金融審議会第一部会(第28回)会合議事録

日時: 平成12年9月12日(水)16時02分~17時37分

場所: 中央合同庁舎第4号館 共用第三特別会議室

○ 樋口信用課長

それでは、4時を少し回りましたので、会議を始めたいと思います。ただいまから、通算では第28回になりますけれども、金融庁移管後としては初めての金融審議会「第一部会」を開催させていただきます。

本日は、皆様御多忙のところ御参集くださいまして、ありがとうございます。また、第一部会委員への御就任をお引き受けくださいましたことにつきまして、改めて御礼申し上げます。

本日は初めての会合でございまして、部会長及び部会長代理が決まっておりませんので、それをお決めいただくまでの間、当部会の事務局、総務企画部信用課となっておりますので、本日は私、信用課長の樋口が議事の進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

第一部会委員の名簿はお手元にお配りしてございます。ほとんどの方が以前より引き続き委員をお願いしているというところでございますので、時間の都合もございますので、御紹介は省略させていただきたいと思います。

ちなみに、本日御欠席されておりますのは、大塚宗春委員、神田秀樹委員、リチャード・クー委員、田中直毅委員でございます。

審議会総会の委員の方につきましては、部会にも御自由に参加いただけるようになっておりますので、お含みおき願いたいと思います。本日は、貝塚会長並びに翁委員に御出席いただいております。

なお、関係機関として、日本銀行より参加していただきます方を御紹介させていただきます。鮫島企画室参事役でございます。

○ 鮫島日本銀行企画室参事役

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

委員等の皆様につきましては以上でございます。

続きまして、事務局側のメンバーにつきまして御紹介したいと思います。

委員の皆様から向かいまして、部会長席、貝塚会長の左からでございますけれども、乾総務企画部長でございます。

○ 乾総務企画部長

乾でございます。よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

続きまして、渡辺総務企画部審議官でございます。

○ 渡辺審議官

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

藤原総務企画部審議官でございます。

○ 藤原審議官

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

三國谷東京証券取引所監理官でございます。

○ 三國谷東証監理官

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

大久保総務企画部参事官でございます。

○ 大久保参事官

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

大蔵省より、窪野大臣官房参事官でございます。

○ 窪野大蔵省参事官

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

次に、反対側に移りますけれども、私の横から順に御紹介いたしますと、有吉総務企画部企画課長でございます。

○ 有吉企画課長

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

佐々木監督部銀行第一課長でございます。

○ 佐々木銀行第一課長

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

松村金融再生委員会事務局総務課企画官でございます。

○ 松村企画官

松村でございます。よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

迫田信用課信用機構室長でございます。

○ 迫田信用機構室長

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

池田信用課保険企画室長でございます。

○ 池田保険企画室長

よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

事務局側のメンバーにつきましては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ここで当部会の部会長の選任をお願いしたいと思います。

部会長は金融審議会令第5条の規定により、委員の互選によることとされております。そこで、いろいろ御意見を伺いましたところ、引き続き蝋山委員に部会長をお願いしてはどうかという御意見が多いようでございますけれども、いかがでございましょうか。

それでは、御異議がないようでございますので、蝋山委員に部会長就任をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。それでは、恐縮ですがこちらに。

〔蝋山委員、部会長席に着く〕

○ 樋口信用課長

ここで、マスコミのカメラどりが3分ほどございますので、お時間を頂戴したいと思います。

○ 蝋山部会長

本来は向こう側に座って好きなことを言うのが僕の一番性に合っていると思うんですが、どうもなかなかそうはいかなくて、よろしくお願いいたします。

〔カメラ撮影〕

○ 樋口信用課長

この後の進行は蝋山部会長にお願いいたします。

○ 蝋山部会長

それでは、大蔵省時代の金融審議会に引き続きまして、この部会の進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、初めにお願いしたい点は、部会長代理を指名させていただくということでございます。この金融審議会の設置法である金融審議会令第5条という難しいのによりますと、部会長代理は部会長から指名させていただくということになっておりますので、これも大蔵省時代と同じでありますが、金融審議会の委員であり、これまでも部会長代理を務めていただきました神田秀樹委員に部会長代理を引き続きお願いしたいというふうに思います。ワーキンググループの座長等も御経験で、大変私としては心強い部会長代理でありますので、どうかよろしく御承認をいただきたく思います。

特に、去年は1回もなかったかと思いますが、どうも今年の天候は不順でありまして、時々飛行機が飛ばなかったり、列車が土砂崩れで走らなかったりすることがどうもありそうな感じがしますので、神田さんの出番が増えるかもしれません。

2番目に、当部会の運営要領及び部会における議事録の扱いといった問題について取り決めをしておきたいというふうに思います。

事務局の方から御提案があるようですので、樋口課長、よろしくお願いいたします。

○ 樋口信用課長

それでは、私の方から3点御紹介いたします。

まず1点目、資料は特にございませんけれども、既に御案内のとおり、8月4日の金融審議会総会におきまして、第一部会、第二部会という二つの部会が設置されまして、この第一部会におきましては、異業種参入に伴う銀行法等の整備、他業禁止の緩和等につきまして御議論をいただくという確認的な事柄でございます。

ちなみに、第二部会では個人信用情報保護・利用に関する制度整備についての議論ということになっております。

2点目でございますが、皆様のお手元に金融審議会第一部会運営要領(案)をお配りしてございます。基本的に申しますと、従来どおりの運営でございます。特に御説明することもございませんけれども、部会の会議は部会長が招集し、主催するということでございますとか、3番、4番に、部会はオブザーバー、あるいはワーキンググループを設置できるというようなことをこちらの運用要領で決めさせていただいております。

議事録の扱いにつきましては、審議会の総会と同じ考え方に立ちまして、部会長の御判断のもとに、節目節目と申しましょうか、例えば一定の報告なりがまとまったというようなところで適宜公表することとさせていただきたいと思っております。また、議事録の公表につきましては、発言者の方の氏名を明記させていただきます一方、公表に先立って、発言者の方のチェックを頂戴することといたします。

議事要旨につきましては、それぞれの会議後、1週間後程度をめどにインターネットで公表することとさせていただきたいと思います。

以上、3点でございます。

○ 蝋山部会長

ただいま御説明のありました運用要領及び議事録の扱いといった点につきまして、何か御意見なり御質問はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、この運営要領等を当部会として採択させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

そうしますと、オブザーバーという問題があります。本部会のテーマは極めて現実的な問題でありまして、実務の観点等も踏まえた幅広い議論というものをすることが必要だというふうに思います。

そこで、実務家の方々にオブザーバーとしてお入りいただきまして、議論に参加していただくということにしたいと考えます。もちろん、福間さんのような方も既に委員としておられるわけでありますけれども、金融を業とするという意味での実務家の方々にお入りいただきたいというふうに思います。

従来の部会オブザーバーは、いわゆる金融界から幅広く御参加をいただいた形でありました。もちろん漏れているところもありましたけれども、相当に網羅的だったわけでありますけれども、本部会での審議事項は異業種参入問題というのが最大のテーマでありますので、この問題に関係の深い方々を中心に御参加いただけたらというふうに考えております。

その上でオブザーバーの方には、もちろん私利私欲ということは離れていただいて、公共的な観点で、しかし、その業界の立場に立って自由に御発言をいただくということにしてはどうかというふうに思います。

そういうオブザーバーの参加について、基本的に御承認いただくということと、それから、具体的にどなたにオブザーバーをお願いするかという点については、私どもに御一任いただければというふうに思います。いかがでございましょうか。

この点について、何かご注文があれば、あるいはこういう方を、こういうタイプの方をというようなご注文があれば、今の機会に伺ってもよろしいかというふうに思いますが、いかがでございますか。

