金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第54回)議事録

1. 日時:平成21年6月19日(金曜日)13時00分~14時00分

2. 場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山下WG座長

それでは、定刻でございますので、ただいまから第54回の保険の基本問題に関するワーキング・グループの会合を始めたいと思います。

本日も、ご多用のところ集まっていただきましてありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議も公開ということになっておりますので、その点まずご了承いただきたいと思います。

それから、本日の出席者ですが、岩原委員、川本委員、洲崎委員、野村委員、深尾委員がご欠席となられますほか、米山委員が所用で少しおくれて来られるそうでございます。第二部会のほうからは、原委員、増井委員、吉野委員にご出席いただいております。

それでは、本日の議事に移らせていただきます。

本日は中間論点整理の取りまとめを行いたいと思います。

お配りしている資料は、前回の会合において議論いたしました中間論点整理案について委員の方々からのご意見等を踏まえまして、私と事務局で相談し、修正を加えたものとなっております。この修正後の文案によりまして、このワーキング・グループの中間論点整理としたいと思っております。

それでは、まずこの中間論点整理につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○石田保険企画室長

前回の中間論点整理の案として配らせてもらったものからの変更点について、私のほうから簡単にご説明させていただきまして、その後、1回最初から読み上げさせていただくというようにしたいと思います。

変更点でございますが、ページ番号が振ってございますけれども、その下の2ページの一番下の○のところに、保険商品、特に生命保険商品についてのその特性ということのご意見を踏まえて修正を入れてございます。

次の点でございますが、3ページでございますが、3ページの中段より下のところの検討に当たっての基本的視点というところの一番最後のところに、「また」以下でございますけれども、国際競争力等の観点というご指摘があったことを踏まえて修正をしてございます。

それから、4ページ以降でございますけれども、4ページの細かいところでございますけれども、4ページの募集文書のところの一番下から2行目のところ。それから、あわせて次のページの広告規制というところの下から2行目のところ。それから、一番最後のまとめてでございますけれども、募集人の資質向上というところにつきまして、検証作業を速やかに進めるべきというご指摘を踏まえて修正しています。

また、今の5ページの募集人の資質向上の点につきまして、真ん中のところでございますが、募集人の「他方」のところの文章でございますけれども、「募集人の登録に当たって一定の試験合格を義務づけるべきとの意見や」の後に、「国家資格試験を導入すべきとの意見」というのを加えてございます。

変更点は以上でございます。

以下、最初から読み上げさせていただきます。

○吉住課長補佐

それでは、読み上げさせていただきます。

中間論点整理。

保険の募集・支払、保険料積立金の支払を巡っては、平成17年から始められた保険法現代化の検討過程で議論となり、募集に関する規定を保険法に設けるかどうか等が論点となった。結論としては、それらの規定を保険法には設けないこととされたが、その後、本ワーキング・グループにおいて、保険法改正の議論の経緯も踏まえ、保険募集・支払全般に関し幅広く議論を行うこととし、その旨、金融審議会第二部会に報告した。

他方、監督の分野では、これまでに消費者への説明のあり方の問題等の、募集・支払を巡る様々な問題の指摘も踏まえ、改善に向けた具体的な取組みが進められてきている。例えば、平成17年「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」において、情報提供等のあり方に関する検討を経て「契約概要」「注意喚起情報」等の導入が提言され、実際に活用されてきている。

本ワーキング・グループでは、昨年7月以来、木下委員、丹野委員、砂田委員から、欧米の制度整備の状況の説明や、消費者問題等の視点からの問題提起、提言等を受けたほか、日本保険仲立人協会、日本損害保険代理業協会等からも意見を聴取し、活発な議論を行ったところである。

これまでの議論の中で出された意見を全体的に見てみると、問題の所在は、個々の規制等の問題にあるだけでなく、より全体的、構造的な面にもあるものと考えられる。

以下に、これまでの議論を踏まえ、問題の全体像や背景として考えられること、今後の検討に当たって留意していく必要があると考えられる点等を整理した。

背景。

これらの問題の全体像や背景について考えてみると、様々な経緯等があって一概に整理することは難しいが、一つの大きな背景として、以下のことがあるものと考えられる。

すなわち、我が国では、特に1990年代より、少子高齢化の急速な進行などの社会経済の変化を踏まえ、保険に対するニーズの多様化とそれへの対応の重要性が広く認識され、制度面でも実際面でも、新たな保険商品の開発が進み、その多様化が進められてきた。その際、特に、種々の経緯の中で、特約という形で多くの保険商品が開発、販売されてきた点に一つの特色がある。

その結果、この間、確かに、多様なニーズに応えうる、多様な保険商品が提供されるようになってきたが、反面、内容や構造が複雑で、理解が容易でない商品も多くなり、このことがこれまでに本ワーキング・グループでの議論を通じて指摘されてきた様々な問題につながっていると考えられる。

例えば、情報提供に係る規制の強化や、いわゆる適合性原則の導入を求める意見が出されており、主張の理由は種々指摘されているが、複雑な保険商品が多く提供され、それに関する理解が難しくなっているという現実が、これらの意見の背景にあることは否定しがたい。

こうした状況の中で、最近はインターネットなどを活用して、保険商品の内容自体を比較的単純でわかりやすいものにし、保険料が相対的に安いといったことをセールスポイントにした商品も登場してきているが、こうした動きについてどのように考えていくべきか。

