金融審議会金融分科会第一部会(第32回)議事録

平成17年6月28日

金融庁 総務企画局

午前10時00分開会

○神田部会長

おはようございます。それでは、時間になりましたので、まだ遅れていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、始めさせて頂きます。ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第32回目の会合を開催させて頂きます。

皆様方には、いつもご多用のところをお集まり頂きましてありがとうございます。

会議に先立ちまして、本日の会議も公開とさせて頂いておりますので、その点をご了解いただければと思います。

まず、冒頭事務局から事務連絡があるとのことですので、よろしくお願いします。

○大森市場課長

前々回の当部会が4月28日でしたが、同じ日の閣僚懇談会で地球温暖化防止、省エネ推進のためのいわゆるクールビズの申し合わせがあり、私たちも6月から9月までノーネクタイ、ノー上着になっております。委員の皆様もネクタイをしていらっしゃらない方もおられますけれども、この間の審議会では軽装といいますか、むしろ当部会、委員も増えましたし、何しろ観客がたくさんおられてあまり冷房もきいておりませんので軽装をということでお勧めいたしますということでございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。そういうことだそうでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。

それでは、前回も第二部会委員の方にご参加して頂きましたけれども、この部会で投資サービス法の議論をしている間につきましては、第二部会の委員の皆様方にも第一部会委員を併任して頂くという形でお願いしております。メンバーにつきましては、お手元の名簿をご参照頂きたいと思います。今後、その名簿のメンバーにてご審議を頂くということになりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

なお本日は、田中委員、羽田委員それから西川委員、岡内委員から、書面でご意見を頂いておりますので、お手元に配付させて頂いております。

以上が前置きでございまして、早速本日の議事に移らせて頂きたいと思います。

本日でございますが、まずディスクロージャー・ワーキング・グループからその検討結果についてご報告をして頂きます。そして、その内容につきましてご議論を頂きまして、その後、前回審議の途中で終わってしまいました「中間整理(議論のたたき台)」というものについて引き続きご審議をお願いしたいと思います。

それでは議事次第に従いまして、まずディスクロージャー・ワーキング・グループの報告「今後の開示制度のあり方について」のご説明をお願いしたいと思います。座長の岩原先生と事務局からどうぞよろしくお願いいたします。

○岩原WG座長

それでは、ディスクロージャー・ワーキング・グループの報告について、ごく簡単に申し上げさせて頂きたいと思います。

お手元に資料といたしまして、「ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告-今後の開示制度のあり方について-」という本文と、簡単な1枚紙になっております「ディスクロージャー・ワーキング・グループ報告の概要-今後の開示制度のあり方について-」というものがございますので、主にこの概要に沿ってごく簡単にディスクロージャー・ワーキング・グループにおける審議状況についてお話を申し上げ、そして細かい報告の内容につきましては池田参事官の方にお願いしたいと思います。

ディスクロージャー・ワーキング・グループにおきましては、昨年10月中旬以降いろいろなディスクロージャーをめぐる不適正な事例が相次いで判明したことから、昨年12月24日に財務報告にかかる内部統制の有効性に関する経営者の評価と公認会計士等による監査のあり方等々について、4項目につきまして他の審議項目と切り離して報告をさせて頂きました。その後、再びワーキング・グループにおきましては、その以前から取り組んでおりました四半期開示のあり方、それから根本的な問題であります証券取引法の開示規制の再編、そしてまたは最近のそういった不適正な事例において問題になり、またかつアメリカのエンロン事件等を契機に、世界的に問題になっております投資情報の的確な提供と公正な開示の確保、こういった問題について検討を進めてきたところでございます。そしてこのたび、この四半期開示のあり方について討議、この3つの点につきまして、ある程度の取りまとめができましたので、ここでご報告をさせて頂く次第でございます。

まず、一番具体的に問題になりますのが、四半期開示のあり方でございまして、この概要の1枚紙にございますように、次のような方向で整備を図っていくということでディスクロージャー・ワーキング・グループとしてのご意見の集約ができたところでございます。

細かいことは、(1)以下に書いてあるのをご覧いただければわかりますように、一番問題になりましたのは、四半期開示制度というものを現在は証券取引所の自主的な取り組みとして行われているところでありますけれども、それをより信頼性の高いものにするために証券取引法上の制度として取り入れていこうと、ただその際には迅速な開示という要請をきちんと満たすようなものとし、かつもう1つ非常に問題になりますのは、現在の半期報告書の制度との関係をどうするかということでございまして、その点につきまして特にご議論を頂いて、この概要に書いてあるような方向で今後取り組んでいくべきではないかということで一致した次第でございます。

そのほか、次にあります開示規制の再編、これはまさに現在第一部会で検討しております投資サービス法の検討が進んだ場合に、そのもとにおける開示規制について従来のような開示規制の仕組みでよいのかということが検討されまして、ここに書いてありますように、今後投資サービス法の法制が整備された場合に対応できるような投資開示規制の再編が必要ではないかということで今後検討をさらに進めることにした次第であります。

そしてまた最後に、この投資情報の的確な提供と公正な開示の確保につきまして、ここに書いてございますように、例えばアナリストによる開示等について、より公正性についての検討を進める、あるいはEDINETの機能拡充及びXBL、VBR化を図っていくといった点についての意見の一致が見られたということであります。

報告の具体的な内容につきましては、池田参事官の方にお願いしたいと思います。

○池田企業開示参事官

それでは今、岩原先生の方からご紹介がありましたところでありますけれども、多少細かいところを補足してご説明をさせて頂きたいと思います。

3つのテーマがありますうちの四半期開示のあり方につきましては、今、岩原先生からご紹介がありましたこの1枚紙の概要のところにも具体的な内容について整理をさせて頂いておりますけれども、四半期開示を証券取引法の開示としても位置づけていくという前提に立ちまして、具体的にここの1から6に掲げているような形で整備を図っていくということが報告されているところでございます。

1番目にありますように、四半期開示の対象会社は、基本的に今、上場会社というものを対象に考えて、これは証券取引法の開示義務を持つ会社は、上場会社以外にも過去の有価証券の公募をしたことのある会社ですとか、あるいは株主数が500人を超えていて資本金が5億円以上であるというようなときに開示義務がかかりますが、四半期開示ということで頻度の高い開示が求められる基本はこれらのうちの上場会社であろうという考え方に立って整理がされております。

それから、開示のタイミングにつきましても、現在の半期報告書とか有価証券報告書は期末の終了後3カ月以内に提出がされることになっておりますが、四半期開示のもとではよりタイムリーな開示が求められるという考えに立ちまして、遅くても45日以内、できるだけこの期間を短縮化していくような制度設計をすべきであるという指摘を頂いているところでございます。

具体的な四半期報告での開示内容については、この(3)に掲げてありますような財務情報及びMD&Aなどの非財務情報ということでありまして、かつ原則として、これらのものについて連結ベースで記載を頂くという考え方が示されているところでございます。

それから、現在取引所で行われております四半期開示における会計処理については、取引所の方でQ&Aのようなものを作成して一定の統一化が図られているところでありますが、この点についてさらに会計基準の整備を図り、比較可能性を高めていくこと等が指摘されているところでありますし、また証券取引法上の制度としていくに際し、この四半期財務諸表の公認会計士等による保証の手続として、いわゆるレビュー手続というものを導入すると、これは従来の半期報告書、それから有価証券報告書における財務書類に求められております監査という手続については、先ほど申しましたように決算期末から3カ月程度の時間をかけるという前提で、かなり入念な手続が行われるわけでありますけれども、この点についてアメリカの制度などで導入されておりますレビューという、監査よりも、監査のような実証手続を必ずしも必要とせずにより簡便な手続で、一方で迅速に保証を行っていく制度の導入を図るということで、その基準の整備を図るということが指摘をされております。

それから、岩原先生もありましたように、一番ワーキング・グループで議論になりましたのがこの第6の点でございますが、この四半期開示を証券取引法の制度としていくに際して、現在ある半期報告書の制度をどのようにするかと、この四半期報告制度に統合していくことが可能かという議論が行われたところでございます。この点については、一つの論点としましては、先ほど申しましたように四半期報告というのは、これは国際的にもそうですが、基本的に連結ベースで作成をされますので、半期報告が四半期報告に統合された場合に、単体ベースの決算というのが基本的に有価証券報告書に際しての年1回の単体の決算になるということで、この単体情報が年1回になるということをどうしようか、するかということで、他方、先ほど申しましたように四半期報告制度になりますと情報がよりタイムリーに出てくるということで、そういう迅速性、それから情報量等々を総合的に勘案したときに、全体として投資情報についての開示の後退にならないように制度を整備していく必要があるということが議論されまして、ここに掲げてありますマル1からマル4のようなことが担保をされていくということを前提に、半期報告制度を四半期報告制度に統一していくということを検討していこうという議論に集約をされたところでございます。

それから、2番目の「開示規制の再編」については、岩原先生からご説明のあったとおりでございます。具体論ということで申しますと、報告書の本体の8ページから11ページにかけまして、(1)から(8)まで、具体的な論点を掲げておりまして、この概要に掲げてありますような有価証券あるいは投資サービスの範囲が非常に広がっているという状況の中で、有価証券をその性質や流通性に応じて分類をして、その分類ごとにふさわしい開示規制のあり方を検討していくと、あるいは有価証券投資サービスの取引の対応が複雑多様化しているという状況の中で、柔軟な開示規制の適用が可能になる枠組みを検討するという基本的な考え方のもとに、具体的にこの(1)から(8)までの検討課題と検討の方向について考え方が整理をされているところであります。

それから、3番目の「投資情報の的確な提供と公正な開示」と申します点については、岩原先生からご紹介のあったとおりでございますが、ワーキングでの議論の問題意識としては、その公正公平な情報提供というのが証券市場の健全な発展にとって必要不可欠な要素であるという認識に立って、そうした中で例えばアメリカではフェア・ディスクロージャー規制といったような規制が導入されていて、一定の重要な情報を特定の人に開示がされた場合には、その情報を広く一般にタイムリーに提供しなければいけないといったようなルールが導入をされているところでございまして、これと同様なルールの整備の可能性についても議論を行ったところでありますが、アメリカではこういったフェア・ディスクロージャー規制が導入された背景としては、そのアナリストに対する開示企業によるガイダンスといわれる問題があって、それに対応するためにこのフェア・ディスクロージャー規制が導入された、すなわち日本と違いましてアメリカでは、業績予想の開示というようなことが行われていない中で、同時にそのアナリストがそういう業績予想を分析する際に、開示会社の方がそういうアナリストの方に情報提供を行いながら、そのアナリストの予想を実績に近づけるような形でのいろいろなガイダンスといわれる行為が行われると、ここがある特定のアナリストのみに特定の情報が提供されているのではないかという批判があり、そうした中でフェア・ディスクロージャー規制が導入されてきたという米国での経緯がありますが、こうした規制を現状において我が国に入れることについては、かえってその開示企業がアナリスト等に積極的に情報を提供していくということに対して消極的な対応をさせる影響を持つのではないかという、そういういわゆるチリングエフェクトといわれるマイナスな影響を指摘する意見がワーキングでは多く出されたところでありまして、最終的にはワーキング・グループとしては当面証券取引所における適時開示や、証券取引法上の公正取引の規制の徹底を図っていくとともに、公正公平な情報提供の確保という課題については証券市場をめぐる動向を注視しながら、引き続き多面的に検討を行っていくということで整理がされているところでございます。