格段御意見がなければ、オブザーバーにつきましては、今述べましたような趣旨で御参加いただくことにいたしまして、人選につきまして御一任いただくということにさせていただきます。

また、本部会が異業種からの銀行業、その他金融業への本格的参入という新しい事態を踏まえて、それに対する対応を検討するものであります。そのために相当掘り下げた議論が必要であるというふうに思われます。

そこで、この部会での審議に参考とするために、専門的、実務的な観点からワーキンググループを組織したいというふうに考えています。こういうワーキンググループの設置と、その人選につきましてお諮りしたいというふうに思います。人選につきましては、私どもに御一任いただきたいというふうに思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。御異議ございますか。何か、いやに形式的にやっているなという感じですが(笑)。よろしいですね。

それでは、この点も御一任いただきたく思います。

以上が、オブザーバーの件、それからワーキンググループ設置の件、この二つの件をお認めいただきまして、具体的な内容は次回に来ていただくとおわかりになるというふうに思いますが、今日のメインテーマは、まず事務局から、事務局としての部会の審議事項に関するスタンスをお伺いしたいというふうに思っているわけです。すなわち、異業種参入問題に対する基本的な考え方並びに新たな形態の銀行業に対する免許審査、監督上の対応、いわゆる運用上の指針というものが公表されておりますので、これについての説明ということで、全部で20分程度お願いしたいというふうに考えております。

まず、乾総務企画部長から異業種参入問題に対する基本的な考え方について、御説明をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

○ 乾総務企画部長

それでは、今、部会長から御指示のございました異業種参入問題に対する基本的な考え方ということでございますが、昨年来、銀行業へのいわゆる異業種参入など、これまでにない新たな動きが本格化してきているところでございます。こうした動きにつきましては、基本的に金融技術の革新が促されるとともに、業界内の競争が増しまして、各金融機関の切磋琢磨が行われることによりまして、我が国金融の活性化や利用者の利便の向上等をもたらし、ひいては国民経済全体の利益に寄与する可能性を持つものであると評価しているところでございます。

他方で、こうした新たな動きに関しましては、従来の伝統的な銀行業においては想定されていなかった様々な問題点も考えられますことから、本年1月以降、鋭意検討を行いまして、パブリックコメントの手続を経て、この後に続いて説明申し上げます基本的な考え方、それから運用上の指針を金融再生委員会、金融庁として先般策定、公表したところでございます。

この考え方は、現行法の運用に関する監督行政上のガイドラインを示したものでありますけれども、去る9月7日には、これに従いましてジャパンネット銀行に対しまして予備免許を付与したところであります。

しかしながら、この基本的な考え方におきましては、現行法令に基づく措置のみでは対応し切れない部分があることも指摘しておりまして、どのような制度改正が必要か、まさに本部会でこれから御審議いただくこととされているところであります。

具体的には、銀行の健全性に支障をもたらすような不適格な主要株主を把握し、これを排除し得る権限を当局に付与すべきかどうか、さらにその場合、株主に対する監督、検査権限等につきどう考えるかなどの問題につきまして、早急に検討する必要があると考えております。

また、異業種の参入等により競争が促進されていく中、各銀行が利用者利便の向上に向けて新しいビジネスモデルを構築していくための環境整備を行うことが重要と考えております。

こうした観点から、銀行の業務範囲等に関する規制緩和につきまして検討することも必要であるというふうに考えております。

これらの問題につきまして、大変限られた期間でありますけれども、精力的に御議論いただきまして、時期通常国会における法制化を視野に入れて、年内に御報告を取りまとめていただきますようお願い申し上げる次第でございます。

今の銀行業等を取り巻く状況を見ますと、IT革命と言われるように、情報技術の革新が急速に進展する中で、情報関連技術投資が大きな意義を有する、銀行業などのあり方もそれによって影響を受けざるを得ないと考えられます。異業種参入や銀行業の業務範囲のあり方などの問題も、こうした社会経済の大きな変化、潮流の中で検討していく必要があるというふうに考えております。

運用上の指針でも取り上げておりますように、異業種参入などの動きに関しましては、親会社が一般事業会社であったり、あるいはコンビニエンス・ストアの店舗網やインターネットを活用してサービスを提供しようとしたりするなど、新しい形態の銀行が出現してこようとしておるわけであります。

また、この動きは、既存銀行も巻き込んで経営効率向上の努力や新たなビジネスモデルの構築などを目指した動きを加速させているわけでございますが、こうした中で、社会経済情勢の変化に対応した規制緩和というものを進めていく必要があるという議論があるわけでございます。

私ども行政当局といたしましては、このような流れ、動き自身は大変歓迎すべきものであると認識しているところでございます。

ただし、当然のことですけれども、銀行の健全性の確保、預金者保護などの観点は引き続き要請されるわけでありまして、例えば、これまで金融機関の株主として通常見られる企業以外の企業が、しかも主要株主として、大きなシェアの株主として銀行経営をする立場として現れてくる、経営を左右し得るという事態を考えますと、様々な事態に対応できるように、バーゼルの銀行監督委員会における議論に見られるようなグローバル・スタンダードの考えも踏まえまして、先ほど申しましたように、不適格と考えられる主要株主を排除し得る権限を監督当局に付与することの検討を初めといたしまして、健全性確保のためにとるべき適当な措置について検討していく必要があるというふうに思うわけでございます。

先ほど来申し上げておりますように、異業種参入の新たな動きにつきましては、金融における効率性や利用者利便の向上をもたらすことは期待されるというふうに考えておりまして、こうした認識を前提にしまして、銀行業等の健全性確保からの観点についての措置は何か、規制緩和という大きな時代の流れを踏まえてこの問題をどう考えていけばいいのか、銀行法の改正にどう積み上げていけばいいのか、当部会での熱心な御議論をお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。いろいろ御意見、御質問があろうかと思いますが、続きまして、新たな形態の銀行業に対する免許審査、監督上の対応、運用上の指針について、監督部銀行第一課長の佐々木さん、よろしくお願いします。

○ 佐々木銀行第一課長

銀行第一課長の佐々木でございます。私の方から、先般再生委員会と金融庁でまとめました「新たな形態の銀行業に対する免許審査・監督上の対応(運用上の指針)」というものにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。

御説明の前に資料を御確認いただきたいんですけれども、資料といたしまして、28-1という3枚紙の資料がございます。これは運用上の指針と基本的考え方を2枚にまとめたものでございます。それから、かなり分厚いものが、運用上の指針という表紙がついたものがありまして、この中に基本的考え方というのが別紙1ということで2枚紙がついております。これが先ほど乾部長の方から説明がありました異業種の参入についての基本的なスタンスと現在の考え方をまとめておりまして、前向きに評価しているという前提のもとで、新たな形態に伴ういろいろなリスクに対応するための指針を作ったということが書いてございます。足らざる部分は、金融審議会で御審議の上、また法的な措置をということを書いてございます。

別紙2でございますが、これが運用上の指針という本体でございます。これが6ページございまして、その後ろに20ページぐらい、パブリックコメントで出されました意見とそれに対する考え方というのがございます。パブリックコメントで36件ほどの御意見がございまして、これを当方で120項目ぐらいにまとめまして、整理分類いたしております。

それから、資料28-2というのが、規制緩和推進3か年計画の閣議決定の再改定版でございまして、これが基本的考え方でも引用されております規制緩和の具体的な件でございます。

それでは、一番分厚い資料の別紙2という「異業種による銀行業参入等新たな形態の銀行業に対する免許審査・監督上の対応(運用上の指針)」につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。

最初に、6ページにわたりますこの指針の構成をまず御説明いたしますと、大きく二つのパーツに分かれておりまして、一つがIの新たな形態の銀行業における主な問題点と免許審査・監督上の対応、これは新規免許にかかわる部分でございます。