保険商品が多様化する中で、複雑で理解が容易ではない商品が増えてきたことは、さらに次のような問題にもつながっていると考えられる。

保険商品の種類等にもよるが、一般的に、利用者自身による商品間の比較が一層難しいものになっている。

比較が容易でない中で、専門家の説明やアドバイス等を求める希望は大きいと考えられるが、特定の会社の保険商品の推奨に偏らないという意味での中立的な情報源等をどこに求めたらよいのかは、必ずしも容易には分からない。

例えば、インターネットなどでは、商品比較に関する記載が多く存在し、現に一定の利用があると思われる。様々なものがあるので一概に議論することは難しいが、ネット等に掲載され利用されている比較情報が、果たして正確な情報に基づいているものか、あるいはそのページが中立的な立場なのかどうか必ずしも明らかではない。こうした現状をどう考えていくべきか。

また、近年、大規模な乗合代理店も出現し、利用が広がっている。ビジネスの実態は様々であるので、これも一概に論じることはできないが、少なくとも制度のあり方としてみた場合、このような代理店が中立的な立場から情報提供をすることが制度上担保されているわけではない。保険商品の推奨にあたっての立場が不透明という指摘になり、更にこのことが、代理店が保険会社から受け取る手数料の開示の問題が重要という主張につながっていると考えられる。

さらに、ブローカー制度として平成7年に創設した保険仲立人制度については、代理店と異なり、顧客に対する誠実義務が課されているが、実際には個人分野でほとんど活用されておらず、企業保険が中心となっており、こうした現状についての問題も提起されている。

募集文書の問題についても、複雑な内容を持つ保険商品に対応して、保険会社では、非常に多くの文書を作成し説明時に交付して使用しているが、本ワーキング・グループの議論においては、かえって文書が多すぎて何を見てよいのか分からないといった指摘も出されている。

保険会社による不払い・支払漏れ問題についても、問題が発生した背景には、各社が競って保険商品を開発、販売してきたものの、複雑な商品体系に対応した適切な支払管理態勢等が構築されていなかった点も指摘されている。

保険料積立金の支払についても、例えば、近年、無・低解約返戻金型保険商品なども開発・販売されてきているが、その仕組みや内容がわかりにくいとの指摘が出されている。

保険商品、特に生命保険商品については、利用者の年齢や健康状態の変化等によって再加入が困難であるという特性があり、上記の問題は、利用者保護の観点から適切に検討されるべきであると考えられる。

検討のあり方。

以上のことにかんがみると、問題の解決を図っていくためには、例えば、単に募集時の説明をより適切なものとしていくという対応だけでなく、複雑な保険商品そのものをもっと分かりやすいものにしていくためにはどうすべきか、あるいは、利用者にとって信頼できる専門家が身近にいて、アドバイスなどを受けやすくするためにどうするべきかという課題設定が必要であり、こういった論点を含め、総合的、全体的に対応を考えていく必要があるのではないか。

すなわち、各規律が有機的に結びついていることを考慮しながら、募集時の規制のみならず、保険商品に対する規制のあり方、募集主体の問題、支払管理面での規律等にわたり、規制のあり方全体として、望ましい姿はどのようなものかについて、その基本的考え方を整理しつつ、検討を進めていく必要があるのではないかと考えられる(例えば、EUにおいては、日米の仕組みと異なり、保険商品に係る事前認可が廃止され、域内における自由な競争による商品開発を促進される中、募集面において適合性原則や情報提供義務が課されるという体系になっている)。

検討に当たっての基本的視点。

本ワーキング・グループの議論の中では、個別の問題で規制強化による対応を求める意見が多く出された。利用者保護等の観点から、適切な規制のあり方を検討する必要があるが、今後、この問題をさらに掘り下げていく場合には、個別の規制の論点だけでなく、規制のあり方の全体像について考えていく必要があるのではないか。その際には、競争原理を通じて、利用者にとって、より分かりやすく、より良い保険商品が優れたチャネルを通じて提供されるようにしていくことが重要であり、この点にも十分留意する必要があるのではないかと考える。

また、規制強化によって保険契約者保護を図るというアプローチは、他方において、いわゆる利用者への負の効果-すなわち、競争や新規参入を通じて優れた商品やサービスが生まれるダイナミズムが弱くなること-が生じることについても、十分に留意する必要がある。

さらに、本ワーキング・グループの議論の中では、規制のあり方として、詳細なことも含めルール化を進めるべきとの意見があったが、金融庁においては、これまで、ベターレギュレーションの観点から、ルール・ベースとプリンシプル・ベースのアプローチのベストミックスによる行政を進めてきている。今後の本ワーキング・グループの検討においては、制度のあり方を考えるに当たり、こうした取組みを踏まえた視点に立って議論を行っていく必要があるものと考えられる。

また、今後の検討に当たっては、我が国保険業の国際競争力等の観点にも留意する必要がある。

今後の進め方。

これまでに出された意見は、制度のあり方にかかわるもの、運用面での改善にかかわるものなど様々であるため、今後の進め方としては、別紙のように、制度のあり方にかかわるテーマとそれ以外のテーマに大別して、前者については、今後本ワーキング・グループにおいて制度の全体像を考えていく中で検討、後者については、業界も含めた実務レベルでの検証作業等を速やかに開始し、適切な時期にその結果等を本ワーキング・グループに報告することとする。

