金融審議会金融分科会第一部会(第39回)議事録

平成17年11月30日

金融庁 総務企画局

午前10時01分開会

○神田部会長

おはようございます。予定の時間になりましたので、ただいまから金融審議会金融分科会第一部会の第39回目の会合を開催させて頂きます。

皆様方にはいつもご多忙のところお集まり頂きまして大変ありがとうございます。

本日も、前回に引き続き後藤田政務官がご出席のご予定でございますが、ご用事でちょっと遅れられるのではないかと思われます。時間になりましたので、始めさせて頂きます。

それでは、「議事次第」に従いまして審議に移らせて頂きます。

本日の審議も引き続き公開とさせて頂いておりまして、報道機関の方々のために後ろの席を用意させて頂いております。

議事に入ります前に、本日ご出席頂いておりますオブザーバーの方をご紹介させて頂きます。

国際銀行協会リーガルワーキンググループメンバーであられる中島史郎様でございます。

○中島国際銀行協会リーガルワーキンググループメンバー

よろしくお願いいたします。

○神田部会長

本日の予定ですけれども、これまでの一通りのご議論をお願いする残りの項目になっております行為規制、民事効・エンフォースメント等についてのご審議、ご議論をお願いしたいと思っております。

それでは、早速ですが、お手元の「議事次第」に従いまして、行為規制・民事効・エンフォースメント等について事務局からの説明をお願いいたします。

○三井市場課長

それでは、今日も多数の資料をお手元に配付してございます。資料1、表題「行為規制・民事効・エンフォースメント等について」という縦長の資料。それ以外に、資料1-1から資料1-6まで参考資料をお配りしております。また、資料1と資料1-1から資料1-6までの参考資料を、適宜、行ったり来たりして説明したいと思いますので、並べてご覧頂ければと思います。

それでは、縦長の資料1でございます。「中間整理」がまとめていますが、中身は2ページ以下と重複いたしますので、大きな柱立てを申し上げます。一つ目が行為規制ということで、基本認識は掲げてあるとおりですが、具体的行為規制の規定の仕方、それとプロ・アマ区分の組み合わせでございます。

2番目、2ページ、民事責任規定ということで、業者に対して何々をすべきである、何々をすべきでないと、こういう行為規制に対して民事的な効果、例えば損害賠償の責任の推定とか、損害賠償額の推定といったことの是非についての検討。3番目の大きな柱が金融経済教育ということになります。

それでは、3ページをご覧頂きたいと思います。論点1から論点11まで掲げておりますが、これも説明の中で出てまいりますので、飛ばします。いずれも行為規制あるいは民事責任、金融教育サービス、それぞれの観点で相互に相関している部分がございます。

次の(2)の行為規制の全体像でございます。行為規制の全体像、証券取引法のみならず諸種の業法を横断化するということになりますので、参考資料1-1、今日は説明する時間はございませんが、各業法、証券取引法から始まって金融商品販売法、金融先物取引法等々の各種の法律の行為規制を表にしております。これがベースとなって、いかなる具体的な規定を横断化する投資サービス法の規定としておくかという論点でございます。

具体的にどのような効率のどのような規定を総合した結果どうなるというプロセスを省略しまして、事務的に整理した行為規制の項目を3ページの最後から掲げております。例えばということで、投資サービス業全体に関連するものとして、標識の掲示義務とか広告規制、それから、投資サービス業者であることの表示義務といったものが考えられます。

次の4ページ、販売・勧誘に関するものとして、誠実公正義務、契約内容等の事前書面交付義務、契約締結後の取引報告書の交付義務、適合性の原則、不招請勧誘の禁止、再勧誘の禁止、いわゆるワンコール・ルールと呼ばれているものであります。それから、損失補填の禁止、あるいは、虚偽情報・断定的判断の提供等の禁止行為、クーリング・オフ制度、最良執行義務、価格公表義務といったものが考えられます。

それから、資産運用・助言にかかわる行為規制としまして、善管注意義務、忠実義務、あるいは、利益相反取引や金銭・有価証券の貸付といった禁止行為、自己執行義務、受託者が自分で執行する義務、それから運用報告書交付義務といったものが考えられます。

それから、資産管理に関し、分別保管義務といったことが考えられます。

以上が総論でして、具体的に各項目について論点がございますので、(3)からまいります。開示規制と行為規制の関係でございます。現在の証券取引法の開示のルールと言いますのは、文書でたくさん書いてございますが、有価証券届出書あるいは有価証券報告書を発行企業が当局、金融庁に提出する。当局においてそれを公衆縦覧する。その上で、発行者が作成した目論見書を勧誘・販売局面において証券会社ないし発行者が投資家に交付する、こういった仕組みになっております。片や、証券取引法の開示規制の対象になっていない他業におきましては、例えば契約の事前の説明書面の交付とか、事後の運用報告書の交付といったことが義務付けられております。

ということで、次のページにまいりたいと思います。5ページ、さらに投資信託においては、少しややこしいのでございますが、今申し上げたうちの証券取引法の規制が適用されると同時に、投資信託委託業者に対して約款についての説明書面の交付が義務付けられているということで、公募の場合には、いわゆる投資信託委託業者についての業法の説明書面交付の義務付けと、証券取引法の開示書類の当局への提出及び公衆縦覧という二つがかかり得るわけですが、ここの6行目、7行目にありますように、公募の場合でダブるときには投資信託法上の委託業者についての説明書面交付義務を免除するという調整をするといった複雑な体系になっております。

また、この続きですが、資産運用の局面において、投資信託委託業者に対する業法として、運用報告書の作成・交付が義務付けられているということですけれども、最初に申しましたとおり、公募発行については、証券取引法の規制として有価証券報告書の金融庁への提出義務、それから、それを金融庁が公衆縦覧するということになっております。ここのところは目論見書と異なって、投資家への交付ということが行われていないものですから、今申し上げました投資信託法上の運用報告書の作成・交付義務と有価証券報告書の当局への提出義務との間の調整は別事項ということで、それは別途の規制と整理されているわけであります。

真ん中のパラグラフですが、商品ファンド法及び不動産特定共同事業法につきましては、目論見書とか有価証券報告書といった制度ではなくて、説明書面あるいは財産運用報告書といった、業者に対する行為規制という形での投資家への開示が行われているということになります。よく考えますと、この後段ですけれども、こういった商品投資あるいは不動産特定共同事業の場合は、商品の組成と販売が一体化しているわけでございまして、こういったことは開示と販売に分ける必要がないということで、いわば一体的に規制をしていると解釈することもできるかと存じます。

ということで、まず投資サービス法で種々のものが入ってくるわけですが、現在あるような形で発行なり募集が行われるような、証券取引法上の有価証券に相当する投資商品について、有価証券届出書や目論見書の制度、有価証券報告書の制度は、依然として公衆縦覧されて、それに対して虚偽の記載があれば刑事罰等の制度がございますので、利用者保護の観点から維持する必要があるのではないかと事務的には考えられるわけですが、いかがでしょうかということが第1点でございます。

それから、私募の場合。これは、公衆縦覧の対象となる有価証券届出書の提出とか、目論見書の交付、有価証券報告書の提出義務といったことが免除される場合があるということを考えますと、いわゆる私募にあたるようなものの投資商品について、例えば利用者の情報提供を確保するために業者の行為規制として、説明とか運用報告書といったものを交付するとか、あるいは、勧誘・販売の局面について、今申し上げたようなものが免除されずに、目論見書が交付されるといった場合には、こういった説明書面を重複してかけないという免除規定を置くということが考えられます。体系的は種々の規定をこういった形で整理していくことが考えられるわけですが、いかがでしょうかというのが、個別論点の一つ目、論点2でございます。

論点3、適合性の原則のあり方、6ページでございます。この部会の平成11年での整理がイタリック書体の文書で整理されています。詳細は割愛しますが、狭義の適合性の原則は、いかなる説明を尽くしたとしても一定の利用者については一定の例えばリスクの高い金融商品の販売・勧誘は行ってはならないと。広義の場合には、利用者の知識・経験、あるいは、財産力、投資目的に照らして適合した商品・サービスの販売を行わなければならないという二つの概念があり得るのではないかといったことから、それぞれの概念について、民事的な取引ルールとしてのあり方、それから、業法ルールとしてのあり方、違反すれば行政処分が下るという意味での業者ルールのあり方について、それぞれ四つのマトリックスになりますが、議論しています。

その後、金融先物取引法の改正が行われて不招請勧誘というものが導入されているということと、今回は各種の業法、必ずしも同じ適合性の原則の規定ぶりではないものを統合するということから、最大公約数なのか、あるいは、どういう形の横断化なのか、具体的にどのような規定を置くのかということをご議論頂ければということがその問題意識であります。

7ページにまいります。具体的に現行法の規定がどのような規定ぶりなのかということについては、業法によって大きく3種類に分かれると考えられます。まず、適合性の原則に違反する行為自体を禁止している証券取引法あるいは金融先物取引法タイプの規制、もう一つは、適合性の原則が遵守されるように体制整備を義務付けるという銀行法、保険業法スタイルのもの。それからもう一つ、マル3ですけれども、勧誘の対象となる者の知識、経験、財産の状況に照らして配慮すべき事項を含む勧誘方針の作成・公表を義務付けているもの。こういう大きな3つのスタイルがございます。

そして、証券取引法タイプのマル1につきましても規定ぶりが異なっていまして、証券取引法ですと、顧客の知識、経験、財産の状況という3つを摘示しまして、それらに照らして不適当と認められる勧誘を禁止するというスタイルになっています。片や、ロ)ですが、商品ファンド法、不動産特定共同事業法では、損失を被る損失の範囲についての十分な知識を有しない顧客に対して契約等をする行為という規定のされ方になっています。

こういったことをベースにどのような規定を整備していくかということでありますが、投資サービス法における適合性の原則というのは、事前説明義務と並んで、利用者保護のための販売・勧誘のルールの柱となる規制ではないかと考えられるということからしますと、体制整備にとどまらず、現行の証券取引法と同様の、まさに適合性の原則に違反する行為自体を正面から禁止するという規定に合わせる、レベルを上に合わせることが適当ではないかと考えられるわけですが、いかように考えるべきかご議論頂ければと思います。

さらに、適合性の原則における考慮要素として、今は三つ、「知識、経験、財産」を列挙しておりますが、米国、英国では投資の目的といったものも考慮要素にされております。具体的な行為規制は資料1-2の1ページ、2ページにありますが、適合性の原則についての具体的な規則等につきましては3ページ以下に掲げております。米国や英国で日本と異なるものとして、考慮要素、「知識、経験、財産」に加えて、「投資の目的」といったものが掲げられています。お客さんが株なり投資商品に投資するときに、いかなる目的を持っているのかといったことが、リスクなりリターンの具体的な商品の選択とか、そういったものに大きな影響を与えるといったことでございます。ということが第一点ですが、これについてどう考えるかということであります。

