金融審議会金融分科会第一部会(第19回)議事録

日時:平成16年6月23日 10時00分~12時30分

場所:中央合同庁舎第4号館(11F) 共用第一特別会議室

○神田部会長

おはようございます。それでは、時間になりましたので始めさせていただきます。まだ若干いらっしゃっていない方がいらっしゃいますが、今日も時間が押しておりますので、始めさせていただきます。

ただいまから金融審議会の金融分科会第一部会の第19回目の会議を開催させていただきます。いつもご多忙のところをお集まりいただきましてありがとうございます。また、先週に引き続きましてご参集いただきましてありがとうございます。

いつものことですが、議事は公開となっておりまして、報道機関の方々のために後ろの方の席を確保しております。

今回も引き続きまして第二部会の委員でいらっしゃる高橋伸子委員にオブザーバーとしてご参加いただいております。よろしくお願いいたします。

本日の予定でございますが、前回の部会でご審議いただきました外国為替証拠金取引に係る投資家保護のあり方について、報告書案に基づいて議論をさせていただきたいと思います。

前回、事務局から論点を出していただいて、大まかな合意をいただいたように思います。前回いただきましたご意見、それからまた個別にご意見をいただいた皆様方もありまして、大変ありがたく存じますけれども、事務局と私の方で報告書の案として取りまとめをさせていただきましたので、そのご確認をいただきまして、できればというか、もうあと日がありませんで、この部会の報告というものを今日確定させていただければと思います。

もう1件、本日はディスクロージャー・ワーキング・グループの方から外国会社等の我が国における開示書類に関する制度上の整備と改善についてご報告をしていただきたいと考えております。これも今日、できましたら取りまとめということを念頭に置いてご審議を賜れればと思います。

それから、本日種橋委員から意見書をいただいておりますので、これを手元に配付させていただいております。

それでは、お手元の議事次第に従いまして、まず最初に、事務局の方から「外国為替証拠金取引に関する規制のあり方について」という報告の案について、それぞれ委員の皆様方からちょうだいいたしましたご意見とともに、説明をしていただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○大森市場課長

前回、非常に多岐にわたるご意見をいただきまして、その後も個別にたくさんご意見をいただきましたので、なるべくそれらが両立するように、うちのスタッフが苦心の作文をしたのがこの報告書案なんですけれども、もともと両立しない意見もいただいておりますので、なかなか限界がございます。ただ、前回以降にいただいたコメントを並べた資料2をご覧いただくとおわかりのように、両立しないのは、その規制の程度とか対象をめぐってのご意見ですので、今、部会長からお話がございましたように、コンセンサスが得られる範囲で一旦議論を取りまとめて立法作業に移れると、何とか秋の臨時国会に作業が間に合って、提出、成立すれば、来年しかるべき時期からの施行が可能になるということだろうと思います。

この問題は、その後の投資サービス法につながる論点を含んでいることもありまして、前回は、昔だったら延々大議論になったようなテーマを一、二回の議論で決めてしまうのかというもっともなご指摘もいただきました。同じご指摘を昨年暮れにも別のテーマでいただいたように記憶しておりますが、前回の翌日には外為証拠金取引業者と称する人たちが逮捕されるという展開になっておりまして、そのケースは実際には注文をつないでもいないので詐欺で逮捕されたわけですけれども、少なくとも外為証拠金取引という看板のもとで行われるべきルールは早急に確立する必要があると思います。

報告書案、資料1に基づきまして、委員の皆様から意見をいただいた部分を中心にご説明をいたします。

基本認識の第3パラグラフの3行目、前回、一番最後に何を改正するかということを前に移して、金融先物取引法の改正によるという点は、前回、田島委員から既存の法体系に縛られることがないようにという、これは役人が実にしばしば陥る過ちについてご指摘をいただきましたので、既に法律にこう書いてあるからというのではなくて、何が今必要かという観点からやらせていただきたいと思っております。

第4パラグラフは、この取引の商品性について幾つかご意見いただきました。それへの注意喚起とともに、この5行目以降は、前回、個人などの保護を必要とする投資家という、やや妙な日本語を使いましたので議論を招きましたけれども、要はこの取引のだれに対する提供が規制の対象になるのかということでございます。なかなか1週間でクリアな整理はできませんけれども、いずれにしても、個人に提供する延長線上で中小企業などにも提供するという場合は、少なくとも業者としての規制はかかりますから、野放しということにはなりません。また、いかに中小とはいっても、企業財務としてこういう取引で運用するというのであれば、その自己責任の度合いは個人よりは強くてしかるべきだと思いますし、さらに、例えば輸出入のヘッジといった形で企業だけを対象に提供するということが仮にあるなら、それがその100%リスクを認識している人たち同士の取引であれば、規制が入っていくのは余計なお世話だということもあると思います。保護対象は個人に類するような企業とでもいうんでしょうか、そういった点に配慮しながら実務的に詰めさせていただければということでございます。

2ページの2番目のパラグラフはレバレッジ商品の規制の範囲でございますが、価格が変動するものだと何だってその理論的には同じ仕組みができますので、前回の卵の議論というのは大変興味深く聞かせていただきました。現にシカゴ・マーカンタイル取引所も30年前は卵と牛をなりわいにしていまして、レオ・メラメッドという人が通貨や金利や株価指数でも同じことができるではないかと思いついて現在に至っているわけです。ただ、思いついたらすぐにできるようなシステムにはこの国はなっておりませんので、では今回、卵や金も入れましょうというと、農水省と経産省のオブザーバーの方がわかりましたということには、それこそ一、二回の議論で決めてしまえるようなテーマではないと思います。したがいまして、そこにございますように、通貨・金利、そういった金融商品という範囲でレバレッジ型商品の規制を検討して、この検討に際しては資料3、種橋委員からいただいておる意見書などにも十分留意して、別に私どもとこれ認識が違っているということではないと思います。それ以上の話は投資サービス法のセッションでということではないかと思います。

2番目の業者の適格性の確保として、許可制や認可制といった、より強い規制を求めるご意見もいただいておりますが、何度か申し上げておりますように、私ども、事後の手続の入り口で通らない法律というのはなかなかつくれないということでございます。

それから、3番目の業者に対する行為規制の、勧誘規制が一番意見が分かれたといいますか、いろいろな意見をいただいたところだったと思います。

この勧誘規制について、適合性原則を徹底すれば問題は起こらないはずであるという前回の一部の委員からの意見は、理論的にはそのとおりかと思います。しかし、その適合性原則というものがなかなか実際に徹底できないものですから、この取引、この商品に限っては訪問や電話による不招請勧誘の禁止という提案もさせていただいているわけでございます。

証券取引法に適合性原則があるから顧客の属性にそぐわない証券投資の勧誘が実際に行われていないと考えるなら、それはよほどおめでたいのであって、事後的に言った言わないというトラブル、苦情は山ほどございます。金融庁からコンプライアンスをうるさく言われている証券会社においてすらそうなら、まして今回、この商品はというふうに考える方が素直ではないかと思います。

また、前回申し上げましたように、その適合性原則違反の検証が現実には極めて困難でございまして、証券会社に唯一の行政処分事例があると申し上げましたけれども、これは顧客の属性を軽視していることをうかがわせる勧誘方針の文書がたまたま残っていたので、辛うじて認定ができたということでございます。

現実の外国為替証拠金取引の営業の実態というのは、それこそピンからキリまでいろいろあると思いますけれども、私が某テレビ局から見せてもらった隠し撮りは、若くて優しそうな青年が、おばあちゃん、イラクの人たちも大変だねとか言いながら、ぼくにお金を預けたら増やしてあげるよという、これは相当キリの方だと思いますけれども、さらに下にいくと、先週逮捕されたような人たちということになるんだと思いますけれども。ただ、おばあちゃんはサインしてはんこを押してしまっているものですから、事後的にこのやりとりを再現するには隠し撮りでもしていない限りは難しいということだと思います。相当控え目に言うとしても、訪問や電話による対話型勧誘の結果としてこの取引を始めた顧客のうち、始めてよかったと思う人がよくなかったと思う人を上回っていることはまずないと思います。対話型勧誘をしている業者を養っているのはその顧客ということですから、カバー取引の度合いにもよりますけれども、なかなか理論的に共存共栄ということにはなりにくい面があるのが事実だと思います。証券会社の営業員がひとり暮らしのおばあちゃんに株式投資の勧誘に行ってもいいと思いますけれども、やはり、この取引、この商品性であるがゆえに、呼ばれもしないのに行ってはいけないというルールにしておかないと、実効性のある規制にはならないと思います。密室で具体的にどういう勧誘をしたかというのは、第三者にとって常に言った言わないという事後的な検証が大変困難ですけれども、呼ばれもしないのに行ったかどうかという認定は比較的容易ではないかと思います。

前回も議論いただきましたけれども、これが新しいタイプの投資サービス規制であることは間違いないので、そういう場合には規制の経済活動への影響とか副作用について見きわめておく必要があると思いますが、最近のこの外為証拠金取引の増加、あるいはこの取引を含めた外貨運用への国民の関心の高まりというのは、何も対話型勧誘をする業者が増えたためではなくて、大半がオンライン取引によるものである一方、この取引の被害、トラブルのほとんどすべては訪問や電話による対話型勧誘に起因しております。したがって、入り口における不招請勧誘の禁止というのが、原因に対する過不足のない対応ということだと思います。何人かの専門委員から今後の議論の、その前例というような懸念が寄せられておりますけれども、繰り返しになりますけれども、この取引、この商品性についてということだと思います。やや説明がしつこくなりました。

それで3ページ、こういう不招請勧誘を禁止するのであれば、その商品性そのものは当事者間の契約の問題ではないかという前回の私どものたたき台に対しまして、商品性そのものも問題だという意見もございました。ただ、ちょっとここにとどまっていると、正直、いつまでたっても部会の議論というのはまとまりにくいと思います。

東委員から、損害が投下資本の範囲にとどまるのか、それを超えて拡大し得るかどうかということがクルーシャルだというご指摘がございました。確かに、損害が投下資本の範囲にとどまる株式会社という仕組みをベースに世界中の資本主義が成り立っているわけですから、この違いは大きいので、例えば3ページの下から4行目ぐらいに書きましたように、その広告の必要的記載事項にするといったことは検討すべきだと思います。

ただ、その次の4ページ、ロスカットの義務づけ云々という議論もございましたけれども、投下資本がなくなるかどうかというのは、大変荒っぽい計算でいうと、レバレッジが10倍だと為替が1割動けば倍になったりなくなったりしますが、20倍だと5%の変動で同じことになって、100倍だと1%でということで、結局、これもその商品性に帰着するということになりますので、4ページの8行目ぐらいですか、ロスカットを義務づけるという考え方もあると思いますけれども、追証を入れて続けたかったのに勝手にロスカットするとは何事だと業者に食ってかかるお客さんも世の中には存在しておられまして、やはりやりたいという客がいて提供する業者もいるのに、国がそういう選択肢を認めないというのは慎重であるべきではないかと思います。

またまた繰り返しになるんですけれども、不招請勧誘の禁止を前提にするのであれば、いきなりあらわれた業者の言うがままにということにはならないはずであって、何に触発されたかはともかくとして、取引を始めるに当たってはみずからの意思が介在していることになります。たとえがいいかどうかわからないんですけれども、新聞とか雑誌で、高知競馬場でけなげに走るハルウララなんていう記事に触発されて自分も買ってみるという行為は、これまでのところお金をどぶに捨てているのと結果として同じですけれども、だから高知競馬場とか、それを紹介するマスコミがけしからんという人は当然いるはずもないので、そういったこととのバランスというのか、常識的な対応というのがあるのではないかと思います。

あとはあまり変わっておりませんですね。

5ページの一番下に、前回までなかった外国規制当局に対する調査協力規定というのは、これはもう証取法には既にありまして、例えば米国SECとの相互協力が行われております。私どもの国際担当の松尾企画官が先週CFTCと協議してまいりまして、SECと同様の国際的な協力体制の根拠規定を置きたいということでございます。

次の6ページのカバー取引につきましては、前回の論点整理の文章がややぼんやりしておりましたので、もう一度頭の整理をいたしますと、まず、既に多くの業者が現実にカバー取引をしているというのは、みずからはポジションを抱えずに手数料で生きていますという財務の健全性のアピールであるとともに、その顧客の間に利益相反はありませんという姿勢のアピールでもあります。

