金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第43回)議事要旨

1. 日時:

平成20年1月16日(水)10時00分~11時35分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館12階 共用第2特別会議室

3. 議題:

保険法改正への対応について(とりまとめに向けた議論)

4. 議事内容:

  • これまでの意見を踏まえた、保険の基本問題に関するワーキング・グループとしての報告(案)について議論を行った。

  • 審議の結果、報告(案)については概ね了承され、今後の取扱いについては座長(山下友信・東京大学教授)に一任されることとなった。ただし、「未成年者の死亡保険」の制限については、具体案が提示されていないことから、次回(31日)の保険WGにおいて、あらためて当局・業界から具体的な報告を受けて判断し、保険WGとして最終的な取りまとめを行い、その後、第二部会へ報告することとされた。

【自由討議における主な質疑等】

  • 前回のワーキングで現物給付の商品について、保険法と保険業法の関係においてご説明したが、補足して、今日は金融商品取引法との関係についても説明したい。現在、金銭を出資または拠出して運用が行われて、最後の出口として現物の給付を行うという商品については、普通の現物給付のものあれば、あるいは生命保険的な現物給付の商品というものも想定される。いずれにしても、個別に要件を判定する必要があるが、金融商品取引法の集団投資スキームというものの中に入ってくるのだろうと考えられる。したがって、現行では、第三分野については保険法からはみ出ているが、保険法と保険業法は基本的に重なっており、保険業法上の契約というものは、金融商品取引法上適用除外としてある。そして、その外側に生命保険的な現物給付や、それ以外の現物給付があるわけだが、それについては金融商品取引法がかかっており、金融商品取引業者が取り扱う商品となる。民商法については、その契約の累計に応じて、適用ないしは類推適用がされているという関係にあろうかということで、整理し直して資料を用意した。

【未成年者の死亡保険について】

  • 法制審議会では、被保険者による同意が親権者により行われる未成年者に対する死亡保険について、モラルリスクや必要性への疑問などが提示されたことから制限を行うべきことについて検討が行われてきた。当ワーキングにおいても、未成年者の死亡保険に関するモラルリスクは高いため、何らかの対応を図るべきであるとの意見が大勢であったことから、何らかの対応を図るべきということで考えているところ。ただし、保険商品の内容については、さまざまなものがあり、また、中にはモラルリスクに対する懸念が小さいと考えられる保険商品もあることから、未成年者に対する死亡保険に一律に金額制限等を設けることについては、難しいのではないかと考えている。

    こうした考え方から、まずは、一つの方法論として、被保険者の同意を得ることができない未成年者に対する死亡保険については、当局、業界、保険会社各社それぞれに対応を図っていく必要があり、金融庁としては、まず保険会社における未成年者に対する保険の引受け態勢に関する内閣府令や監督指針の整備について検討することを考えている。

    2つ目に、業界には、未成年者の保険の引受けについてガイドラインの策定、あるいは各社の社内規則といったものを整備することにより、一層の引受け管理態勢の強化を図ることでモラルリスクの排除を検討して頂くようお願いしたい。

    3点目として、さらに業界においては、保険の引受金額についても、その上限額を引き下げる方向で良識ある対応について、具体策の提示をお願いしている。このほか、モラルリスクが低い新たな保険商品の開発をお願いしているところ。

    以上のように、金融庁、業界、保険会社のそれぞれにおいて、さまざまな対応を図っていくことにより、実効性ある対策をしていき、モラルリスクに対する対応を図っていくことが重要ではないかと考えている。

  • 未成年者の死亡保険への対策については、業界として、法制審議会の保険法部会、および金融審議会の保険ワーキング・グループでの意見を踏まえ、未成年者保護の観点から、大きく2点の対応を行う方向で検討を開始した。具体的な内容については今後の検討によるが、考え方について説明すると、まず、1点目は、生命保険協会における契約内容登録制度の強化が挙げられる。未成年者が被保険者の場合の契約内容登録制度の登録基準については、モラルリスクがより実効的に排除できるように見直すことを考えている。これによって、未成年者を対象とした保険金犯罪を予防できる可能性が相当程度高まると考えている。

    2点目は、生命保険協会における自主ガイドラインの制定である。自主ガイドラインには、未成年者が被保険者となる生命保険契約の引受けが適切に行われる観点から、会員各社が留意すべき事項を規定する方向で考えている。具体的には、未成年者、特に15歳未満について被保険者となる生命保険に関し、モラルリスクを排除、抑制する観点から、適切な引受金額水準を社内基準において定めること等を検討している。そして、自主ガイドラインに上記のような規定が設けられることを受け、各社における未成年者を被保険者とする保険の引受上限金額の引下げが適正に行われるものと考えている。