それからもう一つ、具体的な資料はつけていませんが、イギリスの金融サービス市場法に基づく業務行為規範(コンダクト・オブ・ビジネス)では、業者がある商品・サービスについて勧誘を行った場合には、契約締結前に業者が顧客のニーズや財務状況を勘案して、具体的にこの商品・サービスが適当だと判断した理由を説明する「適合性レター」を送付することを義務付けております。こういったことを踏まえて、投資サービス法についてこのような方法をとることの是非についていかが考えるべきであるかということでございます。

次に8ページにまいりまして、論点4でございます。金融商品販売法における説明義務の業法上の義務化ということであります。金融商品販売法というのは民事法の法律でございます。市場リスクとか信用リスクについて、「商品の販売前」に説明するという義務をかけまして、この違反に対して損害賠償責任や賠償額の推定規定という民事法上の効果を付するものであります。

こういった説明義務の拡充は後ほど出てくる一つのテーマでございますが、それと同時にこういった説明義務を投資サービス法上の業法ルールとしても位置付けて、その違反に対して民事責任のみならず監督上の処分の発動を可能とするといったことが考えられるが、いかがでしょうかという点でございます。

次は、論点5の不招請勧誘の禁止、(6)でございます。これまでの議論では、この不招請勧誘の禁止については、両サイドからさまざまなご意見を頂いています。8ページの下の二つは原則禁止であるというご意見、それから、残りの三つ目、四つ目の二つの議論は慎重に考えてほしいというご意見であります。

外為証拠金のときの整理でございますが、外為証拠金取引そのものについては商品性に疑問を呈する意見があるという状況の下で、実際に社会問題に発展していたといったことから、不招請勧誘を禁止することが望ましいと報告書では取りまとめられております。

この考え方をベースにしますと、原則は適合性の原則の適用によって利用者保護を図るというのがまず出発点になりまして、商品性あるいは販売勧誘の実態や利用者の被害の状況に鑑みて、適合性の原則の遵守をおよそ期待できないような場合については不招請勧誘を禁止すべきであると、こういうロジックで前回整理されていることを踏まえると、こういうロジックをベースに不招請勧誘の禁止の仕組みを構築することが一つの案として考えられます。

もちろん、これについては広範な禁止から不招請勧誘の禁止は適当でないというご意見までさまざまあろうかと思いますが、その具体的な仕組みとして、例えば不招請勧誘の禁止の規定を一般規定として設けるということですけれども、適用対象については機動的に何らかの行政的な決め方をして、一定の取引について投資法上問題が起きている場合に、そういった取引を対象にして不招請勧誘の禁止という一般規定が現実に発動するという仕組みを設けるといったことが考えられます。

当面の適用対象は、例えば現在禁止されている不招請勧誘の禁止で出発することが考えられるということが考えられるということでございますが、これは一つのたたき台でございますので、十分ご議論頂ければと思います。

それから、似たようなもので、商品取引所法におきまして、顧客が取引を行わない旨の意思を表示したお客さんに対して勧誘、いわゆる再勧誘と言いますか、ワンコールと言いますか、再勧誘を禁止していると、ワンコールだけしかできないという規定がありまして、そういう規定を参考にいたしまして、投資サービス法においても、不招請勧誘の禁止に加えて、新たな制度としてこういうワンコール規定を設けて、不招請勧誘を課すには至らないが、利用者の意思に反する再勧誘を認めることが適当でないという商品・取引について、こういう制度を適用するという仕組みも考えられます。この2つを重層的に整備して、組み合わせるといったことで対応する案もあり得ますが、いかがでしょうかということがこの論点でございます。

では、10ページ、論点6の手数料にまいります。手数料の開示に義務付けを行うということが「中間整理」で述べられておりますが、現行法上、投資信託、信託、商品ファンド等々、ここに掲げてあるようなそれぞれの商品について手数料開示の義務付けがされております。また、11ページの(注)にありますように、変額保険、変額年金保険についても、法令上の規定はないのですが、各保険会社において資産運用関係費、保険契約関係費を自主的に開示していると聞いております。

そこで、手数料開示について、その手数料を二種類に分けて整理することが可能かと存じます。1つ目は、顧客から業者に直接・間接に支払われる手数料、いわゆる投資信託における信託報酬とか、証券会社の販売手数料といったものになります。第2類型として、商品の組成業者(投資信託や保険会社等)が販売業者(証券会社や保険募集人等)に支払う販売手数料、こういった二種類に分けて、一つ目の業者から顧客に直接・間接に支払われる手数料については、手数料控除後のリターンが実際の顧客のリターンの取り分になりますので、顧客が知らないところで支払われてリターンが変わるということがないように、幅広く開示を義務付けるということが考えられます。

2つ目の手数料については、直接、個々の商品のリターンに直結するわけではありませんが、スポンサーの利益が大きくなるように商品設計をするとか、あるいは、販売業者が手数料の多寡に応じて勧誘の熱心さが違うということから、投資家からしてみると組成業者が販売業者にどういうコミッションを払っているのかが重要であるという考え方が十分あり得ると思います。他方、こういう考え方に対しては、保険会社の事業費の一部であって、保険原価の内訳であって、この種類の手数料については開示になじみにくいのではないか等々のご意見が出されております。

こういうことを踏まえまして、この二つ目の類型については、開示することが投資判断において重要な参考情報であるという考え方と、この反対意見、例えばこれを徹底すると販売を担当する従業員の手取りと言いますか、収入の開示の義務付けにつながる話になるのではないかというご意見、両方あると思いますが、この点については意見が分かれているところでありまして、ご議論を頂戴したいと考える次第でございます。

論点7、12ページの(8)投資サービス業者であることの表示義務であります。これは、投資サービス業者になるということが社会から信頼されて、むしろ業者としては投資サービス業者になりたいという制度設計であることが望ましいというご意見がこの審議会でも出されております。例えば「JISマークのような」という比喩で利用者にとって安心できるような金融商品・サービスとそうでないものを区別するという観点から、こういった制度を導入してはどうかという問題意識であります。

次の論点8、プロ向けの場合に適用除外する行為規制。これまでのところすべて一般投資家、いわゆるアマ向けの規制として取りそろえる行為規制の一覧的なものをご議論頂く論点として提示いたしましたが、プロ向けの場合にはこれらの規定を適用除外するという考え方があるということで、10月20日にご議論頂いたところでございます。具体的にはどういう行為規制を適用除外するのかということが宿題になっていたところでございまして、この点についてご議論頂きたいと思います。

例えば、下のポツにありますように、契約締結前における説明や書面交付義務といったものについては、プロの場合は外すといったことが十分に考えられるということの一方で、市場の公正性に関する規定はプロ・アマ問わず守って頂く必要がありまして、典型的には損失補填の禁止とか、さらには相場操縦、インサイダー取引規制という不公正取引にかかわるようなもの、あるいは、虚偽の情報の提示といったものについてはプロ・アマ共通のルールということになろうかと思います。特に適合性の原則の取扱いについては、以前の議論で議論が分かれているところかと思います。この点についてご議論頂ければと思います。

次に13ページ、論点9、エンフォースメントでございます。昨日、証券取引等監視委員会からエンフォースメントについて勧告が出されております。具体的な勧告は資料1-6に添付しておりますが、文章で言いますと、【参考】の建議における指摘事項にあります三点にについて指摘を頂いております。

顧客の「見せ玉」という、売買のつもりはないのですが、相場に何らかのインパクトを与えるという意図で売買の注文をして後で取り消すといった行為が話題になっているわけですけれども、こういった申込み行為を相場操縦の課徴金の対象に加える。あるいは、証券会社の自己の計算における同様の「見せ玉」の申込み行為も刑事罰や課徴金の対象にすること。あるいは、今回、業務範囲を大幅に見直しますので、顧客保護のために万全を期してほしいと、そういう建議でございます。ご議論を頂戴したいと思います。

次に、同じ13ページの論点10、金融商品販売法の拡充でございます。これも「中間整理」で拡充あるいは投資サービス法への統合の是非についての検討が宿題になっているわけでございますが、損害額の推定規定が定められている、この推定の範囲が狭いといった指摘が以前からございまして、より使いやすくしてほしいというご議論があったところでございます。そこで、過去の証券関係というか金融商品関係の判例を当方でチェックいたしまして、裁判所は例えばワラントとかデリバティブ等の商品の仕組み自体の説明義務があるのではないかということを指摘しております。

これらの膨大な判例をベースにしますと、今後さらに法制面の検討が必要になるわけでございますが、例えば金融商品販売法の説明義務の中に「取引の仕組み」、例えばオプションの売り手の立場を、お客さんに販売するというのはこういうものなのですと、具体的なリスクの度合いとか頻度、損失の大きさの可能性、そういった仕組みを説明するということで、説明事項に追加して、仮に顧客がそういった説明義務違反によって被害を受けた場合に、この法律を使いやすくするといったことが考えられるということでございますが、いかがでしょうかということでございます。

同じくその下、論点11、これは大きな柱の三つ目、金融経済教育でございます。これについてのこれまでの具体的な取組等につきまして、資料1-5で簡単に紹介させて頂きます。時間の関係で中身は省略しますが、投資サービス法で法律上の位置付けとして、法改正事項として、例えば自主規制機関の業務として、金融経済教育に積極的に取り組んで頂くという観点から、こういったことを法律上位置付ける。あるいは、金融経済教育に関する協力についての法的な根拠なり位置付けを明確にしていくということが考えられるわけでございますが、いかがでしょうかということでございます。

なお、参考資料で私の説明のところでご覧頂きたく思っておりながら説明が漏れたところがございます。資料1-2の11ページをご覧頂きたいと思います。手数料のところで、海外の制度でございます。SECのルールが11ページにございまして、イギリスのFSAのルールが16ページにございます。

SECのルールでは、細かい文章を読み上げることはいたしませんが、顧客に対して、利益相反の前にコストに関する情報を提示すべきであるという規則案を2004年に整理しまして、さらにパブリックコメントを踏まえて再提案をしています。

3のところで再提案ということで、投資額が1,000ドル、5万ドル、10万ドルといった場合における販売時費用とか毎年の費用を具体的に金額にして示すということで、様式や具体例などを13ページ以下に掲げております。

もう一つ、16ページ、英国における手数料開示でございます。これでも、投資信託とか投資性・貯蓄性の保険商品などのパッケージ商品を販売するときにはということで、販売業者に対して購入代金から差し引かれる諸費用、それからもう一つ、「及び」の後ですが、販売業者が製造業者、商品の組成業者ですね、から受け取るコミッションの額の開示が義務付けられているということでございます。詳細は以下に説明しておりますので、後ほどお読み頂ければと思います。

長くなりましたが、説明は以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

申し遅れましたけれども、本日も委員の皆様方から書面でご意見を頂いております。お一方は島崎委員、本日ご欠席ですけれども、意見書を頂いております。それから、太田委員。ご出席でいらっしゃいますけれども、意見書を頂いておりますので、あわせてお手元に配付させて頂いております。

