金融審議会 市場ワーキング・グループ
「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」(第3回)議事録

  • 1.日時

    平成28年12月2日(金)16時00分~18時00分

  • 2.場所

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【黒沼座長】

それでは、時間ですので、ただいまより、金融審議会市場ワーキング・グループ「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」第3回会合を開催いたします。皆様、ご多忙のところ、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、議事に移らせていただきます。本日は、議事次第にありますように、これまでの議論を取りまとめた金融審議会市場ワーキング・グループ「フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース」報告案につきましてご議論いただきたいと存じます。

それでは、まず、事務局から資料のご説明をお願いします。

【田原企業開示課長】

それでは、お手元の資料に従いまして、本日ご議論いただきます報告案につきまして、ご説明をさせていただきます。前回までのご議論を踏まえまして修正をした部分などを中心にご説明をさせていただきたいと思います。

まず、1ページ目でございますけれども、これが案ということで、「金融審議会 市場ワーキング・グループ フェア・ディスクロージャー・ルール・タスクフォース報告(案)」というふうにさせていただいております。

1.の「発行者による公平な情報開示を巡る状況」でございますけれども、今までご説明いたしましたとおり、公表前の内部情報を発行者が第三者に提供する場合に、当該情報が他の投資家の方にも提供されることを確保するルール、いわゆるフェア・ディスクロージャー・ルールというものが日本には置かれていないという中、発行者の方が当該証券会社のアナリストの方に未公表の業績に関する情報を提供していたというような問題が発生したということでございます。

欧米やアジアの主要国では本ルールが整備されておりまして、重要かつ未公表の情報というものを特定の方に伝達した場合には、意図的な場合には同時に、意図的でない場合には速やかに情報を公開しなければならないというルールがあるわけでございます。

こういう状況である中で、このページで変更したところは、注の、「重要な情報」と「発行者に直接関係する内部情報」のところで、1つは、確定的な正確な情報というふうに前回ご指摘いただきましたが、「precise nature」については「確定的な」と訳させていただいております。それから、前回、significant の訳についてもご指摘をいただきましたので、「重要(significant)な影響」というふうに直させていただいております。

そういうことで、1ページ目は、今の状況についてご説明をさせていただいたということで、大まかな記載はこれまでご説明したものと同様でございます。

2ページ目でございますけれども、「本ルール導入の意義」ということでございまして、前回まで、箇条書きでご説明をしてまいったわけですけれども、中心的な意義というものは、最初の3行に書いてございますように、「個人投資家や海外投資家を含めた投資家に対する公平かつ適時な情報開示を確保し、全ての投資家が安心して取引できるようにするため」に導入すべきということであるかと思いますので、そこを最初に明示をさせていただきまして、その上で、ここに掲げてありますようないろいろな積極的な意義があるということを記載をさせていただいております。また、本ルールの整備・運用に当たっては、これらの意義が活かされるように留意していく必要があるということでございます。内容的には、前回ご議論いただいたものと変わってございません。

それで、3つ目の(1)、これが一番これまでご議論いただいたところかと思いますけれども、ここにつきましては、これまでのご議論を踏まえまして書き直させていただいておりまして、まずもって、対象になる情報は、これはもともとそのように整理をさせていただいていたわけですけれども、欧米の制度と同様に、投資判断に影響を及ぼす重要な情報を対象とするということでございます。

この際、前回のご議論は、情報の範囲を検討するに当たって、その発行者の方が本ルールを踏まえて適切に情報を管理することが可能となるようにすること、それから、情報の受領者である投資家の方におかれても、発行者から提供される情報が本ルールの対象となるかどうかの判断が可能となりますようにしまして、その上で、本ルールの対象となると思料する場合には、発行者の方に対して注意喚起できるようにするということが必要ではないかということであったかと思います。

また、こういった対話の中で、何が重要な情報であるかについて、プラクティスを積み上げられるようにすることが望ましいということであったかと思います。

その際に、具体的な情報の範囲につきましては、欧米と同様にということもございますし、前回の議論でも、そういうことを中心に触れさせていただいたわけですが、現在のインサイダー取引規制の対象となる情報の範囲をベースとするということであると思います。

前回もご議論いただきましたけれども、一方で、近年の証券会社への行政処分の原因となった事例というものを踏まえますと、例えば公表直前の決算情報ということになりますと、機関決定に至っていない情報ですとか軽微基準の範囲を超えない情報であっても、投資者の投資判断に影響を及ぼす重要な情報となる場合というのがあるということでございまして、こういったものを今のインサイダー取引規制の対象となる情報をベースとして外してしまっていいのかという問題が出てくるということであったと思います。

1ページおめくりいただきまして、したがいまして、本ルールの対象となる情報の範囲でございますけれども、インサイダー取引規制の対象となる情報の範囲、すなわち、金商法の166条、一部については167条に具体的に列記をされておりますが、これと基本的に一致させていくと。

その中で、それ以外の情報の中で、発行者または金融商品に関係する未公表の確定的な情報であって、公表されれば、発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性があるものを含めるということが考えられるというふうに整理をさせていただくのが適当ではないかということで案をつくらせていただいております。

なお、この際に、工場見学ですとか事業別説明会で提供されるような情報など、他の情報と組み合わさることによって投資判断に影響を及ぼし得るものの、それのみでは直ちに投資判断に影響を及ぼすこととは言えない情報、いわゆるモザイク情報は本ルールの対象外とすることが適当ということであったかと思います。

