金融審議会金融分科会第一部会(第5回)議事録

日時:平成14年9月30日(月)10時00分~12時00分

場所:中央合同庁舎第四号館(9階)金融庁特別会議室

○ 神田部会長

おはようございます。

予定の時間がまいりましたので、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会を、きょうは第5回目の会合になりますけれども、開催させていただきます。

皆様方には、いつもご多忙のところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

本日でございますが、前回の部会でご一任をいただきました市場仲介者のあり方に関するワーキンググループというものにつきまして、座長を含め12名の方々にメンバーへのご就任をお願いいたしました。したがいまして、そのメンバーの方々との合同という形で開催させていただきます。

前回、ご承認いただきましたとおり、市場仲介者のあり方に関するワーキンググループでは、証券会社、投資顧問会社、それから投資信託委託会社の最低資本金の引き下げ、それから主要株主規制、そして証券会社の販売代理店制度の導入等につきまして、幅広い検討をすることといたしておりまして、その検討結果のご報告をこの第一部会にいただきました上で、年内に結論を取りまとめたいと考えております。

それでは、まずこのワーキンググループのメンバーの方々につきまして、事務局の方からご紹介をお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○ 山崎市場課企画官

それでは、市場仲介者のあり方に関するワーキンググループのメンバーにつきましては、お手元に名簿を配付させいただいております。

お手元の名簿にございますように、吉野直行慶応大学経済学部教授に座長となっていただいております。

○ 吉野座長

慶応大学の吉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 山崎市場課企画官

また、金融審議会第一部会、当部会からは上柳委員、高橋委員と本日は欠席されておりますが、岩原委員、それから太田委員にメンバーになっていただいております。

続きまして、当部会以外でメンバーとなっていただいた方々をご紹介させていただきたいと思います。

委員の皆様から金子義昭投資信託協会副会長でございます。

中井省証券投資顧問業協会専務理事でございます。

二上季代司日本証券経済研究所主任研究員でございます。

森文保UFJホールディングス執行役員、資産運用戦略グループ長兼証券戦略グループ長でございます。

山下友信東京大学法学部教授でございます。

あとちょっとおくれておられますが、行澤一人神戸大学法学部教授にもご参加していただく予定でございます。

また、このほかに柳川範之東京大学経済学部助教授にもメンバーをお願いしておりますが、本日は欠席されております。

以上でございます。

○ 神田部会長

ワーキンググループの方々におきましては、どうぞよろしくお願いいたします。また、この場におきましても忌憚のないご意見をご披露いただければ大変幸いでございますので、よろしくお願い申し上げます。

それでは、本日の議事に入りたいと思いますが、本日は部会とワーキンググループとの合同会合ということですので、議事は公開とさせていただきまして、議事次第に従いまして、本日は引き続き私の方で進行を務めさせていただきたいと思います。

本日はかなり盛り沢山の内容になっております。

まず、最初に幅広い視点から議論を進めさせていただくために、専門家のお立場から、海外株式市場の状況と我が国の株式市場の問題点について、株式会社野村総合研究所資本市場研究室長の大崎さんからお話を伺います。

続きまして、ワーキンググループの今後の検討課題につきまして、事務局からご説明と論点の紹介などをしていただきます。その後に、大和証券グループ本社、日興コーディアルグループ、岡三証券、そしてトヨタファイナンシャルサービス証券の4社の方々から、証券業に携わっておられる実務的な観点からのご意見を伺いたいと思います。

質疑応答、自由討議につきましては、それぞれの話を伺った後にその都度行いたいと思いますけれども、いずれにしましても予定が立て込んでおりますので、議事進行にご協力いただければ幸いでございます。

なお、大崎さんにおかれましては、専門家であられることもあり、最後まで議論にも参加していただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、早速ですが、まず大崎さんの方からどうぞよろしくお願いいたします。

○ 大崎室長

それでは、時間も限られておりますので、お手元にお配りしております「わが国証券市場の問題点」と題させていただきました資料に基づきまして、手短にお話し申し上げたいと思います。

まず、1枚めくっていただきまして、「わが国証券市場の問題点」というふうに題をさせていただいたんですが、私一口で申し上げますと、現在の証券市場が抱えております最大の課題というのは、いわゆる銀行が預金を集めて、それを企業に貸し付けるという形の銀行に依存した金融構造から脱却し、少しでも証券市場をより活用した形での金融の流れというものをつくっていけないかと、これが言うまでもなく最大の課題であろうというふうに考えております。また、1998年に金融システム改革法が施行されまして、そのときに打ち出されましたビックバンの理念というものもそういった金融構造の転換を我が国においても進めていかなければならないということであったと理解しておるわけですが、それがそれから既に4年経過いたしまして、どうなっているのかと、そこを確認しておく必要があるんだろうと思っております。

2ページは銀行貸出、あるいは株式市場というものが経済規模に比べてどういう状況になっているかということを国際比較した図でございますが、ごらんいただいてますとおわかりいただけますように、銀行貸出の対GDP比は日本はかなり高い状態が続いております。これに対して、アメリカなどは非常に低い水準にございます。これに対して、株式市場の時価総額を見ますと、日本ではこれは株価の下落が大きく影響しておりますが、低い段階からさらに下がってきてしまっているのに対し、アメリカでは非常に大きくなったと。また、注目されますのはドイツでございまして、96年から2001年にかけて、経済規模に比べた株式市場の成長というものが非常に大きく見られたということがございます。

また、もう一つ別の側面から同じようなことを見てみますと、3ページでございますが、個人金融資産というものがどういった金融商品に振り向けられているかをこれは国際比較したものでございます。これも皆様よくご承知のとおりでございまして、日本では半分以上が現預金にとどまっているのに対し、アメリカでは非常に有価証券投資が盛んであると、こういうことでございます。

ここでもまた注目されますのはドイツでございまして、ドイツは元来は日本と非常に似通った銀行中心の金融構造であったわけでございますが、96年から2001年にかけまして、その構造が相当変わってきて、有価証券と現預金の比が逆転しておると、これが見てとれようかと思います。

それでは、そのような日本がある意味ではアメリカにはもちろんドイツにも若干取り残されてしまったかのように見えるわけでございますが、なぜそうなったかということを少し私なりに解釈してみたいと思うのですが、幾つか要因はあろうと思っております。

その第1は4ページ以下でご紹介しておりますけれども、つまり株価があまり振るわなかったと、こういうことではなかろうかと思うわけでございます。1990年代に入りまして、日本の株式市場は低迷しておると言われておりますので、何となく状況が90年代から今日まで全く変わってないように受けとめられがちなんでございますが、もう少し細かく期間を区切って見ていただきますと、むしろこの問題点というのははっきりしてくるのではないかと思っておりまして、まず4ページでございますが、これは90年から97年にかけての株価指数の推移と株式投信の残高の変化を示したものでございます。ごらんのとおり、アメリカ、ドイツで株価が非常に上がると同時に、株式投信が非常に残高を伸ばしたと、それに対して日本では株価が低迷し、結果的に投信の方も減っていると。

それが5ページでございますが、98年を起点に同じものを見ていただきますと、やや違った絵が見えてくるわけでございます。これは改めて申すまでもないことでございますが、98年から2000年にかけましてというのは、現在ではいわゆるネットバブルであったというふうに言われております時期ですが、この時期は世界的な株高が見られたわけでございます。この期間中だけをとれば、日本におきましても株価もそれなりに順調に推移すると同時に、株式投信の残高というものも98年から2000年にかけてという期をとれば増加を示していると。株価が上がればそれなりに増えるんだということでございます。この状況は2001年から2002年を見ていただきますと、またもう少しはっきりしてくるわけでございまして、この期はいわゆるネットバブルの崩壊というのが見られたわけでございまして、ドイツ、アメリカでも株価が非常に低迷していると、日本もやはり低迷はしておるわけでございますが、この間、ドイツ、アメリカでは株式投信の残高が非常に顕著に減り、日本でも横ばい状態と、こういうことでございます。これだけでということではございませんが、私はこういったことからいたしましても、まず日本の市場が低迷してきたから、日本では株式投資、あるいは証券投資が盛んではないんだというこの事実は押さえておく必要があろうという気がするわけでございまして、またではどうしたら株式市場の低迷から脱却できるかということになれば、これは上場している企業の収益が改善していただくほかないということだろうと思っております。これが第1の問題でございます。

第2に、本日は株式市場の問題を議論するというお話が部会長からございましたが、私はちょっと勝手にほかの商品にも広げてお話をさせていただきますが、第2の問題といたしまして、日本で証券市場が十分に発達していない理由といたしまして、社債の未発達ということが挙げられようかと思っております。7ページ、これもよくあるグラフでございますが、日本とアメリカの企業の負債構造を比較したものでございます。アメリカでは非常に社債依存が高いのに対し、日本では非常に借り入れに依存していると。また、8ページでございますが、社債の発行額の変化を見てみますと、左にございますように、日本でもさまざまな規制緩和が功を奏しまして、かなり発行がふえてはおるんですが、しかし右側のグラフ、同じものを日米比較にしてみますと、このようにアメリカに比べると発行が少ないということでございます。

では、なぜ社債を企業は発行しないのかということなんでございますが、9ページをごらんいただきたいんですけれども、これは社債の利回りと銀行の貸出レートを比較したものでございます。四角で細かく出ておりますのが国内の銀行の貸出約定金利の平均をとったものでございまして、大体同じ動きをしておりますのがAAA格の社債の利回りでございます。点線で随分離れた動きをしておりますのがBBB格の社債の利回りでございます。これの意味することは何かといいますと、銀行の貸出金利というのはAAAの社債の金利とほぼ一緒だと、こういうことでございます。

それでは、銀行の貸出先というのはどういった会社であるか。言うまでもないことでございますが、格づけがAAAの会社に貸されているという例はほとんどないのではないか、むしろBBBかそれ以下の格づけのところに貸されているんだろうと思います。そうしますと、企業の立場からいたしますと、いわゆる市場型の金融で社債を発行いたしますと大変高いレートを市場から要求される。それが銀行に行くとAAA並みで貸してくれると、こういうことであれば、社債を出す必要性というのはまじめな経営者にとっては全くないわけでございまして、これではなかなか社債市場が発達しないのも無理はないなという気がするわけでございます。

よくジャンクボンド市場はなぜ日本にないのかというような議論がありますが、このグラフをごらんいただければ、ある意味原因は一目瞭然かなという気がするわけでございまして、ではなぜ銀行さんはこういった行動をされるのか。これはやはり銀行が収益をある意味では度外視したような形で取引関係の維持を図っておられるというような事実があるのかなと思った次第でございます。

次に、第3の問題点といたしまして、私は機関投資家というものの未発達といいますと大変失礼でございますが、まだ十分な活躍をしていただけてないという要因があるのかなと思っております。これはどういうことかといいますと、通常は資金の大きい機関投資家は資金の小さい個人よりも高いリスクがとることができると言われておりまして、実際アメリカでも欧州でも機関投資家がさまざまな新しい金融商品、リスクの高い商品の発達に非常に貢献しておると言われておるわけです。ところが日本では若干状況が異なっております。例えば10ページは日本とアメリカにおけるプライベート・エクイティと呼ばれるタイプの金融商品の投資家を調べたものでございます。アメリカでは、こういったリスクの高い商品は年金、財団、保険というような機関投資家が主として投資をされております。それに対しまして、日本でそれに当たります有限投資事業組合の出資者を調べてみますと、機関投資家と言えそうなものは非常に少のうございまして、年金が6%、保険会社12%、この程度でございまして、意外に多いのは事業法人20%、それから個人が6%を占めている、それから外国人投資家、これは外国人の機関投資家ですので、これはもちろん機関投資家なんですが、我が国の機関投資家は余りこういったリスクのあるものに対して積極的に動いていただけてないということが見てとれようかと思っております。