この問題につきましては、そのディスクロージャーの問題という側面ももちろんありますが、あわせてこの第一部会の方で議論を頂いている公正取引ルールとも非常に密接に関連する議論でありますので、引き続きその公正取引ルール、ディスクロージャーの両面からこの問題について検討していく必要があるというふうに認識をしているところでございます。

それから、報告はこのEDINETについての機能拡充、とりわけXBRL化について取り組んでいくということが指摘をされているところでございます。

以上が、報告についてのご説明でありますが、ちょっと報告とは離れるところがありますが、ご発言の機会を頂きましたのであわせてご報告をさせて頂きたいと思いますが、この審議会でのご議論を踏まえて改正証券取引法案を今国会に提出をしておりましたが、この改正証券取引法案につきましては、先週の6月22日に参議院の本会議で可決をいたしまして成立をしたところでございます。

私どもとしては、明日29日にこの改正証券取引法の公布を行わせて頂く予定にしております。改正法案は基本的に本年の12月1日を施行日としておりますが、いわゆるTOB規制の範囲の見直しに関する、いわゆる立ち会い外取引についてのTOB規制については、公布の日から起算して10日を経過した日に施行すると法律でされておりますので、明日の公布に基づきますと7月9日の施行ということになるということでございます。その他の部分については12月1日からの施行でございますので、それまでの間に関係政省令等の整備を進めてまいりたいと思っているところでございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今頂きましたご説明につきまして、ここで皆様方からご質問、ご意見等がございましたら、お出し頂きたいと思います。いかがでしょうか。

どうぞ、池尾先生。

○池尾委員

素朴な質問というか確認なのですが、四半期開示を証券取引法上の制度として位置づけていくということですが、適用対象は上場会社に限るというふうにしながら、しかし証券取引法上の制度として位置づけなければいけないのだというところの理由ですが、岩原先生のご説明だと信頼性を高めるためというふうな一言でそこを言われたので、何かちょっと聞きようによっては何か取引所レベルというか自主規制機関レベルのルールが、信頼性がないみたいにも聞こえないことはなかったので、確認だけさせて頂きたいのですが、だから上場会社以外にも適用するというのだったらよくわかるのですけれども、上場会社に限定しながら、しかしながら証券取引法上の制度として位置づけるというのは、報告書本体2ページの一番下に書いてあるような、その要するにエンフォースメントのパワーの違いというのですか、それが大きな理由だというふうな認識でよろしいのでしょうかという確認のようなことですけれども、要するに開示内容に問題があったり、ルールを守らなかったときに対して、その取引所がとれるような処罰処置では十分ではないと、証券取引法上のいろんなより強い罰則等が適用されることが信頼性というのか、ルールのエンフォースメント上必要なのだというところがポイントということなのか、ほかにもっと理由があるのかという点をちょっと確認させていただければと思います。

○岩原WG座長

おっしゃるとおりでございまして、この本報告書の2ページの2のマル3のところにございますように一番中心的な問題は、その虚偽記載等があった場合について、罰則を適用することができ、かつまた民事責任の規定が適用されることによって、開示をする企業がまさに信頼性のあると申しますか、内容についてきちんと担保されたこの四半期開示を行ってもらうということを実現していく、これが一番この主たる意味でありまして、上場会社に限りましたのは、実際上の必要性、あるいは企業にかける負担等を考慮してのことでございまして、証券取引所で行っているだけに比べると、より信頼性の高い、かつ統一化された開示がなされるということを期待してのことであります。

○神田部会長

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

それでは原委員、それから根本委員の順番でお願いします。

○原委員

3点なのですけれども、確認ということと意見になります。

1点目は、8ページで有価証券の性質ごとに分類をして、規制をもう一度再整理をするということになっているのですが、大変今気にしておりますのが不動産投信になります。不動産投信がどういう情報を組み合わせて設計をされているかというところでは、例えばその不動産鑑定士の鑑定ということがありますけれども、これも二通りの鑑定の方法などがありますので、やはりここも他省庁にまたがる案件というようなことになってきますので、ぜひ各省庁との連携をとって進められるような体制をとって頂きたいと思います。

それから2点目なのですが、アナリストについて、このルールについては、慎重論がワーキングでは出されたようですけれども、アメリカではフェア・ディスクロージャー規制があり、そしてイギリスではマーケット・アビューズ規制というのがありますので、私としては今日の場でのご報告は、ワーキングは今の段階ではこういうことだと思いますが、引き続きやはり精力的に検討を進めて頂きたいと思っております。それでないと、今日検討いたします金融サービス市場法の中でも、前回の議題のところでちょっとあまり発言が出なかったのですが、助言についての規定というのを入れましょうということになっておりまして、これは大変大きい。ここは質問なのですけれども、今回の発表には助言ということについてとの関連としての公正取引ルールとの整備というあたりでは、どういう検討をなされたのか、したけれどもまた文章にするところまでいかなかったということなのかということで、最後のは質問ということになります。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

最後の点は、池田さん。

○池田企業開示参事官

先ほどの説明でもちょっと申し上げましたけれども、この公正な情報提供という問題は、今回のワーキングではとりわけそのアナリストに対する情報提供との関係で議論が中心的に行われたということもあって、チリング・エフェクト等に対する懸念の声が多かったというふうに認識をしておりますが、この公正な情報提供の問題というのは、単にそのアナリストに対する情報の発信の問題だけにかかわる問題ではなくて、より、アメリカでは先ほど申し上げたようにまさにアナリストをめぐって経緯的には入った規制ではありますけれども、一般的なルールとして考えたときにはもっとより広い問題であろうと思いますし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、単にディスクロージャーの問題だけではなくて、原委員もおっしゃるような公正取引という切り口からも大いに他の公正取引ルールとの関係が多い規定だというふうに考えておりますので、引き続きそういう両面から取り組んでいくべき課題だというふうに考えております。

原委員もディスクロージャー・ワーキングの方にいらしたのであれですが、その助言との関係で明確に議論はされたかというと、そこはディスクロージャー・ワーキングというディスクロージャーの観点で議論をしてまいりましたので、必ずしも助言、この投資サービス法の方の助言の整備との関係と、そういった形の議論は中心的には行われなかったというふうに考えておりますが、いずれにしても公正取引ルールとの連接に留意して考えていくべき問題だということはワーキングの委員の方も認識をされていることではないかというふうに考えています。

○神田部会長

よろしゅうございますか。

それでは根本委員どうぞ。

○根本委員

2点、これも確認ということなのですけれども、1つは四半期報告制度への統一というところでして、今半期報告の内容等が後退しないかという点なのですが、例えば銀行に関してですと自己査定というのが年2回あって、3月期と9月期というのはそれを反映されて資産内容についてかなり詳しい内容になっているのですが、多分恐らく4回そういうことを行うということは今のところ難しいと思うので、四半期の報告というのは若干簡略なものになっていると。そういう中で今の半期報告のかなり詳しい内容が後退するとか、これは例なのですけれども、そういうことはないのかということと、あと四半期開示と年1回しか開示していないとか、あるいは半期のみという会社さんとのかなり格差が大きくなると思うのですけれども、実際その上場はしていないけれども、かなり債券を多額に発行されているところとかがありまして、投資家の立場から言えば、例えばそういったある会社さんでは2004年3月の情報が今最新であるというような状況もありまして、そのあたり、ちょっと今回の議論の対象ではないのかもしれませんが、開示が進むのかということをお伺いしたいのですけれども。

○神田部会長

ありがとうございます。

岩原座長、いかがでしょうか。

○岩原WG座長

まず最初のご質問につきましては、報告書で申しますと5ページの一番下あたりから半期報告書の取り扱いが書かれておりまして、ただいま根本委員ご指摘のように、特にこういう開示情報の利用者の立場から、特にアナリストの方々などから半期報告書の制度が四半期報告書に吸収されることによって開示される情報の内容がいわば後退する恐れがあるのではないかという幾つかのご指摘がございました。そこでこの報告書に書いてございますように、この6ページのマル1からマル4にございますように、特にマル1からマル3にかかわるところでございますけれども、マル1に書いてありますように、セグメント情報をより詳しくする、あるいは必要な場合にはこの単体情報、特に半期においては単体情報も開示されておりまして、アナリストの方などにとっては単体情報も重要な情報であるというようなご指摘がございましたので、そういうことを踏まえて四半期報告書の制度に一元化するにしても、従来と比較して実質的な開示内容が後退しないような条件を満たしたときに初めて半期報告書の制度を廃止すると、四半期に吸収するという方向でこの報告書は書かれております。

○神田部会長

2点目については、むしろ池田参事官に。

○池田企業開示参事官

あわせてその報告では、今銀行の例がございましたが、この報告書の6ページの下から2行目のところに、これは銀行だけの問題ではないと思いますが、今いろいろな各業法の制度において証券取引法上そういう半期決算が求められているということを前提に運用されている諸制度があるだろうと考えられます。これは金融業もそのひとつですが、各省が所管しているいろいろな業法もその中間決算が証券取引法で求められていることが前提に行われている監督の枠組みがあるというふうに認識をしておりまして、この辺のあたりについて、各業法上の手当てをどうするのかというのは、あわせて政府部内において検討をしていくということになろうかと思います。

それから、上場会社以外のところの開示については、先ほど岩原先生からありましたように、コストとの比較等の中でその上場会社を基本に考えていくということで考え方の整理が行われておりますが、この6ページの注1のところに、将来的な問題としてこの上場会社以外の継続会社の扱いをどうしていくのかということは、まずその当面四半期報告が行われないとすれば半期報告については従来どおりやって頂くということを当然の前提とした上で、かつ将来的にはそういう上場会社とそれ以外で、2つの開示の仕組みができてくるということで、そうした制度を維持していくということのコスト等もありますので、そうしたことを考慮して将来的にそこの上場会社以外の会社の扱いをどうしていくかということについては、引き続き検討していくことが必要となろうということがあわせて指摘されているところであります。

○根本委員

ありがとうございます。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、島崎委員、そして斎藤委員、お願いします。

○島崎委員

2、3意見と質問をさせて頂きますけれども、まず1ページ目のこの四半期開示の意義と現状というところについては、まさにこのとおりであろうかなと思います。投資家に対しての、その企業業績を適時、迅速に開示するということに加えて、やはりこの企業内においての経営管理に資すると、これ非常にやはり、実際に企業経営者としてこれがラインになってきているのかなと、かつやはり最近の商品市況などの動向見てもわかるように、非常に短期的に短期間でやはり企業業績が動くということで、そういう意味からも四半期開示を適時、迅速に開示していくということで、45日以内というあたりも納得性が高いのかなと思います。

一方では、そういうことで従来よりも早めに、かつ内容も、この開示の内容を見ますと、かなり充実した内容になっていまして、例えばセグメント情報ですとかキャッシュ・フロー等々まで開示するということなりますので、そういうことからしますとやはり開示の重複性等々、スクラップ・アンド・ビルドのようなこともやはり考えて頂く必要があるのかなと思います。

今、ちょっと先ほど岩原先生からお話ありましたが、四半期開示制度の方に統一していく場合に半期報告制度をどうするかというときに、ある期間はラップするのかラップしないのかと、例えばこの今の半期報告制度を残しながらこの四半期、第2四半期、第3四半期、第4四半期には、第1四半期と第3四半期ですね、にはこの制度を導入するとなると、ある期間この今の半期報告制度がこうラップするようなことになりますけれども、それの問題とどう考えるのかということと、それから単体決算の有用性については、先ほど先生の方からも、アナリスト等が非常に有用であるというお話であるということですが、私どももいろいろアナリストとか個人の投資家あるいは外人の投資家等ともいろいろディスカッション多いのですが、まずその単体決算についてはあまりそういう議論になっていない、企業のサイドからいっても、期末において配当計算どうするというと当然そういうことで、半期の決算書等をつくって検討するわけですけれども、本当にその投資家の情報として半期のいわゆる単体決算というのはどれだけ有用なのかどうかというあたりについて、もう少し議論を深めて頂く必要があるのかなという感じが私はしております。