それから、6ページの一番最後のところに、大きなIIで既存銀行等への適用という簡単なパーツがございまして、大きなIで書いておりますことは、基本的に既存銀行にも適用いたしますということを書いております。こういう大きな二つのパーツの中のI、新規免許に関連いたします部分でございますが、これが五つの観点で整理いたしております。

1から5と書いてありますが、1が「子銀行の事業親会社等からの独立性確保の観点」という観点、2が次のページの「事業親会社等の事業リスクの遮断の観点」、3が4ページになりますが「事業親会社等と総合的な事業展開を図る場合の顧客の個人情報の保護の観点」という、五つのうちのこの三つが資本形態、新たな形態の中の資本、これが一般事業会社が親会社であるということに伴います論点、観点でございます。

4が「資産構成が国債等の有価証券に偏っている場合のリスク管理や収益性の観点」、これは業務形態の特殊性、1から3が資本形態で、業務形態で貸し出しを基本的に行わない、国債で運用するという資産が偏っている、そういう形態に伴うチェックポイントが書いてございます。

5番目が次のページの5ページにございますが、「有人店舗を持たずインターネット・ATM等非体面取引を専門に行う場合の顧客保護等の観点」ということで、これは店舗形態の特殊性ということで、有人店舗を持たない形態、インターネット・ATM等に伴います対応、チェックポイントをまとめてございます。

以上の1から5という観点でまとめておりますが、まず事業会社が親会社であることに伴います観点というので1から3ですが、(1)、1ページになりますが、基本的な考え方という中に、この文章、「注」というのがついておりまして、そもそも事業会社が親会社である、あるいは主要株主であるというのはどの範囲を指すのかという定義をまず明らかにいたしませんと、監督のしようもございませんので、ここで「注」で書いておりますのは、銀行の子銀行の株式を原則として20%以上持っている。原則としてと言いますのは、15%以上でも人的な関係があるとか、そういうものがございましたら入るという、企業会計原則の実質影響力基準、関連会社の範囲ということで定義をいたしております。

そういう主要株主に対しまして、免許審査及び免許後の監督において留意すべき事項というものを(2)で並べておりますが、そこでは子銀行の経営の独立性が侵されない、親会社の経営戦略の中で使われてしまうということをできるだけ排除するようにいろいろな観点がありますが、役員の兼務の状態が大丈夫であるかとか、事業の一部を親会社に委託して、独立性が損なわれていないかとか、そういう点をチェックポイントといたしておりますが、2ページのbでございますが、上の方の免許後、そういう点をチェックいたしまして、免許を与えたその後の監督におきましても、ア)で「免許付与後、事業親会社等に該当する主要株主に変動があった場合には、子銀行に対し、当局に速やかに報告するように求める」と、これを免許の条件といたしております。新規免許の場合には条件が銀行法上つけられることになっておりまして、こうやって条件をつけますと、主要株主が変更したことを知った子銀行が当局に報告をしてくると。

実は、こういう条件を付しませんと、銀行法だけですと、主要株主の変動については、50%を超える株主の変動があったときに事後届け出という格好になっておりますので、ここで言います主要株主が漏れてしまう場合がございますので、免許の条件といたしております。

大きな2番目の観点でございますが、事業親会社の事業リスクの遮断、これは親会社グループと子銀行のリスクの遮断をしてもらいたいということで、基本的考え方にも書いておりますけれども、リスク遮断のためには現行の大口信用許容規制というものがございます。それから、親子あるいは関連会社の範囲におきまして、取引が一方に有利、不利に働かないようなチェック、アームズ・レングス・ルールというのがございます。これは現行の二つの規制、リスクを遮断する規制でございますけれども、(2)では、それに加えまして、免許審査におきまして、ア)というところでマル1マル2マル3というチェックポイントを掲げまして、そういうものを含んだリスク遮断策を子銀行に作らせまして、それを見せていただくということにいたしております。

マル1ですと、例えば事業親会社等の業況が悪化した場合に、当該事業親会社等に対して支援とか融資等を行わない。これは、欧米では子銀行のリング・フェンスと呼ばれているものでございます。欧米では、ここら辺は、大口信用許容規制をより厳しく適用するというような格好でリング・フェンスを作っていると聞いております。

次の3ページですけれども、イ)で、そういうリスク遮断策を講じましても、完全にリスク遮断できませんので、親会社の事業状況というのを把握する必要があるということで、免許付与のときに親会社がちゃんとした財務内容になっているかどうかをチェックいたします。監査報告書等を用いましてチェックをし、その監査報告書をもう一度他の監査法人によってチェックをしてもらう。ダブルチェックをしていただくと。そのダブルチェックのかわりに市場の評価、A以上の格づけがあればダブルチェックはいいですよというふうなことが書いてございます。

それから、監査報告書の正式の内容ではないんですけれども、法人のゴーイング・コンサーンとしての存続可能性についての意見も付していただくように(注1)に書いてございます。

bの免許後の監督でございますが、ア)で先ほどのリスク遮断策を出してもらってチェックをするという、そのリスク遮断策の履行状況をチェックしていくということですが、確実な履行を免許の条件とする。免許の条件が三つございますけれども、これは2番目の条件でございます。

それから、イで書いてございますが、免許付与後も定期的に子銀行から親事業会社の財務内容をあらわす書類、財務諸表とか監査報告書、そういうたぐいのものを定期的に提出していただくということを免許の条件としております。子銀行に対する免許の条件、当然現行法制上、親会社に対しては強制する規定はございませんので、子銀行に免許の条件という形で履行していただくということでございます。

3でございますけれども、4ページでございますが、事業親会社等と総合的な事業展開を図る場合の顧客の個人情報の保護の観点、これは親会社が事業会社であります場合には、親会社が営んでおります事業と銀行業とのシナジーを図るということで、情報交換が行われる可能性がかなり高いと思われます。そういう場合の顧客情報の保護ということで、基本的な考え方の中では保護を図る必要があるということと、今後個人情報保護法制の制定という検討がなされていますので、それができたら、それに従いますということを書いてございますが、(2)の留意点の中で、免許審査において確認すべきところで、顧客本人の明示的な同意を得るということを条件としております。

4の資産構成が国債等の有価証券に偏っている場合のリスク管理や収益性の観点、これは基本的考え方の中でちょっと書いておりますが、国債等の貸し出しをほとんど行わずに、資産として国債等を、そういう安全資産をたくさん持っております形態、これはイトーヨーカ堂の銀行がそういうふうに構想を持っているということが言われておりますけれども、そうした場合には、信用リスクはほとんどございませんので、自己資本比率が例えば4%とか8%と言っても、余り意味のない監督上の規制になります。甚だしく何十%とか100%とか、簡単になるわけでございますが、それに信用リスクにかかわらないいろいろな事務リスク、そういう銀行に事務リスクとか金利リスクが相当かかってくると考えられますので、そういうリスクに見合った自己資本を必要とするという考え方が1点と、それから、信用リスクをとりませんと収益力がかなり、それに見合って、リスクをとらない分だけ低くなると考えられますので、収益力のチェックをさせていただくという点を4番目の観点では書いております。

5番目、最後の観点でございますが、5ページでございますけれども、有人店舗を持たずインターネット・ATM等非体面取引を専門に行う場合の顧客保護等の観点ということで、ここでは、(2)の中に免許審査において確認すべき事項、aというのがございますけれども、これは無店舗営業、カウンターと違いまして人がいない、自分のパソコンであるとかATMを相手にするわけでございますので、そういう場合であっても適切に業務が行えるように、顧客からの苦情、相談をどうやって対応するのか、これは普通コールセンターなどを置きまして対応するということになるんですが、あとシステムダウン等に伴う顧客対応をどうするんだとか、法令に基づく顧客への説明義務、これはリスクがあるんですよとか、そういう説明義務をどうするんだとか、あるいはディスクロージャーをどのように履行するのか、それから次のページにございますように、マネーロンダリング防止等の観点から本人確認をどのようにしてやっていくのか、こういう点を中心にチェックしていくということでございますが、特にエのところを御覧いただきますと、こういうインターネット専門銀行とかATMを中心に行っております銀行は、システムのセキュリティのレベルというのをチェックする必要があるということで、これは専門家にお願いしまして、外部機関の評価書類を提出させるということにいたしております。