同じようなことを別の側面から見ましたのが11ページでございまして、これもよく言われておることでございますが、日本では同じ株式市場の中でもよりリスクが高いと言われる市場の方がむしろ個人の活躍の場となっておりまして、機関投資家はより安定的と言われる、例えば東証の一部市場というようなところを主とした投資先にしているという状況でございます。株式店頭市場、すなわちJASDAQ市場では、いい悪いは別にいたしまして、常に売買金額の半分以上を個人が占めていると、こういう状況が続いておるわけでございます。

これは裏を返しますと、日本の個人というのは意外にリスク、リターンということを敏感であって、決して言われるようにリスクに対して臆病だとか理解してないというようなことではないんじゃないかと思っております。それは、例えば次のページの個人の資金の動きからも見てとれるところでございまして、つまりこれはよく言われておるところでございますが、ペイオフ解禁ということが話題になりますと、個人の定期預金が一斉に要求払い預金に移ったということでございます。これは、リスクから逃避したんだという説明ばかりがされるんですが、反面リスク、リターンということに対して非常に敏感であるという、それだけセンシティブな人たちであるということを示しているわけでございまして、決して個人は非合理な、わかってない人たちではないんだということでございます。

しかしながら、これは4番目の問題になってくるんでございますが、個人投資家というものが十分日本で育っていると言っていいかのと、これはまたいろいろ疑問がございまして、13ページはさきに内閣府で行われました世論調査の中からとってきたものでございますが、この調査では株式投資を行おうと思わない人が非常に多いといいう結果が出まして、私なんかは非常にショックを受けたんですが、サンプル数とか調査の手法について完全に私は賛同できるわけじゃないので、これが絶対的な数字だと申し上げるつもりはないんですけれども、ただ参考になる内容が出ておりまして、例えば株式投資をなぜしないんですかという質問に対して、最も多かったのは株式投資に関する知識を持っていないからということでございます。証券会社がけしからんとかだまされるとかという答えがもっと多いかなと思ったんですが、それほどでもなくて、知識がない。あと損失が生ずるリスクがあると、こういう非常にある意味合理的な答えが返ってきております。ただ、これが示しますところは投資の知識について国民教育というものをもっと進めていかないと、既に市場に参加している個人はリスクに対して敏感だといっても、今参加していない方を市場に呼び込むのは難しいということが示されておるのかなと思うわけでございます。

以上を整理いたしましたのが次のページでございまして、私は思いますに、いわゆる市場中心の金融構造への変化が余り進んでいない理由といたしまして、以上ご説明した4つの要因が挙げられるのかなと思うわけでございます。

それでは、どうしたらいいかということでございますが、それについてはちょっと私は今ここでこうしましょうということをすぐに申し上げるような、そういう能力もございませんし、またそういう場でもございませんので、ただ一つ申し上げておきたいのは、決して個人、あるいは日本の個人の投資行動が非合理でリスクに対する理解がないから証券投資が進まないというようなことではないんだということでございまして、ただしかし特に最初のところの株価のところを余り強調してしまいますと、株価が上がれば証券投資が増えると、それだったら何の対策も要らないとおまえは言っているのかと言われそうなので、ここは一言申し上げておきますと、ドイツで株価の上昇が起きたときに、なぜ証券投資へのシフトが起きたかといいますと、これは1990年の第一次資本市場振興法を皮切りとしたフィナンツプラツドイチュラント構想という当時の政府が打ち出した包括的プログラムに基づく一連の金融市場改革というものが株価の上昇と同時並行的に進んでおったからと、これが否定できない事実でございまして、決して株価が上がれば投資家が増えるんだから無為無策でよいということを申し上げているわけではないということでございます。

ですから、私は個別の方策についてここでは余り申し上げたくないんですが、最後のところでちょっとこの場で言うのがどうか、適切かというのもあるんですけれども、せっかくの機会でございますので、証券行政ということで、こういったようなスタンスをとっていただけると、よりよい方向へ向かうんじゃないかという勝手な意見を最後に申し述べさせていただきたいと思います。

第1は、まず株価が上がったときに市場振興策がうまく出たから、ドイツではうまくいったと申しましたが、逆に市場振興策が株価の上昇を誘発したんではないということでございまして、ここは日本ではともすれば証券市場政策というのが何か株価上昇を引き起こすことを期待されているかのような論調が見受けられるものですから、ちょっとこれは念のため申し上げておきたいと思います。

それでは、証券市場行政というのは何のためにあるのかといいますと、公正で効率的な市場の確立ということに尽きるのであろうと思っております。したがって、日々株価がどうなったから対策をというようなことは少なくとも市場行政という観点から、もちろん経済政策、あるいは社会政策としてはさまざまな対応が必要ではあろうと思うんですが、市場行政という観点からは余り重要ではないのかなと思うわけでございます。

そういった意味で私がちょっと気になりますのは、ドイツを見ましても、このフィナンツプラッツドイチュラントというのは、90年に第一次法ができ、それから延々と続いております。今も第4次資本市場振興法というものがちょうど議論されておりますか、もう通りましたかというところでございまして、非常に息の長い市場振興策がとられております。これにならえというわけではございませんが、どうも日本ではなかなか単年度主義とでも申しますか、いわゆる年度に合わせて行政の課題とその成果というものが問われるような風潮がございまして、こうではなくてもう少し息の長い継続的な政策というものをお考えいただけないかなと思うわけでございます。

また、それと共通する点でございますが、各国の行政当局の人といろいろな形で交流しておりまして感じますのは、同じ方がいつまでもやっていて、その分専門性が高いということでございます。そういうことを言いますと、日本ではともすれば市場関係者と癒着するんじゃないかというようなことを言われがちなんでございますが、市場関係者はあくまでも市場でもうけようというのが目的でございまして、行政の方はあくまでも公正な市場を確立し、投資者保護を図るという立場ですが全く異なっているわけではございません。市場というのは結局それでよくなって、証券会社ももうかるわけでございますので、最後は同じなんでございますが、しかし違った観点から取り組んでいるので、長期間同じ仕事に同じ人が携わっていても癒着、腐敗というようなことにはならないんだろうと思います。そういった意味で、立場をわきまえた専門家同士が対話をしていく行政というものをぜひ確立していただければなと思っておるような次第でございます。

以上、短い時間にいろいろなことを申し上げまして、大変恐縮でございますが、私の方からはこのくらいにさせていただきたいと思います。

○ 神田部会長

どうも短い時間を守っていただきまして、大変わかりやすいご説明とご意見をいただきましてありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、ここで若干お時間をとらせていただきたいと思います。皆様方からご意見、ご質問がございましたらお出しいただければと思います。どなたからでもどうかよろしくお願いいたします。どんな点でも結構です。いかがでしょうか。

○ 首藤委員

今の大崎さんのお話を非常に私はほとんどすべての点で同感といいますか、ほとんど同じ考え方に立っていると感じております。特に個人投資家の行動に対するとらえ方と行政のあり方として、まず第一に公正で効率的な市場を確立すると、それを息の長い長期的な視点でそういった行政の方針と対策というものをとるべきだという点については、全面的に賛成をしたいと思います。

大崎さんもご指摘になっていたように、日本の場合、機関投資家というのが市場の中でもっと大きな役割を果たすべきであるのに、日本の場合はそれが機関投資家の役割というのが必ずしも期待されているような形になっていないというような点、私はこの点をもう少し機関投資家がリスクテイカーとして行動するようにするにはどうしたらいいかの、まず機関投資家はなぜ日本の場合はそういった役割を十分に果たしていないんだろうかという点について、議論すべきではないかというふうに考えております。この点につきまして、なぜ日本の機関投資家が必ずしも期待されるような役割を果たしてこなかったのかと、これは日本のこれまでの銀行ベース型のシステムというものにも関連してくるかと思いますけれども、この点についてもう少し大崎さんからご意見を伺いたいと思います。

○ 大崎室長

その点につきましては、私はある意味日本の機関投資家の歴史に由来するところが非常に大きいのではないかと思っております。長い間、いわゆる運用ビジネスというのは生命保険会社、あるいは信託銀行のどちらかといいますと、メインではない職分というような位置づけであったという、この歴史に由来する点が非常に大きいと思います。

しかし、最近ここが変わってきておりまして、例えば生命保険会社さんが運用部門を分社化されるとか、いろいろな動きが出てきております。また、新規参入が非常に活発になっておりますので、徐々にあまりにも運用手法、あるいは技能という点で劣っていると、いわば市場から淘汰されてしまうんじゃないかという危機感も強まっていると思います。ですから、基本的に私はいい方向へ向かっていると思うんですが、この競争の活発化という方向をより推進していただくとともに、また機関投資家の受託者責任というものを徹底的に確立し、最終的な投資家がもうからないのであれば、機関投資家が制裁を受けるという、この仕組みを何とかつくっていかないといけないんではないかと思っておるわけでございます。また、もちろん機関投資家と言われる組織の内部の人事体系、報酬体系、そういったことも今後考えていかなければならないんだろうなと思っておる次第でございます。

○ 神田部会長

よろしいでしょうか。

どうぞお願いします。

○ 壱岐委員

機関投資家が私1人みたいなので、ちょっと。

実は機関投資家がリスクをとってないというお話があったんですが、負債サイドからの制約というものをぜひご理解いただきたいというのが1点でございます。私どもは常に負債サイドのリスクというものを意識しながらやっているということで、それと一方ではご承知のとおりソルベンシーマージンということで、リスクに対して例えば株価に10%の係数を掛けるとか、そういう一つの基準というものがはめられたことによって、負債の制約とそういうリスク係数が掛けられることによって、わが社の株式はピーク時にアセットの中で25%シェアを占める時期がございましたが、負債サイドの制約、あるいはソルベンシーマージンの問題とかを考えますと、リスクは落とさざるを得ない、これが現実でございます。それはなぜかと。1つは、株式のマーケットの低落ということがもちろんあるわけですけれども、現実には新聞報道等であるとおり、実は各保険会社さんとも株式のウエートはどんどん下げられておりまして、私どもも今現実には15%を切る水準にまで来ている、1割は落としちゃったという、こういう状況にあるわけです。これはひとえに私どもはいかにしてお客様のための資産をまず安全に守るかという、負債の役割をどうやってちゃんと果たすかということにこだわっているわけであって、野放図にリスクをとることがお客様に対して貢献していることにはならないと。もちろんプライベート・エクイティという話もさっき出ておりましたけれども、これは我々はしっかり負債サイドとのマッチングを考えながらやっているわけでございまして、ただ単にアセットサイドだけを見て、機関投資家はリスクをとっていないんじゃないかということについては、若干その辺のご理解をいただきたいというふうに思います。