  • 損保協会でも契約内容の登録という制度を行っているが、傷害保険に関して、被保険者が特定されているものについては、被保険者通算での管理が可能なため、この基準を見直し、きめ細かい管理をしていくということによって、インフラを整えていく。それと同時に、業界としての自主ガイドラインを策定して、適切性を担保していくための留意事項等を定めていく。

    これらを受け、登録制度を活用し、かつガイドラインを踏まえ、具体的な引受けのやり方、水準については個社で具体的に定めていくものと思っているが、この個別具体的な内容については、なお検討をしていき、早急に定めていきたい。

    さらに、損害保険の商品の中で、特に海外旅行の傷害保険について、この商品の特性として、海外旅行中だけなぜ保険をつけるのかというご指摘があったが、基本的には海外旅行中だけということでなくて、年間通算して保険をつけているということが、保険のニーズだと思う。渡航先の国の状況であるとか、あるいは通貨の持ち出しを制限されているとか、賠償水準がどうといった個別の事情があるため、場合によっては被害事故であっても何ら本来の保障が受けられないままといった事情もあり、これらに対して、自衛措置を講じていこうという形で保険をつけるという事情もある。こういった事情を踏まえた形で必要な場合については、合理的な基準を別途決めるということを考えていかなければならないと思っている。

  • 外国損害保険協会は和歌山のカレー事件以降、傷害保険全般について、その引受けのルールとか、保険購買者に対する事前の警告、それから約款等にそういう警告文を赤字でゴシック体で大きく書くといった措置を講じてきた。まず、引受保険金額の上限については、各社が自主的にルール化をしていくということについて、協会としても何らかの手助けをしていくという考え方である。また、そういうことを現実にやっている会社もある。

    募集段階においては、意向確認書というのが今使われているので、その内容のレベルアップを図り、モラルリスクの可能性を排除していく。それから、最も重要なのは、他保険契約の告知をさらに厳格化し、契約者に対する、保険購買者に対する警告の実質を上げていくということを考えている。今やっているが、それをさらに厳格化する。

    さらに、いわゆる保険金殺人等の案件について、民間であるため、分析・調査に限界があるが、できるだけ詳細な情報を収集し、再発防止の方法について検討をしていく。最後に、商品性の問題については、会員間で勉強会などを持ち、モラルリスク軽減というか防止、排除という商品性を持ったものをさらに開発、もしくは高度化していきたいと考えている。

  • 一律に金額制限は難しいため、適切な金額をそれぞれ個社で考えて、自主ガイドライン等で対応するということだが、個社で具体的に基準を定めても、複数の会社に同時ないし、少し時間をおきながら加入して、結果として高額になるケースが考えられる。そのために、契約内容登録制度の活用を考えていると思う。現在、医療保険とか高額死亡保険で当該制度が使用されていると認識しており、未成年者の保険ということで新たに何らかの基準を設けて、モラルリスクの排除を行う場合、合計金額の規定がなければ、同制度をもってモラルリスクを排除することは非常に困難ではないか。この問題は、いわゆる死亡保険、傷害保険共通のものなので、生損保横断的な登録なり、チェックが必要になるのか、その辺の実効性の確保がどうなるのかが気になっている。

    また、報告書案の5ページの脚注6に、金額制限等を設けることについて、必要ではないものとして賠償保険とか団体保険が挙げられているが、一時払い保険が挙げられていることが気になる。一時払い保険という保険の種類があるわけではなく、あらゆる保険について一時払いがあり得る。したがって、低年齢で長期間の契約であれば、一時払いの保険料が低額であっても高額保障が可能になることも出てくる。商品別にいくのか、払い込み方法別にいくのか、どうするのか、その辺の問題の協議が必要だ。

  • 未成年者の死亡保障について、いろいろな制限を組み合わせてやっていく中で、横断的に実効性のあるものができるのかという指摘については、今まさに具体案を作成している過程であり、バランスのとれた、実効性が確保されたものとなるように、業界ともよく議論を重ねてやっていきたい。一時払い保険については、対象とすべきか、あるいは仮に対象とするにしても、どこの金額で考えるのが適当なのかといった技術的な論点もあるため、いずれにしても業界とよく議論を重ねていきたいと思っている。