以上が新しい形態の銀行業に対応いたしまして、資本形態の新しい形態ということで1から3、業務形態ということで4点目、それから店舗形態ということで第5点目という形でチェックポイントをまとめております。これは全て現行法の解釈のもとでできる範囲でやっております。銀行法のいわば細則的な位置づけでございます。

これをもとにしまして、先ほども乾部長から話がありましたが、9月7日にインターネット専門銀行のジャパンネットに対しまして予備審査の終了、予備免許を与えております。

以上でございます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。ただいまの二つの御報告によって、金融庁が異業種からの参入という問題について、どういう考え方で具体的に行政を施行しようとされているのか、そして現在のベースとなる法律、法的な仕組みのどういうところに問題があるか、問題の所在がある程度わかったのではないかと。この点について、きょう皆さん方から御意見を頂戴いたしまして、次回以降、様々な有識者の方々から御意見を伺い、御経験のある方から御意見を伺う参考にしたいというふうに思います。そういう点で、どうぞ忌憚のない御意見を今の二つの御報告について頂戴したいというふうに思います。

今日ここで結論を出すというよりも、むしろ委員の皆さんと事務局との間の意見交換を通じて、これからの問題点というものがどこにあるかということについての手がかりを探していこうというわけであります。

上柳さん、どうぞ。

○ 上柳委員

恐らく大きな位置づけとしては、なるべく多くの方とか、あるいはほかの産業で活躍されている人たちが銀行にも入ってきていただければ、銀行自体が活性化していくということで、ただ、本当に金融機関なり、あるいは銀行の方で専念して、あるいはそれを取り巻く規制を守るということで、健全性を持ってやられればいいんだけれども、場合によって、二つのことをやる場合は、何か銀行の方ではなくて、ほかの方を優先するようなことがあり得るんじゃないかということで、いろいろ工夫をされているんだろうというふうにとらえているんですが、ただ、私なんかが見ていて思いますのは、3点ありまして、一つは、運用上の指針なり、現行法の枠内ですと、やっぱり基本的には子会社、子銀行の方に例えば親会社の、親事業会社の方のデータを出させるというようなことで、もちろん子供ですから、それで親のことはよく分かっているということになるのかもわかりませんけれども、外から見るとやっぱり心配で、本当に必要があるんであれば、例えば金融庁が親会社の方にも資料の要求を求めると。何か問題があれば検査に入る、あるいは必要があれば証拠をとりに行くと。これは刑事手続があればできるのかわかりませんが、そこまでいかなくても検査の一環としてできると。本当に問題があるということであれば、その親会社の方に出ていってもらうということも、ある意味では、論理的には当然にあり得るというふうに思っています。

ただ、問題は、それがまた金融庁なり、あるいは監督当局がきっちりやれればいいんですけれども、そこもまたいろいろ乱用になったりするということが問題でして、そういう点から言うと、多分法律の理屈としては、そういうふうに権限は与えるんだけれども、逆にその権限をチェックしやすいように、例えば親事業会社の方がそれを争う手続をもっともっと簡単にする。今はほとんどないというふうに私なんか思うわけですけれども、実質的にはないというふうに考えるんですが、争えるようにするということが2番目の手だてと。

もう一つは、これはひがみかもわかりませんけれども、一般消費者なり、市民の立場から見れば、金融庁がちゃんとやってくれていればいいんだろうけれども、何か向こうの方でやっておられてよくわからないと。何とか生命保険が悪いのかもしれないけれども、まだ金融庁が入っていないんだから大丈夫かなと。あるいは逆に、金融庁があそこへ行かれたけれども、本当に金融機関が危なかったのかなと、こういうふうに疑心暗鬼になる面もあるわけで、何が言いたいかと言いますと、少なくとも顧客なり、あるいは消費者の立場から金融庁にこういうことをしてほしい、あるいはこれはどうなっているのかということについて、極端に言うと措置請求をするとか、あるいはそれに対して金融庁の方が応答義務をどこまでやるか問題ですけれども、そういうことで、消費者の方からもチェックができる、あるいは消費者の方からも何かプッシュができる。それはどこまで報告するかという問題はもちろん難しいんですけれども、そういうことで何が言いたいかと言いますと、必要なことについては、背景のところにもかかっていける。それについて、かかってこられた側の業者の方が争えるようにするということと、消費者がもう少し実質的に関与できるようにする。これは措置請求もありますし、情報の点もあるということだろうと思うんですよね。

そういう意味で言うと、思い切って言うと、今までの銀行法なり何なりの立場よりは、一歩なり、かなり踏み込んでいろいろな工夫があり得るんではないかと私は思っています。ただ、問題は、どういうときに本当にやるのかということが大問題でして、そこはこれから慎重にやっていかなきゃいけないと思いますけれども、思い切ってそういう議論が必要なのではないかというふうに思っています。

以上です。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

私、言い忘れたんですが、資料として三つ目の資料が配られております。「規制緩和推進3か年計画(再改定)」〔平成12年3月31日閣議決定〕であります。いわば他業禁止と緩和につきまして、規制緩和の流れの中でこうした問題を位置づけなければならないということの大きな流れの枠組みを示した資料であります。

時間の制約もありますので、この点は省略しておきますが、こういう問題は、大きな流れから言うと、規制緩和の流れと矛盾しない形でどうするかというところが難しいわけですね。今の上柳さんのお話を伺いますと、極めて法律家らしく、非常にきめ細かく、むしろ規制を強化するようなスタンスに、見方に聞こえないわけでもない。その辺のところも是非お考えいただいて、御質問なり御意見を出していただければというふうに思います。

幾つかまとめたところで、金融庁の方からレスポンスをお願いします。

吉野さん、どうぞ。

○ 吉野委員

ここの中では、銀行業はこれまでと同じように預金を集めて運用するというタイプの銀行を考えていらっしゃると思うんですけれども、集めるだけというところとか、あるいはだれかに集めさせて運用だけするというような業態も出てくると思うんですね。集めるだけのところであれば、別に資金を運用するわけですから、そういうような形態のときにまでここまでやる必要があるのかどうかということですね。それが一つです。

それから、シナジー効果というのは、やっぱりエコノミーズ・スコープといいますか、それは非常に金融業にとっては効率を高める部分だと思いまして、これはやはり難しい面ではあると思うんですけれども、他業が持っているそういう情報を使うことによって、より効率的な金融ができる面があると思うんですけれども、ですから、情報を変に流すのはいけないんだと思いますけれども、そのバランスというのがもう一つあるような気がいたします。

それから、これを見ていますと、大体全国銀行といいますか、そういう大きなところを中心に考えていらっしゃるんだと思うんですけれども、例えば地域だけに特化して、そこに非常に情報を持っておられるとか、そういうところで競争をある程度激しくさせようとする場合に、これですと、なかなかそういう地域とか、ある特定の分野でのところでの参入というのは難しくなってくるのかなというような気がします。

以上です。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。ほかにございませんか。

どうぞ。

○ 柳川委員

ほぼ今の吉野先生と同じような意見なんですけれども、最初ですので、経済学者として理想論に近いような話になるかもしれませんけれども、少し同じような意見を述べさせていただきます。

