金融審議会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」(第48回)議事要旨

1. 日時:

平成20年10月27日(月)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第1特別会議室

3. 議題:

保険募集・支払い等について

4. 議事内容:

  • 最初に、事務局より大和生命の経営破綻及び生命保険のセーフティネットについての資料説明があり、自由討議が行われた。

  • その後、国民生活センター相談部より、生命保険・損害保険に関する相談についての資料説明があり、自由討議が行われた。

主な意見は以下のとおり

【セーフティネットに関する自由討議における主な意見等】

  • 大和生命の特異な収益構造について、どの段階で、どの程度認識していたのか。もし、問題が多いということであれば、何らかの指導、勧告、もしくは助言をしたのか。

  • 大和生命については、そういう収益構造の中で16~18年度はうまくいっていたものの、19年度後半から市況の悪化により有価証券の損失が拡大し、このような事態に至ったもので、当局としてもかなり遺憾だと思っている。その間、当局では資本調達を一番のポイントとして、同社と協議等をしてきたところ。

  • 大和生命の有価証券運用利回りは、他社に比べて約2倍であり、ハイリスク・ハイリターンの運用をしていたのが明らかである。検査、監督を通じて、そのような運用について、監督当局として何らかの指摘又は保険業法第132条に基づく権限を行使していたのか。

  • 法律に基づく業務改善命令はしていないが、報告徴求等はやっていたかと思う。

    資産運用については、基本的には経営者の判断であるが、当局としても19年度決算前後から、警戒レベルを高め、様々な努力を促してきたが、資本調達も含めてそれが実らなかった。

  • 今回のセーフティネットの強化は、妥当性のあることだが、破綻後は責任準備金が削減されるなど、契約者にとっては非常にダメージが大きいので、更なる施策は何か考えているのか。

    また、事前に破綻に至るのを防ぐような形として、ソルベンシー・マージン規制の強化等の他にどんなことをお考えか。

  • 他社の収益構造は大和生命とは異なり、開示されている財務諸表はいずれも問題はないが、その後の市況の悪化等により、当局は警戒水準を高めて各社の状況を見ているところ。特段問題のある会社はほかにはないと認識している。

  • 大和生命が破綻した時、契約者に高齢者がかなりいたが、きちんとハイリスク・ハイリターンの商品であるということを納得して買われたのか。

    保護機構への拠出について、ハイリスク・ハイリターンの運用を前提とした商品を販売している保険会社も、普通の利率を保っている保険会社も、一律に拠出するのは、公平性に欠けるのではないか。別に監視・監督が必要ではないか。

  • 同社が販売している保険商品は、特段他の会社と比べてハイリスク・ハイリターンの商品ではなかった。主に、経費が高く、高コストの中で運用利回りを高めた運用をしていたところ、有価証券の損失が膨らんで破綻に至ったものである。

  • 大和生命の保険商品について、他の保険会社と極めて異なっているというような状況は全くなかった。保険会社の長期的な財務力について、監督当局にきちんとチェックしていただきたい。

    セーフティネットの責任準備金の90%を確保というのは、預金保険の1,000万円を確保というのに比べ、非常に不安感、不信感がある。

  • 同社はソルベンシー・マージン比率が基準である200%を超えていたため、早期是正措置の対象とならなかった。ソルベンシー・マージン比率については、リスクを精緻化する方向で検討しているところ。

    また、責任準備金については、契約者が保険料を積み立てたものであり、更生手続きに入った場合に責任準備金の90%まで守られるものであるが、理解していただくために、工夫をしているところ。

  • 今回の措置に対しては、緊急事態としては妥当なものだったと思っているが、政府の補助とは税金であり、業界負担分ということは、健全な保険会社を選んでいる契約者の負担だということを、国民にわかるようにきちんと説明して頂きたい。消費者保護という美名のもとに、消費者の利益を損ねることにならないよう、わかりやすい説明とともに議論をお願いしたい。

  • 大和生命の経営破綻について、契約者側の情報がほとんど入っていない。何人の保険契約者がいて、どういう契約をしていて、どういう影響が及ぶのか、説明と図表の添付をお願いしたい。

  • 保険契約者は約18万人であるが、保険金削減幅については、今後の会社更生手続きの中で決まってくるということで、ご了解いただきたい。

【生命保険・損害保険の相談事例に関する自由討議における主な意見等】

  • 保険会社は、不払い問題を受けて、契約の確認照会をやっていると思うが、ここで相談をされた方々は、保険会社の照会確認を受けていたのか。また、契約者、被保険者の言い分を受けて、保険会社はどのように言っているのか。

  • 紹介したものは、契約確認照会がなかった段階での契約であるため、今後は契約確認照会がきちんとされれば、件数は減ると思う。契約者等の言い分を受けて、消費生活センターから事実確認についてきちんと調査し回答している。

