金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第47回)議事要旨

1. 日時:

平成20年10月3日(金)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館12階 金融庁共用第2特別会議室

3. 議題:

保険募集・支払い等について

4. 議事内容:

  • 隈部委員、北村委員から、生命保険・損害保険の募集・支払いにおける取り組み等の説明があり、その後、自由討議が行われた。

主な意見は以下のとおり

  • 診断書電子化の普及促進について、医療機関で発行される診断書は、各生命保険会社によって形式が違うのか、あるいは業界である程度共通化しているのか。実態について教えていただきたい。

    原則年に2回から4回、訪問・面談をして保険の請求漏れがないかを確認しているということだが、例えば死亡保険で、本人が亡くなった場合に、保険に入っているかどうかを確認しないと、その請求等が漏れる可能性があるのではないか。この辺の徹底がどこまで進んでいるのか。

    保険金請求書の提出がない場合には保険会社から請求の意志確認を行うということだが、短期保険の場合、年2回から4回の訪問あるいは面談は徹底できないと思うが、その辺についてはどうしているのか。

  • まず、診断書の標準化については、電子化と同様、取り組みを進めている段階。それから、訪問・面談は、僻地でなかなかお会いできない場合等については、電話によるアクセスで代替するなどの活動をしているところ。また、死亡した方の請求漏れは、情報提供を工夫しているが、どうしても受取人の居所不明などが出てくるところが現状、問題点として残っている。

  • 保険金請求書の提出がない場合に請求意思の確認を行うというのは、あくまでも最初に事故のご連絡を頂くということが前提になっているため、その後、そのまま放置すると、保険金の支払い漏れにつながるかもしれないというケースに対し、ご連絡を差し上げているもの。また、基本的には1年の契約を更改していく中で、代理店がお客様とのコミュニケーションを行っている。

  • 消費者に提供される情報量が過大となり、かえって理解が妨げられることが考えられるが、重要なポイントを絞った資料、契約書類の作成等の努力はどのように進んでいるのか、もしあれば教えて頂きたい。

  • お客様のご意見を頂きながら、そのあたりの改善に日々取り組んでいるという状況。

  • 監督指針等に書かれている契約概要と、注意喚起情報の記載事項の主なものについて、掲げさせて頂いている。提供する情報量については、A3両面程度を目安としているが、契約をしたときにそんなことがどこに書いてあったのかといった苦情事案を踏まえると、やはりそういうこともきちんと書いておかなければいけない。

  • クーリングオフの適用範囲の拡大については、相談をしている間に8日間が過ぎる可能性もある。期間の延長というのはどうなのか。

    生命保険支払専門士制度について、47都道府県の配置の状況や活躍の状況はどうなっているのか。支払いだけが専門なのか。

    お客様訪問について、各会社で対応に差があるのか。

    損害保険は1年契約がメインだが、契約継続が大半であるため、長期契約という思想に立って頂きたい。特約をいろいろつけると、請求時に分からなくなるためフォローをしてほしい。

  • クーリングオフの期間延長については、まだこれから検討すべき課題という認識でいる。それから、支払専門士は、本社の査定担当者が中心になって受験をしており、別途医師や弁護士を呼んで、さらに専門性の高い研修を受ける形で取り組みをしているため、本社部門に人員が集中している。

    また、お客様に対するアフターフォローの活動は、各社においていろいろな形で取り組んでいるところであると思っている。

  • 損害保険の特約については、利便性が高くなるよういろいろな商品上の工夫をしてきたが、一方で保険金の支払漏れというところもあり、商品上の見直しを進めていくところ。契約を継続頂くときの説明に関しては、代理店を通じてということになるが、保険会社としても取り組んでいる。

  • 生命保険について、現在の特約のあり方が極めて複雑になっていて、直観的にわかるようにはなっていない。例えば、3大疾病とあるが、ある病気で入院をした場合、どれとどれが重複して給付金がもらえて、どういう場合で除外されるかというのは、どこかに書いてあるのか。