以上でございます。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

これは非常に重要な問題で、また難しい問題だと思いますけれども、今の点につきましても結構ですし、また別の点でも結構ですが、いかがでしょうか。

○ 上柳委員

恐らく今の点については、機関投資家の方がリスクをとりやすいようなというか、バランスシートの逆の方も見ながら、でもある程度もう少し高リスクのところにも投資なり、あるいはポートフォリオを動かせるような、そういう効率的な市場のあり方をという問題なんだろうと思うんですけれども。大崎さん、もしご感想でもあれば、ドイツのことを特に強調されて。2ページの表を見ても、確かに証券と銀行のGDP比のバランスも注目できるんですけれども、これを銀行のものと株式時価総額を足した場合、これも経済成長と似ているといえば似ているんですけれども、まさにこの10年で両方を足したときの金額というか、GDP比が日本がドイツなりアメリカなりと逆転したという歴史だったわけなんですけれども。ドイツでの特に最後のページで強調されている公正で効率的な市場の確立のために、どのような政策が、全部ということなんでしょうけれども、特に注目されている点を1つか2つご指摘いただければと思います。

○ 大崎室長

この点につきましては、私は実は日本の制度はドイツの制度よりはかなり先行しているというふうに思っておりまして、ある意味状況が変化したのは比較感によるところがございますので、ドイツは余りにもいわばおくれたところからスタートしたものですから、そこの変化で非常に大きな実際の金融の構造の変化につながったんじゃないかと、そこは日本はある意味不利なところがございまして、若干もともと資本市場がある程度整備されていたものですから、ドイツの制度変化から直接学ぶべき点というのは余りないんではないかなという感じがしております。

ただ、一方でドイツでは、かなり以前から社債市場の発達というものが見られておりまして、日本の場合は社債に対する規制が非常に厳しかったものですから、最終的に適債基準が本当に撤廃されたのが96年というわずか6年前でございます。それから、例えばベンチャー市場なんかにつきましても、まだ本当に二、三年の歴史しかないというふうに残念ながら言わなければいけない状況でして、日本がドイツにある意味学ぶべき点は私は中身というよりは手法だとは思っておるんですが、まだいろいろ研究の余地はあるんではないかと思っております。

○ 神田部会長

ほかにいかがでしょうか。

それでは、また後で戻ってご意見とかお出しいただいてもと思いますので、先へ進ませていただきたいと思います。

なお、機関投資家の点は私も非常に重要な問題だというふうに認識しておりまして、ただちょっとこのワーキンググループの中では正面からの課題では必ずしもないようにも思いますし、あるいは重なる部分もあるかと思いますので、今後また機を見てこの部会でもぜひ議論させていただきたいと思っております。

アメリカなどでは、受託者責任とか非常にルールが厳しいはずなのですけれども、株式投資が行われているということですので、リスク、リターンというとこはちゃんと言わないといけないのかもしれませんが、要するに日本は株式はもうからなかったということではないかと思いますけれども、それを言うと大崎さんの第1点に全部尽きてしまうので、もう少しきちんとした議論をして、今後どうしたらいいかということをまた機を見てぜひ詰めてご議論いただきたいと思います。

それでは、先へ進ませていただきたいと思います。

引き続きまして、本日は大和証券グループ本社、日興コーディアルグループ、岡三証券、トヨタファイナンシャルサービス証券の4社からそれぞれ証券業に携わっておられる方々にお出でいただいております。

そこで、実務的な観点から、これらの方々からご意見を伺いまして、また皆様方からご意見を出していただければと思います。

ただ、その前に若干分厚い資料をお手元にお配りしておりますので、このワーキンググループの方での今後の検討課題につきまして、事務局から簡単にご説明と論点の紹介をしていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○ 山崎市場課企画官

それでは、事務局の方から、今後のワーキンググループの検討課題につきまして、ややヒアリングの前で若干バックグラウンドブリーフィングというような形になるかと思いますが、ご説明させていただきたいと思います。

このワーキンググループにおきましては、先ほど大崎先生の方から、なかなか個人の投資家等がこの株式市場に参入しないじゃないかというようなご指摘がございましたが、多様な投資家が幅広い市場参加の促進を図るために、どのような手段をとっていけばよいかということで、特に市場仲介者のあり方につきましてご議論いただけたらというふうに考えております。

特に先般の部会で発表させていただきましたとおり、8月6日に発表した証券市場の改革促進プログラムにおきまして、主に3つのご提案をさせていただいております。本日、お手元の資料、全部で3つの資料をご用意させていただいておりますが、資料1といたしまして、まずは特色ある証券会社の参入を促進するために、最低資本金の引き下げを検討する必要があるのではないかという第1点、それから第2点の検討課題として、証券会社等の健全性を確保するという観点から、主要株主に係るルールのあり方について検討すべきではないかという検討課題が第2点、それから第3点のファイナンシャルプランナーなどの活用も視野に入れた形で、販売代理店制度の導入を検討できないかという、この3つの検討課題につきまして簡単にご説明させていただきたいと思います。

お手元の資料1というところに最低資本金の引き下げについてという資料がございます。1ページ目をめくっていただきますと、現在の証券会社の最低資本金の制度が書いてございます。現在、登録証券会社は1億円でございまして、あとそのほか行う業務に従いまして、引き受けを行う幹事会社であれば30億円、それ以外であれば5億円、有価証券店頭デリバティブを行う会社につきましては10億円、私設取引システムを行う会社につきましては3億円という最低資本金が定められております。

次のページをめくっていただきますと、この最低資本金の過去からの推移が出ております。最低資本金につきましては、昭和25年に最低資本金制度が導入されまして、種々変更がございますが、大きなところで申しますと、昭和40年の免許制移行時に先ほどの引き受けなどを行う会社につきましては、その責任の大きさから、資本金を大幅に引き上げております。その後、平成5年4月におきまして、おおむねそれ以前の免許制時の資本金の3倍程度の引き上げを行っております。金融システム改革法施行で登録制に移行した時点におきましては、引き受けのところにつきましては、例えばそれをまた元に戻すような変更を行っております。

それから、次のページをおめくりいただきますと、現在の証券会社の資本金の分布状況でございます。おおむね1億円のところが約10%弱、以下このような左側にございますような資本金の額に従いまして、それぞれ会社数が入っております。

また、次の4ページ目をごらんいただきますと、証券会社の参入と退出の状況をあらわした推移表でございます。平成10年以降、金融システム改革法施行以降、参入、退出それぞれ会社数がふえているということがごらんいただけるかと思います。

5ページ目はその計数表でございますが、6ページ目に飛んでいただきますと、最低資本金の引き下げを検討するに当たって大変重要な論点として考えられるのは、現在の証券取引についてのセーフティネットがどんなようなものであって、これがどういった役割を果たしているかということでございますので、金融システム改革法におきまして導入されましたセーフティネットを簡単にご紹介させていただいております。

1点目は顧客資産と証券会社の固有の有価証券の分別保管を法律上義務づけた顧客資産の分別管理の徹底、それからもう1点は一般顧客の預かり資産を顧客1人当たり 1,000万円までは保護されている投資者保護基金制度、これが導入されております。

そのほか次のページになりますが、自己資本比率規制の維持を法律上の義務としておりまして、自己資本比率規制の比率に違反した場合につきましては、登録取り消しなどを含めた措置をとれるような制度が導入されております。

この後8ページにつきましては、投資信託委託業者、それから投資顧問業者の現在の最低資本金の数字でございますが、投資信託委託業者につきましては1億円、それから認可投資顧問業者につきましては同様の1億円、それから投資顧問業者につきましては最低資本金は特にございません。これも同様に過去からの推移を見ていただきますと、投資信託委託業者につきましては、昭和26年に 5,000万円ということで最低資本金が設定されております。以下、物価上昇に伴いまして、平成元年につきましては5億円まで上げておりますが、以降規制緩和ということで徐々に下げております。

なお、金融システム改革の際に証券会社の最低資本金との平仄を考えまして1億円という水準になっております。

認可投資顧問業者につきましては、昭和62年以降1億円の最低資本金となっております。

次のページは投資信託委託業者の資本金の分布です。以上のようになっておりまして、その次のページにはそれぞれ認可投資顧問業者の資本金の分布が書いてございます。

それから、その次のページにおきましては、その他の金融サービス業におきます最低資本金がどのようになっているかということが書いてございますが、おおむね証券会社等の水準にのっとった最低資本金が設定されている例が多うございます。

以上、ざっと資料をご説明させていただきましたが、この最低資本金に関して主な論点となり得るような点を挙げておりますが、まず1点目として登録制のもとで証券行政というのは必要最低限の参入規制のもと、いろいろ創意工夫あふれる業務展開を図るということで、多様な業者の参入を行っていくという必要性はあるのかと思いますが、一方で十分検討しなければならないのは、投資者保護の仕組みを評価する必要があることです。また、証券会社等の健全性確保の仕組みなどについても十分検討していかなければいけないといった点について、十分ご議論をいただけたらと思います。

以上、足早ですが、これが第1点目の検討課題でございます最低資本金の引き下げについての論点のバックグラウンドでございます。

それから、資料2は主要株主規制についてということで、資料をご用意しておりますが、まず1ページ目をごらんいただきますと、こちらはことしの4月から施行されております銀行法におきます主要株主ルールの概要でございます。現在、銀行または保険会社等についても基本的には同様でございますが、総株主の議決権の5%超を保有する者につきましては、事後届出制が導入されております。また、20%以上の議決権を保有する者につきましては、あらかじめ認可を受けなければいけないという形になっております。これらの主要株主につきましては、必要な限度で報告徴求・検査等を受けることになっております。

一方、これにつきまして国際的な動きはどうなっておりますかというのが次のページでございますが、国際的な証券監督者の機関であります証券監督者国際機構におきまして報告が出ております。こちらにございますように許認可プロセスには申請者及び申請者を支配する立場にある者、また申請者に重要な影響を及ぼす立場にいる者、すべてに対する包括的な審査が求められるべきであるということで、例えば申請者に重要な影響を及ぼす主要株主につきまして、包括的な審査が求められるべきではないかという提言が出ております。

また、免許業者に対するコントロール及び重要な影響力に変化があった場合には、当該仲介者に対する当局の評価が依然として有効であるかどうかを確認できるようにするため、当該変化について当局に知らせなければならない。当局は支配権の変化によって、仲介者が免許に関連した要求基準を満たさないこととなる場合には、免許または認可を取り消す権能を有していなければならないということで、仮に適格性のない者が支配権を持ったり、主要株主になった場合につきましては、認可を取り消す権能を有してなければいけないということがうたわれております。

ちなみに、各国の状況がどうなっているかということでございますが、3ページ目をごらんいただきます。

それぞれアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、若干の制度の違いがございますが、例えばアメリカにおきましてはブローカーまたはディーラーと提携関係を持つ者、アソシエートパーソンにつきましては、適格性を満たさなければ登録を拒否しなければならないというようなものになっております。実際、5%以上の株式を持つ者につきましては登録を拒否するということが考えられます。そのほかイギリスにおきましては15%以上の議決権を行使する者、フランスでは10%以上の保有者を明記するといったような規定、それからドイツにおきましては、議決権の10%以上を保有している者が信頼の置けない者であったら、その免許を拒否できるといったような規定がございます。

以下は証券会社の参入規制に関します細かい規定がありますので、ちょっと飛ばさせていただきますが、最後の15ページに主要株主ルールについての主な論点を簡単にご紹介しております。

まず、この目的といたしまして、市場仲介者、それから資産運用業者としての健全性を確保するという観点から、主要株主ルールを利用すべきかどうか、それから主要株主といっても定義で実質的な影響力を有する議決権の保有者というのはどのように定義をするのか。また、適格性の基準として、例えば申請者は取締役等と同様な拒否基準をとるかどうか。不適格な主要株主をどのように排除していくのか等の論点があるかと思われます。