  • 1点目については、行政ともよく相談し、適正な内容となるように努めていきたいと思う。

    2点目については、ご意見を踏まえながら検討していきたいと思うが、システム上の問題などもあり、ご意見をよく踏まえながら検討していきたい。

  • 登録制度については、未成年者、年齢データを含めて、未成年者を細かく捕捉するということを制度の中でやっていくことで実効性を上げていくということであり、どういう仕掛けで行っていくかは別として、要は精緻化していこうということである。横断的にという部分については、システムの問題があるため、課題として十分認識していきたいと思う。

  • (3)の「未成年者の死亡保険について」の項目について、「具体案を早急に検討するように関係者に求める」と結んでいるが、下の方には「期待する」という表現になっている。未成年者の死亡保険について、行政として何をするのかお伺いしたい。また、業界と協議をするということだが、金融庁の監督下にない、いわゆる制度共済等々とはどのような協議をしていくのか教えてほしい。

  • 一つの方法論として、金融庁としては保険会社における未成年者に対する保険の引受け態勢に関して、内閣府令、あるいは監督指針といったものの整備を図ることを検討しているところである。また、引受金額の上限額の具体的な金額設定については、まず業界において良識ある対応をお願いしているところ。その他、幾つかの点についても業界の対応について議論を重ねているところである。さらに、制度共済についての問題は、保険業界だけの問題でもないため、制度共済を所管する関係各省庁にも情報提供を行うなどしていきたいと考えているところである。

  • (3)の「未成年者の死亡保険について」において、「必ずしも一律に論ずることができないものの」とあるが、基本的な考え方としては、その前の文章に書いてあるように、モラルリスクの大きい保険について制限するということさえできればいいわけで、一律に論ずることができないということはロジックとしておかしいのではないか。

    加入後、被保険者が死亡した場合に、契約者に多額の差益が出るような保険について上限を大幅に下げるというのがポイントだと思うので、これが一律に論ずることができないと書くこと自体、ロジックとして間違いではないか。

    (3)の第3パラグラフの3行目の「各社において」という主語が、結局、行政サイドは何もしないように読めてしまう。これは金融庁、監督当局と各社において両方でやるという主語の問題が一つある。2つ目に、マル2の引受金額上限を引き下げる方向で見直すということについてはいろいろな問題が出てくるということである。それ以外の疾病・傷害の場合の保障を下げるということは、むしろ望ましくないので、これについては、「加入後の被保険者の死亡による契約者の差益の大きな保険について、上限を大幅に引き下げる」というふうに具体的に書くか、あるいは「モラルリスクの大きな保険について、上限を大幅に引き下げる」という書き方をしてはどうか。

    そうすると、保険会社が勝手にやってくださいというような丸投げに読めるのではなく、当局もちゃんと行う。それから、その内容についても、モラルリスクの高い保険についての差益の上限を大幅に引き下げる。こういうふうにすれば、モラルリスクの少ないものについては、上限を高くしておいていいので、一律に引受上限で決めるということ自身に問題があるのではないかと思う。

    脚注7について、「疾病・傷害保険契約の死亡給付における被保険者の同意に関して、例外的に不要とすることについての検討も行われた」とあるが、これはどういう検討が行われたのか。もし、これについて何もしないことが起きると、生命保険のほうでいかに縛っても、今度は未成年者を巨額の旅行傷害保険に入れて、近くに旅行で連れて行って殺害するといったことでも巨額のモラルリスクが発生する。これは大きな抜け穴になり得る。そういう意味では、モラルリスクの大きな保険について、特に被保険者が未成年者になるようなモラルリスクの大きな保険については、脚注7で書いてある疾病・傷害保険契約についても、本文と同じレベルで縛っていく必要があるのではないかと思う。

  • 脚注7については、これまでの資料では第三分野の規定との関係で掲げていたが、資料整理上、脚注という形にしている。未成年者を被保険者とする場合には、未成年者本人の同意が、特に15歳未満の場合にはとれず、それ以外にも、傷害・疾病保険契約の、特に損害保険の分野において被保険者の同意がとられていない契約というものが現状あり、法制審ではそういったものについて、どういう場合に同意が不要かについての議論が行われたところであり、先ほどの損保協会からもその点も踏まえた説明があったと思う。

  • 脚注7の関係では、傷害・疾病保険についても、未成年者の場合には当然、本文の(3)の先ほどの話がそのまま適用されるというふうに考えればいいと思う。脚注7は、要するに大人の死亡保障のある傷害・疾病保険について対応が必要だろうということを示唆しているということである。