本日も人数が多くなっておりますので、ご発言の際はマイクに近づいてご発言頂きたいと思います。

今、事務局から、論点は11もあるわけですけれども、ご説明頂きました。さてどのように進めるのかという問題はありますけれども、時間がなくなっても困りますので、皆様方から、どの論点についてでも結構でございますので、お気づきの点、ご意見、ご質問を頂きたいと思います。

それでは、田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

私からは、論点の中で五点ほどコメントを申し上げたいと思いますが、それを申し上げる前に一つ、基本的なスタンスを説明したいと思います。今回、この投資サービス法を導入するにあたって、消費者の観点、視点でものを考えるというのが必要だと思います。その場合、消費者の投資家保護という観点と投資家の利便性という二つの側面があるかと思います。それを踏まえた上で五点、論点の順番に説明したいと思います。

最初は論点2、投資サービス法における開示規制と行為規制、この中で特に開示規制のところの目論見書交付義務について申し上げたいと思います。今、公募、募集する場合において目論見書の交付義務というのがあるのですが、現実の目論見書を皆さんにわかりやすいように今日お持ちしたのですけれども、これは外国株式に関する目論見書で、ほぼ700ページの厚いやつです。それから、投資信託の方は比較的薄くはなっているのですが、これでも100ページから150ページぐらいのものはございます。これを交付しないと販売ができなという形になっております。

現状、どういう問題が発生しているかと言いますと、こんな分厚いものを全部見るという投資家の方はほとんどいらっしゃいません。したがって、こういうのをお送りするというと、「こういうのを送られても困るので、簡略版でポイントを突いたもので説明してもらえないか」という形になる。説明は簡略版でいいのですが、これは交付しなければいけない。現実問題としてこれが郵便受けに入りますかと。入らないところもあるわけで困ってしまう。こういう問題も発生している。投資家保護という観点から考えると、これはきちんとした書類によって説明をしなければいけないわけなのですが、投資家サイドがこういうものを読むのか、あるいは、こういうものを本当に欲しているのかという観点も考える必要があると思います。

それから、投資信託に関しまして、例えば我々証券会社でお客様にお勧めする、お客様は買いたいと。でも、お客様から、目論見書については「既にインターネットで運用会社の方でチェックしているからいいよ」と言われても、今の法律の建前では販売業者が交付しなければいけないので、お客様に「すみません、買えません」と。「おれは買いたいと言っているのに何で買わせてくれないのだ」というようなトラブルもあるということで、投資家の保護という観点と利便性というものについて、再度、改善すべきところはないか検討する必要があるかと思います。これが論点2についてでございます。

次に、論点3、適合性の原則のあり方に関して。これに関しては、横断的な適用というのは極めて重要だと思います。その上で、各業法によってレベルが違うわけですが、7ページ目の下の方の適合性のあり方の二つ目のパラグラフに書いてございますように、現行の証券取引法と同等の規制として位置付けていくというのが重要ではないのかなと思います。現行の証券取引法では「知識、経験、財産」ということが適合性の対象になっているわけですが、それと同時に、ここに提起されている投資の目的に関しても十分考慮する価値はあるかなと思います。ただ、実際に投資の目的に関してどうとらえるかというのは、技術的に慎重に考える必要があるかなと思いますが、原則としてこの「投資目的」を入れるというのは極めていいアイデアだと思います。それを横断的に入れるというのが重要なことではないかなと思います。

さらに、「適合性レター」に関しては、私、昨日この資料を頂いて見る限りにおいては、「適合性レター」は保険会社の適用の例が載っているだけなので、それ以外でどうなっているのかはわからないのですが、先ほどの目論見書との絡みもあるのですけれども、この「適合性レター」を送って、印鑑が押されて送り返されていない限りこれは約定ができないというようなルールになると、投資家、消費者の利便性を損なうことになりますので、この「適合性レター」に関してはもうちょっと慎重に考える必要があるのではないかと思います。

それから、三点目の論点として、論点5、不招請勧誘の禁止。これに関しましては、このペーパーにまとめてございますように、クロポツが四点あるのですが、その三番目と四番目の部分になるかと思います。以前、第一部会でもお話させて頂いたのですが、今、個人が株式あるいは投資信託を購入しない理由の一番目あるいは二番目の理由として、商品知識を十分持っていないということが挙げられています。このあたりのことを考えますと、業者が消費者に適切な商品情報を提供することが損なわれるというのは非常にまずい状況なので、このあたりが障害を受けないようなことを考えなければいけない。したがって、不招請勧誘の禁止を入れるにしても慎重に限定して入れることが必要ではないのかなと考えます。

次に、論点8、プロ向けの場合に適用除外する行為規制に関してです。これは、ここに書いてあるとおり、プロに関しては行為規制の取扱いで、適合性原則は除外すべきだろうと思います。それから、「・」の1点目、情報の事前交付義務も適用除外するというのは、ここに書いてあるとおりにすべきだと思います。それから2番目に関して、虚偽表示または断定的判断の提供による勧誘の禁止、損失補填の禁止、これは当然のことながら適用除外はしないと、ここに書いてあるとおりだと思います。

最後に、論点11の金融経済教育に関してですが、知識、情報を教育するというのは非常に重要なことだと思います。ただ、若干気になるのは、法律にそれを規定して、なおかつ自主規制機関にやらせると、自主規制機関に義務を課すというのは、仕組みとして本当にこれでいいのかなという懸念を持ちます。やることは重要なのですが、その主体が自主規制機関でいいのかどうかというのが気になりました。

以上です。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。それでは、和仁委員、原委員の順番でどうぞ。

○和仁委員

論点ごとにお話させて頂きます。コメントと、一部、質問があります。

まず、論点2です。開示規制と行為規制を投信等についてまとめてくださっているのはありがたいのですが、投信の場合、公募、私募を問わず、もう一つ、投信法に基づく届出書の作成というのがありまして、これが業者にとっては結構負担なのです。今、田中委員が見せてくださった目論見書と同じぐらいの厚さのものが登場しますし、内容も結構一致しています。これをどう整理するのか、費用も非常にかかります。規制の目標が違うということをおっしゃるのですけれども、基本的には業者に行為規制を課して、私募ルールを逸脱するのをコントロールするという目標からつくられているのでしょうが、そこのところの交通整理を一度考えて頂けないかと思います。

それから、論点3につきましては、適合性の原則のあり方ですが、投資目的を入れることについて、これはいいことだというご意見が田中委員からありましたので、それはいいのですけれども、問題は投資の目的が、よくわからないというか、本当のことを言ってくれないということで、業者がどう認識しているかということと、顧客が本当に思っていらっしゃるかということがどうしてもずれてしまう、そこから話が違うということになって紛争が始まるということがあります。入れるのはいいのですけれども、具体的に何をやるのかと明確に書くべきでしょう。どなただって投資のときには「もうかりますか」ということで来られるようですので、そこのところを考えると入れると常に投資の目的ありということになってしまうのか。むしろ知識、経験、財産、要するにリスクをどれだけ吸収できる人なのかということについて、適合性の原則の見地から情報を業者は収集する必要があるのではないかと思います。

それから、8ページの論点4、説明義務の業法上の義務化。これは金販法制定のときも議論されたことですけれども、「監督上の処分を発動可能とすべきとの指摘があるが」とありますが、私の記憶が正しければ、業者がこれに違反していれば銀行等、今の監督規制に服している金融機関に対しては業務改善命令が出るでしょうという了解だったと思います。ですから、今、何でこれが新たな論点として出てきたのかなというのが私にはちょっと納得できません。

それから、論点6の不招請勧誘ですけれども、これは何をもって不招請の勧誘というのかというのがもうひとつよくわからない。例えばインターネットによる勧誘は不招請の方に入るのか入らないのかでも議論が起こると思います。これからインターネットを利用しての勧誘が増えると思いますが、これをどう考えるのか。英国の金融サービス市場法は結構細かい規定を置いておりますけれども、非常に参考になるのではないかと思います。

それから、論点6の手数料開示のあり方ですが、11ページの手数料開示のあり方のところでは、顧客から業者に直接・間接に支払う手数料と、商品の組成業者が販売業者に対して支払う販売手数料、この2つの手数料が問題と考えられるとおっしゃっていますけれども、ここまでおっしゃるのであれば、ファンドマネージャーに対する手数料は開示しなくていいのかという問題も出てくるのではないかと思います。そういうものを開示してパフォーマンスがいいのか悪いかを判断材料にするということであれば、この投資顧問業者にこんなフィーを払っているのはどうなのでしょうかねということも、当然、判断材料に入ると思いますので、問題になるのではないかと思います。

それから、論点8のプロ・アマ議論ですけれども、これはご提案のとおりで、私が主に担当していますデリバティブあるいはキャピタルマーケットの方では特に問題は生じないと思います。

、論点9、エンフォースメントにつきましては、ここに書いていらっしゃる「見せ玉」の話は確かにそうなのですけれども、今まで金融庁は作為的相場価格の形成という形で、かなり強引に規制をかけてきたところですので、これをこういう立法で明確化するということに関しては、私はそれは非常にいいことではないかと思います。ただ、そうするには、それが相場操縦に当たるのかどうなのかということをきちんと争う、デュープロセスの手続きが確保されるべきだと思います。

これで最後になると思いますが、論点10の金販法です。「裁判実務において、あまり利用されていないとの指摘がある」ということですが、これをつくったときには私どもは業者にとってのセーフハーバー・ルールということを考えておりましたので、逆に言えばそれがうまく機能しているのではないかと思います。

ただ、ここの最後のところに「『取引の仕組み』を追加する等の拡充を図り」と書いてありますけれども、「取引の仕組み」というのは業者側で組成している人でもなかなかわからない。その中で言及されている「株の価格がどう動けばどういう結果が出るか」というのはよくわからないわけでありまして、金販法をつくるときに、結局はもうかるかもうからないか、ロスを被るのか被らないか、元本確保はされているかどうかということで線引きをするのが一番簡単であろうし、わかりやすい。また当事者の意思にも合致しているでしょう。以上を考えれば、こういうものをつけ加えられるのはかえって論点を紛糾させるだけではないかなと私は思っております。

長くなりましたが、以上でございます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、原委員、どうぞ。

○原委員

何点かございますので、少し長くなるかもしれませんが、発言させて頂きたいと思います。全体的な整理と方向性については、今回、金融庁がまとめられたものでいいかと思いますけれども、幾つかの点でぜひ検討を深めて頂きたいということがございます。

1点目は広告についてです。広告についての規制が今回入るということは、金融商品販売法制定時に比べると、非常に画期的なことだと考えておりますが、今、和仁委員がおっしゃられたように、不特定多数に広告をする場面と、人的勧誘の場面ですね、勧誘とか販売の場面のちょうど中間に、メールとかファックスといった形の消費者を特定した形での非人的勧誘行為が非常に大きくなってきています。この部分についても何らかの規定が必要ではないかということを考えております。今回、平成電電の匿名組合契約のことが問題になりましたけれども、媒体の責務ということについても言及をすべきだと私は思っております。