個別論点。

情報提供の義務。

募集時の情報提供については、平成17年に「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」(以下、「検討チーム」)において、保険商品が多様化・複雑化し、提供される情報量が増加する中で、消費者に対する情報提供の適正を期す観点から検討が行われた結果、「契約概要」「注意喚起情報」の導入が提言され、以後、これらを活用した募集活動が行われている。

このような取組みが進められている中、平成19年の保険法改正を巡る議論において、法制上、情報提供義務を課すべき等の議論が行われ、また、本ワーキング・グループでは、保険会社による募集時の説明義務の強化を検討すべき、「契約概要」等の書面交付義務の法定化を検討すべき等の意見があった。

今後、制度全体の望ましい姿を考えていく中で、これらの意見について検討していく必要があると考えられる。

適合性の原則。

現行保険業法では、変額年金保険等の特定保険契約についてのみ、投資性の強い商品として金融商品取引法の規定が準用され、いわゆる適合性の原則が導入されている。

また、この問題については、平成18年に「検討チーム」において、消費者が自らのニーズに合致した保険商品を適切に選択・購入できるよう、「意向確認書面」の導入が提言され、以後、募集現場で活用されている。

本ワーキング・グループでは、この「意向確認書面」の法的根拠付けが出来るとともに違反防止の効果が考えられる等の理由から、法律上の義務として保険商品一般にも適合性の原則を導入すべき等の意見が出された。

今後、「意向確認書面」による消費者ニーズ把握の効果等も検証しながら、この問題について検討していく必要があるものと考えられる。

募集文書(実務的検証)。

募集文書については、上記の通り、「検討チーム」における種々の検討を経て、「契約概要」、「注意喚起情報」、「意向確認書面」が導入されたところである。

本ワーキング・グループでは、実際の募集現場において「契約概要」等が効果的に使われているか、形式に流れていないか等を改めて検証すべきとの意見や、パンフレットを含めた募集文書全体の量がなお多いため一層の整理・集約化を行うべき、約款を読みやすく簡素化すべき等の意見があった。他方、募集文書の頻繁な変更は、結果的には契約者の負担増につながるので慎重であるべきとの意見もあった。

募集文書を巡るこれらの意見については、今後、まずは、「契約概要」等の活用状況等について、業界も含めた実務的な検証作業を速やかに開始し、その上で必要な対応の検討を行っていくことが適当と考えられる。

広告規制(実務的検証)。

本ワーキング・グループでは、テレビ広告などは影響力が特に大きく、一旦誤認されると訂正が難しいことなどから、保険商品の広告について、より厳格な規制を課すべきとの意見があった。

広告については、現行、業界の自主ガイドラインで詳細なルールが設けられ、各社がそれに即した行動を取ることが求められている。本ワーキング・グループで出された意見を踏まえ、まずはこうしたルールの運用状況等について、業界も含めた実務的な検証作業を速やかに開始し、必要な対応等を含めて検討していくことが適当と考えられる。

募集主体。

平成7年に、諸外国に倣ってブローカー制度として創設された保険仲立人制度について、当初想定されていた形での利用が進んでいないことなどから、制度の見直しが必要との意見があった。また、乗合代理店について、複数会社の保険商品を取り扱う保険会社から独立性の高い代理店も出現してきているが、こうした現状を踏まえ、保険仲立人制度との関係も含め見直しを行うべきとの意見があった。

今後、これらの募集主体を巡る意見についても、制度全体のあり方を検討していく中で、消費者保護・利便向上の観点から検討を進めていく必要があると考えられる。

募集コスト開示。

消費者が多様な保険商品の中から商品の選択を検討するに当たって、付加保険料の水準や代理店が保険会社から受け取る手数料の水準は有用な情報であるので、これらの情報の開示を検討すべきとの意見があった。なお、代理店が受け取る手数料については、「検討チーム」の検討において、代理店にベストアドバイス義務を課すべきか等、仲介業者のあり方とも関わる問題であるため、その中で併せて検討することが望ましいとの議論になった経緯がある。

今後、これらの意見について、消費者に対してどういった情報を提供していくことが有効か、また保険会社のディスクロージャーのあり方をどう考えるか等の観点から、乗合代理店制度や保険仲立人制度のあり方の見直しとの関係も踏まえつつ、検討していくことが必要と考えられる。

募集人の資質向上(実務的検証)。

募集人の資質向上については、不払い・支払漏れ問題等も踏まえ、保険会社において一層の資質向上に向け、例えば、給与体系の見直し、研修・試験制度の改善などを含む様々な取組みが進められているとの説明があった。

他方、募集人の一層の資質向上が必要であり、例えば、募集人の登録に当たって一定の試験合格を義務づけるべきとの意見や国家資格試験を導入すべきとの意見、試験では一時点の能力しか測定できないので、むしろ資質向上に向けた継続的な取り組みを重視すべき等の意見が出された。

本ワーキング・グループで指摘のあった点については、保険会社や協会で採用面、研修面、処遇面等で様々な取組みが進められていることを踏まえ、これらの取組みについて、業界も含めた実務的な検証作業を速やかに開始し、改善に努めていくことが適当と考えられる。

保険金支払。

本ワーキング・グループでは、保険会社において、不払い・支払漏れ問題等を踏まえ、問題の再発防止の徹底に向け、支払管理態勢の整備等広範な対応を行っていることの説明があった。