であれば、その次に、このカバー取引を法律上強制するかどうかとなると、やはり外為自由化の精神からするとなじまないと思います。「なじまない」という記述はおかしいというご意見もいただいているんですけれども、外為自由化が間違っていたと言わない限りは、やっぱりなじまないんだろうと思います。

財務の健全性という観点からは、リアルタイムで100パーセントカバーするのは難しいという物理的な制約もありますのと、そのカバー先だって安全とは限らないということからすれば、むしろその業者自身の抱えるリスクに対して、どれだけ自己資本を持っているかという比率によってモニターしていく方が現実的ではないかということでございます。カバー取引は、その財務の健全性の上で望ましい方法の1つであることは確かですけれども、必ずそれを義務づけるということではなくて、このカバー取引も含めた財務の健全性確保のための方策をきちんとディスクローズをするという、そういう位置づけでございます。

このパラグラフの下から4行目、顧客との利益相反という観点からも、やはりカバー取引というのは望ましい方法の1つですけれども、こちらも外為自由化の精神からすると、みずからポジションをとっちゃいかんと強制するのはやはり行き過ぎで、証券会社もブローカーもやればディーラーもやるわけで、その顧客と反対の投資判断をしているのであれば、みずからのポジションで受けるということを法的に禁止はできないと思います。ここでも、みずから提示する取引レートの根拠や、過去に提示したレートのディスクローズが意図的な利益相反の防止策ということだろうと思います。

前回、この点、斎藤先生からちょっと鋭い質問があって、私、的確にお答えできなかったのは、手数料だけで生きている業者と初めから顧客を食い物にするつもりの業者の間には、本来、この取引のすそ野が広がれば手数料で生きていきたいんだけれども、実際にはそこまですそ野が広がっていないので、結果として、客との勝負に勝つことが現実の収入源になっているという業者が相当程度存在しているであろうことが頭をかすめたからでございます。こういう、意図はさほど悪くない人たちを初めから突き放してあきらめさせるような規制をするというのは、やや統制経済的な発想ではないか。前回も申しましたけれども、過度の貸金業規制がヤミ金をはびこらせるというのと似た副作用の方がむしろ大きいのではないかと思います。

6ページのその他の最初のパラグラフには、7ページ、「法制上の配慮をしつつ、罰則規定も整備すべきである」というのをつけ加えております。

次の自主規制につきましては、金融先物取引法に基づく金融先物業協会というのは既に存在をしておりまして、主に銀行が会員になっております。

一方、前々回、豊商事さんでしたか、ご紹介のあった外国為替証拠金取引業協会ですか、主として商品先物業者の方々が自主的に結成されたものだそうでして、ここに証券会社がほとんど入っていないのは、端的に言えば、一緒にやりたくないということだろうと思います。証券会社には当然証券業協会があって、こういうところにも証券、金融先物、商品先物と、その根拠法あるいは所管官庁が別であったということの反映がありますけれども、こういったことも投資サービス法のセッションの課題になり得るということで、当面は、前回申し上げましたように、複数の機関の信頼性、競争を前提とした法的手当てをするということではないかと思います。

前回の最後に太田委員から、東京金先として外国為替の上場商品を検討していくというお話がございましたのは、今回、議論をしていただいた問題点が特殊な相対取引であるところから来ている部分が相当程度ありますけれども、そういった問題点のかなりの部分を解決するのは透明性の高い選択肢だということで、よろしくお願いをしたいと思います。今回の規制と上場商品の影響が相まって、この取引の正常化、健全化を期待するという結びを提案させていただきました。

前回も申し上げましたように、以上、必ずしも理論的に首尾一貫はしていないんですけれども、ある現象が社会問題化するときにはパターンみたいなものあって、私が思い出すのは、今回の問題、平成11年から12年にかけての商工ローン問題と似ているような気がするわけです。司法的には、まず民事裁判で業者が負け始めまして、次いで刑事事件化をします。商工ローンだと腎臓を売れというような取り立てですね。マスコミ的には、まず週刊誌や経済誌が取り上げて、次いで新聞が取り上げるようになって、次いでテレビ番組の特集で普通の国民も認識するようになると。そうなると、行政は何やっているんだという機運が高まりまして、それに追われる形で業者の処分をして、最後にあまり冷静とはいえない状況下で法規制の強化が行われるというパターンでございます。

今回は、そもそも根拠法とか監督官庁が存在しない中で、こうした展開を先取りしようとしているんですけれども、どう先取りするかというと、繰り返しになりますが、やはり外為自由化の精神からすれば、経済活動への副作用は避けなければなりません。したがって、業者の規制としては基本形を用意するけれども、ただ、これだけの被害、トラブルの原因が何かということはきちんと見きわめた上で、対話型勧誘については、その入り口において、これまでの業者規制以上の手当てをするということではないかと思います。

この報告書案、あまり厳密な言葉遣いをしておりませんけれども、「必要である」とか「適当である」とか「べきである」とか書いてあるのは、恐らく委員の間でほぼ認識が一致しているのではないかという事柄で、「望ましい」とか「考えられる」とか書いてあるのは、有力な異論はあるだろうけれども、多数決をとればそうなるのではないだろうかということで、そのほか「意見があった」と書いてあるのは、現時点では請負はできませんけれども前向きに検討させていただきたいということで、実際に意見があっても1人だけとか、とても現実にできそうもないというのは取り入れておりませんので、それがけしからんということであれば、また本日ご意見をいただければと思います。

審議会の報告というのは、今後作成する法案の各省庁協議を含む政府としての決定、与党の審査、国会の審議、そういったものとは別だというご意見も当然あろうかとは思いますけれども、できれば報告全体の内容が政府、与党、国会に極力すとんと得心させるようなものであった方がいいのではないかと考えまして、まとめさせていただいたつもりでございます。大変押しつけがましく、僣越な説明をしております。恐縮でございますけれども、早くまとめて作業をしないと秋に間に合わないという焦りから来るものとして、ご容赦いただければと思います。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

お手元の資料1の、今ご説明いただいたほか、あと8ページ以降は参考資料というか、添付資料ということですので、これからは、今ご説明いただいた7ページまでについてご審議をいただくということでよろしいかと思います。

それで、今日はまた時間の制約もございますので、あまり最初に全体的なご意見を伺っていますと先へ進めませんけれども、順次、全般的なご意見と1.ですね、基本認識。これ1ページ目から2ページ目ですけれども、これをまずあわせてご意見をいただければと思います。その後、2.以下、順次ご意見をいただいていくということで、また言い忘れたら戻っていただいて結構でございますし、全体にかかるご意見は随時お出しいただいて結構でございます。

まず1.の基本認識、それに関連して全体的なアプローチ等につきまして、ご意見やご質問がありましたら、どなたからでもご遠慮なく、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

前回、欠席をいたしまして、大変失礼をいたしました。

ペーパー提出をいたしましたが、丁寧に取り扱っていただきまして、何か消費者の権化みたいな形になっておりましたけれども、被害が集中、多発して被害額も大きいということで、早急に抜本的対策が必要ということです。こういう対応をとられたことは評価をしておりますので、ぜひお願いしたいというふうに思っております。

それで、全体にということと個別にとおっしゃられたので、それでは、個別のところで毎回手を上げるようなことになってしまうのですが、それは……

○神田部会長

結構です。それぞれ、個別のところでお願いした方が多分わかりやすいと思いますので。

○原委員

わかりました。

○神田部会長

全体についてと1.についてあればどうぞ。

○原委員

1.というところではなくて全体についてですが、今回の規制の方向性は、私としては登録と販売勧誘ルール、それから財政基盤、分別管理というあたりで手当てされるという、この方向性でお願いしたいと思いますが、商品性について今回踏み込まないということですか。

ただ、前回も複数の委員から疑問も提出されていて、果たして説明義務で本当に尽くせるだろうかというところは疑問に思うようなところもありまして、今回、4ページに「当面」という言葉が入っているのでこの「当面」はどのレベルのお話になるのかというのはちょっとわかりにくいのですけれども、当面はこういう説明義務、ともかく秋の国会に向けての時間制約ということでありますけれども、私はその商品性そのものの問題点についても引き続き検討をしてみるというような、これは投資サービス法に向けても大きな検討課題になると思っておりますので、どこかでそういうニュアンスは入れておいていただきたいと思っております。

全体では以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

さっき大森課長から既にご説明があったんですが、種橋委員のコメントの取り扱いなんですが、外国証券取引及びこれと同様の性格を有するのものに限ると。一般的な通貨・金利等を原資産としたデリバティブ取引ということではなくて、外国為替証拠金取引に類似したものを今回取り扱うというのが種橋委員の整理だと思いますが、そういうことでいいんだというふうなご説明だったと思いますが、そうですね。

○大森市場課長

そうです。

○神田部会長

ほかにいかがでしょうか。

原委員がおっしゃった点は大変重要なご指摘でして、これは投資サービス法の議論につなげていく上でも避けて通れない問題だとは思うのですね。

それで、前回の皆様方の大勢は、外為証拠金取引といえどもというか、その仕組み自体が何か欠陥商品だというよりは、非常にやはりレバレッジが高いものをむちゃな売り方をして、個人にですね、売り方の問題であるというのが大体で、ただ、他方において、前から池尾先生からのご指摘ありましたけれども、こういう商品をリテールで一般投資家に売る意義というのは国民経済的にも疑問であるというご指摘もありました。それは商品性を規制することでも、あるいは売り方を規制することでも達成はできるのですね。

そういうときに一体どういう態度をとるかということで、先ほど、大森課長から非常に詳しいご説明がありましたけれども、私も多分としかなかなか言えないのですけれども、こういう投資商品あるいは投資サービス、もっと広く言えば金融という分野で、商品性を限定する規制というのは、本当にやむを得ない場合はともかく、できれば避けたいという。

これもまさに私がよく証券取引法の勉強をすると教科書に書いてあるのは、アメリカ型のアプローチですけれども、最初に書いてあることは消費者保護と投資家保護は違うと。源流は同じなのでしょうけれども。証券取引というのは、腐った魚も腐っているときちんと言えば売ってよろしいと。いわゆる自己責任という話なのですけれども、そこでうそをついた場合は、これは厳しく規制を受ける。消費者保護というのは、やはり危ないおもちゃは売っちゃいけない、危ない薬は売っちゃいけない。危ないかどうかというのは国が判断するというところが決定的に違っているわけですね。

したがって、これはやはりゆっくり議論しなければいけないことですけれども、恐らく投資サービス法についての基本哲学というのは、商品性を、こういうものを売っちゃいかんというのを国が判断するというのは、基本的には適切でなくて、問題はやはり売り方が問題であり、十分な情報提供、それから適法性原則の徹底、そういったことではないかと思うのですね。

大森課長が挙げられた、私も予想しなかったご発言で、商工ローンのような分野でも、これは消費者信用の問題だと思いますけれども、これもいろんな考え方がありますけれども、進んだ国は一般にTruth in Lendingという話とFair Debt Collectionと言っていますけれども、要はどういう条件で融資が行われるかをきちんと情報提供すると。1日の金利が、昔であればたばこ1箱分から、最近なら何かチョコレート1箱かもしれませんけれども、といって年利何%になるかはっきり開示しないとか、そこは情報提供を求める。プラス、Fair Debt Collectionというのは暴力的な取り立てを禁止するということであって、やはり商品性を禁止するというのは、ちょっと表現が悪いかもしれませんけれども、遅れた国のやることだという気がするわけです。この辺は非常に難しい問題で、そうはいっても、被害が出ているような場合には禁止してしまった方が規制の実効性を高めるということはあるのかもしれません。しかし、恐らく商品の内容を規制しますと、それの副作用というものも当然出てくると思いますので、本来、金融資本市場の法制には、少なくとも先進国における法制にはなじみにくい話ではないかと思います。

私が大変長くしゃべって申しわけないのですけれども、方向としては、投資サービス法の中でこの点はよく議論させていただきたいと思いますけれども、今回の原案は、外為証拠金取引についてはもう被害も現実の問題になっていますので、これは急速な対応というか緊急の対応が必要ですけれども、そこは売り方の方を、従来以上のというか、規制をすることによって、商品そのものの規制というものをするというアプローチよりは、そちらからまず対応してみてはどうかということなのですけれども。

どうぞ。

○原委員

1点だけ、補足の意見ということで、すみません、お願いいたします。

昨年の5月と6月に札幌地裁で外国為替証拠金取引について判決が出ていて、ここの判決要旨には、賭博行為にすぎないという言葉が使われています。それから、今回、秋の国会上程ということで非常に作業を急がれたので、諸外国の状況というのはまだ十分資料とか集められての検討ということにはなっていないような感じがしておりまして、引き続き諸外国の事情については国会までには、資料を集めて検討を尽くしていただきたいと思います。