それから、あと開示のこのレビューのところなのですが、公認会計士ないしは監査法人のレビューを受けると、これもそのとおりだと思うのですけれども、今のこの日本の監査法人なり公認会計士の陣容からいってどこまでそういう対応ができるのかと、今内部統制の関連においても会計士なり監査法人がある程度その評価をしていくと、場合によっては監査レビューをするというような議論もありますし、先般アメリカへ行っていろいろ議論をしていたら、最近非常にアメリカにおいて会計専門家の需給がタイトで逼迫しているというようなことも聞いているわけですが、こういうようなことを四半期で本当やっているときに対応がどの程度できるのか、そういう後の議論をされているのかどうか、されておればそのような話を伺いたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございます。

いかがでしょうか。

○岩原WG座長

どうもいろいろご質問ありがとうございます。

まず、一番最初にご指摘のありました四半期開示の報告、四半期開示をするようになることによって従来の半期報告等々の重複ですね、それを整理する必要があるのではないかというご指摘でございますが、まさにその点が最大の議論の焦点になったところでございまして、特に企業サイドの方から従来の半期報告のためのいろいろな開示の負担に加えて、さらにその上に四半期の開示の負担が重なるということは大変負担が重いし、さらにむだな部分が出てくるというご指摘ございました。

一方で、開示の充実を求めるサイドからは、特に一部の委員からは、本来半期報告の制度は非常に有用な制度なので、それを残しながら四半期の導入という、そういうご意見もあったところでありますが、ただ、だんだん調整を進めることによりまして、この報告書にございますように半期報告と四半期報告は実際何が違うかという点でみますと、大きく分けると2つ。

1つはまさに情報内容、先ほど根本委員からご指摘のあった情報内容の点、もう1つが監査の手続が異なるという点でございまして、その情報内容につきまして先ほど根本委員のご質問にお答えしましたように、基本的には従来の半期報告書が海外等における四半期報告書で提供していない内容の情報を提供していて、それがどうしても日本にとっては必要なものならむしろ四半期報告の中にそれを取り入れていくという、つまり四半期の中の第2四半期についてはそういった情報を例えば残すというような方向で整理することではどうかということになったわけでございます。無論、不必要な部分はなるべくその整理していくことは当然のことであります。

もう1つの監査の方でございますが、これについても従来のその半期報告の場合の監査、監査と呼ぶか実は検証と呼ぶか、いろんな言葉の違いの議論もあったのですけれども、それは大事ではないかというご指摘もあったわけでありますが、結局その四半期報告のレビュー、先ほど池田参事官からお話のありました、レビューをする前提としての内部統制の体制がきちんとできればそれをもとにレビューをしていくということで、半期の場合についてもそれでやっていけるのではないかということで大体ご了解ができまして、まずきちんとした内部統制の仕組みができることを前提に、それを確認した上で、それができたら半期を含めてレビューでやっていくということで統一、それによって重複を避けるという方向で大体ご議論ができたと思います。

問題は、島崎委員が先ほど最後の方でご指摘のありました、本当にそれでは内部統制の仕組みが実効的にきちんとできるかというところでありまして、これにつきましては、企業会計審議会の内部統制部会でただいまご議論をしておりまして、その中で大体今後詰めていくと、かなり方向性が見えてきたように思っておりますけれども、そこの方できちんとした日本の現在の公認会計士等の監査の実情を踏まえて、きちんとした体制ができるということが確認できたらそちらの方に移ると、それを前提にレビューの手続に移っていくということを考えてのところであります。

レビューにおける公認会計士の体制は、まさに今の内部企業会計審の方で検討していることでありますが、半期における単体情報、これについてはアナリストその他、いわば利用者側の委員の方はむしろかなり重要だというご指摘が、ディスクロージャー・ワーキングではございました。ただ、それでは永遠に、では単体情報残さなければならないのかと、それも議論をいたしまして、その点については先ほどの報告書にございましたように、特にこの報告書の例えば6ページのマル1にございますように、ある程度連結におけるセグメント情報等を充実していけば、あるいは将来単体の情報というのは整理することも可能になってくるかもしれない、そういうことも含めて今後検討するということでございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

○島崎委員

ちょっとよろしいですか。

○神田部会長

はい、どうぞ。

○島崎委員

よくわかりました。それで私、この四半期の開示制度で、セグメント情報を充実させるということは非常に結構なことだと思います。そうすることによって、かなりの企業の中のこの情報というのが開示されてくると、かつ恐らく連結対象会社の重要な子会社、関連会社の情報も同時に個別情報として開示されていくということになったときに、アナリストが単体の情報で何を知り何を分析するのかというのは、私はよく理解できないところがあるわけです。私はセグメント情報に相当詳細なものが出てくれば、その企業がどういう方向に行っているのか、いう等々についての分析評価というのは十分できるのではないかなというのが、私は思っているところでございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

斎藤先生、どうぞ。

○斎藤委員

私自身もディスクロージャー・ワーキング・グループのメンバーでありまして、欠席がちでしたが審議に参加しておりますので、基本的には特段申し上げることはないのですけれども、5ページに「四半期財務諸表の作成基準について、(財)財務会計基準機構・企業会計基準委員会においてすみやかに策定作業が進められるよう要請したい。」とございまして、これを受け取る側の立場としては少し人格を使い分けなければいけませんので、多少コメントをさせて頂きたいと思います。

この問題は金融審で審議をして、その上で証券取引法の制度として四半期開示を整備するということになったわけでありますので、そこでの基本方針を受けて企業会計基準委員会で会計基準の検討に入るというのが筋だろうと思うのですね。その場合の最大の問題点というのは、先ほど来議論されていますように、現存する半期の報告制度と、新しく導入しようとする四半期の開示制度の関係でありまして、この両者はご議論のように情報内容においても、それから監査の面においても、考え方が違っていて両立は難しい制度なのですね。基本方針としては、半期を将来的には廃止して四半期に統一するという方向は出ていますけれども、他方では依然として現在の半期報告制度における開示が後退しないようにという留保条件が明確に決められておりまして、やや中身が不明確だと思います。この場においても根本委員、島崎委員のご発言にございますように、依然としてこの辺はあいまいなままに検討しなければいけない状況になっています。私どもとしては、あいまいなままでそちらで検討してご覧なさい、その結果をどうするかはこちらで判断しますと言われても、ちょっと簡単には引き受けられない問題でございまして、これをスムーズに引き受けることができるように、もう少し事務局と議論を詰める作業をお願いしたいと考えております。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、今野委員、どうぞ。

○今野委員

今回のこれは、半期報告制度にしても、四半期開示にしても、公開企業に対することなので当面関係はないのかもしれませんが、こういうことは当然投資家という立場から見れば、少しでも詳しく、万全の体制をつくっておいて頂くにこしたことはないと思います。然し、もう一方、これから公開を目指すベンチャーやニュービジネスの立場から見た場合、公開を目指す時点でご存じのように大変なコスト増にチャレンジして、それを何とかクリアして公開していくわけなのですけれども、その公開した後、今度はこういう制度に取り組むことで、例えば企業活力とか、エネルギーロスにつながってしまわないような、そういう細やかな配慮というものもなされているのでしょうか。投資家保護が大切なのは言うまでもありませんが、そのために高負担高コストで企業の発展に影響を及ぼすとしたら、投資家にとっても必ずしもいいことではない。その辺お聞かせいただければ。

○神田部会長

ありがとうございます。岩原先生、どうでしょうか。

○岩原WG座長

まさにこういった四半期を制度等導入することによるコスト負担ということが、特に発行サイドのワーキング・グループの委員の方から大変いろいろご懸念等ご指摘があって、先ほど四半期との調整等を含めて、可能な限り、無論その不必要なコストはなるべく抑えるのは当然のことでございますので、そういう点については、かなり精力的に検討したところでございます。ただ実際、上場会社についていえば、既に現在のこういう法律がないもとにおいても、既に90%ぐらいの企業が、むしろ自発的に進んでこういう四半期の情報を開示されているわけでありまして、実際その公開企業になって、そういう市場での資金調達等を行われるようになればむしろマーケット自体がそういうことを求めてくることになりますので、それはやはり公開企業になった以上はそういう最低限のことは、やはりどうしても必要なのかなというふうに理解しています。

○神田部会長

よろしいですか。よろしゅうございますでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。はいどうぞ、お願いします。

○古市委員

考え方は、ここにあるとおりかと考えます。法制化に当たって大変ご苦労があったと思いますが、我々がこれまである意味で享受していた、四半期開示の適時性だとか、迅速性といったところのメリットを失わないような形で、具体的な法制について先ほど来、半期報告との統一とその是非といったこともありましたけれども、その辺はぜひともよろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか、そろそろ次に進ませて頂いてもよろしゅうございますでしょうか。

大変貴重なご意見をたくさん頂きましてありがとうございました。そこで今ご報告頂きましたワーキングの方のご報告ですけれども、この部会の方のこの後ご審議頂きます報告ですね、こちらの方も今の特にディスクロージャー部分につきましては、本日ご報告頂きましたワーキング・グループの方の報告を踏まえて加筆が必要になると思いますので、ちょっとそこは調整させて頂いて、第一部会の方の報告書の改訂版につきましては次回お示しをして、ここでご審議を頂くということにさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは続きまして、前回の続きということになりますが、「中間整理(議論のたたき台)」についてのご審議をお願い頂きます。まず、前回頂きましたご意見を踏まえまして、修正させていただいた部分について事務局からのご説明をお願いします。

○大森市場課長

私どもの事務年度で今日と、来週7日の2回、お願いしておりまして、あと2回の議論でおおむね方向感がまとまる事項はそれに沿って立法作業に入りますし、まとまらない事項やまだあまり意見を頂いていない事項は、次の事務年度で引き続き議論をお願いするということでございます。

元来、条文レベルというよりは、基本的考え方の議論が行われてきましたので、また立法作業に入りますと改めてご意見を伺わねばならないことがたくさん出てくると思います。

また、投資サービス法ということで始めました議論が、途中から国民への販売・勧誘ルールについては、預金、保険を含むすべての金融商品に拡大、広げ得るということになり、今日からご参加の委員もおられるように拡大部会という形になりましたので、文章のある部分は金融商品全体を展望しており、ある部分は投資商品が前提になっているという、いささかすっきりしない形になっておりますが、事務年度内に整理できるところまで整理するというこの作文の性質上、ご容赦頂きたいと存じます。

前回はローマ数字の II 、規制内容の途中まででございましたが、そこまでについてもかなりご意見を頂きましたので、作文に反映させたところを簡単に紹介して議論の続きをお願いしたいと思います。

3ページにご提案のあったイギリスの金融サービス市場法の4つの基本理念を掲げておりまして、いずれも当たり前のことですけれども、前回受託者責任について基本の基本を理想論といっているようではという池尾先生の文章を、ご本人がおられないところで勝手に紹介させて頂きましたが、日本ほど法律のすき間を縫って、あまり真っ当といえそうにない金集めが横行している先進国もめずらしいのではないかというところがこの議論の出発点ですから、こういった基本理念の確認も大切なのだと思います。