要するに、今までの銀行と呼ばれていたような組織と違う形態のものが随分出てきていて、その中のものをどういうふうに判断していくのかと。これまでと同じような銀行として判断していくのかどうかというところが一つ大きなポイントなんだろうと思います。先ほどの預金だけを集めているものを今までと同じように銀行として処理するのかどうかということですね。ですから、そこの部分は少し細かい整理をする必要があるんじゃないかと。その裏側にあるのは、今おっしゃっていただいたような細かい、わりとリスクをチェックして、預金者保護をきちっとやってと、どちらかというとリスクをできるだけ小さくするような形の規制なり、監督をしていくべき組織というのはどの範囲なんだろうかということですね。今までは、銀行というくくりで全てをそれでやってきたわけですけれども、その中で、全てをそういうふうにしていいのかどうかという部分が重要だと思います。

私としては、ある程度、もう少し自由度を広げて、ここまでリスクを小さくするような組織というのは全てではなくてもいいんじゃないかなという気がしていますけれども、その裏側には、結局破綻した場合にある程度の特別な措置がかかる、銀行には今現在そうかかっているわけでして、破綻した場合にどういう措置がとられるのかというものと裏腹で問題を議論しなきゃいけませんので、そこのところが少し難しいところだと思いますけれども、少しリスクを小さくする、どこまでリスクを小さくするかということとあわせて、銀行の形態の違いを少し整理して、今後考えていただきたいというふうに思います。

○ 蝋山部会長

京藤さん、どうぞ。

○ 京藤委員

最初が素人の話す一番質問しやすいところなので、お聞きしていて、私三つほど考えてみたいことがあったんですけれども、一つは、なぜ銀行業に異業種が参入したいのかという、そもそものメリットがどこにあるのかというのが正直言って余りよくわからないんですね、お聞きしていて。

ここに書かれているのは金融技術の革新であるとか、競争の促進等という、余りにも抽象的な言葉で、どこに具体的メリットがあるのかというのが余りよく見えてこない。特に、個人情報の保護などについては、やっぱりかなり厳しい扱いが想定されていますから、情報を有効に活用できるということについても、かなり大きな縛りになるんじゃないかと。それにもかかわらず、どうしてイトーヨーカ堂などは参入する、どこにメリットがあるというふうに考えているのかという、その実質的理由というのは何となくつかみたいという気持ちが一つあることと、もう一つは、2番目の問題なんですけれども、事業会社が子会社として銀行を持ったような場合に、やっぱり銀行の方は金融システムの中に組み込まれるわけですから、破綻するといった場合には預金者を保護しなければいけないという形で、破綻すれば税金を導入しなくてはいけないようなこともあったりして、救わなくてはいけない場合が起こり得ると思うんですけれども、そうなると、子会社の債権者というんですかね、子会社の外側にある取引相手の保護と、それから事業会社が取引相手としているような人の保護というのは、余り共通には扱えないような問題があるのではないかということで、特に銀行を持っていると、私が昔勉強したときには、銀行というのは大衆から預金を集めて、それを非常に効率的に、伸びるところに資金を投下して、産業を発展させることに役立つというふうに聞いたことがあるんですけれども、そういうようなものは銀行と事業会社が別々にあるということが前提だったんですけれども、くっつくことによって、そのあたり、銀行像というのがどんなふうに変わるのかということをお聞きしたいのと、それから3番目は、ここに書いてあったので「あれっ」と思ったんですけれども、銀行でここで想定されているのは、信用リスクを余りとらないような銀行も考えていれば、多分信用リスクをとるような銀行もあると思うんですけれども、信用リスクをとらない銀行というのは、どんな存在意義があるのかということをちょっと教えていただければと思ったんですけれども、非常に素人な質問ですけれども。

○ 蝋山部会長

いろいろ、ばらばらに御質問なり御意見をちょうだいしましたが、第2ラウンドで原さんや岩村さんからではいけませんか。今、ぜひということですか。

京藤さんとの関連、それではどうぞ。

○ 原委員

関連して、私も一消費者としてというか、素人としての感じなんですが、実際に異業種が銀行業に参入するという、それは規制緩和の流れの中で、いろいろな競争が出てくるという点では、そこに異存はないんですが、やっぱりちょっと疑問なのは、今の発言にもあったように、どういったところにメリットを感じて異業種の方が参入をなさるのかと。それを消費者側から見ると、消費者側が銀行を利用するという場面は二つ大きいところでありまして、一つはいろいろな振込や何かをやるとき、そういった資金、お金を動かすというところでの、そこでは銀行から言うと手数料ということになると思うんですけれども、そこで利益が出ると思って参入すると。そうすると、私たちは手数料が高いか安いかでの選択はできると。もう一つは、そこに預金という形で預けたり、ローンを利用したりというところがありますね。

どちらを事業体として、異業種が参入したところで特化をしようとしているのかと。それによって、監督庁の方が見る視点というところも違ってくるように思うので、その辺はヒアリングの段階で丁寧にちょっと聞いてみたいというふうな感じがしております。

二つ目なんですけれども、私、素人で感じるのは、リスクの遮断というのが本当にうまくいくのかどうかというところで、異業種が銀行業に参入するときのもう一つのメリットとしては、自分たちである程度資金を集めて、それが流用できないかというところにあるような気もするんですが、それは違うのかどうか。

例えば、全然別なんですけれども、民鉄がいろいろな不動産ですとか、それからレストラン経営とかというのを持っていて、それを運賃改定の際に、そういった違う事業をやっていらっしゃる分をどう見るのかというようなことは随分、20年ぐらい前ですか、問題になったことがありまして、そういう意味では、経理の分離というんでしょうか、分離会計でやって、そして、そこでのリスクというのをやっぱりきちんと遮断をされているというところが大きいと思うんですが、でもそこを言うと、異業種が銀行業に参入するところのメリットというのを余り感じない形になってしまうのかどうかというのも、それもちょっとヒアリングの段階で、実際に参入しようとしていらっしゃるところにお聞きをしてみたいというふうに思います。

以上です。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。ほかにもまだ御意見があろうかと思いますが、それは第2ラウンドでお願いして、一応時間は17時半まで頂戴しておりますので、まだ第2ラウンドは十分時間があるだろうというふうに思います。

今までの御質問なり、御意見を伺いますと、細かい点ももちろんありますけれども、大きな点は、新しく参入する銀行というのは、今までの銀行とどこか違うんじゃないという、そういう認識がどうもあるようです。そして、それはどこが違うの、どういうふうにどこが違うというふうに考えているのか。言いかえると、今までの銀行というものが何で、新しい銀行というのは何かということがきちんと、要するに銀行とは何かという大変難しい問題ですけれども、そこら辺までも踏み込んだ考えがないといかんではないかと。こういうようなタイプの御質問が幾つかあったんではないかなというふうに思います。

2番目は、柳川さんも京藤さんも指摘された点なんですが、銀行というものは倒産する自由がないわけですね。あるいは、倒産しても勝手なのかもしれないけれども、後始末をたくさんしなくちゃいかん。そういうものとの関係で、従来の銀行と新しいこれからの銀行というものをどう考えるかという点が2番目の問題としてあるのではないだろうか。

どうも、これまでの、今日御説明になったスタンスというのは、従来の銀行像というものでできるだけ新しい銀行像も、これからの銀行もカバーするようにしている。これはしようがないのかもしれないけれども、それでいいんだろうかというような疑問をお持ちの方もおられるのではないかというふうに思いました。

あえて大きな問題を提起すると、こんなふうになるんじゃないかなというふうに思います。もちろん、それから派生して、細かな点がいろいろあると思いますし、一体新しい銀行が今この時点で次々出てくる背景というのは何だろうかなという認識も、これもまたおもしろいところではないかなというふうに思いますが、私は、要するに今までの銀行がさぼっていたからだというふうにしか思えないんですけれども、これはともかくとして、余り僕が言いますといけませんから、事務局の方で、金融庁の方で、どういう形でも結構です、今まで出てきた御意見に対するレスポンスを示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

