に決められたルールにのっとって信金中金が色々な助言ですとか指示だとかを行っております。それで健全化を進めていくということでございますので、そこはちょっと誤解のないようにして頂きたい。

○神田WG座長

それでは、中津川委員、佐藤委員の順で。

○中津川委員

当組合が全信組連から数年前に資本の支援を受けている立場で申しますと、今、法的な縛りをかける・かけないの問題がありますが、がちがちの法的な縛りは、現状、必要がないというふうに感じております。私どもの経験からしますと、全信組連が優先出資を引き受けた直後のある一定期間は、四半期ごとに組連の専務さん以下の担当部署の方々のヒアリングをかなり克明に受けてきておりますし、それ以後、業績が順調に推移をしている現状では、毎月、窓口である営業店と私どもとのある種の意見交換会的なヒアリングが定期的に行われておりまして、それなりの上部団体としての監視・指導下にあったと。それが極めて負担が重かったと、いうことではなかったかなと。

ただ、やはり中央機関としての監査あるいは検査ですね、そういう監督・指導をこれからどうするかという問題がありますが、正直なところ、今、国からの検査がありますし、それに加えて中央機関からの監査があって、さらに監査法人の監査がある。こうなりますと、やはり現場としての負担感はかなり重くなるだろうという気もいたします。

それと、やはり基本的には、監査の質的な改善にそれがつながるかどうかというのは、やはり今、国の検査というのは、色々意見はあるんですが、他業態あるいは同業界における様々な情報等を知悉した立場での検査ということですから、やはり中央機関の監査と比較した経験からすれば、国の検査で充分ではないかと、そういう印象がございます。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございます。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

すみません、時間がないのに申しわけないです。どうも、すっきりしないという気がするのですが、それは、中央機関に対して私どもの単位金庫は非常に色々な機能を発揮して欲しいというふうに思っている、そうしたことを業界の総意としてお願いするというのがいっぱいあるわけで。それに応えてやって頂いているというか、そういうことができているので。先ほど宮村委員おっしゃったような、親と子というそういうふうなものでは、確かに業界のために設立した機関ということはありますけれども、そういう中でその機能をどうやって発揮して、個々の信用金庫のためになってもらうか、ということに一番あるわけで。

その個々の信用金庫というのは、それぞれの地域でそれぞれの特性を持ったビジネスモデルを確立してやっていこうとしているわけです。そのために、本当に信金中金がどういう役割を果たすかということを、もうちょっとしっかり業界として検討していく必要があるというふうに感じているのですけれども。

そういう中で、今の資本増強的なものであるとか、そういったことについて、どの程度の法的な役割の位置づけというのをやられるかということは、ちょっとわからないのですけれども。そういうことで、単位金庫としてその機能発揮をどうするかという問題からその役割を果たしてもらえるかどうか。そういうふうなことからもう一度色々なご意見を伺っているわけで、業界としてしっかり検討してやっていくということが必要なのかなというふうに思っております。

何度も言って申しわけないのですけれども、それぞれの金庫の特性を損なうような形、ビジネスモデルに関してどうあるべきか、というところまで中央機関として何かできるのかどうかというと非常に難しいと思うわけで、そういう点も含めて業界としての今後の中央機関の役割というものを、しっかりと一定の期間に検討して答えを出していくということが一番我々としてもありがたいかなというふうに思っております。

それをちょっと、まとまらなくて申しわけないのですけれども。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

なかなか尽きないのですけれども、どういたしましょうかね…。どうぞ。

○渡邊協同組織金融室長

1つだけすみません。監督に携わっていた立場で、ちょっと補足的に、あるいは現状的なことで申し上げたいと思っています。まず、皆さんご存じだと思いますけれども、信用金庫業界であれば、全国信用金庫協会というのがあって、そこでの会員は各金庫さんとともに信金中金さんも入っていらっしゃるわけですね。したがいまして、佐藤委員が業界で議論するといった場合には、各金庫さんの代表と信金中金も含めた上で議論するということになっていますよね。

それからあと、親子関係がどうかということはあるのですが、信金中金は、確かに資本支援という形をすれば各金庫に対して出資者の立場になるのですが、それより以前に、信用金庫の出資を得て設立されているということなので、そういうのを考えると、出資者と出資されている者という関係がまずベースなので、そうすると、どっちが上になるのかなと。

それで、去年、金融機能強化法の審議で、農中の話などが議題になったときに、中川前大臣が答弁で言っていたことですが、農協の系統金融というのは、皆様は農中が一番上にあって、その下に信連があって、その下に農協だというふうにお考えの方が多いのかもしれないけれども、実際問題としては、農協があって、それでお金を信連が受け取って、農中はそのお金を預っているのですというような見方もあるのだなと。ですから、親子関係ということにつきまして、完全に上下に立っているのか、どっちが上なのかなというのは大変難しいなと。

それから、我々が話を伺っていても、信金の方々と信金中金との間で色々な議論があるようで、結構、比較的フランクにものを言うような関係があるようなことで、実態として必ずしも親子であるとは割り切れないのかななどと思っております。

○神田WG座長

どうもありがとうございます。

何か、私もだんだん頭が痛くなってきたというか、混乱してきているのですけれども…。どうもポイントは家森委員がまとめて頂いたと私は思うのですけれども。中央機関がどういう役割を今後果たしていったらいいのでしょうかという議論を今我々はしているわけです。

それで、それはやはり分野を2つに分けたほうがよくて、金融機関すなわち個々の信用金庫、信用組合の業務というのでしょうか、についてという分野と、それからセーフティネットとか相互支援と呼ばれる分野と分けて。

前者の個々の金融機関のビジネスモデルというような話は、それはあくまでも個々の信用金庫なり信用組合が発展していって頂くということが基本ですから、それを支援したりサポートしたり色々なことが可能だと思います。基本的には、これは家森委員が強調されたように任意のものでいいと思うのですね。

しかし他方、セーフティネット・相互支援になりますと、これは家森委員おっしゃったことですが、理屈だけ言えば、今99%ということですので実態はともかく、任意の制度とすると、良いところが加わらないという問題も生じますよね。

それからもう1つは、個々の金融機関としては、支援を受けますとどうしても色々縛りが契約ベースであれ何であれかかりますから、最後まで介入は嫌うでしょうから、結局はつぶれるまで介入は嫌うという現象がどうしても起きますよね。