5ページに先ほど申し上げました金融サービス市場法への展望と、当面決めねばならないのが投資サービス法の投資商品の定義であるということが、両方書いてでございます。前回この投資商品につき、既存の投資関連法制を足し合わせていくだけではあまりにごたごたしてしまうので、性質の違うものが、同じものは概念をくくりし直すことにより、制度としてすっきりするのではないかと申し上げました。大くくりの定義の仕方はこれまでも何度も議論がありまして、なるべく包括的にカバーする一方、不都合があるものは機動的に適応を除外するし、包括的とは言いながらカバーされていなければ機動的に追加するというのが一般論でございます。

5ページから6ページにかけて、いただいたご意見が両立するように、やや苦心の作文をしておりますけれども、いずれにせよ前回の投資商品を具体的に示している別紙が簡単すぎるというご指摘もありましたので、もう少し具体的にということでおつけしたのが本日の別紙、後ろから4ページ分でございます。下線を付した投資商品が、現行証取法に追加になるものでございます。

マル1マル2はいいですね。マル3は社債並びの金銭債権の社債に類似する貸付です。シンジケートローンの出し手も今や投資家と呼ばれておりますし、貸し出し債権市場で流通することが想定され、その貸し出し債権市場が拡大することが逆にシンジケートローンを組成しやすくなる裏腹の関係にございます。

マル4は、株式並びの法人への出資持分で、配当のみならず残余財産の配分もリターンとしてとらえ、有限責任中間法人も対象として想定しております。

マル5は、本文にもありますように、銀行貸付債権の信託受益権はみなし有価証券ですが、これをさらに信託した受益権は扱い業者もディスクロージャー規制も異なるというのが現状ですので、信託受益権一般を投資サービス法上の投資商品とすべきではないかということです。

マル6は、ファンドの一般規定で前回申しましたように、アメリカ法の投資契約に相当するバスケット・クローズを含んでおります。ただ、本来の組合といいますか、拠出者の全員が事業運営に日常的に関与している場合などは、投資スキームとは言いがたいので、適用を除外する必要があろうということでございます。これは、先般成立しました日本版LLPにおいても同じ構図になると考えておりますが、日常的に関与というのは具体的にどの程度の関与なのだというふうに詰めていきますと、また例によって制度が細かくなってまいります。バスケット・クローズが集団投資スキームだけでいいのかという前回の黒沼先生の指摘については、確かに信託受益権は拠出者ないし受益者が1人ということもあり得ますし、1対1の投資を対象外にしますと脱法的なスキームとして使われることもいかにもありそうだということで、単独投資スキームも投資商品として位置づけるべきではないかとしております。

マル8は、投資商品を確保した商品で、共有持分と預託された投資商品に基づく権利とオプションの3つを想定しております。

マル9はいいですね。

マル10は、マル6マル7と集団投資スキームまたは単独投資スキーム、いずれのバスケット・クローズでも読めないものがあれば追加するという趣旨ですが、現時点で具体的に想定しているものはございません。

マル11以降は、具体的な中身の議論というのは、今回の中間整理後の課題であろうということでございます。

以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。前回一通りご意見をいただいた部分について、今回バージョンアップさせていただいたもののご説明を頂きました。

そこで、今日の残りの時間の過ごし方なのですけれども、まず今ご説明いただいた部分について、やはりさらにご意見がおありの皆様方がいらっしゃると思いますので、それをまずやらせて頂きます。それから後、後半というのでしょうか、ページ数で申しますと、バージョンアップでちょっとページがずれているわけですが、13ページの恐らく下の論点のあたりからだと思いますので、このあたりから最後までについて、特にこの事務局の方で文書を書くに当たってさらにご審議を頂きたいとして、掲げて頂いています論点を中心に、しかしそれに限定はいたしませんので、ご意見を頂くということにして、今日は何とか最後までこぎつけたいと思います。そうすると、今日頂きましたご意見を入れたものを次回ご審議頂くということで、やれるところまでやって報告書ができ上がらないと困るのですけれども、そういうことで考えておりますので、ひとつどうぞよろしくお願い申し上げます。

ということで、今大森課長からご説明頂きました前回からの修正部分、具体的にはですから13ページの前ぐらいまでになろうかと思いますが、別紙を含めまして、ご意見、ご質問ございましたら頂きたいと思います。いかがでしょうか。

原委員、どうぞ。

○原委員

2点です。1時間ですべて終わるということなので簡潔に。

1つは、3ページにイギリスの考え方を入れていただき大変ありがとうございます。その意味から言うと、10ページに規制内容の基本認識の3つのうち一番最後が、「必要な規制の追加を行う」となっていたのが、「見直し」では何か逆に弱くなったのではないかというのが1点です。

それから、大森さんの言葉じりをとらえて大変恐縮なのですが、説明の中で国民への販売・勧誘においてはすべてを取り組むということで、保険とか銀行を含むという、そういう趣旨のご発言だったのですが、従前出されているのは販売・勧誘ルール等というふうになっておりますし、私ども消費者としては、販売・勧誘ルールだけにとどまらず、消費者との接点を持つ部分、これは契約締結後においても、それから苦情相談、それから裁判外の紛争処理の仕組みそして制裁とかエンフォースメントの部分、それから教育の部分とすべてかかわってくると思いますので、販売・勧誘ルールだけに限定した検討ではなく広げて頂きたい。意見ということでお願いします。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

高橋(厚)委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

今、原先生が指摘された必要な規制の見直しについては、確かに前のバージョンでは「追加」となっていまして、これは非常に原則的なことだと思いますけれども、投資家保護の強化のため規制を追加するといった前提で書くのは適切ではないとの私の意見が反映された修文かと思います。投資家保護を強化するということは大事なことだと思いますが、どんどん規制を追加するということが投資家の保護にはつながらないと重ねて思いますので申し上げておきたいと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

市川さん、どうぞ。

○市川経産省産業資金課長

ありがとうございます。オブザーバーでございます、経済産業省の産業資金課長でございます。先ほど大森課長からご説明あった、とりわけ別紙の部分、あるいはやや全般に及ぶところもございますけれども、今まで委員の皆様の熱心なご討議をお伺いさせていただいておりましたが、中間的な整理ということもございますので、少々意見を述べさせていただければと思います。

経済産業省といたしましても、企業の資金調達の円滑化という観点から見まして、投資サービス法制は今後の企業の事業活動を支える重要なインフラであり、適切な法規制がされることが重要であると、これを基本的な考え方としております。投資家保護ルールの適正化を通して、信頼できる市場を構築することによりまして、我が国の金融資本市場を活性化するということを期待しております。

そうした面から、この今回の中間整理案を拝見しているわけでございますが、一般投資家との取引につきましては、投資家保護規定を充実するということをされているわけでございますが、一方でプロ同士の取引につきまして、取引の円滑化を図る観点から参入規制ですとか兼業規制などについての規制緩和を推進するとされておりまして、投資家の特性に応じた柔軟なルールとするということで我が国市場、経済活動の活性化が図れるものになるだろうと考えております。

もちろん、先ほど来ご議論ございますが、中間整理案は基本的な理念を整理したものということでございますので、経済界の方からどう見えるか、具体的にその規制の対象がどの範囲で、どのような場合にどういう規制が置かれるか、今ほどもお話ございましたが、どの点の規制が緩和されるのかと、こういった点もまだまだこの範囲でわからない点も多いと思っておりまして、これからの議論が必要ではないかと考えているところでございます。

また、先ほど大森課長からご説明頂きまして若干明確になりましたけれども、別紙にある、この投資サービス法の対象範囲についての考え方でございますが、今後議論が深められるということでございますけれども、本来の投資家保護の観点から見ても、非常に広範な取引を新たに規制対象に加えようとされておりまして、健全な企業の資金調達などに大きな影響が出るのではないかと、こういう懸念がございます。

今後、具体的にどこまでを規制の対象とすることが、我が国金融資本市場にとりまして望ましいかということは、経済実態などを踏まえながらより詳細に検討して頂く必要があるのではないかと考えております。

具体的に申し上げますと、アセット・バックト・ローン、ABLあるいはシンジケート・ローンがございますが、これらは投資サービス法の対象とされるかという記載が今回初めて登場したわけでございますけれども、そのような規制を新たに課す理由があるのか、あるいは現在投資家保護の観点からいかなる問題が存在しているのかについて、これらのローンが産業金融の機能強化に果たしてきた役割、あるいはこれから果たすであろう役割、こういうことを十分に踏まえて慎重にご議論頂くことが必要ではないかと考えております。

あるいはまた、集団投資スキーム、これは本来今日の後半の議論かと存じますが、これについて新たに届出とか登録、あるいは資産管理運用者の資格要件といった義務が課されるとされておりますけれども、その対象にLPSなどの様々なファンドが含まれるような記載となっております。しかし、その出資者が複数、複数というのは2人以上という意味だと思いますが、複数名であれば届出、登録などの規制がかかるというのは、明らかに過剰にすぎるのではないかという懸念も有しております。

また、今回の中間整理案では、株式会社の形式で出資を募って事業を営んだ場合には、集団投資スキームに係る届出、登録などの規制はかからないにもかかわらず、組合などの形式をとった場合には、そういった様々な規制がかかるというように整理されていることにつきまして、規制の実際的な必要性や、あるいは理論的にどのような理由でこういう整理になるのかということにつきまして、もう少しご議論が必要ではないかと考えております。

先ほどお話がございましたが、今般法律が成立いたしましたLLPにつきましても、そもそも所有と経営が一致している組織において、いわば株式会社の取締役のような存在に対します投資家保護ということで、これはいかなるものかといった議論もあるわけでございます。こうした点も含めまして、集団投資スキームの定義につきまして、実態を十分に踏まえて、慎重なご議論がいただけないかと考えております。

具体的には、ファンドの組成運用につきまして実態調査、あるいはヒアリングを行うことなどによりまして、その規制対象の実態を詳細に把握することが市場実態を反映した柔軟かつ実効的な法制度とする上で重要ではないかと考えている次第でございます。もちろん、こういった観点から我々経済産業省といたしましても、このご検討に貢献してまいりたいと考えておる次第でございます。

もちろん、そのいわゆるファンドにつきましては、この審議の中で色々お話がございますが、投資家保護のために規制強化を図る必要がある場合があるということは認識してございます。ただ一方で、多くのベンチャー企業あるいは中小企業の成長資金を供給しているベンチャーファンド、あるいは事業再生を通じまして地域経済の活性化に貢献しております再生ファンドといったものが多数あるわけでございます。

こういった我が国経済の活性化に貢献している健全な金融サービスにつきまして、実態を踏まえた規制内容とすることは必要だろうという考えでございます。企業の資金調達の円滑化という観点から、当省におきましても、こういったユーザーサイドであるベンチャー企業、あるいは再生企業のニーズを踏まえながら、まさに部会長のおっしゃる規制の柔構造化、あるいは規制の適用の明確化につきまして検討を進めてまいりたいという考え方でございます。

また、商品ファンドにつきましても、商品分野への円滑な資金供給の観点から検討することも重要であると考えておりまして、現状における事業の実態などを踏まえまして、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

長くて恐縮でございますが、最後になりますけれども、投資サービス法の趣旨が投資家保護と市場機能の強化ということでありまして、我々といたしましても極めて重要なものであると認識しているということは改めて強調しておきたいと考えております。金融資本市場を利用する我が国企業の資金調達の円滑化につきましても十分にご配慮頂くということが、まさにこういった法制の目的にかなうと考えておりますので、こういったユーザーサイドの声を十分に踏まえた、実効性のある法制にして頂きたいということを期待しているところでございます。