マル2のエンフォースメントでございますけれども、前回もご議論いただきましたとおり、こういったプラクティスを積み上げる中で、どういうものが対象になるかというのを最終的には確定していくということでございますので、ルールへの抵触した場合の対応ということにつきましても、まずもって行政的な対応ということで前回ご議論いただきましたが、その際にも、すぐに法律上規定された措置ということになりますと、やはりいろいろ影響があるということでございますので、これは実際の開示実務でも行われているわけですけれども、まずもっては行政指導というか、日々の接触の中で、必要があれば速やかな公表を促すというようなプラクティスで、行政のほうもソフトな対応をとって、このプラクティス、プリンシプル・ベースの実務の積み上げというものを支援していくというような形をとることが望ましいんじゃないかということで、その点について書き加えさせていただいているところでございます。

それから、(2)、(3)の情報提案者の範囲、情報受領者の範囲は前回ご議論いただいたものと同様のものとさせていただいております。

1ページおめくりいただきまして、公表を必要としない情報提供でございます。こちらにつきましてもご議論を頂戴いたしまして、そもそもの話としては、(3)でこのルールの対象となります情報の受領者の方に情報を提供する場合であっても、第三者に伝達しない義務、いわゆる守秘義務と投資判断に利用しない義務というものをその情報を受領する方が負っている場合には公表する必要がないということでございます。

その際、守秘義務を負っているということで公表しなくてもいいということであるわけですけれども、守秘義務を破って当該情報を他者に伝えてしまった場合にどうするかということでご議論を頂戴いたしました。

考え方としては、どんな方にお話をされた場合でも、破った以上、公表義務がもとに戻るべきだという考え方と、(3)にあるような対象者にお話をされたという場合に公表義務をかけるべきだと、両方の考え方があるかとは思うのですけれども、前回議論された内容や公表義務であることとの関係を考えますと、守秘義務に違反して、(3)の情報受領者の範囲の方々に情報を伝達してしまったような場合、こういった場合について、本ルールに基づく情報の公表というのを発行者の方に求めるということが前回のご議論の結果としては妥当だったんではないかということで、そちらのほうで案をつくらせていただいているところでございます。

(5)の情報の公表方法につきましては前回と同じということで、ホームページによる公表を行っていただくということでございます。

それから、その他には、前回いろいろとご指摘を頂戴しました、ルールの趣旨について関係者への啓発活動が必要なのではないか、あるいは、発行者による早期の情報開示を促進し、投資家の方と発行者の方との建設的な対話を促進するというこのルールの意義が果たされるような環境整備を行っていくことが必要ではないかということについて、記載させていただいたということでございます。

以上、案につきまして、ご説明を差し上げました。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

なお、本日ご欠席の上柳委員及び永沢委員より意見書の提出がございましたので、席上配付させていただいております。お二人の意見もご参照ください。

今回の議論の進め方ですが、報告案の内容を3つに分けてご議論いただきたいと思います。

それでは、まず、1.の「発行者による情報開示を巡る状況」、及び、2.「本ルール導入の意義」につきまして、ご発言いただけますでしょうか。いいですか。

もし何かお気づきの点がありましたら、また最後のところでお伺いすることになりますので、先に進めることにいたしまして、3.の(1)、「本ルールの対象となる情報の範囲と運用・エンフォースメント」につきまして、ご発言をお願いします。大崎委員。

【大崎委員】

ありがとうございます。これまでの議論をうまくまとめていただいたんじゃないかと思うんですが、ちょっと1点確認的な質問をしたいのと、1点意見を申し上げたいんですが、質問でございますけれども、先ほどもちょっとご説明いただいたんですが、3ページのエンフォースメントのところの書きぶりですね。前回の資料に比べると、厳しいエンフォースメントが望ましいというような観点に立てば、後退したというか、そんなに厳しいエンフォースメントをすることはそもそも適切でないという観点からすると、非常に緩やかな書きぶりになったというふうに私は理解して、私はどちらかというと個人的な意見としては後者なもんですから、大変適切な書き方になったと思うのですが。

その上で1つ確認したいのが、ここで書かれている行政的な指示・命令についてなんですけれども、これ、やはりそういう指示・命令が実際に出された場合に、従わないという場合には、最終的には実際にほんとうに発動されるかどうかは別として、課徴金とか刑事罰というような制裁が伴うというふうに考えておられるのか、そこまでは考えてないのかということについて、現時点でのお考えを聞かせていただければと思います。

それから、この部分についての意見なんでございますが、2ページのところにうまく書いていただきましたが、この「発行者と投資家の対話の中で何が重要な情報であるかについてプラクティスを積み上げることができるようにすることが望ましい」。私は全くこれに賛成でありまして、やはりどうしてもどういう情報が対象になるんだ、教えてくれ、できれば事前に並べてほしいというような声が実務家から出やすいということは百も承知なんですけれども、前回までの議論でもいろいろありましたとおり、会社によって、文脈によって、同じような情報でも、場合によったら株価に影響がある、場合によっては影響がない、いろいろあるというご指摘も多々ございまして、全くそのとおりだと思いますので、ここはでき得れば、事前にここに並んだやつは全部いわばフェア・ディスクロージャー規制に大いに引っかかるよというような出し方をしない進め方をやっていただければと思います。これは金融庁、取引所、どちらにもお願いしたいところでございます。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

そうですね。最初の質問についてのお答えをお願いします。

【田原企業開示課長】

最初のご質問にお答えいたしますと、行政的指示・命令を法律上書くという関係で罰則を置かなければいけないという可能性はあろうかと思いますが、実際にこの罰則が発動されるような場面というのは考えにくいのではないかと。対象となるのは上場企業ということでございまして、エンフォースメントにおいて、まずもって行政的な話し合いで公表を促して、その次に、指示・命令ということですので、命令に違反するような企業は考えがたいので、罰則になることはないというふうに思っております。