ですから、こういうことは頭の上だけの理屈なのかもしれませんけれども、少なくとも90年代には株式会社金融機関では経験してきたことですので。そういう中でどうしたらいいかということだと思うのです。これは答えは簡単でない…。法律に書くとしても、どういう書き方をすれば、先ほど小野さんがおっしゃった安定性というんですかね、というものを確保できるかとか、さらに議論を深める必要はあるとは思うのですけれども、そんなところかなと。

したがって、ちょっとご意見が分かれているところがあるかなという感じを持ちます。

もしさらに、ご発言があれば手短に頂いて、先に進みたいと思います。また、追加のご意見があれば、会議の後、メールその他で事務局のほうにお寄せ頂きたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、恐縮ですけれども、先に進ませて頂きます。もし、また何か知恵がありましたら、会議の終了後に事務局のほうにお寄せ頂きたいと思います。

次は、業務等について、ご審議をお願いします。これにつきましても、事務局からまずご説明をお願いします。よろしくお願いします。

○小野信用制度参事官

それでは、14-3の2ページをお開き頂ければと思います。あわせまして、14-4の11ページをお開き頂きたいと思います。

まず、業務等についてでございますが、第1の論点は、会員・組合員の問題でございます。これは、14-3の2ページに書いてございますように、「規制改革推進のための3か年計画」で「信用金庫の会員資格の資本金基準を引き上げることについて検討」ということが言われたわけでございまして、ここで挙げさせて頂きました。

端的に言えば、資本金についての現行の資本金基準、従業員別基準というものの妥当性と見直しの必要性についてどう考えるかということでございます。

ちなみに、14-4の11ページに現行の信用金庫、信用組合の会員・組合員資格が書いてございます。信用金庫につきましては、従業員300人以下又は資本金9億円以下、信用組合の場合には、従業員300人以下又は資本金3億円以下という基準がございます。このような基準をどう考えていくか。

12ページ目以降には、現行の我が国の中小企業の状況が書いてございますが、見て頂ければ明らかなように、我が国の中小企業は、基本的に従業員300人以下又は資本金3億円以下というのが99%以上であるという状況に鑑み、この現行の会員・組合員資格をどう考えるかということを、1つの論点としてご議論頂ければと思っております。

次に、14-3の3ページをおめくり頂ければと思います。次の論点である、業務の範囲の問題でございます。今後、新規業務を認める際に留意すべき事項が書いてございます。どういうことかと申しますと、14-4の13ページをおめくり頂きますと、信用金庫と信用組合のこれまでの業務範囲の主な変遷を時系列的に書かせて頂きました。基本的にこの「○」というのが業務範囲拡大でございまして、逆に「◆」は業務範囲制限でございます。昭和56年以降にたくさん出てくる「◎」というのは、銀行法改正と同時に業務範囲の拡大を容認しているというものでございます。

協同組織金融機関の業務範囲については、もともと銀行との間に大きな差が存在してございました。ところが、13ページの表を見て頂きますと、ちょうど昭和20年代から40年代にかけましては、協同組織金融機関特有の規制である、サービス提供の相手方を会員・組合員に限定するという規制につきまして、特に、顧客利便の観点から、緩和するという方向で見直しがなされました。それが第1段階の見直しでございます。

第2段階、昭和50年代になりますと、銀行には従前から認められていた業務を、今度は協同組織金融機関へも認めるという、例えば、外国為替業務とか国債の窓販とか、そのようなものを認める見直しが中心となってございます。銀行並みのものを認めるという、これが第2段階の見直しでございます。

そして、平成10年以降、14ページ以降になると、このような流れがさらに加速されまして、銀行の業務範囲を拡大する見直しが行われた場合には、同時に、信金・信組の業務範囲についても同様の拡大を図る手当てがなされてきているということでございます。これが第3段階の見直しでございます。

こういう変遷を経てきた現在の協同組織金融機関の業務範囲については、銀行の業務範囲と大きな違いがなくなってきており、銀行と同質化しているという指摘もなされております。

一般に、金融機関の業務範囲を拡大する際には、当然、新たな業務の特有のリスクに見合った専門人材やリスク管理体制が必要になります。例えば、私は、数年前に保険課長をしておりました経験上、保険業は金融機関業務とは全く違いますから、当然にそれなりの人材、リスク管理体制が必要になってきます。もし保険業務を行いたいということになれば、当然その整備が求められるわけでございますが、それにはコストがかかります。そのようなコストを負担してでも協同組織金融機関としてやるべき業務は何か。また一方で、そのようなコストを負担することによって中小企業金融専門金融機関として、協同組織金融機関が1丁目1番地として本来やるべき役割が安定的に果たせなくなっていないかというような点を踏まえつつ、この協同組織金融機関の業務範囲に係るこれまでの方向性に対する評価、それから今後のあり方につきまして、ぜひご議論頂ければと思いまして、こういう表を載せさせて頂いたところでございます。

次に、14-3の3ページをもう一度ご覧頂きまして、3番目の論点が地区規制でございます。これにつきましては、これまでも何度かご議論頂いたところでございます。

過去10年間における合併を伴わない地区拡張実績というのが、信金145件、信組64件ございます。資料14-4の15ページの表では、過去10年間、どのように拡張したかの具体的な実績が書いてございます。

この地区規制の意義と今後のあり方についてご議論頂きたいと思っております。特に、協同組織性、それからその協同組織性に基づく会員・組合員資格、いわゆるコモンボンドの考え方に鑑みまして、地区規制をどう考えていくか。また、仮に、地区規制を維持する場合において、今後、地区拡張等に係る問題をどう考えていくか。確かに、地区拡張を踏まえまして地区における競合が行われ、ユーザーから見れば、信金同士または信組同士での競争が促進され、それによって利用者利便が向上するという面も期待できると思いますが、一方で、今度は過度な競争によって業績が悪化し、先程の相互支援の要請ということになりますと、この地区拡張に伴う競争の激化ということと相互支援ということが、ある意味では矛盾することになってしまう、そこをどう考えるかということでございます。