以上でございます。ありがとうございました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

どうぞ、それでは続いてお願いします。

○宮本経産省商務課長

恐れ入ります。同じく経済省の商務課長の宮本でございます。同様にオブザーバーで参加させて頂いておりまして、以前にも一度発言させて頂きました。本来、後ほど、集団投資スキームの議論まで終わった段階で発言すべきかと思いましたが、ただいま産業資金課長の発言もありましたし、それに関連する部分ありますし、後で一人で発言するのも寂しいので、一緒に発言させて頂きたいと思います。また、大森課長のご配慮で特にその商品先物、商品ファンドについて、目立つ形で論点として挙げて頂いておりますので、この点について一言のみコメントをさせて頂きたいと思います。そういう趣旨で、若干、市川産業資金課長の発言と重複する部分もあるかと思いますが、できるだけ簡潔にしますので、ご容赦頂きたいと思います。

まず最初に、商品先物についてコメントをさせて頂きます。

まず、私どもとしましても商品先物がその他のどの投資商品や金融商品と全く類似性のない異質なものと言うつもりはもちろんございません。ただ、現物の受け渡しに代表されるように、他の金融商品にない、モノの取引としての要素が大きく、現在こうした特性を踏まえた規制体系になっているということも、これまた事実であります。この点については、以前の審議会の場におきまして神田部会長からも同趣旨のご発言があったように記憶しております。

なお、同様の観点で、仮に現在上場されていない商品、あるいは上場できない商品についても、もし実物経済との関係でヘッジニーズが存在し、それが市場を活用できるということであれば、商品取引市場の機能の活用が図られることが適切かとは思っております。

また、投資サービス法の目的の1つとして挙げられております投資家保護につきましても、繰り返しになりますが、本年5月に施行された改正商品取引所法において、他に例を見ないほどの具体的な適合性原則を掲げ、これと併せ、再勧誘禁止等の勧誘規制の強化が図られたところでありまして、現在既にその効果がかなり発揮されつつあるところであります。また、その執行面におきましても、改正法施行を機に検査体制を大幅に拡充した結果、昨今も幾つか見られるような厳しい内容の行政処分につながっているところと認識しております。

今後、商品市場としても、もちろん実物経済との関係で存在するリスクのヘッジニーズ機能を十分に発揮する、その結果、産業インフラ機能を高めていく必要があるわけですが、その際、現時点で必ずしも姿が明確になっていない別体系の規制に直ちに移行するということが望ましいと判断するのはなかなか正直言って難しい状況にあるかと思っております。こういう観点から商品先物につきましては、少なくとも現時点においては施行されたばかりの改正商品取引所法の効果、それから今ご議論されております投資サービス法の姿やその執行などについて、当面見きわめることが必要ではないかと考えている次第であります。

続きまして、商品ファンドあるいは集団投資スキームについてコメントさせて頂きます。本来後ほどと思ったのですが、ご容赦ください。集団投資スキームにつきましては、先ほどの市川産業資金課長の発言にもありましたとおり、その概念については今後さらに議論をして頂く必要があるようでございますが、現に規制がなくて問題が生じている集団投資スキームについて、何らかの投資家保護措置が必要であること、これは十分、当然理解されるところであります。また、我々としては適切に規制されていると思っております商品ファンドにつきましても、先ほど申し上げた商品先物とは異なって原債権との関係が間接的であることなど、他の金融商品としての類似性が高い点もございますし、また、これは恐らく投資信託も含めて自由なファンド設計への投資家のニーズも高まっていること、これも事実かと思っております。

現時点では、やはり先ほどの市川産業資金課長の発言にもありましたとおり、集団投資スキームの具体的な規制のあり方については、この中間整理の性格上仕方ないことでございますが、不明な点が多くあるようでございます。中間整理においては、なぜか代表的な集団投資スキームであります投資信託法についてだけ投資サービスとは別に特別法で残すというふうに具体的に記述がありますが、その他の点については今後の議論にゆだねられておるようでありまして、その議論の中で商品ファンド、集団投資スキームの中に位置づけるか否か、仮に位置づける場合にはどのような形で位置づけるのか、こうした議論が必要になってくるかと思っております。

なお、こうした議論を行うに当たっては、例えば中間整理で言われているファンドの内容に応じた柔軟性、これについて商品ファンドの実態や特性を踏まえた規制や、あるいは規制緩和が図られるのか、またこれまで特段問題がなく実行されてきた商品ファンド事業の継続が突然困難になるようなことはないのか、それから商品ファンドの運用先となる商品市場との整合性がとれているのかどうか、こうした観点が十分反映されることが必要と考えております。

このため、今後検討が進められる中で、こうした点が十分踏まえられ、神田部会長が以前言われたような好かれる投資サービス法制、言われている意味が若干違うのかもしれませんけれども、好かれる投資サービス法制になることを強く期待しているところであります。

すみません、ちょっと発言の場が早すぎたかもしれませんが、関連ということで発言をさせて頂きました。どうもありがとうございました。

○神田部会長

ありがとうございました。市川課長のご発言と関連したと思いますので、今ご発言いただいたのはよかったと思います。ありがとうございます。

どういたしましょうか。ご一緒にもしご発言があればお隣のお二方もご発言されますか、あるいはよろしゅうございますでしょうか。

○菅井国交省不動産市場整備室長

国土交通省でございますが、当方は不動産の関係でございます。特に不動産特定共同事業法というものを金融庁さんと共管で持っていると、こういうことでございます。集団投資スキームのところでやはり経済産業省さんと同様の問題意識を持っております。やはり、商品の特性があるものですから、それに応じた必要でかつ十分な規制の体系、今それなりに十分なものになっているのではないかと、こう認識しております。不動産、非常に個別性が高いものですから、ある意味ではしつこく不動産のその特性なり、投資しようとする不動産、物件のテナントは大体どんな人間が入っていて、ちゃんと賃料払っているのかと、そういったことまで説明を義務づけていると、そういう意味でかなり特殊性のある分野だと思います。そういったものが投資サービス法という体系の中になじんでいくのかどうなのか、そういったことをまさに中間整理の後議論を深めていくと、そういうことが必要だろうと思っております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。田辺さん、いかがでしょうか。

○田辺農水省商品取引監理官

すみません、農水省の商品取引監理官をやっております田辺と申します。

先ほど、宮本商務課長から申し上げたお話と基本的に私ども同じ認識を持っているということでございます。長くなってもあれでございますので繰り返しは避けたいと思っておりますけれども、商品先物取引につきましては、あくまでその物の流通に関する制度とこういうことで、制度の目的なりその規制の体系が基本的には作られていると。もちろん投資という側面がないわけではないのですけれども、そういったその制度の目的なり規制のあり方と、こういうことを十分踏まえた上で議論して頂く必要があるのではなかろうかというふうに考えております。

特に農産物につきましては、いろんなその需給なり価格の安定のための政策というのがとられておりまして、実際商品市場のあり方を考えていく際に当たりましても、そういった政策との整合性ですとか、そういった分が大変問題になってまいりますし、あるいは市場管理、そういった面でもそういう実際の物の流通の状況、価格計算の状況と、そういったものに非常に密接に関連をしているということでございます。そういったことでございますので、今時点でその投資サービス法という、証券取引法を基礎にされた形で別体系の法律に移管をすぐする必要があるというふうな判断はしてないと、こういうことでございます。

投資家保護につきましては、経産省と一緒にやっているところでございます。先ほど宮本商務課長の方からご説明があったところと同じような方向で取り組みを進めているということでございます。

商品ファンドにつきましても同様の認識を持っております。その点につきましては改めてお話をするとあれかもしれませんけれども、商品ファンドの中でも一般の金融商品としての先物取引で運用されるファンドもございますけれども、それ以外に現物で運用しているファンドというのもございまして、そういったいろんなファンドがございますので、そういうファンドの実態というのを十分踏まえた上でご議論いただければありがたいというふうに思っております。

以上でございます。どうもありがとうございました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、ほかにいかがでしょうか。

先ほど、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

今ちょうど、各省から相次いでお話があったので、この衝撃が大きすぎるのかもわかりませんけれども、今の時点でご関係の方々からのそのようなお話があることについて、予想はされているのかもわかりませんけれども、私たちは若干のショックを受けております。そういう意味では、この中間整理の最初のところのトーンがちょっと弱すぎるのかなというような気もしたりしていて、今から修文は難しいのかもわかりませんけれども、繰り返しかもわかりませんけれども、そのいろんな商品にあるいはその取引について特性があることの、これはもう大前提だろうと思うのですね、だけれどもまさにおっしゃっているその資金の流れ、これ産業金融の方もそうですし、家計の方もそうですし、そういうお金の流れから見れば同じものはなるべく同じように扱うということがこの議論の当初のスタートであり、あるいは中間取りまとめのあの結果ではないかというふうに強く思います。そういう意味で、大変お言葉ではありますけれども、ローンと名前がつくからここに入れるべきでないというふうにおっしゃったわけではないと思いますけれども、そもそもこの別紙に載るべきでないというような発想にはなかなかならないのではないかというふうに思います。もともと詭弁かもわかりませんが、普通の株式、あるいは社債について言っても、その事業をやっておられることは、物をつくっておられる会社もありますし、それからサービスをやっておられる会社もあるわけですし、多種多様であるわけで、それを前提に、まさにその資金の出し手の方からはご努力、どこが正しいかということで、その横並びで見ていくときに比較をきちっとして、それで情報をちゃんと分析して自分の資金は出していくと、そういうことを横並びにして欲しいということなのですね。たまたまこの席がこういうふうになっているからかもわかりませんけれども、そう意味でいうと皆さん方同じ側に並んでおられるわけで、ここは何も今までの法律が不十分であると、私は商品ファンドの中で言ってしまっていますのであれなのですけれども、というよりも谷間に落ちるところがまずい、あるいは不整合のところがまずいということを言っているので、ぜひそこは俎上に上って頂いて、その上でのもちろんすり合わせなり、あるいはそれこそ商品の特性取引に応じた細目あると思いますけれども、そういう観点でご発言があったというふうに私は受け止めればいいのですかね、ということなのです。

○神田部会長

ありがとうございました。

ちょっとほかにも手を挙げておられる委員の方がいらっしゃいますが……。では原委員、どうぞ。

○原委員

30秒だけですが、物の取引、特殊性をおっしゃられたのですが、一般の消費者から見れば同じように売り込まれている点では非常に同一性を感じております。日本のこういった商品先物、ファンド市場ほど一般の消費者を市場に駆り出しているところはないわけで、そのためにこの5月の法改正もおやりになったのだと思いますので、さらに一歩進めて、金融サービス市場法の枠組みの中に入ってきて頂きたいと思います。5月の結果を見たいということですけれども、既に消費者センターには苦情が寄せられている状況にあります。

○神田部会長

ほかにいかかでしょうか。

木村委員、どうぞ。

○木村委員

私はあまり新聞記事を信用しない口なのですけれども、その各省庁の足並みの乱れが目立ってきたとか、監督権限をめぐる対立とか、いろんなことが書いてあったのですけれども、今の各省庁のご発言を見ていると、なんかこれも本当かなというふうに信じざるを得ないなという感じがしております。

基本的には、やはり当初のその本来の目的であります消費者なり投資家の保護といったところに見据えて、そういう権限はどこであってもいいわけでありますので、ただ、ある商品サービスでは販売・勧誘のところできちっとされていると、ところが隣では好き放題やられているというのではやっぱり好ましくないということなので、そういうことでその商品サービスの特性はあると思いますけれども、それは十分見極めた上でスキームをつくって頂きたいというふうに思っております。