  • 未成年者に限らず、一般にこういうモラルリスクの大きなものについては、厳しい引受け制限を設定すべき。

  • 当然ながら、特にモラルリスクの大きい類型というものについては、傷害・疾病、入通院も含めて、一定の引受け管理をしていくということである。大人が被保険者になるなどいろいろな類型があるが、引受け管理していくということについては、当然の前提。

  • 今の点の補足になるかと思うが、法制審議会では未成年者の死亡保険とともに、この傷害保険の死亡給付にかかわる被保険者の同意の要否についても、同じ程度に激しい議論がなされた。しかし、この保険ワーキングでは、未成年者の死亡保険については本文で大きく取り上げていながら、傷害の死亡給付については脚注に落とされており、また、議論の時間も随分違ったと思う。それは今になって考えてみると、未成年者の死亡保険については法制審議会でも、当初から法務省の側から契約法で金額制限をするのは難しいという考え方が示され、これは保険監督のほうで対応しなければならないとの意見が出ていたことから、保険ワーキングでも最初からこの問題が取り上げられたのだが、一方、傷害保険の死亡給付については、途中までは、保険契約法で何とか対応できるのではないかということで、法務省の事務局のほうでも努力されたが、最後の段階になって、やはりこれは立法技術的になかなか難しいということで、結局、法定相続人が保険金受取人になる場合は、被保険者同意もなくてもいいのだという、現状を追認するようなルールになった。ただ、そういう実務がよいことなのかというと、法制審議会では全く問題ないということでは決してなく、大変大きな問題があるということで、議論されていた。

    実際、損保実務家委員からも、法制審議会での議論を、業界としても大変重く受けとめているし、今後、個社で対応を検討していくという発言があった。実際、今後この問題は、損害保険会社の方で対応されていくと理解している。

    そのように見ていくと、これは結局のところ、死亡給付がついている傷害保険の販売の仕方が適切かどうかという問題であって、保険業法、ないしは、保険監督の守備範囲の問題として考えるべきだと思う。そういう見地から、未成年者の死亡保険の引受けと同程度に重要な問題であると思うので、このワーキング・グループ報告(案)では、脚注に落として書いているが、もし可能であれば、これは本文で取り上げるべきではないか。

  • 未成年者の保険に入っている方、これから入ろうとされる方のいろいろな声を聞いたときに、死亡保険について期待しているということではなく、学資のためであるとか、あるいは特別な技能をつけるために必要なお金を用立てたいというような意見が多い。モラルリスクがあるから金額を下げるとか下げないというよりも、皆さんが求めている思いというのを反映し、保険商品の開発をして頂きたい。登録制度は、企業秘密がある中でスムーズにお互い情報を流し合うことができるのか懸念があり、死亡保険から出発して考えるのではなく、どこに未成年者の保険を求めているかということを考えれば、死亡保険も常識的な金額が出てくると思う。

  • 法制審では金額制限が難しいという議論であったということは承知しているが、保険ワーキングで金額制限が難しいということを本気で議論したかどうかというと、あまり議論した記憶がない。業界の方々が難しいというので、そのまま業界に投げられているのが今の状況ではないかと思っている。これから31日に向けて、業界と行政が水面下で調整されるということに関して、若干の不安、懸念を持っている。全然たたき台がない中で、業界と行政だけでやって頂くと、この保険ワーキングは一体何なのかという思いだ。相当な理由がないと、やはり未成年者の高額な保険契約というのは認められないということを、多くの一般の方々にも知ってもらう必要もあると思う。名寄せすることが目的ではなくて、防止することが目的なので、登録する方法をいろいろ考えることより、そもそもなぜそういうことをやるのかということを多くの方々に知らせて、防止に役立つことが必要だと思う。

    学資で必要だという意見もわかるが、学資で必要だということに乗じて、モラルリスクだけではなくて、学資がおまけで、死亡保障のほうが保険会社は利益が多いため、そういう保険を開発して売っている現状がある。生活が苦しくなったときに、保険金がおりることに気づいて、不幸な事態がおこることもあり得るわけなので、必ずしも子供をどうこうすることを目的に保険に入るのだということだけではなくて、そういう意図をしなくて入ったもので、気がついて悪用することもあり得る点も検討して頂きたい。