以上が主要株主規制についての現行の制度及び海外の状況等でございます。

それから、3番目の検討課題でございますが、証券会社の販売代理店制度という資料がございます。現在の証券業を行う者については、外務員として所属証券会社がすべて登録するという形になっております。これによりまして、証券会社の責任の明確化とか、また監督体制を十分整備するという形になっておりまして、この外務員というのも雇用関係にございます、こちらでは部長、課長、係員と書いてありますが、雇用関係にある社員のほかにも雇用関係がなくても指揮、命令関係のある、例えば歩合外務員とか派遣社員、これらもすべて外務員として所属証券会社に登録するという形態になっております。

一方、海外にちょっと目を転じていただきますと、2ページ目になりますが、証券会社に所属せずに、また証券業を行っているようなケースがあるようでございます。1つの形態、インディペンデント・コントラクターという形態で全く独立の個人事業主として証券会社と契約を結んで証券営業を行う者でございまして、これは日本の歩合外務員と異なって、会計士やフィナンシャル・プランナー、不動産ブローカー、保険営業員等の他業と兼業しているケースも見られるようでございます。

また、証券会社の形態でもイントロデューシング・ファームという形態がございまして、こちらは投資アドバイスの提供とか注文の受託など、もっぱら対顧客の業務だけを行っていくということで、その他のバックオフィス業務については他の証券会社に委託するという形態があるようでございます。このイントロデューシング・ファームという形態におきましては、顧客とのすべての取り引きをバックオフィス的な業務を行いますクリアリング・ファームに委託いたしまして、またみずから顧客資産を保有しないという形態をとっているようでございます。

一方、他業態で日本の国内でどのようになっておりますかということが次のページ以下でございますが、3ページに損害保険につきましては、保険会社から保険募集の委任を受ける、代理店契約を結んで顧客からの契約の申し込みを受けるという代理店が存在しております。このほか、5ページ目になりますが、銀行におきましても同じような銀行の代理店制度というものが存在しております。

それで、次の6ページ目でございますが、代理店制度について主な論点ということでございますが、まずはこういった代理店制度を導入することについてどのように考えているか。それから、代理店制度を導入する場合、どこまで認めるか、個人に限るか、法人に限るか、しかも両方を認めるのか。代理業務をどのような範囲として認めていくのか。それから、代理業務を認めた場合、登録要件をどのように考えるのか。それぞれ代理店にかかわる規制はどのように考えたらいいのか。代理店への検査、監督権限をどのようにしたらよいのか。所属証券会社の責任をどのようにしたらいいのか等の論点があるかと思います。

以上、やや資料の紹介が足早でございましたが、現在このワーキンググループで検討課題として考えさせていただいている課題のバックグラウンドについてご説明させていただきました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

ただいまご説明いただきました今後の検討課題につきましては、この後ゲストの4人の方々からのご意見を伺った後で、皆様方からご意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、引き続きまして先ほどちょっと申しました4名のゲストの方々から、実務的な観点からご意見を伺えればと思います。

4名の方、大変恐縮でございますが、メインテーブルの方にご移動をよろしくお願いいたします。

どうも本日は大変お忙しい中、貴重な時間をとってお出でいただきましてどうもありがとうございました。

それでは、早速でございますが、順次ご意見を承れればと思います。

まず、株式会社大和証券グループ本社取締役の林部さん、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○ 林部

大和証券グループ本社の林部でございます。よろしくお願いいたします。

お手元の方に市場仲介者のあり方に関するワーキンググループという形の中で、証券会社の資本金の引き下げ、それから主要株主の規制、それから販売代理店制度、この3つにつきまして、一応それぞれ状況と結論のような形のものを1ページにまとめさせていただいております。それにつきまして、少し詳細にご説明を申し上げたいと思います。

まず、最初に証券会社等の資本金の引き下げについてでございますが、1億円の最低資本金が証券業参入の過大な障害になっているというふうには考えておりません。この証券会社の資本金の引き下げの目的でございますけれども、例えば販売チャネルの拡大ということであれば、後ほど申し上げますが、販売代理店制度の創設等で対応できるのではないかというふうに考えております。この最低資本金を引き下げる中で、特にブローカー業務等を主とする小規模の証券会社を増やしていくということに特段のメリットはないと考えております。単に最低資本金の引き下げを行うことは、証券会社の健全性の低下を通じて将来的に投資者保護基金の負担増大など、既存の証券会社の負担増につながる可能性があると懸念しております。また、その予防のために証券会社が破綻しないよう、事前規制や監督を強めることは事後チェック型行政への移行という大きな流れに反すると考えております。仲介業者の安全性は重要であり、現在の最低資本金を大幅に引き下げることの是非は慎重に検討していただきたいというふうにお願い申し上げます。ただ、例外があるとすれば、後ほど述べさせていただきますが、販売代理店制度の導入のために、業務を限定して証券業登録の基準を引き下げることなどは検討の余地があるというふうに考えております。

続きまして、主要株主規制でございますが、証券業に関しては既にファイアーウォール規制など、十分に整備されているというふうに考えております。新たな主要株主規制を整備する目的がいま一つ明確でないというふうに思われます。まずは目的につきまして、明確な議論をお願いしたいというふうに思っております。

銀行などは預金者保護の観点から、主要株主規制が整備されてきたというふうに考えております。証券業務を行うのは証券会社の役職員であり、その段階での監督体制が機能しているのであれば、主要株主規制を導入する必要はないのではないかというふうに思われます。現行法制のどこに問題点があるのか、十分議論をお願いしたいというふうに思っております。また、登録制を導入した際に先ほどご紹介もございましたけれども、体制、ルールを明確にし、投資者保護基金なども整備し、事後チェック型の行政に方向転換したというふうに理解しておりますが、主要株主まで幅広く規制で縛るというのは、その方針に合致していないのではないかというふうに考えております。

続きまして、販売代理店制度でございますが、証券会社の販売チャネルの拡大という意味で、販売代理店制度と呼ばれるものには非常に関心がございます。しかしながら、販売代理店制度が何を意味するのか、どうも見解が統一されていないというように思われます。先ほどもございましたが、第1にインディペンデント・コントラクター、ICのように独立した個人が証券会社との契約に基づき、顧客への投資助言や委託注目の取り次ぎ等を行うものを想定しているのであれば、ICについては既存の歩合外務員によく似た性質を持ち、外務員登録基準の見直しなどで導入可能な制度であると考えております。

また、第2に法人を代理商という考えであるのであれば、これは大幅な法改正が必要であるように思われます。現在の証券取引法では、代理商にも証券業の登録が必要となるため、販売代理店に販売チャネルの拡大という効果は望めなくなってきます。この解決策として、販売代理店の証券業登録基準を緩和し、当該代理業務を行う証券会社の使用人と見なすなどの選択肢はあるのではないかというふうに思っております。いずれの場合も投資者保護の観点が重要であり、販売代理店の監督責任や損害賠償責任などは基本的には本人たる証券会社が負うことを明確にすべきであるというふうに考えております。1社専属という考えであります。また、その場合、販売代理店を導入できる証券会社には相応の適格基準を導入すべきであるというふうに考えます。代理店制度の活用のためには、代理店がさまざまな業務を兼業できることが重要であり、代理店独自の行為規制や財務規制に関しては、他業態との誤認防止措置など、最小限に限定し、多様な代理店が創設できるようにお願いしたいと思っております。

以上でございます。

○ 神田部会長

時間が限られている中、どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、株式会社日興コーディアルグループ専務取締役でいらっしゃいます杉岡さんからお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 杉岡

日興コーディアルの杉岡でございます。

本日は発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

先般、発表されました証券市場の改革促進プログラムのうち、本日のテーマでございます証券会社等の最低資本金の引き下げ及び主要株主規制並びに証券会社の販売代理店制度の導入につきまして、当方の意見を述べさせていただきたいというふうに思います。

今回の証券市場の改革促進プログラムにつきましては、多様な投資家の市場参加の促進策としまして、大変時宜を得たものであり、そのための法改正の検討も極めて迅速に着手されることになりまして、関係者の市場改革に対する熱意を非常に感じているところでございます。

お手元にレジュメをお配りしておりますので、大変恐れ入りますが、それに沿いまして、その順番で考え方について述べさせていただきたいというふうに思います。

まず、最初に証券会社の販売代理店制度につきまして意見を申し上げさせていただきます。

現在、日本経済、さらには社会の活性化のためには、直接金融を重視したシステムへの切りかえですとか、あるいは個人投資家の証券市場への参加の促進が重要な課題というふうになっております。私ども証券会社も投資家の視点に立ったサービスの提供はもとより、投資教育を通じた証券投資家層の拡大など、日々この課題に取り組んでいるところでございます。私ども日興コーディアル証券では、全国 100店舗強の営業店舗と約 4,000名の営業員といった陣容で証券投資家の拡大に取り組んでいるわけでございますけれども、残念ながら全国隅々までそのサービスを提供できるという体制にはないのが現状でございます。現在、ファイナンシャル・プランナーですとか、あるいは税理士といった証券会社に属していない、いわゆる金融プロフェッショナルですとか、専門家が全国に少なくとも40万人以上いるというふうに言われております。これらの金融プロフェッショナルの方々は本業で当然のことながらさまざまなアドバイスを行っているわけでございますけれども、当然その延長線上で証券取引を通じたアドバイスですとか、あるいは証券取引といったニーズもお持ちだというふうに思います。

特に金融プロフェッショナルや専門家の方々は株式会社ですとか、あるいは有限会社といった法人形態をとっていらっしゃるところが多いというふうに考えております。そのような法人を通じた証券会社の販売代理店業務には、金融プロフェッショナルの方々とこの顧客の双方に大きなニーズがあるのではないかというふうに考えております。このような中で、証券会社の販売代理店制度導入を行うことは、個人投資家の証券投資を促進していく上で非常に意義あるというふうに考えております。

しかしながら、一方では当然この導入に当たりましては留意すべき点があるというふにも考えております。そのことについてコメントさせていただきます。

まず、販売代理店の法令遵守体制などの投資家保護のための枠組みをしっかりとしたものにするということが必要であるというふうに考えております。

1番目としましては、所属証券会社が販売代理店の法令遵守体制について指導し、責任を持つ仕組みとすること。

2番目としましては、販売代理店に対しましても、証取法上の禁止行為という行為規制を課すこと。

3番目としましては、当局によりまして検査、監督を行えるようにすること。

4番目としましては、販売代理店の破綻などの影響を排除するため、金銭ですとか、あるいは証券の取り扱いを販売代理店に行わせず、所属証券会社が行うことなどの措置が必要ではないかというふうに考えております。

特にコンプライアンス体制に関する責任を所属証券会社に課すことが投資家保護上重要な点になるというふうに考えております。

そのような観点から、現在証券外務員が一つの証券会社にしか所属できないと同様に、販売代理店につきましても、一つの証券会社のみと契約する、いわゆる1社専属とする方が法令遵守体制の責任があいまいにならないという点では効果的でないのかなというふうに考えております。

さらに、今の話とは全く今度は逆でございますけれども、一方、販売代理店の行う手続や代理店に関する規制などにつきましては、今申し上げましたような投資家保護措置を前提に、必要最低限にすべきだと、先ほどのコンプライアンスとは逆にこちらについては必要最低限のものにすべきだというふうに思います。販売代理店として参入が予想されますのは、法人であったとしましても、規模的には小規模なところが多いと、多数かというふうに思います。このような法人に現在の証券会社並みの手続ですとか、あるいは代理店という形態から見て過重な規制を課した場合には、実質的に参入ができないというふうになるのではないかというふうに懸念しております。

