金融審議会金融分科会第二部会(第46回)及び「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第44回)合同会合議事要旨

1. 日時:

平成20年1月31日(木)16時00分~18時18分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

3. 議題:

  • 保険法改正への対応について(とりまとめに向けた議論)

  • 平成16年信託業法改正後の施行状況について(中間論点整理)

4. 議事内容:

  • 最初に、保険の基本問題に関するワーキング・グループ(以下、保険WG)において未成年者等の死亡保険に関して審議を行い、その後、第二部会・保険WG合同会合へと移り、保険・信託に関する審議を行った。

  • 保険に関しては、事務局より資料説明の後、生命保険協会、損害保険協会及び外国損害保険協会からも未成年者等の死亡保険に関する対応について説明があり、その後、審議を行った。保険WGとしての報告案については、未成年者等の死亡保険について引き続け検討することを前提として了承され、その後の第二部会において報告された。第二部会においても、同様の前提の上で報告案が了承された。

  • 信託に関しては、事務局より「中間論点整理~平成16年改正後の信託業法の施行状況及び福祉型の信託について~」について説明があり、その後、審議を行った。

    「中間論点整理~平成16年改正後の信託業法の施行状況及び福祉型の信託について~」が了承された。

【自由討議における主な意見等】

保険の基本問題に関するワーキング・グループ

  • 損害保険のうち未成年者を被保険者とする海外旅行保険の引受金額は、3000万円とかなり高くなっているが、加害事故において十分な補償がないケースというのも理解できるので、この場合、「加害事故で、かつ、加害者が判明している場合に限り3000万円」のようにすれば、モラルリスクが起こりにくいのではないか。

  • 名寄せに関して、あまり細かい点まで名寄せすると、名寄せ漏れが出てくるという問題が発生する。例えば住所まで全部チェックして名寄せすると、住所だけ変えれば二つに分けられるといったことも起こるので、名前の読みと生年月日だけで名寄せした上でも同じであればチェックをかけるくらいの広い形でチェックが必要ではないか。

  • 15歳以上であれば本人の同意を取るので制限しないようだが、問題がもし発生するようであれば、下限を上げるということも考えに入れておいたほうがいいのではないか。

  • 今回の取りまとめで、とりあえずこれでスタートする、ということで、とりあえず文章取りまとめとしては、これで良いのではないか。

  • 成年である被保険者の同意なく傷害・疾病に係る死亡給付が支払われる保険については、もう議論の対象にしないということか。

  • モラルリスクを防ぐことが一番重要であり、疑わしい場合にも徹底的に調べ、利得を許さない体制を作るべき。

  • モラルリスクは保険のあらゆる場面に存在するが、特に未成年者保護の大切さというところから議論してきたと認識している。加入限度額を1000万円とするのは高額であり、非常に残念だ。各個社が良識ある判断をした上で、速やかに加入限度額の更なる引下げを期待したい。これは業界全体の信頼の失墜を回復するためにも非常に大切な論点だと思う。

  • 保険契約者の多様なニーズもあり、一個人の考えで必要かどうか判断しにくいこともあると思う。また、モラルリスクが発生する場合は、会社にとって多大な直接な不利益があるため、そこを回避しようというインセンティブは当然に大きいと思う。金額に焦点が当てられていたが、体制や、実際の適用などを含めて総合的に判断されるものかと思っており、そのような体制が整備されることを希望している。1000万円という金額が、犯罪を誘発するほどの高いものではないという印象。

  • 生命保険会社と損害保険会社の間、生損保と共済の間での情報のチェック体制というのは働くのか。また、内閣府令上は社内規則に委ねるという形になりそうだが、自主性に任せたときに、きちんとその検査体制もとられるのかどうか状況を聞きたい。