以上です。

○神田部会長

今の点はぜひ進めたいと思います。

また、賭博についても、金融取引一般について、前回、前々回でも若干ご指摘ありましたけれども、私も一時期、この金融先物法とかつくったころにも随分、賭博罪ですね、刑法なのですけれども、との関係をどう整理するのか非常に迷って、関係の刑法の専門家の先生方に聞きまくったことがあるのですけれども、どうも答えは、ちょっと細かい法律論は省略しますけれども、非常に一般的に言うと、要は社会通念ではないかというふうにそのときは言われました。

どういうことかといいますと、例えば金融機関が行っているホールセールのデリバティブ、スワップ取引等があります。あるいはそれは事業法人を相手にするようなものもあります。こういうものも事業法人側から見れば、形式的には賭博罪の構成要件にあてはまりそうにも見えるのですね。しかし、そういうものはどう考えるのですかというふうに言いましたら、それは大体、普通、経済的にもプラスの取引であり、そういうものが行われており、そういうものはみんながまあ経済的な合理性もあるというふうに認識してれば、そういう社会通念のもとにおいては、それを裁判所が賭博罪ですと言う可能性はまずない。

ですから、今、原委員がおっしゃった具体的な例と全く逆の例ですよね。つまり、社会通念としてこういう取引はどうかという状況があるもとでは賭博罪に当たるという判断を裁判所がすることもあるということではないかと思いますけれども、その問題も、何でも引き続きというのはよろしくないかもしれませんが、いずれにしても引き続き議論をさせていただくことにさせていただきたいと思います。

それでは、ほかにいかがでしょうか。1.について、よろしゅうございますでしょうか。前置きというか、ただこれは基本認識なので、重要といえば重要なのですが。また戻っていただいても結構ですので、2.へ進ませていただきたいと思います。

2.については、登録制以上の規制を求めるご意見も確かにいただいておりますけれども、これはちょっと政府全体としての、こういう新しい規制を導入するときのやり方についてのルールみたいなもの、方針がございますので、この時点でこれ以上のというのは困難というか、ほとんど不可能と言っていいと思いますので、これでやっていくということだと思いますけれども、いかがでしょうか。

それでは、すみません、また戻っていただいても結構です。3.ですが、これが結局かなめになるわけですけれども、まず(1)の勧誘・広告規制について、いかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

広告についてはまた別途ということで、勧誘のところの不招請勧誘の禁止について意見を述べさせていただきたいと思います。ぜひこの導入を図っていただきたいと思っております。

前回の議事録、読ませていただいたのですけれども、委員の中からは、今なぜ急に、どうしてこの取引をというような疑問のようなものも幾つか拝見をいたしまして、私は長く消費者運動に携わっておりましたので、5つの点から、簡単に回答をしたいと思っております。

1つは、やはりトラブルの大半が不招請勧誘によるものだということです。これは私自身が国民生活センターに開示請求をかけて、為替相場に関する全国の消費生活相談について、2002年の4月から2003年6月分の相談・苦情を引き出しました。これは700件ぐらいあったのですけれども、そのうちの500件近くが外為証拠金取引に関するトラブルです。この中の大半が電話勧誘と訪問による販売です。勧誘電話が強引で食事もとれないような状況で契約をしたとか、電話で経済の話を1度聞いてと言われて来訪した業者から勧められたとか、DMを送付された後、訪問されたとか、高齢の母が訪問された、訪問販売、電話で勧誘を受けたという、それから身体障害者、高齢者というのがもう続々と並んでおりまして、特に電話とか訪問販売による不招請勧誘の禁止というのは緊急の課題だと思っております。それが1つ。

それから2つ目は、やはりこの商品、非常にリスクが高いという、そういう商品性を持っていて、説明を受けても、なかなか仕組みをご本人がわかっていないということもかなりたくさんありまして、その商品性から見ても不招請勧誘の禁止をすべきだと思います。

それから3つ目は、大森課長もたびたびおっしゃっていらしたのですけれども、適合性の原則を徹底すればいいではないかというお話は、やはり今の状況ではうまくいっているとはいえない。それから、この業者に本当にやれるのだろうかどうかというと、不透明感と、今の事業者に対して私は不安を感じておりまして、適合性の原則の徹底では消費者保護は図られないと思っております。

4つ目は、今急にという疑問ですが、これは前回の議事録でも拝見いたしましたけれども、過去の金融審でも、不招請勧誘の禁止の議論をしております。それから、この国会で消費者保護基本法を改正して、消費者基本法という法律が6月2日から公布、施行されていますが、ここの第12条に契約の適正化の条文が入り、この中に勧誘の適正化の話を入れております。今、消費者問題に携わっている、特に契約トラブルに携わっているメンバーからは、不招請勧誘の禁止が消費者運動の次の課題だという認識では一致をしております。ですから、私としては、金融審議会で先取り的にやるか、それとも、こういった高リスクの商品なのに後塵を拝することになるのかというところの選択だと思っておりまして、私はぜひ先取り的にやっていただきたいと思っております。

それから諸外国の状況も、前回、イギリスの例が紹介をされておりましたけれども、アメリカでも先に登録をしておけば電話勧誘をしてはいけないというようなルールもできておりまして、日本だけ特異なことを考えているわけではないということです。意思のないところへ勧誘してはいけないという不招請勧誘の禁止というのは、この文言も含めて、ぜひ条文の中に組み込んでいただきたいと考えております。

以上です。広告についてはまた改めて

○神田部会長

いかがでしょうか、今の点について。

どうぞ。

○石橋委員

石橋でございます。

不招請勧誘についてでございますけれども、電話あるいは訪問等の勧誘行為自体禁止するということについては、利用者の商品とかあるいはサービスへのアクセス、これを制限するということにもなってまいりますし、また、今回の外為証拠金取引の問題については、そのほかの分野では業法等、特段の規制のあるところとは別で、やはり規制のないところの問題を皆さん指摘されているというふうに認識をしてございます。

そうなってまいりますと、今回のここのところについて、外為証拠金取引については、何らかのインフラ整備ということで、この不招請勧誘についての検討もやむなしかというふうには思いますけれども、先ほど大森課長がご説明いただいたとおり、この取引に限ってということで我々理解をさせていただいておりますし、そういうことだというふうに思います。

そうなってまいりますと、ここのなお書きの「英国では」云々というところになってまいりまして、これは分野を限定しているようにもちょっと読めない印象もございます。したがって、英国のケースを入れるのであれば例示という形にしていただくか、あるいは、英国ではこうだけれども、我が国ではここの外為証拠金取引について導入することの検討をしてはどうかというような表現にしていただければというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。

○神田部会長

ありがとうございました。

今の点は検討を今からしなければいけませんけれども、関連して、もしご発言があったら、まとめてお出しいだたければと思いますので。

高橋委員、お願いします。

○高橋(厚)委員

今、石橋委員からご発言がありましたように、不招請勧誘を禁止するというのは、投資者にそういう商品を提供する、あるいは商品へのアクセスを提供するという観点からしますと、さっき大森課長が副作用を避けながら実施したいということをおっしゃったんですが、そういうことを十分認識して進めなきゃいけないと思います。

前回にも申し上げたんですが、原委員のご発言にもあった、今非常にトラブルが多いから不招請勧誘を禁止すべきだというアプローチは、それだけではどうかなという気がいたします。今もご発言がありましたように、ここで新たな規制を、投資家保護のための規制を図ろうとしている、それを前提としてどういうことになるかということを考えなければいけないと思います。

そうだとしますと、さっきのご説明、この商品に限って、あるいはこの商品性に限って不招請勧誘を導入してはというご提案と口頭でご説明がありましたけれども、この商品性に限ってというところを、もう少しはっきりこの報告に示しておく必要があるのではないかというふうに思います。どういう商品性だという考え方を原先生はリスクが非常に高いんだということもおっしゃいましたけれども、そういうことなのかどうかも含めて、そこのところはきちっとしておく必要があるのかなというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

この商品に限ってという話が今出たわけなんですが、まず私の考えとしまして、今業者が野放しの状況の中で、業者を登録制とし、それからきちんと適合性原則を守らせた営業活動をさせ、なおかつこの説明義務というものをしっかりやれば、今出ている問題はおさまるのではないかなとは思っています。仮に、もしこの不招請勧誘の禁止というものを組み込んだ場合、どういう形で導入するかというのもあるんですが、例えば既に商品ビジネス、証券で取引がある既得意のお客様、そのお客様に対しても勧められないことになるのでしょうか。お客様自身がこの取引そのものの経済的な意味づけがわからないと、取引しようという意図も生じないということになるかもしれない。もともと商品そのものがおかしいということでないはずなのに、その適正な紹介もできなくなるということにつながるのであれば、これは全くおかしな話なのかなというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

どうぞ、池尾先生。

○池尾委員

私は、一定範囲のリスクの高い商品について不招請勧誘の禁止を入れるのは極めて当然のことだという感覚といいますか、私の感覚からすると当然のことではないかというふうに思っています。

それで、投資家保護を求める立場からは、不招請勧誘の禁止に積極的な意見が出て、投資サービスの提供サイドからは、それに対してリラクタントな意見が出るというのがありがちな構図だと思うんですが、それで今日もそうなっているんですが、私は、本来的にいうとそういう構図が正しいのかなという疑問を持っていまして、投資サービス産業の長期的な発展というのを考えたときに、例えば現在は預貯金に滞留している家計の資金を本当に投資サービス商品に大きく動かしていくというようなことを考えたときに、どういう条件整備が必要なのかという、投資サービス産業自身の長期的発展のプラットホームづくりみたいなものを考えると、明らかに消費者等に対して不快感を与えていたり、強引だというイメージを与えているような勧誘の仕方を続けていて、本当に預金に滞留している家計資産が投資サービス商品に大量に移動するという事態が将来起こり得るというふうに、本当に想定しているんだろうかというのが私には逆に疑問であって、私はもちろん投資家保護ということが重要だと思っていますし、その観点から必要性というのを考えていますが、それに加えて、私は投資サービス産業自身が発展のために、これはぜひ必要な措置であるというふうに思っていて、あまり目先の利害だけで考えないで、投資サービス産業の長期的発展のためにどういう環境整備が必要なのかというスタンスで議論を進めていただければありがたいなというふうに、私としては思っております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

では、こちらの高橋委員、先にどうぞ。最後にまとめさせていただきます。

○高橋(伸)委員

オブザーバーですが、発言を許していただいてありがとうございます。

先ほど、原委員から開示請求があったという国民生活センター等の消費者生活センター等に寄せられた苦情、トラブルの件ですけれども、私は2001年、2002年に国民生活センターの投資取引研究会に所属しておりまして、投資トラブルの調査研究に携わっておりました。

まず、具体的な苦情件数の増加状況なんですが、2002年度を見ますと、商品先物は25%増だったんですけれども、この外国為替証拠金取引は5倍という苦情件数に達しておりました。急増した時期なんですけれども、ほかの投資取引と比べた場合に、販売トラブルに起因した苦情というのは、いわゆる証券が5割を切るような状態の中、この商品先物とFXは7割を超えるという状況を示しておりました。その苦情の中身というのは、リスクの説明がない、理解できない商品を勧められた、執拗な勧誘という3点セットですね。

この種の取引というのは勧誘をされて行うべき性質のものではないので、私は不招請勧誘の禁止を支持したいと思うんですけれども、やはり外務員による電話勧誘、訪問勧誘がこのトラブルの引き金になっていることは、これはもう間違いがないことだというふうに思っております。銀行の為替取引よりも安く手数料が設定されているとか、もろもろ考えた上で、個々の取引としてはそれほど多くの利益は望めない取引なのにもかかわらず、業者が非常に人件費のかかる外務員を雇用して勧誘しているというところが、このトラブル増加の温床になっているというふうに私は思っております。

実は、昨日も夕方から自宅で原稿書きの仕事をしておりましたらば、独立系のFX業者から執拗な勧誘電話がかかって、2時間ほどつきあってしまったんですけれども、まず電話のアポインターが電話してきまして、説明をさせてくださいということだったんですけれども、もう冒頭から、4月1日に金融庁に登録したというところから始まりまして、えっ、登録なんですかって言ったんですけれども、5年間試験的に販売してきたんだけれども、金融庁がいよいよこの商品の本格的な販売に乗り出して、我々はそのお墨付きをもらったというようなニュアンスのことを言っておりました。しかも、うちの会社は唯一、外国為替取引所で取引をしているから安全だというようなことも言っております。