代理店の行う手続という面に関しましては、行政ですとか、あるいは自主規制機関に対する代理店登録ですとか、あるいは外務員登録、自主規制機関への参入、その他の報告義務などが考えられますけれども、これを極力簡素化するとともに、所属証券会社を通じて手続等が行えるようにすることが必要ではないかというふうに考えております。

また、代理店に対する規制の面では、最低資本金規制、自己資本規制、兼業への規制、報告義務など、販売代理店という形態から見れば不要だったり、あるいは所属証券会社がそれを満たしていれば十分なものにつきましては、規制を課さないというふうにすべきではないかというふうに思います。

また、代理店の取扱商品業務につきましては、制限を課すようなことは、一部の例えば引き受けといった代理店になじまないような業務ですとか、あるいは所属証券会社を通じて提供できる業務、例えば証券の保管など、こういったものを除きまして、基本的には利便性を損なうことになると思います。したがいまして、保険商品等を含め、証券会社が取り扱える商品は代理店でもすべて取り扱えるようにすることが不可欠ではないかというふうに考えております。

それでは、2番目のテーマでございます証券会社、投信、投資顧問会社の最低資本金の引き下げについて考え方を述べさせていただきます。

私どもとしましては、この最低資本金の引き下げにより、特色のある証券会社ですとか、あるいは投資顧問会社の参入が促進されるというところまでの感触は特段持っておりません。しかしながら、市場の活性化のための制度面の整備としましては、こういう手当をしておくということは意義があるのではないかというふうには考えております。当然のことながら、その際には不適格なものの参入が懸念されるということで、ここに一定の歯どめをかけることが必要ではないかというふうに考えております。

最低資本金の引き下げの検討に当たりましては、証券会社の経営の健全性の確保などを通じました投資家保護のための方策があわせて必要になると思います。例えば、一定額以下の資本金の証券会社には、金銭ですとか証券の取り扱いをさせないことや証券会社の経営に実質的な影響力を持つ株主としての十分なチェックなどが具体策として考えられるのではないかというふうに思います。

最後に、証券会社、投信、投資顧問会社の主要株主規制について申し上げます。

証券会社自体の経営の健全性ですとか、取締役の適格性については、証券業登録の際のチェックですとか、あるいは行政当局による監督により、担保されておりますけれども、証券会社や資産運用会社の経営に影響力を及ぼし得る株主についてのチェックがかからない状況にあろうかと思います。数年前には、大株主として証券会社の経営権を握った者が不祥事を起こした例もございます。証券会社等の経営に関して、影響力を行使し得る株主に対しても、その経営の健全性などの観点から、株式取得時やそれ以降のチェック、監督が必要ではないかというふうに考えております。この場合、企業会計の実質影響力基準であります20%以上の大株主を経営に実質的な影響力を持つ株主として規制対象とすべきではないかというふうに考えております。このような株主に対しては、株式取得時におけるチェックを行い、取得後も報告徴求や立入検査を可能とするとともに、株式買い増し時のチェックも行う必要があると思います。また、経営の健全性などの観点から、問題のある場合は株式の処分命令といった措置をとるようにすべきではないかというふうに考えております。また、認可業務を行っている証券会社や資産運用会社に関しましては、当該会社の株式を取得して、大株主となる場合は認可内容の大幅な変更に当たると考えられるため、事前の認可制としたらどうかというふうに思っております。さらに、証券会社等の親会社の株式の取得といった間接取得についても対象にする必要があるのではないかというふうに考えております。

以上、簡単でございましたけれども、当方の意見を述べさせていただきまして大変ありがとうございました。少しでもご審議の進行に参考になれば幸いでございます。

ありがとうございました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして岡三証券株式会社常務取締役でいらっしゃいます金井様からよろしくお願いいたします。

○ 金井

ご紹介に預かりました岡三証券の金井でございます。

このような機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。せっかくよい機会ですので、若干これらに関連することも含めてお話をさせていただきたいのと、それから私どもは平成10年にひとり店舗というのを2店舗出させていただきました。それらもあわせて7分間の間にお話できればと思っております。

まず、第1に皆様におかれましては、我が国の金融資本市場の方向性を決める大変重要な役割を担っており、今回代理店、最低資本金、主要株主についても何とか次期の通常国会でという熱意は私も理解いたしますし、改革という観点から、スピードも非常に重要かと思われます。

しかしながら、我々証券界の責任も非常にあろうかと思いますけれども、新証券税制への国民の反応を見ても明らかなとおり、これらにつきましても慎重に細部について幅広く精査いただき、推進していただきますようぜひお願いをしたいと思います。

それから、個人投資家への市場への参入のために仲介者をという議論だと思いますが、個人投資家の市場参入につきましては、間接的、そして直接的という議論もよくされますけれども、先ほどの野村総研の大崎様の話にも関連するかもしれませんが、素材が悪ければいろいろとラッピングを変えても、なかなか流れは変わらないというふうにも考えておりますし、昨今内外の運用のプロと言われる会社が運用している投資信託等々の基準価格を見ても明らかではないかというふうに思われます。

それから、代理店制度の資質ということにもつながるかもしれませんけれども、本日の代理店がどのような商品を取り扱うかという線引きにもつながるかもしれませんけれども、株式投資のリスクと債券投資のリスク、投資対象へのリスクというものに関して改めて考える必要があるのではないかと。仮に現状の長期国債が1%金利上昇することになりますと、直ちに元本が8%劣化すると、これも長期国債の場合は最終償還まで持たれるというお客様が多うございましょうけれども、投資信託等々へ組み入れている場合、さまざまな影響も出てまいります。リスクというもの、これは投資家教育ということにも通じますが、投資対象の幅広いリスクというものも考える必要があるのではないかと思われます。

さて、販売代理店につきましては、先ほどの2名の方と基本的には同じでございます。私どもでは、証券取引の業務処理能力等を含めた一定の経験と能力を有するケースと異業種からの副業としての参入のケースでは大きな差異があるのではないかというふうに考えます。後者におきましては、コンプライアンス面も含めて慎重に検討すべきではないかと考えます。

それから、その理由にもなろうかと思いますけれども、私どもでも規模が小さいながらも確定拠出型年金の運営管理機関として、投資家教育も現在実践も行っておりますけれども、一見、そして一般論では株式投資に比較して投資信託の方が説明等々を含めて難易度が低いと。私は実感といたしましては、これは基本的に大きな間違いであるというふうに考えます。なぜならば投資信託に内包される株式等に関する幅広い素材に関する説明や運用者の基本的な運用方針とそれらは時々変化もいたします。それらに関して、投資家に対して明確な説明ができる資質でなければいけないと。当社では、社内の教育や素材の提供等、バックアップ体制を整えて完璧を目指しておりますけれども、一般的には表面的な説明程度のケースも残念ながらあるのではないかと思われます。

話は若干ずれますが、投資信託の販売におきましては、目論見書等の完全事前交付等、最大限の神経を使い、とり行われておりますが、一方、変額年金保険のように保険で投資信託をラッピングしてしまうと、いわゆるパンフレットで簡単に取り扱いができてしまうと、このようなことに関しても私は不自然を感じざるを得ません。

話がほかの方へ行ってしまってもいけませんので、私どもは先ほど56店舗のうち11店舗、三重県から始まりましたので、そのうち11店舗が三重県にあるという特殊事情もございます。そんな中で、地域密着、面でのサービスの充実ということで2店舗のひとり店舗を持っております。非常に販売代理店に類似する事例と考えます。実際には、1人といっても、アシスタントの2名体制で、信用取引、先物取引等を除く商品全般を取り扱い、バックオフィス業務は母店で行うという形態をとっております。その後、平成10年から現在に至る過程でひとり店舗の増設等々については、もう少し2つの事例を見きわめてから実行したいというふうに考えております。

その理由を一部紹介いたしますと、資産家の来店率というのは元来そんなに高くないということと顧客数が増えると、今このひとり店舗の顧客数が大体 500と 600程度でございますけれども、1人ではとてもじゃないけれども、カバーできなくなるということで、母店からの営業員支援、それから本社のコールセンター等での支援、ITという手もございますけれども、もともと接触を好まれるお客様を対象にしておりますので、ということになると非常に無理が出てくるという点、この点から、アフターケア等で複数の母店と契約をするインディペンデントな代理店のケースでは、私自身は危険性を感じます。

私は今回代理店といいますと英国の医療制度、ホームドクター制度というのが非常に似ているのかなというふうに思いますけれども、一方、我が国では保険の代理店というのが比較の対象になると思います。しかし、根本的に保険と証券には大きな違いがあろうというふうに考えます。取り扱っているものは生き物であるということだと思います。幸いというか不幸にしまして、我が国の長期金利はここ10年間低下局面、かつ現状では史上最低の水準にあると、この辺も先ほど申し上げましたようなことがあれば、公社債とはいえ大きな価格変動というのもございますし、それから株価、為替ということもございます。それから、昨年来のテロ等々、世界情勢の急激な変化等で投資家のアクセスが集中するときが必ずあると、それを前提としたバックアップ体制も必要ではないかというふうに思われます。

それから、取り引きの経営の継続性ということでございますけれども、アメリカのインディペンデント・コントラクターの場合も非常に入退室の回転率が高いということも一方考えておく必要があろうかと思います。それから、スイスのプライベートバンクでも何世代にもわたって資産管理を行うという、これは私もスイスで勤務しておりましたけれども、スイスの資産管理というのは根本的に目的が違いますけれども、永続的にお客様との取り引き、資産管理を行うというのが重要ではないか、そのように考えます。最低資本金の問題にもつながろうかと思いますが、経営の継続性ということは大変重要な問題であり、始めましたと、そしてやめましたというようなことでは、業界全体の信用を失う懸念もあろうかと思われます。最低資本金は今お話しをしましたけれども、結論としては見直しには基本的には私は反対でございます。なぜならば、現在の証券会社の資本金法令で先ほど表もございましたけれども、機能しているというふうに考えているからでございます。

それから、もう一方、ここ数年起きました不幸な事例、南証券、それからクレアモントキャピタル、あの辺についてもまだ防衛策等々がまだまだ完全なものではないということもありまして、慎重な対応が望まれるというふうに思います。ただし、先ほどもございましたけれども、一定の規模の証券会社、金融機関、そして上場会社等が分社化等により、戦略的に小規模の証券会社を設立するようなケースというのは可能ではないかと思われます。ただ、その場合においてもバックオフィス業務等、コンプライエンスに至るまで、アウトソースの先についても一定の基準を設ける必要があるのではないかと思います。

最後に、主要株主のルールでございますが、一定のルール化は必要と考えます。金融機関、資産管理業者はその健全性の確保のために、一定のルールは必要であるかと考えます。しかし、一つの基準として先ほど出ておりました銀行の主要株主規制というのは参考になるのではないかと思われます。ただ、銀行と証券会社の一つの大きな業務の違い、いわゆる自己裁量での信用供与、すなわち融資業務、ここが証券との大きな違いということもあり、相当の差異を今後ご検討いただいて、つけるべきではないかと思います。