一方、課徴金については、ご指摘はあったかと思うんですが、これまでも検討を特にするという議論はありませんでして、案として導入を考えているということはございません。

【黒沼座長】

柳澤委員。

【柳澤委員】

ありがとうございます。情報の範囲に関しまして、繰り返しの論点になるかもしれませんが、改めて留意しておきたい点をコメントさせていただければと思います。

今回の報告案で示された具体的な情報の範囲につきましては、重要事実をベースに、軽微基準の範囲を超えない情報も含められるよう、「適切に拡張した範囲」を想定した定義づけになっていると理解しております。

範囲の広さという点では、重要事実よりは広めで法人関係情報よりは狭いということになっていると捉えております。そういった意味では、既存の重要事実がベースですので、例えば企業と投資家が対話を行う上では、範囲の目安について比較的共有しやすく、また、互いに留意しやすいたてつけになっているものと受け止めております。

一方で、こうした範囲で適切な定義づけがなされましても、やはり解釈の仕方には一定の余地が残り得るものと考えておりまして、仮に開示を抑制するような方向で拡大解釈的な対応がなされますと、選択的開示を回避するという理由づけを、さまざまな情報にわたって幅広く適用してくるような状況も起こりかねないと思っております。

当然のことながら、企業ごとに解釈の仕方にはバラツキが出てくると想定されますので、ルールの意義を理解し、投資家との対話を促進する姿勢を持って、情報開示の維持・拡充に努めようとする企業が出てくると期待される一方で、逆に、そうでない方向性の企業も出てくる可能性があるかと思います。

こういった観点で申し上げれば、結果として、全般的な情報開示の質と量の低下、あるいは、平均的な開示レベルが押し下げられてしまうといった事態を招くことのないよう、情報の範囲に関する定義づけとあわせて、解釈指針、ガイドラインといったものを設定しておくことが望ましいのではないかと考えております。

その上で、例えば企業側が解釈指針、ガイドラインに則して、対象となる情報の範囲や、何が重要な情報であるかに関して個々に考え、検証し、改善していくといったプラクティスの蓄積が好循環で進んでいくようであれば、アナリストの客観的で正確な分析のための環境整備といったルール本来の導入意義にもかなうものと考えています。

他方、アナリスト側も、情報範囲に関する解釈指針、ガイドラインを咀嚼して、企業に対する質問を精査し、どこまで踏み込んでディスカッションすべきかなど建設的な対話を意識しながら、実践的なチェックが可能になるのではないかと思っております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

寺口委員、お願いします。

【寺口委員】

今の柳澤委員のコメントに若干関連していることなんですけれども、その情報の範囲についてですが、前回、それから、前々回のタスクフォースにおいて、協会で定めました、いわゆるアナリストのガイドラインと整合的な内容としていただければということを申し上げてまいりました。

アナリストのガイドラインでは、例えば未公表の業績に関する月次の情報ですとかセグメント情報はもとより、業績の着地見通しを示唆する情報、それから、業績に関する数値情報のトレンドもしくは変化、そういった定性的な情報についても、未公表の決算期の業績に関する情報として取材を禁止しております。

これらの情報は、今回ご説明していただいている、公表されれば発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性がある情報に該当し、よって、本ルールの対象となる情報の範囲に含まれるのであろうと理解をしております。それであれば、アナリストのガイドラインと整合的であって、実務的になじみやすいのではないかと考えております。

今のお話にもありましたけれども、その情報の範囲に関連して、上場企業の開示姿勢が後退してしまうのではないかという懸念があるというふうに聞いておりますけれども、私はむしろ、発行者のベタープラクティス、こちらを期待しております。

上柳先生の配られているこちらのコメントにおいても、下のほうにありますが、「市場による正当な評価を求める発行者は、本ルールを守ろうとして情報提供一般に慎重になるのではなく、本ルールにより積極的に情報提供されると思われます」と述べておられますけれども、私も全く同じ考えです。

さらに、その積極的な情報提供というベタープラクティスが最終的には広く共有されるのではないかというふうに期待しておりますし、信じております。

一例といたしまして、私が経験した、90年代後半の日本企業のIR活動の話を紹介させていただければと思います。当時、私は野村證券のロンドン拠点のほうで日本株の営業責任者をしておりました。その際、日本企業の欧州でのIR活動をお手伝いさせていただいておりました。当時年間100件超、その前年が50件超だったので、まさに日本企業の海外IRの黎明期であったと思います。

当時、そのロンドンのいわゆる外国人投資家になりますけれども、日本企業のIRについて、例えば情報の質ですとか、そういった点から、欧米企業のIRに比較して、大きく出遅れているのではないかと、そういう企業が多いのではないかという不評の声も当時よく聞きました。

一方で、もちろん、すばらしいIR活動をされていた企業もたくさんございましたので、投資家と発行者との対話の中で、さまざまなIR活動のヒントが見出されて、他社のよい例が投資家から発行者、つまり、日本企業へと伝わり、まさしくベタープラクティスが日本企業のIR活動の中にどんどん浸透していったというふうに記憶しております。結果、現在ではその日本企業のIR活動は海外では極めて高い評価を受けているのだと思います。

市場の中での投資家と発行者の対話というのは、悪いプラクティスに収斂されるのではなくて、ベタープラクティスに収斂されるのではないかと思っています。そのような観点から、今回のフェア・ディスクロージャーの議論にあっても、開示姿勢の後退になるのではなく、よりよい開示姿勢へ収斂されていくものではないかと期待をしております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

真野委員、お願いします。

【真野委員】

ありがとうございます。今の寺口委員のご発言に基本的に賛成なんですけれども、発行体のほうからの意見として、多少申し上げさせていただきます。

今回の報告案は、非常に丁寧且つ上手にまとめていただいたというふうに考えております。原則、現在既にプラクティスとして成立しているインサイダー取引の重要事実をベースにしましょうと言うことですが、それだけだと確かに足りないかもしれない。その中で、実際に問題が起こったのが決算情報ということなので、決算情報については対象にしてもいいんじゃないのか。それがいわゆるアナリストのガイドラインにも適合しますねということで、これは発行体としてもとてもよくわかるところです。決算情報は確かに公表前に開示しては困るものであり、開示するんだったら、当然フェアでなくちゃいけませんというところだと思うんですね。