何で今一生懸命、新しい銀行というのが登場する背景というのは何なのという。

○ 佐々木銀行第一課長

私どもが聞いておりますことを申し上げますと、やはり一つは収益機会があるというのは大前提ですね。そういう銀行業に自分たちが参入して、自分たちが持っている技術を活用すれば、もっと上手くやれると。もう一つは、そのもっとうまくやれるということの裏づけでもありましょうが、自分のやっている事業とのシナジーが効くんだと。もっと上手くやれるというのは、例えばインターネット専業銀行ですと、人件費が非常に少ないですから、小回りがきくし、巨大な今持っている銀行のシステムを変える必要はなくて、新たに作ってどんどん変えていけるわけですので、そういう投資も少なくて済むし、人件費が安いので、コストが安い。金利を高くつけられると。そうやって顧客を引き寄せられるし、稼いでいける、そういうところかなと思います。

それから、先ほどメリットは、やはり資金を集めまして利用できるというのは確かにメリットでございます。しかしながら、それはよく言われる、機関銀行化と言われることでございまして、それを指針の中ではできるだけ避けるように書いているわけでございます。

その点だけでよろしいでしょうか。

○ 蝋山部会長

ほかに、金融庁の側でどういう形でのお答えでも結構です。きょうはファイナリーされた、公式声明を期するというんじゃなくて、やはり意見の交換ということですので、この質問にはこう答えますという形で、個別でも結構ですからお答えをいただきたい。反応を示していただきたいというふうに思いますが、どうですか。

○ 樋口信用課長

私自身は、今個別のそういう事業会社がどういう観点から銀行業に関心を持っているかということを直接ヒアリングをしたことがありませんので、そういう意味では、想像の世界ではあるんですけれども、私などが思いますには、例えば国民のライフスタイルの変化というようなこともあるんではないかなというように思います。例えば、それは流通業の世界がコンビニという形で町に多くできてきた。そうすると、今若い人、もちろん若い人だけではありませんけれども、国民がそういったところに気軽に立ち寄るようになってきた。そうすると、そこで銀行機能の一部かもしれませんけれども、それができると便利だねというようなことになってきて、こういうふうな動きが出来てきたというふうなことも言えるかもしれませんし、それからやっぱりITといったもの、いわば金融取引のインフラとも考えられますけれども、こういったものが発達をしてきますと、実はいろいろなことができるんだねというふうなことを事業会社が気づいてきたということもあるんではないかなという気がいたします。

従来ですと、銀行業というのは、ちょっと言葉が正しいかどうか、装置産業的な要素があって、町の比較的いい場所にお店を置いて、そこで人を多く雇ってビジネスをするというようなことが基本だったわけですけれども、どうもふと気づいてみますと、そういうふうなものを置かなくても、銀行業、この場合、先ほど各委員から御指摘ありましたように、一体どこまでが銀行業なのかというようなことはあるかと思いますけれども、それを仮に横に置くとしたら、そういうふうな形で、いわば装置産業的でなくても銀行業はできるんだねというふうなことに事業会社が気づいて、そこで、いろいろな事業面のコストと、それから国民の生活様式の変化とか、ITの問題とかというようなことが、ある意味で言うと重層的に認識されて、事業会社も関心を持ってきているんではないかなというような、そんな気がちょっと個人的にはしております。

○ 蝋山部会長

能見さん、どうぞ。

○ 能見委員

先ほどから異業種の参入という形で議論が進んでいるものですから、どうしても異業種の側のメリットという形で、今幾つ議論が出てきたと思うんですけれども、同時に、恐らく銀行から見たときのメリットという問題も当然あって、先ほどから幾つか、シナジー効果の中には当然銀行から見てのシナジー効果というのは当然含まれていると思いますけれども、しかし、その部分がまだいま一つ、必ずしも明確でないのが私個人にはあるんですね。

銀行から見たときにも、例えば親会社の方がむしろ膨大な情報を持っていて、銀行としてもそれを利用できる、そういうような場合も当然あるだろうと思います。そういうところでは非常に銀行にとってのメリット、新しいタイプの銀行がそこから発展していくということはあると思うんですけれども、逆に恐らく場合によっては、銀行にとっては余りメリットがない、専ら事業会社にとってメリットが大きい。これは銀行が事業会社にとっての、親会社にとっての手段的というんでしょうか、そういうのになってしまう危険もそこではあると思うんですね。

しかし、だからといって、私は別に規制をそんなに強く設けるべきだとは思わないんですけれども、ただ、この金融審議会でもってこれからの銀行、いろいろな姿を提示するとなると、非常に銀行から見てどういうメリット、発展の可能性があるのかというところに重点を置いた方がいいのではないかという感じがちょっとします。

○ 蝋山部会長

福間さん、どうぞ。

○ 福間委員

これはやはりニーズがあるからやるということにつきると思います。インターネット取引が非常に増えていますが、B to Cで決済するのに、振込で決済すると1,000円の取引で100円も手数料をとられる。カードで決済しても1.5%とか3%の手数料ををカード会社にもっていかれる。このようなコストをセーブしたいというニーズはマーケットの中にあるわけですね。また、銀行側から見ると、口座をメインテナンスするコストが高く、ネットバンキングを使ってもらった方が効率があがるということもあります。正確な金額などは忘れましたが、シティバンクで通常の口座を閉鎖してネットバンキングに移行したら、キャッシュバックがついたこともありました。これは銀行の経費削減ですね。経費が下がると金利も魅力的なものが利用者に提供することが可能になる。実際、この点を宣伝されるネットバンキングもあります。こういうニーズとビジネスチャンスがあるということが一番大きな背景だと思います。

一つ質問をさせていただきたいのは、新規に参入してくる企業の中には銀行業の経験が乏しい企業もずいぶん出てくるのだろうと思います。このような場合の業務マニュアルとか、リスクマネジメント体制とか、自己規律のチェックをどのようにやろうとされているのか。先ほど御説明にあったようにまだ1行しか予備免許が降りておらず、その銀行の主要株主は銀行業の経験の深いさくら銀行ですから、実際に問題になるのはこれからだと思います。

もう一つの質問は、新しい銀行は作るやいなや、コンペティションの中に入るわけで。人に勝つためには競争力がなければだめですが、この競争力を維持できるだけの銀行になるかどうかの審査は非常に難しいと思います。新規参入を認めて、淘汰されるまで放っておけばいいという考え方なのか、あるいは経験、ノウハウ、エキスパティーズを発揮できるような参加者のみを認めるのか、実際には非常に難しい問題だと思うんですけれども、今日はフリーディスカッションということなので、こういう時でないと聞けないので、教えてください。

○ 蝋山部会長

佐々木さん、どうですか。

○ 佐々木銀行第一課長

御発言にございましたように、今予備免許の申請があって、終了したのが1件でございまして、ほかのところはまだビジネスプランであるとか、そういうマニュアルのたぐいのところまで、細かく全部聞くに至っておりませんけれども、そのいろいろなマニュアルはやはり膨大に作っております。それは、おっしゃいましたようにさくら銀行のノウハウは当然入っております。それで、そういう点、あるいはリスク管理をどうしていくかという点については、我々もある程度ノウハウがございますので、チェックをいたしております。おっしゃいますように、細々としたところまで全部やるというのはやはり無理でございますから、そこは監督とか検査を通じまして、検査も検査マニュアルというのがございまして、そこに何をチェックポイントとするかというのが書いてございますし、そういう点で自己診断をしながらやっていくというのを期待しているわけでございます。