若干時間をオーバーいたしましたが、以上で報告を終わらさせていただきます。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、最後になりまして恐縮ですけれども、トヨタファイナンシャルサービス証券株式会社の専務取締役でいらっしゃいます藤井様、どうぞよろしくお願いいたします。

○ 藤井

ご紹介を賜りましたトヨタファイナンシャルサービス証券の藤井でございます。

私どもは証券ビジネスを消費者の皆様にご提供してまだわずか1年半でございます。非常に経験の浅い業者でございますが、こういう場で意見を陳述させていただく機会をいただきまして大変光栄に存ずるとともにちょっと緊張しておりますが、よろしくお願い申し上げます。

きょうは私どものビジネスにとって大変関心の高い3つの宿題をいただいたと理解しておりますが、販売代理店制度について中心に意見を述べさせていただきたいと思います。お手元の資料を1ページめくっていただけますでしょうか。1ページ目に、今回の議論はそもそもにおいてだれにとっても投資しやすいマーケットの整備というお話ですので、まずは今のマーケットにおいて、お客様とサービスがどういうチャネルを通して繋がる構造になっているかということを見ておきたいと思います。まずページの一番左側に、規制緩和が進んだり、IT技術の進歩で、オンラインさんとか証券さんとかネットバンクさんとか、新しいものがでてきております。こういうチャネルを利用されているお客様は、価格もサービスの内容も非常に多様化が進んでおりますので、大きなベネフィットを受けられているんだろうと私は理解しております。ただ、ここにいらっしゃるお客さんというのは、私どももこうしたサービスを提供しておりますが、一定の意識と理解を既に持っておられるお客様が中心だろうと思います。一番右側にちょっとお顔つきがこれで妥当かどうかわかりませんが、お金持ちの方がいらっしゃいまして、こういうお客様に対しては、制度云々を抜きにして、業者というのはどんなやり方であっても、プライベートバンクだとか、いろいろな言い方をしますが、とにかくサービスを提供するのでありまして、今さらここの議論をあれこれ言っても仕方がないのではないかと思います。実は一番証券市場にとって大事なのは、真ん中にいらっしゃるサイレントマジョリティ、いわゆる一般の普通の消費者の皆さんにどうやって証券の世界にアクセスしていただくかということだと思います。

私どもが証券ビジネスに参入するとき、グループの中でカードとか、あるいは損害保険とか、他にもいろいろ金融サービスをやっておりますので、その折々を通じて、トヨタも証券会社をつくったので、最後の取り引き等はちゃんと証券会社から説明を聞いてからでいいけれども、口座とか開いてみたらとか、そういうご紹介程度はやってあげると、向こうからお話をいただいたのです。ただし、証取法的に言うと、グループ会社の方々がそうした入り口のご案内をすることも大変難しいのです。お客様に身近なところで証券サービスがあるよということだけを理解していただくのも非常に難しいということで、大変苦労した覚えがあります。

そういう意味では、証券代理店制度というのは、一般大衆の皆さん方にいかに入り口の部分でのアクセスのチャネルをふやすかということが一番大事な目的だというふうに思います。自動車の大衆化、モータリゼーションが進む際に、損害保険が代理店制度により、今では50万から60万の代理店があると思いますが、大きなインフラになって保険の大衆化に寄与したのですが、証券の世界は先ほどご指摘がありましたが、今でもわずか店舗数で二、三千という数字でございますので、大きな差があるのではないかと思います。

2ページ目に入りまして、ところが実はよく見ると、先ほどもちょっと事務方の方からもお話がありましたが、代理店的な外務員というのは今でもつくろうと思えばつくれます。私どもも既にトライしております。先ほどありましたように、証券会社が税理士事務所さんであるとか損害保険の代理店さんという別業種の組織の構成員を証券外務員として登録させていただいて、証券サービスをやるということは、つまりアメリカのインディペンデントのファイナンシャルアドバイザーとかブローカーに近い形のものはやろうと思えばできます。これは平成12年8月の事務ガイドラインの改正でやれるようになりましたし、いろいろな形態で幾つかの証券会社がトライされておられると思います。これは証券取引法的に言うと外務員なんですが、普通の人が見ると、証券会社の直接の使用人でもないし、出来高制だし、自分の事務所で働いているわけですから、これを代理商と言わずに何と言うんだというぐらい、これは代理店そのものではないかと私は思うのです。こうした制度が片一方であるのに、なお代理店制度をもし新しくつくるとすれば、先ほど申しましたように、入り口のアクセスを容易にするようなわかりやすい制度にしないといけないのではないかと思います。

今の制度の問題点は下の枠組みで書いておりますが、現在の制度の下で代理店的な外務員をやりますと、従来のいわゆる証券マンと呼ばれる方のように、相当お金持ちの方をきちっと深掘りするという意味では非常に役立つと思いますが、一般のお客さんに広く薄く告知するという意味では、非常に難しいのではないかと思います。1つは、外務員資格制度というのが従来のいわゆる深掘り型のフルスコープの証券ビジネスを想定した資格になっておりますので、私が考えている業務の範囲と資格試験の範囲がかなりずれています。それから、個人としてしか登録できないですから、当然店舗が持てず宣伝広告が非常にやりにくい。しかも報酬、経費等をある組織に所属する役職員等へ渡すときに非常に難しいフローになってしまいます。

それから、これは前の3人の皆さんとかなり意見を異にしておりますが、1社専属はあり得ないと考えております。多様な証券業の参入を認めることで、ビジネスとか商品ごとに強み、弱みを持った多様な証券会社をつくることを、一方で推進しているわけですから、お客様の入り口になる代理店を特定の証券会社に専属させるということであれば、それは現在の外務員制度と何も変わらないのではないかというふうに思っております。

最後に、外務員ということになりますと、各社各様にコントロールするにしても外務員はフルスコープの業務が可能になりますから、それを離れた場所に居る人間が管理しなければなりません。非常にコンプライアンスのリスクは高くなるのではないかと、そういうふうに考えております。

3ページ目にいきますと、今の代理店のような代理店でないような外務員制度からきちっとした新しい代理店制度にするとすれば、できるだけ多様な事業者が証券も含めた金融サービスを幅広く提供し、かつ投資者保護に資する法令遵守体制を確保するということをやらないといけないわけですが、そのためには従来のいわゆる外務員がやると想定されている深掘り型の証券営業よりは、できるだけ広く薄く、一般消費者向けのモデルをつくらないといけないと思います。そのためには、ペーパーには書いておりませんが、代理店をコントロールする所属証券会社にとっても、サービスを提供する代理店にとっても、サービスを受ける消費者にとっても、とにかくわかりやすくないといけないと思います。要するに、今までの証券会社から受けるサービスと代理店から受けるサービスとは何が違うんですかというのがクリアでないと、いろいろ大騒ぎになってしまいます。これは全く私の業務範囲についての私案でございますが、商品とか証券業の業務の中身で分けるのではなくて、要するに横で分けたらどうだと、業務のプロセスで基本的に証券会社のフローというのは、一般的な広告・告知をして、具体的な勧誘をして、口座開設の申し込みとか注文の取り次ぎをさせていただいて、実際に口座開設を承認して注文を受け付けて、取り引きをして、口座を管理して、執行して受け渡し、精算と、こういうプロセスが分かれるわけです。証券会社及び外務員というのはこの1から6のプロセス全部できるわけですが、私は代理店をもし新しくつくるのであれば、この3ぐらいまでに切ってしまって、言ってみればページの右側に書いてありますように、通常代理商というのは、締約代理商と媒介代理商の2つがあると理解しておりますが、いわゆる媒介代理商、あっせん、勧誘だけに限った形でつくり、現行の外務員制度と併存させることに意味を有するのではないかというふうに考えております。

4ページには、その姿を非常にマンガチックに書いております。ある代理店さんにとって、債券や投資信託については証券会社Iというのが非常に自分のお客様に対するサービスについてはやりやすいと思えば証券会社 I の代理店になり、株式については手数料等を含めて証券会社 II がベストパフォーマンスだということであれば、 II の代理店になると。ただし、その代理店がやるのは、あっせん、勧誘だけであって、口座開設、あるいは取り引きの受注、約定、受け渡し、精算、保護預りというのはすべて証券会社の仕事である。いわゆる入り口業務だけを代理店はやりますということが、現行の外務員制度との間での不整合を起こさない、あるいはお客さんの側に立った制度ではないかと思います。私がちょっとここで悩んでおりますのは、こういう形をとると、いわゆる業者の代理人ではなくて投資者の代理人、いわゆる保険仲立人とかファイナンシャル・エージェントと言われるものとの、何か間の子みたいな形になっているような姿で、ちょっと私の頭の中が整理できてないかもしれませんが、こういう姿でやらせていただけると、先ほど大崎さんがおっしゃいましたように、急に証券取引が増えるわけじゃありませんので、実際企業収益が回復して、次にマーケットがブルになる前に、こういう形で、入り口でお客さんにまず証券の世界を知っていただくという姿が一番正しいのではないかというふうに思います。

5ページ目は突然出てきて、もう決まったのかと怒られそうなんですが、これでいいんじゃないかと思ってますが、代理店の業務範囲は先ほど申し上げたように、基本的に仲介、あっせん、勧誘のみに限り、現金の授受、受発注、受け渡し等は行わないと、そういう制度のもとで資格登録も現行の外務員制度とは別にし、しかも複数の証券会社に所属可能とすればいいのではないかと。

当然、約定とかお客様からのお金を預かったり、取り引きの執行をしたり、そういうことはしないわけですから、いわゆる証券会社一般に課されている財務上の自己資本規制とか分別保管というのは、そもそもお金を触ったり、お客さんの財産を触るから必要なんですから、触らない以上、そういう問題は生じないのではないかと思います。

それから、店舗というのは、実は先ほど岡三証券さんからひとり店舗のお話があったときに、大変私は興味深くお聞きしたんですが、証券会社が自己で店舗を持つと、届け出とか法定帳簿の整備云々とか、いろいろややこしいのです。そういう意味では、代理店さんが別枠でやれば、それは○○証券代理店ということで比較的自由に活動することでお客様への認知が広がるのではないかなと思います。最終的な約定、取引の執行、受け渡し、口座管理等は、すべて所属証券会社がやるわけですから、お客様に対する責任というのは常に所属証券会社が負うことになりましょう。所属証券会社と代理店の間は、裏側にある業務委託契約でどっちがどこまでの責任を持つかということをクリアにしておけば済むのではないかなと、そういうふうに思っております。販売代理店制度につきましては、一般の皆さんからの証券市場へのアクセスが身近になるという姿を確保するという形で、ぜひご審議を尽くしていただきたいと存じ上げています。

あと2点ご宿題をいただいておりますが、最低資本金については、はっきり申し上げて、なぜ資本金の最低があるのかすらよくわからないのです。証券会社が業務執行するにおいて、資本金が大事なのか、自己資本規制比率が大事なのか、それから純財産額と3つのキャピタル・アデクエンシーのルールが現在存在しておりますが、私は正直申し上げて自己資本規制一本にまとめてしまえば、何かそれで問題があるのかというのかよくわからなくて、きょうはお答えできるようなレベルではございません。

それから、主要株主ルールについても大変申しわけございませんが、特段の意見を申し上げるようなレベルではございませんので、ご容赦いただきたいと思います。

大変早口で一方的なお話で申しわけございませんが、ひとつ今後ともよろしくお願いします。

以上でございました。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

ただいまの4名の方々から、日ごろ証券業に携わっておられるお立場からご意見をいただきまして、意見は必ずしも一色ではなくて、多様なというんでしょうか、お考え、あるいはそのニュアンス等も違いがあったように承りました。