それから、過去にもご議論にもございましたが、地区拡張等の認可要件の明確化をどう考えるかでございます。14-4の16ページに、地区にかかる関連条文を載せております。この16ページの下の、信用金庫法施行規則の第16条でございますが、現行の規定では、「地区の拡張に関するものである場合は、現在の地区及び拡張しようとする地区の経済の事情に照らし、地区の拡張が必要であると認められ、かつ、当該金庫が当該地区において事業を的確、公正かつ効率的に遂行することができること。」とあり、逆に、縮小の場合におきましては、「縮小しようとする地区における会員その他の顧客に係る取引が他の金融機関へ支障なく引き継がれることなど当該地区における会員その他の顧客に著しい影響を及ぼさないものであること」とあります。

今はこういう規定でございますが、このような規定でいいのか、それとも、もっと明確にすべきかどうかということについてでございます。

最後の論点、14-3の3ページの(4)の余資運用でございます。これは先ほど中央機関のあり方でもご議論がございましたが、この余資運用のあり方に関する評価と課題についてどう考えるかということでございます。

まずは、単位組織の余資運用に関する問題点でございます。これは、資料14-6の113ページをお開き頂きたいと思います。これは以前、一度お示しした表でございますが、過去の協同組織金融機関の破綻事例、破綻の要因分析というのが預金保険機構の「預金保険研究」に出ております。この過去の破綻事例を見ますと、「有価証券投資等の失敗」によって破綻した信用金庫、信用組合の合計は50機関あるということでございまして、信用金庫・信用組合計161機関のうち50機関ですから、結構大きなシェアを占めています。そういう過去の破綻事例に鑑み、単位組織の余資運用に関する問題点をどう考えるか。

それからもう1つは、これも以前、お示していますが、この同じ資料14-6の81ページの業態別の預証率の推移をお開きください。まず、信金の預証率につきましては、昭和63年の16.4%が平成19年度には28.5%と、10ポイント以上上がっている。信用組合の預証率につきましても、昭和63年の10.3%が、平成19年度には19.0%ということで、同様に、大幅に上昇している。こういう問題をどう考えるのかということでございます。これは従来からご議論がありましたように、預証率の上昇には、色々な原因がありますけれども、やはり一方で、こういう預証率が上昇するのは、中小企業等の本来貸すべきところに貸せていないのではないかというご議論があったと記憶しておりますが、このような問題をどう考えるかでございます。

それから今度は、中央機関への預託に関する問題点をどう考えるかでございます。これにつきましては、先ほどもご議論ございましたように、中央機関が抱える市場関連リスクというもの、集中リスクをどう考えるかという問題がございます。また、中央機関が、その集中リスクに加え、市場リスクをあまりに抱えてしまうと、相互支援機能に影響を与えるということをどう考えるか。すなわち、JAバンクのように、相互支援の機能が外に出されておりませんので、中央機関が市場リスクを大量に抱えていて、仮に問題が起きてしまうと相互支援機能に影響を与え得る、そこをどう考えるかということでございます。

それから、余資運用のルール化、中央機関によるモニタリングの必要性をどう考えるか。必要性がある場合、これは先程の議論とまさに直結致しますが、どういうレベルの枠組みとするのか、法制度化が必要か、それとも自主ルールで良いのかということです。

また、運用方法の多様化について、もう少し柔軟に考えることもできるのではないかというご意見が従来からございました。例えば、中央機関と単位組織で共同運用できるようなファンドをつくるとか、単位組織又は中央機関と共同で、むしろ地域への貢献という観点から地域へ投資し、そちらにお金を流していくということで、もう少し安定的かつ高いリターンをとっていくことも考えらないかという意見がありました。

それからご参考でございますが、これは先程ご説明のとおり、JAバンクにつきましては上部団体への預入義務があるということでございます。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

「中央機関のあり方」については一応終わりましたので、ここで言う「業務等」というのは、一部中央機関の問題とも密接に関連はいたしますけれども、あくまで個々の協同組織金融機関の業務等のあり方ということになります。

(1)から(4)までテーマがありまして、これはいわゆる要約版というのでしょうか、私どもがずっと席上に置いております14-1の要約版で言いますと、4.という、3ページから4ページにかけてということになります。それを今日の議論のために敷衍して頂きましたものが14-3ということになろうかと思います。

そこで、ちょっと時間の関係はあるのですけれども、盛りだくさんですので、まず(1)と(2)についてご意見を頂きたいと思います。(3)と(4)はちょっと後回しにさせて頂きます。

(1)会員・組合員等、それから(2)が業務範囲、この2つにつきましていかがでしょうか。

佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

(1)につきましては、今の取引状況といいますか、信用金庫のお客様の状況から見て、特にこれをどうこうというふうには必要性を感じていないのです。今の状況で充分ではないかというのが私の考え方です。

それから、業務範囲につきましては、これはむしろ、色々な業務をできるようになっているということで、選択の余地が広がっていて、お客様のニーズにどう応えていくかという面では非常に銀行業務といいますか、金融機関業務としてはできるけれども選択するというふうな形が望ましいと思います。現実にそういうふうなことで、信用金庫を見渡してみましても、これはやるけれどもこれはやらないというふうな、そういうふうなことを決めてやっているように思います。

私どもの例で見れば、できないということになって非常にお客様が不便だということがありまして、あまり競争のことは考えてないのですけれども、それでじゃあしょうがないからほかのところでやらざるを得ないという、ある面では今、望まれていることがちょっと不便になってしまうというふうなことがありまして、現実にそういったことを通じて貢献できているということもありますので。

結論から言いますと、新規業務を認める際には、同じように認めて頂いた上で、本当にその体制がしっかりできるのかどうかというリスク管理だとかそうした問題についてしっかりとやられているかどうか、色々、監督もありますけれども、そうしたほうから見て頂くというのがよいのではないかなというふうに思っております。

一律に同じような業務として認めた上で選択するという体制をとっていきたいというふうに思っております。

○神田WG座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

神吉委員、お願いします。

○神吉委員

まず、(1)の会員・組合員等につきましては、前回、たまたま関連する発言を私からしております。わざわざ規制を強化するという必要があるのかというご指摘があるかもしれませんけれども、改めて見ますと、会社法上の大会社-資本金が5億円以上ですと大会社になりますけれども-も会員・組合員の対象となります。大会社が会員の対象となるということがどうなのかというふうに思うところでございます。大会社といいますと、会計監査人の設置が必要でございまして、対外的にはそうそうたる会社というイメージになろうかと思います。