それから、競争力がないとだめで、そこの点をどのように判断するかという、非常に難しいところでございまして、これは銀行法上で申し上げますと、3年以内に当期利益を計上するという要件がございます。これは見通しでありますから、確実にそうであるという保障はないわけでございますけれども、できるだけいろいろな資料を用いまして、フィージビリティを我々はチェックしているわけでございます。非常に難しいのは、そこに将来どういう人が参入してきて、どういう結果になるのかというのは非常に難しい。悩ましいのは、参入してきて、本当に二、三年で淘汰されてしまったらどうするんだと言われる、そういう質問にどう答えるのかというのは、本当のところ、非常に悩ましいところでございます。

○ 蝋山部会長

岩村さん、どうぞ。

○ 岩村委員

まずフリーディスカッションです。運用上の指針を拝見した感想に近いものなんですが申し上げたいと思うんですね。恐らく、ここで出ている問題というのは、釈迦に説法でしょうけれども、親会社とのリスク遮断の問題。それから、情報の実質的な流れが変化してしまった、あるいは情報が実質的に溜まる場所が変化してしまって、銀行の中ではなくて親会社に行ってしまうんではないかという問題。それから、今まで銀行法が暗黙のうちに前提していたはずの事業基盤と違う事業基盤を持つ銀行が登場してしまうということ、多分この3点を認識されて、それぞれについて、これは皆さんが、だから困るというよりは、銀行法の枠の中で可能な限りのいわば絆創膏を張られたというものだと思うんですね。それはよろしいというか、当然なんでしょう。だからこそ、この委員会を作られたんだと思うんですが、銀行法を前提にして、絆創膏を張ると、どうしても問題点を管理する、問題を起こさないようにするということが強調されて、その結果、今日も、こういうのは歓迎なんですよ、歓迎なんだけれども運用上の指針を出すんですという言い方になってきてしまう。

これからの議論のスタンスの取り方の問題だと思うんですが、私は最初のリスク遮断の問題と、それから情報の実質的な管理場所が変わるという、リスクと情報というのは表と裏ですので、これは一つの問題であろうと。異業種参入ということで問題になっているのは、より本質的には株主と、それから銀行のその他のステークホルダーですね。特に預金者、あるいは預金者にかわる預金保険機構を含むセーフティネット、要するに国です。監督当局と言ってもいいですが──との利害調整問題、これが一つあると。新しいタイプの株主が登場してきてしまったので、その株主とどういうふうに対応しようかと。

今までの銀行の株主というのは、いわば大変サイレントな株主を予想していたわけですけれども、今度は実質的に自分自身の利益を持つ株主を想定しなければいけない。本当は今までも想定しなきゃいけないケースはたくさんあったと思うんですが、今まで明示的に意識されていなかった。それが出てきてしまったので、株主と預金者にかわる監督当局の間の利害調整を改めてしなければいけなくなったんですが、そのときに、考え方として常に問題は二つあると。株主から過大なリスクを金融システムが押しつけられては困るんだという守るタイプのスタンスと、しかし一方では、新しい株主資本に入ってきてもらって、金融システムや金融産業が活性化してほしいというスタンスがあると思うんですね。

それで感想の話になるんですが、運用上の指針を読んで、いささかやはり気になる部分は、各論し始めると切りがないと思うんですが、危険性を指摘して、危険性に対する対策のみが書かれているがゆえに、やはり新しい金融への株主資本の流入に対して、消極的なメッセージを与えてしまうんではないでしょうか。この点はやはり考えていかなければいけない点で、今の日本の金融ということを考えると、いわゆる不良債権処理でも多額の公的資金が必要だったということは、だれも金融産業に入ろうとしてくれていないわけですね。これは例えば、欧米の金融産業と日本の金融産業と大きな違いなので、そこの点で、むしろ誤ったメッセージが送られないように、問題をもう少し、ただの異業種ということだけに注目しないで、株主と金融システム、あるいは監督当局という観点で整理するという目が必要なんではないかと思います。これが第1点で思いました。

第2点は、やっぱり同じ問題なんですが、事業基盤の問題です。事業基盤の問題も、やはりここでは事業基盤を共有することに伴うリスクが強調されているわけですが、同時にリスクがあるところには反対のものがあるわけで、事業基盤を共有することによるメリットもあるわけです。インターネットでやった方がいいですよというのは、実はそういう面も非常に強くあるわけで、やはりこれも事業基盤と、今まで銀行業の事業基盤というのは、大体店舗を見ていればよかったという、店舗を軸に、銀行の事業基盤は店舗ですよ──実態は随分変わっていたと思うんですが──というふうに思って銀行法ができ上がっている部分はあるんですが、やはりネットワークという新しい事業基盤というものをもう一度とらえ直して、その上で異業種の話というのを計として導くというスタンスが必要であろうかと思っております。

いずれにしても、管理する側だけで言うと、違ったメッセージが出ていくような気がするものですから、これから考えなければいけないと思います。

○ 蝋山部会長

恐らく、まだ一言ずつでも、二言でも三言でも言いたい。それから、翁さんはこれからずっと出て来ていただけるの。

○ 翁委員

できる限り出席させていただきたいと。

○ 蝋山部会長

大いに期待したいと思いますが、高橋さんあるんでしょう。一言どうぞ。

○ 高橋委員

少し各論に入り込んでしまうかもしれませんが、2点申し上げます。

1点目は個人情報保護の問題でございます。規制緩和の流れの中で、シナジー効果をねらいたいというのはわかりますし、もしかしたら、それは個人にもメリットがあることであるというふうに思います。ただし、それは消費者が納得ずくであるということが前提条件だと思います。

この運用上の指針には、範囲とか目的とか利用方法を明確に採点すべきであるというふうに書いてあるんですけれども、やはり保護の立場に立ちますと、どんな内容なのか、なぜ収集するのか、それをどういうふうに利用するのか、まただれと共用するのかということをもっと具体的に消費者に明示して納得を得ると、こういう作業が必要ではないかなというふうに思うんですね。ですから、実効性あるものにするためには、そういう各金融機関、銀行が行内ルールを作ってディスクローズすると。しないと罰則がありますよというような、金融商品販売法の勧誘ルールに似たようなものがきちんと作られることというのが私は大切ではないかと思います。

2点目は、銀行の免許の審査とか免許付与後の監督で漏れる恐れがないのかなと1点不安な点があるのでお聞きしたいと思います。新しく出てくる銀行というのは、業務の一部を外部委託する可能性というのは非常に高いというふうに思うんですけれども、外部委託した先が銀行と無関係の独立性の企業であった場合に、金融庁の検査とか監督が及ぶのであろうかと、この辺に一抹の不安がございます。例えば、コンピュータシステムなどのバックオフィス機能の相当部分をアウトソーシングしてしまうと、こういうケースが考えられると思うんですが、現行法で大丈夫なんでしょうかということでございます。運用上の指針でも、その辺を明確にすべきではないかと思います。

以上です。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

翁さん、どうぞ。

○ 翁委員

私、今日いろいろな議論を聞かせていただきまして、やはり銀行像というのが大きく変化してきているという枠組みでもう1回銀行法を全体的に見直していく必要があるんじゃないかという感を強くいたしました。今日は異業種参入のことにかなり限定された議論でございましたけれども、同時に他業禁止の規制緩和に関しましても、やはり銀行業を将来的に見た場合の収益源の多様化という観点からどういった見直しが必要なのか、そのときにどういう基準を持って他業禁止の緩和ということを考えていくのか、そういった基準を考えていくことが非常に重要ではないかというように思います。

他業禁止のことのみならず、インターネットバンキングなど、本当に新しい形態がどんどん出てきまして、やはり事業基盤を共有するということに伴って、様々な問題がこれから出てくることが想定されますので、そういったものにも耐え得るような、なるべく、時間は短いですけれども、幅広い範囲で銀行法の様々な規定をもう一度見直すという作業をしていく必要があるのではないかというように思っております。