そこまでは全く異論がないところなんですが、あと、現在の素案としていただいているのが「未公表で確定的な情報であって、公表されれば、発行者の有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性があるもの」となっております。これを言ったときに、これって一体何なんでしょうという話が、多分発行体からは出ると思うんですよね。そのときに、まずは、まだ未公表の決算関連情報ですというふうに言っていただける と、非常にわかりやすいし、安心して対話ができると思います。

その先、じゃあ、それ以上何かあるのかと言われたときに、何らかのガイドラインが出れば、それはそれでまた一つの考え方だと思いますが、あとは、まさにここに書いているとおり、プラクティスの中でやっていきましょうと言うことだと思います。というのは、やはりエンフォースメント、非常にマイルドに書いていただいたので私も賛成なんですけれども、このエンフォースメントがある以上、やっぱりこれってどこまで入るのかって必ず発行体は聞くと思います。ほかの企業さんも多分同じようにおっしゃると思うんですよね。

そうすると、とりあえず未公表の決算情報として、それ以外のものについては、それぞれの対話の中で考えて行く。まさに今、寺口委員がおっしゃられたベタープラクティスとなるように持っていくためには、まずはそこから始めてみて、エンゲージメントの中でいろんなものが出てくるようであれば、加えていくと言うことかと。しかも、会社の規模とか、業態によって重要な情報はおよそ違いますので、各社のよりよい判断の中で、これはやっぱりフェアに出したほうがいいでしょうというプラクティスを積み重ねていくほうがより現実的かと思いますので、そういった意味で賛成をさせていただきたいと思います。

ただ、この部分については多分これから企業側といろんな対話を行っていくことになると思いますので、法制化するまでに、その中でさらに掘り下げていっていただければというふうに考えております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

それでは、神山委員、三瓶委員の順でお願いします。

【神山委員】

今、真野委員から、発行体側からの考え方ということをお示しいただいて、基本的にはそのような方向なのかなと思っております。情報の範囲については、特にインサイダー取引規制と一致させていくというご説明でしたので、今、真野委員がおっしゃったような、どこまでが情報の範囲なのかという点については、いわゆる包括条項というかバスケット条項も含むということになるのだろうと思います。

ただし、バスケット条項ということになると、現在のところまでの判例を、我々から見ると、結果的にバスケット条項に触れたというようなことも起こっているような感じもしております。そういう意味で、真野委員のご発言のように予見性の確保がなかなか難しいということが我々の感じ方としてあり、それがひいては、対話あるいは、情報開示を萎縮させるであるとか、やや保守的になるとか、そういった原因になる可  能性があるということは一言申し上げさせていただきたいと思います。

そうしたことを避けるためにも、ほかの委員の方からもいろいろ出ておりましたように、ガイドラインをつくるのかどうかわかりませんけれども、これから、政府であるとか、あるいは、業界の中でも情報の範囲に関する議論を続けていく必要があるのではないかと思っております。

特に今回、法律として規定されるということは我々企業側としては非常に重いものだという感じ方をしております。開示規則なら軽いということではないのですけれども、法律として一つのものができ上がるというのは我々発行体としては非常に重たく受けとめざるを得ない。それが、情報開示や対話の萎縮といった悪い方向に行かないような方策というのを皆さんで考えていかなければならないのかなと思っています。

【黒沼座長】

それでは、三瓶委員、お願いします。

【三瓶委員】

まず、情報の範囲ですけれども、これまでの議論を、多岐にわたる議論を上手にニュアンスを取り込んでまとめていただけたと思います。特に2ページ目の下の「情報受領者である投資家」というところで、発行体に対して注意喚起できるようにする、こういうことが非常にこれから重要になってくると思います。そして、その下に書いてあるプラクティスを積み上げること、こういったことが望まれているということを明記していただいたというのは非常にいいと思います。

そして、3ページの上になりますけれども、ここが大事なところだと思いますが、ここについての未公表の確定的な情報であって価額に重要な影響を及ぼす可能性があるものというような表現で書いていただいたこと、それと、その下の「なお」で、モザイク情報についても言及していただいたこと、ここら辺、非常にわかりやすくなったと思います。

一方で、今も企業の方から、それにしても、範囲というのは非常に難しいというお話があります。よくよくまたこれを読んでみますと、その3ページの一番上のパラグラフですけれども、「価額に重要な影響を及ぼす可能性があるもの」というときに、可能性があるというのは、ちょっと私は法務の専門家ではないので、法的な解釈の仕方があるのかどうかわかりませんけれども、一般的に考えると、可能性がゼロではないということも含まれてしまうとなると、範囲がもしかしたら広いのかもしれないと。そうすると、せっかくいろんなところで確定的な情報、かつ、価額に重要な影響と書いたにもかかわらず、可能性が広がってしまうことはちょっとどうかと。

そうすると、1ページの下のほうにあります米国のSECのガイダンスのほうで使っている言葉、「相当の蓋然性がある」、これはこういう表現だと、可能性がゼロではないということよりは、可能性が高い方向に近づいてくるんだと思います。

それで、そもそもの参考にしたと思いますEUの市場阻害行為規制の文言というのは、would be likely to ということでlikelyという言葉が入っています。ですから、これは可能性が若干高いほうに属するので、そういったような相当な蓋然性とかいうことであると、もうちょっと絞れるのかなという感じがしました。

それと同時に、この未公表の確定的な情報というのが主に決算情報を示しているだろうという御意見があって、私も主にはそうだろうというふうに思っています。これについては、今、東証のほうで行われている決算短信の出し方について見直しがされていますけれども、これに絡んでいって、より早く開示ができるような体制ができるんではないか。