  • 保険料積立金の支払と保険募集は、早急に着手すべき事柄である。また、未成年者の死亡保険について、未成年者保護の立場からすれば、もう少し良識ある対応が採られるべきだと考える。保険金殺人の犠牲になる子供を救うために、その欲求を我慢するのが大人の良識なのではないか。民間に委ねるとなれば実効性も確実にはとれないかもしれず、大変残念である。

  • 未成年者を被保険者とする死亡保険を禁止したから子殺しが減ることや、逆にそのような保険で子殺しが助長されていることはないのではないか。ここで議論すべきなのは、我々のモラルをどうすべきなのかという話ではなく、未成年者に対する生命保険が子殺しのコンテクストで語られると、保険会社自身にとってレピュテーションリスクを引き起こしてしまい、あるいは保険制度そのものに対して信頼を失ってしまうということで、国の中の一つの制度としての保険自体が危なくなる懸念があり、そうであるならばそれをどうすればいいのか、という見地からの議論なのではないか。

  • 生損保会社が自主ルール遵守し、批判を受けないようにするという決意を表明すればよいのであり、その努力をとばして、未成年者の死亡保険はやめるべきだというのは、乱暴な議論ではないか。

  • 共済等に関して、省庁間でも横の連携を図って欲しい。

  • 自主ルールに従わない外国の保険会社があれば、それに対しては業務を停止するなりの何らかの対応をする必要があると思う。これはそういう指導をするということで、それができないということであれば、それはそもそも日本のルールに従わないのがおかしいのではないか。

  • 引受限度額を累計で1000万円以下とするようなガイドラインを設けるべきである。完全な自主規制では、潜脱が起きる。

  • 業界の自主規制だけに任せるというのは、今まで議論したことがあいまいになってしまい、よくないのではないか。

  • どの程度の金額に設定するか、立法的に、あるいは法律なりルールで縛るのは難しいというが、モラルリスクの金額は定量的に計算できるはずだから、それができないというのは理解できない。

  • 保険金額に上限を設けるということは、一つの抑止効果があると思うが、一方で保険会社の引受審査における審査能力が低下するリスクが出てくるのではないか。

  • 本当に未成年者の死亡保険が必要なのか、ニーズがあるのか。自分としては必要がないと考えている。

金融審第二部会・保険WG合同会合

  • 1. 保険法改正への対応について(とりまとめに向けた議論)

    • 保険金支払い、解約返戻金および保険募集に関して、「引き続き検討を行うべきである」という言葉でくくられているが、やはり早急に検討すべきである。

    • 未成年者の死亡保険についてだが、やはりこの商品は商品性そのものが問題だと考える。これまでの議論の中でも、ニーズがあるという意見が出ているが、本当にニーズがあるのか疑問である。ぜひ本当にニーズがあるかどうかを世の中に問うていただきたい。

    • 個社の自主対応、業界の契約内容の登録制度、支払い時のチェック、他業態の共済との申し合わせなどは、引き続きスピーディーに対応を進めて欲しい。簡単には子供に高額な保険は掛けられず、また、複数加入で高額な保険を掛けられたとしても、簡単には支払われないということを世の中に浸透させる必要がある。

  • 2. 平成16年信託業法改正後の施行状況について(中間論点整理)

    • 平成19年9月30日に新信託法が施行されたばかりであることから、信託業法の施行状況については、然るべき時期に再度検討が必要。

    • ドイツのように国が受託者としてある程度の責任を担う制度でもない限り、高齢化社会に対応した信託の使い方について規定するのは困難ではないか。

    • 日弁連のPTのほうでNPOをつくるとの計画があり、司法書士会のほうでも公益法人を立ち上げるとの議論がある。このような議論を、うまく政策論としてリードしていくべきである。

    • 新しい信託法は裁判所の一般的監督権はなく、受託者の義務が任意法規化されており、任意後見制度 と比べて受託者の濫用の危険性が高いと考えられる。早い時期に、かつ前向きな信託業法での対応が必要。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
総務企画局企画課信用制度参事官室(内線3582)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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