2つ目は、今、開示規制と行為規制についてのお話がお二方から出ておりましたけれども、これについてはディスクロージャーの部会でも継続して検討している課題になりますので、私としては、開示については横断的な統一ルールが必要であるし、あまり簡易な開示では事業者としての責務を果たしていない。ページ数が700ページということがありましたけれども、私、アメリカのものを見せて頂きましたら、もっとページ数が少なくて要領よくまとめてあるのですね。そういう問題もあるのではないかなと感じておりますので、ぜひそこは、ただただ簡単なものにするということではなくて、適切な情報提供がなされる方向で検討して頂きたいと思っております。

それから3点目は、適合性の原則についてです。これについては適合性の原則の確立をぜひ求めたいと思います。そのためには行為の禁止規定として明記して頂くということと、投資の目的を今回入れようということですが、保険検討チームでも適合性の原則について今検討しているところですが、ここでも顧客のニーズというものを入れようという話をしておりますので、そちらと平仄を合わせてその規定でお願いをしたいと思っております。

それから、情報収集も大変大事な要素になってくると思いますので、この規定も必要と考えております。実際には適合性の原則が大事だということはずっと言われ続けているのですが、消費者、契約者との接点の場面を見ていると機能しているとは言いがたいところがありまして、そのためには実効性の確保を図る方策との組み合わせが必要と思っています。その一つが情報収集についての規定を置かれるということと、「適合性レター」についても、保険分野だけではなくて、私としては取引全般に設定をして頂きたいと思います。それから、実効性確保の3点目としては、今回書き込まれておりませんが、損害賠償規定を入れて、有効的に機能するという方策を図って頂きたいと思っております。

そして、4つ目の論点ですが、不招請勧誘の禁止についてお話をしたいと思っています。不招請勧誘の禁止については、昨日から何度も考え直して、どのようにお話をすれば皆さんの納得感とか了解が得られるのかなと考えています。

まず一つは、前々回のときに東京都が受け付けている金融関連のトラブルの実態ですが、商品としては商品先物取引とか金融先物取引が多かったのですが、行為形態としては不招請勧誘が圧倒的に多かったというのを一緒に図表でおつけしておきました。トラブルの場面では、不招請勧誘が行為としてトラブルの原因になることが大変多いということなのですね。

では、適合性の原則を徹底すればいいではないかという話ももう一方であるかと思うのですが、なぜ適合性の原則だけではだめかと思うのは二つありまして、1つは、不招請勧誘の禁止規定は非常にわかりやすいということです。消費者にとって非常にわかりやすいということが一つの理由です。もう一つの理由は、今回のペーパーにも狭義の適合性の原則とどう考え合わせるかというお話が出ているのですが、狭義の適合性の原則は、書かれていたように極端にリスクが大きいという非常に限定したものにならざるを得ません。

不招請勧誘の禁止規定は商品とかサービスの有用性は認めているのですが、勧誘の形態のところだけに一種の歯止めをかけようとしているので、狭義の適合性というのは非常に限定的にならざるを得ないので、不招請勧誘の禁止規定を有効に入れる方が事業者にとってもいいのではないかと思います。それから、事業者側の委員からは、消費者への情報提供を妨げることになるのではないかという意見が再三出されているのですが、情報提供を妨げているわけではなくて、情報提供については広告とか販売市場とかいろいろなものを活用なさっていらっしゃるので、そのこと自体を禁止している規定ではないと考えております。

ただ、大変長くなって恐縮なのですが、今回の金融庁の提案の仕方については疑問を持っております。今回の規定の書きぶりになると、何か事が起きたら対策をとるというように、その規定を置きたいと考えていらっしゃるように見受けるのですが、例えば外国為替証拠金取引の被害が大変多くなってきたときに何が問題だったかというと、規制する法律がない、すき間の取引であったということですね。それから、タイムリーに動くことができなかったということ、時間的な要素ですね、この二つが被害を深刻に広げたと考えております。その見地からすると不招請勧誘の禁止規定については、一般的な禁止規定として置かれるべきだと私は考えております。政令追加ということで、後追いになるということでは、本来の意味での不招請勧誘の禁止規定が果たし得る役目を果たさない、果たしていないのではないかなと思っております。

なぜ金融分野に不招請勧誘禁止規定を置くのかということですが、実際にはリフォーム詐欺なんかも散見しているように、不招請勧誘をやる事業者と金融事業者が同列ではいけないと思っていて、金融分野こそ先取り的にこの規定を設けることが必要だと思います。いろいろな商売で販売勧誘を不招請でやっているではないかと言われますが、例えば特定商取引法では電話や訪問の不意打ち性に着目して、クーリング・オフ規定を設けているわけですね。今の金融商品とか金融取引については、不招請勧誘の禁止規定もなければクーリング・オフ規定もないという、挟み打ち的な状況に消費者が置かれていることについて検討して頂きたいと思います。

それから、再勧誘規定についてです。再勧誘規定を否定はいたしませんが、これは7年前に入った規定で、あまり機能しているとは言いがたいものです。もちろんこれも入っていいのですが、商品取引法が今年5月改定して施行されておりますが、勧誘受諾確認義務についての規定を入れられています。これは、勧誘を始めるに当たって、こういうことについて勧誘していいかどうかということを確認してから、勧誘を始めることになるわけですけれども、これを一番最初の段階、それから途中の段階でも確認して、ご本人が不要であるという意思を示された場合は勧誘はしないという規定で置かれるべきと思っております。不招請勧誘の禁止規定については大きな論点になるだろうと言われましたので、たびたび私も発言しておりますけれども、そういう意図で申し上げているということを理解して頂きたいと思います。

ちょっと長くなりますが、あとは簡単に項目だけ申し上げます。手数料開示のあり方についてですが、マル1マル2に分けられております。マル2については、事務局からご紹介がありましたように、アメリカやイギリスでもかなり進んだ規定を置かれようとしているというところを、私も評価しておりますし、ぜひ日本のこの新しい法律の中にも入れて頂きたいと思っております。

その際、保険検討チームでも手数料開示については今も検討しているところなのですが、もう一つ、自分のポジションの開示も合わせて検討しておりまして、今回、助言行為なども規定の対象の範囲に入ってくると。和仁委員がファンドマネージャーのお話をなさいましたけれども、実際に手数料をいろいろなところ、立場で受けられる可能性はたくさん出てくると思いますので、自分のポジションの開示ということもあわせて大事ではないかと思っております。

それから、エンフォースメントについては最後にもう一度意見を述べさせて頂きたいと思います。

それから和仁委員から、金融商品販売法のことについて、これは実際にセーフハーバー・ルールとして機能したことになるのではないかというお話があったのですが、私はそのような考え方は持っておりませんで、リスクだけに説明義務を限定したということ。それから、適合性の原則について明確にせずに勧誘方針の策定・公表に委ねたというところが、裁判の場面でも利用できなかったということの大きな原因ではなかったかと私は考えております。今回、商品の仕組みを入れられることについては賛成いたします。

それから、教育については、自主規制機関についての定義が明確でないということでの混乱が、苦情とか紛争解決のあり方のところでもまだ積み残しになっておりますけれども、自主規制機関イコール業界団体と考えるのか、自主規制機関イコール業界団体ではない、違う方の機関で考えるのかということで、違ってくるのではないかなと思っております。

大変長くなって恐縮ですけれども、意見を述べさせて頂きました。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

それでは、札が上がっている順番で、上柳委員、今松委員、そして黒沼委員の順番でお願いします。

では、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

今、原委員から包括的にお話があったので、私は、端折りまして、二つ三つだけ言わせて頂きます。

1つは、7ページの適合性の原則のところですけれども、投資目的についても考慮要素とすべきであると。そのとき、アメリカ、イギリスを引いておられますけれども、もちろんEUもありますが、何よりも日本の最高裁が特に今年の7月14日に、投資の目的も考慮要素であると明言しておりますので、ぜひこの点については最高裁に従って入れて頂きたい。同じように、最高裁は、適合性違反があった場合、それが不法行為になる、あるいは、損害賠償責任が発生するということも言っておりますので、ぜひ金融分野について、あるいは、投資サービス分野について、民事効、できれば推定規定も含めて入れるべきだと思います。

2つ目は不招請勧誘の関係についてです。9ページの下の方ですが、今、原委員からも若干指摘がありましたけれども、対象範囲を金融先物取引だけに限定するということではなくて、すごく限定しても店頭デリバティブとか一任勘定的なものとか、前回ですか、現在認可制になっている業にかかわる商品についてはその範囲に入るべきだと。私のもともとの意見は原則禁止すべきだということですけれども、百歩譲ってもそう言えると思います。

さらに千歩譲って、9ページでは再勧誘の禁止を上げておられるのですが、私は経産省の法制がいいと言っているわけではなくて、経産省に対してもまだお願いをしていますもので、あれなのですけれども、原委員からお話がありましたように、条文で言いますと、商品取引所法の214条の7項。ペーパーでは論点7のところで掲げられていますけれども、資料としてはこの不招請勧誘のところに上げるべきで、要するに業者が最初に連絡をとったときに、勧誘を受けられるかどうかということをお客さんから確認をとると、こういう規定をされていたり、あるいは、迷惑勧誘の禁止を規定されていたりしています。こういうものも次善なり三善の策としては参考になると思います。

最後にしますけれども、このペーパーの中では今の2つの議論が華々しくて、説明義務のところが相対的に低下しているのは事務局の意図とは思いませんが、大変大事なところで、現在の金融商品販売法と同じレベルというのでは、判例から見ても見劣りすると思います。単にリスクがある、あるいは元本を失うことがあるという説明だけではなくて、顧客あるいは消費者が十分な自己決定あるいは自己責任による判断ができるように、そのような情報提供なり説明が必要だという判例の水準をきちんと原則として書くべきだと思います。そういう意味からいうと、最後の金融商品販売法のときの議論を思い出しての商品の仕組みなり、取引の仕組みを入れるというところも、もちろん賛成なのですが、それにとどまらず包括的な規定を置くのが必要ではないかと思います。

14ページのところは、「商品の仕組み」と「取引の仕組み」と書き分けてあるのが若干気になったのですが、深く考えると大変大きな意味のあるような気もします。顧客の方が投資判断をきちっとできると、そのための情報提供なり環境づくりを業者がする必要があるのだと、そういう配慮義務があるのだということを書き込んで頂きたいと思います。

以上にします。

○神田部会長

ありがとうございました。

お隣の今松委員、どうぞ。

○今松委員

なるべく手短に3点、意見を述べさせて頂きます。

基本的考え方として、99年の「中間整理」を受けてできた金融商品販売法等々の考え方及び、そのときで言えば金融サービス法というか、広い意味での包括的な市場構成を保つようなルール、そういうものを法律的にエンフォースするということが意図されていたと思います。今度の法律はまさにそういう形で動いているわけなので、そこから言えば現行法、特に論点2の適合性のところでいろいろな形でバラツキがあると。そこは全体を横断するような統一ルールを基本に据えるということ、これは一番根本として考えておくべきことだろうと思います。