パンフレットがないですから、ホームページがあるなら教えてほしいということでアドレスを教えてもらって開きましたらば、とにかくリスクの説明はホームページに一切載ってございませんで、その会社の財務内容なども載っていないので、いろいろ聞いていきますと、金融監督庁と言っていましたけれども、この時点で違う社員に代わりまして、元証券マンという人が出てきたんですけれども、金融監督庁と財務省が利権争いをして規制強化をしようとしているんだというような説明に入りまして、そのぐらい我々はもうかっているので、我々としては財務状況を出さない理由は、いわゆる税金とかいろいろ手口を知られるのが嫌だというふうにはっきり言っておりました。しかも、私は電話勧誘のことは一切申し上げなかったんですけれども、10月から電話勧誘ができなくなるので今のうちに顧客を増やさないといけないと、そこまで言っておりました。

ホームページをクリックしてNEWというところがあったので、どんな新着情報かと思いましてクリックしましたら、そこがまさに求人情報のところにつながっておりまして、営業職員は年齢22から35歳で、高卒以上で月収28万から80万という報酬です。外国通貨取引開拓の補助ということで募集しておりました。最初にかかってきた女性はテレフォンアポインターという募集に引っかかったんだと思うんですが、これも22歳から55歳を対象に時間給1400円から1600円ということで募集しておりまして、こういう人たちが今どんどん増えている状況にあるということは、電話勧誘の禁止等をしていただくと同時に、消費者に対して相当な注意喚起をしていかないといけない状況だなと思いました。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、原委員、どうぞ。

○原委員

申しわけありません、先ほど、今トラブルが多いからこういった不招請勧誘の禁止ということを言っているのかと。それはもう少し長期的な視点でというお話があったのですが、私としては、そういうところ基点を置いて考えているわけではなくて、やはり、理由は2つあります。1つは、池尾委員がおっしゃってくださったように、一定の範囲のリスクの高い商品は当然、事業者側としてはこういう不招請の勧誘では販売しないという、きちんとした態度で臨まれるべきだと思っております。それでないと、本当にこういうことのために証券市場とか、それから投資の市場が、二度と客が戻ってこない状況になるということを、私自身は本当に証券市場の発展のためにも懸念をしているということです。

それからもう1つは、消費者センターに寄せられるトラブルは今、年間80万件程度、それが前年から今年にかけて140万件と非常な勢いで増えているのですけれども、不招請勧誘の禁止ということがあれば半分ぐらいのトラブルはなくなるというような感じがしておりまして、その意味からしても、特にこういった取引のところからぜひ私は着手をしていただきたいと思っております。だから、どちらにしても長期的な視点から提案をしているということです。

それから、今、高橋伸子委員から本当に実況中継のようなご発言があったのですけれども、私の所属しています金融オンブズネットにも、この外国為替証拠金取引の事業者に勤めていた方から相談がありまして、やはり求人情報で誘われて中に入ってこの取引をやらされて非常な損をこうむっているという、これは訴訟に起こされているわけですけれども、ここの場合はホームページをクリックすると、どういう人を募集しているかというと、未経験者大歓迎で、働く人を募集しているというような状況で、非常に実態としては危ういというふうな感じがして、説明を受けている側ももちろん理解できないというのはありますけれども、説明をする側も理解しないまま販売をしているような状態もあるのではないかということを危惧しております。

○神田部会長

ありがとうございました。

これはまた際限なく議論が続くのですけれども、ただ、そう難しく考えなくても、今回は対応ができるようにも思っております。外為証拠金取引については、これはもう社会問題になっているという事実がありますし、それから当部会としても、消費者保護部会ではありませんので、消費者取引一般をどうこうするというよりは、将来の投資サービス法制のあり方を考えるというので、まさに今日、池尾先生がご指摘いただいたような観点をぜひ持ちたいというふうに、これは皆様共通の、総論としての共通のお考えだと思います。

多分、適合性原則というのが正しく適用されていれば、本来はあまりトラブルは起きてはならないはずのものなのですけれども、適合性原則というのが、まず名前がちょっと、非常に日本語でよくわからないですよね。英語でsuitabilityと言った方がまだわかると思うのですけれども。それから、次にその適合性原則の具体的な内容が、言葉がわかりにくい上に具体的な内容がわかりにくい。適合しない人には売ってはならないということが基本ですけれども、売ってはならないという意味は勧誘もしてはならないということなのですけれども、その具体的な内容がなかなかはっきり日本ではまだ定着していないということがあるがために、適合性原則の実効性というものに、特にこういう外為証拠金取引なんかの分野ではやはり疑問がありますので、不招請勧誘の禁止だけを強調すると非常にシンボリックに、大きな話のように見えますけれども、適合性原則を具体化した1つのルールということだと思うのですね、投資サービスということでいえば。そういうふうに考えますと、今回は外為証拠金取引を対象とすると。

それから、石橋委員が最初にご指摘した点で、報告書で最後は確定しければいけないとは思うのですけれども、外為証拠金取引だけというふうに書くと、ちょっと変えたら同じことができますので、やはりこの3ページの上から5行目のところにありますように、範囲の考え方としては、これはちょっと法律を改正していく上でさらに金融庁の方で案を詰めなければなりませんので、これ以上は書けないと思うのですけれども、外為証拠金取引及びこれと類似という、その程度の表現はないと。1つだけに限定してしまうと、ちょっと仕組みを変えると規制からはずれるということはあります。しかし、この趣旨は、今回は社会問題になったところについて特にやってみるということですので、ここで範囲は限定されているということだと思います。

それから、下のパラグラフのイギリスではというところに例示がないのは、上で限定しているからないので、下の方にイギリスではと書いてあるところは、価格変動の激しい商品についてというところがポイントであって、ですから、レバレッジ、どこに線を引くのか。これもちょっと法制的な詰めはいると思いますけれども、社会問題化しているようなものは適用対象になる。ではレバレッジ2倍、1倍ならどうなんだというような話もありますので、ここの考え方としては、価格変動の激しい商品について云々と。顧客の要求に基づかない電話勧誘で訪問勧誘するという考え方で臨む。ですから、範囲の限定は上であり、下の方はまた別の角度からの限定がかかっているということで書いてありますので、これでも足らないですかね。いかがでしょうか。

○石橋委員

すみません、時間をとって恐縮ですが、部会長それから大森課長のご説明を理解はしているつもりなんですけれども、やはり文言でひとり歩きをすることがちょっと懸念をされるものですから。

先ほど、部会長おっしゃっていただいた証券業それから保険業、そのほか銀行でも、それぞれ規制がきちっと業法の中に適格性の原則に沿った規則とかもございますし、そうなってまいりますと、今議論をしているのはそういうような法律が、あるいはそのほかの規制がなく、やっぱり野放しになっているところをまず押さえていこうという意味合いで、そこに限定をしたアプローチがということが確認できれば結構なんですが。

○神田部会長

ほとんどおっしゃっていることは正しいと思うのですが、ただ1点だけ、例えば証券会社は現在、証取法のもとで規制を受けているわけですけれども、その証券会社であっても、この外国為替証拠金取引ですね。社会問題化したようなタイプの取引をする場合には、やはりこれは機能別規制ですから、当然同じルールに服していただくのですが、それは銀行であれ、保険会社であれ、同じです。

しかし他方、例えば種橋委員の意見書にありますように、銀行を例にとって言いますと、伝統的には、まずホールセールでのスワップ取引を初めとしてデリバティブ取引というのは一般的な法人向けを含めて多数行われていますし、それから個人向けにもデリバティブ組み込み預金商品みたいなものもたくさんありますですよね。そういう問題、そういうものは銀行法をベースに、今の言葉で言えば既にある種のルールのもとで、伝統的にものすごいボリュームのものが行われており、それが問題を起こしているというわけでも決してありませんので、何かそういうものまで一律にこっちのルールが及ぶということはない。これは最初に大森課長が確認をし、また、恐らく種橋委員もそういう趣旨の意見書だったと思いますので、それは田中委員がおっしゃった証券会社についても同じですし、石橋委員のご懸念である保険会社についてもそうだと思うのですね。

ただ、ただという言い方は変ですけれども、将来、投資サービス法を議論していく上では、そういうところももう少し横断的に考えていくという視点は当然必要になるとは思います。そのときには、銀行が扱うものであれ、どこが扱うものであれ、同じ投資サービスというものが提供される場合のルールは何でしょうかという点から、これまでの規制というかルールも含めて、再検証というようなことをやっていかなければいけないと思います。ただ、今回はちょっと緊急対応ということもありますので、投資サービス法で対応するのではなくて、投資サービス法ができるまでは金融先物取引法が一番近い法律なので、それをとにかく改正して対応しましょうということですので、不招請の勧誘というのも、その適合性原則を具体化する1つのルールとして、外為証拠金取引について適用すると。そして、イギリスと同じようなレバレッジの高いものについて適用するというのが原案でございます。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

神田先生の今のご示唆に富んだお取りまとめだと思います。

このイギリスの規制というのが非常に参考になるんだろうと思います。価格変動の大きいファンドというものを規制しているということ、そのほかイギリスの規制で、確固たる顧客関係がもうできていればいいではないかとか、そういうことが書いてあります。あるいは、規制するのはリアルタイムの勧誘だというような定義を置いています。こういうようなイギリスの規制というのはかなり、今、神田先生のお取りまとめの考え方として、示唆に富むのではないかなというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、この点はよろしゅうございますでしょうか。人間、間違えることもあるので、やってみて何か逆に不十分である場合もあるかもしれませんし、何かtoo muchであるような場合もあるかもしれません。そういう場合にはまた見直しということもしなければいけないと思います。

田中委員、どうぞ。

○田中委員

確認なんですが、この不招請勧誘規制を入れるとした場合、ここでの英国の例というのが参考になると。ですから、先ほどの確固たる顧客との関係が存在する場合、これに関しては適用しないというような考え方も想定されているということでしょうか。

○神田部会長

それはどうしましょうか。

○大森市場課長

同様の規制と書きましたのは、前回説明させていただいたこの仕組みというのが日本でもふさわしいのではないかということで、ご説明をしたつもりでございます。

○神田部会長

適合性原則がきちんと適用されるのであれば、その限りにおいて、こういうものは必要性は薄まるという整理だと思うのですね。

ですから、ちょっと詰めていただかなければいけないと思うのですけれども、例えば証券会社が既に存在している、ご指摘の例ですね。お客さんがあって、そこにいわば追加的に新しい商品を勧誘する場合は、しかし、形式的にいえば不招請かもしれませんけれども、既に顧客との関係からそれを不招請と呼べないような類型があれば、それはそれで例外的な措置になるんだと思うのですね。ただ、そこのところはやはりルールをつくる段階で詰めなければいけないとは思います。それで、適合性の原則がきちんと働く限りにおいては、場面としては不招請勧誘の禁止というのは、一歩退くことが可能だと思うのですけれども、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。

それでは、ちょっと先の予定もございますので、どうもいろいろとありがとうございます。

広告規制について、原さん、ございますか。

○原委員

あまり時間をとって申し訳ないのですけれども、問題意識だけ述べさせていただきたいと思っております。

今のリアルタイムの勧誘というところともちょっとかかわってくるかとは思うのですが、広告とかそれから電子メールというものを情報提供と考えるのか勧誘と考えるのかというところなのですが、私自身、消費者のためになった広告コンクールの審査員というのを20年ぐらいやっています、金融広告というのは、この七、八年非常に増えてきた。以前はほとんどなかったたぐいなのですけれども、ほかの業態に比べると非常に勧誘的な広告だというふうに思っております。

今回も、こういった商品の広告が登場して半年後ぐらいから被害が消費者センターに寄せられていると。それから、三、四年前にはEB債が問題になりましたけれども、それも広告が一般紙に出るようになって半年後ぐらいから被害が出て、各地の消費者センターに相談が寄せられるという状況になっておりまして、特に金融広告については勧誘の側面が強いというところを押さえていただきたいと思っています。

金融オンブズネットでは、この金融保険商品の広告ということで毎年7月に調査をしておりまして、去年は外国為替証拠金取引について7件の広告を実際に分析いたしました。証拠金取引というふうに、広告の大きな見出しの中に証拠金いう言葉を入れているところは2社しかなかった。2件しかなかったですね。5件は大きい見出しの中にそういうことも入れていない。それから、最低限必要な情報というのはたくさんあるわけなのですけれども、そういうものが非常に欠けているので、商品として理解しにくい。