本ワーキング・グループでは、制度上の問題として、保険会社に対して、支払事由に該当するかどうか等についての誠実、迅速な調査義務を課すべきとの意見や、請求主義を原則としつつも、支払請求に向けた保険会社の情報提供義務、注意喚起義務を規定すべきとの意見があった。

この問題についても、制度全体の望ましい姿を考えていく中で、これまでの取組みの効果も踏まえて検討していく必要があると考える。

商品のあり方。

上記のような種々の問題の背景には、保険商品が一層多様化・複雑化していることがあり、商品そのものの簡素化を進めるべきとの意見があった。今後、こうした意見についても、上記の各問題における検討と併せながら、商品開発のあり方、商品に関する規制のあり方を含め、検討していくことが必要であると考えられる。

保険料積立金等の支払。

保険料積立金等の支払について、保険商品に係る透明性向上等の観点から、解約返戻金に係る商品審査基準を明確化すべきとの意見や基礎書類の開示を検討すべき等の意見があった。また、無・低解約返戻金型保険商品について、特に保険料が比較的高い保険商品のあり方について、考え方を整理すべきとの意見があった。

今後、これらの問題についても、募集面や商品面に係る他の問題と併せて検討していくことが必要であると考えられる。

以上でございます。

○山下WG座長

ありがとうございました。

それでは、ただいま読み上げをしていただきました中間論点整理をただいま読み上げられたとおり、お手元の資料のとおりまとめとしたいと思います。

本日はまだ時間が相当ございますので、この機会に皆さん方から、なおご感想、ご意見などご自由にいただきたいと思います。また今後の議論の参考にされるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

どの点からでも結構でございますが、いかがでしょうか。

小島委員。

○小島委員

中間報告、整理していただきありがとうございます。

こういう方向で、これから具体的に個別の論点についても、このワーキング・グループと、それから実務的なレベルでの検証チームで、2つで検討していくということですので、そういうことで進めていただきたいと思います。

個別の論点につきましても、ここに出されているような項目について、検討の視点ということも出されておりますので、そういうことで進めていただければと思います。

必ずしも、私これまであまり出席していなかったものですから、少なかったものですから、幾つか個別の論点のところでも、少し今後の検討に当たっての意見ということで述べさせていただきたいと思います。

具体的には、個別の論点で4ページのところの、初めに情報提供の義務ということの項目が出ております。ここに指摘されているような内容で、これから具体的な全体の制度のあり方との関係でどうしていくかということ、これが極めて重要な点だというふうに思っております。

現実的に、今、各生損保商品についての情報提供としては、各社がここに記載されておりますように、契約概要あるいは注意喚起情報というようなものも説明資料として提供しております。

そのほかに、さらに重要項目説明といったような形で出されておりますので、この辺がどうもやはり消費者という観点からすると、じゃ、どこまでが重要事項ということなのかというところが問題だと思います。前文のほうにも文書が多過ぎるとか複雑過ぎるというような指摘もされておりますので、そういう中で、最低限の必要な重要説明事項というか、そういうものをある程度整理、明確にしておく必要があるのでないかというふうに思っていますので、その辺を今後どうしていくかというのが一つ大きなポイントではないかというふうに思っております。それは、募集文書ともかかわりが出てくるだろうというふうに思っているのが一つであります。

それと、もう一つその下にあります、適合性の原則という項目についてではありますが、ここでも現在でも投資性の高い商品については、意向確認書面という形で、文書等で確認をしているということですけれども、ここに指摘されてありますように、これの法律上の義務化、そしてほかの商品一般についても適用すべきではないかというご意見が出されているということでありますけれども、商品によってもさまざまな性質、性格があると思いますので、自動車保険とか火災保険も含めて、すべてその利用者の知識とか、あるいは財産、あるいは経験といったようなところまで、すべてその文書等で確認する必要があるかどうかということもありますので、それは商品の性格によって少し濃淡をつけるとかというようなことも含めても、これからやはりきちんと検証なり検討が必要ではないかというふうに思っております。

それと、もう一つこれは5ページの一番下にあります、募集人の資質向上についてということのところです。

これは実務的検証ということで、現在どういうような実態にあるかということも含めて、検証していただくということでありますけれども、この中に募集人の国家試験の導入といったようなことも検討すべきだとのご意見も出されておりますけれども、生保商品、損保商品によっても違いは出るかと思いますけれども、生保商品のほうがどちらかというと、各生保会社のほうが直接社内教育等で一定の資格といったようなもんで、それなりのレベル合わせというやり方、そういう教育は行っているというふうに伺っておりますので、問題のところは少し、その損保関係のところで、代理店方式が中心ということでありますので、その代理店の知識なり、資質ということに相当やはりばらつきがあるのではないかというご指摘もありますので、これについてはやはり、生損保含めてどうするかというのもありますけれども、一定の最低限度必要な知識といいますか、説明責任といいますか、そういうことが果たせるような一定の資格、国家試験がいいかどうかとありますけれども、そういうことも含めて、ここは今後少し実務的な面を含めて、あるいは制度的な面を含めて検討をすべきではないかというふうに思っております。

