金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第46回)議事要旨

1. 日時:

平成20年9月16日(火)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題:

保険募集・支払い等について

4. 議事内容:

  • 山下座長により、野村委員が本ワーキング・グループの座長代理に指名された。

  • 本年7月開催の当ワーキング・グループにおいて示された今後の検討テーマについては、専門的、技術的な観点からの調査・検討が不可欠なことから、当ワーキング・グループにおいて検討を進め、その検討結果を第二部会に報告することが部会長より提案され、了承された。

  • 事務局より、最近の保険を巡る諸状況についての資料説明の後、木下委員より諸外国における保険募集関係の法制の現状についての説明があり、その後、自由討議が行われた。

【自由討議における主な意見等】

  • 少額短期保険業者については、事務局からの説明・資料にあまり含まれていなかったが、この少額短期保険者についても、保険法・保険業法の規律下にあることからすると、それに対しての説明があってもよかったのではないかと思う。また、公益法人が持っている共済の取扱いについては、あまりはっきりしていないと思う。

  • 検討テーマが募集・支払いであったため、主としてそれを中心とした資料をお出ししたというところ。公益法人についても、どこかでご報告する機会があれば、現在の状況等についてご紹介したいと思う。

  • 保険会社からの代理店募集に対する施策には色々あり、例えばキャッシュレスや満期前の早期更改などをすれば、手数料が上がるポイント制がある。代理店の中には、一社専属であれば顧客の希望の商品を販売できないということから乗合を施行する代理店もあるが、ポイント制はどうしても扱い量にリンクしているので手数料収入が減ってしまい、やむを得ず専属になるといった傾向を承知した上で、乗合代理店・乗合募集人を考えていく必要があるのではないか。

    また、募集行為の契約概要、注意喚起情報、意向確認書面については、一定の提示をすることになったわけだが、このフォローアップがどこまでできているのか。

  • 保険会社による乗合解消のインセンティブに振り回されざるを得ない業者と、それを乗り越え新たなビジネスモデルを打ち立てていく業者という両面の傾向が出ていると思うが、特に後者のほうについては、現在の業法では十分に手当ては出来ないのではないかという問題意識がある。

  • 日本の場合には乗合の代理店がかなりあり、同じ乗合でもカテゴリーで相当程度様相が違うことがあるので、状況を教えていただければありがたい。

    また、乗合との比較の対象としては仲立人という制度があるが、現行の法制上の行為規制についての比較をお願いしたい。我が国の特徴としてはリテール分野での仲立人はほとんど活動していない状況があるが、過剰規制となっているがゆえであれば、そこは規制緩和の可能性もあると思うので、法制度を整理いただければありがたい。

    他方、FPという形で話をし、一定の方向感が決まったところで、保険については代理店で媒介してもらって下さいという段取になっている場合があるが、これは仲立の業務を2つに分けてやっているように見えなくもないので、実態を整理いただきたい。

    また、消費者が多く利用しているのは、いわゆる比較広告あるいは保険サイトといったネットの世界であるが、実際の運営者やどのような情報のもとにシステムが作られているかもよくわからないため、実態分析もお願いしたい。

  • よい乗合代理店が育っていくような、環境・ルール作りをお願いしたい。

    また、約款については、専門用語も難しく細かいため、読んでいない。大部分の人が読んでいないということを前提にして他の資料づくりの方も考えて頂きたい。

  • 募集と支払いをテーマとして立てるのであれば、それは保険全部となるため、ある程度項目を切っていただかなくてはならない。

    また、個人の募集人と、銀行みたいな大規模な募集代理店が、本当に同じ業法の中で同じような縛りを受けていいのかというのを大変疑問に思っている。

  • 今から何を決めるということは、まだ提示する段階には至っていないので、まず幅広く色々な問題を指摘いただく趣旨でお願いしたい。

  • 日本の募集法制は、保険会社からの委託を受け、保険会社に対する関係で善管注意義務を負い、顧客との関係ではベストアドバイス義務を負うとはいえない保険募集人と、保険会社から委託を受けずに顧客に対して誠実義務を負う保険仲立人という二分法をとっているという大きな特徴がある。

    また、海外には保険会社から委託を受けるが、顧客に対してベストアドバイス義務を負い、それをセールスポイントにして販売をする、我が国にはない類型があるのではないか。

    日本でいうところの大規模乗合代理店の形をとりながら、顧客に対するベストアドバイス義務を負う類型を作ることは、現在の保険業法のもとでは無理だと思うので、今後の議論に当たってはより大胆な規制もあり得ると思う。

  • 基本的には、乗合代理店の中で大規模な独立性の強い、また多数乗り合って事実上の仲立合意のようなものができるものについて、現状より厳しい規制がかかるというのは、当然最初に手がつくべきで、それと合わせて仲立人をいかすための規制緩和も別途考えるべきではないか。

    また、EUの規制は大胆に見えるが、ドイツではこのEUの規定をベースにして、我が国と同じような二分法がおそらく残るのではないか。我が国の二分法の状態でも、EU法のように読めないことはないが、事実上障害になっているのは、募集人として登録をすれば仲立人として行為が出来ず、仲立人とすれば募集人として行為が出来ない、ここだけが一番EU法と激しく抵触しているところではないかと思う。

  • 乗り合っていない会社のところに消費者が一番いいと思っている商品があるかもしれないということであれば、完全に乗合代理店でベストアドバイス義務を負わせることが可能なのかという問題は残るだろう。また、乗合代理店で乗り合っている中で一番いいものを選ぶというのは、必ずしもベストアドバイスといえるのかという問題はあると思う。

    現行、乗合である程度うまくいっているような現状を踏まえた上で、その中で合理的な行為規制を考えていくことも一つのありようだと思う。

  • ベストアドバイス義務と適合性原則について、双方近寄っていくと、あるところに妥協点が見いだせるのではないかと考えている。

  • 保険における適合性原則とベストアドバイス義務との関係の整理が一番難しい。

  • 顧客の意向に添って乗合をして、その顧客に適合する商品を推奨しようとしても、手数料収入の面を考えると、難しい部分も出てくる。

  • 手数料を開示すれば、顧客にとって何の動機で勧誘しているのかが分かり、透明化出来るが、そこまでやっている国もなかなかなく、規制のあり方を考えるのは難しい気がする。

  • まずは議論をするにあたってのスケジュールを出して欲しい。また、ベストアドバイス義務についてだが、消費者は、自分に合った保険を、最終的に自分が判断できる状態を作り出してくれと言っていると思うので、FPや乗合代理店に過剰な期待をするような法整備は反対。

  • いいものを奨励する義務というのも、非常に積極的に探し出して勧めることを法律で義務付けるイメージではなく、顧客のためにならないようなことはするなというものではないか。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
本議事要旨は今後変更があり得ます。

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