よく金融広告については事業者とも話をするのですが、紙面に限りがあるから全部は載せられないとか、それから広告だけで情報を求めようとするのは違うとか言われるのですけれども、私は日本広告学会の会長の早稲田の亀井先生ともお話をしたことがあるのですが、広告といえども、それはどんな小さい広告であっても、その中で情報としては完結をしなければいけないというお話でした。だから、1つのことだけメリットを強調して、そのデメリット部分を言わないとかということは、広告であってもあり得ないということであります。

ですから、ぜひ広告について、今すぐにというのは大変難しいかもしれませんけれども、以前の金融サービス法の検討の議論の中でも提案をさせていただきましたし、今後の投資サービス法の中でも検討を深めていただきたいと思います。

それで、今回のこの文章についていなんですけれども、「元本以上の損害発生の可能性があることを必要的記載事項に」とありますけれども、損害発生の可能性があることと、この商品の仕組みですね。トラブルになっているのを見ますと、ほとんど商品についての仕組みの理解ができていないというようなことを大変感じておりまして、損害発生の可能性だけではなくて、この商品の仕組みということも必要的記載事項に取り入れていただきたいと思っております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

中長期的な方は投資サービス法の中で横断的に広告に関するルールのあり方を検討する必要があると思います。

今回の話は3ページの点なのですが、これは当然、商品の仕組み、概要になるかもしれませんが、それこそ広告で先ほどのスペースの制約というものが、損害発生の可能性は1行で書けますけれども、求めるという趣旨ではありますよね。ですから、「元本以上の損害発生の」という文章の前に「取引の仕組みの概要」が要るかな、そこは「取引の仕組み」でいいですかね。「取引の仕組み及び」ですかね。というふうに、「取引の仕組み」という言葉をつけ加えさせていただくということでいかがでしょうか。よろしいですか。当たり前のことですよね、どういうものかとかを示さないと広告になりませんから。あんまりこれもやり始めますとまとまりませんので、では、そういうことにさせていただきたいと思います。

(2)に進ませていただいてよろしいでしょうか。実はこの外為証拠金関係の報告は今日の私の手元のト書きというか、事前に事務局と打ち合わせた時間設定では11時15分ごろに終了して、岩原先生にその後、ディスクロ・ワーキングということでお願いしてあったのですけれども、まだ3ページということで、いつまでやってもとはいえ、今日はとにかく拙速はいけないとは思うのですけれども。いろいろ不備はあろうかと思いますけれども、大筋のところをもしご了解いただければ、それで先へ進むということにせざるを得ないとも思っております。そうは言いながらも、いや、このまま言い残して今日帰ったのでは不満だという方は、ぜひご遠慮なく、戻ってでもご発言いただくことで結構でございますので、(2)の説明責任、3ページから4ページ目ですね。商品性の説明というところですけれども、いかがでしょうか。

それでは、あわせてでも結構ですので、(3)のその他規制。いろんなことが書いてはあるんですけれども、先ほど、新しく最後に、海外当局、外国当局との調査協力規定が追加させていただいております。そのほかは細かい部分です。いかがでしょうか。

高橋委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

細かい部分で恐縮なんですが、5ページのその他の規制の両建て取引の話なんですが、不合理な面があるから原則禁止ということになっているんですね。ハルウララの馬券を買う人が合理的だとは思いませんけれども、それでもいいではないかという大森さんのご説明は大変示唆に富むご説明であったと思います。

ここにも「ポジション調整される効果」と書いてありますが、どういうことでお書きになったかわかりませんが、説明で手数料が二重にかかるよということを言わなかったとか、あるいは強引に両建てにさせてしまったとか、そういうことはもちろん禁止すべきで、これはほかのところで禁止されているわけです。両建てにするというのは、やはりその契約の中で、ここでは「ポジション調整される効果」と書いてあり、ほかにも、長期と短期の見通しが違うので両方の商品を持つとかいろいろあるんだろうと思います。そのこと自身がいけないというのは、まさにハルウララの馬券を売っちゃいかんというようなことになってしまうのではないかなという感じがいたします。いいか悪いかというのは、規制とか法体系で議論する問題ではない部分に属することではないかなというふうに思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

ちょっと今の点は検討させていただきますが、今の点に関連して、ほかの委員の方々でご意見等ございますでしょうか。実は今の点は非常にちょっと悩ましい点ではあるんですね。表現は、したがって「原則として」ということで、これもほかのルールのいわば予防措置といった、実効性との兼ね合いで、ある種の類型のものは禁止ということも考えた方がいいのではないかという、そういう意味で高橋委員のご意見を入れてもいるつもりではあるんですけれども。「原則として禁止」もよくないですかね。どうなんでしょうか。

どうぞ。

○上柳委員

上柳です。

「原則として」の原則の内容がもちろん問題なんですけれども、やっぱりこれは初心に返って、今の被害実態あるいはあちこちに来ている苦情がどういうものかというところを考えれば、やはりこれはきちっとやっておかないと本当に全く骨抜きということになるのではないかというふうに思います。いわゆる詐欺的な業者は、この両建てということであるとか、あるいは理屈をつけて出金拒否をするということで、結局お金を持っていってしまうということになりますので、そういう温床であるということです。

私は何も外国為替証拠金あるいは外国為替の自由化の趣旨を没却するということは考えておりませんが、その中でも、証拠金取引については、やはり利益相反の問題とか、あるいは高レバレッジの問題で一定の規制は合理性があると。特にこの両建て禁止というのはポイントだというふうに思います。ですので、全面禁止が技術的に難しいことはわかるんですけれども、原則禁止という文言は明示すべきだと思います。

○神田部会長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

そうしましたら、高橋委員のご注意も十分踏まえてということで、文案としては、原則禁止というのもちょっとニュアンスが、今、上柳委員がおっしゃったことは、それはそれとして私も正当なご意見だと思うのですけれども、ここの趣旨は商品性の規制をしますという趣旨でも必ずしもないのですね。手続的な規制でとにかく対応するというのが基本哲学ですので、その手続的な規制がうまく実効性を持たないときには、さっきの不招請勧誘と同じなのですけれども、その不招請勧誘自体が合理的か不合理かというと、さっきのような大問題と同じ問題がここにもあると思うのです。全然違う次元の話ですけれども。

両建て自体が合理的か不合理かと言い出しますと、それは私はやりたいという人もあり得るわけだと思いますので、だから、そういう議論を、もちろんすることも可能ですけれども、そういう議論でしているのではなくて、手続的な規制なりルールが実効性を持たないような場合に、そのもととなっているような両建て取引については、その範囲においては実効性を確保するために、本来の手続ルールの制約を設けるというアプローチであり、先ほどの不招請勧誘と似たようなアプローチだというふうに考えているのですけれどもね。そういう意味では高橋委員のおっしゃった趣旨も入れているという、それから上柳委員のご指摘も実質においては取り入れているという、そういうつもりなんですけれども、いかがでしょうか。

どうぞ。

○高橋(厚)委員

神田先生の今のご説明はよくわかるんですが、法律に書くのは大変難しい。今おっしゃったような趣旨をどういうふうに法律にするのかというのはよくわからないんですけれども、先生のおっしゃったようなことであれば理解はできます。そういう今おっしゃったような趣旨を書くのはかなり難しいのではないかなという、老婆心ながら、そういう感じがいたしますが

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、その点も多分これは府令でかける行為規制の中に入ると思いますけれども、ご注意も十分踏まえて検討させていただくということで、文言は原案ということにさせていただけませんでしょうか。ありがとうございます。

ほかに(3)までいかがでしょうか。先を急ぐようで申しわけありません。

6ページ目、4.になりますけれども、財務規制の点ですけれども、いかがでしょうか。

どうぞ、上柳先生。

○上柳委員

6ページ、4のカバー取引の問題ですけれども、この「法による強制にはなじまない」というのは、ちょっと私、何かよくわからなくて、繰り返しになるかもわかりませんが、その外国為替業務の自由化、それはもちろん結構なんですけれども、その中で一定の危険性のある、あるいはレバレッジの高い取引についてはカバー取引を、また原則ですが、義務づけようということも十分あり得るのではないかというふうに思うんですね。そこは百歩譲って、カバー取引についての状況についての説明義務、あるいは情報開示で押さえようというのがこのペーパーの趣旨だと思うんですけれども、いずれにしても「法による強制にはなじまない」というのは、ちょっと私には納得できないんですが。意見です。

○神田部会長

ありがとうございます。

上柳委員がいらっしゃる前にちょっと今回の報告書の基本哲学をご説明したので、その点は、一般論としては投資サービス法を議論していく上でまた議論させていただきたいと思うのですけれども、ここも同じ問題ですよね、違うテーマではあるのですけれども、そういう商品性とか内容の規制ということを国がやるのかということ。

今回は、そういう考え方ではないアプローチでやってみようと。すなわち、その商品性そのものは規制しないけれども、売り方を規制しようと。商品そのものが欠陥商品という考え方には立たないということなのですね。問題は、その売り方の規制というのは手続的とか行為規制とか、ここでは今、財務規制のところで議論しているのですけれども、適合性原則といっても、それでうまく動くかというところがやはりあるものですから、その実効性を確保するための具体的なルールとしての不招請勧誘、それから今もありました両建てについても、そういうような問題があるのであれば、その限りで両建てもとめる。

ですから、カバー取引についても同じアプローチだということになるのですけれども、それを、ちょっと表現は強いかもしれませんけれども、カバー取引それ自体がいけないというのは明らかに外為自由化の趣旨とは違うことは確かなのですよね。ちょっと表現が、「法による強制にはなじまない」というのは強過ぎるのかもしれませんけれども。

では、やはりその手続とか行為規制をしていく上で、その実効性がなかなか確保しにくいと。したがって、限られた範囲でのカバー取引を義務づける方が、そういう本来の手続的行為規制の実効性が高まるということがあれば、ある種の場合、これは恐らく今回の報告書のアプローチからいえば、その限りではカバー取引を義務づけるということになるのだと思うのですけれども、残念ながら……残念ながらという言い方はよくないかもしれませんが、カバー取引についてはどうもそこまでの関連性はないというか、言葉を変えて言えば、今回提案している他の行為規制その他でやれるのではないかという、そういうのが原案なのですね。

したがって、これはちょっとやってみてというところもどうしてもあると思うのですけれども、今の上柳委員のご指摘は、実際に今回のこの正しい規制、ルールを導入してみてということにさせていただければというのが、直感的な感じであります。

どうぞ。

○上柳委員

究極的には考え方の問題なのかもわかりませんが、仮に仕組みの問題とそれ以外のコントロールの問題に分けたとしても、私はこの提案は、まさにここに書いてあるリスク管理なり、あるいはもう少し具体的に言えば、自己資本を補填するという意味からいっても、それを為替の変動、しかもそれはレバレッジがかかっているわけですから、カバー取引というのは、まさにその自己資本なり、あるいはそのリスクを緩和するといいますか、そのための1つの手段であると思いますので、そういう意味からは十分導入が可能ではないかなというふうにも考えていました。一応意見ですが。

○神田部会長

ありがとうございました。

いや、ご指摘は、おっしゃるとおりだと思います。ですから、自己資本規制を導入しようということなのですけれども、リスク管理のために。そのために、手段としてカバー取引の義務づけまで必要かということですよね。

ほかにいかがでしょうか。このカバー取引の点も含めて、もしご意見があれば。

原委員。できれば手短に。

○原委員

申しわけありません。私も読んだときに、「法による強制にはなじまないと考えられる」と、非常に断定的に見えてしまって、何か表現の工夫ですね、ぜひしていただきたいと。もちろん前段での商品性の話は投資サービス法でというのもありましたけれども、それだけ一言、お願いしたいと思っております。

○神田部会長

ありがとうございます。

確かに、ちょっと日本語として目立つことは確かですね。ですから、何か表現をできれば工夫させていただきたいと思うんですけれども、こうやってしゃべりながら考えているのですけれども、名案が全然浮かびません。ちょっと終わるまでに考えたいと思います。

その間、ほかにご意見いかがでしょうか。そろそろ5.も含めてご意見をいただきたいと思います。最後の、その他の論点ですけれども、これも含め、つまり7ページ最後まで、それから言い残した点があれば、全体を含めてで結構でございますが、いかがでしょうか。

どうぞ。

○原委員

すみません。たぶん発言最多記録だと思いますけれども、簡単に2点だけです。

7ページですけれども、2つ目の段落のところで「苦情解決・広報」という言葉が使われていますが、情報提供というような言葉に変えていただいた方がいいかなと思っております。広報という言葉は、原子力発電もこの広報という言葉を使うのですが、やはり情報提供ということの方が妥当だと、文言としては思います。