この早ければいいというのは投資家だけの視点だろうというふうに思われる節が今まであったかと思いますけれども、こういった新たなフェア・ディスクロージャーのルールができる中で、確定的になっている情報、決算情報であれば、それは早く手から離れて外に公表することによって、発行体企業のほうもリスクフリーになると、そういったメリットがありますので、ここについては双方にそういったメリットが実はあるということで、また、市場の健全性も促進されるというような意味合いではないかというふうに捉えています。

最後に、永沢委員からのコメントで、2枚目の下のほうにありますけれども、下から5行目ですかね。「個人株主は、仮に悪い情報で落胆することはあっても、動揺することはありません」。これは個人株主もそうなんでしょうし、機関投資家もそうだと思います。よく企業とのコミュニケーションの間では、ネガティブ情報とかいう言い方をされていますけれども、こういった情報がむしろ早く出ることによって、株価として底抜けてしまうというようなことはなくて、どこまでネガティブか、ネガティブの理由がわかるということはかえって株価形成には安定性をもたらすということで、こういったこともうまくタイムリーにコミュニケーションされていけばというふうに思います。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

【田原企業開示課長】

今、三瓶委員からご指摘のありました可能性とするのか、相当の蓋然性とするのかについては、趣旨としてはもうこの場でいろいろご議論いただいた趣旨だということで、おそらく文言をどう変えても、おそらく実際に実務として行われることはそれほど変わらないと思いますのと、実際に書くときは、いろいろ法的な関係もあるので、文言自体は、もちろんこの表現とか今までの考え方を踏まえながらなんですが、かなり内容として動く可能性があるのですけれども、どの表現がいいかというのを検討の上で、またご相談させていただこうかと思います。よろしいでしょうか。

【三瓶委員】

よろしくお願いします。

【黒沼座長】

康委員、それから、青委員の順でお願いします。

【康委員】

これまでの議論を踏まえた形で、今回このような3.番が出てきたということで、皆さんのご意見を通じて、特にプラクティスを積み上げていくことによって、より建設的な対話を促進していくという趣旨が明確になって、非常によい内容である と考えておりまして、賛成でございます。

特に今回法制化されるということで、これは直接は発行者に対して課されるものではありますけれども、今回のこの法制化を契機に、関係者、これは発行者だけではなく、発行者、証券会社、及び、投資家の対話の形が変わってくるということを期待したいと考えております。

それはどういうことかといいますと、早耳情報とかプレビューミーティングというような、もちろんそういう短期的な数字も大事ではあるんでしょうけれども、アナリストがまさしくアナリスト、分析者として今回の法制化を受けて活躍する場が出てくるのではないかと期待をしております。

つまり、企業からの数字をそのまま受け取る、それを流すというだけではなくて、企業や業界を深く掘り下げた真にその業界のスペシャリストとして分析を行って、それを幅広く投資家に対してレポートとして配信をしていくということで、より長期的な観点からの企業分析ができるのではないかなと考えておりますし、また、投資家も今回の法制化を受けて、非常に強い責任を負うのではないかと考えております。

つまり、証券会社に対して、短期的な情報を追い求めるのではなくて、企業との建設的な対話を促進する中で、投資家が求めるものというのはより深く掘り下げた長期的な観点から、この企業は投資に値するのかどうなのかという分析であって、それを投資家が判断するための材料というのをアナリストや発行者に求めるというような姿勢になっていくのではないでしょうか。

つまり、建設的な対話というのが長期的な投資に当たっての建設的な対話であるという趣旨を関係者が理解してくれれば、たとえガイドラインなどを決める中で短期的に萎縮することがあったとしても、よりよい開かれた金融市場になるのではないかと期待をしております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

それでは、青委員、お願いします。

【青委員】

本日の案につきましては、対話の萎縮を回避しつつ、公平かつ適時な開示を確保するために、制度の目的にかなう範囲で、読んだ人にとってわかりやすいものにする工夫がされているというふうに思います。それで、かなり細かいところまで含めて、配慮をされた案になっていると感じますので、賛成でございます。

情報の範囲につきましては、重要な事実と基本的に一致をさせた上で、それ以外にも、未公表の確定的な情報であって価額に重要な影響を及ぼす可能性があるものを含めるということで、時間軸の観点と価額影響の観点という2つの判断要素を明示していただいたというところと、それから、モザイク情報は対象外ということを明記したという点で、前回よりも大変わかりやすくなったと思いますし、実際に実務を行うに当たりましても、上場会社、投資家サイド、両方ともに非常によくわかりやすく、現行の情報管理の延長で対応できる、なじみやすいものになっているのではないかというふうに思われます。

唯一心配しているのは、先ほどの三瓶委員からのご指摘のとおり、影響を持つ可能性という文言の読み方が妙に広くなるといけませんので、そこは、先ほど田原課長のほうからお話しいただきましたように、今回のこの場での議論の趣旨を踏まえ、適切な表現で最終的には定めていただければと思いますし、実務慣行をつくっていく際にも、そこの趣旨を十分に踏まえていくということが大切なことだと思います。

エンフォースメントに関しましても、公表の指示・命令という前に、まず、公表を促していくというソフトな形とするということが盛り込まれておりますので、企業も建設的な対話に向けて取り組みやすいものになっているのではないかという印象を受けました。

今後のところとしましては、先ほどからお話が出ておりますように、フェア・ディスクロージャーの趣旨を踏まえて、対話をしっかりしていくということが非常に大事ということでございますので、そうした観点から実務を積み重ねていくことで、いかによりよいプラクティスというものを証券市場における慣行としていくかというところが非常に大事でございます。投資家の方々、企業の方が双方ともこの趣旨を適切に理解していただいて、それに向けて少しずつ実際のプラクティスを積み重ねることで、よりよい証券市場となっていくことを期待したいと思います。