  • この問題は、良識ある対応というのが大事。ただ、業界の方たちの常識と、委員が考える常識というのが大きくずれているというのが議論の前提にあったのではないか。そういう意味では、現在のような、未成年者への高額の死亡保険の商品を持っていること自体が、一般の生活者の感覚と大きくずれている。あるいは、もっと強い言葉で言えば、公序良俗に反するというそしりを免れない事態であるというような意見もあったと思う。そういう中で今回の報告書が、「必ずしも一律に論ずることができないものの」で、それで脚注で受けて、一時払い保険を書いてあるというところが、規制の抜け穴にならないか、心配をしていている。業界の方たちの自主規制について大きく期待をしたいが、やはりそれも具体策がなければ安心はできない。できるだけ早い段階で具体策の公表を個社にお願いしたい。

  • 理論的に考えて、保険会社が保険金額にかかわらず、保険金額の上限があったとしてもなかったとしても、いわゆるモラルリスクを助長するようなインセンティブがあるかと考えると、それはないのではないか。モラルリスクというのはコストであるから、保険会社が悪い会社であって、利益よりも契約を好み、保険金殺人の危険性が高いことを知りつつも契約をどんどんとるとしたら問題があろうかと思うが、経済学的なベースが正しいとして考えれば、モラルリスクをたくさんとろうというインセンティブは、どう考えてもないのではないか。

    ただし、それはある意味できれいごとかもわからないので、現実に、出発点として子殺しの保険金殺人事件が非常に多いということであれば、やはりそれは合理的な規制の方法を考えるべきだし、そのうちの一つとして保険金制限というのは非常に有効かもしれないと考える。

  • 今日は極めて抽象的な一般論の方針が示されたが、もちろん問題は中身である。恐らく多くの委員の方の了解としては、こういう未成年者の死亡に関する保険金というのは、葬祭の費用など、実質的な費用を負担する範囲でのみ合理化されると、多分そう考えていると思う。普通で言えば、せいぜい数百万円以内であると。確かに海外保険の場合は遺体を運ぶ費用等がかさむとは思うが、それの合理的な範囲内でということで、引受け基準について業界、それから監督する金融庁もそういう方向で、ぜひ努力して頂きたい。

  • 形式的なことだが、未成年者の死亡保険についてのマル3新たな商品開発を推進するというところが違和感を覚えた。当初、非常に必要性への疑問から制限を行うというトーンで書かれており、もちろんそのバックグラウンドがわかっていればわかると思うが、恐らく今既存のモラルリスクの高い商品を見直していくなどかと思うため、「推進」という言葉を変えたほうがいいのではないか。

  • 前から感じていることは、この問題は、モラルリスクが高いから商品設計を制限しなければならないというだけの問題ではないのではないか。その点、モラルリスクが高いからという点であれば、保険会社がそういう契約を助長するというのは経済的、合理的にもあり得ないという議論も成り立つと思う。

    ただ、未成年者の死亡保険については、実質的な同意が得られないということ以上に、やはり未成年者の生命が、親権者のいわば支配下にあるということが非常に問題なのであって、その点で、他の類型の他人の生命の保険と大きく違うのではないか。そこを十分考慮して、これは公序の問題であるから業法で対応するのだということを十分踏まえた上で、検討をお願いしたい。

  • モラルリスクの高い保険を売ることはあり得ないということだが、少し長い目で考えると、私は十分あり得ると思っている。モラルリスクの高い保険を売って、実際に殺人かどうかわからないまま死亡率が上がった場合に、当然それは保険料率にはねて、しばらくすれば保険料率も上がって、業界はちゃんと利益を確保すると思う。したがって、私は単純にモラルリスクのあるような保険は売らないから、自主的に対応させろということは間違いだと思っている。

  • 本日の段階では金融庁や各業界における対応について具体的にまだ決まっていない部分も多くあるようなので、次回の第二部会・保険ワーキング・グループ合同会合において、再度この点についてはご報告を頂くということにしたいと思う。金融庁、それから各業界においても、今日のワーキング・グループでのご意見を十分踏まえて、ご検討を頂きたい。

【未成年者の死亡保険以外の部分について】

  • 現物給付の概念図について、右側、民商法の類推適用としてかいてある図の下のところが、金商法のスキームより若干はみ出している部分があるので、このはみ出しているのは何なのか、具体的に教えて頂きたい。

    また、生保契約においては認めないという方向性に、法制審のほうもなったということは良かった。ただし、法制審でも若干意見の中にあったようだが、付随サービスとしての現物給付は認める方向性になっている。付随サービスなのか、いわゆる保険契約の内容としてのサービスなのかは、約款の規定の有無で判断すると思う。生保の付随サービスとしての現物給付的なものは、既に過去にも売られてきているところであるが、一般の人から見ると、契約的な現物給付の内容と区別がつきにくいところがある。したがって、保険法では認めない、業法でもこういう状況だと、金商法の規制である程度カバーできるということはわかるが、付随サービスがいろいろ出てきたときの監督上の手当てをどうするのか、お伺いしたい。