そこで、若干お時間をいただきまして、4名の方々からいただきましたご意見につきまして、皆様方からご質問なりご意見なりをお出しいただければと思います。いかがでしょうか、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

○ 古賀委員

基本的に、ここで多分最低資本金にせよ、主要株主規制にせよ、販売代理店制度にせよ、証券に携わりるそういう断面を広げようということかと理解しますけれども、基本的な方向については私は異論ございません。ただ、若干いろいろな方のお話をお伺いしていて、この基本線というのを大事にした方がいいなと。要するに、この最低資本金の引き下げ、引き下げ自体私は基本的に異論ございませんけれども、さっき藤井さんからあったように、ただこの資本金みたいな概念を使っているのは、本当は世の中でかなり少なくなってきているんじゃないかなと。現に、証券行政の中でもさっきありましたように、自己資本比率規制みたいなときには、資本金なんていうのはすっ飛んでしまうという、このあたりは多分もう少し概念整理しながら運営していった方が世の中全般を見ても資本金基準というのは余り見かけない基準になっているような気がします。

それから、一つ主要株主規制について若干混乱があるような印象があるのは、最低資本金を引き下げる、したがって主要株主規制というのが大事だみたいな、その流れというのは何か本当は違っているんじゃないかなと。つまり主要株主規制が必要だという、そういうふうに論じる方もいらっしゃいましたけれども、恐らく健全性という意味で主要株主に期待しても無意味だと思います。恐らく適格でない人を排除するとか、その観点では検討の余地があると思いますけれども、むやみに健全性を担保するために主要株主をしっかり見ようというのは、先ほどから出ているような証券市場で起こることというのは、その市場で起こる行為そのものに着目した規制の形にしていかないと、キャッチウォールでいい人だけでさせるようにしようみたいな観点というのは、少し筋違いになっていく可能性があるのではなかろうかというふうに思います。そういう意味では、銀行に対する主要株主規制とはいささか異にするというのをはっきりした上でやっていく必要があろうかと思います。

とりあえず以上です。

○ 神田部会長

ついでに代理店制度についてもご意見ありませんでしょうか、ご意見というかご感想。

○ 古賀委員

この代理店というのが果たしてどういうふうに位置づけるのかというのは、さっきも全然違う位置づけというのをご開陳していただきましたけれども、仮に代理店だろうが何だろうがこういう断面をふやすときに、投資家から見たときは同じような担保措置がきちんとビルトインされているということが大事なんだろうなと。そうすると、恐らく概念整理する上で証券会社の一つの末端のそういう機関だと位置づけるのか、それから少し軽い証券会社をつくるのかという概念整理するのかという2つによって随分整理は違うんだろうなと。だけれども、恐らくそこのところのは明示的にはっきり割り切った形でしておかないと、単に売るだけですと、この売るということ自体がいろいろな要素から成り立っているのでしょうから、基本的にどっちでいくんだというのを明示的にした上で、いろいろな措置を考えていく必要があるんじゃないかなというふうに感じました。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがですか。

○ 首藤委員

代理店制度につきまして、全く対立する2つの考え方があるということは私も強く感じておりまして、例えば証券会社の方は証券会社の代理人としてとらえていらっしゃると思うんですね。しかしながら、藤井さんはどちらか、証券会社の代理人なのか、あるいは投資家の代理人なのか、わからなくなったというふうにおっしゃっておられましたが、お考えを非常に興味深く伺いましたけれども、考え方からすれば私は明確に投資家の代理人というお立場で考えられているのではないかというふうに思います。ですので、この代理人制度といったときに、証券の販売チャネルをふやして、なおかつ適切な取り次ぎサービスとか、あるいは商品をスクリーニングするという、そういう機能を期待するのであれば、あくまでこれは投資家、あるいは顧客の代理人という形を明確にするべきではないかというふうに考えます。ですので、そもそもこの代理店制度というのは、これまでの外務員との比較でとらえられていらっしゃるというところがかなりわかりにくくしているのではないか。市場の仲介者として例えば証券会社と個人をつなぐ、あるいは個人と市場をつなぐ、先ほど新しいタイプの証券会社という言い方をされましたけれども、そういった新しい何かサービスを市場の機能を高めるために必要なんだという見方に立つ方が私は非常に明確ではないかと。例えば、これまでどおりの外務員の考え方でそういうのをなさってもいいでしょうし、あるいは明確に顧客の代理人としての立場をとって、サービスの提供に当たるという業者が出てきていい、あるいは出てくることが望ましいのではないかというふうに考えます。この代理店制度はそもそもどういう基本的な立場で取り入れようとしているのかという点をもう少し明確に議論する必要があるのではないかと思います。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

ご指摘は全くそのとおりだと思いますので、そこも含めて幅広くご議論をいただければというふうに感じます。

ほかにいかがでしょうか。

○ 二上委員

3点ばかりお聞きしたいんですけれども、1つは代理店のニーズですけれども、個人の販売代理店というのは、インディペンデント・コントラクターというのは日本で言えば歩合外務員に近い存在だというふうにご指摘ございましたけれども、それなら今でもできるわけですね。にもかかわらず、代理店制度をつくりたいというのは、恐らく法人代理店の方に重点があるんだろうというふうに思うんですけれども、法人代理店をつくりたいというニーズがどの程度あるのかというのは、この際証券会社の方がいらっしゃいますからお聞きしたいというのが第1点です。

第2点は法人代理店をつくった場合に、先ほどの見なし承認規定云々という話がございましたけれども、これをアメリカのイントロデューシング・ブローカーとクリアリング・ブローカーのように、資本金を分けて、ネットキャピタルルールを分けて、それで2種類の自己資本金といいますか、キャピタル・アデクェシーといいますか、そういう区別をつける方法をとることに何か問題があるのか、そういうふうなアプローチ、選択肢は考えられないのかということが第2点です。

第3点目は最後にトヨタファイナンシャルサービスの方がおっしゃいましたけれども、外務員資格試験の煩雑さ云々という話がございましたけれども、今でも1種、2種、4種とございますけれども、日本の外務員資格試験のどこがまずいのかということをもう少し具体的にお教え願いたいというふうに思います。それから、外務員は個人としか登録できない云々という話がございました、店舗を持てないという話がございましたけれども、もともと外務員というのはこういうものなので、広告宣伝面での制約がというふうに書かれてますけれども、要するにこれも法人代理店としてつくればクリアできるというものなのか、ちょっとこの辺が僕はよくわからなかったんですけれども、以上3点の疑問でございます。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

3点目はまず藤井さん、いかがでしょうか。もしお答えいただけるようでしたら、お答えいただければと思います。

○ 藤井

3点目と申しますと、個人、法人がというところのご質問でよろしいでしょうか。

○ 神田部会長

1つは、外務員試験の現在どこが……。

○ 藤井

外務員試験制度自体は、今銀行さんとか保険会社さんが証券業務に参入する場合とか、あるいは商品の取り扱いによって種類が多くなっておりますが、私はそれ自体は協会さんが管掌されておりますが、問題が多過ぎるとか、そういうことを申し上げたつもりはございません。申し上げたかったのは、私が考えているいわゆる入り口部分だけ、つまり、あっせん、勧誘だけをするような機能を持たせた外務員に、現在のいわゆる証券関連法令をすべて理解しないといけないというのは、いわゆる従来型の、例えば株式の短期売買はだめですよとか、そういうことにかなり重きを置いた規則、ルール集になっているので、新しくそういう代理店制度で、入り口をサービスしようと、例えば損害保険の代理店の方が証券の入り口サービスしようかといったときに、ちょっとレベルがというか、ポイントが違うんじゃないかと思います。いわゆる今の証券外務員資格というのは、ぐぐっとお客さんのところに深堀するような営業マンを前提にした資格制度ですよね。すいません、私も証券業は短いので、諸先輩が「そういうことはないぞ、藤井君」と言われたら怒られるんですが、広く薄く証券への入口のところのサービスをする代理店とは、ニュアンスの違うところにポイントを置いた試験になっているんではないかなということを申し上げただけでございます。

○ 神田部会長

ありがとうございます。

二上委員のおっしゃった第1点目と第2点目はどなたからお答えいただくのがいいのか、よくわからないのですけれども、今結局どういう代理店をイメージするかで違ってきますよね。

○ 杉岡

特に最初のところにニーズ云々というお話がございましたので、ちょっとその点につきまして承知している限りのことでお答え申し上げたいんですが、要するに今FAの資格を持っていらっしゃる方ですとか、私は金融プロフェッショナルなんていう表現を使いましたけれども、世の中にたくさんいらっしゃるというお話をさせていただいたわけでございますが、要するにいろいろな事務所に属していらっしゃると。そうしますと、事務所としてはいろいろな副業禁止ですとか、要するにいろいろなそういう規制を実は課していらっしゃるケースが非常にあると。したがって、そこと代理店契約を結ぶことによって、その事務所に属していらっしゃるいろいろなFAの方がそういう形で実質的にこういう形で入ってきやすいといいますか、現在の方というのはほとんど独立でやっていらっしゃるFAの方ですと、そういう方でやっているわけで、これを爆発的に広げていこうということになりましたら、今申し上げたように法人といいますか、そういう組織の中に属していらっしゃる方にやっていただくためには、そことの代理店契約を結ぶことによって、広げているんだと、そういうニーズは結構ありますよということではないかというふうに思ってます。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

2点目はいかがですか、ついでにご発言いただいて。

○ 杉岡

ご質問はよくわからないんですけれども、要するにこういう事務所というのは比較的小さな事務所でございますよね。有限会社ですとか、そういう株式会社以外の組織も多々あろうというふうに思ってます。したがって、私は冒頭申し上げたんですが、ちょっと質問の趣旨に答えているかどうかわかりませんが、資本金も含めていろいろな規制はそういったところには課すべきじゃないというか、できるだけそこはいろいろな規制を排除してあげたらいいんではないかというふうに申し上げたつもりでございます。

○ 神田部会長

ちょっと私の進行がよくないかもしれませんけれども、今のどの点についてでも、さらに追加でもしお答えというか、感触なりご意見なりお出しいただければありがたいですけれども、いかがでしょうか。

○ 金井

今ご指摘になられたとおりで、代理店の定義を明確にする必要があると考えます。証券業の場合、大手証券はみんなそうだと思うんですけれども、コンピュータが地方の地場証券等々は完璧につながっておりまして、その面での例えばアウトソースなるものを受けておりまして、地方の証券会社は何をやっているかというと、株式業務についてはおのおの個々に独自にいろいろ経営をなさっている。ところが、それ以外の面につきましては、相当上部証券会社に依存をしているケース、ないしは複数に外資からの情報供給を契約している受けるですとか、昨今いろいろな形が出てきています。ですから、証券業の現在の形態の中にも代理店という概念を広げると、非常に類似した事例等々もあるのではないかというふうに思いますので、個人か法人かという線引き、特に法人のところは、個人の場合には経験者、未経験者ということになると思いますし、法人のところも今言いましたようなところの線引きというのが非常に難しいのではないかと思われます。