とりあえず、3点ほど意見ということで述べさせていただきます。

○山下WG座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

吉野委員、どうぞ。

○吉野委員

前回からちょっと出させていただいて、国際競争力というのを3ページのところに入れていただいたのはありがとうございました。

それで、前回から今回ずっとお聞きしていて、やはり金融技術の進歩というか、そういうのもやはり生命保険業界もぜひ必要だと思いまして、例えば、携帯電話は前回申し上げたんですけど、複雑な商品から非常に簡単な携帯電話までできてきているわけですから、保険商品でも、利用者の方々から解約手数料が高くて困るというのであれば、解約手数料は低くて、例えば定期を1年定期とか非常に短い商品であれば、解約手数料ほとんど要らなくてできるような商品もできると思いますので、やはり、どういういい商品を利用者に合った形で提供できるかということも重要ですし、それから複雑なのも、もし本当にやっていただいていいものができるのであれば、私はぜひそういう商品もつくって、世界で売れる保険商品であればいいのではないかという気が、感想です。

それからもう一つ、この中ではちょっとないんですけれども、私間違っているかもしれないんですが、保険のアクチュアリーの数理的な方と、それから募集人の方の間のミスマッチがあるのではないかと。数学の方々はやはりそれぞれ複雑なのをご自分でつくられて、それをどういうふうに募集人の方たちがそしゃくして、それを利用者に伝えられるかという、そこのギャップがあるのかなという感じがあるんですが、後でこちらの方々にお聞きしたいんですけれども、その数学の方々も、こういう保険の昔、ちょっと勉強したことがあるんですけれども、死差益とか費差益とか利差益とかは幾つかのポイントがあって、そこからいろいろな商品が出てくると思うので、そういう本当に数学がわかった方々が、その募集人の方々に、この商品はここがポイントなんだということをちゃんと教えてられて、それで募集人の方がそれを販売すればいいんだと思うんですけれども、ですから保険会社の中でも、それからもう一つは、利用者から解約のコストがかからない商品が欲しいと、前回も随分声が出てきたわけですね、そうしたらそれに対応した商品を、やはりアクチュアリーの方々も考えるという、その両方のブリッジをぜひ続けていただきたいと思います。

その2点は感想です。

○山下WG座長

ありがとうございます。

実務のほうは何か今の発言に関してございますか。

隈部委員。

○隈部委員

なかなかちょっと、アクチュアリーと募集人との間のリンクということで、正直、ぱっと今、私の中ではイメージがなかなかしにくいところではあるんですが、ただ、いろいろ商品を、アクチュアリーの知恵を使いながらつくり、募集人が販売するに当たっては、どこがポイントになるのかとか、そういうお客様に説明する範囲で必要なところというのは、もちろん教育をしてから販売をするということは心がけてはいるところです。

先ほどおっしゃられた解約コストがかからない商品が欲しいとか、そういうさまざまなニーズをとらえて商品を開発していこうというところは各社努力をしているというふうには認識しておりますが、今後、ご指摘のようなところを、うまく反映するすべがあれば、考えていけばいいのかなというふうには思いました。

すみません、ちょっと感想めいたことになりました。

○山下WG座長

砂田委員。

○砂田委員

すみません、2点ほどございます。まず1ページ目の背景の2つ○の5行目ですが、「例えば、情報提供に係る規制の強化や、いわゆる適合性原則の導入を求める意見が出されており」とありますが、そのところに適合性原則や助言義務、あるいはベストアドバイス義務などの文言を入れていただけたらと思います。

もう1点、募集人の資質向上について5ページにございます、募集人の登録に当たって一定の試験合格を義務づける等々書かれておりますが、実際問題として、今月のことですが、75歳でひとり暮らしのお父さんが、2つの保険に入ってというか、入らされたというのがありました。これは銀行の窓口で、いつも通いなれている銀行に行ったら、ちょっといいのがあるからということで、貯金かなと思って本人はわからなくて帰ってきて、たまたま娘さんが訪問されたときに、「お父さん、これ保険じゃないの」ということで、「2つもどうするの、75歳で。もう要らないじゃないの」という、1つは変額と書いてあったけど、前に問題があった保険じゃないのか心配して相談されたのです、実際にその証書を私は見ておりませんし、娘さんからのお話なので正確に把握はしておりませんが、ほんとに募集人の資質向上は重要だと感じます。「実務的な検証作業を速やかに開始する」という文言が入ったことを評価しています、検証作業を速やかにと願っています。

以上です。

○山下WG座長

第1点目のほうの修文のご要望ですが、今回はこれは先ほど申し上げたように、これで前回ご議論伺って、その後またいろいろこのワーキング・グループの外でもご意見をいただいたのを適宜盛り込んでおりますので、一応これで、さっき読み上げた内容で確定するということで、ご指摘のあった助言義務というような問題は当然適合性との関係で問題意識としては、皆さん共有しているところではないかと、それを確認するということでよろしゅうございましょうか。

○砂田委員

はい。

○山下WG座長

ほかにございますか。

原委員、どうぞ。

○原二部会委員

恐縮です。中間論点整理ということなので、やはりちょっと今後の議論の深まりを期待したいというところです。

3点なんですが、文章のことと、それからちょっと全体的な取り組みのことなんですが、1つは3ページ、検討に当たっての基本的視点というのが、真ん中の段落に入っていますが、ここの一番最初の行で、「個別の問題で規制強化による対応を求める意見が多く出された」というふうに書かれているんですが、多分私なんかが、広告規制について話をしたりする部分がここに入るかと思うんですけど、感じとしては規制強化を言っているわけではなくて、受け取られる方は規制強化ととられるのかもしれませんが、規制の整備ですね。ルールがないところにルールをつくってほしいということで、発言をしておりますので、個別の問題では規制強化も含めた規制の整備による対応を求める意見というのが正確ではないかというふうに考えます。