特に、三井課長の説明にもありましたけれども、論点8でプロの適用除外というのが論点になっているわけですから、基本的にはアマを対象にした形でどう構築していくか。それが貯蓄から投資への誘導ということにつながるわけです。そうなってきますと、適合性についてもレベルとしては上げていくというところは極めて重要なことになっております。もちろん、その中でいろいろな形でそのときどきの新たな商品等々が入ってきたときに、それをどのように入れていくのか。しかも、すき間の問題で言えば、すき間がない形が望ましいわけですから、それをどのようにそこで押さえていくのかというところにかかってくると思います。

それから、私募のところでも、プロのものであればある意味相当程度、適用の除外になってくると思うわけですけれども、アマがかかわること、あるいは、それに類するおそれのある場合には、でき得る限り入れていくという形のものが必要だろうと思います。説明義務のところも同じだと思います。商品自体が複雑になるに従って、それはそれとして、レベルが上がった商品であるかもしれませんけれども、それをどのように投資家が、特にアマの投資家が理解し、それで投資をしていくのか。ここは市場のルールをきちんと保つためにも開示ルール、行為規制等々はきちんとかけるという視点から構築していく必要があるだろうと思います。

基本的には、事務方の整理のような形でやっていくことに賛成いたします。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、黒沼委員、どうぞ。

○黒沼委員

まず、論点2の開示規制と行為規制の関係ですけれども、よく整理して頂きまして、このような整理に賛成いたします。

それから、論点3の適合性の原則ですが、7ページの下の方にあるように、現行の証取法と同様の規制として位置付けることに賛成します。投資の目的を入れるということも必要だと思います。上柳委員が指摘されたように、判例も実質的には投資の目的も考慮要素にしていると思います。

それに加えて、幾つかの裁判例を参考にしますと、投資家の理解力あるいは能力というものも考慮要素に入れるべきではないかと思います。後の方で「取引の仕組み」についての説明というのが挙がっているのですが、「取引の仕組み」は複雑で、説明しても理解できないような相手方には売ってはいけないのでありまして、相手方の理解力ということも、知識がなくても理解力があれば売っていいわけでありますから、これも基準に入れるべきではないかと考えております。

それから、論点8のプロ向けの適用除外ですけれども、適合性の原則についてはプロであっても適用除外にすべきではないと考えます。適用除外にしなくても、ほとんどのプロの場合には適合性原則違反の勧誘ということは考えられないので、特に問題はありませんし、必要な場合は、例えばアマが申告によってプロになるような場合には、適合性原則適用の余地を残しておかないと困る場合が多々あるのではないか。こういった一般原則、当たり前のことは適用除外にすべきではないと考えます。

それから、論点10の金販法における説明業務の拡充ですが、これも上柳委員が指摘されたように、「取引の仕組み」の追加だけではやはり足りないのでありまして、例えば元本欠損のリスクの程度とか、リスクの限定方法があるのかないのか。その限定方法の内容といったこともぜひ入れるべきではないかと思います。

最後に論点11です。これはいろいろな意見があるとは思いますけれども、法律上の意義を明確にするということの法的な意味がよくわからないと言いますか、やることは結構なのですが、それで法律上の意味があるのか、法でこういうことは規定すべきことなのかということについて若干の疑問があります。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、オブザーバーの中島さん、どうぞ。

○中島国際銀行協会リーガルWGメンバー

質問も含めまして九点ほどございまして、若干お時間を頂きますが、よろしくお願いいたします。本日は、国際銀行協会のメンバーでございますホールセール業務を中心として行います外資系の証券・金融機関の視点を中心に意見を述べさせて頂きます。

まず、総論的なことでございますけれども、投資家の保護を適切に図りつつ、一方で証券資本市場をより活性化し発展させるために、プロ同士の取引はなるべく自由に規制のない形で行わせるという、基本的な考え方が投資サービス法の根底にあると思いますが、これはまさに正鵠を得ていると私どもは思っております。投資サービス法の立法作業におかれましても、この基本的な考え方を十分貫徹して頂きたいと希望いたします。

各論ですが、論点1の行為規制の全体像でクーリング・オフの制度が入っております。この制度は当然、プロフェッショナルの投資家には適用ないと考えますが、仮にアマの投資家の適用についても、取引の内容・性質によっては適用すべきかどうか、慎重に考慮して頂きたいと思います。例えば、証券会社が顧客へ証券を売った後に自由に顧客が買受けを取り消せるとなった場合、証券会社としては証券の価格変動リスクによって損失を被ることになりますし、顧客サイドでは本来自分が負担すべきであった、例えば株が下がったときの損失を証券会社に転嫁できるということになりますので、これは不合理であろうと思います。したがいまして、証券取引やデリバティブ取引等価格変動リスクを伴う取引においては、当然クーリング・オフ制度は導入するべきではないと考えております。投資家の保護は、適合性の原則や説明義務等によって十分図られるのではないかと思います。

次に、これは質問なのですが、価格公表義務というものが販売・勧誘に関するもので上がっておりますけれども、この義務についてはどのようなものを考えられていらっしゃるかお教え頂ければと思います。

次に、資産運用助言のところで自己執行義務が上がっておりますが、基本的に他人の資産を運用したりする受託者についてこの義務を課すことは妥当と思いますけれども、一方で受託者がアウトソースすることについて、合理的な理由がありまして、また弊害もないというような場合には、アウトソースを柔軟に認めて頂けるような枠組みをお願いしたいと思います。今日におきましては、いろいろな分野において専門性の高いサービス業者が存在しております。例えば、不動産についてのプロパティマネジメント業者等があると思います。あるいは、テクノロジーの発達によって、システムの処理については専門のシステム業者に依頼することが、業務の効率化、コストダウンの見地から妥当なものもございますので、投資サービス法におきましては、そのような専門業者のノウハウを利用したり、あるいは、業務の効率化、コストダウンのためのアウトソースについて、自己執行義務の例外が認められるような柔軟な形をお願いしたいと思います。

次に、論点2の開示規制・行為規制のところです。私募の場合に、業者の行為規制として説明書面や運用報告書の交付義務を課すという点ですが、少なくともプロの投資家につきましては、プロは自ら情報収集をしたり、あるいは、それを業者に要求できる立場にあるということを考えますと、プロ投資家による販売に関しましては義務付けという形で行為規制を課すということまでは必要ないのではないかと思います。また、説明書面や運用報告書の交付義務を業者に課すとしましても、業者は発行者ではございませんので、できる説明等にはおのずと限界があるということをご配慮頂きたいと思います。商品の仕組みやリスク説明についてはできるのですが、例えば発行者の財務状況とか、あるいは、運用者の運用方法・内容等は業者としてはできませんので、交付義務と内容については合理的になるようにご検討頂きたいと存じます。

次に、論点3の適合性の原則のあり方のところです。そこで「適合性レター」というアイデアが述べられておりますが、これはプロ投資家向けの取引には適用がなくて、あるとしてもアマ投資家との取引の行為規制だろうと理解しております。本日の配付資料を見る限り、英国でも「適合性レター」というのは生命保険契約に関して交付が求められているように読めますので、我が国での導入を考える際でも、そもそも一般的な適合性の原則があるにもかかわらず、さらに業者の負担を増加させるような「レター」というものが必要かどうか、費用対効果の分析を含めて慎重にご検討をお願いしたいと思います。

次に、論点4の金融商品販売法における説明義務のところですが、投資サービス法におきまして、金販法の説明義務を行為規制の一つとして導入すると。そして、違反について監督上の処分を発動できるようにするという考え方につきましては私どもも特段異論はございません。ただ、この説明義務につきましては、投資サービス法ではプロ向けには説明義務を免除して頂きたいと考えます。現在の金融商品販売法では特定顧客に対する説明義務が免除されているところ、これは金融商品販売業者等に限定されておりまして、それでは私どもは狭すぎると考えております。自分で自分を守ることができるという投資家をプロと整理する以上、説明義務はプロに対しては免除するというような整理が妥当ではないかと考えております。

次に、論点5の不招請勧誘の禁止のところですが、基本的に今日お配り頂いた資料の考え方でよろしいのではないかと思っておりまして、原則的には適合性の原則適用によって利用者保護を図ると。問題が起きそうな場合については機動的に対応できるようにするというアプローチがよろしいのではないかと思います。あと、商品取引法で定める再勧誘の禁止の規定ですが、私どもとしましては、今示されています適合性原則の適用プラス、弊害が大きい場合、あるいは、大きいと想定される場合の機動的な対応という仕組みで十分ではなかろうかと思っております。

次に、論点8のプロ向けの場合の適用除外行為規制のところですが、損失補填の禁止について若干申し上げます。損失補填の禁止に関しましては、趣旨、目的からしまして、プロ投資家に対しても適用除外しないという整理は妥当であると考えます。ただ、現在、損失補填の禁止は事前規制となっております。すなわち、業者に明白な落ち度がある場合であっても、投資家に損失を補填するためには、原則として当局に対して事前に確認申請を行い、一定期間待って、確認申請がおりてから支払うということになっておりますが、それを見直して頂いて、事後的に、もし正当な理由もなく損失補填をした場合は、行政処分、刑事罰によって是正が図られるという事後規制のアプローチに変更して頂きたいと考えております。

当初、この規制が導入されました90年代初めの損失補填スキャンダル、当時の社会的状況や業者の問題意識、実務慣行からしますと、現在の事前規制の方式はそれなりに意味があったのだと考えておりますが、十数年経過しまして、業者間においてもマーケット参加者の間におきましても、かなり問題意識が高まっておりまして、現時点においては事前規制という過剰な規制は見直して頂き、事後的な規制に移して頂きたいと思います。外国におきましては、むしろこのような規制は珍しいようでして、業者側に明らかにミスがあるのに直ちに損害が補填されないということは、海外の投資家にとってはわかりにくくて不信を招くおそれがございますので、お考え頂きたいと思います。

最後ですが、論点9、エンフォースメントについて申し上げます。検査当局の権限、規模、陣容を拡充して頂いて、エンフォースメントを強化するということも大事と考えております。一方で、本来エンフォースメントが目的とするところは、ルールが遵守されることをいかに担保するかということでございますので、検査によって多くの違法行為を摘発するということが目的化してしまい、重箱の隅を突つくようなことを調べて違反を摘発することになってしまっては本末転倒と考えます。私どもとしましては、エンフォースメントの実を上げるためには、まず第一に業者が守るべきルール、行為規制を明確化・透明化して頂き、業者が規制を守りやすくなるという形にして頂きたいと思います。そして、ルールの意味や解釈について適切かつ迅速なガイダンスをご当局から受けられて業者の理解が深まるという形をお願いしたいと思います。