  • 金融商品取引法は、新しい金融商品・仕組み商品が出てくる中で、いろいろな社会問題も発生し、その中で法のすき間を埋めるようにということで、可能な限り包括的な規定を置くということで制定されたもの。だが、具体的な当てはめの問題になると、もともと金融商品取引法にも、その法律自体に適用除外規定があり、想定していなかったようなものも実際にあり、はまらないということもあり得るため、具体的にこういうものははみ出ているということが念頭に今あるわけではないが、そういうことも踏まえて、若干下に図を伸ばしている。

    それから、監督面の問題の前に、解釈で言えば、付随サービス、付加保険料でどういうことがなされているのか。契約者にその後もノベルティー、その他、ものが配られたりもしているわけだが、もう少し大きなもの、保険給付に相当するようなものであれば、今回の議論を踏まえれば、それは保険業法上認められないものだろうし、あとは、その間にあるようなものがどの程度認められる得るものなのかというのは、個別具体的な問題になってくるのではないかと思う。

  • 金商法の集団投資スキームは、条文が必ずしも一義的に規定が置かれているわけではないので、解釈の余地は残り、100%金商法の枠の中に入るとも言えないというのが、事務局の理解だと思う。仮にそういう範囲がどんどん広いということになったら、これはまた本気で考えなくではいけない話になるが、4ページの一番下のパラグラフは、そういうことも意識していることだと思うので、状況を非常によくウォッチしていく必要がある。

  • 2ページの保険金支払のところについて、現状、具体的な日数は定めないということだが、だらだら遅延させるというリスクが存在しないかどうか。また、その場合に遅延損害金のような形で、例えば一定の期間を超えて支払いを拒み続けるというような場合に、延滞の金利のような形で損害金を課すような形でチェックができないのか、このあたりについて質問させて頂きたい。

  • 2ページのマル2になるが「合理的な調査期間経過後は、支払い期限が到来する」という趣旨で、調査がまだ終わっていないからということだけで引き延ばされることはできないような規定を置くということが、保険法部会で一応取りまとめの方向として合意されている内容である。必要な調査の期間は置かなければいけないが、それはあくまで合理的に必要と認められる期間だけ置くという趣旨であって、その期間が過ぎて、調査が終わっていないというだけで引き延ばすことはできないということ。

    2点目の遅延利息の点については、支払い期限が到来していない以上、それは遅滞に陥っていないということであるから、遅延利息を払えと言えないわけだが、逆に言うと、支払い期限が到来した以上、期限が到来しているわけであるから、逆に払わない場合には、当然のことながら、民法の債務不履行のルールに従って遅延利息を付さなければならなくなると考えている。

  • 現物給付について、認めて頂くように主張させて頂いたが、結果として今回現物給付が措置されない方向で記載されていることは、大変残念。高齢化社会を迎えて、契約者の多様なニーズにこたえるために、今後、業界内において、具体的に現物給付の商品化の要望が出てきた場合には、消費者保護であるとか、保険会社の健全性確保とかについて検討することも含めて、現物給付の規律化の可否について検討する場を設けて頂きたい。

  • 4ページの本文の下から4行目、「この点については、今後、保険的な現物給付商品が数多く販売されるような場合に、改めて保険会社の業務のあり方について検討を行い」とあるが、現在の保険業法のルールでは、保険会社がその保険的な現物給付商品を販売するというのは恐らく難しいと思う。オプション的に、例えば保険事故発生時に1,000万円の満期保険金を支払うが、1,000万円の満期保険金でもって、例えば老人ホームの入居件を買うことができるというオプションをつけるような業務も、恐らくそれは保険料計算に影響を与えるだろうから、保険業の付随業務としてできるということではないだろう。

    そうだとすると、下から4行目で言う「保険的な現物給付商品が数多く販売されるような場合」というのは、保険会社以外の、例えば介護サービスを提供するような会社が多くやったという場合に初めて、保険会社も改めて保険会社の業務のあり方について検討を行うということになってしまう。そうだとすると、生命保険会社がこういうオプションをつけた商品を売りたいということを考えて、例えば金融庁に話を持ってきても、これだと、保険会社の業務のあり方について検討を行うということができなくなってしまうため、ここの表現に幅を持たせた形にしたほうがいいのではないか。保険会社側が、いろいろアイデアを出し新しい商品を考えたという場合にも、その業務のあり方について検討を行うということが可能な表現にして頂ければと思う。