それから、ちょっと個別の文言なんですが、5ページに広告規制が入れられていますが、1行目のところで、「テレビ広告などは影響力が特に大きく」というふうに書いてあるんですが、今、行われている保険のテレビ広告は、結構イメージ広告が多くて、商品性をそれほど説明するものはなくて、商品性を説明しているのは新聞広告とか雑誌広告なので、ここはテレビ広告などというのではなくて、新聞やテレビ広告というふうにしていただいたほうが、広告の実態からして後半につながっていくというふうに思います。それはお願いしたいと思います。

それから、ちょっと戻って3ページの一番最後の段落が今後の進め方というふうに書かれていて、2つに分けると。前者と後者と分けて、前者については制度のあり方にかかわるテーマを検討いたしますということで、これはこのワーキングで検討するというふうになっているんですが、私がたしか前回かその前かにちょっと発言をさせていただいたのは、今の保険業法の姿が時代にマッチしているのかどうかというところです。

保険法が制定をされて、保険法がスタートいたします。保険契約に関わるルールが整備をされたということになって、それをうまく保険業法が今の構造だと受けとめにくいというんでしょうか、受けとめにくい、何ていうんでしょう、業法の中にパーツのように入っていくというのではなくて、保険業法は業法としてきちんと許認可とか監督でしっかり事業として見ていかなきゃいけない部分と、それから保険契約にかかわる部分と分けて、何かそれぞれ、ちょっと保険業法全体をもう少し構造改革をなさったほうがいいのではないかというふうに感じていますので、別紙のように制度のあり方にかかわるテーマというふうになっていますが、制度だけではなくて、法体系や制度のあり方にかかわるテーマということで、私はもっと検討の範囲というんでしょうか、幅を広げて後半の議論を進めていただきたいというふうに考えております。

最後は意見ということになります。よろしくお願いいたします。

○山下WG座長

ちょっと最初の2点の修文の点についてはどうですか。

○石田保険企画室長

すみません、最初の点でございますけれども、ここでこの文章のところで意図しているところでは、まさに規制の強化というふうな書き方していますけれども、その意味するところでは、これから新しく整備していくということも、もちろん含めた意味で、ないところから新しい制度をつくる、あるいはある規制をさらに強化するということも含めた意味でそういうご意見も出されたんだけれども、そういうのを考えていく際には全体を考えていかなければいけないという構文は文脈の中で整理してございますので、ここのところで今あったご意見というのは、もちろんテイクノートしていきたいと思いますけれども、文言のウエートとしてはそういう意味も入ったものとして、ご理解いただければというふうに思ってございます。

それから、次のところのテレビと新聞のところでございますけれども、ここもこれまでワーキングで、特に丹野委員とかから例示で特にテレビとかというお話もあったので、テレビということで書いてございますけれども、一つここはまさに例示ということで出させていただいてございまして、今お話にあった点についても、そういうことも含めて、これからの検証作業の中で、もちろんテレビだけということに限っているわけではございませんので、そういう点も含めて再度やっていきたいと思っていますので、ご理解いただければというふうに思います。

○山下WG座長

第1点のほうは、原委員がご指摘になっているのは、問題の規制の整理をするべきであるという観点は、どちらかというとその上のパラグラフの検討のあり方のところに、一応表現されているんではないかと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。ご指摘の点は十分踏まえて、今後もちろん検討するとは思いますが。

丹野委員。

○丹野委員

今、名前が言われましたので、テレビとなぜ言ったかということを、原委員を含め皆さんにご説明をさせていただきたいと思います。「テレビ広告などは影響力が特に大きく」と、私が12月のときに申し上げたかといいますと、長いこと消費生活相談をやっていますと、いろいろな保険の相談を山のように受けてきましたが、テレビ広告で商品の内容をごく1カ所にスポットを当てて、流したときの影響力の大きさは、ほかに類を見ませんで、新聞広告や募集人のセールストークをはるかに超えるようなイメージを消費者にがんと送りつけたと思っております。

その結果において、実態とイメージのギャップが歴然と生じたものですから、当時その苦情相談が山のように、生じたという事実がありまして、それを踏まえてテレビ広告、もちろん新聞広告も消費者に与えるイメージの大きさというのはあるんですけど、テレビ広告の場合は回復が大変難しゅうございまして、20年近く消費生活相談をやってきた中で、それが一番端的でしたのでそういう形で挙げさせていただいたということでございます。その後大変影を潜めて、今はほとんどイメージ広告ばかりでございますから、それはそれでまたどうなのかなという問題はございますけれども、そこを挙げさせていただいたというのが一つでございます。

それから、10月以降部会に参加をさせていただいて、議論がどこへ流れていくのだろう、どこでどういうふうに収束するんだろうと思っていたものが、前回から中間論点整理という形でぎゅっとまとまったというのは、やはりさすがだなということで大変評価をしております。前回のことを受けて、ちりばめていただいたことはそれなりに評価をしています。特に、全体の中で商品のあり方というのは、多分基調低音として流れていて、そこからいろいろなことが起きているということ、しっかり取り組みましょうということが、背景、検討のあり方、中間論点整理を通して流れているんだというふうに理解をしておりまして、秋からしっかり腰を据えて取り組む意思のあらわれだというふうに評価をさせていただいております。