それから、3段落目の下から2行目ですが、「国民の資産運用の一環として」というのは、私としては削除していただきたいと意見も提出しておりますし。一方で訴訟というようなことも行われていて、トラブルもまた大変多い状況で、資産運用の一環というような位置づけが、やはりお墨付きになるではないかと考えております。

これはちょっと、特にこの雑誌が問題ということで持ってきたわけではないんですけれども、もう保証金、証拠金取引に強くなるということで、株式信用取引、FX取引、CX取引と、全部並べて非常に広告をしているということがありまして、私としては、トラブルの多い現状を考えると、今の段階で「国民の資産運用の一環」という言葉を使うことは不適切だと考えております。

○神田部会長

ありがとうございます。

今の点について、もしほかの委員からご意見があれば伺いたいのですけれども。

どうぞ。

○東委員

外国為替と書かれているのであって、外国為替証拠金取引が「国民の資産運用の一環」という趣旨でないということは、当然の理解だと思います。もしこの言葉が無ければ、円資産だけに限るような印象を与えてしまうので、私はむしろあった方がいいと思います。

○神田部会長

ちょっと後ろの方は、原委員にも若干誤解があると思います。私も実は誤解していたのです。

ここはちょっとうまい表現が書けないのですけれども、およそ外為取引一般のことを書いているので、今回のような売られ方をした外為証拠金取引がなくなることによって健全なる外国為替取引というものが発展してほしいということ言っているので、私の提案としては、ここは段落を変えた方がいいですね。「今回の報告」というのを段落を変えて、もしよければ最後の一文とする。やっぱり「国民の資産運用の一環」というのは全体の流れとして必要なことだと思うのですね。つまり、これはやはり預貯金からという、池尾先生もご指摘いただいている点なのです。したがって、段落を変えて、「当部会としては」とぐらい入れますかね。そうすることによって、最後に言っていることは、今問題を起こしたような外為証拠金取引はなくなってくださいと。なくなってくださいという表現は正確な表現ではないのですけれども、荒っぽく言えば。それで、ただ外為市場とか外為取引というものが健全に発展してほしいという趣旨です。ですから、やはりこの表現は、最後は前向きの表現がやはり要るように思います。

「広報」なのですが、これはおっしゃるように、情報提供でも同じ意味なので、もし皆様方、それでよろしければ、「広報」という言葉は、自主規制のところなのですけれども、真ん中の段落の下から2行目なんですが、何とおっしゃいましたか。情報提供……。

○原委員

はい。

○神田部会長

その方が中立的な言葉で、それでいいように思いますので、もしよろしければ「広報」は「情報提供」ということでよろしゅうございますでしょうか。では、そうさせていただきたいと思います。

その間、ちょっと考えておりました前のページ、6ページ目のところなのですが、次のようなことでいかがでしょうか。趣旨はどういうふうに書いても変わらないと思いますので、「外国為替業務自由化の趣旨からすれば」とあるのですけれども、「外国為替業務自由化の趣旨にそぐわない面がある」。あと、「このため」ということでいかがでしょうかね。内容に変化はありません。表現の強さについて複数の方からご指摘がありましたので。

よろしゅうございますでしょうか。そうしましたら、全体としてもしさらにご発言があればいただきたいんですけれども。

どうぞ、種橋委員。

○種橋委員

本日、意見書を出させていただきまして、皆様方、それから部会長、大森課長のそれぞれの見解を伺いまして、私が申し述べたところについては、その基本的な考え方にそごはないということは確認させていただきました。つきましては、最終的な報告書をつくられるときに、そうした観点から誤解を生むような表現がもしあれば、ご配慮いただきたいと存じます。

○神田部会長

ありがとうございます。

報告書の案は、私も種橋委員の意見書をいただきまして、一応確認的な意味でよく見たつもりですけれども、報告書の案の文面から直接誤解を生むことはないと思うのですけれども、ただ、間接的に、おっしゃるように現に意見書を出していただいたということがありますので、この報告書を説明するときに、この部会は公開ですし、議事録も公開されますので心配はないとは思いますけれども、意見書の方も、これを説明する際に、よくその点は留意して説明していただくということにしたいと思います。

どうぞ。

○太田委員

この取りまとめ案そのものには何ら異論はないのでございますが、若干。

資料2の3ページ目、上から二つめのマル3でございますけれども、種橋委員の方から、金融先物取引所の上場についてご意見がございますので、それは私も基本的な考え方は変わらないのでございますけれども、やや、若干誤解を与えてはいけないかなと思いまして、少しコメントを一点だけさせていただきます。

この3行目でございますけれども、「投資家等に十分に利用されず、取引所・投資家双方にとって単なるコストアップに止まるという懸念がある」というくだりなんですが、実は、私どもが今、上場について検討している一番最大のポイントは、前回も申し上げましたけれども、私どもがやる以上は公的な取引所でございますし、非常に健全な商品性のものにしたいということでして、非常にハードルの高い商品性を今目指しているわけでございます。

したがって、その結果、どういうことになるかといいますと、現在、投資家の方が払っておられるコストが下がり、そのことによって、結局今取り扱っておられる外為取引証拠金業者の方々の利益が小さくなるという結果になるわけでございます。したがって、私どもの取引所の上場商品は投資家のコストアップになるのではなくて、業者の方々のコストアップになるわけでございます。そこで、その結果として、その業者の方々にとっては我々の上場商品を利用すれば利益が小さくなるものですから、なかなか利用してもらえないのではないかというのを一番懸念しております。したがって、前回申し述べたように、流動性が果たして、あまりにきれいな商品にしてしまいますと、確保されるのかという点を心配しているということでございます。

その辺をちょっとコメントさせていただきたいと思います。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

まだほかにもご意見がおありかと思いますが、私の司会の不手際で、既に予定を30分程度遅れての進行でありますので、大変申しわけありませんけれども、これまでご議論いただきました本報告の案につきまして、一応私の方で申し上げました修正箇所を今確認させていただきたいと思います。

1つは3ページ目の広告についてという、(2)の3行上ですね。「元本以上の」の前に「取引の仕組み及び」というのを入れるということです。

それから6ページ目の4.の上から5行目ですけれども、4行目の終わりから「外国為替業務自由化の趣旨」、そこから後「にそぐわない面がある。」ということで、その後「このため」ということです。

それから、最後7ページ目ですけれども、真ん中の「自主規制機関」のところで、「広報」という言葉を「情報提供」というふうに修正し、それから最後の4行ですけれども、新しい段落ですね、行をあけた段落にして、「当部会としては、」ということにさせていただくということであります。

なお、そのほか落ちついて読むと、てにをはがおかしいということもあるかもしれませんので、ちょっと最終的な、あとてにをはですが、内容に関係しないようなてにをはの確認等は、申しわけありませんけれども、私に一任をいただくということにさせていただければ大変ありがたく存じます。

大変急いだご審議で、皆様方には大変なご迷惑もおかけいたしましたけれども、そういうことで、この報告案を「案」をとって、当部会の報告ということにさせていただきたいというふうに思いますけれども、そういうふうにさせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。

○種橋委員

1つだけよろしいですか。

○神田部会長

はい、それでは、種橋委員と原委員、どうぞ。

○種橋委員

1か所だけ。先ほど申しました意見書の趣旨に書いてあるんですが、2ページの2つ目のパラグラフのところの表現なんですが、ここのところの「当面」以下の表現の中に、「外国為替証拠金取引のみでなく、金融先物取引法に則して」、その後「通貨・金利等を原資産としたデリバティブ取引についても幅広く規制の対象とするとともに」と、こういう書き方をすると、もうこれも規制の対象に入ってしまうのではないかなという不安を持っていたわけでございます。したがって、ここの部分については、「外国為替証拠金取引及びそれに類するような、同様の性格を有するような取引」については規制の対象とするとともに、「通貨・金利等を原資産としたデリバティブ」については、今後、投資サービス法の中の議論であわせて議論するというような表現変えていただければと思ったんですが。

○神田部会長

わかりました。ちょっと考えます。

原委員、どうぞ。

○原委員

規制改革会議の方にも加わっておりまして、政府として2004年骨太方針というものが出されております。この中に、金融分野については、金融取引ルールの整備と、それから体制づくりということが盛り込まれておりまして、ぜひ至急、投資サービス法、金融サービス法への検討を進めていただくことと、それから、今回のこと、非常に迅速な対応はとっていただけたように思いますけれども、常々、金融庁の中に消費者の窓口がないということを感じておりまして、ぜひ金融庁の中の体制づくりということも今後考えていただきたい。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

こうさせていただけませんでしょうか。原委員からは大変重要なご指摘をいただきまして、その点はまた多分この後、またそういう議論はさせていただくと思いますので、その点はちょっと、報告書にそこまで書くとやや大きなことになると思いますので、書けないと思いますけれども、当然のご指摘だと思いますので、引き続き、ぜひその点は今後の議論につなげさせていただきます。

それから、種橋委員のおっしゃった点ですけれども、2ページに書いてあることは2つのことを書いているのですね。

1つは、ご指摘のように、先ほどの後ろの方の文章にありましたように、今回その対象とするのは外為証拠金取引とそれに類似する取引ということ。

しかし、もう1つは、今回は金先法の改正で対応しますので、金先法の中に「通貨・金利等を原資産としたデリバティブ取引」というものを金先法の適用対象にそもそもしなければいけないという法制上の問題があって、現在は先物取引だけが対象ですから、取引所取引だけなんですね。ちょっと相場を使うのは別で、プラスアルファはありますが。

ですから、そのことを両方書いているので、ちょっと確かに紛らわしい文章なので、一旦金先法の適用対象としては、この「通貨・金利等を原資産としたデリバティブ取引」にまずしないといけない。法制、法技術的に。その上で、今回どこまでというときには、おっしゃっているように、認識に差はないというさっきのことなので、ちょっとこれ、私、今軽々に文章を言って紛らわしくなるといけませんので、申しわけありませんけれども、今のような趣旨でここを必要があればちょっと修文させていただくと。もし名案がなければ、今の趣旨は議事録に残りますので、誤解はないということにさせていただけませんでしょうか。

○種橋委員

それで結構でございます。

○神田部会長

ありがとうございます。

それでは、ほかにいかがでしょうか。先ほど申しましたようなことで、この報告書案を報告ということにさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

(異議なしの声)

どうもありがとうございます。

それでは、大変私の議事進行の不手際で時間を予定よりとってしまいまして申しわけありませんでした。

もう1つ議題がございまして、今日は若干の延長をお許しいただかざるを得ないのですけれども、移らせていただきます。

冒頭にも申し上げましたけれども、外国会社等の我が国における開示書類に係る制度上の整備及び改善についてでございまして、ディスクロージャー・ワーキング・グループの岩原座長及び事務局からご説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩原座長

説明させていただきます。

ディスクロージャー・ワーキング・グループは、昨年12月の当部会報告「市場機能を中核とする金融システムに向けて」において検討課題とすべきであるとされました外国会社等による英文開示について、本年3月から5回にわたって幅広い検討を行ってまいりました。

この英文開示の問題は、英文による開示を認めることによって発行会社のコストを引き下げ、我が国の証券市場を利用するインセンティブを高めたいということから出てきたものでありますが、他方、投資者保護が損なわれては証券市場そのものにとってかえってマイナスでありますので、投資者保護を図りながら、いかにしてその英文開示を認めるかということを検討したわけであります。

後でアンケートのご説明があるかもしれませんが、アンケートを見ましても、やはり投資家サイドでは、証券を取得する際には日本語による開示がどうしても必要だという声が強いようでありますので、そういう投資者のニーズもかんがみながら、妥当な線を探っていったわけであります。

さらに、この問題はさきの当部会でのご議論でご指摘いただきましたとおり、単に英文による開示という問題だけでなくて、発行会社の母国における開示書類をどこまで我が国における開示書類として使うことを認めるかという問題にまで波及せざるを得ない問題であります。そうでないと発行会社のニーズに十分こたえられないということであります。

本報告書は、この問題につきまして、開示書類は我が国の証券取引法上の開示書類を求めるという、いわゆる市場主義の原則に立ちながら、投資者保護を損なわない範囲で母国主義、つまり発行会社の母国の開示書類等を取り入れるという方向で、漸進的に英文開示を認めていくという具体案をとりまとめてご提示申し上げたものでございます。

報告書の具体的な内容につきましては羽藤参事官からご説明いただきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