それと、世の中では大会社にならないために資本金を4億9,800万円にしていらっしゃるという会社もたくさんあります。それを指摘させて頂きたいと思います。

それから、業務範囲につきましては、何でもできるほうがいいに決まっているのですけれども、例えば、当局の簡易な検査と組み合わせて、業務を区分けして何段階かに分けて、例えば、固有業務に特化してやれるような仕組みといったものを考えてはどうかと思うところでございます。

それから、何でもできるのが顧客利便の観点からもいいとは思うのですけれども、もう既にご指摘がありましたように、例えば、業務を提供するための体制を構築しますのに、リスクの管理体制も含めて非常に負担が大きいのではないかという点がございます。そもそも主たる取引先たる中小企業に充分なリスクの説明を行えるのかという点、行ったとしましても、相手方が理解できるかという点でございます。訴訟にもなりますので、説明義務が履行されて、相手が本当に理解できたという状態が形成できるのか、様々な高度な金融サービスを提供します場合に、そういう懸念がございます。そこで、業務の区分けをいたしまして、選択的にできるというようなことを考えてはどうかと思います。

それから、基本的には銀行と横並びで将来的にも業務範囲の拡大を希望するということなのであれば、銀行に業態転換をされてはどうかというふうにも思います。

○神田WG座長

ありがとうございました。

宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

私は、佐藤理事長の意見にほとんど同じです。まず、業務内容については、従来、規制が非常に厳しかった頃は、これができて、これができて、と順次に拡大していって、その同じこの仕事ができればこれと同じようなレベルですね、銀行と同じ仕事ができるように許可されれば銀行と同質化しましたねと、こういうことでの同質化議論というのがありましたけれども、今はそういう時代じゃないと。金融商品が色々種類ありますから、リスク管理とか体制が整っていれば、やりたければやればいいと思いますし、同質化しているかしていないかということは、中小企業金融をどれだけやっているかとか、そういう全体的なことで判断すべき話であって、今の時点でもって、金融商品のどれを扱っているか扱っていないかということで銀行と同質化しているかしていないかそういう議論は、ちょっと時代遅れじゃないかなと思います。

それから、資本金の規制、取引先に関することは、これも実際9億円ということに信用金庫はなっていますけれども、9億円のところはほとんどないとは思うのですね。それよりずっと下のところばかりだと思うんですけれども。仮に9億円を5億円に下げたら、ごくわずかの9億円のところが引っかかって大騒ぎになるという可能性がなくもないので、そのままでいいのではないかなというふうに、この点については思います。

以上でございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

ほかに。久保田委員、どうぞ。それから村本委員の順でお願いします。

○久保田委員

私、業務範囲のところについてだけなのですけれども、やはり前からずっと話されていることですけれども、金融機関性のほうが強まって、協同組織性のほうがもっと弱くなっているということであれば、業務拡大とともに税制優遇の優遇の幅をちょっと減らすような、少し銀行と近付いていくんだったらば、銀行とのレベル・プレイング・フュードというのも考えたような制度設計もあっていいんじゃないかと、こう思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

村本先生、どうぞ。

○村本委員

メンバーのところについては、もう、先生方のご意見でよろしいのじゃないかと思います。実は、規定上の「又は」というのがくせ者でして、資本金が3億円とか9億円とかあっても、従業員が300人未満なんていう会社はあるのですね。そういうところまで入ってしまっているという現実があるということだけは、念頭に置かなくちゃいけないと思います。これはしょうがないだろうと思っております。

もう1つ私がちょっと重要だと思うのは、メンバーについて新しい主体がどんどん出てきておりまして、1つは例えば、NPO法人、多分、これは読めるのじゃないかと思うのですが。それで、地公体をどうするか、地公体貸付けをしているのに地公体を会員として扱っていないわけで、これをどうするかというのはちょっと考えておいたほうがいいかなと。これはガバナンスの関係があるわけなので、この辺を少しご議論頂いたほうがいいのではないか。私は入れたほうがいいのではないかと思っています。

それから、業務範囲については、もうこれは先生方ご指摘のとおりなのですが、金融業については、最近は製販分離というようなコンセプトのほうがある意味では強くなっているわけですから、いたずらに拡大するというよりも、製販分離の考え方を使ってこれに対応するということもあるわけですから、そういう選択肢をふやしていくということで充分ではないかと思っております。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

今松委員どうぞ。

○今松委員

この会員等々については、今まで皆さんの意見と同じく、基本的に協同組織金融機関として中小というところ、あるいは、地域を対象にしているという意味であれば、ほとんどこのカバーの中に入るということで、とりたてて動かす必要はないのではないかと。それなりに卒業段階での金融措置というものが一定経過的にあるということであれば、それ以上のこれといって問題が生じるとは思いません。

業務範囲についても、これだけ認めて、じゃあ例えば、デリバティブ等々を実際どこまでやるのかとなると、それは中でも、大どころのところというのはそれなりにやるわけでしょうけれども、実態的に、人の手当等々と考えてくれば、ここは今までの意見と相当重なりますけれども、選択的にやっていくと。しかも、それぞれの対象としている顧客層に合った形のものを選んでいくというのは、経営としての判断だろうと思います。そうしないことには、実態的にコスト面でも合わないと思いますので。一定認めていくということは、それはその方向として現段階で必要だろうと思いますけれども、将来的に、今までの金融工学色々使った商品等々が果たしてどこまで必要なのかというあたりは、将来的には色々な検討も必要になってくるのが出てくると思いますけれども。これまでの銀行に認めてきたものは基本的に認めていくということ自体、経営判断等のきちんとしたものが働くのであれば、それは今の段階では、これでいいのではないかというふうに思います。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、(3)と(4)にも進ませて頂いて、もし(1)、(2)で言いたいことがまだあるという場合には、あわせてご発言頂いて結構ですので、ちょっと時間の関係がありますので、やや急ぐようで恐縮ですけれども、(3)、(4)について、ご意見を頂けませんでしょうか。地区規制と余資運用です。

久保田委員、どうぞ。

○久保田委員

地区規制について簡単にお伺いしたいのですけれども。信用金庫の施行規則によると、認可、地区の拡張のときには、その進出する地区の事情と現在の地区の事情について、その必要性を当局が判断されるのですけれども、このレジュメ(協金WG14-3)の3ページにあります「協同組織機関同士の相互支援という要請と整合的でなくなるおそれ」のところを詳しく考えたいのですが。