それから、実務的検証のところに、この間も高橋委員もおっしゃっていましたけれども、速やかにというようなことを入れていただいて、少しは業界のおしりをたたいていただけるものだと思っておりまして、その辺を受けとめていただいて、足踏みをしているのではなくて、1歩、2歩、3歩、4歩と前へ出ていただきたいなということを含めて評価をさせていただいております。感想でございます。

○山下WG座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

北村委員。

○北村委員

すみません、私が趣旨を取り違えていたら大変恐縮なんですが、先ほど小島委員のご発言の中で、生保の募集人に比べて損保の代理店のほうが、ちょっとばらつきが大きいというような感じで受け取ってしまったんですが、それがどちらがどうというのは、私が評価するものでもございませんし、そこはわからないところなんですが、実際問題、損保の代理店、募集人について資質がばらついているんではないかというようなご指摘はいただいているところでございます。

私どもとしましても、損保協会の中で「消費者の声」諮問会議という有識者の方からご意見を頂く会議も定例的にやっておりまして、その中で、つい先日なんですが、募集人全体のさらなる資質向上に関する提言というのも頂戴しております。

前にもご説明差し上げましたけれども、募集人試験の更新制度ですとか、保険商品教育制度というような新しい制度も立ち上げて取り組んではおるんですけれども、さらにてこ入れが必要だというようなご認識で、ご意見も頂いているところで、さらなるどういう取り組みができるかという検討に着手しているところでございます。

こういう形でいわゆるPDCAということで、さらにレベルアップということには努めているということはございますので、このあたりも含めて、今後のご検討の上では踏まえていただければなという希望でございます。

○山下WG座長

木下委員。

○木下委員

まず、私のほうから、今般、中間論点整理を非常に幅広に、また体系的にまとめていただいたことに関して申し上げたいと思います。

その中で、検討の大きな視点として幾つかの視点が挙げられたかと思いますけれども、これの関係についてどのように考えていったらいいかということについて、少し後半に向けてのキックオフのような問題提起をさせていただきたいと思っております。

先ほど、丹野委員がご指摘されましたように、基本的には平成7年保険業法改正以降の商品の自由化ということ、あるいはその金融全体の自由化というか垣根が下がってきたということがベースにあるということで、それが経済の変動の振れ幅が大きくなったようなことが相まって、いろいろな弊害をこの十何年間経験してきたということがあるかと思います。

それに関して、この募集や支払いのところでの対応ということで申しますと、やはりそういう弊害が何であるかということを十分これまで把握されてきたと思いますので、それを行為規制の体系としてどういうふうにまとめていくか、その際には募集時の行為規制ということと、あわせて支払い時の行為規制ということも必要であるというふうに思われます。

このペーパーだけを見ますと、支払い時の行為規制の問題がかなり抽象化されて、具体的なものが出てきていないかと思いますけれども、募集時の行為規制としても情報提供と適合性原則という原理原則については、かなり明らかになっていますけれども、支払い時の問題につきましても、例えばその保険金の請求をして、第一報をした後、正式な保険金支払い請求書を出す前に支払い拒絶の書類が届くとか、そういった弊害も幾つか相談に聞いたりするもんですから、やはりその支払いのプロセスといいますか、それを適正化するような何か原理原則というのを考えていただければ、あるいは考えてまいりたいというふうに思っております。

次に、その行為規制のレベル、弊害に対応するための十分な行為規制のレベルというものは、ある程度見通しが立つと、それに見合った資質の問題が次に出てくるのではないかというふうに思っておりまして、資質のハードルと、やはりどのような行為規制が必要で、それを実際にきちんと守るための資質というのはどういうものが必要なのかというレベルからお考えいただくのかなと思っておりますので、そういう意味で募集人の資質の問題が実務的検証の問題だというのは、これはこの数年いろいろと整理されてきた規律が現在の資質のルールで、どのように対応できているかということの検証をしていただけるという意味だと理解をしております。

それとあわせて、その資質の問題に関連しては、チャネルの規律をどういうふうに類型化するかということが連動するということで、その資質やチャネルの切り分けのところが、マーケットをゆがめているというような問題が、もし仮にあるとすれば、そこはそのチャネルや資質の規律を整えるということが必要で、それがまた商品の開発なんかにフィードバックされていくと、そういうことを考えていただいているのかなというふうに理解をいたしております。

あともう1点だけ、国際競争力のことをご指摘になっていますけれども、募集の観点で国際競争力と言われると、最初にぱっと思いつくのはコストのことかなというふうに思われるわけでありますけれども、むしろ今般の問題になっているところで、文脈での国際競争力というのは商品開発力をベースに、その商品がどのように販売されて、あるいは支払いなんかでどのように支払われてという、その保険会社の中での、商品を中心にしたそういう業務のサイクルが、大きなトラブルもなく業界の発展の方向にプラスに作用していく、そういうものを国際競争力というふうにとらえていただいて、コストということから国際競争力を論じていただくこと側に偏らないようにお願いしたいということでございます。

以上です。

○山下WG座長

ほかにございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。

原委員、どうぞ。

○原二部会委員

申しわけありません。2つと、それからまた意見なんですが、先ほどちょっと丹野委員からの広告についてご意見があったのは、私もそのとおりだというふうに思っております。

そういう問題があったので、それぞれの業界の方がガイドラインをつくられたのは、有利誤認を避けるということに力点を置かれてつくられて、今の姿だと思うので、前回発言しましたように、ただ欠けているのは基本的な表示事項の部分がまだ欠けているので、それは新聞広告なんかでは顕著なので、私は具体的な検証のところでは、そういった視点もぜひ入れてくださいということです。