以上でございます。

【黒沼座長】

ありがとうございました。

奥野委員、お願いします。

【奥野委員】

大変うまくまとまっていると思います。とりわけ、工場見学、事業別説明会にメンションされているのは非常に良いことだと思います。工場見学等が、企業と投資家の対話を促すという観点で極めて重要だと考えるからです。先ほどもほかの委員の方がおっしゃいましたけれども、やはり四半期の情報を早く仕入れるというゲームから、事業の本質をちゃんと把握するというゲームに移っていくんだという大きな趣旨に合致していると思います。

それから、2点目、情報の範囲のところですけれども、やはり私もちょっと懸念があるのは、可能性があるという文言は、蓋然性が高いという言いぶりにしないと、ここにいるメンバーはみんな理解しているかもしれないですけれども、可能性がないものなんていうのはないわけでして、発行体のほうが結局萎縮してしまう理由をつくってしまうような気がいたします。とりあえず決算情報から入っていくということについてもそのとおりだと思いますので、できるだけその範囲を狭めていくという議論というのがいいのかなと思っています。

それから、3つ目、これはもう感想なんですけれども、昨今、要は早耳情報を禁止してから、株価が大きく決算で変動するということをさも悪いことのように捉える報道とかものの考え方があるみたいですけれども、アメリカの市場においても、普通、決算情報が出て、そのサプライズで動くというのは当たり前でして、逆にいうと、知っている人達だけで、それが徐々に織り込まれていくということのほうが異常なわけです。

長い経験を持っていらっしゃるアナリストの方と話していると、むしろこの10年ぐらいがおかしかったという方もいらっしゃいます。おそらくこれから決算が出るたびに、当然のようにサプライズで上がったり、下がったりするんだと思います。大事なことは、発行体のほうも投資家の方も株価が激しく動いたからといって、ひるまないことだと思います。

株式を扱う以上、上場している以上、これが当たり前なのです。決算サプライズで株価のボラティリティが高くなったじゃないか、リスクが高まったじゃないか、というような議論が間違って起こって、発行体の情報開示姿勢が後退してしまうと、本件取組みの趣旨が失われてしまうのではないかという懸念を持っています。済みません、これは感想です。

【黒沼座長】

どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、続きまして、3.の(2)以降、本報告の報告案の残りの部分、あるいは、報告案の内容全体につきまして、ご発言をお願いいたします。

それでは、加藤委員、真野委員の順でお願いします。

【加藤委員】

1点、コメントをさせていただきます。

本ルールの対象となる情報受領者の範囲ですが、その2番目の「発行者から得られる情報に基づいて発行者の有価証券を売買することが想定される者」の典型例は既に発行者の有価証券を保有している者かと思います。実際にルールを作成する場合には、株主は、発行者の有価証券を売買する予定があるか否かを問わず、当然に本ルールの対象となる情報受領者であることを明示した方がよいと思いました。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

それでは、真野委員、お願いします。

【真野委員】

(2)以降の条項については、これも非常によく整理していただいていると思いますし、情報提供者、情報受領者、あと、公表を必要としない情報提供についても、前回の議論を踏まえて、私はこの内容でとてもいいと思いますので、全て賛成です。公表方法も同様です。

あと、これは意見というかお願いではあるんですが、先ほどからも議論が出ているとおり、多分、皆さん、最初は動揺すると思うんですね、発行体のほうは。これってどこまでどうなんでしょうとか。

ですので、今後、どういうふうなものを対象として考えているのかというあたりも含めて、丁寧に発行体のほうにご説明いただくような機会を持っていただければというふうに思っております。その中で、いろんな理解を深めていくと、まさにプラクティスの積み重ねにもなってくると思いますので、是非そのような対応をお願いしたいというのが1点、私からの依頼ということになります。

以上です。

【黒沼座長】

大崎委員、お願いします。

【大崎委員】

1点、質問、確認的な質問なんですけれども、情報受領者の範囲のところで、取引先の銀行等金融機関はどうなるのかなというのをちょっと考えておりまして、株式を保有されているというケースも、日本の場合、ありますので、その意味では、2番目のこの「発行者の有価証券を売買することが想定される者」に含まれるのかなという感じもしますが、前者のほうの「有価証券に係る売買や財務内容等の分析結果を第三者へ提供することを業として行う者」というのとはちょっと違うような気もするんですが、何かご見解があれば。

【田原企業開示課長】

おっしゃるように、前者には該当しないんではないかというふうに考えておりまして、後者のほうに該当するケースがあり得るということではないかと思っております。

【黒沼座長】

柳澤委員、お願いします。

【柳澤委員】

ありがとうございます。本ルールにおけるガイドラインの必要性といった観点での補足と、今後のルール導入に向けて留意しておきたい点に関して、コメントをさせていただければと思います。

これまでの議論の中でもご指摘があります通り、フェア・ディスクロージャー・ルールの意義について、企業及び投資家に啓蒙、浸透を図っていく上でも、ガイドラインといったものに本ルールの導入意義を明文化して盛り込んでおくことが望ましいのではないかと考えております。

さらに申し上げれば、ルール導入後にプラクティスを積み上げていく中で、そこで蓄積した知見を可能な限り反映し、ガイドラインがより実効性の高いものに改善できるよう、適宜見直しをかけていくといったプロセスについても検討の余地があるものと考えております。

それから、先ほども少し論点が出ていましたが、今後のルール導入に向けての準備段階ということにはなりますけれども、上場企業に課される規制という位置づけになりますので、企業によっては法令化されることへの抵抗感や規制の重みを強く意識するところが出てくる可能性もあろうかと思います。