実際に認可されてみて、ちょっとこの辺が危ないというのがあったら教えて欲しいのですけれども。あるいはもう形式審査でメルクマールがないためにこういう審査で通さざるを得なくなっているので、何かちょっと具体的に議論して欲しいということなのか、どうなのでしょう。

○渡邊協同組織金融室長

認可の審査は、形式的な審査ではありませんで、やはり、きちんと財務局において中身を見ております。特に、ここにおきまして、地域の経済の事情に照らし云々…ということなので、例えば、店舗をどうするのかとか、今までのお客様に対するフォローをどうするのか、そういった観点をよく見て認可しているということであります。

その後、認可したのがよかったか悪かったかという部分について、認可しないほうがよかったという話はちょっと聞いたことがないですね。

○神田WG座長

よろしいですか。ご意見は。

○久保田委員

つまり、ここの問題を考えるのに、地区をどんどん拡張を認めていいのか認めてよくないのかを見るのに、何が問題なのかなと思ったものですから。判断の上で困っているのか、あるいは判断したけれども、ちょっとやばいのがあるのか。今の話で、余りないという話だったので…。

ありがとうございました。

○神田WG座長

ありがとうございます。

神吉委員、どうぞ。

○神吉委員

地区に関する私の基本的な考え方は、昨年6月20日開催の第5回会合で詳細に表明させて頂いたところなのですけれども、改めて若干補足いたします。

業界では地区規制というものを非常に大事に考えていらっしゃって、特定の地域を対象にして、本当にそこに深く根ざして業務を展開しておられます。そのこと自体は高く評価できることなのですけれども、さまざまな環境の変化によりまして、潜脱ができるようになってきているということがあるのではないかということを追加させて頂きたいと思います。

そもそも証券運用であれば、地区規制にはかかりません。例えば、会社法で株式の種類が多様化されておりますので、取得請求権付株式を地区外の株式会社に発行させてそれを持つということをすれば、財源規制の問題はありますけれども、融資と同様の目的が達成できるというようなこともあるのではないかというふうに考えます。

そうしますと、地区規制を厳格に考えるということ自体、あまり意味がなくなってきているのではないかというふうに感じるところでございます。

○神田WG座長

ありがとうございました。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

まず、地区規制のほうなんですけれども、私はやはり、この地区というのは信用金庫、信用組合のコミットメントになるので、規定があってもいいのではないかというふうに思っています。特にそれを思うのは、ガバナンスの面で、結局、この地区が自由になればどこの人でも会員になってもらえるということのように私には思えるわけです。やはり今でしたら定款を変えていかないといけないから、総代会なり総会で、その新しい地区を含むかどうかを既存のメンバーでもって議論ができるということは非常にいいことではないのかと思っているからです。

それからもう1つついでに、前のほうの新規業務に関してですけれども、今日のところは金融業務に関しての議論だというふうに理解しておりますので、それは銀行と同じような規制に、ほとんど服されている、ディスクロとかの点で若干差異があるにしても、服されているということからすると、差をつける必要は特に感じないというふうに思います。実際に業務を行われるかどうかは個別の判断でよいだろうと思いますけれども。前回まで、原先生がおっしゃったような、例えば生活支援業務であるとか、そういうようなところの業務については、むしろ信用金庫とかが店舗が立地しているのは都市銀行に比べたら地方にたくさんあるとかということで、そういう機能の部分も、また別途、議論があってもいいのかなというふうに思います。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

中津川委員、どうぞ。

○中津川委員

業務範囲とか地区の問題で、何かちょっと情緒的な表現ですみませんけれども、よく例えられますように、要するに、棲み分けですよね。海の中にはクジラもいるし云々…という話はよく聞くわけでございまして。そうした棲み分けというのが、ある意味、我々一番重要に思っておりまして。大手の金融機関に比べますと、相対的に体力が弱いとされます我々のような信用組合が何をしていかなきゃいけないかということになりますと、これまでこの席で色々なご意見を頂いて、ヒントも多々頂いているわけですけれども、やはり、よって立つ地域に密着をして組合員との関係を一層濃密にしていくと、そういうリテールバンキングこそが信用組合の棲み分けにほかならないんじゃないかという気がします。

従って、地区は組合員のニーズや意思に基づいて広がっていくものでありまして、はるか沖のほうに美味しい餌がありそうだから、生息地をやみくもに移して広げていくことが、優先する問題ではないと、そのように理解をしております。

少し、何か、余りロジカルな話でなくてすみませんけれども、そういった感じでございます。

○神田WG座長

ありがとうございます。

それでは、村本委員、原委員の順でお願いします。

○村本委員

まず、地区の問題ですけれども、地区規制の意義というときに、こうやって広げる話ばかり考えますが、もう1つ重要なのは、金融サービスがいかに地域に均霑していくかという、昔、地域金融のあり方のところであったような議論が、もう1つここでは考える必要があるのではないかと考えておりまして、現在のように、地域が疲弊しているような状況では、やはりこの地域を我々のミッションとして活性化するのだ、ということでの地区規制であれば、それは相応の評価をするべきではないかなと思っているのが1つでございます。

それからもう1つは、余資のところなのですけれども、余資運用というのが、最近は本資運用のような形になってしまっているというような状況があるわけですけれども、例えば、中央機関が現在のような市場リスクを抱えると、当然の自己資本が毀損する。そうすると、その何%かで相互支援の原資に充てるような仕組みを持っている場合には、当然ですけれども、先ほどの議論のセーフティネットがうまく機能しないというふうになるわけですね。

したがいまして、これは相互支援機能の外出しに、というご議論もあるというふうに伺いましたけれども、その辺をしっかりとまた業界で受けとめて頂かなきゃいかんのじゃないかなと思っているところでございます。

それからもう1つの運用方法の多様化、ここに書かれていることは、具体化されているものはあまりないのですけれども、これはぜひ、必要ではないかと私は思っておりまして。特に、融資という手法だけでうまくいかないというのは、実は、たくさん現実にもありますので、ここに書かれているようなファンドのようなものというのは実は非常に有効な手段でございます。

それから、地域に対していかに資金を還元していくかという手法を、これはきっと、余資運用という手法の中で考えて頂くというのは重要なことではないかと考えます。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。