さらに、これは業者側のコンプライアンス体制の構築・強化という努力が前提になる話なのですが、検査当局におかれまして、業者自身の改善への自主的な努力がある場合は、それを尊重して頂く、あるいは、コンプライアンスリスクの適正な管理という観点から、リスクの大きさ等を考慮したリスクベースアプローチによる検査の考え方というものもさらに取り入れて頂きたいと思います。現在においてもある程度ご考慮頂いているとは思いますが、さらに進めて頂きたいと思います。

長くなりましたが、以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、太田委員、どうぞ。

○太田委員

私、今日、意見書を出させて頂きましたので、お時間を頂いてそれを説明させて頂きたいと思います。不招請勧誘の件でございますが、不招請勧誘についての今日の金融庁のまとめ方は基本的に賛成でございますけれども、取引所の為替証拠金取引につきまして、ちょっと見直しをして頂きたいという意見を出させて頂いております。

今年の7月に改正金先法が施行になりまして、外為証拠金取引について不招請勧誘規制が本邦で初めて適用されたということで、半年近くの経験を踏まえて申し上げたいと思っております。7月に外為証拠金取引について厳しい規制が導入されたわけでございますが、その時期にあわせて私ども取引所としては、ぜひ為替証拠金取引について健全なマーケットを形成したいということで、透明で安心できる商品内容の商品を上場いたしました。それにつきましては、私の意見書の最後に店頭取引と取引所の上場した商品との違いの対比表をつけさせて頂きました。

簡単に申し上げれば、例えば証拠金は完全に取引所が分別保管をいたしますし、価格の決定につきましても、透明な決定方法をしております。現在外為証拠金取引についてトラブルになっております、例えば証拠金が返ってこないとか、業者が倒産したときにそれが返されないとか、価格が非常に不透明で、業者が中間で為替のレートとか金利について鞘抜きをして上乗せをする、これは手数料開示のところで問題になります隠れ手数料なのでございますが、そのようなこととかいろいろなことがございます。それを全部制度的にクリアしたような商品を上場いたしました。

ところが、私のペーパーの2ページに書いてございますように、新しく上場した商品は余りにも透明と言いますか、基本的に業者がもうからないようなシステムになっております。というのは、私どもの上場商品については手数料しか収入がないわけでございますが、店頭取引の場合は、表面的な手数料のほかにレートの上乗せで稼ぐとか、スワップポイントも売値と買値のスワップポイントとの差で稼ぐとか、いろいろなもうける要素がございまして、上場商品については利鞘の薄い商品なものですから、既存の業者はこれを取り扱わないわけでございます。したがって、こういう投資家にとっては非常に有利な商品が一般に普及しないという実態がございます。

これは、7月に不招請勧誘規制を適用することにしましたときに、その時点ではまだこういう上場商品がなかったものですから、規定上はこの上場商品についても為替証拠金取引ということで一律に強力な不招請勧誘規制がかかりました。その結果どういう事態が生じているかと言いますと、一般の方々はこういう優れたと言いますか、透明性の高い商品についてなかなか情報が得られない。その結果として従来型の大変問題の多い為替証拠金取引が全然淘汰されないで残存しております。新聞等でもにぎわっておりますが、外為証拠金取引業者が次々に倒産する場合、証拠金が全然返ってこないと、例えば海外の大手のレフコなどに預けていた証拠金も返ってこないというトラブルがずっと続いております。

私の考え方としましては、まさに大変強力な不招請勧誘の禁止を導入したために、結果的に投資家に十分な情報、こういう新しい良い商品の情報が伝わらない。その結果、的確な判断をすること自体ができないような状態になっているということです。私どもの上場商品に乗りかえて頂いていれば、証拠金が返ってこないというような、投資家の非常に不利な状態が随分救われたのではないかという気持ちを持っております。したがって、商品性の内容を見て、強力な不招請勧誘の規制というのは適用の是非を考えるべきではないかというのが私の意見でございます。

提案としましては、取引所の上場している為替証拠金取引につきましては、商品性においても非常に問題が少ないということ、透明であるということで、現在の不招請勧誘の禁止は適用しないで、先ほどから議論になっておりますが、金融庁のペーパーにもございますように、商品取引所法に基づいて、本年5月から商品先物取引について適用されております、いわゆる再勧誘禁止と言いますか、ワンコールルールと言いますか、「一度勧誘してもいいですか」ということを問い合わせて頂いて、本人が「ノー」と言えば勧誘はしない。ただし、ご本人が承諾された場合にはよく説明をすると、そういう一段緩和をした、しかしながら、ワンコールルールというのは商品先物取引所法の5月の施行以後、実際に大変強力な効果が上がっていると伺っておりますので、このワンコールルールを適用するということでも、十分効果は上がるのではないかと。いい商品の情報を投資家が知るチャンスが広がるのではないかと考えておりまして、提案をさせて頂いたわけでございます。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

ちょっと私の不手際で、先ほどの中島オブザーバーからのご発言の中でご質問があったように思うのですけれども、事務局からお答えがあればお願いします

○三井市場課長

価格公表義務のご質問だと思いますが、たしか二サイクル前の中審会にも出席された委員はご記憶があるかもしれませんけれども、PTSや店頭取引において、価格が取引所取引に比べて透明でないというご議論がありまして、それについて最良執行義務の制度化とかそれに伴う価格の公表についての規定を整備するというご意見をまとめて頂きまして、法令上の整備をいたしております。

特に相場性の商品、典型的には株式というところで、証券取引所規定的には79条の3とか4といったところに、証券会社が店頭取引をした場合、店頭市場を管理する証券業協会等に価格を報告して、証券業協会から価格を公表する、こういったルールなどは定めておられます。先物取引については特段、店頭取引について証券取引法のような規定は整備されておりません。いずれにしましても、そういうことで取引所取引については、相場は毎日リアルタイムで公表されているわけでございますが、そうでない金融商品、相場が立っているものについてどう考えるかという問題提起であります。

以上です。

○神田部会長

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。

それでは、名札の順番で。高橋委員は立てようとされたのか、うまく名札が……。

では、高橋委員、それから川本委員の順番でお願いします。

○高橋委員

ちょっと喉を痛めておりましてお聞き苦しいかもしれませんけれども、論点1、2、3、5、6、11の順に申し上げたいと思います。

まず、一点目の行為規制の中ではクーリング・オフについて申し上げます。これに関しては、以前、投資信託協会の方がいらしたときにも意見を述べさせて頂きましたけれども、価格変動リスクのある商品であっても、クーリング・オフの適用が必要なものはかなりあるのではないかと思われます。投信協会の方からも「販売・勧誘に問題があるのであれば、顧客のプールしているお金ではなく、損失を賄うことができるので、検討の余地あり」というご回答を頂いております。

それから、追加したのは変額年金保険のケースであります。保険の場合には、保険業法で8日間のクーリング・オフの措置はあるのですけれども、変額年金保険の場合には、銀行の窓販が行われまして、訪問販売でありましても、口座からの振替の場合にはクーリング・オフがきかないという問題がございます。それから、保険証券の場合は、契約をしてから数日後に手元に証券が手元に届いて、そこで初めて成立を知ることになりますので、クーリング・オフの発動の時期を、契約時ではなくて、証券が届いた時点として頂かないと検討が難しいということでお願いしたいと思います。

それから、論点2の開示規制のところでございます。これも前々回に変額年金保険に組み込まれている私募投信のお話で要望を申し上げましたけれども、簡単に繰り返させていただきますと、個人がスイッチングをしていくような形で私募投信が組み込まれている商品がございますので、そういうものに関しては公衆縦覧が必要であると考えております。

それから、論点3の適合性の原則のあり方のところです。投資目的を入れるのかという点ですけれども、私はぜひ入れて頂きたいと思っております。記憶では、証券業の場合は証券取引法には入っていないのですけれども、証券業協会の公正慣習規則には、被害の実態に鑑みて投資目的を途中で入れられたという経緯があったと思います。ですので、今回新しい法律をつくるに当たっては、投資の目的というものに匹敵するものが必要だと思います。

ただ、先ほども和仁委員等からご意見がありましたように、「投資の目的」という表現でいいのかということについては少しもむ必要があると思います。私は「生活設計とかニーズ」とかいう言い方、あるいは、「生活設計かつ本人のニーズ」という言い方があるのではないかと思います。先に全銀協が銀行の保険販売での自主ルールをおつくりになりましたけれども、そこには「顧客のニーズ」ということで、増やす、受け取る、残すと。そこを適合性でチェックするということと、余裕資金という項目を設けてありまして、今後のライフイベント等と照らしあわせてどうか、こういう適合性の判断をすることになっているのですが、私が申し上げた「ニーズ」とか「生活設計」というのはそれと同等のものだと考えております。

それから、適合性の原則で、先ほど黒沼委員がおっしゃいました理解力、能力について入れると。これも大変賛成でございます。説明義務というものが金販法をはじめとして課されているわけですけれども、事業者がわかるまで説明、説得してしまう、それによるトラブルがかなり多いものですから、理解力、理解能力に関しての適合性というのを見て頂きたいということです。

それから、「適合性レター」につきましては、非常に複雑な商品、抱き合わせでいろいろなオプションがついてしまうような商品に関しては、オーダーメードのものが多いと思います。保険商品はその代表だと思いますけれども、こういうものは「適合性のレター」というのが検討の余地が大きいと思います。先ほど来変額年金のことも申し上げておりますけれども、解禁から3年間ずっと追いかけてきまして、70代、80代の人に、90歳で年金開始で、99歳まで払うような商品が一時払いでまかり通っているわけでございまして、これなどは適合していないと思わざるを得ませんので、「適合性レター」の検討余地は大きいと思います。

それから、論点5、不招請勧誘の禁止でございます。私は広く入れていくということに賛成でございます。原則禁止にして、不要なものがあれば適用除外という形をとって頂きたいと思っています。商品選択の機会を逸すということに関しては、販売事業者がやるものは広告・勧誘でございますので、論点11の金融経済教育の方で後で申し上げますけれども、こちらの方を充実していけば、不招請勧誘の禁止を取り入れたからといって、投資意欲のある方がチャンスを逸するということはないのではないかと思っております。

それから、論点6、手数料の開示に関してです。販売事業者に組成事業者から払われるものに関しての開示が必要というのは、私もそのように思っております。特に、集団投資スキームの商品の場合には、販売者が強力なスポンサーとして商品の製造とか企画設計、運用にかかわるケースが多くて、非常に影響力を行使しているケースが見られます。ですので、各種手数料などがスポンサーの利益が大きくなるように商品設計されているものを、利用者がそれで納得できるのかということが重要でございますので、手数料開示は必要だと思っております。