その意味では、大企業から中小企業、大型株から中小型株という区分に至るまで、本ルール導入の意義について、的確な理解とコンセンサスが得られるよう、産業界と十分なすり合わせをお願いできればと考えております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

神山委員、お願いします。

【神山委員】

2点あります。第1点目は、(4)の公表を必要としない情報提供のところで、守秘義務を締結した情報受領者が違反して、情報を他者に伝えたという場合の、他者の概念を、(3)の情報受領者の範囲に限定していただいたということは、本ルールの全体の整合性をとるということからも非常に良いことだと思っております。

ただ、若干感想めきますけれども、このように守秘義務を締結していた情報受領者がそれに違反して他者に情報を伝えた場合に、発行体としては情報の他者への伝達に何の関与もしていない、むしろ機密情報が漏えいされたという点では被害者的な立場にあるにも関わらず、その情報の公表義務を負うというのはちょっと違和感があるという印象です。

それから、例えばM&Aであるとかエクイティファイナンスであるとか、こういったプロジェクトを進めている場合などは、その過程において、あるいは、進捗度合いにおいて何らかの情報が出たとしても、その時点で「公表できる事実はない」というような対応の仕方も実務的にはあると思います。

今回の資料にもありますけれども、米国においては、発行体に対してそういった場合の公表義務を課していないという例もあるので、こうしたことも踏まえて、本件については慎重な対応が必要だと感じています。

2点目としては、少し細かい話で、(5)の情報の公開方法ですが、今の表現でいきますと、EDINET、TDnetのほか、ホームページの公表も良いということで、どこで開示しても良いですよというふうに読めます。

これは、我々発行体というよりも、むしろ情報利用者の方にとって、プラットフォームが異なるところに各社各様に情報が出ているというのは、使い勝手としてどうかという疑問を持ちました。

特に個人投資家の方なども含めますと、ホームページで開示すれば良いということにしたほうが、情報利用者にとっての利便性は高まるのではないでしょうか。特にホームページであれば、検索などもし易いので、そうした利便性という意味でも、ホームページで開示をすると規程しても良いのかなと考えています。

以上、2点です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

2点目については、各社がホームページで公表するよう考えていただければいいということですんでね。

【神山委員】

そうですね。

【黒沼座長】

法定開示や適時開示の必要があるときには……。

【神山委員】

もちろん、法定開示はEDINETで、適時開示はTDnetでの開示になります。しかし、それ以外のものはホームページでの開示で統一してはどうかということです。

【黒沼座長】

当然そのようにやるということになると思いますね。

【田原企業開示課長】

1点目でございますけれども、一般論といたしましては、前回ご議論いただいた中で、確かに守秘義務を破ったこと自体を企業に帰責するのは酷なケースもあるというのはそうだと思うんですが、公表できる情報であれば公表していただくというのがルールの趣旨なのかなというふうに思っている次第で、こういう案をつくらせていただいたわけですが、ご指摘がありましたように、守秘義務に違反して、(3)の守秘義務を負わない本ルールの対象となる他者に情報を伝達したことを発行者の方が把握された場合であっても、公表を求めないことが適当である場合というのは確かにあるのかなというふうに思っておりまして、そういうご指摘を踏まえて、法制化とか運用に当たって何か適当な対応ができないか、検討させていただきたいというふうに思います。

【黒沼座長】

ほかにいかがでしょうか。大崎委員。

【大崎委員】

ちょっと全体的なことですけれども、先ほど奥野委員からご発言があった件についてなんですが、要は、こういったルールが徹底すると、むしろ、例えば業績発表前後というような非常に短期間の株価のボラティリティはむしろ高まる可能性があることであります。

これは実際そうだろうと私は思っておりますし、この点については、私はある場で、わりとこういう分野をきちっと研究している人たちが集まっている場で、このフェア・ディスクロージャーということについて報告をしたときも、全く逆の反応もあったんですね。つまり、株価が徐々に収れんしていくのはむしろいいことなんじゃないかということを言う方がそういう研究者の方にもおられたんですね。世間でも、株価が急上昇、急落するよりも、徐々に動いたほうがいいんじゃないかと思っている人もいると思います。

ただ、これは理屈っぽく言えば、要はその情報が少しずつ漏れているから、知っている人だけがそこで売り買いをして得をして、ほかの人の犠牲のもとで得をしているということを示しているだけで、決していいことではないわけで、全員がいっせいのせで情報を知れば、やはりどんと動くということは極めて自然だということ、これは企業の皆さんにも十分理解していただかなきゃいけないと思いますし、社会全体がそういう認識を共有しないと、このルールをきちっと定着、運用させていくことは難しいと思っております。

企業の側も当然、特に業績の下方修正なんかを発表するときに、株価が大幅に下がるというのは避けたいという心理的なものが働くことはこれは間違いなくて、アメリカのフェア・ディスクロージャー・ルールの違反事例を見ても、そういう業績発表の衝撃をいわばやわらげるために、発表前に懇意にしているアナリストにこっそり教えたとかというケースが多々あるんですね。やはりそういうインセンティブが働くんだということはこれはやっぱり当局としては押さえておいていただかないいといけませんし、もちろんいいことじゃないんですけれども。

企業の方にお願いしたいのは、そう思ったら、こっそりアナリストと話すんじゃなくて、堂々と発表していただきたいという、そういうプラクティスを確立していくことで、当初予定していた業績発表よりはちょっと早目なんだけれども、この時点で言えることをいったん発表しちゃうことで、いわば、どうせ下がるんですけど下げを2段階に分けるというんですかね。そういうようなやり方ができるということをやっぱり、これは当局が訴えるのか、取引所がやるのか、あるいは、こういう私みたいなうじゃうじゃ言っている人間が言うべきなのかわかりませんが、そういう認識をやっぱり市場全体で共有していくことが非常に大事だと思っております。