原委員、どうぞ。

○原委員

意見というより質問なのですけれども。

業務範囲も、それから地区規制についても、ご自身でやりたいということであって、選択ができるということ、それだけの力量があれば選択をするということで、方向性としてはそれに賛成をしていますが、選択をしておられても、私どもから見ると、無理ではないかなと思われるのに無理してやっておられるというあたりが、若干、業務範囲のところでは気になるというところですね。ですから、やはり力量があった上での選択、ということにして頂きたいと思います。

それから、地区規制なのですが、これも生協規制なんかでも生協法の改正でこれも広げていくという形になりましたけれども、その方向でいいと思いますけれども、先ほど、家森先生がおっしゃって頂きました、生活支援業務の話など、やはり地区固有、そこで頑張ってやっていこうということになるかと思うので、私自身は、この業務範囲にしても地区規制についても、ここで私ども議論していますけれども、ご自身たちで、何か調査を、意識調査というのでしょうか、どのように考えているのかということを、信金、信組で調査を、近々に調査をなさったものはないのかどうかということは、いかがでしょうか。ちょっと膨大な資料の中にあるのかもしれませんが…お願いしたいと思います。

○神田WG座長

調査までしておられるかどうかはともかく、近況はどうでしょうかということも含めて、既に、何度かご説明頂いているかと思いますが、いかがでしょうか。

○佐藤委員

今、原先生がおっしゃったことは、お客さまの調査という意味でしょうか。

○原委員

いえ、そうではなくて、信金・信組ご自身の調査です。一度、規制改革会議でヒアリングをさせて頂いたときに、やはり少し、中でも温度差があるという印象があったものですから。

○佐藤委員

正確な調査とかそういうことではなくても、今、座長がおっしゃったように、業界についてどう思っているかというふうな形でよろしいのでしょうか。

地区規制というのは、我々の業務の根幹を成す、地域で生きていくというそうしたことを規制している非常に大事なことなので、むしろ規制があるということで、非常にコミットメントをしっかりやって貢献していけると、そういうふうに思っている、これは間違いないことだと思います。

それから、業務についてですけれども、これも、やるところとやらないところを選択するのだという意識をしっかり持ってきているというふうに思います。現実に、そういうふうな形になっておりますので。そういう意識でむしろ、どういうふうな形でやっていくのかということを経営の判断として選択するというふうになっておりますので、それは総意ということではそうだと思います。

それから、それはそうなのですけれども、余資についてちょっとよろしいでしょうか。何か余資運用のルールを決めると、そういうふうなことについては、やはり個別の経営の問題としてしっかりやっていくべきであって、信金中金自体も、そういうふうに今、信用金庫が会員だからといって、特別に定期預金を優遇するという、そういうふうなことはありませんし、そこに意図的に何か預けなきゃいけないということが、むしろここでもお話が若干出ておりましたリスクにつながるということもありますし、それが、個別の信用金庫がしっかりした自主的な運用をするという中で活用していくということを、個別信金の立場から言えば、そういうことにするべきだというふうに感じております。

○神田WG座長

ありがとうございました。

信用組合はよろしゅうございますか、特に。

○中津川委員

佐藤委員と全く同意見でございまして、やはり、ここ一連の議論というのは貸金という本業を放ったらかして、余資運用に回していたずらに損失を生じせしめているのではないかと、こういうご批判が根幹としてあったようにも思うのですけれども。これは余資の運用、有価証券の運用の失敗というのは、概ね金融機関全般の傾向として前年度辺りはあったわけでございまして、程度問題はあるにしろですね。

我々としては、中央機関に一定の比率で預け金を入れるべしというような縛りをもしお考えであれば、それは必要がないと。やはり、経営の自主性というものを基本的にはしっかりと持っていなければいけませんし、口幅ったいですけれども、経営者というのは自己責任原則をしっかり持って組合に対する忠実業務の履行をしっかりやっていくと、このスタンスを誤らない限りはそういう事態というのは恐らく回避はできていくのじゃないかなと、そんなふうに思っております。

○神田WG座長

原委員、どうぞ。

○原委員

すみません、先ほどの佐藤委員のお話で、業務範囲についてのご回答はまあそうかなと思いましたけれども、地区規制については、信金・信組一丸となって今のままがいいというのは少し違うような感じもしますので。私は、ここで全体的な雰囲気の回答をお願いしたわけではなくて、きちんとした調査があるかないかということをお聞きいたしましたので、その有無だけをご回答頂ければよかったというふうに思っております。

それから、余資運用についてなのですが、私は専門家ではありませんけれども、やはり何らかのこれからの工夫というのでしょうか、仕組み・制度設計は必要ではないかというふうに考えております。

以上です。

○神田WG座長

ありがとうございました。

宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

地区規制については、前に私が発表したことの繰り返しになりますけれども、一応、規制は、私の思っているのは、先ほど佐藤委員がおっしゃったのと同じように、信用金庫、信用組合の地域金融機関である根本というものにかかわってくる話であって、それ自体が実際に拘束力があるかどうかというのは別問題だと思います。現状を見ても、地区を拡張しようと思っていれば数年後にはいつの間にか拡張しているという話がありますし。実際問題、合併が盛んでどんどん意図せざるような地区の拡張がふえているということで、あまり実際には効いていないにしても、その文言があることが、地域金融機関としての自分たちのアイデンティティにつながっていることなので、大事じゃないかと私は思います。

次に、余資運用については、これも自主性に任せるということでいいとは思うんですけれども、ただ、思うに、余資運用というのは基本的にはポートフォリオの話ですから、ローリスクだったらローリターンで、ミドルリスクだったらミドルリターンになる話で、個別地域金融機関で運用しようが、全体で運用しようが、あまり変わらない話だと思うんですね。そう考えますと、別に、中央機関がメニューを組んでその中のどれかに入れてくださいというふうに強制的に納入するような仕組みにしても悪くはないと思いますし、逆にそうすることによって、各地域金融機関の運用のための人材を割くということが省かれるので、地域金融機関らしさがもっと必要なところに出るという余地も出てくるんじゃないかなという気もいたしますけれども、これは、やはり自主的な経営判断だと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