  • この素案の趣旨について、少し補足の説明をさせて頂く。一つは、金融商品取引事業者として、こうした現物給付商品を取り扱うことができ、例えば、こうした商品の組成を行うというものは投資運用業に該当する。この場合については、生命保険会社は子会社として、そうした投資運用業を行うことが現行認められている。また、そうした具体的な商品を販売勧誘するということになると、これは第二種金融商品取引事業者ということで、保険会社本体での算入が可能となっている。

    つまり金商法での参入の主体はいろいろ予想されるが、保険会社グループも参入が認められていないわけではない。まずこうした商品の実態がある程度見えてきたところで考える必要があるのではないかと考える。それから、金商法も施行されたばかりであるため、もう少しタイムスパンをとるという考えに立ち、このような文章の整理をしたということである。

  • そもそも参考資料の図だと、生命保険的な現物給付、民商法の類推適用で一応有効に締結し得るという前提のような図になっているが、本当は保険契約法的にも、そういうものがあり得るのかという議論からそもそもあってもいいのではないかと、個人としては思っている。ここで何かこういうものが現に適法に契約としてあり得るのでということは、あまりはっきり書くのはいかがなものかという気がしている。

  • ここで言う保険的な現物給付というのは、恐らくは現物給付だけをする商品で、それは極めて将来どうなるかわからない、リスクの高いものであるということで、それに対して、選択型であれば、まだ考慮の余地はあるということだったと思う。まずはリスクの高いもので実績を積んできたら、選択型でも考えてやろうかということになりかねないのではないか。確かに子会社であれば、本体の保険会社に及ぶ影響というのは限定的であるが、ここでのリスクというのは保険会社だけではなくて、給付サービスを受ける側にとってのリスクもあるので、それが金商法が適用される限りは十分だというのは、多少不安を覚えないではない。

  • 個人的な意見にわたるところもあるが、こういう生命保険的な現物給付商品に対しては、保険として整理していくと将来考えていくのがマル1のやり方。マル2のやり方は金融商品取引法でこうした商品についての対応をより、商品性、契約者保護、消費者利便に即して整理をしていくというやり方であって、2つ道があり得るかと論理的には思っている。ただ、現状の状況では、もう少し見きわめが必要なのではないかと思っているところである。

  • 選択型の商品について、今後アイデアを出して考えていくということがしにくくなるようなルールにはしておかないほうがいいと思う。選択型の商品をまず考案して、そういうニーズが高まってきて、具体的な商品設計の案も出されてきたというときに、ワーキング等で検討するということが可能なような修文を検討頂ければと思う。

  • 今の点については、自分は全く反対の意見を持っており、下の4行も書き過ぎなのではないかという懸念を持っている。生命保険的な現物給付というものについて具体的な議論がなされたわけではなく、実態について共通認識もない段階で、ここまで書くのかという意見を持っている。3ページから4ページにかけて、結論的には「現物給付は認めない。」ということだと思うが、それではいろいろな商品設計とかを阻害するのはいけないという配慮のもとに下の4行がついているわけだと思う。そんなに選択的なものになったらよいかという認識になったとも思っていないし、生命保険会社以外で、保険的な現物給付商品を数多く販売されるような場合には、それに対しても、それがいいのか悪いのかという判断があるわけで、その上で、また保険会社の業務のあり方の検討を行うことになるので、ここに修文が要るのか、個人的には疑問。

  • 別に積極的に推進しろと言っているわけではなく、この「保険的な現物給付商品が数多く販売されるような場合」という言葉があると、まさに選択型ではない、もう現物給付だけをするという、ここで非常に評判の悪かった商品が将来普及した場合という、何かそれを積極的にとらえるかのように受け取られかねない。ちょっと柔らかめにというか、あいまいな表現にして頂くことが第一希望である。

  • そもそも現物給付というのは、少子高齢化社会に向けて、保険業界がどういう貢献をできるかというところから話が出発したと思う。その論旨はまだ生きていて、例えば「生命保険契約における現物給付は認めず」と書いているが、付随サービスとしての現物給付というのは今まで行われてきたわけである。例えば、簡保の旅行や、共済の組合サービスや、あるいは戦前から生命保険会社でも医療診断サービスをしており、そういったものを排除するわけではないことから、その辺の書きぶりを工夫して頂きたいと思う。