以上です。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

この二上委員からのご質問をきっかけの幾つかの点について、ほかの皆様方いかがでしょうか。

○ 大崎室長

私は本来は関係ないんですけれども、伺っておりますと非常におもしろい問題なものですから一言だけ申し上げたいんですが、先ほど投資家の代理人なのか、業者の代理人なのかというような問題提起がございまして、これは非常に考え方としてはおもしろいなというふうに思うんですけれども、それで言いますと、私は代理店の問題と投資顧問業者をどう規制するかという問題をうまくあわせてご議論いただかないと多分いけないんだろうなと思っております。

といいますのは、代理店という立場からすれば、あくまでもこれは当然ですけれども、母店の代理店ですから、理念として投資家の方を向きましょうという意味での投資家の代理人ということはあっても、当然これは証券会社の代理店だということでございます。一方で、投資顧問というのは特定の業者にとらわれずに、投資家の立場に立ってアドバイスをしていくんだということでございますので、恐らく投資顧問の機能が代理店とうまく融合すれば、アドバイスをした上で注文の取り次ぎもするというような、今ですとアドバイスをするだけで注文は勝手にお客さんが出してくださいということなんでしょうから、そこが変わってくるんだろうなと思っておりまして、代理店制度をそれとの組み合わせでうまく入れていただく必要があるのかなとちょっと思った次第でございます。

○ 上柳委員

もしお答えいただければ2つ質問があるんですけれども、1つは今の大崎さんが言われたところにまさにかかわるんですけれども、私も代理商を拡大するとかというと大変抵抗があるんですが、ただ一方ファイナンシャル・プランナーの方々なんかが勧誘もしながらというのが一番商品の勉強になるわけですから、ある意味では投資家に近いサービスの可能性もあるのかなと思っていまして、そういう意味では藤井さんの意見に大変関心を持ったんですけれども。ほかのお三方がそんなことを言ったってうまくいかないよと、あるいはうまくいかすためにはこうしたらいいんじゃないかというご意見がもしあれば。ポイントは1社専属かどうかというところと、それでありながらコンプライアンスをどう確立していくのかというところだろうと思うので、もしご意見があれば。

もう一つ大きな問題過ぎるのかもわかりませんが、私は南証券であるとか、そういうところが大変気になりますので、南証券の事例を防ぐためには、別に最低資本金がなくて、主要株主の規制でも大丈夫じゃないかとか、あるいは最低資本金がある程度ないと、ああいうところが入ってくる可能性がさらに高まるんだとか、そのあたりについてももしご意見がある方があれば教えていただきたいと思います。

以上です。

○ 神田部会長

どなたかお答えいただけませんでしょうか。林部さん、杉岡さん、金井さん、いかがでしょうか。

○ 林部

まず、基本的に1社専属という考え方をとってます。これは、いわゆる投資家の皆さんにとってどういうサービスをどういうチャネルで、私どもから見ればご提供すると。投資家の皆様から見ればそれを受けるという格好になるわけですけれども、そこも受けるのか、能動的にチャネルにアクセスするのかによってかなり違うと思うんですね。ただ、どちらにしても助言の後に当然約定とか決済とか精算というのが絡んでくるわけですから、それをすべてきちっとして責任を持てないと、いわゆる今の係争案件とか、いろいろな問題等の責任はここまでがここの責任で、ここまでがここのという形できちっとシステムとして機能するのかどうか、そこが現時点では非常にはっきりできないと。ゆえに1社専属という形の中で母店と代理店という考えの中で、いわゆる私どもが需要を創造するという形の中での販売チャネルを拡大するという意味で意義があるというふうに感じております。

それから、いわゆる主要株主の問題とか最低資本金の問題なんですけれども、先ほど古賀さんの方から感想が述べられたと、私も一緒なんですが、証券業はいわゆる現場、そこに実際の業務の中で監督をされるという形のものであって、証券会社が株式を公開しておって、例えば5%ルール等のどなたかが市場を通じて株式を買い集めたりどうのこうのした結果として、その人たちの可能性があるからといって、最初から先ほどのようにどういう株主構成でガバナンスされている証券会社はよくて、どういうものは悪いという事前できちっと枠組みをつくってしまうというのは、どうも私はうまくいかないんじゃないのかなと。ですから、あくまでも証券業という業務の中でどういうような監督機能というか、そういうような形のもので検討されるべきであって、主要株主がどうであるか、こうであるかという形の中でやるべき問題ではないんじゃないのかなというふうに考えております。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

杉岡さん、金井さん、いかがでしょうか。今の点についてもしございましたら。

○ 杉岡

特に最初の点につきましては、基本的に私も大和さんの意見と全くといいますか、同じです。これは、非常にいろいろな責任の所在をあいまいにしちゃいかんというふうに思います。確かに、考え方とすれば、1社専属でなくて複数のということは、理想的にはそういうことが言えるかと思いますけれども、現実的にはきちっとどこかが責任を持ってやっていくということからスタートしていかないと、実際この制度が果たしてうまくいくんだろうかなと、コンプライアンスを含めたいろいろな指導も含めて、あるいは何かあった場合に、五分五分でいくのか、6、4でいくのか、これは非常に難しい話でございますので、現実問題としては私は今の大和さんの話じゃないですけれども、私も基本的にはそういう形の方がまず導入するに際しては望ましいのかなということで、その点に関しては全く私は意見は同じでございます。

○ 神田部会長

ありがとうございます。

金井さん、何かありますか。

○ 金井

基本的には、全く同感でございます。個人の場合について言えば、1社、コンプライアンス等々含めてということになろうかと思われます。ただ、今度は個人ではなくて法人となった場合、これについては責任の所在等々がきちんと担保、棲み分けが、母店との役割分担がきちんとできる一定の基準等々がつくれれば、検討されてもいいところではないかと思われます。ただ、原則論は一緒でございます。

以上です。

○ 林部

いわゆる代理商は、これは証券会社としての登録が現行の法制では必要なわけですよね。そうすると、それは法改正でつくりかえるという考えがあるんでしょうけれども、いわゆる販売代理店という形での代理商という証券会社と、そうではない普通の証券会社、ここをどういうふうに、これはいわゆる業者の論理としてはあるのかもしれませんけれども、いわゆる投資家とかお客様の方から見て、それをどういうふうに受けとめるかという問題があるんだと思うんですね。

これは先ほどお話がありましたように、だれの代理をするかということに出てくるんだと思うので、例えば商品やなんかで機関投資家の受託者責任と委託者責任という感じであれば、個人の投資家の皆さんとの関係というのはつくりやすいんですけれども、今のようにまだまだ内閣府の統計のように8割の方がどういうサービスをどのようにつけるのかという使い分けを能動的にしてない、されてない状況なんですね。この辺の状況でいろいろな形のものを理想的なものを最初に出してしまうと、かなり私は混乱するんじゃないのかなと。ですから、だとすれば要するに独立した個人での販売代理という形のものをベースにした代理業務というようなものをもう少し段階的にトライをしていくというようなことの方が今の環境の中では非常によろしいんじゃないのかなと。そうしませんと、今証券会社が先ほどの退出と新しく参入という形でかなり参入と退出が非常に大きくなってふえているわけですね。これは証券会社の特にリテールのビジネスの状況を考えますと、コスト負担というところはかなり大きな問題になってきているわけですね。そういうことをいろいろ考えた場合に、こういう単なるチャネルの対応化とアウトソースという考え方だけで企業の論理でビジネスモデルを構築してしまうというのはかえって混乱を招くということで、そういうことを踏まえた上では1社専属という考え方の中で、まず少なくとも現在の証券会社の物理的なチャネルの状態では十分ではないというところをどうやって補完をするというのがまず第1段階かなというふうに考えております。

○ 神田部会長

ありがとうございました。

時間がほぼ来ているのですけれども、若干の延長をお願いせざるを得ないような状況で大変恐縮でございますけれども、林部さん、杉岡さん、それから金井さんは全く同じご意見ではなさそうで、その中に若干のニュアンスの違いがありますけれども、言われておられる代理店のモデルと藤井さんが描こうとしておられる代理店のモデルというのは、基本的なところで違いがあるように思うのですね。どちらがふさわしいかという問題もあるかと思いますけれども、私などの感触では両方検討に値するように思いまして、そのときに上柳委員がおっしゃったような点がきちんと手当されるのか、どういう条件が整えれば、制度としてそれを用意して、それが利用可能なものになるか。利用したくない人は利用しなければいいわけですから。そのあたりも全くニーズがないのにつくってもしようがないではないかというのがもし二上委員のご指摘だとすれば、それはそうかもしれません。そのあたりが非常に制度論としてもおもしろい問題ですけれども、この代理店と今は仮称とでもしておきたいと思うのですけれども、ひょっとすると代理店ではなくなってしまうかもしれませんので、制度は今後ワーキンググループの方で幅広いご議論をぜひ専門的な見地から詰めていただければと思います。

それで、進行役といたしましては、このあたりで収拾をつける方向へ動いていかなければいけませんので、大変恐縮でございますけれども、4人のゲストの方々とのディスカッションはこのあたりとさせていただきます。

繰り返しになりますけれども、林部さん、杉岡さん、金井さん、それから藤井さんには、大変お忙しい中お越しいただきまして、どうもありがとうございました。今後もまたいろいろとご意見を伺う機会があろうと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、本来はここでさらに先ほど事務局から論点説明もいただきましたので、それをあわせてワーキンググループにおける今後の検討課題につきまして、あるいは今後の進め方等につきまして、皆様方からご意見をちょうだいする予定だったのですけれども、ほとんど時間が来てしまっております。ぜひという方がいらっしゃいましたら、ぜひご遠慮なくご発言をいただいて、議事録にも残させていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

それでは、またワーキンググループを進めていただく中で適宜ご意見もいただきながら、議論を進めていただければと思います。

どうもありがとうございました。

それでは、とりあえず3つの柱ということで先ほど事務局からもご説明いただきましたけれども、証券会社、投資顧問会社、投信委託会社の最低資本金の引き下げ、それから主要株主規制、そして第3に販売代理店制度の導入といったことにつきまして、今後ワーキンググループの方で本日いただきました大変貴重なご指摘が多かったと思いますが、踏まえ、さらに議論を深めていただければと思います。吉野先生、その点よろしくお願い申し上げます。

それでは、全般につきまして、皆様方から何か今後の進め方等についてご注意いただくべき点、あるいはご意見、ご感想等ございますでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。本日はちょっと私の進行もまずくて、時間がオーバーしておりますので、ご意見等ございましたら今後ご遠慮なく事務局の方へお寄せいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、本日の審議はこれまでとさせていただきまして、この後記者会見を行いまして、私の方から本日の当部会の模様についてお話しをさせていただきます。

最後に、事務局の方からご連絡等ございましたらお願いいたします。

○ 山崎市場課企画官

席上にご説明をちょっと省略させていただきましたが、取引一任勘定取引の範囲の見直しにつきまして、内閣府令の改正案を現在パブリックコメント中でありますが、配付させていただいております。

それから、次回の第一部会につきましては9月17日の部会で設置をお認めいただきましたもう一つのワーキンググループでございます取引所のあり方に関するワーキンググループと合同開催の形で開催させていただければと思っております。具体的には、10月9日午前10時から2時間程度の予定で現在考えてございます。議事内容、また正式な開催時間等につきましては、追ってご連絡差し上げますので、よろしくお願いいたします。

それから、また市場仲介者のあり方に関するワーキンググループの今後のスケジュールにつきましては、座長と相談いたしまして、決定次第追ってご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○ 神田部会長

どうもありがとうございました。

最後になりますけれども、野村総研の大崎さん、どうも本日はお忙しい中、ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

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