○羽藤企業開示参事官

それでは、お手元の資料の4に沿ってポイントをご説明申し上げたいと思います。

今、座長を務めていただきました岩原先生からご紹介がございましたように、基本認識については、公益や投資者保護を確保しながら我が国証券市場の国際化、競争力の向上を図ることを目的とするということであります。そして、そのための英文開示ということで課題を整理いただいたわけでありますけれども、それは1つの手段にしかすぎず、今回のディスクロージャー・ワーキング・グループにおいては、外国会社等が我が国において開示書類を提出していだく上で、現行の制度上、整備・改善をすべき点にはどういう課題があるのかという観点から、単に英文による開示ということにとどまらない整理をいただいております。

具体的な手段については、「基本認識」のところの(3)のマル1でありますが、考え方として、開示書類について、我が国の公益または投資者保護に欠けることがないものとして一定の要件を満たす場合には、国際的な金融の分野で通常使用される言語である英語による表記を認め、当該外国会社等の本国の開示基準に基づく開示書類の提出を認めることが考えられるのではないかということでありまして、あわせて、外国会社等のコストの軽減を図るための継続開示書類の提出義務免除要件の緩和、外国会社等の利便性の向上を図るための円滑なクロスボーダー決済システムの整備、さらには電子開示システム(EDINET)の充実の具体化も不可欠であるというご指摘をいただいております。

それでは、具体的な措置にまいります。まず、基本的な考え方でありますが、基本的には「市場主義」の考え方に立って、我が国の開示基準に基づく日本語による開示を求めることを原則とするということであります。この「市場主義」の背景にあります考え方は、我が国の監督当局が公益または投資者保護を全うしていくためには、我が国における基準のもとで、日本語によって開示を求めることが適切であるという考え方に立つものであります。ただし、公益または投資者保護に欠けることがないものとして認められる一定の場合においては、本国の開示基準に基づく英語による開示、いわゆる「母国主義」を認めることが、例外的な場合として適用されるのではないかという考え方であります。

なお、参考にもございますように、現行の制度においても一定のケースにおいては本国または第三国の基準に基づく財務諸表の開示ということを容認しているところではございます。ただ、これは日本語によることとされております。

次に、例外的な場合として「母国主義」を認めてもよいのではないかという場合については、取引の形態において、それから書類の形態において考え方を整理すべきことが有益ではないかということで、以下、(1)から次のページになります。

まず1つは取引についてでありますが、「プライマリー」であるのか「セカンダリー」であるのかという整理をいただいております。「プライマリー」と申しますのは、1ページの下でございますけれども、本国においてはいまだ開示されていない有価証券が我が国において初めて開示されることとなる場合であります。このような場合については、我が国の開示基準に基づく日本語による開示を求めるという、この原則を崩すことはないのではないかということであります。

一方、「セカンダリー」でありますけれども、「セカンダリー」という意味は、次のページでありますが、本国において一定の期間、既に適正な開示が行われている場合を指すものでありまして、こういったケースについては本国の開示基準に基づく英語による開示を認めることができるものとするということであり、さらに要件がありますけれども、まず「セカンダリー」ということを前提として認めることがあり得るのではないかというご指摘であります。

それから、(3)と(4)は書類についてでありますけれども、発行開示書類それから臨時報告書といった場面においては、我が国の開示基準に基づく日本語による開示を求めるものとすることが適切ではないかということでありまして、一方、継続開示書類については、これは臨時報告書は除かれるわけでありますけれども、本国の開示基準に基づく英語による開示を認めることができるものとするということであります。このような整理をしていただいた上で、「プライマリー」あるいは発行開示書類や臨時報告書に係る英語による開示という課題については、「セカンダリー」かつ継続開示書類における英語による開示の定着状況などを見ながら、将来的にさらに検討を行うという考え方が適切ではないかと。そのようにまず整理をいただいたわけであります。

それでは、「セカンダリー」かつ「継続開示書類」ということで英語による開示を認めることができるものとする場合に、どのような条件が満たされることが必要であろうかということでありますけれども、この点について3つの大きな条件があるのではないかということをいただいているわけであります。1つは、この2ページ目、引き続いてまいりますけれども、開示基準の問題。それから、もう1つが3ページ目でありますけれども、投資者保護上の措置の問題。それから3つ目が、4ページ目でありますけれども、日本語による要約という問題。この3つの要件を満たすものについて、本国の開示基準に基づく英語による開示を認めることが適切ではないかという、そういうご提言でございます。

まず開示基準でありますけれども、2ページ目に戻っていただきますけれども、その開示基準について、金融庁長官が公益または投資者保護に欠けることがないものとして認める場合には、当該本国基準に基づく開示書類による開示を認めてもよいのではないかということであります。これは要すれば、それぞれ各国の法制度の中で会計の基準、監査の基準、そして開示の基準というものが設けられておるわけでもありますし、現行の我が国の証券取引法の制度のもとでは、我が国の開示基準、そして開示の様式に従って、日本語による開示を求めているということではあるわけでありますけれども、一定のケースにおいては、すなわちこの(3)でありますけれども、外国会社等の本国の開示基準が公益または投資者保護に欠けることがないものとして認められる場合、その場合に、ここにございますようにマル1マル2マル3というふうなことをさらに求めつつ、日本におけるこれらの外国の開示基準というものを用いることを認めてもいいのではないかと。そのように整理をいただいております。

つまり、本国における開示基準を用いることを認めるということであっても、この(3)のマル1あるいはマル2マル3のように、1つには、開示の内容が我が国の基準と異なっている点をしっかりと明確に示すことを義務づけること。それからマル2は、我が国の開示基準によって記載すべき事項が記載されていない点については、そういう事項を記載した補足情報を提出していただくことを義務づけること。日本語によって、相違あるいは欠缺というふうなものに相当するような部分についてはっきりと示していただくことによって投資者保護が全うされるのではないかと、そのように整理をいただいておるわけであります。

なお、(5)にございますように、本国の開示基準による開示書類を、英語ではなくて日本語によって提出するということは差し支えないということであります。

それから、3ページ目の上でございますけれども、あわせて現行の制度で外国会社の有価証券報告書の提出時期については、事業年度終了後6か月以内というふうに定められているわけでありますけれども、仮に外国会社の本国基準による開示書類の提出を認めるということになりますれば、日本語基準による様式への組み換えであるとか、あるいは翻訳といった時間を考慮する必要は基本的にはなくなりますので、この場合の提出期限については短縮する方向で、あわせて見直しを行うことが適切であるというふうに提言をいただいております。

それから、2つ目の満たすべき要件でありますけれども、それは投資者保護上の措置が講じられていること、そのような制度を整えることということであります。これは誤認を防止するという観点が重要ではないかということでに基づくものあります。

(1)にございますように、現行の我が国の証券取引法のもとで投資者保護が求められているゆえんとしては、1つには事実を知らされないことによってこうむる損害からの保護。それから不公正な取引によってこうむる損害からの保護。そして3番目は証券会社の不適切な投資勧誘によってこうむる損害からの保護というふうに一般的に説かれておわけであります。この中で英語による開示ということについては、その開示書類が英語で開示されているにもかかわらず、日本語で開示されているというふうに誤解をするような、そういった誤認を防止するということを講じる必要があるのではないかということでありまして、このため、(4)でございますけれども、1つには証券発行者、すなわち、開示書類の提出義務者に対しては、発行開示書類に今後この開示書類については英語で開示をするということを、はっきりと記載していただくということをまず求めることが必要ではないかということであります。それから2番目は、証券会社に対してですけれども、行為規制として、開示書類が英語によって記載されているということについての確認をし、そして販売先の投資者に対してその旨を説明して、その旨を記載した文書を交付するということを義務づけるということであります。

このような制度整備とあわせて、(5)でありますけれども、証券業協会において法令に基づく誤認防止の義務づけを受けて、投資者による誤認を防止するように徹底をしていただくこと。あるいは、証券取引所において開示書類が英語により記載されている旨が明確となるような措置を証券取引所の判断によって講じていただくこと。こういった投資者保護上の措置ということをあわせて講じることが必要ではないかということであります。

それから、次のページでありますけれども、3つ目の満たすべき要件でありますけれども、日本語による要約を義務づけるということでございます。これは(3)でございますけれども、投資者の投資判断にとって必要最低限の情報については日本語で開示をするという考え方に立ち、そして、その記載内容についてはガイドラインなどにおいて最低限の記載内容を定めるということでございまして、このガイドラインについては現行の有価証券報告書などで記載を求めております、いわゆるハイライト情報を中心としながら、(4)にもございますように、リスク情報などについてもカバーし、ガイドラインを慎重に策定をするというご提言をいただいております。なお、日本語の要約でありますけれども、(6)にございますように、作成の責任は開示書類の提出義務者が負うという位置づけでございます。

また、電子開示システムの整備・充実を図るということで、既に税務当局において試験的に施行されておりますXBRL方式というシステムがございますけれども、外国の証券発行者が英文による有価証券報告書をXBRL方式でEDINETに提出した場合には、それに加えて日本語による要約の提出を義務づける必要はないのではないかということであります。もっとも、EDINETにこのようなXBRLという、いわば翻訳の機能を導入していくということになりますと、その機能、信頼性については今後の整備・改善の中で慎重に検証をしていくということもあわせて必要になりますので、そういった点を私ども金融庁として努めてまいらなければならないと考えております。

そして、以上申し上げましたとおり、開示基準について判断をすること、投資者保護上の措置についての制度整備も図ること、日本語による要約を求めることという要件のもとで、英語による開示を認めていくということにあるとしても、その実施については、段階的に投資者の認識の浸透を図っていくことが必要ではないかというご指摘をあわせていただいております。5ページでありますけれども、段階的に実施をしていくということで、(3)にありますように、具体的にはまず、投資者にとって投資の内容や、その仕組みが理解しやすい商品について、外国株価指数連動型上場投資信託、いわゆる外国ETFというふうに略称されておりますけれども、こういったものについて平成17年度から、本国の開示基準に基づく英語による有価証券報告書、半期報告書の提出を可能とするというご提言をいただいております。その他の有価証券については、こういった段階的な措置を進めていくということによって、平成19年度を目途とするということが適切であると、あわせていただいております。

さらに、(5)でありますけれども、あわせて次の措置を検討することが適切であるということで、まず1つは、内外の会社を問わずに、完全子会社以外の子会社の従業員・役員向けストック・オプションについて、これは現行の制度のもとでは、有価証券届出書の提出を求めているわけでありますけれども、この点については、完全子会社以外の子会社の従業員・役員を人数基準の対象外とすることによって、そのような提出を不要とするということを検討することが適切であるというご指摘をいただいております。

それから2番目でありますけれども、外国会社による株主割当増資についてであります。いろいろなニーズがこれまでに寄せられてまいりました。我が国において株主割当増資を外国会社が行う場合、日本における株主が、いわば応じられないといった点の不都合さを解消すべきではないかというご指摘がございましたので、そういう観点から、開示制度上、特例の措置を講ずるということで、「例えば」というところに書いてありますけれども、株主割当増資が行われる際の開示書類については英語による開示を認めるということであります。形式的には、いわば発行開示書類に該当するわけでありますけれども、英語による開示を認めていくということが適当ではないかということで、措置を検討することが適切であるというご指摘をいただいております。

なお、あわせて添付書類、これは定款などについて、今求めておりますものについては日本語への翻訳を不要とするということであります。

アンケートについては、時間の関係もありますので、ポイントだけでございますけれども、この議論をしていただく過程において、私どもで関係者のご協力をいただきながら実施をしたものであります。

資料の5で、ページ数が落ちておりまして申しわけありませんが、まず一般投資家については2枚目になりますけれども、一般投資家と書いてあるところを1ページめくっていただきますと、Q5でありますが、「外国有価証券の投資に関する情報は何語で入手していますか」という点で、圧倒的に「日本語で入手している」というご回答が多くございました。

それから、ずっと先へ進めていただきますと、有価証券報告書を提出している外国会社を対象に行ったアンケート調査では、現在の証券市場での資金調達に関する要望といいましょうか、評価としては、Q3でございますけれども、「資金調達に時間を要する」あるいは「コストが高い」という点での「不満足」というご回答が非常に多くございました。

またずっとめくっていただきますと、そのQ9でありますけれども、日本市場で売買される外国有価証券のディスクロージャー書類が英語になることに「賛成ですか」という点については、英語になることについての賛成という意見は、当然のことながらとでも申すのでしょうか、ございますが、その次のページに、Q11でありますが、「コストの削減」ということになりますと、やはり100万、500万、1000万、3000万というふうにバラエティーには富んでいますけれども、コスト、それから時間という点での指摘がございました。