○ 蝋山部会長

上柳委員、どうぞ。

○ 上柳委員

来週参加できないもので済みません。本当に偏見なのかもわかりませんけれども、やっぱり多くの事業体がもし銀行業への参入を考えるとしたら、一つは資金調達と、それから特に消費者かもわかりませんけれども、お貸ししたときの金利差で何か一見儲かるかのように、実際儲かっているところもあるかも分かりませんけれども、それでほかの事業体よりも利益率が高いんじゃないかと思われているんじゃないかと思います。偏見かもわかりません。

二つ目は、やっぱり決済機能を担うところで、それこそ百貨店が何とかカードを作っておられるのと同じように顧客情報が得られると。これは事業体についても、事業体の信用情報が大変貴重なもので、得られるというところにメリットを感じて参入されるんではないかというふうに思っています。

私は、そのこと自体が何か悪いとはもちろん思わないわけですけれども、そのときに、事業体と子会社である銀行とを、障壁を作って分離しなきゃいけないというふうに私も思いますけれども、それはかなり限界があって、銀行が収集した情報が全く親の方で使えないとしたら、余り資本グループとしては参加するメリットを感じられないんじゃないかと思いまして、むしろ、だからそういう意味からも、子会社と親事業体とをもう少し一体として見てとらえていく検査なりも必要があるんではないかと思っています。

ここはなかなか程度が難しいところですけれども、だからといって、少なくとも今までのように何でもかんでも見ていくというわけじゃなくて、そのときに何を根拠にするかというと、顧客保護であるとか、あるいは分別管理であるとか、健全性の維持とか、限られた情報を守る体制が、例えば親会社にもそういうつもりがあるのかということについてだけ検査に入るということだから規制緩和とは矛盾しないというか、調和できるんではないかというふうに自分なりに思っています。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

いろいろな意見が出まして、今日はそれぞれの方々の、御意見を頂戴できなかった方もあるんですが、金融庁からの現在までのスタンスを伺ってのクイック・レスポンスということで、まだまだこれから深めていかなきゃいけない。しかし、その切り口というものをそれぞれ御披露いただいたんではないかというふうに思います。

私個人としては、もしも白地に理想的な銀行法を書くとすれば、どんな銀行法が今の時点で必要で書けるのか。それに近づくために、次にどういうふうに今のパッチワークをしていったらいいかなというようなアプローチを翁さんあたりがちゃんとやってくれると一番いいなと思って、いつも出てきてほしいなと思うんですが、乾さん、どうぞ。いろいろな点に関してのまとめ的な。とりあえずの反応をお願いいたします。

○ 乾総務企画部長

まとめと言っては大変僣越でございますので、反応レスポンスということで申し上げさせていただきますと、最初の方の御質問にありましたように、銀行が例えば貸し出しを行わないということに対して違和感を感じるというふうな御意見もあったわけでありますけれども、今の銀行法を見ますと、預金を預かり貸し出しをすること、あるいは為替取引を行うこと、二つ書いてありまして、そのいずれかを行えば、要するに銀行としての免許を与えられるということが書いてあるわけでありますけれども、今まで我々が世間で見ている多数の銀行というのは、いわばフルバンキングと申しますか、非常に銀行と考えるものを幅広くやっていると。幅広くやっている上に、さらにあれもやりたい、これもやりたいということでもって、規制緩和の中でやってきたので、みんな銀行というのは間口の広い総合的なものだというふうなイメージが我々、特に日本人の中にあるのではないかと思うわけでありますけれども、そこは銀行ということの、また次回以降、原点、本質にかえって考えていった場合には、決してフル業務だけではないということが一つあるだろうと思います。

もう一つ、岩村先生からの御指摘がありまして、非常に我々気をつけなければいけないと思うのは、私ども、先ほど冒頭の私の説明でも、おわかりにくかったかもしれませんけれども、私どもは今までの銀行というのがフル店舗でやって、フル店舗でやるということは、経済学から言っても、だんだんと限界効用が低減してくるわけでありまして、収益性の低下する面になるのかもしれないんですが、そうした中で、最近のIT革命等によったもの、あるいは異業種から、自分がこの分野ではこういうノウハウを持っているとかということのいわば自信に裏打ちされて、銀行業務の中のこの分野に参入してきたいという動きがまさに出てきていると。そのことは、私ども基本的にウエルカムだというふうに思っております。

ウエルカムだと思っております理由は、一つには、最初に申し上げたつもりだったんですけれども、21世紀の金融の新たな展望の中で、顧客にすぐれた金融サービスを提供できるものがいわば勝ち残っていくという、そういう大きな流れの中で、そうした顧客にいい商品を提供することはいいことだということがあると。

もう一つは、そうしたことを通じて、日本の金融界を活性させると申しますか、そういうふうな動きが出てくることは非常に結構だということを基本的に思っておりまして、実はそのことが、先ほど佐々木君が説明しましたこの資料の2ページ、別紙1の第1パラグラフに書いてあるつもりなんですけれども、第1パラグラフで書いた後、そういう大きな、基本的なウエルカムを前提とした後で、しかしながら、やはり銀行というジャンルに入る以上、いろいろな監督をしなきゃいけないものですから、ウエート的に監督の方が長く書いてあるものですから、そういうふうに誤解をひょっとして与えているかもしれないですが、我々は基本的にそういうことを歓迎していると。その前提に立って、以下の佐々木君が言いましたようなことを検討しているということでございます。

○ 蝋山部会長

ありがとうございました。

建前と本音というのがありまして、いろいろ疑問を投げかければ、それぞれ建前が本音になり、本音は建前になり得るわけでありますけれども、ただいまの乾部長の御発言は、まさに本音を言われたというふうにまともに受け取りまして、これからの議論の出発点にしたいというふうに思います。

少なくとも、金融審議会はそういうスタンスがなければ、顧客にいいサービスを出すということが基本であるわけですから、そういうスタンスをきちんと置いて議論を進めたいというふうに思います。

どうもいろいろありがとうございました。

今日は本当にとりとめのない意見の発論と交換に終わったかもしれませんけれども、これからの議論に役に立つのではないかというふうに思います。

なお、テクニカルな点ですが、この後、記者会見を行いまして、きょうどんな議論をしたかということをお話させていただきますことを御報告申し上げます。

次回以降の審議につきましては、まずは2回ほど関係する業界や、むしろまさに何であなた方は銀行をやりたいと思うのというようなことも聞けるような機会をヒアリングという形で行いたいというふうに思います。この際には、ワーキンググループのメンバーの方にも後刻、先ほど御一任させていただきましたけれども、ワーキンググループの結成を決めまして、そして、そういうメンバーの方にも御参加いただくということにしたいというふうに思います。

そのほか、ワーキンググループの場を中心に、精力的な議論を行っていただくことは言うまでもありません。

ヒアリングの対象者、ある程度頭の中にありますけれども、この点もお任せいただきたく思います。

いろいろお任せいただくことを決めましたが、どうか御協力をお願いいたします。ありがとうございました。

最後になりましたけれども、次回以降の日程につきまして、時間を6分過ぎまして申しわけありませんが、よろしくお願いします。

○ 樋口信用課長

委員の皆様、御多忙と存じますけれども、来週、再来週と続けてまた部会を開催したいと思います。

まず来週でございますが、お手元にこちらの資料をお配りしてございます。9月20日午後2時からということで、場所がこの隣の霞が関ビルを予定しております。35階の東京會館というところでございます。

それから、その次の週、28日木曜日、これも午後2時でございますけれども、こちらはこの庁舎、4号館の共用第一特別会議室(4階)ということでございます。

以上、2回の御紹介でございます。

○ 蝋山部会長

どうもありがとうございました。東京會館まで使うということになって、この4号館の分捕り合戦で金融庁には頑張ってもらわなくちゃいかんですな(笑)。

○ 樋口信用課長

努力したいと思います。

○ 蝋山部会長

本日はこれにて散会いたします。どうもありがとうございました。

(以上)

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