それから、今、木下委員がおっしゃられた支払いのところの記述の話は、私も前回発言をしたところなんですが、募集と支払いというふうに切り分けてしまいますと、この募集のところに入るとは思うんですけれども、生命保険のように長期の商品は、転換とか乗りかえとか、いろいろ途中で契約を変えますから、やはりそのときの説明義務、書面交付とか説明義務についても、ぜひ検討を尽くしていただきたいと思います。

それから、また最後に1つ意見で申しわけないんですが、私、消費者庁の審議で国会へずっと傍聴に入っておりました。90時間の審議をやったんですが、金融分野は、かなり個別の問題では焦点が当たった分野です。その中でも特に保険が、結構問題があるということで指摘をされることが大変多かったということがありまして、世の中的にはかなりこの保険の分野、緊張感を持って見られているんだということは、ぜひ後半、今後具体化されるときの中では、いろいろなところからヒアリングをなさって検討を尽くしていただきたいと思っております。

○山下WG座長

よろしいですか。

米山委員、どうぞ。

○米山委員

1つ、検討のあり方の大きな考え方について、誠に抽象的な表現になって恐縮なんですけれども、先ほど、木下先生から自由化を出発点としてというお話がありました。私は、自由化を出発点と考えると、基本的に今生じている弊害はすべて行き過ぎた自由化の結果であって、そこのところを正さなければならないという結論になってしまうのではないかと心配します。木下先生はそういうことをご主張されているわけではないと思いますが、そのような結論と受け止められる危険があるのではないかと考えます。

むしろ現在の規制に対する考え方は、自由化以前からの保険システムが新しい保険システムに変わるときに生じる課題にどう対応すべきかという、やや広い観点から検討することが有益ではないかと考えています。

○山下WG座長

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本日の議論はこれぐらいで切り上げたいと思います。

本当にこの1年のご審議をいただきまして、本日、中間論点整理というものを取りまとめることができまして、委員の皆様方には座長の私からも心より御礼を申し上げたいと思いますが、これは今後の検討のようやくスタート台に立てたというところではないかと思いますので、引き続き、秋以降のご審議ではどうかよろしくお願いいたします。

この後、私と事務局で記者会見を行いまして、この中間論点整理の取りまとめにつきまして簡単にご紹介させていただくこととしたいと思います。

最後に、内藤総務企画局長から一言ごあいさつをお願いいたします。

○内藤総務企画局長

総務企画局長の内藤でございます。

今日、こういう形でワーキング、今事務年度の最後の会合ということで、お礼も含めまして一言ごあいさつをさせていただきたいと存じます。

この保険の問題につきましては、さまざま私どもも消費者保護といいますか、契約者保護という観点から、長い年月努力してまいったという気持ちもございますけれども、今回ご承知のように金融商品取引法が一昨日成立をいたしまして、その中に金融ADRという新しい仕組みができ上がりました。これは必ずしも保険の分野だけでございませんで、金融関係の各業法、十数本ございますけれども、そのすべてに金融ADRというものの制度の整備の根拠が定められまして、これからぜひ保険分野につきましても、できるだけ早期にこの具体化を関係機関の皆様方の協力によりまして具体化されていくように、私ども強く期待をしているところでございます。

それに加えまして、今回のこのワーキングでのご議論というのも、こういう方向性の中で、別のサイドの保険のこの募集、支払のあり方というところから議論が始まったと。それで、特にこの議論を詰めてまいりますと、今日中間論点整理という形でおまとめいただいたところにも、如実に出ているのではないかと思いますけれども、やはり商品の複雑性といいますか、特に保険商品、ほかの金融商品と比べてもかなり複雑な商品である。それは一種、特性といえば特性だと思いますけれども、そのあり方についても、さらに検討を深めていく必要があるという形で、この取りまとめていただいたというのも、非常に保険という分野にきちんと着目をした形での取りまとめになったのではないかなというふうに考えております。

昨年から、ちょうどこのワーキングを進めていただく中で、世の中がアメリカの金融危機から端を発しまして、日本も非常にいろいろな形で影響をこうむったわけですけれども、今ご承知のとおり、アメリカもこの金融危機からどう脱却をして、新しいどういう制度を、レジームをつくっていくかということの議論が本格化しているように受けとめていまして、その中でも金融分野の消費者保護庁ですか、そういった構想も出ておりますし、保険については今まで、州当局でばらばらな規制だったのを、この連邦の当局の監督下にも置き得るような、そういう制度にもしていくとか、いろいろな案が今出ておりまして、日本の状況を考えますと、金融庁は随分前から消費者保護の観点からは取り組んで、金融庁発足以来取り組んでまいった、大きな我々の金融の行政の三本柱というものの一つが投資者保護、消費者保護という観点でやってまいったわけでありますので、この分野については引き続き我々としても全力をもってやっていきたいと思いますし、このうち今回の中間論点整理でも、実務的検討を経て、またこの場でご議論していただくこともございますけれども、さらにこの制度にかかわる後半の分野については、引き続きこのワーキングで、ある時期タイミングを見つけながら、また再開をしたいというふうに考えておりますので、引き続きよろしくお願いをしたいと思います。

本当に本日はどうもありがとうございました。

○山下WG座長

それでは、これをもちまして本日の会議を終了いたします。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室
(内線3571)

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