    損害保険について、毎年少しずつ特約がつけ加わっていくタイプの場合、満期案内のあり方や増加する特約の数に問題があり、それによって払い漏れが起きるのは当然ではないか。

  • 給付について、該当の可能性のあるものを幅広く抽出する査定システムを組んでいるので、重複関係についてすべて契約概要の中で書き込むというのは、それはそれで理解が進まないというところがある。全てを羅列する形にはなっていない状況ではあるが、支払漏れに関しては防止できる体制になっていると認識している。

  • 損害保険の特約は、事故があったときにこんな保障もできたらいいという発想で開発されてきたものであるため、更改に当たって特約をお勧めすることは自然なことと思っているが、あまり使われていない特約については見直していくなど、満期案内の仕方を工夫していくことを考えている。

  • 顧客向けの帳票が多過ぎないか。3つか4つに整理してほしい。

    商品が複雑で難解なために消費者が理解できず、募集人も理解しないで説明をしている現実があるのではないか。

    商品の簡素化、約款の平易化がどの程度保険会社・業界の努力でできるのか。もしかすると、行政の努力でやらないといけないのか。

    募集人の資質向上ということで両業界とも努力をしているものの、本当にそれで足りるのか疑問がある。要は契約者が適切に保険を選択できる環境がつくられればいいと思っている。

  • 商品については、簡素化に向けた努力というのは、徐々にではあるが進めているところ。募集人の資質の向上については、社内の検定制度があり、一定の説明能力を確保する努力をしている。

  • お渡しする情報量が多すぎるという指摘については、同様の懸念を持っているが、業界側の努力にはおのずと限界があるため、ご検討頂きたい。また、商品が複雑であるということに関しては、再度見直しを行っているところであるが、主力商品である自動車保険については、多岐にわたる保障をしており、それはそれで利便性をもたらしているところもある。

    募集人の資質向上については、苦情の発生状況を繰り返し見ていくことでレベルアップを図って行こうと思っている。

  • 契約概要や注意喚起情報については、改善はしているものの、やはり体質や文化が変わっていないと痛感した。なお一層努力をして頂きたい。

    生命保険の支払専門士の創設について、範囲やレベルはどのように考えているのか。支払わないための勉強ではなく、どうすれば支払えるのかでやって頂きたい。また、支払いの場面は、被保険者側からの請求主義が原則となっているが、特約が加わっていることもあり、契約者もわからない状況にあるので、きちんと支払いを請求して頂くための責務を今後の論点として取り上げて考えて頂きたい。

  • 支払専門士の試験について、請求を受けて、支払えるか支払えないのかの判断をするという意味での能力の向上を意識しているため、支払査定担当者としての基礎的知識や判断レベルの習得を図ることが大きな目標となっている。

    それから、請求主義に甘んじていたことが過去の支払問題の一つになっていると理解しており、日常のアフターフォローの中で注意喚起をしていくほか、システムチェックの仕組みを設けるなど、漏らさずご請求頂く仕組みはかなり進展している。

  • 営業職員、募集人について、年に1回しっかり教育をするといっているが、保険募集人の継続率は向上したのか、その資質は上がっているのか。

    契約の説明資料については、少なくとも約款と契約のしおりだけで、ある程度理解できないと読まないだろう。約款については、募集人も読んでいないのではないかというお話があったが、約款を読んでいるか調査はしているのか。

    また、一方で、一般の人が判断の材料としている販売パンフレットや保険設計書の改善はあまり図られていないと感じた。設計書中の「ポイント」という言葉については、保険用語として定義がきちんとされていないため、一体何なのかわからなかった。

  • 募集人については、営業職員制度改革を行い、一定の基盤が付与できない状況においては、新しく募集を行わないという形にしている。成果について具体的な数字は持ち合わせていないが、解職率は改善していくものと考えている。

    説明資料については、実際に調査しているかどうか把握していないため、また機会があればお話をさせて頂きたい。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
本議事要旨は今後変更があり得ます。

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