最後に、論点11の金融経済教育のところです。これは自主規制機関に協力を要請する形が、協力の義務化と読めてしまうのですけれども、そうであればそういう規定を置くことには反対でございます。自主規制機関というのは中立性をもって、クリエイティブな競争をしていくことによって、一般の国民に金融経済の知識を普及することだと思いますので、そこに関してはそういう意見を持っております。きちんと法律に書き込むべきは、国が、「金融経済リテラシー」と伊藤前大臣の金融教育懇談会では位置付けられましたけれども、そういうものの普及が広く広まるような先導役と言いますか、旗振り役と言いますか、そういうことを担うべきであるということを明確に明記して頂きたいと思います。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、川本委員、どうぞ。

○川本委員

論点の11について簡単に申し上げたいと思います。金融経済教育の重要さは繰り返すまでもないし、全員が賛成することと思うのですけれども、対象を、ここに書いてある若い世代ももちろん大事だと思いますが、既に社会に出てしまっている大人に対する教育とか啓蒙を明記すべきなのではないか。そうすると紛争処理にいく前にいろいろなことがわかるのではないかなと思っています。それであれば、業界団体とか第三者機関など、どこかが責任を推進する体制をとることに何らかの効果があるのではないかと思っております。

逆に、今年も大学で組んだキッズキャンプとか、民間銀行で行った子どもプログラムなどに参加させて頂いたのですけれども、法律に明記して自主規制機関でやるとどのくらい効果があるのか、若干疑念を持っております。効果を出すならば本来であれば学校教育に取り組む方向性の方が望ましいのではないかと思います。ただ、学校教育に取り組むのですと、そのレベルが問題になると思います。欧米でも高校生レベルだと教科書にかなりの部分が載っていると思うのですが、小学生ですと、お金を数える程度の話だと思うのですね。実態として、今、小学校で小数の入った計算ができない子たちがすごく多いわけですから、小数の掛け算と割り算ができないのに利率の計算でもないので、割り算をしっかりする方が先でしょうし、小学校とか中学校の今の学力の実態を踏まえた設計をして頂けたらと思っております。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、東委員、どうぞ。

○東委員

二つ申し上げさせて頂きたいと思いますが、一つは論点2の開示のところです。投資サービス法ができる際にぜひ検討して頂きたいのは、先ほど原委員も言われたアマ、個人、消費者が理解しやすい情報の開示とは何かということです。つまり、厚ければいいとか、全部渡すともうこれで販売業者としては安心だということでどうも厚くなっているような気がするので、本当に必要な情報は何かを横断的に考えるということをぜひ視点としてより強めて頂けたらと思います。

なぜそう申すかと言いますと、例えば、投信の販売で目論見書が大変分厚いので、要約版で勧誘してもよいというルールになったと思うのですが、実際に現場で何が起こっているかというと、要約版と目論見書そのものを同時に送付しているのですね。なぜそういうことが起こるかというと、要約版で勧誘をしてもいいのですが、顧客が目論見書そのものを請求した場合には速やかに渡さない限り、その次の勧誘ができないことになっています。

そうしますと、勧誘期間を考えた場合、そこから印刷して間に合う話ではありませんので、当然、両方刷って渡す。したがって、要約版でコストを下げて、個人にとっての利便性もわかりやすさという意味で上げようという目的に対して、利便性は上がったのですが、同時にコストも上がっただけという、当初の趣旨とは大分違う現状になっているようであります。そういう意味では、目論見書のあり方そのものを含めて、個人にとって本当に必要な情報は何かを考える必要性は高いと思います。投資家、消費者がリスクリターンを正確に把握できるというのが最低のルールであり、それを開示することが販売する方の最大の責任だろうと私は考えています。

もう一つは、論点5のところで、先ほどの太田委員のお話を伺うと、取引所に出ているものについて不招請勧誘は厳しいという印象は受けるのですが、とは言え不招請勧誘と再販の禁止は一本化すべきだろうということで、私は不招請勧誘に一本化していいのではないかと思います。その上で、9ページの真ん中のところの一番下で、事務局が書かれている「当面の適用対象」というところで、外為証拠金を中心として規制をされているわけですけれども、外国為替の問題ではなくて、証拠金取引の問題だというのが私の理解です。ここは外国為替に限った話ではありませんで、株式でも信用取引というのもレバレッジが大変高くなる可能性がありますので、例えば元本を上回る損失が生ずるものについては不招請勧誘を禁止するというような、ある程度の間口を定めて置くということが必要なのではないかと考えています。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

鈴木委員も先ほど名札を……。

○鈴木委員

失礼しました。高橋さんのまねをしたわけではないのですけれども。

代理店手数料について一言申し上げたいと思います。特に損保代理店でありますが、事務局に論点6で整理して頂いたとおり、保険における代理店手数料というのはマル2に該当することになりますけれども、保険会社が締結の代理をして頂いた代理店に対して支払うという位置付けになっております。この件に関しまして、既に意見書も出させて頂いたところですが、代理店手数料というのは保険会社の社費の一部、すなわち原価そのものでありまして、開示にはなじみにくいということをぜひご理解頂きたいと思っております。お客様は、同一商品であれば、どの代理店から購入しても同一価格、サービスの内容も同一ということになるわけですけれども、手数料開示をした場合、その格差が商品・サービスの格差につながるような誤解を与えてしまうおそれもあるのではないかと考えております。

手数料の高い商品だけ売っているのではないかというご指摘、ご懸念もあろうかと思いますけれども、この点について注意をしていくということは当然のことでありまして、これについて異論を申し上げるということではございませんが、その方法としては、手数料開示といことよりも、むしろ商品説明をしっかりさせて頂くことによって、お客様に納得して購入して頂くということが大事なのではないかと考えております。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

私の手元では田中委員、佐々木委員、淵田委員、鮎瀬さん、そして花岡委員、原委員と、ラインナップしておられまして、十数分ございますので、多少の延長はあり得るかと思いますが、特に二度目のご発言の方はできれば手短にして頂ければありがたいと思います。

では、田中委員、どうぞ。

○田中(浩)委員

では、手短に。先ほど適合性原則の点について説明した点、一つ補足させて頂きたいのですが、資料の7ページの適合性原則のあり方の第二パラグラフの3行目に「投資サービス法の規制対象となる金融商品・サービスについては、現行の証取法と同等にする」と。仮に投資サービス法の適用範囲が現在の証取法とほとんど変わらなければ、これは何も意味しない話で、その上の方に書いてあります銀行法、保険業法では、この適合性原則の考え方が違っていて、証取法の場合だと原則に違反する場合は禁止行為となっている。それに対して銀行法、保険法では、改正を義務付けているだけと。あるいは、禁止行為としていても、商品ファンド法とか不動産特定共同事業法の場合では、適合性原則の考え方が非常に狭い。狭いと言いますか、単に顧客が被るであろう損失の範囲について、顧客が知識を有しているか、していないかだけになっている。

そういうことで、先ほど横断的に入れることが重要であると申し上げたわけですが、本当に横断的に包括的に入れないと実質的に意味をなさないということを確認したいと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

それでは、佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員

いろいろあるのですけれども、論点11の教育についてコメントさせて頂きます。小・中・高のパンフレットの作成などの教育に関しましては、先ほど川本委員からも話があったように、小・中・高よりもむしろ大人の人に向けて教育をすべきだと思うのです。小・中・高に関しては、今、文科省の委員もさせて頂いていまして、高橋委員が来てくださって、そこでこの話をしたときにも、学校側の関係者から、経済とかかわりたくなくて教育という道を選んだ教師たちにとって、学校の場でさらに教師に経済教育を強いるということは大変苦痛だし難しいのだという話が出て、非常に納得したのですね。

ですから、これを小・中・高の教育プログラムに入れていくというのは、時間的にも内容的にも難しいと思うので、パンフレットを配っていくという程度、あるいは、外部の人からの特別イベントのような形でときどき学校にもやっていくというのが現実的だろうと思います。パンフレットなどは、子どもが実際に読むという効果もあるかと思うのですけれども、親が見るときにやさしく書いてあって、大人としてもわかりやすいという効果も考えれば、これはある程度いいかなと。

実際に商品を販売している金融機関が、先ほどから出ている目論見書も含めてさまざまな説明書類を持っていらっしゃるわけですけれども、こういったところがもう少し金融経済教育にかかわるべきであるということ、つまり、リアルなセミナーを積極的にやるとか、そういったことは少しルール化を考えてみてもいいのかなと思います。紙だけではなくて、生の言葉で教えてもらう機会を持つというのは効果的かなと。

一方で、今の時点で私は判断がつかないのは、それが商品勧誘のセミナーになってしまうという、この辺の境目が非常に難しいと思うのですけれども、忠実に書かれた紙をぼんと送られて、読めと言われるよりも、リアルなセミナーがあった方がいいのだろうなと。このあたりが検討なのではないかと。今、答えがないのですけれども、意見として述べさせて頂きます。

○神田部会長

どうもありがとうございました。

淵田委員、どうぞ。

○淵田委員

国民生活センターが過去3年ぐらいに特別にワーニングを出している商品取引が4つか5つありまして、一つはファンドへの出資話です。それから、商品先物取引、外為証拠金取引、それから、この7月には銀行における変額年金の販売についての注意が喚起されています。これは特別に国民生活センターが問題かあるとして警告を出している金融商品の、過去数年の例でありますが、これらはいずれも証取法の枠外の商品であります。

それからもう一つ、未公開株の話についての警告もあるのですけれども、これは証取法のエンフォースメントの問題であると思います。したがいまして、こうした問題をいかに防ぐかということが大事だとすれば、これらの商品につきまして投資サービス法を幅広く適用していくということ。それから、投資サービス法のエンフォースというものを強化していくということが最優先課題ではないかと思います。それで解決する問題はかなり多いように思います。

不招請勧誘の禁止のことが言われていますが、先ほどの説明にない弊害として、新規参入業者にとっては非常に競争的に不利になるという弊害も考えられるかと思いますし、先ほど太田委員からご説明もありましたように、予期しない弊害が事後的にはあらわれるかもしれないように思います。簡単でかつ強力であるがゆえに、その弊害にも気をつけなくてはいけないと思います。

それからもう一つ、手数料開示のところで二つの形態が示されております。第一の形態についてはもう既に普通の商品については開示ルールがある話でありまして、資料で米国のポイント・オブ・セールス・ディスクロージャーの例が紹介されていますが、これは手数料を開示するかしないかの問題ではなくて、現行の開示の仕方ではわかりにくいから、もう少しわかりやすいものにしましょうということです。先ほどの目論見書の厚さとか難しさに関連する話であって、開示そのものの問題ではないと思います。

二番目の形態については、手数料の開示の問題として整理するのがいいのかどうかちょっと悩ましいと思います。手数料と呼ぶのがいいのか、レベニューシェアリング的な形態の話であって、開示すればいいかどうかというよりも、例えば販売業者がたくさんもうけの上がる商品を、顧客に不利だとわかりつつ、ほかにもっと有利なものがあるにもかかわらず、そちらを優先するということが起きるかどうか、そちらの方が問題だと思うのですね。そのように考えると、これに関連する問題というのはもっと広範なものになりまして、手数料だけにとどまらないかもしれません。