○神田部会長

ありがとうございました。それでは、川本委員、どうぞ。

○川本委員

すみません、今日から参加させていただいたので、恐縮ですがひどく基本的なことを伺わせて頂きます。私は個人的には投資サービス法は非常に時代にかなったものだと思っております。6ページの下のところの下から3行目に「規制の簡素化・明確化」あるいは「自由度の拡大を図る」ということが「利用者利便の向上につながる」と書かれておられて、次のページ7ページ目に「銀行法や保険業法について、その投資サービス法と一元化することについて検討を行うべきである。」と述べられておられて、これについて報告書の中で具体的な記述があるのか、ない場合は今後どういうような形で具体化なさっていらっしゃるのか、その辺を少しお聞かせ願えればと思います。

○大森市場課長

まさに、連休前に今後、今、川本さんが引用されたような方向で検討を進めていってはどうかという提案をさせていただいた結果、川本さんにも参加して頂いているという、そういう展開になっているわけでありまして、その投資商品なり、それを提供する投資サービス業というものをこれまでずっと中身を検討してきたところでして、預金、保険の販売・勧誘等のルールというのはとりあえず今回の中間整理というのをまとめた後、中身に入っていく課題ではないかと考えております。

○神田部会長

よろしゅうございますでしょうか。

この辺は、今回は文章としては、この程度というところまでしか行けないと思うのですけれども、今後引き続きご審議をお願いしたいという趣旨でございます。

堀内先生、どうぞ。

○堀内委員

私も今日最初に参加したということで、ちょっととんちんかんな質問をすることになるかもしれませんが、全体としては、金融サービスに関する包括的な法制度を整備していくということについての必要性は全くそのとおりではないかというふうに思いまして、先ほど何人かの委員の方からご発言がありましたのを、私も基本的には賛成であります。金融の側面だけではないと思うのですけれども、この領域は特に、この分野は特に、機能の共通性をできるだけ幅広く認めて包括的にルールをつくっていくというのが、やはり大原則になるといったわけでありまして、そういう意味ではこういう方向での法制度の整備というのは、この分野だけに限らずされてくるのではないかというふうに私は思います。

それから、内容的にはほとんど異論がないというふうに言っていいと思うのですけれども、1点だけ自主規制機関の機能強化というところについて、ちょっと意見があるのですが、ここで指摘されております自主規制機関の機能についての重要性というところは基本的には賛成でありますが、問題は自主規制機関の存在が、これは潜在的な可能性としてある種のカルテルといいますか、そういうものに結びつくという、そういうことはあり得るわけですね。ですから、これは昔からそういうことは指摘されてきたわけですけれども、そういう点についての注意書きというか、そういうものが私はあってもいいのではないかという印象を持ちました。

それからもう1つは、先ほど前半部分でご議論があったのを、四半期の情報開示、これはこの報告書とどういう関係にありましたのですか、ちょっと僕見えなくなったので、これは全く別個のものだったのですか。

○神田部会長

私の理解では、今回は第一部会の報告書というのは、何て言うのでしょうか、多少抽象度の高い、理屈のレベルで取りまとめをさせて頂きたいと思っていますので、先ほど頂きましたディスクロージャー・ワーキングの方のご報告は、これまでもそうですけれども、具体的な提言でございますので、第一部会の報告の方では投資サービス法との議論との関係で、先ほどいただいた報告を踏まえて、同じ抽象度の高いというか、理屈の部分を書き足して頂くということにして、ワーキング・グループの報告書は今回はワーキング・グループの報告書として一緒にさせて頂くというか、恐らくそういう、ちょっとこれまでとやり方違うと思いますけれども、そういうふうになるのではないかと思っておりますけれども。

○堀内委員

では、あまり発言しない方がいいですかね。

○神田部会長

いえ、ぜひお願いします。

○堀内委員

では、蛇足になるかもしれませんけれども、岩原委員を初め、何人かの方々からご議論がありまして、それで伺っていた私の印象としては、確かに四半期情報ということが開示されることの意味というのはあり得るのだけれども、一方では、これは島崎委員がおっしゃったのではないかと思いますが、例えばアナリストの役割はどうなるのかと、意味がなくなるのではないかということをおっしゃったような気がしますね。それから、あるいは岩原さんは、市場で対応する部分もあるというふうにおっしゃって、つまり別の言い方をするとすごい情報の処理については、もちろん規制によっていろいろルールをつくっていくというインフラとしての重要性があるのだけれども、同時にマーケットの側で必要性に応じて対応していくという部分もあるわけなので、そういう意味では非常にリジッドなルールをあらかじめつくっていくということがいいかどうかということについては、やはりまだ検討する余地があるのではないかという気がいたしました。それは、皆さんのご発言の趣旨を私なりに、曲解かもしれませんが、解釈してみるとそういうインプリケーションがあるのではないかと思った次第です。蛇足です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかに、どうぞ淵田委員、それから和仁委員の順番でお願いします。

○淵田委員

先ほどの話に戻りますが、抽象度の高い話になりますけれども、金融商品というのは今どんどんシームレスになっておりまして、過去の経緯でいろいろ分かれていても、そこの間にアービトラージが働いていくわけであります。むしろそういう方向を促すことがマーケット全体の効率性を高めていくことになると思うのですね。例えば伝統的な貸し出しと伝統的な社債があり、今その間にシンジケートローンが拡大して貸出債権の流動性が高まり、参加者もヘッジファンドとか年金基金とか、普通の投資家になりつつあるという方向性が見えてきますし、そういうものにクレジットデリバティブのようなものも含めて、クレジットマーケット全体をシームレスなものにしましょうという動きが関係者の間で推進されているわけです、そういうことが望ましいと考えられているわけですね。

問題は、マーケットの関係者がさまざまな商品がシームレスになっていった方がいいと思っているのですが、規制の方が非常にディスクリートなものになってしまっているということだと思います。これは、アメリカでもそうでありまして、今シンジケートローンがローンか証券かどうかという話題が、結構ホットになっております。

アメリカでも、要するに証券法というのは嫌われているわけですね。なぜかというと、証券になった途端、シンジケートローンに開示規制だの業規制がかかる云々というのもありますが、それ以上に訴訟リスクが懸念されているわけです。証券法に基づく訴訟になって、和解金だ何だとなりますと大変な金額になってしまうということで、みんないかに証券にならないかという工夫をしてしまうわけですね。ちょっとした差で証券になるかならないかが左右され、それで規制環境が大きく違ってくるということは、ひょっとしたら経済実態はそんなに変わらないのに、片方は過小規制、片方は過剰規制になっているのかもしれないということがあります。アメリカのこうした現状も、本来あるべき姿では私はないと思いまして、日本で新しい法制を考えるのであれば、そういうディスクリートな規制環境にならないような工夫をしていかなくてはいけないと思います。

今回投資商品の範囲がかなり具体的に、またかつ基本理念も含めて示されたわけでありますが、かなり広範なのもになっているわけです。従って非常に厳しい規制環境になってしまうのではないかという懸念が生じてくるのは、アメリカの例を見てもやむを得ないのかもしれないと思っています。

重要なことは、やはり最初の商品に関する基本理念、あるいは具体的な項目がかなり明確に示されると同時に、10ページのこの規制内容の基本認識のところ、ここの認識が十分共有されることではないかと思うのですね。先ほど申したようなシームレスな規制環境にできるだけ近づけるように、10ページの3つのポツが並んでいますけれども、例えば「プロに対する規制緩和など」というところ、非常に簡単に紹介されているのですが、恐らくこの辺の方向性が十分と共有されれば、それほど大騒ぎすることもなくなるのかなというふうに感じております。

○神田部会長

ありがとうございました。

和仁委員どうぞ。

○和仁委員

すみません、私は前回から参加させて頂いていて理解できていない点が多いのですが、今回報告書を読ませて頂いてよくわからない点は、要するにイギリスの金融市場サービス法と同じものを日本でつくらなくてはいけないという思いに引きずられ過ぎではないかということです。金融市場サービス法というのはあくまでイギリスのシステムに基づいた制度ですので、果たしてこんな金融市場サービス法の話をいっぱい引く必要があるのかなという感じです。

それからもう1つは、経産省を初め皆様のご意見を伺っていると、金融商品販売法をつくったときと同じ議論になってしまったなと思います。金融商品販売法のときも横断的規制をかけようとして結局失敗したわけだと評価せざるを得ないわけですね。次に、上柳先生なんかもおっしゃる、投資サービス法等から落ちこぼれたところはどうするのだという議論がありましたけれども、金融商品販売法ができて以来、規制法が異なっても、リスク開示内容が詳しくなり、説明義務のところですき間が埋まるということが起こってきているということも事実です。だから横断的規制、シームレスな規制ができれば、それが一番いいのですけれども、やはり我々としてはそこのところでのすみ分けを無視できずこれは歴史があるものですから、簡単にけしからんとかいうことで批判するよりも、むしろそれを認識しつつどうやって同じレベルの規制を、協調の形でかけていけるのかということを念頭においてご協力をお願いしたいなと思います。

金融市場サービス法を見ましても、銀行、証券と保険、その他のものについて統一的に規制をかけていると言われますけれども、例えば保険のところなどは、かなり分離して、分厚い独特のルールを採用しています。無理やり一緒のルールをつくるとすると、逆に極めて味の薄い当たり前のことしか言っていないルールしかできないのではないかなという気がします。これについては、商品によって差があるという話が経産省の方からもございましたけれども、やはり金融庁が所管している商品の中でも差があるのではないかなと、その辺が私はよく見えないというのが感想です。

そして、最後もう1点申し上げたいのは、プロとアマを区別するのはいいのですが、アマの投資家の自己責任というのはいったい何なのか、これが全然読み取れないのですね。契約書をつくる、証券設計の法律面を担当する者として、いったいどこまで投資家に求めていいのかということが不明確です。基本理念で枠をつくるということはわかるけれども、ただ横断的規制をかけましょうというだけで終わっているような感じがして、イメージが沸かないのです。申しわけありません、私の理解力が悪いのかもしれません。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

池尾先生、どうぞ。

○池尾委員

今の和仁委員のご発言に関連してちょっと意見を述べたいのですが、私は最初から議論に参加しているのですが、ただ皆勤ではなくて、特に直近の議会に欠席してしまったので、その間に議論が済んでしまったのかもしれないのですが、最初に議論し始めたときに発言したという記憶があるのですが、ルールそのものの横断化、共通化ということと、そのルールをどういう形で実効していくか、あるいはそのエンフォースメントの体系をどういう形にするかというのは、必ずしもワンセットの問題ではなくて、ルール自体の横断化とそのエンフォースメントの体制のあり方という問題は、やや区別して議論すべき問題ではないかというふうなことを申し上げた記憶があるのですが、というのは正直率直に申し上げますと、今日のようなシナリオをその時点から危惧しておりまして、そこがルールの横断化イコール規制体制の統一化であるというふうに、リジットにというか、かなりかたい形で一体化してしまうと、エンフォースメントの体制の方の一体化ができないからルールそのものも一体ができないみたいな形で、一緒に流してしまうという話になりかねないというふうに思っておりまして、私は今の和仁委員もおっしゃっていましたけれども、実態的な意味でルールが共通化されていく、その水準がそろっていく、そしてできるだけ間にすき間ができなくなるということを、まずはとにかく早く実現するということが大切だというふうに思っておりまして、そういう意味でルールそのものの横断化ということはぜひこの機会に、これは再チャレンジなわけだから達成したいと。もう少しエンフォースメントの体制を、ではどうするかといことは、やや時間をかけて議論をするというふうなスタンスをとった方が実現可能性という意味においては、かえって実が得られるのではないかという、そういうふうなことを思っていたのですが、それでちょっと後半になってしまいますが、ただ、たたき台見ますと21ページの下から6行目ぐらいのところで、「金融先物取引業、抵当証券業、商品ファンド業、不動産特定共同事業等に係る組織を市場行政部門に移管するなど、組織の再編を行うことが必要である。」というふうに、かなりはっきり書いてあるのですが、そのルールの横断化が必要だという議論は随分してきたと思うのですが、組織の再編が必要だという議論はいつどういう形でやって、こういうことになったのかというのは、ちょっと私が休んでいた間にそういう議論が済んでそういうことになったのか、ちょっとよくわからないので、その辺の事情を少し説明していただければというふうな気がするのですが。

