金融審議会第一部会(第31回)議事要旨

1. 日時:平成12年11月8日(水)16時00分~18時10分

2. 場所:中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室

3. 議題:

  • 資料説明(ワーキング・グループ等)
  • 自由討議
  • 資料説明(事務局)
  • その他

4. 議事内容

  • 部会長より異動のあったオブザーバーの紹介が行われた。

  • 神田委員(ワーキング・グループ座長)よりワーキング・グループの検討状況について総括的な説明が行われた後、事務局より資料の説明等を行った。

  • ワーキング・グループの検討状況等について自由討議が行われた。主な意見は以下の通り。

  • 事務局よりジャパンネット銀行、アイワイバンク銀行(予定)について説明を行った。

(自由討議での主な意見)

【個人情報保護について】

  • 「顧客基盤の共有といったことについては、個人情報保護の観点からの適切なルール作りが重要な課題である」としているが、これは別途検討されるのか、あるいは将来的な課題ということであろうか。

  • 第二部会で検討することになっている個人信用情報については、その前提となる個人情報保護基本法制の内容が具体化しなければ、実質的な検討はできないのではないか。異業種参入等の具体的な検討が進んでいく中で、個人情報については、個人の権利として自らのコントロールの及ぶ範囲に情報が置かれるということが重要である。

  • 現在ネット上では個人信用情報が売買されている実態があり、自らの個人情報に対してコントロールができないということは大きな問題である。

  • 異業種参入の関連ではグループ内の情報の共有をどのように考えるのかということが問題であると思うが、共有を認めてシナジー効果の発揮を促していくか、あるいは、これを制限していくかということについては、国民的コンセンサス(全体的な相場観)のようなものが重要ではないか。

  • グループ内で顧客情報が共有されることは、事業者間のシナジー効果だけでなく顧客にとってもメリットとなる面がある。例えば、関連企業が顧客の信用力を把握できるため、低金利でローンが組めるといったことも可能となる。

  • 異業種進出の観点からは、例えば、ソース・オブ・ストレングスを法制化しようとする場合は、顧客情報の共有を一切認めないとする議論とはコンフリクトするという問題がある。

  • 個人情報保護については、国際的にはOECDの8原則が1980年に出ている。その際の議論では、プライバシーとは「情報主体による自己情報のコントロール権」であると明言されている。そういう意味では、「異業種の進出によって情報主体(顧客)の自己情報についてのコントロール権が損なわれないように配慮すべきである」ということではないか。

  • 支配関係にある場合は情報の垣根が崩されやすいのではないかという懸念があり、異業種が株主等であるということで特に規制を厳しくするのかどうかという論点もある。

【主要株主の定義について】

  • 5%から情報収集(届出)の対象とすることに関しては、極めて特殊なケースを想定しないと5%が相当な影響力を持つということは考えられないのではないか。体験的、感覚的には10%程度から届出としても支障はないのかなと思う。

  • 5%から届出とすることによって、早い時期に当局から警告なりがあった方が良いということもあるのではないか。

  • 「実質的な影響力」という部分が非常に重要なポイントである。アメリカでは議決権の一定比率の基準に加え、コントローリング・インフルエンス(支配的影響力)の概念があり、この判断基準が極めて重要となっている。また、5%でも実質的な支配力又は支配的影響力があるかという点には疑問があり、感覚的には10~25%程度の幅が問題になると思われる。

  • 主要株主に対して何を求めるのか、何をしようとしているのかというところから決めていく必要がある。何らかの支配力を判断するために持株比率を規定するのであれば、5%というのはまず支配力はないものと思う。通常5%程度は単なる投資や出資として行われており、これに対して報告徴求等を行うことは適当でないのではないか。

  • 届出や認可及びその後の報告徴求等を含めて段階的な規制の中で、どういう絵を描くかということが問題である。例えば、5%の株式取得であれば届出義務だけを課すということも考えられる。

  • 5%というのは「影響力」という観点からは低い訳であるが、例えば、コンビニ銀行のように営業基盤の共有等がある場合は、銀行の経営に大きな影響を与えることとなるため、5%でもそれ以下でも報告義務を設けることがあっていいのではないか。

【新たなビジネスモデルと規制緩和について】

  • 新たなビジネスモデルの銀行では、バーチャルバンク等が想定されていると思うが、ここでは金利リスク等と並んでコンピュータが適正に作動するのかというコンピュータのモデルリスクも重要である。

  • 銀行がいわゆる内部基準等を設定して、その遵守状況を当局が見ていく監督手法もあるが、できれば消費者等の声を規制・監督に反映させることも考えられないか。

  • 銀行は他の産業なり金融の中でも信用が高い訳であり、他業進出等によってその信用をあまり拡散させない方がいいのではないか。例えば、ノンバンクCDの共有については、顧客の誤認の問題等もあろうが、銀行のイメージを崩すことにもなるのではないか。

【証券業に係る検討について】

  • 証券業は銀行や保険とは異なり登録制であるが、アメリカでは登録制の下で不適格な主要株主等の排除基準が示されている。また、銀行や保険と並んで信頼性が要求される業種でもあり、これらに準じた取扱いを検討していただきたい。

  • 証券業は登録制となっており、銀行や保険とは違う法体系の下にあるのではないか。

  • 証券業は取引の公正性を確保するために行為規制の整備や分別管理の徹底を図った上で、参入規制については免許制から登録制として参入を比較的自由にしたところである。また、専業義務もない。現行法制でも適格性の考え方は入っており、銀行や保険での議論がそのまま当てはまる訳ではないのではないか。

【協同組織金融機関に係る検討について】

  • 不適格な主要株主等の排除については、協同組織金融機関の今後のあり方について議論する中で併せて整理すべき問題であり、あまり短兵急な議論は望ましくないと考えている。

【その他について】

  • 金融機関が他業に進出する場合は、これに対応して検査体制を拡充する必要が生じる。また、異業種参入によって事業親会社等をチェックする体制も必要となり、これらに対応していくには金融庁の現在人員では不十分ではないか。体制上の問題で十分な検査等ができないのであれば、他業進出なり異業種参入はやるべきではないと思う。

  • 金融機関のリスク管理は金融機関自身が行い、監督当局はそのリスク管理のシステムをチェックするという考え方がグローバルスタンダードであり、将来的にはそうした方向が望ましいと考えられる。WGの議論では、事業親会社等に対する検査は最後の手段として留保されるべきものであって、銀行に対するローテーション検査のようなものは想定されていないのではないか。

問い合わせ先

金融庁総務企画部信用課
電話03(3506)6000(内線3561,3566)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。


金融審議会第一部会第31回議事次第

  • 日時:平成12年11月8日(水)16時00分~18時00分
  • 場所:中央合同庁舎第四号館 共用第一特別会議室
  1. 開会
  2. 資料説明(ワーキング・グループ等)
  3. 自由討議
  4. 資料説明(事務局)
  5. その他

以上


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