時間がちょっと限られておりまして、ほかにも項目が本日はあるのですけれども、どうしてもということがあれば…。

どうぞ、佐藤委員、ご遠慮なく。

○佐藤委員

どうしてもということではないのですが…。今、先生のおっしゃったことで補足しますと、実際に余資運用のリスク管理というのは、非常に厳しく問われていまして、そうした当局の検査も含めて、そうしたことができるのかどうかということを、非常にリスク管理上のカテゴリとしてしっかり持っているのですね。それで、そういうことができるということであってやる場合には、それはいいと思うのです、そういうふうなことが自主性だと思うので。それでできない先に-できないというのは、そうした人もいない、それからそうしたリスクをとらないということであれば、今の信金中金がそれを受け皿としての余資運用の中の1つに非常に大きな役割を果たしていると。

そういうことなので、私は、自然にそれが、市場原理的ということとは少し意味が違うのですけれども、そうしたことで各信用金庫が自主的にきちっと判断してやっていけることですし、それをさらにまたしっかり検査も受けている、そういった関係なので、あまりそれについてルールを決めてどうのこうのということはそぐわないかなというふうに、ふさわしくないのではないかというふうにも思っています。

よろしいでしょうか。

○神田WG座長

ありがとうございました。

それでは、先へ進ませて頂きたいと思います。もし追加等でご意見があれば、恐縮ですけれども、メール等で事務局のほうへお寄せ頂きたいと思います。

そう言いながら、1点ちょっと中津川委員のご発言等聞きながら思ったのですけれども。これ業務の話というのは、制度の話をするときは何ができるのですかという話だと思うのですけれども。そのできる中で何をすべきなのか、またすべきことが行われていないのではないかというのは実態というか制度の運用の話ですよね。

ですから、ちょっと、議論が抽象的になったかなと思いましたので、もう少し昨今の事情等も踏まえますと、地域金融機関あるいは専門金融機関としての機能を一層発揮するためにはどうでしょうかという話をする必要があるように思います。それぞれのご意見はそういう問題意識のもとでおっしゃって頂いたとは思いますけれども、それは恐らく、協同組織金融機関であれ株式会社金融機関であれ、地域金融機関、専門金融機関であれば、その機能を発揮するためにはどうでしょうかという話に恐らくなるのだと思うものですから。ちょっとその点で、もし追加のご意見があれば、後でお寄せ頂くということでお許し頂きたいと思います。

次に、規制緩和要望事項についてですけれども。事務局のほうからご説明をお願いします。

○小野信用制度参事官

それでは、資料14-3の4ページをお開き頂きたいと思います。規制緩和要望でございますけれども、協同組織金融機関のあり方を議論する際に、これまでに出された信金・信組の規制緩和要望を整理いたしまして、全部、総ざらえと申しますか棚卸したものが以下のものでございます。全部で9項目ございます。去年、お示ししたのから若干減っておりますが、それは信金業界で再検討した結果、幾つかの要望を取り下げたためでございます。そのことにつきましては8ページの(注)に書いてございますので、後でご覧頂ければと思います。

いずれにしましても、この要望事項のどれを見ましても、今まで議論して頂きました、協同組織金融機関としての業務のあり方、それから中央機関の役割という問題と非常に密接に関係するものでございますので、最終的には、全体の協同組織金融機関のあり方の検討の中で一体的に捉えるべきものと考えてございます。部分的に先行してやるということになりますと、かえって全体の整合性が崩れてしまいますので、これはやはり一体的にやっていくべきものと考えておりまして、そのような前提のもとで、整理したものでございます。

1点目が、法定脱退事由の拡大というものを行って欲しいと、特に行方不明の会員を法定脱退事由に追加するというような要望がございます。

2番目は、事後員外貸出に関して、法解釈の明確化をして欲しいと。例えば、地区外へ転居した者に対して、会員であった間に行った貸出しというものを、員内貸出とするのか員外貸出とするのかの扱いを明確にして欲しいということでございます。

5ページをご覧頂きまして、次に、転入予定者への貸出、例えば地区外にいる者がある一定の期間内に将来的に地区内に転入することが確実な場合、そういう方への貸出を員外貸出として認めて欲しい。これは主に住宅ローンが中心となると聞いております。

4番目が、国立大学法人等への融資解禁ということで、6ページの<参考>に書いてございますが、現行、地方独立行政法人につきましては員外貸出先として規定されておりますが、国立大学法人等については規定されておりませんので、この国立大学法人、大学共同利用機関法人への貸出しを員外貸出として認めて欲しいということでございます。

5番目が、自治体向けの貸出規制の緩和でございます。現行は6ページに記載がございますが、信組の自治体向け貸出につきまして、員外貸出の20%とする量的規制というものを緩和して欲しいということでございます。

6番目は、全信組連の員外貸付制限。現行、全信組連につきましては員外貸出につきまして、総預金等の20%までとするという量的規制がございますが、これを撤廃して欲しいということでございます。

次に7ページにいきまして、7番目は、保証会社における規制ということでございます。信金の保証子会社が他の信金の会社に対する保証業務を行えるようにして欲しいということでございます。

8番目は、脱退組合員の持分を一時取得させて欲しい。つまり、組合員が脱退したときに、その組合員の持分を譲り受ける者がいない場合、一時的に信組が持てるようにして欲しいということでございます。

9番目、これは極めて技術的な話でございますが、8ページにございますけれども、自己優先出資を消却した際の取扱いを明確化して欲しいということでございます。

いずれの問題についても論点が書いてございますが、ポイントは、協同組織性という観点からこういうような要望についてどう考えるかということが中心になるものと思われます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。時間も限られておりまして恐縮ですけれども、それぞれの項目全般に共通するお話でもいいですし、個別の細かい項目がありますけれども、個別の項目についてでも結構です。ご意見があればお願いします。

神吉委員、お願いします。

○神吉委員

質問でございます。7番の保証子会社における規制なのですけれども、業界で地区規制を非常に重視しておられるということがわかったのですけれども、これは子会社を用いて地区外で事業を行うことを認めよ、ということに等しいのではないかと思えます。そうしますと、業界のお考えと矛盾するご主張のように思えます。それがどうなのかということが素朴に疑問として感じられますので、もし、ご説明頂けるようでしたらありがたいと思います。

○小野信用制度参事官

私もそのように思っておりますので、7ページの論点に記載がございますように、当該信金の地区外、あるいは会員でない者に対して保証義務を行うこととなると、今まさに神吉先生おっしゃったように、地区規制・会員制度の観点からどう考えるかという、同じ疑問を持っております。