○神田部会長

まず、池尾先生の第1点目の精神は、私は変更はないというふうに理解しております。ですから、ルールを横断化するというのが今回の報告書のコアな考え方であって、そのルールを横断化するということは、今、既に規制が存在している、ルールが存在している分野については、そのでこぼこが過剰な規制は緩和する必要があるし、過少な規制は強化というのでしょうか、あわせる必要があるので、そういう検証の作業を行う必要があるということだと思います。それを誰が、どうインプレメントしてエンフォースしていくのかという話は、一応ロジカルには別でありまして、これは池尾先生がもう前の方でご発言を頂いて、この部会でも比較的支持されたことだと思います。

ただ、ルールを横断化していくに当たっては、これ先ほど木村委員のご指摘があったことですが、各省庁の足並みがそろわないという報道があるらしいですけれども、各省庁とも国民のために仕事をしているわけですから、それはそれぞれの省庁でよく相談をして、国民のため、日本のためにどういうものがいいのかということを調整して頂きたいというふうに、私などは感じます。

そして、今おっしゃった21ページは、これからまたご意見を求めるのですけれども、とりあえずそこの文章は、これまでの金融庁の体制について書いているところだと思いますので、ちょっと細かい表現の問題は別途あろうかと思いますけれども、原案はそういう趣旨であって、これまでエンフォースメントの見直しというか、強化というか、複線化ということで第一部会でご議論して頂いてきた延長で、投資サービス法のレベルで整理すると金融庁の中で、所管が今分かれていますので、そういったものについてはもう一遍見直しが必要ではないかという頭で原案は書いていると思います。そういうことでよろしいでしょうか。

とりあえず21ページにしてはそういうことです。また後でもし必要があればご意見をいただければと思います。

それでは3人手が挙がりましたが、まずこちら証券業協会の高橋(厚)委員、そしてお隣の高橋(伸)委員、そして羽田委員の順番でお願いします。

○高橋(厚)委員

今の点なのですけれども、ルールの統一化とエンフォースメントの問題については、神田先生や池尾先生がおっしゃったように、理論的には別なものとして考えることができると思います。ただ、投資家が安心して市場に参加することができるようにルールの統一化あるいは横断化を図ることが重要だと思います。これは落ちこぼれている商品があることや同じような商品の取り扱いがそれぞれ違っているということに対する投資家の不信感、不安感ということがあると思います。さっき淵田委員がシームレスとおっしゃったのですけれども、やはりひとつのシームレスな体系の中で、共通のルールを整備することにより投資家が安心して共通の市場に参加することができると思います。そういうことがルールの横断化、統一化の目的だとすると、理論的にはエンフォースメント体制について各省庁が分担した場合でも、同じようなエンフォースメントを行うことが可能と考えられますが、実際にはそこのところが共通に、同じように取り扱われるということが大事なことだと思います。

またもうひとつ、この理論での大きな議論として、横断的なルールをつくっていくうえで、将来適用されるルールというものがあらかじめわかっているということが商品開発、あるいは新しい投資サービスの提供というもののイノベーションに役立っていくということを考えますと、エンフォースメントの取り扱いが、ものによって違う、サービスによって違う、商品によって違うということでは、せっかく横断化を図っていこうとする大きな理想からかなり後退をするのではないかというふうに思います。現実論というものがあまりにも先にあって、せっかくまとめようとしている報告書が理想から離れたものにならないようにして頂きたいというふうに思います。

多数の意見がどうだったかというのは、私はわかりませんけれども、エンフォースメントも含めて統一化すべきという意見が多かったように印象を受けております。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、お隣の高橋(伸)委員。

○高橋(伸)委員

規制内容について、2点意見を申し上げたいと思います。その前提としてなのですけれども、まず4の行為規制についてなのですが、ルールの横断化を図るということと、それから先ほど別紙でお示し頂きました1から10、それから前回ご意見申し上げましたが、まだ点線で囲っております11、12、13のものに関しては投資サービス法の対象とするという前提に立ってご意見を求めたいと思います。ですので、先ほど来、議論があります商品ファンドや商品先物は当然投資サービス法の対象とすべきと考えているのですけれども、13ページの論点のところに「不招請勧誘の禁止の範囲を広げるべきか」というのが出ておりますけれども、私は非常に今トラブルが増えておりますこの商品系の投資商品に関しては不招請勧誘の範囲を広げるべきだという意見を持っております。それは、金融トラブル連絡調整協議会という協議会に参加しておりますけれども、他の業態、業界のトラブルがかなり落ちついて減少傾向にある中で、商品ファンド等が急増するという現実がございました。もし、先ほどご説明がありましたように改正証券取引法で効果が発揮されつつあるということで、もし本当にそうなのであれば四半期のものがあと数日で出るのだと思うのですが、それをご当局がつかんでらっしゃるのであれば、数字でこう改善しているのだということを示して頂きたいと思いますし、あるいは7月7日の会議のときだったら示せるということでしたら、ぜひ改正したことによる適合性原則の強化による減少というのもを、具体的に教えて頂きたいと思っております。

こういう元本以上に損失が発生する恐れがあり、高度に価格が変動し、またその開示が非常に低いもの、それをアマ、一般の消費者を対象にするのであれば、それは本人が自分自らがそれをどうしてもやりたいということであればオーケーだと思いますけれども、販売勧誘によって行うということに関しては、トラブルの現状を見ても私は禁止すべきではないかなと思っております。

本日、野村證券の田中委員から意見書が出されておりまして、そこの2ぽつのところに「『貯蓄から投資へ』資金が流れていない理由のひとつとして、投資知識・情報が国民に浸透していないことが挙げられる(※)。それゆえ、投資者に対する情報提供を積極的にすすめていかなくてはならないが、不招請勧誘規制が新法においていかなる形であれ、導入されることになれば、投資者は十分な情報提供を受ける機会が失われてしまう。」と、こういうご意見が出ているのですけれども、これに関しては投資家に対する情報提供というのと、その貯蓄から投資に資金が流れない理由として金融庁等のその、これは内閣府の調整ですか、知識がないから株式投資をしないのだということとは、私は直接の関連性はないと思っております。今、伊藤大臣の私的懇談会で金融経済教育の検討を行っておりますけれども、やはり教育というのと販売業者が提供する情報というのは、区別して考えなければいけないと思いますので、これをもって不招請勧誘の禁止・導入ならんという理由にはならないのではないかと私は考えております。

それから、2点目ですけれども、11ページの3のところから参入規制に関しては、かなり細かく書かれておりますし、実際にもう既に規制があるということなのですが、これは既に議論があったかもしれませんし、あるいは素人の過剰な心配なのかもしれませんけれども、退出規制、退出ルールについても書くべきではないかと思うのですけれども、その点について教えて頂きたいというふうに思っております。

集団投資スキームのところにも関連するのですけれども、たとえば投信業界はかなり過当競争になっているというふうに思われるのですが、投資信託のパフォーマンスの分析の情報というのは第3者機関等から流されているのですけれども、その投信業界、投信会社の収益分析などというもの、我々一般の消費者はなかなか目にふれる機会がないものですから、そうしたことに関しても安心というものを得たいというふうに思っております。

以上でございます。

○神田部会長

では今のは、退出の部分は書けるように工夫できると思います。

それでは羽田委員、どうぞ。

○羽田委員

ありがとうございます。外国損害保険協会の羽田と申します。

極めてプラクティカルなことで恐縮ですけれども、実はここに出る前までは、私もペーパーでお出ししましたように、一般法としての方向性というのは非常に好ましい方向ではないかというふうに思っていたのですけれども、再度この報告書を読み返したり、それから今日のいろんな議論を聞いていますと、どうしても仕事と比べた場合、しっくりこない点が出てくる。どういうことかと申し上げますと、例えば私どもがやっている自動車保険であれ、火災保険であれ、海外旅行保険であれ、例えば生産物賠償保険など、そういった損害保険と投資ということがどうしても結びついてこない。これは多分一般の消費者も同じではないのかなと、例えば私なんかは生命保険においては一般の消費者になるわけですけれども、どうしてもそういう気がするわけですね。ということで、ペーパーでお出ししました中においては、別途検討と、一般法に含めた上で別途検討ということで申し上げたのですけれども、今ここの議論を聞いたり、いろんなことを見るにつけ、やはりそういう一般の損害保険、これは機能の共通性、先ほど堀内先生からもありましたけれども、機能の共通性という観点から見れば一般の投資商品と全く違うのではないか。ですからこれは、投資サービス法に含めるのではなく、別途例えば第二部会等で、既に金融庁のスタディー・チームで検討しておりますけれども、そういうものを含めた中で、かつ簡保とか、それからいわゆる制度共済ですね、農協共済、そういうものも含めた中でいわゆる保険の販売勧誘について、議論すべきではないかというふうに思います。以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、原委員、それから高橋委員、どうぞ。

○原委員

時間が、あともう5分しかなくて、今日予定しているところ全く進めないというところで大変恐縮なのですけれども、ちょっと全体的にご意見をお聞きしていてなのですが、イギリスの金融サービス市場法そのままもってくるのかというお話があったのですが、私はやはりそこに掲げられている4つの理念というのは、味が薄いものではなくて味が濃い、当たり前の議論として、横断的にどの金融商品にも、ルールにもかけて頂きたいと考えております。

それで、参入規制のところについては、退出規制を持ってきて欲しいというのは、私も以前発言をしておりますので、よろしくお願いしたいと思いますし、不招請勧誘の禁止については次回なのかもしれませんけれども、詐欺的行為による社会問題化という点も勘案して導入となっておりますが、詐欺的行為はもうやはり論外ですね、市場の中に入っての議論ではなくて論外ということで、私は今日、田中委員がペーパーを出されておりますけれども、1年前の検討に参加しておりまして、そのとき大変強調いたしましたのは消費者との取引の販売・勧誘ルールとしてやはり基本のルールであるということで、ぜひこういった販売・勧誘の場面については原則取り入れるという方向で入れて頂きたい、そして検討を進めて頂きたいということで、外国為替証拠金取引に限って、詐欺的商法が横行したからということではないということを再度強調しておきたいと思います。

それから、保険について今、羽田委員からご意見が出されたわけなのですけれども、投資サービス法ということではなくて、金融サービス市場法ということにして、すべて含めて検討しようということになって、別途第二部会でということにご発言があったのですが、実際には第二部会のメンバーの方々にも参画をして頂いて、今の場もそうですけれども、検討を進めているということで、ぜひ第一部会、第二部会、両方そろえての今後の検討をお願いしたいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

高橋(厚)委員、どうぞ。

○高橋(厚)委員

あるいはまだ次の機会なのかと思っておりましたけれども、不招請勧誘の話は高橋(伸)委員、原委員から出されております。不招請勧誘の問題は、これは本来、適合性原則の問題であると思います。なぜ不招請勧誘がいけないかというと、勧誘すべきでない人に勧誘するあるいは説明のわからない人にわからないことを無視して一定の商品を説明するということではないかと思います。