  • この1,2年の分析をしていないようだが、保険の事例の分析はどのような体制で行っているのか。資料中の四半期の数字以外は、金融トラブル連絡調整協議会に既に報告されたものであり、新鮮な情報が何もない。また、事例・事象の発生時期と、保険商品名、契約時期、結果を載せていないが、載せられない何らかの理由があったのか。

  • ここ、1,2年の契約についてのトラブルについても、取り急ぎ出していかなければいけないと思っている。処理結果を書かなかったことについて特段の理由はないが、それぞれ終了している案件をご紹介している。

  • 金融商品取引法施行以降どう変わったのか、保険業法改正でどう変わったのか、保険金の不払いについて、業務改善命令等が出されて、その後どうなったのか。それぞれの対応の前後の効果を見なければ、意味がないと思う。金融庁が今後いろんな方を呼ぶのはいいが、生産的な議論ができるようにすべきであるし、金融庁の方々が汗をかいて現場に行って頂きたいということを要望する。

  • いわゆる2005年の不払い問題が発生した後の接客対応について、依然として変わっておらず、改善されていないのかと思う。社内教育できちんと対応するようにされていないのか。

  • 契約から保全、アフターフォローにかけて、メインは対面のお付合いとなる中で、接客がクローズアップされてくるという気がしている。このような批判を受けているところは十分反省し、教育等の徹底をさらに充実させていかなければいけないと考えている。

  • お客様目線に立った対応については、業界としても、業界各社及び協会として推進をしているところであり、わかりやすい商品設計及び説明を心がけている。

  • 契約に関する情報の提供が拡充されてきて結構だという意見もあるが、その一方で情報が膨大すぎると内容がわかりにくくなる。また、情報をもっと絞り込み、商品をシンプルにすべきという声がある一方で、個別の問題になると、この点が書いていないなどの問題点も指摘されている。

    情報の提供がどういう機能を果たして、今後このまま拡充されるということでいいと考えているのか、それとも、その方向だけでは解決できない問題があると感じているのか。

  • 相談の現場では、最近の傾向として金融・保険等の分野の相談が増えてきている。これらは専門用語が多く使われており、複雑でよく見えないが、生活インフラとして欠かせないものとなっている。わかりやすい情報の提供は必要だが、払える場合と払えない場合等について、丁寧にいろいろ話を聞いているうちに、わからなくなってしまうことが多いという印象がある。

  • 生命保険会社等に対する行政処分が出た後に、質問の内容は変わったか。またこれは高齢者に偏った問題なのか。

    客観的に見て、明らかに商品性や説明が悪いという事例が多いのか、消費者がもう少し健全な注意力を払えば、こういうことには陥らなかったのか、感触としてはどちらが多いのか。

  • 行政処分や金商法・保険業法の改正でどのように変わったのか、その辺は早急に整理をして、情報提供をしていくようにしたいため、感触としてお答えするのは差し控えたい。しかしどちらかといえば、消費者に納得がいかない点でのトラブルは、何らかの説明不足が伴っているケースが多いと受け止めている。

  • 相談件数のうち、金融・保険が大体17%となっているが、この分類はだれがどのように行っているのか。

    こういった相談に対して、どういう対応をしたか、またその結果での分類の整理はされていないのか。

  • 分類については、パイオネットという全国消費生活相談情報ネットワークで集積した104万件について、各自治体・消費生活センターでルールに基づいて複数カウントで振り分けている。処理結果については毎年、年報という形で出しているが、結果について分類の整理をすることについては、可能ならやるようにしたいと思っている。

  • 国民生活センターの守備範囲は大変広く、いわゆる食品の安全から介護の問題までいろいろある中で、このごろ増えているのが、金融の相談、特に保険の相談が多いという実態がある。

  • 国民生活センターが抱えている情報は、対応の最後まできちんと追いかけた情報になっていない。情報収集や分析を強めて頂かないと、政策に生かされるような提言に結びつかないのではないか。

  • パイオネットは情報収集のためのシステムであり、最後はどうなったかというところは情報としては弱く、課題だと思っている。しかし、情報の中からある取引、事業者、商品について抽出できるような仕組みを今年度中に完成させる予定となっている。

  • 本当の意味で苦情と言われるものがどのくらいあるのかを精査しなければ、ミスリードしてしまう可能性がある。相談に対する助言というのは、保険の商品についての理解不足を前提にした内容なのか、いわゆる苦情なのかを整理して教えていただきたい。

  • 事業者と消費者の情報量、交渉力の格差が消費者相談となるため、そういうものを補っていくのが助言だと思っている。

  • 例えば消費者サイドに立って保険のアドバイスをするという人がいれば、その人のところに相談に行けると思うが、そういう制度がないので、苦情を言うところに相談に行ってしまい、件数を積み上げているのではないか。その部分を類型化して、明らかに保険会社サイドに問題がある事例を精査して頂きたい。

  • どういう保険商品で、どのような解決処理をしたのかなど、細かい情報をデータベースとして作るべき。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課保険企画室(内線3571)
本議事要旨は今後変更があり得ます。

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