○神田WG座長

今の点は…、佐藤委員、どうぞ。

○佐藤委員

私もそこまで考えていませんでしたけれども、実際に、私どもで保証会社を子会社にしているのですけれども、扱っているのは、私どもが扱えるお客様を保証するということなのですね。だから、その点では、全く地区外へどうのこうのということではなくて、会員の保証ということになっているので、全く矛盾はないというふうに思っていたのですが。

ここで言っているのは、そうした会社が、例えば、私どもと同じ地区で営業している事業をやっている信用金庫の会員の方、ですから、我々の会員資格と同じところにあって、そういう人たちを相互扶助という精神から信用金庫同士のそういった観点から保証ができるようにしてもいいのではないかという、そうしたほうが、お互いに子会社を持てない信用金庫であっても、その地域の事情に応じた保証をしてもらえるという、そうしたことを共同でやっていくという相互扶助的な精神というのは非常にいいのかなと。そういうふうに私は単純に思って、こうしたことは要求として要望してもいいのかというふうに思っているということなのですけれども。

地域の全然違うところを全国的に保証しようということは、それは保証会社がありますので、特に、業界としての保証会社もあるということなので、そういうことは全く考えないし。

また、それによって多少リスクが軽減されるということもあるのではないかなと、そういうふうに思っております。

以上です。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

それでは、家森委員、よろしいですか。

○家森委員

今回のこの要望を見ると、員外貸出について要望が結構あるのですけれども、員外貸出の実態については、員外預金のデータは多分ここにあったので、員外貸出の平均値がわかってるだけじゃなくて、できれば分布についても分かるとありがたい。実際このボーダーラインにどの程度の金庫があってというようなことが分からないと、これがどういう大きな問題だというのが分からないということで。またお調べ頂けたら、ありがたい。

○神田WG座長

すぐには…。感覚として…。

○渡邊協同組織金融室長

いえ、少し研究してみたいと思います。

○神田WG座長

では、研究して頂いて…。もうあまりこのワーキング・グループは残り時間はないのですけれども。さしあたりのとりまとめへ向けて。

どうぞ、すみません、佐藤委員。

○佐藤委員

この員外貸出の問題は、恐らく私どももそうなのですけれども、本当に地区外にいらっしゃる方を員外貸出として取り扱うのですけれども、そうしたことができなかったりしたものが漏れたりするということが、非常に大きな問題になるということなので、そういうことに対しては、今まで会員の資格があって、融資をした先が出た場合に、それはそこまで大きな問題として取り扱わなくてもいいような形にできないだろうかと、非常に例は少ないと、それ自体はですね、そういうことなのですけれども。

それから、また転入の方は当然ながら、予めこちらに入ってきて住宅を買われると、そのときは住宅ローンが主体ですけれども、融資がそこで手続としてまだ正式には会員ではないのに、そういう手続上の問題として認められないものだろうかという、その程度で、そんなに員外貸出を拡大しろとかそういうふうな問題ではないというふうにご理解頂ければと思います。

○神田WG座長

ありがとうございます。

宮村委員、どうぞ。

○宮村委員

これについて実はヒアリングしたことがありまして、確か文京区にある信用金庫のお客さんのところにヒアリングに行ったときに、そのお客さんが、自分で事業を始めて、だんだん拡張してオフィスを新宿に移そうと思って移すことに決めたのだけれども、そうしたらそれが元の信用金庫の地区外になっていて、それでもって、何で信用金庫はこんなに不便なのだと。すべて信金との取引最初からやり直しだと。そのときは、その人はベンチャーだったから最初のときの話を色々聞いたわけですね。1年目は普通預金の口座しかつくってもらえなくて、それから融資が始まったとか。それでもって何年かしてまたスタートに戻ってしまうというのは一体どういうわけなのだと、そういうようなことがございましたので。やはりお客様の便宜というのを考えると、こういうようなものは認めてもいいのではないかなというふうに思いました。

以上でございます。

○神田WG座長

どうもありがとうございました。

中津川委員、どうぞ。

○中津川委員

簡単に。先ほどの原先生からのご質問に対しまして、いわゆる地区規制等、それから業務範囲等について、会員の組合の調査したかどうかということですが。今、上部団体の方からのメモによりますと、調査をした結果、地区規制並びに業務範囲についても会員組合からは特段の要望がなかったという結果が得られているそうですので、ご報告します。

○神田WG座長

ありがとうございます。

時間が来てしまいまして、大変私の進行もうまくなくて申しわけありません。

あまり延長するのもどうかと思いますので、もし、どうしてもご発言を議事録に残しておきたいという方がいらっしゃったらご発言頂いて、そうでなければ、大変恐縮ですが、ホームワークとしてちょっとさらにお考え頂いて、お考え頂いた結果のご意見を事務局までメール等でご連絡頂けませんでしょうか。よろしいでしょうか。

ありがとうございます。

それで、本日は時間がありませんで、議論を予定しておりましたもう1つの「組織・決算等」についてご議論頂けませんでした。この項目については、昨年10月にご議論頂きましたので、その際に委員の皆様方から頂きましたご意見等は資料14-3の続きですね、具体的には14-3の8ページから11ページまでに事務局のほうでご紹介をさせて頂いております。従って、これもホームワークとなって恐縮ですが、お帰りになった後、ちょっとご覧頂きまして、お気付きの点や追加のご意見等がございましたら、事務局までメールでご連絡頂けますようお願いいたします。もう一度申し上げます、14-3の資料の8ページから11ページまででございます。

最後に事務局から連絡をお願いいたします。

○小野信用制度参事官

最初にご紹介すべきでしたが、久保田委員からメールでご意見を頂いておりますので、資料14-5でご紹介させて頂いております。後ほどお目通し頂ければ幸いでございます。

次回の協同組織のあり方に関するワーキング・グループにおきましては、個別の論点を一通り全部ご議論頂きましたことから、今日頂いた意見も含めて、これまで頂戴したご意見を整理してお示ししたいと考えております。

次回の日程としましては、少し先になりますが、5月29日の4時からを予定しております。正式には追ってご案内しますが、ぜひよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○神田WG座長

それでは、散会いたします。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課信用制度参事官室
(内線3568、3577)

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