なお、そのほかにもございますけれども、詳細については時間の関係で大変失礼したしますが、資料に委ねさせていただきます。

事務局からは以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

時間の関係で大変申しわけありませんでしたけれども、ポイントをご説明いただきましてありがとうございました。

それでは、予定の時間を若干過ぎておりまして恐縮ですが、今ご報告いただきました資料4につきまして、皆様方からご意見がおありであればお出しいただきたいと思います。

はい、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

なるべく限定して2点です。

1つは、3ページ目の投資者保護上の措置のところで、誤認防止について絶対に必要なことだと思うんですけれども、ここでの書きぶりの問題なのかもわかりませんが、英語で開示されているという、英語か日本語かという誤認防止の問題と、恐らく本国基準か日本基準かということの誤認防止の問題と、多分2つあるのではないかと思いまして、ここで書いてあるのは、恐らく英語で、かつ本国基準でもあるということについても誤認防止をするということなのではないかと思うんですが、ぜひそうしていただきたいというのが1点。

それから一番最後のページ、5ページの(5)のマル1なんですが、ここは、これも考え方の問題なのかもわかりませんが、私は大変抵抗がある部分なんです。私自身は、極端に言えば、子会社の従業員であっても、当該会社のことをどこまで理解しているかというのはいろんなケースもありますし、むしろ従属的ですから、情報の非対称性が強い場合もあるようなことなので、そもそも完全子会社であっても除くべきではないというような考え方さえ持っているんですが。ましてや、その完全子会社以外のものについては、これはやっぱり原則に戻って、開示のときにはカウントすべきではないかというふうに思っていまして、ここは反対なんです。

最初の方はできればお答えいただきたいと思います。

○神田部会長

今の点につきまして、岩原先生と事務局はいかがでしょうか。

○羽藤企業開示参事官

誤認防止という点では、基準の違いということも、これは明らかにされないといけないのですが、ただ、開示基準についてそもそも判断をするという最初の要件の中では「何が違うのか」ということを当然示していただくことにはなりますので、そこが明らかに出ていれば基準の違いということについての誤認防止ということを実質上はカバーをすることになろうというふうに思います。

それから、ストック・オプションの取り扱いについては確かにいろいろとご議論がございました。ただ、この点につきましては、私ども、外国会社を中心にしましてもアンケート調査を行い、あるいは、いろいろな聞き取りの調査を事務局として行いましたところ、非常に要望も強いところでもございました。いろいろご議論もございましたけれども、ワーキング・グループではこのような形でおまとめをいただいたということでございます。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。

第1点の方は、ですから、趣旨は上柳委員のご指摘のとおりということですね。

○羽藤企業開示参事官

はい、そうです。

○神田部会長

ちょっと文章が、英語の方について書いてあるという感じになっていますけれども。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、東委員。

○東委員

1つは確認なのですが、2ページの一番下の(5)のところで、「英語ではなく日本語によって提出することは、差し支えない」という、この(5)については(3)のマル1マル2は当然適用されるという理解でよろしいんでしょうか。

○羽藤企業開示参事官

はい、そのとおりです。

○東委員

あと、(3)のマル1マル2については、実務的には対照表というのは制度の比較になるので、ある種ひな形的なイメージで考えてよろしいのでしょうか。

○羽藤企業開示参事官

具体的に開示をしていただく内容に入ってきますけれども、ご質問の前提として、我々のサイドでは基準の差異がどの程度、どういうものにあるのかということを当然、当局として把握をしていないといけないことになりますので、そういう中で一定のひな形を整理させていただいた、あるいはマーケットに基準の差異が周知されていくことによって、1つのひな形というのがマーケットででき上がっていくであろうというふうにも思っております。

いずれにいたしましても、ご提言としていただいた内容について今後具体化をしていくということについては、よく関係者の方々からいろいろとお話を伺いながら、あるいは基準の彼我の違いということもよく整理をいたしたいと考えております。もっとも、国際開示基準の整備が進展しており、我が国の開示基準は、ほぼ国際的なベースにおいて中身的には、そう大差はないということではあります。ただし、記載あるいは様式ということになりますと、そこは異なってまいりますところでございますし、項目的にもその差異はありますので、そういった整理をよくさせていただきながら、個々個々の財務書類については、その中身において、ここにございますように、対照表あるいは補足情報ということの記述をいただくということで事務局としては具体化を進めてまいりたいと考えております。

○東委員

そういう意味では、個人の投資家が海外の企業に投資する際にも、こういう差異を明確にしていただきたいと思います。投資家にとっては、ルールの違いを問題にするよりは、同じルールで企業を評価するというのが立場ですので、そういう意味では、このような点をより充実していただければ、投資家教育という面でも非常にプラスになるのではないかなと思います。

最後に、これはお願いなのですが、今回のこの英文開示をベースとしたワーキングというのは市場の国際化競争力の向上という目的に対しての手段というふうにおっしゃったわけですが、さきほどの1ページ目の(3)のマル2にあるのですが、それ以外に必要なインフラというんでしょうか、プラットホーム、例えばここにございますようなクロスボーダーの決済システム等々を含めて、こちらの方も急がないと、開示に関してばかり一生懸命やりましても、やはり基礎がちゃんとできていないということになります。ぜひこの点もあわせて進めていただきたいということをお願いするとともに、よりアジアなり、ここには当然盛り込めない話でありますが、ターゲットをもう少しイメージした格好で、ぜひ具体的に進めていただきたいというふうに思います。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。原委員、どうぞ。

○原委員

私自身もワーキングに所属しておりましたので、検討の結果ということについては一応昨日の段階で了解したということになりますけれども、アンケートでちょっと、説明は少し飛ばされたのですが、一般投資家のアンケートの3ページ目、Q8のところなのですが、これは日本の市場で売買されるこういったものが英文開示になることをどう見るかということなのですが、「日本語の要約書が付くのであれば、英語でも良い」が442で、「日本語でないと困る」という方が匹敵するぐらい、398あるということです。それで、実際にこういう話が検討されていることすら一般の消費者とか、一般の投資家はあるかもしれませんけれども、まだ理解というのでしょうか、進捗状況については知らないというようなところもありますので、ぜひこういう検討とか、こういう仕組みでやっていく方向になっているのだということの情報提供を充実させていっていただきたいということを思います。

それから、何か困ったときがあって、英語について書かれているけれども確認をしたいというような場合、やはり日本語で回答が得られるようなことを、これは法律の中とかということではありませんけれども、事業者側の自主的な努力としてはお願いをしたいと思っております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、上柳先生。

○上柳委員

3ページの下の方の(6)、証券取引所のところにかかわるのかもわかりませんが、本来であれば、どの程度の本国基準まで許すのかということとも関係するのかもわかりませんが、その取引所の中で別の何かポストを設けるとか、何か専用の市場をつくるとか、何かそういう話もあったような気がするんですが、そのことはここに含まれているということなのでしょうか。

○羽藤企業開示参事官

議論の過程では、まさしくご指摘のように特定の取引所をつくってはどうか、あるいはそもそも議論の出発点の問題提起としては、金融特区のような形で限定をして実施をしてみてはどうかといったご指摘がございました。

その点も含めまして、具体的にそのようなご提言をなさっておられる沖縄の名護市のご関係の方にもご出席いただいて、プレゼンテーションなどをしていただきながら、あるいは取引所サイドについても、東京証券取引所の委員の方からプレゼンテーションなどいただきながら議論をしていただいたわけでありますけれども、結論としては、そのような形で例えば限定をすること、あるいは取引所ということについていわば限定をすることということが、流動性をむしろ奪うことになるのではないかといったような課題が指摘され、そして、そういう形で制度の設計をすることは必ずしも適切ではないのではないかと。そのような議論がございましたので、取引所あるいは地域的に限定をするということでのご議論あるいはご提言ということは、取りまとめの中には含まれていないというものでございます。

○上柳委員

確かに、このためだけに別の枠組みをつくるというのは大変難しいのかなというような気もしますけれども、特に取引所ですか、協会ですか、できっちり区分がされるような仕組みというのは強調されるべきだと思います。

○羽藤企業開示参事官

制度の設計としては取引所に限定するという考え方はないわけでありますけれども、まさしくこの(6)にありますことは、具体的に取引所の判断によって適切な措置を講じていただくことは考えられるのではないかということなので、恐らく上柳委員のおっしゃられたご趣旨に沿ったことが具体的な取引所の判断として行われるであろうということも期待をしております。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。実際にはおっしゃるようなことになるのではないかと思いますけれどもね。

ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

そうしましたら、上柳委員の一番最初にご指摘いただいた点ですね、これをどうしましょうかね。3ページ目の(2)ですが、誤認というのを防止という話は、英語で開示されているにもかかわらず日本語で開示されているものと誤解してと、もちろんこれもありますけれども、向こうの基準でつくっているのに日本基準と誤解したと。これも当然あるので、表現まで改めなくてもここでそれを確認させていただくか、若干それも含めた表現に修正が可能なら、これは岩原先生と羽藤さんと、ちょっとこの後ご相談させていただきますけれども、趣旨はおっしゃる趣旨だと思いますので。

今もしご提案いただければ。

○羽藤企業開示参事官

「日本語で開示されているものと誤解をし」の前に、「我が国の基準ではなく英語で開示されているにもかかわらず、我が国の基準に基づき」と。

○神田部会長

それで日本語として通じますかね。私の方がもう頭がおかしく……。

ちょっとそういう趣旨で、それははっきりした方がいいと思いますので、もともと英語開示なのか、向こうの基準なのかという、向こうの財務諸表そのままということですので、今のような線で、ちょっと最後のてにをははもう一度確認は、ご一任いただくしかないと思いますけれども。

そうさせていただくことにしまして、この報告案を、これも形の上では、この第一部会としてご承認をいただいて、当部会の報告にさせていただくということにしたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(異議なしの声)

どうもありがとうございます。

それでは、私の不手際で予定の時間を20分ほどオーバーしてしまいましたけれども、おかげさまで本日の審議はここで終了させることができる段階に至りました。

この後、記者会見を行いまして、本日の当部会の模様について私からお話をさせていただきます。

この部会は、本年は4月16日にお集まりいただきまして会合を再開して以来、4回の会合を開かせていただきまして、外為証拠金取引についての規制のあり方について、とにかく緊急対応ということで取りまとめをさせていただきました。皆様方には非常に短期間でしたけれども精力的に、また意見の分かれ得る論点につきましても非常に前向きのご議論をいただきましたことについて、厚く御礼申し上げます。

また、ディスクロージャー・ワーキング・グループにつきましては、毎年のように、毎週のように精力的にお集まりいただきまして大変恐縮でございますが、次から次へと出てくる問題につきまして迅速に対応いただき、今日、報告書の案をご提示いただきまして、岩原座長を初めメンバーの皆様方、この中にもディスクロのワーキングのメンバーを兼ねておられる委員の方々いらっしゃいますけれども、どうもありがとうございました。

それでは、最後に事務局の方からご連絡等ありましたらお願いいたします。

○大森市場課長

大変生産性の高い議論をしていただきまして、ありがとうございました。

今回ちょっと感じましたのは、恐らく投資サービスによる被害に遭われた方と接しておられる委員の皆様は、なるべく国民をリスクに近づけない方がいいのではないかという発想が恐らくあって、それは伝統的な日本人の意識でもあったんだろうと思うんですけれども、ただ、そういう意識が結果として、池尾先生のおっしゃるような実体経済のリスクが銀行だけに集中する、全体としてかえってリスクに脆弱な金融システムを形成してしまったという、その反省に立って、リスクを判断して投資するという行為をプラスに評価して、そのための制度的な方策を考えるのが第一部会だというふうに認識をしております。

こんなことを申し上げるのは、今後の議論が恐らく今回以上にますます微妙で難しいものになっていくからなんですけれども、そういう検討に当たっては、先ほど池尾先生がおっしゃったように、業者の営業の自由度というようなレベルではなくて、リスクの判断はもちろん自己責任ですけれども、システムを信頼して投資できる環境整備という観点から、また引き続き難しい微妙なご議論をお願いすることになると思いますけれども、よろしくお願いをいたします。

次回、恐らく私どもも人事異動があって体制が変わると思いますけれども、次のスケジュールと内容につきましては、また部会長と相談の上、通知をさせていただきますので、よろくお願いいたします。

○神田部会長

それでは、以上をもちまして散会させていただきます。

どうもありがとうございました。

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