また、手数料に限りましても、ここに紹介されているもの以外にいろいろな形態の問題があります。例えば、アメリカで最近残高手数料口座の問題がありました。取引をほとんどしない人に残高手数料口座を販売・勧誘していったという問題であります。これはやはり開示すればいいかどうかの問題ではないと思います。そうしますと、これは、今回投資サービス法で盛り込まれます誠実公正義務のところで対応し得る話かなと思います。

それを投資サービス法の中にどこまで具体的に細かく書き込むかというと、先ほどのレベニューシェアリングもそうですけれども、ビジネスモデルそのものにかかわる問題でありますので、投資サービス法の問題として、ここで詳細に議論する話というよりも、むしろ実務に即して自主規制機関等で検討すべき話かなという気がします。先ほどの残高手数料口座の問題も、アメリカではNASDのルール違反の問題として、業界団体の中で制裁措置がなされたわけです。そういう性格のものだと思います。

○神田部会長

ありがとうございました。

あと、鮎瀬さん、花岡委員、原委員、根本委員、野村委員という順番でいきたいと思います。

鮎瀬さん、どうぞ。

○鮎瀬幹事

2点申し上げます。

1点目はクーリング・オフについてです。金融商品・投資商品の場合には商品の特性上、クーリング・オフによる解決になじむのかどうか、疑問があるものもあろうかと思います。すなわち、クーリング・オフが投資家サイドから濫用されるというような懸念があるものもあるのではないかと思います。したがって、投資家に対して金融サービスの提供が萎縮するといったようなことがないように、クーリング・オフの適用については少し慎重に考えた方がいいのではないかという気がいたします。

第2点目は、論点8のプロ向けの適用除外でございます。プロとアマの区分が的確になされるという前提に立ちました場合には、適合性の原則についても、プロ向けについては適用除外するというのも一つの考え方ではないかという感じがいたします。

以上でございます。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、花岡委員、どうぞ。

○花岡委員

2つほどありまして、1つは適合性の原則です。幅広、横断的に全業種に適用するというのは大賛成です。そういった中で、「適合性レター」が理屈なしに生保だけというところでちょっと理解しかねるところがあります。何が一番適合なのかということを見出せるのかどうかというところが一つ重要なポイントでありまして、目的としては、我々がこれを考える場合は、不適合なものはないのかと。むだなものを保険会社としてお客様に売りつけていないかということが大事なのだということなのですね。

それを判断するのはだれかといった場合は、あくまでもお客様になってしまう。何でそうなるかというと、知識とか経験とか財産だけではないのですよね。奥さんと子どもを大事にするつもりがあるのかどうかといったような、人生観や価値観の部分まであるわけでございます。そうしたときに一番大事なところというのは、ご自身が選ばれた保険の内容が、先ほど高橋委員がオプションまでおっしゃいましたが、特約も含めてむだがないのか、それから、本来の必要とした保障が入っていないことはないのかというところを十分に検証、理解して頂いた上でご加入頂くということが大事なのであります。

販売業者の方で「これがベストです」という形で出すのではなくて、十分に販売業者は説明して、お客様はそれを十二分に確認して入って頂くというプロセスのところだと思います。したがって、そこにおいては説明義務の充実とか規制強化ではないのかなと考えているということでございます。そういう意味においては、イギリスの「適合性レター」は、保険の場合もあまり機能していないと聞いております。形式化しておりまして、あまり機能していないと聞いております。

それから、2つ目の手数料の問題ですね。今、淵田委員がおっしゃられた意見に基本的に賛成です。特に販売業者に払われる手数料、マル2の手数料はなぜ必要なのかという位置付けは、販売業者に有利な商品を、顧客にとってあまり必要のない商品、不利な商品を売っているのではないかということで、それは多分販売業者が複数の製造業者、組成業者から商品を卸してもらったりするというケース、すなわちブローカーですね、お客様サイドに立って商品設計をするという立場、保険の場合、保険仲立人と言いますけれども、そういう場合は必要なのでしょうが。

一般的には生命保険の営業職員の場合は一社専属なので、そういった場合はむしろ選択肢としてこれは何かという、先ほど来申し上げておりますように、一社専属の営業職員の場合は、自分の会社のラインナップから選んで売るということですから、何が大事かというと、そういう中でお客さんにむだな商品を売ってないのかということを十分に説明して、チェックして頂くと、こういう説明責任のところが大事ではないのかという意味において、手数料の開示はなかなかなじまない。手数料自体がないので給与の開示になるのでしょうけれども、給与の開示というのはなかなかなじまないのではないかなと。自分が幾ら給料をもらっていますということは言いにくいものでもあるでしょうし、そういったものも含めて実際的には難しいのではないかなと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

時間がきていますけれども、若干の延長をお願いして、原委員、どうぞ。

○原委員

恐縮です。2回目なので、簡単に話したいと思います。

花岡委員がおっしゃられた適合性の原則についてですが、保険については適合性の原則は最も大事だと考えておりますので、検討は尽くして頂きたいと思います。

淵田委員から、国民生活センターで過去3年、警告が出されたものについてご発言があったのですけれども、すぐ次に警告が予定されているのが未公開株だと考えておりますので、未公開株は今回登録の話のところで少し触れられておりますけれども、ここをどうするかも念頭に置いて頂けたらと思います。

1点だけ意見なのですが、エンフォースメントのところについて、まだ詳しい規定が入っていないのでこれからの検討課題と思いますが、刑事罰とか行政罰とか課徴金というものは組み入れられていくと思いますが、私自身は実効性の確保だけではなくて、実際に起きた被害の救済ですね、被害の救済になるというような視点をぜひ盛り込んで頂きたいと思っております。その意味では、損害賠償請求、クーリング・オフの規定、それから、契約の取消、無効、それから、原状回復命令といったものが上げられます。それから、7月の「中間整理」では、差止め請求についての規定が、差止め請求とそれを含めた団体訴権についての記述があったかと思いますが、差止め請求についても規定を考えて頂きたいと思います。それから、調査権限とか報告徴求権も必ず入れて頂きたい。

もう一つは、苦情紛争の解決のあり方のところで、自主規制機関をその担い手にするのかどうかというところで、ここの議論は少し中途半端な状況で終わっていたと私は認識しておりますので、このエンフォースメントのところで再度しっかり検討を尽くして頂きたいと思っております。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、根本委員、どうぞ。

○根本委員

不招請勧誘について簡単に申し上げたいと思います。

淵田委員のおっしゃったことと近いのですけれども、原則完全な適用はなく、比較的特別な場合に適用するということに賛成でございます。理由としては、皆さんもおっしゃったような、利用者にとってのプラスの情報も遮断されてしまうということがあると思います。太田委員がおっしゃっていたような、例えば外為取引というのは価格がわからないというところが一つ不便なところだと思うのですけれども、取引所取引ではそれが透明であるということが利用者に伝達されるということは意味があるのではないかと思います。

そのほか、例えば教育ということで機会をつくるということもあるのですけれども、佐々木委員がおっしゃったように、現状の学校の体制といったところで限界があるのかなと思います。

あと、外為証拠金取引の問題というのが不招請勧誘が直接の理由で生じたというよりは、業者の規制が十分でなかったとか、業界のコンプライアンスがあまり確立されていないとか、多分そういったことが大きな問題だったのかと思います。

それから、現在、そういった規制を不招請勧誘の対象になっている商品に関しても、利用者保護上問題がないという環境になった場合は、再勧誘の禁止とかいったレベルの方にシフトするということも可能ではないかと思います。

以上です。

○神田部会長

ありがとうございました。

では、野村委員、どうぞ。

○野村委員

時間が過ぎているのに恐縮でございます。一点だけお話をさせて頂きます。

お話をしたいのは、適合性の原則についてであります。先ほど来原委員からご紹介がありますように、私も取りまとめさせて頂いています保険販売に関する検討チームにおきましては、現在、適合性の原則について重点的に検討しておりまして、中でも保険商品に関しては、「適合性レター」というものの可能性を検討したいという方向で詰めているところでございます。その中身については、合理的にワーカブルなものであることが必要でありますし、業者に過度な費用負担がかからないようなものでありながら、適正な販売ができるようなものはどういう制度なのかということを、海外事例等を踏まえながら検討していると、そういう実態でございます。

そういう中でかなり悩みの多い問題でわけでありますし、今、花岡委員からもありましたように、かなり反発と言いましょうか、業者さんからは「そんなものはやめてほしい」ということを強く言われているところでもあり、かなり悩んでいるということであります。そういう中で今回ご提言頂いていますが、少し整理しなければいけないと思いますのは、投資性のある商品だから「適合性レター」が出てくるのか。私どもの考えている保障性のものであっても、保険だからと「適合性レター」が必要なのかといったようなところの、制度の切り分けが必要でありまして、そこのところの理論的な詰めがなければ、これを導入するかどうかについて検討することは難しいのではないかと考えています。

個人的な意見を言わせて頂きますと、個人に対して保険商品を販売する場合については、個人の生活実態にあっていない商品が売られる危険性が存在しておりまして、先ほど来から出ておりますように、過不足が生ずるというのが問題だと認識されております。例えば、家族以外の者が運転する自動車が存在しているにもかかわらず、家族限定の特約のついた保険を売ってしまうということがトラブルのもとになるのは、不足ということでありますが、個人が求めている保障を超えるものに対して多額の保険料の支払いを求める、要らない保険商品が販売されるという危険性も実は存在するわけでありまして、個人のニーズに照らして保障内容が適切であるかどうかというのは、常に吟味した上で販売されるべきだと、そういう考え方が背景にはあるわけであります。

そういう点でいきますと、投資性の商品とはやや違った時限で「適合性レター」の必要性というものが議論されてくる可能性もありますので、そういったあたりの整合性を踏まえた議論を今後展開して頂ければと思います。

すみません、長くなりまして。

○神田部会長

いえ、どうもありがとうございました。

それでは、予定の時間を10分程度延長してしまいましたので、これまでとさせて頂きたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

さらにご意見ございましたら、いつものように事務局または私あてにご連絡頂ければ。また、書面で提出頂ければ、次回以降配付させて頂きます。

今日も大変活発な、また、重要なご指摘を頂きまして本当にありがとうございました。これで何とか一巡終わりましたので、次からはこれまで頂きましたご意見を踏まえて、少し先へ進むということで何とかなるのではないかというか、しなければいけないのではないかという感想を持っております。

この後、記者会見を行いまして、本日の模様につきまして私からご報告をさせて頂きます。

最後に、事務局からのご連絡をお願いいたします。

○三井市場課長

次回の部会は、12月7日水曜日、午前10時から2時間程度、論点の整理についてご議論頂きたいと思います。

以上です。

○神田部会長

それでは、これで散会いたします。どうもありがとうございました。

午後0時19分閉会

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