その意味で、例えば、最近の例で、有名なすごく人気のゲームアプリを売り出した会社の方が、自社の株価にほんとうはそんなに影響がないと思っているのに、それが話題になって株価が非常に上がっちゃっていたときに、それはそれほど当社の業績には影響がないんですという開示を自発的にされたという、必ずしもその法定の開示義務があったか、あるいは、適時開示義務があったかどうかということは定かでないわけですけれども、そういうのも自発的に開示をされて、株価が落ち着いたという事象がわりと最近、日本でもありましたけれども、そういった自発的開示という、まさにさっきのベタープラクティスだと思うんですけれども、を展開していただくことで、こういうルールがいい形で市場に定着していくんじゃないかなと思っております。

済みません、ちょっと長くなりましたが。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

康委員、お願いします。

【康委員】

私、先ほどのコメントの中で、長期的な観点からの建設的な対話が促進されることを期待していると申し上げましたし、投資家はそのような、また、アナリストもそのような意識改革が進むことを期待していると申し上げました。

ただ、私は必ずしも短期の売買というものを否定しているわけではありません。今のこの状況で私が問題であると認識しておりますのは、統一されたルールがない中で、不公平な状況の下で短期的な売買で、先ほど大崎委員もおっしゃっていましたけれども、誰かほかの投資家の犠牲のもとにもうけている人がいるのじゃないかというところであって、同じ開かれた公平な情報に基づいて短期のトレードをする人もいれば、長期のトレードをする人がいる。様々な投資家層がいて、それでこそ市場の流動性というのは確保されるので、それが本来あるべき姿ではないかなと思います。

また、決算発表でたとえ株価が大きく一時的に下落したとしても、それまでの間にきちっと建設的な対話をして、本来の長期的な価値というのはこういうものですという対話なりを投資家やアナリストとしているならば、一時的な下落でも、それは非常に安くなったと、買いのチャンスだと考える長期的な投資家も出てくるだろうし、この中で短期的な投資家と長期的な投資家、あるいは、売りと買いの投資家による流動性が確保された状態でのプレーというのが開かれた場で、公平な場でできるのではないかなと期待をしております。

以上です。

【黒沼座長】

ありがとうございます。

神作先生、お願いします。

【神作委員】

ありがとうございます。私も本日ご提案いただきました報告案に全面的に賛成したいと思います。スチュワードシップコードが策定されて、機関投資家の側には積極的なエンゲージメント、スチュワードシップ活動が求められ、他方、コーポレートガバナンスコードにより発行会社の側でも株主とりわけ機関投資家との対話について十分な理解をして適切な対応をとることが求められています。このような中で、エンゲージメントやスチュワードシップ活動が公正に行われることが確保されるということが極めて重要であり、今回のご提案はそのような観点からも適切であると思います。

と申しますのは、フェア・ディスクロージャー・ルールについて、今回の報告書案のような内容が実現するとすれば、このルール自体が開示を促すという機能をもっているため、すなわち所定の誰かに伝えてしまった場合には、速やかに当該情報を公表するという規律であるがゆえ、情報開示を促進し、透明性を高め、さらにエンゲージメントやスチュワードシップ活動を促進するという好循環に結びつき得るご提案であると考えます。

1点、ちょっと細かな点ですけれども、先ほど、守秘義務についてご指摘があった点なのですけれども、私はこの守秘義務ですとか投資判断に利用しない義務というのは、企業さんが締結する通常の契約とはちょっと性質が違っているのではないかという感じがしておりまして、やはり発行企業の側でもこういった契約を締結するときには、相手方がほんとうにそれを守るつもりがあるのか、守ってくれる能力のある人なのかという点について、ある程度気をつけていただく必要があるのだと思います。すなわち、普通の契約、たとえば売買契約その他の契約とこの守秘義務に関する契約、投資判断に利用しない義務についての契約というのは性格が異なっており、公益に関わる契約であり、エンフォースメントについて、契約当事者には一定の責任が生じ得る気がいたします。

そうだとすると、やはり報告案4ページの(4)のように、発行者が義務違反を受けたときには、発行者が被害者であるというのではなく、市場全体にかかわる公益に関する契約でありますから、その違反を知った場合には、発行会社にも一定の行動をとっていただくことが適切だと思いますので、その点についてご配慮をいただければ、大変ありがたいと思います。

【黒沼座長】

どうもご指摘、ありがとうございました。

いろいろな点についてご議論いただきまして、ありがとうございました。本日のご議論では、情報の範囲について、報告書案では可能性と書いてある部分について、事務局のほうで持ち帰ってもう一度検討したいと思います。それ以外の点については、原案どおりご賛同いただけたものと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【黒沼座長】

それでは、事務局で、持ち帰った点については最終的に皆様にご確認いただいた上、報告書を取りまとめたいと思います。表現につきましては私にご一任いただき、これも最終的に確認の上、取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【黒沼座長】

ありがとうございます。

本タスクフォースの取りまとめの結果につきましては、今後、金融審議会市場ワーキング・グループに報告させていただきたいと思います。

本タスクフォースは、本日一つの区切りを迎えることができ、委員の皆様方には、大変ご多忙のところ、精力的なご議論を賜りまして、まことにありがとうございました。この場をかりまして、あつく御礼申し上げます。

今日の議論を伺っていましても、報告書案の文言の意味するところを皆様に補足していただき、大変充実した議論になったと思います。前向きな意見を多数頂戴いたしました。フェア・ディスクロージャー・ルールの制定によって公平かつ早期の情報開示が実現し、開示に関する企業実務が後退することのないよう、努めていきたいと思っております。

それでは、本日の会合をこれで終了したいと思います。皆様、どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

総務企画局企業開示課(内線3665、3802)

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