田中委員からのメモにもありますように、できるだけ多くの投資家にいろいろな商品、あるいは金融サービスを説明していくというのは、投資あるいは市場を活性化していくための仲介業者としての大きな努力だろうというふうに思います。

従いまして、それはまさに適合性原則の話で解決すべきものであろうかと思います。この13ページの論点の整理のところに「元本を超える損失のおそれのある商品の購入について適合性の原則を担保するための方法として」ということで、例示として「勧誘・助言を行う場合の説明義務等を強化する」というふうになっています。こういうリスクが多い、あるいは非常に変動性の大きい一定の商品について、適合性の原則を担保する方法をある程度考えていく必要があるかと思いますが、不招請勧誘の禁止の問題もそういう範疇で考えるべきであろうかと思います。

従いまして、その前段の文章と別に一般論として不招請勧誘を入れるか入れないかというような議論をするのはいかがかというふうに思います。むしろその適合性の原則を大事にしていくということではないかと思います。

なお、その関連で、今の同じ文章の次に「分類方法として云々」というセンテンスが入っています。これはその前の文章とどういう関係があるのか、非常に読みにくいので伺いたいのですが、元本を超える非常にリスクの高い商品について特別な扱いをするという整理と、ここに書いてあるような3つの分類に整理するというのは、発想として両立しているのかどうかよくわからないのですが、この議論があったことは承知をしておりますし、その議論の考え方を生かしてこの最初の文章にあるように、非常にその元本を超えるというのはひとつの例示だと思いますけれども、そういうリスクの高いものについて特別な扱いをルールとして考えていこうという整理であれば、改めてこの分類が適当かどうかという議論はないのではないかというふうに思います。

○神田部会長

今のご指摘の点はちょっとご指摘を踏まえて考えさせて頂きたいと思いますけれども、今日は私の不手際もありまして、今13ページについて不招請勧誘のルールについてご意見をお出し頂き始めているのですけれども、時間が既に2分過ぎておりまして、大変申しわけないのですけれども、若干の延長はお認め頂きたいと思いますけれども、ちょっとその具体的に13ページ以降についてご審議を頂く時間は今日はございません。それで、ちょっとその手前までで大変また越権で申しわけないのですが、ちょっと1、2、私の方で確認的なつもりで発言をさせて頂きたいと思うのですけれども。

3点あるのですけれども、まず第1点目ですが、これは池尾先生のご発言をきっかけにしてですけれども、ルールの横断化ということ、それがなぜ必要か等についてはこれまで十分第一部会ではコンセンサスがあったと思います。ルールを横断化することと、その横断化したルールをインプレメントし、エンフォースするということとがロジカルに同じでないということについても、これは私は第一部会ではそれなりのコンセンサスはあったと思います。ただ、その先は若干恐らく意見が分かれ得るので、先ほど証券業協会の高橋委員が正しくおっしゃったように、まずそのインプレメンテイションとかエンフォースメントについても、そのエンフォースメントのレベルの横断化ということは当然必要だとという問題意識はあるのだと思います。つまりエンフォースメント不足の分野があれば、それはレベルを上げなければいけないし、逆に過剰というのがあるのかどうか知りませんけれども、そういうことがあるとすれば下げなければいけない。これはルール自体についてと同じ話だと思います。

具体的にどういう体制でそれをインプレメントし、エンフォースが行われるべきかについては、ご意見はいろいろあるということだと思います。一部では組織としてもひとつのところがすべてを請け負ってエンフォースし、インプレメントするのが望ましいというご意見があることも確かであります。あるいは、組織としてまではそういうことが無理であるとしたら、現在のあるいはこれまで存在してきた体制というものが連携・協力して、それを実現するというやり方もあろうかと思います。また一部には、この部会の所管を超える部分もあり得るので、先ほどの話にも関係するかもしれませんけれども、担当の省庁で話し合って頂くという部分もあるのではないかとも思われます。そういう点につきましては、ご意見はいろいろあったと思いますけれども、そういうところをうまく書ければという感じがいたします。以上が第1点です。高橋委員におっしゃっていただいたようなご意見がかなり多くの委員の間であったということも確かだと思います。

そして、2点目なのですけれども、これは羽田委員がおっしゃったことをきっかけに申させて頂きますと、例えば一般の損害保険は機能というアプローチをとっても違うのではないかというご指摘で、それはおっしゃるとおりなのですけれども、どの側面から見るかということなのですね。この第一部会は、これまでは消費者との接点という側面から見れば、商品を買う投資家から見ればお金を出しているでしょう、それから業者の方から見れば販売をしているわけですから、やはり説明をして売ってください、一般消費者が相手の場合ですけれども、あるいはふさわしくない人にはふさわしくないような商品を売らないでくださいと、こういう観点から見れば問題となる機能は共通でしょうというお話をしているので、そこはかみ合ってはいるのですね、しかし他方、保険に固有な規制が必要であることは誰も疑っていないわけですので、そこの部分はどう整理するかというのは今回はちょっとこの第一部会としては、時間切れという言い方は失礼なのですが、展望するということにさせて頂いて、第二部会の委員の皆様方にも入って頂きましたので、たとえば第二部会の方でやって頂いてもいいわけです、第一部会の方の委員が入ってです。ただ、これまでの経緯もあって第二部会の委員の皆様方にこちらへ来て頂いて、今後展望した先を引き続き検討をさせていただければということでございます。

そして、時間とって恐縮ですが、3点目、これは非常に私は重要な話だと思っているのですけれども、経産省の市川課長がうまくおっしゃったことであって、どういうことかというと、投資商品の範囲を広げると、これいつもある話で、これ規制強化だ、活性化を損なうと、いつもこの話が結局出てくるわけですけれども、投資商品の範囲を広げるのは規制を強化するために広げるというのは、私もあまり好まないところで、あまりうまい表現ができないのですけれども、あくまでポイントはルールの横断化ということだと思うのですね。これは逆に言うと、資本市場を活性化し、商品開発を促進するために行うのであって、昔からこういう議論は平成4年の証券取引法改正のときにも似たような議論があったかと思いますけれども、例えばABSとABLをとってABSは投資サービス法の世界です、ABLは違います、そういうことになると連続した商品は開発できないですよね。あるいはファンドの例でいつも挙げている例で恐縮ですけれども、60%有価証券、40%別のものというファンドが、たまたま商品先物の方が6割になって、今度有価証券が4割になってというふうに相互にいこうと思っても、今の法制ではやれないというか、ファンドが変わらなければならないという、そういう話に着目しているのでありまして、規制強化というのは一般の投資家向けには、売る場合にはちゃんと説明をして、先ほどの話で適合性原則ルールを守ってくださいということになりますけれども、当然のことですけれども、そうでない場面では、まさに柔軟化とか柔構造化とかと言っていますけれども、規制強化になるのではなくてむしろこちらの世界に入ってそういう商品の開発が可能になるということがポイントのはずなのですね。

淵田委員からアメリカの証券取引法も嫌われているというご指摘もあったのですが、ちょっとミスリーディングではないかと思うのは、それはそういう面があることは確かですけれども、それどちらかというと企業開示商品であって、ABSのアメリカの歴史で言いますと、従来は公募の有価証券届出書を出して、しかし機関投資家だけに売ってきたというのが80年代で、ABSというのは84年からの商品ですけれども、そういう歴史があって、アメリカの方はその後144Aというルールができましたので、日本でも現在認められています適格機関投資家の間で私募証券を流通させてよろしいというルールですけれども、これができてからはABSというのはほとんど、ほとんどというかかなりはそちら使われるようになったのですけれども、その前は証券取引法の世界に入って、これは不動産証券化のようなものも含めてですけれども、日本でいう届出書を出して、しかし一般投資家には売らないで、実態としては機関投資家だけに売ってきたのですね、その中でいわゆる発行開示を簡素化し、あるいは先ほどのディスクロージャーのワーキングにもありました、流通開示、継続開示で言えば四半期報告に変えて、月ごとのレポートを出せばいいとか、そういう対応でやってきたのです。これらは初期の頃の話ですけれども、ポイントは、アメリカでは、実務はむしろ証券取引法の中に入ってやってきた。もともとアメリカは証券取引法、非常に範囲が広いですから日本の今のものとは比較にならないのですが、それであってもABSについては訴訟リスクというのは非常に低くて、訴訟リスクがあるのは、企業内容開示が問題になるものについてです。日本でも企業内容開示については、最近問題になっているわけでして、どうしてもそういうリスクはあるわけですね。従って、淵田委員がおっしゃることは企業開示についてはそのとおりの面もあるのですけれども、ちょっと今私どもが議論しようということで言えば、重要なことはなぜ今ルールの横断化が必要かということは、やはりもう一度考えてみる必要がある。そのあたりを和仁委員は見えないとおっしゃったのは、恐らく新たにこられた方からして見ると、これはいったい投資家保護のためにやろうとしているのですか、規制強化なのですかという点があるのだと思います。そういう面もあることは確かでして、それは全く否定はできないと思いますけれども、しかし他方でただ強化しているわけでは決してなくて、ルールが横断化していないことによる不都合というのが実は資本市場の活性化という観点からも明らかに生じているのではないかという認識がある。その辺について、ちょっと、十分には、あるいはまだ文章に表せて頂いてないかもしれませんけれども、もうちょっとその辺の表現は工夫したいと思います。

すみません、私が随分長くしゃべってしまいましたけれども、あと太田委員、今手を挙げられましたですよね、あと若干のお時間を頂いて……

○太田委員

あの13ページの論点に関することですから、次回で結構です。

○神田部会長

それでよろしゅうございますか、すみません、ありがとうございます。

ほかに、今私が勝手に最後、申させていただいた点についても違和感がある方がいらっしゃるかもしれませんけれども、今日もし最後に一言ございましたらぜひとは思いますけれども、いかがでしょうか。

よろしゅうございますでしょうか。

それでは、私の不手際で大変申しわけありませんけれども、13ページの以下についてこの部会で皆様方の前でご議論がどうしてもできないので、ご意見を個別に事務局にお出しいただけませんでしょうか。それで、13ページから今日の資料で申し上げますと最後は25ページになりますので、特に論点と書いた部分についてはまだ文章にするところで非常に悩んでいるところですので、ご意見があれば、ちょっとほかの方のご意見がわからずにご意見を出していただくことになりますけれども、よろしくお願いします。そして事務局の方でそれを踏まえて、次回ご議論させて頂きます。

冒頭、大森課長がおっしゃったことですけれども、いけるところまでいって報告書にするということに今回はさせて頂いて、いけなかった部分は申しわけありませんが秋以降のご議論と、事務年度が交代をした後のご議論という、そういうことにさせていただき、いけるところまでがんばって報告書にするというスタンスでいきたいと思いますので、最後のご協力をいただければありがたく存じます。

はい、どうぞ。

○原委員

あのいつまででしょうか……。

○神田部会長

いえ、それは、できるだけ早く……。

ご意見の提出は今週中ということでお願いできませんでしょうか。今日、まだ火曜日ですので、7月1日の金曜日ぐらいまでにお願いできればありがたく思います。

それでは、どうも不手際で申しわけございません、大分延長してしまいましたけれども、本日の審議はこれまでということにさせて頂きます。事務局から次回のご連絡をお願いいたします。

○大森市場課長

先ほど申しましたように、次回、今事務年度の最後のセッションを7月7日、木曜日を予定しておりますのでよろしくお願いいたします。

○神田部会長

どうもありがとうございました。それでは散会いたします。

午後12時14分閉会

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