    また、確かにハイブリッドな商品というのは存在しており、例えば最低保障つき変額年金というのは、大数の法則を使って、基本的には年金料を計算するのだが、最低保障のところはオプションで組み込んでいて、それ自体ハイブリッドな商品であるから、先ほどの選択型という話は、そのような商品開発の可能性を全く否定するような書きぶりだとまずいという感想である。

  • 今回の中で、募集にも深くかかわるところだと思っているのが、5ページの保険料積立金の支払いに関する事項。法制審の方でもかなり解約返戻金の規定等を議論したにもかかわらず、消えてしまったようだが、少し理由を補足して頂けるとありがたい。

    保険契約法の検討の中で大きい問題でありながら、実際上、契約法の中では十分手をつけられなかったのは、募集にかかわるところではないかと思っており、とりわけ募集形態が今、非常に大きく変わりつつあるわけで、その中で、必ずしも適切でないような募集が行われ、その結果、適切でないような契約の引受けが行われたときにどうすべきかということが、契約法改正のときの背後にあった大きい問題だったと思う。契約法の中では、契約の規定としてはなかなかそれを規定することは難しくて、それはやはり業法の中で見直していく必要があるのではないか。

    その意味では、最後の6ページの保険募集のところは、そういった大きい視点で、保険会社のあり方、そして募集のあり方が今大きく変わろうとしている中で、金融商品取引法もできたところであり、それも踏まえた上で適切な募集のあり方、そして、それにおける監督法のあり方をぜひ検討して頂きたいと思う。例えば、保険仲立人の規定などは、ほとんど利用されない状況にあるし、現在の保険業法の募集に関する規定が、現実、それから保険の世界の変化に必ずしも適用したものになっていないし、金融商品取引法など全体としての金融サービスの利用者の保護の観点からしても、これで十分なのかというのはぜひ見直す必要があると思う。そういった点の検討をぜひ今後行って頂きたいと希望する。

  • 保険法が改正されるということは皆が知っており、保険募集についての検討状況を時々聞かれる。一番の関心事がやはり募集についてどうなるかということ、巨額の不払い問題があって、どう対応しているのかということが大きな関心事であり、募集についてしっかりと検討をお願いしたい。

  • 今回の中で、募集人も深くかかわるところだと思っているのが、5ページのところの保険料積立金の支払いに関することである。法制審の方でもかなり解約返戻金の規定等を議論したにもかかわらず、消えてしまったようだが、少し理由を補足して頂けるとありがたい。

  • 保険法部会でも、解約返戻金は非常に重要な問題だということで、当初からどういう形で規定が置けるか、置けるとした場合にどのような規律が契約の中で望ましいのかということで、検討してきた。だが、最終的にいろいろ詰めて検討すればするほど、解約返戻金というのはいろいろなパターンがあることがわかり、いろいろあるパターンについて、契約ルールの中で、許容され得る解約返戻金、ここまでは許容されて、ここからは許容されない、これ以上は返さなければいけない、そういうことを書き切るのが技術的に難しいという検討結果に至った。これは非常に残念なことだったが、条文作成の技術上、受けとめきれなかったというのが正直なところである。

  • 解約返戻金の規定を保険法に設けたらどうかというのは自分としても最初から強く主張したところで、法制審の事務局も非常に熱心に取り組んで頂いて、一応条文らしきものをつくってみたが、やはり現在のような、ありとあらゆる多様化した生命保険商品について、一つの規定で適用できて、これ以上の解約控除はだめと、そういうことを規定するのは、最終的には難しかったということである。結局、商品類型ごとにきめ細かく考えていく必要があるということで、それが5ページにあるように、金融審議会の方でなお専門的にご検討すべきではないかというところへつながっているので、それなりに議論した意味があるのではないかと思っている。

  • 保険業法の対応、金融庁でどう対応するのかということが大きな課題になっていると思う。募集とあわせて、別項目なのか、募集の中の一つ、解約控除とは何なのかという形でいくのかはよくわからないが、大きな問題であるから、ぜひ検討を前向きに早く進めて頂きたい。健康上の理由以外でうまく乗りかえたいという方々がたくさん今いらっしゃると思っており、この解約控除が特に新契約費の回収のために行われるものというふうに脚注で定義されているが、この新契約費の妥当性・合理性・公平性というのをきちんと審査していかないと、今後の保険市場というものが健全化しないと思う。早く明確に透明性高くやって頂きたい。

  • 解約返戻金に対して、開示しただけでは難しくてわからないため、説明義務も一緒に入れたほうがいい。

以上

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総務企画局 企画課 保険企画室(内線3571)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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